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特開2022-177148医療器具の圧縮の補償のためのシステムおよび方法
(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2022177148
(43)【公開日】2022-11-30
(54)【発明の名称】医療器具の圧縮の補償のためのシステムおよび方法
(51)【国際特許分類】
   A61B 34/35 20160101AFI20221122BHJP
   A61M 25/082 20060101ALI20221122BHJP
   A61M 25/092 20060101ALI20221122BHJP
   A61B 1/00 20060101ALI20221122BHJP
   A61B 1/045 20060101ALI20221122BHJP
【FI】
A61B34/35
A61M25/082 500
A61M25/092 500
A61B1/00 655
A61B1/045 623
A61B1/00 620
A61B1/00 552
【審査請求】有
【請求項の数】18
【出願形態】OL
【外国語出願】
(21)【出願番号】P 2022145960
(22)【出願日】2022-09-14
(62)【分割の表示】P 2019571227の分割
【原出願日】2018-06-27
(31)【優先権主張番号】15/640,277
(32)【優先日】2017-06-30
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
【公序良俗違反の表示】
(特許庁注:以下のものは登録商標)
1.QRコード
(71)【出願人】
【識別番号】518083032
【氏名又は名称】オーリス ヘルス インコーポレイテッド
(74)【代理人】
【識別番号】100088605
【弁理士】
【氏名又は名称】加藤 公延
(74)【代理人】
【識別番号】100130384
【弁理士】
【氏名又は名称】大島 孝文
(72)【発明者】
【氏名】グレイツェル,シャウンシー エフ.
(72)【発明者】
【氏名】パク,ジュン ギュ
(57)【要約】      (修正有)
【課題】いくつかの側面は、医療器具の細長いシャフトの圧縮を補償するシステムおよび技術に関する。
【解決手段】医療器具100は、作動時に圧縮が生じうる細長いシャフト101を有する。医療器具は、医療器具を動かしてこの圧縮を補償する器具位置決め装置115、135に取り付けることができる。例えば、器具位置決め装置は医療器具を前進させて、医療器具の細長いシャフトの圧縮を補償できる。いくつかの例では、圧縮量は、圧縮補償パラメータを使用して特定できる。圧縮補償パラメータは、医療器具の較正工程時に決定できる。
【選択図】図19C
【特許請求の範囲】
【請求項1】
ロボットシステムであって、
患者の管腔内に挿入されて使用される第1の医療器具であって、第1の細長いシャフトと、前記第1の細長いシャフトのプルワイヤベースの動きを生じさせるように作動する第1のプルワイヤと、前記第1のプルワイヤを作動させる第1の駆動入力部を有する第1の器具基部と、を有する第1の医療器具と、
前記第1の器具基部に取り付けられ、前記第1の医療器具を前記患者の前記管腔内を前進または後退させるように動作する第1の器具位置決め装置と、
実行可能な命令を記憶する少なくとも1つの非一時的なコンピュータ可読媒体と、
前記少なくとも1つの非一時的なコンピュータ可読媒体と通信する少なくとも1つのプロセッサであって、前記命令を実行して前記ロボットシステムに、少なくとも、
前記第1の細長いシャフトの軸圧縮を特定することと、
前記特定された前記第1の細長いシャフトの軸圧縮を補償するように前記第1の器具位置決め装置を動作させる距離を特定することと、
前記患者の前記管腔内において前記第1の医療器具の前記第1の細長いシャフトを前記特定された距離だけ前進または後退させるように前記第1の器具位置決め装置を動作させることと、
を実行させるプロセッサと、
を有することを特徴とするロボットシステム。
【請求項2】
前記第1の医療器具は、前記第1の細長いシャフトの動きを前記第1の細長いシャフトの軸圧縮と関連付ける圧縮補償パラメータを記憶する非一時的なコンピュータ可読媒体を含み、前記第1の細長いシャフトの動きは、前記第1の細長いシャフトの関節動作を含み、前記圧縮補償パラメータは前記第1の細長いシャフトの関節動作の角度を前記第1の細長いシャフトの圧縮の軸長さと関連付けることを特徴とする請求項1に記載のロボットシステム。
【請求項3】
前記関節動作の角度は、コマンド化された関節動作の角度を含むことを特徴とする請求項2に記載のロボットシステム。
【請求項4】
前記関節動作の角度は、測定された関節動作の角度を含むことを特徴とする請求項2に記載のロボットシステム。
【請求項5】
前記第1の細長いシャフトに配置された少なくとも1つの電磁センサをさらに有し、
前記測定された関節動作の角度は、前記電磁センサからの信号に基づいて特定される、ことを特徴とする請求項4に記載のロボットシステム。
【請求項6】
前記第1の細長いシャフト上に形状感知ファイバをさらに有し、
前記測定された関節動作の角度は、前記形状感知ファイバに基づいて特定される、
ことを特徴とする請求項4に記載のロボットシステム。
【請求項7】
前記圧縮補償パラメータは、張力センサによって測定された前記第1のプルワイヤの張力を前記第1の細長いシャフトの圧縮の軸長さと関連付けることを特徴とする請求項2に記載のロボットシステム。
【請求項8】
前記圧縮補償パラメータは、前記第1の細長いシャフトの変位を前記第1の細長いシャフトの圧縮の軸長さと関連付けることを特徴とする請求項2に記載のロボットシステム。
【請求項9】
前記圧縮補償パラメータは、前記第1の医療器具の較正工程時に特定されることを特徴とする請求項2に記載のロボットシステム。
【請求項10】
前記命令は、前記少なくとも1つのプロセッサに、前記第1の細長いシャフトのプルワイヤベースの動きを前記第1の細長いシャフトの軸圧縮に関連付ける圧縮補償パラメータを使用して、前記第1の細長いシャフトの前記軸圧縮を特定することを実行させることを特徴とする請求項1に記載のロボットシステム。
【請求項11】
前記第1の医療器具上のRFIDタグであって、前記圧縮補償パラメータを記憶するRFIDタグと、
前記少なくとも1つのプロセッサに接続されたRFIDリーダと、
をさらに有することを特徴とする請求項10に記載のロボットシステム。
【請求項12】
前記RFIDタグは、前記第1の器具基部に配置され、
前記RFIDリーダは、前記第1の器具位置決め装置に配置されている
ことを特徴とする請求項11に記載のロボットシステム。
【請求項13】
前記第1の医療器具は内視鏡を含むことを特徴とする請求項1に記載のロボットシステム。
【請求項14】
前記第1の医療器具はシースを含むことを特徴とする請求項1に記載のロボットシステム。
【請求項15】
前記第1の医療器具のワーキングチャネルを通って前記患者の前記管腔内に挿入される第2の医療器具であって、第2の細長いシャフトと、前記第2の細長いシャフトを関節動作するように作動する第2のプルワイヤと、前記第2のプルワイヤを作動させる第2の駆動入力部を有する第2の器具基部とを有する第2の医療器具と、
前記第2の医療器具に取り付けられ、前記第1の医療器具の前記ワーキングチャネル内において前記第2の医療器具を前進または後退させるように動作する第2の器具位置決め装置と、
を有し、
前記命令は、前記少なくとも1つのプロセッサに
前記第1の医療器具の前記ワーキングチャネル内において前記第2の医療器具の前記第2の細長いシャフトを前進または後退させるように前記第2の器具位置決め装置を動作させること
を実行させる
ことを特徴とする請求項1に記載のロボットシステム。
【請求項16】
前記命令は、前記少なくとも1つのプロセッサに
前記第2の細長いシャフトの軸圧縮を特定することと、
前記第1の医療器具の前記ワーキングチャネル内において前記第2の医療器具の前記第2の細長いシャフトを前進または後退させて、前記第2の細長いシャフトの前記特定された軸圧縮を補償するように前記第2の器具位置決め装置を動作させることと、
を実行させる
ことを特徴とする請求項15に記載のロボットシステム。
【請求項17】
前記命令は、前記少なくとも1つのプロセッサに
前記第1の医療器具の前記ワーキングチャネル内において前記第2の医療器具の前記第2の細長いシャフトを前進または後退させて、前記第1の細長いシャフトの前記特定された軸圧縮を補償するように前記第2の器具位置決め装置を動作させること、
を実行させる
ことを特徴とする請求項15に記載のロボットシステム。
【請求項18】
ロボットシステムであって、
患者の管腔内に挿入されて使用される第1の医療器具であって、第1の細長いシャフトと、前記第1の細長いシャフトのプルワイヤベースの動きを生じさせるように作動する第1のプルワイヤと、前記第1のプルワイヤを作動させる第1の駆動入力部を有する第1の器具基部と、を有する第1の医療器具と、
前記第1の器具基部に取り付けられ、前記第1の医療器具を前記患者の前記管腔内を前進または後退させるように動作する第1の器具位置決め装置と、
実行可能な命令を記憶する少なくとも1つの非一時的なコンピュータ可読媒体と、
前記少なくとも1つの非一時的なコンピュータ可読媒体と通信する少なくとも1つのプロセッサであって、前記命令を実行して前記ロボットシステムに、少なくとも、
コマンド化されたプルワイヤベースの動きを受信し、前記第1の細長いシャフトを関節動作させることと、
プルワイヤベースの動きを軸圧縮に関連付ける圧縮補償パラメータを使用して、前記コマンド化されたプルワイヤベースの動きによって引き起こされると予想される前記第1の細長いシャフトの軸圧縮を特定し、前記圧縮補償パラメータがメモリに記憶されることと、
前記特定された前記第1の細長いシャフトの軸圧縮を補償するように前記第1の器具位置決め装置を動作させる距離を特定することと、
前記患者の前記管腔内において前記第1の医療器具の前記第1の細長いシャフトを前記特定された距離だけ前進または後退させるように前記第1の器具位置決め装置を動作させながら、前記コマンド化されたプルワイヤベースの動きを実行させることと、
を実行させるプロセッサと、
を有することを特徴とするロボットシステム。
【発明の詳細な説明】
【関連出願の相互参照】
【0001】
本願は、2017年6月30日出願の米国特許出願15/640,277号の利益を主張し、その開示全体を参照により援用する。
【技術分野】
【0002】
本件開示のシステムおよび方法は医療器具に関し、より具体的には、医療器具の細長いシャフトの圧縮を補償するシステムおよび方法に関する。
【背景技術】
【0003】
医療手技には、診断目的または治療目的で患者の内部にアクセスしたり可視化したりすることが含まれる。例えば、内視鏡検査には、患者の管腔(気道など)の内部にアクセスしたり可視化したりすることが含まれる。別の例として、腹腔鏡検査には、患者の内腔にアクセスしたり可視化したりすることが含まれる。手技時には、例えばスコープなどの医療器具が、患者の体腔内に挿入され、別の器具がスコープを通って診断および/または治療のために特定された組織部位に導かれる。
【0004】
いくつかの例では、医療器具は、患者の内部にナビゲートするよう操縦可能または関節動作可能な細長いシャフト(または全体として細長い本体)を含むことができる。いくつかの例では、医療器具は、ロボットによる制御が可能である。
【発明の概要】
【0005】
本件開示のシステム、方法および装置には、それぞれいくつかの革新的な側面があり、いずれも本明細書に開示する所望の特徴を単独で担うものではない。
【0006】
いくつかの例では、医療器具は、患者の体内に挿入されるように構成された細長いシャフトを有する。複数の細長いシャフトは、患者内でナビゲートされるように関節動作可能である。細長いシャフトは、複数の細長いシャフトを関節動作するよう作動するプルワイヤを有することができる。プルワイヤベースの動作(例えば、プルワイヤを作動させることで生じる動作)により、細長いシャフトの予期しない圧縮(例えば、軸圧縮)が生じる可能性がある。本件開示のシステムおよび方法は、そのような圧縮を補償するように、当該圧縮の量を決定して器具の位置決め装置(例えば、ロボットアーム)を用いて医療器具を移動(例えば、前進)することで、圧縮の補償を行うことができる。
【0007】
いくつかの例では、医療器具の細長いシャフトの圧縮を決定するために圧縮補償パラメータが使用される。圧縮補償パラメータは、プルワイヤベースの動作の特性(例えば、プルワイヤの張力、プルワイヤの変位、アクチュエータの変位、指示された関節動作の角度、測定された関節動作の角度など)を軸圧縮に関連付けることができる。圧縮補償パラメータは、医療器具の較正処理時に決定することができる。圧縮補償パラメータは、医療器具のメモリ(例えば、非一時的なコンピュータ可読媒体)に記憶することができる。
【0008】
したがって、本件開示の第1の側面は、医療器具に関する。この医療器具は、近位部分と遠位部分との間を延伸する細長いシャフトを有する。細長いシャフトは、患者の管腔内に挿入されて使用される。この医療器具は、細長いシャフトの近位部分に接続された器具基部を有する。器具基部は、ロボットアームへの取り付けを支援する取り付け機構を有する。この医療器具は、細長いシャフトの動きを細長いシャフトの軸圧縮と関連付ける圧縮補償パラメータを記憶する非一時的なコンピュータ可読媒体を有する。この医療器具は、細長いシャフトの遠位部分に接続されたプルワイヤを有する。プルワイヤは、遠位部分と器具基部に配置された駆動入力部との間を細長いシャフトに沿って延伸する。駆動入力部は、記憶された圧縮補償パラメータに少なくとも部分的に基づいて細長いシャフトの動きを生じさせるようにプルワイヤを作動させる。
【0009】
第1の側面に係る医療器具は、以下の1つまたは特徴を有してもよい:(a)前記細長いシャフトの動きは、前記細長いシャフトの関節動作を含み、前記圧縮補償パラメータは前記細長いシャフトの関節動作の角度を前記細長いシャフトの圧縮の軸長さと関連付ける;(b)前記関節動作の角度は、コマンド化された関節動作の角度を含む;(c)前記関節動作の角度は、測定された関節動作の角度を含む;(d)前記細長いシャフトに配置された少なくとも1つの電磁センサをさらに有し、
前記測定された関節動作の角度は、前記電磁センサからの信号に基づいて特定される;(e)前記細長いシャフト上に形状感知ファイバをさらに有し、前記測定された関節動作の角度は、前記形状感知ファイバに基づいて特定される;(f)前記プルワイヤに接続された少なくとも1つの張力センサをさらに有する;(g)前記圧縮補償パラメータは、前記張力センサによって測定された前記プルワイヤの張力を前記細長いシャフトの圧縮の軸長さと関連付ける;(h)前記圧縮補償パラメータは、前記プルワイヤの変位を前記細長いシャフトの圧縮の軸長さと関連付ける;(i)前記駆動入力部は、プーリを有し、前記圧縮補償パラメータは、前記プーリの回転を前記細長いシャフトの圧縮の軸長さと関連付ける;(j)前記駆動入力部は、レバー、止め金、クランク、カムの少なくとも1つを有する;(k)前記駆動入力部は、線形駆動入力部を有し、前記圧縮補償パラメータは、前記線形駆動入力部の一部の直線変位を前記細長いシャフトの圧縮の軸長さと関連付ける;(l)前記圧縮補償パラメータは、前記医療器具の較正工程時に特定される;(m)前記非一時的なコンピュータ可読媒体は、無線自動識別(RFID)タグを含む;(n)前記RFIDタグは、前記器具基部に配置されている;(o)前記RFIDタグは、前記ロボットアームのRFIDリーダによって作動されると、前記圧縮補償パラメータを伝送する;(p)前記細長いシャフトは内視鏡を含む;(q)前記細長いシャフトはシースを有し、前記シースは前記シースを通って形成されたチャネルを有し、前記チャネルは前記シースの軸に沿って延伸する;および/または(r)1つまたは複数の追加のプルワイヤをさらに有する。
