(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2022177404
(43)【公開日】2022-12-01
(54)【発明の名称】遊技機
(51)【国際特許分類】
A63F 5/04 20060101AFI20221124BHJP
【FI】
A63F5/04 601B
A63F5/04 699
【審査請求】未請求
【請求項の数】6
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2021083623
(22)【出願日】2021-05-18
(71)【出願人】
【識別番号】720010855
【氏名又は名称】山佐ネクスト株式会社
(72)【発明者】
【氏名】佐野 詳一
(72)【発明者】
【氏名】西原 八州夫
(72)【発明者】
【氏名】児玉 朋洋
【テーマコード(参考)】
2C182
【Fターム(参考)】
2C182DA22
2C182DA40
2C182DB07
2C182DB22
(57)【要約】
【課題】セキュリティ性を担保したうえで余計なコストをかけることなく放熱性を高める基板ユニットを提供する。
【解決手段】
スロットマシンSM内部に、主制御基板100と、基板ケース107とを備える主制御ユニット105が設置され、基板ケース107には一面側を覆う領域に複数の放熱用開口124を備え、一面側における放熱用開口124と正面視で重なる領域には、電子部品が配設されておらず、かつ、信号配線および正面視で視認可能なスルーホールSHが敷設されておらず、特定領域には、電源配線GNDが敷設されている
【選択図】
図12
【特許請求の範囲】
【請求項1】
筺体と、当該筐体に対して開閉可能な前扉を備える遊技機であって、
遊技機内部には、制御基板と、当該制御基板を収容する基板ケースとを備える制御基板ユニットが設置され、
前記制御基板は、
遊技機内に設置された設置状態において前記前扉の開放状態で視認可能な前記制御基板の一面側に配設され、通電することで利用可能な電子部品と、
前記制御基板の一面側および当該一面側とは異なる他面側に敷設され、前記電子部品と接続される信号配線と、
前記一面側および前記他面側に敷設され、電源電位を供給する電源配線と、
前記一面側と前記他面側で前記信号配線または前記電源配線を接続するスルーホールと、
を備え、
前記基板ケースは前記一面側を覆う領域に複数の冷却用開口を備え、
前記一面側における前記冷却用開口と正面視で重なる特定領域には、前記電子部品が配設されておらず、かつ、前記信号配線および正面視で視認可能な前記スルーホールが敷設されておらず、
前記特定領域には、前記電源配線が敷設されていることを特徴とする遊技機。
【請求項2】
前記基板ケースは、前記一面側と対向する面に、前記特定領域を囲うように、前記一面側表面に向かって突出する側壁を備えることを特徴とする請求項1に記載の遊技機。
【請求項3】
前記特定領域には、冷却用の金属部品が配設され、
前記側壁は前記金属部品を前記一面側表面と垂直な方向で囲うことで第1隔壁を形成することを特徴とする請求項2に記載の遊技機。
【請求項4】
前記電子部品は、実装面と垂直な方向が正面視となる文字情報が付された第1種電子部品と、実装面と平行な方向が正面視となる文字情報が付された第2種電子部品を含み、
前記側壁は前記第2種電子部品を前記制御基板に垂直な方向で囲うことで第2隔壁を形成することを特徴とする請求項2または請求項3に記載の遊技機。
【請求項5】
前記一面側における前記特定領域、または前記特定領域に近接した領域に前記制御基板の識別情報が印刷または貼付されていることを特徴とする請求項1ないし4のいずれか1項に記載の遊技機。
【請求項6】
前記制御基板ユニットは、前記設置状態において、前記前扉開放状態で前記一面側表面が視認可能な収容状態から、前記他面側表面が視認可能な展開状態へと回転可能であり、前記収容状態から前記展開状態へのいかなる状態であっても、前記基板ケースの前記冷却用開口部は遊技機内に設置されている他の基板ケースまたは設置機器のいずれとも接触しないことを特徴とする請求項1ないし5のいずれか1項に記載の遊技機。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、制御基板装置を透明な基板ケースに収容してなる基板ユニットを備える遊技機に関する。
【背景技術】
【0002】
遊技機用の基板装置を構成する基板は、透明な基板ケースに収容されて、基板ユニットとして遊技機に設置される。こうした基板ユニットには、基板ケースに冷却用の開口部を設けることがある。この際、セキュリティ性を確保するため放熱部に内側遮蔽部と外側遮蔽部と連接部とを設け、通気孔を基板ボックスの内側から外側へクランク状に連通させ、内側から外側に向って直線状に開口する部分がない構造を備えたものとするようなことがある(例えば、特許文献1)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら、特許文献1に開示された構成は、基板ケースに特殊な加工が必要となるため、加工コストが余計にかかってしまい、放熱効果も低下してしまうという問題があった。
【0005】
本発明は、セキュリティ性を担保したうえで余計なコストをかけることなく放熱性を高める基板ユニットを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明は、筺体と、当該筐体に対して開閉可能な前扉を備える遊技機であって、遊技機内部には、制御基板と、当該制御基板を収容する基板ケースとを備える制御基板ユニットが設置され、前記制御基板は、遊技機内に設置された設置状態において前記前扉の開放状態で視認可能な前記制御基板の一面側に配設され、通電することで利用可能な電子部品と、前記制御基板の一面側および当該一面側とは異なる他面側に敷設され、前記電子部品と接続される信号配線と、前記一面側および前記他面側に敷設され、電源電位を供給する電源配線と、前記一面側と前記他面側で前記信号配線または前記電源配線を接続するスルーホールと、を備え、前記基板ケースは前記一面側を覆う領域に複数の冷却用開口を備え、前記一面側における前記冷却用開口と正面視で重なる特定領域には、前記電子部品が配設されておらず、かつ、前記信号配線および正面視で視認可能な前記スルーホールが敷設されておらず、前記特定領域には、前記電源配線が敷設されていることを特徴とする遊技機である。
【0007】
かかる構成にあっては、制御基板における冷却用開口部と重なる領域に不正行為の対象となる電子部品、信号配線、正面視で視認可能なスルーホールを設置しないことで、セキュリティ性を担保することができる。さらに、冷却用開口部と制御基板の位置関係を工夫するだけであるため、基板ケースに特殊な加工を施すことなく冷却用開口部を作製することができる。
【0008】
さらに、制御基板における冷却用開口部と重なる領域を電源配線のベタ配線とし、同領域には正面視で視認可能なスルーホールを設けないようにしたことで制御基板のデッドスペースを作ることなく、基板の省スペース化にも寄与することができる。
【0009】
また、前記基板ケースは、前記一面側と対向する面に、前記特定領域を囲うように、前記一面側表面に向かって突出する側壁を備えることを特徴とする遊技機が提案される。
【0010】
かかる構成にあっては、冷却用開口部を備える領域とその他の領域を側壁により分離することができるため、より高いセキュリティ性を確保することができる。
【0011】
また、前記特定領域には、冷却用の金属部品が配設され、前記側壁は前記金属部品を前記一面側表面と垂直な方向で囲うことで第1隔壁を形成することを特徴とする遊技機が提案される。
【0012】
かかる構成にあっては、冷却用開口部を備える領域とその他の領域を分離する側壁の一部に冷却用の金属部品を使用するため、基板ケースにおける側壁の作成に必要な領域を減らすことができ、コストの削減につなげることができる。
【0013】
また、前記電子部品は、実装面と垂直な方向が正面視となる文字情報が付された第1種電子部品と、実装面と平行な方向が正面視となる文字情報が付された第2種電子部品を含み、前記側壁は前記第2種電子部品を前記制御基板に垂直な方向で囲うことで第2隔壁を形成することを特徴とする遊技機が提案される。
【0014】
かかる構成にあっては、冷却用開口部を備える領域とその他の領域を分離する側壁の一部に縦長の電子部品を使用するため、基板ケースにおける側壁の作成に必要な領域を減らすことができ、コストの削減につなげることができる。
【0015】
また、前記一面側における前記特定領域、または前記特定領域に近接した領域に前記制御基板の識別情報が印刷または貼付されていることを特徴とする遊技機が提案される。
【0016】
かかる構成にあっては、冷却用開口部に近接して制御基板の識別情報が印刷または貼付されているため、冷却用開口部から針金を入れて不正行為を行おうとした際に識別情報を傷つけることとなり、管理者が点検の際に不正行為の痕跡を発見しやすくなる。
【0017】
前記制御基板ユニットは、前記設置状態において、前記前扉開放状態で前記一面側表面が視認可能な収容状態から、前記他面側表面が視認可能な展開状態へと回転可能であり、前記収容状態から前記展開状態へのいかなる状態であっても、前記基板ケースの前記冷却用開口部は遊技機内に設置されている他の基板ケースまたは設置機器のいずれとも接触しないことを特徴とする遊技機が提案される。
【0018】
かかる構成にあっては、制御基板ユニットが管理者の点検のため、収納状態から展開状態へ回転するにあたって、開口があることで基板ケースの他の箇所よりも強度に不安がある冷却用開口部が他の部品と接触することによる破損を防止することができる。
【図面の簡単な説明】
【0019】
【
図1】本発明の実施形態にかかる遊技機の一例であるスロットマシンとカードユニットの正面図である
【
図2】スロットマシンの通信システムを示すブロック図である
【
図3】カードユニットの装置構成とユニット制御基板の機能を示すブロック図である
【
図4】スロットマシンの電気的構成を示すブロック図である
【
図5】主制御基板、サブ制御基板およびメダル数制御基板の機能を示す機能ブロック図である
【
図6】スロットマシンの前扉が開いた状態での斜視図である
【
図8】基板ユニットの基板ケースを分解した状態の斜視図である
【
図10】主制御基板の部品実装面における正面図である
【
図11】主制御基板の部品実装面における電気配線を示す図である
【
図13】(a)は
図7のA-A断面図であり、(b)は
図7のC-C断面図である
【発明を実施するための形態】
【0020】
本発明の実施形態について、
図1~
図13を参照して説明する。なお、本件明細書では、記載の容易化のため、遊技メダルの代わりに遊技に用いる遊技用価値に当たるデータを、適宜、「疑似メダル」と記載する。
【0021】
