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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2022177110
(43)【公開日】2022-11-30
(54)【発明の名称】PUFA塩製剤(II)
(51)【国際特許分類】
   A23L 33/12 20160101AFI20221122BHJP
   A61K 31/201 20060101ALI20221122BHJP
   A61K 31/202 20060101ALI20221122BHJP
   A61K 47/42 20170101ALI20221122BHJP
   A61K 47/36 20060101ALI20221122BHJP
   A61K 47/22 20060101ALI20221122BHJP
   A61K 47/10 20060101ALI20221122BHJP
   A61K 47/26 20060101ALI20221122BHJP
   A61K 9/14 20060101ALI20221122BHJP
   A61P 29/00 20060101ALI20221122BHJP
   A61P 9/00 20060101ALI20221122BHJP
   A23K 20/158 20160101ALI20221122BHJP
【FI】
A23L33/12
A61K31/201
A61K31/202
A61K47/42
A61K47/36
A61K47/22
A61K47/10
A61K47/26
A61K9/14
A61P29/00
A61P9/00
A23K20/158
【審査請求】有
【請求項の数】10
【出願形態】OL
【外国語出願】
(21)【出願番号】P 2022143679
(22)【出願日】2022-09-09
(62)【分割の表示】P 2019527318の分割
【原出願日】2017-12-13
(31)【優先権主張番号】16203600.8
(32)【優先日】2016-12-13
(33)【優先権主張国・地域又は機関】EP
(71)【出願人】
【識別番号】503220392
【氏名又は名称】ディーエスエム アイピー アセッツ ビー.ブイ.
【氏名又は名称原語表記】DSM IP ASSETS B.V.
【住所又は居所原語表記】Het Overloon 1, NL-6411 TE Heerlen,Netherlands
(74)【代理人】
【識別番号】100107456
【弁理士】
【氏名又は名称】池田 成人
(74)【代理人】
【識別番号】100128381
【弁理士】
【氏名又は名称】清水 義憲
(74)【代理人】
【識別番号】100162352
【弁理士】
【氏名又は名称】酒巻 順一郎
(72)【発明者】
【氏名】フンダ, エルガー
(72)【発明者】
【氏名】フグ, デニス
(72)【発明者】
【氏名】クラインツ, オディール
(72)【発明者】
【氏名】マクドネル, ショーン
(72)【発明者】
【氏名】ラムナライン, シャラ
(72)【発明者】
【氏名】サムナー, ケイシー
(72)【発明者】
【氏名】タン, ジェニー
(57)【要約】      (修正有)
【課題】新規なポリ不飽和脂肪酸塩(PUFA塩)固体製剤を提供する。
【解決手段】固体製剤であって、(i)少なくとも1種のPUFAナトリウム塩、(ii)固体製剤の全重量に対して10~75wt%の、コメ、ジャガイモ又はエンドウからの少なくとも1種のタンパク質加水分解物、(iii)固体製剤の全重量に対して30wt%までの、少なくとも1種のガム、並びに(iv)アスコルビン酸又はその塩、合成トコフェロール、天然トコフェロール、ブチル化ヒドロキシトルエン、ブチル化ヒドロキシアニソール、没食子酸プロピル、tert-ブチルヒドロキシキノリン、脂肪酸のアスコルビン酸エステルおよびエトキシキンから選択される抗酸化剤;可塑剤;安定剤;グリセリン、ソルビトール及びポリエチレングリコールから選択される湿潤剤;保護コロイド;染料;芳香剤;充填剤並びに緩衝剤から選択される、少なくとも1種の補助剤を含む、固体製剤である。
【選択図】なし
【特許請求の範囲】
【請求項1】
固体製剤であって、
