(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2022177436
(43)【公開日】2022-12-01
(54)【発明の名称】テニスラケット
(51)【国際特許分類】
A63B 49/10 20150101AFI20221124BHJP
A63B 102/02 20150101ALN20221124BHJP
【FI】
A63B49/10
A63B102:02
【審査請求】未請求
【請求項の数】9
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2021083689
(22)【出願日】2021-05-18
(71)【出願人】
【識別番号】000183233
【氏名又は名称】住友ゴム工業株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110000556
【氏名又は名称】特許業務法人 有古特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】君塚 渉
(72)【発明者】
【氏名】植田 勝彦
(72)【発明者】
【氏名】小林 和彦
(57)【要約】
【課題】打点のバラツキに起因する弾道のバラツキが抑制される、テニスラケット2の提供。
【解決手段】テニスラケット2は、フレーム4、グリップ6、エンドキャップ8、グロメット10及びストリング12を有している。フレーム4は、ヘッド14、2つのスロート16及びシャフト18を有している。ストリング12がヘッド14に張られることで、フェース20が形成されている。このフェース20の中心打点Hcでボールが打撃されたとき、主として面外二次モードの固有振動が励起される。このフェース20の外れ打点Hoでボールが打撃されたとき、主として面外一次モードの固有振動が励起される。面外一次固有振動数ω1(Hz)と面外二次固有振動数ω2(Hz)とは、下記数式(1)を満たす。
ω1 ≧ 0.37 × ω2 + 16 (1)
【選択図】
図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
面外一次固有振動数ω1(Hz)と面外二次固有振動数ω2(Hz)とが、下記数式(1)を満たすテニスラケット。
ω1 ≧ 0.37 × ω2 + 16 (1)
【請求項2】
下記数式(2)を満たす請求項1に記載のテニスラケット。
ω1 ≧ 0.48 × ω2 (2)
【請求項3】
上記面外二次固有振動数ω2が382Hz以上474Hz以下である請求項1又は2に記載のテニスラケット。
【請求項4】
(A)被打撃物が第一打点で打撃されたときに主として励起される振動モードを選定するステップ、
(B)上記被打撃物が第二打点で打撃されたときに主として励起される振動モードを選定するステップ、
(C)上記ステップ(A)で選定された振動モードにおける固有振動数ωaを測定するステップ、
(D)上記ステップ(B)で選定された振動モードにおける固有振動数ωbを測定するステップ
及び
(E)上記固有振動数ωaと上記固有振動数ωbとを対比するステップ
を含む、運動競技用打具の評価方法。
【請求項5】
上記ステップ(A)において被打撃物が中心打点で打撃され、上記ステップ(B)において被打撃物が外れ打点で打撃される請求項4に記載の評価方法。
【請求項6】
(F)上記被打撃物の固有振動数が、上記固有振動数ωa又は上記固有振動数ωbと対比される工程
をさらに含む請求項4又は5に記載の評価方法。
【請求項7】
(1)標準ラケットのフェースの第一打点でテニスボールが打撃されたときに主として励起される振動モードを選定するステップ、
(2)上記フェースの第二打点で上記テニスボールが打撃されたときに主として励起される振動モードを選定するステップ、
(3)上記ステップ(1)で選定された振動モードにおける固有振動数ωaを測定するステップ、
(4)上記ステップ(2)で選定された振動モードにおける固有振動数ωbを測定するステップ、
(5)上記固有振動数ωaに対する上記固有振動数ωbの比(ωb/ωa)を算出するステップ、
及び
(6)上記標準ラケットの比(ωb/ωa)よりも大きい比を有するように、目標ラケットの特性を決定するステップ
を含む、テニスラケットの仕様決定方法。
【請求項8】
上記ステップ(1)において、中心打点、スイートスポット又はフェースの幾何学的中でテニスボールが打撃される請求項7に記載の仕様決定方法。
【請求項9】
上記ステップ(1)において、中心打点でテニスボールが打撃され、
上記ステップ(2)において、外れ打点でテニスボールが打撃される請求項8に記載の仕様決定方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、テニスラケットに関する。詳細には、本発明は、硬式テニスに使用されるラケットに関する。
【背景技術】
【0002】
