(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2022177092
(43)【公開日】2022-11-30
(54)【発明の名称】ボトル缶体、キャップ付きボトル缶体、ボトル缶体のキャッピング方法
(51)【国際特許分類】
B65D 1/02 20060101AFI20221122BHJP
B67B 3/14 20060101ALI20221122BHJP
B21D 51/38 20060101ALI20221122BHJP
B21D 51/46 20060101ALI20221122BHJP
【FI】
B65D1/02 212
B67B3/14
B21D51/38 Z
B21D51/46 D
【審査請求】有
【請求項の数】12
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2022142419
(22)【出願日】2022-09-07
(62)【分割の表示】P 2017159416の分割
【原出願日】2017-08-22
(31)【優先権主張番号】P 2016169229
(32)【優先日】2016-08-31
(33)【優先権主張国・地域又は機関】JP
(71)【出願人】
【識別番号】305060154
【氏名又は名称】アルテミラ製缶株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100149548
【弁理士】
【氏名又は名称】松沼 泰史
(74)【代理人】
【識別番号】100175802
【弁理士】
【氏名又は名称】寺本 光生
(74)【代理人】
【識別番号】100142424
【弁理士】
【氏名又は名称】細川 文広
(74)【代理人】
【識別番号】100140774
【弁理士】
【氏名又は名称】大浪 一徳
(72)【発明者】
【氏名】武藤 英泰
(72)【発明者】
【氏名】賢持 英治
(57)【要約】
【課題】カール部を変形させることなく、密封性に優れた易開封性のキャップを取付可能なボトル缶体を提供する。
【解決手段】缶軸を中心とする円筒状に形成された胴部と、胴部の一方の端部を塞ぐ底部と、胴部の他方の端部から縮径するように延びるショルダー部23と、このショルダー部23から他方の端部の開口部に向けて延びる口金部24とを有する金属製のボトル缶体11であって、口金部24は、他方の端部を外方に向かって巻回させたカール部31と、ショルダー部23に接続された首部32と、カール部31と首部32との間を接続するように延びる接続部33とを備え、接続部33には、首部32側に、口金部24の開口部を閉塞するキャップ12において接続部33を覆うように延びる円筒状の延長部43の縁部に形成される巻締め部44と係合するキャップ係止部34が備えられる。
【選択図】
図3
【特許請求の範囲】
【請求項1】
缶軸を中心とする円筒状に形成された胴部と、該胴部の一方の端部を塞ぐ底部と、前記胴部の他方の端部から縮径するように延びるショルダー部と、このショルダー部から他方の端部の開口部に向けて延びる口金部とを有する金属製のボトル缶体であって、
前記口金部は、該口金部の他方の端部を外方に向かって巻回させたカール部と、前記ショルダー部に接続された首部と、前記カール部と前記首部との間を接続するように延びる接続部とを備え、
前記接続部は、前記首部側から前記カール部側までの間のいずれの位置においても、前記缶軸に対して垂直な断面が真円形を成し、
前記接続部には、前記首部側に、前記口金部の開口を閉塞するキャップにおいて前記接続部を覆うように延びる円筒状の延長部の縁部に形成される巻締め部と係合するキャップ係止部と、前記キャップ係止部よりも前記カール部側に、前記缶軸に平行な周面を成す円筒部が備えられており、
前記円筒部の下端は前記キャップ係止部に接続され、かつ、前記円筒部は前記口金部において最大直径を成す部位であることを特徴とするボトル缶体。
【請求項2】
前記キャップ係止部は、前記接続部の前記首部側を前記カール部側に向けて外方に広げた段差部からなることを特徴とする請求項1に記載のボトル缶体。
【請求項3】
前記カール部は、前記缶軸に平行なフラット部を有することを特徴とする請求項1または請求項2に記載のボトル缶体。
【請求項4】
前記接続部は、前記キャップ係止部よりも前記カール部側に、該カール部側に向けて縮径したテーパー部を備えていることを特徴とする請求項1から請求項3のうちいずれか一項に記載のボトル缶体。
【請求項5】
前記テーパー部は、前記缶軸に対して30°~50°の範囲で傾斜していることを特徴とする請求項4に記載のボトル缶体。
【請求項6】
前記円筒部の前記缶軸に沿った長さは、前記接続部の前記缶軸に沿った長さの1/2以上を占めていることを特徴とする請求項1から請求項5のうちいずれか一項に記載のボトル缶体。
【請求項7】
前記円筒部には、前記接続部を覆う前記キャップの延長部が部分的に嵌め入れられる環状溝が、前記缶軸回りに周回して繋がるように形成されていることを特徴とする請求項6に記載のボトル缶体。
【請求項8】
請求項1から請求項6のうちいずれか一項に記載のボトル缶体と、前記キャップ係止部に前記巻締め部が係合して前記口金部の開口部を閉塞する前記キャップとを備えたことを特徴とするキャップ付きボトル缶体。
【請求項9】
請求項7に記載のボトル缶体と、前記キャップ係止部に前記巻締め部が係合するとともに前記環状溝に前記延長部が部分的に嵌め入れられて前記口金部の開口部を閉塞する前記キャップとを備えたことを特徴とするキャップ付きボトル缶体。
