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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2022177334
(43)【公開日】2022-12-01
(54)【発明の名称】操作装置
(51)【国際特許分類】
   H01H 25/06 20060101AFI20221124BHJP
   H01H 25/00 20060101ALI20221124BHJP
【FI】
H01H25/06 A
H01H25/00 B
【審査請求】未請求
【請求項の数】8
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2019195905
(22)【出願日】2019-10-29
(71)【出願人】
【識別番号】000010098
【氏名又は名称】アルプスアルパイン株式会社
(71)【出願人】
【識別番号】000000376
【氏名又は名称】オリンパス株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100085453
【弁理士】
【氏名又は名称】野▲崎▼ 照夫
(74)【代理人】
【識別番号】100120204
【弁理士】
【氏名又は名称】平山 巌
(74)【代理人】
【識別番号】100108006
【弁理士】
【氏名又は名称】松下 昌弘
(74)【代理人】
【識別番号】100135183
【弁理士】
【氏名又は名称】大窪 克之
(72)【発明者】
【氏名】牛来 栄人
(72)【発明者】
【氏名】沼田 哲
(72)【発明者】
【氏名】日下 昭宏
(72)【発明者】
【氏名】木村 駿介
(72)【発明者】
【氏名】小山 礼史
【テーマコード(参考)】
5G031
【Fターム(参考)】
5G031AS10H
5G031AS10J
5G031AS31H
5G031AS31J
5G031AS50H
5G031CS01J
5G031CS01N
5G031CS04H
5G031HS17
5G031HU02
5G031HU03
5G031HU34
5G031HU41
5G031HU83
5G031HU96
5G031JS02
5G031JS03
5G031KS03
5G031KS56
(57)【要約】
【課題】 操作ノブの操作感触が良好で、しかも操作ノブがステムの上端面に乗り上がっても、操作ノブが直ちに元の形状に復元できる操作装置を提供する。
【解決手段】 シリコンゴム製の操作ノブ10を横方向に押すと、ステム7が当接部(i)を支点として傾き、押釦部6bが押されて、スイッチ機構部6a内の接点が動作し、スイッチ回路がオンに切替えられる。大きな操作力F3が与えられて、操作ノブ10が伸び、操作ノブ10の内部空間13の天井面である内面部15がステム7の上端部7cに乗り上がっても、内面部15に設けられた剛性が高く低摩擦係数の補強面19が上面部7cを滑り、操作ノブ10が初期の形状に復帰する。
【選択図】図5
【特許請求の範囲】
【請求項1】
支持部と、傾き動作するステムと、前記ステムよりも下方に位置して前記ステムの傾き動作によって動作させられるスイッチ部と、弾性材料で形成された操作ノブと、が設けられた操作装置において、
前記操作ノブに、前記ステムの上端部よりも下方に位置して内部空間の天井面である内面部と、前記内面部から上方に向けて窪んで形成されて前記ステムの少なくとも前記上端部を含む上方部分が収納される収納凹部と、が形成されており、
前記内面部に、前記操作ノブを構成する弾性材料よりも剛性が高い補強面が露出しており、前記補強面は、前記ステムを囲む方向に連続してまたは間欠的に配置されていることを特徴とする操作装置。
【請求項2】
前記補強面は、前記操作ノブを構成する前記弾性材料よりも表面の摩擦係数が小さい請求項1記載の操作装置。
【請求項3】
前記収納凹部の下向きの開口縁部から前記補強面までの最小距離が、前記ステムの半径よりも短い請求項1または2記載の操作装置。
【請求項4】
