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▶ 大正製薬株式会社の特許一覧

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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2022177246
(43)【公開日】2022-11-30
(54)【発明の名称】外用組成物
(51)【国際特許分類】
   A61K 31/506 20060101AFI20221122BHJP
   A61P 17/14 20060101ALI20221122BHJP
   A61P 43/00 20060101ALI20221122BHJP
   A61K 31/4415 20060101ALI20221122BHJP
   A61K 47/22 20060101ALI20221122BHJP
   A61K 47/10 20060101ALI20221122BHJP
   A61K 47/04 20060101ALI20221122BHJP
   A61K 47/12 20060101ALI20221122BHJP
【FI】
A61K31/506
A61P17/14
A61P43/00 121
A61K31/4415
A61K47/22
A61K47/10
A61K47/04
A61K47/12
【審査請求】有
【請求項の数】1
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2022153557
(22)【出願日】2022-09-27
(62)【分割の表示】P 2020198442の分割
【原出願日】2017-01-17
(31)【優先権主張番号】P 2016010480
(32)【優先日】2016-01-22
(33)【優先権主張国・地域又は機関】JP
(31)【優先権主張番号】P 2016180098
(32)【優先日】2016-09-15
(33)【優先権主張国・地域又は機関】JP
(71)【出願人】
【識別番号】000002819
【氏名又は名称】大正製薬株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110001508
【氏名又は名称】弁理士法人 津国
(72)【発明者】
【氏名】瀬戸山 友里
(72)【発明者】
【氏名】鈴木 一裕
(72)【発明者】
【氏名】阿部 晃也
(72)【発明者】
【氏名】有泉 秀彦
(57)【要約】
【課題】ピリドキシンを配合したミノキシジル含有外用組成物において、塗布した後に生じる可能性のあるミノキシジル由来の析出を抑制し、かつピリドキシンの安定性の低下を抑制したミノキシジル含有外用組成物の提供。
【解決手段】ミノキシジル、ピリドキシン及び/又はその塩、プロピレングリコール、及びリン酸、クエン酸、乳酸、塩酸、酢酸、硫酸、硝酸、酒石酸、マレイン酸からなる群から選ばれる少なくとも1種の酸及び/又はこれらの塩を含有する外用組成物。ローション剤、エアゾール剤、トニック剤、クリーム剤、軟膏剤、ゲル化剤等の外用組成物として使用でき、最も好ましい剤型はローション剤である外用組成物。
【選択図】なし
【特許請求の範囲】
【請求項1】
本明細書に記載される発明。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、ミノキシジルを有効成分とする外用組成物に関する。更に詳細には、ピリドキシンを配合したミノキシジル含有外用組成物の適用により生じる可能性のあるミノキシジル由来の析出を抑制する技術に関する。
【背景技術】
【0002】
ミノキシジルは化学名を6-(1-ピペリジニル)-2,4-ピリミジンジアミン-3-オキサイドと称し、育毛剤としての適応が知られており(特許文献1)、優れた育毛・発毛効果を発揮する薬剤として多数の報告がある。
