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  • 特開-アクセス抑制具 図1
  • 特開-アクセス抑制具 図2
  • 特開-アクセス抑制具 図3
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2022177472
(43)【公開日】2022-12-01
(54)【発明の名称】アクセス抑制具
(51)【国際特許分類】
   A61F 5/37 20060101AFI20221124BHJP
   A61G 7/05 20060101ALN20221124BHJP
【FI】
A61F5/37 Z
A61G7/05
【審査請求】未請求
【請求項の数】4
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2021083745
(22)【出願日】2021-05-18
(71)【出願人】
【識別番号】598041566
【氏名又は名称】学校法人北里研究所
(74)【代理人】
【識別番号】100106909
【弁理士】
【氏名又は名称】棚井 澄雄
(74)【代理人】
【識別番号】100188558
【弁理士】
【氏名又は名称】飯田 雅人
(72)【発明者】
【氏名】小池 朋孝
【テーマコード(参考)】
4C040
4C098
【Fターム(参考)】
4C040GG04
4C098AA08
4C098FF07
(57)【要約】
【課題】ルート類の抜去や変位を抑制しつつ、患者にストレスを与えにくいアクセス抑制具を提供する。
【解決手段】アクセス抑制具1は、装着者である患者Ptの左手Lhが患者Ptの体幹Btに接触することを防止する第一壁部10と、患者Ptの右手Rhが患者Ptの体幹Btに接触することを防止する第二壁部20とを備える。
【選択図】図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
装着者の左手が前記装着者の体幹に接触することを防止する第一壁部と、
装着者の右手が前記装着者の体幹に接触することを防止する第二壁部と、
を備える、
アクセス抑制具。
【請求項2】
前記第一壁部および前記第二壁部は、
前記右手または左手と前記体幹との間に配置される一号壁と、
前記右手または左手と前記装着者の頭部との間に配置される二号壁と、を有する、
請求項1に記載のアクセス抑制具。
【請求項3】
前記第一壁部および前記第二壁部の少なくとも一方が透明性を有する、
請求項1に記載のアクセス抑制具。
【請求項4】
前記装着者が上体を起こした状態において前記アクセス抑制具の装着状態を保持する保持部をさらに備える、
請求項1に記載のアクセス抑制具。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、アクセス抑制具に関する。
【背景技術】
【0002】
集中治療室では、人工呼吸器などの生命の維持に直結する医療機器を装着することが多い。また、輸液、投薬のためのカテーテル、経管栄養チューブ、動脈ラインなど様々なもの(以下、「ルート類」と呼ぶ。)が体内に挿入され、全身状態の維持改善のための管理がなされる。
【0003】
これらのルート類は、故意であれ過失であれ、抜去や変位の可能性があり、出血や組織の損傷、挫傷を引き起こし生命に関わる事故になる場合もある。したがって、集中治療室における患者管理はルート類の抜去、変位がないようにする事が大前提となる。
【0004】
特許文献1には、連結部材を介してシーツの表面に腕帯を取付けた構成を備える介護用身体拘束具が記載されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】実用新案登録第3125322号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
特許文献1の身体拘束具は、集中治療室における患者管理にも適用可能である。しかし、この身体拘束具を使用すると、患者は腕をベッドから上げられなくなるため、心身の両面でストレスを受ける。
【0007】
上記事情を踏まえ、本発明は、ルート類の抜去や変位を抑制しつつ、患者にストレスを与えにくいアクセス抑制具を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0008】
