(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2022177349
(43)【公開日】2022-12-01
(54)【発明の名称】液体加熱装置
(51)【国際特許分類】
H05B 3/48 20060101AFI20221124BHJP
H05B 3/82 20060101ALI20221124BHJP
【FI】
H05B3/48
H05B3/82
【審査請求】未請求
【請求項の数】7
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2021083537
(22)【出願日】2021-05-18
(71)【出願人】
【識別番号】000004547
【氏名又は名称】日本特殊陶業株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100113022
【弁理士】
【氏名又は名称】赤尾 謙一郎
(74)【代理人】
【識別番号】100110249
【弁理士】
【氏名又は名称】下田 昭
(72)【発明者】
【氏名】牧野 友亮
(72)【発明者】
【氏名】東出 侑也
【テーマコード(参考)】
3K092
【Fターム(参考)】
3K092PP13
3K092QA01
3K092RB02
3K092VV40
(57)【要約】
【課題】被加熱液体の加熱効率を向上させるとともに、セラミックヒータの寿命低下を抑制した液体加熱装置を提供する。
【解決手段】内部空間100iと液体Wの導入口103及び排出口105とを有する容器100と、容器に取り付けられるセラミックヒータ171,172であって、セラミックシート17sの巻合わせ部に軸線L方向に延びるスリット17vが非発熱部として形成されているセラミックヒータと、を備え、導入口及び排出口は、軸線方向に離間して配置され、導入口の開口端103eの近傍における第1軸心n1方向に開口端を投影した第1開口領域Sは、セラミックヒータと軸線方向に重なる位置に配置されると共に、第1軸心方向が軸線方向に交差し、セラミックヒータ及び導入口と交わると共に軸線方向に垂直な基準断面RSにおいて、第1開口領域よりも外部にスリットが位置する。
【選択図】
図9
【特許請求の範囲】
【請求項1】
内部空間と、前記内部空間に連通する液体の導入口及び排出口と、を有する容器と、
自身の先端部が前記内部空間内に位置し、自身の基端部が前記容器に保持されることで前記容器に取り付けられるセラミックヒータであって、軸線方向に延びるセラミック基体と、該セラミック基体の外周に巻き付けられたセラミックシートと、該セラミックシートに埋設された発熱部と、を有し、前記セラミックシートの巻合わせ部に前記軸線方向に延びるスリットが非発熱部として形成されているセラミックヒータと、
を備え、
前記容器と前記セラミックヒータとの間には隙間が形成されており、前記液体が、前記導入口から導入され、前記内部空間を通って、前記排出口まで流れる過程において、前記セラミックヒータによって前記液体を加熱する液体加熱装置であって、
前記導入口及び前記排出口は、前記軸線方向に離間して配置され、
前記導入口の開口端の近傍における第1軸心方向に前記開口端を投影した第1開口領域は、前記セラミックヒータと前記軸線方向に重なる位置に配置されると共に、前記第1軸心方向が前記軸線方向に対して交差し、
前記セラミックヒータ及び前記導入口と交わると共に前記軸線方向に垂直な基準断面において、前記第1開口領域よりも外部に前記スリットが位置することを特徴とする液体加熱装置。
【請求項2】
前記セラミックヒータは1つであり、
前記導入口は1つであると共に、
前記基準断面において、前記第1軸心の延長線は、前記セラミックヒータの第2軸心と交わらないと共に、前記第2軸心と前記スリットの両端とを結ぶ直線と、前記容器の内周面と、に囲まれてなる領域外に位置することを特徴とする請求項1に記載の液体加熱装置。
【請求項3】
前記セラミックヒータは2つであり、前記基準断面にすべてのセラミックヒータが重なると共に、各セラミックヒータが同一方向に延び、
前記導入口は1つであると共に、
前記基準断面において、前記第1軸心の延長線を挟んだ両側に、前記セラミックヒータが1つずつ配置され、
前記基準断面において、前記延長線は、前記セラミックヒータの第2軸心と交わらないと共に、前記第2軸心と前記スリットの両端とを結ぶ直線と、前記容器の内周面と、に囲まれてなる領域外に位置することを特徴とする請求項1に記載の液体加熱装置。
【請求項4】
前記セラミックヒータは2つであり、前記基準断面にすべてのセラミックヒータが重なると共に、各セラミックヒータが同一方向に延び、
前記導入口は2つであると共に、
前記基準断面において、前記2個のセラミックヒータは、自身の第2軸心が前記2つの導入口それぞれにおける前記第1軸心の延長線の外部に、前記導入口が並ぶ方向と同一方向に並んで配置され、
前記基準断面において、前記延長線は、前記第2軸心と交わらないと共に、前記第2軸心と前記スリットの両端とを結ぶ直線と、前記容器の内周面と、に囲まれてなる領域外に位置することを特徴とする請求項1に記載の液体加熱装置。
【請求項5】
前記セラミックヒータは3つであり、前記基準断面にすべてのセラミックヒータが重なると共に、各セラミックヒータが同一方向に延び、
前記導入口は1つであると共に、
前記基準断面において、前記セラミックヒータは、前第1軸心の延長線を挟んだ両側に3つのうちの2つが配置される第1セラミックヒータと、他の2つよりも前記第1軸心方向に前記導入口から遠い位置で自身の第2軸心が他2つの第2軸心の間に配置される第2セラミックヒータからなり、それぞれの前記第2軸心が頂点となる三角形を形成し、
前記基準断面において、前記第1軸心方向における前記第1セラミックヒータと前記第2セラミックヒータとの間には、前記第1セラミックヒータと前記第2セラミックヒータとの間に隙間を形成しつつ前記容器の内壁から前記第1開口領域内に延びる1つの邪魔板が配置され、
前記基準断面において、
前記延長線は、前記第1セラミックヒータの第2軸心と交わらないと共に、前記第1セラミックヒータの前記第2軸心と前記スリットの両端とを結ぶ直線と、前記容器の内周面と、に囲まれてなる領域外に位置していることを特徴とする請求項1に記載の液体加熱装置。
【請求項6】
前記セラミックヒータは4以上の偶数個であり、前記基準断面にすべてのセラミックヒータが重なると共に、各セラミックヒータが同一方向に延び、
前記導入口は1つであると共に、
前記基準断面において、前記第1軸心の延長線を挟んだ両側に、前記セラミックヒータが前記第1軸心方向に沿って2列で配置され、
前記基準断面において、前記第1軸心方向における隣接する前記セラミックヒータの間には、前記隣接する前記セラミックヒータの間に隙間を形成しつつ前記容器の両側の内壁から前記第1開口領域内に延びる一対の邪魔板が配置され、
前記基準断面において、前記延長線は、前記セラミックヒータの第2軸心と交わらないと共に、前記第2軸心と前記スリットの両端とを結ぶ直線と、前記容器の内周面と、に囲まれてなる領域外に位置することを特徴とする請求項1に記載の液体加熱装置。
【請求項7】
前記導入口よりも前記排出口側における前記内部空間には、複数の前記セラミックヒータを1個ずつ分離する隔壁が設けられ、
