(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2022177520
(43)【公開日】2022-12-01
(54)【発明の名称】ユニットルーム
(51)【国際特許分類】
E04H 1/12 20060101AFI20221124BHJP
E04B 1/70 20060101ALI20221124BHJP
F24F 7/007 20060101ALI20221124BHJP
【FI】
E04H1/12 302C
E04B1/70 A
F24F7/007 Z
【審査請求】未請求
【請求項の数】7
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2021083834
(22)【出願日】2021-05-18
(71)【出願人】
【識別番号】516317746
【氏名又は名称】株式会社永賢組
(74)【代理人】
【識別番号】100080838
【弁理士】
【氏名又は名称】三浦 光康
(74)【代理人】
【識別番号】100194261
【弁理士】
【氏名又は名称】栢原 崇行
(72)【発明者】
【氏名】成島 誠一
(72)【発明者】
【氏名】深澤 成政
(72)【発明者】
【氏名】永草 孝憲
【テーマコード(参考)】
2E001
【Fターム(参考)】
2E001DB02
2E001FA41
2E001NA05
2E001ND00
(57)【要約】
【課題】 低コストで十分な採光を得ることができ、かつ、防音効果も得られるユニットルームを提供すること。
【解決手段】ユニットルーム本体と、ユニットルーム本体に設けられた出入口及び換気手段とで構成され、ユニットルーム本体は、防音性を有する側壁部と、この側壁部の上端部に接続する屋根部と、側壁部の下端部に接続する支持部とで部屋状の内部空間を形成し、少なくとも屋根部又は側壁部のいずれかは、外部からの光を内部空間に取り入れる採光性機能を有し、また側壁部はその内壁面のうち少なくとも1つの面が内側に倒れ込むように傾斜して設けられているユニットルーム。
【選択図】
図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
組立家屋式のユニットルーム本体と、前記ユニットルーム本体に設けられた出入口及び換気手段とで構成され、前記ユニットルーム本体は、防音性を有する側壁部と、この側壁部の上端部に接続する屋根部と、前記側壁部の下端部に接続する支持部とで部屋状の内部空間を形成し、少なくとも前記屋根部又は前記側壁部のいずれかは、外部からの光を前記内部空間に取り入れる採光性機能を有し、また前記側壁部は、その内壁面のうち少なくとも1つの面が内側に倒れ込むように傾斜して設けられているユニットルーム。
【請求項2】
前記側壁部は、その内壁面が内側に倒れ込むように約5度傾斜して設けられていることを特徴とする請求項1に記載のユニットルーム。
【請求項3】
前記屋根部は、ドーム型に形成されていることを特徴とする請求項1又は請求項2のいずれかに記載のユニットルーム。
【請求項4】
前記側壁部は、複数の側壁板と前記側壁板を接続する接続部材とで構成され、前記側壁板は採光性機能があり、かつ、厚みの異なるパネル又は軽量ガラスのいずれかを2枚用いて2層となるように構成していることを特徴とする請求項1乃至請求項3のいずれかに記載のユニットルーム。
【請求項5】
前記支持部は、帯状のベース部材と、前記ベース部材に上方に凸状態となるように設けられた断面視略台形状又は略三角形状の係合片とで構成され、前記側壁部はその下部に前記係合片と係合する溝状の被係合部を有し、前記側壁部と前記支持部は前記係合片と前記被係合部が係合することにより着脱自在に接続され、前記側壁部と前記屋根部は、接合部材を介して着脱自在に接合されていることを特徴とする請求項1乃至請求項4のいずれかに記載のユニットルーム。
【請求項6】
前記換気手段は、前記側壁部の上部と下部にそれぞれファンを取り付け、前記上部のファンから外部の空気を吸い込み、前記下部のファンから前記ユニットルーム本体内部の空気を外部へ吐出することで、内部に常時内側へ向けた渦状の空気の流れを作ることを特徴とする請求項1乃至請求項5のいずれかに記載のユニットルーム。
【請求項7】
