IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

知財求人 - 知財ポータルサイト「IP Force」

▶ 住友重機械工業株式会社の特許一覧

特開2022-177489ロボットシステム、制御装置、清掃方法及びプログラム
<>
  • 特開-ロボットシステム、制御装置、清掃方法及びプログラム 図1
  • 特開-ロボットシステム、制御装置、清掃方法及びプログラム 図2
  • 特開-ロボットシステム、制御装置、清掃方法及びプログラム 図3
  • 特開-ロボットシステム、制御装置、清掃方法及びプログラム 図4
  • 特開-ロボットシステム、制御装置、清掃方法及びプログラム 図5
  • 特開-ロボットシステム、制御装置、清掃方法及びプログラム 図6
  • 特開-ロボットシステム、制御装置、清掃方法及びプログラム 図7
  • 特開-ロボットシステム、制御装置、清掃方法及びプログラム 図8
< >
(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2022177489
(43)【公開日】2022-12-01
(54)【発明の名称】ロボットシステム、制御装置、清掃方法及びプログラム
(51)【国際特許分類】
   B25J 13/00 20060101AFI20221124BHJP
【FI】
B25J13/00 Z
【審査請求】未請求
【請求項の数】13
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2021083773
(22)【出願日】2021-05-18
(71)【出願人】
【識別番号】000002107
【氏名又は名称】住友重機械工業株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100079108
【弁理士】
【氏名又は名称】稲葉 良幸
(74)【代理人】
【識別番号】100109346
【弁理士】
【氏名又は名称】大貫 敏史
(74)【代理人】
【識別番号】100117189
【弁理士】
【氏名又は名称】江口 昭彦
(74)【代理人】
【識別番号】100134120
【弁理士】
【氏名又は名称】内藤 和彦
(72)【発明者】
【氏名】岡田 健志
(72)【発明者】
【氏名】荻本 晴樹
(72)【発明者】
【氏名】糸原 諒
【テーマコード(参考)】
3C707
【Fターム(参考)】
3C707AS15
3C707BS10
3C707HS27
3C707HT21
3C707HT36
3C707KS31
3C707KS33
3C707KS35
3C707LS04
3C707LS15
(57)【要約】
【課題】様々な大きさや形状の窓に対応するための動作をロボットアームに教示する必要がなく、効率良く清掃を行うことができるロボットシステム等を提供する。
【解決手段】柔軟性を有する駆動機構を備えるロボットアーム20と、ロボットアーム20を制御する制御装置10と、を含むロボットシステム100である。制御装置10は、所定の始点I1から所定の終点T1へと所定方向に沿ってロボットアーム20を移動させるようにロボットアーム20の基本動作を設定する設定工程と、基本動作に基づいてロボットアーム20を始点I1から終点T1へと移動させる第1の移動工程と、始点I1及び終点T1とは異なる二点間を所定方向に沿ってロボットアーム20を移動させる際に、基本動作に基づいてロボットアーム20を移動させる第2の移動工程と、を実行する。
【選択図】図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
柔軟性を有する駆動機構を備えるロボットアームと、前記ロボットアームを制御する制御装置と、を含むロボットシステムであって、
前記制御装置は、
所定の始点から所定の終点へと所定方向に沿って前記ロボットアームを移動させるように前記ロボットアームの基本動作を設定する設定工程と、
前記基本動作に基づいて前記ロボットアームを前記始点から前記終点へと移動させる第1の移動工程と、
前記始点及び前記終点とは異なる二点間を前記所定方向に沿って前記ロボットアームを移動させる際に、前記基本動作に基づいて前記ロボットアームを移動させる第2の移動工程と、
を実行する、ロボットシステム。
【請求項2】
前記ロボットアームは、その手先又は関節に作用する力を検出する検出手段を備えており、
前記制御装置は、前記第2の移動工程において前記ロボットアームが対象物に接触したことを前記検出手段で検出した場合に、前記基本動作に基づいて前記ロボットアームを移動させた後、前記ロボットアームを停止させる、請求項1に記載のロボットシステム。
【請求項3】
前記ロボットアームは、その手先又は関節に作用する力を検出する検出手段を備えており、
前記制御装置は、前記第2の移動工程において前記ロボットアームが対象物に接触したことを前記検出手段で検出した場合に、前記ロボットアームの移動を即座に停止させる、請求項1に記載のロボットシステム。
【請求項4】
前記ロボットアームは、その手先又は関節に作用する力を検出する検出手段を備えており、
前記制御装置は、前記第2の移動工程において前記ロボットアームが対象物に接触したことを前記検出手段で検出した場合に、前記基本動作とは異なる動作に基づいて前記ロボットアームを移動させた後、前記ロボットアームを停止させる、請求項1に記載のロボットシステム。
【請求項5】
前記検出手段は、前記手先に実装された圧力センサである、請求項2から4の何れか一項に記載のロボットシステム。
【請求項6】
前記検出手段は、前記関節に実装されたトルクセンサである、請求項2から4の何れか一項に記載のロボットシステム。
【請求項7】
前記ロボットアームは、複数の駆動軸を有し、
前記複数の駆動軸の各々は、前記柔軟性を有する駆動機構として直列弾性アクチュエータを有する、請求項1から6の何れか一項に記載のロボットシステム。
【請求項8】
前記ロボットアームは、清掃部材を保持するように構成される、請求項1から7の何れか一項に記載のロボットシステム。
【請求項9】
前記清掃部材は、ブレード又はウェス状清掃器である、請求項8に記載のロボットシステム。
【請求項10】
前記清掃部材は、窓枠のエッジに接触する接触部を有する、請求項8又は9に記載のロボットシステム。
【請求項11】
柔軟性を有する駆動機構を備えるロボットアームを制御する制御装置であって、
所定の始点から所定の終点へと所定方向に沿って前記ロボットアームを移動させるように設定された前記ロボットアームの基本動作を設定する設定工程と、
前記基本動作に基づいて前記ロボットアームを前記始点から前記終点へと移動させる第1の移動工程と、
前記始点及び前記終点とは異なる二点間を前記所定方向に沿って前記ロボットアームを移動させる際に、前記基本動作に基づいて前記ロボットアームを移動させる第2の移動工程と、
を実行する、制御装置。
【請求項12】
柔軟性を有する駆動機構を備えたロボットアームに保持される清掃部材により清掃を行う清掃方法であって、
所定の始点から所定の終点へと所定方向に沿って前記清掃部材を移動させるように前記ロボットアームの基本動作を設定する設定工程と、
前記基本動作に基づいて前記清掃部材を前記始点から前記終点へと移動させる第1の移動工程と、