(スロットマシンシステム)
まず、スロットマシンシステムについて
図1および
図2を参照して説明する。
図1は本発明の実施形態にかかるスロットマシンSMとカードユニットCUの正面図、
図2がスロットマシンシステムを示すブロック図である。
【0022】
図2に示すように、スロットマシンシステムは、遊技用価値を基に遊技を行うスロットマシンSMと、ホールコンピュータと、管理コンピュータと、スロットマシンSMに隣接して設置され、当該スロットマシンSMと接続されて遊技用価値の貸出及び返却をデータ形式で行うとともに、ホールコンピュータおよび管理コンピュータに各種情報を送信可能に構成されたカードユニットCUと、センタとで構成されている。この実施形態では、カードユニットCUからホールコンピュータへはボーナスの入賞回数やボーナス間のゲーム数などを特定可能な情報等が送信される。また、カードユニットCUから管理コンピュータへは、役物比率等スロットマシンSMの性能に関わる情報等が送信される。スロットマシンSMでは、疑似メダルの枚数がカードユニットCUから枚数データの形式でメダル数制御CPU301に送られ、メダル数制御CPU301による枚数データ管理により、遊技が実行される。
【0023】
また、本実施の形態では、スロットマシンシステムにおいて、遊技者が投入した現金の残高に関する残高データ及びスロットマシンSMに貸出可能な遊技者が所持する疑似メダルの枚数(以下、適宜、「持ちメダル数」と記載する。)を示す枚数データ(以下、適宜、「持ちメダル数データ」と記載する。)がカードユニットCUのユニット制御基板500の記憶手段502a(
図3参照)に記憶される。また、スロットマシンSMでの遊技に使用可能な遊技者が所持する疑似メダルの枚数(以下、適宜、「遊技メダル数」と記載する。)を示す枚数データ(以下、適宜、「遊技メダル数データ」と記載する。)がスロットマシンSMのメダル数制御CPU301の記憶手段302a(
図5参照)に記憶される。なお、記憶手段502aはメモリ502のRAM部(揮発性メモリ)に形成され、記憶手段302aはメモリ302のRAM部(揮発性メモリ)に形成されており、記憶手段502a及び記憶手段302aは電源供給が行われている場合にだけ記憶内容を保持することが可能であり、電源供給が行われなくなると記憶内容が消去される。
【0024】
そして、カードユニットCUの貸出スイッチ503aに対する操作により、カードユニットCUからスロットマシンSMに所定の貸出枚数分の疑似メダルの貸出が行われる。この貸出では、カードユニットCUの記憶手段502aに記憶されている残高データまたは貸出可能枚数データが、所定の貸出枚数に相当する金額分減算された残高データまたは所定の貸出枚数分減算された貸出可能枚数データに書き換えられる。また、スロットマシンSMの記憶手段302aに記憶されている遊技メダル数データが、所定の貸出枚数分増加された遊技メダル数データに書き換えられる。
【0025】
また、スロットマシンSMのベットスイッチ7または最大ベットスイッチ8に対する操作により、所定の賭け枚数(投入枚数)分の疑似メダルの賭け(投入)が行われる。この賭けでは、スロットマシンSMの記憶手段302aに記憶されている遊技メダル数データが、所定の賭け枚数分減算された遊技メダル数データに書き換えられる。
【0026】
また、疑似メダルの払出のある役の入賞により、スロットマシンSMから遊技者に対して所定の払出数の疑似メダルの払出が行われる。この払出では、スロットマシンSMの記憶手段302aに記憶されている遊技メダル数データが、所定の払出数分増加された遊技メダル数データに書き換えられる。この実施形態では、主制御CPU101とメダル数制御CPU301との信号のやり取りにより、疑似メダルの投入、疑似メダルの払い出し、遊技メダル数データの書き換えが行われる。
【0027】
また、メダル数制御CPU301と、カードユニットCUとは、I/F基板90,550を介して双方向で情報のやり取りが行われる。また、I/F基板90,550を介してカードユニットCUからスロットマシンSMに内部電源(カードユニットCUの内部電源)を基にした電源(電圧)が供給される。
【0028】
以下では、まず、スロットマシンSMとカードユニットCUの機能について詳細に説明した後に、スロットマシンSMとカードユニットCUに関する電源供給とスロットマシンSMとカードユニットCUとの接続関係について詳細に説明する。
【0029】
(カードユニット)
図1や
図3に示すように、カードユニットCUは、ユニット情報表示装置505、現金投入装置506、カード挿入排出装置504、貸出スイッチ503a、ユニット制御基板500、I/F基板550を備えている。また、カードユニットCUは、電源基板(図示省略)や補助電源(図示省略)や返却スイッチ(図示省略)も備えている。
【0030】
ユニット情報表示装置505は、ユニット制御基板500の記憶手段502aに記憶されている残高データや持ちメダル数データに基づく遊技者の現金残高(度数)や遊技者の所持する疑似メダル数などを表示するものである。ユニット情報表示装置505は、例えば、複数の7セグメントLEDにより構成されたり、液晶表示器等により構成されたりする。
【0031】
現金投入装置506は、カードユニットCUから疑似メダルを借り受けるために現金投入口506aに紙幣等の現金が投入されるものであり、遊技者により投入された現金を検出する。
【0032】
カード挿入排出装置504は、挿入/排出口504aからメダルカードが挿入された場合は、当該メダルカードを収納するとともに、返却スイッチが操作された場合は、収容しているメダルカードを挿入/排出口504aから排出するものである。
【0033】
ユニット制御基板500には、
図3に示すように、カードユニットCU全体の制御を行うユニットCPU501が実装されており、ユニットCPU501はメモリ502を有するとともに、受付処理手段501a、貸出処理手段501b、第2計数処理手段501c、返却処理手段501d、送受信手段501eとして機能する。
【0034】
(1)記憶手段502a
メモリ502は、各種データを一時的に記憶するRAM部と、各種プログラムなどを記憶するROM部とを備えており、RAM部(揮発性メモリ)に記憶手段502aが形成されている。記憶手段502aは、残高データや持ちメダル数データ、メダル数制御CPU301から受け取った記憶手段302aに記憶されている遊技メダル数データ、メダルカードに書き込まれたID情報などを保持するものである。
【0035】
(2)受付処理手段501a
受付処理手段501aは、メダルカードがカード挿入排出装置504の挿入/排出口504aに挿入されると、記憶手段502aに記憶されている残高データ及び持ちメダル数データを、メダルカードに記憶されている金額(金額が「0」の場合もある)分増加した残高データまたは疑似メダルの枚数(枚数が「0」の場合もある)分増加した持ちメダル数データに書き換えて、メダルカードに記憶されている金額または疑似メダルの枚数を「0」にするものである。また、受付処理手段501aは、現金が現金投入装置506に投入されると、記憶手段502aに記憶されている残高データを、投入された金額分増加した残高データに書き換えるものである。
【0036】
(3)貸出処理手段501b
貸出スイッチ503aが操作された場合、スロットマシンSMへ所定の貸出枚数分の枚数データに基づく信号が送受信手段501eによって送信される。貸出処理手段501bは、この信号の送信に基づいて、記憶手段502aに記憶されている残高データまたは持ちメダル数データを、所定の貸出枚数に相当する金額分減算した残高データまたは所定の貸出枚数分減算した持ちメダル数データに書き換えるものである。なお、貸出処理手段501bは、所定の貸出枚数分の枚数データに基づく信号がスロットマシンSMに送信された場合に記憶手段502aの記憶内容を更新する代わりに、例えば、所定の貸出枚数分の枚数データに基づく信号がスロットマシンSMへ送信され、これに対する応答信号がスロットマシンSMから受信された場合に記憶手段502aの記憶内容を更新するようにしてもよい。
【0037】
なお、本実施形態では、記憶手段502aに記憶されている貸出可能枚数データに基づく疑似メダルの貸出では、貸出スイッチ503aの操作ごとに所定の貸出枚数分の疑似メダルを貸し出すようにしているが、例えば、貸出スイッチ503aが操作されると、一度に記憶手段502aに記憶されている疑似メダルの全てを貸し出すようにしてもよい。
【0038】
(4)第2計数処理手段501c
第2計数処理手段501cは、メダル数制御CPU301の第1計数処理手段301b2と協働して、記憶手段302aに記憶されている使用可能枚数データの一部または全部をカードユニットCUの記憶手段502aに移す計数処理を行うものである。
【0039】
具体的には、スロットマシンSMの計数スイッチ31が操作された場合、スロットマシンSMからカードユニットCUに所定の計数分の枚数データに基づく信号がユニット間送受信手段301eを介して送信される。この信号を送受信手段501eが受信した場合、第2計数処理手段501cは、記憶手段502aに記憶されている持ちメダル数データを、所定の計数分加算した持ちメダル数データに書き換える。なお、この実施形態では、計数スイッチ31の押下時間が所定時間に満たない通常押下の場合は疑似メダル1枚の枚数データがカードユニットCU側に送信される。一方、計数スイッチ31の押下時間が所定時間以上の長押しの場合は、疑似メダル50枚の枚数データが所定の間隔(例えば、300ms)でカードユニットCU側に送信される。
【0040】
(5)返却処理手段501d
返却処理手段501dは、返却スイッチが操作された場合に、記憶手段502aに記憶されている残高データ及び持ちメダル数データをカード挿入排出装置504に収容されているメダルカードに記憶させた上で、当該メダルカードを遊技者に返却するものである。
【0041】
具体的には、メダル数制御CPU301から送信される遊技メダル数(記憶手段302aに記憶されている遊技メダル数データが示す疑似メダルの枚数)に関する情報、および、主制御CPU101とメダル数制御CPU301との間で投入処理が行われた疑似メダルの枚数に関する情報が共に「0」を示す状態で返却スイッチが操作された場合、返却処理手段501dは、記憶手段502aに記憶されている残高データ及び持ちメダル数データをカード挿入排出装置504に収容されているメダルカードに記憶して当該メダルカードをカード挿入排出装置504の挿入/排出口504aから排出するとともに、記憶手段502aに記憶されている残高データ及び持ちメダル数データを、残高「0」を示す残高データ及び枚数「0」を示す持ちメダル数データに書き換える。なお、投入処理が行われた疑似メダルの枚数に関する情報、および、メダル数制御CPU301から送信される遊技メダル数に関する情報が共に「0」でない場合に返却スイッチが操作された場合は、液晶表示器14やスピーカ15,16などにより、計数(計数スイッチ31)や精算(精算スイッチ33)を促す報知が行われる。
