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  • 特開-開口部建材 図1
  • 特開-開口部建材 図2
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2022177395
(43)【公開日】2022-12-01
(54)【発明の名称】開口部建材
(51)【国際特許分類】
   E06B 3/263 20060101AFI20221124BHJP
   E06B 1/16 20060101ALI20221124BHJP
【FI】
E06B3/263 B
E06B1/16 A
【審査請求】未請求
【請求項の数】1
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2021083604
(22)【出願日】2021-05-18
(71)【出願人】
【識別番号】000175560
【氏名又は名称】三協立山株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100136331
【弁理士】
【氏名又は名称】小林 陽一
(72)【発明者】
【氏名】金森 英晃
【テーマコード(参考)】
2E014
【Fターム(参考)】
2E014BA02
2E014BA08
2E014BB01
2E014BD01
(57)【要約】
【課題】 開口部建材の断熱性の向上。
【解決手段】 室外側形材7,12,16と、室内側形材8,13,17と、室外側形材7,12,16と室内側形材8,13,17の間に配置したシート状の断熱材11,14,18とを備え、シート状の断熱材11,14,18は、断熱性と撥水性または疎水性を有している。
【選択図】 図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
室外側形材と、室内側形材と、室外側形材と室内側形材の間に配置したシート状の断熱材とを備え、シート状の断熱材は、断熱性と撥水性または疎水性を有していることを特徴とする開口部建材。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、開口部建材に関する。
【背景技術】
【0002】
開口部建材において、断熱性の向上が求められていた。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0003】
本発明は以上に述べた実情に鑑み、開口部建材の断熱性の向上を目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0004】
上記の課題を達成するために請求項1記載の発明による開口部建材は、室外側形材と、室内側形材と、室外側形材と室内側形材の間に配置したシート状の断熱材とを備え、シート状の断熱材は、断熱性と撥水性または疎水性を有していることを特徴とする。
【発明の効果】
【0005】
請求項1記載の発明による開口部建材は、室外側形材と室内側形材の間に断熱性を有するシート状の断熱材が配置してあることで、断熱性が向上する。しかもシート状の断熱材は、撥水性または疎水性を有しているので、耐久性が良い。
【図面の簡単な説明】
【0006】
図1】本発明の開口部建材の第1実施形態を示す横断面図である。
図2】本発明の開口部建材の第2実施形態を示す横断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0007】
以下、本発明の実施の形態を図面に基づいて説明する。図1は、本発明の開口部建材の第1実施形態を示している。本開口部建材は、住宅用の引違い窓に適用したものであって、躯体開口部に取付けられる枠1と、枠1内に引き違い状に開閉自在に納めた外障子2a及び内障子2bとを備えている。
【0008】
外障子2aと内障子2bは、上框と下框と戸先框3a,3bと召合せ框4a,4bとを框組みし、その内側に複層ガラス5を納めて構成してある。各框3a,3b,4a,4bは内周側が開口した溝6を有し、その溝6にグレチャン(図示省略)を介して複層ガラス5の端縁部を嵌め込んで保持してある。
【0009】