前記始点及び前記終点とは異なる二点間を前記所定方向に沿って前記清掃部材を移動させる際に、前記基本動作に基づいて前記清掃部材を移動させる第2の移動工程と、
を含む、清掃方法。
【請求項13】
柔軟性を有する駆動機構を備えたロボットアームに保持される清掃部材により清掃を行う清掃方法をコンピュータに実行させるプログラムであって、前記清掃方法は、
所定の始点から所定の終点へと所定方向に沿って前記清掃部材を移動させるように前記ロボットアームの基本動作を設定する設定工程と、
前記基本動作に基づいて前記清掃部材を前記始点から前記終点へと移動させる第1の移動工程と、
前記始点及び前記終点とは異なる二点間を前記所定方向に沿って前記清掃部材を移動させる際に、前記基本動作に基づいて前記清掃部材を移動させる第2の移動工程と、
を含む、プログラム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、ロボットシステム、制御装置、清掃方法及びプログラムに関する。
【背景技術】
【0002】
従来より、高層の建築物に設けられた窓や壁を清掃する作業が行われているが、人手での清掃作業は原則的に日中に実施されるため、真夏の炎天下等では極めて厳しい労働環境となる。そこで、ロボット等を用いた自動清掃に関する技術が種々提案されている。例えば現在においては、建築物の壁面に障害物があってもこれを回避して作業することができる壁面作業ロボットに関する技術が提案されている(特許文献1参照)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開平04-53687号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
ところで、近年においては、清掃部材を精度良く移動させるために、窓拭き動作の軌跡(移動経路)や姿勢等を事前にロボットアームに教示し、教示した軌跡に沿って清掃部材を移動させることにより窓を清掃する、という技術が提案されつつある。しかし、建築物には様々な大きさや形状の窓が存在し、これらの窓の全てに対応するための窓拭き動作の軌跡や姿勢等をロボットアームに教示することは膨大な労力及び時間を要することとなり、きわめて非効率的である。
【0005】
本発明は、かかる事情に鑑みてなされたものであり、様々な大きさや形状の窓に対応するための動作をロボットアームに教示する必要がなく、効率良く清掃を行うことができるロボットシステム等を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明の一態様は、柔軟性を有する駆動機構を備えるロボットアームと、ロボットアームを制御する制御装置と、を備えるロボットシステムであって、制御装置は、所定の始点から所定の終点へと所定方向に沿ってロボットアームを移動させるようにロボットアームの基本動作を設定する設定工程と、基本動作に基づいてロボットアームを始点から終点へと移動させる第1の移動工程と、始点及び終点とは異なる二点間を所定方向に沿ってロボットアームを移動させる際に、基本動作に基づいてロボットアームを移動させる第2の移動工程と、を実行するものである。
【0007】
本発明の別の態様は、柔軟性を有する駆動機構を備えるロボットアームを制御する制御装置であって、所定の始点から所定の終点へと所定方向に沿ってロボットアームを移動させるようにロボットアームの基本動作を設定する設定工程と、基本動作に基づいてロボットアームを始点から終点へと移動させる第1の移動工程と、始点及び終点とは異なる二点間を所定方向に沿ってロボットアームを移動させる際に、基本動作に基づいてロボットアームを移動させる第2の移動工程と、を実行するものである。
【0008】
本発明の別の態様は、柔軟性を有する駆動機構を備えたロボットアームに保持される清掃部材により清掃を行う清掃方法であって、所定の始点から所定の終点へと所定方向に沿って清掃部材を移動させるようにロボットアームの基本動作を設定する設定工程と、基本動作に基づいて清掃部材を始点から終点へと移動させる第1の移動工程と、始点及び終点とは異なる二点間を所定方向に沿って清掃部材を移動させる際に、基本動作に基づいて清掃部材を移動させる第2の移動工程と、を含むものである。
【0009】
本発明の別の態様は、柔軟性を有する駆動機構を備えたロボットアームに保持される清掃部材により清掃を行う清掃方法をコンピュータに実行させるプログラムであって、清掃方法は、所定の始点から所定の終点へと所定方向に沿って清掃部材を移動させるようにロボットアームの基本動作を設定する設定工程と、基本動作に基づいて清掃部材を始点から終点へと移動させる第1の移動工程と、始点及び終点とは異なる二点間を所定方向に沿って清掃部材を移動させる際に、基本動作に基づいて清掃部材を移動させる第2の移動工程と、を含むものである。
【0010】
ここで、「柔軟性を有する」とは、弾性、粘性又は弾性及び粘性を有していることをいう。弾性とは、応力を加えると変形し、応力を除去すると元に戻る性質をいい、弾性変形のし易さを示す可撓性という言葉で表現される場合もある。粘性とは、流体の流動速度を一様化する応力を生じさせる性質をいう。柔軟性を備えた駆動機構は、柔軟性を付与するための、例えば、磁性流体、機械ばね、空気ばね、磁力ばね及びベーンモータの何れか一つを少なくとも備えてもよい。
【0011】
かかる構成及び方法を採用すると、所定の始点から所定の終点へと所定方向に沿ってロボットアーム(清掃部材)を移動させるように設定された基本動作に基づいてロボットアームを始点から終点へと移動させることができる。また、始点及び終点とは異なる二点間を所定方向に沿ってロボットアームを移動させる際にも、基本動作に基づいてロボットアームを移動させることができる。すなわち、所定の始点から所定の終点へと所定方向に沿ってロボットアームを移動させるための基本動作を一度設定してしまえば、その基本動作に基づいて、始点及び終点とは異なる二点間を所定方向に沿ってロボットアームを移動させることができる。従って、様々な大きさや形状の窓に対応するための動作をロボットアームに教示する必要がなくなり、効率良く清掃を行うことができる。
【0012】
本発明に係るロボットシステムにおいて、ロボットアームは、その手先又は関節に作用する力を検出する検出手段(手先に実装された圧力センサ、関節に実装されたトルクセンサ、等)を備えることができる。かかる場合において、制御装置は、第2の移動工程においてロボットアームが対象物に接触したことを検出手段で検出した場合に、(1)基本動作に基づいてロボットアームを移動させた後にロボットアームを停止させたり、(2)ロボットアームの移動を即座に停止させたり、(3)基本動作とは異なる動作に基づいてロボットアームを移動させた後にロボットアームを停止させたり、することができる。
【0013】
本発明に係るロボットシステムにおいて、ロボットアームは、複数の駆動軸を有することができる。かかる場合において、複数の駆動軸の各々は、柔軟性を有する駆動機構として直列弾性アクチュエータを有することができる。
【0014】
本発明に係るロボットシステムにおいて、ロボットアームは、清掃部材を保持するように構成されることができる。清掃部材としては、ブレード又はウェス状清掃器を採用することができる。また、清掃部材は、窓枠のエッジに接触する接触部を有することができる。