テニスにおいてプレーヤーは、ラケットのフェースで、ボールを打撃する。プレーヤーは通常、フェースのセンターの近傍にてボールを打撃する。プレーヤーの意図に反して、センターから離れた位置で、ボールが打撃されることがある。特開平7-213653号公報には、センターから離れた位置でボールが打撃されたときのコントロール性能に優れたラケットが開示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
プレーヤーは、ボールの弾道(速度、高さ、方向等)が安定するラケットを望んでいる。本発明の目的は、打点のバラツキに起因する弾道のバラツキが抑制されるテニスラケットの提供にある。
【課題を解決するための手段】
【0005】
本発明に係るテニスラケットでは、面外一次固有振動数ω1(Hz)と面外二次固有振動数ω2(Hz)とが、下記数式(1)を満たす。
ω1 ≧ 0.37 × ω2 + 16 (1)
【0006】
好ましくは、このテニスラケットは、数式(2)を満たす。
ω1 ≧ 0.48 × ω2 (2)
【0007】
好ましくは、面外二次固有振動数ω2は、382Hz以上474Hz以下である。
【0008】
他の観点によれば、本発明に係る運動競技用打具の評価方法は、
(A)被打撃物が第一打点で打撃されたときに主として励起される振動モードを選定するステップ、
(B)この被打撃物が第二打点で打撃されたときに主として励起される振動モードを選定するステップ、
(C)上記ステップ(A)で選定された振動モードにおける固有振動数ωaを測定するステップ、
(D)上記ステップ(B)で選定された振動モードにおける固有振動数ωbを測定するステップ
及び
(E)固有振動数ωaと固有振動数ωbとを対比するステップ
を含む。
【0009】
ステップ(A)において、被打撃物が中心打点で打撃されてもよい。ステップ(B)において、被打撃物が外れ打点で打撃されてもよい。
【0010】
好ましくは、この評価方法は、
(F)被打撃物の固有振動数が、固有振動数ωa又は固有振動数ωbと対比される工程
をさらに含む。
【0011】
さらに他の観点によれば、本発明に係るテニスラケットの仕様決定方法は、
(1)標準ラケットのフェースの第一打点でテニスボールが打撃されたときに主として励起される振動モードを選定するステップ、
(2)上記フェースの第二打点で上記テニスボールが打撃されたときに主として励起される振動モードを選定するステップ、
(3)上記ステップ(1)で選定された振動モードにおける固有振動数ωaを測定するステップ、
(4)上記ステップ(2)で選定された振動モードにおける固有振動数ωbを測定するステップ、
(5)上記固有振動数ωaに対する上記固有振動数ωbの比(ωb/ωa)を算出するステップ、
及び
(6)上記標準ラケットの比(ωb/ωa)よりも大きい比を有するように、目標ラケットの特性を決定するステップ
を含む。
【0012】
好ましくは、ステップ(1)において、中心打点、スイートスポット又はフェースの幾何学的中心でテニスボールが打撃される。
【0013】
好ましくは、ステップ(1)において中心打点でテニスボールが打撃され、ステップ(2)において外れ打点でテニスボールが打撃される。
【発明の効果】
【0014】
本発明に係るテニスラケットは、弾道安定性に優れている。このラケットは、ゲームの勝利に寄与しうる。
【図面の簡単な説明】
【0015】
【
図1】
図1は、本発明の一実施形態に係るテニスラケットが示された正面図である。
【
図2】
図2は、
図1のテニスラケットの一部が示された拡大分解図である。
【
図3】
図3は、
図1のテニスラケットのフレームのためのプリプレグが示された展開図である。
【
図4】
図4は、
図1のテニスラケットのフレームの製造工程の一例が示された斜視図である。
【
図5】
図5は、
図4の工程で得られた予備成形体がチューブと共に示された正面図である。
【
図6】
図6は、
図1のテニスラケットの一部が示された拡大図である。
【
図7】
図7は、
図1のテニスラケットの固有振動数が示されたグラフである。
【
図8】
図8(a)は
図1のテニスラケットの面外一次固有振動数ω1の測定方法が示された正面図であり、
図8(b)はその左側面図である。
【
図9】
図9(a)は
図1のテニスラケットの面外二次固有振動数ω2の測定方法が示された正面図であり、
図9(b)はその左側面図である。
【
図10】
図10は、
図1のテニスラケットの、面外一次固有振動数ω1と面外二次固有振動数ω2との関係が示されたグラフである。
【発明を実施するための形態】
【0016】
以下、適宜図面が参照されつつ、好ましい実施形態に基づいて本発明が詳細に説明される。
【0017】
図1及び2に、テニスラケット2が示されている。このテニスラケット2は、フレーム4、グリップ6、エンドキャップ8、グロメット10及びストリング12を有している。このテニスラケット2は、硬式テニスに使用されうる。
図1において、矢印Xはテニスラケット2の幅方向を表し、矢印Yはテニスラケット2の軸方向を表し、Z方向はテニスラケット2の厚み方向を表す。