ミノキシジル含有外用組成物は、頭部に長期間にわたって毎日使用するものであるため、使用感においても優れた組成物が求められている。ミノキシジルの濃度を高めた組成物を使用した際、塗布後まれにミノキシジル由来の析出が生じ、フケのように見えることがある。したがって、ミノキシジルを配合した外用組成物において、塗布した後に生じる可能性のあるミノキシジル由来の析出を抑制した組成物が望まれる。
また、ピリドキシンは脂質合成抑制効果があることが報告されており(非特許文献1)、多くの育毛剤に用いられている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】米国特許第4139619号明細書
【非特許文献】
【0004】
【非特許文献1】皮脂腺の脂質合成能に及ぼす薬物の影響
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
本発明は、ピリドキシンを配合したミノキシジル含有外用組成物について、塗布した後に生じる可能性のあるミノキシジル由来の析出を抑制したミノキシジル含有外用組成物を提供することを課題とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明者らは、上記課題を解決すべく鋭意検討を重ねた結果、ミノキシジル、ピリドキシン、特定の多価アルコール、特定の酸を配合した組成物は、ミノキシジル由来の析出を抑制できることを見出し、本発明を完成するに至った。
【0007】
すなわち本発明は、
(1)1)ミノキシジル、2)ピリドキシン及び/又はその塩、3)プロピレングリコール、及び4)リン酸、クエン酸、乳酸、塩酸、酢酸、硫酸、硝酸、酒石酸、及びマレイン酸からなる群から選ばれる少なくとも1種の酸及び/又はこれらの塩を含有するすることを特徴とする外用組成物、
(2)ミノキシジルの濃度が5w/w%以上である(1)に記載の外用組成物、
である。
【発明の効果】
【0008】
本発明により、ピリドキシンを配合したミノキシジル含有外用組成物において、塗布した後に生じる可能性のあるミノキシジル由来の析出を抑制することが可能となった。さらに、意外にも、製剤中に沈殿物が生じない、澄明なミノキシジル含有組成物として提供でき、かつピリドキシン及び/またはその塩の経時的な安定性の低下を抑制できる。
【発明を実施するための形態】
【0009】
本発明によれば、ミノキシジル、ピリドキシン及び/又はその塩、プロピレングリコール、及び特定の酸及び/又はその塩を含有する外用組成物は、塗布した後に生じる可能性のあるミノキシジル由来の析出を抑制し、製剤に沈殿物が生じず、かつピリドキシンの安定性の低下を抑制したものとなる。
【0010】
本発明の外用組成物において用いるミノキシジルは、通常医薬品に用いられる品質のものを適宜使用することができる。また、本発明によれば、ミノキシジルの含有量が多くなるにつれ製剤塗布後に生じる可能性のある析出の課題が大きくなるため、外用組成物中におけるミノキシジルの濃度が高いほど、本発明を実施する意義が大きい。具体的には、本発明の外用組成物中1w/w%以上であり、さらに好ましくは3w/w%以上であり、さらにより好ましくは5w/w%以上である。
【0011】
本発明の外用組成物における特定の酸及び/又はその塩は、沈殿のない澄明な製剤が得られるという本発明の効果の観点から、リン酸、クエン酸、乳酸、塩酸、酢酸、硫酸、硝酸、酒石酸、マレイン酸、又はこれらの塩であり、好ましくはリン酸、クエン酸、乳酸、酒石酸である。これらの酸及び/又はこれらの塩は、本発明の外用組成物の液性を7以下に調節する成分であり、いずれも無機酸又はその塩もしくは炭素数が6以下の有機酸又はその塩である。本発明の特定の酸及び/又はその塩は、1種又は2種以上組み合わせてもよい。
【0012】
