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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2022177237
(43)【公開日】2022-11-30
(54)【発明の名称】遠心ポンプのインペラ
(51)【国際特許分類】
   F04D 29/62 20060101AFI20221122BHJP
   F04D 29/24 20060101ALI20221122BHJP
【FI】
F04D29/62 A
F04D29/24 C
F04D29/62 C
【審査請求】有
【請求項の数】9
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2022152887
(22)【出願日】2022-09-26
(62)【分割の表示】P 2020571745の分割
【原出願日】2019-09-25
(71)【出願人】
【識別番号】510109198
【氏名又は名称】協磁股▲ふん▼有限公司
(74)【代理人】
【識別番号】110000408
【氏名又は名称】弁理士法人高橋・林アンドパートナーズ
(72)【発明者】
【氏名】シー,チ-シィェン
(72)【発明者】
【氏名】シー,チ-クァン
(72)【発明者】
【氏名】チィェン,ファン-ジャン
(72)【発明者】
【氏名】チィェン,シュ-イェン
(72)【発明者】
【氏名】ワン,チン-チェン
(72)【発明者】
【氏名】リン,ユェン-ホン
(72)【発明者】
【氏名】チェン,ポン-シィァン
(57)【要約】      (修正有)
【課題】ねじれブレード用のモールド型と、インペラ出口用モールド型とを含む、遠心ポンプおよびそれによって製造されるインペラのダイ形成された3次元プラスチックインペラの製造方法に関する。
【解決手段】ねじれブレード用のモールド型はインペラの各ブレードのねじれブレード部を形成するように構成され、インペラ出口用モールド型は各ブレードの後部と、インペラのハブリム部分と、インペラのシュラウドリム部分とを形成するように構成され、インペラはハブリム部分と、シュラウドリム部分と、ブレードが同一の成形工程で単一片に形成されるように構成される。
【選択図】図4A
【特許請求の範囲】
【請求項1】
遠心ポンプのインペラであって、
ハブと複数のブレードを含み、
前記ハブはハブリム部および内部ハブを含み、
前記ハブリム部はハブ孔を有し、前記複数のブレードは前記ハブリム部に沿って配置され、
前記複数のブレードの各々は、前部と後部とを有し、
前記前部は、前記後部を介して前記ハブリム部に接続されたねじれブレード部であり、
前記ハブリム部および前記複数のブレードは、同一の成形工程で一体的に成形され、前記ねじれブレート部は前記ハブ孔に位置し、前記ハブリム部と重ならないように配置され、
前記ハブリム部の前記ハブ孔および前記内部ハブは、熱溶着または溶融ロッドによって配置されることにより前記インペラを一緒に形成するように構成されることを特徴とする、
遠心ポンプのインペラ。
【請求項2】
前記前部の各々は、第1シュラウド線および第1ハブ線を有し、前記第1シュラウド線と前記第1ハブ線は、ブレード角が異なることを特徴とする、
請求項1に記載の遠心ポンプのインペラ。
【請求項3】
遠心ポンプのインペラであって、
ハブと複数のブレードを含み、
前記ハブはハブリム部および内部ハブを含み、
前記ハブリム部はハブ孔を有し、前記複数のブレードは前記ハブリム部に沿って配置され、
前記複数のブレードの各々は、前部と後部を有し、
前記前部は後部を介して前記ハブリム部に接続されたねじれブレード部であり、
前記インペラを形成するために軸方向に取り外し可能なねじれブレード用のモールドを使用し、
前記ハブリム部の前記ハブ孔、および前記内部ハブは、熱溶着または溶融ロッドによって配置されることにより前記インペラを一緒に形成するように構成されることを特徴とする、
遠心ポンプのインペラ。
【請求項4】
前記前部の各々は、第1シュラウド線および第1ハブ線を有し、
前記第1シュラウド線と前記第1ハブ線は、ブレード角が異なることを特徴とする、
請求項3に記載の遠心ポンプのインペラ。
【請求項5】
【請求項6】
【請求項7】
前記前部の各々は、第1シュラウド線および第1ハブ線を有し、
前記第1シュラウド線および第1ハブ線は、ブレード角が異なることを特徴とする請求項6に記載の遠心ポンプのインペラ。
【請求項8】
前記内部ハブは、前記ブレードの各々の前記ハブリム部および前記第1ハブ線に接続されていることを特徴とする、
請求項2、4および7のいずれか一項に記載の遠心ポンプのインペラ。
【請求項9】
前記ハブリム部および前記ブレードに埋め込まれた補強金属をさらに含むことを特徴とする、
請求項1、3および6のいずれか一項に記載の遠心ポンプのインペラ。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
開示はポンプインペラの製造方法に関し、より詳細にはエンジニアリングプラスチック材料から製造されるポンプインペラの製造方法に関し、これは射出成形またはトランスファ成形のような方法を用いて、高効率の3次元流路を有するプラスチックインペラを製造するのに適応したものであり、従来の2次元インペラは製造が容易であるが効率が低いという問題を解決することができる。
【背景技術】
【0002】
省エネルギー、二酸化炭素排出削減が各国から注目されており、動力機械の効率化はメーカーが取り組む目標となっている。国際エネルギー機関(IEA)の報告書によれば、ポンプの消費電力は電動機械全体の消費電力の約19%である。2015年以降、欧州連合(EU)はウォーターポンプの最小効率指数(MEI)を少なくとも0.4以上になるように規制しており、したがって、多くの製造業者は、製造コスト効率の高い高効率ポンプの開発に取り組んでいる。
【0003】
【0004】
【0005】
遠心インペラはターボ機械の動作のための重要な要素であり、液および/または気体を含む流体を伝達するために使用され、風力タービンまたはポンプに適用されることができる。ポンプの遠心インペラは渦巻状に設置されており、流体はポンプ筐体の吸込みに流入し、軸方向にインペラの入口に入る。インペラの内部は、複数の湾曲したブレードによって画定される複数の放射状又は傾斜したブレード流路を有する。インペラが回転すると、遠心力およびコリオリ力の助けを借りて、流体の流速および圧力を増加させるように、機械的エネルギーがこれらのブレードを介して流体に伝達される。ブレードの案内により、流体の流れは軸方向から半径方向に切り替わり、次いで、流体はブレード流路から出てボリュートの流路に入り、その高速運動エネルギーはボリュートの流路の拡散を通して静圧として回収され、ボリュートの出口から排出される。
【0006】
軸方向において、遠心インペラ、の前側および後側にシュラウドおよびハブがそれぞれ配置され、シュラウドおよびハブのブレードはブレード流路内を流れる流体の動きを制限するように構成される。ハブはシャフトに直接接続されており、シャフトの動力をブレードに伝えるために使用される。シュラウドは、流体の流れを制限するために使用され、また、ブレードの全体的な構造的強度を増加させ、ボリュートの内側とブレード流路との間の圧力差を維持することができる。
【0007】
典型的な遠心ポンプは、オープンインペラ、セミオープンインペラまたは密閉インペラを備えることができる。オープンインペラにはシュラウドがなく、オープンインペラはブレードを軸に連結するためのハブの一部だけを有し、インペラはポンプ筐体の前壁と後壁の間に設置され、流れ場は主にインペラとポンプ筐体の前壁と後壁の間隙により制御される。セミオープン型インペラはシュラウドを持たず、ブレードと軸を連結する完全なハブを有し、流れ場は主にインペラとポンプ筐体前壁の間隙により制御される。閉鎖型インペラは通常、シュラウドとハブの両方を有し、効率がより高くなるようにインペラ流路の間に隙間がなく、一般に、シュラウド、ハブ、およびブレードは十分な機械的強度を提供し、各ブレード流路内の液体を効果的に分離するための単一片で作られている。
【0008】
