(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2022017747
(43)【公開日】2022-01-26
(54)【発明の名称】暖房機
(51)【国際特許分類】
F24H 3/00 20220101AFI20220119BHJP
H05B 3/20 20060101ALI20220119BHJP
【FI】
F24H3/00 B
H05B3/20
【審査請求】有
【請求項の数】6
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2020120465
(22)【出願日】2020-07-14
(11)【特許番号】
(45)【特許公報発行日】2021-07-21
(71)【出願人】
【識別番号】520310551
【氏名又は名称】株式会社ショウトク
(74)【代理人】
【識別番号】110000707
【氏名又は名称】特許業務法人竹内・市澤国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】田中 信吉
(72)【発明者】
【氏名】眞城 卓
【テーマコード(参考)】
3K034
【Fターム(参考)】
3K034AA02
3K034AA16
3K034BB05
3K034BB06
3K034BB14
3K034GA19
3K034HA02
3K034HA10
3K034JA04
(57)【要約】
【課題】熱効率よく暖めることができ、さらには、室内を急速に暖めることができる暖房機を提供する。
【解決手段】暖房機1は、上下方向に伸びる筒孔状の通気路9bが複数並列する平板状の放熱用パネル9と、放熱用パネル9の両面側に挟み込むように配し、通電により発熱する一対の面状発熱体10と、を備えたことを特徴とし、面状発熱体10としては、ガラスヒータやセラミックヒータを用いることができる。
【選択図】
図2
【特許請求の範囲】
【請求項1】
上下方向に伸びる貫通孔状の通気路が複数並列する平板状の放熱用パネルと、該放熱用パネルの両面側に挟み込むように配し、通電により発熱する一対の面状発熱体と、を備えた暖房機。
【請求項2】
前記面状発熱体をガラスヒータとした請求項1に記載の暖房機。
【請求項3】
前記面状発熱体をセラミックヒータとした請求項1に記載の暖房機。
【請求項4】
前記放熱用パネルと前記面状発熱体とを挟み込んで固定するクリップ状の固定具を備えた請求項1~3のいずれかに記載の暖房機。
【請求項5】
前記放熱用パネルを中空矩形平板状とし、その内部に薄板状のフィン部を略等間隔で配して前記通気路を設けた請求項1~4のいずれかに記載の暖房機。
【請求項6】
前記通気路の幅を25mm以下とした請求項1~5のいずれかに記載の暖房機。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、ガラスヒータ、セラミックヒータなどの面状発熱体を用いた暖房機に関する。
【背景技術】
【0002】
暖房機としては、例えば、灯油を燃焼させて室内を暖める石油ストーブがよく知られている。石油ストーブは火を使うため、転倒した場合に火災を引き起こすおそれがあった。また、子供などが触れた際にやけどする危険もあった。
【0003】
そこで、火を使わずに温水を用いた暖房機が開発されている。
例えば、下記特許文献1には、「熱源部と、この熱源部により加熱され、かつ外面が熱輻射用の放熱面とされている放熱用パネル部と、を備えている、暖房機であって、前記放熱用パネル部は、内部空気が加熱されることによって空気の対流を生じさせる上下開放状の空洞部を形成しており、この空洞部の内壁面に、消臭機能付き塗料層が設けられていることを特徴とする、暖房機」が開示され、この暖房機は、温水により放熱用パネルを温め、室内を暖かくすることができるものである。
【0004】
また、下記特許文献2には、「内部を加熱用媒体が流通する加熱用配管と、この加熱用配管を利用して加熱される放熱部と、を備えている、暖房機であって、前記放熱部は、筒状部材を備えており、前記加熱用配管は、前記筒状部材の外周面または内周面に沿う平面視ループ状または一部切欠きループ状となるように、前記筒状部材の外周または内周に巻き付けられた構成とされていることを特徴とする、暖房機」が開示され、この暖房機は、温水により筒状部材を温め、室内を暖かくすることができるものである。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】特開2019-39629号公報