また、本発明の外用組成物において用いる多価アルコールは、本発明の効果である、塗布した後にミノキシジル由来の析出を生じさせない点からプロピレングリコールである。プロピレングリコールの配合量は、全組成物中好ましくは2~55w/w%であり、より好ましくは5~35w/w%である。本発明の外用組成物中には、本発明の効果を損なわない範囲でプロピレングリコール以外の多価アルコールを含んでもよいが、グリセリン、ポリエチレングリコールは配合しない方が本発明の効果の点から好ましく、プロピレングリコールのみ配合することが本発明の効果の点から最も好ましい。
【0013】
また、本発明の外用組成物は、主薬成分のミノキシジルの安定性、使用時の肌への刺激感、薬物の浸透性、使用感等の点から、そのpHを4.0~9.5の範囲に調整することが好ましく、5.0~7.0の範囲がさらに好ましい。さらに、pHの上限としては、好ましくは6.5未満であり、より好ましくは6.3以下、さらに好ましくは6.1以下である。
【0014】
本発明の外用組成物において用いるピリドキシンの配合量は、本発明の効果の点から外用組成物中0.01~2w/w%が好ましく、0.03~0.1w/w%がより好ましく、0.03~0.05w/w%がさらに好ましい。
【0015】
本発明の外用組成物には、更に必要により高級アルコールを配合することができる。高級アルコールの例としては、炭素数が6~24のジアセトンアルコール、カプロイルアルコール、カプリリルアルコール、カプリルアルコール、ラウリルアルコール、トリデカノール、ミリスチルアルコール、ペンタデカノール、セチルアルコール、ヘキシルデカノール、イソセチルアルコール、セトステアリルアルコール、ヘプタデカノール、ステアリルアルコール、オレイルアルコール、イソステアリルアルコール、オクチルデカノール、ノナデカノール、アラキルアルコール、オクチルドデカノール、ヘンイコサノール、ベヘニルアルコール、デシルテトラデカノールがより好ましく、そのうち、ジアセトンアルコール、ラウリルアルコール、ミリスチルアルコール、セチルアルコール、ヘキシルデカノール、セトステアリルアルコール、ステアリルアルコール、イソステアリルアルコール、オレイルアルコール、アラキルアルコール、オクチルドデカノール、ベヘニルアルコール、デシルテトラデカノールがさらに好ましい。本発明の高級アルコールは、1種又は2種以上組み合わせて使用しても良い。高級アルコールの配合量は、全組成物中0.05~2w/w%が好ましく、0.1~1.5w/w%がより好ましく、更に好ましくは0.25~1.5w/w%である。
【0016】
本発明の外用組成物には、更に必要により低級アルコールや水を配合することができる。低級アルコールとしては、炭素数1~5のものが好ましく、例えばエタノールやイソプロパノールなどが好ましく、これらを組み合わせて使用しても良い。低級アルコールの配合量は、全組成物中20w/w%以上が好ましく、より好ましくは30w/w%以上であり、より好ましくは35w/w%以上であり、更に好ましくは50w/w%以上である。水の配合量は、2~75w/w%が好ましく、より好ましくは5~50w/w%である。
【0017】
本発明の外用組成物には、更に必要により高級脂肪酸を配合することができる。高級脂肪酸の例としては、炭素数10~22のものが好ましく、例えばイソステアリン酸、オレイン酸、ステアリン酸、カプリン酸、ラウリン酸、ミリスチン酸、パルミチン酸、パルミトレイン酸、リノール酸、リノレン酸、エライジン酸、アラキジン酸、アラキドン酸、ベヘン酸、エイコサペンタエン酸、ドコサヘキサエン酸等が挙げられ、これらを1種又は2種以上組み合わせてもよい。このうち、炭素数18のものが好ましく、特にイソステアリン酸又はオレイン酸が好ましい。高級脂肪酸の配合量は、全組成物中好ましくは0.1~10w/w%であり、より好ましくは1~6w/w%である。
【0018】
