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特開2022-177250投与量情報を獲得するためのシステムおよび方法
(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2022177250
(43)【公開日】2022-11-30
(54)【発明の名称】投与量情報を獲得するためのシステムおよび方法
(51)【国際特許分類】
   A61J 1/22 20060101AFI20221122BHJP
   A61M 5/315 20060101ALI20221122BHJP
【FI】
A61J1/22
A61M5/315 550G
【審査請求】有
【請求項の数】15
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2022153833
(22)【出願日】2022-09-27
(62)【分割の表示】P 2021157860の分割
【原出願日】2015-09-14
(31)【優先権主張番号】14/485,749
(32)【優先日】2014-09-14
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
【公序良俗違反の表示】
(特許庁注:以下のものは登録商標)
1.BLUETOOTH
2.ANDROID
(71)【出願人】
【識別番号】595117091
【氏名又は名称】ベクトン・ディキンソン・アンド・カンパニー
【氏名又は名称原語表記】BECTON, DICKINSON AND COMPANY
【住所又は居所原語表記】1 BECTON DRIVE, FRANKLIN LAKES, NEW JERSEY 07417-1880, UNITED STATES OF AMERICA
(74)【代理人】
【識別番号】110001243
【氏名又は名称】弁理士法人谷・阿部特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】ゲイリー サール
(72)【発明者】
【氏名】アンドリュー バーク
(72)【発明者】
【氏名】ステファン ジャネリス
(72)【発明者】
【氏名】ケネス フォクト
(72)【発明者】
【氏名】ピーター コステロ
(72)【発明者】
【氏名】シェーン シウィンスキ
(72)【発明者】
【氏名】フランシス エル.ロス ザ サード
(57)【要約】
【課題】送達された投与量情報を獲得するためのデバイスを提供する。
【解決手段】送達された投与量情報を獲得するためのシステムであって、薬剤バイアルの側壁部に取り付けられている薬剤ボリュームセンサを有する薬剤バイアルと、プロセッサと、インストラクションを含むメモリであって、前記インストラクションは、前記プロセッサを制御し、前記薬剤ボリュームセンサから薬剤ボリューム測定値を受け取り、投与送達の前と前記投与送達の後のボリュームの差を決定するように適合されている、メモリとを含み、前記薬剤ボリュームセンサは、前記薬剤バイアルの側壁に取り付けられた前記薬剤バイアル内の薬剤レベルの連続関数としての静電容量を有する静電容量センサを含み、複数の磁気ビーズの数は、前記バイアルの中の前記薬剤の露出された表面を実質的にカバーするのに十分なものになっている。
【選択図】図17
【特許請求の範囲】
【請求項1】
送達された投与量情報を獲得するためのシステムであって、
薬剤バイアルの側壁部に取り付けられている薬剤ボリュームセンサを有する薬剤バイアルと、
プロセッサと、
インストラクションを含むメモリであって、前記インストラクションは、前記プロセッサを制御し、前記薬剤ボリュームセンサから薬剤ボリューム測定値を受け取り、投与送達の前と前記投与送達の後のボリュームの差を決定するように適合されている、メモリと
を含み、
前記薬剤ボリュームセンサは、前記薬剤バイアルの側壁に取り付けられた前記薬剤バイアル内の薬剤レベルの連続関数としての静電容量を有する静電容量センサを含み、
複数の磁気ビーズの数は、前記バイアルの中の前記薬剤の露出された表面を実質的にカバーするのに十分なものになっていることを特徴とするシステム。
【請求項2】
改善された病気の治療のための情報学的に使用可能な投薬システムであって、
インスリン投与量入力エレメントと、
経口薬入力エレメントと、
血糖レベル入力エレメントと、
炭水化物入力エレメントと
を含み、
前記システムは、データハブおよびRFIDチップをさらに含み、前記データハブは、それぞれの前記入力エレメントからデータを受け取り、前記入力エレメントから受け取られた前記データに基づいて計算を実施し、前記実施された計算に基づいてフィードバックをユーザに提供するように適合されていることを特徴とするシステム。
【請求項3】
前記インスリン投与量入力エレメントは、トランシーバを含むスマート投与量決定デバイスを含み、前記トランシーバは、投与量がユーザに投与されるときに、実質的にリアルタイムの投与量情報を前記データハブに伝送するように適合されていることを特徴とする請求項2に記載のシステム。
【請求項4】
前記経口薬入力エレメントは、情報学的に使用可能な経口薬コンテナを含み、前記情報学的に使用可能な経口薬コンテナは、前記ユーザによって取り込まれる経口薬量に対応するユーザ入力を受け取るように適合されている、スマートフォンの上で稼働するアプリケーションと通信することを特徴とする請求項2に記載のシステム。
【請求項5】
前記血糖レベル入力エレメントは、トランシーバを含む血糖モニタを含み、前記トランシーバは、血糖データを前記データハブに伝送するように適合されていることを特徴とする請求項2に記載のシステム。
【請求項6】
前記血糖モニタは、持続血糖モニタであることを特徴とする請求項5に記載のシステム。
【請求項7】
前記炭水化物入力エレメントは、前記ユーザによって摂取された食べ物および/または飲み物に対応するユーザ入力を受け取るように適合されている、スマートフォンの上で稼働するアプリケーションを含み、前記アプリケーションは、前記ユーザ入力から、前記ユーザによって摂取された炭水化物を推定するように適合されていることを特徴とする請求項2に記載のシステム。
【請求項8】
ウェルネスデータ入力エレメントをさらに含むことを特徴とする請求項2に記載のシステム。
【請求項9】
前記ウェルネスデータ入力エレメントは、スマートフォンの上で稼働するアプリケーションを含み、前記アプリケーションは、ウェルネスデータに関連するユーザ入力を受け取るように、および、前記ウェルネスデータを前記データハブに伝送するように適合されていることを特徴とする請求項8に記載のシステム。
【請求項10】
インスリンペンを受け入れるように適合されているインフォマティクス使用可能なペンケースであって、
シリンジ受け入れキャビティと、
前記シリンジ受け入れキャビティに隣接しているクランピングシステムであって、前記シリンジ受け入れキャビティのプランジャの上をクランプするように適合されている、クランピングシステムと、
前記クランピングシステムが前記プランジャの上にクランプされているときに、前記クランピングシステムおよびプランジャを移動させるように適合されているアクチュエータと、
トランシーバから投与量コマンドを受け取るように、および、制御情報をコントローラに送るように適合されているプロセッサであって前記コントローラは、前記アクチュエータおよび前記クランピングシステムを動作させるように適合されている、プロセッサと、
ユーザインターフェースから投与量コマンドを受け取るように適合されているトランシーバを含み、
前記トランシーバは、受け取られた投与量コマンドを前記プロセッサに伝送し、
前記プロセッサは、RFIDチップを含み、前記投与量コマンドを受け取り、前記投与量コマンドに対応する制御情報を前記コントローラに送り、
前記コントローラは、前記制御情報を受け取り、および前記クランピングシステムおよびアクチュエータを制御し、前記シリンジの前記プランジャをクランプし、前記プランジャを移動させ、前記投与量コマンドに対応する投与量を引き出すことを特徴とするインフォマティクス使用可能なペンケース。
【請求項11】
前記ユーザインターフェースは、スマートフォンの上で稼働するアプリケーションを含むことを特徴とする請求項10に記載のインフォマティクス使用可能なペンケース。
【請求項12】
情報学的に使用可能な薬剤送達デバイスおよびデバイスケースであって、
薬剤で充填されている除去可能なリザーバを受け入れるように適合されている薬剤送達デバイスであって、前記リザーバは、プランジャを含み、前記プランジャは、前記リザーバの中を軸線方向に移動し、薬剤が前記リザーバから出ていくことを引き起こすように適合されており、前記プランジャは、ターゲットエレメントを含み、前記ターゲットエレメントは、前記プランジャに取り付けられており、前記プランジャとともに軸線方向に移動する、薬剤送達デバイスと、
キャビティおよびターゲットエレメントセンサを含むデバイスケースであって、前記キャビティは、前記薬剤送達デバイスに対応しており、前記薬剤送達デバイスを所定の場所に受け入れるように形状決めされており、前記ターゲットエレメントセンサは、前記ターゲットエレメントの場所を感知するように適合されているデバイスケースと
を含み、
前記デバイスケースは、前記ターゲットエレメントセンサからの信号を受け取るように適合されているプロセッサと、リアルタイムクロックと、前記ターゲットエレメントセンサによって感知されたターゲットエレメント場所を記憶するためのメモリと、ワイヤレストランシーバとをさらに含み、
前記プロセッサは、ターゲットエレメントセンサ信号および前記リアルタイムクロックに基づいて、投与量および投与時間を決定するように適合されており、また、前記決定された投与量および投与時間を前記ワイヤレストランシーバに送るように適合されており、
前記ワイヤレストランシーバは、前記決定された投与量および投与時間をリモートデバイスに伝送するように適合されていることを特徴とする薬剤送達デバイスおよびデバイスケース。
【請求項13】
前記薬剤送達デバイスは、インスリンペンであることを特徴とする請求項12に記載の薬剤送達デバイスおよびデバイスケース。
【請求項14】
情報学的に使用可能な薬剤送達デバイスであって、
薬剤で充填されている除去可能なリザーバを受け入れるように適合されている薬剤送達デバイスであって、前記リザーバは、プランジャを含み、前記プランジャは、前記リザーバの中を軸線方向に移動し、薬剤が前記リザーバから出ていくことを引き起こすように適合されており、前記プランジャは、ターゲットエレメントを含み、前記ターゲットエレメントは、前記プランジャに取り付けられており、前記プランジャとともに軸線方向に移動する、薬剤送達デバイスと、
前記薬剤送達デバイスを受け入れ、前記薬剤送達デバイスの送達端部を囲むように適合されているデバイスキャップであって、前記デバイスキャップは、前記ターゲットエレメントの場所を感知するように適合されているターゲットエレメントセンサを含む、デバイスキャップと
を含み、
前記デバイスキャップは、前記ターゲットエレメントセンサからの信号を受け取るように適合されているプロセッサと、リアルタイムクロックと、前記ターゲットエレメントセンサによって感知されたターゲットエレメント場所を記憶するためのメモリと、ワイヤレストランシーバとをさらに含み、
前記プロセッサは、ターゲットエレメントセンサ信号および前記リアルタイムクロックに基づいて、投与量および投与時間を決定するように適合されており、また、前記決定された投与量および投与時間を前記ワイヤレストランシーバに送るように適合されており、
前記ワイヤレストランシーバは、前記決定された投与量および投与時間をリモートデバイスに伝送するように適合されていることを特徴とする薬剤送達デバイス。
【請求項15】
前記薬剤送達デバイスは、インスリンペンであり、前記デバイスキャップは、スマートペンキャップであることを特徴とする請求項14に記載の薬剤送達デバイスおよびデバイスケース。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、シリンジまたは他の薬物送達デバイスによって送達される薬物のボリュームを獲得するためのシステムおよび方法に関する。特に、本発明は、薬物投与送達情報を獲得するために、さまざまな薬物送達デバイスおよびコンポーネントとともに、ホール効果センシングおよび磁気抵抗(MR)センシング、および、マイクロ電気機械システム(MEMS)フローセンシングなどのような、磁気位置センシングを利用するためのシステムおよび方法に関する。
【0002】
本出願は、「SYSTEM AND METHOD FOR CAPTURING DOSE INFORMATION」という標題の2014年9月14日に出願された米国特許出願第14/485,749号明細書の利益を主張し、その内容全体は、参照により本明細書に組み込まれている。
【背景技術】
【0003】
糖尿病は、インスリン製造、インスリン作用、または、その両方における欠陥から結果として生じる高いレベルの血糖を特徴とする病気のグループである。米国では、糖尿病を有する25.8百万人の人々(または、人口の8.3%)が存在している。糖尿病の合計患者数は、2005年~2007年の期間から13.5%増加している。糖尿病は、重大な合併症および早過ぎる死につながる可能性があるが、病気を制御して合併症のリスクを低下させることを助けるために、糖尿病を有する人々に利用可能な周知の製品が存在している。慢性高血糖症は、腎不全、末梢神経障害、網膜症、および血管系合併症を含む、重大でときには不可逆的な合併症につながる。
【0004】
糖尿病患者のための治療オプションは、特殊化した食事、経口薬、および/またはインスリン療法を含む。糖尿病治療に関する主な目的は、合併症のない生活の機会を増加させるために、患者の血糖(砂糖)値を制御することである。
【0005】
理想的な糖尿病療法は、血糖値の連続的なモニタリング、インスリン投薬、炭水化物推定などのような食事の摂取、活動トラッキング、ストレスレベル、および他の要因に関するデータ獲得を含むこととなる。連続的にモニタリングすることによって、医療従事者は、それぞれの患者に関する治療レジメンの有効性を最大化することが可能である。残念なことには、1日複数回注入(MDI)、インスリンペン、パッチポンプ、およびインスリンポンプを含む、従来の糖尿病治療は、患者に送達された薬物投与量に関する情報を十分に記録せず、フィードバックを医者に提供しない。したがって、医者と患者との間の従来のフィードバックループは、頻繁ではなく、主に、医者と患者との間の定性的評価に基づいている。したがって、投与送達獲得などのようなインフォマティクス(informatics)を追加し、強化されたフィードバックを医療従事者に提供し、糖尿病療法を改善する薬物送達デバイスおよび方法を強化する必要性が存在している。