前記側壁部には、前記側壁部の採光性機能を有する部位の少なくとも一部を任意に覆うことができる目隠し手段を備えることを特徴とする請求項1乃至請求項6のいずれかに記載のユニットルーム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、様々なスペースに設置可能で、ワーキングスペースを有するユニットルームに関する。
【背景技術】
【0002】
現在、働き方改革や在宅勤務によるノマドワーク (通常のオフィス以外のさまざまな場所で仕事をする人)が推奨され、例えば各企業が従業員に対し、通勤型の勤務形態から在宅型のテレワークがニューノーマルとなりつつある。この通勤スタイルの変化に昨今の新型ウイルスによる感染拡大により拍車がかかり、いわゆるテレワークが日常となった。
このような仕事場の変化に伴い、テレワーク用の空間や場所を提供する建築事業者等は、様々な事情から自宅で勤務ができない社会人(会社員含む)や学生の急増により現状の環境や設備に後付でテレワーク環境を構築することが多く、これまでの建材・吸音材・吸音布などを利用した建築基準を満たす大規模な改修をするか、或いは旧来のパーテーションに吸音材を付けた家具を用いている。
【0003】
今後、働き方改革が進み、さらにインフラが5Gに変貌していくことに加え、全世界で蔓延している新型ウイルス感染症の防護策としてテレワーク・テレカンファレンスの形態が日常生活において「ニューノーマル」となり、街中の様々な業容、業態、店舗において仮置き型の採光(例えば組立家屋であれば外から内へ入り込む光線)が可能な遮音環境が望まれている。
【0004】
またテレワークを行うことができる店舗・共同利用オフィス・共同利用オープンスペースにおいて、業務用の電話やテレビ会議をする際に遮音や防音された環境が必要とされている。このような共同利用空間においてプライベートな空間を確保するために屋内等に設置されるユニットルームとしては、例えば「長方形状の複数の板状部材が長手方向を上下方向に向けた状態で互いに連結されて形成されてなる側壁部と、前記側壁部を形成する前記板状部材の下端縁を挿入して支持する長尺状の下方フレームとを備えた防音ボックスであって、前記側壁部は、互いに交差する方向に延びる第1側壁部及び第2側壁部を備え、前記下方フレームは、上方に開口する断面コ字状に形成されているとともに、前記第1側壁部を形成する前記板状部材の下端縁を支持する第1下方フレームと、前記第2側壁部を形成する前記板状部材の下端縁を支持する第2下方フレームを備え、前記第1下方フレームと前記第2下方フレームとが互いに連結されていないことを特徴とする防音ボックス」が知られている(特許文献1)。
【0005】
しかしながら、特許文献1に記載の発明においては、プライベート空間は確保でき、また防音効果は得られるものの、十分な採光を得られないおそれがあった。
また、採光を得られるとしても側壁の構造が複雑であり、コスト高となるものであった。
【0006】
特許文献2乃至5についても十分な採光を得られないおそれがあった。付言すると、これらの特許文献に記載された防音ボックス等は、吸音素材を利用した遮蔽環境を作るために、光の透過性がない遮音材、吸音材を利用した壁で囲うものが多く、狭い店舗や一部の窓から採光される部屋において外光を遮る形になり、店舗や事務所等の空間デザインや全体の明るさを損なうものが多かった。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0007】
【特許文献1】特開2019-109446号公報
【特許文献2】特許第6764107号公報
【特許文献3】特開2017-8553号公報
【特許文献4】特開2016-224333号公報
【特許文献5】特開2021-50582号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
本発明は以上のような従来の欠点に鑑み、低コストで十分な採光を得ることができ、かつ、防音効果も得られるユニットルームを提供することを目的としている。
【課題を解決するための手段】
【0009】
上記目的を達成するために、本発明の請求項1に記載のユニットルームは、組立家屋式のユニットルーム本体と、前記ユニットルーム本体に設けられた出入口及び換気手段とで構成され、前記ユニットルーム本体は、防音性を有する側壁部と、この側壁部の上端部に接続する屋根部と、前記側壁部の下端部に接続する支持部とで部屋状の内部空間を形成し、少なくとも前記屋根部又は前記側壁部のいずれかは、外部からの光を前記内部空間に取り入れる採光性機能を有し、また前記側壁部は、その内壁面のうち少なくとも1つの面が内側に倒れ込むように傾斜して設けられていることを特徴とする。
