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特開2022-177170加圧気体駆動液体移送装置およびシステム
(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2022177170
(43)【公開日】2022-11-30
(54)【発明の名称】加圧気体駆動液体移送装置およびシステム
(51)【国際特許分類】
   A61J 1/20 20060101AFI20221122BHJP
【FI】
A61J1/20 314B
【審査請求】有
【請求項の数】8
【出願形態】OL
【外国語出願】
(21)【出願番号】P 2022148009
(22)【出願日】2022-09-16
(62)【分割の表示】P 2021186427の分割
【原出願日】2018-10-16
(31)【優先権主張番号】62/572,911
(32)【優先日】2017-10-16
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(71)【出願人】
【識別番号】515298235
【氏名又は名称】イネイブル インジェクションズ、インコーポレイテッド
(74)【代理人】
【識別番号】100124648
【弁理士】
【氏名又は名称】赤岡 和夫
(74)【代理人】
【識別番号】100060368
【弁理士】
【氏名又は名称】赤岡 迪夫
(74)【代理人】
【識別番号】100154450
【弁理士】
【氏名又は名称】吉岡 亜紀子
(72)【発明者】
【氏名】ブレル,ディラン,エル
(72)【発明者】
【氏名】ガイガー,ダニエル
(72)【発明者】
【氏名】フドレストン,マシュー,ジェイ
(72)【発明者】
【氏名】ロウ,ジェイムス
(72)【発明者】
【氏名】パルマー,ジョエッタ,レニー
(72)【発明者】
【氏名】シュテファンチック,デイヴィッド
(57)【要約】      (修正有)
【課題】薬剤流体をバイアルから薬剤流体注射装置に移送するための移送装置を提供する。
【解決手段】移送装置140は、バイアルホルダー142を含み、バイアルホルダー内に配置されたバイアルスパイクは、バイアルがバイアルホルダーに挿入されると、薬剤流体を含むバイアルに入るように構成される。内部空洞を有する膨張室144は、バイアルスパイクと流体連通している。加圧気体カートリッジは、膨張室の内部空洞と共に配置され、一方、穿刺先端は、使用者によって作動されたときに加圧気体カートリッジを穿刺するように構成される。バイアルスパイクはまた、移送装置に取り付けられた注射装置103と流体連通するように構成される。
【選択図】図3A
【特許請求の範囲】
【請求項1】
a)バイアルホルダーと、
b)前記バイアルホルダー内に配置され、前記バイアルが前記バイアルホルダー内に挿入されるときに、薬剤流体を収容するバイアルに入るように構成されるバイアルスパイクと、
c)前記バイアルスパイクと圧力解放穴と流体連通である内部空洞を有する膨張室と、
d)前記膨張室の内部空洞内に配置される加圧気体カートリッジと、
e)使用者によって作動されるときに前記加圧気体カートリッジを穿刺するように構成される穿刺先端と、
f)前記移送装置に取り付けられた注射装置と流体連通であるように構成される前記バイアルスパイクと、
g)前記圧力解放穴内にスライド可能に配置され、閉位置と通気位置との間を動くように構成されるプランジャーロッド
とを備える、薬剤流体をバイアルから薬剤流体注射装置に移送するための移送装置。
【請求項2】
h)前記プランジャーロッドを前記膨張室の内部空洞に向かう第1の方向において付勢する圧縮ばねと、
i)注射装置を前記移送装置に固定するように構成され、前記移送装置に取り付けられる第1の端部と、前記プランジャーロッドに取り外し可能に取り付けられる第2の端部とを有し、前記プランジャーロッドの前記第1の方向の動きを制限する保持ストラップ
とをさらに備える、請求項1に記載の移送装置。
【請求項3】
前記プランジャーロッドは、J字形のスロットを含み、その中に前記保持ストラップの前記第2の端部が受け入れられる、請求項2に記載の移送装置。
【請求項4】
前記保持ストラップは、注射装置を前記膨張室に固定するように構成される、請求項2または請求項3に記載の移送装置。
【請求項5】
前記膨張室に取り付けられ、注射装置を受け入れるように構成された保持リングをさらに備え、
前記保持ストラップの前記第2の端部は、前記保持ストラップの前記第2の端部が前記プランジャーロッドに取り付けられるときに前記保持リングに係合するフックを含む、請求項4に記載の移送装置。
【請求項6】
前記プランジャーロッド上に配置され、前記プランジャーロッドが閉位置にあるとき、前記圧力解放穴の側壁と係合するOリングをさらに備え、
前記Oリングは、前記プランジャーロッドが前記通気位置にあるとき、前記内部空洞内の加圧気体が前記圧力解放穴を通して排気されるように、前記圧力解放穴の側壁と係合しない、請求項1から請求項5までのいずれか1項に記載の移送装置。
【請求項7】
a)バイアルホルダーと、
b)前記バイアルホルダー内に配置され、前記バイアルが前記バイアルホルダー内に挿入されるときに薬剤流体を収容するバイアル内に入るように構成されるバイアルスパイクと、
c)前記バイアルスパイクと流体連通である内部空洞を有する膨張室と、
d)前記膨張室の前記内部空洞内に配置される加圧気体カートリッジと、
e)使用者によって作動されるときに前記加圧気体カートリッジを穿刺するように構成される穿刺先端と、
f)i)流体入口と、液体出口と、気体出口とを有するハウジングと、
ii)前記ハウジング内に配置されて前記流体入口と前記液体出口と流体連通である親水性膜と、
iii)前記ハウジング内に配置されて前記流体入口と前記気体出口と流体連通である疎水性膜と
を含む通気フィルターと、
g)前記液体出口は前記移送装置に取り付けられた注射装置と流体連通であるように構成され、前記薬剤流体の液体部分は前記親水性膜を通って流れ、前記液体出口を通って前記ハウジングの外に出るように、前記薬剤流体の気体部分は、前記疎水性膜を通って流れ、前記気体出口を通って前記ハウジングの外に出るように、前記バイアルホルダー内に挿入されたバイアルから前記通気フィルターの前記流体入口へ薬剤流体を提供するように構成された前記バイアルスパイク
とを備える、薬剤流体をバイアルから薬剤流体注射装置に移送するための移送装置。
【請求項8】
前記膨張室の上部は、その中に前記通気フィルターが配置される凹部を含む、請求項7に記載の移送装置。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
[優先権の主張]
本出願は、2017年10月16日に出願された米国仮特許出願第62/572,911号の優先権および利益を主張し、その内容は参照によりその全体が本明細書に組み入れられる。
【0002】
本主題は、一般的には、流体をバイアルから医療装置に移送するための装置に関し、特定的には、液体薬剤を供給源バイアルから注射装置に移送、および/または、薬物を混合、希釈または再構成し、得られた液体薬剤を注射装置に移送するための加圧気体駆動装置およびシステムに関する。
【背景技術】
【0003】
患者によって一時的にまたは長期間装着される注射装置は、医療分野でよく知られている。本出願の主題は、特に、しかし排他的でなく、ここに全体が参照によって組み込まれる、2014年12月24日に公開された、共通に譲渡されたPCT出願の国際公開第WO2014/204894号に記載されている注射装置とともに使用するための移送装置に関する。その注射装置は、装置が患者に装着されている間、患者への皮下注射、典型的にはボーラス注射のために、薬物、抗生物質、生物製剤、または他の注射剤にかかわらず、任意の適切な注射可能な薬剤で満たされ得る内部の弾性の袋(ブラダー)を含む。
【0004】
