IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

知財求人 - 知財ポータルサイト「IP Force」

▶ リンナイ株式会社の特許一覧

<>
  • 特開-燃焼熱源機 図1
  • 特開-燃焼熱源機 図2
  • 特開-燃焼熱源機 図3
  • 特開-燃焼熱源機 図4
< >
(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2022177471
(43)【公開日】2022-12-01
(54)【発明の名称】燃焼熱源機
(51)【国際特許分類】
   F24H 9/00 20220101AFI20221124BHJP
   F24H 1/14 20220101ALI20221124BHJP
【FI】
F24H9/00 A
F24H1/14 B
【審査請求】未請求
【請求項の数】3
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2021083744
(22)【出願日】2021-05-18
(71)【出願人】
【識別番号】000115854
【氏名又は名称】リンナイ株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100111257
【弁理士】
【氏名又は名称】宮崎 栄二
(74)【代理人】
【識別番号】100110504
【弁理士】
【氏名又は名称】原田 智裕
(72)【発明者】
【氏名】今井 誠士
(72)【発明者】
【氏名】益子 勇輝
【テーマコード(参考)】
3L034
3L036
【Fターム(参考)】
3L034BA25
3L034BB03
3L036AA06
(57)【要約】
【課題】単段熱交換器を用いる場合に缶体の温度上昇を抑制し且つ熱効率の向上を図ることの両立を可能とする燃焼熱源機を提供する。
【解決手段】燃焼熱源機1は、給水管6から低温の流体が流入しバーナ部2の燃焼排気から吸熱して低温の流体を高温の流体に加熱し出湯管7に流出する熱交換器3、熱交換器3を収容する缶体33を備える。熱交換器3は、給水管6及び出湯管7が接続される伝熱管32を複数の伝熱フィン31に貫通させて蛇行状に配設し且つ単段に配設する単段熱交換器3である。単段熱交換器3における伝熱管32の並び方向に位置する流体の入口側及び出口側の缶体内壁面33a,33bに、ファン11により送風される空気のうちバーナ部2周辺を通過した短絡空気を流すとともに、出口側における最端の伝熱管32bと缶体内壁面33bとの距離L1を入口側における最端の伝熱管32aと缶体内壁面33aとの距離L2よりも大きくする。
【選択図】図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
燃料を燃焼させて燃焼排気を生成するバーナ部と、
前記バーナ部に空気を送るファンと、
低温の流体が流入する給水管と、
前記給水管から低温の流体が流入し前記バーナ部の燃焼排気から吸熱して前記低温の流体を加熱して高温の流体とする熱交換器と、
前記熱交換器を収容する缶体と、
前記高温の流体を出湯する出湯管とを備え、
前記熱交換器は、前記給水管および前記出湯管が接続される伝熱管を複数の伝熱フィンに貫通させて蛇行状に配設し、且つ、単段に配設する単段熱交換器であり、
前記単段熱交換器における伝熱管の並び方向に位置する流体の入口側および出口側の缶体内壁面に、前記ファンにより送風される空気のうち前記バーナ部周辺を通過した短絡空気を流すとともに、前記出口側における最端の伝熱管と缶体内壁面との距離を前記入口側における最端の伝熱管と缶体内壁面との距離よりも大きくする燃焼熱源機。
【請求項2】
前記単段熱交換器における出湯側の伝熱フィンの側端部は缶体内壁面と非接触とし、給水側の伝熱フィンの側端部は缶体内壁面に接触させる請求項1に記載の燃焼熱源機。
【請求項3】
前記ファンは、シロッコファンであり、
