(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2022177428
(43)【公開日】2022-12-01
(54)【発明の名称】美顔用マスク装置
(51)【国際特許分類】
A61N 1/36 20060101AFI20221124BHJP
A61N 1/04 20060101ALI20221124BHJP
A61N 1/30 20060101ALN20221124BHJP
【FI】
A61N1/36
A61N1/04
A61N1/30
【審査請求】未請求
【請求項の数】6
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2021083672
(22)【出願日】2021-05-18
(71)【出願人】
【識別番号】512135584
【氏名又は名称】株式会社ミヤコケミカル
(74)【代理人】
【識別番号】100131406
【弁理士】
【氏名又は名称】福山 正寿
(72)【発明者】
【氏名】阿部 あい子
【テーマコード(参考)】
4C053
【Fターム(参考)】
4C053BB23
4C053BB32
4C053BB36
4C053HH01
4C053JJ01
4C053JJ05
4C053JJ13
4C053JJ24
4C053JJ32
(57)【要約】
【課題】顔面の特定の領域に電気的刺激を効果的に与えることができ、かつ、顔面全体に美容成分を効果的に浸透させること。
【解決手段】マスク本体22のうち顔面の左右一対の眼輪筋に対応する領域、および、左右一対の小頬骨筋から左右一対の笑筋に対応する領域に、導電性パッド24,26,28,30を配置すると共に、マスク本体22のうち残りの領域に、導電性パッド32を配置し、EMSモードが選択された際には、導電性パッド24,26および導電性パッド28,30に電源80の対となる電極(プラス極およびマイナス極)を、設定された時間毎(例えば、1sec毎)に切り替えながら通電させ、EPモードが選択された際には、EP駆動回路16を介して導電性パッド32および導電性パッド24,26,28,30に電源80の対となる電極(プラス極およびマイナス極)を、設定された時間毎(例えば、1sec毎)に切り替えながら通電させる。
【選択図】
図7
【特許請求の範囲】
【請求項1】
顔面に対向する内側面を有し該顔面を覆うことが可能なマスク本体と、
前記内側面の第1領域に配置された第1導子と、
前記第1領域と対をなす前記内側面の第2領域に前記第1導子とは電気的に分離して配置された第2導子と、
前記第1および第2領域を除く前記内側面の全領域である第3領域に前記第1および第2導子とは電気的に分離して配置された第3導子と、
第1電極および該第1電極と対をなす第2電極を有すると共に前記第1、第2および第3導子に電気的に接続可能な電流供給部と、
前記第1導子を前記第1または第2電極のいずれか一方に通電させ、かつ、前記第2導子を前記第1または第2電極の他方に通電させると共に、前記第3導子を前記第1および第2電極のいずれにも通電させない第1モードと、前記第1および第2導子を前記第1または第2電極のいずれか一方に通電させると共に、前記第3導子を前記第1または第2電極の他方に通電させる第2モードと、の間でモードを切替可能なモード切替回路と、
前記電流供給部および前記モード切替回路に電気的に接続され、前記第1モードにおいて前記第1および第2導子に供給される電流値が、前記第2モードにおいて前記第1、第2および第3導子に供給される電流値よりも大きくなるよう前記電流供給部および前記モード切替回路を制御する制御部と、
を備える
美顔用マスク装置。
【請求項2】
前記第2モードにおいて、前記第1および第2導子の極性と、前記第3導子の極性と、を切替可能な第1極性切替回路をさらに備え、
前記制御部は、前記第1および第2導子の極性と、前記第3導子の極性と、が第1時間毎に切り替わるよう前記第1極性切替回路を制御する
請求項1に記載の美顔用マスク装置。
【請求項3】
前記第2モードにおいて、前記第1および第2導子の極性と、前記第3導子の極性と、を切替可能な第1極性切替回路をさらに備え、
前記制御部は、前記第1および第2導子の極性と、前記第3導子の極性と、が第1パターンに基づいて切り替わるよう前記第1極性切替回路を制御する
請求項1に記載の美顔用マスク装置。
【請求項4】
前記第1モードにおいて、前記第1導子の極性と、前記第2導子の極性と、を切替可能な第2極性切替回路をさらに備え、
前記制御部は、前記第1導子の極性と、前記第2導子の極性と、が第2時間毎に切り替わるよう前記第2極性切替回路を制御する
請求項1ないし3のいずれか1項に記載の美顔用マスク装置。
【請求項5】
前記第1モードにおいて、前記第1導子の極性と、前記第2導子の極性と、を切替可能な第2極性切替回路をさらに備え、
前記制御部は、前記第1導子の極性と、前記第2導子の極性と、が第2パターンに基づいて切り替わるよう前記第2極性切替回路を制御する
請求項1ないし3のいずれか1項に記載の美顔用マスク装置。
【請求項6】
前記第1領域は、前記顔面の一対の眼輪筋に相当する第4および第5領域と、前記顔面の一対の小頬骨筋から一対の大頬骨筋,一対の頬筋を経て一対の笑筋までに亘る第6および第7領域と、を有しており、
前記第4および第5領域と、前記第6および第7領域と、は、電気的に分離して配置されている