前記導入口から導入された前記液体は、前記隔壁内を個々の前記セラミックヒータ毎に流れることを特徴とする請求項3~6のいずれか一項に記載の液体加熱装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、セラミックヒータにより温水等を製造する液体加熱装置に関する。
【背景技術】
【0002】
温水洗浄便座、燃料電池システム、給湯器、24時間風呂、車両のウォッシャー液の加熱、車載エアコン用等には温水が必要となる。そこで、内蔵するヒータにて水を加熱する液体加熱装置が用いられている(特許文献1)。
特に、温水洗浄便座用の温水などの急速加熱や、液体加熱装置の小型化を図る目的においては、細長いセラミック基体の外周に巻き付けたセラミックシートに発熱部を埋設した棒状のセラミックヒータが使用される(特許文献2)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2008-96057号公報
【特許文献2】特許第5923295号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら、特許文献1記載の技術はヒータとして赤外線ランプを用いており、ヒータ、ひいては液体加熱装置を小型化するのが難しいという問題がある。又、赤外線ランプはコストアップにも繋がる。
一方、棒状のセラミックヒータは、セラミックシートの巻合わせ部にスリットが非発熱部として形成されており、この非発熱部は有効な加熱源として機能せず、加熱効率が低下する。そして、加熱効率が低下すると、従来と同じ熱量を発生させるためにヒータ温度を高温にする必要が生じ、沸騰気泡が多くなる。そして、この沸騰気泡がセラミックヒータに付着すると、その部位は空焚き状態となってヒータが熱衝撃を受け、ヒータ寿命が低下するおそれがある。
又、非発熱部が介在すると、液体の加熱ムラが生じてヒータ自体の温度も場所によって不均一となり、ヒータ寿命の低下に繋がる。
【0005】
従って、本発明は、被加熱液体の加熱効率を向上させるとともに、セラミックヒータの寿命低下を抑制した液体加熱装置の提供を目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
上記課題を解決するため、本発明の液体加熱装置は、内部空間と、前記内部空間に連通する液体の導入口及び排出口と、を有する容器と、自身の先端部が前記内部空間内に位置し、自身の基端部が前記容器に保持されることで前記容器に取り付けられるセラミックヒータであって、軸線方向に延びるセラミック基体と、該セラミック基体の外周に巻き付けられたセラミックシートと、該セラミックシートに埋設された発熱部と、を有し、前記セラミックシートの巻合わせ部に前記軸線方向に延びるスリットが非発熱部として形成されているセラミックヒータと、を備え、前記容器と前記セラミックヒータとの間には隙間が形成されており、前記液体が、前記導入口から導入され、前記内部空間を通って、前記排出口まで流れる過程において、前記セラミックヒータによって前記液体を加熱する液体加熱装置であって、前記導入口及び前記排出口は、前記軸線方向に離間して配置され、前記導入口の開口端の近傍における第1軸心方向に前記開口端を投影した第1開口領域は、前記セラミックヒータと前記軸線方向に重なる位置に配置されると共に、前記第1軸心方向が前記軸線方向に対して交差し、前記セラミックヒータ及び前記導入口と交わると共に前記軸線方向に垂直な基準断面において、前記第1開口領域よりも外部に前記スリットが位置することを特徴とする。
【0007】
この液体加熱装置によれば、導入口及び排出口がセラミックヒータの軸線方向に配置されている構造において、導入口からセラミックヒータの外面に最初に高い流速で当たる液体の流れを示す第1開口領域の内部に、スリットが存在(対向)しないので、最初に内部空間の第1開口領域に導入された液体はスリット以外の発熱部で有効に加熱される。
その結果、流速の高い最初の液体の流れが加熱された後に、内部空間内を移動してゆくので、発熱部に液体が滞留して過熱されることを抑制し、過熱による沸騰気泡の発生を抑制できる。これにより、セラミックヒータが局所的に過熱して寿命が低下したり、上述の沸騰気泡が排出されずに封止部に接触してシール性が低下することを抑制できる。又、発熱部に水が滞留することを抑制し、液体全体を均等に加熱して加熱効率が向上する。
【0008】
本発明の液体加熱装置において、前記セラミックヒータは1つであり、前記導入口は1つであると共に、前記基準断面において、前記第1軸心の延長線は、前記セラミックヒータの第2軸心と交わらないと共に、前記第2軸心と前記スリットの両端とを結ぶ直線と、前記容器の内周面と、に囲まれてなる領域外に位置してもよい。
【0009】
延長線がセラミックヒータの第2軸心と交わらないことは、基準断面から見て、延長線が第2軸心から偏移する(ずれる)ことを意味する。その結果、内部空間に導入された液体は第2軸心の中心から見てセラミックヒータの外面を対称に流れず、セラミックヒータの外面に沿って径方向に回る旋回流となる。
これにより、発熱部に水が滞留することをさらに抑制し、加熱効率をさらに向上させるとともに、セラミックヒータの局所的な過熱やシール性の低下をさらに抑制できる。
さらに加えて、領域外に延長線が位置することで、延長線に沿って最初に高い流速で流れる液体が領域外の発熱部で有効に加熱されてから、上述の旋回流として移動してゆくので、発熱部に水が滞留することをさらに抑制し、加熱効率をさらに向上させるとともに、セラミックヒータの局所的な過熱やシール性の低下をさらに抑制できる。
【0010】
本発明の液体加熱装置において、前記セラミックヒータは2つであり、前記基準断面にすべてのセラミックヒータが重なると共に、各セラミックヒータが同一方向に延び、前記導入口は1つであると共に、前記基準断面において、前記第1軸心の延長線を挟んだ両側に、前記セラミックヒータが1つずつ配置され、前記基準断面において、前記延長線は、前記セラミックヒータの第2軸心と交わらないと共に、前記第2軸心と前記スリットの両端とを結ぶ直線と、前記容器の内周面と、に囲まれてなる領域外に位置してもよい。
【0011】
延長線がセラミックヒータの第2軸心と交わらないことは、基準断面から見て、延長線が第2軸心から偏移する(ずれる)ことを意味する。その結果、内部空間に導入された液体は第2軸心の中心から見てセラミックヒータの外面を対称に流れず、セラミックヒータの外面に沿って径方向に回る旋回流となる。
これにより、発熱部に水が滞留することをさらに抑制し、加熱効率をさらに向上させるとともに、セラミックヒータの局所的な過熱やシール性の低下をさらに抑制できる。
さらに加えて、領域外に延長線が位置することで、延長線に沿って最初に高い流速で流れる液体が領域外の発熱部で有効に加熱されてから、上述の旋回流として移動してゆくので、発熱部に水が滞留することをさらに抑制し、加熱効率をさらに向上させるとともに、セラミックヒータの局所的な過熱やシール性の低下をさらに抑制できる。
【0012】
本発明の液体加熱装置において、前記セラミックヒータは2つであり、前記基準断面にすべてのセラミックヒータが重なると共に、各セラミックヒータが同一方向に延び、前記導入口は2つであると共に、前記基準断面において、前記2個のセラミックヒータは、自身の第2軸心が前記2つの導入口それぞれにおける前記第1軸心の延長線の外部に、前記導入口が並ぶ方向と同一方向に並んで配置され、前記基準断面において、前記延長線は、前記第2軸心と交わらないと共に、前記第2軸心と前記スリットの両端とを結ぶ直線と、前記容器の内周面と、に囲まれてなる領域外に位置してもよい。