ここで、図1A図1B、および図1Cを参照すると、図1Aは2次元ブレードを有する従来のプラスチックインペラの側面断面図であり、図1B図1Aにおけるプラスチックインペラの上面図であり、図1Cは、図1Aにおける2次元ブレードの格子線を示す。なお、インペラは回転機械部品であるため、円筒座標系は図1Aに示すように、インペラの幾何学的形状を記述するために使用されることが多く、インペラの軸方向に沿った断面はr_z平面または子午面上にあり、吸引によってインペラに入る流体の流れの後に軸方向から半径方向に変化する流路の幾何学的形状を記述するために使用され、シュラウド11とハブ12との間のブレードの流路の幾何学的形状を記述するためにも使用され、図1Bのr_θ平面は、子午面に垂直な投影平面である。シュラウド11は、内部表面111を有する。r_z平面上の内部表面111の表面要素はr軸に平行な直線である。換言すると、内部表面111は、2次元環状平坦面である。ハブ12は内部表面121を有する。r_z平面上の内部表面121の表面要素はr軸に並行でない直線であり、したがって、内部表面121は円錐面である。
【0009】
【0010】
図1Dにおいて、従来の2次元プラスチックインペラの製造方法はブレードおよびハブを単一片で形成し、ブレードおよびハブの成形は固定ダイおよび移動ダイによって単純に達成することができ、次いで、ブレードの単一片およびハブは完ぺきなインペラを形成するように、熱溶接または溶融ロッドを用いてシュラウドと組み合わされる。
【0011】
遠心インペラを高効率化するためには、ポンプ吸引により流体がインペラに入った後、流体の軸流を半径流と円流に切り替えることを考慮して、吸引部のブレードの形状を2.5次元または3次元の曲線(ねじれブレード部ともいう)としなければならない。2.5次元ブレードはそのブレード角が流れ場の要求に合致しているため、2次元ブレードよりも高効率であるが、3次元表面を有するブレードのみが流れ場の要求に完全に合致し、高効率という目標を完全に達成することができる。ここで、図2A図2B、及び図2Cを参照する。ここで、図2Aは3次元ブレードを有するがシュラウドを有しない従来のプラスチックインペラの側面断面図であり、図2B図2Aのプラスチックインペラの上面図であり、図2Cは、図2Aの3次元ブレードの格子線を示す。図2Bにおいて、ブレード面の表面要素は曲線であり、このような表面は、ブレード面の表面要素が直線であれば3次元表面と呼ばれ、このような表面は2.5次元表面と呼ばれる。前述の2次元ブレードと比較すると、図2Aのブレード23はハブ22上に配置され、ブレード23の子午線幅231はブレード23の最も広い入口幅B21からブレード23の最も狭い出口幅B22まで徐々に減少し、ハブ22は内部表面221を有し、r_z平面上の内部表面221の表面要素は曲線であり、内部表面221は凹状の円錐面である。このようなケースでは、このようなインペラの成形工程中、流路を形成するモールド型は複数のモールド型スライド群に分割されなければならないか、インペラが形成された後に流路から除去することができず、このようなモールド型スライドの除去の難しさは特にブレードの入口幅B21で生じる。
【0012】
r_z平面(子午面)上では、ブレード23がインレットで前縁232を有し、ブレード23はハブ22から離れる側でシュラウド線234を有し、ブレード23はハブ22に
接続される側でハブ線235を有し、湾曲ブレード23は出口端で後縁236を有し、シュラウド線234とハブ線235との間に平均線238が存在する。図2Bにおいて、r_θ平面上で見ると、2つの隣り合うブレード23はその間にセクタ幅237を有するが、シュラウド線234とハブ線235とは互いに重なり合わず、特に、3次元ねじれブレード部233を有する前縁232近傍のブレード23の部分ではねじれブレード部233が吸い込みに向かって延びる湾曲形状であり、シュラウド線234とハブ線235との間の距離はブレード出口に向かう方向に減少する。図2Cの格子線ではβはブレード23の三次元角度を示し、インレット(すなわち、mが100%に近い)ではシュラウド線234とハブ線235とはβが異なり、したがって、曲線前端232は2つの曲線(すなわち、シュラウド線234とハブ線235)を接続して曲線要素239aを形成し、曲線要素239aは前端232に平行であり、ブレード出口に向かう方向ではシュラウド線234とハブ線235との間の距離は減少し、曲線要素239aは曲線から直線に徐々に変わる。現在の技術では、この構成を3次元ブレード表面239と考えている。
【0013】
図2Dを参照すると、3次元ブレードのシュラウド線234およびハブ線235のそれぞれは直列に接続された複数の円弧線によって形成され、これらの円弧線は異なる中心および異なる半径を有し、したがって、セクタ幅237を形成するためのモールド型スライドの除去はブレード23と干渉することになる。
【0014】
図3A図3B、及び図3Cを参照すると、図3Aは2.5次元のブレード面を有するがシュラウドを有しない従来のプラスチックインペラの側面断面図であり、図3B図3Aのプラスチックインペラの上面図であり、図3Cは、図3Aの3次元ブレードの格子線を示す。図3Aにおいて、ブレード33はハブ32上に配置され、ブレード33の子午線幅331はブレード33の最も広い入口幅B31からブレード33の最も狭い出口幅B32まで徐々に減少し、ハブ32は内部表面321を有し、r_z平面上の内部表面321の面要素は曲線であり、内部表面321は凸状円錐面となるようになっている。r_z平面(子午面)上において、ブレード33は吸込時に前縁332を有し、ブレード33はハブ32から離れる側にシュラウド線334を有し、ブレード33はそのハブ32に接続される側にハブ線335を有し、湾曲ブレード33は出口端に後縁336を有し、シュラウド線334とハブ線335との間に平均線338が存在する。図3Bにおいて、r_θ平面上で見ると、2つの隣接するブレード33はその間にセクタ幅337を有するが、シュラウド線334とハブ線335とは互いに重なり合わない。特に、2.5次元ねじれブレード部333を有する前縁332近傍のブレード33の部分において、ねじれブレード部333は吸い込みに向かって軸方向に延びる直線形状である。ブレード33の入口において、前縁332の直線はシュラウド線334とハブ線335とを連結してブレード表面339を形成し、ここでブレード表面339は直線素子339bによって形成される。現在の技術では、この構成を2.5次元ブレード面と考えている。
【0015】
2.5次元インペラを製造する従来技術ではシュラウドとブレードは単一片に形成され、セクタ流路内のモールド型スライドはブレード面の直線素子に沿って脱型され、妨害を生じないであろうし、次いでシュラウドとブレードは完了インペラを形成するように熱溶着または溶融ロッドによってハブに組み付けられる。しかしながら、2.5次元ブレードのシュラウド線334及びハブ線335は互いに連結された複数の曲線によって形成されており、セクタ幅337からモールド型スライドを半径方向に除去してもなおブレードと干渉するようになっており、さらに、3次元ねじれブレード部のブレード面は曲線要素によって形成されており、従って、ブレード面の曲線要素に沿ったセクタ幅337でモールド型スライドを除去してもなおブレードと干渉することになる。従って、本明細書では同じ成形工程を使用することができない。加えて、ハブは動力伝達部品である。ただし、ハブは熱溶接または溶融ロッドによってブレードに組み立てることができるが、ハブはブレードを形成する同じ成形工程によって製造されないため、依然としてハブとブレードの間
に継ぎ目または構造的不連続が存在し、その結果、構造的強度がより弱くなり、したがって、高温(例えば、200℃)および高負荷のような条件下で作動することができない。
【0016】
上述のように、高効率プラスチックインペラは、シュラウド、ハブ、および3次元ねじれブレード部を有さなければならず、成形の困難さを克服しなければならない。
【0017】
加えて、従来、シュラウドとハブを有する3次元金属インペラはロストモールド型鋳造を使用することによって、または板金を使用して様々な部品を作製し、次いでそれらを一緒に溶着することによって製造することができる。しかしながら、これらの方法は既に成熟した技術である。従来のプラスチックポンプの3次元密閉インペラの製造には、以下の既存技術がある。
【0018】
(1)5軸加工機を用いて、一片の樹脂本体を、3次元ブレード面を有するインペラに彫刻する。この方法は、多くの材料の浪費及び高い処理コストをもたらしうる。このような処理方法を採用するには、ブレードの狭い流路幅やねじれ形状が適切ではない。
【0019】
(2)5軸加工機を用いて、2.5次元のブレード面を持つインペラに全体の樹脂本体片を彫る。この処理方法は前者の方法と比較して側面フライス加工を容易に使用することができるが、このような処理方法は依然として多くの材料の浪費及び高い処理コストを引き起こし、ブレード線の直線素子がブレードのねじれを減少させるが、ポンプの効率も低下させるので、この方法は流れ場の要件を完全に満たすことはできない。