外障子2aと内障子2bの戸先框3a,3bは、室外側に配置されたアルミ製の室外側形材7と、室内側に配置された樹脂製の室内側形材8とで構成されている。室外側形材7は、室内側面に一対の外向きの鉤状の係合部9,9を長手方向に有し、室内側形材8は、室外側面に一対の内向きの鉤状の係合部10,10を長手方向に有しており、係合部9,9,10,10同士を嵌合させて室外側形材7と室内側形材8を結合してある。室内側形材8は、複数の中空部19が内外周方向と見込方向に積層して設けてある。
【0010】
室外側形材7の室内側面と室内側形材8の室外側面との間には、薄いシート状の断熱材11が配置してある。シート状の断熱材11は、室外側形材7及び室内側形材8のほぼ全長にわたって設けてあり、且つ室外側形材7と室内側形材8の対向する面のほぼ全域に設けてある。シート状の断熱材11は、両側の縁部が室外側形材7と室内側形材8の嵌合部に挟んである。より詳細には、室外側形材7の係合部9,9と室内側形材8の室外側面との間に、シート状の断熱材11の両側の縁部が挟み込んである。
【0011】
シート状の断熱材11は、断熱性と撥水性または疎水性を有している(後述する他の部分のシート状の断熱材14,18についても同様)。かかるシート状の断熱材11は、限定されるものではないが、例えばエアロゲルを用いたものや、ポリエチレンシートにアルミを蒸着したもの等とすることができる。
エアロゲルを用いたものの例としては、シリカエアロゲルと合成繊維(ポリエステル)を混ぜてシート化したものが挙げられる。シリカエアロゲルは、90%以上が空気の多孔質の物質で、疎水性により水に混ざらないといった特徴を有し、これをシート化した断熱材11は、厚さが0.05~1mmと非常に薄く、熱伝導率が0.013~0.027W/m・Kと極めて高い断熱性を有するものとなる。また、この断熱材11は、はさみ等で簡単に切ることができ、折ったり曲げたりすることもできるなど、加工性にも優れている。またこの断熱材11は、不燃性又は難燃性のものとすることができる。
【0012】
戸先框3a,3bは、室内側形材8の室外側面にシート状の断熱材11を両面テープで貼り付け、室外側形材7と室内側形材8とを係合部9,9,10,10で嵌合して結合することにより製作することができる。シート状の断熱材11は、室外側形材7に両面テープで接着してもよい。また、シート状の断熱材11の片面に剥離紙付きの接着層を設けて置き、剥離紙を剥がして室外側形材7又は室内側形材8に接着するようにしてもよい。また、室外側形材7と室内側形材8のどちらにも接着せずに、単に室外側形材7と室内側形材8の間に挟むだけでもよい。
【0013】
内障子2bの召合せ框4bは、室外側に配置したアルミ製の室外側形材12と、室内側に配置した樹脂製の室内側形材13とを結合して成り、室外側形材12と室内側形材13との間にシート状の断熱材14を配置してある。室内側形材13は、室外側形材12の外周側面12aと室内側面12bを覆っており、シート状の断熱材14は、L字形に曲げて室外側形材12と室内側形材13の対向する面のほぼ全域に設けてある。
外障子2aの召合せ框4aは、室内空間と接触しないため、単一のアルミ形材で形成してある。
【0014】
上框と下框は、戸先框3a,3bと同様に、室外側に配置したアルミ製の室外側形材と、室内側に配置した樹脂製の室内側形材とを結合して成り、室外側形材と室内側形材の間にシート状の断熱材を配置してある。
【0015】
枠1は、上枠と下枠と左右の縦枠15,15とを枠組みして構成してある。縦枠15は、アルミ製の室外側形材16と、室外側形材16の室内側に露出する部分を覆う樹脂製の室内側形材17とで構成してあり、室外側形材16の内周側面の室内側形材17と対向する部分の全体にシート状の断熱材18を設けてある。
【0016】
上枠と下枠も、縦枠15と同様に、アルミ製の室外側形材と樹脂製の室内側形材の間にシート状の断熱材を挟んである。
【0017】
本開口部建材は、障子2a,2bの框3a,3b,4bと枠15が、アルミ製の室外側形材7,12,16と樹脂製の室内側形材8,13,17との間にシート状の断熱材11,14,18を配置してあることで、室外側形材7,12,16と室内側形材8,13,17との間の熱の伝わりが遮断されるため、従前のアルミ・樹脂複合サッシよりも一段と断熱性を向上させることができる。また、このようにシート状の断熱材11,14,18を用いることで、室内側形材8,13,17の中空部19を小さくしたり無くしたりすることが可能となり、それに伴って框等の見込み寸法を小さくできる。また、シート状の断熱材11,14,18の有無を選択することで、断熱性能の異なる開口部建材を提供することができる。シート状の断熱材11,14,18は、撥水性または疎水性を有していることで、室外側形材7,12,16と室内側形材8,13,17との間に雨水や結露水等が浸入しても、破れたり変質したりするのを防止できるので、耐久性が良い。