【0018】
フレーム4は、ヘッド14、2つのスロート16及びシャフト18を有している。ヘッド14は、フェース20(後に詳説)の輪郭を形成している。ヘッド14の正面形状は、略楕円である。楕円の長径方向は、テニスラケット2の軸方向Yと一致している。楕円の短径方向は、テニスラケット2の幅方向Xと一致している。ヘッド14は、トップ22及びボトム24を有している。それぞれのスロート16の一端は、ヘッド14と連続している。このスロート16は、他端の近傍で他のスロート16と合流している。スロート16は、ヘッド14から延びてシャフト18に至っている。シャフト18は、2つのスロート16が合流する箇所から延びている。シャフト18は、スロート16と連続的にかつ一体的に形成されている。シャフト18は、シャフトエンド26を有している。ヘッド14のうち2つのスロート16に挟まれた部分は、ヨーク28である。このフレーム4は、中空である。
【0019】
このフレーム4の主たる材質は、繊維強化樹脂である。この繊維強化樹脂は、樹脂マトリックスと、多数の強化繊維とを有している。フレーム4は、複数の繊維強化層(後に詳説)を含んでいる。
【0020】
フレーム4の基材樹脂として、エポキシ樹脂、ピスマレイミド樹脂、ポリイミド及びフェノール樹脂のような熱硬化性樹脂;並びにポリエーテルエーテルケトン、ポリエーテルサルホン、ポリエーテルイミド、ポリフェニレンサルファイド、ポリアミド及びポリプロピレンのような熱可塑性樹脂が例示される。フレーム4に特に適した樹脂は、エポキシ樹脂である。
【0021】
フレーム4の強化繊維として、カーボン繊維、金属繊維、ガラス繊維及びアラミド繊維が例示される。フレーム4に特に適した繊維は、カーボンの長繊維である。複数種の繊維が併用されてもよい。
【0022】
図2に示されるように、ヘッド14は、グロメット溝30を有している。このグロメット溝30は、ヘッド14の外周面から窪んでいる。グロメット溝30は、ヨーク28を除き、ヘッド14のほぼ全周に渡って形成されている。
【0023】
ヘッド14はさらに、複数の孔32を有している。それぞれの孔32は、ヘッド14を貫通している。ヘッド14のほぼ全周において、複数の孔32が配置されている。
【0024】
グリップ6は、シャフト18に巻かれたテープによって形成されている。グリップ6は、テニスラケット2がスイングされたときの、プレーヤーの手とテニスラケット2とのスリップを抑制する。
【0025】
図2に示されるように、グロメット10は、ベース34と複数のパイプ36とを有している。ベース34は、ベルト形状を有している。それぞれのパイプ36は、ベース34と一体的に形成されている。このパイプ36は、ベース34から起立している。このグロメット10の典型的な材質は、フレーム4よりも軟質な合成樹脂である。テニスラケット2が、複数のグロメット10を有してもよい。グロメット10が、これに隣接するグロメット10と離間してもよい。それぞれのグロメット10におけるパイプ36の数が、1でもよい。
【0026】
グロメット10は、ヘッド14に装着される。グロメット10がヘッド14に装着された状態では、ベース34がグロメット溝30に収容される。ベース34の一部が、グロメット溝30からはみ出てもよい。さらに、グロメット10がヘッド14に装着された状態では、パイプ36が孔32を貫通する。
【0027】
図1に示されるように、ストリング12はヘッド14に張られている。ストリング12は、幅方向X及び軸方向Yに沿って張られる。ストリング12は、パイプ36を貫通している。ストリング12により、多数のスレッド(thread)が形成されている。ストリング12のうち幅方向Xに沿って延在する部分は、横スレッド12aと称される。ストリング12のうち軸方向Yに沿って延在する部分は、縦スレッド12bと称される。複数の横スレッド12a及び複数の縦スレッド12bにより、フェース20が形成される。フェース20は、概してX-Y平面に沿っている。フェース20が、2以上のストリング12から形成されてもよい。
【0028】
前述の通りフレーム4は、複数の繊維強化層を有している。このフレーム4は、シートワインディング法によって製造されうる。このシートワインディング法では、複数のプリプレグが、マンドレルに巻かれる。それぞれのプリプレグは、複数の繊維とマトリックス樹脂とを有する。このマトリックス樹脂は、硬化していない。
【0029】
図3は、
図1のラケット2のフレーム4のためのプリプレグ構成が示された展開図である。このプリプレグ構成は、9種のプリプレグ(つまりシート)を有する。具体的には、このプリプレグ構成は、第一シートS1、第二シートS2、第三シートS3、第四シートS4、一対の第五シートS5、一対の第六シートS6、第七シートS7、一対の第八シートS8及び第九シートS9を有する。これらのプリプレグから、後述される方法にて、複数の繊維強化層が形成される。具体的には、第一シートS1から第一繊維強化層が形成され、第二シートS2から第二繊維強化層が形成され、第三シートS3から第三繊維強化層が形成され、第四シートS4から第四繊維強化層が形成され、第五シートS5から第五繊維強化層が形成され、第六シートS6から第六繊維強化層が形成され、第七シートS7から第七繊維強化層が形成され、第八シートS8から第八繊維強化層が形成され、第九シートS9から第九繊維強化層が形成される。