【0010】
第2の側面では、本件開示はロボットシステムに関する。このロボットシステムは、患者の管腔内に挿入されて使用される第1の医療器具を有する。第1の医療器具は、第1の細長いシャフトと、第1の細長いシャフトのプルワイヤベースの動きを生じさせるように作動する第1のプルワイヤと、第1のプルワイヤを作動させる第1の駆動入力部を有する第1の器具基部と、を有する。このシステムは、第1の器具基部に取り付けられ、第1の器具を患者の管腔内を前進または後退させるように動作する第1の器具位置決め装置を有する。このシステムは、実行可能な命令を記憶する少なくとも1つの非一時的なコンピュータ可読媒体を有する。このシステムは、前記少なくとも1つの非一時的なコンピュータ可読媒体と通信する少なくとも1つのプロセッサであって、前記命令を実行して前記システムに前記第1の細長いシャフトの軸圧縮を特定することと、前記患者の前記管腔内において前記第1の器具の前記第1の細長いシャフトを前進または後退させて、前記特定された前記第1の細長いシャフトの軸圧縮を補償するように前記第1の器具位置決め装置を動作させることと、を実行させる。
【0011】
第2の側面に係るロボットシステムは、以下の1つまたは特徴を有してもよい:(a)前記命令は、前記少なくとも1つのプロセッサに、前記第1の細長いシャフトのプルワイヤベースの動きを前記第1の細長いシャフトの軸圧縮に関連付ける圧縮補償パラメータを使用して、前記第1の細長いシャフトの前記軸圧縮を特定することを実行させる;(b)前記プルワイヤベースの動きは、前記細長いシャフトの関節動作を生じさせ、前記圧縮補償パラメータは、前記細長いシャフトの関節動作の角度を前記細長いシャフトの圧縮の軸長さに関連付ける;(c)前記関節動作の角度は、コマンド化された関節動作の角度を含む;(d)前記関節動作の角度は、測定された関節動作の角度を含む;(e)前記第1の細長いシャフトに配置された少なくとも1つの電磁センサをさらに有し、前記測定された関節動作の角度は、電磁センサからの信号に基づいて特定される;(f)前記第1の細長いシャフト上に形状感知ファイバをさらに有し、前記測定された関節動作の角度は、前記形状感知ファイバに基づいて特定される;(g)前記圧縮補償パラメータは、前記第1の医療器具の較正工程時に特定される;(h)前記第1の医療器具上のRFIDタグであって、前記圧縮補償パラメータを記憶するRFIDタグと、前記少なくとも1つのプロセッサに接続されたRFIDリーダと、をさらに有する;(i)前記RFIDタグは、前記第1の器具基部に配置され、前記RFIDリーダは、前記第1の器具位置決め装置に配置されている;(j)前記第1の医療器具は内視鏡を含む;(k)前記第1の医療器具はシースを含む;(l)前記第1の器具のワーキングチャネルを通って前記患者の前記管腔内に挿入される第2の医療器具であって、第2の細長いシャフトと、前記第2の細長いシャフトを関節動作するように作動する第2のプルワイヤと、前記第2のプルワイヤを作動させる第2の駆動入力部を有する第2の器具基部とを有する第2の医療器具と、前記第2の器具に取り付けられ、前記第1の器具の前記ワーキングチャネル内において前記第2の器具を前進または後退させるように動作する第2の器具位置決め装置と、を有し、前記命令は、前記少なくとも1つのプロセッサに前記第1の器具の前記ワーキングチャネル内において前記第2の医療器具の前記第2の細長いシャフトを前進または後退させるように前記第2の器具位置決め装置を動作させることを実行させる;(m)前記命令は、前記少なくとも1つのプロセッサに前記第2の細長いシャフトの軸圧縮を特定することと、前記第1の医療器具の前記ワーキングチャネル内において前記第2の医療器具の前記第2の細長いシャフトを前進または後退させて、前記第2の細長いシャフトの前記特定された軸圧縮を補償するように前記第2の器具位置決め装置を動作させることと、を実行させる(n)前記命令は、前記少なくとも1つのプロセッサに前記第1の医療器具の前記ワーキングチャネル内において前記第2の器具の前記第2の細長いシャフトを前進または後退させて、前記第1の細長いシャフトの前記特定された軸圧縮を補償するように前記第2の器具位置決め装置を動作させること、を実行させる;および/または(o)前記第1の器具はシースを含み、前記第2の器具は内視鏡を含む。
【0012】
本件開示の第3の側面では、ロボットシステムは、患者の管腔内に挿入されて使用される第1の医療器具を有する。第1の医療器具は、第1の細長いシャフトと、第1の細長いシャフトを関節動作するように作動する第1のプルワイヤと、第1のプルワイヤを作動させる第1の駆動入力部を有する第1の器具基部と、を有する。第1の器具位置決め装置が、第1の器具基部に取り付けられ、第1の医療器具を患者の管腔内を前進または後退させるように動作する。このロボットシステムは、第1の医療器具のワーキングチャネルを通って患者の管腔内に挿入される第2の器具を有する。第2の器具は、第2の細長いシャフトと、第2の細長いシャフトを関節動作するように作動する第2のプルワイヤと、第2のプルワイヤを作動させる第2の駆動入力部を有する第2の器具基部とを有する。第2の器具位置決め装置が、第2の器具基部に取り付けられ、第1の器具の前記ワーキングチャネル内において第2の器具を前進または後退させるように動作する。このシステムは、実行可能な命令を記憶する少なくとも1つの非一時的なコンピュータ可読媒体と、少なくとも1つの非一時的なコンピュータ可読媒体と通信する少なくとも1つのプロセッサであって、命令を実行してシステムに少なくとも第1の細長いシャフトの軸圧縮を特定することと、患者の管腔内において第1の医療器具の第1の細長いシャフトを前進させて、特定された第1の細長いシャフトの軸圧縮の第1の部分を補償するように第1の器具位置決め装置を動作させることと、第1の器具のワーキングチャネル内において第2の医療器具の第2の細長いシャフトを前進させて、特定された第1の細長いシャフトの軸圧縮の第2の部分を補償するように第2の器具位置決め装置を動作させることと、を実行させるプロセッサと、を有する。第2の部分は第1の部分よりも大きい。
【0013】
第4の側面では、ロボットシステムは、患者の管腔内に挿入されて使用される第1の医療器具を有する。第1の医療器具は、第1の細長いシャフトと、第1の細長いシャフトを関節動作するように作動する第1のプルワイヤと、第1のプルワイヤを作動させる第1の駆動入力部を有する第1の器具基部と、を有する。第1の器具位置決め装置が、第1の器具基部に取り付けられ、第1の医療器具を患者の管腔内を前進または後退させるように動作する。このシステムは、第1の医療器具のワーキングチャネルを通って患者の管腔内に挿入される第2の器具を有する。第2の器具は、第2の細長いシャフトと、第2の細長いシャフトを関節動作するように作動する第2のプルワイヤと、第2のプルワイヤを作動させる第2の駆動入力部を有する第2の器具基部とを有する。第2の器具位置決め装置が、第2の器具基部に取り付けられ、第1の器具のワーキングチャネル内において第2の器具を前進または後退させるように動作する。このシステムは、実行可能な命令を記憶する少なくとも1つの非一時的なコンピュータ可読媒体と、少なくとも1つの非一時的なコンピュータ可読媒体と通信する少なくとも1つのプロセッサであって、命令を実行してシステムに少なくとも第2の細長いシャフトの軸圧縮を特定することと、患者の管腔内において第1の医療器具の第1の細長いシャフトを前進させて、特定された第2の細長いシャフトの軸圧縮の第1の部分を補償するように第1の器具位置決め装置を動作させることと、第1の器具のワーキングチャネル内において第2の医療器具の第2の細長いシャフトを前進させて、特定された第2の細長いシャフトの軸圧縮の第2の部分を補償するように第2の器具位置決め装置を動作させることと、を実行させるプロセッサと、を有する。第2の部分は第1の部分よりも大きい。
【0014】
本件開示の第5の側面では、命令が記憶された非一時的なコンピュータ可読記憶媒体は、命令が実行されると、装置のプロセッサに少なくとも第1の医療器具の細長いシャフトのプルワイヤベースの動きを示す情報と圧縮補償パラメータとに少なくとも部分的に基づいて、第1の器具の第1の細長いシャフトの軸圧縮を特定することと、第1の細長いシャフトの軸圧縮を補償するように、第1の医療器具に接続された第1の器具位置決め装置を作動させることと、を実行させる。
【0015】
第5の側面に係る非一時的なコンピュータ可読記憶媒体は、以下の1つまたは特徴を有してもよい:(a)前記プルワイヤベースの動きを示す前記情報は、前記第1の医療器具のコマンド化された関節動作を示す情報を含む;(b)前記プルワイヤベースの動きを示す前記情報は、前記第1の医療器具の測定された関節動作を示す情報を含む;(c)前記圧縮補償パラメータは、前記第1の医療器具の較正工程時に特定される;(d)前記圧縮補償パラメータは、前記第1の細長いシャフトの関節動作の角度を前記第1の細長いシャフトの圧縮の軸長さに関連付ける;(e)前記圧縮補償パラメータは、前記第1の器具のプルワイヤの張力を前記第1の細長いシャフトの圧縮の軸長さに関連付ける;(f)前記圧縮補償パラメータは、前記第1の器具のプルワイヤの変位を前記第1の細長いシャフトの圧縮の軸長さに関連付ける;(g)前記圧縮補償パラメータは、前記第1の器具のプルワイヤに取り付けられたプーリの回転を前記第1の細長いシャフトの圧縮の軸長さに関連付ける;および/または(h)前記命令が実行されると、装置のプロセッサに前記第1の関節動作可能な医療器具の前記細長いシャフトを患者の管腔内に進行させるように、前記第1の器具位置決め装置を動作させること、を実行させる。
【0016】
本件開示の第6の側面では、関節動作可能な細長いシャフトを有する医療器具を較正する方法は、細長いシャフトを第1の位置に移動するプルワイヤベースの動きを特定することと、細長いシャフトが第1の位置にある状態で、細長いシャフトの軸圧縮を特定することと、第1の位置を特定された軸圧縮に関連付けることによって、細長いシャフトの圧縮補償パラメータを特定することと、を含む。
【0017】
第6の側面に係る方法は、以下の1つまたは特徴を有してもよい:(a)前記細長いシャフトを前記第1の位置に向かって関節動作させることを含む;(b)前記細長いシャフトを関節動作させることは、前記細長いシャフトの遠位部分に接続されたプルワイヤの張力を調節することを含む;(c)前記プルワイヤベースの動きを特定することは、前記プルワイヤの張力を測定することを含む;(d)前記細長いシャフトの遠位部分に1つまたは複数の空間キャップを取り付けることであって、前記1つまたは複数の空間キャップは、前記細長いシャフトの前記遠位部分の位置および向きに関する空間データを提供する、こと、をさらに含み、前記プルワイヤベースの動きを特定することは、前記空間データを分析することを含む;(e)前記軸圧縮を特定することは、前記空間データを分析することを含む;(f)前記細長いシャフトは、前記細長いシャフトの前記遠位部分の位置および向きに関する空間データを提供する位置センサを有し、前記プルワイヤベースの動きを特定することは、前記空間データを分析することを含む;(g)前記軸圧縮を特定することは、前記空間データを分析することを含む;(h)前記1つまたは複数の空間キャップは、1つまたは複数の電磁センサを有する;(i)前記軸圧縮を特定することは、前記細長いシャフトの長さを測定することを含む;(j)前記関節動作を特定することは、前記細長いシャフトの角度を測定することを含む;(k)前記圧縮補償パラメータを前記第1の医療器具の非一時的なコンピュータ可読媒体に記憶することをさらに含む。
【図面の簡単な説明】
【0018】
本件開示の側面について、添付の図面および表と共に以下に説明するが、例示であって開示の側面を限定するものではなく、同様の構成要素には同様の名称を付す。
【0019】
図1】気管支鏡検査手技の診断および/または治療用に構成されたカートベースの ロボットシステムの一実施形態を示す図である。
図2図1のロボットシステムの別の側面を示す図である。
図3】尿管鏡検査用に構成された図1のロボットシステムの一実施形態を示す図で ある。
図4】血管手技用に構成された図1のロボットシステムの一実施形態を示す図であ る。
図5】気管支鏡検査手技用に構成されたテーブルベースのロボットシステムの一実 施形態を示す図である。
図6図5のロボットシステムの代替の図である。
図7】ロボットアームを収容するように構成されたシステムの一例を示す図である 。
図8】尿管鏡検査用に構成されたテーブルベースのロボットシステムの一実施形態 を示す図である。
図9】腹腔鏡検査用に構成されたテーブルベースのロボットシステムの一実施形態 を示す図である。
図10】ピッチ調整または傾き調整された図5~9のテーブルベースのロボットシ ステムの一実施形態を示す図である。
図11図5~10のテーブルベースのロボットシステムのテーブルとカラムとの 間の接続機構の詳細図である。
図12】例示的な器具駆動部を示す図である。
図13】組になった器具駆動部を有する例示的な医療器具を示す図である。
図14】駆動ユニットの軸が器具の細長いシャフトの軸と平行である、器具駆動部 および器具の代替の設計を示す図である。
図15】実施形態の一例における、図13や14の器具の位置など、図1~10の ロボットシステム1つまたは複数の要素の位置を推定する位置決めシステムを示すブ ロック図である。
図16A】医療器具の細長いシャフトの一実施形態を示す図である。
図16B】プルワイヤベースの動作の例によって生じる軸圧縮が発生した図16A の医療器具の細長いシャフトを示す図である。
図16C】プルワイヤベースの動作の別の例によって生じる軸圧縮が発生した図1 6Aの医療器具の細長いシャフトを示す図である。
図17A】器具位置決め装置の一実施形態と関節動作する図16Aの医療器具を示 す図である。
図17B】医療器具のプルワイヤベースの動作によって生じる軸圧縮を補償するよ うに動作する図17Aの器具位置決め装置の一例を示す図である。
図17C】医療器具のプルワイヤベースの動作によって生じる軸圧縮を補償するよ うに動作する図17Aの器具位置決め装置の一例を示す図である。
図18】医療器具の圧縮を補償する方法の例を示すフローチャートである。
図19A】第1の医療器具のワーキングチャネル内で入れ子になる第2の医療器具 の一例を示す図である。
図19B】プルワイヤベースの動作によって生じる第1および第2の医療器具の軸 圧縮の例を示す図である。
