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特開2022-177451パチンコ遊技システム及びその演出ユニット
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2022177451
(43)【公開日】2022-12-01
(54)【発明の名称】パチンコ遊技システム及びその演出ユニット
(51)【国際特許分類】
   A63F 7/02 20060101AFI20221124BHJP
【FI】
A63F7/02 326Z
A63F7/02 301C
A63F7/02 304Z
【審査請求】未請求
【請求項の数】9
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2021083712
(22)【出願日】2021-05-18
(71)【出願人】
【識別番号】595112915
【氏名又は名称】株式会社ヤマダ
(74)【代理人】
【識別番号】110001184
【氏名又は名称】弁理士法人むつきパートナーズ
(72)【発明者】
【氏名】山田 将人
(72)【発明者】
【氏名】大上 英章
(72)【発明者】
【氏名】松岡 輝
【テーマコード(参考)】
2C088
【Fターム(参考)】
2C088AA65
2C088EA10
(57)【要約】
【課題】 遊技球を転動させる遊技盤での遊技内容に基づいて動作する演出装置の設計の自由度を高めたパチンコ遊技システム及びその演出ユニットの提供。
【解決手段】 遊技球を転動させる遊技盤での遊技内容に基づいて動作する演出装置を含むパチンコ遊技システムである。遊技盤とともに、抽選処理を行うメイン基板を含む本体ユニットと、演出装置とともに、抽選処理に対応して演出装置の動作処理を行う演出基板を含む演出ユニットと、を独立した区画にあって互いに独立して動作させるるとともに、抽選処理についての情報を含む遊技信号を本体ユニットから演出ユニットへ与える信号伝達手段を与えられて互いに同期して動作可能であり、演出ユニットはCPU及びこの動作を与えるプログラムを保持する記憶部を含み、記憶部のプログラムが書き換え可能とされていることを特徴とする。演出ユニットは、遊技信号を本体ユニットから受信する受信装置を含む。
【選択図】図6
【特許請求の範囲】
【請求項1】
遊技球を転動させる遊技盤での遊技内容に基づいて動作する演出装置を含むパチンコ遊技システムであって、
前記遊技盤とともに、抽選処理を行うメイン基板を含む本体ユニットと、
前記演出装置とともに、前記抽選処理に対応して前記演出装置の動作処理を行う演出基板を含む演出ユニットと、を独立した区画にあって互いに独立して動作し得るようにするとともに、前記抽選処理についての情報を含む遊技信号を前記本体ユニットから前記演出ユニットへ与える信号伝達手段を与えられて互いに同期して動作可能であり、
前記演出ユニットはCPU及びこの動作を与えるプログラムを保持する記憶部を含み、前記記憶部の前記プログラムが書き換え可能とされていることを特徴とするパチンコ遊技システム。
【請求項2】
前記本体ユニット及び前記演出ユニットはそれぞれ独立した筐体の内部に収容され、それぞれ独立した電源ユニットを有することを特徴とする請求項1記載のパチンコ遊技システム。
【請求項3】
前記信号伝達手段は非接触にて前記遊技信号を伝達することを特徴とする請求項1又は2に記載のパチンコ遊技システム。
【請求項4】
前記信号伝達手段は、前記本体ユニットの疑似演出表示装置と、前記疑似演出表示装置と対をなす前記演出ユニットの読取装置と、を含み、
前記疑似演出表示装置は前記遊技信号を符号化してこれを含んだ図柄を表示するとともに、前記読取装置は前記疑似演出表示装置に表示された前記図柄を読み取って前記遊技信号を逆符号化することを特徴とする請求項3記載のパチンコ遊技システム。
【請求項5】
前記本体ユニットは、発射装置部を含み、前記遊技球を前記本体ユニットの内部で循環させて遊技を提供することを特徴とする請求項2乃至4のうちの1つに記載のパチンコ遊技システム。
【請求項6】
遊技球を転動させる遊技盤とともに、抽選処理を行うメイン基板を含む本体ユニットに組み合わせて用いられ、該遊技盤での遊技内容に基づいて動作する演出装置を含む演出ユニットであって、