【0013】
延長線がセラミックヒータの第2軸心と交わらないことは、基準断面から見て、延長線が第2軸心から偏移する(ずれる)ことを意味する。その結果、内部空間に導入された液体は第2軸心の中心から見てセラミックヒータの外面を対称に流れず、セラミックヒータの外面に沿って径方向に回る旋回流となる。
これにより、発熱部に水が滞留することをさらに抑制し、加熱効率をさらに向上させるとともに、セラミックヒータの局所的な過熱やシール性の低下をさらに抑制できる。
さらに加えて、領域外に延長線が位置することで、延長線に沿って最初に高い流速で流れる液体が領域外の発熱部で有効に加熱されてから、上述の旋回流として移動してゆくので、発熱部に水が滞留することをさらに抑制し、加熱効率をさらに向上させるとともに、セラミックヒータの局所的な過熱やシール性の低下をさらに抑制できる。
【0014】
本発明の液体加熱装置において、前記セラミックヒータは3つであり、前記基準断面にすべてのセラミックヒータが重なると共に、各セラミックヒータが同一方向に延び、前記導入口は1つであると共に、前記基準断面において、前記セラミックヒータは、前記第1軸心の延長線を挟んだ両側に3つのうちの2つが配置される第1セラミックヒータと、他の2つよりも前記第1軸心方向に前記導入口から遠い位置で自身の第2軸心が他2つの第2軸心の間に配置される第2セラミックヒータからなり、それぞれの前記第2軸心が頂点となる三角形を形成し、前記基準断面において、前記第1軸心方向における前記第1セラミックヒータと前記第2セラミックヒータとの間には、前記第1セラミックヒータと前記第2セラミックヒータとの間に隙間を形成しつつ前記容器の内壁から前記第1開口領域内に延びる1つの邪魔板が配置され、前記基準断面において、前記延長線は、前記第1セラミックヒータの第2軸心と交わらないと共に、前記第1セラミックヒータの前記第2軸心と前記スリットの両端とを結ぶ直線と、前記容器の内周面と、に囲まれてなる領域外に位置してもよい。
【0015】
延長線がセラミックヒータの第2軸心と交わらないことは、基準断面から見て、延長線が第2軸心から偏移する(ずれる)ことを意味する。その結果、内部空間に導入された液体は第2軸心の中心から見てセラミックヒータの外面を対称に流れず、セラミックヒータの外面に沿って径方向に回る旋回流となる。
これにより、発熱部に水が滞留することをさらに抑制し、加熱効率をさらに向上させるとともに、セラミックヒータの局所的な過熱やシール性の低下をさらに抑制できる。
さらに加えて、領域外に延長線が位置することで、延長線に沿って最初に高い流速で流れる液体が領域外の発熱部で有効に加熱されてから、上述の旋回流として移動してゆくので、発熱部に水が滞留することをさらに抑制し、加熱効率をさらに向上させるとともに、セラミックヒータの局所的な過熱やシール性の低下をさらに抑制できる。
【0016】
ここで、基準断面を見たとき、各セラミックヒータは第1軸心方向に2段に配置されている。そして、そのうち導入口から遠い側の第2セラミックヒータには液体が旋回流として流れ難い。
そこで、上述の邪魔板を第1セラミックヒータと、第2セラミックヒータとの間に隙間を形成しつつ配置する。これにより、第1セラミックヒータの間を、第1開口領域を通って第2セラミックヒータに向けて流れてきた液体は、邪魔板で流れを規制されつつ、隙間から第2セラミックヒータへ流れてくる。
【0017】
そして、邪魔板を容器の内壁から第1開口領域内に延ばすことで、導入口から液体が流れてゆく流路である第1開口領域に邪魔板2が介在し、液体が邪魔板に当たって旋回流SFが生じやすくなる。さらに、邪魔板を1個とすることで、基準断面を見たとき、第2セラミックヒータに液体を流入させる隙間は、第2セラミックヒータに対して第1軸心方向に交差する方向に非対称となる。
その結果、第2セラミックヒータの周囲の内部空間に導入された液体は、第2セラミックヒータの周囲を対称に流れず、隙間に近い側に最初に流れ、第2セラミックヒータの外面に沿って径方向に回る旋回流となる。
【0018】
本発明の液体加熱装置において、前記セラミックヒータは4以上の偶数個であり、前記基準断面にすべてのセラミックヒータが重なると共に、各セラミックヒータが同一方向に延び、前記導入口は1つであると共に、前記基準断面において、前記第1軸心の延長線を挟んだ両側に、前記セラミックヒータが前記第1軸心方向に沿って2列で配置され、前記基準断面において、前記第1軸心方向における隣接する前記セラミックヒータの間には、前記隣接する前記セラミックヒータの間に隙間を形成しつつ前記容器の両側の内壁から前記第1開口領域内に延びる一対の邪魔板が配置され、前記基準断面において、前記延長線は、前記セラミックヒータの第2軸心と交わらないと共に、前記第2軸心と前記スリットの両端とを結ぶ直線と、前記容器の内周面と、に囲まれてなる領域外に位置してもよい。
【0019】
延長線がセラミックヒータの第2軸心と交わらないことは、基準断面から見て、延長線が第2軸心から偏移する(ずれる)ことを意味する。その結果、内部空間に導入された液体は第2軸心の中心から見てセラミックヒータの外面を対称に流れず、セラミックヒータの外面に沿って径方向に回る旋回流となる。
これにより、発熱部に水が滞留することをさらに抑制し、加熱効率をさらに向上させるとともに、セラミックヒータの局所的な過熱やシール性の低下をさらに抑制できる。
さらに加えて、領域外に延長線が位置することで、延長線に沿って最初に高い流速で流れる液体が領域外の発熱部で有効に加熱されてから、上述の旋回流として移動してゆくので、発熱部に水が滞留することをさらに抑制し、加熱効率をさらに向上させるとともに、セラミックヒータの局所的な過熱やシール性の低下をさらに抑制できる。
【0020】
ここで、基準断面を見たとき、各セラミックヒータは第1軸心方向に2段に配置されている。そして、そのうち導入口から遠い側の2段目以降のセラミックヒータには液体が旋回流として流れ難い。
そこで、上述の邪魔板を隣接するセラミックヒータとの間に隙間を形成しつつ配置する。これにより、1段目の第1セラミックヒータの間を、第1開口領域を通って2段目のセラミックヒータに向けて流れてきた液体は、邪魔板で流れを規制されつつ、隙間から2段目のセラミックヒータへ流れてくる。
【0021】
そして、2つの邪魔板を容器の内壁から第1開口領域内にそれぞれ延ばすことで、導入口から液体が流れてゆく流路である第1開口領域に邪魔板が介在し、液体が邪魔板に当たって旋回流が生じやすくなる。さらに、邪魔板があることで、基準断面を見たとき、2段目の各セラミックヒータに液体を流入させる隙間は、各セラミックヒータ毎に第1軸心方向に交差する方向に非対称となる。
その結果、各セラミックヒータの周囲の内部空間に導入された液体も、各セラミックヒータの周囲を対称に流れず、隙間に近い側に最初に流れ、各セラミックヒータの外面に沿って径方向に回る旋回流となる。
【0022】
本発明の液体加熱装置において、前記導入口よりも前記排出口側における前記内部空間には、複数の前記セラミックヒータを1個ずつ分離する隔壁が設けられ、前記導入口から導入された前記液体は、前記隔壁内を個々の前記セラミックヒータ毎に流れるようにしてもよい。