請求項1ないし5のいずれか1項に記載の美顔用マスク装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、美顔用マスク装置に関する。
【背景技術】
【0002】
特開2020-96806号公報(特許文献1)には、顔面の全体を覆うマスク本体と、当該マスク本体の内側面であって左右の小頬骨筋から大頬骨筋、頬筋を経て笑筋までの領域,口輪筋の下方の領域,および,左右の眼輪筋の上方の領域のそれぞれに配置された導子と、これら導子にコネクタを介して電気的に接続された低周波パルス電流発生装置と、当該低周波パルス電流発生装置を制御する制御部と、を備える美顔用マスク装置が記載されている。
【0003】
当該美顔用マスク装置では、美容成分を含侵させた不織布製のシートの上にマスク本体を配置した状態で、各導子に電流が供給される。これにより、シートを介して電流が顔面の筋肉、具体的には、小頬骨筋,大頬骨筋,頬筋,口輪筋,および,眼輪筋に流れるため、顔面のマッサージ効果を得ることができると共に、美容成分によるパック効果を得ることができる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
ところで、顔面の筋肉に電気的刺激を与えて顔面のほうれい線対策やしわ対策、顔面のリフトアップなどの施術を行うElectrical Muscle Stimulation(EMS)と、顔面に美容成分を浸透させるエレクトロポレーション(EP)やイオン導入と、では、その施術目的に起因して施術領域や顔面に流す電流の大きさが異なる。即ち、EMSでは、ほうれい線やしわ、たるみが発生しやすい領域に重点的に比較的大きな電流を流して筋肉を刺激する必要がある一方、EPやイオン導入では、顔面全体の広い領域に比較的小さい電流を流して美容成分を浸透させる必要がある。
【0006】
上述した公報に記載の美顔用マスク装置では、美容成分によるパック効果を得ながら、顔面の筋肉をマッサージすることができるとしているが、EMSが主目的であり、導子が顔面の特定の領域のみに配置されると共に供給する電流値が比較的大きいため、美容成分を顔面全体に良好に浸透させるという点において、なお改良の余地がある。顔面全体に導子を配置すると共に供給する電流値を小さくして、美容成分の浸透を図ることも考えられるが、ほうれい線やしわ、たるみが発生しやすい顔面の領域の筋肉に電気的刺激を効果的に与えることができなくなってしまう。
【0007】
本発明は、上記に鑑みてなされたものであり、顔面の特定の領域に電気的刺激を効果的に与えることができ、かつ、顔面全体に美容成分を効果的に浸透させることができる美顔用マスク装置を提供することを目的の一つとする。
【課題を解決するための手段】
【0008】
本発明の美顔用マスク装置は、上述の目的を達成するために以下の手段を採った。
【0009】
本発明に係る美顔用マスク装置の好ましい形態によれば、マスク本体と、第1導子と、第2導子と、第3導子と、電流供給部と、モード切替回路と、制御部と、を備えている。マスク本体は、顔面に対向する内側面を有し、当該顔面を覆うことが可能である。第1導子は、内側面の第1領域に配置されている。第2導子は、第1領域と対をなす内側面の第2領域に第1導子とは電気的に分離して配置されている。第3導子は、第1および第2領域を除く内側面の全領域である第3領域に第1および第2導子とは電気的に分離して配置されている。電流供給部は、第1電極および当該第1電極と対をなす第2電極を有すると共に第1、第2および第3導子に電気的に接続可能である。モード切替回路は、第1モードと、第2モードと、の間でモードを切替可能である。第1モードは、第1導子を第1または第2電極のいずれか一方に通電させ、かつ、第2導子を第1または第2電極の他方に通電させると共に、第3導子を第1および第2電極のいずれにも通電させないモードである。第2モードは、第1および第2導子を第1または第2電極のいずれか一方に通電させると共に、第3導子を第1または第2電極の他方に通電させるモードである。制御部は、電流供給部およびモード切替回路に電気的に接続されている。また、制御部は、第1モードにおいて第1および第2導子に供給される電流値が、第2モードにおいて第1、第2および第3導子に供給される電流値よりも大きくなるように電流供給部およびモード切替回路を制御する。
【0010】
本発明によれば、美顔用マスク装置を第1モードで作動させることにより、顔面の特定の領域、例えば、ほうれい線やしわ、たるみが発生しやすい顔面の領域に電気的刺激を効果的に与えて筋肉を刺激することができる。これにより、筋肉を訓練し強化することができる。この結果、ほうれい線の発生や、しわの発生、たるみの発生などを効果的に抑制することができる。また、美顔用マスク装置を第2モードで作動させることにより、顔面の全領域に電気的刺激を与えることができ、顔面の全領域において、一時的に細胞間に小さな穴を開けることができるため、顔面全体において、肌の深層部まで美容成分を効果的に浸透させることができる。この結果、美容効果を向上することができる。なお、異なる施術であるEMSと、EPおよびイオン導入と、で異なるマスク本体を準備する必要がない。換言すれば、異なる施術であるEMSと、EPおよびイオン導入と、を1つのマスク本体のみで実現することができる。
【0011】