【請求項10】
前記キャップの内面と前記カール部との間には、キャップライナーが挟み込まれることを特徴とする請求項8または請求項9に記載のキャップ付きボトル缶体。
【請求項11】
請求項1から請求項6のうちいずれか一項に記載のボトル缶体にキャップを取り付けるボトル缶体のキャッピング方法であって、
プレッシャーブロックを用いて前記キャップの天面に向けて荷重を加えつつ、絞り金型を用いて前記天面の縁部を絞り成形するとともに、成形ローラを用いて前記キャップの縁部を巻締めた巻締め部を形成して前記キャップ係止部に係合させることを特徴とするボトル缶体のキャッピング方法。
【請求項12】
請求項7に記載のボトル缶体にキャップを取り付けるボトル缶体のキャッピング方法であって、
プレッシャーブロックを用いて前記キャップの天面に向けて荷重を加えつつ、絞り金型を用いて前記天面の縁部を絞り成形するとともに、成形ローラを用いて前記キャップの縁部を巻締めた巻締め部を形成して前記キャップ係止部に係合させ、さらに溝入れローラを用いて前記キャップの延長部を部分的に前記環状溝に嵌め入れることを特徴とするボトル缶体のキャッピング方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
この発明は、ボトル缶体、キャップ付きボトル缶体、およびボトル缶体のキャッピング方法に関するものである。
【背景技術】
【0002】
飲料等の内容物が充填、密封される缶体として、缶胴(ウォール)と缶底(ボトム)とを有し、開口側が縮径されたショルダー部を有するボトル缶体が知られている。こうしたボトル缶体のショルダー部の先端には、開口を塞栓するキャップを取り付けるための口金部が形成される。ボトル缶体を塞栓するキャップとしては、口金部に形成したネジ溝に螺着されるネジキャップが知られている(例えば、特許文献1を参照)。
【0003】
しかしながら、ネジキャップ式のボトル缶体は、開栓にあたってネジキャップの縁部に形成されたブリッジ部と称される切断部分を破壊するようにネジキャップを回動させる必要がある。こうした回動動作が好まれない場合があり、ネジのないボトルが求められることがある。
【0004】
一方、開栓が容易なボトル缶体のキャップとして、プルタブ式のキャップ(易開封性のキャップ)が知られている(例えば、特許文献2を参照)。このプルタブ式のキャップは、ボトル缶体の口金部の端部を外方にカールさせたカール部を形成し、このカール部の湾曲面に巻き付けるようにキャップの縁部を屈曲させることにより、ボトル缶体の口金部に取り付けられる。
そして、開栓にあたってはボトル缶体に係合しているキャップの縁部を切り取るようにプルタブを上方に引上げるだけで、容易に開栓することができる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】特許第4908544号公報
【特許文献2】特許第5323757号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
特許文献2に示すプルタブ式のキャップに対応したボトル缶体は、ボトル缶体の開口部を成すカール部にキャップの縁部を巻き付けて係止させるため、カール部の巻き径をキャップの縁部が巻き付け可能な程度に大きくする必要がある。しかしながら、カール部の巻き径を大きくすると、カール部の強度が低下する。このため、キャップの縁部を巻き付ける際の応力によって、カール部が変形する懸念があった。また、カール部を大きくするとキャップの外周を絞ることが困難であるので、薄肉のボトル缶体を塞栓する場合、密封性が低下するという懸念もあった。
【0007】
この発明は、上述した事情に鑑みてなされたものであって、ボトル缶体の開口を成すカール部を変形させることなく、密封性に優れた易開封性のキャップを取付可能なボトル缶体、キャップ付きボトル缶体、およびボトル缶体のキャッピング方法を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0008】
上記課題を解決するために、本発明のボトル缶体は、缶軸を中心とする円筒状に形成された胴部と、該胴部の一方の端部を塞ぐ底部と、前記胴部の他方の端部から縮径するように延びるショルダー部と、このショルダー部から他方の端部の開口部に向けて延びる口金部とを有する金属製のボトル缶体であって、前記口金部は、該口金部の他方の端部を外方に向かって巻回させたカール部と、前記ショルダー部に接続された首部と、前記カール部と前記首部との間を接続するように延びる接続部とを備え、前記接続部は、前記首部側から前記カール部側までの間のいずれの位置においても、前記缶軸に対して垂直な断面が真円形を成し、前記接続部には、前記首部側に、前記口金部の開口を閉塞するキャップにおいて前記接続部を覆うように延びる円筒状の延長部の縁部に形成される巻締め部と係合するキャップ係止部と、前記キャップ係止部よりも前記カール部側に、前記缶軸に平行な周面を成す円筒部が備えられており、前記円筒部の下端は前記キャップ係止部に接続され、かつ、前記円筒部は前記口金部において最大直径を成す部位であることを特徴とする。
【0009】
本発明のボトル缶体によれば、キャップをボトル缶体に係合させる巻締め部の形成位置を、ボトル缶体のカール部から接続部を介して離れたカール部とは別なキャップ係止部にすることにより、カール部にキャップの縁部を巻き付けて係合する必要がなくなるため、カール部の巻き径を小さくすることが可能になる。
【0010】