この液体加熱装置によれば、隔壁内の狭い隙間を水が流れて各セラミックヒータにより加熱されるので、加熱効率がさらに向上する。また、導入口側で各セラミックヒータの周囲に旋回流を生じさせた場合には、隔壁内を旋回流が別個に流れるので、各セラミックヒータの旋回流が合流して互いに打ち消し合うことを抑制し、発熱部に水が滞留することをさらに抑制できる。
【発明の効果】
【0023】
この発明によれば、被加熱液体の加熱効率を向上させるとともに、セラミックヒータの寿命低下を抑制した液体加熱装置が得られる。
【図面の簡単な説明】
【0024】
【
図1】本発明の第1の実施形態に係る液体加熱装置の外観を示す斜視図である。
【
図2】セラミックヒータの外観を示す斜視図である。
【
図3】セラミックヒータの構成を示す分解斜視図である。
【
図6】第1軸心を規定した理由を説明する図である。
【
図7】第1軸心を規定した理由を説明する別の図である。
【
図10】基準断面におけるセラミックヒータの周囲の液体の流れを示す図である。
【
図13】基準断面における本発明の第2の実施形態に係る液体加熱装置を示す断面図である。
【
図14】第2の実施形態に係る液体加熱装置の変形例を示す断面図である。
【
図15】基準断面における本発明の第3の実施形態に係る液体加熱装置を示す断面図である。
【
図16】基準断面における本発明の第4の実施形態に係る液体加熱装置を示す断面図である。
【
図17】第4の実施形態に係る液体加熱装置において、
図4に相当する透視図である。
【
図18】基準断面における本発明の第5の実施形態に係る液体加熱装置を示す断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0025】
以下、本発明の実施形態について説明する。
図1は、本発明の第1の実施形態に係る液体加熱装置200の斜視図、
図2はセラミックヒータ171の斜視図、
図3はセラミックヒータ171の分解斜視図、
図4は
図1のA-A線に沿う透視図、
図5は導入口103の第1開口領域Sを示す斜視図、
図6は
図1のB-B線に沿う断面図、
図7は
図4のC-C線に沿う断面図、
図9は基準断面RSにおけるセラミックヒータ171,172の周囲の液体の流れを示す図、
図10は
図8のD-D線に沿う断面図、
図11は
図8のE-E線に沿う断面図である。
【0026】
この実施形態において、液体加熱装置200は、温水洗浄便座に設置され、内蔵された2つのセラミックヒータ171、172により常温の水を加熱して温水を供給するようになっている。
【0027】
液体加熱装置200は、全体として略長円筒状(断面が角丸長方形の筒状)をなし、容器100と、2つのセラミックヒータ171、172と、を有する。
容器100は、液体W(水)を収容する内部空間100iを有する長円筒状の胴部101と、胴部101の軸方向の両端開口をそれぞれ閉塞する先端蓋107及び後端蓋109と、胴部101に一体に設けられた液体Wの導入口103及び排出口105と、を有する。
そして、胴部101の軸方向の両端はフランジ状に径方向に突出し、胴部101の両端と、先端蓋107及び後端蓋109とは、Oリング190(
図4)により気密にシールされている。
【0028】
セラミックヒータ171、172はそれぞれ軸線L方向に延びる棒状をなし、それぞれ同一方向に(平行に)延びている。また、セラミックヒータ171、172はそれぞれ基端部17Rが容器100の後端蓋109の開口部に封止部180によって片持ち式に保持されることで、容器100に取り付けられている。そして、セラミックヒータ171、172の先端部17Tが内部空間100i内に位置している。なお、封止部180による保持部は、後述するセラミックヒータの発熱部17aよりも基端側であるのはいうまでもない。
【0029】
ここで、セラミックヒータ171、172が同一方向に(平行に)延び、とは、設置時の誤差等を考慮し、すべてのセラミックヒータ171、172の軸線のなす角の最大値が10度以下である(0度も含む)ことをいう。
又、セラミックヒータ171、172の基端部17R側には、外部から電力を供給するための後述するリード線15,16が接続されている。
【0030】
なお、本例では、胴部101の軸方向が軸線L方向に平行になっていると共に、各セラミックヒータ171、172の並ぶ方向が胴部101の断面の長軸に沿うようにして各セラミックヒータ171、172が胴部101の内部空間100iに収容されている。ただし、胴部101の軸方向が軸線L方向と多少の角度をなしていてもよい。
また、図示しないが、本例では、液体加熱装置200は、軸線L方向が略水平方向で排出口105側が若干上方に位置するように温水洗浄便座に設置され、各セラミックヒータ171、172は横置きされている。
【0031】
導入口103及び排出口105は、内部空間100iに連通するとともに軸線L方向(胴部101の軸方向でもある)に離間して配置されており、外部から導入口103を通って導入された液体Wは、流れ方向Fに沿って内部空間100iを通って排出口105から排出される。
また、容器100の内壁とセラミックヒータ171、172との間には隙間が形成されており、導入口103を通って内部空間100iに導入された液体Wは、セラミックヒータ171、172の外面に軸線L方向に沿って接触しつつ加熱された後、排出口105まで流れる。
【0032】
次に、
図2、
図3を参照してセラミックヒータの構成について説明する。なお、セラミックヒータ171、172は同一形状であるので、セラミックヒータ171について説明する。
図2に示すように、セラミックヒータ171は、リード線15,16を介して外部からの通電により発熱する発熱体17hを有する。発熱体17hは、導体を軸線L方向に蛇行させて発熱パターンとして形成してなる発熱部17aを先端側に有すると共に、発熱部17aの両端から後端側に引き出される一対のリード部17bを有している。
なお、発熱部17aは軸線L方向にLhの長さを有する。
【0033】
より具体的には、
図3に示すように、発熱体17hは、発熱部17aと、両リード部17bと、両リード部17bの後端に形成された電極パターン17cとを有し、この発熱体17hは二枚のセラミックグリーンシート17s1、17s2の間に挟持される。なお、このセラミックグリーンシートとしては、アルミナが用いられる。また、発熱部17a、リード部17bはタングステンやレニウム等が用いられる。セラミックグリーンシート17s2の表面にはリード端子18(
図2参照)がロウ付けされる2つの電極パッド17pが形成され、電極パターン17cを電極パッド17pにスルーホールにて接続してセラミックグリーンシートの積層体を形成する。
【0034】
更に、この積層体を、セラミックグリーンシート17s2を表側にして、アルミナ等を主成分とする棒状のセラミック基体17gに巻き付けて焼成することにより、各セラミックグリーンシート17s1、17s2がセラミックシート17sとなってセラミック基体17gの外周に巻き付けられて一体化したセラミックヒータ171を製造することができる。
なお、リード線15,16はリード端子18,18にカシメられて電気的に接続されている(
図2参照)。
又、本例ではセラミック基体17gは中実であるが、筒状であってもよい。但し、筒状の場合は貫通孔から水が漏れないように樹脂等で封止することが望ましい。
【0035】
ここで、上記積層体をセラミック基体17gに巻き付ける際、積層体の軸線L方向に沿う両端同士を、間隔を空けて巻き付ける。このため、セラミックヒータ171の外面の巻合わせ部には、軸線L方向に沿って凹溝となるスリット17vが非発熱部として形成されている。