本発明に係る美顔用マスク装置の更なる形態によれば、第2モードにおいて、第1および第2導子の極性と、第3導子の極性と、を切替可能な第1極性切替回路をさらに備えている。そして、制御部は、第1および第2導子の極性と、第3導子の極性と、が第1時間毎に切り替わるように第1極性切替回路を制御する。ここで、本発明における「第1時間」とは、典型的には、供給される電流の周波数に基づいて定まる時間(周波数の逆数の半分の時間)がこれに該当するが、予め設定された所定時間や施術者が任意に設定した時間を好適に包含する。
【0012】
本形態によれば、細胞膜への穿孔の促進や美容成分のイオン化の促進を図ることができる。これにより、顔面全体に美容成分をより効果的に浸透させることができる。
【0013】
本発明に係る美顔用マスク装置の更なる形態によれば、第2モードにおいて、第1および第2導子の極性と、第3導子の極性と、を切替可能な第1極性切替回路をさらに備えている。そして、制御部は、第1および第2導子の極性と、第3導子の極性と、が第1パターンに基づいて切り替わるように第1極性切替回路を制御する。ここで、本発明における「第1パターンに基づいて切り替わる」とは、例えば、予め設定された、あるいは、施術者が任意に設定した複数の異なる時間それぞれの経過後に電極が切り替わる態様がこれに該当する。具体的には、最初は1秒後に電極が切り替わり、次に3秒後に電極が切り替わり、最後に5秒後に電極が切り替わる態様などが考えられる。
【0014】
本形態によれば、細胞膜への穿孔の促進や美容成分のイオン化の促進を図ることができる。これにより、顔面全体に美容成分をより効果的に浸透させることができる。
【0015】
本発明に係る美顔用マスク装置の更なる形態によれば、第1モードにおいて、第1導子の極性と、第2導子の極性と、を切替可能な第2極性切替回路をさらに備えている。そして、制御部は、第1導子の極性と、第2導子の極性と、が第2時間毎に切り替わるように第2極性切替回路を制御する。ここで、本発明にける「第2時間」とは、典型的には、供給される電流の周波数に基づいて定まる時間(周波数の逆数の半分の時間)がこれに該当するが、予め設定された所定時間や施術者が任意に設定した時間を好適に包含する。
【0016】
本形態によれば、顔面の筋肉の収縮作用の促進を図ることができる。これにより、顔面のマッサージ効果を効果的に得ることができる。
【0017】
本発明に係る美顔用マスク装置の更なる形態によれば、第1モードにおいて、第1導子の極性と、第2導子の極性と、を切替可能な第2極性切替回路をさらに備えている。そして、制御部は、第1導子の極性と、第2導子の極性と、が第2パターンに基づいて切り替わるように第2極性切替回路を制御する。ここで、本発明における「第2パターンに基づいて切り替わる」とは、例えば、予め設定された、あるいは、施術者が任意に設定した複数の異なる時間それぞれの経過後に電極が切り替わる態様がこれに該当する。具体的には、最初は1秒後に電極が切り替わり、次に3秒後に電極が切り替わり、最後に5秒後に電極が切り替わる態様などが考えられる。
【0018】
本形態によれば、顔面の筋肉の収縮作用の促進を図ることができる。これにより、顔面のマッサージ効果を効果的に得ることができる。
【0019】
本発明に係る美顔用マスク装置の更なる形態によれば、第1領域は、顔面の一対の眼輪筋に相当する第4および第5領域と、顔面の一対の小頬骨筋から一対の大頬骨筋,一対の頬筋を経て一対の笑筋までに亘る第6および第7領域と、を有している。そして、第4および第5領域と、第6および第7領域と、は、電気的に分離して配置されている。
【0020】
本形態によれば、目元と、頬を含む口元と、で施術領域を分けることができるため、各領域において重点的に電気的刺激を効果的に与えることができる。これにより、マッサージ効果の更なる向上を図ることができる。
【発明の効果】
【0021】
本発明によれば、顔面の特定の領域に電気的刺激を効果的に与えることができ、かつ、顔面全体に美容成分を効果的に浸透させることができる。
【図面の簡単な説明】
【0022】
【
図1】本発明の実施の形態に係る美顔用マスク装置1の構成の概略を示す概略構成図である。
【
図2】美顔用マスク20の外観を示す外観図である。
【
図3】導電性パッド24,26,28,30,32の配置を示す説明図である。
【
図4】被施術者の顔面にシートマスク60を被せた状態を示す説明図である。
【
図5】シートマスク60の上から美顔用マスク20を被せた状態を示す説明図である。
【
図6】被施術者の顔面と導電性パッド24,26,28,30,32との位置関係を示す説明図である。
【
図7】EMSモードにおいて、電力ラインL11が出力可変回路8のプラス極に接続され、電力ラインL12が出力可変回路8のマイナス極に接続された状態を示す説明図である。
【
図8】EMSモードにおいて、電力ラインL12が出力可変回路8のマイナス極に接続され、電力ラインL12が出力可変回路8のプラス極に接続された状態を示す説明図である。
【
図9】EPモードにおいて、電力ラインL21が出力可変回路8のプラス極に接続され、電力ラインL22が出力可変回路8のマイナス極に接続された状態を示す説明図である。
【
図10】EPモードにおいて、電力ラインL21が出力可変回路8のマイナス極に接続され、電力ラインL22が出力可変回路8のプラス極に接続された状態を示す説明図である。