【0020】
(3)インペラのシュラウド、複数のブレードおよびハブを、それぞれのモールド型を用いて別々に形成し、次いで、超音波溶接または熱溶接によってそれらを一緒に組み立てる。しかしながら、この処理方法におけるブレード、シュラウド、及びハブは、同一の形成工程による単一の工程で形成されず、その結果、それらの間に継ぎ目又は構造上の不連続性が生じ、それによって、構造強度が弱くなり、高作業温度(約200℃など)又は高荷重用途で損傷を受ける可能性がある。
【0021】
(4)インペラねじれブレード部の全体集合は2つのグループに分けられる。シュラウドとハブでは、ブレードの一部が一体となって生産される。ほとんどのブレードは均等に分割され、その後、これらの構成要素が組み立てられ、超音波溶接または熱溶接を用いてインペラとなる。この方法はブレード間のセクタ幅の空間を増加させるが、ねじれブレード部の脱型の前縁では軸方向または半径方向の脱型を直接的に行うことができないので、モールド型なスライド脱型機構が依然として必要である。また、この方法は超音波溶接または熱溶接によって組み立てられるブレードの半分を依然として有し、したがって、構造強度が弱く、高作業温度(約200℃など)または高負荷用途で容易に損傷するという問題が依然として存在する。
【0022】
(5)3次元ねじれブレード部を2次元ブレード形状に置き換え、流れ場の曲線を簡単な円弧線に置き換えることにより、モールド型スライドを滑らかに除去することができるが、2次元ブレードのポンプ性能は低く、したがって効率は低下し、EUのポンプエネルギ効率要件を満たすことができない。
【0023】
(6)あるものはインペラを形成するために蒸発鋳造法を使用するが、蒸発鋳造は再使用することができず、蒸発鋳造コアを分解するために追加の化学剤または加熱を必要とし、これは複雑な製造工程をもたらし、コストを増大させ、その結果、経済的な生産要件と矛盾することになる。
【0024】
(7)モールド型スライド群を用いて各流路を形成し、従って、モールド型スライドを流路から順次取り出すことができるように、流路内でモールド型スライドを層状化しようとするものもある。モールド型スライドの除去中に、以前に除去されたモールド型スライドによって占められていた空間がモールド型スライドの残りの部分の除去に利用可能になり、したがって、モールド型スライドの残りの部分の除去を妨害なしに実行することができる。しかし、この方法は流路幅が大きく、流速が多く、揚程が低い(比速度が中~高速)ポンプモデルにのみ適用できる。これらのタイプのポンプのみが、モールド型スライドを層化するのに充分な空間を有する。さらに、この方法の離型工程は複雑であり、離型機構の設計は複雑であり、製造コストを増加させる。
【0025】
インペラ製造に関連する既存の公開文献のいくつかを以下に示す。
【0026】
文献2(特許文献1)(中国特許103128974号明細書)
文献2は、プラスチック製の密閉型インペラの製造方法に関する。文献2は脱型処理を容易にするために、ポンプインペラは単一アークを有するブレードを採用するが、それはインペラの効率を低下させるのであろうと指摘した。閉鎖型インペラは、効率を向上させるために二重アークを有するブレードを使用する。しかし、インペラモールド型のスライドを除去することができず、単体のインペラを製造することができなかった。文献2はシュラウドとハブを2組のモールド型で製作し、その後、プラスチックねじを介して一緒に組み合わせることを提案したが、文献2では3次元ねじれブレード部の作り方については言及しておらず、文献2の図面にも、ブレードモールド型が軸方向に一方向に取り外されていることが示されているので、2次元ブレードにのみ適している。また文献2には、一体成形ではなく、プラスチックねじを用いてブレードを組み立てる際の信頼性や、高温・高負荷時に適用できるかどうかについては記載されていない。
【0027】
文献3(特許文献2)(中国特許104131995号明細書)
文献3は、ウォーターポンプインペラの製造方法及びウォーターポンプに関する。引用文献3は射出成形やダイキャストあるいは押出成形を用いてインペラを作製するために、移動ダイと固定ダイを使用することを提案しているが、引用文献3はモールド型スライドが使用されていないため、インペラのハブが効率に影響を与える切り欠きを形成することを示している。ハブの切り欠きを埋めるためにインサートを使用すれば、効率を上げることができるが、文献3のインペラ動力伝達は軸を通して主軸穴とハブに加えられる。これはハブ内に孔が存在するため、切り欠きの周囲にわずかな面積しか残らない。ハブとブレード間の接続は、ポンプ動力伝達のための機械的構造強度を有していなければならない。文献3の図はハブとブレードの結合が主軸穴付近の小さな半径での面積であり、より大きなトルク荷重を負担する必要があることを示しており、ハブ面積は脱型処理を行うためにはインペラ吸込の範囲に限定する必要がある。したがって、文献3は、高流量かつ低ヘッド(中速から高比速度)の遠心ポンプにのみ適用接続部であろう。
【0028】
文献4(特許文献3)(中国特許105179304号明細書)
文献4はプラスチック耐腐食耐摩耗ポンプおよびそのインペラ成形ダイを有し、文献4はプラスチック遠心ポンプ効率が一般に金属ポンプのそれより低いことを示しており、これは、主に、遠心ポンプインペラの効率がインペラ流路の軸方向および半径方向を、油圧モデルに従ってねじらなければならないためである。既往のプレスモールド型技術では高ねじれ流路からモールド型を除去することが困難であり、鋳造法で形成した金属インペラではスポーリングすることでモールド型を除去できる。文献4ではプラスチックの3次元ねじれブレード部を製作できるインペラモールド型を提案しているが、文献4で提案したインペラ流路モールド型スライドは3つのグループに分かれており、これらを順次取り出す必要があるため、複雑な脱型処理が発生し生産費が上昇し、自動脱型機構の設計が困難となり、経済的な生産要件を満たすことができなかった。
【0029】
文献5(特許文献4)(中国特許107471547号明細書)
文献5は遠心インペラを製造するモールド型に関し、遠心ファンのインペラの成形機構を提供する。インペラ流路内のモールド型スライドは二つのグループに分けられる。リンケージ機構は、r_z平面上で幅変化量を有するインペラを生成するように設計される。しかしながら、一般的な遠心ファンのブレード長さは、ポンプブレードのそれよりも短く、文献5の図面はその実施形態が2次元ブレードであることも示しており、文献5はインペラ流路のためのモールド型スライドの配置および取り外しの経路が直線に沿っていることにも言及しており、モールド型機構のためのブレードデザインが遠心ポンプが必要とする3次元ねじれブレード部には適していないことを示している。
【0030】
文献6(特許文献5)(中国特許107092763号明細書)
文献6は、鋳造性を有するターボ機械インペラの3次元設計に関する。文献6は種々のターボ機械の効率を改善する上で重要な方法の1つがインペラの3次元設計であるが、生産に適した流路形状が必要であることを例示している。文献6では金属成形3次元インペラの製造の実現可能性を考慮した設計法を提案しているが、文献6では射出成形やトランスファ成形で作るのに適したプラスチックポンプインペラの製造スキームを提案していない。
【0031】
文献7(特許文献6)(中国特許202209308号明細書)
文献7は効率的な完全三次元インペラに関するものであり、文献7は効率を高めるように構成された3次元インペラ設計を提案しているが、文献7は新しいインペラ設計がアルミニウム合金を使用していることを挙げており、文献7の図面はインペラがファンに適用されるセミオープンインペラであることを示しているが、文献7は製造方法についての説明を提供していない。
【0032】
文献8(特許文献7)(中国特許203009383号明細書)
文献8は、遠心コンプレッサの技術分野に属する小流量クローズフルミリング三次元インペラに関する。文献8では、インペラシュラウドにリング状の溝部を追加することを提案している。これはインペラの吸入と排出口と協働し、インペラを組み立てるために溶接やリベット止めを使用する代わりに機械的処理によって製造される。しかし、ブレード流路を彫刻するために機械加工を使用することは、製造コストが高いという問題がある。文献8には費用対効果に関連するものは言及されておらず、シュラウド上のリング状の溝部は、流路内の流れと干渉を生じさせ、インペラ効率を低下させるのであろう。
【0033】
文献9(特許文献8)(中国特許206753985号明細書)