前記シロッコファンは、空気吐出口において空気の吹出し方向と交差するファン回転軸直交方向におけるファン回転軸よりも遠い側が、前記単段熱交換器の出湯側寄りの位置になるように設けられている請求項1または2に記載の燃焼熱源機。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、単段熱交換器を備える燃焼熱源機に関する。
【背景技術】
【0002】
燃焼熱源機として、例えば、給湯装置は、バーナ部で生成した燃焼排気から吸熱して水を加熱する熱交換器を備えている。熱交換器は、給水管および出湯管を接続する伝熱管と、伝熱管を貫通させ蛇行状に配設する複数枚の伝熱フィンとを有するものがある。この熱交換器として、燃焼排気の流れ方向に伝熱管を上下方向に複数段に配設する複数段熱交換器以外に、熱交換器の上下方向の小型化を図るために伝熱管を単段に配設する単段熱交換器が知られている(特許文献1、2等)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2015-64143号公報
【特許文献2】特開2013-11409号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
ところで、単段熱交換器では、伝熱管内を流れる流体は、複数段熱交換器のように給水側と出湯側との間を往復することなく、給水側から出湯側へ一方向に流れるため、複数段熱交換器に比べ、出湯側の温度は高い状態にあり、給水側の温度は低い状態にある。この場合、出湯側では、伝熱フィンの側端部近傍から缶体内壁面への伝熱が大きくなる傾向となる。そのため、缶体が過熱されて缶体温度が高温になり易く、また、伝熱フィンから多くの熱が缶体に奪われて熱交換器の熱効率の向上を妨げるおそれがあった。
【0005】
本発明は、以上の事情に鑑みてなされたものであり、単段熱交換器を用いる場合、缶体の温度上昇を抑制し、且つ、熱効率の向上を図ることの両立を可能とする燃焼熱源機を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明に係る燃焼熱源機は、
燃料を燃焼させて燃焼排気を生成するバーナ部と、
前記バーナ部に空気を送るファンと、
低温の流体が流入する給水管と、
前記給水管から低温の流体が流入し前記バーナ部の燃焼排気から吸熱して前記低温の流体を加熱して高温の流体とする熱交換器と、
前記熱交換器を収容する缶体と、
前記高温の流体を出湯する出湯管とを備え、
前記熱交換器は、前記給水管および前記出湯管が接続される伝熱管を複数の伝熱フィンに貫通させて蛇行状に配設し、且つ、単段に配設する単段熱交換器であり、
前記単段熱交換器における伝熱管の並び方向に位置する流体の入口側および出口側の缶体内壁面に、前記ファンにより送風される空気のうち前記バーナ部周辺を通過した短絡空気を流すとともに、前記出口側における最端の伝熱管と缶体内壁面との距離を前記入口側における最端の伝熱管と缶体内壁面との距離よりも大きくするものである。
【0007】
前記構成によれば、前記缶体内壁面に短絡空気を流すことで、低温の短絡空気によって缶体の温度を低下させることができる。
【0008】
また、単段熱交換器では、伝熱管内を流れる流体は、複数段熱交換器のように給水側と出湯側との間を往復することなく、給水側から出湯側へ一方向に流れるため、複数段熱交換器に比べ、出湯側の温度は高い状態にあるが、給水側の温度は低い状態にある。従って、給水側である流体の入口側は、給水管からの給水の吸熱効果により缶体温度の上昇を抑制できる。
【0009】
一方、出湯側である流体の出口側は、最端の伝熱管と缶体内壁面との距離を入口側における最端の伝熱管と缶体内壁面との距離よりも大きくする。これにより、短絡空気量は出口側の方が入口側よりも多くなり、この短絡空気によって缶体内壁温度の上昇を抑制できる。また、最端の伝熱管等の熱が缶体内壁に伝わることも抑制され、缶体温度の上昇を低減させることができる。また、前記出口側を流れる短絡空気が缶体内壁面に沿って流れ易くなり、短絡空気による伝熱フィンの側端部近傍での温度低下が抑制され、熱効率の向上を図ることができる。