【発明を実施するための形態】
【0023】
次に、本発明を実施するための最良の形態を実施例を用いて説明する。
【実施例0024】
本実施の形態に係る美顔用マスク装置1は、電気を利用した美顔器具であり、
図1に示すように、装置本体2と、当該装置本体2に電気的に接続された美顔用マスク20と、を備えている。装置本体2は、電源80に電気的に接続されており、当該電源80から供給される電力により駆動する。
【0025】
装置本体2は、
図1に示すように、操作部4と、表示パネル6と、電源80から供給される電流値や周波数を変更可能な出力可変回路8と、施術モードの切り替えを行うモード切替回路10と、電極の切り替えを行う電極切替回路12と、後述するEMSモードが選択されたときにEMSに適した電流を出力するEMS駆動回路14と、後述するEPモードが選択されたときにEPに適した電流を出力するEP駆動回路16と、装置全体を制御する電子制御ユニット18と、を備えている。出力可変回路8は、本発明における「電流供給部」に対応する実施構成の一例である。
【0026】
操作部4は、装置本体2の電源をオン/オフする図示しない電源スイッチや、EMSモードとEPモードとの間でモード切り替えを行うモード切替スイッチ(図示せず)、各施術モードでの周波数や電流値を切り替えるレベル切替スイッチ(図示せず)、施術部位の選択を行う施術部位選択スイッチなどを有している。表示パネル6は、選択された施術モードや、設定された周波数,電流値などを表示する。
【0027】
モード切替回路10は、操作部4からの操作信号に基づいて、顔面に電気刺激を与えて筋肉を刺激することで筋肉を訓練し強化する施術であるElectric Muscle Stimulation(電気的筋肉刺激法、以下、「EMS」という。)モードと、電気刺激を与えて一時的に細胞間に小さな穴を開けることで美容成分の浸透を図る施術であるElectroporation(電気穿孔法、以下、「EP」という。)モードと、を切り替える。具体的には、モード切替回路10は、
図7ないし
図10に示すように、スイッチング素子SW1,SW2を有しており、当該スイッチング素子SW1,SW2を切り替えることにより、電源80からの電流を,出力可変回路8を介してEMS駆動回路14に流すEMSモードと、電源80からの電流を,出力可変回路8を介してEP駆動回路16に流すEPモードと、を切り替える。EMSモードは、本発明における「第1モード」に対応し、EPモードは、本発明における「第2モード」に対応する実施構成の一例である。
【0028】
電極切替回路12は、
図7ないし
図10に示すように、複数のスイッチング素子SW11,SW12,SW21,SW22,SW31,SW32,SW41,SW42を有している。電極切替回路12は、これら複数のスイッチング素子SW11,SW12,SW21,SW22,SW31,SW32,SW41,SW42を切り替えることで、EMS駆動回路14の出力端子14a,14bおよびEP駆動回路16の出力端子16a,16bそれぞれと、出力可変回路8の出力端子の各電極(プラス極およびマイナス極)と、の接続態様を切り替える。即ち、出力端子14a,14bおよび出力端子16a,16bそれぞれの一方が出力可変回路8の出力端子のプラス極に接続され、かつ、出力端子14a,14bおよび出力端子16a,16bそれぞれの他方が出力可変回路8の出力端子のマイナス極に接続された状態から、出力端子14a,14bおよび出力端子16a,16bそれぞれの一方が出力可変回路8の出力端子のマイナス極に接続され、かつ、出力端子14a,14bおよび出力端子16a,16bそれぞれの他方が出力可変回路8の出力端子のプラス極に接続された状態に切り替える。電極切替回路12は、設定された周波数に基づいて周波数の逆数時間毎に当該切り替え動作を繰り返し行う。電極切替回路12は、本発明における「第1極性切替回路」および「第2極性切替回路」に対応する実施構成の一例である。また、プラス極およびマイナス極は、本発明における「第1電極」および「第2電極」に対応する実施構成の一例である。
【0029】
EMS駆動回路14は、出力端子14a,14bの一方をプラス極、他方をマイナス極として、EMS施術に適した周波数である低周波、例えば、周波数1Hz~100Hz(好ましくは、2Hz~80Hz)で、12μA以上(好ましくは、1000μA~30000μA)の電流を出力する。EP駆動回路16は、出力端子16a,16bの一方をプラス極、他方をマイナス極として、EP施術に適した周波数である中周波から高周波、例えば、周波数1kHz~50kHz(好ましくは、20kHz~40kHz)で、12μA未満の電流を出力する。なお、周波数および電流値は、操作部4を操作することにより変更可能である。
【0030】
電子制御ユニット18は、
図1に示すように、CPU18aを中心とするマイクロプロセッサとして構成されており、CPU18aの他にEMSプログラムやEPプログラムなどの処理プログラムを記憶するROM18bと、データを一時的に記憶するRAM18cと、図示しない入出力ポートおよび通信ポートとを備える。電子制御ユニット18には、電源スイッチからオン/オフ信号や、モード切替スイッチからの施術モード信号や、レベル切替スイッチからの設定周波数,設定電流値、施術部位選択スイッチからの施術部位信号などが入力ポートを介して入力されている。また、電子制御ユニット18からは、出力可変回路8への出力変更信号や、モード切替回路10へのモード切替信号、電極切替回路12への電極切替信号、EMS駆動回路14およびEP駆動回路16への電流出力信号などが出力ポートを介して出力されている。電子制御ユニット18は、本発明における「制御部」に対応する実施構成の一例である。