この注射装置は、患者に注射する前に、所望の注射剤で(全体的または部分的に)満たされていなければならない。上記の公開されたPCT出願はまた、1つまたは複数のバイアルなどの供給源から注射装置に注射剤を移送するための様々な移送装置を開示している。いくつかの状況では、注射剤を希釈または再構成する必要があり、それを達成するためのさまざまな装置が上記の出願に開示されている。本出願は、移送、希釈および/または再構成のためのそのような移送装置について、より低い製造コストおよびより少ない廃棄物を可能にする追加の新規な設計および改良を開示する。本明細書に記載の移送装置は、本明細書に記載されていない装置の構造または機能に対するいかなる制限も意図せずに、移送モジュール、アクセサリ、アドオンまたは他の適切な用語によって様々に称され得る。
【発明の概要】
【0005】
以下に説明され、特許請求される装置およびシステムにおいて、別々にまたは一緒に具体化され得る本主題のいくつかの局面がある。これらの局面は、単独で、または本明細書で説明する主題の他の態様と組み合わせて使用することができ、これらの態様の説明は、これらの態様の個別の使用、またはそのような態様の添付の特許請求の範囲に記載されている別個のまたは異なる組み合わせのセットとしての主張を排除することを意図していない。
【0006】
1つの局面では、薬剤流体をバイアルから薬剤流体注射装置に移送する移送装置は、薬剤流体を収容するバイアルを受け入れるように構成されたバイアル昇降機と、その内部でバイアル昇降機が伸長位置と引込位置との間で移動するバイアル昇降機シャフトとを含む。バイアルスパイクはバイアル昇降機シャフト内に配置され、バイアル昇降機が引込位置にあるときにバイアルスパイクがバイアル内に配置される。膨張室は内部空洞を有し、加圧気体カートリッジは膨張室の内部空洞と共に配置される。穿刺先端は、使用者によって作動されたときに加圧気体カートリッジを穿刺するように構成される。バイアルスパイクは、膨張室の内部空洞と流体連通しており、バイアル昇降機が引込位置にあってバイアルスパイクがバイアル内に位置するときに、移送装置に取り付けられた注射装置とバイアル昇降機内に配置されたバイアルと流体連通するように構成されている。
【0007】
別の局面では、薬剤流体をバイアルから薬剤流体注射装置に移送するための移送装置は、バイアルホルダーを含む。バイアルホルダーは、バイアルホルダー内に配置されるバイアルスパイクを備える。バイアルスパイクは、バイアルがバイアルホルダーに挿入される時に、薬剤流体を含むバイアルに入るように構成される。膨張室は、バイアルスパイクおよび圧力解放穴と流体連通する内部空洞を有する。膨張室の内部空洞に配置された加圧気体カートリッジ。穿刺先端は、使用者によって作動されたときに加圧気体カートリッジを穿刺するように構成される。バイアルスパイクは、移送装置に取り付けられた注射装置と流体連通するように構成されている。プランジャーロッドは、圧力解放穴内にスライド可能に配置され、閉位置と通気位置との間を移動するように構成されている。
【0008】
さらに別の局面では、薬剤流体をバイアルから薬剤流体注射装置に移送するための移送装置は、バイアルホルダーを含む。バイアルホルダーは、バイアルホルダーの内部に配置されるバイアルスパイクを備える。バイアルスパイクは、バイアルがバイアルホルダーに挿入される時に、薬剤流体を含むバイアルに入るように構成される。膨張室は、バイアルスパイクと流体連通する内部空洞を有する。加圧気体カートリッジは、膨張室の内部空洞内に配置されている。穿刺先端は、使用者によって作動されたときに加圧気体カートリッジを穿刺するように構成される。通気フィルターは、ハウジングを含む。ハウジングは、流体入口、液体出口および気体出口、ハウジング内に配置されて流体入口および液体出口と流体連通している親水性膜、ならびにハウジング内に配置されて流体入口および気体出口と流体連通している疎水性膜を含む。バイアルスパイクは、バイアルホルダーに挿入されたバイアルから通気フィルターの流体入口に薬剤流体を提供するように構成され、その結果、薬剤流体の液体部分が親水性部材を通って液体出口を通ってハウジングの外に流れる。液体出口は、移送装置に取り付けられた注射装置と流体連通するように構成される。薬剤流体の気体部分は、疎水性膜を通って流れ、気体出口を通ってハウジングから出る。
【図面の簡単な説明】
【0009】
図1は、単一バイアル加圧気体駆動型移送システムおよび注射装置の概略図である。
【0010】
図2は、二重バイアル加圧気体駆動型移送システムおよび注射装置の概略図である。
【0011】
図3Aは、注射装置が取り付けられた、本開示の加圧気体駆動型移送装置の1つの実施形態の斜視図である。
【0012】
図3Bは、注射装置が取り外された、図3Aの加圧気体駆動型移送装置の斜視図である。
【0013】
図4は、図3Aおよび図3Bの加圧気体駆動型移送装置の分解図である。
【0014】
図5Aは、バイアル昇降機が上昇または伸長位置にある、図3A図4の加圧気体駆動型移送装置のバイアルホルダーの拡大斜視図である。
【0015】
図5Bは、バイアル昇降機が引込位置または下降位置にある、図5Aのバイアルホルダーの斜視図である。
【0016】
図6は、図5Aおよび図5Bのバイアルホルダーのバイアル昇降機の斜視図である。
【0017】
図7は、水平切断面に沿った図5A図6のバイアルホルダーの断面図である。
【0018】
図8は、図5A図7のバイアルホルダーのバイアル昇降機の停止タブ、停止ピン、ロックアームおよびロック爪、およびバイアル昇降機シャフトの昇降機シャフトカム傾斜路の拡大斜視図である。
【0019】
図9は、図5A図8のバイアル昇降機のロックアームのロックショルダーの拡大斜視図である。
【0020】
図10は、図3A図4の注射装置のバイアルスパイクハブアセンブリの第1の斜視図である。
【0021】
図11は、図3A図4の注射装置のバイアルスパイクハブアセンブリの第2の斜視図である。
【0022】
図12Aは、バイアルへのバイアルスパイクの挿入前にハブキャップが取り外された、図10および図11のバイアルスパイクハブアセンブリの側面図である。
【0023】
図12Bは、バイアルへのバイアルスパイクの初期挿入中の図12Aのバイアルスパイクハブアセンブリの側面図である。
【0024】
図12Cは、バイアルスパイクがバイアルに完全に挿入された、図12Aおよび図12Bのバイアルスパイクハブアセンブリの側面図である。
【0025】
図13は、圧着前の図10および図11のバイアルスパイクハブアセンブリの気体管の断面図である。
【0026】
図14は、圧着後の図10および図11のバイアルスパイクハブアセンブリの気体管の断面図である。
【0027】
図15は、図3A図4の移送装置のバイアルハブアセンブリおよび加圧気体延長室の第1の斜視図である。
【0028】
図16は、図3A図4の移送装置のバイアルハブアセンブリおよび加圧気体延長室の第2の斜視図である。
【0029】
図17は、図3A図4の移送装置の加圧気体膨張室の室底部の斜視図である。
【0030】
図18は、図17の室底部に配置された加圧気体キャニスターを示す拡大斜視図である。
【0031】
図19は、図3A図4の移送装置の加圧気体膨張室の室上部の上面斜視図である。
【0032】
図20は、図3A図4の移送装置の加圧気体膨張室の室上部の底面斜視図である。
【0033】
図21は、図3A図4の移送装置の気体カートリッジ穿孔機構の拡大断面図である。
【0034】
図22は、図3A図4の移送装置の気体カートリッジ穿孔機構の第2の断面図である。
【0035】
図23は、図21および図22の気体カートリッジ穿孔機構の昇降機および可撓性壁カム傾斜路の拡大上面図である。
【0036】
図24は、ベースプレートのロックタブと係合するバイアル昇降機の昇降機カム傾斜路を示す拡大断面図である。
【0037】
図25は、図3A図4の移送装置のバイアルホルダーのピンチ管延長部およびブレードの拡大上面図である。
【0038】
図26Aは、図3A図4の移送装置の移送管に係合し始めている図25のピンチ管ブレードの拡大側面図である。
【0039】
図26Bは、図3A図4の移送装置の移送管に係合する図25のピンチ管ブレードの拡大側面図である。
【0040】