【0010】
請求項2に記載のユニットルームの前記側壁部は、内側に倒れ込むように約5度傾斜して設けられていることを特徴とする。
【0011】
請求項3に記載のユニットルームの前記屋根部は、ドーム型に形成されていることを特徴とする。
【0012】
請求項4に記載のユニットルームの前記側壁部は、複数の側壁板と前記側壁板を接続する接続部材とで構成され、前記側壁板は採光性機能があり、かつ、厚みの異なるパネル又は軽量ガラスのいずれかを2枚用いて2層となるように構成していることを特徴とする。
請求項5に記載のユニットルームの前記支持部は、帯状のベース部材と、前記ベース部材に上方に凸状態となるように設けられた断面視略台形状又は略三角形状の係合片とで構成され、前記側壁部はその下部に前記係合片と係合する溝状の被係合部を有し、前記側壁部と前記支持部は前記係合片と前記被係合部が係合することにより着脱自在に接続され、前記側壁部と前記屋根部は、接合部材を介して着脱自在に接合されていることを特徴とする。
【0013】
請求項6に記載のユニットルームの前記換気手段は、前記側壁部の上部と下部にそれぞれファンを取り付け、前記上部のファンから外部の空気を吸い込み、前記下部のファンから前記ユニットルーム本体内部の空気を外部へ吐出することで、内部に常時内側へ向けた渦状の空気の流れを作ることを特徴とする。
【0014】
請求項7に記載のユニットルームの前記側壁部には、前記側壁部の採光性機能を有する部位の少なくとも一部を任意に覆うことができる目隠し手段を備えることを特徴とする。
ここで「組立家屋式」とは、販売時点で既に組立されているか、それとも設置場所で組立てるか否かを問わず、運搬可能な内部空間を有する建物をいう。またここでの「採光性機能」とは、採光性又は/及び透過性を意味する。
【発明の効果】
【0015】
以上の説明から明らかなように、本発明にあっては次に列挙する効果が得られる。
(1)請求項1に記載された発明においては、少なくとも一部に採光性機能を有する側壁部を備えているので、十分な採光を得ることができる。
(2)側壁部は、その内壁面が内側に倒れ込むように傾斜して設けられているので、音源から発せられた音が上部へ反射することを抑制し、反射波の伝搬を抑え、遮音性を向上させることができる。
(3)請求項2に記載された発明も、前記(1)~(2)と同様な効果が得られるとともに、より効率よく反射波の伝搬を抑え、遮音性を向上させることができる。
(4)請求項3に記載された発明も、前記(1)~(3)と同様な効果が得られるとともに、ドーム状の屋根部を備えることにより、音の反射波が衝立てで囲んだ上部開口部へ反射するものを内部へ反射させ、外部へ伝搬することを軽減する。
(5)請求項4に記載された発明においては、(1)~(4)と同様な効果が得られるとともに、側壁部を厚みの異なるパネル又は軽量ガラスを2枚用いて2層となるように構成することにより音源から発せられる音の共鳴による伝搬を抑え、音漏れを抑止することができる。
(6)請求項5に記載された各発明においては、(1)~(5)と同様な効果が得られるとともに、容易に組み立てることができ、かつ、人力により内側から各衝立に圧力をかけることで容易に側壁板が外れる構造の為、緊急時には容易に避難することができる。
(7)請求項6に記載された各発明においては、(1)~(6)と同様な効果が得られるとともに、ユニットルーム内部の空気が滞留することなく、効率よく換気をすることができる。
(8)請求項7に記載された各発明においては、(1)~(7)と同様な効果が得られるとともに、目隠し手段により内側にいる利用者のモニター画面や資料、人物等が見えなくなり守秘性を高めることができる。
【図面の簡単な説明】
【0016】
図1乃至
図7は本発明の第1の実施形態を示す説明図である。
図8及び
図9は本発明の第1の実施形態を示す説明図である。
【
図1】第1実施形態のユニットルームの正面視からの概要説明図。
【
図4】音が反射する状態を示す参考説明図。(a)側壁部が内側に傾斜しているユニットルーム。(b)側壁部が略垂直のユニットルーム。
【
図6】換気手段を使用した状態の空気の流れを示す平面視からの説明図。
【
図7】換気手段を使用した状態の空気の流れを示す正面視からの説明図。