【0006】
糖尿病(DM)を適正に診断および治療するために、患者および/またはヘルスケア提供者(HCP)は、(1)インスリン投薬、(2)経口薬、(3)血糖測定(BGM)、および(4)炭水化物摂取に関する短期間の日々の記録を評価することが必要である。これらのデータは、インスリンペンについてのセッティング、BGMメータからの一時的な読み値、および、患者によってすべて決定され、ログブックまたは日記の中へ転置される食事の中の炭水化物の推定値などのような、異なる情報源から得られる。データを記録するこの方法は、極端に面倒なものであり、誤差および省略を起こしがちである。最良のケースのシナリオにおいても、履歴記録が完全であるときに、手書きのデータを、データを再構築し、傾向を評価し、治療的な修正を支持するソフトウェアに転置することがなければ、得られ得る洞察は限定される。結果として、患者の大部分は、彼らのログブックを適正に維持せず、それは、患者および病気を適正に診断する医者の能力を低減させ、それは、最終的に、療法に対する順守低下、および、血糖コントロール低下を結果として生じさせる可能性がある。したがって、システムは、糖尿病の適正な診断および治療のために必要なすべてのデータを自動的に獲得すること、記憶すること、転送すること、および、最適な評価を可能にすることが必要とされる。
【0007】
特許文献1は、パッチペンに取り付けられ得るモニタが記載されており、パッチペンは、それぞれの送達イベントの時間を感知し、ワイヤレスで伝送することが可能である。磁石などのようなフラグが、パッチペンの中の移動可能なリンケージの上に設置されており、モニターアタッチメントの中のセンサが、リンケージトラベルの端部における、すなわち、送達サイクルの端部における、磁石の近接を検出する。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0008】
【特許文献1】米国特許第8,613,719号明細書
【特許文献2】米国特許出願公開第2012/0222468号明細書
【特許文献3】米国特許出願公開第2012/0226447号明細書
【特許文献4】米国特許出願公開第2012/0226446号明細書
【特許文献5】米国仮特許出願第61/976,631号明細書
【特許文献6】米国特許第7,901,383号明細書
【特許文献7】米国特許出願公開第2011-0054390号明細書
【特許文献8】米国特許出願公開第2011-0022025号明細書
【特許文献9】米国特許出願公開第2012/0041417号明細書
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0009】
本発明の実施形態によって、上記に説明されている不利益は、克服されるかまたは最小化され、上記の利点および他の利点は、実現化される。本発明の例示的な実施形態は、送達された投与量情報を獲得するためのデバイスを提供する。デバイスは、薬物送達デバイスと、薬物送達デバイスに取り付けられるように適合されている投与量情報獲得デバイスと、薬物送達デバイスに取り付けられるように適合されているセンサエレメントとを含む。センサエレメントは、好ましくは、磁石、好ましくは、(非永久磁石も使用され得るが)永久磁石、および、少なくとも1つの鉄系エレメントのいずれかのうちの少なくとも1つを含み、薬物送達デバイスの投与送達メカニズムの上において、薬物送達デバイスに取り付けられている。投与量情報獲得デバイスは、センサエレメントの位置を検出するように適合されている磁気位置センサを含む。
【0010】
したがって、本発明の実施形態は、磁気位置センシングによって、送達された投与量を感知するデバイスを提供する。磁気位置センシングは、ホール効果センサ、磁気抵抗センサ、または、任意の他の適切なデバイスによって達成される。さまざまな実施形態は、線形並進、回転移動、フロー、または、インスリンバイアルもしくはリザーバの中の薬物レベルを感知することが可能である。本明細書で記載されるように、磁気位置センシングは、インスリンペンまたは他の医薬品送達デバイスの中に送達されることとなる投与量と相関する機械的なリンケージまたは機械化(mechanization)の線形移動または回転移動を決定する。他の実施形態では、磁気位置センシングは、インスリンの上部表面の上に浮遊する磁石の線形並進または位置の変化などによって、容器の中の流体のレベルを決定するために利用される。フローセンシング、とりわけ、MEMSフローセンサは、ペン、シリンジ、または他の医薬品送達デバイスから送達される医薬品のボリュームを決定するために使用されるTime of Flight飛行時間型(ToF)センサなどのような、コリオリセンサ、静電容量センサ、およびサーマルセンサを含む。静電容量センシングは、好ましくは、インスリンバイアルなどのような容器の中のインスリンなどのような液体のレベルを測定および決定するために使用される。
【0011】
本発明の特定の例示的な実施形態の上記のおよび他の例示的な特徴および利点は、添付の図面と併用されるときに、その特定の例示的な実施形態の以下の説明から、より明らかになることとなる。
【図面の簡単な説明】
【0012】
図1】本発明の例示的な実施形態による情報学的に使用可能な(informatically enabled)バイアルスリーブを示す図である。
図2A】本発明の例示的な実施形態とともに利用される磁石配置、および、ホール効果センサの中の距離に対するフラックス密度を示す図である。
図2B】本発明の例示的な実施形態とともに利用されるホール効果センサ配置に関する、実質的に線形の出力電圧-対-フラックス密度の曲線を示す図である。
図3】本発明の例示的な実施形態による情報学的に使用可能なバイアルスリーブを示す図である。
図4】本発明の別の例示的な実施形態による情報学的に使用可能なバイアルスリーブを示す図である。
図5】本発明の例示的な実施形態によるペンキャップおよびフローセンサを示す図である。
図6】本発明の例示的な実施形態による、再使用可能なペンまたは使い捨てのペンに関する情報学的に使用可能なアタッチメントを示す図である。
図7図6に図示されているアタッチメントとともに使用するためのマルチポール磁気リングおよびホール効果センサ配置を示す図である。
図8】本発明の例示的な実施形態による固定投与ペンを示す図である。
図9】調節可能な投与ペンまたは固定投与ペンのいずれかの別の説明図である。
図10】本発明の例示的な実施形態による情報学的に使用可能な機械的なパッチペンの実施形態を示す図である。
図11】本発明の例示的な実施形態による情報学的に使用可能な機械的なパッチペンの実施形態を示す図である。
図12】本発明の例示的な実施形態による情報学的に使用可能なペンケースを示す図である。
図13】本発明の別の例示的な実施形態による情報学的に使用可能なペンケースを示す図である。
図14】本発明の別の例示的な実施形態による情報学的に使用可能なシリンジスリーブを示す図である。
図15】本発明の別の例示的な実施形態による静電容量センシングを利用する情報学的に使用可能なバイアルスリーブを示す図である。
図16】本発明の別の例示的な実施形態による情報学的に使用可能なバイアルスリーブを示す図である。
図17】本発明の別の例示的な実施形態による別の情報学的に使用可能なバイアルスリーブを示す図である。
図18A】本発明の例示的な実施形態によるシリンジに外部から取り付けられているリニア磁気位置センシング配置を示す図である。
図18B】本発明の例示的な実施形態による、シリンジに外部から取り付けられているリニア磁気位置センシング配置を示す図である。
図19A】情報学的に使用可能な注入ポートを示す図である。
図19B】情報学的に使用可能な注入ポートを示す図である。
図19C】情報学的に使用可能な注入ポートを示す図である。
図19D】情報学的に使用可能な注入ポートを示す図である。
図20】本発明の例示的な実施形態による情報学的に使用可能な薬物送達デバイスを含むワイヤレス通信システムを示す図である。
図21】本発明の例示的な実施形態によるペンニードルを識別するためのシステムを示す図である。
図22】本発明の例示的な実施形態によるペンニードルを識別するための別のシステムを示す図である。
図23】本発明の例示的な実施形態によるペンニードルを識別するための別のシステムを示す図である。
図24】本発明の例示的な実施形態によるペンニードルを識別するためのさらなる別のシステムを示す図である。
図25】本発明の例示的な実施形態によるホール効果センサおよびリング磁石の組み合わせを示す図である。
図26】本発明の例示的な実施形態によるインスリンペンとともに働くように適合されている回転式デバイスを示す図である。
図27】本発明の実施形態の手づかみ構成を示す図である。
図28】本発明の例示的な実施形態によるリニア投与量測定装置を示す図である。
図29】本発明の実施形態のサーマル飛行時間型センサ(thermal time of flight sensor)を示す図である。
図30】キャップが除去されている状態の図29の実施形態を示す図である。
図31】キャップがインストールされている状態の図29の実施形態を示す図である。
図32】本発明の例示的な実施形態によるサーマル飛行時間型投与量測定システムの分解図である。
図33図32に示されている実施形態の使い捨て部分の第1の図である。
図34図33の使い捨て部分の第2の図である。
図35図33図34の使い捨て部分の断面図である。
図36】本発明の例示的な実施形態の耐久性部分の分解図である。
図37】本発明の例示的な実施形態によるサーマル飛行時間型センサを示す図である。
図38】本発明の例示的な実施形態による使い捨て部分、耐久性部分、インスリンペン、およびペンニードルの間の相互作用を示す図である。
図39】本発明の例示的な実施形態による使い捨て部分、耐久性部分、インスリンペン、およびペンニードルの間の相互作用を示す図である。
図40】本発明の例示的な実施形態による使い捨て部分、耐久性部分、インスリンペン、およびペンニードルの間の相互作用を示す図である。
図41】本発明の例示的な実施形態によるz軸フィルムのクローズアップを示す図である。
図42】本発明の例示的な実施形態によるサーマル飛行時間型センサの動作をさらに示す拡大図である。
【発明を実施するための形態】
【0013】
図の全体を通して、同様の参照数字は、同様のエレメント、特徴、および構造を表すということが理解されることとなる。
【0014】
下記に提供されている例では、インスリン送達が説明されている。しかし、インスリン送達は、単に例示的なものであり、任意の薬物送達が本発明の範囲内にあるということが企図されているということが理解されるべきである。インフォマティクスは、本明細書において、情報の分析、収集、分類、操作、保管、検索、移動、および普及に主に関係する学際的分野として定義される。
【0015】
本発明の例示的な実施形態は、シリンジ、インスリンペン、または、他の医薬品送達デバイスのいずれかによって送達されている薬物の量またはボリュームを獲得する。いくつかの主な技術の分野では、ホール効果センシングを含む磁気位置センシング、異方性MRを含む磁気抵抗(MR)センシング、サーマル飛行時間型(ToF)センシングを含むMEMSフローセンシング、マイクロコリオリ圧力センシングおよび静電容量式圧力センシングが、さまざまなデバイスおよびデバイスコンポーネントに適用され、投与量獲得を可能にする。MEMS静電容量式圧力センシングは、ベルヌーイの原理を使用し、および/または、経験的ダルシ-ワイスバッハの等式が、フローセンシングエレメントの中の導管の直径を変化させることによって、圧力の変化を検出するために利用され、また、圧力は、異なる直径を有する導管のセクションの中にそれぞれ位置付けされている2つの静電容量式MEMS圧力センサを使用して測定される。本明細書に記載されている例示的な実施形態では、任意のタイプのMEMSフローセンシングが、磁気位置センシングの代わりに利用され得るということが理解されるべきである。本発明の実施形態は、ホール効果センシングおよびMEMSフローセンシングに限定されず、むしろ、任意の適切なセンシング技術が本発明の範囲内にあるということが理解されるべきである。
【0016】
従来のホールセンサは、チップ表面に対して垂直な磁界に対してのみ感度が高く、すなわち、1次元または1Dである。また、3Dホールセンサは、有利には、チップ表面に対して平行な磁界に応答する。センサチップは、3つの磁気軸線のそれぞれに関する別々のセンサを有しており、単純な2極の磁石を磁界供給源として使用して、磁界データを絶対的な位置情報に変換する。リニアセンシングアプリケーションに関して、3Dホールセンサが2Dモードで使用されることとなる。リニアセンシングに関するこのシステムの1つの利点は、標準的な1Dホールセンサよりも大きく、磁石供給源とセンサとの間の分離を可能にすることである。
【0017】
基本的な異方性磁気抵抗(AMR)センサは、シングル飽和モードのホイートストンブリッジを使用し、典型的に、パーマロイ(Ni-Fe合金)から作製されており、センサ表面上を通過する磁束の方向に対して出力電圧を生成させる。したがって、それは、飽和モードで動作し、浮遊磁界からの干渉を回避し、また、それが感知する磁界は、チップの面を横切っており、ホールセンサの垂直磁界とは対照的である。AMRセンサは、チップ表面上を通過する磁束の方向とともに変化するアナログ出力電圧を生成させる。AMRセンサを飽和モードにするために必要とされる最小磁界は、典型的に、50~80ガウスである。シングルエレメントAMRセンサは、電圧-対-角度の出力が線形である場合に、動作の±45°レンジを有している。
【0018】