【0018】
図2は、本発明の開口部建材の第2実施形態を示している。外障子2aと内障子2bの戸先框3a,3bは、室外側形材7と室内側形材8が何れもアルミ製となっており、両形材7,8の間にシート状の断熱材11を挟むことで、室外側形材7と室内側形材8とが互いに接触しないようにしてあり、シート状の断熱材11により室外側形材7と室内側形材8の間の伝熱を遮断してある。室外側形材7と室内側形材8とは、内周側と外周側からネジ20で固定してあり、樹脂製のワッシャー21を用いることで、ネジ20を通じて室外側形材7と室内側形材8との間で熱が伝わるのを防いでいる。
内障子2bの召合せ框4bも、戸先框3a,3bと同様に、室外側形材12と室内側形材13が何れもアルミ製となっており、両形材12,13の間にシート状の断熱材14を挟むことで、室外側形材12と室内側形材13とが互いに接触しないようにしてあり、シート状の断熱材14により室外側形材12と室内側形材13の間の伝熱を遮断してある。室外側形材12と室内側形材13とは、室外側と内周側からネジ20で固定してあり、樹脂製のワッシャー21を用いることで、ネジ20を通じて室外側形材12と室内側形材13との間で熱が伝わるのを防いでいる。
【0019】
第2実施形態の開口部建材は、室外側形材7,12と室内側形材8,13が何れもアルミ製でありながら、両形材の間に設けたシート状の断熱材11,14により室外側形材7,12と室内側形材8,13との間の熱の伝わりが遮断されるため、優れた断熱性能を発揮する。室内側形材8,13がアルミ製であるため、強度が高く、火災の熱にも強く、意匠性も良い。また、室内側形材8,13がアルミ製で、且つ断熱材11,14がシート状で薄いため、見込寸法を小さくすることができる。
【0020】
以上に述べたように本開口部建材(第1・第2実施形態)は、室外側形材7,12,16と室内側形材8,13,17の間に断熱性を有するシート状の断熱材11,14,18が配置してあることで、断熱性が向上する。しかもシート状の断熱材11,14,18は、撥水性または疎水性を有しているので、耐久性が良い。
シート状の断熱材11,14,18は、室外側形材7,12,16と室内側形材8,13,17のほぼ全長にわたって設けてあるため、室外側形材7,12,16と室内側形材8,13,17の全長のどの部分からも熱が伝わらず、高い断熱性能が得られる。
また、シート状の断熱材11,14,18は、室外側形材7,12,16と室内側形材8,13,17の対向する面のほぼ全域にわたって設けてあることで、室外側形材7,12,16と室内側形材8,13,17との間の熱の伝わりを確実に遮断することができる。
第1実施形態の開口部建材は、室外側形材7,12,16と室内側形材8,13,17とが嵌合により結合してあり、シート状の断熱材11,14,18が室外側形材7,12,16と室内側形材8,13,17の嵌合部に挟んであることで、シート状の断熱材11,14,18を安定して設置できるとともに、室外側形材7,12,16と室内側形材8,13,17との間の熱の伝わりを確実に遮断できる。
第2実施形態の開口部建材は、室外側形材7,12,16と室内側形材8,13,17が熱が伝わらない状態でネジ止めしてあるので、ネジ止めにより室外側形材7,12,16と室内側形材8,13,17を強固に連結できる上、ネジ20を通じて室外側形材7,12,16と室内側形材8,13,17の間で熱が伝わることを防止できる。
【0021】
本発明は以上に述べた実施形態に限定されない。室外側形材と室内側形材は、建具を構成するあらゆる部材とすることができ、枠、框の他、方立、無目等であってもよい。本発明の開口部建材は、必ずしも全ての部材にシート状の断熱材が設けてなくてもよく、少なくとも一つの部材にシート状の断熱材が設けてあればよい。室外側形材と室内側形材の断面形状、材質は、適宜変更することができる。シート状の断熱材は、断熱性と撥水性または疎水性を有していればよく、具体的な材質は問わない。
【符号の説明】
【0022】
1 枠
2a,2b 障子
7,12,16 室外側形材
8,13,17 室内側形材
11,14,18 シート状の断熱材
図1
図2