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  • 特開-基板外観検査装置 図1
  • 特開-基板外観検査装置 図2
  • 特開-基板外観検査装置 図3
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2022177374
(43)【公開日】2022-12-01
(54)【発明の名称】基板外観検査装置
(51)【国際特許分類】
   B65G 51/03 20060101AFI20221124BHJP
【FI】
B65G51/03 C
【審査請求】未請求
【請求項の数】3
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2021083574
(22)【出願日】2021-05-18
(71)【出願人】
【識別番号】591137787
【氏名又は名称】株式会社ヒューブレイン
(74)【代理人】
【識別番号】110003155
【氏名又は名称】特許業務法人バリュープラス
(72)【発明者】
【氏名】蒲田 喜彦
(57)【要約】
【課題】基板の搬送を検査時に一旦停止するから、効率よく表裏両面の外観検査を行えないという課題を解決する。
【解決手段】基板外観検査装置1は、基板Wの搬送路を形成すると共に内部中空とされ、かつ上面に無数の空気噴出孔hを有したチャンバー2が、間隔Sを空けて少なくとも搬送方向に2分割され、間隔Sを通過する基板Wを撮像する搬送面側カメラ4Aと、この間隔Sの搬送方向の前に配置された開放面側カメラ4Bにより、プッシャー5で押し出されて間隔S方向に搬送される基板Wの表裏を一旦停止することなく撮像する構成である。
【効果】基板Wを浮揚状態としてプッシャー5により押し出すことで高速に移動させることができ、また、間隔S部位とこの間隔S部位前又は後とで基板の搬送面側と開放面側を撮像するから、極小でかつ多量の基板の両面の外観検査を効率よく行える。
【選択図】図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
極小の電子基板の表裏両面の外観検査を行うために、基板の搬送路を形成すると共に内部中空とされたチャンバーと、このチャンバーの上面に設けた無数の空気噴出孔又は上面を開放した該チャンバーの開放面を塞ぐように設けた無数の空気噴出孔が形成されたポーラスプレートと、前記チャンバーを介して前記空気噴出孔から噴出する空気を送るエアポンプと、前記チャンバーは基板の搬送方向寸法の1/2未満の間隔を空けて少なくとも搬送方向に2分割され、この間隔を通過する基板を撮像する搬送面側カメラと、この間隔の搬送方向の前又は後に配置された開放面側カメラと、搬送路の前記間隔手前に位置する基板を該間隔方向に押し出すプッシャーと、を備えた基板外観検査装置。
【請求項2】
前記チャンバーは、基板の搬送方向と直交する方向の縁部に該搬送方向に延びたガイドを設けると共に、該ガイド側が下方となるように傾けている請求項1記載の基板外観検査装置。
【請求項3】
前記チャンバーは、基板の搬送方向において前記間隔手前に位置するプッシャーの押し出し初期位置側が下方となるように傾けている請求項1又は2記載の基板外観検査装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、極小で繊細な電子機器に用いられる基板外観検査装置に関する。
【背景技術】
【0002】
例えば、特許文献1(特開2001-41905号公報)には、ガラスシートの表面を接触させることなく支持し、かつガラスシートの振動を減衰させて高速移動させることを目的として次の構成を提案している。
【0003】
すなわち、特許文献1は、垂直線に対し傾斜している第1軸線に平行な平面に配置された傾斜した空気テーブルと、第1軸線に沿いかつ空気テーブルに平行にシート材料を移動させるとともに、シート材料を単独にその下縁に沿って物理的に支持する手段と、シート材料の表面部との物理的接触を避け得るように、該シート材料を、空気テーブルに平行にかつ空気テーブルから所望の距離離して支持する空気供給手段と、走査手段と、シート材料の少なくとも一方の面を横切る第2軸線にそって操作手段を移動させる手段とを備える構成である。
【0004】
また、例えば、特許文献2(特開2003-270155号公報)には、基板の裏面からの照射を遮ることなく、基板の撓みや振動の発生を抑えて整列移動させる目的で、ガラス基板を保持する開口部が形成されたガラス部材よりなるホルダに対向してガラス平板を支持し、剛性の強いホルダ上でガラス基板を吸着保持する構成が示されている。