前記補強面は、前記ステムの中心から離れるにしたがって下方に向けて下降する傾斜面を有している請求項1ないし3のいずれかに記載の操作装置。
【請求項5】
前記ステムの前記上端部の少なくとも周縁部は、前記ステムの中心から離れるにしたがって下方に向けて下降する傾斜面である請求項1ないし4のいずれかに記載の操作装置。
【請求項6】
前記操作ノブに、前記収納凹部を囲む方向に連続しまたは間欠する補強部材が設けられており、前記補強面は、前記補強部材の下面である請求項1ないし5のいずれかに記載の操作装置。
【請求項7】
前記補強部材は、前記操作ノブに埋設されており、前記補強部材と前記ステムとの間に、前記操作ノブを構成する前記弾性材料が介在している請求項6記載の操作装置。
【請求項8】
前記操作ノブによって前記ステムが下向きに移動したときも、前記スイッチ部が動作させられる請求項1ないし7のいずれかに記載の操作装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、傾き動作するステムと、前記ステムを覆う弾性材料で形成された操作ノブとを有する操作装置に関する。
【背景技術】
【0002】
特許文献1に、垂直方向の押圧操作と横方向への押圧操作のいずれにおいてもスイッチ部がオン動作する押釦装置に関する発明が記載されている。
この押釦装置には、第1ステムとその下の第2ステムとが設けられている。第1ステムを垂直方向に押したときと、第1ステムに横方向の力を与えて傾けさせたときのいずれの場合も、第2ステムが下降させられ、第2ステムによってスイッチ部がオンに切替えられる。
【0003】
第1ステムと第2ステムは、シリコンゴムで形成された指掛け部材で覆われ、内部が密閉されている。指掛け部材の内部に引掛け部材が設けられている。引掛け部材は、第1ステムの周囲を囲むようにして配置されている。指掛け部材に横方向あるいは斜め方向からの押圧力が与えられると、この押圧力が引掛け部材を介して第1ステムに与えられる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開平5-211987号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
特許文献1に記載された押釦装置は、指掛け部材を横方向または斜め方向に押したときに、引掛け部材が直接に第1ステムに当たって第1ステムが傾けられる。この構造では、引掛け部材が第1ステムに直接に当たるときの抵抗感が指掛け部材を介して指に伝達され操作感触を劣化させることがあるため、それをやわらげるために指掛け部材は伸縮性があり変形のしやすいシリコンゴムで形成されている。
【0006】
そのため、大きな操作力を与えられ指掛け部材が大きく変形し伸びた場合に、引掛け部材が第1ステムを乗り越え、第1ステムが引掛け部材の外側に外れてしまい元の姿勢に復帰できなくなるようなことがないように、引っ掛け部材と第1ステムは上下に長く設定される。
【0007】
しかしながら、引掛け部材や第1ステムを長くすると、押釦装置の高さ寸法が大きくなり、押釦装置の大きさも大きくなってしまう。
【0008】
本発明は上記従来の課題を解決するものであり、操作ノブを押したときの操作感触が良好で、押釦装置の高さ寸法も抑制できる操作装置を提供することを目的としている。
【課題を解決するための手段】
【0009】
本発明は、支持部と、前記支持部に傾き動作するステムと、前記ステムよりも下方に位置して前記ステムの傾き動作によって動作させられるスイッチ部と、前記ステムの少なくとも一部を覆う弾性材料で形成された操作ノブと、が設けられた操作装置において、
前記操作ノブの内部に、前記ステムの上端部よりも下方に位置する下向きの内面部と、前記内面部から上向きに窪んで形成されて前記ステムの少なくとも前記上端部を含む上方部分が収納される収納凹部と、が形成されており、
前記内面部に、前記操作ノブを構成する弾性材料よりも剛性が高い補強面が露出しており、前記補強面は、前記ステムを囲む方向に連続してまたは間欠的に配置されていることを特徴とするものである。