【0031】
美顔用マスク20は、
図2および
図3に示すように、主に、マスク本体22と、マスク本体22の内側面に一体に貼り付けられた導電性パッド24,26,28,30,32と、から構成されている。
【0032】
マスク本体22は、人の顔面の凹凸に適合する凹凸を有している。可撓性および絶縁性を有する材質、例えば、シリコンゴムにより構成される。マスク本体22は、
図2に示すように、左右の目に対応する位置、口に対応する位置、および、鼻の孔に対応する位置それぞれに目用開口22a,22a、口用開口22b、鼻用開口22cを有している。なお、マスク本体22は、鼻の位置に対応する部分に内側面から外側面に向かって凹んだ窪み22dを有している。これにより、顔面にマスク本体22を被せたときに、窪み22dに鼻が配置されるため、顔面に適切にマスク本体22を被せることができる。また、マスク本体22は、被施術者の顔面への装着に用いられる一対のバンド23,23を有している。
【0033】
導電性パッド24,26は、
図3に示すように、左右の目の周り、より具体的には、顔面の左右一対の眼輪筋に対応する領域に配置されている。導電性パッド24,26は、マスク本体22の目用開口22a,22aに対応する位置に目用開口24a,26aを有している。また、導電性パッド28,30は、左右の頬に対応する位置、より具体的には、左右一対の小頬骨筋から左右一対の大頬骨筋,左右一対の頬筋を経て左右一対の笑筋までに対応する領域に配置されている。さらに、導電性パッド32は、顔面のうち導電性パッド24,26,28,30が配置された領域以外の領域、具体的には、顔面の額から鼻、口を経て顎までに亘る領域に配置されている。導電性パッド32は、マスク本体22の口用開口22b、鼻用開口22cおよび窪み22dに対応する位置に、それぞれ口用開口32a、鼻用開口32bおよび窪み32cを有している。口用開口32a、鼻用開口32bおよび窪み32cは、それぞれ口用開口22b、鼻用開口22cおよび窪み22dと同じ形状、大きさを有している。窪み32cは、窪み22dに向かって凹んだ形状を有している。各導電性パッド24,26,28,30,32は、それぞれの外縁部に非導電性のシリコンSriが全周に亘って配置されており、これにより、互いに電気的に分離(絶縁)されている。なお、目用開口24a,26a、口用開口32aおよび鼻用開口32bそれぞれの外縁部にも非導電性のシリコンSriが全周に亘って配置されている。導電性パッド24,28が配置される領域は、本発明における「第1領域」に対応し、導電性パッド26,30が配置される領域は、本発明における「第2領域」に対応し、導電性パッド32が配置される領域は、本発明における「第3領域」に対応する実施構成の一例である。また、導電性パッド24が配置される領域は、本発明における「第4領域」に対応し、導電性パッド26が配置される領域は、本発明における「第5領域」に対応し、導電性パッド28が配置される領域は、本発明における「第6領域」に対応し、導電性パッド30が配置される領域は、本発明における「第7領域」に対応する実施構成の一例である。
【0034】
導電性パッド24,26,28,30,32は、本実施の形態では、シリコンにカーボンなどが練り込まれたシート状で可撓性および導電性を有する材料を用いる構成とした。導電性パッド24,26,28,30,32は、
図1および
図3に示すように、電力ラインL11,L12,L21,L22を介してEMS駆動回路14の出力端子14a,14bおよびEP駆動回路16の出力端子16a、16bに電気的に接続されている。具体的には、
図7ないし
図10に示すように、導電性パッド24,28は、電力ラインL11を介してEMS駆動回路14の出力端子14aに電気的に接続されており、導電性パッド26,30は、電力ラインL12を介してEMS駆動回路14の出力端子14bに電気的に接続されている。また、導電性パッド32は、電力ラインL21を介してEP駆動回路16の出力端子16aに電気的に接続されており、導電性パッド24,26,28,30は、電力ラインL22を介してEP駆動回路16の出力端子16bに電気的に接続されている。導電性パッド24,28は、本発明における「第1導子」に対応し、導電性パッド26,30は、本発明における「第2導子」に対応し、導電性パッド32は、本発明における「第3導子」に対応する実施構成の一例である。
【0035】
こうして構成された美顔用マスク20は、
図4に示すように、美容成分を含侵させた不織布製のシートマスク60で顔面全体をパックした上から被せられる(
図5参照)。このように被施術者の顔面に美顔用マスク20が被せられると、
図6に示すように、導電性パッド24,26が顔面の左右一対の眼輪筋に対応する領域に配置され、導電性パッド28,30が左右一対の小頬骨筋から左右一対の大頬骨筋,左右一対の頬筋を経て左右一対の笑筋までに対応する領域に配置され、導電性パッド32が顔面の額から鼻、口を経て顎までに亘る領域に配置される。即ち、被施術者の顔面全体が、導電性パッド24,26,28,30,32で覆われる。