(i)少なくとも1種のPUFA塩、
(ii)前記固体製剤の全重量に対して10~75wt%の、デンプン含有植物からの少なくとも1種のタンパク質加水分解物、
(iii)前記固体製剤の全重量に対して30wt%までの、少なくとも1種のガム、および
(iv)アスコルビン酸またはその塩、合成トコフェロール、天然トコフェロール、ブチル化ヒドロキシトルエン、ブチル化ヒドロキシアニソール、没食子酸プロピル、tert-ブチルヒドロキシキノリン、脂肪酸のアスコルビン酸エステルおよびエトキシキンからなる群から選択される抗酸化剤;可塑剤;安定剤;グリセリン、ソルビトールおよびポリエチレングリコールからなる群から選択される湿潤剤;保護コロイド;染料;芳香剤;充填剤ならびに緩衝剤からなる群から選択される、少なくとも1種の補助剤を含み、
前記PUFA塩はナトリウム塩であり、
前記デンプン含有植物が、コメ、ジャガイモまたはエンドウである、固体製剤。
【請求項2】
前記固体製剤の平均粒子径Dv50は10~200μmである、請求項1に記載の固体製剤。
【請求項3】
前記固体製剤の平均粒子径Dv50は200~1000μmである、請求項1に記載の固体製剤。
【請求項4】
前記固体製剤の平均粒子径Dv50は1000μm超である、請求項1に記載の固体製剤。
【請求項5】
前記PUFA塩は、ナトリウム塩の形態の、リノール酸、アラキドン酸、γ-リノレン酸、ジホモ-γ-リノレン酸、α-リノレン酸、エイコサペンタエン酸およびドコサヘキサエン酸からなる群から選択される、請求項1~4のいずれか一項に記載の固体製剤。
【請求項6】
前記固体製剤は、前記固体製剤の全重量に対して5~80wt%の前記PUFA塩を含む、請求項1~5のいずれか一項に記載の固体製剤。
【請求項7】
前記固体製剤は、前記固体製剤の全重量に対して30wt%まで、少なくとも1種の糖アルコールを含む、請求項1~6のいずれか一項に記載の固体製剤。
【請求項8】
請求項1~7のいずれか一項に記載の固体製剤を製造する方法であって、
全ての成分を水で溶解し、その後、噴霧乾燥、噴霧微粒化または小ビーズ化プロセスにより乾燥させる、方法。
【請求項9】
請求項1~7のいずれか一項に記載の少なくとも1種の固体製剤を含む、食品、飼料、栄養補助食品、医薬品および/またはプレミックス。
【請求項10】
少なくとも1種のPUFA塩を含む固体製剤を製造するための、デンプン含有植物からの少なくとも1種のタンパク質加水分解物の使用であって、
前記固体製剤が、前記固体製剤の全重量に対して30wt%までの、少なくとも1種のガムを含み、
前記デンプン含有植物が、コメ、ジャガイモまたはエンドウである、使用。
【発明の詳細な説明】
【発明の詳細な説明】
【0001】
本特許出願は、新規なポリ不飽和脂肪酸塩(PUFA塩)固体製剤に関する。
【0002】
ポリ不飽和脂肪酸(PUFA)は、健康食として非常によく知られた化合物(特に、オメガ-3脂肪酸)である。PUFA(特にオメガ-3脂肪酸)は、十分に確立されたトリグリセリド低下作用、また抗炎症作用を含む、例えば心疾患(CVD)に対する様々な健康上の利益を有する。
【0003】
したがって、PUFAは健康食(動物およびヒト用)において重要な成分である。
【0004】
PUFAは、様々な量で、(異なるPUFAの)各種混合物として、種々の植物および動物に見出すことができる。オメガ-3脂肪酸の非常に良好な供給源は、例えば魚である。しかし、PUFAを合成により製造することも可能である。
【0005】
多くの消費者は、魚(または、他のPUF含有供給源)、特にその臭いおよび味を好まないので、所望の健康食とするために、PUFAを他の食物製品に添加する(これらの製品をPUFAで強化する)ことが非常に一般的である。
【0006】
PUFAの問題は、酸化傾向が強いことである。このことは、製品中のPUFAの減少をもたらし、第二に(さらに良くないことに)、強くて非常に不快な臭いを発生することである。二重結合の数が増加するほど、PUFAは、酸化による分解を多く受け、望ましくない「異臭」、主に魚のような、かつ鼻を衝く臭いや味を発生する。揮発性分解生成物は、非常に低濃度でも異臭を放つ。製品の官能特性は、PUFAの減少が分析的に検知される前でさえ、許容されなくなり得る。
【0007】