【0010】
このように、単段熱交換器における給水側(入口側)と出湯側(出口側)の缶体内壁の温度について、給水側は主に給水管からの給水によって冷却され、出湯側は主に短絡空気によって冷却される。従って、単段熱交換器の場合、複数段熱交換器と比べ、出湯側の缶体温度が上昇しやすい傾向にあっても、缶体の温度上昇が抑制され、且つ、伝熱フィンの側端部近傍での温度低下の抑制により熱効率の向上を図ることができる。よって、単段熱交換器を用いる燃焼熱源機において、缶体の温度低減と、熱効率の向上とを両立させることが可能となる。
【0011】
前記単段熱交換器における出湯側の伝熱フィンの側端部は缶体内壁面と非接触とし、給水側の伝熱フィンの側端部は缶体内壁面に接触させることが望ましい。
これにより、前記給水側では、伝熱フィンの側端部を缶体内壁面に接触させることで、給水管からの給水の吸熱による缶体内壁面の冷却効果を高めることができる。一方、前記出湯側では、伝熱フィンの側端部を缶体内壁面と非接触とすることで、伝熱フィンから缶体への伝熱を遮断し、且つ、伝熱フィンの側端部による短絡空気流への流動抵抗が減少するため、出湯側での短絡空気量が一層増大し、また、短絡空気を円滑に流動させることができる。従って、短絡空気による出湯側での缶体内壁面の冷却効果を高めることができる。また、出湯側では、伝熱フィンの側端部近傍を流動する短絡空気を低減でき、伝熱フィンの側端部近傍での温度低下が抑制され、熱効率の向上を図ることができる。よって、缶体の温度低減と、熱効率の向上とをより確実に両立させることが可能となる。
【0012】
前記ファンは、シロッコファンであり、
前記シロッコファンは、空気吐出口において空気の吹出し方向と交差するファン回転軸直交方向におけるファン回転軸よりも遠い側が、前記単段熱交換器の出湯側寄りの位置になるように設けられていることが望ましい。
シロッコファンでは、空気吐出口から吹き出される空気量は、空気の吹出し方向と交差するファン回転軸直交方向におけるファン回転軸から遠い側が、ファン回転軸に近い側よりも多い傾向となる。従って、前記構成によれば、単段熱交換器での出湯側の風速は、給水側よりも大きくなり、ファンの構成で給水側の短絡空気量を少なくし、出湯側の短絡空気量を多くすることが可能となる。よって、短絡空気による単段熱交換器の出湯側での缶体内壁面の冷却効果を容易に高めることができる。
【図面の簡単な説明】
【0013】
図1】実施形態による給湯装置(燃焼熱源機)の構成を示す模式図である。
図2】実施形態による給湯装置(燃焼熱源機)に備える単段熱交換器の部分を示す斜視図である。
図3】単段熱交換器および缶体を示す平面図である。
図4】その他の形態としての単段熱交換器および缶体を示す平面図である。
【発明を実施するための形態】
【0014】
以下に、本発明の実施形態について添付図面を参照しながら説明する。
実施形態の燃焼熱源機は、単段熱交換器3を備える給湯装置1である。図1に示すように、給湯装置1は、外装ケーシング10内に、ファン11と、バーナ部2と、一次熱交換器(単段熱交換器3)と、二次熱交換器12とが下から上へと順に配設されている。
【0015】
ファン11は、回転作動してバーナ部2に空気を供給する。バーナ部2には、燃料ガスを供給するガス供給管4が接続されている。バーナ部2は、ファン11により供給される燃焼用空気(一次空気)と燃料ガスとを混合した混合ガスを燃焼させて燃焼排気(図1中、黒色太矢印)を生成する。このバーナ部2は、矩形状のバーナケース21内に収容されている。バーナ部2周辺とバーナケース21との間には、空隙22が設けられている。従って、ファン11によりバーナ部2側に供給される空気は、バーナ部2に向かう燃焼用空気と、バーナ部2周辺に向かってバーナ部2とバーナケース21との間の空隙22を通り抜ける短絡空気(図1中、白色矢印)とに分かれる。短絡空気は、一部がバーナ部2の燃焼面に流れて燃焼の二次空気にもなるが、バーナケース21の内壁面に沿って一次熱交換器3側に流れて行く。