本発明の実施形態は、好ましくは、以下の機能的能力を満たしている。第1に、本発明の実施形態は、好ましくは、注入された製剤の量、および、注入イベントの時間を電子的に獲得する。第2に、それらは、好ましくは、獲得された注入イベントデータを注入された製剤のタイプと関連付けする手段を提供する。医薬品識別技術は、本発明の実施形態の中へ組み込まれ得る、それは、特許文献2、特許文献3、および特許文献4に記載されており、そのそれぞれの内容全体は、それらの全体が参照により本明細書に組み込まれている。第3に、それらは、好ましくは、MDIまたは輸液療法に関して利用される、既存の一般に処方される糖尿病製剤ペンおよび他のデバイスに適合可能である。第4に、それらは、患者ミーニングエンジン(patient meaning engine)などのような患者ソフトウェアの中で利用されることとなる、スマートフォンまたは同様のデバイスに適合可能な共通のデジタルフォーマットで、獲得されたデータを伝送する。患者ミーニングエンジンは、データを受け取り、それは、それに限定されないが、患者の血糖値、カロリー摂取量、運動、薬物投与量、および他の関連データの任意の組み合わせを含む。エンジンの1つの機能は、データの中の傾向をトラッキングし、フィードバックをユーザに提供し、患者の日常生活における患者の病気および療法の改善された理解を通して、患者セルフケアの有効性を強化することである。ミーニングエンジンは、フィードバックを患者に提供し、自己療法を促進させ、たとえば、食事時投薬などの投薬イベントの間に、改善された意思決定を可能にする。ミーニングエンジンによって与えられるこのフィードバックおよび追加的な洞察は、投薬イベントの間に十分な値を患者に提供し、行動修正に影響を与える。また、ミーニングエンジンは、情報またはアラートをヘルスケア提供者に提供することが可能であり、健康的な傾向からの偏差が識別され、先を見越して行動されるようになる。本明細書で規定されているようにミーニングエンジンを使用することは、医師の時間の効率的な使用を促進させ、コスト効率の良い結果までの最短経路を識別することとは対照的に、フェイル-ファースト(fail-first)に依存する悪い医療用治療レジメンを排除または低減させる。第5に、それらは、好ましくは、送達された投与量を感知してから1分以内に、獲得されたデータを患者ミーニングエンジンに伝送する。第6に、それらは、T1およびT2インスリンのすべての所定の形態、ならびに、経口投与レジメンから、データを獲得する。第7に、それらの精度は、好ましくは、注入標準ISO11608を満たす。ミーニングエンジンを利用する1つの例は、患者に関する新しい医薬品を滴定することである。患者は、送達されたインスリン投与量および一定期間にわたる血糖読み値を分析することに基づいて、毎週、数日ごとに、または、必要に応じて、投与量を調節することによって、遅効性インスリンなどのような新しい医薬品を始めて使用する。調節およびデータは、患者の医者に送られ、医者の時間を節約しながら、および、患者のために滴定プロセスを迅速に処理しながら、医者と患者との間のループを、毎日、または、必要に応じて、閉鎖することが可能である。当然のことながら、インスリンは、本明細書では、例として使用されており、任意の適切な医薬品が、薬剤投与量および血糖値などのような関連の要因をモニタリングすることによって同様に滴定され得る。
【0019】
本発明の実施形態は、さらに、好ましくは、以下の追加的な基準を満たす。それらは、患者とともに実施され、いつでも、どこでも、使用され得る。それらは、好ましくは、糖尿病患者が通常搬送するアイテムの数を増加させない。それらは、血糖モニタ(BGM)および経口薬剤順守デバイスなどのような、インフォマティクス使用可能な結果(IEO)システムの中の他のエレメントに適合可能である。すなわち、システムの中のデバイス同士の間のデータ転送は、共通の通信プラットフォームを利用している。
【0020】
本発明の実施形態は、好ましくは、患者が使用するのに容易である。すなわち、デバイスまたはシステム機能性は、好ましくは、高レベルのユーザ専門知識または重要なトレーニングを必要としない。本発明の実施形態は、患者の安全を改善し、好ましくは、決して患者の安全を妥協しない。
【0021】
本発明の例示的な実施形態は、薬剤送達デバイスが投与送達情報を肯定的に獲得することを情報学的に可能にする。典型的に投与送達に関連付けられる以下のデバイスおよびデバイスコンポーネントは、インフォマティクス使用可能性のために適当である。バイアルまたは医薬品リザーバアタッチメントは、シリンジプランジャの移動を感知することが可能である。また、バイアルまたは医薬品リザーバアタッチメントは、バイアルまたはリザーバの中の医薬品のレベルを感知し、残っているボリューム、したがって、送達された投与量を決定することが可能である。ペンキャップは、磁気センシング手段によって、インスリンペンの中のプランジャの移動を感知することが可能である。磁気センサは、好ましくは、使い捨てのインスリンペンの中へ組み込まれ、プランジャ位置を決定する。一体型フローセンサを備えたスリーブが、インスリンペンとペンニードルとの間に設置され得る。再使用可能なペンに関するカートリッジが、センサを含み、カートリッジの中のプランジャ位置を決定することが可能である。カートリッジ充填器が利用され、センシングエレメントをカートリッジに取り付けることが可能である。再使用可能なカニューレハブの中へおよび再使用可能なカニューレハブからカニューレを交換する、インスリンペンの端部に取り付けられているメカニズムに、フローセンサが設けられ得る。ペンケースには磁気位置センサが設けられ、そのペンケースに戻されたときにインスリンペンの中のプランジャの位置を決定することが可能である。活性化(ボタン押圧)ごとにプリセットされた数のインスリンユニットを送達するように構成されているパッチポンプが、センサによってボタン押圧を感知するように構成され得る。インスリン「Insupad」と同様に、注入パッチは、異なる注入からフローセンサを通してフローを導くように修正され得る。また、Patton Medicalによって提供されるデバイスと同様に、注入ポートは、同じ様式で修正され得る。インスリンバイアルまたは流体リザーバは、内部フローティング磁石および一体化された磁気センサを備えた外部スリーブを組み込むように修正され得る。任意のオール-イン-ワンタイプのデバイスには、本明細書で記載されているような適当なセンサが設けられ、投与量情報を獲得することが可能である。本明細書で使用されているように、「オール-イン-ワン」デバイスは、たとえばBGMおよびインスリン投薬を送達するための方法を含むデバイス、または、BGMおよびボーラス計算機などのような、組み合わせデバイスであると理解されるべきである。少なくとも1つのセンサエレメントがシリンジプランジャおよび少なくとも1つのセンサに接続されている、シリンジに関するアタッチメントは、シリンジバレルに取り付けられている。
【0022】
本発明の第1実施形態が、図1に示されており、図1は、インスリンバイアルおよび修正されたインスリンシリンジに関するアタッチメント102を示している。再使用可能なアタッチメント102は、インスリンバイアルに係合しており、好ましくは、インスリンが使い尽くされるまで、取り付けられたままとなる。バイアルアタッチメント102は、アナログ出力を伴う少なくとも1つのリニアホール効果センサ104、フレキシブルプリント回路基板アッセンブリ(PCBA)106、バッテリ108、電力管理システム110、Bluetooth Low Energy(BLE)ワイヤレストランシーバ112、およびリアルタイムクロック(RTC)114を含む。シリンジ116に関する製造プロセスの間に、RFIDチップ118は、シリンジ116の中に設置され、永久磁石120は、ストッパまたはプランジャの中へオーバーモールドされる。代替実施形態では、磁石というよりもむしろ、スチールディスクまたはスラグ(slug)などのような、鉄系ターゲットが使用され、使い捨てのコストをさらに著しく低減させる。
【0023】
鉄系ターゲットが利用されるときには、ホール効果センサ104は、好ましくは、磁石をホールセンサ104と一体化することによって逆バイアスをかけられており、範囲内の鉄系オブジェクトがホールセンサ104によって感知されることとなる。
【0024】
バイアルアタッチメント102は、シリンジ116の中のRFIDチップを読み取り、シリンジバレルの内径(ID)を決定する。ホール効果センサ104は、プランジャの線形移動を測定し、投与量が、IDおよびプランジャトラベルから計算される。投与量は、タイムスタンプされ、スマートフォンおよび/または「クラウド」もしくはインターネットにワイヤレスで転送される。あるいは、スマートフォン用のフォンアプリケーション(APP)が提供され、フォンカメラが、注入直前のシリンジの画像をキャプチャする。シリンジ直径は、シリンジバレルの外側にプリントされたバーコードもしくはQRコード(登録商標)など、または、比較測定、または、スマートフォンの一部である他の光学的な方法のいずれかによって認識されることとなり、注入直前のプランジャとノズルとの間の距離が、同じ方法によって決定され得る。以前の実施形態と同様に、これらの2つの値は、次いで、投与量を計算するために使用される。また、本明細書で記載されている多数の特徴が組み合わせられ、追加の実施形態を提供することが可能であり、たとえば、スマートフォンAPPは、埋め込まれている磁石の位置を感知することによってプランジャの移動を測定するバイアルアタッチメントと組み合わせて、RFIDチップに関する必要性を交換することが可能である。
【0025】
図2Aは、磁石がセンサの直ぐ近くを通るときに、上記に説明しているホール効果センサによって感知されるフラックス密度曲線を図示している。図2Bは、本発明の実施形態において使用されるホール効果センサの実質的に線形のアナログ出力電圧応答を図示している。ホール効果センサは、好ましくは、プロセッサに対する出力などのために、または、さらなる処理のために、線形の出力電圧をデジタル信号に変換する。
【0026】
図3は、本発明の例示的な実施形態による情報学的に使用可能なバイアルアタッチメントを備えるシリンジおよびバイアルの断面図である。感知されることが意図される合計ストロークに応じて、複数のホール効果センサが使用され得るが、短いストロークに関しては、単に1つのホール効果センサが必要とされる。
【0027】
本発明の第2実施形態が、図4に示されている。磁気ストリップ202が、シリンジプランジャの中へオーバーモールドされている。ストリップ202は、ストリップの長さにわたって、N極からS極へ繰り返し交互になる多数の磁極204を有している。第1実施形態のときのように、バイアルアタッチメントは、RFIDチップを読み取り、プランジャの位置を感知し、注入されるインスリンのボリュームをワイヤレスで通信するために必要な構成部品を含むことである。この実施形態では、高分解能(位置精度)が、光学エンコーダにおいて使用されているものと同じ基本原理を使用して実現されている。すなわち、スタックされた磁石のセットが、一連のN磁極およびS磁極を形成しており、それらは、光学エンコーダの上の黒および白(または、不透明性および光透過性)の光学的なパターンと同様の様式で感知される。位置センサは、複数のホール効果センサを組み込む単一の集積回路であることが可能であり、複数のホール効果センサは、高分解能出力を伴って磁気ストリップのモーションを検出するように配置されており、高分解能出力は、マイクロコントローラと直接的にインターフェースをとることが可能である。そのような高分解能の磁気位置センサは、たとえば、Austria Micro Systems,ams AGから入手可能である。マルチポールストリップと組み合わせて、単一の高分解能の磁気位置センサは、単一のセンサで任意の長さストロークに対応するために、センサの面を通過するポールペアを感知することが可能である。複数のホール効果センサを備える高分解能のシングルチップセンサは、有利には、コンパクトであり、リニアモーションセンシングおよび軸外回転式モーションセンシングの両方に関して使用され得る。これらのデバイスは、15ミクロン(μm)まで下がる分解能を提供する。参考として、0.478cm内径を有する1mlシリンジに関して、プランジャの56μmの変位は、0.1ユニットまたは0.001mlに等しくなる。
【0028】
本発明の第3実施形態が、図5に示されており、図5は、使い捨てのまたは再使用可能なインスリン注入ペン500を図示している。好ましくは微小電気機械システム(MEMS)フローセンサを含む、任意の適切なフローセンサが、情報学的に使用可能なインスリンペンを提供するために利用され得る。1つのタイプは、MEMSマイクロコリオリ質量フローメータであり、それは、振動するチューブを利用し、チューブの中の質量フローの力を正確に測定する。第2のタイプは、MEMSサーマル飛行時間型フローセンサなどのサーマルセンサである。それに加えて、絞り部の両側にあるMEMS静電容量式圧力センサの対が使用され得る。ペンアタッチメント502は、再使用可能な部分504および使い捨て部分506を備える。再使用可能な部分504は、ペンキャップまたはスリーブであり、それは、インスリンペンの送達端部に取り付けられ、ペンの中のインスリンが使い尽くされるまで使用される。使い捨て部分506は、小さいシリンダの形状のプラスチック成形されたコンポーネントであり、流体チャネルの中へ一体化されたMEMSフローセンサを有しており、インスリンが、流体チャネルを通って流れる。使い捨てのMEMSシリンダは、ペンの端部に取り付けられており、ペンニードルは、MEMSシリンダに取り付けられている。除去可能なまたは後退可能な端部キャップが、MEMSシリンダを保護および露出させるために使用され、患者が使用時にペンニードルを交換することを可能にする。投与量は、好ましくは、送達の正確な時間に獲得され、データは、タイムスタンプされ、スマートフォンおよび/または「クラウド」もしくはインターネットにワイヤレスで転送される。
【0029】