【発明の効果】
【0015】
本発明によれば、様々な大きさや形状の窓に対応するための動作をロボットアームに教示する必要がなく、効率良く清掃を行うことができるロボットシステム等を提供することが可能となる。
【図面の簡単な説明】
【0016】
図1】本発明の実施形態に係る清掃用ロボットシステムの機能ブロック図である。
図2】本発明の実施形態に係る清掃用ロボットシステムのロボットアームの外観を示す図である。
図3】本発明の実施形態に係る清掃用ロボットシステムを用いて窓を清掃する際のブレードの移動経路の一例を説明するための正面図である。
図4】本発明の実施形態に係る清掃方法を説明するためのフローチャートである。
図5】本発明の実施形態に係る清掃用ロボットシステムを用いて窓を清掃する際のブレードの始点及び終点の位置を説明するための断面図である。
図6】本発明の実施形態に係る清掃方法における倣い動作中の速度制御を示すグラフである。
図7】本発明の実施形態に係る清掃方法において窓枠が傾いたときのブレードの動きを説明するための正面図である。
図8】本発明の実施形態に係る清掃用ロボットシステムを用いて窓を清掃する際のブレードの移動経路の他の例を説明するための正面図である。
【発明を実施するための形態】
【0017】
以下、本発明の実施形態について図面を用いて説明する。以下の実施形態は、本発明を説明するための例示であり、本発明をその実施形態のみに限定する趣旨ではない。
【0018】
図1は、清掃用ロボットシステム100の機能ブロック図を示している。図2(A)及び図2(B)は、本実施形態に係る清掃用ロボットシステム100のロボットアーム20の外観を示している。
【0019】
本実施形態に係る清掃用ロボットシステム100は、ロボットアーム20と、ロボットアーム20を制御する制御装置10と、を備えている。本実施形態に係る清掃用ロボットシステム100は、清掃部材(後述するブレードB等)を保持し、清掃部材を窓ガラスの表面に対して倣わせながら清掃を行うことができるように構成されている。なお、清掃部材を窓ガラスの表面に対して「倣わせる」とは、清掃部材を窓ガラスの表面に接触させながら、清掃部材を窓ガラスの表面に対して相対的に移動させることをいう。相対的に移動させることは、並進移動に限られず、相対的に回転移動させることを含む。清掃部材を窓ガラスの表面に対して「倣わせる」とき、清掃部材は、清掃部材が接触している窓の表面に垂直な方向及び平行な方向の力が作用するように窓の表面を押し付けられてもよい。
【0020】
ロボットアーム20は、例えば、垂直多関節ロボットであり、ゴンドラ等に固定されるベース20Bと、複数のリンク20Lと、各リンク20Lを接続するジョイント20Jと、ジョイント20Jにおいてリンク20Lを回転駆動するための複数の直列弾性アクチュエータ20Dと、を有している。本実施形態におけるロボットアーム20は、7軸の垂直多関節ロボットであり、図2に示されるように、リンク20Lを伸ばすことによって、ベース20Bを動かすことなく、先端のリンク20Lに保持されるブレードBを左右に大きく動かすことができるように構成されている。但し、ロボットアームは、本実施形態に限られるものではなく、例えば、水平多関節型ロボット装置、パラレルリンク型ロボット装置であってもよい。
【0021】
複数のリンク20Lは、剛性を有する部材から構成されており、例えば、ベース20Bに対して回動可能に取り付けられた胴部に相当するリンク20Lと、胴部に対して回動可能に取り付けられた上腕部に相当するリンク20Lと、上腕部に対して回動可能に取り付けられた前腕部に相当するリンク20Lと、前腕部に対して回動可能に取り付けられた手先部に相当するリンク20Lと、を有している。本実施形態においては、ロボットアーム20の手先に作用する力を検出する圧力センサ(検出手段)が先端のリンク20Lに設けられている。圧力センサで検出された力に関する情報は、制御装置10に送られて、ロボットアーム20の駆動制御に使用されることとなる。
【0022】
ロボットアーム20の先端のリンク20Lには、清掃部材を保持するための保持機構が設けられている。保持機構は、例えば、清掃部材をねじによって固定するための雌ねじが形成された雌ねじ部から構成される。但し、清掃部材を保持するための保持機構は、様々な構成を採用することが可能であり、例えば、清掃部材を保持するための複数の吸着パッドと、制御装置10から送信される制御信号に基づいて吸着パッドに負圧を発生させるアクチュエータと、を備えるものや、或いは、金属等の磁性体材料から構成される清掃部材を磁力により保持するための磁場を電磁的に発生させるためのコイルを備えるものであってもよい。また、先端のリンク20Lに、アクチュエータによって開閉する一対の可動プレート(グリッパと呼ばれる場合もある)を備えるエンドエフェクタを更に取り付け、可動プレート等によって、清掃部材を挟持可能な保持機構を採用することも可能である。
【0023】
本実施形態に係る清掃用ロボットシステム100のロボットアーム20は、複数のリンク20Lをそれぞれ回転駆動するための複数の直列弾性アクチュエータ20D(「柔軟性を備えた駆動機構」の一例、図1)を備えている。
【0024】
直列弾性アクチュエータ20Dは、SEA(Serial Elastic Actuators)とも呼ばれる駆動機構である。直列弾性アクチュエータ20Dは、駆動部20DAと、駆動部20DAに接続される弾性体20DEと、から構成されている。駆動部20DAは、例えばサーボモータから構成されており、弾性体20DEは、例えば機械ばねから構成されている。直列弾性アクチュエータ20Dにおいて駆動部20DAから出力される動力は、弾性体20DEを介して出力側のリンク20L(但し先端のリンク20Lの場合には清掃部材を含む)に伝達され、これを回動させる。
【0025】
さらに、直列弾性アクチュエータ20Dは、負荷の大きさを取得するためのトルクセンサと、弾性体20DEの変位量を取得するためのセンサと、サーボモータの変位量を取得するためのセンサを含む複数のセンサと、を備えている。これらセンサは、ロボットアーム20の関節(ジョイント20J)に作用する力を検出する検出手段として機能する。これらセンサで検出された力に関する情報は、制御装置10に送られて、ロボットアーム20の駆動制御に使用されることとなる。
【0026】
負荷の大きさは、例えば、駆動部20DAを構成するサーボモータに流れる電流量を取得する電流センサから取得することが可能である。
【0027】
弾性体20DEの変位量は、弾性体20DEの両端の変位量(回転角度)を取得するために弾性体20DEの両端にそれぞれ設けられた光学的センサ、弾性体20DEに磁石等を取り付けこの磁石等から発生する磁場を検出する磁気センサ、又は、弾性体20DEに設けられた歪センサ、等から取得することが可能である。弾性体20DEの変位量及び弾性体20DEの弾性定数に基づいて発生するトルクを取得することも可能となる。
【0028】
上記と同様に、サーボモータの変位量は、エンコーダ等の光学的センサ、ホール素子等の磁気センサ、又は、歪センサ等から取得することが可能である。
【0029】