【0030】
図3には、第一エンドポイントPE1及び第二エンドポイントPE2の位置が、矢印で示されている。
図3にはさらに、センターポイントPCの位置が、矢印で示されている。
図3における数字は、距離(mm)を表す。
【0031】
第一シートS1は、第一エンドポイントPE1から第二エンドポイントPE2にまで至っている。この第一シートS1の形状は、概ね長方形である。この第一シートS1は、軸に対して正方向に傾斜した複数のカーボン繊維を含んでいる。本実施形態では、それぞれのカーボン繊維の軸に対する角度は+30°である。この第一シートS1はさらに、軸に対して負方向に傾斜した複数のカーボン繊維を含んでいる。本実施形態では、それぞれのカーボン繊維の軸に対する角度は-30°である。この第一シートS1は、バイアス構造を有している。この第一シートS1では、幅は60mmであり、長さは1660mmである。
【0032】
第二シートS2は、第一エンドポイントPE1から第二エンドポイントPE2にまで至っている。この第二シートS2の形状は、概ね平行四辺形である。この第二シートS2は、並列された複数のカーボン繊維を含んでいる。それぞれのカーボン繊維の延在方向は、軸方向である。換言すれば、軸に対するカーボン繊維の傾斜角度は、ゼロである。この第二シートS2では、幅は58mmであり、長さは1660mmである。
【0033】
第三シートS3は、センターポイントPCの近傍に偏って存在している。この第三シートS3の形状は、概ね長方形である。この第三シートS3は、並列された複数のカーボン繊維を含んでいる。それぞれのカーボン繊維の延在方向は、軸方向に対して直交している。換言すれば、軸に対するカーボン繊維の傾斜角度は、90°である。この第三シートS3では、幅は16mmであり、長さは900mmである。
【0034】
第四シートS4は、センターポイントPCの近傍に偏って存在している。この第四シートS4の形状は、概ね平行四辺形である。この第四シートS4は、軸に対して正方向に傾斜した複数のカーボン繊維を含んでいる。本実施形態では、それぞれのカーボン繊維の軸に対する角度は+30°である。この第四シートS4はさらに、軸に対して負方向に傾斜した複数のカーボン繊維を含んでいる。本実施形態では、それぞれのカーボン繊維の軸に対する角度は-30°である。この第四シートS4は、バイアス構造を有している。この第四シートS4では、幅は115mmであり、長さは520mmである。
【0035】
一方の第五シートS5は、第一エンドポイントPE1の近傍に偏って存在している。他方の第五シートS5は、第二エンドポイントPE2の近傍に偏って存在している。それぞれの第五シートS5の形状は、概ね台形である。この第五シートS5は、軸に対して正方向に傾斜した複数のカーボン繊維を含んでいる。本実施形態では、それぞれのカーボン繊維の軸に対する角度は+30°である。この第五シートS5はさらに、軸に対して負方向に傾斜した複数のカーボン繊維を含んでいる。本実施形態では、それぞれのカーボン繊維の軸に対する角度は-30°である。この第五シートS5は、バイアス構造を有している。この第五シートS5では、幅は115mmであり、上底の長さは250mmであり、下底の長さは270mmである。
【0036】
一方の第六シートS6は、第一エンドポイントPE1とセンターポイントPCとの間に位置している。他方の第六シートS6は、第二エンドポイントPE2とセンターポイントPCとの間に位置している。それぞれの第六シートS6の形状は、概ね平行四辺形である。この第六シートS6は、軸に対して正方向に傾斜した複数のカーボン繊維を含んでいる。本実施形態では、それぞれのカーボン繊維の軸に対する角度は+30°である。この第六シートS6はさらに、軸に対して負方向に傾斜した複数のカーボン繊維を含んでいる。本実施形態では、それぞれのカーボン繊維の軸に対する角度は-30°である。この第六シートS6は、バイアス構造を有している。この第六シートS6では、幅は115mmであり、長さは350mmである。
【0037】
第七シートS7は、第一エンドポイントPE1から第二エンドポイントPE2にまで至っている。この第七シートS7の形状は、概ね長方形である。この第七シートS7は、軸に対して正方向に傾斜した複数のカーボン繊維を含んでいる。本実施形態では、それぞれのカーボン繊維の軸に対する角度は+30°である。この第七シートS7はさらに、軸に対して負方向に傾斜した複数のカーボン繊維を含んでいる。本実施形態では、それぞれのカーボン繊維の軸に対する角度は-30°である。この第七シートS7は、バイアス構造を有している。この第七シートS7では、幅は70mmであり、長さは1660mmである。