【0016】
一次熱交換器3は、フィンチューブ式の単段熱交換器3である。図2にも示すように、この単段熱交換器3は、複数の板状の伝熱フィン31と、伝熱フィン31を貫通させて蛇行状に配設する伝熱管32とを備える。伝熱管32は、横方向に複数本並べて配列され、上下方向には単段(一段)に配設されている。この単段熱交換器3は、矩形状の缶体33内に収容されている。缶体33は、上端部と下端部とが開放され、下端部の開口部にはバーナケース21の上端開口部と接続されており、バーナ部2の燃焼排気および短絡空気が流入される。缶体33の上端部の開口部には、排気フード14が接続されている。
【0017】
二次熱交換器12は、排気フード14の上部に配設されている。二次熱交換器12は、二次側伝熱管12aを蛇行状に配設して、この二次側伝熱管12aが上下方向に複数段に配設されている。二次熱交換器12は、前壁と後壁とに開口部13a,13bを設けた矩形状の筐体13内に収容されている。筐体13の後壁の開口部13bは、排気フード14によって缶体33の上端部の開口部と連通されており、単段熱交換器3を通過した燃焼排気が後壁の開口部13bから二次熱交換器12に供給される。筐体13の前壁の開口部13aは、排気筒15が接続された排気フード14の前面開口部と対向し、二次熱交換器12を通過した燃焼排気は、排気筒15から装置1外に排出される。
【0018】
二次熱交換器12は、二次側伝熱管12aの上流側端部に上水道等に接続する第1給水管5が接続され、二次側伝熱管12aの下流側端部に第2給水管6が接続されている。第2給水管6の下流側端部は、単段熱交換器3の伝熱管32の上流側端部に接続されている。単段熱交換器3の伝熱管32の下流側端部は、出湯管7に接続されている。給湯装置1が運転されると、ファン11を作動させると共にバーナ部2を燃焼させて、第1給水管5から二次熱交換器12の二次側伝熱管12a内に流入された水が燃焼排気により加熱されて低温水として第2給水管6から単段熱交換器3の伝熱管32内に供給される。単段熱交換器3では、第2給水管6から伝熱管32内に流入された低温水が燃焼排気により加熱されて高温水として出湯管7に流出され、シャワーやカラン等の給湯端末に湯が供給される。なお、本発明の燃焼熱源機では、水の代わりに他の流体を加熱するものでもよい。
【0019】
次に、単段熱交換器3の配設部における構造について説明する。
本実施形態は、単段熱交換器3の配設部では、ファン11により送風される空気のうち、バーナ部2の燃焼排気(図1中、黒色太矢印)は、伝熱フィン31および伝熱管32を配設する缶体33中央部を流れ、バーナ部2周辺を通過した短絡空気(図1中、白色太矢印)は、バーナケース21の内壁面に沿って缶体33内に流れ込み、この缶体33内に流れ込んだ短絡空気は、伝熱管32の並び方向に位置する水の入口側および出口側の缶体内壁面33a,33bに沿って流れる構成としている(図1参照)。すなわち、短絡空気が、伝熱フィン31の両側の側端部31a,31bと対向する缶体内壁面33a,33bに沿って流れるように缶体33とバーナケース21との位置関係、形状、大きさ等が設定されている。本実施形態では、缶体33とバーナケース21とは、同形の矩形状とされ、大きさも略同径に形成されて接続されているが、バーナケース21の方を大径にした構成であってもよい。このように、短絡空気を缶体内壁面33a,33bに沿って流すことで、低温の短絡空気によって缶体壁面33a,33bの温度を低下させることができる。
【0020】
単段熱交換器3の配設部では、図1および図3に示すように、出口側における最下流位置の伝熱管32bとこの最下流位置の伝熱管32bが近接する缶体内壁面33bとの距離L1は、入口側における最上流位置の伝熱管32aとこの最上流位置の伝熱管32aが近接する缶体内壁面33aとの距離L2よりも大きく設定されている(L1>L2)。本実施形態では、伝熱フィン31の両側に延在する側端部31a,31bの張り出し長さを短く形成し、単段熱交換器3を全体的に缶体33の入口側へ寄せて配置したレイアウトとすることで、出口側の前記距離L1が入口側の前記距離L2よりも大きくなるように構成している。これにより、入口側では、最上流位置の伝熱管32aとこの伝熱管32aが隣り合う缶体内壁面33aとが近づき、出口側では、最下流位置の伝熱管32bとこの伝熱管32bが隣り合う缶体内壁面33bとが遠のくこととなる。