以上のような構成の下、柔軟性を備えた駆動機構に相当する直列弾性アクチュエータ20Dによって駆動される部分の慣性、質量及び長さ、外力並びに弾性体20DEである機械ばねの弾性率をパラメータとする運動方程式が成立する。このため、制御装置10は、機械ばねの弾性率及び変位量等に基づいて、インピーダンスを制御するメカニカル・コンプライアンス制御を行うように構成される。
【0030】
なお、直列弾性アクチュエータ20Dは、駆動部20DAであるサーボモータの駆動軸に接続され、動力を機械ばね等の弾性体20DEに伝達するギヤを備えていてもよい。さらに、直列弾性アクチュエータ20Dは、粘性に基づいて衝撃を緩和させるダンパ機構及び動力の伝達をスイッチするためのクラッチ機構を備えてもよい。粘性を有するダンパ機構等の粘性体を付与する場合、又は、ギヤの歯車間の摩擦等から生じる減衰を加味する場合、運動方程式には、粘性定数がパラメータとして加えられた運動方程式が成立する。
【0031】
例えば、サーボモータの駆動軸にギヤが接続され、ギヤの出力軸に弾性体を介して負荷(下流側のリンク等)が接続される直列弾性アクチュエータ20Dの場合、ギヤの出力軸に生じるトルクは、サーボモータに流れる電流及びギヤ比に比例し、このトルクが、ギヤの出力軸の角加速度に慣性を乗じた値と、ギヤの出力軸の角加速度にギヤの粘性を乗じた値と、弾性体の変位量に弾性率を乗じた値と、の和と等しくなる運動方程式が成立する。かかる運動方程式に基づいて、直列弾性アクチュエータ20Dの伝達関数を導くことにより、インピーダンスを制御するメカニカル・コンプライアンス制御が可能となる。
【0032】
以上のような構成により、本実施形態におけるロボットアーム20の複数のリンク20Lを回動させることが可能になるため、リンク20Lの先端に取り付けられる清掃部材の位置及び姿勢を自由に変化させることが可能となる。なお、本実施形態において、位置を示す情報は、合理的に必要と考えられる場合、姿勢を示す情報を含む場合がある。さらに、本実施形態におけるロボットアーム20は、窓枠F等を画像認識するための撮像装置20C及び使用者と情報の授受を行うためのディスプレイ20DIを含む入出力手段を備えてもよい。さらに、本実施形態におけるロボットアーム20は、弾性を有さない駆動部によって駆動される知られたリンクを一部に備えてもよい。
【0033】
図3は、本実施形態における清掃用ロボットシステム100のロボットアーム20を用いて窓Gを清掃する際のブレードBの移動経路の一例を説明するための正面図である。
【0034】
図3に示されるように、清掃対象物である窓体Wは、窓枠Fと、窓枠Fに嵌め込まれることにより支持されるガラス製の窓Gと、を備える。窓Gは、例えば矩形状に形成される。窓枠Fは、窓Gを囲むように、鉛直方向に延伸する2つの平行な枠F1及び枠F2と、枠F1及び枠F2の上端部及び下端部を接続し水平方向に延伸する2つの平行な枠F3及び枠F4と、を備える。
【0035】
清掃部材は、窓Gの表面上の塵等の除去に好適な知られた構成のものを使用することが可能であり、例えば、先端のリンク20Lに固定するための複数の雄ねじが貫通するための貫通孔が形成された支持部と、窓Gの表面を清掃する板状ゴムからなるブレードBと、を備える。但し清掃部材は、これに限られるものでなく、窓Gの表面を清掃するための布体(「ウエス」の一例)又は清掃ブラシを備えていてもよい。また、清掃部材は、洗浄液を含ませた布体(「ウエス」の一例)と、この布体により窓Gに塗布された洗浄液を拭き取る板状ゴム(「ブレードB」の一例)と、から構成されてもよい。さらに、清掃部材には、洗剤噴霧器が設けられていてもよく、洗剤噴霧器から噴霧された洗剤を吸い取る(又は分離して回収する)ガータを備えていてもよい。本実施形態における清掃部材は、何れにしても、清掃対象物である窓枠FのエッジEに接触する接触部を備えている。
【0036】
制御装置10は、ロボットアーム20を制御する。上述したように、制御装置10は、従来の位置制御ではなく、直列弾性アクチュエータ20Dを利用したメカニカル・コンプライアンス制御に基づいてロボットアーム20を制御する。このため、清掃対象物である窓体W(窓枠F及び窓G)に凹凸があったり、清掃部材と窓体Wとの間の相対的な位置関係が変動したりした場合においても、充分に窓体Wを清掃することが可能となる。以下詳述する。
【0037】
図1に示されるように、制御装置10は、ロボットアーム20の基準となる部位(例えば、手先位置に相当するリンク20Lのセンターポイント、又は、ブレードBのセンターポイント。以下、「基準部位」と称する。)を所定の方向に沿って移動させるときの初期の移動開始点(以下、「始点」と称する。)の位置を設定する始点設定部10Aと、ロボットアーム20の基準部位を始点から所定の方向に沿って移動させるときの初期の移動目標点(以下、「終点」と称する。)の位置を設定する終点設定部10Bと、許容範囲設定部10Cと、始点と終点とを結ぶ経路を設定する経路設定部10Dと、経路設定部10Dによって設定された経路に従って、各直列弾性アクチュエータ20Dの駆動部20DAに相当するサーボモータを制御するための駆動制御部10Eと、ブレードBを窓Gの表面に倣わせながら窓枠FのエッジEを探索し検出するエッジ探索部10Fと、記憶部10Gと、を備えている。
【0038】
始点設定部10Aは、例えば、制御装置10に接続可能な教示装置50から入力された始点の位置を設定する。教示装置50は、現場で実際にロボットアーム20を動かしてその時の基準部位の始点の位置を教示するオンラインティーチングに従う教示装置50でもよいし、コンピュータプログラムによって算出した始点の位置を教示する、テキスト型、シミュレータ型、エミュレータ型、又は、自動ティーチング型等のオフラインティーチングに従う教示装置50でもよい。本実施形態においては、始点として、図3の窓枠Fの4つのコーナーのうち右側の枠F2と上側の枠F3とから形成される右上のコーナー付近に位置する点I1を採用している。
【0039】
終点設定部10Bは、始点の位置と同様に、教示装置50から入力された終点の位置を設定する。本実施形態においては、ブレードBを上下の枠F3、F4と平行な方向(矢印AR31の方向)に沿って移動させることとし、終点として、図3の窓枠Fの4つのコーナーのうち左側の枠F1と上側の枠F3とから形成される左上のコーナー付近に位置する点T1を採用している。なお、終点T1の位置は、左側の枠F1よりも若干外側にはみ出た位置に設定される。この理由については後に詳述することとする。
【0040】
許容範囲設定部10Cは、基準部位の経路を基準として、ロボットアーム20の実際の基準部位が経路から離れることができる許容範囲を示す情報を設定する。例えば、ある終点の位置にロボットアーム20の基準部位が到達した時の、直列弾性アクチュエータ20Dによって駆動されるリンク20Lの角度がαであるとき、そのリンク20Lの許容範囲を示す情報は、例えば、α±βという角度情報として設定される。βは、直列弾性アクチュエータ20Dの弾性体20DEの弾性率等に基づいて、弾性変形可能な範囲として予め設定可能な角度単位の情報である。複数方向に対して柔軟性を有するために、ロボットアーム20が複数の直列弾性アクチュエータ20Dを備える場合、許容範囲設定部10Cは、直列弾性アクチュエータ20Dに駆動される複数のリンク20Lごとに許容範囲を示す情報を設定することが可能である。