従って、セラミックヒータ171の径方向の断面を見ると、発熱部17aは有端環状をなしてセラミックヒータ171に埋設されると共に、発熱部17aの2つの環端17eの間に非発熱部となるスリット17vが形成されることになる。
【0036】
次に、
図4~
図11を参照し、液体加熱装置200のさらに詳細な構成について説明する。
図4に示すように、導入口103の第1開口領域Sは、セラミックヒータ171,172と軸線L方向に重なる位置に配置されると共に、第1軸心n1方向が軸線L方向に対して交差(本例では軸線L方向に対して垂直)している。なお、
図4は軸線L方向、および導入口103の軸線と直交する方向より透視した図である。又、第1開口領域S及び第1軸心n1方向との位置関係を比較する際の、「軸線L方向」とは、セラミックヒータ171、172の各軸線L方向を平均した方向である。
【0037】
ここで、
図5に示すように、「第1開口領域S」とは、導入口103の開口端103eの近傍103Rにおける第1軸心n1方向に開口端103eを投影した領域であり、開口端103eは、容器100の内周面100wと、導入口103との境界部である。この境界部は、導入口103付近で内周面100wから曲率が急激に変化した部位である。
又、「開口端103eの近傍103R」とは、開口端103eを含み、開口端103eよりも上流側の導入口103の内壁をいう。「第1軸心n1」とは、この内壁で形成される柱状体における軸心であり、柱状体の断面の重心を通る。
なお、
図5は容器100の内部空間100i側から導入口103へ向かって見たときの図である。
【0038】
「近傍103Rにおける第1軸心n1」を規定した理由の1つは、
図6に示すように、液体加熱装置200の温水洗浄便座の内部での取り回し等の関係で、例えば導入口103が上流側の先端部103fから屈曲した後、開口端103eへ繋がる場合に、先端部103fの内壁の軸心nfと区別するためである。
これは、後述するように、本発明においては、導入口103の開口端103eから内部空間100iへ向けて流れる液体Wの方向が重要であるからである。
【0039】
又、2つ目の理由は、
図7の破線に示すように、開口端103exが
図5よりも斜めに傾いていた場合に、第1軸心n100を例えば開口端103exの法線方向に定めたとすると、この法線方向は、開口端103eから内部空間100iへ向けて流れる液体Wの方向(第1軸心n1)と異なってしまうからである。これは、開口端103eから流れる液体Wは、近傍103Rにおける導入口103の内壁の向きで流れを規制され、「近傍103Rにおける第1軸心n1」の方向が重要であるからである。
【0040】
さらに、
図9に示すように、すべてのセラミックヒータ171,172及び導入口103と交わると共に軸線L方向に垂直な基準断面RSにおいて、セラミックヒータ171,172のスリット17vが容器100の長軸方向の外側に向いている。より具体的には、第1開口領域Sよりも外部にスリット17vが位置する。
なお、基準断面RSは、いずれかのセラミックヒータ171,172の軸線L方向に垂直であればよい。
【0041】
このようにすると、導入口103及び排出口105がセラミックヒータ171,172の軸線L方向に配置されている構造において、導入口103からセラミックヒータ171,172の外面に最初に高い流速で当たる液体Wの流れを示す第1開口領域Sの内部に、スリット17vが存在(対向)しないので、最初に内部空間100iの第1開口領域Sに導入された液体Wはスリット17v以外の発熱部17aで有効に加熱される。
その結果、流速の高い最初の液体Wの流れが加熱された後に、内部空間100i内を移動してゆくので、発熱部17aに液体Wが滞留して過熱されることを抑制し、過熱による沸騰気泡の発生を抑制できる。これにより、セラミックヒータ171,172が局所的に過熱して寿命が低下したり、上述の沸騰気泡が排出されずに封止部に接触してシール性が低下することを抑制できる。又、発熱部17aに水が滞留することを抑制し、液体W全体を均等に加熱して加熱効率が向上する。
【0042】
また、
図9に示すように、本例では、基準断面RSにおいて、第1軸心n1方向の延長線ELを挟んだ両側に、各セラミックヒータ171,172が1つずつ配置され、延長線ELは、各セラミックヒータ171,172の第2軸心17xと交わらない。
さらに、
図10に示すように、各セラミックヒータ171,172において、第2軸心17xとスリット17vの両端とを結ぶ直線と、容器の内周面100wと、に囲まれてなる領域RC外に延長線ELが位置する。
【0043】
このように、延長線ELがセラミックヒータ171,172の第2軸心17xと交わらないことは、基準断面RSから見て、延長線ELが第2軸心17xから偏移する(ずれる)ことを意味する。その結果、内部空間100iに導入された液体Wは第2軸心17xの中心から見てセラミックヒータ171,172の外面を対称に流れず、第2軸心17xに近い側(
図10の延長線EL側)に最初に流れ、セラミックヒータ171,172の外面に沿って径方向に回って第2軸心17xから遠い側へ向かう旋回流SFとなる。
これにより、発熱部17aに水が滞留することをさらに抑制し、加熱効率をさらに向上させるとともに、セラミックヒータの局所的な過熱やシール性の低下をさらに抑制できる。
【0044】
さらに加えて、領域RC外に延長線ELが位置することで、延長線ELに沿って最初に高い流速で流れる液体が領域RC外の発熱部17aで有効に加熱されてから、上述の旋回流SFとして移動してゆくので、発熱部17aに水が滞留することをさらに抑制し、加熱効率をさらに向上させるとともに、セラミックヒータの局所的な過熱やシール性の低下をさらに抑制できる。
【0045】
又、本例では、
図11に示すように、導入口103と排出口105との間における内部空間100iには、複数の各セラミックヒータ171,172を1個ずつ分離する隔壁100sが設けられ、導入口103から導入された水は、隔壁100s内を個々のセラミックヒータ171,172毎に流れるようになっている。
これにより、隔壁100s内の狭い隙間を水が流れて個々のセラミックヒータ171,172により加熱されるので、加熱効率がさらに向上する。
また、導入口103側でそれぞれのセラミックヒータ171,172の周囲に水の旋回流SFを生じさせた場合には、隔壁100s内を旋回流SFが別個に流れるので、各セラミックヒータ171,172の旋回流SFが合流して互いに打ち消し合うことを抑制し、発熱部17aに水が滞留することをさらに抑制できる。
【0046】
なお、本例では、
図12に示すように、排出口105近傍における内部空間100iには、隔壁100sが設けられず、単一の内部空間100iとなっている。
これにより、排出口105近傍で内部空間100iの容積が大きくなるので、導入口103側で生じた沸騰気泡が排出口105から外部へ抜けやすくなる。又、別個の隔壁100s内を加熱されてきた水が合流し、均一な温度の温水が得られる。
なお、
図8は液体加熱装置200の短軸の中心を通り、軸線L方向に切断した断面図であり、
図9,
図11,
図12は
図8の軸線L方向に垂直な断面図である。
【0047】
次に、
図13を参照し、本発明の第2の実施形態に係る液体加熱装置210について説明する。
