(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2022177501
(43)【公開日】2022-12-01
(54)【発明の名称】ガストーチ
(51)【国際特許分類】
F23D 14/28 20060101AFI20221124BHJP
F23D 14/66 20060101ALI20221124BHJP
F23D 14/64 20060101ALI20221124BHJP
【FI】
F23D14/28 A
F23D14/28 D
F23D14/66 B
F23D14/64 C
【審査請求】有
【請求項の数】9
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2021083804
(22)【出願日】2021-05-18
(11)【特許番号】
(45)【特許公報発行日】2022-11-22
(71)【出願人】
【識別番号】591098673
【氏名又は名称】小林 始
(74)【代理人】
【識別番号】100081673
【弁理士】
【氏名又は名称】河野 誠
(74)【代理人】
【識別番号】100141483
【弁理士】
【氏名又は名称】河野 生吾
(72)【発明者】
【氏名】小林 始
【テーマコード(参考)】
3K017
【Fターム(参考)】
3K017CA10
3K017CB02
3K017CB11
3K017CG03
3K017DC01
3K017DC04
(57)【要約】
【課題】ガストーチ内での液化ガスの気化を簡単な機構で促進する。
【解決手段】この発明のガストーチは、内部にガス流路R
1,R
2を形成したトーチ本体13の先端側にガス噴出用のノズル29と該ノズル29の噴出側の外周を覆い開口端側を燃焼部34とした火口管32とを同心的に装着し、基端部にガスボンベ1に着脱可能に装着してガス流路R
1,R
2とガスボンベ1内を連通させるジョイント部14を装着したガストーチであって、内部にガスとエアの混合室31d,37b,37f,37gを形成し、先端のガス噴出口31eを上記燃焼部34に開口させ、基端部をトーチ本体13側に支持させるべく嵌合固定し、燃焼部34の熱を基端側に伝導させてガストーチ内を流動するガスを加熱する伝熱管31,37を一体形成して設けている。
上記伝熱管31,37は熱伝導性に優れた耐熱性焼結材で形成している。
【選択図】
図3
【特許請求の範囲】
【請求項1】
内部にガス流路(R1,R2)を形成したトーチ本体(13)の先端側にガス噴出用のノズル(29)と該ノズル(29)の噴出側の外周を覆い開口端側を燃焼部(34)とした火口管(32)とを同心的に装着し、基端部にガスボンベ(1)に着脱可能に装着してガス流路(R1,R2)とガスボンベ(1)内を連通させるジョイント部(14)を装着したガストーチであって、内部にガスとエアの混合室(31d,37b,37f,37g)を形成し、先端のガス噴出口(31e)を上記燃焼部(34)に開口させ、基端部をトーチ本体(13)側に支持させるべく嵌合固定し、燃焼部(34)の熱を基端側に伝導させてガストーチ内を流動するガスを加熱する伝熱管(31,37)を一体形成して設けたガストーチ。
【請求項2】
伝熱管(31,37)を熱伝導性に優れた耐熱性焼結材で形成した請求項1に記載のガストーチ。
【請求項3】
混合室(31d)の内径をノズル(29)外径より大径に形成し、伝熱管(31)の周壁を薄肉に形成した請求項1又は2に記載のガストーチ。
【請求項4】
ノズル(29)の基端部をトーチ本体(13)の先端部のボス状の取付部(28)に嵌合固定して先端側を混合室(31d)内に突出させ、ノズル(29)の突出端の外径に対して混合室(31d)の少なくとも基端部側の内径を大きく形成し、ノズル(29)の突出端の外周と混合室(31d)の基端部側の内周との間に液化ガスの気化を促すドーナツ状の予熱空間(31f)を形成した請求項1~3のいずれかに記載のガストーチ。
【請求項5】
伝熱管(31)の混合室(31d)の周壁を上記予熱空間(31f)の外径に対応させて薄肉に形成した請求項4に記載のガストーチ。
【請求項6】
ノズル(29)の基端部をトーチ本体(13)の先端のボス状の取付部(28)に嵌合固定し、ノズル(29)の先端側外周に伝熱管(37)の基端部を嵌合固定した請求項1又は2に記載のガストーチ。
【請求項7】
伝熱管(37)の混合室(37b,37f,37g)の内径をノズル(29)の先端側の内径以下の内径に形成することにより伝熱管(37)の混合室(37b,37f,37g)の周壁を厚肉に形成した請求項1又は6に記載のガストーチ。
【請求項8】
ノズル(29)内に形成されたガス流路(41b)内に、ガス流に抵抗を与え加温による液化を促す充填材(42)を内挿した請求項1~7のいずれかに記載のガストーチ。
【請求項9】
充填材(42)が液化ガスを含浸する耐熱性を備えたセルロース,不織布又は熱伝導性に優れた焼結金属よりなる請求項8に記載のガストーチ。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
この発明は主として携帯型又はカセットタイプのガスボンベに使用するガストーチに関する。
【背景技術】
【0002】
上記ガスボンベに使用するガスには液化ガスが使用されており、従来燃焼時の気化を確実にするため着脱式のトーチには点火後の燃焼熱を利用して気化を促すヒートパネルや特許文献1に示すようなヒートパネルに代る予熱用のガス配管が施されるものが知られている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかし上記特許文献1の予熱用の配管は、ガストーチの基端部側(把手側)から導入される液化ガスを配管を通じて先端側にガスを迂回させてノズル側に返送供給する機構が採用されている。このため迂回させた配管や配管プラグ等を必要とするので、構造が複雑化して部品製造や組込み作業のためにコスト高となるという欠点がある。
【課題を解決するための手段】
【0005】
上記課題を解決するための本発明のガストーチは、第1に内部にガス流路R1,R2を形成したトーチ本体13の先端側にガス噴出用のノズル29と該ノズル29の噴出側の外周を覆い開口端側を燃焼部34とした火口管32とを同心的に装着し、基端部にガスボンベ1に着脱可能に装着してガス流路R1,R2とガスボンベ1内を連通させるジョイント部14を装着したガストーチであって、内部にガスとエアの混合室31d,37b,37f,37gを形成し、先端のガス噴出口31eを上記燃焼部34に開口させ、基端部をトーチ本体13側に支持させるべく嵌合固定し、燃焼部34の熱を基端側に伝導させてガストーチ内を流動するガスを加熱する伝熱管31,37を一体形成して設けたことを特徴としている。