【0041】
なお、許容範囲を示す情報は、リンク20Lの角度が変動した結果、ロボットアーム20の別の部位が取り得る所定領域を示す位置情報であってもよい。即ち、所定のリンク20Lの角度がα+βであるとき、βにリンク20Lの長さを乗じた距離だけそのリンク20Lの先端が変位するから、それに応じて、下流のロボットアーム20の部位も変位する。従って、許容範囲設定部10Cは、ロボットアーム20の他の部位を基準部位とし、この基準部位が取り得る所定領域を示す位置情報として取得してもよい。以下では、先端のリンク20Lによって保持されるブレードBのセンターポイントをロボットアーム20の基準部位とする場合を中心に説明する。許容範囲は、基準部位において少なくとも±5mm以上経路から離れることを許容するように構成されることが好ましい。
【0042】
許容範囲を示す情報は、記憶部10Gに格納されるコンピュータプログラム内において、予め、駆動機構が備える弾性又は粘性に基づく定数として定められることができる。従って、制御装置10の演算素子がコンピュータプログラムを読み出すことにより、許容範囲を示す情報が設定されるように構成されてもよい。或いは、制御装置10は、教示装置50から、許容範囲を示す情報を取得してもよい。
【0043】
経路設定部10Dは、始点I1と終点T1とを接続する移動経路を演算処理等により設定する。本実施形態においては、図3において矢印AR31で示すような移動経路が設定される。また、後に詳述するように、経路設定部10は、移動の際におけるリンクL(ブレードB)の姿勢等も併せて設定することができる。すなわち、始点I1から終点T1へと所定方向(図3において矢印AR31で示す方向)に沿ってロボットアーム20を移動させるための「基本動作」が、経路設定部10Dにより設定されることとなる。なお、経路設定部10Dで設定するのは、始点I1(すなわち初期の移動開始点)と終点T1(すなわち初期の移動目標点)とを接続する移動経路のみであり、始点I1及び終点T1とは異なる二点間を接続する移動経路については設定されない。
【0044】
駆動制御部10Eは、基準部位を経路に従って移動させるための各モータを制御するための制御命令を演算処理等により取得してロボットアーム20に供給することにより、ロボットアーム20を移動させる。例えば、駆動制御部10Eは、逆運動学演算(インバースキネマティクス)により、基準部位が経路上に位置するための各モータの回転角度を算出し、これに基づいて制御命令を生成して、記憶部10Gに格納することが可能である。本実施形態における駆動制御部10Eは、経路設定部10Eで設定された基本動作に基づいて、ロボットアーム20を始点I1から終点T1へと移動させる(第1の移動工程)。また、駆動制御部10Eは、始点I1及び終点T1とは異なる二点間を所定方向に沿ってロボットアーム20を移動させる際にも、基本動作に基づいてロボットアーム20を移動させる(第2の移動工程)。これら二種類の移動工程については、後に詳述することとする。
【0045】
また、駆動制御部10Eは、第2の移動工程においてロボットアーム20が対象物(例えば窓枠F)に接触したことを、既に述べた圧力センサやトルクセンサ等の検出手段で検出した場合に、以下の三種類の停止制御、すなわち、(A)基本動作に基づいてロボットアーム20を移動させた後にロボットアーム20を停止させる制御、(B)ロボットアーム20の移動を即座に停止させる制御、(C)基本動作とは異なる動作に基づいてロボットアーム20を移動させた後にロボットアーム20を停止させる制御、の何れかを実行する。ロボットシステム100のユーザは、三種類の停止制御の何れを実行するかを予め設定しておくことができる。
【0046】
エッジ探索部10Fは、窓枠FのエッジEを検出する。エッジEを検出するための手段の一例として、本実施形態におけるエッジ探索部10Fは、窓Gの表面を倣わせながらブレードBを移動させ、リンク20Lの加速度(又は角加速度)がゼロになった時、ブレードBがエッジEに沿って当接していると判断することにより、エッジEを検出するように構成されている。
【0047】
記憶部10Gは、本実施形態に示される各処理を実行するためのコンピュータプログラム(経路生成アルゴリズムを含む)及び必要なデータその他の情報を格納する。
【0048】
制御装置10のハードウェア構成に関し、制御装置10は、例えば、CPU(Central Processing Unit)、GPU(Graphical Processing Unit)等のプロセッサである演算素子と、SRAM(Static Random Access Memory)、DRAM(Dynamic Random Access Memory)等の揮発性記憶素子と、NORフラッシュメモリ、NANDフラッシュメモリ、HDD(Hard Disc Drive)等の不揮発性記憶素子と、これらを接続するバス等の通信手段と、を備えるコンピュータから構成することが可能である。不揮発性記憶素子は、非一時的(Non-transitory)に情報を記憶する記憶媒体である。揮発性記憶素子は、これらコンピュータプログラムの少なくとも一部及び演算処理結果等を一時的に記憶する。記憶部10Gは、これら記憶素子により構成される。また、記憶部10Gに格納されるコンピュータプログラムを演算素子が実行することにより、始点設定部10A、終点設定部10B、許容範囲設定部10C、経路設定部10D、駆動制御部10E及びエッジ探索部10Fとして機能する。但し、これら演算素子、不揮発性記憶素子等の少なくとも一部は、インターネット等の通信ネットワークに接続された遠隔地に設置されていてもよい。例えば、演算素子は、通信ネットワークを介して、コンピュータプログラム又は必要なデータを取得するように構成されてもよい。
【0049】
制御装置10及びロボットアーム20は、無線又は有線による通信手段によって情報の送受信が可能に構成されている。
【0050】
制御装置10には、ロボットシステム100に動作教示するための教示装置50が接続、又は、一体的に設けられてもよい。また、教示装置50は、ロボットアーム20に設けられてもよく、例えば、ディスプレイ20DIを含む入出力手段を教示装置50の一部として利用してもよい。
【0051】
教示装置50は、例えば、オンラインティーチングを行うための携帯型の教示ペンダントを備える。教示装置50は、制御装置10と同様に、演算素子、揮発性記憶素子、不揮発性記憶素子を備え、更に、ディスプレイを有する表示手段及び複数の操作キー並びにレバーを有する入力手段を備えている。入力手段は、ディスプレイを押圧して入力を行うタッチパネル式の入力手段から構成されてもよい。
【0052】
続いて、本実施形態に係る清掃用ロボットシステム100による清掃方法を説明する。図4は、清掃用ロボットシステム100による清掃方法を示すフローチャートである。
【0053】
まず、制御装置10の始点設定部10A、終点設定部10B及び許容範囲設定部10Cは、それぞれ、始点I1の位置を示す情報、終点T1の位置を示す情報及び許容範囲を示す情報を設定する(ステップS51)。制御装置10は、これら情報を予め記憶する記憶部10Gから読み出すことにより設定してもよい。或いは、制御装置10は、教示装置50からこれら情報を取得して設定してもよい。さらに、制御装置10は、始点I1の位置を示す情報及び終点T1の位置を示す情報に基づいて経路を演算により設定する際に、清掃対象物(窓体W)の表面と基準部位との距離が許容範囲内となるような経路生成アルゴリズムを読み出し、これに基づいて経路を設定することにより、許容範囲を示す情報を設定してもよい。