文献9は密閉インペラに関するものであり、文献9はシュラウドとインペラとを組み合わせる方法を提供し、ダブテールスロット及び位置決めブロック機構の設計により、軸方向の制限を増大させ、動作中の緩みを防止することができる。しかしながら、文献9には、3次元ブレード流路の材料および製造方法が記載されていない。
【0034】
文献10(特許文献9)(国際公開2007/046565号)
文献10は、車の冷却サイクルのためのポンプインペラの射出成形戦略を提供する。文献10は射出成形を用いてインペラを一体成形することに言及しており、ブレード効率を向上させ、インペラの信頼性を向上させることができるが、文献10の図面ではブレードが2次元ブレードであることが示されており、文献10の内容ではプラスチックインペラの3次元ブレード流路の製造方法についての説明はなされていない。
【0035】
文献11(特許文献10)(中国特許102264525号明細書)
文献11は、ポンプインペラ及びポンプインペラの噴霧-鋳造工程に関する。文献11はインペラの流路が側面凹状になること、すなわち、インペラ吸込側付近に曲げられた側面があり、ポンプ吸込に接続されていることを示しており、側面凹状は、流路に沿ったモールド型芯の取り出しを半径方向に妨げることになる。従来技術は、蒸発鋳造コア、またはインペラを形成するための複数の部品のアッセンブリを使用しなければならない。コストダウンのために、文献11は、遠心ポンプインペラの流路からモールド型スライドを取り出すための手法を提供している。モールド型スライドは再使用可能であるため、蒸発鋳造コアの代わりとなる。モールド型コアの一部はインペラの流路に部屋を作るために半径方向に除去され、次いで側面凹状を有するモールド型コアが除去される。文献11は、いくつかのモールド型コアを一緒に除去することを可能にする一組のリンケージ機構を設計する最適化された実施形態さえ提供する。しかしながら、自動離型機構がない場合、手動離型は複雑な離型工程をもたらし、生産コストを増大させ、経済的生産の要件を満たすことができない。文献11によって提案されたリンケージ機構が採用される場合、流路は十分な空間を有しなければならず、特に軸方向幅は、案内経路を設計するのに十分でなければならない。インペラ流路と遠心ポンプの出口軸方向幅は、ポンプの種類によって変わる。通常、流速が少なく、高落差(低比速度)の機種は出口が小さく、数mmしかないため、モールド型芯をグループに分けることができず、案内機構を採用することができない。大流量、低落差(中~高比速度)の機種については、ある程度ねじれブレードの方が高効率化が図れる。モールド型コアは、子午面上で軸方向に分割され、セグメント化されなければならず、モールド型コアの数が増え、脱型機構の設計の難しさも同様に増大するのであろう。
【0036】
文献12(特許文献11)(国際公開第2014/139578号)
文献12はインペラの摩耗を引き起こす可能性がある、砂含有水のような異物粒子を含む液体を輸送するために特別に設計されたポンプに関するものであり、耐摩耗性のインペラ材料が必要であり、文献12は摩耗に抵抗するためにインペラの接液材料として、ゴムのようなより柔らかい材料を使用し、ゴム型材料は弾性で変形しやすいので、モールド型スライドをインペラ流路から容易に取り出すことができる。しかしながら、文献12ではインペラ材料を高弾性率のゴム材料と定義しているが、同時に、ポンプの適用範囲、特に高温(例えば200℃)及び高負荷運転条件も制限している。プラスチックポンプの接液材料は通常フッ素樹脂製であり、シールレスポンプのインペラは軸方向スラスト荷重に抵抗しなければならないので、内部漏れ損失を減らすためにシュラウド吸込側との接触または非常に小さなクリアランスを持たなければならない。ゴムインペラの作動温度は材料によって異なり、一般に200℃に達することはできない。また、弾性係数が高いため、動力伝達中に変形が発生し、したがって、シールレスポンプの適用要件を満たすことができなくなる。
【0037】
文献13(特許文献12)(台湾特許201640027号明細書)
文献13は流体作動型ポンプ用遠心インペラの製造方法に関するものであり、文献13は、インペラをシュラウドとブレードの1/2、およびハブとブレードの他の半分の2つのグループに分け、位置決め孔と超音波溶接を用いてハブ、シュラウド、およびブレードを組み合わせる。この方法はブレード間の製造スペースを増大させるだけであるが、文献13では中央吸込口におけるインペラのブレードねじれセグメントが仕上げブレードからモールド型からどのように分離するかを説明しておらず、文献13のインペラはなお、動力伝達を担うハブと一体的に形成されたものではなく、超音波溶接または化学接着剤、スクリューによってハブに接続されただけのブレードの量の半分を有する。すなわち、その実施形態における文献13のインペラは、単にシュラウドとの接触面が非常に小さなブレードを通って伝達されるインペラ負荷の半分を有している。プラスチック材料が高温(例えば、200℃)および高荷重のようないくつかの用途における機械的強度において信頼性の問題を有するという問題は、文献13では説明されていない。
【0038】
文献14(特許文献13)(米国特許出願公開第2018/0243955号明細書)
文献14は射出成形法を用いたインペラの製造方法に関するが、モールド型的にはインペラのねじれブレード部がハブに接続される部分が小さく、ハブと重ならないで、ハブだけの周面に位置しているので、モールド型スライドは不要である。噴射後、ブレードは折り畳まれ、インペラを形成するようにハブにロックされる。文献14はより良いインペラ効率を達成するために制約なくブレード形状を製造することを可能にするが、ブレードがハブに接続される方法はインペラを高トルク負荷に耐えることができないようにするので、低電力装置にのみ適している。文献14はまた、その技術分野は自動車の冷却ファンのような低電力用途のためのものであると記載している。
【0039】
文献15(特許文献14)(米国特許第10016808号明細書)
文献15は、金属又はプラスチックの3次元ねじれインペラを製造するように構成された蒸発鋳造コア構造体に関する。インペラ射出または射出成形の後、蒸発鋳造コアは、化学剤または加熱によって分解される。この製造工程は複雑であり、コストが高く、経済的生産の必要性を満たさない。
【0040】
文献16(特許文献15)(欧州特許第0734834号明細書)
文献16は閉鎖型プラスチックインペラ用のモールド型構造体に関するものであり、上下の半径方向に抽出されたモールド型スライドコアとモールド型機構の組合せを用い、かつインペラを製造するために射出成形法を用いる一体型インペラを製造するように構成されている。しかしながら、文献16は、軸方向に取り外し可能なモールド型を使用しておらず、したがって、3次元ねじれブレード部を製造することができない。また、文献16の図面は、インペラが2次元構造体であることを示しているので、高効率要件を達成することは困難である。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0041】
【特許文献1】中国特許103128974号明細書
【特許文献2】中国特許104131995号明細書
【特許文献3】中国特許105179304号明細書
【特許文献4】中国特許107471547号明細書
【特許文献5】中国特許107092763号明細書
【特許文献6】中国特許202209308号明細書
【特許文献7】中国特許203009383号明細書
【特許文献8】中国特許206753985号明細書
【特許文献9】国際公開2007/046565号
【特許文献10】中国特許102264525号明細書
【特許文献11】国際公開第2014/139578号
【特許文献12】台湾特許201640027号明細書
【特許文献13】米国特許出願公開第2018/0243955号明細書
【特許文献14】米国特許第10016808号明細書
【特許文献15】欧州特許第0734834号明細書
【非特許文献】
【0042】
【非特許文献1】Paul Cooper.2001.McGraw-HillPUMP HANDBOOK(第3版)、2.1節、遠心ポンプ理論
【発明の概要】
【0043】