前記本体ユニットと独立した区画にあって互いに独立して動作し得るように設けられる一方で、前記抽選処理についての情報を含む遊技信号を前記本体ユニットから受信する受信装置を有し前記本体ユニットに同期して動作可能であり、
CPU及びこの動作を与えるプログラムを保持する記憶部を含み前記抽選処理に対応して前記演出装置の動作処理を行う演出基板を含み、前記記憶部の前記プログラムを書き換え可能とされていることを特徴とするパチンコ遊技システムの演出ユニット。
【請求項7】
前記本体ユニットと独立した筐体の内部に収容され、前記本体ユニットと独立した電源ユニットを有することを特徴とする請求項6記載のパチンコ遊技システムの演出ユニット。
【請求項8】
前記受信装置は非接触にて前記遊技信号を受信することを特徴とする請求項6又は7に記載のパチンコ遊技システムの演出ユニット。
【請求項9】
前記受信装置は、前記本体ユニットの疑似演出表示装置と対をなす読取装置を含み、
前記遊技信号を符号化してこれを含んだ図柄を表示する前記疑似演出表示装置の前記図柄を読み取って前記遊技信号を逆符号化することを特徴とする請求項8記載のパチンコ遊技システムの演出ユニット。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、遊技球を転動させる遊技盤を含む本体ユニット及び該遊技盤での遊技内容に基づいて動作する演出装置を含む演出ユニットからなるパチンコ遊技システム及びその演出ユニットに関する。
【背景技術】
【0002】
遊技球を転動させて遊技を行う遊技盤を含むパチンコ遊技機において、省資源等の環境配慮からホールでの新台の入れ替えにあたって、従来のように遊技機全体を交換するのではなく、遊技機の一部のみを取り替えて遊技者に新台と見えるようにさせる可能性についての提案がなされている。特に、遊技盤の中央部近傍に設けられる表示装置を含む演出装置は、個々のパチンコ遊技機の特徴を顕著に決定づける重要部品であり、かかる演出装置を交換することで新台への入れ替えと見えるようにさせる提案もなされている。
【0003】
例えば、特許文献1では、立体画像を表示する表示装置において、図柄や絵柄、制御プログラムなどを格納するROMのみの交換によって、表示する図柄や絵柄、表示動作を変更することができるようにして、遊技機本体を交換することなくROMのみの交換で新台入れ替えを行うことができる遊技機を開示している。立体画像を表示する表示装置は高価であり、これの交換を不要とすることで、遊技機のコストを大きく低減させることができるとしている。なお、ROM等の記憶デバイスの交換の他、データ通信により記憶デバイスの記憶内容を書き換えることについても述べている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2001-276359号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
一般的に演出装置は、遊技球を転動させて遊技を行う遊技盤での遊技内容に連動して動作するため、これらを一体として設計することとなる。つまり、特許文献1のように、演出装置のソフトウェアなどを入れ替えるにしても、遊技盤の設計と一体として設計することが要求され、一定の制約を有することとなる。
【0006】
本発明は、以上のような状況に鑑みてなされたものであって、その目的とするところは、遊技球を転動させる遊技盤での遊技内容に基づいて動作する演出装置の設計の自由度を高めたパチンコ遊技システム及びその演出ユニットを提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明によるパチンコ遊技システムは、遊技球を転動させる遊技盤での遊技内容に基づいて動作する演出装置を含むパチンコ遊技システムであって、前記遊技盤とともに、抽選処理を行うメイン基板を含む本体ユニットと、前記演出装置とともに、前記抽選処理に対応して前記演出装置の動作処理を行う演出基板を含む演出ユニットと、を独立した区画にあって互いに独立して動作し得るようにするとともに、前記抽選処理についての情報を含む遊技信号を前記本体ユニットから前記演出ユニットへ与える信号伝達手段を与えられて互いに同期して動作可能であり、前記演出ユニットはCPU及びこの動作を与えるプログラムを保持する記憶部を含み、前記記憶部の前記プログラムが書き換え可能とされていることを特徴とする。