【特許文献2】特開2019-39628号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
上記特許文献1及び2に記載の暖房機は、温水を用いるため、流れる際に散逸する熱が多く、放熱用パネルを効率よく温めることができず、熱効率がよいというものではなかった。また、この暖房機は空気の対流を生じさせて放熱するだけでなく、放熱用パネルの外側パネルや筒状部材の外側に設けた第一のカバー体からも放熱するものであり、急速に室内を温めることに適するものとはいえなかった。
【0007】
そこで、本発明の目的は、熱効率よく暖めることができ、さらには、室内を急速に暖めることができる暖房機を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0008】
本発明の一形態の暖房機は、上下方向に伸びる貫通孔状の通気路が複数並列する平板状の放熱用パネルと、放熱用パネルの両面側に挟み込むように配し、通電により発熱する一対の面状発熱体と、を備えたことを特徴とする。
この面状発熱体は、例えば、ガラスヒータ又はセラミックヒータとすることができる。
【0009】
上記一形態の暖房機は、放熱用パネルを面状発熱体により両面側から加熱し、放熱用パネルを急速に暖める。放熱用パネルの通気路内の空気は暖められて上昇し、対流し室内を急速に温めることができる。
また、面状発熱体により発した熱が放熱用パネルに効率よく伝達できるため、熱効率の良い暖房機になる。
【0010】
上記一形態の暖房機は、放熱用パネルと面状発熱体とを挟み込んで固定するクリップ状の固定具を備えることが好ましい。
このような固定具を備えることにより、放熱用パネルと面状発熱体とを簡単に固定できるだけでなく、放熱用パネルと面状発熱体とを直接接触させ、熱の損失を防ぐことができる。
【0011】
上記一形態の暖房機は、放熱用パネルを中空矩形平板状とし、その内部に薄板状のフィン部を略等間隔で配して通気路を設けることが好ましい。
このようにすることにより、各通気路を四方から暖めることができ、通気路内の空気を加熱しやすくなる。
【0012】
上記一形態の暖房機は、通気路の幅を25mm以下とすることが好ましい。
このように通気路の間隔を狭くすることにより、通気路内の暖められた空気の流速が早くなり、暖房機の周囲を急速に暖めることができる。
【図面の簡単な説明】
【0013】
【
図1】本発明の一実施形態の暖房機の斜視図である。
【
図2】
図1の暖房機の一部を切断した斜視図である。
【
図3】
図1の暖房機の構成部材である加熱部を示した斜視図である。
【
図5】
図3の加熱部の構成部材である放熱用パネルの上面図である。
【発明を実施するための形態】
【0014】
以下、本発明の一実施形態の暖房機を説明する。但し、本発明は、この実施形態に限定されるものではない。
【0015】
本発明の一実施形態の暖房機1は、
図1又は
図2に示すように、縦長直方体状の本体部2と、本体部2の内部に配した加熱部3とを備える。
暖房機1は、特に限定するものではないが、住居の居間などを暖める家庭用暖房機に適する。
【0016】
本体部2は、
図1に示すように、縦長直方体状をなし、正面部2a、背面部2b、上面部2c、左右の側面部2d、底面部2eを備える。
本体部2は、幅(正面部2aの幅)を奥行(側面部2dの幅)に対して薄くした薄型直方体状にするのが好ましく、特に限定するものではないが、幅を150mm~350mmの範囲内、奥行を400mm~600mmの範囲内、高さを500mm~700mmの範囲内にするのが好ましい。
【0017】
上面部2cには、
図1に示すように、操作部4と、送風口5とを備える。
操作部4は、暖房機1を操作するスイッチや暖房機1の運転状況を知らせるライトなどが配しており、ON/OFF操作や風量調整などをすることができる。
送風口5は、横長長方形状に開口し、内部の加熱部3で加熱された空気を放出することができるようにしてある。送風口5は格子状のメッシュ構造とし、ものや指が入りにくいようにしてある。
【0018】
本体部2の正面部2a及び背面部2bには、
図1に示すように、上面部2c寄りに、横長長方形状に凹ませた持ち手部6が設けてあり、持ち手部6に指を掛けて暖房機1の持ち運びがしやすいようにしてある。
【0019】
本体部2の底面部2eには、
図1又は
図2に示すように、脚部7と、吸込口8とを備える。