【0006】
第2に伝熱管31,37を熱伝導性に優れた耐熱性焼結材で形成したことを特徴としている。
【0007】
第3に、混合室31dの内径をノズル29外径より大径に形成し、伝熱管31の周壁を薄肉に形成した
ことを特徴としている。
【0008】
第4に、ノズル29の基端部をトーチ本体13の先端部のボス状の取付部28に嵌合固定して先端側を混合室31d内に突出させ、ノズル29の突出端の外径に対して混合室31dの少なくとも基端部側の内径を大きく形成し、ノズル29の突出端の外周と混合室31dの基端部側の内周との間に液化ガスの気化を促すドーナツ状の予熱空間31fを形成したことを特徴としている。
【0009】
第5に、伝熱管31の混合室31dの周壁を上記予熱空間31fの外径に対応させて薄肉に形成したことを特徴としている。
【0010】
第6に、ノズル29の基端部をトーチ本体13の先端のボス状の取付部28に嵌合固定し、ノズル29の先端側外周に伝熱管37の基端部を嵌合固定したことを特徴としている。
【0011】
第7に、伝熱管37の混合室37b,37f,37gの内径をノズル29の先端側の内径以下の内径に形成することにより伝熱管37の混合室37b,37f,37gの周壁を厚肉に形成したことを特徴としている。
【0012】
第8に、ノズル29内に形成されたガス流路41b内に、ガス流に抵抗を与え加温による液化を促す充填材42を内挿したことを特徴としている。
【0013】
第9に、充填材42が液化ガスを含浸する耐熱性を備えたセルロース,不織布又は熱伝導性に優れた焼結金属よりなることを特徴としている。
【0014】
以上のように構成される本発明のガストーチによれば、以下のような効果を奏する。
(1)単一に一体形成された伝熱管を火口管(火口カバー)内に収容した状態でノズル側(トーチ本体側)に組付けられるので、部品加工及び組付け作業も簡単で、コストダウンが実現できるほか、内部の混合室でガスが流通する一体形成の伝熱管自体を先端の燃焼部で加熱するので、ノズル側への熱伝導にも優れ、燃焼部に向って流動するガスの予熱及び気化が確実に行われる。
【0015】
(2)伝熱管を薄肉にすることにより、火口径を大きくして軽量化するとともに焙り用の大径の炎を形成でき、伝熱管をノズルに嵌合して厚肉に形成することにより、熱伝導性を高め、混合室の径を細かくして炎を細径化し、溶接その他の一点集中加熱に適したトーチを得ることができる。
【0016】
(3)ノズル内に充填材を挿入することにより、ガス流に抵抗を与えて液化ガスの気化を促進し、さらに充填材に液化ガスを含浸させることにより、気化性能をより一層高めることができる。
上記以外の本発明の効果については、発明の実施の形態の説明中で説明される。
【図面の簡単な説明】
【0017】
【
図1】本発明のトーチをカセットガスボンベに装着した状態の側面図である。
【
図2】本発明のトーチをカセットガスボンベに装着した状態の平面図である。
【
図3】本発明の実施形態を示すガストーチの断面図である。
【
図4】本発明の他の実施形態を示すガストーチの断面図である。
【
図5】本発明に使用されるノズルの他の実施形態を示す断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0018】
図1~
図3は本発明の1実施形態を示し、板金製でカセットタイプのボンベ1にトーチ2を着脱可能に取付けた状態を示している。ボンベ1の上端にはドーム型に成形された蓋部3が、該蓋3の中心部には皿状に板金成形されたマウンテンカップ4がそれぞれカーリング接合により一体的に形成されている。
【0019】
マウンテンカップ4はその中心部に山形の弁体ケース6を上向きに突設し、その外周側のカップ周壁との間にドーナツ状の凹部を形成しており、弁体ケース6の中心には後述するガストーチ2側のジョイント部14の下端内部中心に下向きに突出するT字型の押えピン19を昇降可能に挿通する挿通孔が穿設されている。
【0020】
弁体ケース6の下部開口端には、ボンベ1内の液化ガスを浸透通過させるように真鍮等の金属材料を焼結成形したカップ状の閉塞カップ7が弁体ケース6の下向きの開口端を塞いで取付固定されており、その内部は弁体ケース6内とともに円形断面で上下方向のシリンダ状の空洞部8を形成している。
【0021】
そしてこの空洞部8内には、上下方向のシリンダ9が固定的に収容され、該シリンダ9内には下端側にコイルスプリング11を介して弁体12が昇降スライド可能に且つ上向きに付勢されて嵌合収容されており、トーチ2を装着しない状態では、弁体12が弁体ケース6の上壁内面に当接してボンベ1内にガスを封じ込めている。その結果上記空洞部8内には、閉塞カップ7の周壁を浸透通過して流入するガスが常時充満しており、ボンベ1内の液化ガスは、閉塞カップ7の周壁を浸透通過することにより、気化が促進される。
【0022】
一方、トーチ2は内部に基端部側から先端部側に通じるガス流路R1,R2を形成した金属製又はプラスチック材等からなるトーチ本体13の基端部側にガスボンベ1の弁体ケース6に着脱可能に装着するジョイント部14を設け、先端側にガス流路R1を経て噴出するガスを点火燃焼させる火口部16を設けている。さらにトーチ本体13のジョイント部14と火口部16との間には、上記ガス流路路R1,R2を開閉操作し、ガスの供給(噴出)量を調節する操作部17が設けられている。上記トーチ本体13は、前後2つ割に樹脂成形され、ねじ止め固定された本体カバー15内に収容固定されている。
【0023】
上記ジョイント部14はトーチ本体13の基端部下端にねじ込み固定されるボス状のハウジング18が着脱可能に装着されている。ハウジング18はその下端の開口部を前述した弁体ケース6に嵌合挿入することにより、その内部中心に下向きに突出させて設けられた押えピン19で、弁体ケース6内の弁体12をスプリング11に抗して押し下げて、シリンダー9及び閉塞カップ7内の空洞部8を、ハウジング18側のガス流路R3を連通(弁体12を開作動)させ、ボンベ1内のトーチ本体13内に導入させる。
【0024】
トーチ本体13内のガス流路R1,R2の間には、プランジャー状の操作弁(弁体)21を左右スライド可能に収容する弁室22が介設され、操作弁21を左右スライド調節することにより、ガス流路R1,R2の開閉とガス流量の調節を行う機構となっている。