【0008】
また、本発明による演出ユニットは、遊技球を転動させる遊技盤とともに、抽選処理を行うメイン基板を含む本体ユニットに組み合わせて用いられ、該遊技盤での遊技内容に基づいて動作する演出装置を含む演出ユニットであって、前記本体ユニットと独立した区画にあって互いに独立して動作し得るように設けられる一方で、前記抽選処理についての情報を含む遊技信号を前記本体ユニットから受信する受信装置を有し前記本体ユニットに同期して動作可能であり、CPU及びこの動作を与えるプログラムを保持する記憶部を含み前記抽選処理に対応して前記演出装置の動作処理を行う演出基板を含み、前記記憶部の前記プログラムを書き換え可能とされていることを特徴とする。
【0009】
かかる特徴によれば、演出装置の設計を本体ユニットとは別個に行うことができて、その設計の自由度を高め、より多彩な演出を単一の演出装置で提供することが可能となるのである。
【図面の簡単な説明】
【0010】
図1】本発明による1つの実施例におけるパチンコ遊技システムの正面図である。
図2】本発明による1つの実施例におけるパチンコ遊技システムの上面図である。
図3】本発明による1つの実施例におけるパチンコ遊技システムの分解側面図である。
図4】遊技システムに用いられる本体枠の正面図である。
図5】本発明による1つの実施例におけるパチンコ遊技システムの側面図である
図6】パチンコ遊技システムの要部のブロック図である。
図7】他のパチンコ遊技システムの要部のブロック図である。
【発明を実施するための形態】
【0011】
本発明による1つの実施例としてのパチンコ遊技システム及びこれに用いられる演出ユニットについて、図1乃至図5を用いて説明する。
【0012】
図1乃至図3に示すように、パチンコ遊技機として用いられる遊技システム1は、図示しない遊技場内の島設備に設置される枠体である外枠2の内側に取り付けられる。遊技システム1は、外枠2に対して開閉自在に取り付けられた本体枠5と、本体枠5に対し開閉自在に組み込まれた遊技装置である本体ユニット1aとを含む。本体ユニット1aは、筐体15(図5参照)に収容されるとともにその内部に備えられる本体装置部16を含み、本体枠5に対して上部に空間を設けるよう下側に備えられる。一方、上部に設けられた空間には演出ユニット1bが収容される。つまり、演出ユニット1bは、本体ユニット1aの筐体15の外部にあって本体ユニット1aとは別区画に設けられている。なお、以降において方向を示す場合、図示するように遊技システム1に正対する遊技者から見た方向を用いる。
【0013】
本体ユニット1aは、筐体15に本体装置部16を収容して構成される。例えば、本体装置部16は、正面視で中央に開口3aを有する前面扉3を備え、左側端部を回動軸として前面扉3を手前側に開くことができる。前面扉3には、さらに、開口3aを閉塞しつつ遊技領域19を遊技者に視認させる透明板6と、遊技球を発射させるために操作されるハンドル7と、遊技球を貯留する上皿8と、下皿9とが取り付けられている。
【0014】
本体装置部16には、前面扉3に嵌めこまれた透明板6との間に遊技領域19を形成してその表面に沿って遊技球を転動させる遊技盤10が固定されて備えられる。遊技盤10には、さらに、スタートチャッカー13やアタッカー14などの入賞口、その他図示しない入賞口、釘や役物などが設けられ、その表面に沿って遊技領域19内を転動しつつ落下させる遊技球の経路を振り分けることができる。また、本体装置部16は、図示を省略するが、遊技球の発射装置部など、遊技球の発射や回収に必要な機構や通路が内部に設けられている。なお、本体ユニット1aは、演出ユニット1bなしでも単体で遊技球を扱い遊技を進行させることを可能とする。そのため、本体装置部16には遊技動作を制御するメイン基板40と、本体ユニット1aに電源を供給する本体電源ユニット55とがさらに含まれる。
【0015】