【0005】
以下、特許文献1のガラスシート、特許文献2のガラス基板を、「基板」と読み替えて説明する。特許文献1は外観検査時に基板を傾けた状態で、空隙の上に配置することで振動を抑え、かつ非接触の状態で静止させて安定した状態とする構成であるが、この構成であると、一旦基板をストップさせることとなるので、多量の基板の外観検査を行うには時間がかかるといった問題がある。
【0006】
また、特許文献2は、基板の振動の発生を抑えて整列移動させる構成として、枠の段差上に気密性を保つように設けられたホルダの中央部に基板を噴き上げる開口部が形成され、この開口部の外周部には基板の周縁部を吸着保持する吸着パッドを装着する多数の空気孔10が形成されているが、特許文献2においても位置調整のために、検査時に基板を一旦停止する構成であるため、多量の基板の外観検査を行うには時間がかかるといった問題がある。
【0007】
本願で言う基板は電子部品を意味するが、近年の電子部品は極小化の一途をたどり、かつ出荷するために扱う量も多量で、そのうえ片面だけでなく両面を検査する必要があるので、一旦停止(間欠移動)させたり、表面の検査後に表裏裏反転させて裏面を検査したりするようでは、全量検査完了までに非常に時間がかかってしまうこととなる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0008】
【特許文献1】特開2001-41905号公報
【特許文献2】特開2003-270155号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0009】
解決しようとする問題は、基板の搬送を検査時に一旦停止するから、効率よく表裏両面の外観検査を行えなかった点である。
【課題を解決するための手段】
【0010】
上記課題を解決するため、本発明は、基板の搬送路を形成すると共に内部中空とされたチャンバーと、このチャンバーの上面に設けた無数の空気噴出孔又は上面を開放した該チャンバーの開放面を塞ぐように設けた無数の空気噴出孔が形成されたポーラスプレートと、前記チャンバーを介して前記空気噴出孔から噴出する空気を送るエアポンプと、前記チャンバーは基板の搬送方向寸法の1/2未満の間隔を空けて少なくとも搬送方向に2分割され、この間隔を通過する基板を撮像する搬送面側カメラと、この間隔の搬送方向の前又は後に配置された開放面側カメラと、搬送路の前記間隔手前に位置する基板を該間隔方向に押し出すプッシャーと、を備えた構成とした。
【発明の効果】
【0011】
本発明は、チャンバーが搬送路を形成し、該チャンバーから上面に向けて空気が噴出されているので基板は浮揚状態となり、浮揚状態の基板をプッシャーにより押し出すことで基板が搬送路を高速に移動する。また、本発明は、チャンバー同士の、基板の搬送方向の寸法の1/2未満の間隔を空けた部位において、一旦停止することなく浮揚しつつ移動する基板の搬送面側を、該間隔の搬送路の前又は後で基板の開放面側を、を裏面カメラで撮像する。よって、本発明は、極小でかつ多量の基板の両面を効率よく外観検査することが可能となる。
【図面の簡単な説明】
【0012】
図1】本発明の基板外観検査装置の概略構成を示し、(a)は上方から見た概略図、(b)は(a)のA方向から見た概略図、である。
図2】本発明の基板外観検査装置の概略構成を示し、図1(b)のB方向から見た図である。
図3】本発明の基板外観検査装置における基板の搬送路の傾きを説明するために、(a)は図1(a)のA方向から見たチャンバー周辺のみを、(b)は図1(b)のB方向から見たチャンバー周辺のみを、各々示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0013】
本発明は、基板の搬送を検査時に一旦停止するから、効率よく表裏両面の外観検査を行うことができないという課題を、基板の搬送路を形成すると共に内部中空とされたチャンバーと、このチャンバーの上面に設けた無数の空気噴出孔又は上面を開放した該チャンバーの開放面を塞ぐように設けた無数の空気噴出孔が形成されたポーラスプレートと、前記チャンバーを介して前記空気噴出孔から噴出する空気を送るエアポンプと、前記チャンバーは基板の搬送方向寸法の1/2未満の間隔を空けて少なくとも搬送方向に2分割され、この間隔を通過する基板を撮像する搬送面側カメラと、この間隔の搬送方向の前又は後に配置された開放面側カメラと、搬送路の前記間隔手前に位置する基板を該間隔方向に押し出すプッシャーと、を備えることで改善した。