【0025】
次に操作弁21の左右スライド機構につき説明すると、操作弁21を嵌合する円形の弁室22の開口端側の内周と操作弁21外周の中途はねじ切加工されて螺合されており、操作弁21は回転により左右動する機構になっている。
【0026】
また操作弁21の右端(外端)側には操作弁21の開状態のストッパーを兼ねたブッシュ23が、弁室22の開口端に同心的にねじ込み固定されている。さらに操作弁21の右端には臼状のボス部材24が嵌合固定されるとともに、さらにその外側には操作用のつまみ26がボス部材24に対して回転方向には係止され、軸方向にはスライド移動可能に取付固定されている。この機構によりつまみ26を回動操作することにより、操作弁21がボス部材24とともに左右スライドし、先端の弁室22内でガス流路R1,R2の開閉と開度調節(ガス流量調節)が行われる。
【0027】
他方、トーチ本体の弁室22の上部外周側と本体カバー15との間には、左右方向の圧電素子27が介挿して取付固定されており、その外側端面につまみ26の筒状端面が押接されることにより発電起動し、後述するガスの点火が行われる。このためつまみ26はボス部材24に対して軸方向移動することが必要で、本例ではつまみ26の外側端をプッシュすることにより、軸方向移動の操作を行う機構となっている。
【0028】
トーチ本体13の先端(左端)ボス状の取付部28はには、流路R
2と接続されるガス噴出用のノズル29がねじ込み固定されており(
図3参照)、取付部28の外周には真鍮やセラミック材等を焼結成形した高い熱伝導性を備えた伝熱管31が、さらに外周側には火口管32と同心的に嵌合固定されている。
【0029】
上記伝熱管31は、基端側と先端側に外向きに大径となるボス部31aと内向きに小径となるボス部31bを備えており、その途中は薄肉管で、内部はノズル29の噴出される液化ガスを含む燃料ガスと吸気孔31cを介して外周側から導入されるエアとを、液化ガスの気化を促進しながら混合する混合室31dとなっている。
【0030】
また伝熱管31の先端側のボス部中心は混合室31dより小径の噴出口31eを形成するとともに、その外周側には、前記圧電素子27の作動によってスパークさせ、噴出ガスに点火する点火部33が設けられている。さらに混合室31dの基端部側では、ノズル29の突出端外周と伝熱管31の基端部内周との間には、ドーナツ状の空間からなる予熱空間31fが混合室31dの一部として形成されており、この予熱空間31fも加熱による液化ガスの気化を促すべく作用する。
【0031】
伝熱管31と火口管32との間には、ドーナツ状の空間が形成され、この空間には火口管32の周壁に穿設された吸気孔32aを介して外部からエアが導入される。さらに伝熱管31の先端側の火口管32内には、噴出口31eより噴出する混合ガスが、前記点火部33によって点火され燃焼する燃焼部34が形成されている。
【0032】
上記点火と燃焼はつまみ26の操作による操作弁21の左右スライド(ガスの供給とガス供給量の調節)と、圧電素子27の作動によって行われるが、燃焼部34におけるガスの燃焼により、燃焼部34で伝熱管31の先端側のボス部31bが加熱され、伝熱管31の熱伝導により混合室31d内が加温されて混合ガス中の液化ガスの気化が促進されるとともに、基端部側では他方のボス部31aを介してノズル29が加温されるため、ノズル29内やその近傍のガス流路R2内も加温され、ここを流動する液化ガスの気化も促進される。その結果燃焼部34に噴出される燃料ガスはより確実に気化され、燃焼効率も高くなる。
【0033】
以上の説明に係る本例のガストーチは主として食品の焙りや加温、工作用加工物の加温のために使用するもので、発生する火炎が比較的大きく低温用に適しており、上記のように伝熱管を薄肉にし内径を大きくすることにより、軽量化が図られている。
【0034】
これに対して
図4に示すガストーチは、トーチ本体13側及びノズル29の機構は上記実施形態のものと共通する(したがってこれらの共通部分については共通の符号で表示し、説明を割愛する)が、火口管36と伝熱管37の構造と取付機構が異なる。以下これらの相違部分及び特徴点について詳述する。
【0035】
図4に示す例では、前記実施形態と同様に熱伝導性に優れた真鍮その他の材料で焼結成形された伝熱管37が使用されている。該伝熱管37はその基端部を細径に形成した接続部37aが直接ノズル29の外周に嵌合固定されており、接続部37a内のノズル29の先端側にはやや広い空間からなる第1混合室37bが形成され、その周壁には吸気孔37cが穿設されて外気と連通している。
【0036】
伝熱管37の接続部37aの前方と前端の外周は大径のボス部37d,37eが形成され、内部の第1混合室37cと先端のボス部37eに至る空間は、細径のストレートの円形空間からなる第2混合室37fが形成されており、さらにその先端側の開口端(ボス部37b内部)には、大径の空間からなる第3混合室37gが形成されている。
【0037】
またこの例では、伝熱管37の前後のボス部37d,37eの外周に火口管36が直接嵌合されて位置決め固定され、火口管36の先端内の第3混合室37gの開口端前方が燃焼部38となっており、該燃焼部38内に、圧電素子27の発電によって燃料ガスに放電点火する点火部33が設けられている。
【0038】
ここで示すガストーチは、伝熱管37内の混合室の大半を占める細径の第2混合室37fによって燃料ガスが速い流速で第3混合室37gに噴出点火されるので、燃焼部38から放出される火炎の径が小さく指向性を持ち且つ吸引エア量も多いため火力も強く、主として加工物の溶接や部分的溶解等に適している。
【0039】
さらに燃焼部38でのガスの燃焼熱が、全体として肉厚部分が長い伝熱管37によって基端部側に伝導する量や速度も大きいため、それぞれの混合室37b,37f,37g内の加熱やノズル29及びトーチ本体13の取付部28の加熱の効率も優れており、その内部を流通する液化ガスの気化効率も高く、燃焼部38における燃焼効率も良いという利点がある。尚、いずれの例においても点下部33や圧電素子27を設けず、別途点火用のライター(図示しない)を用いて点火することも可能である。
【0040】
図5はノズル29の他の実施形態を示す拡大断面図で、ノズル本体41は真鍮等の金属製で、基端部側がガス流路R