なお、第2の実施形態に係る液体加熱装置210は、軸線L方向に見て第1の実施形態の導入口103と同じ位置に、2つの導入口1031,1032が軸線L方向に垂直な方向(胴部101の断面の長軸方向)に沿って2つ設けられ、容器110の形状が異なること以外は、第1の実施形態と同一形状であるので、適宜説明を省略し、
図9に相当する基準断面RSについて説明することとする。
なお、セラミックヒータ171、172が同一方向に(平行に)延びている。
又、図示しないが、導入口1031,1032の各第1開口領域S1,S2は、セラミックヒータ171,172と軸線方向に重なる位置に配置されると共に、2つの導入口1031,1032それぞれにおける各第1軸心n11,n12方向が軸線方向に対して交差する。
【0048】
図13に示すように、すべてのセラミックヒータ171,172及びすべての導入口1031,1032と交わると共に軸線L方向に垂直な基準断面RSにおいて、セラミックヒータ171,172のスリット17vが容器100の長軸方向の内側に向いている。より具体的には、各第1開口領域S1,S2よりも外部(
図13では内側)に、それぞれのセラミックヒータ171,172の各スリット17vが位置する。
なお、基準断面RSは、いずれかのセラミックヒータ171,172の軸線L方向に垂直であればよい。
【0049】
このようにすると、第1の実施形態と同様、導入口1031,1032及び排出口がセラミックヒータ171,172の軸線L方向に配置されている構造において、導入口1031,1032からセラミックヒータ171,172の外面に最初に高い流速で当たる液体Wの流れを示す第1開口領域S1,S2の内部に、スリット17vが存在(対向)しないので、最初に内部空間110iの各第1開口領域S1,S2に導入された液体Wはスリット17v以外の発熱部17aで有効に加熱される。
その結果、セラミックヒータ171、172が局所的に過熱して寿命が低下したり、上述の沸騰気泡が排出されずに封止部に接触してシール性が低下することを抑制できる。又、発熱部17aに水が滞留することを抑制し、水全体を均等に加熱して加熱効率が向上する。
【0050】
さらに、基準断面RSにおいて、2つの導入口1031,1032それぞれにおける各第1軸心n11,n12の延長線EL1、EL2の外部に、導入口1031,1032が並ぶ方向と同一方向に並んで配置され、延長線ELは、各セラミックヒータ171,172の第2軸心17xと交わらない。
さらに、各セラミックヒータ171,172において、第2軸心17xとスリット17vの両端とを結ぶ直線と、容器の内周面100wと、に囲まれてなる領域RC外に、各延長線EL1、EL2が位置する。
【0051】
このように、第1の実施形態と同様、基準断面RSから見て、延長線EL1、EL2が第2軸心17xから偏移しているので、水の流れがセラミックヒータ171の外面に沿って径方向に回って旋回流SF(
図13ではセラミックヒータ171,172の両外側から下方を通り、セラミックヒータ171,172の間へそれぞれ向かう方向)となる。
これにより、発熱部17aに水が滞留することをさらに抑制し、加熱効率をさらに向上させるとともに、セラミックヒータの局所的な過熱やシール性の低下をさらに抑制できる。
【0052】
さらに加えて、領域RC外に延長線EL1,EL2が位置することで、延長線EL1,EL2に沿って最初に高い流速で流れる液体が領域RC外の発熱部17aで有効に加熱されてから、上述の旋回流として移動してゆくので、発熱部17aに水が滞留することをさらに抑制し、加熱効率をさらに向上させるとともに、セラミックヒータの局所的な過熱やシール性の低下をさらに抑制できる。
【0053】
なお、2個のセラミックヒータの各第2軸心17xが延長線EL1,EL2の「外部に配置され」とは、上記のように延長線EL1,EL2の間に各第2軸心17xが挟まれる場合に限られない。つまり、
図14に示すように、少なくとも一方の導入口1032の第1軸心n12が、少なくとも一方のセラミックヒータ171の第2軸心17xよりも内側(セラミックヒータ171,172の間)にある場合も含む。
【0054】
次に、
図15を参照し、本発明の第3の実施形態に係る液体加熱装置220について説明する。
なお、第3の実施形態に係る液体加熱装置220は、セラミックヒータ171が1つであり、容器120の形状が異なること以外は、第1の実施形態と同一形状であるので、適宜説明を省略し、
図9に相当する基準断面RSについて説明することとする。
又、図示しないが、導入口123の第1開口領域Sは、セラミックヒータ171と軸線方向に重なる位置に配置されると共に、導入口123における第1軸心n1方向が軸線方向に対して交差する。
【0055】
図15に示すように、液体加熱装置220において容器120(胴部121)は、液体W(水)を収容する内部空間120iを有する円筒状をなし、液体加熱装置220も全体として略円筒状をなしている。又、セラミックヒータ171の軸線L方向が胴部121の軸方向に沿うようにしてセラミックヒータ171が胴部121の内部空間120iに収容されている。
【0056】
そして、液体加熱装置220においても、基準断面RSにおいて、セラミックヒータ171のスリット17vが容器100の長軸方向の内側に向いている。より具体的には、第1開口領域Sよりも外部にスリット17vが位置する。
これにより、第1の実施形態と同様、最初に内部空間110iの第1開口領域Sに導入された液体Wはスリット17v以外の発熱部17aで有効に加熱される。その結果、セラミックヒータ171が局所的に過熱して寿命が低下したり、シール性が低下することを抑制できる。又、発熱部17aに水が滞留することを抑制し、水全体を均等に加熱して加熱効率が向上する。
【0057】
さらに、本例でも、基準断面RSにおいて、延長線ELは、セラミックヒータ171の第2軸心17xと交わらないと共に、第2軸心17xとスリット17vの両端とを結ぶ直線と、容器の内周面120と、に囲まれてなる領域RC(
図9と同様なので図示せず)外に延長線ELが位置する。
これにより、第1の実施形態と同様、水の流れがセラミックヒータ171の外面に沿って径方向に回る旋回流SFとなる。
これにより、発熱部17aに水が滞留することをさらに抑制し、加熱効率をさらに向上させるとともに、セラミックヒータの局所的な過熱やシール性の低下をさらに抑制できる。
【0058】
さらに加えて、領域RC外に延長線ELが位置することで、延長線ELに沿って最初に高い流速で流れる液体が領域RC外の発熱部17aで有効に加熱されてから、上述の旋回流SFとして移動してゆくので、発熱部17aに水が滞留することをさらに抑制し、加熱効率をさらに向上させるとともに、セラミックヒータの局所的な過熱やシール性の低下をさらに抑制できる。
【0059】
次に、
図16、
図17を参照し、本発明の第4の実施形態に係る液体加熱装置230について説明する。
なお、第4の実施形態に係る液体加熱装置230は、セラミックヒータ171、172,173が3つであり、容器130の形状が異なること以外は、第1の実施形態と同一形状であるので、適宜説明を省略し、
図9に相当する基準断面RSについて説明することとする。
又、
図17に示すように、導入口133の第1開口領域Sは、セラミックヒータ171、172,173と軸線方向に重なる位置に配置されると共に、導入口133における第1軸心n1方向が軸線方向に対して交差する。
【0060】