【0054】
既に述べたように、始点I1の位置は、正面視において、図3の窓枠Fの4つのコーナーのうち右側の枠F2と上側の枠F3とから形成される右上のコーナー付近の位置であり、終点T1の位置は、正面視において、図3の窓枠Fの4つのコーナーのうち左側の枠F1と上側の枠F3とから形成される左上のコーナー付近の位置(左側の枠F1よりも若干外側にはみ出た位置)である。
【0055】
図5は、ブレードBが窓Gの表面と接触する場面における始点及び終点の位置と、実際の位置と、の相違を説明するための説明図である。なお、説明を簡明にするため、ブレードBを保持するロボットアーム20の先端のリンク20Lは、図から省略する。
【0056】
図5において、窓体Wが存在しない場合に基準部位が始点I1の位置にある時のブレードBの位置は、破線B1で示されている。一方、窓体Wが存在する場合におけるブレードBの位置は、実線B2で示されている。
【0057】
破線B1で示されるように、始点I1の位置は、側面視において、先端のリンク20L(不図示)又はブレードBが窓Gと干渉するように設定される。しかしながら、実際は窓Gが存在するため、ブレードBが窓Gの表面と接触し窓Gの表面を押圧する。このため、先端のリンク20L又はブレードBが窓Gと干渉することはない。変位量D1は、直列弾性アクチュエータ20Dの弾性体20DEが窓Gの法線方向に弾性変形した量に相当する。このとき、変位量D1及び弾性体20DEの弾性率に基づいて生じる力が、ブレードBから窓Gに作用する。このため変位量D1は、ブレードBが窓Gの表面上の塵等を除去して好適に窓Gを清掃することが可能な程度の力を発生するように設定される。一方、変位量D1が大きすぎると、ブレードBが窓Gを破損してしまう。このため、変位量D1は、そのような窓Gの破損が発生しないように設定される。
【0058】
終点T1の位置は、側面視において、エッジEにブレードBが接触し、窓枠Fの表面を押し付けるような位置に設定される。すなわち、ブレードBと、窓体W(の窓枠F及び/又は窓G)と、の接触点(例えばエッジEの位置)からみてブレードB側と反対側にブレードBの終点T1の位置を設定する。すなわち、ブレードBを窓体W(の窓枠F及び窓G)に向けて移動させるときにブレードBが窓体Wに接触することが想定される想定接触位置(例えばエッジEの位置)よりも、ブレードBから遠い位置に終点T1を設定する。
【0059】
図5において、窓体Wが存在しない場合に基準部位が終点T1の位置にある時のブレードBの位置は、破線B3で示されている(すなわち、終点T1の位置が破線B3で示されている)。一方、窓体Wが存在する場合におけるブレードBの位置は、実線B4で示されている。
【0060】
破線B3で示されるように、終点T1の位置は、先端のリンク20L(不図示)又はブレードBが窓枠Fの枠F1と干渉するように、ブレードBと窓体Wとの接触点にあるエッジEよりも外側(エッジEからみてブレードBと反対側の位置であって、ブレードBからみてエッジEよりも遠い位置)に設定される。しかしながら実際は、窓枠F1が存在するため、ブレードBが窓枠F1のエッジE及び窓Gの表面と接触しエッジE及び窓Gの表面を押し付ける。このため、先端のリンク20L又はブレードBが窓枠F1と干渉することはなく、ブレードBの実際の終点T1′の位置は、図3に示すように窓枠F1の内側に位置することとなる。変位量D2は、直列弾性アクチュエータ20Dの弾性体20DEが弾性変形した量に相当する。このとき、変位量及び弾性率に基づいて生じる力が、ブレードBから窓枠F及び窓Gに作用する。このため変位量D1と同様に変位量D2の窓G表面の法線方向における分力は、弾性体20DEの弾性率を考慮して、ブレードBが窓Gの表面上の塵等を除去可能な力以上であって、かつ、窓Gが破損することがない範囲の力を生じさせるように設定され、例えば、変位量D1と略同一に設定される。
【0061】
なお、終点T1の位置における先端のリンク20Lの姿勢は、窓G表面に対してやや鋭角(例えば、60度以上90度未満)をなすことが好ましい。このような姿勢を教示することによって容易にブレードBが窓枠F1を押し付けてブレードBをエッジEに沿って当接させることが可能となる。
【0062】
次いで、制御装置10の経路設定部10Dは、始点I1及び終点T1の位置を接続する経路を設定する(ステップ52)。具体的には、経路設定部10Dは、基準部位が経路上に存在する時のブレードBと窓Gの表面との変位量が許容範囲内となるような経路を、記憶部10Gから読み出した経路生成アルゴリズムに基づいて演算により取得する。
【0063】
経路は、始点I1及び終点T1の位置と同様に、基準部位が経路上に存在する時に先端のリンク20L(不図示)又はブレードBが窓Gと干渉するように設定される。このような経路により、ブレードBを窓Gの表面に倣わせることが可能になる。但し、変位量が大きすぎると、少なくとも一つの直列弾性アクチュエータ20Dの損傷を招く可能性がある。又、弾性体20DEの弾性変形の範囲内であっても、上述したように変位量が大きすぎると、ブレードBが窓Gの表面を押し付ける力が大きくなりすぎるため、円滑な移動が困難になったり、窓Gを破損したりする可能性がある。一方で、変位量が小さすぎると、十分な力でブレードBを窓Gに押し付けることができなくなるため、窓Gの表面上の塵等を十分に取り除けなくなる。このため、許容範囲は、上述した問題を抑制するように、実験等を通じて予め取得することが可能である。従って、基準部位が経路上に存在する時のブレードBと窓Gの表面との変位量が許容範囲内となるような経路が経路設定部10Dによって取得される。変位量が許容範囲内となるような経路を設定することにより、略一定の力でブレードBを窓Gに押し付けることが可能となる。
【0064】
なお、倣い当て動作中において、先端のリンク20Lを窓Gの表面に対して傾けることが好ましい。このような構成とすることにより、窓Gの表面の法線方向のみならず平行方向においても、ブレードBを窓Gに倣い当てすることが可能となる。特に、エッジE付近では、ブレードBをエッジEに向かって押し付けることにより、エッジE付近に蓄積した塵等を除去することが可能となる。例えば、ブレードBがエッジE付近に近づいたときに、先端のリンク20Lを後傾させる姿勢を取らせることにより、窓Gの中心側から外側の窓枠Fに向かって、ブレードBをエッジEに向かって押し付けることが可能となる。このような姿勢は、例えば、教示装置50を用いることにより、清掃用ロボットシステム100に教示することが可能である。経路設定部10Dは、教示された姿勢を経路とともに設定することができる。
【0065】
ステップS52においては、始点I1から終点T1へと所定方向(図3において矢印AR31で示す方向)に沿ってロボットアーム20を移動させるための基本動作が、経路設定部10Dにより設定されることとなる。すなわち、ステップS52は、本発明における設定工程に相当するものである。なお、ステップS52で設定されるのは、始点I1(すなわち初期の移動開始点)と終点T1(すなわち初期の移動目標点)とを接続する移動経路のみであり、始点I1及び終点T1とは異なる二点間を接続する移動経路については設定されないことは既に述べたとおりである。
