(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2022177417
(43)【公開日】2022-12-01
(54)【発明の名称】太陽光発電システム点検装置および点検方法
(51)【国際特許分類】
H02S 50/00 20140101AFI20221124BHJP
H02S 20/10 20140101ALI20221124BHJP
【FI】
H02S50/00
H02S20/10 C
【審査請求】未請求
【請求項の数】8
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2021083656
(22)【出願日】2021-05-18
(71)【出願人】
【識別番号】000003078
【氏名又は名称】株式会社東芝
(71)【出願人】
【識別番号】317015294
【氏名又は名称】東芝エネルギーシステムズ株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110001092
【氏名又は名称】弁理士法人サクラ国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】星 岳志
(72)【発明者】
【氏名】向野 隆
(72)【発明者】
【氏名】小林 徳康
(72)【発明者】
【氏名】阿部 由美子
(72)【発明者】
【氏名】川端 俊一
(72)【発明者】
【氏名】中島 弘達
(72)【発明者】
【氏名】山本 摂
(72)【発明者】
【氏名】高橋 栞太
(72)【発明者】
【氏名】久保 達也
【テーマコード(参考)】
5F151
【Fターム(参考)】
5F151JA13
5F151JA27
5F151KA07
(57)【要約】 (修正有)
【課題】従来に比べて点検項目、点検範囲を拡大することができるとともに、点検効率の向上、点検の省人化・無人化が実現できる、太陽光発電システム点検装置および点検方法を提供する。
【解決手段】太陽光発電パネルを有する太陽光発電システムを点検するための太陽光発電システム点検装置100であって、太陽光発電パネルの太陽光が照射される照射面と反対側の裏面を撮像するための撮像装置3と、撮像装置を搭載した移動機構4と、を具備している。
【選択図】
図2
【特許請求の範囲】
【請求項1】
太陽光発電パネルを有する太陽光発電システムを点検するための太陽光発電システム点検装置であって、
前記太陽光発電パネルの太陽光が照射される照射面と反対側の裏面を撮像するための撮像装置と、
前記撮像装置を搭載した移動機構と、
を具備したことを特徴とする太陽光発電システム点検装置。
【請求項2】
請求項1に記載の太陽光発電システム点検装置であって、
前記撮像装置は、前記太陽光発電パネルの前記裏面における最も高い地上高さよりも低い位置に撮像用のレンズ機構を有する
ことを特徴とする太陽光発電システム点検装置。
【請求項3】
請求項1又は2に記載の太陽光発電システム点検装置であって、
前記撮像装置は、画角を調整するための画角調整機構を備えている
ことを特徴とする太陽光発電システム点検装置。
【請求項4】
請求項1乃至3の何れか1項に記載の太陽光発電システム点検装置であって、
前記撮像装置は、可視光の画像と、赤外光及び紫外光の少なくとも一方の画像とを撮像可能とされている
ことを特徴とする太陽光発電システム点検装置。
【請求項5】
請求項1乃至4の何れか1項に記載の太陽光発電システム点検装置であって、
前記移動機構は、前記撮像装置による撮像データに基づいて位置を認識する機構を具備する
ことを特徴とする太陽光発電システム点検装置。
【請求項6】
請求項1乃至5の何れか1項に記載の太陽光発電システム点検装置であって、
匂いセンサ、電磁波測定器、非接触温度計、レーザ距離計、レーザ振動計、レーザ誘起ブレークダウン分光装置、渦電流センサ、超音波センサのうち、何れか1つ以上の計測機構を具備する
ことを特徴とする太陽光発電システム点検装置。
【請求項7】
請求項6に記載の太陽光発電システム点検装置であって、
前記計測機構によって得られた計測データを記憶する記憶装置と、前記記憶装置に記憶された前記計測データから点検箇所の正常・異常を判定するデータ判定装置とを具備する
ことを特徴とする太陽光発電システム点検装置。
【請求項8】