【0042】
なお、送受信手段501eでは、所定周期(例えば300ms)で遊技メダル数(記憶手段302aに記憶されている遊技メダル数データが示す疑似メダルの枚数)に関するデータを受信している。
【0043】
(6)送受信手段501e
送受信手段501eは、メダル数制御CPU301からの各種情報に基づく信号を受信するとともに、メダル数制御CPU301に各種情報に基づく信号を送信するものである。メダル数制御CPU301から受信する情報としては、疑似メダルの返却枚数(計数分の枚数データ)や、使用可能枚数(記憶手段302aに記憶されている遊技メダル数データが示す疑似メダルの枚数)、疑似メダルの総投入枚数、総払出枚数、役物比率等の役比モニタ47に表示される各種比率、エラー関連情報などである。また、メダル数制御CPU301に送信する情報としては、疑似メダルの貸出枚数に関する情報などである。なお、送受信手段501eから受け取った遊技メダル数を示す遊技メダル数データ(記憶手段302aに記憶されている遊技メダル数データ)は記憶手段502aに記憶され、これにより、カードユニットCUとメダル数制御CPU301の双方で記憶されることになり、両者を利用することにより不正行為に対応することが可能になる。
【0044】
なお、カードユニットCUからホールコンピュータへは、各種遊技情報が送信される。各種遊技情報は、例えば、前扉5の開放状態、疑似メダルの投入枚数に関する情報、疑似メダルの払出枚数に関する情報、エラー発生情報、設定変更中である旨の情報、設定確認状態である旨の情報、ボーナス状態中である旨の情報、入賞・再遊技役・ボーナス役に入賞した旨の情報、各回転リール6L,6M,6Rが停止した旨の情報などである。
【0045】
(スロットマシン)
続いて、スロットマシンSMの構成の概略について、
図1、
図4、
図5を参照して説明する。
【0046】
本実施形態におけるスロットマシンSMでは、ベットスイッチ7または最大ベットスイッチ8の操作により、遊技を開始させるための所定条件を成立させるために疑似メダルの投入が行われる。また、疑似メダルの投入により所定枚数分の賭け数が設定されて所定条件が成立したことを条件として、遊技者によりスタートスイッチ9が操作されると、各々複数個の図柄が配列された複数の回転リール6L,6M,6Rが回転を開始する。また、各ストップスイッチ10L,10M,10Rの操作により各回転リール6L,6M,6Rが停止する。このときの停止図柄表示結果が所定の入賞態様であれば、予め定められた所定の払出枚数分の疑似メダルの払出が行われることにより1回の遊技が終了する。ここで、疑似メダルの投入とは、メダル数制御CPU301の記憶手段302aに記憶されている遊技メダル数データを、当該遊技の賭け数に応じたメダル数が減じられた遊技メダル数データに書き換えることをいう。また、疑似メダルの払出とは、当該遊技で入賞した場合に、メダル数制御CPU301の記憶手段302aに記憶されている遊技メダル数データを、入賞役に応じて設定されたメダル数が加算された遊技メダル数データに書き換えることをいう。
【0047】
なお、疑似メダルの投入が行われ、遊技メダル数データが減じられた場合であってもスタートスイッチ9の操作が行われるまでは、設定された賭け数を変更することができ、これに応じて賭け数が適宜更新され、スタートスイッチ9を操作すると賭け数として設定された分が遊技に供されることとなる。例えば、規定数として「3」または「1」が設定されている遊技状態において賭け数を設定する場合、最大ベットスイッチ8を操作することで賭け数として「3」が設定されるとともに、遊技メダル数データからは「3」が減じられる。その後、賭け数を「1」に変更する場合、ベットスイッチ7を操作することで賭け数として「1」が設定されるとともに、遊技メダル数データには「2」が戻る(加算される)こととなる。
【0048】
スロットマシンSMは、例えば、
図1に示すように構成されている。すなわち、このスロットマシンSMでは、前面が開放された箱型の筐体KYの前面が前扉5により開閉自在に閉塞され、この前扉5のほぼ中央高さの位置に操作板3が配設されると共に、この操作板3の上方に正面板4が配設されている。そして、この正面板4には横長矩形の表示窓11が設けられている。また、表示窓11の内側には、複数種類の図柄を予め定められた順序で可変表示する左・中・右回転リール6L,6M,6Rが配置されている。
【0049】
左・中・右回転リール6L,6M,6Rそれぞれの周面には、所定の個数の図柄が所定の配列で設けられている。また、左・中・右回転リール6L,6M,6Rそれぞれの周面に設けられた複数の図柄には、種類が異なる複数種類の図柄が含まれている。なお、各回転リール6L,6M,6Rは、複数種類の図柄が印刷されたリールテープが回転リールの周面に貼り付けられて形成されている。また、各回転リール6L,6M,6Rが回転すると、各回転リール6L,6M,6Rそれぞれの周面に設けられた複数種類の図柄が所定の順序でそれぞれ表示窓11に変動表示される。また、各回転リール6L,6M,6Rの回転が停止すると、各回転リール6L,6M,6Rのそれぞれについて、表示窓11の上段、中段および下段のそれぞれに1個ずつの合計3個の図柄が表示されるように設定されている。すなわち、全ての回転リール6L,6M,6Rが停止すると、縦3列横3行に配列された合計9個の図柄が表示窓11に停止表示される。
【0050】
また、各回転リール6L,6M,6Rをそれぞれ独立して回転駆動できるように、各回転リール6L,6M,6Rには、それぞれステッピングモータにより構成される左、中、右リールモータ27L,27M,27R(
図4参照)が連結されている。また、各回転リール6L,6M,6Rを支持する支持枠体が筐体KY内の後壁に固定されて設けられており、各回転リール6L,6M,6Rは支持枠体に支持されて筐体KY内に配設されている。
【0051】
また、操作板3には、ベットスイッチ7、最大ベットスイッチ8、レバー状のスタートスイッチ9、左・中・右ストップスイッチ10L,10M,10R、計数スイッチ31、精算スイッチ33が設けられている。ベットスイッチ7は、遊技者が後述するメダル数制御CPU301の記憶手段302aに記憶されている使用可能枚数データから1枚分ずつの疑似メダルの投入を指示する操作を行うためのものである。最大ベットスイッチ8は、遊技者がメダル数制御CPU301の記憶手段302aに記憶されている遊技メダル数データから1ゲーム(遊技)あたりの最大投入数(規定数:3枚に設定されている)の疑似メダルの投入を指示する操作を行うためのものである。なお、ベットスイッチ7および最大ベットスイッチ8は、メダル数制御CPU301の記憶手段302aに記憶されている遊技メダル数データにより示されるメダル数が1枚以上である場合に有効化されるように設定されている。また、最大ベットスイッチ8が操作されたときに、メダル数制御CPU301の記憶手段302aに記憶されている遊技メダル数データが示す遊技メダル数が規定数(例えば3枚)よりも少ない場合には、疑似メダルの貸し出しを遊技者に促す報知を行うようにしてもよいし、規定数(例えば3枚)より少ない所定数で遊技できるようにしてもよい。また、そもそもそのような場合には、最大ベットスイッチ8の操作を受付けないようにしてもよい。
【0052】
計数スイッチ31は、記憶手段302aに記憶されている遊技メダル数データをカードユニットCU側に送信する際の指示ボタンとして機能するものである。この実施形態では、通常の押下では1枚分の枚数データの送信の指示となり、長押しでは定期的に50枚分の枚数データの送信の指示となる。長押しの場合は押下されている間、所定時間ごとに50枚分の枚数データがカードユニットCUに送信される。なお、記憶手段302aに記憶されている遊技メダル数データが50枚未満となったときに送信の指示(長押しに基づく送信の指示)となった場合は、残りの全ての枚数データがカードユニットCUに送信される。精算スイッチ33は、疑似メダルの賭け数が設定されているときに、その賭け数を0にリセットするためのものである。
【0053】
スタートスイッチ9は、遊技者が各回転リール6L,6M,6Rを回転させて各図柄の可変表示を開始させる操作を行うためのものである。左・中・右ストップスイッチ10L,10M,10Rは、遊技者が左・中・右回転リール6L,6M,6Rの回転をそれぞれ停止させて各図柄の可変表示を停止させる操作を行うためのものである。なお、スタートスイッチ9は、メダル数制御CPU301の記憶手段302aに記憶されている遊技メダル数データから所定数が減算された遊技メダル数データへの書き換え(所定数分の疑似メダルの投入)が行われた後、有効化されるように設定されている。また、左・中・右ストップスイッチ10L,10M,10Rは、スタートスイッチ9の操作により回転開始した各回転リール6L,6M,6Rが所定の加速期間が経過して定速回転するようになった後に有効化されるように設定されている。
【0054】
本実施の形態では、1ゲーム(1回の遊技)に必要な賭け数(所定数)は、1枚、2枚、3枚の3種類が設定されている。また、各回転リール6L,6M,6Rそれぞれにより複数種類の図柄を可変表示する可変表示列が形成されており、各ストップスイッチ10L,10M,10Rは、各回転リール6L,6M,6Rのそれぞれに対応して設けられている。
【0055】
また、正面板4の上方のほぼ中央には、動画などを表示して遊技者に当選や入賞などを告知したり、各ストップスイッチ10L,10M,10Rの操作態様を報知する演出を行ったりするための液晶表示器14が設けられている。
【0056】
また、正面板4の上方の左右には、音楽や音声などによる演出を行うための上部スピーカ15が設けられている。また、操作板3の下方には、装飾画などが表示された下部パネル18が設けられ、この下部パネル18の左右には、音楽や音声などによる演出を行うための下部スピーカ16が設けられている。
【0057】
また、前扉5の上側の周縁部分に上部ランプ部21が設けられ、前扉5の下部パネル18の左右に下部ランプ部22が設けられている。各ランプ部21,22それぞれは、発光ダイオードや有機EL等の発光素子、一般的な電球などの発光手段を備え、遊技者に当選や入賞を告知するなどの演出を行う。
【0058】
また、表示窓11の右下方には、遊技者が所有する疑似メダルの枚数を表示するための遊技メダル数表示器26が配設されている。この遊技メダル数表示器26は、例えば、5個の7セグメントLEDで構成され、5桁の疑似メダルの所持枚数が表示可能になっている。
【0059】
また、遊技メダル数表示器26の隣には、メダル投入数を示すためのベットランプ部30が配設されており、ベットランプ部30は3つのベットランプから構成されている。
【0060】