【0066】
続いて、駆動制御部10Eは、経路情報に基づいて、直列弾性アクチュエータ20Dへの制御命令を取得するとともに、取得した制御命令をロボットアーム20に供給する(ステップS53)。なお、一連の動作を実現するための制御命令が予め記憶部10Gに格納されている場合、制御装置10は、記憶部10Gから制御命令を読み出すことにより、これら情報を取得してもよい。
【0067】
制御装置10から制御命令を受け取ったロボットアーム20は、始点I1の位置に移動する。この動作により、図5の実線B2で示されるように、ブレードBは、窓Gの表面に押し付けられる(ステップS54)。
【0068】
次いで、駆動制御部10Eは、ステップS52で設定された基本動作に基づいて、ロボットアーム20を始点I1から終点T1へと移動させる(ステップS55)。ステップS55は、本発明における第1の移動工程に相当するものである。
【0069】
ステップS55において、ロボットアーム20は、ブレードBが窓Gの表面に押し付けた状態を維持しながらブレードBを終点T1の位置に向かって移動させることにより、ブレードBを窓Gの表面に対して倣わせる。具体的には、図5において破線B1で示される始点I1の位置から、破線B3で示される終点T1の位置に向かって(実際には実線B2で示される位置から実線B4で示される位置に向かって)、ブレードBを窓Gの表面に接触させたまま移動させる。実線と破線との変位量(経路と実際の基準部位との変位量)は、許容範囲内に存在する。このとき、直列弾性アクチュエータ20Dの弾性体20DEは、変位量に応じて弾性変形する。
【0070】
このような並進移動を伴う倣い動作を行っている間に、制御装置10は、変位量が許容範囲内に収まり、かつ、ブレードBが窓Gの表面を略一定若しくは一定範囲の力(例えば、中心値±30%以内)押し付けるように制御する。変位量が許容範囲内に収まらせるために、制御装置10は、許容範囲を超える変位が生じたか否かを周期的に判断する。許容範囲を超える変位が生じたと判断した場合、制御装置10は、ロボットアーム20の移動速度を減速させるような制御命令を生成し、ロボットアーム20の駆動部に送出することにより減速させる。図6は、倣い動作中に許容範囲を超えた場合の減速動作について説明するためのグラフである。この図は、横軸を時間とし、縦軸を直列弾性アクチュエータ20Dによって駆動されるリンク20Lの角度とするグラフである。このグラフにおいて、対象となるリンク20Lは、時刻t11における角度α1を始点I1における角度とし、時刻t2における角度α2を終点T1における角度とし、時間と共に角度が増加する角度変化となる経路P(計画軌跡)が設定されているとする。また、このリンク20Lの経路を基準とする許容範囲は、リンク20Lの角度を中心とする±β1である。更に、このグラフにおいて、実際の角度変化は、実線Aで示される。
【0071】
このグラフに示されるように、時刻t11において、リンク20Lの角度が経路Pを基準とする許容範囲外の角度になると、上述したように、制御装置10は、リンク20Lの回転速度及びブレードBの移動速度を減少させて、リンク20Lの角度が許容範囲内に収まるように制御する。一方で、時刻t11から時刻t2までの間、リンク20Lの角度が許容範囲内に収まっているため、制御装置10は、実線Aを経路Pに近づけるための制御を行わず、略一定の力でブレードBを窓Gに押し付けるように制御する。このような倣い動作を行うことにより、窓Gとロボットアーム20との相対的な位置関係が変動しても、ブレードBを追従させることが可能になる。
【0072】
制御装置10は、ブレードBが終点T1の位置に近づくと、窓枠FのエッジEの探索を開始する。具体的には、制御装置10のエッジ探索部10Fは、一つ又は複数のリンク20L(例えば先端のリンク20L)の加速度(又は角加速度)がゼロになったか否かをリンク20Lに設けられたセンサから取得する情報に基づいて判断し、リンク20Lの加速度(又は角加速度)がゼロになった時に、ブレードBがエッジEに沿って当接していると判断することにより、エッジEを検出する。
【0073】
図7は、窓枠Fが傾いたときのブレードBの動きを説明するための正面図である(但し説明を簡明にするため、窓枠Fの傾斜を誇張している)。この図に示されるように、窓枠Fが傾いた場合、まずブレードBの端部が窓枠Fに接触する。ここで、図5に示されるとおり、終点T1の位置は窓枠Fの外側(エッジEからみてブレードBと反対側の位置であって、ブレードBからみてエッジEよりも遠い位置)に位置するため、ロボットアーム20は、ブレードBを更に窓枠Fの外側に向かって進行させようとする。ここで、先端のリンク20Lは、柔軟性を有する駆動機構を備えているため、軸回りに回転することが可能である。従って、ロボットアーム20は、窓枠Fに接触するブレードBの端部を支点として、矢印AR8方向にブレードBを回転させ、その結果、ブレードBをエッジEに沿って当接させることが可能となる。上述したように、このとき先端のリンク20Lを窓Gの表面に対してわずかに鋭角(例えば、60度以上90度未満)となるように傾けることによって、ブレードBを窓枠Fに押し付けることが可能となる。
【0074】
ブレードBがエッジEと略平行となるように、ブレードBがエッジEに沿って当接すると、ブレードBはそれ以上動けなくなるため、全てのロボットアーム20のリンク20Lの角加速度はゼロとなる。従って、制御装置10は、エッジEを検出し、終点T1の位置に到達したと判断する。なお、既に述べたように、実際は窓枠F1が存在するため、先端のリンク20L又はブレードBが窓枠F1と干渉することはなく、ブレードBの実際の終点T1′の位置は、図3に示すように窓枠F1の内側に位置することとなる。
【0075】
なお、ステップS55においてロボットアーム20を始点I1から終点T1へと移動させるとき、ブレードBの上端を窓枠F3に押し付けるようにしてもよい。具体的には基準部位が経路上に存在するときにブレードBの上端が窓枠F3と干渉するように経路を設定することにより、ブレードBは、窓枠F3をブレードBの進行方向と垂直かつ窓Gの表面と平行な方向に押し付けながら、かつ、窓Gの表面の法線方向に押し付けながら並進移動する。従って、窓枠F3のエッジE周辺を好適に清掃することが可能になる。さらに、ブレードBの弾性を利用して窓GをブレードBの進行方向と平行かつ窓Gの表面と平行な方向に押し付けながら移動させてもよい。
【0076】
次いで、駆動制御部10Eは、始点I1及び終点T1とは異なる二点間を所定方向に沿ってロボットアーム20を移動させる際に、基本動作に基づいてロボットアーム20を移動させる(ステップS56)。ステップS56は、本発明における第2の移動工程に相当するものである。
【0077】