【0010】
本発明の操作装置では、前記補強面は、前記操作ノブを構成する前記弾性材料よりも表面の摩擦係数が小さいことが好ましい。
【0011】
本発明の操作装置は、前記収納凹部の下向きの開口縁部から前記補強面までの最小距離が、前記ステムの半径よりも短いことが好ましい。
【0012】
本発明の操作装置では、前記補強面は、前記ステムから離れるにしたがって下方に向けられる傾斜面を有していることが好ましい。
さらに、前記ステムの前記上端部の少なくとも周縁部は、前記ステムの中心から離れるにしたがって下方に向けられる傾斜面であることが好ましい。
【0013】
本発明の操作装置は、前記操作ノブの内部に、前記収納凹部を囲む方向に連続しまたは間欠する補強部材が設けられており、前記補強面は、前記補強部材の下面である。
【0014】
本発明の操作装置は、前記補強部材が、前記操作ノブの内部に埋設されており、前記補強部材と前記ステムとの間に、前記操作ノブを構成する前記弾性材料が介在しているものが好ましい。
【0015】
本発明の操作装置は、前記ステムが、その中心線に沿う方向へ移動自在に支持されており、操作ノブによって前記ステムを前記中心線に沿って下向きに押圧したときも、前記スイッチ部が動作可能であるものとして構成できる。
【発明の効果】
【0016】
本発明の操作装置は、弾性材料で形成された操作ノブに、下向きの内面部が形成され、この内面部に形成された収納凹部内に、ステムの少なくとも一部が収納されている。そして、前記内面部に、補強面が露出している。この構造では、操作ノブが横方向や斜めの方向へ大きな力で押され、操作ノブが大きく変形して、内面部がステムの先端面に乗り上がったとしても、内面部に露出している補強面がステムの先端部を滑ることで、操作ノブが元の形状に復元されやすくなる。そのため、収納凹部やステムを上下に長く確保する必要がなくなるため、装置の高さ寸法も抑制できる。
【0017】
また、補強面を有する補強部材を操作ノブに埋設させ、ステムと補強部材との間に操作ノブの弾性材料を介在させることで、操作ノブを押してステムを操作するときの操作感触が良好になる。
【図面の簡単な説明】
【0018】
図1】本発明の実施の形態の操作装置の全体構造を示す斜視図、
図2図1に示す操作装置を半断面で示す分解斜視図、
図3図1に示す操作装置に外力が作用していないときの断面図、
図4図1に示す操作装置の操作ノブに横方向または斜めの方向の押圧力が作用したときの動作を示す断面図、
図5図1に示す操作装置の操作ノブに横方向または斜めの方向の押圧力が作用し、操作ノブが大きく伸びたときの動作を示す断面図、
【発明を実施するための形態】
【0019】
図1図2および図3に示す本発明の実施の形態の操作装置1は、各種機械器具の内部観察または人体の内部観察のために使用される内視鏡装置の操作部に使用され、あるいはその他の各種電子装置の操作部に使用される。
【0020】
操作装置1は、Z1方向が上方であり、Z2方向が下方である。ただし、操作装置1は、各種電子機器の操作部において、Z1-Z2方向を空間内のどの方向に向けて使用してもよい。
【0021】
操作装置1は、下部ケース2と上部ケース3を有している。上部ケース3の下部には、下部ケース2との対面部に、挟持凹部3aが形成されている。上部ケース3の内側の空間に内部ケース4が設けられている。内部ケース4は、下端部に周囲方向に張り出すフランジ部4aを有している。下部ケース2とフランジ部4aとの間にフレキシブル配線基板5が挟まれている。フランジ部4aが、前記挟持凹部3aに嵌合した状態で、下部ケース2と上部ケース3とが固定されている。操作装置1は、下部ケース2と上部ケース3および内部ケース4で「支持部」が構成されている。下部ケース2と上部ケース3および内部ケース4は合成樹脂材料で形成されている。
【0022】