開示は遠心ポンプのダイ形成された3次元プラスチックインペラの製造方法を提供し、該インペラのハブはハブリム部および内部ハブを含み、該ハブリム部はハブ孔を有し、該インペラのシュラウドはシュラウドリム部およびインナーシュラウドを含み、該シュラウドリム部はシュラウド孔を有し、各ブレードの前部はねじれブレード部であり、該ハブリム部のハブ孔と該シュラウドリム部のシュラウド孔との間に位置する。シュラウドリム部はr_z平面上に内部表面を有し、シュラウドリム部の表面要素は曲線であってもよく、ハブリム部は内部表面を有し、r_z平面上に、ハブリム部の表面要素は、曲線であってもよい。製造法は、ねじれブレード用のモールド型とインペラ出口用モールド型を使用することによって達成される。ねじれブレード用のモールド型はハブ孔及びシュラウド孔を貫通して配置され、ブレードのねじれブレード部を形成するための固定ダイ及び移動ダイを使用し、ねじれブレード部は、シュラウド及びハブの中央部で円形に配置され、ハブ孔及びシュラウド孔の上方に形成される。形成されたねじれブレード部での脱型の難しさは著しく低減され、一方、インペラ出口用モールド型は、ねじれブレード部以外のブレードの残りの部分、ならびに動力伝達を担うために使用されるハブリム部分を一体的に形成するために使用される。シュラウドリム部のシュラウド孔及びハブリム部のハブ孔は他の構成要素(例えば、内側シュラウド及び内部ハブ)によって覆うことができ、これらの構成要素は簡単なモールド型によって形成され、次いで、ハブリム部及びシュラウドリム部に組み付けられ、熱溶着又は溶融ロッドによって完了インペラを形成することができ、トルクは、ハブリム部を介してブレードに直接的に伝達することができる。
【0044】
開示は遠心ポンプのダイ形成された3次元プラスチックインペラを提供し、各ブレードは互いに接続される前部および後部を含み、前部は第1シュラウド線および第1ハブ線を含み、後部は第2シュラウド線および第2ハブ線を含み、ブレードの各前部は前述のねじれブレード部であり、ハブはハブリム部および内ハブを含み、ハブリム部はハブ孔を有し、シュラウドはシュラウドリム部および内シュラウドを含み、シュラウドリム部はシュラウド孔を有し、各ブレードの前部はシュラウドリム部のハブ孔とシュラウドリム部のシュラウド孔との間に位置し、各ブレードの後部、ハブリム部、シュラウドリム部は、同一の成形工程で一体成形される。ハブリム部は、ブレードにトルクを伝達するように構成されている。内側シュラウドはシュラウド孔に設置され、内部ハブは各々のブレードの前部に連結されるようにハブ孔に設置され、ブレード、ハブリム部、シュラウドリム部を有する完了インペラを形成する。
【0045】
開示のプラスチック遠心インペラ構造の主な目的は製造コストを低減し、3次元表面形状を有する遠心ブレードの高効率性能を達成するように、また、高温(例えば、200℃)および高負荷運転条件に適用できるように、モールド型を用いて大量生産を達成することである。
【0046】
開示の遠心インペラを形成する一方で、ハブのハブリム部は各ブレードのインペラ後部と一体的に形成され、トルクはハブのハブリム部を介して確実に全てのブレードに伝達できるようになっている。
【0047】
ブレードの格子線上で互いに重ならないように、ブレードの2番目のシュラウド線と2番目のハブ線はブレード角が異なる。このようなケースでは、このような部分での脱型が2つのモールド型スライドを連続的に半径方向に除去することによって達成することができる。シュラウドリム部とハブリム部がr_z平面上で互いに平行であるケースでは、インペラ出口用モールド型の単一で簡単なスライドを半径方向に除去することにより、同じための脱型を達成できる。
【0048】
ブレードの第2シュラウド線と第2ハブ線が互いに重なるケースでは、モールド型スライドを使用せずにインペラ出口のブレードを直接的に形成し、次にシュラウドと内部ハブに組み付けて、熱溶接または溶融ロッドにより完全な3次元プラスチックインペラを形成することができる。シュラウドは流体の圧力差を負担し、成形後のインペラ全体の強度を与えるため、シュラウドは高温・高荷重による緩みの問題があってはならない。
【0049】
一般に、インペラを形成するためのモールド型は2つのアッセンブリに分けることができ、第1のアッセンブリはインペラ吸入部で3次元ねじれブレード部を形成するように構成されたねじれブレード用のモールド型であり、ねじれブレード用のモールド型は固定ダイと移動ダイを有してもよく、固定ダイと移動ダイはシュラウドリム部分のシュラウド孔とハブリム部分のハブ孔を介して軸方向に反対方向に取り外すことができる。第2アッセンブリはインペラの外側流路を形成するように構成されたインペラ出口用モールド型であり、ここで、流路と同じ数のモールド型スライドまたはモールド型スライド群を有し、これらモールド型スライドまたはモールド型スライド群は、流路の曲線に沿って半径方向に取り外すことができる。環状シュラウドリム部及びハブリム部並びに各ブレードは同一の成形工程で一体成形される。他の場合にはブレード及びハブリム部のみが、同一の成形工程で一体成形されてもよい。
【0050】
本開示により開示された遠心ポンプの3次元プラスチックインペラおよびそれにより製造されたインペラの製造方法は、少なくとも、以下の効果を達成することができるはずである。(1)各々の部品はモールド型を使用して製造することができ、製造価値を有する自動的に脱型することができる。(2)ねじれブレード部は一組の固定ダイおよび移動ダイを使用することによって形成することができ、3次元ねじれブレード形状は、ポンプ性能の改善に役立つ。(3)ブレードおよびハブリム部分は同じ成形工程で一体成形され、したがって、より高い構造強度を有し、ハブはブレードにトルクを直接伝達し、これは、インペラが損傷されることなく、高作動温度(例えば、約200℃)または高負荷で作動するのを助ける。
【0051】
本開示の上記の説明および実施形態の以下の説明は本開示の精神および原理を実証および説明し、本開示の特許請求の範囲のさらなる説明を提供するために提供される。
【図面の簡単な説明】
【0052】
図1A】2次元ブレードを有する従来のプラスチックインペラの側面断面図である。
図1B図1Aのプラスチックインペラの上面図である。
図1C図1Aの2次元ブレードの格子線を示す図である。
図1D図1Aの2次元ブレードの斜視分解図である。
図2A】3次元ブレードを有するがシュラウドを有さない従来のプラスチックインペラの側面断面図である。
図2B図2Aのプラスチックインペラの上面図である。
図2C図2Aの3次元ブレードの格子線を示す図である。
図2D】その複数の湾曲部分を示す、図2Aにおける3次元ブレードの概略図である。
図3A】2.5次元のブレード面を有するがシュラウドを有さない従来のプラスチックインペラの側面断面図である。
図3B図3Aのプラスチックインペラの上面図である。
図3C図3Aの3次元ブレードの格子線を示す図である。
図4A】開示の第1実施形態によるプラスチックインペラの側面断面図である。
図4B図4Aのプラスチックインペラの上面図である。
図4C図4Aのブレードの格子線を示す図である。
図4D】開示の第1実施形態のプラスチックインペラおよびその製造モールド型の分解図を示す図である。
図4E】開示の第1実施形態のプラスチックインペラの部分拡大側断面図である。
図4F】開示の第1実施形態のプラスチックインペラの変形例の側面断面図である。
図4G】開示の第1実施形態のプラスチックインペラの変形例の部分拡大側面断面図である。
図5】開示の第1実施形態のプラスチックインペラの組立断面図である。
図6A】異なる角度から見た開示の第1実施形態のプラスチックインペラの分解図を示す。
図6B】異なる角度から見た開示の第1実施形態のプラスチックインペラの分解図を示す。
図7A】異なる角度から見た開示の第1実施形態のプラスチックインペラの分解図を示す。
図7B】異なる角度から見た開示の第1実施形態のプラスチックインペラの分解図を示す。
図8A】開示の第2実施形態によるプラスチックインペラの側面断面図である。
図8B図8Aのプラスチックインペラの上面図である。
図8C図8Aのブレードの格子線を示す図である。
図8D】開示の第2実施形態のプラスチックインペラおよびそれを製造するモールド型の分解図である。
図9】開示の第2実施形態におけるプラスチックインペラの組立断面図である。
図10A】開示の第3実施形態によるプラスチックインペラの側面断面図である。
図10B図10Aのプラスチックインペラの上面図である。
図10C図10Aのブレードの格子線を示す。
図10D】開示の第3実施形態のプラスチックインペラおよびそれを製造するモールド型の分解図を示す図である。
図11】開示の第3実施形態のプラスチックインペラの組立断面図である。
図12】開示の第4実施形態によるプラスチックインペラの組立断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0053】
