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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2022177080
(43)【公開日】2022-11-30
(54)【発明の名称】衣服カバーエプロン
(51)【国際特許分類】
   A41D 13/04 20060101AFI20221122BHJP
【FI】
A41D13/04
【審査請求】有
【請求項の数】10
【出願形態】書面
(21)【出願番号】P 2022141756
(22)【出願日】2022-08-18
【基礎とした実用新案登録】
【原出願日】2019-08-29
(71)【出願人】
【識別番号】518194110
【氏名又は名称】野村 恵子
(71)【出願人】
【識別番号】519335691
【氏名又は名称】中磯 和代
(72)【発明者】
【氏名】野村 恵子
(72)【発明者】
【氏名】中磯 和代
(57)【要約】      (修正有)
【課題】装着した際に形状が比較的安定しており、装着者の胸前面、肩或いは背中等の各位置に容易に配置でき、吸水性及び通気性に優れ、洗濯等による型崩れが無く、乾き易い衣服カバーエプロンを提供する。
【解決手段】エプロン本体1と、首紐20とから成り、乳児を抱く際に装着する衣服カバーエプロンであって、エプロン本体は、2枚のガーゼ素材とキルト芯とから構成され、2枚のガーゼ素材の間にキルト芯を配置し、各ガーゼ素材及びキルト芯を重ねた状態でそれらの外周部分を縫合して一体に構成され、エプロン本体は、その幅寸法Bが装着者の身幅と同等な寸法に構成され、その縦寸法Hが装着者の鎖骨から肘付近までの範囲を覆う寸法に構成され、首紐は、それ自体が伸縮自在であって、その一端及び他端をエプロン本体に取付けられており、首紐の一端及び他端は、エプロン本体の幅寸法の中心位置に対して対称な位置に取付けられている。
【選択図】図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
エプロン本体と、首紐とから成り、乳幼児を抱く際に装着する衣服カバーエプロンであって、
前記エプロン本体は、2枚のガーゼ素材とキルト芯とから構成されており、2枚の前記ガーゼ素材の間に前記キルト芯を配置し、かつ、前記各ガーゼ素材及びキルト芯を重ねた状態でそれらの外周部分を縫合して一体に構成されており、
前記エプロン本体は、その幅寸法が装着者の身幅と同等な寸法に構成され、かつ、その縦寸法が装着者の鎖骨から肘付近までの範囲を覆う寸法に構成されており、
前記首紐は、それ自体が伸縮自在であって、その一端及び他端を前記エプロン本体に取付けられており、
前記首紐の一端及び他端は、エプロン本体の幅寸法の中心位置に対して対称な位置に取付けられている
ことを特徴とする衣服カバーエプロン。
【請求項2】
請求項1に記載の衣服カバーエプロンにおいて、
前記首紐の長さは、当該首紐を装着者が首に掛けて衣服カバーエプロンを装着した際に、前記エプロン本体の上辺部分が装着者の首周辺に位置する長さとなっている、
ことを特徴とする衣服カバーエプロン。
【請求項3】
請求項1又は請求項2に記載の衣服カバーエプロンにおいて、
前記首紐の一端を前記エプロン本体に取付けた首紐一端取付け位置と、前記首紐の他端を前記エプロン本体に取付けた首紐他端取付け位置との間隔を、装着者の首部分の幅寸法と同等とした
ことを特徴とする衣服カバーエプロン。
【請求項4】
請求項1又は請求項2に記載の衣服カバーエプロンにおいて、
前記エプロン本体は、その全体がほぼ矩形を成しており、かつ、前記エプロン本体の上辺部を装着者の首回りに沿うように湾曲した円弧部に構成している
ことを特徴とする衣服カバーエプロン。
【請求項5】
請求項4に記載の衣服カバーエプロンにおいて、
前記エプロン本体は、矩形を構成している四隅の部分が円弧状に形成されている
ことを特徴とする衣服カバーエプロン。
【請求項6】
請求項1に記載の衣服カバーエプロンにおいて、
エプロン本体を構成する一方のガーゼ生地とキルト芯は重ねた状態でその外周が折り返されており、エプロン本体を構成する他方のガーゼ生地はその外周が折り返されており、前記一方のガーゼ生地とキルト芯の折り返し部及び他方のガーゼ生地の折り返し部は、外周に縫い代を設けて縫合されており、