従って、このようにカール部の巻き径を小さくすることによって、カール部の強度を高めることができ、ボトル缶体の口金部を薄肉の金属板で形成しても、カール部が変形したり、潰れたりすることがない。よって、キャップの外周を絞りこんでキャップの内面とカール部との密着性を高めることができ、ボトル缶体に収容された液体を確実に密封することが可能になる。
【0011】
ここで、前記キャップ係止部は、前記接続部の前記首部側を前記カール部側に向けて外方に広げた段差部からなるものであってもよい。さらに、前記カール部は、前記缶軸に平行なフラット部を有していてもよい。
【0012】
また、前記接続部は、前記キャップ係止部よりも前記カール部側に、該カール部側に向けて縮径したテーパー部を備えていてもよい。上述のようにキャップをボトル缶体に係合させる巻締め部の形成位置をボトル缶体のカール部とは別なキャップ係止部にすることによって、このようなテーパー部を設けた場合に、テーパー部の缶軸に対する傾斜角度を小さくする、即ち缶軸に対してより平行に近づけることができる。これにより、例えば、ネジキャップ式のボトル缶などと比較して、テーパー部の缶軸に沿った方向の強度が高められるので、口金部の金型成形時に、口金部が缶軸に沿って座屈するなどの不具合を防止することが可能になる。なお、前記テーパー部は、前記缶軸に対して30°~50°の範囲の傾斜角度で傾斜していることが望ましい。
【0013】
さらに、前記接続部は、前記キャップ係止部よりも前記カール部側に、前記缶軸を中心とする円筒部を備えていてもよい。このような円筒部を形成することにより、キャップ付きボトル缶体としてボトル缶体内に内圧が付与されている場合には、この内圧によって変形するキャップの天面付近とキャップ係止部に係合する巻締め部とを離すことができるので、耐圧強度を効果的に高めることができる。また、接続部の円筒部における缶軸に対する傾斜角度を0°として口金部の座屈をさらに確実に防止することも可能となる。
さらに、前記円筒部の前記缶軸に沿った長さは、前記接続部の前記缶軸に沿った長さの1/2以上を占めていてもよい。
【0014】
さらにまた、このような円筒部を接続部に備えた場合には、この円筒部には、前記接続部を覆う前記キャップの延長部が部分的に嵌め入れられる環状溝が、前記缶軸回りに周回して繋がるように形成されていてもよい。このような環状溝にキャップの延長部が部分的に嵌め入れられることにより、キャップ係止部と係合する巻締め部と併せてキャップを口金部に強く係合させて、キャップ付きボトル缶体の耐圧強度やキャップの取付強度をさらに高めることが可能となる。
【0015】
また、本発明のキャップ付きボトル缶体は、上述のようなボトル缶体と、前記キャップ係止部に前記巻締め部が係合して前記口金部の開口を閉塞する前記キャップとを備えたことを特徴とする。
【0016】
特に、ボトル缶体の接続部が、前記缶軸を中心とする円筒部を備えていて、この円筒部に、前記キャップの前記接続部を覆う延長部が部分的に嵌め入れられる環状溝が、前記缶軸回りに周回して繋がるように形成されている場合には、前記キャップ係止部に前記巻締め部が係合するとともに前記環状溝に前記延長部が部分的に嵌め入れられて前記口金部の開口部を閉塞する前記キャップとを備えることにより、上述のようにキャップ付きボトル缶体の耐圧強度やキャップの取付強度をさらに高めることが可能となる。なお、ボトル缶体の密封性を確保するには、前記キャップの内面と前記カール部との間に、キャップライナーが挟み込まれることが望ましい。
【0017】
さらに、本発明のボトル缶体のキャッピング方法は、上述のようなボトル缶体にキャップを取り付けるボトル缶体のキャッピング方法であって、プレッシャーブロックを用いて前記キャップの天面に向けて荷重を加えつつ、絞り金型を用いて前記天面の縁部を絞り成形するとともに、成形ローラを用いて前記キャップの縁部を巻締めた巻締め部を形成して前記キャップ係止部に係止させることを特徴とする。
【0018】
このようなボトル缶体のキャッピング方法によれば、例えばネジキャップ式のキャップ付きボトル缶体の製造に用いるキャッピング装置の巻締めローラ(裾巻きローラ)を前記成形ローラとして用いて、キャップをボトル缶体に係合させる巻締め部をカール部よりも下側のキャップ係止部に形成して、ボトル缶体をキャップによってキャッピングすることができる。
【0019】
さらにまた、このようなキャッピング方法においても、ボトル缶体の接続部が、前記缶軸を中心とする円筒部を備えていて、この円筒部に、前記キャップの前記接続部を覆う延長部が部分的に嵌め入れられる環状溝が、前記缶軸回りに周回して繋がるように形成されている場合は、プレッシャーブロックを用いて前記キャップの天面に向けて荷重を加えつつ、絞り金型を用いて前記天面の縁部を絞り成形するとともに、成形ローラを用いて前記キャップの縁部を巻締めた巻締め部を形成して前記キャップ係止部に係止させ、さらに溝入れローラを用いて前記キャップの延長部を部分的に前記環状溝に嵌め入れてもよい。
【0020】
このようなキャッピング方法によれば、例えばネジキャップ式のキャップ付きボトル缶体の製造に用いるキャッピング装置の巻締めローラ(裾巻きローラ)を前記成形ローラとして用いるとともに、ネジ切りローラを前記溝入れローラとして用いて、これらキャップ係止部と環状溝とによってキャップを係合してキャップ付きボトル缶体の耐圧強度やキャップの取付強度をさらに向上させることができる。
【発明の効果】
【0021】