図19C】第1の医療器具および第2の医療器具にそれぞれ連結された第1の器具 位置決め装置および/または第2の器具位置決め装置を動作させることによって図1 9Bに示す軸圧縮を補償することができることを示す図である。
図20】軸圧縮を補償する器量器具の一実施形態を示す図である。
図21】医療器具の軸圧縮を補償するシステムの一実施形態のブロック図である。
図22】医療器具を較正する方法の例を示すフローチャートである。
【発明を実施するための形態】
【0020】
(1.はじめに)
本件開示の側面は、腹腔鏡検査などの低侵襲の手技や内視鏡検査などの非侵襲の手技を含む種々の医療手技を実行可能なロボット対応医療システムに組み込むことができる。内視鏡検査の手技においては、本システムは、気管支鏡検査、尿管鏡検査、消化器病検査などを実行することができる。
【0021】
本システムは、さまざまな手技を実行できることに加えて、術者を支援する強化された画像取得や誘導など、追加の利点を提供することができる。また、本システムは、扱いにくいアームの動きや位置などに対応する必要なく、人工工学による位置から手技を行うことが可能な機能を術者に提供することができる。さらに、本システムは、システムの1つまたは複数の器具を1人のユーザで制御可能な使いやすさが向上した手技を行うことが可能な機能を術者に提供することができる。
【0022】
以下に、例示目的の図面とともに種々の実施形態について説明する。開示の技術的思想のその他多数の実装が可能であり、さまざまな利点が開示の実装と共に得られる。また、ここには、参照用および多数の節の位置がわかるように見出しが含まれている。これらの見出しは、見出しが示す技術思想の範囲を制限するものではない。それぞれの技術思想は本明細書全体にわたって適用されてよい。
【0023】
(A.ロボットシステム-カート)
ロボット対応医療システムは、特定手技に応じてさまざまに構成することができる。図1は、気管支鏡検査の診断手技および/または治療樹技用に配置されたカートベースのロボット対応システム10の一実施形態を示す。気管支検査時に、システム10は、気管支鏡検査用の手技に特化した気管支鏡を自然開口部のアクセスポイント(この例ではテーブルに配置された患者の口など)に操作可能な内視鏡13などの医療器具を搬送して診断用の道具および/または治療用の道具を搬送するための、1つまたは複数のロボットアーム12を有するカート11を備える。図に示すように、カート11は、当該アクセスポイントにアクセスするために、患者の上半身に近い位置に配置されている。同様に、ロボットアーム12は、当該アクセスポイントに対して気管支鏡を配置するように作動可能である。図1に示す配置は、胃腸に関する(GI;gastro-intestinal)手技用の特別な内視鏡である胃鏡を用いた胃腸に関する手技を行うときにも使用できる。図2は、カートの一例である実施形態をより詳細に示す。
【0024】
引き続き図1を参照すると、カート11が適切に位置決めされると、ロボットアーム12は操縦可能な内視鏡13を患者に、ロボットにより、手動により、またはそれらの組み合わせにより挿入することができる。図示のように、操縦可能な内視鏡13は内側リーダ部分および外部シース部分などの少なくとも2つの入れ子式部分を備えることができ、各部分は器具ドライバ28のセットから別個の器具ドライバに結合され、各器具ドライバは個々のロボットアームの遠位端に結合される。リーダ部分をシース部分と同軸に整列させることを容易にする、器具ドライバ28のこの線形配置は、1つ以上のロボットアーム12を異なる角度および/または位置に操作することによって、空間内で再配置され得る「仮想レール」29を作成する。本明細書で説明する仮想レールは破線を使用して図示され、したがって、破線はシステムのいかなる物理的構造も示さない。仮想レール29に沿った器具ドライバ28の移動は外部シース部分に対して内側リーダ部分を入れ子式にし、または内視鏡13を患者から前進または後退させる。仮想レール29の角度は、臨床用途または医師の好みに基づいて、調整、移動、および旋回されてもよい。例えば、気管支鏡検査では、図示のような仮想レール29の角度および位置が内視鏡13を患者の口内に曲げることに起因する摩擦を最小限に抑えながら、内視鏡13への医師のアクセスを提供することの折衷案を表す。
【0025】
内視鏡13は、挿入後、ロボットシステムからの正確なコマンドを使用して、対象の目的地または手術部位に到達するまで、患者の気管および肺に向けられ得る。患者の肺ネットワークを通るナビゲーションを強化し、かつ/または所望の標的に到達するために、内視鏡13を操作して、外部シース部分から内側リーダ部分を入れ子式に延ばして、関節動作を強化し、曲げ半径を大きくすることができる。別個の器具ドライバ28の使用はまた、リーダ部分およびシース部分が、互いに独立して駆動されることを可能にする。
【0026】
例えば、内視鏡13は例えば、患者の肺内の病変または小結節などの標的に生検針を送達するように指示されてもよい。針は病理学者によって分析されるべき組織サンプルを得るために、内視鏡の長さにわたるワーキングチャネルに沿って展開され得る。病理学的結果に応じて、追加のツールが追加の生検のために、内視鏡のワーキングチャネルの下方に配置されてもよい。悪性である結節を同定した後、内視鏡13は、潜在的に癌性の組織を切除するためのツールを内視鏡的に送達し得る。いくつかの例において、診断および治療処置は、別々の手続で送達される必要があり得る。これらの状況では、内視鏡13はまた、基準を送達して、対象小結節の位置を「マーキング」するために使用され得る。他の例において、診断および治療処置は、同じ手順の間に送達され得る。
【0027】
システム10はまた、可動タワー30を含むことができ、このタワー30は、支持ケーブルを介してカート11に接続されて、カート11に対する制御、電子機器、流体工学、光学系、センサ、および/または電力のためのサポートを提供することができる。このような機能をタワー30内に配置することにより、より小さなフォームファクタのカート11が可能になり、これは、手術医師およびそのスタッフによって、より容易に調整および/または再配置され得る。さらに、カート/テーブルと支持タワー30との間の機能の分割は手術室の混乱を低減し、臨床作業の流れを改善することを容易にする。カート11を患者の近くに配置することができるが、タワー30は手技中に邪魔にならないように離れた場所に収容することができる。
【0028】
上述のロボットシステムのサポートにおいて、タワー30はコンピュータプログラム命令を、例えば、永続的磁気記憶ドライブ、ソリッドステートドライブなどの非一時的コンピュータ可読記憶媒体内に記憶するコンピュータベースの制御システムの構成要素を含むことができる。これらの命令の実行は、実行がタワー30またはカート11内で行われるかどうかにかかわらず、システム全体またはそのサブシステムを制御することができる。例えば、コンピュータシステムのプロセッサによって実行される場合、命令はロボットシステムの構成要素に、関連するキャリッジおよびアームマウントを作動させ、ロボットアームを作動させ、医療器具を制御させることができる。例えば、制御信号の受信に応答して、ロボットアームの関節内のモータは、アームを特定の姿勢に位置決めすることができる。
【0029】
タワー30はまた、内視鏡13を通して展開され得るシステムに制御された潅注および吸引能力を提供するために、ポンプ、流量計、弁制御、および/または流体アクセスを含み得る。これらの構成要素は、タワー30のコンピュータシステムを使用して制御することもできる。いくつかの実施形態では、洗浄および吸引能力が別個のケーブルを介して内視鏡13に直接送達されてもよい。
【0030】
タワー30はカート11にフィルタされ保護された電力を供給するように設計された電圧およびサージプロテクタを含むことができ、それによって、カート11内に電力変圧器および他の補助電力部品を配置することが回避され、その結果、より小さく、より可動性の高いカート11が得られる。
【0031】
タワー30はまた、ロボットシステム10全体に展開されるセンサのための支持装置を含むことができる。例えば、タワー30はロボットシステム10全体にわたって光学センサまたはカメラから受信したデータを検出し、受信し、処理するための光電子機器を含むことができる。制御システムと組み合わせて、このような光電子機器を使用して、タワー30を含むシステム全体に配置された任意の数のコンソールに表示するためのリアルタイム画像を生成することができる。同様に、タワー30は配置された電磁(EM;Electromagnetic)センサから受信された信号を受信し、処理するための電子サブシステムも含むことができる。タワー30はまた、医療器具内または医療器具上の電磁センサによる検出のために電磁場発生器を収容し、位置決めするために使用されてもよい。
【0032】
タワー30は、システムの残りの部分で利用可能な他のコンソール、例えばカートの頂部に取り付けられたコンソールに加えて、コンソール31を含むこともできる。コンソール31は、ユーザインタフェースと、医師の操作者のためのタッチスクリーンなどの表示画面とを含むことができる。システム10内のコンソールは一般に、ロボット制御と、内視鏡13のナビゲーションおよび位置決め情報などの手術前およびリアルタイム情報との両方を提供するように設計される。コンソール31が医師が利用できる唯一のコンソールではない場合、看護師のような第二の操作者によって、患者の健康状態や活動状態とシステムの動作を監視し、ナビゲーションおよび位置決め情報などの手続固有のデータを提供するために使用することができる。
【0033】
タワー30は、1つまたは複数のケーブルまたは接続部(図示せず)を介してカート11および内視鏡13に連結することができる。いくつかの実施形態では、タワー30からのサポート機能が単一のケーブルを介してカート11に提供されてもよく、手術室を単純化し、混乱を解消する。他の実施形態では、特定の機能が別個のケーブル配線および接続で結合されてもよい。例えば、単一の電力ケーブルを介してカートに電力を供給することができるが、制御、光学、流体、および/またはナビゲーションのための支持体は別個のケーブルを介して提供することができる。
【0034】
図2は、図1に示されたカートベースのロボット使用可能システムからのカートの実施形態の詳細図を提供する。カート11は全体として、細長い支持構造14(しばしば「カラム」と呼ばれる)、カート基部15、およびカラム14の上端部にコンソール16を含み、カラム14は、1つまたは複数のロボットアーム12(図2には3つが示されている)の展開を支持するためのキャリッジ17(あるいは「アーム支持体」)などの1つまたは複数のキャリッジを含むことができる。キャリッジ17は、患者に対してより良好に位置決めするためにロボットアーム12の基部を調整するために垂直軸に沿って回転する個別に構成可能なアームマウントを含むことができる。キャリッジ17はまた、キャリッジ17がカラム14に沿って垂直に移動することを可能にするキャリッジインタフェース19を含む。
【0035】
キャリッジインタフェース19は、キャリッジ17の垂直方向の移動を案内するためにカラム14の両側に配置されたスロット20のようなスロットを介してカラム14に接続されている。スロット20はキャリッジをカート基部15に対して種々の垂直高さに位置決めし、保持するための垂直移動インタフェースを含む。キャリッジ17の垂直移動は、カート11が様々なテーブル高さ、患者サイズ、および医師の好みに合うようにロボットアーム12の到達範囲を調整することを可能にする。同様に、キャリッジ17上の個々に構成可能なアームマウントは、ロボットアーム12のロボットアームベース21が様々な構成で角度付けされることを可能にする。
【0036】
いくつかの実施形態では、スロット20がキャリッジ17が垂直に移動するときに、カラム14の内部チャンバおよび垂直移動インタフェース内への汚れおよび流体の進入を防止するために、スロット表面と面一であり、かつ平行であるスロットカバーで補足されてもよい。スロットカバーは、スロット20の縦上端部および底部の近くに配置されたバネスプールの対を通して展開されてもよい。カバーはキャリッジ17が垂直に上下に平行移動するときに、展開されてそれらのコイル状態から伸縮するまで、スプール内でコイル状に巻かれる。スプールのばね荷重はキャリッジ17がスプールに向かって移動するときにカバーをスプール内に引っ込める力を提供し、一方、キャリッジ17がスプールから離れるように移動するときにも緊密な捺印を維持する。カバーは例えば、キャリッジ17が移動するときにカバーの適切な伸縮を確実にするために、キャリッジインタフェース19内の括弧を使用して、キャリッジ17に接続されてもよい。
【0037】
カラム14はユーザ入力、例えばコンソール16からの入力に応答して生成される制御信号に応答して機械的な方法でキャリッジ17を移動させるために、垂直に整列された親ねじを使用するように設計された、歯車およびモータなどの機構を内部に備えることができる。
【0038】
ロボットアーム12は一般に、一連のジョイント24によって接続された一連のリンク機構23によって分離されたロボットアーム基部21およびエンドエフェクタ22を備えることができ、各ジョイントは独立したアクチュエータを備え、各アクチュエータは独立して制御可能なモータを備える。各独立して制御可能なジョイントは、ロボットアームに利用可能な独立した自由度を表す。アーム12の各々は7つのジョイントを有し、したがって、7つの自由度を提供する。多数の関節は多数の自由度をもたらし、「冗長である」自由度を可能にする。冗長な自由度は、ロボットアーム12が異なる連結位置および関節角を使用して、空間内の特定の位置、向き、および軌道にそれぞれのエンドエフェクタ22を位置決めすることを可能にする。これにより、システムは医師が腕の関節を患者から離れた臨床的に有利な位置に移動させて、腕の衝突を回避して、より広いアクセス範囲を実現しながら、空間内の所望の位置から医療器具を位置決めしたり方向付けたりすることが可能になる。
【0039】
カート基部15は、床上のカラム14、キャリッジ17、およびアーム12の重量を釣り合わせる。したがって、カート基部15は、電子機器、モータ、電源などのより重い構成要素、ならびにカートの移動および/または固定のいずれかを可能にする構成要素を収容する。例えば、カート基部15は、手技の前にカートが部屋の周りを容易に移動することを可能にする、回転可能なホイール形状のキャスタ25を含む。適切な位置に到達した後、キャスタ25は、手続中にカート11を所定の位置に保持するためにホイールロックを使用して固定されてもよい。
【0040】
コンソール16はカラム14の垂直端部に配置されているので、ユーザ入力を受け取るためのユーザインタフェースと、医師ユーザに手術前および手術中の両方のデータを提供するための表示画面(または、例えば、タッチスクリーン26などの二重目的装置)との両方を可能にする。タッチスクリーン26上の潜在的な術前データは、術前計画、術前コンピュータ断層撮影(CT)スキャンから導出されたナビゲーションおよびマッピングデータ、および/または術前患者インタビューからの注を含むことができる。ディスプレイ上の手術中データは、器具から提供される光学情報、センサおよびセンサからの座標情報、ならびに呼吸、心拍数、および/または脈拍などの患者の活動統計を含むことができる。コンソール16は医師がキャリッジ17の反対側のカラム14の側からコンソールにアクセスすることができるように、配置され、傾斜されてもよい。この位置から、医師はカート11の背後からコンソール16を操作しながら、コンソール16、ロボットアーム12、および患者を見ることができる。図示のように、コンソール16はまた、カート11の操縦および安定化を補助するためのハンドル27を含む。