MEMSセンサは、典型的に、製造業者によって事前にパッケージ化されている。上記に説明されているような従来のMEMSセンサは、必然的に非常に小さい特定のMEMSコンポーネントだけでなく、関連の電子機器および回路を含有している。しかし、本発明の実施形態では、小さいMEMSコンポーネントは、好ましくは、関連の回路から分離されている。このように、小さいMEMSコンポーネントは、使い捨てであることが可能であり、関連の回路は、再使用可能であることが可能である。図5に示されている実施形態では、たとえば、小さいMEMSコンポーネントは、使い捨てのフローセンサ506の中に位置付けされることとなるが、一方、関連の回路は、再使用可能なペンキャップ504の中に位置付けされる。この配置は、製造に関して著しいコストの利点を有している。例として、従来のMEMSセンサパッケージは、~$10のコストがかかる可能性があるが、一方、小さいMEMSコンポーネントは、~$1未満のコストがかかる可能性がある。したがって、小さいMEMSコンポーネントを関連の回路からを分離することが有利であり、高価な部分が再使用され得る、高価でない部分が使い捨てされ得るようになっている。あるいは、磁石が、インスリンペンの中へ挿入するように適合されているインスリンカートリッジのプランジャに取り付けられ、または、その中に組み込まれている。1つの例示的な実施形態では、ホール効果センサが、ペンキャップの中へ組み込まれており、注入後にペンキャップペンの上に設置して戻されるときに、プランジャの位置を検出する。注入前および後のカートリッジプランジャの相対移動は、投与量に対応しており、それは、記録され、ログをとられ、好ましくは、さらなる処理およびフィードバックのために、クラウドベースのストレージなどのようなリモートデバイスに伝送される。別の例示的な実施形態では、ホール効果センサおよび関連の回路は、ペンケースの中に位置付けされており、カートリッジプランジャの相対移動は、インスリンペンがペンケースの中へ設置して戻されるたびに測定される。この実施形態は、ホール効果センサおよび関連の電子機器のために、ペンケースの中の利用可能な大量のスペースを使用するという利点を有している。ペンケースの中のカートリッジプランジャ位置は、たとえば、AMS5410 3Dホールセンサを利用して測定され得る。複数のセンサが、センサレンジ当たり40mmで、ペン注入器またはカートリッジに対するカートリッジプランジャの正確な変位を三角測量するために使用され得る。
【0030】
リアルタイムで、すなわち、投与量が患者の組織の中へ注入されているときに、本明細書で説明されているシステムが投与送達を獲得することを可能にするために、システムエレメントのすべてが、投与送達のときに通信している必要がある。ペンニードルは、再使用可能なスリーブが取り付けられているときにリアルタイムで投与量を獲得し、以下の機能を提供する。その機能は、(1)投与量のボリュームと相関する感知されたデータを受け取ること、(2)投与量を計算すること、(3)投与量をタイムスタンプすること、(4)センサおよびこれらの機能のための電力を提供すること、ならびに、(5)また、同時にまたは後になって、クラウドの中の患者の記録などの、IEO投与量獲得システムの中のどこかへ投与量およびタイムスタンプをワイヤレスで通信することである。インスリンペンのニードル端部をカバーし、プランジャ移動を感知する交換ペンキャップは、送達の正確な時間にプランジャの移動を感知する。すべてのシステムエレメントが送達のときに通信しているので、インスリンペンのノブ端部をカバーし、ノブ移動およびトラベルを感知するペンキャップは、好ましくは、投与量のリアルタイム送達を獲得することが可能である。
【0031】
使い捨てのMEMSスリーブのコストを低減させるために、スリーブの中の構成部品、すなわち、インフォマティクス使用可能なペンスリーブへの電力接続およびデータ接続のためのMEMSチップおよび電気接点が最小化される。このデバイスは、プラスチックスリーブを含み、MEMSチップおよび電気接点がプラスチックスリーブの中へ組み立てられ、それらは、保持コンポーネントおよびセプタムによって、スナップフィットされるか、オーバーモールドされるか、または締め付けられ、それは、ペンニードルによって係合されるときに、穿孔される。これらの2つの概念は、上記に説明されている実施形態と比較して追加的な利益を提供する。その理由は、たとえば、スマートペンキャップがペンの上に設置されて戻されるときなど、投与量が送達されたいくらか後で、それらが、シリンジを充填するためのプランジャ移動の時間、または、インスリンペンのプランジャの変位と比較して、実際の送達の時間を獲得するからである。
【0032】
また、上記に説明されている実施形態は、Patton Medical注入ポートなどの注入ポートに適用可能である。注入ポートとともに使用するための実施形態は、完全に使い捨てのものであるか、または、使い捨てのコンポーネントおよび再使用可能なコンポーネントの組み合わせであることが可能である。上記に説明されているMEMSセンサのいずれかが、注入ポートの中の流体経路の中へ挿入され、上記に説明されているインフォマティクス使用可能なスリーブの中に設けられている構成部品および知能は、ポートの外周部の中の注入ポートの中へ、すなわち、シリンジが係合することとなるセプタムを取り囲むエリアに、組み込まれることとなる。注入ポートに関する好適な実施形態は、使い捨ての/再使用可能な設計であり、その設計において、使い捨て部分は、接着剤、接着剤が取り付けられるハウジングの一部分、ならびに、MEMSセンサ、および、センサからインフォマティクス使用可能な再使用可能な部分への電気的な接続部を含む、流体経路を含むコンポーネントを含み、それは、インフォマティクス使用可能なスリーブの中の上記に説明されているすべての構成部品を備える。また、上記に議論されているように、医薬品識別技法は、特定の医薬品が投与されていることを検証するために組み込まれ得る。
【0033】
本発明の別の実施形態が、図6に図示されており、図6は、再使用可能なペン600または使い捨てのペン600のいずれかのためのインフォマティクス使用可能なアタッチメント602を図示している。この実施形態は、ペンの調節端部に係合している。より具体的には、インフォマティクス使用可能なスリーブ602の上の回転ターンノブ604は、ペンの上の調節ノブ(図示せず)に係合しており、インフォマティクス使用可能なアタッチメントのスリーブ部分602は、ペンのバレルの外径の上をスライドし、それに係合している。この実施形態の1つの代替例では、ノブの直径の周りに軸線方向に位置付けされているオーバーモールドされた金属スプラインが、リングカウンタ構成体と同様に、近接センシングのために使用され、リングカウンタ構成体は、ギヤ歯、または、このケースではスプラインがセンサの前を通るときに、それらをカウントするために近接センサを利用する。図7に示されているこの実施形態の別の代替例では、マルチポールの環状磁気リング702が、ホール効果センサ704と組み合わせて使用されている。キャップの回転モーションおよび方向が、回転ホール効果センサまたはMRセンサによって決定される。方向を決定することは、Allegro A1233などの2つのセンサデバイス、または、ams AS5304/5306などの4つのセンサチップを必要とする。AMRセンサは、方向および360度センシングを提供するために、単一のホール効果センサとの一体化を必要とする。光学エンコーダが、回転磁石システムの代わりに使用され得るということが理解されるべきである。
【0034】
図8は、SMART固定投与ペンの例示目的の実施形態であり、それに関して、システムの中の知能が低減されており、すなわち、投与量がプリセットされており、それぞれの投与量が同じであるので、作動/送達の時間だけが獲得される必要があり、したがって、上記に説明されているホール効果センシング配置は必要とされない。図9は、調節可能な投与ペンまたは固定投与ペンのいずれかの別の説明図である。図10および図11は、インフォマティクス使用可能な機械的なパッチペンの実施形態を図示している。本明細書で使用されているように、「パッチペン」という用語は、食事時インスリン送達に関して主に利用されるデバイスをユーザが手動で作動させるたびに、単に固定投与量でインスリン送達を提供する、身体に装着されるデバイスを表している。好ましくは、磁気フラグまたは金属フラグが、機械的なパッチペンの中の機械化またはリンケージの中へ組み込まれている。インフォマティクス使用可能なアタッチメントは、パッチペンの中へ一体化されており(そのケースでは、それは使い捨てである)、または、パッチペンに係合する別々のエレメントの形態であることが可能である(そのケースでは、それは再使用可能である)。1つの実施形態では、電動化された「ポンプエンジン」、すなわち、リザーバから注入/輸液部位へインスリンを移送するために使用される流体ドライバが、1サイクル当たり2.0ユニットを送達する。電動化されたポンプエンジンは、2014年4月7日に出願された特許文献5にさらに詳細に記載されており、その内容全体は、参照により本明細書に組み込まれている。このポンプエンジンは、モータを排除するように修正され、機械化を提供し、機械化は、ユーザがポンプの外部に位置付けされている1つまたは複数のボタンを強く押すまたは押し下げることによって、ポンプエンジンを駆動することを可能にし、また、このポンプエンジンは、パッチペンの中のリンケージの上に位置付けされている磁気フラグまたは金属フラグを含み、それは、インスリンの2.0ユニットがユーザによって手動で送達されるたびに、インフォマティクス使用可能なアタッチメントによって感知される。上記に説明されている磁気的なセンシング解決策のいずれか、光学的なセンシング、または、任意の適切なセンシング技術が、センシングのために利用され得る。追加的に、同様の手動で駆動される機械化を備える同じポンプエンジンが、インスリン(または、他の医薬品)ペンの中の送達を作動させるために利用され得る、およびそれぞれの作動によって固定投与量を提供し、それぞれの投与の量および時間を記録する。
【0035】
ペンケースは、クリーンでシールされたコンテナを提供し、コンテナの中に、ユーザは、インスリンバイアル、インスリンペンまたはシリンジ、ペンニードル、ランサおよびランセット、ならびにアルコール消毒綿などの、それらの注入送達デバイスおよび消耗品を保管することが可能である。ペンケースは、リジッドであるか(すなわち、設計が宝石箱に類似する、硬い外部シェルを有している)、または、可撓性であるか(すなわち、ペンシルケースと同様に、可撓性のポーチ)のいずれかであることが可能である。図12は、本発明の別の実施形態による、インフォマティクス使用可能なリジッドのペンケース1200を図示している。インフォマティクス使用可能なペンケースは、デバイスが使用されていないときに、患者のシリンジまたはインスリンペンを保管する。ペンケースの中のネストまたはキャビティは、ユーザがケースの中へペンを置くたびに、ペンを位置合わせまたは位置付けするために使用される。ペンケースが閉じられるたびに、ペンケースの中のホール効果センサが、プランジャの相対位置を決定し、それによって、患者に送達される投与量を決定する。再使用可能なペンに関して、インスリンカートリッジは、一方の側に感圧接着剤(PSA)を有するワッシャ形状のエレメントなどの、磁気フラグまたは金属フラグ(それは、カートリッジの中のストッパの露出された表面の上に押し付けられる)、および、場合によっては、RFIDチップ、または、バーコードなどのいくつかの他の手段を含み、インスリンカートリッジのIDならびに医薬品のタイプおよび濃度を伝えるように修正されることが必要であることとなる。磁気エレメントまたは金属エレメントは、好ましくは、製造の間に、ストッパ/プランジャの中に組み込まれている。動作時に、ペンがケースの中へ設置されるたびに、ペンケースの中のセンサは、ストッパの位置を検出するようにスキャンし、現在の位置および以前の位置を比較し、送達された投与量を決定する。データは、タイムスタンプされ、ケースの中に記憶され、スマートフォンおよび/またはクラウドに定期的に転送される。ペンケースの1つの利点は、インフォマティクス使用可能コンポーネントをその中に構成させるために利用可能なスペースのボリュームであり、それは、既製(OTS)バッテリ、リジッドPCBA、大きいフットプリントのアンテナ、RFIDリーダ、大きいユーザインターフェース(UI)(タッチスクリーン、キーパッド、または可聴コマンドからの入力を受け入れ、患者に関するデータ、アラート、および警告をディスプレイに提供する)などの、安価で高性能のコンポーネントを組み込むことによって、コストを低減させ、解決策の性能を改善することが可能である。可撓性のペンケースの使用を可能にするために、2つの磁石がシリンジまたはインスリンペンの中へ組み込まれており、一方は固定されており、他方は、可動プランジャの上にある。ペンが可撓性のケースの中へ設置されるたびに、2つの磁石の間の直線距離および相対距離が感知され、投与量が計算されることを可能にする。また、この概念は、上記に説明されているように、ペンケースの中に保管される再使用可能なペンおよびインフォマティクス使用可能なペンの中で利用されるインフォマティクス使用可能なカートリッジに適用可能である。任意の適切なセンシング技術が利用され得る、とりわけ、磁気誘導センシングが、ペンケースの中のセンシングに適切な1つの代替例であるということが理解されることとなる。磁気誘導変位センサは、誘導センサコイルを使用することによって動作し、磁石が移動するときに磁界の変化を検出する。それは、磁石サイズに応じて、最大60mmのレンジを有するヘッドオンセンシングにおいて使用され、それは、ペンケースの中へ設置された後に、インスリンペンのプランジャピストンまたはシリンジの中へ組み込まれている磁石の位置を検出するために使用される。
【0036】
図13は、シリンジの中へ投与量を引き込むことがさらに可能となる、インフォマティクス使用可能なペンケースを図示している。ペンケースのこの実施形態は、シリンジを位置合わせするための、すなわち、2つの軸線の上にシリンジを正確に位置付けするためのクランピングシステム1301と、インスリンバイアルを位置合わせするためのネストまたはクレードルと、把持してシリンジプランジャの移動を制御するための第2のクランピングシステムとを含む。動作時に、ユーザは、ペンケースの中のインスリンバイアルに隣接して、シリンジをネストの中へ置き、ケースを閉じ、送達されることとなる投与量をUIの中へ入力する。ケースの中の2つの別々のクランピング構成体が、シリンジを把持する。第1のクランプシステムは、シリンジを把持し、シリンジニードルに係合するようにシリンジをインスリンのバイアルの中へ前進させる。第2のクランプシステムは、プランジャを移動させ、インスリンの正しい投与量を引き込む。シリンジは、自動的にまたは患者によってのいずれかで、バイアルから後退させられる。同じ構成体が、インスリンバイアルの中に正圧を生成させるために利用され得る。配向センサまたはジャイロセンサが、空気パージまたはインスリン引き込みのためのペンケースの適正な配向を確認するために使用され、それに従ってペンケースを配向させるようにユーザを促すことが可能である。例示的なスマートペンケースは、特許文献6に記載されており、その内容全体は、本明細書に組み込まれている。