請求項1乃至7の何れか1項に記載の太陽光発電システム点検装置を用いて、太陽光発電システムの太陽光発電パネルの裏面、太陽光発電パネルの架台、パワーコンディショナ、接続箱、端子箱、ケーブル、コネクタの少なくとも何れか1か所を点検することを特徴とする太陽光発電システム点検方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明の実施形態は、太陽光発電システム点検装置および点検方法に関する。
【背景技術】
【0002】
太陽光発電システムの運用および保守点検は、近年の自然災害の激甚化や、電気保安人材の将来的な不足に対する懸念などから、自動点検装置などによる省力化・無人化が求められている。
【0003】
特にメガソーラと呼ばれる、出力が1MWを超える大規模太陽光発電システムでは、広大かつ環境の異なる敷地内に設置されたシステムを効率的に点検する必要がある。また、太陽光発電システムは、山間部や豪雪地帯、ため池などの水中に設置される場合もあり、設置環境に対してロバストな点検技術が要求される。
【0004】
現在、ドローンや走行車を用いた太陽光パネルの点検装置および点検方法などが提案されてきているが、これらの従来手法は、太陽光発電パネルの表面、すなわち太陽光が照射される面の健全性の点検に限定されており、パネルの裏面側や、架台、パワーコンディショナ、接続箱、端子箱、ケーブルなど、パネル表面以外の部位についての点検手法は示されていない。
【0005】
太陽光発電パネル裏面のバックパネルの劣化、架台の錆や固定ボルトの緩み、パワーコンディショナからの電磁ノイズ発生、ケーブル断線などの異常発見は、太陽光発電システムの保守点検において重要であり、放置すると発電量の低下、システム全体の寿命低下、自然災害による損壊といった危険につながるおそれがある。また、今後、両面発電パネルの普及が進む可能性があり、太陽光パネル裏面の点検の必要性は、さらに高まると考えられる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0006】
【特許文献1】特許第5197642号公報
【特許文献2】特許第6415229号公報
【特許文献3】特開2013-36747号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
太陽光発電システムの保守点検は、現場での目視による点検項目が多く、点検作業員の五感や観察力に大きく依存している。特にメガソーラなどの大型システムでは多くの人員・時間を要するという課題がある。また先述の山間部や豪雪地帯など、点検員のアクセスが難しい場所に設置された太陽光発電システムの場合は、システム全体の健全性を保証することが難しい。
【0008】
さらに、感染症の流行などにより、点検員が確保できない事態も生じうるため、省人化・無人化に向けた技術開発が進められている。こうした課題に対して、例えばメガソーラを一括して点検する場合、ドローンによる空撮で、短時間で効率良く異常を発見する方法が考案されている。
【0009】
しかし、点検項目として重要な、太陽光パネルを設置した地面側からの観察で検知される異常、そして、その検知結果に基いた異常個所の分析などには対応できていない。例えば、太陽光発電システムを構成する架台、パワーコンディショナ、接続箱、ケーブルなどの発電パネル以外の構成要素、およびパネルの裏面側などに対して必要な点検項目に対応できていない。
【0010】
本発明は、このような従来の事情に対処してなされたもので、従来に比べて点検項目、点検範囲を拡大することができるとともに、点検効率の向上、点検の省人化・無人化が実現できる、太陽光発電システム点検装置および点検方法を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0011】
実施形態の太陽光発電システム点検装置は、太陽光発電パネルを有する太陽光発電システムを点検するための太陽光発電システム点検装置であって、前記太陽光発電パネルの太陽光が照射される照射面と反対側の裏面を撮像するための撮像装置と、前記撮像装置を搭載した移動機構と、を具備したことを特徴とする。
【発明の効果】
【0012】
本発明の実施形態によれば、従来に比べて点検項目、点検範囲を拡大することができるとともに、点検効率の向上、点検の省人化・無人化が実現できる、太陽光発電システム点検装置および点検方法を提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0013】
【
図1】実施形態に係る太陽光発電システムの全体の概略構成を示す図。
【
図2】実施形態に係る太陽光発電システム点検装置の概略構成を示す図。