図27は、垂直切断面に沿った、図3A図4の移送装置の通気フィルターの断面図である。
【0041】
図28は、図3A図4の移送装置の保持ストラップの側面図である。
【0042】
図29は、図3A図4の移送装置の保持リングの開いたヒンジタブの拡大斜視図である。
【0043】
図30Aは、装置の使用前の、注射装置が取り付けられた状態の、垂直切断面に沿った図3A図4の移送装置の圧力解放アセンブリの断面図である。
【0044】
図30Bは、注射段階の第1の部分の間に垂直切断面に沿って取られた、図3A図4の移送装置の圧力解放アセンブリの断面図である。
【0045】
図30Cは、注射段階の第2の部分の間に垂直切断面に沿って取られた、図3A図4の移送装置の圧力解放アセンブリの断面図である。
【0046】
図30Dは、図3A図4の移送装置の圧力解放アセンブリの、最後の通気段階中に垂直切断面に沿って取った断面図である。
【0047】
図31は、図3A図4の移送装置の保持リングの拡大斜視図である。
【0048】
図32は、図31の保持リングの一部の拡大図であり、注射装置の接着剤ライナータブまたは安全ストリップを保持するための協働柱を示している。
【発明を実施するための形態】
【0049】
全体が参照によりここに組み込まれる、共通に譲渡された以前に公開されたPCT出願の国際公開第WO2016/154413号に記載されているように、図1は、予め充填された加圧気体シリンダーまたはカートリッジ100の形態の圧力容器と、流れ制限器および/または圧力調整器101と、液体薬剤バイアル102と、注射装置103を含む単一バイアル移送システムの概略図である。気体シリンダーは、商業的に入手可能な任意の適切なシリンダーであってもよく、またはカスタムシリンダーであってもよい。たとえば、1~1000ccの容量の高圧気体充填使い捨てシリンダーを備えた様々なあり得るシリンダーが利用可能である。シリンダーは、2000~3000psig以上の適切な圧力まで充填され得る。比較的小容量の使い捨てシリンダーが本主題に適していることが理解されるべきである。例えば、シリンダーは、10ml以下、より好ましくは1~2mlなどの5ml未満の容量を有することができ、900psigから2000~3000psigまでなど、500psig以上に加圧される。
【0050】
気体は、限定ではないが、不活性気体などの任意の適切な気体であってよい。気体は薬剤と接触するため、気体は病原体を含まない、すなわち活性な病原体を含まないことが好ましい。窒素またはアルゴンが適切な気体であり得る。穿刺ピンによる穿刺などによってシリンダーから解放されると、気体は、適切な流路を通ってシリンダーから流れ制限器および/または圧力調整器101を通ってバイアル102に向けられる。あるいは、シリンダーを出る気体は、気体を濾過するために、孔径が0.2μm以下のフィルターを通過するように向けられ得る。
【0051】
流れ制限器および/または圧力調整器101は、任意の適切な構成であり得る。単なる一例として、以下に記載される開示の実施形態において、流れ制限器および圧力調整器は、内部にカートリッジが配置され、バイアル102および注射装置103が取り付けられる装置内に形成される室の形態をとり得る。制限器/調整器から、流路104は気体をバイアル102に導く。制限器/調整器は、上記のフィルターの形をとることができる。
【0052】
バイアル102は、通常はガラスであり、一端が開口し、ラテックス、シリコーンまたは他の材料の穿孔可能な隔膜(ダイアフラム)または隔壁106によって密閉されている、剛性の容器部分105を有する標準的な薬物バイアルであり得る。本発明の過程は、好ましくは、気体がバイアルの閉鎖端に流れ、加圧気体の力の下でバイアルから本質的にすべての薬剤を出て行かせるように、バイアルを逆さの垂直位置にして実行される。
【0053】
バイアルから、流路107は、気体の圧力下で薬剤を注射装置103などの適切な容器に向け、その例は、上述の通り共通に譲渡された先に公開されたPCT出願の国際公開第WO2014/204894号に記載されている。注射装置は、薬剤を受容するための拡張可能な貯留部、例えば、薬剤からの圧力下で拡張する貯留部などの液体貯留部を有することができる。貯留部は、流路107から取り外されると、使用者が注射装置を作動させると薬剤を放出するように付勢されてもよい。単なる一例として、注射容量は1~50mLであり得る。
【0054】
「注射可能な流体」「注射剤」「薬物」「薬剤」などの用語は、本明細書では互換的に使用されることに留意されたい。
【0055】
注射装置103の下面は、充填ポート108および分注ポート112を含み得る。図1に示すように、充填ポート108は、移送装置充填経路107が液体を注射装置103に移送することを可能にするインターフェースである。充填ポート108は、注射装置が移送装置から取り外され、充填ポート108が充填経路107から取り外されたときに、加圧された注射剤が注射装置103から漏れることを防止する逆止弁を含むことが好ましい。
【0056】
薬剤は、分注ポート112を通過する注射カニューレを介して注射装置103から放出される。
【0057】
限定ではなく例示の目的で、図2は、予め充填された加圧気体シリンダーまたはカートリッジ120の形態の圧力容器、流れ制限器および/または圧力調整器121、液体希釈剤バイアル122D、薬剤バイアル122M、図1の注射装置103を含む、加圧気体駆動型の二重バイアル再懸濁および移送システムの概略図である。(各バイアル122D,122Mには、液体の薬剤を収容することもできる。)図1のように、気体シリンダー120は、市販されている任意の適切なシリンダーであってもよく、またはカスタムシリンダーであってもよい。
【0058】
また、単一バイアルシステムと同様に、気体は、任意の適切な気体であってよく、限定ではないが、好ましくは病原体を含まない、すなわち活性病原体を含まない不活性気体である。穿刺ピンによる穿刺などによって解放されると、気体は、適切な流路を介して、シリンダーから流れ制限器および/または圧力調整器121を通って希釈剤バイアル122Dに向けられる。あるいは、シリンダーを出る気体は、気体を濾過するために、孔径が0.2μm以下のフィルターを通過するように向けられ得る。
【0059】
図1のシステムと同様に、流れ制限器および/または圧力調整器121は、内部にカートリッジが配置され、バイアル122D,122Mと注射装置103が取り付けられている装置内に形成された室を含む、任意の適切な構成であり得る。制限器/調整器から、流路124は気体をバイアル122Dに導く。制限器/調整器は、上記のフィルターの形をとることができる。
【0060】
希釈剤(または第1の液体薬剤)バイアル122Dおよび薬剤(または第2の液体薬剤)バイアル122Mは、それぞれが、通常はガラスであり、一端が開口し、ラテックス、シリコーンまたは他の材料の穿孔可能な隔膜(ダイアフラム)または隔壁126D,126Mによって密閉されている、剛性の容器部分を有する標準的な薬物バイアルであり得る。本発明の過程は、好ましくは、気体がバイアルの閉鎖端に流れ、気体が薬剤バイアルを出る前に、加圧気体の力の下でバイアルから本質的にすべての希釈剤および/または薬剤を出て行かせるように、バイアルを逆さの垂直位置にして実行される。
【0061】
流路127Dは、希釈剤(または第1の液体薬剤)バイアル122Dから、気体の圧力下で希釈剤(または液体薬剤)を薬剤バイアル122Mに導き、そこで凍結乾燥形態の乾燥状態の場合は薬剤を再懸濁、または、液体濃縮形態の場合は薬物を希釈する(または単に液体非濃縮形態の場合は薬物と組み合わせるか混合する)ことができる。薬剤バイアル122Mから、組み合わされた薬剤および希釈剤または希釈または混合された液体薬剤は、気体の圧力下で流路127Mを通って、以前に特定されたPCT出願で開示された注射装置103などの任意の適切な容器に流れる。
【0062】