【0038】
一方の第八シートS8は、第一エンドポイントPE1の近傍に偏って存在している。他方の第八シートS8は、第二エンドポイントPE2の近傍に偏って存在している。それぞれの第八シートS8の形状は、概ね長方形である。この第八シートS8は、軸に対して正方向に傾斜した複数のカーボン繊維を含んでいる。本実施形態では、それぞれのカーボン繊維の軸に対する角度は+30°である。この第八シートS8はさらに、軸に対して負方向に傾斜した複数のカーボン繊維を含んでいる。本実施形態では、それぞれのカーボン繊維の軸に対する角度は-30°である。この第八シートS8は、バイアス構造を有している。この第八シートS8では、幅は80mmであり、長さは130mmである。
【0039】
第九シートS9は、センターポイントPCの近傍に偏って存在している。この第九シートS9の形状は、概ね平行四辺形である。この第九シートS9は、軸に対して正方向に傾斜した複数のカーボン繊維を含んでいる。本実施形態では、それぞれのカーボン繊維の軸に対する角度は+30°である。この第九シートS9はさらに、軸に対して負方向に傾斜した複数のカーボン繊維を含んでいる。本実施形態では、それぞれのカーボン繊維の軸に対する角度は-30°である。この第九シートS9は、バイアス構造を有している。この第九シートS9では、幅は70mmであり、長さは220mmである。
【0040】
以下、
図4及び5が参照されつつ、テニスラケット2のフレーム4の製造方法の一例が、説明される。この製造方法では、マンドレル、チューブ及び複数のプリプレグシートが準備される。本実施形態では、第一シートS1から第九シートS9の、9種のシートが準備される。
【0041】
この製造方法では、まずチューブにマンドレルが挿入される。このチューブに、シートが順次巻かれる。巻かれることにより、シートは筒状を呈する。
図4には、第一シートS1と第二シートS2とが示されている。
図4では、マンドレル及びチューブの図示が、省略されている。第一シートS1は、既にチューブ巻かれている。従って第一シートS1は、筒形状を有している。
【0042】
マンドレルが回されることで、第一シートS1の上に第二シートS2が巻かれる。巻かれることにより、第二シートS2が筒状を呈する。以下、同様に、第三シートS3から第九シートS9が、順次巻かれる。巻かれることにより、筒状の予備成形体が得られる。
【0043】
このチューブから、マンドレルが抜かれる。このチューブ38及び予備成形体40が、
図5に示されている。
図5では、予備成形体40が曲げられている。予備成形体40は、テニスラケット2のフレーム4に似た形状を有している。この予備成形体40及びチューブ38が、金型にセットされる。この金型が閉じられた後、チューブ38に気体が充填される。この充填によってチューブ38が膨張し、予備成形体40が金型のキャビティ面に押し付けられる。この予備成形体40が加熱され、マトリックス樹脂が硬化する。硬化により、成形体が得られる。この成形体に、仕上げ加工及び孔32の穿設がなされ、フレーム4が得られる。
【0044】
図1及び5の対比から明らかなように、予備成形体40の第一エンドポイントPE1及び第二エンドポイントPE2は、テニスラケット2のシャフトエンド26に対応する。予備成形体40のセンターポイントPCは、テニスラケット2のトップ22に対応する。
【0045】
図1及び3の対比から明らかなように、第四シートS4は、主として、ヘッド14のトップ22の近傍の剛性に関与する。第五シートS5は、主として、シャフト18の剛性に関与する。第六シートS6は、主として、スロート16と、ヘッド14のうちスロート16に近い部分との、剛性に関与する。本発明では、スロート16と、ヘッド14のうちスロート16に近い部分とは、ミドル部と総称される。
【0046】
図6は、
図1のテニスラケット2の一部が示された拡大図である。
図6において矢印Lは、ヘッド14の長さを表す。長さLは、トップ22からボトム24までの距離である。長さLは、中心線CLに沿って測定される。
図6において符号Hcは、中心打点を表す。中心打点Hcは、フェース20の上に存在している。ヘッド14のトップ22から中心打点Hcまでの距離は、L/2である。中心打点Hcは、中心線CLの上に位置している。本発明者が統計的手法で得た知見によれば、テニスのラリーにおいてプレーヤーは、中心打点Hcの近傍でボールを打撃する頻度が高い。
図6において符号Hoは、外れ打点を表す。外れ打点Hoは、フェース20の上に存在している。ヘッド14のトップ22から外れ打点Hoまでの距離は、L/4である。外れ打点Hoは、中心線CLの上に位置している。外れ打点Hoは、中心打点Hcから離れている。外れ打点Hoは、本発明者が任意に選定した。テニスのラリーにおいてプレーヤーは、外れ打点Hoの近傍でボールを打撃せざるを得ないことがある。
【0047】
