(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2022177401
(43)【公開日】2022-12-01
(54)【発明の名称】比重測定装置
(51)【国際特許分類】
G01N 9/08 20060101AFI20221124BHJP
【FI】
G01N9/08
【審査請求】未請求
【請求項の数】5
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2021083619
(22)【出願日】2021-05-18
(71)【出願人】
【識別番号】503282895
【氏名又は名称】アルファーミラージュ株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100154014
【弁理士】
【氏名又は名称】正木 裕士
(74)【代理人】
【識別番号】100154520
【弁理士】
【氏名又は名称】三上 祐子
(72)【発明者】
【氏名】近藤 貞憲
(57)【要約】 (修正有)
【課題】測定誤差を画期的に低減させることが可能で、真の比重値を繰り返し測定することができる比重測定装置を提供する。
【解決手段】被測定物Mの空気中における重量を測定する空気中重量測定手段(センサー7、CPU8c)と、
被測定物Mの液中における重量を測定する液中重量測定手段(センサー7、CPU8c)と、RAM8eに記憶された空気中における重量と、RAM8eに記憶された液中における重量に基づいて被測定物Mの比重を計測する計測手段(CPU8c)と、表示部8gに表示されている計測手段(CPU8c)にて計測した被測定物Mの比重表示を、被測定物Mを液中から取り出した後、自動的に初期化する初期化手段(CPU8c)と、を有する。
【選択図】
図2
【特許請求の範囲】
【請求項1】
所定内容を表示する表示手段と、
被測定物の空気中における重量を測定する空気中重量測定手段と、
前記空気中重量測定手段にて測定された空気中における重量を自動的に記憶する空気中重量記憶手段と、
前記被測定物の液中における重量を測定する液中重量測定手段と、
前記液中重量測定手段にて測定された液中における重量を自動的に記憶する液中重量記憶手段と、
前記空気中重量記憶手段に記憶された空気中における重量と、前記液中重量記憶手段に記憶された液中における重量に基づいて前記被測定物の比重を計測する計測手段と、
前記表示手段に表示されている前記計測手段にて計測した前記被測定物の比重表示を、前記被測定物を液中から取り出した後、自動的に初期化する初期化手段と、を有してなる比重測定装置。
【請求項2】
所定内容を表示する表示手段と、
被測定物の液中における重量を測定する液中重量測定手段と、
前記液中重量測定手段にて測定された液中における重量を自動的に記憶する液中重量記憶手段と、
前記被測定物の空気中における重量と、前記液中重量記憶手段に記憶された液中における重量に基づいて前記被測定物の比重を計測する計測手段と、
前記表示手段に表示されている前記計測手段にて計測した前記被測定物の比重表示を、前記被測定物を液中から取り出した後、自動的に初期化する初期化手段と、を有してなる比重測定装置。
【請求項3】
前記空気中重量記憶手段は、前記空気中重量測定手段にて測定している前記被測定物の空気中における重量の差分が、予め定められた第1所定範囲内に収まれば、当該重量を自動的に記憶する、或いは、前記第1所定範囲内に収まった後、第1所定時間経過後に自動的に記憶してなる請求項1に記載の比重測定装置。
【請求項4】
前記液中重量記憶手段は、前記液中重量測定手段にて測定している前記被測定物の液中における重量の差分が、予め定められた第2所定範囲内に収まれば、当該重量を自動的に記憶する、或いは、前記第2所定範囲内に収まった後、第2所定時間経過後に自動的に記憶してなる請求項1又は2に記載の比重測定装置。
【請求項5】
前記初期化手段は、前記被測定物を液中から取り出した後、前記液中重量測定手段にて測定された値が、予め定められた第3所定範囲内となれば、前記表示手段に表示されている比重表示を自動的に初期化してなる請求項1~4の何れか1項に記載の比重測定装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、固体の比重を測定する比重測定装置に関する。