前記一方のガーゼ生地とキルト芯及び他方のガーゼ生地の前記各折り返し部を内側に配置し、かつ、前記各ガーゼ生地を外側に配置した状態で、エプロン本体の外周を縫合している
ことを特徴とする衣服カバーエプロン。
【請求項7】
請求項6に記載の衣服カバーエプロンにおいて、
前記首紐の一端及び他端は、前記2枚のガーゼ生地の間であって、前記2枚のガーゼ生地とキルト芯とを縫合する縫合線の位置に配置されており、前記ガーゼ生地及びキルト芯と共に縫合されている
ことを特徴とする衣服カバーエプロン。
【請求項8】
エプロン本体と、首紐とから成る衣服カバーエプロンであって、
前記エプロン本体は、2枚のガーゼ素材とキルト芯とから構成されており、2枚の前記ガーゼ素材の間に前記キルト芯を配置し、かつ、前記各ガーゼ素材及びキルト芯を重ねた状態でそれらの外周部分を縫合して一体に構成されており、
前記エプロン本体は、その幅寸法が装着者の身幅と同等な寸法に構成され、かつ、その縦寸法が装着者の鎖骨から肘付近までの範囲を覆う寸法に構成されており、
前記エプロン本体は、その上辺部を装着者の首回りに沿うように湾曲した円弧部に構成しており、
前記首紐は、その一端及び他端を前記エプロン本体に取付けられており、かつ、前記首紐の一端及び他端は、エプロン本体の幅寸法の中心位置に対して対称な位置に取付けられており、
前記首紐と前記首紐を取付けた前記エプロン本体とで構成する輪が装着者の頭を通過可能な大きさに構成されている
ことを特徴とする衣服カバーエプロン。
【請求項9】
請求項8に記載の衣服カバーエプロンにおいて、
前記首紐の長さを、装着者が首紐を首に掛けて衣服カバーエプロンを装着した状態で、エプロン本体が装着者の乳房に相当する位置に配置される長さとし、前記首紐に長さ調節部材を取り付けた
ことを特徴とする衣服カバーエプロン。
【請求項10】
請求項8に記載の衣服カバーエプロンにおいて、
エプロン本体を構成する一方のガーゼ生地とキルト芯は重ねた状態でその外周が折り返されており、エプロン本体を構成する他方のガーゼ生地はその外周が折り返されており、前記一方のガーゼ生地とキルト芯の折り返し部及び他方のガーゼ生地の折り返し部は、外周に縫い代を設けて縫合されており、
前記一方のガーゼ生地とキルト芯及び他方のガーゼ生地の前記各折り返し部を内側に配置し、かつ、前記各ガーゼ生地を外側に配置した状態で、エプロン本体の外周を縫合している
ことを特徴とする衣服カバーエプロン。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、乳幼児の世話をする際に、当該乳幼児の世話をする者、例えば、母親等が装着して、装着者の衣服の汚れを防止する衣服カバーエプロンに関するものである。
【背景技術】
【0002】
乳児や幼児(以下、単に乳幼児という)の世話は、主に母親が行う場合が多いが、各家庭の事情等により、父親、祖父母又は兄弟が行うこともある。乳幼児の世話をする際に、乳幼児が乳や他の食べ物を吐いたり、よだれ、涙、鼻水を流したりすることがある。乳幼児のこのような行為が、当該乳幼児を抱いたり、背負ったりした状態で生じた場合、乳幼児自身及び世話をする者の衣服を汚してしまうことが予想される。このような状況において、乳幼児自身の衣服の汚れを防止する従来の乳幼児用のよだれかけは、乳幼児が着用することで乳幼児自身の衣服の汚れを防止するものである。一方、乳幼児の世話をする者の衣服の汚れを防止する手段については、後述する複数のカバー又はエプロンが考案されているが、その機能において十分配慮されていないように思われる。
【0003】
乳幼児の世話をする者の衣服の汚れを防止するものとしては、母親用よだれガード(特許文献1)、染みカット肩掛け兼用乳児エプロン(特許文献2)、授乳用親子エプロン(特許文献3)、涎防止カバー(特許文献4)が挙げられる。いずれも乳幼児の世話をする際に、衣服汚れ防止を目的とし、乳幼児の世話をする者が装着するものである。これらのカバー又はエプロンは、乳幼児の成長過程で変化していく多様な抱き方に対応しているとは言い難かった。
【0004】
まず、特許文献1においては、乳幼児を縦抱きすることを想定し、首通し環と腕通し環を有するものである。特許文献1の構成においては、乳幼児を縦抱きにする際には非常に有効であるものの、抱く者の衣服の汚れを防止できる範囲が、どちらか一方の肩及び胸元部分に限られことになる。また、腕通し環を通さずに装着して、乳幼児を横抱きにした場合には、半円形を更に二つ折りにした形状となることから、乳幼児の動きを考慮すると装着者の衣服汚れ防止には十分な大きさとは言い難い。