【0036】
次に、こうして構成された美顔用マスク装置1の動作について説明する。まず、EMSモードの動作について説明し、その後、EPモードの動作について説明する。施術者が操作部4によってEMSモードが選択されると、電子制御ユニット18のCPU18aは、ROM18bに格納されたEMSプログラムにしたがって装置本体2が駆動するように制御する。具体的には、出力端子14a,14bから出力される電流が所定の周波数かつ電流値となるように出力可変回路8を制御すると共に、モード切替回路10のスイッチング素子SW1,SW2がEMS側端子T11,T12(
図7)に接続するように当該スイッチング素子SW1,SW2を制御する処理を実行する。
【0037】
続いて、電極切替回路12のスイッチング素子SW11,SW21を閉じると共に、その他のスイッチング素子SW12,SW22,SW31,SW32,SW41,SW42を開くように、当該SW11,SW12,SW21,SW22,SW31,SW32,SW41,SW42を制御する。これにより、EMS駆動回路14の出力端子14aが出力可変回路8の出力端子のプラス極に通電し、EMS駆動回路14の出力端子14bが出力可変回路8の出力端子のマイナス極に通電して、導電性パッド24,26から導電性パッド28,30へEMSに適した電流値(例えば、12μA以上、好ましくは、1000μA~30000μA)の電流が流れる。
【0038】
そして、EMSプログラムで設定された周波数(例えば、1Hz~100Hz、好ましくは、2Hz~80Hz)に基づいて、電子制御ユニット18のCPU18aは、
図8に示すように、電極切替回路12のスイッチング素子SW12,SW22を閉じると共に、その他のスイッチング素子SW11,SW12,SW31,SW32,SW41,SW42を開くように、当該SW11,SW12,SW21,SW22,SW31,SW32,SW41,SW42を制御する。これにより、EMS駆動回路14の出力端子14aが出力可変回路8の出力端子のマイナス極に通電し、EMS駆動回路14の出力端子14bが出力可変回路8の出力端子のプラス極に通電して、導電性パッド28,30から導電性パッド24,26へEMSに適した電流値(例えば、12μA以上、好ましくは、1000μA~30000μA)の電流が流れる。
【0039】
電子制御ユニット18のCPU18aは、上述したEMS駆動回路14の出力端子14a,14bの電極切替処理を、設定された周波数(例えば、1Hz~100Hz、好ましくは、2Hz~80Hz)の逆数の半分の時間(例えば、1/2sec~1/200sec、好ましくは、1/4sec~1/160sec)毎に繰り返し実施する。なお、本実施の形態では、EMSモードは、導電性パッド24,26,28,30への通電を第1所定時間(例えば、5sec)行った後、第2所定時間(例えば、1sec)通電を停止させる動作を所定の回数繰り返す構成とした。即ち、第1所定時間(例えば、5sec)の間に出力端子14a,14bの電極切替処理が実施される。EMSプログラムで設定された周波数(例えば、1Hz~100Hz、好ましくは、2Hz~80Hz)の逆数の半分の時間(例えば、1/2sec~1/200sec、好ましくは、1/4sec~1/160sec)は、本発明における「第2時間」に対応する実施構成の一例である。
【0040】
このように、周波数に基づいて定まる時間毎にEMS駆動回路14の出力端子14a,14bの極性を切り替えながら、導電性パッド24,26と導電性パッド28,30との間にEMSに適した周波数(例えば、1Hz~100Hz、好ましくは、2Hz~80Hz)および電流値(例えば、12μA以上、好ましくは、1000μA~30000μA)の電流を流すため、顔面の左右一対の眼輪筋、および、左右一対の小頬骨筋から左右一対の大頬骨筋,左右一対の頬筋を経て左右一対の笑筋までの領域に電気的刺激を効果的に与えることができる。これにより、筋肉を訓練し強化することができる。この結果、ほうれい線の発生や、しわの発生、たるみの発生などを効果的に抑制することができる。
【0041】
次に、施術者が操作部4によってEPモードが選択されると、電子制御ユニット18のCPU18aは、ROM18bに格納されたEPプログラムにしたがって装置本体2が駆動するように制御する。具体的には、出力端子16a,16bから出力される電流が所定の周波数かつ電流値となるように出力可変回路8を制御すると共に、モード切替回路10のスイッチング素子SW1,SW2がEP側端子T21,T22(
図9)に接続するように当該スイッチング素子SW1,SW2を制御する処理を実行する。
【0042】
続いて、
図9に示すように、電極切替回路12のスイッチング素子SW31,SW41を閉じると共に、その他のスイッチング素子SW11,SW12,SW21,SW22,SW32,SW42を開くように、当該SW11,SW12,SW21,SW22,SW31,SW32,SW41,SW42を制御する。これにより、EP駆動回路16の出力端子16aが出力可変回路8の出力端子のプラス極に通電し、EP駆動回路16の出力端子16bが出力可変回路8の出力端子のマイナス極に通電して、導電性パッド32から導電性パッド24,26,28,30へEPに適した電流値(12μA未満)の電流が流れる。
【0043】