2側にねじ込固定によって連通接続されるねじ込部41aを形成し、内部の筒状のガス流路41bを介して先端にガスの噴出孔41cを形成している周知の断面構造を備えている。
【0041】
この例ではガス流路41b内に液化ガスを浸透させる材料よりなるスリーブ状に形成された充填材42を挿入している。該充填材42としては耐熱性を備えたセルロース,不織布又は熱伝導性に優れた真鍮等の焼結金属,セラミック材等が使用できる。この充填材42は、必ずしもスリーブ状に形成される必要はなく、例えば繊維状材料を全体に充填したものでも良い。
【0042】
上記充填材42により、ノズル29内を通過する液化ガスがノズル29とともに加熱された充填材42に含浸され又はその内部を通過する過程で流動抵抗を受けて流速を緩められながら気化し又は気化が促進される。
【符号の説明】
【0043】
1 ガスボンベ
13 トーチ本体
14 ジョイント部
28 取付部
29 ノズル
31 伝熱管
31d,37b,37f,37g 混合室
31e 噴出口
31f 予熱空間
34 燃焼部
37 伝熱管
41 ノズル
41b ガス流路
42 充填材
R1,R2 ガス流路
【手続補正書】
【提出日】2021-08-26
【手続補正1】
【補正対象書類名】特許請求の範囲
【補正対象項目名】全文
【補正方法】変更
【補正の内容】
【特許請求の範囲】
【請求項1】
その内部にガス流路(R1,R2)を形成したトーチ本体(13)と、
前記トーチ本体(13)の先端側に装着され、ガス噴出側に突出したガス噴出用のノズル(29)と、
前記トーチ本体(13)の先端側に装着され、前記ノズル(29)のガス噴出側の端部である先端部の外周を覆い、該ノズル(29)と同心的に配置され、該ノズル(29)よりもガス噴出側に突出され、その突出側端である先端を開口端とし、その内部における前記ノズルよりもガス噴出側である先端部にガスを燃焼させる燃料部(34,38)が形成された火口管(32,36)と、
前記トーチ本体(13)の基端部に装着されるとともにガスボンベ(1)に着脱可能に装着されて前記ガス流路(R1,R2)とガスボンベ(1)内を連通させるジョイント部(14)と、
その内部にガスとエアとを混合させる混合室(31d,37b,37f,37g)が形成され、その先端を上記燃焼部(34,38)に開口させてガス噴出口(31e)とし、その基端部がトーチ本体(13)側に嵌合固定して支持され、その全体が一体形成された伝熱管(31,37)とを備え、
前記伝熱管(31,37)は、前記燃焼部(34,38)の熱を、自身の基端側に伝導させてガストーチ内を流動するガスを加熱するように構成された
ことを特徴とするガストーチ。
【請求項2】
伝熱管(31,37)を熱伝導性に優れた耐熱性焼結材で形成した
請求項1に記載のガストーチ。
【請求項3】
混合室(31d)の内径をノズル(29)外径より大径に形成し、
伝熱管(31)の周壁を薄肉に形成した
請求項1又は2に記載のガストーチ。
【請求項4】
ノズル(29)の基端部をトーチ本体(13)の先端部のボス状の取付部(28)に嵌合固定して先端側を混合室(31d)内に突出させ、
ノズル(29)の突出端の外径に対して混合室(31d)の少なくとも基端部側の内径を大きく形成し、
ノズル(29)の突出端の外周と混合室(31d)の基端部側の内周との間に液化ガスの気化を促すドーナツ状の予熱空間(31f)を形成した
請求項1~3のいずれかに記載のガストーチ。
【請求項5】
伝熱管(31)の混合室(31d)の周壁を上記予熱空間(31f)の外径に対応させて薄肉に形成した
請求項4に記載のガストーチ。
【請求項6】
ノズル(29)の基端部をトーチ本体(13)の先端のボス状の取付部(28)に嵌合固定し、
ノズル(29)の先端側外周に伝熱管(37)の基端部を嵌合固定した
請求項1又は2に記載のガストーチ。
【請求項7】
伝熱管(37)内の基端部には混合室として第1混合室(37b)が形成され、
伝熱管(37)内の先端部には混合室として第3混合室(37g)が形成され、
伝熱管(37)内には、第1混合室(37b)から第3混合室(37g)に至る空間である第2混合室(37f)が形成され、
第1混合室(37b)及び第3混合室(37g)の内径を、第2混合室(37f)の内径よりも小径とすることによって、前記伝熱管(37)の第2混合室(37b)を覆う部分の周壁を厚肉に形成した
請求項6に記載のガストーチ。
【請求項8】
ノズル(29)内に形成されたガス流路(41b)には、気化を促す充填材(42)を挿入した
請求項1~7のいずれかに記載のガストーチ。
【請求項9】
充填材(42)が液化ガスを含浸する耐熱性を備えたセルロース,不織布又は熱伝導性に優れた焼結金属よりなる
請求項8に記載のガストーチ。
【手続補正2】
【補正対象書類名】明細書
【補正対象項目名】全文
【補正方法】変更
【補正の内容】
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
この発明は主として携帯型又はカセットタイプのガスボンベに使用するガストーチに関する。
【背景技術】
【0002】
上記ガスボンベに使用するガスには液化ガスが使用されており、従来燃焼時の気化を確実にするため着脱式のトーチには点火後の燃焼熱を利用して気化を促すヒートパネルや特許文献1に示すようなヒートパネルに代る予熱用のガス配管が施されるものが知られている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかし上記特許文献1の予熱用の配管は、ガストーチの基端部側(把手側)から導入される液化ガスを配管を通じて先端側にガスを迂回させてノズル側に返送供給する機構が採用されている。このため迂回させた配管や配管プラグ等を必要とするので、構造が複雑化して部品製造や組込み作業のためにコスト高となるという欠点がある。
【課題を解決するための手段】
【0005】
上記課題を解決するための本発明のガストーチは、第1に、その内部にガス流路R1,R2を形成したトーチ本体13と、前記トーチ本体13の先端側に装着され、ガス噴出側に突出したガス噴出用のノズル29と、前記トーチ本体13の先端側に装着され、前記ノズル29のガス噴出側の端部である先端部の外周を覆い、該ノズル29と同心的に配置され、該ノズル29よりもガス噴出側に突出され、その突出側端である先端を開口端とし、その内部における前記ノズルよりもガス噴出側である先端部にガスを燃焼させる燃料部34,38が形成された火口管32,36と、前記トーチ本体13の基端部に装着されるとともにガスボンベ1に着脱可能に装着されて前記ガス流路R1,R2とガスボンベ1内を連通させるジョイント部14と、その内部にガスとエアとを混合させる混合室31d,37b,37f,37gが形成され、その先端を上記燃焼部34,38に開口させてガス噴出口31eとし、その基端部がトーチ本体13側に嵌合固定して支持され、その全体が一体形成された伝熱管31,37とを備え、前記伝熱管31,37は、前記燃焼部34,38の熱を、自身の基端側に伝導させてガストーチ内を流動するガスを加熱するように構成されたことを特徴としている。