PUFAは油性化合物であり、したがって、PUFAの混入はそれほど容易ではなく、通常は乳化工程を必要とするので、別の問題が生じる。
【0008】
今では、PUFAの代わりにPUFA塩(通常、Na、K、またはCa塩)を使用すると、非常に安定で、取り扱いが容易な固体製剤が得られることがわかっている。
【0009】
用語「固体製剤」とは、製剤が形態を有していることを意味する。通常、それは粉末、顆粒または小ビーズの形態である。これらの製剤は、それらの粒子の大きさが異なる。
【0010】
驚いたことに、デンプン含有植物由来からのタンパク質加水分解物を含むマトリックス中に、少なくとも1種のPUFA塩を埋め込むと、非常に安定な固体製剤が得られることがわかった。
【0011】
したがって、本発明は、
(i)少なくとも1種のPUFA塩、および
(ii)デンプン含有植物からの少なくとも1種のタンパク質加水分解物
を含む固体製剤(SF)に関する。
【0012】
上記のように、固体製剤は各種の粒子径を有することができる。固体製剤が、噴霧乾燥粉末形態の場合、固体粒子の好ましい平均粒子径は10~200μmである。固体製剤が小ビーズの場合、小ビーズの好ましい平均粒子径は200~1000μmである。固体製剤が顆粒/ペレットの場合、顆粒/ペレットの好ましい平均粒子径は、好ましくは1000μm未満である。粒子径は、(走査)電子顕微鏡法などのよく知られた方法によって測定される。本発明の文脈における粒子径は、粒子の最大寸法(すなわち、球形粒子の場合の直径など)として定義される。
【0013】
全ての粒子径は、英国(UK)のMalvern Instruments Ltd.の「マスターサイザー3000(Mastersizer 3000)」を使用したレーザー回折手法により決定される。この粒子径特性の測定方法に関するより詳しい情報は、例えば、英国、WR14 1XZ、ウスターシャー州、マルバーン、グローブウッド・ロード、Enigma Business Part(Enigma Business Part,Grovewood Road,Malvern,Worcestershire,WR14 1XZ,UK)のMalvern Instruments LimitedのDr.Alan Rawle著、「Basic principles of particle size analytics」、および「Manual of Malvern particle size analyzer」に見出すことができる。特に、1994年11月発行の使用者マニュアル番号MAN0096、第1.0号を参照されたい。他に記載がない限り、言及する全ての粒子径は、レーザー回折により測定されたDv50値(体積直径、集団の50%はこのポイントより下に存在し、50%はこのポイントより上に存在する)である。粒子径は、乾燥状態で測定することができる。
【0014】
したがって、本発明は、
(i)少なくとも1種のPUFA塩、および
(ii)デンプン含有植物からの少なくとも1種のタンパク質加水分解物
を含み、平均粒子径が10~200μmである固体製剤(SF1)に関する。
【0015】
したがって、本発明は、
(i)少なくとも1種のPUFA塩、および
(ii)デンプン含有植物からの少なくとも1種のタンパク質加水分解物
を含み、平均粒子径が200~1000μmである固体製剤(SF1’)に関する。
【0016】
したがって、本発明は、
(i)少なくとも1種のPUFA塩、および
(ii)デンプン含有植物からの少なくとも1種のタンパク質加水分解物
を含み、平均粒子径が1000μm超である固体製剤(SF1”)に関する。
【0017】