【0037】
本明細書で説明されているすべての実施形態と同様に、それぞれの注入は、好ましくは、電子的なログブックの中に記録およびタイムスタンプされ、患者による検討のために、ラップトップコンピュータ、携帯電話、または、他のユーザインターフェースなどの、周辺モニタデバイスに定期的に転送される。あるいは、データは、コンピュータネットワークを介して、クラウドへ、および、クラウドから患者のヘルスケア提供者へ伝えられ得る。バイタルサインモニタ、フィットネスモニタまたは、アクティビティートラッカ、および持続血糖モニタ(CGM)などの、補助デバイスをシステムの中へ組み込むことによって、インフォマティクス使用可能なインスリンペンケースの機能性は、さらに拡張され得る。
【0038】
別の実施形態は、「オール-イン-ワン」または組み合わせデバイスの形態をとる。市販されているオール-イン-ワンデバイスの1つの例は、LabStyle Innovations製のDarioである。Darioは、血糖測定器、ランセット、ストリップディスペンサ、および、IOSまたはAndroidのいずれかのためのフォンアプリケーションを、コンパクトなデバイスの中へ一体化している。上記に説明されているペンケース実施形態と同様に、オール-イン-ワンデバイスは、上記に説明されているインフォマティクス使用可能構成部品を組み込むのに十分なサイズおよびボリュームを有しており、情報学的に使用可能なインスリンペンまたはシリンジが取り付けられることを可能にし、すなわち、ペンまたはシリンジのためのネストまたはホルスタを提供することによって、オール-イン-ワンハウジングに物理的におよび電気的に係合されることを可能にする。このケースでは、接続は、ペンまたはシリンジの保持、および、データの転送を提供する。そのようなデバイスは、たとえば、特許文献7に記載されており、その内容全体は、参照により本明細書に組み込まれている。あるいは、低エネルギBluetooth(BLE)または近距離無線通信(NFC)などの、ワイヤレス通信解決策が、スマートフォンに直接的に通信するために利用され得る。パーソナルエリアネットワークの中の他のオンボディデバイスと通信するスマートフォンデバイスの例が、特許文献8に説明されており、その内容全体は、参照により本明細書に組み込まれている。
【0039】
別の実施形態は、インフォマティクス使用可能な再使用可能なペンと関連して使用される、インフォマティクス使用可能なインスリンカートリッジである。インスリンカートリッジは、一方の側に感圧接着剤(PSA)を有するワッシャ形状のエレメントなどの、磁気フラグまたは金属フラグ(それは、カートリッジの中のストッパの露出された表面の上に押し付けられる)、およびRFIDチップ、または、バーコードなどのいくつかの他の手段を含むように修正され、インスリンカートリッジのID、ならびに、特定の医薬品タイプおよび濃度を伝える。カートリッジは、再使用可能なペンに関するインフォマティクス使用可能なアタッチメントに関連して働くこととなる。あるいは、磁界強度は、異なるカートリッジの間を区別するために使用され得る、使い捨てのデバイスの上のRFIDチップ、および、インフォマティクスシステムの中のRFIDリーダのための必要性を排除する。カートリッジは、好ましくは、製造プロセスの間に、充填プロセスに続いて、または、家庭用に設計されているカートリッジ充填プロセスの一部として、患者によって手動でもしくは自動的のいずれかで、修正される。
【0040】
図14は、本発明の例示的な実施形態による情報学的に使用可能なシリンジスリーブを図示している。シリンジスリーブ1400は、複数の磁気位置センサ1402を含む。シリンジ1404は、埋め込まれているRFIDチップ1406および磁石1408を有しており、磁石1408は、投与量を決定するために、ホール効果センサ1402によって感知される。当然のことながら、当業者によって理解されることとなるように、本明細書で議論されているものなどの任意の適切なセンシング方法が、磁気位置センシングの代わりに使用され得る。
【0041】
別の実施形態では、外部電極が、インスリンリザーバに取り付けられており、可変の静電容量値が、リザーバの流体レベルに基づいて感知される。電極は、好ましくは、製造の間に任意のインスリンリザーバの上にプリントされており、また、インスリンリザーバに取り付けられるストリップとして製造され得る。あるいは、図15に示されているように、インフォマティクス使用可能なスリーブ1500には、電極1502が設けられており、電極1502は、内径の上に設けられており、また、ペン、シリンジ、バイアル、またはパッチポンプに取り付けられるときに、リザーバに接触することとなる。電極1502は、スリーブの上にプリントされ、または、任意の他の適切な様式で製造され得る。電極1502は、好ましくは、バイアルの中のインスリンのボリュームに対応する寸法に広がっている。この実施形態では、スリーブ1500およびストリップ1502は、有利には、再使用可能である。情報学的に使用可能なインスリンバイアルの別の実施形態では、静電容量センサの電極は、バイアルアタッチメントの中へ組み込まれており、バイアルアタッチメントがバイアルに係合されるときに、電極ストリップがバイアルと軸線方向に密接接触するようになっている。
【0042】
図16は、本発明の例示的な実施形態による情報学的に使用可能なバイアルスリーブ1600を図示している。図示されているように、フローティング磁気リング1602が、薬剤バイアル1604の内側に設けられている。リング磁石外径は、バイアルの内径よりもわずかに小さく、リングが、バイアルの中の流体レベルに従って、バイアルの中を自由に移動するようになっている。リング磁石1602は、好ましくは、容器をシールする前に、医薬品バイアルの中へ設置される。また、典型的なインスリンバイアルは、リジッド磁気リングを収容するように修正され得る、または、可撓性の磁気リングは、コイルの中に包まれており、標準的なバイアルネックを通してバイアルの中へ挿入され得る、バイアルの内径よりも小さい直径までコイルが挿入後に巻き戻ることを可能にする。インスリンバイアルのケースでは、リング磁石は、好ましくは、ポリマなどのインスリン適合性材料でコーティングされており、それは、インスリンに適合可能であり、また、リングが浮かぶことを可能にするのに十分な厚さおよび全体的な浮力のものである。図示されているように、リングのレベルは、ホール効果センサなどのような、リニア磁気位置センサによって感知される。
【0043】
図17は、本発明の例示的な実施形態による別の情報学的に使用可能なバイアルスリーブ1700を図示している。この実施形態では、浮遊する磁気ビーズ1702が、インスリンバイアル1704などの医薬品バイアルの中の流体のレベルを感知するために利用されている。スマートバイアルスリーブ1700が設けられており、薬剤バイアル1704に取り付けられている。バイアルスリーブ1700は、インスリンの表面の上に浮遊する磁気ビーズの層を感知する。ビーズは、それらが投与量の中へ引き込まれることができないように十分な直径のものになっている。すなわち、ビーズ1702は、バイアルからインスリンを引き出すために使用されるニードルまたはカニューレまたはシリンジよりも直径が大きくなっている。有利には、ユーザは、磁気ビーズ1702を製造後の任意の薬剤バイアルに追加することが可能であり、スマートバイアルスリーブ1700を可能にする。1つの実施形態では、磁気ビーズは、製造の際の充填プロセスの間にインスリンバイアルに追加される。別の実施形態では、充填されたインスリンバイアルが、磁気ビーズを充填されたシリンジとともに出荷され、シリンジは、好ましくは、ビーズをバイアルの中へ注入するために大きいカニューレを有している。シリンジのカニューレ、または、インスリンをシリンジから引き出すために使用される他のデバイスは、ビーズよりも小さくなっており、ビーズが注入デバイスの中へ引き込まれることを防止する。使用される磁気ビーズの数は、好ましくは、バイアルの内側の液体薬剤の表面の大部分を実質的にカバーするのに十分になっている。バイアルスリーブアタッチメントは、ホール効果センサ、MRまたはAMRセンサなどの、リニア磁気位置センサを利用し、バイアルの中の浮遊する磁気ビーズの位置に従って、バイアルの中に残っている流体のレベルを検出する。
【0044】
図18Aおよび図18Bは、本発明の例示的な実施形態によるシリンジ1802に外部から取り付けられているリニア磁気位置決め構成体1800を図示している。シリンジアタッチメント1800は、シリンジ1802に都合よく取り付けられており、標準的なシリンジが修正なしに利用され得るようになる。第1のアタッチメントは、シリンジ1802に取り付けられる少なくとも1つの磁石1804を含み、第2のアタッチメントは、ホール効果センサ、MRセンサ、またはAMRセンサなどの、リニア磁気位置センサ1806を含み、磁石1804の位置を検出する。第1のアタッチメント1804は、シリンジプランジャに接続しており、第2のアタッチメント1806は、シリンジバレルに接続しており、プランジャの移動がトラッキングされ、送達された投与量を決定するようになっている。スマートシリンジアタッチメント1800は、好ましくは、プランジャの「ホーム」位置、すなわち、プランジャが完全に前進させられており、流体送達が可能でない位置を認識する。実際には、シリンジプランジャは、単一の投与送達サイクルの間に何回も後退および前進させられ得る。投与送達に関連付けられる移動を、他のプランジャ移動から、たとえば、バイアルの中へ空気を注入するために使用される移動などから識別するために、スマートアタッチメント1800は、シリンジが使用されるたびに、プランジャ移動の完全なサイクルを分析し、プランジャが最終的にホーム位置まで前進するときに、最終的な移動から、および、投与送達サイクルにおいて感知された他のエレメントから、送達された投与量を識別する。
【0045】
図19Aは、本発明の例示的な実施形態によるスマート注入ポート1900を図示している。例示的なスマート注入ポートは、好ましくは、下側ハウジング1902および上側ハウジング1904を含む。下側ハウジングは、接着表面1906を含み、患者の皮膚1908へのスマート注入ポートの取り付けを促進させる。セプタム1910が、上側ハウジング1902と下側ハウジング1904との間に配置されている。セプタム1910は、患者の皮膚1908の中へ挿入されるカニューレ1912へのアクセスを提供する。セプタム1910は、注入シリンジなどによって穿孔され、それぞれの注入のたびにニードルの突き刺しを必要とすることなく、カニューレ1912を通して患者の中へインスリンを注入することが可能である。スマート注入ポート1900は、セプタム1910とカニューレ1912との間の流路の中に配置されているMEMSフローセンサ1914を含む。MEMSフローセンサ1914は、注入ポート1900のエリア1916の中に位置付けされている関連の電子機器に電気的に接続されている。関連の電子機器は、電源、プロセッサ、および、フロー測定値をリモートデバイスに伝送するためのワイヤレストランシーバを含む。ハウジング1902は、好ましくは、使い捨てのものであり、また、MEMSフローセンサ1914を含む。ハウジング1904は、好ましくは、再使用可能であり、また、エリア1916の中に関連の電子機器を含む。MEMSフローセンサは、好ましくは、サーマル飛行時間型センサであるが、任意の適切なMEMSフローセンサを用いることも可能である。
【0046】
図19Bは、従来のシングルパッケージのMEMSフローセンサ1920を図示している。シングルパッケージのMEMSフローセンサにおいて、実際のMEMSセンサ1922は、関連の電子機器1924と組み合わせられている。MEMSセンサ1922は、少なくとも1つのヒータ、少なくとも1つのセンサ、およびフローチャネルを含み、インスリンなどの流体がフローチャネルを通って流れる。関連の電子機器1924は、シングルパッケージの中のMEMSセンサ1922に電気的に接続されており、集積回路、プロセッサ、電源、およびワイヤレストランシーバーチップなどを含む。
【0047】
図19Cおよび図19Dは、改善されたMEMSフローセンサ1930を図示しており、MEMSフローセンサ1930は、比較的に低コストの使い捨てのパーツだけを含み、それは、インスリンなどとの接触に起因して、使用のたびに交換されるべきである。図19Cに図示されているように、MEMSフローセンサ1930は、入力フローチューブ1934を備える入力側部1932を含み、インスリンなどの液体が、入力フローチューブ1934を通ってMEMSセンサエレメント1936(図19Dに示されている)へ流れる。MEMSフローセンサ1930は、出力フローチューブ1940を備える出力側部1938をさらに含み、インスリンなどの液体が、MEMSセンサエレメント1936から出力フローチューブ1940を通って下流のエレメントへ流れる。図19Dに示されているように、MEMSフローセンサ1930は、上記に説明されているように、MEMSセンサエレメント1936を関連の電子機器に接続するための電気接点1942を含む。関連の電子機器は、たとえば、集積回路、プロセッサ、電源、およびワイヤレストランシーバーチップを含む。関連の電子機器は別々にパッケージ化されているので、それらは、例示的な薬物送達デバイスの中の再使用可能なエレメントの中へ組み込まれており、したがって、全体的なコストを著しく低減させることが可能である。
【0048】