【0006】
第2に伝熱管31,37を熱伝導性に優れた耐熱性焼結材で形成したことを特徴としている。
【0007】
第3に、混合室31dの内径をノズル29外径より大径に形成し、伝熱管31の周壁を薄肉に形成した
ことを特徴としている。
【0008】
第4に、ノズル29の基端部をトーチ本体13の先端部のボス状の取付部28に嵌合固定して先端側を混合室31d内に突出させ、ノズル29の突出端の外径に対して混合室31dの少なくとも基端部側の内径を大きく形成し、ノズル29の突出端の外周と混合室31dの基端部側の内周との間に液化ガスの気化を促すドーナツ状の予熱空間31fを形成したことを特徴としている。
【0009】
第5に、伝熱管31の混合室31dの周壁を上記予熱空間31fの外径に対応させて薄肉に形成したことを特徴としている。
【0010】
第6に、ノズル29の基端部をトーチ本体13の先端のボス状の取付部28に嵌合固定し、ノズル29の先端側外周に伝熱管37の基端部を嵌合固定したことを特徴としている。
【0011】
第7に、伝熱管37内の基端部には混合室として第1混合室37bが形成され、伝熱管(37)内の先端部には混合室として第3混合室37gが形成され、伝熱管37内には、第1混合室37bから第3混合室37gに至る空間である第2混合室37fが形成され、第1混合室37b及び第3混合室37gの内径を、第2混合室37fの内径よりも小径とすることによって、前記伝熱管37の第2混合室37bを覆う部分の周壁を厚肉に形成したことを特徴としている。
【0012】
第8に、ノズル29内に形成されたガス流路41bには、気化を促す充填材42を挿入したことを特徴としている。
【0013】
第9に、充填材42が液化ガスを含浸する耐熱性を備えたセルロース,不織布又は熱伝導性に優れた焼結金属よりなることを特徴としている。
【発明の効果】
【0014】
以上のように構成される本発明のガストーチによれば、一体形成された伝熱管をトーチ本体側に組付けるので、部品加工及び組付け作業も簡単で、コストダウンが実現できるほか、その内部の混合室でガスが流通する伝熱管自体を先端の燃焼部で加熱するので、ノズル側への熱伝導にも優れ、燃焼部に向って流動するガスの予熱及び気化が確実に行われる。
【図面の簡単な説明】
【0015】
【
図1】本発明のトーチをカセットガスボンベに装着した状態の側面図である。
【
図2】本発明のトーチをカセットガスボンベに装着した状態の平面図である。
【
図3】本発明の実施形態を示すガストーチの断面図である。
【
図4】本発明の他の実施形態を示すガストーチの断面図である。
【
図5】本発明に使用されるノズルの他の実施形態を示す断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0016】
図1~
図3は本発明の1実施形態を示し、板金製でカセットタイプのボンベ1にトーチ2を着脱可能に取付けた状態を示している。ボンベ1の上端にはドーム型に成形された蓋部3が、該蓋3の中心部には皿状に板金成形されたマウンテンカップ4がそれぞれカーリング接合により一体的に形成されている。
【0017】
マウンテンカップ4はその中心部に山形の弁体ケース6を上向きに突設し、その外周側のカップ周壁との間にドーナツ状の凹部を形成しており、弁体ケース6の中心には後述するガストーチ2側のジョイント部14の下端内部中心に下向きに突出するT字型の押えピン19を昇降可能に挿通する挿通孔が穿設されている。
【0018】
弁体ケース6の下部開口端には、ボンベ1内の液化ガスを浸透通過させるように真鍮等の金属材料を焼結成形したカップ状の閉塞カップ7が弁体ケース6の下向きの開口端を塞いで取付固定されており、その内部は弁体ケース6内とともに円形断面で上下方向のシリンダ状の空洞部8を形成している。
【0019】
そしてこの空洞部8内には、上下方向のシリンダ9が固定的に収容され、該シリンダ9内には下端側にコイルスプリング11を介して弁体12が昇降スライド可能に且つ上向きに付勢されて嵌合収容されており、トーチ2を装着しない状態では、弁体12が弁体ケース6の上壁内面に当接してボンベ1内にガスを封じ込めている。その結果上記空洞部8内には、閉塞カップ7の周壁を浸透通過して流入するガスが常時充満しており、ボンベ1内の液化ガスは、閉塞カップ7の周壁を浸透通過することにより、気化が促進される。
【0020】
一方、トーチ2は内部に基端部側から先端部側に通じるガス流路R1,R2を形成した金属製又はプラスチック材等からなるトーチ本体13の基端部側にガスボンベ1の弁体ケース6に着脱可能に装着するジョイント部14を設け、先端側にガス流路R1を経て噴出するガスを点火燃焼させる火口部16を設けている。さらにトーチ本体13のジョイント部14と火口部16との間には、上記ガス流路路R1,R2を開閉操作し、ガスの供給(噴出)量を調節する操作部17が設けられている。上記トーチ本体13は、前後2つ割に樹脂成形され、ねじ止め固定された本体カバー15内に収容固定されている。
【0021】
上記ジョイント部14はトーチ本体13の基端部下端にねじ込み固定されるボス状のハウジング18が着脱可能に装着されている。ハウジング18はその下端の開口部を前述した弁体ケース6に嵌合挿入することにより、その内部中心に下向きに突出させて設けられた押えピン19で、弁体ケース6内の弁体12をスプリング11に抗して押し下げて、シリンダー9及び閉塞カップ7内の空洞部8を、ハウジング18側のガス流路R3を連通(弁体12を開作動)させ、ボンベ1内のトーチ本体13内に導入させる。
【0022】
トーチ本体13内のガス流路R1,R2の間には、プランジャー状の操作弁(弁体)21を左右スライド可能に収容する弁室22が介設され、操作弁21を左右スライド調節することにより、ガス流路R1,R2の開閉とガス流量の調節を行う機構となっている。
【0023】