ステップS56において、駆動制御部10Eは、第2始点I2(始点I1から所定距離D3だけ下方に離隔した点)へとロボットアーム20を移動させ、第2始点I2から第2終点T2(終点T1から所定距離D3だけ下方に離隔した点)へと、所定方向(図3の矢印AR31と平行な方向)に沿って、ロボットアーム20を移動させる。この際、駆動制御部10Eは、始点I1から終点T1への移動の際に設定した基本動作に基づいて、第2始点I2から第2終点T2へのロボットアーム20の移動を実行する。すなわち、第2始点I2から第2終点T2への移動の際には、ステップS51及びステップS52で行ったような詳細な目標位置設定、経路設定、姿勢設定を行わない。この場合においても第2始点I2の位置を設定することは必要となるが、始点I1からの離隔距離D3を予め設定しておくことにより第2始点I2の位置を容易に設定することが可能である。なお、実際は窓枠F1が存在するため、先端のリンク20L又はブレードBが窓枠F1と干渉することはなく、ブレードBの実際の第2終点T2′の位置は、図3に示すように窓枠F1の内側に位置することとなる。
【0078】
同様に、駆動制御部10Eは、第3始点I3(第2始点I2から所定距離D3だけ下方に離隔した点)へとロボットアーム20を移動させ、第3始点I3から第3終点T3(第2終点T2から所定距離D3だけ下方に離隔した点)へと、所定方向(図3の矢印AR31と平行な方向)に沿って、ロボットアーム20を移動させる。なお、実際は窓枠F1が存在するため、先端のリンク20L又はブレードBが窓枠F1と干渉することはなく、ブレードBの実際の第3終点T3′の位置は、図3に示すように窓枠F1の内側に位置することとなる。
【0079】
以下、駆動制御部10Eは同様の制御を繰り返す。なお、ステップS56において、第n-1終点Tn-1から第n始点Inへと(すなわち図3の紙面左から右へと)ロボットアーム20を移動させる際には、ブレードBは必ずしも窓Gの表面を清掃する必要がない。このため、この移動の際の変位量を変位量D1よりも小さくし、ブレードBが窓Gを相対的に弱い力で押し付けながら高速で移動するようにしてもよいし、ブレードBを窓Gの表面から離隔させながら移動させてもよい。
【0080】
ステップS56において、駆動制御部10Eは、第n-1終点Tn-1から第n始点Inへとロボットアーム20を移動させる際に、既に述べた圧力センサやトルクセンサ等の検出手段を介して、ロボットアーム20が対象物に接触するか否かを検出する(ステップS57)。例えば、駆動制御部10Eは、第3終点T3から第4始点I4(第3始点I3から所定距離D3だけ下方に離隔した点)へとロボットアーム20を移動させる際に、ロボットアーム20が下側の窓枠F4に接触したことを検出手段で検出した場合に、以下の三種類の停止制御、すなわち、(A)基本動作に基づいてロボットアーム20を移動させた後にロボットアーム20を停止させる制御、(B)ロボットアーム20の移動を即座に停止させる制御、(C)基本動作とは異なる動作に基づいてロボットアーム20を移動させた後にロボットアーム20を停止させる制御、の何れかを実行する(ステップS58)。
【0081】
例えば、駆動制御部10Eは、図3に示すように、基本動作に基づいて、第4始点I4から第4終点T4(第3終点T3から所定距離D3だけ下方に離隔した点)へとロボットアーム20を移動させた後に、ロボットアーム20を停止させる(停止制御A)ことができる。なお、実際は窓枠F1が存在するため、先端のリンク20L又はブレードBが窓枠F1と干渉することはなく、ブレードBの実際の第4終点T4′の位置は、図3に示すように窓枠F1の内側に位置することとなる。
【0082】
停止制御Aに代えて、基本動作とは異なる動作(例えば、第4始点I4から所定方向にロボットアーム20を移動させる代わりに、下側の窓枠F4にブレードBを接触させ続けるようにロボットアーム20の姿勢を制御しながら移動させる動作)に基づいてロボットアーム20を移動させることもできる(停止制御C)。或いは、ロボットアーム20が下側の窓枠F4に接触したことを検出手段で検出した場合に、ロボットアーム20を窓枠Fに右下で即座に停止させることもできる(停止制御B)。以上の工程群により、窓Gの表面を清掃することができる。
【0083】
以上述べた実施形態に係るロボットシステム100によれば、所定の始点I1から所定の終点T1へと所定方向に沿ってロボットアーム20を移動させるように設定された基本動作に基づいてロボットアーム20を始点I1から終点T1へと移動させることができる。また、始点I1及び終点T1とは異なる二点間を所定方向に沿ってロボットアーム20を移動させる際にも、基本動作に基づいてロボットアーム20を移動させることができる。すなわち、所定の始点I1から所定の終点T1へと所定方向に沿ってロボットアーム20を移動させるための基本動作を一度設定してしまえば、その基本動作に基づいて、始点I1及び終点T1とは異なる二点間を所定方向に沿ってロボットアーム20を移動させることができる。従って、様々な大きさや形状の窓に対応するための動作をロボットアーム20に教示する必要がなくなり、効率良く清掃を行うことができる。
【0084】
なお、本実施形態においては、第1の移動工程が完了した後、図3の紙面左から右へとロボットアーム20を移動させた(すなわち、第2始点I2を始点I1の下方に設定した)例を示したが、例えば図8に示すように、第1の移動工程が完了した後、ロボットアーム20をそのまま下方にシフトさせる(すなわち、第2始点I2を現実の終点T1′の下方に設定する)こともできる。この場合においても、駆動制御部10Eは、始点I1から終点T1への移動の際に設定した基本動作(移動方向のみを反転させた動作)に基づいて、第2始点I2から第2終点T2へと、図8において矢印AR32で示す方向(図3の矢印AR31と平行な方向)にロボットアーム20を移動させることができる。
【0085】
このように、本発明における所定方向に沿った「基本動作」には、当初設定した始点と終点の位置を入れ替えて移動方向のみを反転させた動作も含まれるものとする。
【0086】
また、本実施形態は窓の清掃に関するものであったが、本発明の適用例は以上の実施形態に限られるものではない。例えば、本発明を適用することにより、処理対象物の表面に所定の処理を施す際に、様々な大きさや形状の処理対象物に対応するための動作をロボットアーム20に教示する必要がなくなり、効率良く処理を行うことができる。例えば、貼付対象物(処理対象物)の表面にカッティングシートを貼付するための貼付装置を保持するロボットアームを備える貼付ロボットシステムに、本発明を適用することができる。また、印刷対象物(処理対象物)の表面にインクを噴射して印刷するためのインクジェットヘッドを保持するロボットアームを備える印刷ロボットシステムに、本発明を適用することもできる。
【0087】
また、本発明は、その要旨を逸脱しない限り、さまざまな変形が可能である。たとえば、当業者の通常の創作能力の範囲内で、ある実施形態における一部の構成要素を、他の実施形態に追加することができる。また、ある実施形態における一部の構成要素を、他の実施形態の対応する構成要素と置換することができる。
【符号の説明】
【0088】
10…制御装置
20…ロボットアーム
20D…直列弾性アクチュエータ
20L…先端のリンク(手先)
20J…ジョイント(関節)
100…清掃用ロボットシステム
B…ブレード(清掃部材)
E…エッジ
F4…下側の窓枠(対象物)
1…始点
1…終点
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8