本開示の加圧気体駆動移送装置の実施形態は、全体的に図3Aおよび図3Bにおいて符号140で示される。移送装置は2つの主要部分を含む:(1)全体的に符号142で示されるバイアルホルダー、および(2)全体的に符号144で示される気体膨張室。図3Aに図示され、以下により詳細に説明されるように、注射装置103は、液体薬剤を受容するために膨張室144にドッキングされ得る。
【0063】
以下に開示される実施形態は単一のバイアルを使用するが、代替の実施形態は、図2に示される方法で2つ以上のバイアルを収容し得る移送ステーションを含む。
【0064】
加えて、以下で論じられる移送装置の実施形態は、1回使用の使い捨ての装置であるが、代替の実施形態は、再利用可能な移送装置を含む。
【0065】
バイアルホルダー142は、図4図5Aおよび図5Bにおいて全体的に符号146で示されるバイアル昇降機シャフトを含む。その内部にはバイアル昇降機148が収容されている。バイアル昇降機シャフト146は、移送装置のベースプレート150(図4)に固定される。バイアル昇降機148は、図5Aに示される伸長位置と図5Bに示される引込位置との間で入れ子式にバイアル昇降機シャフト146内を垂直にスライドする。
【0066】
図6に図示されるように、バイアル昇降機148は、そこからロックアーム154a~154dが下方に延びる円形の縁152を含む。さらに、スプライン156a,156b(図7にも示される)は、加圧気体シリンダー穿孔機構のための作動アーム158がそうであるように、縁152から下に延びる。停止タブ162a~162dは、昇降機の中央底部から半径方向に延び、それぞれが停止ピン164a~164dを特徴とする。開口部166は、バイアル昇降機148の底部の中心に形成され、以下により詳細に説明されるように、ベースプレート150(図4)の底部に取り付けられた上向きのバイアルスパイクを受け入れる。
【0067】
図7に図示されるように、バイアル昇降機シャフト146は、バイアル昇降機148のスプライン156a,156bをスライド式に受容して、バイアル昇降機シャフト内のバイアル昇降機の半径方向の位置合わせを提供し、バイアル昇降機の移動に合わせてスムーズな移行を提供するために、内向きチャネル174a,174bを含む側壁168を有する。
【0068】
図8のロックアーム154aについて図示されるように、バイアル昇降機シャフト側壁168はまた、内側に延びるカム傾斜路170a(図8)を特徴とする。同様のカム傾斜路がロックアーム154b~154dに提供される。
【0069】
図8にさらに図示されるように、ロックアーム154aの遠位または下端は、爪176aを含み、一方、ロックアーム154aの上部は、図9を参照すると、バイアルロック肩178aを含む。ロックアーム154b~154dは同様の構造を特徴としている。
【0070】
動作中、図1のバイアル102について示されるように、逆向きのバイアルは、バイアル昇降機が伸長位置(図5A)にあるとき、隔壁(図1の106)によって下向き表面が形成されるまで、または、バイアルの縁が停止タブ162a~162dの停止ピン164a~164d(図6)に係合するまで、バイアル昇降機148内に下げられる。次に、使用者は、バイアルを静かに押し下げ、バイアル昇降機148は、図5Bに示される引込位置に向けて、バイアル昇降機シャフト146内に下向きに移動する。
【0071】
バイアル昇降機146が図5Bに示す引込位置に向かって下向きに動くと、ロックアーム154a~154dの遠位端上の爪(図8の176a)は、昇降機シャフトカム傾斜路(図8の170a)の付勢により内側に動かされる。これが発生すると、バイアルの下向きの端面(隔壁および/またはバイアルの縁)が停止ピン164a~164dを下向きに押すため、バイアル昇降機148の停止タブ162a~162dの遠位端が下向きに押される。バイアル昇降機148が図5Bに示す引込位置に到達すると、ロックアーム154a~154dのバイアルロック肩(図9の178a)は、それらがバイアル102のネック(図1の180)と係合する位置に移動している。その結果、バイアルは、バイアルホルダー142内にロックされる。
【0072】
単なる例示として、各バイアルは、13~20mmのネックフィニッシュで1~50mLの容量を有することができる。
【0073】
使用者が図4図6のバイアル昇降機148を、バイアル昇降機内にバイアルなしに図4図5Bのバイアル昇降機シャフト内に下向きに押すことを試みた場合、ロックアーム154a~154dの遠位端の内側に移動する爪(図8の176a)は、図8に示されるように、停止タブ162a~162dの遠位端と係合する。これにより、バイアル昇降機148が図5Bの引込位置に移動するのを防ぐ。バイアル昇降機148の底部からベースプレートの底部(図4の150)の間隔は、ロックアームの爪が停止タブと係合すると、バイアルホルダーベースの底部上に配置されるバイアルスパイクの先端が、バイアル昇降機の底部より下にあるようになる(すなわち、上向きのバイアルスパイクはまだ昇降機底部の開口部166を通過していない)。その結果、使用者はバイアルスパイクで指を刺すことから保護される。
【0074】
先に述べたように、そして図4図10図11に図示されるように、バイアルスパイク182は、バイアルスパイクハブ184を介してベースプレート150の底部に取り付けられている。バイアルスパイクは、バイアルの隔膜(ダイアフラム)または隔壁(図1図12Bおよび図12Cの106)を通過するように尖った先端を備え、2つの流路(1つはバイアルから液体を押し出すための圧縮気体の流入をさせるため、1つは注射装置への液体の流出のため)を有する。
【0075】
図4図10図11に図示されているように、バイアルスパイクハブ184は、気体入口フィッティング194および流体出口フィッティング196を有するハウジング192を含む。流体出口フィッティングは、組み立て中にハウジングの空洞(図12A図12Cの202)へのアクセスを提供するために、ハウジング192に固定されるハブキャップ198に任意で含まれてもよい。
【0076】
図10図12Cに図示されるように、バイアルスパイク182は、尖った先端204ならびに液体開口部206,208を有する、好ましくはステンレス鋼から構成されるカニューレの形態を取り得る。好ましくはポリアミドから構成される半可撓性気体管212は、気体出口開口部214を特徴とし、バイアルスパイク182ならびにバイアルスパイクハブの空洞202および気体入口フィッティング194を通って延びる。以下でより詳細に説明するように、気体管212の下端は、加圧空気または気体の供給源と選択的に流体連通している。
【0077】
気体管212から入ってくる気体が、図12B図12Cのバイアル102のようなバイアルのヘッドスペースに到達するために、それは、バイアルスパイクの液体開口部206,208を通り抜けて、バイアル中の液体薬物の上面に到達することができるはずである。その結果、図10および図11に示されるように、気体管開口部214は、加圧気体がバイアルに導入されるとき、バイアルスパイク182の液体開口部206,208よりも概して高く配置される。
【0078】
バイアルスパイク182がそこを通って移動するときに、気体管212がバイアルの隔膜(ダイアフラム)または隔壁(図12Bおよび図12Cの106)によって座屈したり曲がったりしないようにするために、空洞202により気体管212がバイアルスパイクハブハウジング192内で屈曲する。より具体的には、図12Aを参照すると、バイアルスパイク182をバイアルに挿入する前は、気体管212は自然な拡張位置にあり、気体出口開口部214はバイアルスパイク182の尖った先端214の真下に達している。
【0079】
図12Bを参照すると、バイアルスパイク182が隔壁106に挿入されているとき、気体管212の上端は、隔壁によってバイアルスパイク182の内側に押し下げられ、曲げと座屈から保護されている。気体管212は、それに外力が加えられていないときに真っ直ぐに留まることを望むようにそれを付勢する柱強度を有する。図12Bに図示されるように、これらの特性により、管の先端に下向きの力(図12Bのバイアル隔壁106によって加えられた力)が加えられたとき、バイアルスパイクハブのハウジング192の空洞202内で気体管212が下向きに撓むことができる。気体管212は直線を保つ親和性を有するので、隔壁がバイアルスパイクに着座すると、バイアル隔壁106の力が気体管212の上端から離れてバイアルスパイク182に移送された後、図12Cに示されるように、それは元の伸長位置に跳ね返る。