本発明の外用組成物には、更に必要により界面活性剤を配合することができる。しかしながら、界面活性剤の添加は、使用感やミノキシジルの皮膚吸収に影響を与える可能性があり、本発明の外用組成物では、界面活性剤を配合しなくてもミノキシジルの溶解性を確保できるため、実質的に界面活性剤を含まないものとすることが好ましい。
【0019】
本発明の外用組成物には、上記した各成分の他に、本発明の効果を損なわない範囲で、必要な活性成分や補助成分を加えることができる。本発明のローション剤に添加、配合することが好ましい薬効成分としては、メントール、ビタミンEアセテート、パントテニルエチルエーテル、ヒノキチオール、グリチルレチン酸、塩酸ジフェンヒドラミン、パンテノールから成る群より選ばれた成分が挙げられる。
これら選択成分の添加量は、特に制約はなく、使用感やミノキシジルの安定性あるいは溶剤系組成等を考慮しながら実験的に定めることができる。
【0020】
本発明の外用組成物においては、上記した成分の他、本発明の効果を損なわない範囲で、一般の外用剤に用いられる種々の活性成分や補助成分を配合することができる。例えば、賦形剤、育毛成分(6-ベンジルアミノプリン、アデノシン、ペンタデカン酸グリセリド、何首鳥等)、血管拡張剤(塩化カルプロニウム、ニコチン酸ベンジル、センブリ抽出液、オタネニンジンエキス、チクセツニンジンチンキ、トウガラシチンキ等)、抗ヒスタミン剤(塩酸イソチペンジル等)、抗炎症剤(グアイアズレン等)、角質溶解剤(尿素、サリチル酸等)、殺菌剤(グルコン酸クロルヘキシジン、イソプロピルメチルフェノール、第4級アンモニウム塩、ピロクトンオラミン等)、保湿剤(ヒアルロン酸又はその塩、コンドロイチン硫酸等)、各種動植物(イチイ、ボタンピ、カンゾウ、オトギリソウ、附子、ビワ、カワラヨモギ、コンフリー、アシタバ、サフラン、サンシシ、ローズマリー、セージ、モッコウ、セイモッコウ、ホップ、プラセンタ、ノコギリヤシ、パンプキンシード等)の抽出物、ビタミン類(酢酸レチノール、アスコルビン酸、硝酸チアミン、シアノコバラミン、ビオチン等)、抗酸化剤(ジブチルヒドロキシトルエン、ピロ亜硫酸ナトリウム、トコフェロール、エデト酸ナトリウム、アスコルビン酸、イソプロピルガレート等)、溶解補助剤(アジピン酸ジイソプロピル、ミリスチン酸イソプロピル、各種植物油、各種動物油、アルキルグリセリルエーテル、炭化水素類等)、代謝賦活剤、ゲル化剤(水溶性高分子等)、粘着剤、香料、清涼化剤(ハッカ油、カンフル等)、染料等の通常使用される成分を配合することができる。
【0021】
本発明の外用組成物は、ローション剤、エアゾール剤、トニック剤、クリーム剤、軟膏剤、ゲル剤等の適当な外用組成物とすることができる。このうち、最も好ましい剤型はローション剤である。
【0022】
本発明の外用組成物の調製は、常法に従い、上記各成分を含有することにより調製される。
【0023】
かくして得られる本発明の外用組成物は、頭髪用剤、睫毛用剤、眉毛用剤等の皮膚適用製剤等として使用することができる。
【0024】
以下に、実施例、比較例及び試験例を記載し、本発明をさらに具体的に説明するが、本発明はこれら実施例等により何ら制約されるものではない。
【実施例0025】
(実施例1)
ミノキシジル5g、ピリドキシン塩酸塩0.05g、プロピレングリコール15g、リン酸適量、精製水20g、エタノールで全量を100gとし、約1時間撹拌してpH6.0の外用組成物を得た。
【0026】
(実施例2)
ミノキシジル5g、ピリドキシン塩酸塩0.05g、プロピレングリコール15g、クエン酸適量、精製水20g、エタノールで全量を100gとし、約1時間撹拌してpH6.1の外用組成物を得た。
【0027】
(実施例3)
ミノキシジル5g、ピリドキシン塩酸塩0.05g、プロピレングリコール15g、乳酸適量、精製水20g、エタノールで全量を100gとし、約1時間撹拌してpH6.1の外用組成物を得た。
【0028】
(実施例4)