【0041】
図3は、尿管鏡検査のために配置されたロボット使用可能システム10の実施形態を示す。尿管鏡処置では、カート11が患者の尿道および尿管を横切るように設計された処置特有の内視鏡である尿管鏡32を患者の下腹部領域に送達するように配置されてもよい。尿管鏡検査では、尿管鏡32を患者の尿道と直接整列させて、領域内の繊細な解剖学的構造に対する摩擦および力を低減することが望ましい場合がある。図に示されるように、カート11はロボットアーム12が患者の尿道への直接的な線形アクセスのために尿管鏡32を位置決めすることを可能にするために、テーブルの足に整列され得る。テーブルの足から、ロボットアーム12は、尿管鏡32を仮想レール33に沿って尿道を通して患者の下腹部に直接挿入することができる。
【0042】
尿道への挿入後、気管支鏡検査におけるのと同様の制御手法を使用して、尿管鏡32は診断および/または治療用途のために、膀胱、尿管、および/または腎臓内にナビゲートされ得る。例えば、尿管鏡32は、尿管鏡32のワーキングチャネルの下に配置されたレーザまたは超音波砕石装置を用いて、尿管および腎臓に向けられて、腎結石の蓄積を破壊することができる。砕石術が完了した後、得られた結石断片は、尿管鏡32の下方に配置されたバスケットを用いて除去され得る。
【0043】
図4は、血管処置のために同様に配置されたロボット使用可能システムの実施形態を示す。血管処置では、システム10がカート11が操縦可能なカテーテルなどの医療器具34を患者の脚の大腿動脈内のアクセスポイントに送ることができるように構成することができる。大腿動脈はナビゲーションのためのより大きな直径と、患者の心臓への比較的遠回りで曲がりくねった経路との両方の特徴があり、このためナビゲーションを単純化できる。尿管鏡処置におけるように、カート11は、ロボットアーム12が患者の大腿/股関節領域における大腿動脈アクセスポイントへの直接的な線形アクセスを有する仮想レール35を提供することを可能にするように、患者の脚および下腹部に向かって配置され得る。動脈内への挿入後、医療器具34は、器具ドライバ28を移動させることによって方向付けられ、挿入されてもよい。あるいは、カートが例えば、肩および手首の近くの頸動脈および上腕動脈などの代替の血管アクセスポイントに到達するために、患者の上腹部の周りに配置されてもよい。
【0044】
(B.ロボットシステム-テーブル)
ロボット対応医療システムの実施形態はまた、患者のテーブルを組み込んでもよい。テーブルを組み込むことにより、カートを取り外すことによって手術室内の資本設備の量が減少し、患者へのアクセスがより大きくなる。図5は、気管支鏡検査手順のために配置されたそのようなロボット使用可能システムの実施形態を示す。システム36は、床の上にプラットフォーム38(「テーブル」または「ベッド」として示される)を支持するための支持構造または支柱37を含む。カートベースのシステムと同様に、システム36のロボットアーム39のエンドエフェクタは、図5の気管支鏡40などの細長い医療器具を、器具ドライバ42の直線的な位置合わせから形成された仮想レール41を通して、またはそれに沿って操作するように設計された器具ドライバ42を備える。実際には、X線透視画像を提供するためのCアームがテーブル38の周りにエミッタおよび検出器を配置することによって、患者の上腹部領域の上に配置され得る。
【0045】
図6は、説明のため患者および医療器具を除いたシステム36の代替図を示す。図示されているように、カラム37はシステム36内にリング形状として示されている1つ以上のキャリッジ43を含むことができ、このキャリッジを基に1つ以上のロボットアーム39を構成することができる。キャリッジ43はロボットアーム39が患者に到達するように配置され得る異なる視点を提供するために、カラム37の長さに沿って延びる垂直カラムインタフェース44に沿って移動してもよい。キャリッジ43は、カラム37内に配置された機械的モータを使用してカラム37の周りを回転して、ロボットアーム39がテーブル38の複数の側、例えば患者の両側にアクセスできるようにすることができる。複数のキャリッジを有する実施形態では、キャリッジがカラム上に個別に配置されてもよく、他のキャリッジとは独立して移動および/または回転してもよい。キャリッジ43はカラム37を取り囲む必要はなく、または円形である必要もないが、図示されるようなリング形状は構造的バランスを維持しながら、カラム37の周りのキャリッジ43の回転を容易にする。キャリッジ43の回転および移動により、システムは、内視鏡および腹腔鏡のような医療器具を患者の異なるアクセスポイントに整列させることができる。
【0046】
アーム39は、ロボットアーム39に追加の構成要素を提供するために個別に回転および/または入れ子式に延在することができる一連のジョイントを備える一組のアームマウント45を介してキャリッジに取り付けることができる。さらに、アームマウント45は、キャリッジ43が適切に回転されたときに、アームマウント45がテーブル38の同じ側(図6に示す)、テーブル38の反対側(図9に示す)、またはテーブル38の隣接する側(図示せず)のいずれかに配置されるように、キャリッジ43上に配置されてもよい。
【0047】
カラム37は構造的に、テーブル38を支持し、キャリッジを垂直方向に移動させるための経路を提供する。内部においては、カラム37がキャリッジの垂直移動を案内するためのリードスクリューと、リードスクリューに基づいて前記キャリッジの移動を機械化するためのモータとを備えることができる。カラム37はまた、キャリッジ43およびその上に取り付けられたロボットアーム39に電力および制御信号を伝達することができる。
【0048】
テーブル基部46は図2に示すカート11のカート基部15と同様の機能を果たし、テーブル/ベッド38、カラム37、キャリッジ43、およびロボットアーム39をバランスさせるためのより重い構成要素を収容する。テーブル基部46はまた、手続中の安定性を提供するために、硬性キャスタを組み込んでもよい。キャスタはテーブル基部46の下端から展開されて、基部46の両側で反対方向に延在し、システム36を移動させる必要があるときに後退することができる。
【0049】
引き続き図6を参照すると、システム36は、テーブルとタワーとの間でシステム36の機能を分割してテーブルのフォームファクタおよびバルクを低減するタワー(図示せず)を含むこともできる。上記の実施形態と同様に、タワーは、処理、計算、および制御能力、電力、流体工学、ならびに/または光学およびセンサ処理などの様々なサポート機能をテーブルに提供することができる。タワーはまた、医師のアクセスを改善し、手術室を煩雑にしないようにするために、患者から離れて配置されるように移動可能であってもよい。さらに、タワー内に部品を配置することにより、ロボットアームの潜在的な収納のためのテーブル基部内のより大きい収納スペースが実現する。タワーはまた、キーボードおよび/またはペンダントなどのユーザ入力のためのユーザインタフェースと、リアルタイム画像、ナビゲーション、および追跡情報などの術前および術中情報のための表示画面(またはタッチスクリーン)との両方を提供するコンソールを含むことができる。
【0050】
いくつかの実施形態では、テーブル基部が使用されていないときにロボットアームを収納し、格納することができる。図7は、テーブルベースのシステムの一実施形態においてロボットアームを収容するシステム47を示す。システム47では、キャリッジ48がロボットアーム50、アームマウント51、およびキャリッジ48を基部49内に収容するために、基部49内に垂直に移動させることができる。基地カバー52は、キャリッジ48、アームマウント51、およびアーム50を列53の近辺に展開するために移動されて開閉され、使用されていないときにそれらを保護するために閉じられてもよい。基部カバー52は、その開口部の縁部に沿って膜54で封止されて、閉鎖時の汚れおよび流体の進入を防止することができる。
【0051】
図8は、尿管鏡検査手順のために構成されたロボット使用可能なテーブルベースのシステムの実施形態を示す。尿管鏡検査では、テーブル38が患者をカラム37およびテーブル基部46から外れた角度に位置決めするための旋回部分55を含むことができる。旋回部分55は旋回部分55の下端を支柱37から離して位置決めするために、旋回点(例えば、患者の頭部の下に位置する)の周りで回転または旋回してもよい。例えば、旋回部分55の旋回は、Cアーム(図示せず)がテーブル38の下のカラム(図示せず)と空間を競合することなく、患者の下腹部の上に配置されることを可能にする。キャリッジ35(図示せず)を支柱37の周りに回転させることによって、ロボットアーム39は、尿管鏡56を仮想レール57に沿って患者の鼠径部に直接挿入して尿道に到達させることができる。尿管鏡検査では、処置中に患者の脚の位置を支持し、患者の鼠径部への明確なアクセスを可能にするために、スターラップ58をテーブル38の旋回部分55に固定することもできる。
【0052】
腹腔鏡処置では、患者の腹壁の小さな切開を通して、最小侵襲性器具(1つ以上の切開のサイズに適応するように細長い形状)が患者の解剖学的構造に挿入され得る。患者の腹腔を膨張させた後、しばしば腹腔鏡と呼ばれる器具は把持、切断、切除、縫合などの手術タスクを実行するように指示されてもよく、図9は腹腔鏡処置のために構成されたロボット使用可能なテーブルベースのシステムの実施形態を示す。図9に示されるように、システム36のキャリッジ43はテーブル38の両側にロボットアーム39の対を位置決めするように回転され、垂直に調整され、その結果、腹腔鏡59は患者の腹腔に到達するために患者の両側の最小切開部を通過するようにアームマウント45を使用して位置決めされ得る。
【0053】
腹腔鏡処置に適応するために、ロボット使用可能テーブルシステムは、プラットフォームを所望の角度に傾斜させることもできる。図10は、ピッチまたはチルト調整を有するロボット使用可能医療システムの実施形態を示す。図10に示すように、システム36は、テーブル38の傾斜に適応して、テーブルの一部分を床から他の部分よりも大きな距離に位置決めすることができる。さらに、アームマウント45はアーム39がテーブル38と同じ平面関係を維持するように、傾きに合わせて回転することができる。より急勾配の角度に適応するために、カラム37は、カラム37の垂直延長部がテーブル38が床に触れたり基部46と衝突したりしないようにする入れ子式部分60を含むこともできる。
【0054】
図11は、テーブル38とカラム37との間のインタフェースの詳細を示す。ピッチ回転機構61は、欄37に対するテーブル38のピッチ角を複数の自由度で変更するように構成されてもよい。ピッチ回転機構61はカラム・テーブル・インタフェースにおける直交軸1、2の位置決めによって可能にすることができ、各軸は、電気的なピッチ角コマンドに応答して各軸が別個のモータ3、4によって作動される。一方のねじ5に沿った回転は一方の軸1における傾斜調整を可能にし、他方のねじ6に沿った回転は、他方の軸2に沿った傾斜調整を可能にする。
【0055】
例えば、ピッチ調整は下腹部手術のために、テーブルをトレンデレンブルグ位置に位置決めしようとするとき、すなわち、患者の下腹部を患者の下腹部よりも床から高い位置に位置決めしようとするとき、特に有用である。トレンデレンブルグ位置は患者の内部器官を重力によって患者の上腹部に向かってスライドさせ、腹腔鏡前立腺切除術などの下腹部手術手技を開始して実行するための最小侵襲性ツール(minimally invasive tool)のために腹腔の空間を空ける。
【0056】
(C.器具ドライバとインタフェース)
システムのロボットアームのエンドエフェクタは、(1)医療器具を作動させるための電気機械的手段を組み込む器具ドライバ(あるいは「器具駆動機構」または「器具装置マニピュレータ」と呼ばれる)と、(2)モータなどの任意の電気機械的構成要素を削除できる取り外し可能または取り外し可能な医療器具とを備える。この二分法は、医療処置に使用される医療器具を滅菌する必要性、およびそれらの複雑な機械的アセンブリおよび繊細な電子機器のために高価な資本設備を適切に滅菌することができないことが起因となりうる。したがって、医療器具は医師または医師のスタッフによる個々の滅菌または廃棄のために、器具ドライバ(したがってシステム)から取り外し、取り外し、および交換されるように設計されてもよい。対照的に、器具ドライバは、交換または滅菌される必要はなく、保護のためにドレープで覆われてもよい。
【0057】
図12は、例示的な器具ドライバを示す。ロボットアームの遠位端に配置された器具ドライバ62は駆動シャフト64を介して医療器具に制御されたトルクを提供するために、平行軸に配置された1つ以上の駆動ユニット63を備える。各駆動ユニット63は器具と相互作用するための個々の駆動シャフト64と、モータシャフトの回転を所望のトルクに変換するためのギアヘッド65と、駆動トルクを生成するためのモータ66と、モータシャフトの速度を測定し、制御回路にフィードバックを提供するためのエンコーダ67と、制御信号を受信し、駆動ユニットを作動させるための制御回路68とを備える。各駆動ユニット63は独立して制御され、電動化されており、器具ドライバ62は、医療器具に複数(図12に示すように4つ)の独立した駆動出力を提供することができる。動作中、制御回路68は制御信号を受信し、モータ信号をモータ66に送信し、エンコーダ67によって測定された結果のモータ速度を所望の速度と比較し、モータ信号を変調して所望のトルクを生成する。
【0058】
無菌環境を必要とする手技では、ロボットシステムが器具ドライバと医療器具との間に位置する、無菌ドレープに接続された無菌アダプタなどの駆動インタフェースを組み込むことができる。無菌アダプタの主な目的は駆動シャフトと駆動入力との間の物理的分離、したがって無菌性を維持しながら、器具ドライバの駆動シャフトから器具の駆動入力に角運動を伝達することである。したがって、例示的な無菌アダプタは、器具ドライバの駆動シャフトおよび器具上の駆動入力と嵌合されることが意図される一連の回転入力および出力を備えてもよい。滅菌アダプタに接続された滅菌ドレープは透明または半透明プラスチックなどの薄い軟性材料からなり、器具ドライバ、ロボットアーム、およびカート(カートベースのシステム内)またはテーブル(テーブルベースのシステム内)などの資本設備を覆うように設計される。ドレープの使用は滅菌を必要としない領域(すなわち、非滅菌領域)に依然として配置されている間に、患者の近くに資本設備を配置することを可能にする。滅菌ドレープの反対側では、医療器具が滅菌を必要とする領域(すなわち、滅菌野)において患者と接触することができる。
【0059】
(D.医療器具)