【0080】
バイアルスパイクおよび気体管がバイアル内に完全に配置された後、加圧空気が気体管および気体管開口部を通ってバイアルヘッドスペースに放出される。気体出口開口部を備えた気体管の先端(伸長位置)は、通常、バイアルスパイクの流体出口開口部よりも高いため、空気が液体の薬剤を通してバイアルのヘッドスペースまたは閉じた端部に泡立って上昇することができる。
【0081】
気体がバイアルの上部に到達するのを助ける気体管212の任意の特徴は、気体管の先端にある気体管開口部214の形状である。円形の開口形状(図13)ではなく、気体管212を先端でつまんで、気体管開口部214(図14)に薄くて長い卵形を作る。この形状は、管の出口点での制限として機能する。これにより、気体が管から高速で放出され、気体がバイアルスパイクの液体流路に引き込まれる機会を妨げる。この概念は、親指/指を出口の上に置くことで庭のホースからの水の流れを制限している人に似ていると最もよく説明されている。これを行うと、管を出る流体の流れの速度が上がる。
【0082】
加圧気体がバイアルのヘッドスペースに導入されると、バイアル内の液体は、図10図11のバイアルスパイク液体出口206,208を通って強制的に排出される。この液体は、バイアルスパイクハブの空洞202(図12A図12C)に流れ込み、流体出口フィッティング196(図10および図11)を通って外に出る。このサブアセンブリ内の残留流体は、可能な限り減らされるべきである。これを行うために、流体出口フィッティング196は、空洞202の底部近くに配置される。
【0083】
図15および図16を参照すると、バイアルスパイクハブのハウジング192の気体入口フィッティング194(または単に空洞202)を通過する気体管212は、可撓性移送管222に接合または接続される。移送管222の反対側の端部は、一般に符号144で示される気体膨張室に接続され、これは、上述の方法でバイアルを加圧するための加圧気体の供給源として機能する。
【0084】
図4図15図17に図示されるように、気体膨張室144は、膨張室上部226および膨張室下部228を含む。図15に図示されるように、移送管222は、気体膨張室144の加圧気体供給ポートに接続される。図4に示されるように、膨張室の底部228は、移送装置のベースプレート150によって受容される。
【0085】
図17および図18を参照すると、膨張室の底部228は、膨張室内部空洞230を画定し、圧縮窒素などの圧縮気体を含む気体カートリッジ234(図4にも示される)を保持および支持するように構成されるブラケット232を備える。もちろん、他のタイプの圧縮または加圧気体を含むカートリッジを使用することができる。
【0086】
図17および図19に示されるように、リブ236,238は、それぞれ室上部226および室底部228の底面に形成され、室を支持して、偏向またはバーストを制限する。図20に図示されている室上部226の上面には、フィルターを保持するための凹部242が設けられており、これを通して、以下により詳細に説明するように、流体がバイアルスパイクハブから移送装置に取り付けられた注射装置に移動する。
【0087】
室底部228の縁上の室支柱244(図17)は、それらが組み立てられるときに(図4にも示される)室上部226から延びるタブ246(図19)に形成された開口と整列する。次に、室の上部と下部が接着剤で接着され得る。室柱244はまた、図4の符号250で示される保持リング上の六角穴と嵌合して、装置に取り付けられたままにする。図17の符号252で示されるX柱は、追加の接着面を可能にし、気体膨張室の内部空洞(図17の230)が加圧されるときに室上部226の大きな表面積が曲がることを可能にしない。図4の符号254で示されるベースプレート150の可撓性壁支持体は、気体膨張室が加圧されたときに、気体膨張室の側壁256(図4および図15図17)に追加の支持を提供する。
【0088】
膨張室144の内部空洞230は、その中に配置された気体カートリッジ234(図4および図18)が穴をあけられるときに加圧される。次に、これを行うためのカートリッジ穿刺機構について説明する。
【0089】
図4図15図16図21および図22を参照すると、可撓性壁260は、鋭利な先端を有する穿刺先端264を保持する内面と、可撓性壁カム傾斜路266が設けられた外面とを特徴とする。単なる一例として、可撓性壁160は、可撓性のために約0.030インチの厚さを有するプラスチックで構成されてもよい。
【0090】
可撓性の壁260は、図17図21、および、図22において符号268で示される開口部を覆うように配置される。図21および図22に示されるように、穿刺先端264は、それを通過する。可撓性の壁は、接着剤で所定の位置に接着され、次に、移送装置が組み立てられた後、ベースプレート150上に形成された支持リブ274(図4図21および図22)の間に挟まれる。図4を参照すると、支持リブ274は、可撓性壁カム傾斜路266を収容する垂直スロット276を特徴とする。
【0091】
図6を参照して前述したように、作動アーム158は、バイアル昇降機148の縁152から下方に延びる。これは図22にも示されている。図4図6図22および図23に示されているように、作動アーム158の遠位端には、昇降機カム傾斜路278が設けられている。
【0092】
バイアルがバイアル昇降機(図4図6の148)に挿入され、バイアル昇降機がバイアル昇降機シャフト(図4~5Bの146)内に後退するように押し下げられると、バイアル昇降機の作動アーム158が下に移動するため、図22および図23に示すように、昇降機カム傾斜路278は、可撓性壁カム傾斜路266と相互作用して、可撓性壁260の中央部分、したがって穿刺先端264を内側に移動させ、加圧気体カートリッジ234の端部を穿刺する(図18にも示されている)。そうすることで、可撓性壁は、(気体膨張室144の外側から見たとき)凹状に弾性変形する。可撓性壁カム傾斜路266および昇降機カム傾斜路はそれぞれ、好ましくは、(垂直から)20度の角度を特徴とし、可撓性壁260の中央部分を屈曲および移動させるために必要な力および変位を低減する。
【0093】
気体膨張室144の内部空洞230(図17)の形状および容積は、移送管222に供給される気体の圧力、したがってバイアルスパイクハブおよびバイアルに提供される気体の圧力が気体カートリッジ234(図18)の気体の圧力より低くなるようなものである。その結果、内部空洞230は圧力調整器として機能する。
【0094】
図22を参照すると、昇降機シャフト壁168は、室頂部226に形成された開口によって受けられるピン282を特徴とし、それにより、昇降機シャフトは、膨張室にリンクされて、気体カートリッジの穿刺を確実にするのに役立つ昇降機シャフトの上部からの動きを制限する。
【0095】
ベースプレート150の支持リブ274は、不発の原因となるゆるみをなくすのに役立つ可撓性壁カム傾斜路266の垂直移動を制限する。
【0096】
図18および図22に図示されるように、穿刺先端264が加圧気体カートリッジ234と係合する角度は、好ましくは、それが穿刺先端をカートリッジの穿刺区域の隅部に押し込むような角度であり、すなわち、カートリッジの最も薄い壁が最小の穿刺負荷を生成する。
【0097】
図22および図24に図示されるように、ベースプレートはまた、バイアル昇降機がバイアル昇降機シャフト内に引っ込められ、バイアル昇降機カム傾斜路278がその上を通過するときに邪魔にならないように撓む昇降機ロックタブ284を特徴とする。次に、図24に図示されるように、昇降機ロックタブ284は、昇降機カム傾斜路278上で屈曲して戻り、バイアル内容物の移送が開始された後のバイアル昇降機からのバイアルの除去を防止する。
【0098】