図7は、テニスラケット2の固有振動数が示されたグラフである。
図7において、横軸は振動数(Hz)であり、縦軸はアクセレランスの大きさ(m/s
2/N)である。
図7において符号P1で示されているのは、一次ピークである。この一次ピークP1における振動数は、面外一次固有振動数ω1である。
図7において符号P2で示されているのは、二次ピークである。この二次ピークP2における振動数は、面外二次固有振動数ω2である。
【0048】
本発明者が得た知見によれば、中心打点Hcでボールが打撃されたとき、主として面外二次モードの固有振動が励起される。面外二次モードの固有振動の方向は、主としてZ方向である。本発明者が得た知見によれば、外れ打点Hoでボールが打撃されたとき、主として面外一次モードの固有振動が励起される。面外一次モードの固有振動の方向は、主としてZ方向である。
【0049】
図8に、テニスラケット2の面外一次固有振動数の測定方法が示されている。この方法では、紐42によってフレーム4が吊り下げられる。このフレーム4には、グリップ6、エンドキャップ8、グロメット10及びストリング12は、装着されていない。換言すれば、テニスラケット2の固有振動数は、フレーム4の単体で測定される。
図8では、フレーム4の軸方向(Y方向)は、鉛直方向と一致している。ヘッド14は、シャフト18よりも上方に位置している。
【0050】
図8に示されるように、ヘッド14に、加速度ピックアップ44が取り付けられている。加速度ピックアップ44の位置は、スロート16の前端の近傍である。この加速度ピックアップ44の向きは、Z方向である。この加速度ピックアップ44は、3.5gの質量を有する。次に、ヘッド14の、ボトム24の近傍の点Phが、インパクトハンマー(図示されず)で加振される。このインパクトハンマーが有するフォースピックアップで計測された入力振動と、加速度ピックアップ44で計測された応答振動とが、アンプを介して周波数解析装置(ヒューレットパッカード社の「ダイナミックシグナルアナライザ」)に送られる。この装置で得られた伝達関数に基づいて、面外一次固有振動数が算出される。この方法では、フレーム4のいかなる部分についても強固に固定されていない状態で、面外一次固有振動数が測定される。換言すれば、自由な拘束条件下での面外一次固有振動数が測定される。
【0051】
図9に、テニスラケット2の面外二次固有振動数の測定方法が示されている。この方法では、紐42によってフレーム4が吊り下げられる。このフレーム4には、グリップ6、エンドキャップ8、グロメット10及びストリング12は、装着されていない。換言すれば、テニスラケット2の固有振動数は、フレーム4の単体で測定される。
図9では、フレーム4の軸方向(Y方向)は、鉛直方向と一致している。ヘッド14は、シャフト18よりも上方に位置している。
【0052】
図9に示されるように、シャフト18に、加速度ピックアップ44が取り付けられている。加速度ピックアップ44の位置は、スロート16の後端の近傍である。この加速度ピックアップ44の向きは、Z方向である。この加速度ピックアップ44は、3.5gの質量を有する。次に、シャフト18の、加速度ピックアップ44の裏側の点Phが、インパクトハンマー(図示されず)で加振される。このインパクトハンマーが有するフォースピックアップで計測された入力振動と、加速度ピックアップ44で計測された応答振動とが、アンプを介して周波数解析装置(ヒューレットパッカード社の「ダイナミックシグナルアナライザ」)に送られる。この装置で得られた伝達関数に基づいて、面外二次固有振動数が算出される。この方法では、フレーム4のいかなる部分についても強固に固定されていない状態で、面外二次固有振動数が測定される。換言すれば、自由な拘束条件下での面外二次固有振動数が測定される。
【0053】
図10は、テニスラケット2の、面外一次固有振動数ω1と面外二次固有振動数ω2との関係が示されたグラフである。このグラフにおいて、符号E1は、
図1に示されたテニスラケット2のポイントを表す。
【0054】
図10において符号L1で示された直線は、下記の数式で表されうる。
ω1 = 0.37 × ω2 + 16
図10に示されるように、ポイントE1は、直線L1よりも上側に位置している。換言すれば、このラケット2の座標(ω2,ω1)は、下記の数式(1)を具備する。
ω1 ≧ 0.37 × ω2 + 16 (1)
本発明者の得た知見によれば、この数式(1)を満たすラケット2では、中心打点Hcで打撃されたボールの弾道と、外れ打点Hoで打撃されたボールの弾道との、相違が小さい。このラケット2では、弾道のバラツキが抑制される。換言すれば、この数式(1)を満たすラケット2は、弾道の安定性に優れる。
【0055】
従来のテニスラケットでは、面外一次固有振動数ω1が過小であった。さらに従来の他のテニスラケットでは、安定性の観点から、面外二次固有振動数ω2に対する面外一次固有振動数ω1が、過小であった。本発明に係るテニスラケット2では、プリプレグ構成に工夫が施されているので、面外二次固有振動数ω2に対する面外一次固有振動数ω1の比(ω1/ω2)が、十分に大きい。