図13は、組になった器具ドライバを有する例示的な医療器具を示す。ロボットシステムと共に使用するように設計された他の器具と同様に、医療器具70は、細長いシャフト71(または細長い本体)および器具基部72を備える。医師による手動操作向けの設計として「器具ハンドル」とも呼ばれる器具基部72は、全体として、ロボットアーム76の遠位端で器具ドライバ75上の駆動インタフェースを通って延びる駆動出力74と嵌合するように設計された、回転可能な駆動入力73、例えば、レセプタクル、プーリ、またはスプールを備えてもよい。物理的に接続され、ラッチされ、および/または連結されると、器具基部72の嵌合された駆動入力73は器具ドライバ75内の駆動出力74と回転軸を共有し、駆動出力74から駆動入力73へのトルクの伝達が可能になる。いくつかの実施形態では、駆動出力74が駆動入力73上のレセプタクルと嵌合するように設計されたスプラインを備えてもよい。
【0060】
細長いシャフト71は例えば、内視鏡検査におけるように、解剖学的な開口またはルーメン、または、例えば、腹腔鏡検査におけるように、最小侵襲性切開のいずれかを介して送られるように設計される。細長いシャフト66は軟性(例えば、内視鏡と同様の特性を有する)または硬性(例えば、腹腔鏡と同様の特性を有する)のいずれかであり得るか、または軟性部分および硬性部分の両方のカスタマイズされた組み合わせを含み得る。腹腔鏡検査用に設計される場合、硬性の細長いシャフトの遠位端は回転軸を有するUリンクと、器具ドライバ75の駆動出力74から受け取ったトルクに応答して駆動入力が回転するときにテンドンからの力に基づいて作動され得る、例えば、1つまたは複数の把持器などの手術用道具とから形成される接合手首を備えるエンドエフェクタに接続されてもよい。内視鏡検査用に設計される場合、可撓性の細長いシャフトの遠位端は、器具ドライバ75の駆動出力74から受け取られるトルクに基づいて関節動作および屈曲され得る、操縦可能または制御可能な屈曲部を含み得る。
【0061】
器具ドライバ75からのトルクは、シャフト71内のテンドンを使用して細長いシャフト71に伝達される。プルワイヤなどのこれらの個々のテンドンは、器具ハンドル72内の個々の駆動入力73に個々に固定することができる。ハンドル72から、テンドンは、細長いシャフト71内の1つ以上のプルルーメンに向けられ、細長いシャフト71の遠位部分に固定される。腹腔鏡検査では、これらのテンドンが手首、把持器、またはさみなどの遠位に取り付けられたエンドエフェクタに連結されてもよい。このような構成の下では、駆動入力73に及ぼされるトルクがテンドンに表面張力を伝達し、それによってエンドエフェクタを何らかの方法で作動させる。腹腔鏡検査では、テンドンは関節を軸の周りに回転させ、それによってエンドエフェクタを一指示または別の指示に移動させることができる。あるいはテンドンは細長いシャフト71の遠位端において、把持器の1つ以上の顎に接続され得、ここで、テンドンからの張力によって把持器が閉じる。
【0062】
内視鏡検査では、テンドンは接着剤、制御リング、または他の機械的固定を介して、細長いシャフト71に沿って(例えば、遠位端で)配置された屈曲または関節動作部に連結されてもよい。屈曲部の遠位端に固定して取り付けられると、駆動入力73に及ぼされるトルクがテンドンに伝達され、より柔軟性のある屈曲部(関節部または関節動作領域と呼ばれることもある)を屈曲または関節動作させる。非屈曲部に沿って、個々のテンドンを内視鏡シャフトの壁に沿って(または内側に)向ける個々のプルルーメンを螺旋状または螺旋状にして、プルワイヤの表面張力から生じる半径方向の力を釣り合わせることが効果的であり得る。スパイラルの角度および/またはそれらの間の間隔は特定の目的のために変更または設計されてもよく、スパイラルを緊密にすると荷重力下でのシャフト圧縮が小さくなり、一方、スパイラルを少なくすると荷重力下でのシャフト圧縮が大きくなるが限界曲げとなる。スペクトルの他端では、プルルーメンが細長いシャフト71の長手方向軸に平行に向けられて、所望の屈曲または関節動作可能な部分における制御された関節動作が可能となる。
【0063】
内視鏡検査では、細長いシャフト71がロボットシステム手続を補助するために、いくつかの構成要素を収容する。シャフトは、シャフト71の遠位端における手術領域に外科用ツール、潅注、および/または吸引を展開するためのワーキングチャネルを備えてもよい。シャフト71はまた、ワイヤおよび/または光ファイバを収容して、光学カメラを含み得る遠位先端の光学アセンブリへ/から信号を伝達し得る。シャフト71はまた、光ファイバを収容して、発光ダイオードなどの近位に位置する光源からシャフトの遠位端に光を運ぶことができる。
【0064】
器具70の遠位端において、遠位先端はまた、診断および/または治療、潅注、および吸引のためのツールを手術部位に送達するためのワーキングチャネルの開口部を備え得る。遠位先端はまた、内部解剖学的空間の画像を取得するために、ファイバースコープまたはデジタルカメラなどのカメラのためのポートを含んでもよい。関連して、遠位先端はまた、カメラを使用するときに解剖学的空間を照明するための光源のためのポートを含み得る。
【0065】
図13の例では駆動シャフト軸、したがって駆動入力軸は細長いシャフトの軸に直交する。しかしながら、この配置では、細長いシャフト71のロール機能が複雑になる。駆動入力73を静止状態に保ちながら、細長いシャフト71をその軸に沿って回転させると、テンドンが駆動入力73から延出して細長いシャフト71内のプルルーメンに入るときに、テンドンの望ましくない絡み合いが生じる。そのようなテンドンによって生じる絡み合いは、内視鏡手技時に可撓性の細長いシャフトの移動を予測することを目的とする任意の制御アルゴリズムの障害となり得る。
【0066】
図14は器具ドライバおよび器具の代替設計を示し、駆動ユニットの軸が器具の細長いシャフトの軸に平行である。図示のように、円形の器具ドライバ80は、ロボットアーム82の端部に平行に整列された駆動出力81を有する4つの駆動ユニットを備える。駆動ユニットおよびそれぞれの駆動出力81は、アセンブリ83内の駆動ユニットのうちの1つによって駆動される器具ドライバ80の回転アセンブリ83内に収容される。回転駆動ユニットによって提供されるトルクに応じて、回転アセンブリ83は、回転アセンブリ83を器具ドライバの非回転部分84に接続する円形ベアリングに沿って回転する。電気接点を介して器具ドライバ80の非回転部分84から回転アセンブリ83に電力および制御信号を伝達することができ、この信号は、ブラシ付きスリップリング接続(図示せず)による回転によって維持することができる。他の実施形態では、回転アセンブリ83が非回転部分84に一体化され、したがって他の駆動ユニットと平行ではない別個の駆動ユニットに応答することができる。回転機構83は、器具ドライバ80が器具ドライバ軸85の周りに単一のユニットとして、駆動ユニットおよびそれぞれの駆動出力81を回転させることができる。
【0067】
上記に開示した実施形態と同様に、器具86は、細長いシャフト部分88と、器具ドライバ80内の駆動出力81を受けるように構成された複数の駆動入力89(レセプタクル、プーリ、およびスプールなど)を備える器具基部87(説明のために透明な外皮と共に示されている)とを備えることができる。先に開示された実施形態とは異なり、器具シャフト88は、図13の設計におけるように直交するのではなく、駆動入力89の軸に実質的に平行な軸を有する器具基部87の中心から延伸する。
【0068】
器具ドライバ80の回転アセンブリ83に連結されると、器具基部87および器具シャフト88を備える医療器具86は、器具ドライバ軸85の周りで回転アセンブリ83と組み合わせて回転する。器具シャフト88は器具基部87の中心に配置されているので、器具シャフト88は取り付けられたとき、器具ドライバ軸85と同軸である。したがって、回転アセンブリ83の回転は、器具シャフト88をそれ自体の前後軸の周りに回転させる。さらに、器具基部87が器具シャフト88と共に回転するとき、器具基部87の駆動入力89に接続されたテンドンは、回転中に絡み合わない。したがって、駆動出力81、駆動入力89、および器具シャフト88の軸の平行性は、任意の制御テンドンの絡み合いを発生させることなく、シャフトを回転させることができる。
【0069】
(E.ナビゲーションと制御)
従来の内視鏡検査には、X線透視法(例えば、Cアームを介して送達され得るよう)および他の形態の放射線ベースの画像化モダリティの使用が含まれ、操作者の医師に管腔内ガイダンスが提供される。一方、本件開示によって実現されるロボットシステムは、放射線に対する医師の曝露を低減し、手術室内の機器の量を低減するために、非放射線ベースのナビゲーションおよび位置決め手段を提供する。本明細書で使用されるように、用語「位置決め」は、基準座標系における物体の位置を特定および/または監視することを指すことができる。術前マッピング、コンピュータビジョン、リアルタイム電磁追跡、およびロボットコマンドデータなどの技術は放射線を用いない運用環境を達成するために、個別に、または組み合わせて使用されてもよい。放射線ベースの画像モダリティが依然として使用される他の場合には、術前マッピング、コンピュータビジョン、リアルタイム電磁追跡、およびロボットコマンドデータは放射線ベースの画像モダリティによってのみ得られる情報を改善するために、個別に、または組み合わせて使用されてもよい。
【0070】
図15は、例示的な実施形態による、器具の位置など、ロボットシステムの1つまたは複数の要素の位置を推定する位置決めシステム90を示すブロック図である。位置決めシステム90は、1つまたは複数の命令を実行するように構成された1つまたは複数の計算装置のセットとすることができる。計算装置は、上述の1つまたは複数の構成要素内のプロセッサ(または複数のプロセッサ)およびコンピュータ可読メモリによって具現化され得る。限定ではなく例示として、計算装置は、図1に示すタワー30内や、図1~4に示すカート内や、図5~10に示すベッド内などに配置されてよい。
【0071】
図15に示すように、位置決めシステム90は、入力データ91~94を処理して医療器具の遠位先端の位置データ96を生成する位置決めモジュール95を含むことができる。位置データ96は、基準系に対する器具の遠位端の位置および/または向きを表すデータまたはロジックであってもよい。基準系は、患者の解剖学的構造、または電磁場発生器(電磁場発生器については以下の説明を参照)などの既知の物体に対する基準系とすることができる。
【0072】
ここで、さまざまな入力データ91~94についてより詳細に説明する。術前マッピングは、低線量CTスキャンの収集を使用することによって達成することができる。術前CTスキャンは2次元画像を生成し、各画像は、患者の内部解剖学的構造の破断図の「スライス」を表す。集合体で分析される場合、患者の肺ネットワークなどの患者の解剖学的構造の解剖学的空洞、空間、および構造のための画像ベースのモデルが生成され得る。中心線ジオメトリのような手法は、CT画像から決定され、近似されて、術前モデルデータ91と呼ばれる患者の解剖学的構造の3次元ボリュームを展開することができる。中心線ジオメトリの使用については、米国特許第14/523,760号に記載されており、その内容の全体を本願に援用する。また、ネットワークトポロジーモデルは、CT画像から導出されてもよく、気管支鏡検査に特に適している。
【0073】
いくつかの実施形態では、器具が視覚データ92を提供するためにカメラを装備することができる。位置決めモジュール95は1つまたは複数の視覚ベースの位置追跡を可能にするために、視覚データを処理することができる。例えば、手術前モデルデータは医療器具(例えば、内視鏡または内視鏡のワーキングチャネルを通る器具の前進)のコンピュータビジョンベースの追跡を可能にするために、ビジョンデータ92と共に使用されてもよい。例えば、手術前モデルデータ91を使用して、ロボットシステムは内視鏡の予想される移動経路に基づいてモデルから予想される内視鏡画像のライブラリを生成することができ、各画像はモデル内の位置にリンクされる。手術中に、このライブラリはカメラ(例えば、内視鏡の遠位端にあるカメラ)で取得されたリアルタイム画像を画像ライブラリ内の画像と比較して位置決めを補助するために、ロボットシステムによって参照されてもよい。
【0074】
他のコンピュータビジョンベースの追跡技術は、カメラ、したがって内視鏡の動きを決定するために特徴追跡を使用する。位置決めモジュール95のいくつかの特徴は解剖学的な管腔に対応する手術前モデルデータ91内の円形の幾何学的形状を識別し、それらの幾何学的形状の変化を追跡して、どの解剖学的な管腔が選択されたかや、カメラの相対的な回転および/または移動運動を決定することができる。トポロジーマップの使用によって、視覚ベースのアルゴリズムまたは方法をさらに強化することができる。
【0075】
別のコンピュータビジョンベースの技術であるオプティカルフローはカメラの動きを推測するために、ビジョンデータ92のビデオシーケンス内の画像画素の変位および移動を分析することができる。複数の反復にわたる複数のフレームの比較によって、カメラ(したがって、内視鏡)の移動および位置を決定することができる。
【0076】
位置決めモジュール95は、リアルタイム電磁追跡を使用して、手術前モデルによって表される患者の解剖学的構造に位置合わせすることができるグローバル座標系における内視鏡のリアルタイム位置を生成し得る。電磁追跡では医療器具(例えば、内視鏡ツール)の1つ以上の位置および向きに埋め込まれた1つ以上のセンサコイルを備える電磁センサトラッカ)は既知の位置に配置された1つ以上の静的電磁場発生器によって生成された電磁場の変動を測定する。電磁センサによって検出された位置情報は、電磁データ記憶される。電磁場発生器(または送信機)は埋め込まれたセンサが検出し得る低強度磁場を生成するために、患者の近くに配置され得る。磁界は電磁センサコイルに小さな電流をガイドし、この電流は、電磁センサと電磁界発生器との間の距離および角度を決定するために分析され得る。これらの距離および向きは、座標系内の単一の位置を患者の解剖学的構造の手術前モデル内の位置と整列させる幾何学的変換を決定するために、患者の解剖学的構造(例えば、手術前モデル)に対して手術中に「位置合わせ」されてもよい。一旦位置合わせされると、医療器具の1つ以上の位置(例えば、内視鏡の遠位先端)に埋め込まれた電磁追跡装置は、患者の解剖学的構造を通る医療器具の進歩のリアルタイムの指示を提供し得る。
【0077】
ロボットコマンドおよび運動学データ94はまた、ロボットシステムのための位置決めデータ96を提供するために、位置決めモジュール95によって使用されてもよい。関節動作コマンドから生じる装置ピッチおよびヨーは、手術前較正中に決定され得る。手術中に、これらの較正計量値は器具の位置を推定するために、既知の挿入デプス情報と組み合わせて使用されてもよい。あるいは、これらの計算がネットワーク内の医療器具の位置を推定するために、電磁、視覚、および/またはトポロジーモデリングと組み合わせて分析されてもよい。
【0078】
図15に示すように、多数の他の入力データを位置決めモジュール95によって使用することができる。例えば、図15には示されていないが、形状感知ファイバを用いる器具は、位置決めモジュール95が器具の位置および形状を決定するために使用する形状データを提供することができる。