図5B図7図25図26Aおよび図26Bに符号286で示される管ピンチ延長部は、加圧気体膨張室とバイアルスパイクハブの気体管との間に延びる、移送管222(図15図16図26Aおよび図26B)の保持位置として機能する昇降機シャフト上のスロット288を規定する。
【0099】
バイアル昇降機は、図6図7図25図26Aおよび図26Bに符号292で示される、図6および図26Aの符号294で示される傾斜した底面を有する管ピンチブレードを含む。管ピンチブレード292は、管ピンチ延長部の対応する開口部(図25の295)を通過する。
【0100】
図26Aおよび図26Bに図示されるように、バイアル昇降機およびバイアルがバイアル昇降機シャフト内の引込位置に向かって下降すると、管ピンチブレード292は、ピンチ管延長部286を通って移動し、移送管222を、バイアル昇降機が完全に引き込まれた位置になるまで、ピンチ管延長部のスロット288スロットを規定する縁部に対してはさみつぶす(図5B)。システムの一局面は、気体シリンダーが穿刺され、気体がバイアルに導入されるタイミングである。バイアルが昇降機に挿入され、移動の終わりまで押されると、気体キャニスターを穿刺するように昇降機が可撓性壁と相互作用する。加圧気体がバイアルに流入する前に、バイアルスパイクがバイアル内にあることが望ましい。昇降機の移動中に管をはさみつぶして気体キャニスターに穴を開けると、バイアルスパイクがバイアルに完全に挿入されるまで(つまり、図5Bのバイアル昇降機が完全に格納された位置にあるとき)、バイアルへの加圧気体の流れはない。図25に図示されるように、ピンチブレード292は、矢じり形状を特徴とすることが好ましく、矢じりの先端(図25の296)が管をはさみつぶし、矢じり後部の平らな部分が垂直力に対抗して、開口部295の対応する側に当接することによって管をはさみつぶす。
【0101】
移送管222は、好ましくは、空気の流れを妨げることなくはさみつぶして解放することができるのに十分な剛性がある管で構成される。単なる一例として、移送管222は、0.030インチの内径および0.060インチの外径を有するPVCまたは他の互換性のある管であり得る。
【0102】
先に説明したように、バイアル内の液体は、加圧気体によって、バイアルスパイク、バイアルスパイクハブ空洞202(図12A図12C)から出て、バイアルスパイクハブの流体出口フィッティング196(図15および図16)から排出されるように強制される。図15および図16(および図3B)に図示されるように、流体移送ライン290は、流体を流体出口フィッティング296から、図3B図15および図16の符号293で示される通気フィルターに導く。通気フィルターの概略図を図27に示す。通気フィルターは一般に全体的に符号293で示されている。
【0103】
通気フィルターは、薬物の移送中にシステムから前端および後端の空気を排出し、空気が注射装置に入らないようにするために使用される。より具体的には、上記で説明したように、加圧されたキャニスターに穴が開けられ、バイアルから液体と空気を押し出すための駆動力として使用される。バイアルスパイクハブと通気フィルター293との間の空の流体移送ライン290は、液体が注射装置に押し込まれる前にシステムから排出されるべき前端空気で満たされている。
【0104】
図27を参照すると、通気フィルターは、流体移送ライン290が接続される流体入口ポート299、空気出口ポート311および液体を受容するために注射装置(図3Aの103)の充填ポートが接続される液体出口ポート313(図3Bにも示される)を有するハウジング297を含む。ハウジングは、親水性膜315および疎水性膜317も含み、その間に流体室319が配置される。流体室319は、流体移送ライン290から流体を受け取る。結果として、流体経路に閉じ込められた前端空気は、疎水性膜317を通過し、空気出口ポート311から出て大気中に入る。濾過された液体は、親水性膜315を通過し、液体出口部分313を通って出て、注射装置に入る。
【0105】
注射装置を満たすのに必要な圧力と相まって、親水性膜315の固有の流れ制限のために、前端空気が排出される。これらの要因により、前端の空気は、通気フィルター293を介して送られるときに、抵抗が最も小さい経路を見つける。これは、制限された親水性膜315を通って注射装置内にではなく、疎水性膜317と空気出口ポート311を通る。通気フィルターの親水性膜は、液体がそれを通過し、注射装置に入るのを可能にする。親水性膜が液体で濡れると、空気が通過できなくなり、液体だけが通過するので、空気が注射装置に入らないようになる。親水性フィルターはまた、空気を濾過するだけでなく、製剤からの凝集物または粒子が注射装置に移送されるのを防ぐ能力も有する。
【0106】
液体のすべてが注射装置に移送されると、残留空気圧は、膨張室を含む移送装置内に依然として存在する。この空気はフィルターに入り、親水性膜315によって遮断され、通気フィルター293から出て、疎水性膜317を通って大気中に出る。この過程は、気体膨張室の内部空洞内で特定の圧力に到達するまで続き、以下で説明する圧力解放アセンブリがシステム内の残りの圧力を排出する。
【0107】
親水性膜315の孔径は、好ましくは、移送システムの差圧および注射装置の内部圧力によって設定される。圧力が通気フィルター293が処理できるものよりも高くなると、空気が注射装置に入ることができる。
【0108】
液体出口ポート313は、注射装置の充填を補助するために、任意でカニューレを受け入れることができる。単なる一例として、カニューレは、注射装置の充填隔壁を損傷するリスクを低減するカールした先端を有する19ゲージの針であってもよい。
【0109】
図20を参照して前述したように、室上部226の上面には、(図3Bに示すように)通気フィルター293を保持するための凹部242が設けられている。これにより、システム全体の高さを低くすることができる。
【0110】
図3Aを参照すると、保持ストラップ301は、輸送中に注射装置103を移送装置140に保持する。さらに、保持ストラップ301は、バイアルから注射装置103への薬物の移送の間、ラッチされたままであるように意図されている。すべての薬物が注射装置に移されると、保持ストラップ301は自動的に解放され、注射装置が身体に配置される準備ができていることを使用者に示す。さらに、移送装置からの最後の排出が行われ、薬剤が注射装置に完全に移送された後に残っている気体膨張室内の残留圧力が解放される。この機能は、使用者が注射装置を移送装置から早すぎるタイミングで取り外すことを防ぐ。ストラップがないと、すべての薬剤がバイアルから移される前に、使用者は注射装置を取り外そうとする場合がある。これらの機能を実行する機構を次に説明する。
【0111】
図3A図4および図28を参照すると、保持ストラップ301は、D字形ファスナー303を有する第1の端部と、フック305および一対の対向するラッチピン307を特徴とする第2の端部とを含む。図3B図4および図29に図示されているように、保持リング250には、一対の開いたヒンジタブ309が設けられている。図3Aに図示されるように、ストラップが注射装置を移送装置に固定するためにストラップが使用されているとき、ヒンジタブ309は、保持ストラップ301のD型ファスナー303と係合する。以下でより詳細に説明されるように、(フック305およびラッチピン307を含む)保持ストラップの他端は、図3Aに示されるように圧力解放アセンブリで固定される。
【0112】
図4および図17に図示されるように、膨張室の底部228には、圧力解放穴302が設けられている。図30A図30Dに図示されるように、概して符号304で示される圧力解放アセンブリは、圧力解放穴302内に配置される。図4および図30Aに図示されるように、圧力解放アセンブリは、プランジャーロッド308、Oリング310およびプランジャーロッド圧縮ばね312を含む。プランジャーロッド308の内端には、間隔を置いたカラー314a,314bが設けられ、それらの間にOリング310が配置され、プランジャーロッドの外端には、J字形スロット316が設けられる。