本発明は、装着者の左手が装着者の体幹に接触することを防止する第一壁部と、装着者の右手が装着者の体幹に接触することを防止する第二壁部とを備えるアクセス抑制具である。
【発明の効果】
【0009】
本発明のアクセス抑制具は、ルート類の抜去や変位を抑制しつつ、患者にストレスを与えにくい。
【図面の簡単な説明】
【0010】
図1】本発明の第一実施形態に係るアクセス抑制具を適用した患者を示す図である。
図2】同患者を側方から見た状態を示す図である。
図3】本発明の第二実施形態に係るアクセス抑制具を適用した患者を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0011】
本発明の第一実施形態について、図1および図2を参照して説明する。
図1は、本実施形態に係るアクセス抑制具1を適用した患者Ptを示す図である。図1において、患者Ptは仰臥位でベッドに横たわっており、患者Ptの上方からアクセス抑制具1がベッド上に置かれている。
【0012】
アクセス抑制具1は、装着者である患者Ptの左手Lhが患者Ptの体幹Btに接触することを防止する第一壁部10と、患者Ptの右手Rhが患者Ptの体幹に接触することを防止する第二壁部20とを備えている。
【0013】
第一壁部10は、左手Lhと体幹Btとの間に配置される一号壁11と、左手Lhと患者の頭部Hdとの間に配置される二号壁12とを有する。第二壁部20も同様に、右手Rhと体幹Btとの間に配置される一号壁21と、右手Rhと頭部Hdとの間に配置される二号壁22とを有する。
【0014】
本実施形態において、第一壁部10および第二壁部20は、透明な合成樹脂で形成された板状の部材であり、ベッドの上面に対して略垂直に立ち上がるように配置される。第一壁部10の一号壁11と第二壁部20の一号壁21とは、ステー30で接続されており、倒れずに略垂直に立ち上がった状態を保持できる。
【0015】
図2は、アクセス抑制具1および患者Ptを側方から見た状態を示す図である。第一壁部10の一号壁11には、上肢が通過可能な切欠きが設けられている。図2では見えないが、第二壁部20の一号壁21にも同様の切欠きが設けられている。
上肢を通過可能にする構成は切欠きに限られず、穴等でもよい。切り欠きや穴の形状や大きさは適宜設定できるが、体幹へのアクセスを抑制する観点からは、上肢を通した後の隙間が折り返した手掌が通過できない程度の大きさとなる程度に設定することが好ましい。
【0016】
第一壁部10および第二壁部20を構成する各壁の設置時の高さは、図3に示すように、仰臥位で左手Lhおよび右手Rhを上方に上げたときの肘Ebの高さよりも高くなるように設定されている。これにより、患者Ptは、肘Ebを曲げて手指を第一壁部10および第二壁部20の上から体幹に接触させることが困難となっている。
成人の平均的な上腕の長さは20~25cm程度であるため、第一壁部10や第二壁部20の設置時の高さ(垂直に設置される場合は各壁部の高さに等しい)をこれより高くすることにより、上記構成を実現できる。
【0017】
上記の様に構成されたアクセス抑制具1の使用時の動作について説明する。
まず、患者Ptをベッドに横たえた後、上方からかぶせるようにアクセス抑制具1をベッド上に設置する。このとき、一号壁11および21を患者Ptの上肢と体幹Btとの間に、二号壁12および22を上肢と頭部Hdとの間に、それぞれ位置させる。
アクセス抑制具1の設置は、患者Ptにルート類を取り付ける前後のいずれに行ってもよい。
【0018】
アクセス抑制具1の設置後、患者Ptは、アクセス抑制具1と干渉しない範囲内で自由に上肢を動かすことができる。このため、装着者である患者Ptには拘束感がほとんど生じない。第一壁部10および第二壁部20は透明な樹脂で形成されているため、上肢を使って操作した携帯電話等の画面をアクセス抑制具1越しに見ることも可能である。その一方で、患者Ptの上肢が体幹Btに接近すると、意識の有無にかかわらず必ず一号壁11または21に接触し、患者Ptの手指が体幹Btや取り付けられたルート類に接触することが防止される。さらに、上述した高さであることにより、上肢が一号壁11または21の上方から体幹やルート類に接触する事態も生じない。