脚部7は、底面部2eの各隅部から斜め外側に棒状に突き出す支持部7aを設け、各支持部7aの先端部にキャスター7bを固定し、本体部2を移動しやすいようにしてある。
吸込口8は、横長長方形状に開口し、内部に空気を取り込めるようにしてある。吸込口8は格子状のメッシュ構造とし、ものや指が入りにくいようにしてある。
【0020】
本実施形態では、本体部2を縦長直方体状にしてあるが、これに限定されるものではなく、様々なデザインを採用することができる。
【0021】
加熱部3は、
図2又は
図3に示すように、本体部2の内部の中心付近に配してあり、放熱用パネル9と、面状発熱体10と、固定具11とを備える。
放熱用パネル9は、
図3又は
図4に示すように、上下方向に貫通する中空の縦長矩形平板状としてあり、
図5に示すように、内部に略等間隔で薄板状のフィン部9aを並行状に配し、複数の通気路9bを形成してある。
通気路9bは、上下方向に伸びる貫通孔状に形成し、一列状に並列させてある。通気路9bは、特に限定するものではないが、断面を矩形状にするのが好ましく、特に細長長方形状にするのが好ましい。また、通気路9bの幅を狭くするのが好ましく、特に限定するものではないが、25mm以下、特に10mm以下、さらに5mm以下にするのが好ましい。
【0022】
放熱用パネル9の両面の平面部9cは、
図3又は
図4に示すように、面状発熱体10を重ね合わせることができるようにしてある。また、放熱用パネル9の両側の側端面部9dには、リップ溝状の固定溝9eが上下方向に形成してあり、固定具11が嵌合して固定できるようにしてある。
【0023】
放熱用パネル9は、熱伝導率のよい材質から形成するのが好ましく、特に限定するものではないが、銅、アルミニウム、アルミニウム合金などの金属から形成するのが好ましく、アルミニウム又はアルミニウム合金を押出成形して一体的に形成するのが好ましい。
【0024】
面状発熱体10は、平板状で通電することにより全面的に発熱するものであり、例えば、ガラスヒータ、セラミックヒータ、グラフトカーボンヒータ(グラフトカーボンは登録商標)などを用いることができる。セラミックヒータとしては、より具体的には、アルミナ系セラミックヒータ、窒化珪素系セラミックヒータなどを挙げることができる。
【0025】
面状発熱体10は、本実施形態では矩形平板状の発熱部に導線(図示せず)を配した構成としてあり、発熱部を放熱用パネル9の平面部9cと略同じ面積や一回り小さい面積として重ね、一対の放熱用パネル9を両面側から挟み込んで固定するようにしてある。
面状発熱体10と放熱用パネル9との間には何も介さずに、直接接触させて固定するのが熱伝導効率の観点から好ましい。
【0026】
固定具11は、
図3又は
図4に示すように、長方形板材の両長手縁部を折り曲げた断面コの字状のピース材としてあり、本実施形態では、二対を用いて放熱用パネル9及び面状発熱体10を挟み込んで固定するようにしてある。
【0027】
固定具11の左右縁部には、二対の挟持片部11aが設けてあり、その先端部付近に向かい合うように半球状に膨らむ突部11bを設け、突部11b間の間隔を放熱用パネル9及び一対の面状発熱体10の厚みの合計よりも小さくし、弾性力により放熱用パネル9及び面状発熱体10を挟み込んで固定できるようにしてある。
【0028】
固定具11の上下端部の中間付近には、鎌首状突部とした固定片部11cを設け、放熱用パネル9の固定溝9eに嵌まり込み固定具11が脱落しにくいようにしてある。
【0029】
加熱部3を組み立てるには、まず、放熱用パネル9の両方の平面部9cに面状発熱体10を重ね合わせる。放熱用パネル9の平面部9cの上下端部付近に、円盤状の位置決めピン9fを設けておくと面状発熱体10の位置決めがしやすくなる。そして、放熱用パネル9の両方の平面部9cに面状発熱体10を重ねた状態で、側端面部9d側から固体具11を押し込むと挟持片部11aが撓みながら拡がり、放熱用パネル9及び面状発熱体10を挟み込み、弾性力によりこれらを重ね合わせた状態で固定することができる。その際、固定片部11cが固定溝部9eに嵌まり、固定具11が脱落しにくいようになる。
【0030】
本体部2の加熱部3の上方には、
図2に示すように、案内部12を設けることができる。
案内部12は、一対の板材を用いて上方が拡がるテーパ状に配し、放熱用パネル9の通気路9bから放熱された温風を送風口5に案内することができる。
【0031】