内部ケース4の内部に上下方向に延びる筒状の動作空間4bが形成されている。動作空間4bの内部にスイッチ部6が収納されている。スイッチ部6は、スイッチ機構部6aと押釦部6bとから構成されている。スイッチ機構部6aは、筐体の内部に、切り換え接点と、押釦部6bを上方(Z1方向)へ付勢する復帰ばねなどが収納されている。スイッチ機構部6aの筐体は、動作空間4bの下方において動かないように固定されている。切換え接点は、固定接点と可動接点を有し、固定接点は、フレキシブル配線基板5の表面の導電層に導通している。
【0023】
押釦部6bは、下方部分がスイッチ機構部6a内に収納され、上方部分がスイッチ機構部6aから上方に突出している。押釦部6bがZ2方向に押されると、押釦部6cよって前記可動接点が押し下げられて、スイッチ回路がオンに切替えられる。また、押釦部6bは、スイッチ機構部6a内の復帰ばねにより、常にZ1方向へ付勢されている。
【0024】
内部ケース4の上部には、動作空間4bの上部を塞ぐ上部支持壁部4cが形成され、上部支持壁部4cに動作穴4dが開口している。動作空間4bの内部では、押釦部6bの上端部6cと上部支持壁部4cとの間にステム7が配置されている。ステム7は合成樹脂材料で形成されている。ステム7は、動作穴4dを通過して上方に突出する軸部7bと、軸部7bの下部に一体に形成されて、内部ケース4の上方の上部支持壁部4cの下面に対向する支点フランジ部7aとを有している。図3には、ステム7の中心線O(軸部7bの中心線)が示されている。軸部7bはZ1方向に向く上端部7cを有している。上端部7cの周縁部には、中心線Oから離れるにしたがって下方(Z2方向)に向けられる傾斜面7dが形成されている。図3に示すように、傾斜面7dの断面形状は、半径Rの円弧形状である。ただし、傾斜面7dはテーパ面であってもよい。
【0025】
操作装置1には操作ノブ10が設けられている。操作ノブ10は、伸縮性を有する弾性材料であり、合成ゴムまたはエラストマーで形成されている。実施の形態の操作ノブ10はシリコンゴムで形成されている。
【0026】
操作ノブ10は、下部側(Z2側)に下部筒部11とその下側に位置するフランジ部12とが形成されている。図3に示すように、上部ケース3と内部ケース4との間に、筒部挟持空間3bとその下側のフランジ部挟持空間3cとが設けられている。操作ノブ10の下部筒部11が筒部挟持空間3bに挟まれ、フランジ部12がフランジ部挟持空間3cに挟み込まれている。操作ノブ10の内部に内部空間13が形成されているが、操作ノブ10の下部が、上部ケース3と内部ケース4との間に挟まれて緊密に固定されることで、操作ノブ10の内部空間13の密閉性が保たれている。
【0027】
図2に示すように、操作ノブ10は、内部空間13よりも上方部分が操作動作部14となっており、操作ノブ10に操作力が与えられたときに、その力は主に操作動作部14からステム7に伝達される。操作ノブ10の操作動作部14の内部に補強部材18が埋設されている。補強部材18は、PBT(ポリブチレンテレフタレート)樹脂で形成されており、補強部材18と操作ノブ10は、いわゆる二色成型法によって形成されている。すなわち、先にPBT樹脂によって補強部材18が成型され、その後に成形後の補強部材18が金型内に挿入されて、シリコンゴムにより、補強部材18と密着した操作ノブ10が成形される。
【0028】
図2に示すように、補強部材18は、中心線Oの周囲を連続して囲む筒部18aと、筒部18aの上方に連続する天井部18cと、筒部18aの下部に連続して周囲方向に張出すフランジ部18bとを有している。フランジ部18bの下方(Z2方向)に向く面が補強面19である。筒部18aの内側には内側空間18eが形成され、天井部18cには上下方向に貫通する貫通穴18dが形成されている。なお、補強部材18は、中心線Oの周囲に向けて連続する筒面を構成しているものに限られず、中心線Oの周囲に向けて間欠的に筒面が配置されているものであってもよい。すなわち、補強部材18が複数の部材で構成され、複数の部材が操作ノブ10に埋設されているものであってもよい。この場合に、補強面19も中心線Oの周囲方向に間欠的に配置される。
【0029】