以上説明したように、本発明によれば、ボトル缶体の開口部を成すカール部を変形させることなく、密封性に優れた易開封性のキャップを取付可能なボトル缶体、キャップ付きボトル缶体、およびボトル缶体のキャッピング方法を提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0022】
【
図1】本発明の第1実施形態のキャップ付きボトル缶体を示す外観の斜視図である。
【
図2】
図1に示す実施形態のボトル缶体の缶軸に沿った断面図である。
【
図3】
図1に示す実施形態のキャップ付きボトル缶体の口金部周辺を拡大した断面図である。
【
図4】
図2に示す実施形態のボトル缶体にキャップを係合させるキャッピング装置の一例を示す断面図である。
【
図5】本発明の第2実施形態のボトル缶体の側面図である。
【
図6】
図5に示す実施形態のボトル缶体の口金部にキャップを取り付けた本発明の第3実施形態のキャップ付きボトル缶体の口金部周辺を拡大した断面図である。
【
図7】本発明の第3実施形態のボトル缶体の側面図である。
【
図8】
図7に示す実施形態のボトル缶体の口金部にキャップを取り付けた本発明の第4実施形態のキャップ付きボトル缶体の口金部周辺を拡大した断面図である。
【
図9】
図7に示す実施形態のボトル缶体にキャップを係合させるキャッピング装置の一例を示す断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0023】
以下、図面を参照して、本発明の実施形態のボトル缶体、キャップ付きボトル缶体、ボトル缶体のキャッピング方法について説明する。なお、以下に示す各実施形態は、発明の趣旨をより良く理解させるために具体的に説明するものであり、特に指定のない限り、本発明を限定するものではない。また、以下の説明で用いる図面は、本発明の特徴をわかりやすくするために、便宜上、要部となる部分を拡大して示している場合があり、各構成要素の寸法比率などが実際と同じであるとは限らない。
【0024】
(ボトル缶体、キャップ付きボトル缶体:第1実施形態)
図1は、第1実施形態のキャップ付きボトル缶体を示す外観斜視図である。また、
図2は、第1実施形態のボトル缶体の缶軸に沿った断面図である。
第1実施形態のキャップ付きボトル缶体10は、第1実施形態のボトル缶体11と、このボトル缶体11の開口部Pを塞栓可能なプルタブ式のキャップ12とから構成されている。
【0025】
ボトル缶体11は、全体が金属、例えばアルミニウム合金からなり、缶軸Oを中心とする断面円形の円筒状に形成された胴部21と、この胴部21の一方の端部(下端部)を塞ぐ底部22と、胴部21の他方の端部(上端部)から縮径するように延びるショルダー部23と、このショルダー部23からボトル缶体11の他方の端部における開口部Pに向けて延びる口金部24とを有する。
【0026】
これら胴部21、底部22、ショルダー部23、および口金部24は、本実施形態では1枚のアルミニウム合金の板材から一体に形成される。例えば、板厚0.270mm~0.370mmのアルミニウム合金の板材を、カッピングプレスによってカッピング加工した後に、絞りしごき加工(DI加工)を行って胴部21と底部22が形成された有底円筒体(DI缶)を成形し、次いでダイ加工ツール(ネック形成金型)を備えたネッキングマシンによってショルダー部23と口金部24を成形する。
【0027】
底部22は、外周部が内周側に向かうに従い下方に向かうように縮径されるとともに、内周部の底面22aがボトル缶体11の内側に向けてドーム状に湾曲している。また、ショルダー部23は、胴部21の他方の端部に繋がり、缶軸Oに沿ってボトル缶体11の他方の端部に向かうに従い連続的に縮径された缶軸Oを中心とする円錐台状とされ、滑らかに傾斜するようにくびれた形状に形成されている。
【0028】
図3は、第1実施形態のキャップ付きボトル缶体10の口金部24周辺を拡大した断面図である。
口金部24は、ショルダー部23の他方の端部に繋がる部分であり、後述するプルタブ式のキャップ12が係合される。口金部24は、該口金部24の他方の端部をカーリング加工によって外方に向かって巻回させたカール部31と、ショルダー部23に接続されて缶軸Oに平行なストレート状(缶軸Oを中心とする円筒状)の首部32と、カール部31と首部32との間を接続するように延びる接続部33とを備えている。そして、接続部33は、首部32側に、口金部24の開口部Pを閉塞するキャップ12において接続部33を覆うように延びる延長部43の下縁部を巻き締めて形成される巻締め部44と係合するキャップ係止部34を備えている。
【0029】
缶軸Oに平行なストレート状の首部32は、一方の端部がショルダー部23に接続されていて、直径φ1(
図2参照)が例えば25.0mm~40.0mm程度、缶軸Oに沿った長さL1が例えば5.0mm~50.0mm程度の円筒形を成している。
なお、首部32は、垂直方向に0°~10°に傾斜するテーパー状であってもよい。さらに、直線状のテーパーに限らず、曲線、曲線と直線を組み合わせたテーパー状であってもよい。
【0030】
カール部31は、缶軸Oに直角な横方向の半径(巻き径)φ2が例えば1.0mm~3.0mm程度、缶軸Oに平行な縦方向の半径(巻き径)φ3が例えば1.5mm~5.0mm程度の略楕円形を成す。また、カール部31の上端部の曲率半径r1は0.2mm~0.8mm程度である。
このカール部31の外周部には、缶軸Oに平行なフラット部31fがスロットル加工によって形成されている。フラット部31fの缶軸Oに平行な長さL2は、例えば1.0mm~3.5mm程度に形成される。
【0031】