また、表示窓11の左下方には、疑似メダルの払出枚数を表示する払出表示器46が配設されている。この払出表示器46は、例えば、2個の7セグメントLEDで構成され、2桁の疑似メダルの払出枚数が表示可能になっている。
【0061】
(スロットマシンの電気的な構成の概略)
スロットマシンSMの電気的な構成の概略について、
図1も参照しつつ
図4を参照して説明する。
図4はスロットマシンの電気的構成を示すブロック図である。
【0062】
左・中・右位置センサ55L,55M,55Rは、左・中・右回転リール6L,6M,6Rの回転位置をそれぞれ検出するためのもので、例えば左・中・右回転リール6L,6M,6Rにそれぞれ設けられた突起部を検出するフォトインタラプタからなり、左・中・右回転リール6L,6M,6Rが回転すると、一周ごとに突起部を検出してその検出信号を主制御基板100に出力する。このスロットマシンSMでは、例えば左・中・右位置センサ55L,55M,55Rが上記突起部を検出したときに、各回転リール6L,6M,6Rそれぞれに設定された0~20番の図柄のコマ番号のうち、それぞれコマ番号20番の図柄が表示窓11の中段に位置するように構成されている。
【0063】
設定キースイッチ56は、主制御基板100に設けられており、設定変更キーを設定変更キーシリンダ収容部に配置されたキーシリンダに挿入して回転することによりON、OFFが切り換えられる。リセットスイッチ52は、操作スイッチ基板600に設けられ、設定変更中は1回押す度に1つ上位の設定値に仮設定される。なお、リセットスイッチ52は、エラーが発生した際のエラーを解除するためのスイッチとしても用いられる。
【0064】
また、このスロットマシンSMでは、遊技の進行に関する制御を行う主制御CPU101と遊技者が所持する疑似メダルの枚数の管理に関わる制御を行うメダル数制御CPU301とが実装された主制御基板100と、主制御基板100から送信された情報に基づき遊技の進行に合わせた演出の制御を行うサブ制御CPU201が実装されたサブ制御基板200と、遊技の進行に必要な操作手段(例えば、スタートスイッチ9)からの信号が入力される操作スイッチ基板600と、払出表示器46および遊技メダル数表示器26が設けられた表示基板700と、
図2に示すように、外部機器と通信を行うためのI/F基板90が別々に設けられている。ここで、主制御基板100からサブ制御基板200に対して各種の遊技情報が一方向で送信される。ここでいう所定の情報とは、例えば、記憶手段302aに記憶されている遊技メダル数データに関する情報や、計数スイッチ31が押下されたときにその旨を通知する情報などである。したがって、サブ制御基板200では、主制御基板100から直接受信した情報(所定の情報)に基づいて、液晶表示器14で遊技者が所持する疑似メダルの枚数を表示したり、計数スイッチ31が押下されたときにスピーカ15,16から押下通知音を鳴らしたりする制御を行う。
【0065】
遊技の進行に必要な操作手段であるスタートスイッチ9、ベットスイッチ7、最大ベットスイッチ8、ストップスイッチ10L,10M,10Rからの信号ならびに精算スイッチ33、リセットスイッチ52からの信号は、まず操作スイッチ基板600に入力され、ハーネスを介して主制御基板100に入力される。そして、主制御基板100内の配線を介して主制御CPU101やメダル数制御CPU301に入力される。計数スイッチ31からの信号は、操作スイッチ基板600に入力され、ハーネスを介して主制御基板100に入力され、さらにメダル数制御CPU301に入力される。
【0066】
払出表示器46の表示に用いられる制御信号(表示データを含む)は、主制御基板100から送信される。このとき、主制御基板100→操作スイッチ基板600→表示基板700の伝送経路となる。なお、遊技メダル数表示器26の表示に用いられる制御信号(表示データを含む)は、メダル数制御CPU301から送信される。
【0067】
役比モニタ47は、各種比率を表示するものであり主制御基板100に設けられる。この実施形態において役比モニタ47は、4個の7セグメントLEDで構成されている。各種比率としては、役物比率、連続役物比率、有利区間比率などがある。役物比率は、疑似メダルの総払出数に対する役物(例えば、ビックボーナス(BB)、チャンスボーナス(CB)、シングルボーナス(SB)など)による払出数の総数が占める割合である。連続役物比率は、疑似メダルの総払出数に対する連続役物(例えば、ビックボーナス(BB)など)による払出数の総数が占める割合である。有利区間比率は、押し順によって疑似メダルの払出数が異なる役(AT役)に当選したときに有利な押し順の報知が許容される有利区間が有る場合に、総遊技数に対する当該有利区間が占める割合である。また、疑似メダルの総払出枚数に対する役物、または、AT役に当選して操作態様が報知される遊技による払出数が占める割合である指示込役物についても演算して役比モニタ47に表示するようにしてもよい。また、役比モニタ47を設けずに、各種比率を特定可能な情報をカードユニットCU側に送信するようにしてもよい。
【0068】
設定表示器48は、後述する設定値設定手段101bにより設定される設定値を表示するものであり主制御基板100に設けられる。この実施形態において設定表示器48は、1個の7セグメントLEDで構成されている。
【0069】
主制御CPU101のメモリ102は、各種データを一時的に記憶するRAM部と、遊技の進行に必要なデータやプログラムなどを記憶するROM部とを備えている。主制御CPU101のRAM部は例えば各種フラグ、役抽選結果などを記憶する。また、主制御CPU101のROM部は予め設定されたデータ(
図5の抽選テーブル102aなど)や遊技機用プログラム(スロットマシンSM用のプログラム)を記憶するものである。
【0070】
また、主制御基板100の主制御CPU101は、タイマ割込などの割込機能を有し、ROM部に記憶された遊技機用プログラムを実行することにより、遊技の進行に関する処理を行う。また、主制御CPU101は、抽選手段101e(
図5参照)による役抽選結果に関する情報、各ストップスイッチ10L,10M,10R、スタートスイッチ9等の遊技者により操作される操作器具の操作に関する情報などの種々の遊技情報をコマンド形式でサブ制御基板200(サブ制御CPU201)に送信する。
【0071】
また、サブ制御基板200のメモリ202は、各種データを一時的に記憶するRAM部と、演出用の各種プログラムなどを記憶するROM部とを備えている。また、サブ制御基板200のサブ制御CPU201は、タイマ割込などの割込機能を有し、サブ制御CPU201は、主制御CPU101から送信されるスロットマシンSMに関する各種の遊技情報に基づいてメモリ202に格納されたプログラムを実行することで、遊技者に対する遊技に関連する演出の内容を決定する。また、サブ制御基板200のサブ制御CPU201は、決定された演出の内容に基づいて、サブ制御基板200が有するI/Oポートを介して、液晶表示器14やスピーカ15,16などの演出機器の制御を行う。
【0072】
また、メダル数制御CPU301のメモリ302は、各種データを一時的に記憶するRAM部と、各種プログラムなどを記憶するROM部とを備えている。また、メダル数制御CPU301は、タイマ割込などの割込機能を有し、遊技者が所持する疑似メダルの枚数を、メモリ302のRAM部(揮発性メモリ)に形成された記憶手段302aに記憶される遊技メダル数データを用いて管理したり、記憶手段302aに記憶されている遊技メダル数データに応じた疑似メダルの枚数を遊技メダル数表示器26に表示したりするなどの各種制御を行う。
【0073】
主制御基板100、サブ制御基板200、I/F基板90それぞれは、外部から容易にアクセスできないように、カシメ機構を有する個別の基板ケース内に封印されている。不正行為を防止するための各基板の接続方法としては、それぞれに実装されたコネクタにより、直接基板間接続(BtoB接続)する方法、物理的アクセスの他に、電磁波ノイズの影響を抑えるワイヤカバーで被覆された信号線を用いて接続する方法、信号線を遊技者から視認し難い場所から引き回す方法、基板間の通信信号を暗号化する方法、各基板に設けたID情報を、定期的またはエラー発生時にやり取りする方法などがある。なお、基板それぞれに実装されたコネクタにより両基板を接続する場合は、基板の視認性が低下する積層接続ではなく、横並びに接続し、接続箇所を含めた基板ユニットとしてカバーすることでアクセスを困難にするとよい。
【0074】
(主制御CPU)
主制御CPU101の機能について
図5を参照して説明する。
【0075】
(1)遊技制御手段101a
遊技制御手段101aは、メダルレスのスロットマシンSMにおいて実行される遊技を制御するためのものである。
【0076】
このスロットマシンSMの遊技では、ベットスイッチ7または最大ベットスイッチ8が操作されて疑似メダルの投入の指示があると、その旨を特定可能な情報に基づく信号がメダル管理送受信手段101nによりメダル数制御CPU301に送信される。この信号を受信したメダル数制御CPU301では、記憶手段302aに記憶されている遊技メダル数データが、疑似メダルの投入枚数分減算された遊技メダル数データに書き換えられる。このとき、書き換えたことを特定可能な情報に基づく信号が、メダル数制御CPU301から主制御CPU101に送信され、この信号がメダル管理送受信手段101nにより受信されることにより賭け数が設定される。また、スタートスイッチ9の操作がされるまでは賭け数の変更が可能であって、これに応じて記憶手段302aに記憶されている遊技メダル数データも更新されることとなる。そして、所定の賭け数が設定された後にスタートスイッチ9が操作されると、まず、当選か否かを決定する抽選手段101eによる乱数抽選が行われ、ほぼ同時に、3個すべての回転リール6L,6M,6Rの回転が開始する。
【0077】
その後に、3個のストップスイッチ10L,10M,10Rのうちの1個が操作されると、左・中・右回転リール6L,6M,6Rのうちの当該操作されたストップスイッチ10L,10M,10Rに対応した回転リールの回転が停止する。そして、3個すべてのストップスイッチ10L,10M,10Rに対する操作が終了すると、3個すべての回転リール6L,6M,6Rの回転が停止する。このとき、所定の図柄が所定の位置に停止すると入賞になり、所定枚数の疑似メダルの払出、記憶手段302aに記憶されている遊技メダル数データの減算を行うことなく次回の遊技を実行可能なリプレイ、などの所定の利益が遊技者に対して付与される。
【0078】
また、遊技制御手段101aは、スロットマシンSMにおいて実行される遊技状態を複数の遊技状態の中から一つの遊技状態に制御するためのものである。
【0079】