【背景技術】
【0002】
従来の比重測定装置として、例えば、特許文献1に示すものが知られている。この比重測定装置は、液槽と、液槽内に支持手段を介して非接触で収容され且つ液槽内の液体が出入自在な被測定物受け部材と、支持手段に支持され、被測定物の空気中における重量を測定するため被測定物を載置するための空中載置部材と、支持手段を介して被測定物受け部材を受け支える計測装置とからなる。そして、計測装置は、被測定物受け部材に作用する重量を電気信号に変換するセンサーと、被測定物が空中載置部材に載置された時のセンサーの出力と被測定物が被測定物受け部材に液没して載置された時のセンサーの出力から被測定物の比重を計測する計測部とを備えるというものである。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
上記のような比重測定装置は、空中載置部材をいちいち開閉させる必要がなく、比重の測定精度の向上を図ることができるという利点があるものの、次のような問題があった。すなわち、上記のような比重測定装置は、被測定物の空気中における重量を測定した後、入力キーを押してメモリーに記憶させ、さらに、被測定物の液中における重量を測定した後、入力キーを押してメモリーに記憶させ、そしてさらに、被測定物の比重を計測した後、入力キーを押して、表示部の表示を初期化するという作業が必要であった。そのため、入力キーを押すことによる振動が比重測定装置に加わり、もって、その振動が測定値に影響を及ぼし、測定誤差が生じする可能性があるといった問題があった。
【0005】
そこで、本発明は、上記問題に鑑み、測定誤差を画期的に低減させることが可能で、真の比重値を繰り返し測定することができる比重測定装置を提供することを目的としている。
【課題を解決するための手段】
【0006】
上記本発明の目的は、以下の手段によって達成される。なお、括弧内は、後述する実施形態の参照符号を付したものであるが、本発明はこれに限定されるものではない。
【0007】
請求項1の発明によれば、所定内容を表示する表示手段(表示部8g)と、
被測定物(M)の空気中における重量を測定する空気中重量測定手段(センサー7、CPU8c)と、
前記空気中重量測定手段(センサー7、CPU8c)にて測定された空気中における重量を自動的に記憶する空気中重量記憶手段(RAM8e)と、
前記被測定物(M)の液中における重量を測定する液中重量測定手段(センサー7、CPU8c)と、
前記液中重量測定手段(センサー7、CPU8c)にて測定された液中における重量を自動的に記憶する液中重量記憶手段(RAM8e)と、
前記空気中重量記憶手段(RAM8e)に記憶された空気中における重量と、前記液中重量記憶手段(RAM8e)に記憶された液中における重量に基づいて前記被測定物(M)の比重を計測する計測手段(CPU8c)と、
前記表示手段(表示部8g)に表示されている前記計測手段(CPU8c)にて計測した前記被測定物(M)の比重表示を、前記被測定物(M)を液中から取り出した後、自動的に初期化する初期化手段(CPU8c)と、を有してなることを特徴としている。
【0008】
一方、請求項2の発明によれば、所定内容を表示する表示手段(表示部8g)と、
被測定物(M)の液中における重量を測定する液中重量測定手段(センサー7、CPU8c)と、
前記液中重量測定手段(センサー7、CPU8c)にて測定された液中における重量を自動的に記憶する液中重量記憶手段(RAM8e)と、
前記被測定物(M)の空気中における重量と、前記液中重量記憶手段(RAM8e)に記憶された液中における重量に基づいて前記被測定物(M)の比重を計測する計測手段(CPU8c)と、
前記表示手段(表示部8g)に表示されている前記計測手段(CPU8c)にて計測した前記被測定物(M)の比重表示を、前記被測定物(M)を液中から取り出した後、自動的に初期化する初期化手段(CPU8c)と、を有してなることを特徴としている。
【0009】