ミノキシジル5g、ピリドキシン塩酸塩0.05g、プロピレングリコール15g、塩酸適量、精製水20g適量、エタノールで全量を100gとし、約1時間撹拌してpH6.0の外用組成物を得た。
【0029】
(実施例5)
ミノキシジル5g、ピリドキシン塩酸塩0.05g、プロピレングリコール15g、酢酸適量、精製水20g、エタノールで全量を100gとし、約1時間撹拌してpH6.1の外用組成物を得た。
【0030】
(実施例6)
ミノキシジル5g、ピリドキシン塩酸塩0.05g、プロピレングリコール15g、硫酸適量、精製水20g、エタノールで全量を100gとし、約1時間撹拌してpH6.0の外用組成物を得た。
【0031】
(実施例7)
ミノキシジル5g、ピリドキシン塩酸塩0.05g、プロピレングリコール15g、硝酸適量、精製水20g、エタノールで全量を100gとし、約1時間撹拌してpH6.0の外用組成物を得た。
【0032】
(実施例8)
ミノキシジル5g、ピリドキシン塩酸塩0.05g、プロピレングリコール15g、酒石酸適量、精製水20g、エタノールで全量を100gとし、約1時間撹拌してpH6.1の外用組成物を得た。
【0033】
(実施例9)
ミノキシジル5g、ピリドキシン塩酸塩0.05g、プロピレングリコール15g、マレイン酸適量、精製水20g、エタノールで全量を100gとし、約1時間撹拌してpH6.0の外用組成物を得た。
【0034】
(実施例10)
ミノキシジル1g、ピリドキシン塩酸塩0.05g、プロピレングリコール15g、リン酸適量、精製水20g、エタノールで全量を100gとし、約1時間撹拌してpH6.0の外用組成物を得た。
【0035】
(実施例11)
ミノキシジル5g、ピリドキシン塩酸塩0.05g、プロピレングリコール15g、クエン酸適量、精製水20g、エタノールで全量を100gとし、約1時間撹拌してpH6.0の外用組成物を得た。
【0036】
(実施例12)
ミノキシジル5g、ピリドキシン塩酸塩0.05g、プロピレングリコール15g、乳酸適量、精製水20g、エタノールで全量を100gとし、約1時間撹拌してpH6.0の外用組成物を得た。
【0037】
(実施例13)
ミノキシジル5g、ピリドキシン塩酸塩0.05g、プロピレングリコール15g、酒石酸適量、精製水20g、エタノールで全量を100gとし、約1時間撹拌してpH6.0の外用組成物を得た。
【0038】
(比較例1)
ミノキシジル5g、ピリドキシン塩酸塩0.05g、ポリエチレングリコール400 15g、リン酸適量、精製水20g、エタノールで全量を100gとし、約1時間撹拌してpH6.3の外用組成物を得た。
【0039】
(比較例2)
ミノキシジル5g、ピリドキシン塩酸塩0.05g、プロピレングリコール15g、dl-リンゴ酸適量、精製水20g、エタノールで全量を100gとし、約1時間撹拌して外用組成物を調製した。
【0040】
(比較例3)
ミノキシジル5g、ピリドキシン塩酸塩0.05g、プロピレングリコール15g、ホウ酸適量、精製水20g、エタノールで全量を100gとし、約1時間撹拌して外用組成物を調製した。
【0041】
(比較例4)
ミノキシジル5g、ピリドキシン塩酸塩0.05g、プロピレングリコール15g、グルコン酸適量、精製水20g、エタノールで全量を100gとし、約1時間撹拌してpH6.0の外用組成物を得た。
【0042】
(比較例5)
ミノキシジル1g、ピリドキシン塩酸塩0.05g、プロピレングリコール15g、グルコン酸適量、精製水20g、エタノールで全量を100gとし、約1時間撹拌してpH6.0の外用組成物を得た。
【0043】
(比較例6)
ミノキシジル1g、ピリドキシン塩酸塩0.05g、ポリエチレングリコール400 15g、リン酸適量、精製水20g、エタノールで全量を100gとし、約1時間撹拌してpH6.0の外用組成物を得た。
【0044】
(比較例7)
ミノキシジル1g、プロピレングリコール15g、リン酸適量、精製水20g、エタノールで全量を100gとし、約1時間撹拌してpH6.0の外用組成物を得た。