次に操作弁21の左右スライド機構につき説明すると、操作弁21を嵌合する円形の弁室22の開口端側の内周と操作弁21外周の中途はねじ切加工されて螺合されており、操作弁21は回転により左右動する機構になっている。
【0024】
また操作弁21の右端(外端)側には操作弁21の開状態のストッパーを兼ねたブッシュ23が、弁室22の開口端に同心的にねじ込み固定されている。さらに操作弁21の右端には臼状のボス部材24が嵌合固定されるとともに、さらにその外側には操作用のつまみ26がボス部材24に対して回転方向には係止され、軸方向にはスライド移動可能に取付固定されている。この機構によりつまみ26を回動操作することにより、操作弁21がボス部材24とともに左右スライドし、先端の弁室22内でガス流路R1,R2の開閉と開度調節(ガス流量調節)が行われる。
【0025】
他方、トーチ本体の弁室22の上部外周側と本体カバー15との間には、左右方向の圧電素子27が介挿して取付固定されており、その外側端面につまみ26の筒状端面が押接されることにより発電起動し、後述するガスの点火が行われる。このためつまみ26はボス部材24に対して軸方向移動することが必要で、本例ではつまみ26の外側端をプッシュすることにより、軸方向移動の操作を行う機構となっている。
【0026】
トーチ本体13の先端(左端)ボス状の取付部28
には、流路R
2と接続されるガス噴出用のノズル29がねじ込み固定されており(
図3参照)、取付部28の外周には真鍮やセラミック材等を焼結成形した高い熱伝導性を備えた伝熱管31が、さらに外周側には火口管32と同心的に嵌合固定されている。
【0027】
上記伝熱管31は、基端側と先端側に外向きに大径となるボス部31aと内向きに小径となるボス部31bを備えており、その途中は薄肉管で、内部はノズル29の噴出される液化ガスを含む燃料ガスと吸気孔31cを介して外周側から導入されるエアとを、液化ガスの気化を促進しながら混合する混合室31dとなっている。
【0028】
また伝熱管31の先端側のボス部中心は混合室31dより小径の噴出口31eを形成するとともに、その外周側には、前記圧電素子27の作動によってスパークさせ、噴出ガスに点火する点火部33が設けられている。さらに混合室31dの基端部側では、ノズル29の突出端外周と伝熱管31の基端部内周との間には、ドーナツ状の空間からなる予熱空間31fが混合室31dの一部として形成されており、この予熱空間31fも加熱による液化ガスの気化を促すべく作用する。
【0029】
伝熱管31と火口管32との間には、ドーナツ状の空間が形成され、この空間には火口管32の周壁に穿設された吸気孔32aを介して外部からエアが導入される。さらに伝熱管31の先端側の火口管32内には、噴出口31eより噴出する混合ガスが、前記点火部33によって点火され燃焼する燃焼部34が形成されている。
【0030】
上記点火と燃焼はつまみ26の操作による操作弁21の左右スライド(ガスの供給とガス供給量の調節)と、圧電素子27の作動によって行われるが、燃焼部34におけるガスの燃焼により、燃焼部34で伝熱管31の先端側のボス部31bが加熱され、伝熱管31の熱伝導により混合室31d内が加温されて混合ガス中の液化ガスの気化が促進されるとともに、基端部側では他方のボス部31aを介してノズル29が加温されるため、ノズル29内やその近傍のガス流路R2内も加温され、ここを流動する液化ガスの気化も促進される。その結果燃焼部34に噴出される燃料ガスはより確実に気化され、燃焼効率も高くなる。
【0031】
以上の説明に係る本例のガストーチは主として食品の焙りや加温、工作用加工物の加温のために使用するもので、発生する火炎が比較的大きく低温用に適しており、上記のように伝熱管を薄肉にし内径を大きくすることにより、軽量化が図られている。
【0032】
これに対して
図4に示すガストーチは、トーチ本体13側及びノズル29の機構は上記実施形態のものと共通する(したがってこれらの共通部分については共通の符号で表示し、説明を割愛する)が、火口管36と伝熱管37の構造と取付機構が異なる。以下これらの相違部分及び特徴点について詳述する。
【0033】
図4に示す例では、前記実施形態と同様に熱伝導性に優れた真鍮その他の材料で焼結成形された伝熱管37が使用されている。該伝熱管37はその基端部を細径に形成した接続部37aが直接ノズル29の外周に嵌合固定されており、接続部37a内のノズル29の先端側にはやや広い空間からなる第1混合室37bが形成され、その周壁には吸気孔37cが穿設されて外気と連通している。
【0034】
伝熱管37の接続部37aの前方と前端の外周は大径のボス部37d,37eが形成され、内部の第1混合室37cから先端のボス部37eに至る空間は、細径のストレートの円形空間からなる第2混合室37fが形成されており、さらにその先端側の開口端(ボス部37b内部,ガス噴出口)には、大径の空間からなる第3混合室37gが形成されている。
【0035】
またこの例では、伝熱管37の前後のボス部37d,37eの外周に火口管36が直接嵌合されて位置決め固定され、火口管36の先端内の第3混合室37gの開口端前方が燃焼部38となっており、該燃焼部38内に、圧電素子27の発電によって燃料ガスに放電点火する点火部33が設けられている。
【0036】
ここで示すガストーチは、伝熱管37内の混合室の大半を占める細径の第2混合室37fによって燃料ガスが速い流速で第3混合室37gに噴出点火されるので、燃焼部38から放出される火炎の径が小さく指向性を持ち且つ吸引エア量も多いため火力も強く、主として加工物の溶接や部分的溶解等に適している。
【0037】
さらに燃焼部38でのガスの燃焼熱が、全体として肉厚部分が長い伝熱管37によって基端部側に伝導する量や速度も大きいため、それぞれの混合室37b,37f,37g内の加熱やノズル29及びトーチ本体13の取付部28の加熱の効率も優れており、その内部を流通する液化ガスの気化効率も高く、燃焼部38における燃焼効率も良いという利点がある。尚、いずれの例においても点下部33や圧電素子27を設けず、別途点火用のライター(図示しない)を用いて点火することも可能である。
【0038】
図5はノズル29の他の実施形態を示す拡大断面図で、ノズル本体41は真鍮等の金属製で、基端部側がガス流路R
2側にねじ込固定によって連通接続されるねじ込部41aを形成し、内部の筒状のガス流路41bを介して先端にガスの噴出孔41cを形成している周知の断面構造を備えている。
【0039】