【0079】
位置決めモジュール95は、入力データ91~94を組み合わせて使用することができる。場合によっては、このような組み合わせは位置決めモジュール95が入力データ91~94の各々から決定された位置に信頼性重みを割り当てる確率的アプローチを使用することができる。したがって、電磁データが信頼できない場合(電磁干渉がある場合のように)、電磁データ決定される位置の信頼性は低下する可能性があり、位置決めモジュール95は、視覚データ92および/またはロボットコマンドおよび運動学データ94により依存する可能性がある。
【0080】
上記の通り、本明細書で説明するロボットシステムは、上記の技術のうちの1つまたは複数の組合せを組み込むように設計することができる。タワー、ベッドおよび/またはカートに基づくロボットシステムのコンピュータベースの制御システムはコンピュータプログラム命令を、例えば、永続的磁気記憶ドライブ、ソリッドステートドライブなどの非一時的コンピュータ可読記憶媒体内に記憶することができ、これは、実行時に、システムにセンサデータおよびユーザコマンドを受信および分析させ、システム全体の制御信号を生成させ、グローバル座標系内の器具の位置、解剖学的マップなどのナビゲーションおよび位置決めデータを表示させる。
【0081】
(2.医療器具の圧縮補償)
本件開示の実施形態は、医療器具の圧縮を補償するためのシステムおよび方法に関する。医療器具は、関節動作する際に圧縮する細長いシャフトを有する。本明細書で説明するように、医療器具は、この圧縮を補償するために医療器具を移動させる器具位置決め装置に取り付けることができる。例えば、器具位置決め装置は、医療器具の細長いシャフトにおける圧縮を補償するために医療器具を前進させることができる。いくつかの実施形態では、圧縮量は、1つまたは複数の圧縮補償パラメータを使用して決定される。1つまたは複数の圧縮補償パラメータは、医療器具の較正中に決定することができる。
【0082】
図16Aは、医療器具100の細長いシャフト101の実施形態を示す。細長いシャフト101は、患者の体内に挿入して使用される。いくつかの実施形態では、細長いシャフト101は、例えば、腹腔鏡手技によって、患者の体腔内に挿入される。いくつかの実施形態では、細長いシャフト101は、例えば、内視鏡手技によって、患者の管腔(または管腔ネットワーク)内に挿入される。図17Aの実施形態に示すように、医療器具100は、医療器具100をロボットアームなどの器具位置決め装置115の器具ドライバ113に連結するように構成された器具基部111(またはハンドル)を含む。
【0083】
細長いシャフト101は、関節動作可能(または操縦可能)であってもよい。すなわち、操作者は、細長いシャフト101の姿勢、形状、および/または関節動作を制御することができる。これにより、操作者は、患者の体内で細長いシャフト101をガイドまたはナビゲートすることができる。いくつかの実施形態では、医療器具100は、上述のようにロボット制御可能である。遠隔操作者は、細長いシャフト101を操作(例えば、操縦、関節動作、挿入など)する器具位置決め装置に制御信号または入力を提供する。細長いシャフト101は、軟性あるいは屈曲可能な材料から形成することができる。図示の実施形態では、細長いシャフト101が遠位部分103と近位部分105との間に延在する。遠位部分103は、遠位先端を含む。遠位部分103は、細長いシャフト101の前端(すなわち、使用時に患者に挿入される端部)であってもよい。近位端105は、器具基部111に(取り外し可能にまたは永続的に)連結可能である(図17Aを参照)。
【0084】
医療器具100は、細長いシャフト101の1つ以上のセクションを通って延びるプルワイヤ(またはテンドン)を含む。上記の通り、プルワイヤは、細長いシャフト101の姿勢、形状、および/または関節動作を制御するように作動可能である。図示の実施形態では、2本のプルワイヤ107、109が細長いシャフト101を通って延伸している。図には2つのプルワイヤ107、109を示すが、医療器具100には他の本数のプルワイヤが含まれてよい。例えば、医療器具100は、1本、2本、3本、4本、5本、6本、またはそれ以上の本数のプルワイヤを含むことができる。図示の実施形態では、プルワイヤ107、109は細長いシャフト101を通って(すなわち、内部に)延伸する。別の例では、プルワイヤ107、109は細長いシャフト101の外側に沿って延びることができる。さらに、プルワイヤ107、109は細長いシャフト101を通って真っ直ぐに(すなわち、直線経路に沿って)延びるように図示されているが、他の実施形態ではプルワイヤ107、109は1つまたは複数のらせん状、コイル状、またはらせん状条を含むことができる。
【0085】
一例ではプルワイヤ107、109は細長いシャフト101の遠位端103に連結されてもよい。別の例(図示せず)ではプルワイヤ107、109は細長いシャフト101の遠位端103に対して近位に位置する位置に連結されてもよい。近位端105において、プルワイヤ107、109は、器具基部111内に延びることができる(図17A参照)。器具基部111内で、プルワイヤ107、109はプルワイヤ107、109を作動させる(すなわち、引っ張る、または引っ張る)ように構成された駆動入力(上述の駆動入力81など)に結合することができる。いくつかの実施形態では各プルワイヤ107、109は独立して動作可能な駆動入力に結合される。医療器具100が器具位置決め装置115の器具ドライバ113に結合されると、駆動入力は上述したように、器具位置決め装置115上の対応する駆動出力と係合する。駆動出力は、プルワイヤ107、109の作動をロボット制御するように駆動入力を作動させることができる。
【0086】
本件開示の全体にわたって説明するように、細長いシャフト101はさまざまな位置、姿勢、または形状によって関節動作または移動する際に、圧縮が発生する可能性がある。圧縮は、軸圧縮(すなわち、細長いシャフト101の長手方向軸に沿って測定される圧縮)である場合がある。圧縮は、プルワイヤに基づく動きに伴って発生する場合がある。すなわち、細長いシャフト101の関節動作、姿勢、および/または形状を制御するために、プルワイヤ107、109を作動させる(すなわち、引くあるいは張力を加える)ことによって、細長いシャフト101の圧縮が生じうる。
【0087】
場合によっては、細長いシャフト101の圧縮が望ましくないことがある。例えば、操作者は、細長いシャフト101の関節動作(例えば、屈曲)を命令する場合がある。しかしながら、命令された関節動作に加えて、細長いシャフト101に圧縮が発生し、細長いシャフト101の遠位端103の位置が、予期せぬまたは望ましくない位置となりうる。このことは、医療器具100を操作(例えば、ガイドまたは制御)しているときに、操作者に支障をきたしうる。これはまた、医療器具100の位置を駆動および/または監視するためのロボットナビゲーションシステムにおける不正確さにもつながりうる。例えば、ロボットナビゲーションシステムは、器具位置決め装置115からの遠隔測定データを使用して、体内の医療器具100の位置(例えば、遠位先端または遠位部分の位置)を特定または推定することができる。細長い本体の圧縮を考慮しないと、ロボットナビゲーションシステムが、医療器具100の位置を正確に特定または推定できない可能性がある。例えば、圧縮を考慮しない場合、ロボットナビゲーションシステムは、遠位先端が実際よりも長く体内に挿入されていると特定したり推定したりする可能性がある。
【0088】
図16Aは、初期状態または非圧縮状態の細長いシャフト101を示す。初期状態では、細長いシャフト101は、遠位端103と近位端105との間で測定される長さLを有する。以下に説明するように、細長いシャフト101の圧縮は、長さLの減少をもたらす。
【0089】
説明および明確化を容易にするため、医療器具100のさまざまな他の特徴は、図16Aでは省略されている。例えば、医療器具100は、ワーキングチャネル、撮像デバイス(例えば、1つ以上のカメラ)、空間センサ(例えば、位置センサ、向きセンサ)などを有してもよい。
【0090】
図16Bは、プルワイヤベースの動きの一例によって生じる軸圧縮を受ける医療器具100の細長いシャフト101を示す。図示された例では、力Fが図示された方向にプルワイヤ107に加えられている。図示されるように、力Fはプルワイヤ107の張力または変位を引き起こし、これは、図示されるように、細長いシャフト101を角度αに関節動作または屈曲させる。この種類のプルワイヤベースの動きは医療器具100を操縦または回転させるために、操作者によって使用され得る。角度αの細長いシャフト101の関節動作に加えて、プルワイヤ107の表面張力または変位は、細長いシャフト101の軸圧縮を発生させる。図示の実施形態では、細長いシャフト101の遠位部分103が図のように、距離Cだけ軸方向に圧縮または後退している。すなわち、細長いシャフト101の長さLは細長いシャフト101のプルワイヤに基づく移動(すなわち、角度αの関節動作)に応じて距離Cだけ減少する。上述のように、これは、細長いシャフト101の遠位部分103の位置ずれを発生させうる。この軸圧縮は望ましくない。
【0091】
図16Cは、プルワイヤベースの動きの別の例において生じる軸圧縮を受ける医療器具100の細長いシャフト101を示す。この例では、両方のプルワイヤ107、109が力Fによって同様に動作する。このように両方のプルワイヤ107、109が同様に作動されるので、細長いシャフト101は湾曲せずに圧縮する。図示の例では、細長いシャフト101の長さLが図示のように距離Cだけ軸圧縮されている。この種類のプルワイヤベースの動きは細長いシャフト101の剛性または感度を増加させるために、操作者によって使用され得る。しかしながら、場合によっては、操作者が細長いシャフト101の遠位部分103の位置を変えることなく、細長いシャフト101の剛性または感度を増大させたいときは、図16Cに示す軸圧縮が望ましくないこともある。
【0092】
以下にさらに詳細を説明するように、本件開示によれば、(例えば、図16Bおよび図16Cに示す)プルワイヤによる動きによって生じる軸圧縮は補償することで、細長いシャフト101を有する医療器具100の動きの精度向上や駆動の改善が期待できる。
【0093】
(B.圧縮の補償)
医療器具100の細長いシャフト101の圧縮は、連結された器具位置決め装置115(例えば、ロボットアーム)と共に医療器具100を動かす(例えば、前進または後退)することによって補償できる。例えば、(例えば、長手方向の軸に沿った)圧縮の範囲または量(例えば、長さ)を計算、特定、または推定することで、器具位置決め装置115が細長いシャフト101の遠位部分103を所望の位置に留まるように、医療器具100を所定長さ前進させることもできる。すなわち、器具位置決め装置115は、遠位部分103の軸圧縮がない場合の遠位部分103の位置に対応する位置となるように、圧縮量に対応する分だけ医療器具100を前進させることができる。
【0094】
図17Aは、器具位置決め装置115の実施形態に連結された医療器具100を示す。図示のように、医療器具100は、遠位部分103と近位部分105との間に延在する細長いシャフト101を含む。近位部分105は、器具基部111に(取り外し可能にまたは永続的に)連結される。器具基部111は、器具位置決め装置115の器具ドライバ113に連結される。図17Aには、器具位置決め装置115の一部のみが示されている。器具位置決め装置115は、図1~15に示すロボットアーム12、39、61のいずれかのロボットアームを有する。上記の通り、器具ドライバ113は、器具基部111内の駆動入力を作動させてプルワイヤ107、109を作動させるための駆動出力を有する。器具位置決め装置115は、医療器具100の細長いシャフト101を患者内に挿入(または前進)または後退させるように移動可能である。
【0095】
図17Bは、医療器具100のプルワイヤベースの移動によって生じる軸圧縮を補償するように移動するように構成された器具位置決め装置115の一例を示す。図17Bにおいて、細長いシャフト101は、細長いシャフト101の圧縮Cを生じさせる、図16Bに示して説明したプルワイヤに基づいて動く。図17Bの例に示されるように、器具位置決め装置115は図示された方向に距離Dだけ移動して(すなわち、細長いシャフト101を前進させて)、圧縮Cを補償することができ、図示された例では距離Dが圧縮Cの距離に等しく、その結果、遠位部分103が圧縮が存在しないとされる位置まで前進させられる。図示のように、細長いシャフト101は、圧縮Cを補償するために角度αで関節動作され、距離Dだけ前進させられる。
【0096】
図17Cは、医療器具100の別のタイプのプルワイヤベースの移動によって生じる軸圧縮を補償するように移動するように構成された器具位置決め装置115の一例を示す。図17Cにおいて、細長いシャフト101は、細長いシャフト101の圧縮Cを生じさせる、図16Cに示して説明したプルワイヤベースに基づいて動く。図17Cの例に示されるように、器具位置決め装置115は図示された方向に距離Dだけ移動して(すなわち、細長いシャフト101を前進させて)、圧縮Cを補償することができ、図示された例では距離Dが圧縮Cの距離に等しく、その結果、遠位部分103が圧縮が存在しないとされる位置まで前進させられる。
【0097】
図18は、医療器具100における圧縮を補償するための例示的な方法200を示すフローチャートである。方法200は、医療器具100のコマンド化されたプルワイヤベースの動きを受信するブロック202から開始される。コマンド化されたプルワイヤベースの動きは、操作者から受信ことができる。操作者は、遠隔に配置された入力装置を使用して、コマンド化されたプルワイヤベースの動きを提供する。コマンド化されたプルワイヤに基づく動きは、器具位置決め装置115によって実行することができる。
【0098】
次に、方法200はブロック204に進み、コマンド化されたプルワイヤベースの動きによって生じる医療器具100の圧縮が特定される。一例では、圧縮を特定することには、圧縮を測定することが含まれる。別の例では、圧縮を特定することには、圧縮を計算することが含まれる。別の例では、圧縮を特定することには、圧縮を推定することが含まれる。
【0099】
以下でさらに詳細に説明するように、圧縮は、1つまたは複数の圧縮補償パラメータを使用して特定、計算、または推定することができる。圧縮補償パラメータおよびその使用については、以下のセクション2.Cで詳細に説明する。
【0100】
1つ以上の圧縮補償パラメータを使用することに関連して、医療器具100の圧縮は、1つ以上の他の技術によるデータに基づいて、特定、計算、または推定することができる。一例では、医療器具100のX線透視画像が圧縮補償パラメータの使用に加えて、圧縮を決定するために分析することができる。別の例では、医療器具100に1つまたは複数の空間センサ(例えば、EMセンサ)を配置することができる。空間センサは、医療器具100の位置に関する位置データを提供することができる。この位置データは、圧縮補償パラメータの使用に加えて、医療器具100の圧縮を決定するために分析され得る。別の例では、医療器具100が形状感知ファイバを含むことができる。形状感知ファイバは、医療器具100の形状または姿勢に関するデータを提供することができる。このデータは、圧縮補償パラメータの使用に加えて、医療器具100の圧縮を決定するために分析され得る。別の例では、医療器具100の圧縮が、圧縮補償パラメータの使用に加えて、例えば、医療器具100の細長いシャフトの形状、サイズ、および材料特性に基づいて、モデルを使用して特定される。モデルを使用して医療器具100の圧縮を特定する例では、医療器具100の細長いシャフト101がオイラー・ベルヌーイビーム理論を使用してモデル化することができる、1つまたは複数の部分に分割することができる。