【0045】
(比較例8)
ミノキシジル5g、プロピレングリコール15g、クエン酸適量、精製水20g、エタノールで全量を100gとし、約1時間撹拌してpH6.1の外用組成物を得た。
【0046】
(比較例9)
ミノキシジル5g、プロピレングリコール15g、乳酸適量、精製水20g、エタノールで全量を100gとし、約1時間撹拌してpH6.0の外用組成物を得た。
【0047】
(比較例10)
ミノキシジル5g、プロピレングリコール15g、酒石酸適量、精製水20g、エタノールで全量を100gとし、約1時間撹拌してpH6.0の外用組成物を得た。
【0048】
<試験例1:析出試験-1>
実施例1、及び比較例1に関し、ガラスシャーレ上に外用組成物を各々100μL滴下し、24時間後にミノキシジル由来の結晶析出を目視で評価した。試験は3回実施した。
【0049】
試験の結果、多価アルコールとしてポリエチレングリコールを配合した比較例1と比べ、本発明の多価アルコールを用いた実施例1では、ミノキシジル由来の結晶析出が3回とも抑制されていた。
【0050】
<試験例2:析出試験-2>
実施例10~13及び比較例6~10に関し、ガラスシャーレ上に外用組成物を各々100μL滴下し、24時間後にミノキシジル由来の結晶析出を目視で評価した。
【0051】
試験の結果、多価アルコールとしてポリエチレングリコールを配合した比較例6と比べ、本発明の多価アルコールを用いた実施例10では、ミノキシジル由来の結晶析出が抑制されていた。また、ピリドキシン塩酸塩を配合していない比較例7と比べ、本発明のピリドキシン塩酸塩を配合している実施例10では、ミノキシジル由来の結晶析出が抑制されていた。
【0052】
さらに、本発明の異なる種類の酸を用いた製剤でも同様に、ミノキシジル由来の結晶析出が抑制されていた(実施例11~13及び比較例8~10)。
【0053】
<試験例3:ローション剤の調製試験>
実施例1~10、及び比較例2~5に関し、ローション剤の調製試験を実施した。調製後、ビーカー内のローション剤を目視で確認し、沈殿物のない澄明な製剤が得られたものを○、ローション剤中に沈殿物が生じたものを×とした。結果を表1に示す。
【0054】
<試験例4:ピリドキシン塩酸塩の安定性試験>
実施例1~10、及び比較例4~5に関し、ピリドキシン塩酸塩の安定性試験を実施した。安定性試験は、各組成物を65℃の恒温器で2週間静置した後、ピリドキシン塩酸塩の含量を液体クロマトグラフィーで定量することにより行った。調製直後のピリドキシン塩酸塩の含量と比較し、ピリドキシン塩酸塩の低下が0~5%であったものを◎、6%~7%であったものを○、8~9%であったものを△、10%以上低下したものを×とした。結果を表1に示す。
【0055】
【表1】
【0056】
表1から明らかなように、本発明の酸を用いた実施例1~10は、配合成分が全て溶解し、沈殿物のない澄明なローション剤が得られた。一方、酸のうちリンゴ酸又はホウ酸を用いた場合は調製後のローション剤中に沈殿物が生じた(比較例2、3)。
また、酸としてグルコン酸を用いた比較例4及び5は、ローション剤を調製することはできたものの、ピリドキシン塩酸塩の含量が顕著に低下した。一方、本発明の酸を用いた実施例1~10のローション剤はピリドキシン塩酸塩の含量低下は10%よりも低かった。特に、リン酸、塩酸、酢酸、硫酸、又は硝酸を用いた場合は、ピリドキシン塩酸塩の含量低下を5%以下に抑えることができ、好ましい結果であった。
【産業上の利用可能性】
【0057】
本発明により、ピリドキシンを配合したミノキシジル含有外用組成物において、塗布した後に生じる可能性のあるミノキシジル由来の析出を抑制し、外用組成物中の沈殿生成を抑制し、かつピリドキシン及び/又はその塩の安定性の低下を抑制した、優れたミノキシジル含有外用組成物を提供することが可能になった。