【0005】
特許文献1においては、吸水性に優れた素材布を用いてよだれガードを製作しており、具体的には段落番号0014に記載のようにタオルを用いて製作されている。タオル素材の場合、本よだれガードのように肩をすっぽりと覆う構造には向いているが、装着者の胸の前面或いは背中などの比較的広い部分を覆う場合に、形状を安定的に保つことに関して配慮されていない。このように、形状の安定性については、タオル素材のみならずガーゼ素材についても、同様の問題が想定される。
【0006】
次に、特許文献2の染みカット肩掛けシートは、タオル地などの表生地と滑り止め樹脂シートの裏生地とを重ね、かつ、前記裏生地の内側に防水シートを重ねた構造となっている。このような構成においては、前記肩掛けシートを例えば夏季の気温が高い環境で使用する場合、通気性が阻害されるため、蒸れが生じることが懸念される。また、滑り止めシートと防水シートとの重ね合せた構造となっていることから、洗濯した際に乾きにくくなることが予想される。さらに、前記肩掛けシートは、乳幼児を背負う際に、当該肩掛けシートを背中の中央に合せて配置する状況について配慮されておらず、位置がずれたり、シート自体が折れたりすることが予想される。
【0007】
特許文献3は、授乳用親子エプロンであって、母親が母乳を与える状況を想定した構造であり、乳幼児を縦抱き或いは背負ったりした際の世話をする者の衣服の汚れを防止する構造とはなっていない。
【0008】
特許文献4についても、特許文献3と同様に母親が母乳を与える際に使用するのに適した構造のよだれかけを提供するものであり、乳幼児を縦抱きや背負った際に世話をする者の衣服の汚れを防止することまでは配慮されていない。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0009】
【特許文献1】特許第37213884号
【特許文献2】実用新案登録第3181018号
【特許文献3】実用新案登録第3099357号
【特許文献4】実用新案登録第3124955号
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0010】
乳幼児の世話をする際に装着する衣服カバーエプロンであって、その目的とするところは、装着した際に形状が比較的安定しており、装着者の胸前面、肩或いは背中等の各位置に容易に配置することができ、吸水性及び通気性に優れており、洗濯等による型崩れが無く、かつ、乾き易い衣服カバーエプロンを提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0011】
本発明は、エプロン本体と、首紐とから成り、乳児を抱く際に装着する衣服カバーエプロンであって、前記エプロン本体は、2枚のガーゼ素材とキルト芯とから構成されており、2枚の前記ガーゼ素材の間に前記キルト芯を配置し、かつ、前記各ガーゼ素材及びキルト芯を重ねた状態でそれらの外周部分を縫合して一体に構成されており、前記エプロン本体は、その幅寸法が装着者の身幅と同等な寸法に構成され、かつ、その縦寸法が装着者の鎖骨から肘付近までの範囲を覆う寸法に構成されており、前記首紐は、それ自体が伸縮自在であって、その一端及び他端を前記エプロン本体に取付けられており、前記首紐の一端及び他端は、エプロン本体の幅寸法の中心位置に対して対称な位置に取付けられていることを特徴とするものでる。
【発明の効果】
【0012】
本発明の衣服カバーエプロンによれば、エプロン本体を2枚のガーゼ素材とキルト芯から構成することにより、ガーゼ素材のみで構成したものに比べて形状が安定することになる。したがって、首紐を首に掛けた状態で、エプロン本体を胸前面、肩或いは背中に簡単に移動させることができ、また、前記移動動作においては、首紐を引っ張ることによってその移動が簡単に行える。前記エプロン本体は、ガーゼ素材とキルト芯とから構成されており、表面のガーゼ素材が吸水性を有していることから、乳児の吐乳、よだれ、涙、鼻水等を吸収し、装着者の衣服の汚れを防止することができる。エプロン本体をガーゼ素材のみで構成する場合に比べて、キルト芯と組合せた構成としたことにより、洗濯時の型崩れを防止することができる。また、ガーゼ素材とキルト芯との組合せにより、洗濯後の乾燥も良好であり、かつ、装着時の通気性も確保できる。上記以外の本発明による効果は、以下の説明によって明らかになるであろう。