この実施形態では、遊技状態として、通常遊技状態、ボーナス内部当選状態、ボーナス遊技状態がある。通常遊技状態は、設定変更時やボーナス遊技状態の終了条件(例えば、ボーナス遊技状態での所定回の遊技や払出のある役の所定回の入賞)の成立により設定される遊技状態である。また、ボーナス内部当選状態は、通常遊技状態や有利遊技状態で、ボーナス役を含む当選役グループに当選したが、当該当選した遊技で当該ボーナス役に入賞しなかった場合に設定される遊技状態である。また、ボーナス遊技状態は、ボーナス役を含む当選役グループに当選して当該当選した遊技で当該ボーナス役に入賞した場合、ボーナス内部当選状態で持ち越しているボーナス役に入賞した場合に設定される遊技状態である。なお、スロットマシンSMに用意された遊技状態は上記のものに限定されない。
【0080】
また、遊技制御手段101aは、スロットマシンSMにおいて実行される遊技区間を複数の遊技区間の中から一つの遊技区間に制御するためのものである。
【0081】
この実施形態では、遊技区間として非有利区間と有利区間とがあり、有利区間には非出玉区間と出玉区間とがある。非有利区間は、疑似メダルの払出メダル数の異なる複数の小役から構成される当選役グループ(以下、「押し順当選役グループ」と記載する。)に当選した場合に最大の疑似メダルの払出メダル数が得られる小役に入賞する左・中・右ストップスイッチ10L,10M、10Rの正解の押し順を報知する報知演出を許容しない遊技区間であり、遊技者にとって不利な遊技区間である。有利区間は、押し順当選役グループに当選した場合に最大の疑似メダルの払出メダル数が得られる小役に入賞する左・中・右ストップスイッチ10L,10M、10Rの正解の押し順を報知する報知演出を許容する遊技区間であり、遊技者にとって有利な遊技区間である(非有利区間よりも遊技者にとって有利な遊技区間である)。有利区間中の非出玉区間は報知演出が許容されているものの実際には報知演出が行われない遊技区間であり(なお、非出玉区間の内容はこれに限定されるものではなく、例えば出玉区間と比べて報知演出が行われる割合が低い区間であってもよい)、有利区間中の出玉区間は報知演出が許容されていて実際に報知演出が行われる遊技区間である。
【0082】
非有利区間は、設定変更時や有利区間の終了条件(例えば、有利区間での所定回の遊技や所定メダル数の疑似メダルの増加、出玉区間での遊技数セットの消化)の成立により設定される。有利区間内の非出玉区間は、非有利区間で予め定められた当選役グループ(以下、「有利区間移行抽選当選役グループ」と記載する。)の当選を契機として行われる非有利区間から有利区間への移行抽選に当選した場合に設定され、非出玉区間では、出玉区間で遊技する権利がある所定の遊技数からなる遊技数セットの付与抽選(以下、「遊技数セット上乗せ抽選」と記載する。)が行われる。有利区間内の出玉区間は、非出玉区間で、出玉区間への移行条件を満たした後に設定され、出玉区間では遊技数セット上乗せ抽選が行われる。有利区間内の非出玉区間や出玉区間での遊技数セット上乗せ抽選は例えば所定の当選役グループ(以下、「上乗せ抽選当選役グループ」と記載する。)に当選した場合に行われ、選択肢として遊技数セット「0」、「1」がある。なお、選択肢は、「0」、「1」、「2」などであってもよい。なお、スロットマシンSMに用意された有利区間内の区間は上記のものに限定されない。なお、ここでは、左・中・右ストップスイッチ10L,10M、10Rに対する操作態様により有利量の異なる役として、疑似メダルの払出メダル数の異なる役を例に挙げているが、操作態様により次遊技からの遊技状態の移行先が異なる役や、有利区間の上乗せ量(例えば、遊技数セットの付与数)が異なる役等も有利量の異なる役として挙げられる。一例として、次遊技からの遊技状態の行き先が異なる複数の再遊技役から構成され、操作態様によらず必ず当該複数の再遊技役のいずれかの図柄組み合わせが揃うが、操作態様によって図柄組み合わせが揃う再遊技役が異なって次遊技からの遊技状態の行き先が異なることになる当選役グループがある。
【0083】
(2)設定値設定手段101b
図5の設定値設定手段101bは、所定の設定変更操作に基づいて、出玉率(総払出枚数÷総メダル投入数×100[%])の調整をするための設定(設定1~設定6)を変更するものである。
【0084】
ここで、設定値を変更するための設定変更操作の一例について説明する。例えば、スロットマシンSMの電源が投入される前に設定キースイッチ(設定キー。図示省略)をON状態にし、電源を投入すると、設定変更処理が開始される。このとき、リセットスイッチ52を1回押すと、電源投入前に設定された設定値から1つ上位の設定値に仮設定される(例えば、設定3から設定4に仮設定)。その後は、リセットスイッチ52を押す度に1つ上位の設定値に仮設定される。但し、仮設定値が6の場合にリセットスイッチ52を押すと、設定値が1に戻って仮設定される。そして、最後に、スタートスイッチ9のON操作により設定値が確定し、その時の仮設定値がスロットマシンSMの設定値になる。なお、設定値設定手段101bは、設定変更を行った場合は、設定値記憶領域102cに記憶されている設定値を変更後の設定値に書き換える。
【0085】
(3)テーブル選択手段101c
図5のテーブル選択手段101cは、遊技制御手段101aにより制御される遊技の種類(例えば、一般遊技状態、ボーナス遊技状態)、および、設定値設定手段101bにより設定された設定値(設定1から設定6)に基づき、複数の抽選テーブル102aから1つの抽選テーブルを選択するものである。例えば、一般遊技状態の遊技では、テーブル選択手段101cは、抽選テーブルとして、入賞確率の設定値(設定1~設定6)に応じて抽選テーブル102a(一般遊技用抽選テーブル)を選択する。
【0086】
(4)第1投入処理手段101d
第1投入処理手段101dは、ベットスイッチ7または最大ベットスイッチ8が操作された場合に、メダル数制御CPU301の第2投入処理手段301b3と協働して、疑似メダルの投入を行うことにより賭け数を設定して、遊技を開始するための所定条件を成立させるものである。また、第2投入処理手段103は、精算スイッチ33が操作された場合は、メダル数制御CPU301の第2投入処理手段301b3と協働して一度設定した賭け数のキャンセルを行う。
【0087】
ベットスイッチ7または最大ベットスイッチ8が操作された場合に、第1投入処理手段101dは、メモリ102に設けられた暫定投入数の記憶領域の値を+1加算するとともに、投入処理要求信号をメダル管理送受信手段101nによりメダル数制御CPU301に送信する。投入処理要求信号を受信したメダル数制御CPU301では記憶手段302aに記憶されている遊技メダル数を-1減算する処理を行った上で、当該処理の完了信号を主制御CPU101に送信し、これにより1枚分の投入処理が完了する。最大ベットスイッチ8が操作された場合は、当該処理を3回繰り返す。そして、第1投入処理手段101dは、投入処理の結果、暫定投入数が1回の遊技に必要な値(例えば3枚)になれば、スタートスイッチ9の操作を有効化する。
【0088】
この実施形態では、最大ベットスイッチ8により例えば3枚の疑似メダルの投入が指示された場合であっても、第1投入処理手段101dと第2投入処理手段301b3との間では1枚ずつ投入処理が行われる。
【0089】
また、精算スイッチ33が操作された場合に、その旨を特定可能な情報に基づく信号がメダル管理送受信手段101nによりメダル数制御CPU301に送信される。当該情報に基づく信号を受信したメダル数制御CPU301は、記憶手段302aに記憶されている遊技メダル数データを、ベット数に応じた枚数分加算した遊技メダル数データに書き換え、その旨を特定可能な情報に基づく信号を主制御CPU101に送信する。なお、3枚の疑似メダルの投入処理が完了している状態で精算スイッチ33が操作された場合であっても、第1投入処理手段101dと第2投入処理手段301b3との間では1枚ずつ精算処理(返却処理)が行われる。
【0090】
(5)抽選手段101e
抽選手段101eは、本実施の形態では、スタートスイッチ9の操作を契機に、所定の範囲内(本実施の形態では、例えば、10進数で0~65535)で乱数を発生させて抽出し、抽出した乱数と抽選テーブル102aとを基に、小役、再遊技役、ボーナス役を含む複数の役のいずれかに当選かまたはハズレかの抽選を行うためのものである。
【0091】
抽選テーブル102aは、抽選手段101eが発生させる所定の範囲内の各乱数について、予め設定されている抽選結果のいずれかに該当するか否かが予め定められたものである。
【0092】
(6)リール回転制御手段101f
リール回転制御手段101fは、遊技者によるストップスイッチ10L,10M,10Rに対する操作態様と抽選手段101eの抽選結果とに基づき、回転リール6L,6M,6Rの停止制御を行うものである。具体的には、リール回転制御手段101fは、左・中・右ストップスイッチ10L,10M,10Rのそれぞれに対する操作に基づき、停止テーブル102bを用いて左・中・右リール6L,6M,6Rのそれぞれに対する停止制御を行い、左・中・右リール6L,6M,6Rのそれぞれにより可変表示される図柄を抽選手段101eの役抽選結果に対応した表示態様で停止させる。
【0093】
(7)判定手段101g
判定手段101gは、各ストップスイッチ10L,10M,10Rの操作により全ての回転リール6L,6M,6Rが停止したときの停止図柄の表示態様を判定するものである。本実施の形態では、各回転リール6L,6M,6Rが停止したときの図柄の表示結果が所定の入賞態様であるかどうかが判定手段101gにより判定される。なお、入賞と判定される表示態様は、当選役毎に異なる表示態様が予め定められている。
【0094】
(8)第1払出処理手段101h
第1払出処理手段101hは、判定手段101gの判定結果が疑似メダルの払い出しがある役のいずれかの入賞態様であった場合に、メダル数制御CPU301の第2払出処理手段301b4と協働して、当該役に応じた疑似メダルを払い出すことにより、遊技者に利益を付与するものである。判定手段101gの判定結果が疑似メダルの払い出しにかかる表示態様であった場合は、第1払出処理手段101hは、メモリ102に設けられた払出残数の記憶領域に当選役に応じた払出枚数を記憶させた後、当該払出残数の値を-1減算した上で、払出処理要求信号をメダル管理送受信手段101nによりメダル数制御CPU301に送信する。払出処理要求信号を受信したメダル数制御CPU301では記憶手段302aに記憶されている遊技メダル数を+1加算する処理を行った上で、当該処理の完了信号を主制御CPU101に送信し、これにより1枚分の払出処理が完了する。当該払出処理を払出残数の値が「0」になるまで繰り返し、当該遊技での払出処理が完了する。
【0095】
この実施形態では、入賞した役の疑似メダルの払出数が2枚以上であっても、第1払出処理手段101hと第2払出処理手段301b4との間では1枚ずつ払出処理が行われる。