PUFAは、分子の炭素鎖中の二重結合の位置によって、n-9、n-6またはn-3PUFAとして分類される。n-6 PUFAの例は、リノール酸(C18:2)、アラキドン酸(C20:4)、γ-リノレン酸(GLA、C18:13)およびジホモγ-リノレン酸(DGLA、C20:3)である。n-3 PUFAの例は、α-リノレン酸(C18:13)、エイコサペンタエン酸(EPA、C20:5)、およびドコサヘキサエン酸(DHA、C22:6)である。特に、EPAおよびDHAは、近年、食品業界において注目されている。これら2つの脂肪酸の最も入手可能な供給源は、魚、およびそれらから抽出された魚油である。好適なPUFA塩は、ナトリウム塩、カリウム塩、マグネシウム塩および/またはカルシウム塩である。混合塩もまた好適である。非常に好適なPUFAオイルは、例えば、DSMニュートリショナル・プロダクツ(DSM Nutritional Products Ltd.)から商業的に入手可能である。これらの好適なPUFAオイルは、MEG-3(登録商標)4020EEオイル、MEG-3(登録商標)4030EEオイル、MEG-3(登録商標)4421EEオイルおよびMEG-3(登録商標)5020EEオイルであり、これらは、この後、塩に変換される。
【0018】
したがって、本発明は、固体製剤(SF)、(SF1)、(SF1’)または(SF1”)であり、PUFA塩がナトリウム塩、カリウム塩、マグネシウム塩および/またはカルシウム塩である固体製剤(SF2)に関する。
【0019】
したがって、本発明は、固体製剤(SF)、(SF1)、(SF1’)、(SF1”)または(SF2)であり、PUFA塩が、ナトリウム塩、カリウム塩、マグネシウム塩および/またはカルシウム塩の形態の、リノール酸、アラキドン酸、γ-リノレン酸、ジホモ-γリノレン酸、α-リノレン酸、エイコサペンタエン酸、およびドコサヘキサエン酸からなる群から選択される固体製剤(SF3)に関する。これら2つの脂肪酸の最も入手可能な供給源は、魚およびそれらから抽出された魚油である。好適なPUFA塩は、ナトリウム塩、カリウム塩、マグネシウム塩および/またはカルシウム塩である。混合塩もまた好適である。
【0020】
PUFA塩の含有量は変えることができ、通常は、固体製剤の全重量の少なくとも5重量%(wt%)である。通常、PUFA塩(またはPUFA塩の混合物)は、固体製剤の全重量の80wt%までの量で存在する。好ましくは、本発明の固体製剤は、固体製剤の全重量に対して10~70wt%の、少なくとも1種のPUFA塩を含む。
【0021】
より好ましくは、本発明の固体製剤は、固体製剤の全重量に対して20~60wt%の、少なくとも1種のPUFA塩を含む。
【0022】
したがって、本発明は、固体製剤(SF)、(SF1)、(SF1’)、(SF1”)、(SF2)または(SF3)であり、固体製剤の全重量に対して5~80wt%の、少なくとも1種のPUFA塩を含む固体製剤(SF4)に関する。
【0023】
したがって、本発明は、固体製剤(SF)、(SF1)、(SF1’)、(SF1”)、(SF2)、(SF3)または(SF4)であり、固体製剤の全重量に対して10~70wt%の、少なくとも1種のPUFA塩を含む固体製剤(SF5)に関する。
【0024】
より好ましくは、本発明の固体製剤は、固体製剤の全重量に対して20~60wt%の、少なくとも1種のPUFA塩を含む。
【0025】
本発明の固体製剤はまた、デンプン含有植物からの少なくとも1種のタンパク質加水分解物を含む。デンプン含有植物は、すなわち、コメ、ジャガイモ、エンドウなどである。特に好ましいのは、コメタンパク質加水分解物である。
コメタンパク質加水分解物は、良く知られ、かつ公表されている方法を用いて製造することができる。あるいは、それは、例えば、FrieslandCampina DOMOから、商品名Hyvital(登録商標)Rice CMA 500としても商業的に入手可能である。
【0026】
デンプン含有植物からのタンパク質加水分解物の含有量は変えることができ、それは通常、固体製剤の全重量の少なくとも10wt%である。
通常、デンプン含有植物からのタンパク質加水分解物は、固体製剤の全重量の75wt%までの量で存在する。
さらに、本発明は、デンプン含有植物からの少なくとも1種のタンパク質加水分解物を、固体製剤の全重量に対して10~75wt%含む固体製剤に関する。
【0027】
さらに、本発明は、デンプン含有植物からの少なくとも1種のタンパク質加水分解物を、固体製剤の全重量に対して15~70wt%含む固体製剤に関する。
【0028】
固体製剤中に少なくとも別の成分が存在する場合、通常、デンプン含有植物からのタンパク質加水分解物の量はより少なくなる。
【0029】