また、接続部33は、キャップ係止部34よりもカール部31側に、この第1実施形態ではキャップ係止部34側からカール部31側に向けて縮径するテーパー部33aを備えている。
このテーパー部33aは、缶軸Oに対する傾斜角度θが30°~50°の範囲の一定の角度でキャップ係止部34側に向かうに従い外方に傾斜している。こうしたテーパー部33aの傾斜角度θは、43°~48°の範囲にすることがより好ましい。また、カール部31の下端からのテーパー部33aの缶軸Oに沿った方向の長さL3は、例えば2.0mm~10.0mm程度に形成される。
【0032】
第1実施形態のキャップ係止部34は、接続部33の首部32側の端部をカール部31側に向けて外方に広げた段差部35から構成される。
こうした段差部35は、缶軸Oに直角な横方向の幅W1が、例えば1.5mm~3.5mm程度に形成される。また、段差部35は首部32の端部からテーパー部33aの端部に向かうに従いカール部31側(上端部側)に向けて僅かに傾斜するテーパー状とされている。
このような形状の段差部35(キャップ係止部34)に沿ってキャップ12の円筒状の延長部43の下縁部が巻締められ、巻締め部44が形成される。
【0033】
キャップ12は、ボトル缶体11の口金部24の開口部Pを塞栓するものであり、全体が金属製で、例えばアルミニウム合金から形成されている。
キャップ12は、口金部24の開口Pを覆う円板状の天面41と、この天面41の外縁から延び、カール部31に接して屈曲する屈曲部42と、接続部33(テーパー部33a)の外側を覆うように缶軸Oに平行に下方(キャップ係止部34側)に延びる円筒状の延長部43と、延長部43の下縁部を巻締めた巻締め部44とを有する。また、キャップ12の天面41と屈曲部42との間には、キャップ12の天面41の外周を絞り込んだ、缶軸O方向に沿った段差を持つ段部45が形成されている。
【0034】
こうしたキャップ12の板厚tは、例えば0.22mm~0.30mm程度に形成される。また、キャップ12の天面41と巻締め部44との間の長さ(高さ)hは、例えば3.5mm~15.0mm程度、あるいは10.0mm~18.0mm程度に形成される。
さらに、キャップ12の巻締め部44は、ボトル缶体11の開口部Pを塞栓する際に形成され、巻締め部44を形成する前のキャップ12をボトル缶体11の口金部24に被せた後、キャッピング装置を用いてキャップ12の延長部43の下縁部を段差部35(キャップ係止部34)に沿って巻締めることにより形成される。なお、ボトル缶体のキャッピング方法については後述する。
【0035】
また、キャップ12の周方向の一部には、巻締め部44よりも下方に突出するようにプルタブ46(
図1参照)が形成されている。このプルタブ46は、リング部46aを引上げることによって巻締め部44の一部を切り開いて巻締め部44とキャップ係止部34との係合を解除し、さらに延長部43から屈曲部42に亙ってキャップ12を破断するものであり、これによりキャップ12を口金部24から外して開口部Pを露呈させることができる。こうしたプルタブ46は、プルタブ46に連なる巻締め部44および延長部43に一対の線状の溝46b、46bを形成してこの部分を薄肉化することにより、これらの溝46b、46bに沿って所定幅で巻締め部44および延長部43の一部を切り開くものである。
【0036】
さらに、キャップ12の天面41の内面とカール部31との間には、キャップライナー47が挟み込まれている。こうしたキャップライナー47は、開口部Pの周辺において口金部24とキャップ12との間を液密に保つパッキンである。キャップライナー47は、例えば、樹脂シートからなる。こうしたキャップライナー47は、後述するキャッピングの前にキャップ12の内面に配設されたり、熱融着や接着剤によって貼着されたりして、キャッピングにより圧着され、その外周部はキャップ12の段部45とカール部31のフラット部31fとの間に挟み込まれている。
【0037】
以上のような構成のボトル缶体11、キャップ付きボトル缶体10によれば、キャップ12をボトル缶体11に係合させる巻締め部44の形成位置を、ボトル缶体11のカール部31から接続部33を介して離れたカール部31とは別な段差部35(キャップ係止部34)にすることによって、カール部31にキャップ12の縁部を巻き付けて係合する必要がなくなるため、カール部31の巻き径を小さくすることができる。
【0038】
そして、このようにカール部31の巻き径を小さくすることによって、カール部31の強度を高めることができ、ボトル缶体11の口金部24を薄肉のアルミニウム合金の板材で形成しても、カール部31が変形したり、潰れたりすることがない。このため、キャップ12の外周を所定の荷重で絞りこんでキャップ12の内面、キャップライナー47とカール部31との密着性を高めることができ、ボトル缶体11に収容された液体を確実に密封することが可能になる。
【0039】
また、本実施形態のように接続部33がキャップ係止部34側からカール部31側に向けて縮径したテーパー部33aを備えている場合、こうしてキャップ12をボトル缶体11に係合させる巻締め部44の形成位置を、ボトル缶体11のカール部31とは別な段差部35(キャップ係止部34)にすることによって、このテーパー部33aの缶軸Oに対する傾斜角度を小さくする、即ち缶軸Oに対してより平行に近づけることができる。これにより、例えばネジキャップ式のボトル缶などと比較して、テーパー部33aの缶軸Oに沿った方向の強度が高められるので、口金部24の金型成形時に口金部24が缶軸Oに沿って座屈するなどの不具合を防止することができる。