図16に示すように、液体加熱装置230において容器130(胴部131)は、液体W(水)を収容する内部空間130iを有する略円筒状をなし、液体加熱装置230も全体として略円筒状をなしている。
より詳細には、胴部131は、3つの円筒を軸方向に揃えて接しつつ繋げた形状をなし、内部空間130iの断面も3つの円を接して繋げつつ、1つの空間とした形状をなす。
又、各セラミックヒータ171、172,173の軸線L方向が胴部131の軸方向に沿うようにして各セラミックヒータ171、172,173が胴部131の内部空間130iに収容されている。
【0061】
そして、基準断面RSにおいて、各セラミックヒータ171、172,173は、第1軸心n1の延長線ELを挟んだ両側に3つのうちの2つが配置される第1セラミックヒータ171、172と、他の2つよりも第1軸心n1方向に導入口133から遠い位置で自身の第2軸心17xが他2つの第2軸心17xの間に配置される第2セラミックヒータ173からなり、それぞれの第2軸心17xが頂点となる三角形を形成している。
【0062】
また、基準断面RSにおいて、第1軸心n1方向における第1セラミックヒータ171、172と、第2セラミックヒータ173との間には、第1セラミックヒータ171、172と、第2セラミックヒータ173との間の隙間を形成しつつ容器130の内壁から第1開口領域S内に延びる1つの邪魔板235が配置されている。
【0063】
そして、液体加熱装置230においても、基準断面RSにおいて、第1セラミックヒータ171、172の各スリット17vが容器100の長軸方向の内側に向いている。又、第2セラミックヒータ173のスリット17vが下方(導入口133から遠い側)に向いている。より具体的には、第1開口領域Sよりも外部に各セラミックヒータ171、172,173のスリット17vが位置する。
これにより、第1の実施形態と同様、最初に内部空間130iの第1開口領域Sに導入された液体Wはスリット17v以外の発熱部17aで有効に加熱される。その結果、セラミックヒータ171が局所的に過熱して寿命が低下したり、シール性が低下することを抑制できる。又、発熱部17aに水が滞留することを抑制し、水全体を均等に加熱して加熱効率が向上する。
【0064】
さらに、本例でも、基準断面RSにおいて、延長線ELは、第1セラミックヒータ171、172の第2軸心17xと交わらないと共に、第2軸心17xとスリット17vの両端とを結ぶ直線と、容器の内周面120と、に囲まれてなる領域RC(
図9と同様なので図示せず)外に延長線ELが位置する。
これにより、第1の実施形態と同様、水の流れがセラミックヒータ171、172の外面に沿って径方向に回る旋回流SFとなる。
これにより、発熱部17aに水が滞留することをさらに抑制し、加熱効率をさらに向上させるとともに、セラミックヒータの局所的な過熱やシール性の低下をさらに抑制できる。
【0065】
さらに加えて、領域RC外に延長線ELが位置することで、延長線ELに沿って最初に高い流速で流れる液体が領域RC外の発熱部17aで有効に加熱されてから、上述の旋回流SFとして移動してゆくので、発熱部17aに水が滞留することをさらに抑制し、加熱効率をさらに向上させるとともに、セラミックヒータの局所的な過熱やシール性の低下をさらに抑制できる。
【0066】
ところで、
図16に示すように、液体加熱装置230において基準断面RSを見たとき、各セラミックヒータ171、172,173は第1軸心n1方向に2段に配置されている。そして、そのうち導入口133から遠い側の第2セラミックヒータ173には液体Wが旋回流SFとして流れ難い。
そこで、上述の邪魔板235を第1セラミックヒータ171、172と、第2セラミックヒータ173との間に隙間Gを形成しつつ配置する。これにより、第1セラミックヒータ171、172の間を、第1開口領域Sを通って第2セラミックヒータ173に向けて流れてきた液体Wは、邪魔板235で流れを規制されつつ、隙間Gから第2セラミックヒータ173へ流れてくる。
【0067】
ここで、邪魔板235を容器230の内壁から第1開口領域S内に延ばすことで、導入口133から液体Wが流れてゆく流路である第1開口領域Sに邪魔板235が介在し、液体Wが邪魔板235に当たって旋回流SFが生じやすくなる。
さらに、邪魔板235を1個とすることで、基準断面RSを見たとき、第2セラミックヒータ173に液体Wを流入させる隙間Gは、第2セラミックヒータ173に対して第1軸心n1方向に交差する方向に非対称となる。
その結果、第2セラミックヒータ173の周囲の内部空間130iに導入された液体Wは、第2セラミックヒータ173の周囲を対称に流れず、隙間Gに近い側に最初に流れ、第2セラミックヒータ173の外面に沿って径方向に回る旋回流SFとなる。
【0068】
なお、このように、邪魔板235によって旋回流SFを生じさせることから、第2セラミックヒータ173の第2軸心17xが延長線ELと交わらないか否かは必須ではなく、
図16では第2軸心17xが延長線ELと交わっている。
一方、隙間Gに近い側から最初に流入する液体Wをスリット17vに接触させずに発熱部17aで有効に加熱させる観点からは、第2セラミックヒータ173の第2軸心17xとスリット17vの両端とを結ぶ直線と、容器130の内周面と、に囲まれてなる領域RC(
図9と同様なので図示せず)外に隙間Gが位置するとよい。
なお、隙間Gは、邪魔板235の先端と、対向する容器130の内周面との最短距離の線分で表すものとする。
【0069】
又、
図17に示すように、軸線L方向に見て、邪魔板235は第1開口領域S内にのみ形成されている。そして、第1開口領域Sよりも排出口105側における内部空間100iには、
図11と同様、各セラミックヒータ171~173を1個ずつ分離する隔壁130sが設けられ、導入口133から導入された水は、隔壁130s内を個々のセラミックヒータ171~173毎に流れるようになっている。
【0070】
次に、
図18を参照し、本発明の第5の実施形態に係る液体加熱装置240について説明する。
なお、第5の実施形態に係る液体加熱装置240は、セラミックヒータ171、172,173、174が4つであり、容器140の形状が異なること以外は、第1の実施形態と同一形状であるので、適宜説明を省略し、
図9に相当する基準断面RSについて説明することとする。
又、図示しないが、導入口143の第1開口領域Sは、セラミックヒータ171、172,173、174と軸線方向に重なる位置に配置されると共に、導入口143における第1軸心n1方向が軸線方向に対して交差する。
【0071】
図18に示すように、液体加熱装置240において容器140(胴部141)は、液体W(水)を収容する内部空間140iを有する略四角筒状をなし、液体加熱装置240も全体として略四角筒状をなしている。
より詳細には、胴部141は、四角筒の4つの角部を断面が円形になるように面取りした形状をなし、内部空間140iの断面は4つの円が第1軸心n1の延長線ELを挟んだ両側に、第1軸心n1方向に沿って2列で配置された形状をなす。又、内部空間140iの断面をなす4つの円は、それぞれ第1開口領域Sに連通して1つの空間となっている。
さらに、各セラミックヒータ171、172,173、174の軸線L方向が胴部141の軸方向に沿うようにして各セラミックヒータ171、172,173、174が胴部141の内部空間140iに収容されている。
【0072】
そして、基準断面RSにおいて、各セラミックヒータ171、172,173、174は、上述した内部空間140iの断面における4つの円の内部にそれぞれ配置されている。