【
図8】第2実施形態のユニットルームの正面視からの概要説明図。
【発明を実施するための形態】
【0017】
以下、図面に示す本発明を実施するための形態により、本発明を詳細に説明する。
図1乃至
図7に示す本発明を実施するための第1の形態において、1は可搬性を有し、特に、建物の構内や屋内の空きスペース等の任意の場所に組立て設置可能で、内部にワーキングスペース2等を有する個室状のユニットルームである。
【0018】
ここで、前後方向は、
図2(平面視)において、下側が前部、上側が後部であり、左右方向は
図1(正面視)における左右方向であり、上下方向も
図1における上下方向である。
【0019】
ユニットルーム1は、
図1乃至
図3に示すように、例えば組立家屋式のユニットルーム本体3と、前記ユニットルーム本体3に設けられた出入口4と、前記ユニットルーム本体3に設けられた換気手段5とで構成されている。
【0020】
前記ユニットルーム本体3は、本実施形態では、
図1や
図5に示すように、少なくとも一部に採光性機能(採光性又は/及び透過性)を有し、平面視において横型の略長方形となるように設けられ、かつ、防音性を有する4つの側壁部6と、前記側壁部6の上部を塞ぐように設けられた屋根部7と、前記側壁部6の下部を支持する支持部8とで構成されており、このユニットルーム本体3の内部がワーキングスペース(内部空間)2となっている。
【0021】
換言すると、ユニットルーム1は、規格化され,工場等で量産される側壁、底壁、天井壁等の構造用合板が使用され,かつ, 施工方法はマニュアル化されていることから、いわば組立家屋の一種に相当する。このユニットルーム1は、販売時点で既に組立されているか、それとも設置場所で組立てるか否かを問わず、少なくとも運搬可能であり、ユニットルーム本体3と、ユニットルーム本体に設けられた出入口4及び換気手段5とで構成され、前記ユニットルーム本体3は、防音性を有する側壁部6と、この側壁部の上端部に接続する屋根部7と、前記側壁部の下端部に接続する支持部(底壁部)8とで部屋状の内部空間(ワーキングスペース)2を形成している。
【0022】
しかして、ユニットルーム本体3の内部空間(ワーキングスペース)2は、本実施形態では、好ましくは1人で仕事等を行える程度のスペースとなっており、例えば、前後方向に1.2m、左右方向に2.5m、高さ3.0m程度の空間を有している。このワーキングスペース2には仕事等を行うことができるデスク、椅子、インターネット接続手段、除菌器等が設けられている。なお、ワーキングスペース2に設置する設備等は適宜変更可能となっている。
【0023】
このユニットルーム本体3の一側面(平面視において前部側、正面視において手前側)には出入口4が設けられており、この出入口4は扉4aによって開閉される。この扉4aには適宜、シリンダ、サムターン等の錠前等を備えてもよい。また、扉4aは外側へ開く扉4a又は引き戸状の扉4aを用いることが望ましい。
【0024】
このユニットルーム本体3の側壁部6は、複数個、本実施形態では4枚の板状の側壁板9と前記側壁板9を接続する接続部材10とで構成されており、前記側壁板9は、採光性機能があり、かつ、防音性を有している。空気伝播音を一定程度遮音でき採光性機能を有する公知の防音壁を用いてもよいが、本実施形態においては、厚みの異なるパネル9a又は軽量ガラス9aを2枚用いて2層となるように構成することにより防音性を得ている。本実施形態のように、略全面に採光性機能を有するパネル9aで側壁部6を構成することが望ましいが、仕事等を行うための光量が十分に確保できる場合には、側壁部6の一部のみに採光性機能を有する部材で側壁部6を構成してもよい。
【0025】
さらに本実施形態では、パネル9aを用い、このパネル9aの左右の端部からやや内側に上下方向に延在するバー状のスペーサー9bを備えている。一方のパネル9aと他方のパネル9aの間にスペーサー9bを位置させることにより、2枚のパネル9a間に空間を形成している。
【0026】
側壁板9をこのような構成にすることにより、採光路をふさぐことがなく、音源から発せられる音の共鳴による伝搬を抑え、音漏れを抑止することができる。また、スペーサー9bを設けて2枚のパネル9aの間に隙間を形成することにより、側壁板9の外周部に後述する被係合部12を形成することができる。
【0027】