【0040】
なお、こうして接続部33がテーパー部33aを備えている場合には、このテーパー部33aは本実施形態のように缶軸Oに対して30°~50°の範囲の傾斜角度θで傾斜していることが望ましい。傾斜角度θが50°を上回ると口金部24の成形時に座屈が生じるおそれが生じる一方、傾斜角度θが30°を下回ると、テーパー部33aの缶軸Oに沿った長さL3を長くしなければならなくなって、これに伴いキャップ12の長さ(高さ)hも長くしなければならなくなり、非経済的となる。
【0041】
また、本実施形態においては、キャップ係止部34が、接続部33の首部32側をカール部31側に向けて外方に広げた段差部35によって形成されており、これによって巻締め部44を確実にキャップ係止部34(段差部35)に巻き締めて係合させ、キャップ12を安定して口金部24に取り付けることができる。
【0042】
なお、本実施形態のように段差部35が首部32の端部から接続部33の端部に向かうに従いボトル缶体11の他方の端部(上端部)側に向けて僅かに傾斜するテーパー状とされている場合には、その缶軸に直角な方向に対する傾斜角度α(
図3参照)は35°~55°の範囲とされるのが望ましい。これよりも傾斜角度αが大きいと、キャップ12に十分な取付強度や耐圧強度を確保することが困難となるおそれが生じる一方、これよりも傾斜角度αが小さいと、ボトル缶体11を成形することが困難となって亀裂が生じるおそれがある。
【0043】
さらに、本実施形態のボトル缶体11では、口金部24のカール部31が缶軸Oに平行なフラット部31fを有しており、キャップ12に段部45を成形する際にフラット部31fと段部45との間にキャップライナー47を挟み込むことにより密封性を確保し易くなる。特に、ボトル缶体11内に内圧が付与された陽圧缶では、内圧が上昇してもこのフラット部31fと段部45との間に挟み込まれたキャップライナー47によって確実に密封性を確保することができる。
【0044】
(ボトル缶体のキャッピング方法:第1実施形態)
次に、本発明のボトル缶体にキャップを係合させるボトル缶体のキャッピング方法の第1実施形態について説明する。
図4は、ボトル缶体にキャップを係合させるキャッピング装置の一例を示す断面図である。
図1~3に示す第1実施形態のボトル缶体11に、キャップ12を巻締めてキャッピングさせる際には、例えば、
図4に示すキャッピング装置60を用いる。このキャッピング装置60は、ボトル缶体11に被せたキャップ12の天面41を下方に押圧するプレッシャーブロック61と、このプレッシャーブロック61の周囲に形成され、キャップ12の天面41の外周を絞り込んで段部45を形成する絞り金型62と、キャップ12の縁部を巻締めて、キャップ係止部34(段差部35)に巻締め部44を形成する巻締めローラ(成形ローラ)63とを備えている。
【0045】
プレッシャーブロック61は、キャップ12の天面41を押圧する押圧体65を備え、付勢ばね66を介してプレッシャーシャフト67に連結され、キャップ12を被着する際に、口金部24に被せたキャップ12の天面41を押圧させる押し付け荷重が、口金部24の口径の大きさに応じて変えられるようにしている。
巻締めローラ63は、支持アーム68によって回転可能に支持されるとともに、ボトル缶体11およびキャップ12の周囲に缶軸O回りに周回可能とされている。
【0046】
このようなキャッピング装置60を用いて、ボトル缶体11にキャップ12を係合(キャッピング)させる際には、まず、ボトル缶体11の口金部24に、予め内面にキャップライナー47を配設または貼着させたキャップ12(巻締め部44の形成前のカップ状のキャップ材)を被せる。
【0047】
そして、プレッシャーブロック61を用いて前記キャップ12の天面41に向けて所定の荷重を加えつつ、絞り金型62によって天面41の縁部を絞り成形して、段部45を形成する。また、同時に、巻締めローラ(成形ローラ)63を回転させながらキャップ12の延長部43の下縁部の周囲に沿って缶軸O回りに周回させるとともに該下縁部に接近させて接触させる。
【0048】
これにより、キャップ12の延長部43の下縁部がボトル缶体11の口金部24のキャップ係止部34(段差部35)に沿って内側に屈曲され、巻締め部44が形成される。以上の工程によって、キャップ12は、口金部24に巻締められ、ボトル缶体11がキャップ12によって塞栓されたキャップ付きボトル缶体10を得ることができる。
【0049】
以上のようなボトル缶体のキャッピング方法によれば、キャップ12をボトル缶体11に係合させる巻締め部44を、カール部31よりも下側の段差部35(キャップ係止部34)に形成して、ボトル缶体11をキャップ12を用いてキャッピング(塞栓)することができる。
【0050】
そして、本実施形態のボトル缶体11のキャッピング方法では、ネジ式のキャップ付きボトル缶体のキャッピングに用いられるキャッピング装置により、ネジを成形するねじ切りローラを使用しないことでキャッピングを行うことができるので、このようなキャッピング装置を備えたネジ式のキャップ付きボトル缶体の製造工程に容易に適用することが可能であり、効率的である。なお、この第1実施形態のボトル缶体のキャッピング方法は、次述する第2実施形態のボトル缶体へのキャッピングにも適用することができる。
【0051】
(ボトル缶体、キャップ付きボトル缶体:第2実施形態)
図5は、本発明の第2実施形態のボトル缶体の側面図であり、