他方、請求項3の発明によれば、上記請求項1に記載の比重測定装置(1)において、前記空気中重量記憶手段(RAM8e)は、前記空気中重量測定手段(センサー7、CPU8c)にて測定している前記被測定物(M)の空気中における重量の差分が、予め定められた第1所定範囲内(例えば、ステップS3参照)に収まれば、当該重量を自動的に記憶する、或いは、前記第1所定範囲内(例えば、ステップS3参照)に収まった後、第1所定時間経過後に自動的に記憶してなることを特徴としている。
【0010】
一方、請求項4の発明によれば、上記請求項1又は2に記載の比重測定装置(1)において、前記液中重量記憶手段(RAM8e)は、前記液中重量測定手段(センサー7、CPU8c)にて測定している前記被測定物(M)の液中における重量の差分が、予め定められた第2所定範囲内(例えば、ステップS7参照)に収まれば、当該重量を自動的に記憶する、或いは、前記第2所定範囲内(例えば、ステップS7参照)に収まった後、第2所定時間経過後に自動的に記憶してなることを特徴としている。
【0011】
また一方、請求項5の発明によれば、上記請求項1~4の何れか1項に記載の比重測定装置(1)において、前記初期化手段(CPU8c)は、前記被測定物(M)を液中から取り出した後、前記液中重量測定手段(センサー7、CPU8c)にて測定された値が、予め定められた第3所定範囲内(例えば、ステップS12参照)となれば、前記表示手段(表示部8g)に表示されている比重表示を自動的に初期化してなることを特徴としている。
【発明の効果】
【0012】
次に、本発明の効果について、図面の参照符号を付して説明する。なお、括弧内は、後述する実施形態の参照符号を付したものであるが、本発明はこれに限定されるものではない。
【0013】
請求項1に係る発明によれば、測定された被測定物(M)の空気中における重量を自動的に空気中重量記憶手段(RAM8e)にて記憶し、測定された被測定物(M)の液中における重量を自動的に液中重量記憶手段(RAM8e)にて記憶し、計測手段(CPU8c)にて、空気中重量記憶手段(RAM8e)に記憶された被測定物(M)の空気中における重量と、液中重量記憶手段(RAM8e)に記憶された被測定物(M)の液中における重量に基づいて被測定物(M)の比重を計測し、計測した比重を表示手段(表示部8g)に表示させるようにしている。そして、被測定物(M)が液中から取り出されると、表示手段(表示部8g)に表示されている比重表示を初期化手段(CPU8c)にて自動で初期化するようにしている。これにより、比重計測作業の自動化が可能となり、もって、従来のように入力キーを押す必要がなくなるから、人為的振動による測定誤差を限りなくゼロにすることができる。それゆえ、本発明によれば、測定誤差を画期的に低減させることが可能となり、もって、真の比重値を繰り返し測定することができる。
【0014】
一方、請求項2に係る発明によれば、測定された被測定物(M)の液中における重量を自動的に液中重量記憶手段(RAM8e)にて記憶し、計測手段(CPU8c)にて、被測定物(M)の空気中における重量と、液中重量記憶手段(RAM8e)に記憶された被測定物(M)の液中における重量に基づいて被測定物(M)の比重を計測し、計測した比重を表示手段(表示部8g)に表示させるようにしている。そして、被測定物(M)が液中から取り出されると、表示手段(表示部8g)に表示されている比重表示を初期化手段(CPU8c)にて自動で初期化するようにしている。これにより、比重計測作業の自動化が可能となり、もって、従来のように入力キーを押す必要がなくなるから、人為的振動による測定誤差を限りなくゼロにすることができる。それゆえ、本発明によれば、測定誤差を画期的に低減させることが可能となり、もって、真の比重値を繰り返し測定することができる。
【0015】
他方、請求項3に係る発明によれば、空気中重量記憶手段(RAM8e)は、空気中重量測定手段(センサー7、CPU8c)にて測定している被測定物(M)の空気中における重量の差分が、予め定められた第1所定範囲内(例えば、ステップS3参照)に収まれば、当該重量を自動的に記憶する、或いは、予め定められた第1所定範囲内(例えば、ステップS3参照)に収まった後、第1所定時間経過後に自動的に記憶するようにしている。これにより、空気中重量記憶手段(RAM8e)は、測定精度の高い被測定物(M)の空気中における重量を自動的に記憶することが可能となる。
【0016】