【
図3】他の実施形態に係る太陽光発電システム点検装置の概略構成を示す図。
【
図4】実施形態に係る撮像画像の例であり、(a)は可視光、(b)は赤外光、(c)は紫外光を用いた撮像画像の例を示す図。
【
図5】他の実施形態に係る太陽光発電システム点検装置の概略構成を示す図。
【
図6】電磁波測定器を用いた実施形態の概略構成を示す図。
【
図7】レーザ光用いた実施形態の概略構成を示す図。
【
図8】データ記録装置及びデータ判定装置を具備した実施形態の概略構成を示す図。
【
図9】データ記録装置及びデータ判定装置を具備した他の実施形態の概略構成を示す図。
【
図10】遠隔操作機構を用いた実施形態の概略構成を示す図。
【
図11】ドローンを用いた実施形態の概略構成を示す図。
【
図12】レールを用いた実施形態の概略構成を示す図。
【発明を実施するための形態】
【0014】
以下、実施形態について、図面を参照して説明する。
【0015】
図1は、実施形態に係る太陽光発電システムの全体の概略構成を示す図である。
図1に示すように、太陽光発電システム1は、多数の太陽光発電パネル1aを具備しており、これらの太陽光発電パネル1aは、架台8上に設けられている。太陽光発電パネル1aは、その表面側の照射面に太陽光が照射されることによって電気が発生するため、太陽の通る方向及び高度に向くように設置される。設置場所が日本の場合、太陽光発電パネル1aは、南に向け、かつ一定角度傾けて配置されることが多い。従来は、太陽光発電システム1を点検する場合、ドローン等を用いて上空から太陽光発電パネル1aの表面側の照射面を撮像し、得られる画像データに基づいて損傷の有無等の判断を行っていた。
【0016】
図2は、実施形態に係る太陽光発電システム点検装置の概略構成を示すもので、
図2(a)は、太陽光発電パネル1aの照射面と反対側の面である裏面2を下側から見た図であり、
図2(b)は、太陽光発電パネル1aと太陽光発電システム点検装置100の位置関係を側面側から示した図である。
図2(b)に示すように、太陽光発電パネル1aを支持する架台8は、太陽光発電パネル1aを所定角度傾けて支持するため、高い側の脚部8aと脚部8aより低い脚部8bとを有する構造となっている。
【0017】
太陽光発電システム点検装置100は、太陽光発電パネル1aの裏面2を撮影するための撮像装置3を具備しており、この撮像装置3は、移動機構4の上に搭載されている。また、撮像装置3は、太陽光発電パネル1aの裏面2を撮影するためその高さ(撮像光が入射する部分(レンズ)の上側の高さ(
図2に示す高さh1))が、高い側の脚部8aに位置する太陽光発電パネル1aの高さ(
図2に示す高さh2)よりも低く設定されている。すなわち、撮像装置3は、太陽光発電パネル1aの裏面2における最も高い地上高さよりも低い位置に撮像用のレンズ機構を有する。
【0018】
前述したとおり、太陽光発電パネル1aは、設置環境や日照条件に対して、太陽光の受光量を増やすために、傾斜して設置される場合が多い。太陽光発電パネル1aの裏面2を点検する場合、傾斜した太陽光発電パネル1aに対応して、撮像時の画角CVAを調整する必要が生じる場合がある。
【0019】
このため、
図3に示す太陽光発電システム点検装置100aのように、撮像装置3は、撮影する画角を調整するための画角調整機構5を具備することが好ましい。画角調整機構5により画角CVAを調整し、所望の範囲の画像を取得することが可能となる。画角調整機構5は、撮像装置3の光学系による調整、あるいは移動機構4による撮像装置3の撮像方向の調整などの方法が考えられ、それらを組み合わせた方法でも良い。通常、画像を取得する際に行われる焦点位置調整、ズームなどの機能を撮像装置3に持たせることは、本実施形態の想定の範囲内である。
【0020】
撮像装置3を用いて画像を取得する場合の撮像条件設定部、画像表示部、画像解析部などは、撮像装置3又は移動機構4に備えさせることが可能だが、点検者が遠隔から確認できるようにしても良い。
【0021】
太陽光発電パネル1aの破損などによる異常個所が発熱して、ホットスポットと呼ばれる高温領域になる場合があり、サーモグラフィにより確認する方法などがある。撮像装置3は、可視光による外観の点検だけではなく、赤外線、紫外線などの波長を用いても良く、熱画像による温度分布や放電現象などを捉えることができる。
図4(a)に可視光を用いた場合の撮像画像の例、
図4(b)に赤外光を用いた場合の撮像画像の例、