【図面の簡単な説明】
【0013】
図1】本発明の衣服カバーエプロンの一実施形態を示す正面図である。
図2図1に示した衣服カバーエプロンの一実施形態における縫合作業時点の状態を示す正面図である。
図3図2における首紐取付け部分の詳細構造を拡大した概念図である。
図4図1に示したエプロン本体の外周部分の概略構造を示す断面図である。
図5】本発明の衣服カバーエプロンの一実施形態を装着した状態を示した正面図である。
【発明を実施するための形態】
【0014】
本発明の実施形態について、図1から図5に基づいて説明する。図1は、衣服カバーエプロンの一実施形態を示した正面図である。エプロン本体1は、その幅寸法Bが装着者例えば乳幼児の母親或いは父親等の大人や兄弟等の乳幼児の世話をする者の身幅とほぼ同等の大きさに構成されている。エプロン本体1の幅寸法Bは、例えば30cm程度である。縦寸法Hも前記幅寸法Bと同程度の30cm程度に構成されている。エプロン本体1の縦寸法Hは装着者を大人と仮定して、装着者の鎖骨位置から肘付近までを覆うことができる大きさに構成されている。なお、エプロン本体1の前記幅寸法Bと縦寸法Hについては、装着者の体格を考慮して大、中、小等の寸法の異なる大きさのものを用意することも考えられる。
【0015】
エプロン本体1は、前述した幅寸法Bと縦寸法Hとがほぼ同等であって正方形に形成されており、各角部分1Cは円弧状に構成されている。また、エプロン本体1の上辺部分には、装着者の首周りに沿うように円弧部1rが形成されている。この円弧部1rは、エプロン本体1を装着者が胸前面部に当てた際に、エプロン本体1の上辺部分が装着者の首周りを覆うとともに肩口に近い位置までを覆うことが可能となるように構成されている。このエプロン本体1から成る衣服カバーエプロンの装着状態は、図5に示す状況となる。なお、本実施形態においては、エプロン本体1の形状を正方形としたが、装着者の体形等を考慮して長方形とすることも考えられる。
【0016】
前記エプロン本体1の上辺部分には、首紐20が取付けられている。この首紐20は、エプロン本体1の上辺部分にその一端及び他端が取付けられている。首紐20の一端取付位置20aと他端取付位置20bとの間隔は、装着者の首部分の幅にほぼ一致した間隔としている。前記間隔は、一般的な実施形態としては約15cm程度を想定している。前記円弧部1rの長さは、前記首紐20の一端取付位置20aと他端取付位置20bとの間隔よりも長く形成されている。
【0017】
図2は、図1に示したエプロン本体1の製作途中の状況を示した平面図である。図3は、図2の首紐20の取付け部分を拡大した概略図である。なお、図2図3において、首紐20は、ガーゼ生地11の下に配置されており、二点鎖線で示されている。図2に示されたエプロン本体1は、図1に示したエプロン本体1の幅寸法B及び縦寸法Hより、約1.5cm程度の縫い代を加味して大きく裁断されたガーゼ生地11,12及びキルト芯13を重ねて縫合した状態を示している。この状態では、図3に示すように、一番下にキルト芯13、その上にガーゼ生地12、更にその上に首紐20、一番上にガーゼ生地11を重ねている。この状態で、図2に点線で示した縫合線30の位置をミシンで縫い合せる。この縫合作業において、エプロン本体1の角部においては、円弧状の曲線になるように縫合し、かつ、上辺部においては角部の円弧状曲線から連続して円弧部1rに続くように縫合する。前記エプロン本体1の角部の円弧部分は、例えば半径3~4cm程度に構成されている。この縫合作業においては、図2に示すようにエプロン本体1の右側の一部で縫合しない部分を設けている。また、首紐20の各端部については、補強のために前記縫合線30の外側部分を再度縫合している。
【0018】