一方、演出ユニット1bは、演出装置用筐体17に収容されるとともに演出装置部18を含んで構成される。演出装置部18は複数の演出装置及び演出基板30及び演出装置電源ユニット56を含み、遊技盤10での遊技内容に基づいて動作するとともに、その動作は本体ユニット1aの本体電源ユニット55とは別の演出装置電源ユニット56によって行われようにされている。つまり、演出ユニット1bは、本体ユニット1aの遊技内容に基づく演出を行う一方、本体ユニット1aから独立した演出装置用筐体17内部に演出装置電源ユニット56を備えることで、装置として独立して動作可能である。また、演出装置部18は、遊技者に向けて演出を行う液晶表示装置による第1演出装置12や、LEDによって入賞や抽選に関する演出を行う第2演出装置4、その他図示しないスピーカによる音声演出を行う演出装置を備え、これらの演出装置の動作を演出基板30に制御させる。第1演出装置12は、例えば、遊技盤10上の入賞口等への入賞に伴う大当たりの抽選処理の結果について演出を伴って表示して遊技者に通知することができる。なお、各演出装置や演出内容については特に制限はなく、他の組み合わせとしてもよい。
【0016】
図4を併せて参照すると、本体ユニット1a及び演出ユニット1bの取り付けられる本体枠5は、外枠2に沿うように正面視で断面を略長方形とされた枠体である。本体枠5は、上方端部及び下方端部にそれぞれ上端横梁5a及び下端横梁5cを有するとともに、この間に中央横梁5bを有する。上端横梁5a及び下端横梁5cの左側端部には、それぞれ上ヒンジ11a及び下ヒンジ11cが設けられる。上ヒンジ11a及び下ヒンジ11cは、外枠2に組付けられることで左側端部を回動軸A1として本体枠5を外枠2に対して回動自在とさせることができる。また中央横梁5bの左側側部近傍には中ヒンジ11bが備えられ、下ヒンジ11cとの間の鉛直軸A2の周囲に回動自在とするよう本体ユニット1aを組み付けることができる。
【0017】
そして、本体枠5の内側で下端横梁5c及び中央横梁5bの間の下部空間22に本体ユニット1aを収容し、中央横梁5b及び上端横梁5aの間の上部空間21に演出ユニット1bを収容する。つまり、本体ユニット1aと演出ユニット1bとは互いに独立した区画に収容されている。ここで、本体ユニット1aは、本体枠5に対して開閉自在に移動でき、本体ユニット1a及び演出ユニット1bを含む遊技システム1は、本体枠5とともに外枠2に対して開閉できる。なお、本体枠5は、外枠2とともに正面視でその断面を楕円などの他の形状とすることもできる。
【0018】
さらに、図5を併せて参照すると、演出ユニット1bは手前側の部分の寸法を奥側の部分に比べて左右及び上方に向けて大きくしており、手前側から奥側に向けてスライドさせるように挿入されることで本体枠5に収容される。つまり、演出ユニット1bは本体枠5の前方(手前側)から着脱自在とされている。このとき、演出ユニット1bは、第1演出装置12や第2演出装置4などの複数の演出装置による演出装置部18を収容して1つにまとめる演出装置用筐体17に設けられた演出装置用フレーム20を係合させることで本体枠5に取り付けられる。これによって、演出ユニット1bは一体として本体ユニット1aから分離可能とされる。なお、演出ユニット1bは、前面扉3の上部の手前側にせり出すように設けられている。また、本体ユニット1aについても、筐体15によって一体となり、本体枠5から着脱自在とされている。
【0019】
ところで、メイン基板40は、入賞の検知とこれに対する払い出しなど本体ユニット1aにおける遊技動作を制御するとともに、演出ユニット1bにおいて演出を行うために必要となる遊技信号を生成し送出する。送出された遊技信号は、演出基板30に伝達される。遊技システム1では、演出ユニット1bの演出用プログラムを書き換えて、異なる演出を提供可能とするものである。そのため、異なる演出を提供できる複数種類の演出用プログラムのそれぞれは、同じ遊技信号を受けても異なる演出を行うことができる。例えば、1つの演出用プログラムでは、あるファンタジー世界を題材とした演出が展開されるのに対し、他の演出用プログラムではあるスポーツの種目を題材とした演出が展開される。このような、全く異なる演出を行う演出ユニット1bの演出用プログラムを書き換え可能とするのである。この場合、遊技信号は汎用信号であり、いずれの演出用プログラムであってもこの汎用信号に基づいて演出ユニット1bを動作可能とされる。以下、演出基板30及びメイン基板40の構成と、遊技信号の伝達について説明する。
【0020】