【0096】
(9)エラー検知手段101i
エラー検知手段101iは、通常の状態とは異なる異常な状態が発生している状態、いわゆるエラーが発生したか否かを検知するものである。ただし、この実施形態では、カードユニットCUから電圧VLが供給されていない場合であっても、当該事由のみではエラーとして検知しない。ただし、カードユニットCUから電圧VLが供給されていない場合は、後述のように遊技の進行は行えないようなっている。また、カードユニットCUから電圧VLが供給されていない場合にエラーとして報知するようにしてもよい。
【0097】
(10)払出表示器制御手段101j
払出表示器制御手段101jは、払出表示器46の表示を制御するものである。具体的には、払出表示器制御手段101jは、当選役に入賞した際、払出表示器46に当該入賞役に設定された疑似メダルの払出数が表示されるように払出表示器46を制御する。また、払出表示器制御手段101jは、エラー検知手段101iによりエラーの発生が検知された場合、払出表示器46に検知したエラーに対して予め定められた識別番号が表示されるように払出表示器46を制御する。
【0098】
(11)コマンド作成手段101k
コマンド作成手段101kは、抽選手段101eの役抽選結果に関する情報、一般遊技状態やボーナス遊技状態などの遊技状態の種類に関する情報、各回転リール6L,6M,6Rの回転・停止状態、第1払出処理手段101hによる疑似メダルの払出状態などの種々の情報をサブ制御基板200(サブ制御CPU201)に送信するためのコマンドを生成するものである。そして、コマンド作成手段101kにより生成されたコマンドは、後述するコマンド送信手段101mによりサブ制御基板200に送信される。サブ制御基板200では、主制御CPU101から送られてきたコマンドに基づき、実行する演出を選択する。換言すれば、サブ制御基板200において実行される演出内容を指示するコマンドがコマンド作成手段101kにより作成される。
【0099】
(12)コマンド送信手段101m
コマンド送信手段101mは、主制御CPU101からサブ制御基板200へ、コマンド作成手段101kにより作成された種々の情報を含むコマンドを一方通行で送信するものである。
【0100】
(13)メダル管理送受信手段101n
メダル管理送受信手段101nは、メダル数制御CPU301に各種情報に基づく信号を送信するとともに、メダル数制御CPU301からの各種情報に基づく信号を受信するものである。メダル数制御CPU301に送信する情報としては、例えば、入賞役に関する情報やベットスイッチ7、最大ベットスイッチ8の操作に関する情報、疑似メダルの投入に関する情報(投入処理要求信号)、疑似メダルの払い出しに関する情報(払出処理要求信号)、主制御CPU101のID番号、役物比率などの各種比率を含む遊技機情報などである。また、メダル数制御CPU301から受信する情報としては、例えば、疑似メダルの投入に関する情報(投入処理応答信号)、疑似メダルの払出に関する情報(払出処理応答信号)などである。
【0101】
(14)操作等管理手段101p
操作等管理手段101pは、遊技の進行に関わる操作手段の操作を有効化するか、あるいは非有効化するかを管理するものである。
【0102】
後述するように、この実施形態ではカードユニットCUからスロットマシンSMに電圧(VL)が供給される。カードユニットCUに電源が投入されていない場合は、メダル数制御CPU301との間の相互通信が不能な状態となるため、このような場合、操作等管理手段101pは、操作手段の操作を非有効化することにより、以降の遊技を進行できないようにする。
【0103】
具体的には、操作等管理手段101pは、メダル管理送受信手段101nがカードユニットCUから電圧(VL)が供給されていないことを特定可能な情報を受信している状況では、通常、操作手段の操作が許容される状況であっても、当該操作を非有効化する。一方、メダル管理送受信手段101nがカードユニットCUから電圧(VL)が供給されていないことを特定可能な情報を受信していない状況では、操作手段が操作された場合は、当該操作を有効化する。したがって、カードユニットCUから電圧(VL)が供給されない状況が発生したときは、以降の疑似メダルの投入や払出がなくなり、メダル数制御CPU301からカードユニットCUに送信される疑似メダルの投入や払出に関する情報と、カードユニットCU側で把握する当該情報との間の齟齬を減らすことができる。
【0104】
この実施形態では、対象の操作手段として、ベットスイッチ7、最大ベットスイッチ8、スタートスイッチ9、各ストップスイッチ10L,10M,10R,計数スイッチ31、精算スイッチ33が設定されている。
【0105】
また、操作等管理手段101pは、メダル管理送受信手段101nがカードユニットCUから電圧(VL)が供給されていないことを特定可能な情報を受信している状況では、遊技メダル数表示器26の各7セグメントの電源を供給しないように制御し、カードユニットCUから電圧(VL)が供給されていない状況で、遊技メダル数が表示されないようにする。なお、カードユニットCUから電圧(VL)が供給されていない状況であっても、払出表示器46、役比モニタ47等の表示は維持される。
【0106】
なお、この実施形態では、メダル管理送受信手段101nがカードユニットCUから電圧(VL)が供給されていないことを特定可能な情報を受信していることに基づいて、操作等管理手段101pが各操作手段の操作を非有効化するようにしたが、操作等管理手段101pが各操作手段の有効/非有効を管理せずとも、カードユニットCUからの電圧VLが供給されていない状況では各操作手段の操作が非有効化される回路を形成してもよい。
【0107】
なお、この実施形態では、各操作手段(ベットスイッチ7、最大ベットスイッチ8、スタートスイッチ9、各ストップスイッチ10L,10M,10R,計数スイッチ31、精算スイッチ33)の全てについて、カードユニットCUからの電圧(VL)の供給の有無による操作の有効/非有効化の判定を主制御CPU101(操作等管理手段101p)で行っているが、各操作手段の全てについての当該判定をメダル数制御CPU301(VL供給判定手段301f)で行うようにしてもよい。
【0108】
また、例えば、電圧(VL)の供給の有無による計数スイッチ31の操作の有効/非有効化の判定は、メダル数制御CPU301で行い、その他の操作手段の操作の有効/非有効化の判定は主制御CPU101で行うなど、操作手段の種類に応じて当該判定を行う制御CPUが異なるようにしてもよい。この場合、当該操作手段の操作に特に大きく関わる方の制御CPUで、有効/非有効化の判定を行うなど、必要に応じて当該判定を行う制御CPUを変えることができる。
【0109】
さらに、制御CPUのようなソフト的な判定手段と、ハード的な判定手段とを組み合わせてもよい。例えば、計数スイッチ31の操作の有効/非有効化の判定はメダル数制御CPU301で行い、ストップスイッチ10L,10M,10Rの操作の有効/非有効化の判定はハード的な判定手段で行い、その他の操作手段の操作の有効/非有効化の判定は主制御CPU101で行うなど、操作手段の種類に応じてこれらの判定手段を組み合わせて使用してもよい。
【0110】
(15)遊技履歴情報管理手段101q
図5の遊技履歴情報管理手段101qは、遊技の進行に応じて遊技履歴情報を集計するものである。例えば、遊技履歴情報として、総投入数(電源ONから再遊技を含まずに累積した投入数)、総払出数(電源ONから再遊技を含まずに累積した払出数)、MY(電源ON以降算出される最大MY)、役物払出数(電源ONから累積した役物の作動による払出数)、連続役物払出数(電源ONから累積した第一種特別役物の差動による払出数)、役物比率(役物払出数÷総払出数×100[%])、連続役物比率(連続役物払出数÷総払出数×100[%])、有利区間比率、指示込役物比率、役物等状態比率などがある。
【0111】
(サブ制御基板)
次に、サブ制御基板200の機能について
図5を参照して説明する。
【0112】
(1)コマンド受信手段201a
コマンド受信手段201aは、主制御CPU101のコマンド送信手段101mにより送信された種々の情報を含むコマンドを受信するものである。コマンド受信手段201aは、主制御CPU101から送信されるコマンドを受信すれば、コマンドの種類に応じてサブ制御基板200が備える各機能に通知を行う。
【0113】
(2)演出内容決定手段201b
演出内容決定手段201bは、コマンド受信手段201aにより受信されたコマンドに応じて、演出の内容を決定するためのものである。具体的には、遊技の進行や、抽選手段101eの役抽選結果などに対応して予め設定された演出パターンから、液晶表示器14に表示される動画を決定したり、スピーカ15,16から流れる音楽や音声を決定したり、上部ランプ部21や下部ランプ部22の光源を一斉にあるいは個別に点滅したりするなどの演出を決定する。
【0114】
そして、演出内容決定手段201bは、決定した演出内容に関するデータを含む信号を液晶表示制御手段201cおよび音声制御手段201dに送信する。
【0115】
(3)液晶表示制御手段201c
液晶表示制御手段201cは、演出内容決定手段201bから送信された信号に含まれるデータに基づいて、液晶表示器14に動画(画像)を表示したり、上部ランプ部21や下部ランプ部22などの光源を一斉にあるいは個別に点滅したりするなどの制御を行うものである。例えば、液晶表示制御手段201cは演出内容決定手段201bから送信されるデータに基づいて上部ランプ部21や下部ランプ部22などの光源を一斉にあるいは個別にフラッシュさせる。
【0116】
(4)音声制御手段201d
音声制御手段201dは、演出内容決定手段201bから送信された信号に含まれるデータに基づいて、スピーカ15,16から音楽を流したり、音声を出力したりするなど制御を行うものである。例えば、音声制御手段201dは、演出内容決定手段201bから送信されるデータに基づいてスピーカ15から再遊技役の入賞音を鳴らしたり、スピーカ16からメダルの投入音を鳴らしたりする。
【0117】
(メダル数制御CPU)
次に、メダル数制御CPU301の機能について
図5を参照して説明する。
【0118】
(1)記憶手段302a
記憶手段302aは、メモリ302のRAM部(揮発性メモリ)に形成され、遊技者が所持する疑似メダルの使用可能枚数データを記憶するものである。
【0119】
(2)フラグ格納手段302b
フラグ格納手段302bは、スタートスイッチ9が操作されて遊技が開始した旨を特定可能な情報を主基板間送受信手段301aが受信した場合にオン設定され、スタートスイッチ9が操作された後に当該遊技の投入メダル数を示す情報(「ホールコン・不正監視情報」の「遊技情報」:
図13(b-1)参照)がカードユニットCUに送信されたとき、または送信されたと想定される時間が経過したときにオフに設定される、投入完了フラグを格納するものである。
【0120】
(3)主基板間送受信手段301a
主基板間送受信手段301aは、主制御CPU101から送信される、疑似メダルの投入の指示や、入賞役にかかる疑似メダルの払出数に関する情報などの各種情報に基づく信号や、主制御CPU101のID番号、役物比率などの各種比率を含む遊技機情報などを受信するとともに、主制御CPU101からの疑似メダルの投入指示や払出枚数に関する情報に対する応答信号を主制御CPU101に送信するものである。主基板間送受信手段301aは、主制御CPU101から送信される情報に基づく信号や、カードユニットCUから送信される情報に基づく信号を受信すると、情報の種類に応じてメダル数制御CPU301が備える各機能に通知を行う。なお、主基板間送受信手段301aについては、主制御CPU101からの信号を受信する手段と、カードユニットCUからの信号を受信する受信手段とが別々の手段であってもよい。
【0121】
(4)遊技メダル数管理手段301b
遊技メダル数管理手段301bは、記憶手段302aに記憶されている使用可能枚数データの管理を行うものであり、借受処理手段301b1と、第1計数処理手段301b2と、第2投入処理手段301b3と、第2払出処理手段301b4とを備える。
【0122】
a)借受処理手段301b1
借受処理手段301b1は、カードユニットCUとの間で疑似メダルの借受処理を行うものである。具体的には、カードユニットCUの貸出スイッチ503aが操作された場合、カードユニットCUからスロットマシンSMに所定の貸出枚数分の枚数データに基づく信号が送信され、この信号が後述するユニット間送受信手段301eにより受信される。この信号がユニット間送受信手段301eにより受信された場合、借受処理手段301b1は、記憶手段302aに記憶されている遊技メダル数データを、所定の貸出枚数分増加した遊技メダル数データに書き換える。また、借受処理手段301b1は、所定の貸出枚数分増加した遊技メダル数データに書き換えたときは、貸出受領結果応答信号をユニット間送受信手段301eを介してカードユニットCUに送信する。
【0123】
b)第1計数処理手段301b2
第1計数処理手段301b2は、カードユニットCUの第2計数処理手段501cと協働して、記憶手段302aに記憶されている使用可能枚数データの一部または全部をカードユニットCU側に移す計数処理を行うものである。具体的には、スロットマシンSMの計数スイッチ31が操作された場合、スロットマシンSMからカードユニットCUに所定の計数分の枚数データに基づく信号がユニット間送受信手段301eを介して送信される。この信号がユニット間送受信手段301eにより送信された場合、第1計数処理手段301b2は、記憶手段302aに記憶されている遊技メダル数データを、所定の計数分減算した遊技メダル数データに書き換える。
【0124】
この実施形態では、所定の計数分としては、計数スイッチ31の押下時間が所定時間に満たない通常押下の場合は疑似メダル1枚の枚数データ、計数スイッチ31の押下時間が所定時間以上の長押しの場合は疑似メダル50枚の枚数データとなっている。なお、長押しの場合は、計数スイッチ31の押下中、所定の間隔(例えば、300ms)で疑似メダル50枚の枚数データがカードユニットCUに送信される。これに伴い、第1計数処理手段301b2は、所定の間隔(例えば、300ms)のごとに記憶手段302aに記憶されている遊技メダル数データを、疑似メダル50枚分を減算した遊技メダル数データに書き換える。
【0125】
c)第2投入処理手段301b3
第2投入処理手段301b3は、主制御CPU101の第1投入処理手段101dと協働して、疑似メダルの投入を行うことにより賭け数を設定して、遊技を開始するための所定条件を成立させるものである。
【0126】
ベットスイッチ7が操作された場合、その旨を特定可能な情報に基づく信号がメダル管理送受信手段101nによりメダル数制御CPU301に送信される。当該情報に基づく信号を主基板間送受信手段301aが受信した場合、第2投入処理手段301b3は、記憶手段302aに記憶されている遊技メダル数を、ベット数に応じた枚数分(1枚)減算した遊技メダル数データに書き換え、その旨を特定可能な情報に基づく信号を主基板間送受信手段301aを介して主制御CPU101に送信する。
【0127】
最大ベットスイッチ8が操作された場合、その旨を特定可能な情報に基づく信号がメダル管理送受信手段101nによりメダル数制御CPU301に送信される。当該情報に基づく信号を主基板間送受信手段301aが受信した場合、第2投入処理手段301b3は、記憶手段302aに記憶されている遊技メダル数データを、ベット数に応じた枚数分(3枚)減算した遊技メダル数データに書き換え、その旨を特定可能な情報に基づく信号を主基板間送受信手段301aを介して主制御CPU101に送信する。ただし、この実施形態では、疑似メダルを3枚投入する場合であっても、第1投入処理手段101dと第2投入処理手段301b3とのやり取りは1枚ずつ行われる。すなわち、ベットスイッチ7が操作された場合の第1投入処理手段101dと第2投入処理手段301b3とのやり取りを3回繰り返すことにより、記憶手段302aに記憶されている遊技メダル数データを、ベット数に応じた枚数分(3枚)減算した遊技メダル数データに書き換える。
【0128】
d)第2払出処理手段301b4
第2払出処理手段301b4は、判定手段101gの判定結果が疑似メダルの払い出しがある役のいずれかの入賞態様であった場合に、主制御CPU101の第1払出処理手段101hと協働して、当該役に応じた疑似メダルを払い出すことにより、遊技者に利益を付与するものである。
【0129】
判定手段101gの判定結果が疑似メダルの払い出しにかかる表示態様(小役等の払い出しがある役の入賞態様)であった場合は、第1払出処理手段101hにより遊技者に払い出しにかかる疑似メダルの払出枚数分の枚数データに基づく信号がメダル管理送受信手段101nによりメダル数制御CPU301に送信される。当該情報に基づく信号を主基板間送受信手段301aが受信した場合、第2払出処理手段301b4は、記憶手段302aに記憶されている遊技メダル数データを、払出枚数分増加した遊技メダル数データに書き換え、その旨を特定可能な情報に基づく信号を主制御CPU101に送信する。ただし、この実施形態では、入賞した役の疑似メダルの払出枚数が2枚以上であっても、第1払出処理手段101hと第2払出処理手段301b4との間では1枚ずつ払出処理が行われる。一方、第2払出処理手段301b4は、再遊技役に入賞しても、記憶手段302aに記憶されている遊技メダル数データの書き換えを行わない。
【0130】
(5)遊技メダル数表示器制御手段301c
遊技メダル数表示器制御手段301cは、記憶手段302aに記憶されている遊技メダル数データを基に、当該遊技メダル数データが示す疑似メダルの枚数が遊技メダル数表示器26に表示されるように、遊技メダル数表示器26の制御を行うものである。
【0131】
(7)ユニット間送受信手段301e
ユニット間送受信手段301eは、疑似メダルの投入枚数や払出枚数に関する情報、スロットマシンSMで発生しているエラーに関する情報、役比モニタ47の表示される各種比率に関する情報、計数スイッチ31の操作に基づく計数分の枚数データを特定可能な情報、スロットマシンSMの固有の情報などの種々の情報をカードユニットCUに送信するとともに、貸出スイッチ503aの操作に基づいてカードユニットCUから送信される貸出枚数分の枚数データを特定可能な情報を受信するものである。
【0132】
(8)VL供給判定手段301f
スロットマシンSMは、コネクタを介してカードユニットCUから電圧VLが供給されている。カードユニットCUに電源が投入されていない場合や、スロットマシンSMとカードユニットCUとが正常に接続されていない場合はカードユニットCUから供給される電圧VLが途絶えることになる。VL供給判定手段301fは、メダル数制御CPU301においてカードユニットCUから電圧VLが供給される配線ラインの電圧を検出することにより、カードユニットCUから電圧VLが供給されているか否かを判定するものである。
【0133】
(9)送信項目制御手段301g
ユニット間送受信手段301eによりカードユニットCUに送信される情報として、遊技機情報、計数情報、貸出受領結果応答に関する情報がある。送信項目制御手段301gは、これらの情報における送信内容または送信項目を制御するものである。
【0134】
上記したスロットマシンSMのメダル数制御CPU301とカードユニットCUのユニットCPU501間の通信はシリアル通信により実施され、上記したスロットマシンSMの主制御CPU101とスロットマシンSMのメダル数制御CPU301間の通信はパラレル通信により実施される。なお、スロットマシンSMのメダル数制御CPU301とカードユニットCUのユニットCPU501間の通信はシリアル通信に限定されるものではなく、また、スロットマシンSMの主制御CPU101とスロットマシンSMのメダル数制御CPU301間の通信はパラレル通信に限定されるものではない。
【0135】
(主制御ユニット)
次に、主制御基板100を内蔵する主制御ユニット105の構成について
図6~
図13を参照して説明する。
【0136】
図6はスロットマシンSMの前扉5が開いた状態での斜視図であり、
図7はスロットマシンSMの内部に設置される主制御ユニット105の正面図である。なお、主制御ユニット105は透明な基板ケース107に主制御基板100が収容されているため、正面視で主制御基板100が視認できる様子を示している。
図6および
図7に示すように、本実施の形態では主制御基板100が透明な基板ケース107に収容された主制御ユニット105は、スロットマシンSMの筐体KY後方に図示しない螺子と取付金具等により固定される。なお、以下では、
図6中の手前側を主制御基板100、基板ケース107、主制御ユニット105の正面側(本実施の形態における一面側)とし、奥側を主制御基板100、基板ケース107、主制御ユニット105の裏面側(本実施の形態における他面側)とする。
図6中の上下、左右を、主制御基板100、基板ケース107、主制御ユニット105の上下、左右として説明する。
【0137】
図8は主制御ユニット105の基板ケース107を分解した状態での斜視図である。基板ケース107は、
図8に示すように、背面側が開放された矩形箱状のカバー部材110と、正面側が開放された矩形箱状のベース部材111とを固定構造(図示省略)で組み付けてなるものであり、カバー部材110とベース部材111を組み付けた際に形成される内部空間に、主制御基板100が収容される。具体的には、カバー部材110及びベース部材111は、正面視において、主制御基板100よりも一回り大きい横長矩形状をなしており、基板ケース107の内部空間は、主制御基板100を全て収容可能な直方体形状をなしている。