より具体的には、第1軸心n1の延長線ELを挟んだ両側に沿って各セラミックヒータ171、172,173、174が2列で配置されている。なお、第1軸心n1方向に沿って2つのセラミックヒータ171、172が導入口143に近い側に配置され、他の2つのセラミックヒータ173,174がセ導入口143から遠い側に配置されている。
【0073】
また、基準断面RSにおいて、第1軸心n1方向における隣接するセラミックヒータ171、174と、隣接するセラミックヒータ172、173との間には、当該隣接するセラミックヒータの間に隙間Gを形成しつつ容器140の両側の内壁から第1開口領域S内にそれぞれ延びる1対(2つ)の邪魔板245,246が配置されている。
より詳細には、隣接するセラミックヒータ172、173の間に邪魔板245が配置され、隣接するセラミックヒータ171、174の間に邪魔板246が配置されている。
【0074】
そして、基準断面RSにおいて、各セラミックヒータ171、172,173、174の各スリット17vが容器140の長軸方向の外側に向いている。より具体的には、第1開口領域Sよりも外部に各セラミックヒータ171、172,173、174のスリット17vが位置する。
これにより、第1の実施形態と同様、最初に内部空間140iの第1開口領域Sに導入された液体Wはスリット17v以外の発熱部17aで有効に加熱される。その結果、セラミックヒータ171が局所的に過熱して寿命が低下したり、シール性が低下することを抑制できる。又、発熱部17aに水が滞留することを抑制し、水全体を均等に加熱して加熱効率が向上する。
【0075】
さらに、本例でも、基準断面RSにおいて、延長線ELは、各セラミックヒータ171、172,173、174の第2軸心17xと交わらないと共に、第2軸心17xとスリット17vの両端とを結ぶ直線と、容器の内周面120と、に囲まれてなる領域RC(
図9と同様なので図示せず)外に延長線ELが位置する。
これにより、第1の実施形態と同様、水の流れが各セラミックヒータ171、172,173、174の外面に沿って径方向に回る旋回流SFとなる。
これにより、発熱部17aに水が滞留することをさらに抑制し、加熱効率をさらに向上させるとともに、セラミックヒータの局所的な過熱やシール性の低下をさらに抑制できる。
【0076】
さらに加えて、領域RC外に延長線ELが位置することで、延長線ELに沿って最初に高い流速で流れる液体が領域RC外の発熱部17aで有効に加熱されてから、上述の旋回流SFとして移動してゆくので、発熱部17aに水が滞留することをさらに抑制し、加熱効率をさらに向上させるとともに、セラミックヒータの局所的な過熱やシール性の低下をさらに抑制できる。
【0077】
ところで、
図18に示すように、液体加熱装置240において基準断面RSを見たとき、各セラミックヒータ171、172,173、174は第1軸心n1方向に2段に配置されている。そして、そのうち導入口143から遠い側の2段目以降のセラミックヒータ173、174には液体Wが旋回流SFとして流れ難い。
そこで、上述の邪魔板245,246を隣接するセラミックヒータ171、174と、隣接するセラミックヒータ172、173との間に隙間Gを形成しつつ配置する。これにより、1段目の第1セラミックヒータ171、172の間を、第1開口領域Sを通って2段目のセラミックヒータ173,174に向けて流れてきた液体Wは、邪魔板245,246で流れを規制されつつ、隙間Gから2段目のセラミックヒータ173,174へ流れてくる。
【0078】
ここで、2つの邪魔板245,246を容器240の内壁から第1開口領域S内にそれぞれ延ばすことで、導入口143から液体Wが流れてゆく流路である第1開口領域Sに邪魔板245,246が介在し、液体Wが邪魔板245,246に当たって旋回流SFが生じやすくなる。
さらに、邪魔板245,246があることで、基準断面RSを見たとき、2段目の各セラミックヒータ173,174に液体Wを流入させる隙間Gは、各セラミックヒータ173,174毎に第1軸心n1方向に交差する方向に非対称となる。
その結果、各セラミックヒータ173,174の周囲の内部空間140iに導入された液体Wも、各セラミックヒータ173,174の周囲を対称に流れず、隙間Gに近い側に最初に流れ、各セラミックヒータ173,174の外面に沿って径方向に回る旋回流SFとなる。
【0079】
なお、液体加熱装置240において、邪魔板245,246によって旋回流SFを生じさせているが、2段目以降のセラミックヒータも、1段目のセラミックヒータと同様に延長線ELを挟んだ両側に配置されている。このため、2段目以降の各段における2つのセラミックヒータの第2軸心17xも、1段目と同様、延長線ELと交わらないことが好ましい。
なお、隙間Gは、邪魔板245,246の先端同士の最短距離の線分で表すものとする。
又、
図17と同様、軸線L方向に見て、邪魔板245,246は第1開口領域S内にのみ形成されている。
【0080】
本発明は上記実施形態に限定されず、本発明の思想と範囲に含まれる様々な変形及び均等物に及ぶことはいうまでもない。
例えば、液体加熱装置やセラミックヒータの形状は限定されない。
【実施例0081】
図1に示す液体加熱装置200を製造した。
まず、セラミックヒータの原料セラミックとして、アルミナ粉および焼結助材となるガラス成分粉をミルで水と粉砕混合し、バインダを混ぜて粘土状の混合体を得た。これを押出機にて中子を設置した口金にて押出し、筒状のセラミック基体を形成して所定長さに切断し、仮焼した。セラミック基体の外径および長さは焼成収縮率を考慮し対応した。
一方でアルミナグリーンシート上にタングステン、モリブデンペーストでヒータパターンおよびこれに繋がってシート反対面に繋がる端子部を印刷、形成した。ヒータ印刷エリアのサイズはセラミック焼成時の収縮率を加味して寸法を規定した。ヒータパターンは高温時の抵抗値、温度上昇分の抵抗変動量(抵抗温度係数×温度差×初期抵抗値)から室温時の抵抗値を算出し、形成した。また、シートサイズも同様に焼成収縮率を考慮し準備、切断した。
【0082】
既定のサイズに切断した印刷済みセラミックグリーンシートを仮焼済みのセラミック基体に巻付け、一体焼成し、完成時のヒータ全長60mm、ヒータエリア長30mm、外径2.8mm、室温抵抗値9Ωのセラミックヒータを得た。ヒータ焼成体の露出端子部にNiメッキを施し、Ni製リード部をAgロウにてロウ付け接合した。さらに、リード部にリード線をカシメてセラミックヒータとした。
【0083】
次に、樹脂製の容器に2本のセラミックヒータを取り付けた。具体的には、後端蓋の2つの貫通孔に各セラミックヒータを貫通させ、封止部としてエポキシ接着剤を用いて各セラミックヒータを固定した。そして、Oリングを介して、後端蓋、胴部、先端蓋を気密に接続し、液体加熱装置200を製造した。
得られた液体加熱装置200に、流量450cc/min、水温5℃の水を導入し、出湯温度が35℃となるようにセラミックヒータ1本当たりの印加電圧を制御した。
その結果、封止部は常に水中に浸漬され、発生した沸騰気泡が封止部近傍に滞留することがなかった。又、液体加熱装置200に連続して上記流量の水を流し、15秒印加、15秒印加停止のサイクルを10サイクル連続しても温水が正常に得られた。その際、ヒータごとの抵抗値変化は同等であったので、それぞれのヒータ温度は同等であると考えられる。