このようにエプロン本体1の縫合作業が完了した時点で、前記エプロン本体1の右側の縫合していない部分から、ガーゼ生地11とガーゼ生地12との間を表面側に向けて、全体を裏返しにする。そして、最終的に、図1に示した縫合線31に沿ってエプロン本体1の外周全体を再度縫い合せることにより完成することになる。前記縫合線31は、エプロン本体1の外周端から約5mm程度内側の部分を縫い合せる。このようにして製作されたエプロン本体1の外周部分の断面構造を図4により説明する。ガーゼ生地12とキルト芯13は、その外周部分を重ねた状態で折り返されている。ガーゼ生地11は、単体でその外周が折り返されている。前記ガーゼ生地12とキルト芯13及びガーゼ生地11の各折り返し部分は、外周に縫い代を設けた状態で一体に縫合線30の部分で縫合されている。また、前記ガーゼ生地12、キルト芯13及びガーゼ生地11の折り返し部を内側に配置し、かつ、前記ガーゼ生地11及びガーゼ生地12を外側に配置した状態で、エプロン本体1の外周部分を縫合線31の位置で縫合してエプロン本体1は構成されている。
【0019】
次に、前記首紐20の詳細について、説明する。図3に示すように、首紐20は、吸水性を有するガーゼ生地を筒状に縫い合せて構成した筒紐21にゴム紐22を通した構造となっている。前記筒紐21の全長は、ゴム紐22よりも長く、ゴム紐22を引き伸ばした状態で筒紐21と同程度の長さとなるように両者の長さを調整して構成されている。首紐20は、何も力を掛けない状態では、筒紐21が収縮した形状となっている。また、この首紐20の長さは、母親等の大人が首紐20とエプロン本体1とで構成される輪の中に頭を入れることができる長さとしている。また、前記首紐20とエプロン本体1とで構成される輪に装着者の頭を通す場合には、首紐20をある程度引き伸ばして、前記輪をある程度大きくした状態で行われることになる。更に、前記首紐20を首に掛けた状態で、エプロン本体1の上辺部分の円弧部1rの上縁が首周りに位置するように、前記首紐20の長さを決定している。前記首紐20を構成する筒紐21の長さは、例えば約75cm程度であり、ゴム紐22は、伸びていない状態で例えば50cm程度の長さとしている
【0020】
エプロン本体1の上辺部に形成された円弧部1rへの首紐20の取付け構造の詳細について説明する。首紐20は、予め筒紐21とゴム紐22とを組合せて構成される。そして、エプロン本体1を構成するガーゼ生地11とガーゼ生地12との間で、前記円弧部1rの所定位置に前記首紐20の一端及び他端を配置し、キルト芯13と共に縫い合わされることになる。この首紐20、ガーゼ生地11,12及びキルト芯13との縫合は、エプロン本体1を構成する前述の縫合作業により行われることになる。首紐20は、エプロン本体1への取付けを強固にするために、前記縫合線の外側にさらにもう1本の縫い合せを行っている。即ち、ガーゼ生地11,12、キルト芯13との縫合時に、首紐20も同時に縫い付けられ、さらに、前記ガーゼ生地11,12、キルト芯13と首紐20を前記縫合線の外側で縫い付けて強度向上を図っている。
【0021】
また、首紐20の一端取付位置20aと他端取付位置20bは、エプロン本体1の幅方向中央位置に対して、対象な位置に取付けられている。即ち、エプロン本体1の上辺部に設けた円弧部1rの幅方向中心位置に対して、それぞれ同じ間隔だけ離れた位置に取付けられている。
【0022】
この衣服カバーエプロンは、ガーゼ生地11,12とキルト芯13との組合せにより、ガーゼ生地のみで構成した場合に比べて、全体形状が安定しており、取扱いが容易である。また、洗濯の際の型崩れやガーゼ生地のよれ等を防止することができる。さらに、ガーゼ生地11,12とキルト芯13との組合せにより、乳幼児の吐乳、その他の飲食物、よだれ、涙、鼻水等を前記ガーゼ生地で吸収することができ、装着者の衣服の汚損を防止することができる。
【0023】
また、エプロン本体1がガーゼ生地11,12及びキルト芯13で構成されていることから、夏期等の気温が高い環境で長時間使用することになっても、通気性を確保することができ、蒸れ等の不具合を軽減することができる。
【0024】
本衣服カバーエプロンは、エプロン本体1に取付けられた首紐20によって乳幼児の世話をする者が装着することになるため、乳幼児の抱き方を変えたり、乳幼児が動く或いは引っ張っても、脱落を防止することができる。
【0025】
また、エプロン本体1の上辺部に円弧部1rを形成していることから、装着者が胸前面、肩、背中に装着した際に、首周りに前記円弧部1rが一致することにより、エプロン本体1と身体との隙間を小さくすることができる。このことにより、前記隙間から乳幼児の吐乳等の侵入を防止して、衣服の汚損を防ぐことができる。
【0026】