本開示の詳細な特徴および利点は当業者が本開示の技術的内容を理解するための以下の詳細な説明に記載され、本開示、特許請求の範囲、および添付の図面に従って、当業者は本開示の目的および利点を容易に理解することができる。以下の実施形態は本開示をさらに詳述するが、本開示の範囲をいかなる観点によっても限定するものではない。
【0054】
さらに、本開示の開示は、以下の図面に開示される。明確にするために、多くの実際的な詳細を以下の説明で説明する。しかし、これらの実際的な詳細は、本開示を限定するために使用されないことを理解されたい。
【0055】
さらに、いくつかの現存する従来の構造体および構成要素は、簡単な例示のために簡単な概略図様式で示され得る。さらに、本開示の図面における特徴のいくつかは本開示の技術的特徴を理解し、見る目的のために、比例またはサイズにおいてわずかに拡大または変更されてもよいが、これは本開示を限定することを意図しない。本開示に従って製造される製品の実際のサイズおよび仕様は以下に開示されるように、要求事項、製品自体の特性、および本開示の内容に従って調整されてもよい。
【0056】
<第1実施形態>
まず、図4A図4C、および図5を参照すると、図4Aは開示の第1実施形態によるインペラ5の側面断面図であり、図4B図4Aにおけるインペラ5の上面図であり、図4C図4Aにおけるブレード53の格子線を示し、図5は、開示の第1実施形態のインペラ5の組立断面図である。本実施形態は、3次元流路を有する遠心ポンプのためのプラスチックインペラ5を提供する。
【0057】
本実施形態では、インペラ5が複数のブレード53と、ハブリム部521と、内部ハブ(後部内板)522と、シュラウドリム部511と、内部シュラウド(前部内板)512とを含む。また、図5に示すように、シュラウドリム部511および内部ハブ512はシュラウド51を形成し、ハブリム部521および内部ハブ522とからなるハブ52を形成する。図4Aまたは図4Fに示すように、シュラウドリム部511は内部表面5111のr_z平面上の面要素が曲線であり、ハブリム部521が内部表面5211を有し、r_z平面上の内部表面5211の面要素がr軸に平行する直線であり、平坦面を形成する、換言すれば、内部表面5211は2次元の円環平坦面である。
【0058】
さらに、図4Aまたは図4Bに示すように、ハブリム部521はハブ孔5210を有し、シュラウドリム部分511はシュラウド孔5110を有し、各ブレード53は、シュラウドリム部分511のシュラウド孔5110とハブリム部521のハブ孔5210との間に少なくとも部分的に位置する。
【0059】
詳細には、ブレード53に関してはr_z平面(子午面)上に、ブレード53が吸込部54近傍の前縁532を有し、ブレード53がシュラウドリム部511に連結されたその側部にシュラウド線534を有し、ブレード53がハブリム部521に連結されたその側部にハブ線535を有し、ブレード53が吸込部54から最も離れて位置するその側部に後縁536を有し、シュラウド線534とハブ線535との間に平均線538が存在する。より詳細には本実施形態ではブレード53が互いに連結された前部530aおよび後部530bを含み、前部530aは前縁532に比較的近接して位置するブレード53の部分であり、後部530bは後縁536に比較的近接して位置するブレード53の部分であり、すなわち、前部530aは吸込部54に比較的近接して位置するブレード53の部分であり、後部530bは吸込部54から相対的に離れて位置するブレード53の部分である。また、本実施形態または他のいくつかの実施形態では、前部530aの形状が後部530bよりもはるかにねじれており、したがって、前部530aはブレード53の3次元ねじれ部分であり、ねじれブレード部とも呼ぶことができる。さらに、ブレード53の前部530aはシュラウドリム部511のシュラウド孔5110とハブリム部521のハブ孔5210との間に位置し、換言すれば、ブレード53のねじれブレード部は、シュラウドリム部511のシュラウド孔5110とハブリム部521のハブ孔5210との間に位置する。また、前部530aは、後部530bを介してハブリム部521とシュラウドリム部511とに連結されている。
【0060】
さらに、ブレード53の子午線幅531は、ブレード53の最も広い吸込幅B51からブレード53の最も狭い出口幅B52まで徐々に減少する。さらに、図4Bではr_θ平面上の角度から見ると、2つの隣接するブレード53はそれらの間にセクタ幅537を有し、前縁532、シュラウド線534、およびハブ線535は互いに重ならない。特に、図4Aおよび図4Bではブレード53の前部530aおよび後部530bに関して、ブレード53のシュラウド線534は第1シュラウド線5341および第2シュラウド線5342を含み、ブレード53のハブ線535は第1ハブ線5351および第2ハブ線5352を含み、換言すれば、第1シュラウド線5341および第1ハブ線5351はそれぞれ、前部530a上のシュラウド線534およびハブ線535の部分であり、第2シュラウド線5342および第2ハブ線5352はそれぞれ、後部530b上のシュラウド線534およびハブ線535の部分である。本実施形態では、シュラウド線534上では第2シュラウド線5342のみがシュラウドリム部511に直接接続され、ハブ線535上では第2ハブ線5352のみがハブリム部521に直接接続される。
【0061】
本実施形態および他の実施形態では、ブレード53はねじれた形状であり、したがって、ブレード53の後方部分530bの第2シュラウド線5342および第2ハブ線5352はブレード53の格子線上で互いに重ならず(例えば、図4Cに示される)、ブレード53の前方部分530aの第1シュラウド線5341および第1ハブ線5351はブレード角が異なっており、したがって、第1シュラウド線5341および第1ハブ線5351はブレード53の格子線上で互いに重ならない(例えば、図4Cに示される)。前方部分530a上の第1シュラウド線5341と第1ハブ線5351との間の重複しないことは格子線から見てインペラ5上でより明白に見ることができ、したがって、ブレード53の前方部分530aは後方部分530bと比較して、より劇的な幾何学的形状変更を有する。
【0062】
具体的には図4Cのブレード53の格子線から見ると、出口ブレード角βは出口で同じであるが、吸込部54に近い(すなわち、インペラ5の軸により近い)ことが明らかであり、シュラウド線534およびハブ線535はブレード角βにおいてより大きな差異を有し、これはブレードのねじれ度が増加することを意味し、これは特に、ブレード53の前縁532付近の3次元ねじれ前部530aで起こり、したがって、半径方向に除去されるモールド型スライドは本実施形態の前部530aを形成するために使用することができず、以下の段落で内容を説明する。
【0063】
また、図4Dを参照して、開示の第1実施形態のインペラ5とその製造モールド型の分解図を提供する。本実施形態および他の実施形態では、インペラ5を単一の工程内で形成するためのモールド型が2つのユニット、すなわち、ねじれブレード用のモールド型M1と、図4Dに示されたインペラ出口M2のためのモールド型とに分割することができる。ねじれブレード用のモールド型M1はハブリム部521のハブ孔5210とシュラウドリム部分511のシュラウド孔5110との間に、高度にねじれた前部530a(すなわち、ねじれブレード部)を形成するように構成される。詳細にはねじれブレード用のモールド型M1が例えば、固定ダイM11と移動ダイM12とを含み、固定ダイM11と移動ダイM12との協働はこれらのブレード53の前部530aを形成することができる。前方部分530aにおけるブレード53のシュラウド線534及びハブ線535がブレード角において大きな差異を有するので(すなわち、前方部分530aにおけるブレード53のシュラウド線534とハブ線535とは、ブレードの格子線上で重ならない程度の大きさを有する)、ねじれブレードM1に対する固定ダイM11及び移動ダイM12の脱型はハブリム部521のハブ孔5210及びシュラウドリム部分511のシュラウド孔5110からそれぞれ反対方向に固定ダイM11及び移動ダイM12を軸方向に除去することである。各ブレード53の前部530a(すなわち、ねじれブレード部)は、シュラウドリム部分511のシュラウド孔5110とハブリム部521のハブ孔5210との間に位置するので、2つの反対方向に沿って固定ダイM11と移動ダイM12を軸方向に除去しても、ブレード53、シュラウドリム部分511およびハブリム部521に干渉しない。ここで、開示は図面に示されている固定ダイM11及び移動ダイM12の位置、構成、及び特徴に限定されるものではないことに留意されたい。例えば、他のいくつかの実施形態では、固定ダイM11及び移動ダイM12の位置及びその上の特徴を切り替えることができる。