図6に示すように、メイン基板40は、CPU41、ROM42、RAM43及び入出力ポート44を備える。メイン基板40では、CPU41がROM42に記録されたプログラムに従って遊技動作に係る処理を実行する。また、CPU41は、処理中に発生したデータ等を必要に応じてRAM43に書き換え可能に記録しつつ処理を進める。これらの動作によりメイン基板40は主として遊技動作を制御する。
【0021】
メイン基板40は、例えば、入出力ポート44を介してスタートチャッカー13などの入賞口に備えられるセンサーからの遊技球の入賞を検知する信号を受けて大当たりなどの抽選処理を行う。また、メイン基板40は、入賞に対して賞球を払い出すための信号を後述する払出制御基板60へ向けて送出する。さらに、メイン基板40は、ゲームの進行に関わる電動役物やアタッカー14などのソレノイド等を動作させる信号を送出する。このように、メイン基板40は、入賞の検知、抽選処理、払い出しなどの遊技動作を制御することができる。さらに、メイン基板40は、抽選処理の結果などの抽選処理についての情報を含む遊技信号を演出基板30に向けて送出する。遊技信号としては、例えば、大当たり抽選の当否、抽選結果を表示させるための演出に費やす時間を情報として含む信号であれば、汎用信号として用いることができる。
【0022】
メイン基板40には払出制御基板60が接続されており、CPU61、ROM62、RAM63及び入出力ポート64を備える。払出制御基板60は、上記したメイン基板40による遊技動作のうち、主として払い出しに関する動作をメイン基板40からの信号に基づき制御することができる。そして、賞球の払い出しや遊技球の貸し出し要求に応じた払出などを制御し得る。
【0023】
また、上記した本体電源ユニット55には、本体用電源基板70が備えられる。本体用電源基板70の電源部71は、払出制御基板60、メイン基板40、後述する第1中継ポート52など、本体ユニット1aの各部に対し、それぞれ所定量の電圧を供給することができる。
【0024】
上記したように、メイン基板40は、本体ユニット1aの本体装置部16に備えられる。一方、演出基板30は演出ユニット1bの演出装置部18に備えられる。そして、本体ユニット1aと演出ユニット1bとは互いに独立して動作可能とされる。ここで、メイン基板40には第1中継ポート52が接続され、演出基板30に第2中継ポート50が接続され、第1中継ポート52から第2中継ポート50へ遊技信号を伝達可能とするようにされる。
【0025】
まず、メイン基板40に接続された第1中継ポート52は、メイン基板40からの一方向に送信された遊技信号を受信可能となっている。また、演出基板30には第2中継ポート50が接続され、第2中継ポート50から演出基板30へ遊技信号又はこれに対応する信号を一方向で送信可能となっている。ここで、例えば、第1中継ポート52と第2中継ポート50とは、互いに電気的に接続可能なコネクタとされる。これによれば、遊技信号をメイン基板40から演出基板30へ伝達可能とさせ得るとともに、コネクタの着脱によって演出基板30を含む演出ユニット1bを本体ユニット1aに対して簡便に着脱可能とすることもできる。また、メイン基板40から演出基板30へ伝達させるのは遊技信号のみでよいので、必要となるコネクタは1組である。
【0026】
このようにして演出基板30は、第2中継ポート50から遊技信号を受けることができる。つまり、第2中継ポート50は、本体ユニット1aから遊技信号を演出ユニット1bに受信させる受信装置として機能する。演出基板30は、CPU31、ROM32、RAM33、入力ポート34及び出力ポート35を備えるとともに記憶部90に接続される。演出基板30では、CPU31がROM32に記録された基本プログラム及び記憶部90に保存された演出用プログラムに従って演出動作に係る処理を実行する。また、CPU31は、処理中に発生したデータ等を必要に応じてRAM33に書き換え可能に記録しつつ処理を進める。これらの動作により演出基板30は演出動作を制御することができる。
【0027】