【0113】
使用前の移送装置140、および注射装置103がその上に配置され、保持ストラップ301によってそこに固定されている状態が、図3Aに示されている。図3Aに図示されている移送装置の初期状態に対応する圧力解放アセンブリ304の構成が図30Aに示されている。図30Aを参照すると、保持ストラップ301のラッチピン307は、矢印322の方向の圧縮ばね312の付勢に抗して、プランジャーロッド308を図示の位置に保持するように、J字形スロット316の閉鎖端と係合している。
【0114】
さらに、保持ストラップのフック305は、保持リング250上の棚324に引っ掛けられている。
【0115】
注射段階中の圧力解放アセンブリ304の構成が図30Bに示されている。注射段階は、使用者がバイアルを移送装置のバイアル昇降機に押し込み、それを引込位置に向かって移動させて移送装置を作動させ、バイアルから注射装置への薬物の移送を開始した段階である。
【0116】
上述のように、バイアルをシステムに押し込む行為は、加圧気体カートリッジ(図18および図22の234)に穴をあけ、それにより、加圧気体膨張室144の内部空洞230を加圧気体で満たす。膨張室の内部空洞230内のこの圧力は、プランジャーロッド308を圧縮ばね312の付勢に抗して矢印326の方向に押しやる。プランジャーロッド308は、Oリング310が膨張室144の内部空洞230からの加圧気体の漏れを低減または排除する閉位置にある。結果として、図30Bに示されるように、保持ストラップ301のピン307は、プランジャーロッド308のJ字形スロット316の丸い底に向かって動く。
【0117】
図30Bを続けて参照すると、保持ストラップ301は、右に(矢印328の方向に)スイングしたい要素に固有の付勢されたばね力を有するように(好ましくはプラスチックから)成形される。その結果、ピン307が図30Bに示す位置に移動すると、保持ストラップ301のフック305は、図30Cに示す保持リング250の棚324上の位置に移動し、ピン307はJ字形スロット316内でその図に示された位置まで移動する。
【0118】
図30Cに対応する時間において、移送装置は、バイアルから注射装置に流体を移送しており、膨張室144の内部空洞230の内部には依然として気体圧が存在し、プランジャーロッド308を図30Cに図示された位置に、再び圧縮ばね312の付勢に抗して保持したままにする。一方、図30Cに示すように、保持ストラップ301のラッチピン307は、プランジャーロッド308のJ字形スロット316の壁に接触し、これにより、フック305が保持リング250の棚324にラッチされたままになる。
【0119】
流体の注射装置への移送が完了すると、通気フィルター293(図27)は、移送装置内の圧縮空気を大気に排出し始める。これにより、膨張室144の内部空洞230内の圧力を低下させることができる。膨張室144内の圧力が低下すると、圧縮ばね312が膨張または伸張し始め(ばねの伸張は図示せず)、プランジャーロッド308が図30Aの矢印322の方向に図30Dに示される位置に移動する。その結果、保持ストラップ301のラッチピン307は、プランジャーロッド308のJ字形スロット316の開放端から出て、保持ストラップ301のフック305が(保持ストラップの成形バイアスにより)図30Dに示すように、保持リング250の棚324を外し、保持ストラップの端部を解放する。
【0120】
圧縮ばね312の特性は、膨張室144の内部空洞230の特定の圧力で後退するように選択することができ、それにより、保持ストラップ301を特定の圧力でロック解除することができる。
【0121】
図30Dを引き続き参照すると、プランジャーロッド308はまた、膨張室144内の追加の圧力を解放するための最終的な空気ベントとしても機能する。これは、プランジャーロッド308が通気位置にあるときに、Oリング310が圧力解放穴302の「通気位置」(図30Dに示す)を通過すると発生し、残りの加圧空気が膨張室144の内部空洞230からOリングおよびプランジャーロッドを過ぎて漏れるようにする。
【0122】
図31を参照すると、保持リングが移送装置から取り外されたものとして示され、一般に符号250で示され、前部指の切り欠きは符号332で示され、後部指の切り欠きは符号334で示される。前部指の切り欠き332は、(図3Aに示されるように)移送装置に取り付けられたとき、注射装置の取り外しのための親指配置を可能にし、後部指の切り欠き334は、移送装置に取り付けられたとき、注射装置の取り外しのための複数の指配置を可能にする。
【0123】
さらに、図31および図32を参照すると、保持リングは、膨張室144の上部に形成された対応する柱338と協働して剥離ライナーの接着タブ342を機械的に捕捉する下向きに延びる接着剤捕捉柱336を含む。剥離ライナーは、注射装置を使用者に固定するために使用される注射装置の接着剤で覆われた表面を取り外し可能に覆う。その結果、注射装置が移送装置の保持リング250から引き出されているとき、剥離ライナーは移送装置に残っている。さらに、協働柱336,338を使用して、注射装置に取り付けられた安全ストリップの遠位端を捕捉して、注射装置の偶発的な作動を防止することができる。柱336,338は安全ストリップの遠位端を保持するので、安全ストリップが移送装置の保持リング250から引っ張られると、安全ストリップは注射装置から自動的に取り外され、したがって、注射装置は、注射を実行するように作動する準備ができている。
【0124】
したがって、保持リング250は、注射装置の移送装置への組み立てをより容易にする。注射装置の安全ストリップと剥離ライナーの接着剤のタブを何らかの方法で移送装置に押し込む必要がある代わりに、保持リング250を膨張室144に取り付けることは、組み立ての最後の工程であり、安全ストリップとタブを取り込んで接着ライナーと安全ストリップに機械的にロックする。
【0125】
本主題は、特定の構造、方法、および例を参照して本明細書で説明されているが、これは例示のみを目的としており、本主題は、この主題を使用しながら、特定の構成と外観が異なる広範囲の装置およびシステムに適用可能であることが理解される。
【0126】
態様1.
a)薬剤流体を収容するバイアルを受容するように構成されたバイアル昇降機と、
b)内部で前記バイアル昇降機が伸長位置と引込位置との間で動くバイアル昇降機シャフトと、
c)前記バイアル昇降機が前記引込位置にあるときに前記バイアル内に配置されるように前記バイアル昇降機シャフトの内部に配置されるバイアルスパイクと、
d)内部空洞を有する膨張室と、
e)前記膨張室の前記内部空洞に配置される加圧気体カートリッジと、
f)使用者によって作動されるときに前記加圧気体カートリッジを穿刺するように構成される穿刺先端と、
g)前記膨張室の前記内部空洞と流体連通し、前記バイアル昇降機が前記引込位置にあり前記バイアルスパイクが前記バイアル内にあるとき、前記移送装置に取り付けられた注射装置および前記バイアル昇降機内に配置されたバイアルと流体連通するように構成された前記バイアルスパイク
とを備える、薬剤流体をバイアルから薬剤流体注射装置に移送するための移送装置。
【0127】
態様2.
前記穿刺先端を含むカートリッジ穿刺機構をさらに備え、
前記カートリッジ穿刺機構は、前記バイアル昇降機が前記引込位置に向かって動くときに前記カートリッジ穿刺機構が前記バイアル昇降機によって係合されたときに、前記加圧気体カートリッジを前記穿刺先端で穿刺するように構成されている、態様1に記載の移送装置。
【0128】
態様3.
前記穿刺機構は、前記穿刺先端が配置される第1の側と可撓性壁カム傾斜路が配置される第2の側とを有する可撓性壁を含み、
前記膨張室は開口部を含み、その上に前記可撓性壁が配置され、前記穿刺先端が前記内部空洞内に延び、
前記バイアル昇降機は、前記バイアル昇降機が前記引込位置に向かって動かされるときに前記穿刺先端を前記加圧気体カートリッジの方向に動かすように前記可撓性壁カム傾斜路に係合するバイアル昇降機カム傾斜路を含む、態様2に記載の移動装置。
【0129】
態様4.