したがって、本発明は、固体製剤(SF)、(SF1)、(SF1’)、(SF1”)、(SF2)、(SF3)、(SF4)または(SF5)であり、デンプン含有植物からの少なくとも1種のタンパク質加水分解物を、固体製剤の全重量に対して10~75wt%含む固体製剤(SF6)に関する。
【0030】
したがって、本発明は、固体製剤(SF)、(SF1)、(SF1’)、(SF1”)、(SF2)、(SF3)、(SF4)、(SF5)または(SF6)であり、デンプン含有植物からの少なくとも1種のタンパク質加水分解物を、固体製剤の全重量に対して15~70wt%含む固体製剤(SF7)に関する。
【0031】
本発明の文脈における全てのパーセンテージは、各固体製剤について常に100%まで加えられる。PUFA塩およびタンパク質加水分解物が合計して100%にならない場合、少なくとも1つの他の成分が存在する。
【0032】
さらに、本発明の固体製剤はまた、さらなる成分を含むことができる。そのような成分の好ましい群は、キサンタンガム、アラビアガム、ガムガッチ、寒天、アルギン酸、アルギン酸ナトリウム、カラギーナン、ガムトラガカンス、カラヤガム、グアーガム、ローカストビーンガムまたはゲランガムなどのガムである。これらのガムは、本発明の固体製剤の安定性をさらに改善することができる。
【0033】
非常に好ましいガムはアラビアガムである。
【0034】
好ましくは、固体製剤は、固体製剤の全重量に対して30wt%まで、少なくとも1種のガムを含む。
【0035】
より好ましくは、固体製剤は、固体製剤の全重量に対して30wt%まで、キサンタンガム、アラビアガム、ガムガッチ、寒天、アルギン酸、アルギン酸ナトリウム、カラギーナン、ガムトラガカンス、カラヤガム、グアーガム、ローカストビーンガムまたはゲランガムからなる群から選択される少なくとも1種のガムを含む。より一層好ましくは、固体製剤は、固体製剤の全重量に対して30wt%まで、アラビアガムを含む。
【0036】
したがって、本発明は、固体製剤(SF)、(SF1)、(SF1’)、(SF1”)、(SF2)、(SF3)、(SF4)、(SF5)、(SF6)または(SF7)であり、固体製剤の全重量に対して30wt%まで、少なくとも1種のガムを含む固体製剤(SF8)に関する。
【0037】
したがって、本発明は、固体製剤(SF8)であり、固体製剤の全重量に対して30wt%まで、キサンタンガム、アラビアガム、ガムガッチ、寒天、アルギン酸、アルギン酸ナトリウム、カラギーナン、ガムトラガカンス、カラヤガム、グアーガム、ローカストビーンガムまたはゲランガムからなる群から選択される少なくとも1種のガムを含む固体製剤(SF8’)に関する。
【0038】
したがって、本発明は、固体製剤(SF8)であり、固体製剤の全重量に対して30wt%まで、アラビアガムを含む固体製剤(SF8”)に関する。
【0039】
このような成分の別の好ましい群は、糖アルコール(多価アルコール、ポリアルコール、アルジトールまたはグリシトールとも呼ばれる)である。好適な糖アルコールは、例えば、グリセロール、エリトリトール、スレイトール、アラビトール、キシリトール、リビトール、マンニトール、ソルビトール、ガラクチトール、フシトール、イジトール、イノシトール、ボレミトール、イソマルト、マルチトール、ラクチトール、マルトトリイトール、マルトテトライトールおよびポリグリシトールである。
【0040】
非常に好ましい糖アルコールは、マンニトールまたはマルチトールである。
【0041】
好ましくは、固体製剤は、固体製剤の全重量に対して30wt%まで、少なくとも糖アルコールを含む。
【0042】
より好ましくは、固体製剤は、固体製剤の全重量に対して30wt%まで、グリセロール、エリトリトール、スレイトール、アラビトール、キシリトール、リビトール、マンニトール、ソルビトール、ガラクチトール、フシトール、イジトール、イノシトール、ボレミトール、イソマルト、マルチトール、ラクチトール、マルトトリイトール、マルトテトライトールおよびポリグリシトールからなる群から選択される少なくとも1種の糖アルコールを含む。より一層好ましくは、固体製剤は、固体製剤の全重量に対して30wt%まで、マンニトールおよび/またはマルチトールを含む。
【0043】