【0014】
本発明は主に電子機器の基板両面の外観検査を行う際に使用される。昨今の電子機器の基板や電子部品そのものが極小化されており、製造現場では、単位時間あたりの1枚の基板の両面検査に必要とされる時間の短縮化に苦慮していた。
【0015】
また、電子機器の基板は電子機器や配線が実装された状態では高速に移動させる、つまり搬送路の搬送面に激しく擦ると正常な基板であっても破損することがある。したがって、本発明は、基板を浮揚させることで基板と搬送路の搬送面とを非接触とし、かつこの摩擦抵抗の低い状態を利用してプッシャーで押し出すことで、搬送路を高速に移動させることができることとなった。
【0016】
そして、チャンバー同士の間隔は該チャンバーからの空気の噴出がない部位であるが、該間隔を基板の搬送方向寸法の1/2未満とすることで、搬送される基板の搬送方向の先端が間隔に落ち込んだり、引っかかって停止したりするといったトラブルが生じない。したがって、基板は安定して浮揚しつつ搬送される。
【0017】
また、チャンバー同士の間隔における空気噴出方向と反対側には搬送面側カメラが設けられ、間隔部位を通過する基板の搬送面側を撮像することができる。基板の開放面側は、この間隔を挟んで搬送方向の前又は後位置に設けておけばよい。
【0018】
チャンバーの間隔は、基板の搬送方向寸法に応じて上記の条件範囲内で変更すればよいが、できるだけ上記条件範囲の上限、すなわち基板の搬送方向寸法の1/2として間隔を広くとることが望ましい。また、チャンバーは、その上面に無数の空気噴出孔が予め形成されたものを採用してもよいが、無数の空気噴出孔が形成されたポーラスプレートを上面に配置する構成とすることで、目詰まり等が生じた際の清掃や空気噴出孔の径や数の変更がポーラスプレートの変更によって容易に行うことができるといったメリットがある。
【0019】
また、本発明は、上記構成において、チャンバーに基板の搬送方向と直交する方向の縁部に該搬送方向に延びたガイドを設けると共に、該ガイド側が下方となるように傾けた構成としてもよい。
【0020】
上記構成では、予め基板が整列されて本発明の基板外観検査装置の工程に搬送されてきた場合を想定しているが、場合によっては特に整列されずに当該工程に搬送されてくる場合もある。また、例え整列されていても場合によっては浮揚により整列姿が崩れる場合もある。そこで、チャンバーにガイドを設けておき、チャンバーを該ガイド側が下方となるように傾けておけば、基板は重力でガイド側に移動して、ガイドに当接することで整列されることとなる。
【0021】
さらに、本発明は、上記において、チャンバーを基板の搬送方向において間隔手前に位置するプッシャーの押し出し初期位置側が下方となるように傾けた構成としてもよい。
【0022】
上記構成では、チャンバーで形成される搬送路上の始端で最初にプッシャーが基板を押し出すことで浮揚しながら移動することを想定しているが、場合によっては特に整列されずに当該工程に搬送されてくる場合もある。また、例え整列されていても場合によっては浮揚により整列姿が崩れる場合もある。
【0023】
そこで、チャンバーを該プッシャーの押し出し初期位置側が下方となるように傾けることで、プッシャーに基板を当接して、安定した整列姿で搬送させることができる。ただし、この構成の場合は、基板の搬送速度がプッシャーの移動速度に依存することとなる反面、プッシャーの移動速度が定速であるがゆえに単位時間あたりの外観検査処理数を容易にコントロールすることができるといったメリットがある。
【実施例0024】
以下、図1図3を参照して本発明の具体的実施形態について説明する。本発明の基板外観検査装置1(以下、検査装置1と記す)は、極小の基板Wの表裏両面の外観検査を、効率よく行うために、次の構成とされている。なお、本実施例では、基板Wとは電子機器に用いられるもので説明する。
【0025】
2は、内部中空とされたチャンバーである。このチャンバー2は、本例では、搬送方向に2台、間隔Sを開けて設けている。間隔Sは例えば本例では基板Wの搬送方向寸法の1/2としている。間隔Sを挟んで設けた2台のチャンバー2,2により基板Wの搬送路を形成する。そして、チャンバー2は、本例では例えば上面を開放し、この開放面を塞ぐように、無数の空気噴出孔hが形成されたポーラスプレート2Aを設けている。
【0026】