【0056】
フレーム4における、プリプレグの位置、プリプレグの数、プリプレグの幅、プリプレグの長さ、プリプレグの厚さ、繊維の角度、繊維の目付量、繊維の弾性率等の変更により、大きな比(ω1/ω2)が達成されうる。具体的な手段として、
(a)弾性率が大きい繊維を有する繊維強化層を、ミドル部に偏在させる。
(b)厚みが大きい繊維強化層を、ミドル部に偏在させる。
(c)目付量の大きい繊維強化層を、ミドル部に偏在させる。
(d)ミドル部に、幅の大きいプリプレグシートを使用する。
等が例示される。
【0057】
図10において符号L2で示された直線は、下記の数式で表されうる。
ω1 = 0.48 × ω2
図10に示されるように、ポイントE1は、直線L2よりも上側に位置している。換言すれば、このラケット2の座標(ω2,ω1)は、下記の数式(2)を具備する。
ω1 ≧ 0.48 × ω2 (2)
本発明者の得た知見によれば、この数式(2)を満たすラケット2では、中心打点Hcで打撃されたボールの弾道と、外れ打点Hoで打撃されたボールの弾道との、相違が小さい。このラケット2では、弾道のバラツキが抑制される。換言すれば、この数式(2)を満たすラケット2は、弾道の安定性に優れる。
【0058】
図10において符号L3で示された直線は、下記の数式で表されうる。
ω2 = 382
図10に示されるように、ポイントE1は、直線L3よりも右側に位置している。ポイントE1の振動数ω2は、382以上である。換言すれば、このラケット2の座標(ω2,ω1)は、下記の数式(3)を具備する。
ω2 ≧ 382 (3)
本発明者の得た知見によれば、この数式(3)を満たすラケット2では、中心打点Hcでボールが打撃されたときに、しっかりした打球感が得られる。
【0059】
図10において符号L4で示された直線は、下記の数式で表されうる。
ω2 = 474
図10に示されるように、ポイントE1は、直線L4よりも左側に位置している。ポイントE1の振動数ω2は、474以下である。換言すれば、このラケット2の座標(ω2,ω1)は、下記の数式(4)を具備する。
ω2 ≦ 474 (4)
本発明者の得た知見によれば、この数式(4)を満たすラケット2では、中心打点Hcでボールが打撃されたときに、球持ちのよい打球感が得られる。
【0060】
本発明は、テニスラケット2の評価方法にも向けられる。この評価方法は、
(A)テニスボールが第一打点で打撃されたときに主として励起される振動モードを選定するステップ、
(B)このテニスボールが第二打点で打撃されたときに主として励起される振動モードを選定するステップ、
(C)上記ステップ(A)で選定された振動モードにおける固有振動数ωa測定するステップ、
(D)上記ステップ(B)で選定された振動モードにおける固有振動数ωbを測定するステップ
及び
(E)固有振動数ωaと固有振動数ωbとを対比するステップ
を含む。
【0061】
この評価方法により、テニスラケット2の種々の性能が評価されうる。典型的には、この評価方法により、テニスラケット2の安定性が評価されうる。
【0062】
典型的な第一打点は、中心打点Hcである。前述の通り中心打点Hcは、統計的手法で得られうる。多数のプレーヤーの打点の座標(X,Y)が平均されることで、中心打点Hcが算出される。換言すれば、中心打点は、打点分布の中心点である。中心打点Hc以外の点が、第一打点とされてもよい。中心打点Hc以外の点として、スイートスポット、フェース20の幾何学中心(つまり面積重心)等が挙げられる。第二打点は、第一打点以外の点から、任意に選定されうる。第一打点での打撃によって励起される振動モードとは異なる振動モードが励起される打点が、第二打点として選定される。第一打点の振動モードにおける固有振動数ωaに対する、第二打点の振動モードにおける固有振動数ωbの比(ωb/ωa)が大きいテニスラケット2は、「安定性が高い」と評価される。
【0063】
被打撃物であるテニスボールの固有振動数ωtが、測定されてもよい。この固有振動数ωtが、固有振動数ωa及び固有振動数ωbの両方又は一方と、対比される。例えば、固有振動数ωbと固有振動数ωtとの差の絶対値|ωb-ωt|、固有振動数ωaと固有振動数ωtとの差の絶対値|ωa-ωt|等が、算出されうる。
【0064】
この方法は、テニスラケット2以外の、種々の運動競技用打具の評価に適している。この方法は、ソフトテニスラケット、バドミントンラケット、スカッシュラケット、卓球ラケット、ゴルフクラブ、野球バット、ソフトボールバット、クリケットバット、アイスホッケースティック、フィールドホッケースティック等の評価に適している。打具がソフトテニスラケットである場合の被打撃物は、ソフトテニスボールである。打具がバドミントンラケットである場合の被打撃物は、シャトルである。打具がスカッシュラケットである場合の被打撃物は、スカッシュボールである。打具が卓球ラケットである場合の被打撃物は、ピンポン球である。打具がゴルフクラブである場合の被打撃物は、ゴルフボールである。打具が野球バットである場合の被打撃物は、野球ボールである。打具がソフトボールバットである場合の被打撃物は、ソフトボールである。打具がクリケットバットである場合の被打撃物は、クリケットボールである。打具がアイスホッケースティックである場合の被打撃物は、パックである。打具がフィールドホッケースティックである場合の被打撃物は、ホッケーボールである。