図3に示すように、操作ノブ10に補強部材18が埋設されると、操作ノブ10を構成する弾性材料は、補強部材18の天井部18cの貫通穴18dの内部を経て筒部18aの内側空間18e内に連続する。操作ノブ10には、内側空間18eの内部に位置する弾性材料に上方(Z1方向)に向けて窪む収納凹部16が形成されており、ステム7の軸部7bの上端部7cを含む上方部分が収納凹部16内に収納されている。なお、収納凹部16内に、ステム7の軸部7bの上方部分のみならず、軸部7bのほとんどの部分が収納されていてもよい。
【0030】
操作ノブ10の内部では、内部空間13の天井面が、下向きの内面部15となっている。内面部15は、ステム7の上端部7cよりも下側に位置している。前記収納凹部16は、内面部15に開口している。前記内面部15には、補強部材18のフランジ部18bの下面である補強面19が露出している。図3に示すように、補強面19は、中心線Oから離れるにしたがって下方(Z2方向)に向けて下降し角度θだけ傾斜する傾斜面を有している。また、収納凹部16の開口縁部から補強面19までの最小距離W1が、ステム7の半径W0よりも短くなっている。
【0031】
さらに、補強部材18の内側空間18e内に位置している弾性材料の下面、すなわち収納凹部16の開口縁部の周囲での、前記内面部15の下面15aも、補強面19と同じ方向に傾く傾斜面となっている。
【0032】
PBT樹脂で形成された補強部材18は、シリコンゴムで形成された操作ノブ10よりも剛性が高い。また、補強部材18の下面である補強面19のステム7に対する静摩擦係数は、操作ノブ10を構成するシリコンゴムのステム7に対する静摩擦係数よりも小さい。
【0033】
次に操作装置1の動作を説明する。
図3に矢印で示すように、操作ノブ10のZ1側に向く上面に下向きの操作力F1が与えられると、操作力F1が、操作ノブ10からステム7の上端部7cに作用し、ステム7が、内部ケース4の動作空間4b内で下向きに移動する。そして、ステム7で押釦部6bが下向きに押され、スイッチ部6が動作し、スイッチ回路がオンに切替えられる。
【0034】
操作ノブ10の操作動作部14の内部には、補強部材18が埋設されており、補強部材18の天井部18cは、貫通穴18dの周囲部分がステム7の上端部7cの上方に重なって位置している。ステム7の上端部7cの上方に、操作ノブ10の弾性材料と、その上の天井部18cと、さらにその上の弾性材料が順に重ねられている。操作力F1が剛性の高い天井部18cを伝わってステム7に与えられるため、ステム7と押釦部6bを、スイッチ機構部6a内の戻しばねの力に対抗して確実に押し下げることができる。また、操作力F1は、天井部18cから弾性材料を介してステム7の上端部7cに与えられ、天井部18cとステム7とが直接に当たることがないため、操作感触も良好である。
【0035】
図4は、操作ノブ10の操作動作部14に対して、X1方向とZ2方向に向けた斜めの操作力F2が与えられたときの動作を示している。このときの動作は、操作動作部14がX1方向に向けて真横に押されたときも同じである。また操作力がX2方向やY1方向あるいはY2方向へ与えられたときの動作も同じである。
【0036】
図4に示す操作力F2が与えられると、その力は、操作ノブ10の操作動作部14からステム7に作用し、ステム7は、その支点フランジ部7aの上部周縁と、内部ケース4の上部支持壁部4cの下面との当接点(i)を支点として、上端部7cがX1方向へ動くように傾く。ステム7の傾き動作により、その下の押釦部6bが下向きに押され、スイッチ機構部6a内の接点が動作してスイッチ回路がオンに切替えられる。
【0037】
この場合も、操作力F2が剛性の高い補強部材18の筒部18aから弾性材料を介してステム7に与えられるため、スイッチ機構部6a内の戻しばねの力に対抗して、ステム7と押釦部6bとを確実に動作させることができる。また、操作力F2は、筒部18aからその内側の弾性材料を介してステム7の側部に与えられるため、筒部18aとステム7とが直接に当たることがなく、操作感触も良好になる。
【0038】