前記バイアル昇降機シャフトは、シャフトカム傾斜路を含み、
前記バイアル昇降機は、前記バイアル昇降機が前記引込位置に向かって動かされるときに前記シャフトカム傾斜路によって半径方向内向きに動かされる複数のロックアームを含み、
前記ロックアームのそれぞれは、前記バイアル昇降機が前記引込位置にあるときに前記バイアル昇降機内に挿入されたバイアルに係合するように構成されるロック肩を含む、態様1に記載の移送装置。
【0130】
態様5.
前記バイアル昇降機は、複数の半径方向に延在するロッキングタブを含み、
前記ロッキングタブのそれぞれは、ロッキング柱を含み、
前記ロックアームのそれぞれは、ロッキング爪を含み、
前記ロッキング爪は、前記ロッキング柱が前記バイアル昇降機内に配置されたバイアルと係合されていないとき、前記バイアル昇降機の前記引込位置に向かう動きを制限するために前記ロッキングタブに係合し、
前記ロッキングタブは、前記ロッキング柱が前記バイアル昇降機内に配置されるバイアルによって係合されるときに前記バイアル昇降機が前記引込位置に向かって動くときに前記ロッキング爪によって係合されない位置に動かされる、態様4に記載の移送装置。
【0131】
態様6.
前記バイアル昇降機は、前記バイアル昇降機が前記引込位置にあるときに前記バイアルスパイクを受容するバイアルスパイク開口部を含み、
前記バイアルスパイクは、前記バイアル昇降機ロッキング爪が前記ロッキングタブに係合するとき、前記バイアルスパイクが前記バイアルスパイク開口部を通過しないように構成されている、態様5に記載の移送装置。
【0132】
態様7.
前記バイアル昇降機が複数の半径方向に延びるスプラインを含み、
前記バイアル昇降機シャフトが複数のスロットを含み、
前記バイアル昇降機が前記伸長位置と前記引込位置との間を移動するときに前記スプラインがスロットの中でスライドする、態様1から態様6までのいずれか1項に記載の移送装置。
【0133】
態様8.
前記膨張室は移送管を介して前記バイアルスパイクと流体連通しており、
前記バイアル昇降機シャフトは前記移送管が通過するスロットを含み、
前記バイアル昇降機は管ピンチブレードを含み、
前記管ピンチブレードは、前記バイアル昇降機シャフトに対して前記移送管をはさみつぶし、前記バイアル昇降機が前記伸長位置から前記引込位置に動くと前記移送管を解放するように構成されている、態様1から態様7までのいずれか1項に記載の移送装置。
【0134】
態様9.
前記バイアルスパイクは液体入口を含み、前記バイアルスパイクの前記液体入口と流体連通するハブ空洞を有するバイアルスパイクハブに取り付けられ、
前記ハブ空洞は、前記移送装置に取り付けられる注射装置と流体連通するように構成され、
前記移送装置は、さらに、半可撓性気体管を備え、
前記半可撓性気体管は、前記膨張室と流体連通である前記バイアルスパイクを通って延び、気体出口開口部を有し、
前記気体出口開口部は、前記バイアルスパイクが前記バイアル内にあり、前記バイアル昇降機が前記引込位置にあるとき、前記バイアルスパイクの前記液体入口の上方に位置し、
前記気体管は前記ハブ空洞内で屈曲し、
前記気体出口開口部は、前記バイアルスパイクの前記バイアル中への挿入中、前記気体管とバイアル隔壁との接触時に前記バイアルスパイク内に後退するように構成されている、態様1から態様8までのいずれか1項に記載の移送装置。
【0135】
態様10.
前記気体管はポリアミドで形成されている、態様9に記載の移送装置。
【0136】
態様11.
a)バイアルホルダーと、
b)前記バイアルホルダー内に配置され、前記バイアルが前記バイアルホルダー内に挿入されるときに、薬剤流体を収容するバイアルに入るように構成されるバイアルスパイクと、
c)前記バイアルスパイクと圧力解放穴と流体連通である内部空洞を有する膨張室と、
d)前記膨張室の内部空洞と配置される加圧気体カートリッジと、
e)使用者によって作動されるときに前記加圧気体カートリッジを穿刺するように構成される穿刺先端と、
f)前記移送装置に取り付けられた注射装置と流体連通であるように構成される前記バイアルスパイクと、
g)前記圧力解放穴内にスライド可能に配置され、閉位置と通気位置との間を動くように構成されるプランジャーロッド
とを備える、薬剤流体をバイアルから薬剤流体注射装置に移送するための移送装置。
【0137】
態様12.
h)前記プランジャーロッドを前記膨張室の内部空洞に向かう第1の方向において付勢する圧縮ばねと、
i)注射装置を前記移送装置に固定するように構成され、前記移送装置に取り付けられる第1の端部と、前記プランジャーロッドに取り外し可能に取り付けられる第2の端部とを有し、前記プランジャーロッドの前記第1の方向の動きを制限する保持ストラップ
とをさらに備える、態様11に記載の移送装置。
【0138】
態様13.
前記プランジャーロッドは、J字形のスロットを含み、その中に前記保持ストラップの前記第2の端部が受け入れられる、態様12に記載の移送装置。
【0139】
態様14.
前記保持ストラップは、注射装置を前記膨張室に固定するように構成される、態様12または態様13に記載の移送装置。
【0140】
態様15.
前記膨張室に取り付けられ、注射装置を受け入れるように構成された保持リングをさらに備え、
前記保持ストラップの前記第2の端部は、前記保持ストラップの前記第2の端部が前記プランジャーロッドに取り付けられるときに前記保持リングに係合するフックを含む、態様14に記載の移送装置。
【0141】
態様16.
前記プランジャーロッド上に配置され、前記プランジャーロッドが閉位置にあるとき、前記圧力解放穴の側壁と係合するOリングをさらに備え、
前記Oリングは、前記プランジャーロッドが前記通気位置にあるとき、前記内部空洞内の加圧気体が前記圧力解放穴を通して排気されるように、前記圧力解放穴の側壁と係合しない、態様1から態様15までのいずれか1項に記載の移送装置。
【0142】
態様17.
a)バイアルホルダーと、
b)前記バイアルホルダー内に配置され、前記バイアルが前記バイアルホルダー内に挿入されるときに薬剤流体を収容するバイアル内に入るように構成されるバイアルスパイクと、
c)前記バイアルスパイクと流体連通である内部空洞を有する膨張室と、
d)前記膨張室の前記内部空洞内に配置される加圧気体カートリッジと、
e)使用者によって作動されるときに前記加圧気体カートリッジを穿刺するように構成される穿刺先端と、
f)i)流体入口と、液体出口と、気体出口とを有するハウジングと、
ii)前記ハウジング内に配置されて前記流体入口と前記液体出口と流体連通である親水性膜と、
iii)前記ハウジング内に配置されて前記流体入口と前記気体出口と流体連通である疎水性膜と
を含む通気フィルターと、
g)前記液体出口は前記移送装置に取り付けられた注射装置と流体連通であるように構成され、前記薬剤流体の液体部分は前記親水性膜を通って流れ、前記液体出口を通って前記ハウジングの外に出るように、前記薬剤流体の気体部分は、前記疎水性膜を通って流れ、前記気体出口を通って前記ハウジングの外に出るように、前記バイアルホルダー内に挿入されたバイアルから前記通気フィルターの前記流体入口へ薬剤流体を提供するように構成された前記バイアルスパイク
とを備える、薬剤流体をバイアルから薬剤流体注射装置に移送するための移送装置。
【0143】
態様18.
前記膨張室の上部は、その中に前記通気フィルターが配置される凹部を含む、態様17に記載の移送装置。

図1
図2
図3A
図3B
図4
図5A
図5B
図6
図7
図8
図9
図10
図11
図12A
図12B
図12C
図13
図14
図15
図16
図17
図18
図19
図20
図21
図22
図23
図24
図25
図26A
図26B
図27
図28
図29
図30A
図30B
図30C
図30D
図31
図32
【外国語明細書】