【0065】
本発明は、テニスラケットの仕様決定方法にも向けられる。この方法は、
(1)標準ラケットのフェースの第一打点でテニスボールが打撃されたときに主として励起される振動モードを選定するステップ、
(2)このフェースの第二打点でテニスボールが打撃されたときに主として励起される振動モードを選定するステップ、
(3)上記ステップ(1)で選定された振動モードにおける固有振動数ωaを測定するステップ、
(4)上記ステップ(2)で選定された振動モードにおける固有振動数ωbを測定するステップ、
(5)固有振動数ωaに対する固有振動数ωbの比(ωb/ωa)を算出するステップ、
及び
(6)標準ラケットの比(ωb/ωa)よりも大きい比を有するように、目標ラケットの特性を決定するステップ
を含む。
【0066】
このステップ(6)にて決定される特性として、ヘッドの長さ、ヘッドの厚さ、ヘッドの剛性、ヘッドの剛性分布、スロートの長さ、スロートの厚み、スロートの剛性、スロートの剛性分布、シャフトの長さ、シャフトの太さ、シャフトの剛性及びシャフトの剛性分布が例示される。
(a)弾性率が大きい繊維を有する繊維強化層を、ミドル部に偏在させる。
(b)厚みが大きい繊維強化層を、ミドル部に偏在させる。
(c)目付量の大きい繊維強化層を、ミドル部に偏在させる。
(d)ミドル部に、幅の大きいプリプレグシートを使用する。
等の手段により、目標ラケットが、標準ラケットの比(ωb/ωa)よりも大きい比を有しうる。この方法により、弾道のバラツキが少ないテニスラケットが得られうる。
【実施例0067】
以下、実施例によって本発明の効果が明らかにされるが、この実施例の記載に基づいて本発明が限定的に解釈されるべきではない。
【0068】
[実施例1]
図3に示されたプリプレグ構成を有するフレームを製作した。各プリプレグは、カーボン繊維を含んでいた。プリプレグの詳細は、以下の通りである。
第一シートS1の引張弾性率E:30.0tf/mm
2
第一シートS1の厚みT:0.08mm
第四シートS4の引張弾性率E:7.5tf/mm
2
第四シートS4の厚みT:0.25mm
第五シートS5の引張弾性率E:7.5tf/mm
2
第五シートS5の厚みT:0.25mm
第六シートS6の引張弾性率E:44.5tf/mm
2
第六シートS6の厚みT:0.25mm
第七シートS7の引張弾性率E:30.0tf/mm
2
第七シートS7の厚みT:0.08mm
このフレームにグリップ、エンドキャップ、グロメット及びストリングを装着して、テニスラケットを得た。このラケットの、面外二次固有振動数ω2は430Hzであり、面外一次固有振動数ω1は207Hzであった。このラケットの座標は、
図10において、符号E1で示されている。
【0069】
[実施例2-6及び比較例1-6]
プリプレグ構成を表1-3に示される通りとした他は実施例1と同様にして、実施例2-6及び比較例1-6のテニスラケットを得た。これらのラケットのシャフトのためのプリプレグの仕様が、下記の表1-3に示されている。これらのラケットの、面外二次固有振動数ω2及び面外一次固有振動数ω1が、下記の表1-3及び
図10に示されている。
【0070】
[安定性]
[実験1、実施例2及び3並びに比較例1及び2]
マシンにて、テニスボールを発射した。このボールに対してプレーヤーにリターンを行わせ、ボールの弾道を撮影した。画像を解析し、ネットの上を通過するボールの高さを測定した。20回の測定を行い、高さの標準偏差を求めた。この標準偏差に基づき、ラケットを格付けした。格付けの基準は、以下の通りである。この結果が、下記の表1に示されている。
A:標準偏差が0.9m未満
B:標準偏差が0.9m以上1.0m未満
C:標準偏差が1.0m以上
【0071】
[実験2、実施例1及び4並びに比較例3及び4]
他のプレーヤーに、実験1と同様の方法でボールのリターンを行わせ、ラケットを格付けした。格付けの基準は、実験1の基準と同じである。この結果が、下記の表2に示されている。
【0072】
[実験3、実施例5及び6並びに比較例5及び6]
さらに他のプレーヤーに、実験1と同様の方法でボールのリターンを行わせ、ラケットを格付けした。格付けの基準は、実験1の基準と同じである。この結果が、下記の表3に示されている。
【0073】
【0074】
【0075】
【0076】
表1-3から明らかな通り、各実施例のテニスラケットでは、ボールの弾道が安定している。この評価結果から、本発明の優位性は明らかである。