そして、EPプログラムで設定された周波数(例えば、1kHz~50kHz、好ましくは、20kHz~40kHz)に基づいて、電子制御ユニット18のCPU18aは、
図10に示すように、電極切替回路12のスイッチング素子SW32,SW42を閉じると共に、その他のスイッチング素子SW11,SW12,SW21,SW22,SW31,SW41を開くように、当該SW11,SW12,SW21,SW22,SW31,SW32,SW41,SW42を制御する。これにより、EP駆動回路16の出力端子16aが出力可変回路8の出力端子のマイナス極に通電し、EP駆動回路16の出力端子16bが出力可変回路8の出力端子のプラス極に通電して、導電性パッド24,26,28,30から導電性パッド32へEPに適した電流値(12μA未満)の電流が流れる。
【0044】
電子制御ユニット18のCPU18aは、上述したEP駆動回路16の出力端子16a,16bの電極切替処理を、設定された周波数(例えば、1kHz~50kHz、好ましくは、20kHz~40kHz)の逆数の半分の時間(例えば、1/2000sec~1/100000sec、好ましくは、1/40000sec~1/80000sec)毎に繰り返し実施する。なお、本実施の形態では、EPモードは、導電性パッド24,26,28,30,32への通電を第3所定時間継続する構成とした。即ち、第3所定時間の間に出力端子14a,14bの電極切替処理が実施される。EPプログラムで設定された周波数(例えば、1kHz~50kHz、好ましくは、20kHz~40kHz)の逆数の半分の時間(例えば、1/2000sec~1/100000sec、好ましくは、1/40000sec~1/80000sec)は、本発明における「第1時間」に対応する実施構成の一例である。
【0045】
このように、設定された時間毎にEP駆動回路16の出力端子16a,16bの極性を切り替えながら、導電性パッド32と導電性パッド24,26,28,30との間にEPに適した周波数(例えば、1kHz~50kHz、好ましくは、20kHz~40kHz)および電流値(12μA未満)の電流を流すため、顔面の全領域に電気的刺激を与えることができ、顔面の全領域において、一時的に細胞間に小さな穴を開けることができる。これにより、顔面全体において、シートマスク60に含侵された美容成分を肌の深層部まで効果的に浸透させることができる。この結果、美容効果の向上を図ることができる。
【0046】
以上説明した本実施の形態に係る美顔用マスク装置1によれば、マスク本体22のうちほうれい線やしわ、たるみが発生しやすい顔面の領域、具体的には、顔面の左右一対の眼輪筋に対応する領域、および、左右一対の小頬骨筋から左右一対の大頬骨筋,左右一対の頬筋を経て左右一対の笑筋までに対応する領域に、導電性パッド24,26,28,30を配置すると共に、マスク本体22のうち導電性パッド24,26,28,30を配置した場所以外の領域に、導電性パッド32を配置し、EMSモードが選択された際には、EMS駆動回路14を介して導電性パッド24,26および導電性パッド28,30に、出力可変回路8の対となる電極(プラス極およびマイナス極)を、設定された周波数(例えば、1Hz~100Hz、好ましくは、2Hz~80Hz)に基づいて、当該周波数の逆数の半分の時間毎(例えば、1/2sec~1/200sec、好ましくは、1/4sec~1/160sec毎)に切り替えながら通電させ、EPモードが選択された際には、EP駆動回路16を介して導電性パッド32および導電性パッド24,26,28,30に、出力可変回路8の対となる電極(プラス極およびマイナス極)を、設定された周波数(例えば、1kHz~50kHz、好ましくは、20kHz~40kHz)に基づいて、当該周波数の逆数の半分の時間毎(例えば、1/2000sec~1/100000sec、好ましくは、1/40000sec~1/80000sec毎)に切り替えながら通電させるため、顔面の左右一対の眼輪筋、および、左右一対の小頬骨筋から左右一対の大頬骨筋,左右一対の頬筋を経て左右一対の笑筋までの領域に電気的刺激を効果的に与えることができると共に、顔面の全領域において、一時的に細胞間に小さな穴を開けることができる。これにより、筋肉を訓練し強化することができるため、ほうれい線の発生や、しわの発生、たるみの発生などを効果的に抑制することができると共に、顔面全体において、肌の深層部まで美容成分を効果的に浸透させることができるため、美容効果の向上を図ることができる。なお、異なる施術であるEMSとEPとを1つの美顔用マスク20のみで実現することができるため、施術時間の短縮やコスト低減に資する。
【0047】
本実施形態では、美顔用マスク装置1は、EMSモードとEPモードとを備える構成としたが、これに限らない。例えば、EPモードに替えて、あるいは、EPモードに加えてイオン導入モードを備える構成としても良い。即ち、美顔用マスク装置1は、EMSモードとイオン導入モードとの二つのモードを備える構成、あるいは、美顔用マスク装置1は、EMSモードとEPモードとイオン導入モードとの三つのモードを備える構成とすることができる。なお、イオン導入モードでは、基本的にはEPモードと同様のスイッチング制御、即ち、導電性パッド32から導電性パッド24,26,28,30へイオン導入に適した周波数および電流値の電流が流れる状態と、導電性パッド24,26,28,30から導電性パッド32へイオン導入に適した周波数および電流値の電流が流れる状態と、が設定した時間毎に繰り返し実施されるようにスイッチング制御すれば良い。