【0138】
また、基板ケース107は、図示しない封印構造により封印されており、基板ケース107を開放する際には、封印構造を破壊しなくてはならない。すなわち、本実施の形態では、基板ケース107を開放した際に、封印構造に開放の痕跡が残ることとなり、この痕跡をチェックすることにより、基板ケース107が許可なく開放されていないかを確認することができる。
【0139】
カバー部材110及びベース部材111は、透明樹脂からなる成形品であり、カバー部材110とベース部材111を透して基板ケース107の内部を視認できるよう構成されている。
図7,8に示すように、カバー部材110にはコネクタ開口部123が形成されており、基板ケース107に主制御基板100を収容した状態では、主制御基板100に実装されたコネクタ16がコネクタ開口部123から外部に露出し、主制御基板100の、コネクタを除く部分は、カバー部材110及びベース部材111によって密閉されている。また、カバー部材110には後述する放熱用開口124が形成されており、基板ケース107に主制御基板100を収容した状態で金属製放熱板125の設置領域と放熱用開口部124が正面視で重複するようになっている。
【0140】
図9はカバー部材110を裏面側から見た図であり、
図10は、主制御基板100の部品実装面(本発明の一面側)における部品配置を表す図であり、
図11は主制御基板100の部品実装面における電気配線接続を表す図であり、
図11は
図12における領域Bを拡大した図であり、
図13は
図7におけるA-A、C-C断面図である。
【0141】
主制御ユニット105を構成する主制御基板100は、前述の通りスロットマシンSMの遊技の進行を制御管理するとともに、カードユニットCUとの通信管理や疑似メダル数の枚数管理をする制御基板である。
図10に示すように、主制御基板100は横長矩形状をなしており、その四隅には、基板ケース107に固定するためのネジ貫通孔が形成される。主制御基板100は、正面側が電子部品を実装する部品実装面となっており、主制御CPU101、メダル数制御CPU301の他、各種のIC161や電源レギュレータ162が配設される。
【0142】
ここで、主制御基板100に搭載される主制御CPU101とメダル数制御CPU301はそれぞれ遊技の進行とメダル数の増減を制御するため、各々別のタイミングで動作を行うこととなっている。そのため、電源レギュレータ162には常に高い負荷がかかるようになっており、状況によっては高温を発することもある。そのため、主制御ユニット105には放熱対策をすることが望ましい。
【0143】
本実施の形態では、
図7、8に示すように、放熱対策として、カバー部材110の一部に複数の放熱用開口124を設けられている。但し、主制御CPU101やメダル数制御CPU301はその性質上、不正行為の目標とされる可能性があるため、放熱用開口124は不正行為を防止しつつ、電源レギュレータ162の発熱を抑えるものでなくてはならない。主制御ユニット105における不正行為を防止するための施策は後述する。
【0144】
図8、10に示すように、IC161は主制御基板100に設置されたとき、パッケージマーキング「DEF」(本実施の形態における文字情報)が部品実装面に対して平行となるように、換言すると、主制御基板100の部品実装面を正面視したときにパッケージマーキング「DEF」が視認容易となるように設置される、所謂横置きの電子部品であり、電源レギュレータ162は主制御基板100に設置されたとき、パッケージマーキング「ABC」が部品実装面に対して垂直となるように、換言すると、主制御基板100の部品実装面を正面視したときにパッケージマーキング「ABC」が視認困難となるように設置される、所謂縦置きの電子部品である。この電源レギュレータ162のパッケージマーキングとは反対の面に金属製放熱板125(本実施の形態における金属部品)を接触した状態で設置することで、電源レギュレータ162から熱伝導により金属製放熱板125へ熱が伝わり、金属製放熱板125から放熱用開口124を通して主制御ユニット105の外部へ放熱される。
【0145】
ここで、
図7、10に示すように、カバー部材110に設けられる放熱用開口124は正面視で金属製放熱板125の設置領域125Aと重なるが、他の電子部品である主制御CPU101やメダル数制御CPU301の他、各種のIC161や電源レギュレータ162の設置位置とは正面視では重ならない。なお、本実施の形態における電子部品とは、通電することで利用可能なものであり、ICや抵抗、コンデンサ、コネクタ等が該当するものであるが、通電して利用しない金属製放熱板125は電子部品に該当するものではない。
【0146】
また、
図11、12に示すように、金属製放熱板125の設置領域125Aの全体にはグラウンド電位が供給されるグラウンド電源配線GNDが敷設されており、電源レギュレータ162をはじめ、各電子部品にグラウンド電位を供給しているが、部品実装面と基板裏面(本実施の形態における他面側)とを接続するスルーホールSHのうち、金属製放熱板125を固定する放熱板固定用スルーホール125SH以外は設置されていない。また、放熱板固定用スルーホール125SHは金属製放熱板125の直下に存在するため、正面視では金属製放熱板125で放熱板固定用スルーホール125SHを視認することはできない。換言すると、放熱用開口124と正面視で重なる領域には、電子部品が配設されておらず、かつ、信号配線および正面視で視認可能なスルーホールが敷設されていないこととなる。これにより、設置領域125Aを非配線領域とするのに比べ、グラウンド電源配線の敷設領域を大きくすることができるため、高負荷のかかる電源レギュレータ162へ安定的にグラウンド電位を供給できるとともに、不正行為者が放熱用開口124から針金等を差し込んだとしても、導電性のある電子部品の端子やスルーホールSHへはアクセスすることができないため、不正行為を防止することができる。
【0147】
また、
図9、13に示すように、カバー部材110は設置領域125Aを囲うように側壁110Wが設けられており、主制御基板100と近接して放熱用開口124から差し込まれた針金等が側壁110W外へ侵入させない隔壁の役割を果たすようになっている。
【0148】
また、
図7、13に示すように、金属製放熱板125の設置領域125Aは放熱用開口124の開口よりも広く、金属製放熱板125の設置領域125Aと放熱用開口124の開口は正面視で重複するようになっており、金属製放熱板125は櫛歯状の形状をしている。そのため、放熱用開口124から差し込まれた針金等は側壁110Wへたどり着くまでに金属製放熱板125内の空間へ落ち込みやすくなっており、金属製放熱板125自体も隔壁としての役割を果たしている。
【0149】
また、カバー部材110の上部には側壁110Wがコの字状となるよう切り欠き部110UWが形成されている。この切り欠き部110UWに電源レギュレータ162が縦方向に差し込まれ、主制御基板100を収容した状態ではカバー部材110の上部側壁と電源レギュレータ162が近接して針金等が差し込まれる隙間を形成しないように構成されている。つまり、電源レギュレータ162が設置領域125Aを囲う隔壁の一部としての役割を果たしている。これにより、カバー部材110と主制御基板100との間にできる隙間を複雑化することができるとともに、切り欠き部110UW部分の側壁110Wが必要なくなり、コスト削減にもつなげることができる。
【0150】
以上に、本発明の実施形態を説明したが、本発明は、上記実施の形態に限らず本発明の要旨を逸脱しない範囲内において種々変更を加えることができる。例えば、上記実施の形態は、スロットマシン1の主制御基板100を収納する主制御ユニット105であるが、本発明は、スロットマシンの他の制御基板(サブ制御基板200や画像制御基板等)を収納するユニットであってもよいし、他の遊技機(パチンコ機等)に係る制御基板を収納するユニットであってもよい。
【0151】
また、本実施の形態における主制御ユニット105は、筐体3の背面側に取り付けられていたが、これに限定するものではない。例えば前扉5の裏側に取り付けられたり、筐体3の側面側に取り付けられたりするものとしてもよい。但し、主制御ユニット105が前扉5の裏側に取り付けられた場合は、前扉5の裏側方向が主制御基板100、基板ケース107、主制御ユニット105の正面側となり、前扉5の表側方向が主制御基板100、基板ケース107、主制御ユニット105の裏面側となる。いずれの例であっても、基板ユニット6はスロットマシン1の内部に、前扉を開放すると主制御基板100の部品実装面が視認可能となるように設置されるものである。
【0152】
また、
図10に示すように、本実施の形態における主制御基板100は、設置領域125A、または、金属製放熱板125に隣接した位置、より具体的には、金属製放熱板125の櫛歯の開放方向に隣接した位置に主制御基板100の識別情報「GHIJK」を示すシール130を貼付してもよい。これにより、冷却用開口部から針金を入れて不正行為を行おうとした際にシール130を傷つけることとなり、管理者が点検の際に不正行為の痕跡を発見しやすくなる。また、シール130が金属製放熱板125の櫛歯の開放方向に貼付されているため、針金をシール130の方向に誘導しやすくなっており、不正行為の痕跡をより発見しやすくなっている。なお、識別情報はシール130ではなく、シルク印刷によって示されるものであってもよい。また、識別情報は基板ごとの製造番号のほか、基板名や基板の種類、会社名、ロゴ等、視認することにより情報を認識できるもののであってもよいし、二次元コードに代表される読み取り機を使用することにより情報を認識できるものであってもよい
【0153】
また、本実施の形態における主制御ユニット105は、主制御基板100の表裏を確認するために主制御基板100を基板ケース107内に収納した状態で旋回可能に構成されていてもよい。この場合、主制御ユニット105が収納状態から旋回されて展開状態となった状態で、前扉5を開閉すると、主制御ユニット105と前扉5が開閉の途中で接触する可能性があるが、放熱用開口124は前扉5の開閉途中のどの状態であっても接触することはない。具体的には、主制御ユニット105は下側に回転軸を有しており、手前方向に旋回することで主制御基板100の裏側を視認することが可能となる。このとき、旋回により主制御ユニット105上部が手前に倒れるため、基板ケース107の下側に形成されている放熱用開口124は前扉5に接触することはない。
【符号の説明】
【0154】
SM…スロットマシン
CU…カードユニット
100…主制御基板
101…主制御CPU
124…放熱用開口
125…金属製放熱板
162…電源レギュレータ
301…メダル数制御CPU