また、補強部材18は、操作ノブ10の操作動作部14の内部に埋設され、補強部材18によってステム7の周囲部分と上方部分が覆われているため、操作ノブ10の操作動作部14のどの部分を押しても、操作ノブ10を構成する弾性材料が必要以上に圧縮変形したり、弾性材料が必要以上に伸ばされるのを防止でき、指で常に押される操作動作部14の疲労を軽減できる。
【0039】
図5は、操作ノブ10の操作動作部14に対して横方向に、大きな操作力F3(あるいは図4に示した斜めの向きの大きな操作力F2)が作用したときの動作状態を示している。
操作ノブ10に大きな横向きの操作力F3が作用すると、図4のときと同様に、ステム7が、当接点(i)を支点として傾いて、押釦部6bが下方向に押し込まれ、スイッチ機構部6a内の接点が動作して、スイッチ回路がオンに切替えられる。さらに、操作ノブ10を構成する弾性材料であるシリコンゴムは、高い伸縮性を有しているため、操作力F3が大きいと、操作ノブ10が大きく変形し、図5に示すように、操作ノブ10の内部空間13の天井面である内面部15が、ステム7の上端部7cに乗り上がることがある。
【0040】
このとき、内部空間13の天井面である内面部15に、補強部材18の下面である補強面19が露出しており、主にこの補強面19が、ステム7の上端部7cに乗り上がる。補強面19は、操作ノブ10を構成しているシリコンゴムよりも剛性が高く、ステム7に対する静摩擦係数も低くなっている。したがって、伸ばされたシリコンゴムの収縮力により、補強面19がステム7の上端部7cを滑って、操作ノブ10が直ちに図3に示す初期の形状に復帰する。
【0041】
特に、補強面19には角度θの傾斜面が設けられ、補強部材18の内側の弾性材料の下面15aも傾斜面となっている。さらに、ステム7の上端部7cの周縁も傾斜面7dとなっている。そのため、シリコンゴムの弾性収縮力によって、補強面19を含む内面部15が上端部7cを滑りやすく、操作ノブ10が図3に示す初期の形状に復帰しやすくなる。
【0042】
このように、本発明の操作装置では、操作ノブが横方向や斜めの方向へ大きな力で押され、操作ノブが大きく変形して、内面部がステムの先端面に乗り上がったとしても、操作ノブが元の形状に復元されやすい。そのため、大きな力がかかっても内面部がステムの先端面に絶対に乗り上がらないように収納凹部やステムを上下に長く確保する必要がなくなるため、装置の高さ寸法が抑制できる。これにより、装置のサイズや配置場所の制限が少なくなる。あるいは横方向や斜め方向に操作時に、ステムの傾きの支点からの距離を抑えて横方向や斜め方向の操作ストロークを小さくすることもできるため、ストローク設定の自由度もあがるといった利点がある。さらに、補強面を有する補強部材を操作ノブに埋設させ、ステムと補強部材との間に操作ノブの弾性材料を介在させることで、操作ノブを押してステムを操作するときの操作感触が良好になる。
【0043】
なお、前記実施の形態では、操作ノブ10が横方向に押されたときに、ステム7が当接部(i)を支点として傾き、ステム7でスイッチ部6の押釦部6bが押されてスイッチ機構部6b内の接点が動作させられるが、本発明は前記実施の形態に限られるものではなく、例えば、押釦部6bの代わりに上下に動作する昇降ステムが設けられ、この昇降ステムによって、その下側に位置するメンブレンスイッチなどのスイッチ部が動作させられるものであってもよい。または、斜めに動作するステム7によって、メンブレンスイッチなどのスイッチ部が直接に動作させられるものであってもよい。
【0044】
また、操作ノブ10の内部に、補強面19を形成するだけのリング状などの補強部材が埋設されており、ステム7の周囲と上部が補強部材で覆われていなくてもよい。
【符号の説明】
【0045】
1 操作装置
2 下部ケース
3 上部ケース
4 内部ケース
6 スイッチ部
6a スイッチ機構部
6b 押釦部
7 ステム
7c 上端部
7d 傾斜面
10 操作ノブ
13 内部空間
14 操作動作部
15 内面部
16 収納凹部
18 補強部材
19 補強面
F1,F2,F3 操作力
O 中心線
図1
図2
図3
図4
図5