一方、請求項4に係る発明によれば、液中重量記憶手段(RAM8e)は、液中重量測定手段(センサー7、CPU8c)にて測定している被測定物(M)の液中における重量の差分が、予め定められた第2所定範囲内(例えば、ステップS7参照)に収まれば、当該重量を自動的に記憶する、或いは、予め定められた第2所定範囲内(例えば、ステップS7参照)に収まった後、第2所定時間経過後に自動的に記憶するようにしている。これにより、液中重量記憶手段(RAM8e)は、測定精度の高い被測定物(M)の液中における重量を自動的に記憶することが可能となる。
【0017】
また一方、請求項5に係る発明によれば、被測定物(M)を液中から取り出した後、液中重量測定手段(センサー7、CPU8c)にて測定された値が、予め定められた第3所定範囲内(例えば、ステップS12参照)となれば、表示手段(表示部8g)に表示されている比重表示を自動的に初期化するようにしている。これにより、被測定物(M)の比重を確認できていないのに表示が消えた等のトラブルが発生してしまう事態を低減させることができる。
【図面の簡単な説明】
【0018】
【
図1】本発明の一実施形態に係る比重測定装置を正面側から見た外観斜視図である。
【
図2】(a)は同実施形態に係る比重測定装置の縦断面側面図、(b)は同実施形態に係る比重測定装置の計測部のブロック図である。
【
図3】同実施形態に係る比重測定装置を用いて、被測定物の比重を計測する際の処理を説明するフローチャート図である。
【発明を実施するための形態】
【0019】
以下、本発明に係る比重測定装置の一実施形態を、図面を参照して具体的に説明する。なお、以下の説明において、上下左右の方向を示す場合は、図示正面から見た場合の上下左右をいうものとする。
【0020】
図1及び
図2(a)に示す比重測定装置1の構造自体は、従来と同一であるため、簡単に説明することとする。この比重測定装置1は、液体Lを入れた角筒形の液槽2と、この液槽2内に支持部3を介して非接触で収容され、且つ、液槽2内の液体Lが流出入自在な被測定物受け部材4と、被測定物Mの空気中における重量を測定する際、被測定物Mを載置する空中載置部材5と、支持部3を介して被測定物受け部材4を受け支える計測装置6と、で構成されている。この計測装置6は、被測定物受け部材4に作用する重量を電気信号に変換する電磁式のセンサー7と、被測定物Mが空中載置部材5に載置された際のセンサー7の出力と被測定物Mが被測定物受け部材4に液没して載置された際のセンサー7の出力から被測定物Mの比重を計測する計測部8(
図2(b)参照)と、を備えている。そして、この計測部8は、
図2(b)に示すように、センサー7の出力を増幅して荷重に応じたアナログ信号を出力する増幅器8aと、アナログ信号をデジタル信号に変換するA-D変換器8bと、CPU8cと、プログラム等を格納したROM8dと、作業領域やバッファメモリ等として機能するRAM8eと、種々のデータを入力することができる入力キー8fと、種々の内容を表示することができる表示部8gと、で構成されている。
【0021】
かくして、このように構成されている比重測定装置1の特徴とするところは、被測定物Mの比重を計測する際の処理内容に関する部分であるため、この点、
図3を参照して具体的に説明することとする。
【0022】
まず、ユーザは、初期設定を行う(ステップS1)。すなわち、
図2(a)に示すように液槽2内に液体Lが入った状態で、被測定物Mを空中載置部材5上に載置せず、液槽2内にも入れない状態で、ユーザは、入力キー8f(
図1参照)を押下する。これにより、CPU8c(
図2(b)参照)は、センサー7の出力、すなわち、被測定物受け部材4、及び、空中載置部材5、並びに、支持部3の重量をリセットし、RAM8eに「0」を記憶すると共に、表示部8gに「0」を表示させる。
【0023】
そしてさらに、ユーザは、入力キー8f(
図1参照)を押下し、センサー7にて測定された被測定物Mの空気中における重量をどれぐらいの時間が経過(例えば、0秒、5秒、10秒、15秒、20秒、30秒など)した後、RAM8eに記憶させるかの設定を行う。なお、この設定内容は、CPU8cによって、ROM8dに記憶されることとなる。またさらに、ユーザは、入力キー8f(