暖房機1は、例えば、以下のように作動させることができる。
暖房機1のON/OFFスイッチをONにして始動させる。それにより、面状発熱体10に通電され、面状発熱体10の温度が上がり始める。面状発熱体10は放熱用パネル9に直接に重ね合わせてあるため、面状発熱体10の熱は放熱用パネル9に伝導される。放熱用パネル9の全体、つまりフィン部9a、平面部9c及び側端面部9dの温度が上がり、通気路9b内の空気が暖められる。暖められた空気は、通気路9b内を上昇し、放熱用パネル9上部の開口部から放出され、案内部12を経て送風口5から送り出される。この際、煙突効果により、底面部2eの吸込口8から空気が吸入され、放熱用パネル9下部の開口部から通気路9bを流れ、順次暖められて、上部の開口部から送り出され送風口5から放出される。このように空気が循環して、暖房機1の周囲を暖めることができる。
【0032】
暖房機1は、火を使用せず安全であるととともに、放熱用パネル9の両方の平面部9cに設けた一対の面状発熱体10により発した熱が放熱用パネル9に効率よく伝達し、空気を暖めることができ、熱効率の良いものである。
また、通気路9bの幅を狭くすれば、通気路9b内の暖められた空気の流速が早くなり、暖房機1の周囲を急速に暖めることができる。
【0033】
クリップ状の固定具11を用いれば、放熱用パネル9と面状発熱体10とを簡単に固定できるだけでなく、放熱用パネル9と面状発熱体10とを直接接触させることができ、熱の損失を防ぎ、熱効率を高めることができる。
【符号の説明】
【0034】
1…暖房機
2…本体部
2a…正面部
2b…背面部
2c…上面部
2d…側面部
2e…底面部
3…加熱部
4…操作部
5…送風口
6…持ち手部
7…脚部
7a…支持部
7b…キャスター
8…吸込口
9…放熱用パネル
9a…フィン部
9b…通気路
9c…平面部
9d…側端面部
9e…固定溝部
9f…位置決めピン
10…面状発熱体
11…固定具
11a…挟持片部
11b…突部
11c…固定片部
12…案内部
【手続補正書】
【提出日】2021-06-03
【手続補正1】
【補正対象書類名】特許請求の範囲
【補正対象項目名】全文
【補正方法】変更
【補正の内容】
【特許請求の範囲】
【請求項1】
対面する平面部の間に架け渡すように配した複数のフィン部を備え、該フィン部間の上下方向に伸びる貫通孔状の通気路が並列する平板状の放熱用パネルと、該放熱用パネルの各平面部にそれぞれを接触させて挟み込むように配し、通電により発熱する一対の面状発熱体と、を備えた暖房機。
【請求項2】
前記面状発熱体をガラスヒータとした請求項1に記載の暖房機。
【請求項3】
前記面状発熱体をセラミックヒータとした請求項1に記載の暖房機。
【請求項4】
前記放熱用パネルと前記面状発熱体とを挟み込んで弾性力により固定するクリップ状の固定具を備えた請求項1~3のいずれかに記載の暖房機。
【請求項5】
前記フィン部を略等間隔で配して前記通気路を設けた請求項1~4のいずれかに記載の暖房機。
【請求項6】
前記通気路の幅を25mm以下とした請求項1~5のいずれかに記載の暖房機。
【手続補正2】
【補正対象書類名】明細書
【補正対象項目名】0008
【補正方法】変更
【補正の内容】
【0008】
本発明の一形態の暖房機は、対面する平面部の間に架け渡すように配した複数のフィン部を備え、該フィン部間の上下方向に伸びる貫通孔状の通気路が並列する平板状の放熱用パネルと、該放熱用パネルの各平面部にそれぞれを接触させて挟み込むように配し、通電により発熱する一対の面状発熱体と、を備えたことを特徴とする。
この面状発熱体は、例えば、ガラスヒータ又はセラミックヒータとすることができる。
【手続補正3】
【補正対象書類名】明細書
【補正対象項目名】0010
【補正方法】変更
【補正の内容】
【0010】
上記一形態の暖房機は、放熱用パネルと面状発熱体とを挟み込んで弾性力により固定するクリップ状の固定具を備えることが好ましい。
このような固定具を備えることにより、放熱用パネルと面状発熱体とを簡単に固定できるだけでなく、放熱用パネルと面状発熱体とを直接接触させ、熱の損失を防ぐことができる。
【手続補正4】
【補正対象書類名】明細書
【補正対象項目名】0011
【補正方法】変更
【補正の内容】
【0011】
上記一形態の暖房機は、フィン部を略等間隔で配して通気路を設けることが好ましい。
このようにすることにより、各通気路を四方から暖めることができ、通気路内の空気を加熱しやすくなる。