演出基板30は、入力ポート34を介して得た遊技信号から大当たり抽選の当否や、抽選結果を表示させるための演出に費やす時間を抽出し、これに合わせて抽選処理の結果を遊技者に通知るための演出動作を制御する。演出動作としては、例えば、第1演出装置12上で複数桁の数字を変動させ、抽選処理の結果が大当たりであれば複数桁の数字をゾロ目で停止させ、はずれであればそれ以外の目(数字)で停止させる。この数字の変動から停止までの一連の動作を上記した演出に費やす時間に合わせて行う。このように、遊技信号に演出に費やす時間を含ませることで本体ユニット1aに対して演出ユニット1bの演出に関する動作を同期させることができる。つまり、本体ユニット1aと演出ユニット1bとは、互いに同期して動作可能とされる。また、演出動作として、第2演出装置4に搭載された照明やスピーカなどによる光及び音声などを用いた演出を遊技の進行に合わせて行うことができる。
【0028】
詳細には、演出基板30は、予め定められた演出動作の複数のパターンの中から遊技信号に対応する1つのパターンを選択し、出力ポート35を介してこのパターンを示す信号を送出することができる。かかる信号は図示しない画像演出用、LED演出用及び音声演出用のそれぞれのサブサブ基板に入力される。各サブサブ基板は、入力された信号に対応したパターンで第1演出装置12、第2演出装置4の照明及びスピーカを動作させ、演出基板30で選択されたパターンの演出を行うことができる。
【0029】
また、演出基板30は、上記したように演出用プログラムを保持した記憶部90に接続され、かかる演出用プログラムに沿って動作することができる。記憶部90はさらに、通信部91に接続され、外部との通信によって記憶部90に保持された演出用プログラムを書き換え可能とされる。通信部91と外部との接続を有線としてもよいが、無線としてさらに遠隔位置から操作して記憶部90の演出用プログラムを書き換え可能とすると、書き換えの手間を減じて好ましい。
【0030】
さらに、演出ユニット1bは、上記したように演出装置電源ユニット56を含み、演出装置電源ユニット56内に演出置用電源基板80を備える。演出装置用電源基板80の電源部81は、第2中継ポート50、演出基板30、記憶部90、通信部91、第1演出装置12、第2演出装置4、その他の演出装置など、演出ユニット1bの各部に対し、それぞれ所定量の電圧を供給することができる。
【0031】
以上のように、遊技システム1によれば、本体装置部16を含む本体ユニット1aと演出装置部18を含む演出ユニット1bとを互いに独立して動作させることができる。このとき、本体ユニット1aは、内部に本体電源ユニット55を備え、演出ユニット1bとの関係においては遊技信号を送出できればよい。そのため、演出ユニット1bの有無にかかわらず遊技を進行させることができる。つまり、本体ユニット1aは演出ユニット1bに対して独立して動作できる。一方、演出ユニット1bは、内部に演出装置電源ユニット56を備え、遊技信号を受け取ることで演出動作を行うことのできる待機状態として動作し得る。つまり、演出ユニット1bは、本体ユニット1aに対して独立して動作できる。
【0032】
その結果、演出ユニット1bは、待機状態において本体ユニット1aからの遊技信号を受けたときに対応して動作をさせることができればよく、他は自由に設計できる。つまり、演出ユニット1bの設計を本体ユニット1aとは別個に行うことができて、その設計の自由度を高めることができる。さらに、演出ユニット1bにおいては、演出用プログラムの書き換えを可能としたことにより多彩な演出を単一の装置で提供することが可能となる。
【0033】
また、メイン基板40から演出基板30への遊技信号の伝達は、メイン基板40側の第1中継ポート52と演出基板30側の第2中継ポート50とのコネクタを用いた接続で着脱容易とできる。このようにして、メイン基板40による1の抽選処理による演出基板30を含む演出ユニット1bの交換を容易にしてもよい。また、メイン基板40から送出する信号を集約した遊技信号とし、これを汎用信号とすることができる。その結果、1の抽選処理の結果に対して異なる演出を提供する演出用プログラムを用意でき、これを書き換え可能とできる。そして、複数の異なる演出を提供する演出用プログラムの中からバリエーション豊かに演出用プログラムを選択し得る。
【0034】
なお、上記した例では、メイン基板40から演出基板30に遊技信号を伝達するために、コネクタによって電気的に直接接続させたが、非接触とすることもできる。
【0035】