図4(c)に紫外光を用いた場合の撮像画像の例を示す。可視光を用いた場合、例えば外観に関する情報が得られる。また、赤外光を用いた場合、例えば熱分布に関する情報が得られる。また、紫外光を用いた場合、例えば放電に関する情報が得られる。このような画像の取得は、波長範囲毎に分けて撮像する方法、ハイパースペクトルカメラのように分光により画像を分別する方法などを採用することが考えられる。
【0022】
太陽光発電システム1の点検では、目視に変わる画像による点検で見つかった異常の具体的なモード(焼損、変色、変形など)を調べるために、
図5に示すように、各種センサなどからなる点検機構7を備えることが有用である。また、
図5に示すように、太陽光発電システム1には、太陽光発電パネル1aの他に、太陽光発電パネル1aを設置する架台8、パワーコンディショナ9、接続箱10、端子箱11、ケーブル12、コネクタ13などの機器が設けられており、これらの機器の状態を点検できるようにすることが好ましい。この場合、これらの機器の部位の画像に対して、どのような異常であるかを、その場で分析することが望まれる。
【0023】
目視以外で、点検作業員の五感に頼る点検項目として、ケーブルの過熱による焦げ、架台の錆に触れたときに発する匂いなども、異常の発見につながっている。匂いに対しては、感応膜などを用いた匂いセンサ14によって検出が可能であり、この場合前述した点検機構7が匂いセンサ14を具備する構成とする。点検機構7に設ける異常を調べるセンサとしては、匂いセンサ14以外に、電磁波測定器15、非接触温度計16、レーザ距離計17、レーザ振動計18、レーザ誘起ブレークダウン分光装置19、渦電流センサ20、超音波センサ21などがあるが、その他のセンサを用いても良い。
【0024】
パワーコンディショナ9などの電気系統から電磁ノイズEMGが発生することがあり、このノイズを捉えるのに電磁波測定器15を用いる方法を
図6に示す。この場合、点検機構7が電磁波測定器15を具備した構成となる。電磁ノイズEMGの周波数は、発生部位により異なることがあるため、点検機構7が周波数帯域の異なる電磁波測定器15を複数備えても良い。
【0025】
太陽光発電パネル1aのホットスポットの熱画像による点検について先述したが、過熱などの温度異常を計測するのに、赤外線を用いた非接触温度計16を用いても良い。パネルの過熱部だけでなく、パワーコンディショナ9などの各部位の温度異常を計測することで温度異常を見つけることができる。
【0026】
図7に示すように、遠隔かつ非接触で位置や距離を計測する方法としてレーザ光(LB)用いた技術の適用も考えられる。例えば、自然災害による地滑りや架台8の変形、その他の構成機器の傾斜などの異常に対して、レーザ距離計17を用いて正常な状態からの変位を知ることができる。
【0027】
また、架台8のぐらつき、締結部のボルトの緩みなどをレーザ振動計18で計測することも考えられる。この場合、計測対象の振動をそのまま計測する以外に、加振源を用いて加振して、振動を計測しても良い。
【0028】
さらに、錆や腐食などが撮像装置3で得られた画像や匂いセンサ14で見つかった場合、レーザ誘起ブレークダウン分光装置19を用いれば、異常個所の化学組成についての情報を得ることができる。
【0029】
太陽光発電パネル1aのクラックや、架台8にできた欠陥、腐食などに対して、渦電流探傷や超音波探傷を応用することも考えられる。例えば、渦電流探傷は、材料の表面欠陥検査などに一般的に適用されている非破壊検査技術であるが、渦電流センサ20により太陽光発電パネル1aのクラック検出に応用することが可能である。
【0030】
超音波探傷も、様々な対象の非破壊検査に広く用いられているが、太陽光発電システム1への適用を考えた場合、例えば架台8の支柱などの地面への埋設部分の腐食を、健全部と腐食部の境界での超音波の反射から超音波センサ21により検出する方法などが考えられる。渦電流センサ20や超音波センサ21を用いる場合、これらのセンサを測定部位に接触させて測定を行うことが想定される。この場合、例えば、これらのセンサを移動させる駆動機構を設けておき、撮像装置3で得られる画像に基づいて駆動機構を駆動し、センサを測定部位に接触させる構成とすることができる。
【0031】
このように異常個所の点検・分析に各種のセンサを用いることが可能で、これらを個別に、あるいはいくつかを組み合わせて点検機構7に搭載することで、点検に関して必要な情報を得ることができる。
【0032】
撮像装置3、点検機構7で得られたデータは、