【0101】
別の例では、第1の医療器具の圧縮が圧縮補償パラメータの使用に加えて、第2の医療器具に対する測定を行うことができる。セクション2.Dで説明するように、2つ以上の医療器具は、入れ子式に使用できるよう構成される。すなわち、第2の医療器具は、第1の医療器具のワーキングチャネル内で入れ子にすることができる。第1の医療器具は、遠位部分に配置された空間センサを有してもよい。第2の医療器具は、遠位部分に配置された空間センサを有してもよい。圧縮は、これら2つの位置センサの相対位置を比較することによって特定または推定することができる。これにより、2つの医療器具の遠位部分が互いに位置合わせされたままである(すなわち、水平である)可能性を確実にするか、または可能性を高めることができる。
【0102】
方法200のブロック206において、医療器具100に連結された器具位置決め装置115はブロック204において決定された圧縮を補償するために動かされる(例えば、前進または後退される)。いくつかの例では、器具位置決め装置115が、特定した圧縮を補償するために、医療器具100を患者の体内にさらに前進させる。一例では、患者の体内を前進する距離は、特定された圧縮とほぼ等しい。別の例では、前進する距離は、特定された圧縮未満である。別の例では、前進する距離は、特定された圧縮よりも大きい。セクション2.Dで説明するように、入れ子式の医療器具を含む実施形態では一方の医療器具が圧縮を補償するために後退させることができ、他方の医療器具は圧縮を補償するために前進させることができ、または一方の医療器具は前進させて他方の医療器具は後退させることで、圧縮を補償することができる。
【0103】
いくつかの実施形態では、ブロック206がプルワイヤベースの動きと実質的に同時に実行される。すなわち、器具位置決め装置115はプルワイヤに基づく動きのためにプルワイヤが作動されるのと実質的に同時に、圧縮を補償するために前進または後退させられる。いくつかの実施形態では、これは、コマンド化されたプルワイヤベースの動き全体において、細長いシャフト101の遠位部分103の正確なまたは所望の位置決めを維持するか、または維持の支援に役立つ。
【0104】
いくつかの実施形態では、方法200のブロック202、204、206は、医療器具の新たにコマンド化されたプルワイヤベースのそれぞれの動きに対して圧縮補償を提供するために、ループ処理で実行されてもよい。
【0105】
方法200は、図示した例に加えて、他のブロックまたはステップを含んでもよい。いくつかの実施形態では、図示した方法200のすべてのブロックが実装される必要はない。
【0106】
(C.圧縮補償パラメータ)
細長いシャフト101の圧縮は、1つまたは複数の圧縮補償パラメータを使用して特定、計算、または推定することができる。圧縮補償パラメータは、医療器具100の較正中に決定することができる。圧縮補償パラメータを決定することができる較正方法および工程の例は、以下のセクション2.Fで説明する。
【0107】
圧縮補償パラメータは、特定のまたは特定の医療器具100に固有のものとすることができる。すなわち、特定の医療器具100について、圧縮補償パラメータは、その特定の医療器具100の較正中に決定することができる。このようにして、圧縮補償パラメータはその特定の医療器具100の固有の特性(例えば、材料変更、製造プロセス変更などによって生じる特性)を考慮に入れることができる。圧縮補償パラメータは、特定の医療器具100に関連付けることができる。例えば、圧縮補償パラメータは、医療器具100のメモリまたは非一時的なコンピュータ可読媒体に記憶することができる。いくつかの実施形態では、圧縮補償パラメータがリモートデータベースに格納され、特定の医療器具100に関連付けられ、特定の医療器具100が使用されるときに、圧縮を特定するためにアクセスして使用することができる。
【0108】
別の例では、圧縮補償パラメータは、類似の医療器具100のクラス、バッチ、またはモデルに固有のものとすることができる。すなわち、同じ圧縮補償パラメータを、類似の医療器具100のクラス、バッチ、またはモデルに使用することができる。いくつかの実施形態では、単一またはいくつかの医療器具100は、類似の医療器具100のより大きなグループによって使用される圧縮補償パラメータを決定するように較正することもできる。
【0109】
いくつかの実施形態では、圧縮補償パラメータが例えば、医療器具100の材料特性および寸法を考慮するモデルを使用して決定される。一つの例では、医療器具100の伸びたシャフト101がオイラー・ベルヌーイビーム理論を用いてモデル化できる1つ以上のセクションに分割することができる。
【0110】
圧縮補償パラメータは、プルワイヤベースの動きの特性を軸圧縮に関連付ける値、因子、またはパラメータであってもよい。一例として、圧縮補償パラメータは、医療器具100の細長いシャフト101の関節動作の角度を軸圧縮に関連付けることができる。例えば、圧縮補償パラメータでは、軸圧縮のyミリメートルに対して細長いシャフト101の関節動作の角度x°を関連付けることができる。圧縮補償パラメータは、コマンド化された関節動作の角度を軸圧縮に関連付けることができる。別の例では、圧縮補償パラメータが測定された関節動作の角度を軸圧縮に関連付けることができる。いくつかの例では、関節動作の角度が空間センサ(電磁センサ、形状感知ファイバ、医療画像(例えば、蛍光透視法)、または他の方法を使用して測定される。
【0111】
別の例では、圧縮補償パラメータでは、プルワイヤの表面張力と細長いシャフト101の軸圧縮とを関連付けることができる。医療器具100は、プルワイヤの表面張力を測定するための1つ以上の表面張力センサを有してもよい。
【0112】
別の例では、圧縮補償パラメータがプルワイヤの変位(例えば、線形変位)を細長いシャフト101の軸圧縮に関連付けることができる。医療器具100は、プルワイヤを作動させるためのリニアアクチュエータを有してもよい。圧縮補償パラメータは、アクチュエータまたはプルワイヤの直線運動を、細長いシャフト101の軸圧縮に関連付けることができる。例えば、圧縮補償パラメータは、プルワイヤまたはアクチュエータのxミリメートルの線形変位に対してyミリメートルの軸圧縮を関連付けることができる。
【0113】
いくつかの実施形態では、医療器具100がプルワイヤを作動させる回転アクチュエータを備える。例えば、プルワイヤは、プルワイヤを作動させるために回転されるプーリに取り付けられてもよい。圧縮補償パラメータは、プルワイヤがその周囲に巻回されたプーリの回転と、細長いシャフトの軸圧縮とを関連付けることができる。例えば、圧縮補償パラメータは、プーリの回転度x度とyミリメートルの軸圧縮とを関連付けることができる。
【0114】
上記の例では、圧縮補償パラメータは、プルワイヤに基づく動きの特性を軸圧縮に線形に関連付けるパラメータである。ただし、すべての実施形態においてそうである必要はない。例えば、いくつかの実施形態では、圧縮補償パラメータが、プルワイヤベースの動きの特性を軸圧縮に関連付ける非線形の関数を含んでもよい。
【0115】
いくつかの実施形態では、単一の圧縮補償パラメータのみが医療器具100に関連付けられる。いくつかの実施形態では、複数の圧縮補償パラメータが医療器具100に関連付けられる。例えば、異なる圧縮補償パラメータを、異なるプルワイヤの各々に関連付けることができる。別の例として、異なる圧縮補償パラメータを使用して、異なる方向のプルワイヤベースの動きを補償することができる。別の例として、複数の圧縮補償パラメータを使用して、例えば、多項式、指数関数、または他の非線形関数を使用して、細長いシャフト101の非線形圧縮をモデル化することができる。場合によっては、圧縮パラメータの数および/または関数の種類(線形または非線形)を変更して、入力に対する圧縮の関係を厳密にモデル化することができる。
【0116】
上述のように、圧縮補償パラメータは、プルワイヤに基づく移動の1つ以上の特性を軸圧縮に関連付けるために使用され得る。したがって、圧縮補償パラメータを使用して、所与のプルワイヤベースの動きに対する細長いシャフト101の軸圧縮を特定、計算、または推定することができる。いくつかの実施形態では、圧縮補償値が、上述の方法200のブロック204で使用されてもよい。
【0117】
(D.入れ子式医療器具における圧縮補償)
上記の記述は主として単一の医療器具に焦点を当ててきたが、ここで説明する圧縮補償の方法およびシステムは、例えば、第1の医療器具のワーキングチャネル内に遠隔操作医療器具を含むシステムのように遠隔操作医療器具を含むシステムに適用することができる。システムおよび方法はまた、3つ以上(例えば、3つ、4つ、5つ、またはそれ以上)の入れ子式医療器具を含むシステムに適用されてもよい。
【0118】
図19Aは、第1の医療器具100のワーキングチャネル117内に入れ子式に収納される第2の医療器具120の実施形態を示す。図の実施形態では、第1の医療器具100が上記の通りに構成され、細長いシャフト101および器具基部111を有する。細長いシャフト101は、それを通って延伸するワーキングチャネル117を含む。第1の医療器具100は、第1の器具位置決め装置115の第1の器具ドライバ113に連結される。第1の器具位置決め装置115は、第1の医療器具100を前進または後退させるように構成される。
【0119】
第2の医療器具120は、第1の医療器具100と同様に構成され、遠位部分123と近位部分125との間に延在する細長いシャフト121を含む。近位部分125は、第2の器具基部131に(取り外し可能にまたは永続的に)接続される。第2の器具基部131は、第2の器具位置決め装置135の第2の器具ドライバ133に連結される。第2の器具位置決め装置135は、第2の医療器具120を前進または後退させるように移動するように構成される。
【0120】
図示されるように、第2の医療器具120の細長いシャフト121は、第1の医療器具100のワーキングチャネル117を通って延伸する。第2の器具位置決め装置135は、第1の医療器具100のワーキングチャネル117を通って第2の医療器具120を前進または後退させるように移動するように構成される。図示されていないが、いくつかの例では第2の医療器具120はまた、第3の医療器具を受け入れるためのワーキングチャネルを有してもよい。
【0121】
図19Aに示す構成では、第2の医療器具120の遠位部分123が第1の医療器具100の遠位部分103と位置合わせされる。いくつかの例では、これは医療器具100、120を駆動するための好ましい構成であり得る。例えば、第1および第2の医療器具100、120は身体を通って目標部位までナビゲートする際に、このような構成(遠位部分103、123が整列または水平である)が可能である。
【0122】
第1の医療器具100は、第1の細長いシャフト101の関節動作、形状、および/または姿勢を制御するためのプルワイヤを含むことができる。第2の医療器具120は、第2の細長いシャフト121の関節動作、形状、および/または姿勢を制御するためのプルワイヤを有してもよい。他の例では、第1の医療器具100がプルワイヤを含まない受動型の器具(すなわち、操縦不能な器具)であってもよく、または第2の医療器具120はプルワイヤを含まない受動型の器具(すなわち、操縦不能な器具)であってもよい。
【0123】
図19Bは、プルワイヤに基づく移動によって生じる第1および第2の医療器具100、120の軸圧縮の一例を示す。図示の例では第1および第2の医療器具100、120は図19Aに示す位置から図19Bに示す角度まで関節動作する。第1および第2の医療器具100、120のいずれかまたは両方は、圧縮を受ける。図19Bに示す位置では、第2の細長いシャフト121が第1の細長いシャフト101の遠位端103から外向きに延びる。これは、第1および/または第2の細長いシャフト101、121の軸圧縮によって引き起こされ得る。これは望ましくない。例えば、上述したように、遠位端103、123が同一平面上に配置された状態で、第1および第2の医療器具100、120を駆動することが望ましい場合がある。
【0124】
図19Cは、図19Bに示す軸圧縮を補償するために、第1および/または第2の器具位置決め装置115、135を移動させることができることを示す。軸圧縮を補償し、遠位部分103、123を水平位置に戻すために、システムは、第1の医療器具100を前進させる方向に距離D1だけ第1の器具位置決め装置115を移動させるか、第2の医療器具120を後退させる方向に距離D2だけ第2の器具位置決め装置115を移動させるか、または第1の医療器具100を前進させ、第2の医療器具120を後退させるために第1の器具位置決め装置115と第2の器具位置決め装置135とを組み合わせて移動させるかのいずれかを行うことができる。
【0125】
一例では、「圧縮補償比」(CCR;Compression Compensation Ratio)は、各医療器具100、120について定義または設定することができる。CCRは、0と1との間の値とすることができる。CCRは、圧縮された医療器具がそれ自体の圧縮を完全に補償するときに1であり、互いの医療器具(圧縮されていなくてもよく、または関節動作および圧縮されていてもよい)が、圧縮された医療器具の圧縮を完全に補償するように移動されるときに0である。各医療器具に対してCCRを使用すると、以下のように、第1および第2の医療器具100、120の移動または挿入を定義するための式を定義することができる。
【数1】
【0126】
各医療器具100、120に対するCCRと同様に、上述の原理および式を使用して、第1の医療器具100のみを移動させることによって、第2の医療器具120のみを移動させることによって、または両方の医療器具100、120を移動させることによって、第1の医療器具100および/または第2の医療器具120の圧縮を補償することが可能である。
【0127】
いくつかの実施形態では、第1および第2の医療器具100、120の後退(CCR=0)が好ましい。例えば、いくつかの例では第1および第2の医療器具100、120の後退は医療器具の挿入よりも安全であり得る。しかしながら、いくつかの実施形態では、挿入(CCR=1)が可能である。さらに、0と1との間のCCRを使用することもできる。
【0128】
さらに、CCRの値は、第1および第2の医療機器100、120の遠位部分103、123に占有される空間経路に影響を及ぼす。例えば、CCRが1の場合はより球形の経路に対応し、一方、CCRが0の場合は、(球の代わりに楕円に沿って)より鈍形の経路を生成することができる。いくつかの実施形態では、CCRの値は、最適な経路が経験的に調整され得るように調整され得る。いくつかの例では、CCRの値は、細長いシャフト101の遠位先端が目標の移動経路に送達するよう、器具の較正中に調整される。較正の間、調整は、手動で、または先端の経路の分析を通して自動的に実行することができる。