図1参照)を押下し、センサー7にて測定された被測定物Mの液中における重量をどれぐらいの時間が経過(例えば、0秒、5秒、10秒、15秒、20秒、30秒など)した後、RAM8eに記憶させるかの設定を行う。なお、この設定内容は、CPU8cによって、ROM8dに記憶されることとなる。
【0024】
かくして、このような初期設定が行われた後(ステップS1)、CPU8cは、ROM8d内に記憶されているプログラムを読み出し、センサー7の出力が、予め設定されている所定範囲(例えば、-0.0001g~0.0001g、又は、0~0.01g等)外となったか否かを確認する。すなわち、CPU8cは、一定間隔置きにセンサー7の出力を確認し、前に確認したセンサー7からの出力値と、現在確認したセンサー7からの出力値との差分を取り、その差分の値が、プログラム作成時に予め設定されている所定範囲(例えば、-0.0001g~0.0001g、又は、0~0.01g等)外となったか否かを確認する(ステップS2)。所定範囲(例えば、-0.0001g~0.0001g、又は、0~0.01g等)外となっていなければ(ステップS2:NO)、CPU8cは、被測定物Mが空中載置部材5に載置されていないと判断し、所定範囲(例えば、-0.0001g~0.0001g、又は、0~0.01g等)外となるまで、ステップS2の処理を繰り返し行う。一方、所定範囲(例えば、-0.0001g~0.0001g、又は、0~0.01g等)外となれば(ステップS2:YES)、CPU8cは、被測定物Mが人またはロボットによって空中載置部材5に載置されたと判断し、ステップS3の処理に移行する。
【0025】
次いで、CPU8cは、一定間隔置きにセンサー7の出力を確認し、前に確認したセンサー7からの出力値と、現在確認したセンサー7からの出力値との差分を取り、その差分の値が、プログラム作成時に予め設定されている所定範囲(例えば、-0.0001g~0.0001g、又は、0~0.01g等)内となったか否かを確認する(ステップS3)。所定範囲(例えば、-0.0001g~0.0001g、又は、0~0.01g等)内となっていなければ(ステップS3:NO)、CPU8cは、センサー7からの出力が安定していないと判断し、所定範囲(例えば、-0.0001g~0.0001g、又は、0~0.01g等)内となるまで、ステップS3の処理を繰り返し行う。一方、所定範囲(例えば、-0.0001g~0.0001g、又は、0~0.01g等)内となれば(ステップS3:YES)、CPU8cは、現在確認したセンサー7からの出力値が、被測定物Mの空気中における重量であると判断する。これにより、被測定物Mの空気中における重量が測定されることとなる(ステップS4)。なお、この際、CPU8cは、被測定物Mの空気中における重量を表示部8gに表示させると共に、被測定物Mの空気中における重量が確定したことを知らせる表示を表示部8gに表示させることとなる。
【0026】
次いで、CPU8cは、上記ステップS1にて設定された被測定物Mの空気中における重量をどれぐらいの時間が経過した後、RAM8eに記憶させるかの設定をROM8dより読み出し、設定された時間経過後に、測定された被測定物Mの空気中における重量をRAM8eに記憶させる(ステップS5)。すなわち、例えば、設定された時間が0秒であれば、CPU8cは、被測定物Mの空気中における重量が測定されると、直ちに、その測定された被測定物Mの空気中における重量をRAM8eに記憶させ、設定された時間が5秒であれば、CPU8cは、測定された被測定物Mの空気中における重量を、被測定物Mの空気中における重量が測定されてから、5秒経過後にRAM8eに記憶させることとなる。
【0027】
しかして、このように、所定範囲内に収まったセンサー7からの出力値を被測定物Mの空気中における重量とし、その重量を即時、或いは、所定時間経過後にRAM8eに記憶させることによって、測定精度の高い被測定物Mの空気中における重量を、RAM8eに自動的に記憶させることが可能となる。
【0028】