【0064】
加えて、後方部分530b上のブレード53のシュラウド線534およびハブ線535はブレード角のより小さな差(すなわち、ブレードの格子線上で、後方部分530b上のブレード53のシュラウド線534およびハブ線535はより少ない程度の非重複性を有する)を有するため、他のいくつかの実施形態においても、後方部分530b上のブレード53のシュラウド線534およびハブ線535はブレードの格子線から見て互いに重複してもよい。したがって、インペラ出口用モールド型M2は前部530a(すなわち、ねじれブレード部)以外のブレード53の残りの部分(例えば、後部530b)を一体的に形成するために、複数の半径方向に摺動可能なモールド型のスライドまたはモールド型のスライド群を有してもよい。
【0065】
具体的には図4Dおよび図4Eに示すように、本実施形態ではインペラ出口用モールド型M2が出口付近の流路の部分(すなわち、ブレード53の後部530b、シュラウドリム部分511、およびハブリム部521の間の空間)をそれぞれ形成するように構成された複数のグループのモールド型スライドセットを含むことができ、各モールド型スライドセットはハブスライドM21およびシュラウドスライドM22を含むことができ、ハブスライドM21の少なくとも一部とシュラウドスライドM22の少なくとも一部とを協働させて、ハブリム部521の内部表面5211、シュラウドリム部分511の内部表面5111、およびブレード53の後部530bを形成することができ、ハブスライドM21はハブリム部521の内部表面5211を形成するように構成されたハブスライド面M211を有し、シュラウドスライドM22はシュラウドリム部分511の内部表面5111を形成するように構成されたシュラウドスライド面M221を有する。本実施形態では、ハブスライドM21のハブスライド面M211の面要素が平坦面を形成するように直線となっており、よって、ハブリム部521の内部表面5211が直線となる面要素を有する平坦面となるように形成することができる。シュラウドスライドM22のシュラウドスライド面M221の面要素は曲線であり、よってシュラウドスライド面M221は凸状円錐面である。このような場合、シュラウドリム部511の内部表面5111は曲線である面要素を有する凹状円錐面となるように形成することができる。一方、インペラ5は、曲線であるシュラウドリム部511の内部表面5111の表面要素と、ハブリム部521の内部表面5211の表面要素とが直線であることを必要とするため、前述のハブスライドM21とシュラウドスライドM22が必要となる。この要件によれば、ハブスライドM21およびシュラウドスライドM22は、次々に取り外される。具体的には、ブレード53、シュラウドリム部511、ハブリム部521が形成された後、まずハブスライドM21を半径方向に取り外し、次に、ハブスライドM21が占有していた空間をシュラウドスライドM22の取り外しに利用できるようにして、ブレード53の後部530b、シュラウドリム部511、ハブリム部521と干渉することなくシュラウドスライドM22を容易に取り外すことができるようにする。
【0066】
しかしながら、ハブスライドM21及びシュラウドスライドM22の幾何学的形状は実際の要求に応じて変更することができ、本開示はこれに限定されない。例えば、図4F及び図4Gに示されるように、先の実施形態の変形例ではインペラ5がハブリム部521の内面5211が曲線の表面要素を有する凹円錐面となるように、直線であるシュラウドリム部511の内部表面の表面要素および、曲線であるハブリム部521の内部表面5211の表面要素を有することが要求され、対応してハブリム部521の内部表面5211を形成するためのハブスライドM21のハブスライド面M211が曲線である表面要素を有する。シュラウドリム部511の内周面511を形成するためのシュラウドスライドM22のシュラウドスライド面M221は、シュラウドリム部511の内周面511を直線である面要素を有する平面に形成することができるように、直線である面要素を有する平面に形成されている。同様に、ハブスライドM21とシュラウドスライドM22は、次々に取り外される。具体的にはブレード53が形成された後、シュラウドスライドM22がまず半径方向に除去され、次いで、シュラウドスライドM22によって占有されていた空間がハブスライドM21の除去に利用可能となり、これにより、ハブスライドM21はブレード53の後方部分530b、シュラウドリム部分511、及びハブリム部521のような前工程で形成された部分と干渉することなく、容易に除去することができる。さらに、ハブスライドおよびシュラウドスライドの幾何学的構成または嵌合面は実際の要件に応じて変更することができ、本開示はこれに限定されないことに留意されたい。
【0067】
また、図5を参照すると、インペラ5はロータ7に組み付けられている。インペラ5はシュラウド51、ハブ52及びブレード53を含む。上述したように、シュラウド51は、前述のシュラウドリム部511と内側シュラウド512とによって形成される。図4Aおよび図5を参照すると、内側シュラウド512はシュラウドリム部分511のシュラウド孔5110にあり、熱溶接、超音波溶接または他の好適な方法によって、シュラウドリム部分511およびブレード53に組み立てることができる。さらに、内側シュラウド512上にウェアリングシート512aが配置され、ウェアリング8の設置のために構成される。ハブ52は、前述のハブリム部521と内部ハブ522とによって形成される。図4Aおよび図5を参照すると、内部ハブ522はハブリム部521のハブ孔5210に位置し、熱溶接、超音波溶接または他の好適な方法によって、ハブリム部521およびブレード53に組み立てることができる。さらに、動力伝達シート521aがハブリム部521上に配置され、ロータ7に設置されるように構成されている。
【0068】
図5の内側シュラウド512および内部ハブ522は簡単なモールド型を使用することによって追加的に製造することができ、内側シュラウド512および内部ハブ522はシュラウドリム部分511、ハブリム部521およびブレード53に組み立てられるように、それぞれ、各ブレード53の第1シュラウド線5341および第1ハブ線5351に接続され、それによって一緒に完全な3次元プラスチックインペラを形成する。例えば、図6A図6Bは本開示の第1実施形態のインペラ5を異なる角度から見た分解図を示し、内側シュラウド512の溶接セグメント512bは熱溶接、超音波溶接、または他の適切な方法によってブレード53の溶接セグメント534aに接合することができ、同様に、内部ハブ522の溶接セグメント522bは、熱溶接、超音波溶接、または他の適切な方法によってブレード53の溶接セグメント535aに接合することができる。あるいは図7A~7Bはまた、本発明の第1実施形態のインペラ5の分解図を示し、様々な角度から見たものであり、内側シュラウド512は溶融ロッド534bが挿入されるための溶融孔512cを有してもよく、溶融ロッド534bは溶融孔512cと接合されるように加熱されてもよい。同様に、内部ハブ522はブレード53の溶融ロッド535bが挿入されるための溶融孔522aを有することができ、溶融ロッド535bは、溶融孔522aと接合されるように加熱することができる。したがって、内側シュラウド512および内部ハブ522は、シュラウドリム部511、ハブリム部521、およびブレード53を一体成形する成形工程によっては生成されない。
【0069】
図5を参照すると、ポンプの動力は動力伝達シート521a及びハブリム部521を介してブレード53に伝達され、これはこれら3つの部分が同一の成形工程で一体成形されているため、すなわち、ブレード53、ハブリム部521、及び動力伝達シート521aは他の工程に起因する継ぎ目、ジョイント、又は接合部を有していない。従って、ブレード53、ハブリム部521、動力伝達シート521aの中には継ぎ目や構造上の不連続性がなく、これらの部分で形成される単一片は、高い構造上の強度を有する。そのように、ハブリム部521はポンプの主装填または動力伝達を受け入れるために採用することができ、ポンプの適用範囲を拡大するのに役立つ。さらに、内側シュラウド512および内部ハブ522は簡単なモールド型を使用して形成され、次いで、熱溶接、超音波溶接、または他の好適な方法によって完了インペラを形成するように他の部品に組み立てられるが、内側シュラウド512および内部ハブ522は単にインペラ5の範囲内の流体を制限するために使用されるだけであり、ポンプの主荷重または動力伝達を直接的に受けるためには使用されず、したがって、内側シュラウド512および内部ハブ522を形成する方法はポンプの構造強度に影響を及ぼさない。その結果、本実施例のインペラ5は高温(例えば、200℃)及び高負荷のような条件下で様々な用途で作動することができる。