したがって、本発明は、固体製剤(SF)、(SF1)、(SF1’)、(SF1”)、(SF2)、(SF3)、(SF4)、(SF5)、(SF6)、(SF7)、(SF8)、(SF8’)または(SF8”)であり、固体製剤の全重量に対して30wt%まで、少なくとも1種の糖アルコールを含む固体製剤(SF9)に関する。
【0044】
したがって、本発明は、固体製剤(SF9)であり、固体製剤の全重量に対して30wt%まで、グリセロール、エリトリトール、スレイトール、アラビトール、キシリトール、リビトール、マンニトール、ソルビトール、ガラクチトール、フシトール、イジトール、イノシトール、ボレミトール、イソマルト、マルチトール、ラクチトール、マルトトリイトール、マルトテトライトールおよびポリグリシトールからなる群からの少なくとも1種の糖アルコールを含む固体製剤(SF9’)に関する。
【0045】
したがって、本発明は、固体製剤(SF9)であり、固体製剤の全重量に対して30wt%まで、マンニトールおよび/またはマルチトールを含む固体製剤(SF9”)に関する。
【0046】
さらに、本発明の固体製剤は、抗酸化剤(アスコルビン酸もしくはその塩、トコフェロール(合成もしくは天然の);ブチル化ヒドロキシトルエン(BHT);ブチル化ヒドロキシアニソール(BHA);没食子酸プロピル;tert-ブチルヒドロキシキノリン、脂肪酸のアスコルビン酸エステルおよび/またはエトキシキンなど)、可塑剤、安定剤、湿潤剤、保護コロイド、染料、芳香剤、充填剤および緩衝剤からなる群から選択される少なくとも1種の補助剤をさらに含むことができる。
【0047】
これらの補助剤は、固体製剤の全重量に対して30wt%までの量で存在することができる。
【0048】
したがって、本発明は、固体製剤(SF)、(SF1)、(SF1’)、(SF1”)、(SF2)、(SF3)、(SF4)、(SF5)、(SF6)、(SF7)、(SF8)、(SF8’)、(SF8”)、(SF9)、(SF9’)または(SF9”)であり、抗酸化剤(アスコルビン酸もしくはその塩、トコフェロール(合成または天然の);ブチル化ヒドロキシトルエン(BHT);ブチル化ヒドロキシアニソール(BHA);没食子酸プロピル;tert-ブチルヒドロキシキノリン、脂肪酸のアスコルビン酸エステルおよび/またはエトキシキンなど)、可塑剤、安定剤、湿潤剤、保護コロイド、染料、芳香剤、充填剤および緩衝剤からなる群から選択される少なくとも1種の補助剤を含む固体(SF10)に関する。
【0049】
したがって、本発明は、固体製剤(SF10)であり、固体製剤の全重量に対して30wt%まで、少なくとも1種の補助剤を含む固体(SF10’)に関する。
【0050】
本発明の固体製剤の粒子形状は、本発明の本質的な特徴ではない。形状は、球状または他の任意の形態(また、形状の混合物)とすることができる。通常、かつ好ましくは、粒子は球状である。
【0051】
本発明の固体製剤の主な利点の1つは、固体製剤の製造にもある。乳化工程を必要としない。全ての成分を水に溶解し、その後、通常、噴霧乾燥する。噴霧微粒化または小ビーズ化プロセスのような他の乾燥手法も適用し得る。
【0052】
固体製剤の製造方法は、通常、以下のようである。
(i)マトリックスの水溶性成分を乾燥状態で混合し、次いで水に溶解する、その後、
(ii)PUFA塩を加える、その後、
(iii)混合物を(噴霧)乾燥させる。
【0053】
全ての水溶性成分を水に溶解する(そして、乾燥状態で混合しない)ことも可能である。
【0054】
噴霧乾燥工程の温度によっては、固体製剤は、なお水を含み得る(通常、固体製剤の全重量の5wt%以下)。固体製剤(SF)、(SF1)、(SF1’)、(SF1”)、(SF2)、(SF3)、(SF4)、(SF5)、(SF6)、(SF7)、(SF8)、(SF8’)、(SF8”)、(SF9)、(SF9’)、(SF9”)、(SF10)または(SF10’)は、そのまま使用することも、または他の製品形態に包含させて使用することもできる。
【0055】
固体製剤は、食品、飼料、医薬製品および/またはパーソナルケア製品に包含させることができる。固体製剤はまた、プレミックスに包含させることができる。このプレミックスは、その後、食品、飼料、医薬製品および/またはパーソナルケア製品に包含される。
【0056】