【0021】
単段熱交換器3では、伝熱管32内を流れる水は、複数段熱交換器のように給水側と出湯側との間を往復することなく、給水側から出湯側へ一方向に流れるため、複数段熱交換器に比べ、出湯側の温度は高い状態にあり、給水側の温度は低い状態にある。従って、給水側である水の入口側は、最上流位置の伝熱管32aが缶体内壁面33aに対してより接近することで、第2給水管6からの低温水の吸熱効果により缶体33の温度上昇を抑制できる。
【0022】
一方、出湯側である水の出口側は、最下流位置の伝熱管32bが缶体内壁面33bからより離れることで、この出口側に流れる短絡空気量は、入口側での短絡空気量よりも多くなり、この増大した短絡空気によって缶体内壁面33bの温度上昇を抑制できる。また、最下流位置の伝熱管32bを配置する伝熱フィン31の側端部31b近傍の熱が缶体内壁面33bに伝わることも抑制され、缶体33の温度上昇を低減させることができる。また、出口側を流れる短絡空気が缶体内壁面33bに沿って流れ易くなり、短絡空気による伝熱フィン31の側端部31b近傍での温度低下が抑制され、その結果、熱効率の向上を図ることができる。
【0023】
また、本実施形態では、図3にも示すように、伝熱フィン31における出湯側の側端部31bは、缶体内壁面33bと非接触とし、伝熱フィン31における給水側の側端部31aは、缶体内壁面33aと接触させている。従って、給水側では、伝熱フィン31の側端部31aを缶体内壁面33aに接触させることで、第2給水管6からの低温水による吸熱によって缶体内壁面33aの冷却効果を高めることができる。
【0024】
一方、出湯側では、伝熱フィン31の側端部31bを缶体内壁面33bと非接触とし、伝熱フィン31の側端部31bと缶体内壁面33bとの間に隙間sが設けられている。これにより、伝熱フィン31から缶体33への伝熱が空気によって遮断される。また、出湯側での短絡空気は、隙間sによって伝熱フィン31の側端部31bとの接触が抑制されて流動抵抗が減少するため、出湯側での短絡空気量が一層増大し、且つ、短絡空気を円滑に流動させることができる。従って、出湯側では、短絡空気による缶体内壁面33bの冷却効果を高めることができる。また、出湯側では、伝熱フィン31の側端部31bが缶体内壁面33bに沿って流れる短絡空気層から離れるため、伝熱フィン31の側端部31b近傍での短絡空気による温度低下が抑制され、熱効率の向上を図ることができる。
【0025】
ファン11は、図1に示すように、シロッコファンにより構成され、筒状の回転翼11aと、回転翼11aを収容するファンケース11bと、回転翼11aのファン回転軸11cに接続するファンモータ(不図示)とを備えている。ファンケース11bには、ファン回転軸11cの軸方向の一面側に空気吸入口11dが設けられ、ファン回転軸11cの直交方向の外周面に空気吐出口11eが設けられ、この空気吐出口11eがバーナケース21の底面に接続されている。空気吐出口11eは、回転翼11aのファン回転方向が向かう先のファンケース11bの外周面に突出して形成されて空気が吹き出される。本実施形態では、シロッコファンで構成したファン11は、空気吐出口11eにおいて空気の吹出し方向と直交するファン回転軸直交方向におけるファン回転軸11cよりも遠い側(ファン回転の外周側)が、単段熱交換器3の出湯側寄りの位置に対応するようにバーナケース21の底面に取り付けられている。図1の図示では、ファン回転方向が時計回りの方向であり、空気吐出口11eは、ファン回転方向が上に向かう先のファンケース11bの上側の外周面においてファン回転軸11cの左側(図1中、十字の方向指示では後側)寄りの位置に設けられ、バーナケース21の底面における左側の位置に接続されている。