図8に示すようなデータ記録装置22に保存される。
図8に示す太陽光発電システム点検装置100cでは、データ記録装置22は、撮像装置3などとともに移動機構4に搭載されている場合を示している。また、例えば、
図9に示すように、移動機構4を遠隔操作可能とするリモート機構24を具備する太陽光発電システム点検装置100dの場合、リモート機構24を遠隔操作する遠隔操作部などの外部にあっても良く、外部にあるデータ記録装置22に、通信によりデータを送信するなどの方法をとっても良い。
【0033】
保存されたデータは、データ判定装置23において、データ間の比較、点検箇所の異常・正常判定、別の時期に点検したデータとの差分の評価などに供することができる。このデータ判定装置23もデータ記録装置22と同様に、移動機構4に搭載されていても、外部にあっても良い。
【0034】
ここまで、本実施形態における点検に関わる内容について説明しているが、太陽光発電システム点検装置100によって、点検の省人化・無人化を実現するためには、移動機構4によって点検が必要な場所へ移動できることが重要である。この移動機構4による移動方法の具体例について、以下に説明する。
【0035】
移動機構4は例えば、走行車として考えた場合、車輪、キャタピラなどの駆動部、モータ等の駆動源などから構成され得る。この構成以外にも空気圧などにより浮上して、別に設けたプロペラにより推進力を得る方法、水上での移動を考慮したホバークラフトのような構成なども考えられる。
【0036】
図10に示す太陽光発電システム点検装置100dのように、作業者が遠隔操作機構送信部28から移動方向・速度などについての指示を出し、リモート機構24にて信号を受信することで、遠隔から操作する方法があるが、あらかじめ定められた軌道を移動させても良い。
【0037】
また、
図11に示すように、例えばメガソーラのような広大な敷地内を移動するために、太陽光発電システム点検装置100dをドローン29により所定のエリアまで運び、着地点から点検を開始するなどの方法も考えられる。その他、移動機構の構成にはここに示したもの以外のものも考えられ、現場の使用環境に応じて、最適な構成にすることが望ましい。
【0038】
また
図12に示すように、太陽光発電システム1の一部、あるいはシステムが設置されている領域内に、レール30などの移動用の軌道をあらかじめ設置し、太陽光発電システム点検装置100が、その軌道上あるいは軌道に沿って移動する方法もある。
図12は、架台8にレール30を取り付けた構造を示しているが、発電の妨げになるなどの問題がなければ、所望のデータを取得できるように、どのような位置にレール30を取り付けても良い。
【0039】
また、太陽光発電システム点検装置100をあらかじめ設定したプログラムなどによって自動走行させて点検する方法もある。自動走行させる場合、撮像装置3により取得する画像内に、点検したい範囲が映っていることを確認しながら走行位置を調整する。また、走行位置の確認は、GPSによる座標、基点からの移動距離・方向情報、その他、架台8などに貼付した位置情報を含むバーコードまたはQRコード(登録商標)、位置情報を含んだ画像(架台8に記載した番地など)などの情報を用いて、行っても良い。また、走行位置調整は、撮像装置3得る情報以外に、距離センサなどにより、自動走行する方法も可能である。
【0040】
以上、本発明のいくつかの実施形態を説明したが、これらの実施形態は例として掲示したものであり、発明の範囲を限定することは意図していない。これら新規な実施形態は、その他の様々な形態で実施されることが可能であり、発明の要旨を逸脱しない範囲で、種々の省略、置き換え、変更を行うことができる。これら実施形態やその変形は、発明の範囲や要旨に含まれるとともに、特許請求の範囲に記載された発明とその均等の範囲に含まれる。
【符号の説明】
【0041】
1……太陽光発電システム、1a……太陽光発電パネル、2……裏面、3……撮像装置、4……移動機構、5……画角調整機構、7……点検機構、8……架台、9……パワーコンディショナ、10……接続箱、11……端子箱、12……ケーブル、13……コネクタ、14……匂いセンサ、15……電磁波測定器、16……非接触温度計、17……レーザ距離計、18……レーザ振動計、19……レーザ誘起ブレークダウン分光装置、20……渦電流センサ、21……超音波センサ、22……データ記録装置、23……データ判定装置、24……リモート機構、28……遠隔操作機構送信部、29……ドローン、30……レール。