図20は、本発明の例示的な実施形態によるシステムを図示している。システム2000は、データを獲得するためのさまざまなコンポーネント、ならびに、データを受け取るための、および、データについての計算を実施するための、少なくとも1つの計算エレメントを含む。図示されているように、例示的なシステムは、好ましくは、炭水化物入力エレメント2002、経口薬入力エレメント2004、ならびに、血糖モニタ(BGM)2006および/または持続血糖センサ(CGM)2008を含む。システムは、好ましくは、ウェルネスデータ入力エレメント2010を含む。最後に、システムは、好ましくは、本明細書で説明されているような投与量獲得デバイス2016のさまざまな実施形態のうちの1つを含む。例として、スマートペン2016が図示されている。一緒になって、これらのデバイスは、改善された糖尿病管理に関して、糖尿病などの病気を有する患者をモニタリングするために必要とされる重要な関連データを入力する。例示的な炭水化物入力デバイス2002は、ユーザの携帯電話2011などの上で稼働するアプリであることが可能であり、それは、消費した食べ物および飲み物を患者に入力させる。同様に、同じまたは関連のアプリは、経口薬入力エレメント2004としての役割を果たすことが可能であり、ユーザが摂取された経口薬をトラッキングすることを可能にする。それに加えて、経口薬入力エレメント2004は、薬物を取り込むようにユーザに警告するように自動化されており、取り込まれた経口薬に関連するデータを確認してセキュアハブ2012に自動的に伝送することが可能である。BGM2006および/またはCGM2008は、好ましくは、血糖読み値をデータハブデバイス2012に直接的に通信する。ウェルネスデータは、別々のデバイス2010によって、または、上記に説明されているものと関連のアプリもしくは同じアプリによって、入力され得る。本明細書で説明されている例示的な実施形態による、投与送達情報デバイス2016は、好ましくは、患者の中へ注入されたインスリンなどの投与量情報を、リアルタイムでまたはほぼリアルタイムで送達する。データのすべてが、上記に議論されている1つまたは複数のアプリを稼働させる携帯電話2011などのスマートデバイスによって、ローカルに受け取られる。炭水化物入力エレメント2002、経口薬入力エレメント2004、ウェルネスデータ入力エレメント2010、携帯電話2011、およびデータハブ2012は、別々のエレメントとして示されているが、それらのすべてのまたは任意の組み合わせが、単一の携帯電話または同様のコンピューティングデバイスの中へ組み合わせられ得るということが理解されるべきである。データが分析され、計算が、スマートデバイスおよび/またはスマートフォン2011によってローカルに実施され、データハブ2012が使用され、クラウドストレージサーバなどのリモートサーバに、安全に、すなわち、暗号化して、データを伝送し、そして、受け取られたデータのすべてについて計算を実施し、フィードバックをユーザに提供し、データのすべてまたは一部分をクラウドストレージなどのリモート健康管理アクセスポイント2020に送り、リモート健康管理アクセスポイント2020において、情報は、患者の医師、介護者、薬剤師、および家族などの、ヘルスケアステークホルダ(healthcare stakeholders)によってアクセスされ得る。逆に、アラート、リマインダ、および介入が、たとえばHCPなどのユーザのネットワークによって、データハブ2012を通して安全に提供され得る。
【0049】
本発明の実施形態は、いくつかの特徴を含む。第1のものは、投与量獲得であり、それは、送達されたインスリンのボリュームおよびタイムスタンプを測定する。この情報は、好ましくは、患者に対して透過的な様式で獲得される。第2のものは、データ転送であり、それは、たとえば、投与量獲得デバイスとユーザインターフェース(UI)との間、または、患者とヘルスケア提供者との間などの、異なるインターフェースにおいて起こる。追加的な機能は、患者、PCPなどのヘルスケア提供者、内分泌科医、もしくは看護師養成教員、または、家族メンバーもしくは糖尿病サポートネットワークなどの別のリスク負担エンティティへの、データ転送を含む。BGMデータ/CGMデータは、組み込まれ、測定され、およびタイムスタンプされ得る。食事および運動などのライフスタイルデータが、獲得されて考慮され得る。本発明の実施形態は、好ましくは、フィットネスモニタおよび栄養学アプリに適合可能である。本発明の実施形態は、好ましくは、役に立つアラート、警告、推奨、介入、知的決定、たとえば、傾向分析、予測、および治療的な修正などを提供する追加的な知能を含む。最後に、本発明の実施形態は、経口薬を組み込みまたは考慮することが可能である。好ましくは、本発明の実施形態は、スマートピルコンテナなどのような経口薬順守デバイスに適合可能である。
【0050】
輸液ポンプ療法における最近の進歩は、1日複数回注入(MDI)セグメントの成長率を低減させたが、インスリン療法を受けている糖尿病患者の圧倒的大部分は、主に、使い捨てのインスリンペンによって、MDIによる送達を受け続けている。
【0051】
情報学的に使用可能な使い捨てのシリンジまたはインスリンペンに必要なコンポーネントを組み込むコストは低減され得る、デバイスの情報学的に使用可能な部分が、インスリンペンの上の交換キャップの中などにおいて、再使用され得る、または、「ユニバーサル」ニードルハブへのニードルカニューレなどの交換などの、使用当たりの追加コストが許容可能となるように、使い捨てのデバイスの使用の数が増加させられ得る。そのようなハブは、たとえば、特許文献9に説明されており、その内容全体は、参照により本明細書に組み込まれている。デバイスのサイズの増加は、別の考慮事項である。修正されたデバイスがハンドバッグまたはパックの中で運ばれる必要があるように、付属品をインスリンペンに追加すること、または、ペンキャップを修正すること、および、より大きくて魅力的でない外皮を生成させることは、望ましくない。別の事項は、現在最も市販されているインスリンペンとともに利用され得る万能的な解決策を生成させるということである。
【0052】
上記の基準を満足する好適な実施形態は、インフォマティクス使用可能なインスリンペンケースであり、それは、送達された投与量を獲得するためにいくつかの異なる方法を利用することが可能であり、それは、たとえば、ペンがケースの中に設置されてケースが閉められるたびに、インスリンペンの重量を計測することなどがある。ケースは、必要な電子機器を組み込むのに十分なスペースを提供しており、また、場合によっては、必要とされるものよりも多くのスペースを有することによって、設計は、リジッドPCBA、商品化されている使い捨てのバッテリ、低電力データ伝送および組み立ての容易さのための大きいフットプリントのアンテナオプションなどの、安価な電子機器を利用するように調整され得る。
【0053】
投与量獲得に加えて、情報学的に使用可能な薬物送達デバイスは、追加的な機能を実施することが可能である。たとえば、スマートキャップを備えた情報学的に使用可能なインスリンペンは、インスリンペンとともに使用するための特定のペンニードルを識別することが可能である。さらに、情報学的に使用可能なインスリンペンは、有利には、意図しない使用を低減または防止することが可能である。図21は、第1の例示的なシステム2100を図示しており、第1の例示的なシステム2100は、インスリンペン2102、スマートペンキャップ2104、使い捨てのペンニードル2106のパッケージ、および、アプリケーションを稼働させるスマートフォン2108を含む。スマートフォンのカメラを使用して、ペンニードルパッケージバーコード2112(または、任意の適切な識別)が、携帯電話によって読み取られる。そして、携帯電話2108は、クラウドベースのデータベース2110と通信し、製造業者によるペンニードルパッケージ、ユニットサイズ、ロット数、および、バーコードによって識別される他の要因を検証する。携帯電話2108は、リアルタイムでまたはほぼリアルタイムで、バーコード有効性を確認することが可能であり、または、あるいは、クラウドベースのデータベースを定期的に調査し、有効なバーコードの完全なリストおよび関連付けられる情報をダウンロードすることが可能であり、バーコードがスキャンされるときに、クラウドベースのストレージとの通信が必要でないようになっている。この実施形態では、バーコード2112は、すべてのペンニードルパッケージの上に静止してプリントされており、したがって、再使用されることとなる。
【0054】
図22に図示されている別の実施形態では、システム2200は、一意性バーコード2202(または、任意の適切な一意性識別子)を刷り込まれているペンニードルパッケージ2106を含む。携帯電話2108は、一意性識別子2202をスキャンするために使用され、クラウドベースのデータベース2110と通信し、一意性識別子2202が実際に一意性であり、かつ、有効のままであるということを確認する。そのようなシステムは、有利には、必要に応じて回収することを支援するために使用され得る、承認されていないペンニードルの使用を防止する。上記に説明されている例示的なシステムのいずれにおいても、ダウンカウンタが、好ましくは、識別されたパッケージの中の使い捨てのペンニードルの数に対してセットされ、カウンタがゼロに到達した後に(パッケージが使い尽くされたはずであるということを示している)、特定の機能が制限される。たとえば、スマートキャップは、ニードルパッケージが使い尽くされると、および、新しいパッケージが承認されるまで、送達された投与量のログをとることを停止することとなる。
【0055】
別の例示的なシステム2300では、スマートスリーブ2302が、使い捨てのペンニードル2106のそれぞれのパッケージの中に設けられている。スマートスリーブ2302は、ペンニードルに接続されており、スマートスリーブは、RFIDチップを含有している。RFIDチップは、スマートキャップ2104または携帯電話2108のいずれかによって読み取られ、ペンニードルパッケージを検証することが可能である。有利には、スマートスリーブ2302は、キャップがインスリンペン2102の上に設置されるたびに、スマートキャップ2104によって読み取られる。スマートキャップ2104がRFIDチップを読み取る場合には、チップ情報は、好ましくは、スマートフォン2108に伝送され、そして、スマートフォン2108は、上記に説明されている例において議論されているように、クラウドベースのデータベース2110と通信する。RFIDチップは、好ましくは、ロット情報、製造日、および、任意の他の適切な情報を含み、ペンニードルパッケージの上の印刷スペースを必要としない。上記に提供されている例と同様に、パッケージ2106の中に提供されている使い捨てのペンニードルが使い尽くされたはずであるとき、ダウンカウンタが、好ましくは、より高いレベルの機能を制限するように提供されている。スマートスリーブ2302は、好ましくは、ペンおよびペンニードルの上の既存のネジ山付きのインターフェースを使用して、インスリンペン2102とペンニードルとの間のインターフェースを形成している。すなわち、スリーブは、内向きに面するネジ山を含み、インスリンペン2104と嵌合し、また、外向きに面するネジ山を含み、使い捨てのペンニードルと嵌合する。1つのバージョンでは、スマートスリーブは、セプタムおよびカニューレを含み、インスリンカートリッジとペンニードルとの間のフローチャネルの一部を形成する。このバージョンでは、スマートスリーブは、好ましくは、上記に議論されているMEMSフローセンサなどのフローセンサを含む。別のバージョンでは、ペンスリーブは、単に、RFIDチップなどの識別情報を含有し、使い捨てのペンニードルパッケージのロット数、ユニットの数、および他の情報を識別する。このバージョンでは、スマートスリーブは、ペンおよびペンニードルとそれぞれ嵌合するための、内向きに面するネジ山および外向きに面するネジ山を依然として含むが、スリーブは、中空のシリンダを形成しており、また、ペンニードルはスマートスリーブと嵌合するが、それぞれのペンニードルの内向きに面するカニューレは、インスリンペンのセプタムを依然として穿孔しており、スマートスリーブが、インスリンカートリッジとペンニードルとの間の流体経路の一部を形成しないようになっている。
【0056】
別の例示的なシステム2400において、スマートキャップ2104には、一揃いのエミッタ2402および一揃いのセンサ2404が設けられている。エミッタ2402およびセンサ2404の一部分は、注入の前および後のペンニードルの中のプランジャの場所を感知し、ユーザに送達される投与量を検証する。少なくとも1つの他のエミッタおよびセンサが、ペンニードル2406に隣接して位置付けされており、スマートキャップ2104がペン2102に取り付けられているときには、スマートキャップが、センサによって受け取られる信号に基づいてペンニードルを識別することができるようになっている。スマートキャップ2104は、携帯電話2108と通信し、携帯電話2108は、上記に議論されているように、クラウドベースのストレージ2110と通信する。この実施形態では、専用の使い捨てのペンニードルは、有利には、マークを付けられており、エミッタおよびセンサが、ペンニードルを識別する一意性信号を真正であるとして識別するようになっている。信号は、光学的な、磁気的な、または、任意の他の適切な信号手段であることが可能である。
【0057】
さらなる別の例示的なシステムでは、上記の特徴のすべてが組み合わせられる。すなわち、使い捨てのペンニードルパッケージ2106は、一意性バーコード2202(または、任意の適切なマーキング)を刷り込まれており、ペンニードル2106のパッケージは、スマートスリーブ2302を提供されており、使い捨てのペンニードルは、光学的な、磁気的な、または、任意の他の適切なシグネチャー信号などのような、一意性シグネチャーとともに製造されている。スマートキャップ2104は、スマートスリーブ2302またはスマートフォン2108の中のダウンカウンタをトリガし、真正なペンニードルの一意性シグネチャーを感知する。ペンニードルが認識されない場合には、いくつかのまたはすべての機能が、上記に議論されているように制限され得る。ダウンカウンタは、ペンニードルのパッケージが使い尽くされたはずであるとき、より高いレベルの特徴を制限するように使用される。
【0058】
回転式投与量調節ノブまたはダイヤルを含むさらなる実施形態が、ここで説明されることとなる。図25および図26に図示されているように、本発明の実施形態2500は、好ましくは、注入の前にインスリン投与量のダイヤルを回すために使用される回転式ノブを保持して並進させるために圧入フィーチャを使用して、市販のインスリンペンに取り付けられている。取り付けの別の手段は、カスタマイズされた内部フィーチャと外部フィーチャとを備えた使い捨てのプラスチックリングであることが可能であり、内部フィーチャは、商業的に販売されている特定のインスリンペンと嵌合することとなり、外部フィーチャは、すべてのリングにわたって共通であることとなり、また、回転式デバイスと嵌合することとなる。デバイス2500の本体部は、インスリンペン本体部に取り付けられており、センサ2502を回転式ペン本体部に対して静止状態に維持する。内側スリーブは、回転式ノブ2504が回転するときに、軸線方向に並進するが、外側スリーブ2506は、静止状態のままであり、ユーザのための手づかみ部を提供する。外側スリーブは、好ましくは、部分的ターンの刻み付きナットによって締められるロッキングカラー、スライド式の「プッシュオン」コネクタ、または、カラーをロックするための任意の他の適切なシングルモーションアクチュエータを使用して、インスリンペン本体部の上で静止状態に保持されている。