図6は、本発明の第2実施形態のキャップ付きボトル缶体における口金部周辺を拡大した断面図である。
なお、この第2実施形態や、後述する第4実施形態でも、第1実施形態と同様の部分には同一の番号を付し、その詳細な説明を省略する。また、これら第2、第3実施形態の図では、
図2および
図3に示された寸法や傾斜角度についての符号も省略するが、説明がない場合には第1実施形態の数値範囲が適用される。
この第2実施形態のキャップ付きボトル缶体70およびボトル缶体71では、接続部33が、キャップ係止部34よりもカール部31側に、缶軸Oを中心とした円筒部72を備えていることを特徴とする。
【0052】
この円筒部72は、缶軸Oに沿った方向の長さL4が、例えば5.0mm~15.0mmとされて、この長さL4の範囲で一定の内外径とされ、
図5および
図6に示すように接続部33の長さの1/2以上の大部分を占めている。なお、第2実施形態では、口金部24の開口部Pからキャップ係止部34と首部32との交差稜線部までの長さも、第1実施形態よりも長くされており、このような場合にはキャップ12の長さ(高さ)hは上述のように10.0mm~18.0mm程度と長くされる。また、本実施形態では、この円筒部72とカール部31との間に、カール部31側に向けて縮径するテーパー部33aが形成されているが、このテーパー部33aはカール部31側に向けて缶軸Oに対する傾斜角度θが段階的に大きくなる複数段(本実施形態では2段)のテーパー状とされている。
【0053】
このような第2実施形態のボトル缶体71およびキャップ付きボトル缶体70においては、第1実施形態と同様にカール部31の巻き径を小さくして強度を高めることにより変形や潰れを防ぐことができるのは勿論、特にキャップ付きボトル缶体70においてボトル缶体71に内圧が与えられた陽圧缶の場合には、この内圧によって変形するキャップ12の天面41付近とキャップ係止部34(段差部35)に係合する巻締め部44とを離して間隔を大きく確保することができるので、耐圧強度を効果的に高めることができる。
【0054】
また、この円筒部72は、缶軸Oに対する傾斜角度θが0°とされたものとなるので、缶軸Oに沿った方向の負荷に対する強度が高く、キャッピングの際の前記キャッピング装置60におけるプレッシャーブロック61による荷重や絞り金型62による絞り成形の荷重によって口金部24に座屈や変形が生じるのも確実に防ぐことができる。
【0055】
(ボトル缶体、キャップ付きボトル缶体:第3実施形態)
図7は、本発明の第3実施形態のボトル缶体の側面図であり、
図8は、本発明の第3実施形態のキャップ付きボトル缶体における口金部周辺を拡大した断面図である。
この第3実施形態は、上述した第2実施形態の変形例ともいうべきものであり、第2実施形態の円筒部72がその長さL4の範囲で一定の内外径であったのに対し、この第3実施形態のキャップ付きボトル缶体80およびボトル缶体81では、接続部33の円筒部72に、接続部33を覆うキャップ12の延長部43が部分的に嵌め入れられる環状溝82が、缶軸O回りに周回して繋がるように形成されていることを特徴とする。
【0056】
この環状溝82は、本実施形態では
図8に示すように缶軸Oに沿った断面が略V字状であって、ただし溝底部82aは凹円弧等の断面凹曲線状に形成されるとともに、V字状の両壁面82bと円筒部72の外周面との接続部は凸円弧等の断面凸曲線状に形成されている。缶軸Oに沿った断面において、円筒部72の外周面から溝底部82aまでの溝深さdは、例えば0.3mm~1.0mmの範囲とされ、円筒部72の外周面とV字状をなす環状溝82の両壁面との延長線同士の交点Q間の溝幅wは、例えば2.0mm~4.0mmの範囲とされる。さらに、本実施形態の環状溝82は、その缶軸O方向の中心が、円筒部72の缶軸O方向の長さL4の1/2の位置よりも僅かに口金部24の開口部P側に配置されている。
【0057】
このような第3実施形態のキャップ付きボトル缶体80およびボトル缶体81では、第2実施形態と同様に、キャップ付きボトル缶体80に内圧が与えられる場合に耐圧強度とキャップ12の取付強度を高めるとともに、キャッピングの際の座屈や変形を防ぐことができる。そして、さらに接続部33を覆うキャップ12の延長部43が環状溝82に部分的に嵌め入れられることにより、環状の突条部48が形成されて環状溝82と係合するので、キャップ係止部34とキャップ12の巻締め部44との係合と併せて、キャップ12をさらに強固に口金部24に取り付けることが可能となり、耐圧強度も一層向上させることができる。なお、環状溝82は断面U字状であったり、断面半円状であったりしてもよい。
【0058】
(ボトル缶体のキャッピング方法:第2実施形態)
次に、このような第3実施形態のボトル缶体にキャップを係合させる本発明のボトル缶体のキャッピング方法の第2実施形態について説明する。
図9は、第3実施形態のボトル缶体81にキャップ12を係合させるキャッピング装置90の一例を示す断面図であり、
図4に示したキャッピング装置60と共通する部分には同一の符号を配して説明を省略する。また、この
図9に示したキャッピング装置90では、
図4に示したキャッピング装置60のプレッシャーブロック61および絞り金型62等のキャップ12の天面41を加工する部分は図示が省略されている。
【0059】