接続部材10は、本実施形態では、略円筒状の部材で、その外周部には側壁板9の側面の被係合部12と着脱自在に係合する係合突起11が設けられている。側壁板9の側部には、前記係合突起11が挿入され係合状態となる被係合部12が設けられている。
【0028】
側壁板9と接続部材10を接続することで側壁部6が形成されるが、この側壁部6は、側壁部6(側壁板9)の少なくとも1つの内壁面が数度から十数度程度、本実施形態では、すべての側壁板9の内壁面が内側に倒れ込むように約5度程度傾斜するように設けられている。内壁面が内側に倒れ込むように傾斜するとは、
図3に示すように、下部から上部に向かってユニットルーム本体3の内部空間が狭くなるように傾斜している状態をいう。なお、本実施形態においては、側壁部6の内壁面のみが内側に倒れ込むように約5度程度傾斜しており、側壁部6の外壁面は略垂直となるように構成されているが、側壁板9全体を内側に倒れ込むように傾けてもよい。
【0029】
このように側壁部6の内壁面が内側へ傾斜していることにより、
図4に示すように、音源から発せられる音波の反射波が上方へ反射することで音波の反射波も防音性を有する側壁部6へ多く反射させることができ、上部から外部に漏れることを軽減する。これにより垂直に立てる方法に比べ反射波の伝搬を抑え、さらに本実施形態においては傘状の形状を持つ上方の反射板(屋根部)へ反射する反射波を軽減することが可能となり遮音性を上げることが可能となる。
【0030】
なお、常に一方向を向いて仕事等を行う場合には、内部の人が向いている方向の壁面のみが内側に倒れ込むように傾斜していても一定の遮音効果を得ることができる。また、対向する側壁部6(対向する1対の側壁板9)のみ内側に傾斜させてもよい。
屋根部7は略ドーム型に形成されており、ビニールシート等の可撓性及び透光性を有するシート状の屋根本体13と、この屋根本体13をドーム状に保持する保持部材14とで構成されており、屋根部7は接合部材15を介して側壁部6の上部を塞ぐように着脱自在に接合されている。
【0031】
このように内側に傾斜した側壁部6及びドーム状の屋根部7を有することにより、また、上部にドーム型の透明傘の形状をもつ屋根部7を設けることにより反射波が衝立てで囲んだ上部開口部へ反射するものを内部へ反射させ、外部へ伝搬することを軽減する。
ところで屋根本体13をドーム状に保持する保持部材14は、ある程度の弾性を有する棒状の部材で、本実施形態では、この棒状の保持部材14を2本もちいて略中心部で交差させ、屋根本体13を支持する骨組みとしている。
【0032】
接合部材15は軽量の樹脂等で形成されたパイプ状の部材で、この接合部材15には、前記被係合部12と係合する係合突起11及び、前記保持部材14の端部が挿入される孔状の被挿入部が形成されている。
【0033】
ユニットルーム本体3の支持部8は、帯状の柔軟素材を用いたベース部材16と、前記ベース部材に上方に凸状態となるように設けられた断面視略台形状又は略三角形状の係合片17とで構成されている。
【0034】
ベース部材16は側壁部6の下部の全周を支持するように平面視略長方形状の枠状に形成され、このベース部材16に断面視略台形状の係合片17が平面視略長方形状となるように略レール状に固定されている。なお、角部にはパイプ状の接続部材10の下端部に係合する略円錐台形状の角部係合片17aを設けることが望ましい。
【0035】
この係合片17は、ウレタン等の柔軟性を有する素材で形成されており、この係合片17に側壁部6(側壁板9)の下部に形成された断面視略長方形状又は略正方形の溝状の被係合部12を係合させて側壁部6を構成する。このように断面視略台形状の係合片17に断面視略長方形状又は略正方形の溝状の被係合部12が係合するように構成することで、はめ込み構造の為簡易に設置組み立てが可能となる。
【0036】
また、接続部材10や接合部材15接合部に柔軟材(ウレタン材等)を使用することにより、隙間から透過する可能性のある音源からの音波を吸収または半減することが可能となる。
【0037】
さらに、緊急時には内部から強い力で押圧することで、側壁部6が倒壊し、容易に外部へ脱出できるものである。
【0038】
なお、本実施形態では、前述したように2枚のパネル9a間にスペーサー9bを設けることで被係合部12を形成しているが、側壁板9の下部を切削する、予め側壁板9に被係合部12が形成されるように成型する等により形成してもよい。