例えば、図7に示すように、第1中継ポート52と第2中継ポート50との間には、遊技信号を非接触で伝達する信号伝達手段を備えており、第1中継ポート52から第2中継ポート50へ一方向に遊技信号を伝達可能としている。信号伝達手段として、第1中継ポート52に遊技信号のうちの抽選処理に対応した表示を行う表示部53を備え、第2中継ポート50に表示部53の表示を読み取る読取部51を備える。このとき、表示部53を本体ユニット1aの筐体15の表面に配置し、読取部51を演出ユニット1bの演出装置用筐体17の表面に配置し、互いに対向するようにさせるとよい。
【0036】
より具体的には、例えば、二次元コードを表示可能な画像表示装置などを表示部53として用い、画像処理して二次元コードを認識可能なカメラを読取部51として用いる。これにより、遊技信号を二次元コード化した上で、非接触で演出基板30に伝達することができる。つまり、表示部53は遊技信号を符号化してこれを含んだ図柄を画像として表示し、これを読取部51で読み取らせて遊技信号を逆符号化させるのである。その他、光学的な伝達手段を適宜使用することで高速且つ安定性高く遊技信号を伝送可能とできる。光学的な手段によらずとも、音波や磁力波など非接触で遊技信号を伝達することのできるその他の手段も信号伝達手段として用い得る。
【0037】
以上のように、メイン基板40から演出基板30への遊技信号の伝達は、メイン基板40側の第1中継ポート52と演出基板30側の第2中継ポート50との間において非接触で行う。つまり、表示部53の表示内容に対応して演出基板30により演出装置部18の動作処理が行われる。このように非接触とすることで、演出ユニット1bの設計の自由度を寸法上においても高めることができる。
【0038】
なお、表示部53から読取部51への遊技信号の伝達を二次元コードによって行う例を上記したが、これを暗号によって行ってもよい。例えば、第1中継ポート52で遊技信号を暗号化し、表示部53として用いる画像表示装置に暗号に対応する画像を表示させ、読取部51でこの画像を撮像し第2中継ポート50で復号化して遊技信号を得るのである。つまり、表示部53は、遊技信号に含まれる抽選処理に対応した表示を行う擬似演出表示装置である。また、読取部51は表示部53と対をなす読取装置となる。
【0039】
また、遊技信号として、予め定めた符号を用いることもできる。大当たり抽選の当否や、抽選結果を表示させるための演出に費やす時間などの情報の組のそれぞれに対応する符号を定めた対応テーブルをメイン基板40に格納しておき、メイン基板40で遊技信号を作成する際にこの符号を抽出させるようにするのである。そして抽出した符号を遊技信号として同じ対応テーブルを格納する演出基板30へ伝達させ、演出基板30において符号に対応した演出を選択し、演出を行うことができる。また、符号に対応した演出のパターンを定めた第2の対応テーブルを演出基板30に格納させておいて、これによって演出を行わせるようにすることもできる。
【0040】
なお、本体ユニット1aは、筐体15の内部で遊技球を循環させて継続的に遊技を行わせることのできる循環式の遊技装置によるものとすることも好ましい。この場合、島設備より遊技球を導く遊技球通路が不要となり、演出ユニット1bの設計の自由度も向上する。
【0041】
上記した演出プログラムの書き換えには、記憶部90に取り付けられた記憶媒体を取り換えることで行ってもよい。つまり、記憶部90に取り付けられた記憶媒体と取り換え可能な他の記憶媒体とで異なる演出用プログラムを保持しておき、記録媒体ごと演出プログラムを取り換えるのである。また、このような異なる演出用プログラムを格納した複数の記録媒体を予め用意しておき、これらのなから選択して交換するようにしてもよい。さらには、このような複数の記録媒体を記憶部90に同時に取り付けられるようにしておき、1つの記録媒体の演出プログラムを選択して使用できるようにすることもできる。
【0042】
ここまで本発明による実施例及びこれに基づく変形例を説明したが、本発明は必ずしもこれらの例に限定されるものではない。また、当業者であれば、本発明の主旨又は添付した特許請求の範囲を逸脱することなく、様々な代替実施例及び改変例を見出すことができるであろう。
【符号の説明】
【0043】
1 遊技システム
1a 本体ユニット
1b 演出ユニット
2 外枠
5 本体枠
10 遊技盤
16 本体装置部
18 演出装置部
30 演出基板
40 メイン基板

図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7