【0070】
<第2実施形態>
図8A図8Cおよび図9を参照すると、図8Aは開示の第2実施形態によるインペラ5の側面断面図であり、図8B図8Aにおけるインペラ5の上面図であり、図8C図8Aにおけるブレード53の格子線を示し、図9は、開示の第2実施形態のインペラ5の組立断面図である。図に示されるように、本実施形態と前述の実施形態との主な相違点は、第2実施形態のブレード53の子午線幅531が入口幅B51から前方部分530aと後方部分530bとの間の部分を指す方向に減少し、シュラウドリム部分511がr_z平面上の表面要素がr軸に平行な直線であることによって平坦面を形成する内部表面5111を有し、換言すれば、内部表面5111は2次元環状平坦面であり、ハブリム部521はr_z平面上の表面要素がr軸に平行な直線であることによって平坦面を形成する内部表面5211を有し、換言すれば、内部表面5211は、2次元環状平坦面である。すなわち、内部表面5111と内部表面5211とは互いに平行であり、したがって子午線幅531は出口幅B52に向かって前面部530aと後面部530bとの間の部分に向かう方向に変化せず、第2シュラウド線5342と第2ハブ線5352とはr_z平面上で互いに略平行である。すなわち、本実施形態ではブレード53の前部530aの子午線幅531が平均線538に沿って入口幅B51から出口幅B52に向かう方向に減少するが、ブレード53の後部530bの子午線幅531は平均線538に沿って変化しない。図8Bに示されるように、前縁532、シュラウド線534、およびハブ線535はブレード53の前部530aで互いに重ならず、シュラウド線534およびハブ線535はブレード53の後部530bで互いに重ならない。
【0071】
加えて、図8Cに示されるブレード53の格子線上では出口ブレード角は同じであり、前方部分530aと後方部分530bとの間の部分から後縁536までの範囲で、第2シュラウド線5342および第2ハブ線5352は10度以内でブレード角βの差を有する。従って、本実施形態におけるインペラ出口用モールド型は、半径方向に取り外すことができる単一のモールド型スライドであるように修正することができる。
【0072】
詳細には、図8Dをさらに参照すると、本実施形態のインペラおよびそれを製造するモールド型の分解図が図示されている。本実施形態では、シュラウドリム部511及びハブリム部521がr_z平面(子午面)上で互いに略平行、すなわち互いに向かい合うシュラウドリム部511及びハブリム部521の内部表面が互いに平行であるため、シュラウドリム部511とハブリム部521との間の空間が外部から内部に向かって広がることはない。したがって、前述の図4Dと比較すると、本実施形態のインペラ出口用モールド型M2は均一な厚さを有し、半径方向に除去可能な単一のモールド型スライドであってもよく、ハブリム部521の内部表面5211およびシュラウドリム部511の内部表面5111を形成するための単一のモールド型スライドのハブスライド面M211およびシュラウドスライド面M221は、両方とも直線である面要素を有する。この構成により、インペラ出口M2のモールドをr_z平面(子午面)上で半径方向に除去することができる。また、シュラウドリム部511とハブリム部521とは、r_z平面(子午面)から見て並行であり、r_θ平面上で半径が大きくなるにつれてセクタ幅537が大きくなるため、インペラ出口用モールド型の離型が妨げられない。
【0073】
<第3実施形態>
図10A~10Cおよび図11を参照すると、図10Aは開示の第3実施形態によるインペラ5の側面断面図であり、図10B図10Aにおけるインペラ5の上面図であり、図10C図10Aにおけるブレード53の格子線を示し、図11は、開示の第3実施形態のインペラ5の組立断面図である。
【0074】
本実施形態と前述の実施形態との間の主な相違点は第3実施形態がより低い流量、より高い揚程、およびより低い比速度を有するポンプのインペラ5に対するものであり、インペラ5は前述のシュラウドリム部分511を有していなくてもよく、ブレード53は前部530aにおいて3次元のねじれた幾何学的形状のみを必要とし、ブレード53の後部530bは2次元のブレード幾何学的形状を有していてもよい。具体的には第1シュラウド線5341および第1ハブ線5351がブレード角が異なる(すなわち、第1シュラウド線5341および第1ハブ線5351はブレードの格子線上で互いに重複しない)が第2シュラウド線5342および第2ハブ線5352はブレード角が同じであってもよい(すなわち、第2シュラウド線5342および第2ハブ線5352はブレードの格子線上で互いに重複してもよい)。ハブリム部521は内部表面5211を有し、内部表面5211の面要素は、r_z平面上でr軸に平行な直線である。
【0075】
加えて、図10Cのブレードの格子線上ではブレード53の後方部分530b、シュラウド線534、平均線538、およびハブ線535はブレード角βにおいて同じである。
【0076】
したがって、本実施形態ではブレード53の後部530bを形成するためのインペラ出口のモールド型が半径方向に除去する必要はないが、ブレード53の前部530aを形成するためのねじれブレード用のモールド型を除去する際の工程と同様に、軸方向に除去することができる。詳細には図10Dをさらに参照すると、図10Dは本実施形態のインペラおよびそれを製造するためのモールド型の分解図を示す。本実施形態では、インペラ5がシュラウドリム部511を有していないため、ハブリム部521から離れたブレード53の側面が覆われておらず、ブレード53の後部530bが2次元のブレード形状となっているので、ねじれた前部530aを形成するためのねじれブレード用のモールド型M1の移動ダイM12(すなわちねじれブレード部)を、後部530bを形成するためのインペラ出口用モールド型M2と一体に形成することができ、それらを取外しの際にブレード53と干渉することなくハブリム部521から離れる方向に沿って軸方向に取外すことができる。
【0077】
シュラウド51に関しては、シュラウドリム部511および内側シュラウド512が簡単なモールド型を使用することによって一体成形することができ、次いで、シュラウド51は完了インペラ5を形成するように、熱溶接、超音波溶接または他の適切な方法によってブレード53に接続することができる。
【0078】
<第4実施形態>
図12を参照すると、図12は、開示の第4実施形態によるインペラ5の組立断面図である。本実施形態と前述の実施形態との主な相違点はインペラ5のブレード53、ハブリム部521、及びシュラウドリム部511に補強金属55が埋め込まれており、補強金属55は総合的な構造体の剛性を向上させるように構成されており、プラスチックインペラが高温(200℃)及び高荷重で破損することなく安定して作動することを可能にしている。いくつかの他の実施形態において、シュラウドリム部511は補強金属55を含まなくてもよい。すなわち、このような場合、インペラ5において、補強金属55は、ブレード53およびハブリム部521に埋め込まれるだけであることに留意されたい。
【0079】
したがって、本開示の先の実施形態に開示されたように、遠心ポンプ用の3次元プラスチックインペラおよびそれによって製造されたインペラの製造方法は、少なくとも以下の効果を達成することができる。(1)各々の部品はモールド型を使用して製造することができ、製造価値を有する自動的に脱型することができる。(2)ねじれブレード部は取り外し可能で分離可能な固定ダイおよび移動ダイを使用することによって形成することができ、3次元ねじれブレード形状は、ポンプ性能の向上に役立つ。(3)ブレードおよびハブリム部分は同じ成形工程で一体成形され、したがって、より高い構造強度を有し、ハブリム部分はブレードにトルクを直接伝達し、これは、インペラが損傷されることなく、高作動温度(例えば、約200℃)または高荷重で作動するのを助ける。
【符号の説明】
【0080】


図1A
図1B
図1C
図1D
図2A
図2B
図2C
図2D
図3A
図3B
図3C
図4A
図4B
図4C
図4D
図4E
図4F
図4G
図5
図6A
図6B
図7A
図7B
図8A
図8B
図8C
図8D
図9
図10A
図10B
図10C
図10D
図11
図12