次いで、CPU8cは、一定間隔置きにセンサー7の出力を確認し、前に確認したセンサー7からの出力値と、現在確認したセンサー7からの出力値との差分を取り、その差分の値が、プログラム作成時に予め設定されている所定範囲(例えば、-0.0001g~0.0001g、又は、0~0.01g等)外となったか否かを確認する(ステップS6)。所定範囲(例えば、-0.0001g~0.0001g、又は、0~0.01g等)外となっていなければ(ステップS6:NO)、CPU8cは、被測定物Mが被測定物受け部材4に液没されていないと判断し、所定範囲(例えば、-0.0001g~0.0001g、又は、0~0.01g等)外となるまで、ステップS6の処理を繰り返し行う。一方、所定範囲(例えば、-0.0001g~0.0001g、又は、0~0.01g等)外となれば(ステップS6:YES)、CPU8cは、被測定物Mが人又はロボットによって被測定物受け部材4に液没されたと判断し、ステップS7の処理に移行する。
【0029】
次いで、CPU8cは、一定間隔置きにセンサー7の出力を確認し、前に確認したセンサー7からの出力値と、現在確認したセンサー7からの出力値との差分を取り、その差分の値が、予め設定されている所定範囲(例えば、-0.0001g~0.0001g、又は、0~0.01g等)内となったか否かを確認する(ステップS7)。所定範囲(例えば、-0.0001g~0.0001g、又は、0~0.01g等)内となっていなければ(ステップS7:NO)、CPU8cは、センサー7からの出力が安定していないと判断し、所定範囲(例えば、-0.0001g~0.0001g、又は、0~0.01g等)内となるまで、ステップS7の処理を繰り返し行う。一方、所定範囲(例えば、-0.0001g~0.0001g、又は、0~0.01g等)内となれば(ステップS7:YES)、CPU8cは、現在確認したセンサー7からの出力値が、被測定物Mの液中における重量であると判断する。これにより、被測定物Mの液中における重量が測定されることとなる(ステップS8)。なお、この際、CPU8cは、被測定物Mの液中における重量を表示部8gに表示させると共に、被測定物Mの液中における重量が確定したことを知らせる表示を表示部8gに表示させることとなる。
【0030】
次いで、CPU8cは、上記ステップS1にて設定された被測定物Mの液中における重量をどれぐらいの時間が経過した後、RAM8eに記憶させるかの設定をROM8dより読み出し、設定された時間経過後に、測定された被測定物Mの液中における重量をRAM8eに記憶させる(ステップS9)。すなわち、例えば、設定された時間が0秒であれば、CPU8cは、被測定物Mの液中における重量が測定されると、直ちに、その測定された被測定物Mの液中における重量をRAM8eに記憶させ、設定された時間が5秒であれば、CPU8cは、測定された被測定物Mの液中における重量を、被測定物Mの液中における重量が測定されてから、5秒経過後にRAM8eに記憶させることとなる。
【0031】
しかして、このように、所定範囲内に収まったセンサー7からの出力値を被測定物Mの液中における重量とし、その重量を即時、或いは、所定時間経過後にRAM8eに記憶させることによって、測定精度の高い被測定物Mの液中における重量を、RAM8eに自動的に記憶させることが可能となる。
【0032】
次いで、CPU8cは、RAM8eに自動で記憶させた被測定物Mの空気中における重量と、被測定物Mの液中における重量を読み出し、被測定物Mの比重を計測することとなる。すなわち、CPU8cは、被測定物Mの空気中における重量/(被測定物Mの空気中における重量-被測定物Mの液中における重量)の数式を用いて演算することにより、被測定物Mの比重を計測することとなる(ステップS10)。
【0033】
次いで、CPU8cは、計測した被測定物Mの比重を表示部8gに表示させる(ステップS11)。
【0034】
次いで、CPU8cは、一定間隔置きにセンサー7の出力を確認し、センサー7からの出力値が、プログラム作成時に予め設定されている所定範囲(例えば、0~0.0001gの範囲)となったか否かを確認する(ステップS12)。所定範囲(例えば、0~0.0001gの範囲)になっていなければ(ステップS12:NO)、CPU8cは、人又はロボットが、被測定物Mを被測定物受け部材4から取り出していないと判断し、所定範囲(例えば、0~0.0001gの範囲)となるまで、ステップS12の処理を繰り返し行う。一方、所定範囲(例えば、0~0.0001gの範囲)となれば(ステップS12:YES)、CPU8cは、人またはロボットが、被測定物Mを被測定物受け部材4から取り出したと判断し、表示部8gに表示されている被測定物Mの比重を初期化(「0」を表示させる)処理を行う(ステップS13)。なお、この際、CPU8cは、RAM8eに自動で記憶させた被測定物Mの空気中における重量と、被測定物Mの液中における重量もクリアするようにする。