この例ではガス流路41b内に液化ガスを浸透させる材料よりなるスリーブ状に形成された充填材42を挿入している。該充填材42としては耐熱性を備えたセルロース,不織布又は熱伝導性に優れた真鍮等の焼結金属,セラミック材等が使用できる。この充填材42は、必ずしもスリーブ状に形成される必要はなく、例えば繊維状材料を全体に充填したものでも良い。
【0040】
上記充填材42により、ノズル29内を通過する液化ガスがノズル29とともに加熱された充填材42に含浸され又はその内部を通過する過程で流動抵抗を受けて流速を緩められながら気化し又は気化が促進される。
【符号の説明】
【0041】
1 ガスボンベ
13 トーチ本体
14 ジョイント部
28 取付部
29 ノズル
31 伝熱管
31d 混合室
31e 噴出口
31f 予熱空間
34 燃焼部
37 伝熱管
37b 第1混合室(混合室)
37f 第2混合室(混合室)
37g 第3混合室(混合室)
38 燃焼部
41b ガス流路
42 充填材
R
1
ガス流路
R
2
ガス流路
【手続補正書】
【提出日】2022-01-17
【手続補正1】
【補正対象書類名】特許請求の範囲
【補正対象項目名】全文
【補正方法】変更
【補正の内容】
【特許請求の範囲】
【請求項1】
その内部にガス流路(R1,R2)を形成したトーチ本体(13)と、
前記トーチ本体(13)の先端側に装着され、ガス噴出側に突出したガス噴出用のノズル(29)と、
前記トーチ本体(13)の先端側に装着され、前記ノズル(29)のガス噴出側の端部である先端部の外周を覆うか、或いは該ノズル(29)よりもガス噴出側に位置する空間を覆い、該ノズル(29)と同心的に配置され、該ノズル(29)よりもガス噴出側に突出され、その突出側端である先端を開口端とし、その内部における前記ノズルよりもガス噴出側である先端部にガスを燃焼させる燃焼部(34,38)が形成された火口管(32,36)と、
前記トーチ本体(13)の基端部に装着されるとともにガスボンベ(1)に着脱可能に装着されて前記ガス流路(R1,R2)とガスボンベ(1)内を連通させるジョイント部(14)と、
その内部にガスとエアとを混合させる混合室(31d,37b,37f,37g)が形成され、その先端を上記燃焼部(34,38)に開口させてガス噴出口(31e)とし、その基端部がトーチ本体(13)側に嵌合固定して支持され、その全体が一体形成された伝熱管(31,37)とを備え、
前記伝熱管(31,37)は、前記燃焼部(34,38)の熱を、自身の基端側に伝導させてガストーチ内を流動するガスを加熱するように構成された
ことを特徴とするガストーチ。
【請求項2】
伝熱管(31,37)を熱伝導性に優れた耐熱性焼結材で形成した
請求項1に記載のガストーチ。
【請求項3】
混合室(31d)の内径をノズル(29)外径より大径に形成し、
伝熱管(31)の周壁を薄肉に形成した
請求項1又は2に記載のガストーチ。
【請求項4】
ノズル(29)の基端部をトーチ本体(13)の先端部のボス状の取付部(28)に嵌合固定して先端側を混合室(31d)内に突出させ、
ノズル(29)の突出端の外径に対して混合室(31d)の少なくとも基端部側の内径を大きく形成し、
ノズル(29)の突出端の外周と混合室(31d)の基端部側の内周との間に液化ガスの気化を促すドーナツ状の予熱空間(31f)を形成した
請求項1~3のいずれかに記載のガストーチ。
【請求項5】
伝熱管(31)の混合室(31d)の周壁を上記予熱空間(31f)の外径に対応させて薄肉に形成した
請求項4に記載のガストーチ。
【請求項6】
ノズル(29)の基端部をトーチ本体(13)の先端のボス状の取付部(28)に嵌合固定し、
ノズル(29)の先端側外周に伝熱管(37)の基端部を嵌合固定した
請求項1又は2に記載のガストーチ。
【請求項7】
伝熱管(37)内の基端部には混合室として第1混合室(37b)が形成され、
伝熱管(37)内の先端部には混合室として第3混合室(37g)が形成され、
伝熱管(37)内には、第1混合室(37b)から第3混合室(37g)に至る空間である第2混合室(37f)が形成され、
第1混合室(37b)及び第3混合室(37g)の内径を、第2混合室(37f)の内径よりも大径とすることによって、前記伝熱管(37)の第2混合室(37f)を覆う部分の周壁を厚肉に形成した
請求項6に記載のガストーチ。
【請求項8】
ノズル(29)内に形成されたガス流路(41b)には、気化を促す充填材(42)を挿入した
請求項1~7のいずれかに記載のガストーチ。
【請求項9】
充填材(42)が液化ガスを含浸する耐熱性を備えたセルロース,不織布又は熱伝導性に優れた焼結金属よりなる
請求項8に記載のガストーチ。
【手続補正2】
【補正対象書類名】明細書
【補正対象項目名】0005
【補正方法】変更
【補正の内容】
【0005】
上記課題を解決するための本発明のガストーチは、第1に、その内部にガス流路R1,R2を形成したトーチ本体13と、前記トーチ本体13の先端側に装着され、ガス噴出側に突出したガス噴出用のノズル29と、前記トーチ本体13の先端側に装着され、前記ノズル29のガス噴出側の端部である先端部の外周を覆うか、或いは該ノズル29よりもガス噴出側に位置する空間を覆い、該ノズル29と同心的に配置され、該ノズル29よりもガス噴出側に突出され、その突出側端である先端を開口端とし、その内部における前記ノズルよりもガス噴出側である先端部にガスを燃焼させる燃料部34,38が形成された火口管32,36と、前記トーチ本体13の基端部に装着されるとともにガスボンベ1に着脱可能に装着されて前記ガス流路R1,R2とガスボンベ1内を連通させるジョイント部14と、その内部にガスとエアとを混合させる混合室31d,37b,37f,37gが形成され、その先端を上記燃焼部34,38に開口させてガス噴出口31eとし、その基端部がトーチ本体13側に嵌合固定して支持され、その全体が一体形成された伝熱管31,37とを備え、前記伝熱管31,37は、前記燃焼部34,38の熱を、自身の基端側に伝導させてガストーチ内を流動するガスを加熱するように構成されたことを特徴としている。
【手続補正3】
【補正対象書類名】明細書
【補正対象項目名】0011
【補正方法】変更
【補正の内容】
【0011】