エプロン本体1において、首紐20の一端取付位置20aと他端取付位置20bの取付け位置は、エプロン本体1の幅寸法Bのほぼ中央位置に対して対象な位置、即ち、エプロン本体1の上辺部に形成した円弧部1rの幅方向中心位置から等間隔に離れた位置に配置されている。このような構造によって、首紐20の長手方向中央位置を引っ張ることによって、エプロン本体1の配置を簡単に変えることができる。また、首紐20の一端取付位置20aと他端取付位置20bとの間隔が装着者の首の幅寸法にほぼ一致した間隔となっていることから、首紐20の長手方向中央位置を引っ張れば、前記円弧部1rを首周りの所定位置に配置することが簡単に行える。即ち、首紐20を頭から首に掛けてエプロン本体1を装着した状態で、背中の中央位置にエプロン本体1を配置したい場合、首紐20の全長における中心位置とエプロン本体1の円弧部1rの中心位置が首紐20の中心位置を引っ張ることによって一直線上に位置することになる。このことによって、エプロン本体1を首周りの目的とする位置に配置することができる。このように、首周りにおいてエプロン本体1を配置したい位置に対して、首を中心として反対側に首紐20の中央部を引っ張るという簡単な動作で配置を完了することができる。なお、前記エプロン本体1の配置動作においては、首紐20の中央位置に目印を付けておくと前記操作を容易に行うことができる。
【0027】
エプロン本体1は、図2に示すように、その全周に約1.5cm程度の幅を有する縫い代を設けて、ガーゼ生地11,12及びキルト芯13を縫合しており、これを裏返して利用することになる。したがって、エプロン本体1の外周部分は、前記縫い代によって厚みが増すことになる。このようにエプロン本体1の全外周部分の厚みが増してその部分の強度が高まることにより、エプロン本体1自体の形状安定性を向上させることができる。また、エプロン本体1を裏返して、その外周を縫合することにより、エプロン本体1の形状安定性がさらに向上する。さらに、ガーゼ生地11,12及びキルト芯13は、外周の縫い代部分が、前述の裏返しによってエプロン本体1の内側に配置されることになり、前記外周部分のほつれ等を防止することができる。
【0028】
エプロン本体1において、図1に示した使用状態では、首紐20の一端及び他端がガーゼ生地11とガーゼ生地12の間に位置し、前述の裏返した後でも前記ガーゼ生地11及び12の内側に位置することになる。したがって、エプロン本体1の表面に首紐20の一端及び他端が露出することがなく、エプロン本体1の表面の凹凸を無くして滑らかな形状に構成することができる。このことにより、エプロン本体1を乳幼児の肌に優しい構成とすることができる。
【0029】
また、エプロン本体1の角部は、円弧形状となっていることから、ガーゼ生地11,12及びキルト芯13の縫合作業がミシンを止めることなく連続して行える。よって、作業効率を向上させることができる。さらに、エプロン本体1の外周に尖った角がないため、乳幼児に対して優しい形状となっている。
【0030】
ところで、前記実施形態においては、首紐20を筒紐21とゴム紐22とから構成しており、装着した際にエプロン本体1が首周りに位置する長さとなっている。この首紐をゴム紐を用いずに、その長さを長くするとともに長さ調整部材を取付けることにより、衣服カバーエプロンの用途を広げることができる。前記実施態様の衣服カバーエプロンは、装着者の首周りにエプロン本体が位置することになり、母親が母乳を乳児に与える状況において、母親の体格が大きい場合、乳房をエプロン本体が覆ってしまう恐れがある。そこで、首紐を長くし、かつ、首紐が貫通する筒状の留め具を首紐に取付けることにより、前記母親が母乳を与える状態でも使用することができる。即ち、首紐を最も長い状態に伸ばして、首紐を頭から首に掛けてエプロン本体を装着し、前記エプロン本体を乳房より下方に位置させ、乳児と母親の衣服の間に位置させた状態で使用する。なお、このような構成においては、前記首紐の全長の中心位置に目印となるものを取付けて、前述の実施態様の機能を阻害しない配慮が必要となる。
【0031】
なお、乳児に母親が母乳を与える状況において、母親の体格が比較的小さい場合、首紐を首に掛けた状態でエプロン本体1を乳房より下方に引下げることが可能であれば、前述のように首紐の長さを長くする必要がないことは言うまでもない。
【符号の説明】
【0032】
1 エプロン本体
11 ガーゼ生地
12 ガーゼ生地
13 キルト芯
20 首紐
30、31 縫合線
図1
図2
図3
図4
図5