【0035】
しかして、このように、センサー7の出力値が、所定範囲(例えば、0~0.0001gの範囲)となることにより、表示部8gに表示されている被測定物Mの比重を初期化(「0」を表示させる)するようにすれば、被測定物Mの比重を確認できていないのに表示が消えた等のトラブルが発生してしまう事態を低減させることができる。
【0036】
かくして、CPU8cは、上記ステップS13の処理を終えた後、被測定物Mの比重計測処理を終えるようにする。なお、初期設定(ステップS1参照)はそのままで、続けて、別の被測定物Mの比重を計測するのであれば、ステップS2~ステップS13の処理を行うようにすれば良い。
【0037】
しかして、以上説明した本実施形態によれば、測定された被測定物Mの空気中における重量を自動的にRAM8eに記憶させ、測定された被測定物Mの液中における重量を自動的にRAM8eに記憶に記憶させ、RAM8eに記憶させた被測定物Mの空気中における重量と被測定物Mの液中における重量を用いて被測定物Mの比重を計測し、計測した比重を表示部8gに表示するようにする。そして、被測定物Mが液中から取り出されると、表示部8gに表示されている比重表示を自動で初期化するようにしている。これにより、比重計測作業の自動化が可能となり、もって、従来のように入力キー8fを押す必要がなくなるから、人為的振動による測定誤差を限りなくゼロにすることができる。それゆえ、本実施形態によれば、測定誤差を画期的に低減させることが可能となり、もって、真の比重値を繰り返し測定することができる。また、本実施形態によれば、ロボットを用いた作業も可能となる。
【0038】
なお、本実施形態において示した比重測定装置はあくまで一例であり、特許請求の範囲に記載された本発明の要旨の範囲内において種々の変形・変更が可能である。例えば、比重測定装置の構造は、本実施形態に示した構造に限定されるものではなく、どのような構造のものにも適用可能である。例えば、被測定物Mの空気中における重量を測定しなくとも予め分かっており、被測定物Mの液中における重量を測定し、そして、予め分かっている被測定物Mの空気中における重量と、測定した被測定物Mの液中における重量とを用いて被測定物Mの比重を計測するような比重測定装置にも適用可能である。なお、この際、
図3に示すステップS2~ステップS6の処理は不要となり、ステップS1にて、ユーザは、予め分かっている被測定物Mの空気中における重量を、入力キー8fを用いて入力することとなる。
【0039】
また、本実施形態においては、被測定物Mの空気中における重量と、被測定物Mの液中における重量を測定するにあたって、同一の所定範囲を例示したが、それに限らず、被測定物Mの空気中における重量と、被測定物Mの液中における重量を測定するにあたって、所定範囲を異なる範囲にしても良い。
【0040】
さらに、本実施形態においては、所定範囲をプログラム作成時に予め設定されているという例を示したが、それに限らず、ユーザが任意に設定できるようにしても良い。この際、ユーザは、ステップS1の処理にて入力キー8fを用いて設定することとなる。なお、言うまでもないが、
図3に示すステップS3、ステップS7、ステップS12の全ての所定範囲をユーザが任意に設定できるようにしても良いし、何れかの所定範囲をユーザが任意に設定できるようにしても良い。
【0041】
一方、本実施形態において示したCPU8cが、被測定物Mを空中載置部材5に載置したという判断や、被測定物Mを被測定物受け部材4に液没させたという判断は、あくまで一例であり、どのような判断のさせ方でも良く、これに限定されるものではない。
【符号の説明】
【0042】
1 比重測定装置
2 液槽
3 支持部
4 被測定物受け部材
5 空中載置部材
6 計測装置
7 センサー(空気中重量測定手段、液中重量測定手段)
8 計測部
8c CPU(空気中重量測定手段、液中重量測定手段、計測手段、初期化手段)
8g 表示部(表示手段)
8e RAM(空気中重量記憶手段、液中重量記憶手段)
M 被測定物