第7に、伝熱管37内の基端部には混合室として第1混合室37bが形成され、伝熱管(37)内の先端部には混合室として第3混合室37gが形成され、伝熱管37内には、第1混合室37bから第3混合室37gに至る空間である第2混合室37fが形成され、第1混合室37b及び第3混合室37gの内径を、第2混合室37fの内径よりも大径とすることによって、前記伝熱管37の第2混合室37fを覆う部分の周壁を厚肉に形成したことを特徴としている。
【手続補正書】
【提出日】2022-08-04
【手続補正1】
【補正対象書類名】特許請求の範囲
【補正対象項目名】全文
【補正方法】変更
【補正の内容】
【特許請求の範囲】
【請求項1】
その内部にガス流路(R1,R2)を形成したトーチ本体(13)と、
前記トーチ本体(13)の先端側に装着され、ガス噴出側に突出したガス噴出用のノズル(29)と、
前記トーチ本体(13)の先端側に装着され、前記ノズル(29)のガス噴出側の端部である先端部の外周を覆うか、或いは該ノズル(29)よりもガス噴出側に位置する空間を覆い、該ノズル(29)と同心的に配置され、該ノズル(29)よりもガス噴出側に突出され、その突出側端である先端を開口端とし、その内部における前記ノズルよりもガス噴出側である先端部にガスを燃焼させる燃焼部(34,38)が形成された火口管(32,36)と、
前記トーチ本体(13)の基端部に装着されるとともにガスボンベ(1)に着脱可能に装着されて前記ガス流路(R1,R2)とガスボンベ(1)内を連通させるジョイント部(14)と、
その内部にガスとエアとを混合させる混合室(31d,37b,37f,37g)が形成され、その先端を上記燃焼部(34,38)に開口させてガス噴出口(31e)とし、その基端部がトーチ本体(13)側に嵌合固定して支持され、その全体が一体形成された伝熱管(31,37)とを備え、
前記伝熱管(31,37)は、前記燃焼部(34,38)の熱を、自身の基端側に伝導させてガストーチ内を流動するガスを加熱するように構成され、
前記伝熱管(31,37)は、その先端部が前記燃焼部(34,38)に直接臨む
ことを特徴とするガストーチ。
【請求項2】
伝熱管(31,37)を熱伝導性に優れた耐熱性焼結材で形成した
請求項1に記載のガストーチ。
【請求項3】
火口管(32)は、前記ノズル(29)のガス噴出側の端部である先端部の外周を覆うように構成され、
混合室(31d)の内径をノズル(29)外径より大径に形成し、
伝熱管(31)の周壁を薄肉に形成した
請求項1又は2に記載のガストーチ。
【請求項4】
ノズル(29)の基端部をトーチ本体(13)の先端部のボス状の取付部(28)に嵌合固定して先端側を混合室(31d)内に突出させ、
ノズル(29)の突出端の外径に対して混合室(31d)の少なくとも基端部側の内径を大きく形成し、
ノズル(29)の突出端の外周と混合室(31d)の基端部側の内周との間に液化ガスの気化を促すドーナツ状の予熱空間(31f)を形成した
請求項3に記載のガストーチ。
【請求項5】
伝熱管(31)の混合室(31d)の周壁を上記予熱空間(31f)の外径に対応させて薄肉に形成した
請求項4に記載のガストーチ。
【請求項6】
火口管(36)は、前記ノズル(29)よりもガス噴出側に位置する空間を覆うように構成され、
ノズル(29)の基端部をトーチ本体(13)の先端のボス状の取付部(28)に嵌合固定し、
ノズル(29)の先端側外周に伝熱管(37)の基端部を嵌合固定した
請求項1又は2に記載のガストーチ。
【請求項7】
伝熱管(37)内の基端部には混合室として第1混合室(37b)が形成され、
伝熱管(37)内の先端部には混合室として第3混合室(37g)が形成され、
伝熱管(37)内には、第1混合室(37b)から第3混合室(37g)に至る空間である第2混合室(37f)が形成され、
第1混合室(37b)及び第3混合室(37g)の内径を、第2混合室(37f)の内径よりも大径とすることによって、前記伝熱管(37)の第2混合室(37f)を覆う部分の周壁を厚肉に形成した
請求項6に記載のガストーチ。
【請求項8】
ノズル(29)内に形成されたガス流路(41b)には、気化を促す充填材(42)を挿入した
請求項1~7のいずれかに記載のガストーチ。
【請求項9】
充填材(42)が液化ガスを含浸する耐熱性を備えたセルロース,不織布又は熱伝導性に優れた焼結金属よりなる
請求項8に記載のガストーチ。
【手続補正2】
【補正対象書類名】明細書
【補正対象項目名】0005
【補正方法】変更
【補正の内容】
【0005】
上記課題を解決するための本発明のガストーチは、第1に、その内部にガス流路R1,R2を形成したトーチ本体13と、前記トーチ本体13の先端側に装着され、ガス噴出側に突出したガス噴出用のノズル29と、前記トーチ本体13の先端側に装着され、前記ノズル29のガス噴出側の端部である先端部の外周を覆うか、或いは該ノズル29よりもガス噴出側に位置する空間を覆い、該ノズル29と同心的に配置され、該ノズル29よりもガス噴出側に突出され、その突出側端である先端を開口端とし、その内部における前記ノズルよりもガス噴出側である先端部にガスを燃焼させる燃料部34,38が形成された火口管32,36と、前記トーチ本体13の基端部に装着されるとともにガスボンベ1に着脱可能に装着されて前記ガス流路R1,R2とガスボンベ1内を連通させるジョイント部14と、その内部にガスとエアとを混合させる混合室31d,37b,37f,37gが形成され、その先端を上記燃焼部34,38に開口させてガス噴出口31eとし、その基端部がトーチ本体13側に嵌合固定して支持され、その全体が一体形成された伝熱管31,37とを備え、前記伝熱管31,37は、前記燃焼部34,38の熱を、自身の基端側に伝導させてガストーチ内を流動するガスを加熱するように構成され、前記伝熱管31,37は、その先端部が前記燃焼部34,38に直接臨むことを特徴としている。
【手続補正3】
【補正対象書類名】明細書
【補正対象項目名】0007
【補正方法】変更
【補正の内容】
【0007】
第3に、火口管32は、前記ノズル29のガス噴出側の端部である先端部の外周を覆うように構成され、混合室31dの内径をノズル29外径より大径に形成し、伝熱管31の周壁を薄肉に形成したことを特徴としている。
【手続補正4】
【補正対象書類名】明細書
【補正対象項目名】0010
【補正方法】変更
【補正の内容】
【0010】
第6に、火口管36は、前記ノズル29よりもガス噴出側に位置する空間を覆うように構成され、ノズル29の基端部をトーチ本体13の先端のボス状の取付部28に嵌合固定し、ノズル29の先端側外周に伝熱管37の基端部を嵌合固定したことを特徴としている。