【0039】
側壁部6には、換気手段5としての複数個のファン5a、5bが取り付けられている。具体的には、前後左右の側壁板9にそれぞれ2つのファン5a、5bを上部と下部の角部付近に斜めに対抗するように取り付けている。本実施形態では、出入口4を有する側壁板9を除く側壁板9の左上の角部付近に吸気用のファン5aを設け、右下の角部付近に排気用のファン5bを設けている。出入口4を有する側面の側壁板9には、左上の角部に吸気用のファン5aのみを設けているが、他の側面の側壁板9と同様に、出入口付近の右下の角部付近に吸気用のファン5aを設け、右下の角部付近に排気用のファン5bを設けてもよい。
【0040】
このようにファン5a、5bを取り付けることにより、
図6及び
図7に示すように、前記上部のファン5aから外部の空気を吸い込み、前記下部のファン5bから前記ユニットルーム本体3内部の空気を外部へ吐出することで、内部に常時内側へ向けた渦状の空気の流れを作ることができる。
【0041】
このように閉鎖空間において空気の対流が常時上位から渦状で下部に抜ける空気の通り道ができ、内部で発せられる飛散ミストを常に下部(床方面)に押し下げ、外部に抜く対流が発生しているため、内部の空気が滞留することなく、またミストが飛散することなく外部の空気と入れ替わり、外部の他の空間にも飛散せずに床を這って出ていく事になるため、空気感染等による伝搬、伝染を防ぐ効果を得ることができる。
【0042】
本実施形態では、側壁部6や出入口4は透光性を有する透明なパネル9a等で構成されているため、外部からユニットルーム本体3の内部が視認できてしまう。そこで、前記側壁部6の採光性及び透過性を有する部位の少なくとも一部を任意に覆うことができる目隠し手段18をさらに備えている。
【0043】
この目隠し手段18は、本実施形態では、ロールカーテン18を用いており、ロールカーテンやブラインドのように、通常はコンパクトに収納でき、任意に目隠しができるものであることが望ましいが、通常のカーテン、電気をON/OFFすることで透明/不透明を切り替えられるシート等を目隠し手段18として用いてもよい。
【0044】
[発明を実施するための異なる形態]
次に、
図8及び
図9に示す本発明を実施するための異なる形態につき説明する。なお、この異なる実施形態の説明に当って、前記第1の実施形態と同一構成部分には同一符号を付して重複する説明を省略する。
【0045】
図8及び
図9に示す本発明を実施するための第2の形態において、前記本発明を実施するための第1の形態と主に異なる点は、前後方向に3.0m、左右方向に4.0m、高さ3.0m程度のワーキングスペース2を有するユニットルーム本体3Aを用いた点で、このようなユニットルーム本体3Aを用いたユニットルーム1Aにしても、前記本発明を実施するための第1の形態と同様な作用効果が得られるとともに、数人が内部で仕事等を行うことができるので、ミーティング等に用いることができる。
【0046】
本実施形態では、正面側の側壁部6の略中央部に出入口4を有しており、この出入口4を有する側壁板9にも左上の角部付近に吸気用のファン5aを設け、右下の角部付近に排気用のファン5aを設けている。このように換気手段5を設けることにより、さらに効率よく換気することができる。
【0047】
なお、本発明の実施形態では、平面視長方形状又は正方形状(多角形状)の側壁部を有するユニットルーム本体について説明したが、側壁部が曲面となる平面視略円形状の側壁部を有するユニットルーム本体としてもよい。このような場合、1つのパイプ状の側壁板で側壁部を構成できるため、側壁板を接続する接続部材は不要となる。
【0048】
また、ユニットルーム本体の大きさや高さも任意に変更できるものであり、例えば一定の長さを有する側壁板を複数枚接続部材等により直列状態で組み合わせて側壁部の長さを調節することもできる。
【産業上の利用可能性】
【0049】
本発明は可搬性を有するユニットルームを製造する産業で利用される。
【符号の説明】
【0050】
1、1A:ユニットルーム、 2:内部空間、
3、3A:ユニットルーム本体、 4:出入口、
5:換気手段、 6:側壁部、
7:屋根部、 8:支持部、
9:側壁板、 10:接続部材、
11:係合突起、 12:被係合部、
13:屋根本体、 14:共保持部材、
15:接合部材、 16:ベース部材、
17:係合片、 18:目隠し手段。