【0059】
回転式デバイスの360度ダイヤル2504は、合計で36ポール(中央径においてそれぞれ2mm幅に測定される、交互になっているN極およびS極)を備えたリング磁石2508を保持している。当然のことながら、リング磁石のポールの数は、本発明の範囲および精神から逸脱することなく変更され得る、数36が、好適な実施形態であると考慮されることとなる。デバイスは、ams agによって製造されているAS5304センサなどの、軸外ホール効果エンコーダを、リング磁石を観察する位置に保持している。投与量がダイヤルで回されるときに、デバイスは、回転式ノブの拡張とともに、軸線方向に(テレスコープ式に)並進する。磁石は、好ましくは、センサの上方1.5mmに位置付けされており、リング磁石の中央径がセンサチップのホールエレメントに整合するように配向されている。ダイヤル2504が回転させられるときに、それは、内部投与量選択ノブを直接的に並進させ、リング磁石2508をセンサ2502に対して回転させる。ソフトウェアは、デバイスダイヤルのすべてのモーションを記録する。デバイス2500は、注入送達の間の注入力を転換するためのボタンフィーチャを、インスリンペンの上部にあるスピニングのないプッシュボタンまたはアクチュエータに組み込んでいる。ボタンは、センサの中に構築される磁界測定を使用し、投与の開始および終了を認識する。これは、好ましくは、投与からの力を使用することによって実現され、対向するプラスチックスプリングをオフセットさせ、センサのより近くに磁石を移動させる。磁石がより近くに移動するにしたがって、磁界のアナログ電圧読み値が、ソフトウェアの中にセットされた所定の閾値をパスする。回転式デバイスの中に組み込まれているLEDが、好ましくは点灯させられ、磁気スイッチが活性化させられて回転が記録されているということをユーザに示す。
【0060】
時計回りおよび反時計回りの両方のすべての回転データは、好ましくは、記憶および処理され、インスリンペンから送達された投与量を正しく記録する。また、時間および日付情報は、好ましくは、それぞれの投与量エントリとともに記憶されている。投与量読み値は、ダイヤルの角度的回転からキャリブレートされる。センサ、および、36磁極を備えるリング磁石は、1回転当たり2880カウントが可能であり、それは、20インスリンユニットに対応している。これは、0.007インスリンユニットの分解能を生み出し、0.5インスリンユニット未満の平均誤差が実験室検査の間に見られる。
【0061】
この実施形態によれば、インスリンペンダイヤルの回転は、意図した投与量を正確にトラッキングするために感知される。回転トラッキングを投与量モニタリングに転換するために、センサによって供給されるアナログ電圧は磁界強度を示している。閾値が、ソフトウェアの中にセットされており、親指力がペン注入器投与を始めることとなるレベルに到達するときを認識する。プラスチックスプリング、または、スプリングの別の形態が使用され、ペン注入器アクチュエータに力が及ぼされないときには、センサから1mmを超える位置にリング磁石を保持する。力が及ぼされるとき、スプリングが押し下げられ、磁石は、センサのより近くに移動する。磁界が増加させられるとき、デバイスは、投与量注入移動をダイヤリング移動から差別化することが可能である。ダイヤリングおよび投薬との間を差別化する方法がなければ、有効性は、誤検出によって構成されることとなり、誤検出のときには、ユーザが注入なしにダイヤルを行ったり来たりさせている。この実施形態は、軸外静止センサ、および、回転ダイヤルの中に埋め込まれているマルチポールリング磁石を使用する。ほとんどのインスリンペンは、1.0ユニットインクリメントでの投与量調節を有しており、小さいパーセンテージの商業用の注入ペンは、0.5ユニットインクリメントの調節を有している。例示的な本発明の実施形態によって提供される分解能および精度は、有利には、ペンの精度を超えており、したがって、患者によって送達される意図した投与量の正確な測定を可能にする。あるいは、時計回り(CW)および反時計回り(CCW)の回転移動は、投与量を決定するために合計され得る。この実施形態は、OTSペン注入器に過度の高さを追加する必要性を排除し、ユーザが組み合わせペンおよびデバイスをより容易に動作させることを可能にする。図27に示されているように、デバイスは、好ましくは、ペン注入器本体部に沿って、および、ペン注入器本体部の周りに、PCB、バッテリ、およびリング磁石を含有しており、自然の手づかみに一致している。
【0062】
本発明の例示的な実施形態によるリニア投与量測定デバイスが、ここで、図28に関連して説明されることとなる。1つのバージョンでは、異方性磁気抵抗(AMR)センサのアレイ、および、単一のネオジム磁石が組み込まれている。別のバージョンでは、単一のリニアホールエンコーダが、N極およびS極を交互に入れ替える28ポールを備えたストリップ磁石の変位を測定し、それぞれのポールが、おおよそ2mmを測定している。両方のバージョンにおいて、シリンジは、リニアデバイス2800の本体部2802の中へ挿入され、リニアデバイス2800の本体部2802の中に拘束され、また、シリンジプランジャ2804は、「フォロワ」2806の中に保持され、「フォロワ」2806は、シリンジプランジャの移動をリニアデバイスの中のセンサに転換するリニアデバイス2800のエレメントである。リニアデバイスの本体部2802は、シリンジ2808を受け入れるキャビティまたはネスト2810を有している。キャビティは、1つのシリンジの直径だけを受け入れるようにサイズ決められ得る、または、キャビティは、多くのシリンジの直径を受け入れるように自在に対応可能であり、そのケースでは、(1)シリンジの外側表面の上のバーコードのスキャニング、または、(2)バレルを測定するためにスマートフォンの中の光学素子を使用すること、または、(3)たとえばオーバーモールドなどによって、RFIDチップがシリンジ組み込まれ得ること、のうちの1つを通して、シリンジ直径が識別され得る、リニアデバイス2800は、近距離無線通信(NFC)の手段、または他の手段を通して、RFIDを読み取ることが可能である。
【0063】
第1のバージョンは、55mmにわたってトラベルするネオジム磁石2812を使用し、シリンジ2808の中のプランジャ2804の位置を転換する。センサのアレイは、10mmのオフセットで磁石経路に対して平行な線の上に設置されており、磁石から放出される磁界を観察する。アレイは、好ましくは、10mm間隔で配置されている6つのAMRセンサ(Honeywell HMC1501)を有している。磁石近接に起因して磁界が増加するにつれて、電圧が誘導および記録される。システムは、すべてのセンサデータを融合させるように、および、磁石のリニア位置を出力するように、キャリブレートされる。インスリン投与量は、磁石のリニア位置、および、それがトラッキングしているシリンジの断面積からキャリブレートされる。1つの例では、1mLシリンジが、55mmトラベルとともに使用され、55mmトラベルは、1mm当たり18.18インスリンユニットに転換される。
【0064】
ネオジム磁石は、スライド2806を使用して、デバイスの中に獲得されており、スライド2806は、シリンジプランジャ2804の親指アクチュエータ2814に接続され、それを交換している。プランジャ2804が、線形に移動し、シリンジの中へ流体を引き込むときに、磁石2812も直接的に軸線方向に並進して移動する。シリンジ2808の本体部は、それをデバイス2800の中へクリップ留めすることによって、適切な場所に保持されており、また、フィンガーホールド2816は、軸線方向の並進を防止するように保持されている。センサアレイおよび磁石は、10mmギャップによって分離されており、10mmギャップは、すべての重要なパーツが同一平面上にセットされた状態で、1mL以下のシリンジに対して空間的余裕を提供する。リアカバ2818が、締結具2820などを使用して、デバイスの本体部2802に接続される。
【0065】
リニアホールエンコーダバージョンは、AMRアプローチと同様のフォームファクタを有している。それは、デバイス2800の本体部2802の中にホールセンサを位置決めし、ストリップ磁石から0.8mm未満の分離を与える。ストリップ磁石は、長さが55mmであり、スライド2806に接着されており、スライド2806は、シリンジプランジャ2804の親指アクチュエータ2814に接続され、それを交換している。また、流体がシリンジ2808の中に引き込まれるか、または、シリンジ2808から注入されるときに、このスライド2806は、プランジャ2804とともに軸線方向に直接的に並進することとなる。
【0066】
リニアホールエンコーダは、シリンジプランジャ2804が0mL位置に到達したときを決定するために、ホーム位置を使用する。これを達成するために、ストリップ磁石の端部は、合計スライド2806のトラベルが終了する前の1~2mmに設置されている。これは、4つのホールエレメントセンシングのうちの2つの降下を引き起こし、それは、磁気的な強度誤差をトリガする。第1のポールペアのセンシングを再確立するために必要とされるトラベルを知ることによって、ゼロ位置がキャリブレートされ得る。あるいは、ゼロ位置に鉄系材料を設置し、一意性の方式で磁界を変化させることによって、ゼロ位置が決定され得る。これは、リニアホールエンコーダが絶対的な測定を記録することを可能にし、それは、性能を増加し、また、シーケンシャルエラによって導入され得るオフセットを排除する。好ましくは、デバイスが、ホーム位置から離れたモーションを認識し、プランジャの位置を記録しているということをユーザに知らせるために、LEDが用いられている。マルチカラーのLEDが使用される場合には、1つの色が、薬物を引き出していることを示すために使用され得る、異なる色が、デバイス2800がトラベルの両方の方向をトラッキングするときに、注入を示すことが可能である。
【0067】
準備移動は、好ましくは、加速度計および/またはソフトウェアによって認識され、ソフトウェアは、投与量が送達された場合にシリンジがホーム位置に戻る前の最終的なプランジャ移動などの、送達サイクルのすべての移動を合理化し、患者に送達された実際の投与量を決定する。
【0068】
図29に図示されている連続的な流量トラッキングデバイス2900が、ここで、説明されることとなる。連続的な流量トラッキングデバイス2900は、MEMS サーマル飛行時間型(TToF)液体フローセンサを使用し、カニューレアダプタ2902を通る流量を記録する。このアダプタは、市販のインスリンペンの上に取り付けられるか、または、インスリンペンの設計の中に組み込まれており、伝統的なインスリンペンニードル2904の取り付けを可能にする。
【0069】
アダプタは、5インスリンユニット未満を使用して、伝統的なペンニードルとともに使用される同じプロセスによって準備される。センサ「オン」をトリガするスイッチが、ペンキャップ2906の中に組み込まれている。1つの実施形態では、スイッチは、加速度計に関連して動作させられ、デバイス/ペンの移動を測定し、また、デバイスが一定期間にわたって脇に置かれていた後に、スリープモードから低パワーモードに進入する。1つのサーミスタの上に発生させられる正弦波の熱波を使用することによって、および、下流のサーミスタの上に見られる振幅および位相シフトを測定することによって、流量が記録される。流量は、投与量ボリュームを計算するために、時間に関して積分される。
【0070】
デバイス2900のほとんどは、耐久性のあるアッセンブリになるように構築されており、それは、1年から2年の期間にわたって、多くのインスリンペンおよびフローアダプタとともに再使用され得る。好ましくは、ペンニードル2904だけは、それぞれの使用の後に処分される必要があることとなり、また、フローチャネルアダプタ2902は、それぞれのインスリンペンが廃棄されるときに処分されることとなる。フローチャネルアダプタ2902は、オス型のおよびメス型の端部を有しており、それらは、インスリンペンの端部のオス型の接続フィーチャ、および、ペンニードル2904の上のメス型の接続ハブと同一である。
【0071】
フローセンシングデバイス2900は、手順に対する順守または適合性を促進させるために使用され得る、すなわち、Forum for Injection Technique(FIT)に説明されているガイダンスに従っており、それは、糖尿病治療の全関係者のための注入技法におけるベストプラクティスを確立および促進させるために開発された。フローセンシングデバイス2900は、好ましくは、リアルタイムクロック(RTC)およびローリングイベントファインダを利用し、サーマル飛行時間型(TToF)の耐久性のあるデバイスの上に投与イベントデータだけを記憶する。イベントファインダは、「投与開始」および「投与終了」タイムスタンプを有することとなる。LEDは、投与量が送達および測定されているときに、使用されて点灯させられ得る、また、LEDは、「投与終了」イベントが感知された後に、特定の秒数にわたってそのままになっていることが可能である。あるいは、圧電振動デバイスが、システムの中へ組み込まれ、触覚フィードバックを患者に提供することが可能である。また、フローセンシングデバイス2900は、加速度計(図示せず)を含み、ペンのランダム移動を投薬イベントから区別する。したがって、フローセンシングデバイス2900は、投与量が送達された後に、推奨された持続期間にわたって、患者が彼らの組織に対してインスリンペンを保持しているかどうかということを決定するために使用され得る、すなわち、デバイスは、有利には、手順に対する適合性を測定することが可能である。不適合性は、患者の電子的なログブックの中に書き留められ得る、それは、医療従事者(HCP)によって評価され得る。
【0072】