すなわち、この第2実施形態のボトル缶体81のキャッピング方法に用いられるキャッピング装置90は、図示を略したプレッシャーブロック61および絞り金型62等のキャップ12の天面41を加工する部分の他に、第1実施形態のキャッピング方法に用いられるキャッピング装置60と同様のキャップ係止部34(段差部35)に巻締め部44を形成する巻締めローラ(成形ローラ)63と、ボトル缶体81の円筒部72に形成された環状溝82にキャップ12の延長部43を部分的に嵌め入れる溝入れローラ91とを備えている。この溝入れローラ91としては、ネジキャップ式のキャップ付きボトル缶体の製造に用いるキャッピング装置のネジ切りローラを用いることができる。
【0060】
このようなキャッピング装置90を用いた第2実施形態のキャッピング方法でも、第1実施形態のキャッピング方法と同様に、プレッシャーブロック61を用いてキャップ12の天面41に荷重を加えつつ、絞り金型62によって天面41の縁部を絞り成形して、段部45を形成するとともに、巻締めローラ(成形ローラ)63を回転させながらキャップ12の延長部43の下縁部の周囲に沿って缶軸O回りに周回させて接近、接触させ、この下縁部を口金部24のキャップ係止部34に沿って内側に屈曲して巻締め部44を形成する。
【0061】
そして、さらに第2実施形態のキャッピング方法では、こうしてキャップ12の天面41の加工と巻締め部44の形成に加えて、前記溝入れローラ91を回転させつつ缶軸O回りに周回させながら、ボトル缶体81の環状溝82が形成された位置においてキャップ12の延長部43に接近させて内側に押圧し、この位置の延長部43を部分的に環状溝82の断面に倣うように凸状に変形させて環状溝82に嵌め入れることにより、上述した環状の突条部48を形成する。ネジキャップ式のキャップ付きボトル缶体の製造工程では、口金部に形成されているのが螺旋状の雄ネジ部であるので、ネジ切りローラは缶軸回りに周回しながら缶軸方向に移動するが、前記環状溝82は缶軸O回りに周回して繋がっているので、溝入れローラ91は缶軸O方向には移動しない。
【0062】
従って、このような第2実施形態のキャッピング方法においても、ネジ式のキャップ付きボトル缶体のキャッピングに用いられるキャッピング装置を用いて、巻締めローラ(裾巻きローラ)63を成形ローラとして巻締め部44を成形するとともに、ネジ切りローラを溝入れローラ91として部分的に環状溝82に嵌め入れられる突条部48を延長部43に成形してキャッピングを行うことができる。このため、第1実施形態のキャッピング方法と同じく、このようなキャッピング装置を備えたネジ式のキャップ付きボトル缶体の製造工程に容易に適用することが可能であり、効率的である。
【0063】
以上、本発明の実施形態を説明したが、これらの実施形態は、例として提示したものであり、発明の範囲を限定することは意図していない。これら実施形態は、その他の様々な形態で実施されることが可能であり、発明の要旨を逸脱しない範囲で、種々の省略、置き換え、変更を行うことができる。これらの実施形態やその変形例は、発明の範囲や要旨に含まれると同様に、特許請求の範囲に記載された発明とその均等の範囲に含まれるものである。
【実施例0064】
次に、本発明の実施例を挙げて、第1、第2、第3実施形態のボトル缶体およびキャップ付きボトル缶体の効果について説明する。本実施例では、これら第1、第2、第3実施形態に基づき、元板厚0.345mmのアルミニウム合金の板材から、胴部21の直径が66mm、底部22から開口部Pまでの缶軸O方向の高さが133mm、首部32の直径φ1が36mm、開口部Pの内径が31mm、キャップ係止部34の缶軸Oに直角な横方向の幅W1が1.2mm、傾斜角度αが47°である300ml用のボトル缶体11、71、81をそれぞれ10個ずつ製造した。これらを順に実施例1~3とする。
【0065】
なお、実施例1においてテーパー部33aの傾斜角度θは45°、開口部Pからキャップ係止部34と首部32との交差稜線までの缶軸Oに沿った方向の長さは9mmであった。一方、実施例2、3において開口部Pからキャップ係止部34と首部32との交差稜線までの缶軸Oに沿った方向の長さは17mm、円筒部72の缶軸Oに沿った方向の長さL4は10mmであった。また、実施例3において環状溝82の前記溝深さdは0.7mm、前記溝幅wは3.5mmであった。
【0066】
次いで、これら実施例1~3のボトル缶体11、71、81の口金部24に、同じくアルミニウム合金の板材から成形された板厚tが0.25mm、天面41と巻締め部44との間の長さ(高さ)hが17.7mm、延長部43の外径が38mmのキャップ12を、上述した第1、第2実施形態のキャッピング方法に基づいてキャッピングして、実施例1~3のキャップ付きボトル缶体10、70、80をそれぞれ10個ずつ製造した。
【0067】
そして、これら実施例1~3のキャップ付きボトル缶体10、70、80におけるボトル缶体11、71、81の底部22に孔を開けて圧縮空気を供給し、内圧によってキャップ12が外れたときの圧力をそれぞれ測定して、各10個の実施例1~3について平均値を計算することにより耐圧強度を比較した。
【0068】
その結果、第1実施形態に基づく実施例1の平均値は0.42MPaであったのに対して、第2実施形態に基づく実施例2では0.88MPaと耐圧強度が略倍になっており、さらに第3実施形態に基づく実施例3では1.23MPaと、実施例1に対して略3倍の耐圧強度が得られていた。この結果より、上述したように接続部33のキャップ係止部34よりもカール部31側がテーパー部33aとされているものよりは、円筒部72とされている方が耐圧強度が高く、特に円筒部72にキャップ12の延長部43が部分的に嵌り込む環状溝82が形成されている方が、さらに耐圧強度が高いことが実証された。