さらに、患者Ptの上肢が頭部や頚部に接近すると、意識の有無にかかわらず必ず二号壁12または22に接触する。
【0019】
上述した作用により、アクセス抑制具1を適用した患者Ptの上肢は、体幹、頭部、頚部のいずれにもアクセスできない状態が維持される。その結果、一定範囲内における上肢の自由な動作と、患者の体幹や頚部に取り付けられたルート類の抜去や変位等の防止とを両立することができる。
【0020】
以上説明したように、本実施形態に係るアクセス抑制具1は、入院中に患者Ptの受けるストレスを著しく低減しつつ、入院中の安全性も向上できる。さらに、医療従事者の監視負担も、安全性を保ちつつ軽減できる。
また、第一壁部10と第二壁部20とがステー30で接続されているため、第一壁部10および第二壁部20が互いに支え合い、アクセス抑制具1の自立状態を安定して保持できる。
【0021】
本発明の第二実施形態について、図3を参照しつつ説明する。以降の説明において、既に説明したものと共通する構成については、同一の符号を付して重複する説明を省略する。
【0022】
図3は、本実施形態に係るアクセス抑制具1Aを適用した患者Ptを示す図である。図3において、患者Ptは上半身を起こした状態でベッド上に座っている。
【0023】
アクセス抑制具1Aは、第一実施形態のアクセス抑制具1と概ね同様の構成を有するが、肩掛け(保持部)41をさらに備える点でアクセス抑制具1と異なっている。
アクセス抑制具1Aは、肩掛け41を患者Ptの肩に掛けることにより、ベッドに置かずに患者に取り付けることが可能に構成されている。これにより、患者Ptが上体を起こしても、アクセス抑制具1Aの装着状態が保持される。したがって、患者Ptが回復した後のステージ等においても、一定範囲内における上肢の自由な動作と、ルート類の抜去等の防止の両方を実現できる。
図3において、肩掛け41は、二号壁12に取り付けられているが、一号壁11に取り付けられてもよい。第一壁部と第二壁部とで、保持部を設ける位置が異なっていてもよい。
【0024】
本実施形態において、保持部の態様は上述した肩掛け41に限られない。保持部は、アクセス抑制具1Aの自重に抗して患者Ptから脱落させずに装着状態を維持できればよく、その材質や形状は適宜設定できる。例えば、ランドセルの肩紐のように閉じた環状であってもよく、患者の体格に応じてサイズ調節ができる構成でもよい。
あるいは、一号壁において上肢を通過させる構成を穴にすることにより保持部として機能させてもよい。この場合、アクセス抑制具が自重によって前方に倒れるように回転する可能性があるため、ステーでこのような回転を防止してもよい。
あるいは、ウレタンやシリコーン等の変形しやすい材料で保持部を構成することにより、仰臥位になった際に患者が受ける不快感を軽減できる構成としてもよい。
さらには、背中に回す帯状のバンドや布等を用いて保持部を構成し、肩に掛けずにアクセス抑制具の装着状態を維持してもよい。
【0025】
以上、本発明の各実施形態について説明したが、本発明の技術的範囲は上記各実施形態に限定されるものではなく、本発明の趣旨を逸脱しない範囲において構成要素の組み合わせを変えたり、各構成要素に種々の変更を加えたり、削除したりすることが可能である。
【0026】
例えば、一号壁の身長方向における寸法(長さ)は適宜設定できるが、体側に沿って延ばした患者の上肢の手首の位置よりも足先側まで延びる程度が好ましい。これにより、患者は手首を曲げて手掌を体幹側に移動させることが困難になり、手指が鼠径部等にアクセスすることをより確実に防止することができる。
【0027】
第一壁部や第二壁部は、透明性を有しつつ所望の色彩を有してもよい。また、第一壁部や第二壁部とで、透明性や色彩が異なっていてもよい。
また、患者の利便性は若干低下するが、第一壁部や第二壁部が透明性を有さなくても、上肢の自由な動作と、ルート類の抜去等の防止との両立という最低限の効果を奏する。すなわち、本発明において、第一壁部や第二壁部が透明性を有することは必須ではない。第一壁部や第二壁部が透明でない構成とする場合は、木材、紙、金属などの合成樹脂以外の材料で第一壁部や第二壁部が形成されてもよい。
【符号の説明】
【0028】
1、1A アクセス抑制具
10 第一壁部
11、21 一号壁
12、22 二号壁
20 第二壁部
30 ステー
41 肩掛け(保持部)
図1
図2
図3