【0129】
(E.圧縮補償のための医療器具例およびシステム例)
図20は、軸圧縮を補償するように構成された医療器具100の実施形態を示す。図示の実施形態では、医療器具100が例えば、上記の通り構成され、遠位部分103と近位部分105との間に延在する細長いシャフト101を有する。細長いシャフト101は、細長いシャフトを関節動作させるための1つまたは複数のプルワイヤを有してもよい。細長いシャフト101は、器具基部111に接続されている。器具デバイス111は、器具位置決め装置115の器具ドライバ113に連結するように構成される。器具位置決め装置115は、医療器具100を移動させて、患者内で細長いシャフト101を前進または後退させるように構成することができる。
【0130】
図示のように、いくつかの実施形態では、医療器具100がコンピュータ可読媒体151を有する。コンピュータ可読媒体151は、器具基部111上または器具基部111内に配置することができる。別の例では、コンピュータ可読媒体151が細長いシャフト101上または内部に配置することができる。
【0131】
コンピュータ可読媒体151は、医療器具100に関連する情報を記憶することができる。例えば、コンピュータ可読媒体151は、セクション2.Cで説明したように、1つまたは複数の圧縮較正パラメータを記憶することができる。
【0132】
コンピュータ可読媒体151は、別のデバイスによって読み取ることができるコンピュータ可読コードを含むことができる。例えば、コンピュータ可読コードは、無線周波識別(RFID)タグであってもよい。圧縮補償パラメータなどのコンピュータ可読媒体151に記憶されたデータは、RFIDリーダでRFIDタグをスキャンすることによって、別のデバイスによってアクセスすることができる。バーコード、QRコードなどの他のタイプのコンピュータ可読コードも使用することができる。
【0133】
医療器具100は、コンピュータ可読媒体151に記憶されたデータを他のデバイスに通信するための通信回路を有してもよい。このような通信回路は、有線であっても無線であってもよい。
【0134】
医療器具100は、1つ以上の電磁センサ157を有してもよい。電磁センサ157は、細長いシャフト101上または細長いシャフト101内に配置される。図示されるように、電磁センサ157は、細長いシャフト101の遠位部分103に配置される。電磁センサ、医療器具100に関する位置および/または向きデータを提供するように構成されてもよい。電磁センサ157は、外部で生成された電磁場に対する位置および/または向きのデータを提供する。他のタイプの空間センサを有する構成としてもよい。
【0135】
医療器具100は、形状感知ファイバ159を含むことができる。形状感知ファイバ159は、細長いシャフト159に沿って、またはその内部に延伸することができる。形状感知ファイバ159は、医療器具100の形状、関節動作、または姿勢に関するデータを提供する。
【0136】
医療器具100は、1つまたは複数のプルワイヤに関連付けられた1つまたは複数の張力センサを有してもよい。張力センサは、1つまたは複数のプルワイヤに張力データを提供するように構成することができる。いくつかの実施形態では、張力センサが器具基部111内に配置される。
【0137】
図21は、医療器具100、120の圧縮を補償するように構成されたシステム300を示すブロック図である。図の実施形態では、システム300がメモリまたはコンピュータ可読媒体304(または複数のコンピュータ可読媒体媒体)に接続されたプロセッサ302(または複数のプロセッサ)を有する。コンピュータ可読媒体304は、システム300を制御するためにプロセッサ302によって実行することができる命令を有する。
【0138】
図示の実施形態では、システム300が第1の医療器具100に連結された第1の器具位置決め装置115を有する。第1の医療器具100は、コンピュータ可読コード310を有する。第1の器具位置決め装置115は、コードリーダ306を有する。コードリーダ306は、第1の医療器具100上のコンピュータ可読コード310を読み取るように構成される。いくつかの実施形態では、コンピュータ可読コード310はRFIDタグであり、リーダ306はRFIDリーダである。コンピュータ可読コード310は、圧縮補償パラメータなどの、第1の医療器具100に関連するデータを格納することができる。コードリーダ306は、機械可読コード310からデータを読み取ることができる。いくつかの実施形態では、コンピュータ可読コード310から読み出されたデータがシステム300を制御する際に使用するためにプロセッサ302に通信することができる。
【0139】
システム300はまた、追加の医療器具に結合された追加の器具位置決め装置を含むことができる。例えば、図示のように、システム300は、第2の医療器具120に結合された第2の器具位置決め装置135を含む。第2の器具位置決め装置135は、前述の方法で第2の医療器具120上の機械可読コード312を読み取るように構成されたリーダ308を含む。
【0140】
いくつかの実施形態では、システム300が上記の方法200を用いて、第1および第2の医療器具における圧縮が補償される。
【0141】
いくつかの実施形態では、第2の医療器具120が第1の医療器具100のワーキングチャネル内に入れ子式に収容される。システム300はセクション2.Dで説明したように、圧縮を補償するために上記のCCRを使用することができる。
【0142】
コンピュータ可読媒体304は、プロセッサ302に、第1の医療器具100の細長いシャフト101のプルワイヤベースの動きおよび圧縮補償パラメータを示す情報に少なくとも部分的に基づいて、第1の器具100の細長いシャフト101の軸圧縮をシステム300に特定させるように構成する命令を含むことができる。圧縮補償パラメータは、リーダ306を使用して、コンピュータ可読コード310から読み取ることができる。命令は、第1の細長いシャフトの軸圧縮を補償するために、第1の医療器具100に連結された第1の器具位置決め装置115を移動させるようにさらに構成することができる。
【0143】
(F.較正工程例)
圧縮補償パラメータは、医療器具100の較正処理中に決定することができる。較正処理は、プルワイヤベースの動きで医療器具を第1の位置に関節動作させるステップと、医療器具の圧縮を決定するステップと、プルワイヤベースの動きの特性を決定された圧縮に関連付けて、圧縮補償パラメータを決定するステップとを含むことができる。
【0144】
較正処理は、医療器具100を様々な異なる位置に関節動作させるステップと、それぞれのための圧縮および圧縮補償パラメータを決定するステップとを含むことができる。いくつかの実施形態では、単一の圧縮補償パラメータがさまざまな関節動作の位置から導出される。
【0145】
較正処理は、1つまたは複数の空間キャップを医療器具100に取り付けることを含む。1つ以上の空間キャップは医療器具100の姿勢(例えば、位置および/または向き)の有効な計測または測定を提供するように較正することができる。いくつかの例では、1つまたは複数の空間キャップが医療器具100の細長いシャフト101の遠位先端の計測または測定または姿勢を提供するように較正される。空間キャップは、医療器具100の関節動作、姿勢、または位置に関する位置および/または向きデータを提供する、電磁センサなどの空間センサを有してもよい。空間キャップは、医療器具100の関節動作および/または圧縮を測定するために使用することができる。1つ以上の空間キャップは、医療器具100が有する空間センサをさらに検証するために使用することができる。
【0146】
他の実施形態では、医療器具100上に含まれる画像処理装置(例えば、細長いシャフトの遠位先端)からのフィードバックは1つ以上の空間キャップの使用の代わりに、またはそれに加えて、先端の姿勢を推定するために、外部の追跡装置を使用して分析することもできる。三角測量、投影、または直接もしくは手動測定(例えば、分度器を使用)方法もまた、1つ以上の空間キャップに加えて、またはその代わりに使用することができる。
【0147】
医療器具100の関節動作および/または圧縮は、医療器具100自体に配置された空間センサから特定することができる。例えば、関節動作および/または圧縮は、上記の通り電磁センサまたは形状感知ファイバを使用して特定することができる。
【0148】
図22は、医療器具100を較正するための例示的な方法400を示すフローチャートである。方法400はブロック401で開始し、細長いシャフト101を第1の位置に移動させるために、プルワイヤに基づいて動かされる。いくつかの例では、細長いシャフト101を関節動作させることは細長いシャフト101の遠位部分103に接続されたプルワイヤの張力を調節すること、引っ張ること、あるいは作動させることを含む。
【0149】
方法400はブロック402に進み、プルワイヤベースの動きの特性が特定される。いくつかの例では、プルワイヤベースの動作特性を特定することは、プルワイヤの表面張力、プルワイヤの変位、アクチュエータの変位、コマンド化された関節動作の角度、測定された関節動作の角度などを含むことができる。
【0150】
いくつかの例では、方法400が1つまたは複数の空間キャップを細長いシャフト101の遠位部分103に取り付けることをさらに含む。1つまたは複数の空間キャップは、細長いシャフト101の遠位部分103の位置および向きに関する空間データを提供するように構成することができる。いくつかの実施形態では、プルワイヤベースの移動を決定することは、空間キャップからの空間データを分析することを含む。いくつかの実施形態では、1つ以上の空間キャップは、1つ以上の電磁センサを有してもよい。いくつかの実施形態では、プルワイヤベースの移動を決定することは、細長いシャフトの角度を測定することを含む。
【0151】
ブロック404において、細長いシャフト101が第1の位置にある状態で、細長いシャフト101の圧縮が特定される。一例では、圧縮を特定することは空間キャップからの空間データを分析することを含む。別の例では、細長いシャフト101が、細長いシャフト101の遠位部分103の位置および向きに関する空間データを提供するように構成された空間センサを有し、プルワイヤベースの移動を決定することは、空間センサからの空間データを分析することを含む。別の例では、軸圧縮を決定することは、細長いシャフトの長さを測定することを含む。
【0152】
ブロック406において、第1の位置を細長いシャフト101の決定された圧縮に関連付けることによって、圧縮補償パラメータが決定される。いくつかの実施形態では、方法400が第1の医療器具100の非一時的なコンピュータ可読媒体に圧縮補償パラメータを記憶することをさらに含む。
【0153】
(3.システムの実装および用語)
本明細書に開示される実施形態は、医療器具の細長いシャフトにおける圧縮を補償するためのシステム、方法、および装置を提供する。圧縮は場合によっては医療器具の較正中に決定された圧縮補償パラメータを使用して決定することができ、医療器具に結合された器具位置決め装置を用いて医療器具を移動させることによって補償することができる。
【0154】
本明細書で使用される用語「結合する」、「結合する」、「結合される」、または単語対の他の変更は間接接続または直接接続のいずれかを示すことができ、例えば、第1の構成要素が第2の構成要素に「結合される」場合、第1の構成要素は、別の構成要素を介して第2の構成要素に間接的に接続されるか、または第2の構成要素に直接接続されることができることに留意されたい。
【0155】
本明細書で説明する特徴類似度計算、位置推定、およびロボット動作作動機能は、プロセッサ可読媒体またはコンピュータ可読媒体上に1つまたは複数の命令として格納することができる。用語「コンピュータ可読媒体」は、コンピュータまたはプロセッサによってアクセスされ得る任意の利用可能な媒体を指す。限定ではなく例として、そのような媒体は、RAM(ランダムアクセスメモリ)、ROM(リードオンリメモリ)、EEPROM(電気的消去可能プログラマブルリードオンリメモリ)、フラッシュメモリ、CD-ROM(コンパクトディスクリードオンリ)または他の光ディスクストレージ、磁気ディスクストレージまたは他の磁気ストレージデバイス、あるいは命令またはデータ構造の様式で所望のプログラムコードを格納するために使用され得、コンピュータによってアクセスされ得る任意の他の媒体を備えることができる。コンピュータ可読媒体は、有形かつ非一時的であり得ることに留意されたい。本明細書で使用されるように、用語「コード」は、計算装置またはプロセッサによって実行可能なソフトウェア、命令、コード、またはデータを指すことができる。
【0156】
本明細書で開示される方法は、説明される方法を達成するための1つまたは複数のステップまたはアクションを備える。方法のステップおよび/またはアクションは、代替形態の範囲から逸脱することなく、互いに交換することができる。言い換えれば、ステップまたはアクションの特定の命令が説明されている方法の適切な動作のために必要とされない限り、特定のステップおよび/またはアクションの命令および/または使用は、代替の範囲から逸脱することなく修正され得る。
【0157】
本明細書で使用される場合、用語「複数」は2つ以上を意味する。例えば、複数の構成要素は2つ以上の構成要素を示す。用語「特定すること」が多種多様なアクションを包含し、したがって、「特定すること」は計算すること、計算すること、処理すること、導出すること、調査すること、参照すること(例えば、テーブル、データベース、または別のデータ構造を参照すること)、確認することなどを含むことができ、「特定すること」は受信すること(例えば、情報を受信すること)、アクセスすること(例えば、メモリ内のデータにアクセスすること)などを含むことができる。また、「特定すること」は、解決すること、選択すること、選ぶこと、確立することなどを含むことができる。
【0158】
「に基づく」という語句は特に断らない限り、「のみに基づく」という意味ではない。言い換えれば、「に基づく」という語句は、「のみに基づく」および「少なくともに基づく」の両方を表す。
【0159】
開示された実施形態の上記の説明は、当業者が本開示を実現または使用することを可能にするために提供される。これらの実装に対する様々な修正は当業者には容易に明らかであり、本明細書で定義される一般的な原理は、本開示の範囲から逸脱することなく、他の実装に適用することができる。例えば、当業者は、工具構成要素を固定、取り付け、連結、または係合する等価な方法、特定の作動運動を生成するための等価な機構、および電気エネルギーを送達するための等価な機構などの、いくつかの対応する代替的および等価な構造的詳細を採用することができることが理解されるのであろう。したがって、本開示は、本明細書に示される実装に限定されることを意図するものではなく、本明細書に開示される原理および新規な特徴と一致する最も広い範囲を与えられるべきである。
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【外国語明細書】