本発明の別の実施形態は、少なくとも1種のPUFA塩を含む固体製剤を製造するための、デンプン含有植物からの少なくとも1種のタンパク質加水分解物の使用である。
【0057】
本発明の固体製剤はまた、医薬製品に使用することができる。医薬製品は、任意のガレヌス製剤の形態とすることができ、通常は錠剤の形態である。
【0058】
本発明のさらなる実施形態は、少なくとも1種の固体製剤(SF)、(SF1)、(SF1’)、(SF1”)、(SF2)、(SF3)、(SF4)、(SF5)、(SF6)、(SF7)、(SF8)、(SF8’)、(SF8”)、(SF9)、(SF9’)、(SF9”)、(SF10)および/または(SF10’)を含む、食品、飼料、栄養補助食品、および/または医薬品に関する。
【0059】
本発明を以下の実施例により説明する。全ての温度は℃で与えられ、全ての部およびパーセンテージは重量基準である。
【0060】
[一般]
試験した全ての固体製剤は、実施例1に記載の手順を使用して製造される。成分および/またはそれらの濃度は変化し、プロセスパラメーターではない。以下の市販のPUFAオイル(DSMニュートリショナル・プロダクツから入手可能)の塩(NaまたはK)を使用した。
・MEG-3(登録商標)4020EEオイル(これは、海産オメガ-3長鎖ポリ不飽和脂肪酸である。このエチルエステルは、1グラム当たり少なくとも360mgのEPA、180mgのDHAおよび590mgの全オメガ-3を有する)。
・MEG-3(登録商標)4030EEオイル(これは、海産オメガ-3長鎖不飽和脂肪酸である。このエチルエステルは、1グラム当たり少なくとも360mgのEPA、270mgのDHAおよび680mgの全オメガ-3を有する。)
・MEG-3(登録商標)4421EEオイルは、海産オメガ-3長鎖不飽和脂肪酸である。このエチルエステルは、1グラム当たり少なくとも400mgのEPA、200mgのDHAおよび650mgの全オメガ-3を有する。
・MEG-3(登録商標)5020EEオイルは、海産オメガ-3長鎖不飽和脂肪酸である。このエチルエステルは、1グラム当たり少なくとも460mgのEPA、180mgのDHAおよび700mgの全オメガ-3を有する。
【0061】
[実施例1:]
25gのマルトデキストリン(マルトデキストリン28~31)、20gのアスコルビン酸ナトリウム、および80gのコメ加水分解物(FrieslandCampina DomoからのHyvital(登録商標)Rice CMA 500)を(乾燥状態で)ビーカーに入れ、十分に混合した。その後、撹拌を続けながら、この混合物に水800gを徐々に加えた。この溶液を50℃に加熱し、pHを(NaOHまたはKOHにより)8.5に調整した。PUFA塩(MEG-3(登録商標)4030EEオイルのNa塩)も50℃にまで加熱し、次いで、この加熱したPUFA塩を水溶液に加えた。スラリーを得た。こうして得られたスラリーを(GEA MOBILE MINORTMを使用して)噴霧乾燥し、入り口温度を150~180℃にセットし、出口温度を60~80℃前後に制御した。高流動性の粉末が得られた。
【0062】
[固体製剤の試験]
製造された固体製剤の貯蔵安定性を以下のように試験した。固体製剤を室温で貯蔵し、決められた貯蔵時間後に、経験豊富な熟練者の官能パネルにより製剤を評価した。このパネルの各人は、固体製剤の臭いを嗅ぎ、官能スケールの値をそれらに与えた。適用されたこの官能スケールの値は、0から15までである。0は無臭を意味し、15は極めて強いことを意味する。
【0063】
以下の組成物を試験する(成分量はグラム(g)で与えられる)。
【0064】
【表1】
【0065】
【表2】
【0066】
[製剤3および4:]
製剤は、実施例1で開示した方法にしたがって製造される。
【0067】
【表3】
【0068】
[官能結果]
【0069】
【表4】
【0070】
[製剤5および6:]
【0071】
【表5】
【0072】
[官能結果]
【0073】
【表6】
【0074】
[製剤7:]
【0075】
【表7】
【0076】
[官能結果]
【0077】
【表8】
【0078】
これらの評価試験から、本発明の固体製剤は、異なる(一般的、かつ広く使用されている)マトリックス材を用いて製造したものより、有意に優れていることが分かる。
【外国語明細書】