すなわち、ファン11の空気吐出口11eが単段熱交換器3の出湯側の位置に対応するようにバーナケース21の底面に取り付けられている。シロッコファンでは、空気吐出口11eから吹き出される空気量は、空気の吹出し方向と直交するファン回転軸直交方向におけるファン回転軸11cから遠い側が、ファン回転軸11cに近い側よりも多い傾向となる。従って、本実施形態のファン11の構成によれば、単段熱交換器3での出湯側の風速は、給水側よりも大きくなり、ファン11の配置構成によって給水側の短絡空気量を少なくし、出湯側の短絡空気量を多くすることが可能となる。よって、短絡空気による単段熱交換器3の出湯側での缶体内壁面33bの冷却効果を容易に且つ確実に高めることができる。
【0026】
以上より、本実施形態によれば、単段熱交換器3の場合、複数段熱交換器と比べ、出湯側の缶体33の温度が上昇しやすい傾向にあっても、入口側および出口側の両側とも缶体内壁面33a,33bの温度上昇が低減され、缶体33全体の温度上昇を抑制できる。さらには、出湯側における伝熱フィン31の側端部31b近傍での温度低下が抑制され、高い温度状態に良好に維持でき、熱効率の向上を図ることができる。よって、単段熱交換器3を用いる燃焼熱源機において、缶体33の温度低減と、熱効率の向上とを両立させることが可能となる。
【0027】
(その他の形態)
図4に示すように、前記実施形態において、単段熱交換器3の配設部では、出口側における最下流位置の伝熱管32bとこの最下流位置の伝熱管32bが近接する缶体内壁面33bとの距離L1を大きく設定したものにあって、出湯側の伝熱フィン31の側端部31bを略直角に折り曲げて折り曲げ部34を形成する。この折り曲げ部34によって、伝熱フィン31の側端部31bと缶体内壁面33bとの間に燃焼排気流と短絡空気流とを分離する仕切り構造を形成することができる。
【0028】
これにより、缶体内壁面33bに沿って流れる短絡空気の風路と、缶体33中央の伝熱フィン31に向かって流れる燃焼排気の風路とを明確に区分けすることができる。従って、積極的に短絡空気を缶体33側に流すとともに、伝熱フィン31の側端部31b近傍を流れる燃焼排気と短絡空気とが混ざり合うことを防止できる。この場合、折り曲げ部34には、燃焼排気を攪拌させるためのスリット等を設けず、プレーンの平坦な表面形状とすることが好ましく、これにより、燃焼排気が攪拌されて短絡空気との混合が誘発されないようにすることができる。よって、燃焼排気による伝熱フィン31の温度分布は、出湯側における伝熱フィン31の側端部31bまで高く維持することができ、且つ、缶体33の温度を低く維持することができる。その結果、缶体33の温度低減と、熱効率の向上とを確実に両立させることができる。
【0029】
なお、本発明は、前記実施形態に限定されるものではなく、特許請求の範囲の記載内で様々な変更を行うことが可能である。
例えば、実施形態の給湯装置は、熱交換器として、二次熱交換器を備えるが、二次熱交換器を備えず単段熱交換器3だけを備えるものでもよい。
また、本発明に係る燃焼熱源機は、給湯装置に限らず、ふろ給湯器、給湯暖房機、ボイラー等の様々な燃焼熱源機に適用することができる。
【符号の説明】
【0030】
1 給湯装置(燃焼熱源機)
2 バーナ部
3 単段熱交換器(一次熱交換器)
4 ガス供給管
5 第1給水管
6 第2給水管
7 出湯管
10 外装ケーシング
11 ファン
12 二次熱交換器
12a 二次側伝熱管
13 筐体
13a 前壁の開口部
13b 後壁の開口部
14 排気フード
15 排気筒
21 バーナケース
22 空隙
31 伝熱フィン
31a 給水側の側端部
31b 出湯側の側端部
32 伝熱管
32a 最上流位置の伝熱管
32b 最下流位置の伝熱管
33 缶体
33a 入口側の缶体内壁面
33b 出口側の缶体内壁面
34 折り曲げ部
L1 出口側での距離
L2 入口側での距離
s 隙間
図1
図2
図3
図4