たとえば、投与量が完全に送達される前に患者が組織からペンを除去するなど、極端な不適合性のケースでは、フローの中のサージが、フローセンサによって検出されることとなる。アラームが、デバイスの中へ組み込まれ、不完全な投与の患者に警告することが可能である。意図した投与量、および、組織の中へ送達される投与量の一部分の両方が、好ましくは、任意の補正投与量とともに、患者のログブックの中に記録され、HCPが患者の自己療法におけるこの欠点を識別することを可能にする。患者が意図した投与量よりも少ない投与量を連続的に受けている場合など、不適合性の極端なケースに関して、HCPは、直接的に通知され、介入して指導を行うことが可能である。
【0073】
また、TToFセンサは、有利には、逆流を検出することが可能であり、逆流は、カニューレの閉塞によって、または、患者が皮内スペースの中へ誤って注入した結果としてのフローの過度の抵抗によって、引き起こされ得る。両方のケースにおいて、アラートが、患者に送られ、適正で完全な投与送達が行われたかどうかということを確認するように患者を促す。また、この特徴は、外来設定または臨床設定のいずれかにおいて、皮下薬物または静脈内薬物の輸液に関して有用である。
【0074】
たとえば、近距離無線通信(NFC)能力を備えたBluetooth Low Energy(BLE)チップを組み込むことなど、デバイスを改善するために、および、追加的な利点を提供するために、電子回路およびソフトウェアに対する修正が行われ得るということを、当業者は理解することとなる。そのような追加は、システムが、たとえば、NFCタグを含むペンニードル(PN)を識別することを可能にすることとなる。
【0075】
投与量を測定するためにサーマル飛行時間を使用する別の投与量測定デバイス3200が、ここで、図32図42に関連して説明されることとなる。図32に図示されているように、デバイス3200は、標準的なインスリンペン3202とともに働く。投与量センサ使い捨て部分3204は、インスリンペン3202に接続されており、そこには、標準的なペンニードル3206が通常は接続することとなる。投与量センサ耐久性部分3208は、使い捨て部分3204の上にフィットしている。ペンニードル3206は、使い捨て部分3204の遠位端部の上にねじ込まれている。最後に、キャップ3210は、耐久性部分3208の上にフィットしている。投与量センサ耐久性部分3208は、好ましくは、電子機器、および、とりわけワイヤレス通信コンポーネントを含み、スマートフォン3212、または、任意の他の適切なリモートデバイスとワイヤレスで通信し、データを交換する。
【0076】
上記に説明されている投与量センシング使い捨て部分3204は、異方性(z軸)サーマルフィルムを利用し、標準的なインスリンペンとともに使用される投与量獲得システムの一部であるサーマル飛行時間型フローセンサに関する熱信号を伝送する。ここで、使い捨て部分3204が、図33図35に関連して、より詳細に説明されることとなる。使い捨て部分3204は、z軸フィルム3212と、センサの付近に均一な層流を生成させるために使用されるプラスチックマニホールド3214と、標準的なインスリンペンのセプタムを穿孔する入口カニューレ3216と、標準的なインスリンペンニードルを受け入れる吐出端部にあるゴム製セプタム3218とを含む。入口部端部において、ネジ山付き部分またはスナップフィット部分3220は、標準的なインスリンペン3202に接続するように適合されている。図35に図示されているように、組み立てられると、z軸フィルム3212の表面は、フローチャネルの中へ突出しており、フィルムの表面を横切るせん断勾配および速度勾配が定常状態になっていること、ならびに、最小流体停滞ゾーンが存在しているということを確実にする。
【0077】
耐久性部分3208が、図36の分解図に図示されている。耐久性部分3208は、バッテリ3222と、ワイヤレス通信コンポーネント(図示せず)を含む回路基板3224と、MEMSベースのサーマル飛行時間型センサエレメント3226と、プラスチックハウジング3228と、センサ3226を使い捨て部分3204に係合させるための、および、インスリンペン3202の上に耐久性部分3208をロックまたはクランプするための、追加的なコンポーネント3230a、3230bとを含む。
【0078】
上記に説明されている投与量センサは、センシングエレメントから受け取られるデータを分析することによって、インスリンボリュームを計算する。熱パルスが入力加熱エレメントから下流のセンシングエレメントにトラベルすることに関する時間遅れが、好ましくは、位相シフトを決定するために使用される。センシングエレメントにおける測定値の大きさおよび位相シフトは、好ましくは、インスリンフローを決定するために使用される。サーマル飛行時間型センサエレメントについての追加的な詳細が、図37に関連して示されて説明されている。センシングエレメント3226は、回路基板に接着されたMEMSチップから構成されている。MEMSチップは、ヒータ3230および2つの対称的にオフセットされた温度センシングエレメント3232に関する導電性トレースを備えたセラミック基板またはガラス基板である。中央の加熱エレメント3230は、電流を介して加熱され、2つの外側のエレメント3232は、このヒータによって生成されるサーマル信号を測定するために使用される。回路基板は、構造的支持を提供し、MEMSセンサチップへの電気的な接続を作る。2つのセンシングエレメント3232は、好ましくは、加熱エレメント3230から対称的にオフセットされている。オフセット距離を修正することは、大きい位相分解能を示す特定の流量レンジの選択を可能にし、より良好な精度を生み出す。それに加えて、複数のセンシングエレメントペアは、100μmおよび200μmなどのような、異なるオフセット距離に設けられ、必要に応じて、投与量測定精度をより大きい流量レンジまで拡張することが可能である。
【0079】
図38図40は、使い捨て部分3204、耐久性部分3208、インスリンペン3202、およびペンニードル3206の間の相互作用を示している。使い捨て部分3204は、インスリンペン3202の上に組み立てられ、インスリンペンの上のゴム製セプタムを穿孔し、流路を生成させる。次いで、耐久性部分3208が、使い捨て部分3202の上に組み立てられ、耐久性部分3202の中のサーマル飛行時間型フローセンサが、使い捨て部分3202の中のz軸フィルム3212の表面に対して押し付けられ、2つのコンポーネントが、それらの間にギャップのない状態で、密接接触するようになっている。3234に図示されているこの嵌合条件は、ボタン3236を押すことなど二次的なステップを介して作製され得る。センサ3226は、あるいは、ばね荷重式のアームまたはカムに装着され得る、それがユーザのために自動的に行われるようになっている。耐久性部分3208の中のコンポーネントは、センサ3226と使い捨て部分3208との間の公差の積み重ねを可能にすることに準拠して設計されている。図38は、z軸フィルム3212の表面に対して押し付けられているセンサ3226を示している。図39図40は、2つのコンポーネントが嵌合した状態の、フローセンサを通る断面を示している。
【0080】
図41は、z軸フィルム3212の断面のクローズアップを示している。フィルム3212は、低熱伝導率の周囲マトリックスの中に埋め込まれている熱伝導性の粒子、フレーク、またはファイバの複合材である。フィルムの成分は、フィルムの平面に対して垂直の方向に、比較的に高い熱伝導率を可能にし、また、フィルムの平面に沿う方向に、はるかに低い熱伝導率を可能にする。図42は、センサ動作の間の意図した熱流路を図示している。ヒータ3230は、フィルム3212を通して流体3234の中へ熱のパルスを送り、流体3234の中で、それは、流体フローによって下流に運ばれる。次いで、熱は、反対側方向にフィルムを通してサーマルセンサ3232へ伝導される。理想的なz軸フィルムは、平面(XY)において比較的に高いサーマル抵抗を有しながら、Z方向に最小サーマル抵抗を有することとなる。
【0081】
上記に説明されているデバイスは、好ましくは、以下の特性を有している。z軸フィルム3212は、可能な限り薄くなっているべきである。熱伝導性の粒子のボリューム分率は、粒子同士の間の分離が面内伝導性を最小化することを可能にしながら、可能な限り高くなっているべきである。熱伝導性の粒子は、ヒータとセンサとの間のスペーシングよりもはるかに小さいピッチで、均等に間隔を置いて配置されているべきである。粒子熱伝導率は、可能な限り高くなっているべきである。周囲マトリックス熱伝導率は、可能な限り低くなっているべきである。理想的な粒子は、フィルムの厚さにまたがることとなる小さい直径および長さを有する円筒形状の形状を有することが可能である。粒子は、好ましくは、サーマル抵抗を最小化するために、非伝導性のマトリックス材料の表面を越えて延在するべきである。フィルムは、弾性的でありまたはわずかに柔軟性があるべきであり、MEMSセンサの表面に一致し、空気ギャップを排除することができるようになっており、亀裂、破砕、または漏出なしに、インターフェースにおけるサーマル抵抗を最小化するようになっている。流体チャネルからの圧力は、フィルムが動作の間にMEMSチップの表面に対して固く押し付けられることを確実にし、サーマル接触抵抗を最小化することとなる。z軸フィルムシートは、好ましくは、ABSまたは他の共通の熱可塑性樹脂に接着する。気密シールが、フィルムとプラスチックマニホールドとの間に必要とされる。z軸フィルムは、理想的には、ライトタック(light tack)を有することとなり、それがMEMSチップの表面をわずかに突き刺すようになっているが、残留物または破れたピースがMEMSチップの表面の上に残っていることなく、完全に剥がされ得るようになっている。z軸フィルムは、最大5日間にわたりインスリンに露出されたときでも安定しているべきであり、有害な物質を流体ストリームの中へ放出しないようにしなければならない。生体適合性コーティングまたは表面処理は、z軸フィルムのベースに適用され、インスリンおよび生体適合性を改善することが可能である。現在製造されているz軸フィルムの例、および、場合によっては本発明の実施形態とともに使用するのに適切なz軸フィルムの例は、Adhesives Research(EL-9032)、3M(9882)、Btech(TP-1)、Shin Etsu(Type AF)、およびShin Etsu(Type MAF)を含む。
【0082】
本発明の実施形態は、いくつかの可能性のある利点を有している。第1に、本発明の実施形態は、MEMSセンサが投与量センシングシステムの使い捨て部分から耐久性部分へ移動させられることを可能にし、それによって、システムのコストを低下させ、また、場合によっては、センサコストが多くの使用に広がるので、より高い精度のセンサが使用されることを可能にする。また、本発明の実施形態は、インスリン接触からセンサを隔離し、センサへのすべての電気的な接続が恒久的になることを可能にする。
【0083】
上記に説明されている実施形態の1つの変形例は、マニホールドをペンニードルと組み合わせる。この構成の利点は、それがセンサの使い捨て部分を排除するということである。この構成の不利益は、それぞれの注入に伴ってセンサチャネルを準備する必要性に起因して、それがインスリン廃棄物を増加させるということである。
【0084】
マニホールドおよびペンニードルを組み合わせる別の実施形態では、3Dプリンティングを利用し、ペンニードル本体部および組み込まれたZ軸フィルム「ウィンドウ」の両方を促進させることが可能である。それにもかかわらず、3Dプリンティングは、有利には、独立型のマニホールドに関してZ軸フィルムを製作するために利用され得る。利用され得るいくつかの3Dプリンティング技術が存在している。1つの例は、FDM(熱溶解積層法)であり、また、FFF(融解フィラメント製造)としても知られている。ここで、熱伝導性ポリマーフィラメントが、Z軸フィルムの中に熱伝導性のおおよそ100ミクロンの直径のカラムをプリントするために使用される。必要な直径は、ヒータ3230とセンシングエレメント3232との間の分離および図42の中のその幅に依存している。フィルムのマトリックスは、低熱伝導率ポリマ(充填されていない)材料を使用してプリントされる。3DプリントされたZ軸フィルムの1つの実施形態では、構造体は、非常に薄い(25ミクロン以内)柔軟性ポリマフィルムの上に構築され、それは、MEMSフローセンサに接触する側面になることとなる。これの利点は、液密なZ軸フィルムを確実にし、また、MEMSフローセンサに対する低いサーマル抵抗アタッチメントのため柔軟性基板を提供し、一方、不利益は、Z方向に小さい熱伝導率ペナルティを有するという点にある。
【0085】
さらなる別の実施形態では、z軸材料は、チューブとして構成され得る、フィルムが完全な流路を形成し、二次的なマニホールドが必要とされないようになっている。たとえば、z軸チューブは、ペンニードルの本体部の中へオーバーモールドされ得る、必要とされる場合には、たとえば正方形断面または長方形断面などへ再び形状決めされ、平坦な表面を提供し、ヒータおよびセンサトレースとより容易に嵌合することが可能である。この構成の不利益は、センサとz軸フィルムチューブとの間に良好な接触を作ることがより困難になるということである。
【0086】
また、上記に説明されている投与量センサは、インスリンペンとともに使用することに加えて、輸液ポンプ、シリンジ、または重力供給式輸液ラインなどのような、他のフロー供給源とともに使用され得る。
【0087】
本発明のいくつかの実施形態しか説明されていないが、本発明は、説明されている実施形態に限定されない。その代わりに、本発明の原理および精神から逸脱することなく、これらの実施形態に対して変更が行われ得るということが当業者によって理解されることとなる。
図1
図2A
図2B
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10
図11
図12
図13
図14
図15
図16
図17
図18A
図18B
図19A
図19B
図19C
図19D
図20
図21
図22
図23
図24
図25
図26
図27
図28
図29
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図31
図32
図33
図34
図35
図36
図37
図38
図39
図40
図41
図42