【0048】
本実施形態および上述した変形例では、EMS駆動回路14の出力端子14a,14bおよびEP駆動回路16の出力端子16a,16bそれぞれの極性を、周波数に基づく時間(周波数の逆数の半分の時間)毎に切り替える構成としたが、これに限らない。例えば、EMS駆動回路14の出力端子14a,14bおよびEP駆動回路16の出力端子16a,16bそれぞれの極性を、予め設定した時間毎、あるいは、施術者が任意に設定した時間毎に切り替える構成としても良い。ここで、予め設定する時間や施術者が任意に設定する時間は、例えば、1回目は1/300sec後、2回目は1/100sec後、3回目は1/50sec後のように切り替え時間をパターンとして設定しておき、当該パターンにしたがって電極切替回路12のスイッチング素子SW11,SW12,SW21,SW22,SW31,SW32,SW41,SW42を繰り返し切り替える構成とすることもできる。EMSモードにおける上述したパターンは、本発明における「第2パターン」に対応し、EPモードにおける上述したパターンは、本発明における「第1パターン」に対応する実施構成の一例である。また、EMS駆動回路14の出力端子14a,14bおよびEP駆動回路16の出力端子16a,16bそれぞれの極性は切り替えない構成としても良い。
【0049】
本実施形態および上述した変形例では、EMSモードは、導電性パッド24,26,28,30への通電を第1所定時間(例えば、5sec)行った後、第2所定時間(例えば、1sec)停止させる動作を1サイクルとして、当該サイクルを所定の回数繰り返す構成としたが、これに限らない。例えば、EMSモードは、導電性パッド24,26,28,30への通電を第1所定時間(例えば、5sec)行った後、第2所定時間(例えば、1sec)通電を停止させ、続いて、導電性パッド24,26,28,30への通電を第4所定時間(例えば、1sec)行った後、通電を停止させることなく再び、導電性パッド24,26,28,30への通電を第5所定時間(例えば、2sec)行った後、第6所定時間(例えば、2sec)通電を停止させる動作を1サイクルとして、当該1サイクルを所定の回数繰り返す構成としても良い。なお、通電時間および通電停止時間の値、および、それらの組合せは、種々設定可能であることは言うまでもない。また、1サイクル中の通電時間および通電停止時間の組み合わせ数はいくつでも良いことは言うまでもない。当該変形例によれば、上述した本実施の形態に比べて筋肉の電気的刺激に対する慣れ(習性)を抑制することができるため、筋肉をより効果的に訓練することができ、かつ、当該効果の持続性の向上を図ることができる。
【0050】
本実施形態および上述した変形例では、EMSプログラムやEPプログラムを予めROM18bに記憶しておき、施術モードが選択された際に、CPU18aがROM18bからこれらプログラムを読み込み、実行する構成としたが、これに限らない。例えば、施術者が操作部4を操作することによって、被施術者毎に設定した施術部位、周波数、電流値、施術時間、電極切替え時間などに基づいて、CPU18aが出力可変回路8やモード切替回路10、電極切替回路12、EMS駆動回路14、EP駆動回路16を制御する構成としても良い。
【0051】
本実施形態および上述した変形例では、左右一対の小頬骨筋から左右一対の大頬骨筋,左右一対の頬筋を経て左右一対の笑筋までに対応する領域に各一枚の導電性パッド28,30を配置したが、これに限らない。例えば、左右一対の小頬骨筋、左右一対の大頬骨筋、左右一対の頬筋、および、左右一対の笑筋に対応する各領域に各一枚の導電性パッドを配置しても良い。また、これら領域および左右一対の眼輪筋に対応する領域の他、ほうれい線の発生や、しわの発生、たるみの発生しやすい他の領域、例えば、口輪筋に対応する領域や、頤筋に対応する領域、前頭筋に対応する領域などにも導電性パッドを配置しても良い。
【0052】
本実施形態および上述した変形例では、EMSモードが選択された際に、導電性パッド24と導電性パッド28、および、導電性パッド26と導電性パッド30に同時に電流を流す構成としたが、これに限らない。例えば、導電性パッド24と導電性パッド28、および、導電性パッド26と導電性パッド30に異なるタイミングで電流を流す構成としても良い。
【0053】
本実施形態および上述した変形例では、電源80から出力可変回路8を介してEMS駆動回路14およびEP駆動回路16に供給される電流が直流電流としたが、電源80から出力可変回路8を介してEMS駆動回路14およびEP駆動回路16に供給される電流は交流電流としても良い。この場合、電極切替回路12は不要となり、出力可変回路8によって、設定された周波数に基づく時間(周波数の逆数の半分の時間)毎に、EMS駆動回路14の出力端子14a,14bおよびEP駆動回路16の出力端子16a,16bそれぞれの極性を切り替えることができる。ここで、出力可変回路8は、本発明における「電力供給部」、「第1極性切替回路」および「第2極性切替回路」に対応する実施構成の一例である。
【0054】
本実施形態は、本発明を実施するための形態の一例を示すものである。したがって、本発明は、本実施形態の構成に限定されるものではない。なお、本実施形態の各構成要素と本発明の各構成要素の対応関係を以下に示す。