本例において、チャンバー2,2の、基板Wの搬送方向と直交する方向の縁部には間隔Sを跨いで該搬送方向に延びたガイド2Bが設けられている。そして、チャンバー2,2は、該ガイド2B側が下方となるように傾けられている。このチャンバー2,2の傾きは2°~8°程度である。2°より傾きが小さいとガイド2Bに基板Wが当接しない可能性があり、8°より傾きが大きいとガイド2Bを基板Wが飛び越えてしまう可能性がある。
なお、図面においては誇張して傾けて示している。
【0027】
さらに、本例において、チャンバー2,2は、基板Wの搬送方向において間隔S手前、つまり搬送方向で言えば上流側で、後述するプッシャー5の押し出し初期位置側が下方となるように傾けられている。このチャンバー2,2の傾きは、5°~15°程度である。5°より傾きが小さいとプッシャー5の最初の押し出しで勢いよく基板Wが移動し、該プッシャー5に当接しない可能性があり、15°より傾きが大きいと基板Wが表裏反転してしまう可能性があると共に、次工程(下流工程)の搬送系との高さ調整が困難になる可能性がある。
【0028】
3は、チャンバー2,2のそれぞれにバルブを介して接続されて該チャンバーに向けて空気を供給するエアポンプである。このエアポンプ3,3は、本例では各チャンバー2,2に対応して設けて同圧で同じ空気噴出量となるように調整しているが、これに限らず、1台のエアポンプ3からパイプを分岐させて各チャンバー2,2に接続するようにしてもよい。
【0029】
4は、基板Wを撮像するカメラである。本例では、間隔Sを通過する基板Wを撮像する搬送面側カメラ4Aと、この間隔Sの搬送方向の例えば手前側に配置された開放面側カメラ4Bと、を設けている。搬送面側カメラ4Aと、開放面側カメラ4Bは、その光軸が、搬送面と直交するように設けられており、搬送路の幅全域を視野角に入れるように設けられている。つまり、本例では、チャンバー2,2が上記のとおりガイド側、プッシャー5の押し出し初期位置側、を下方に傾けて設けているので、搬送面側カメラ4Aと、開放面側カメラ4Bも水平に対して傾けて設けていることになる。
【0030】
5は、搬送路の間隔S手前に位置する基板Wを該間隔S方向に押し出すプッシャーである。このプッシャー5は、搬送路上に接触して設けられて基板Wと当接する押し板5Aと、この押し板5Aとガイド2Bを超えた搬送路外で接続した可動部5Bと、この可動部5Bを移動させる本例ではスクリューねじ5Cと、このスクリューねじ5Cと同軸で設けたギヤ5Dと、このギヤ5Dと噛合するピニオンギヤ5Eを介して回転動力を付与するモータ5Fと、からなる。
【0031】
上記構成の検査装置1は、次のように動作する。チャンバー2はエアポンプ3から供給される空気がポーラスプレート2Aの空気噴出孔hから噴出している。プッシャー5の押し板5Aは初期位置では図1(a)に示す状態では紙面左端に位置している。ここに上流工程から、搬送方向と直交する方向、図1(a)に示す状態では紙面下方から基板Wが搬送されると、該基板Wは即座に浮揚状態となって、チャンバー2,2の傾斜によりガイド2Bと、押し板5Aとに当接する。
【0032】
そして、モータ5Fを作動させると、ピニオンギヤ5E、ギヤ5Dを介してスクリューねじ5Cが回転し、これに伴って可動部5B及びこの可動部5Bに接続された押し板5Aが移動し、押し板5Aと当接した状態の基板Wは搬送路を搬送される。
【0033】
基板Wの搬送中に、開放面側カメラ4B位置に基板Wが達すると、該開放面側カメラ4Bは基板Wの開放面(上面)を撮像し、間隔Sに基板Wが達すると、搬送面側カメラ4Aは基板Wの搬送面(下面)を撮像する。カメラ4の撮像データは不図示の制御部へ送られ、該制御部において画像処理技術でもって外観異常の有無を判断する。
【0034】
基板Wが間隔Sを通過して搬送路の終端まで達すると、下流工程の別の機構により当該基板Wは搬送路から排除される。搬送路に基板Wが存在しなくなった後、押し板5Aはモータ5Fの高速逆回転により、初期位置へ戻り、押し板5Aが初期位置に戻った後に次の基板Wが上流工程から搬送される。
【0035】
このように、本発明であれば、搬送路の始端から終端に至るまでに基板Wを外観検査のために一時停止することなく、また、始端から終端に至るまでに上面側と下面側の外観検査を終えることができるので、単位時間当たりの処理能力は高くなり、多量の基板Wを効率よく外観検査することが可能となる。
【符号の説明】
【0036】
1 (基板外観)検査装置
2 チャンバー
2A ポーラスプレート
2B ガイド
3 エアポンプ
4 カメラ
4A 搬送面側カメラ
4B 開放面側カメラ
5 プッシャー
5A 押し板
h 空気噴出孔
S 間隔
W 基板
図1
図2
図3