(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2022177542
(43)【公開日】2022-12-01
(54)【発明の名称】シートロック装置
(51)【国際特許分類】
B60N 2/20 20060101AFI20221124BHJP
B60N 2/90 20180101ALI20221124BHJP
【FI】
B60N2/20
B60N2/90
【審査請求】未請求
【請求項の数】5
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2021083882
(22)【出願日】2021-05-18
(71)【出願人】
【識別番号】590001164
【氏名又は名称】シロキ工業株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100105957
【弁理士】
【氏名又は名称】恩田 誠
(74)【代理人】
【識別番号】100068755
【弁理士】
【氏名又は名称】恩田 博宣
(72)【発明者】
【氏名】逸見 敏克
(72)【発明者】
【氏名】田中 祐
(72)【発明者】
【氏名】坂 昌寛
【テーマコード(参考)】
3B087
【Fターム(参考)】
3B087BD01
3B087CA10
3B087DA10
3B087DE10
(57)【要約】
【課題】異物が可動部品に干渉することを抑制できる、シートロック装置を提供する。
【解決手段】シートロック装置10は、フック20と、フック20の回転を規制するポールと、ポールを付勢する付勢部材61と、シートフレーム3に固定されるブラケット70と、フック20とポールとを保持するカバー50と、を備える。カバー50は、フック20の回転軸線に沿う第1方向D1と直交する第2方向から見て、第1側面51Aを含む第1ベース部51と、第2方向から見て、他方端に位置する第2側面52Aを含む第2ベース部52と、第1ベース部51と第2ベース部52とを接続する接続壁53と、を有する。第1ベース部51は、収容空間Sを介してブラケット70に対向するように配置される。第2ベース部52は、第1方向D1から見て、第1ベース部51に対向しない位置に配置される。
【選択図】
図12
【特許請求の範囲】
【請求項1】
回転軸線を中心として回転して拘束位置でストライカを拘束するフックと、規制位置に配置されることによって前記フックがロック解除方向に回転することを規制するポールと、前記ポールが前記規制位置に向かうように前記ポールを付勢する付勢部材と、シートフレームに固定されるブラケットと、前記フックと前記ポールとを保持するカバーと、を備えるシートロック装置であって、
前記カバーは、
前記フックの回転軸線に沿う第1方向と直交する第2方向から見て、前記第1方向において一方端に位置する第1側面を含む第1ベース部と、
前記第2方向から見て、前記第1方向において他方端に位置する第2側面を含む第2ベース部と、
前記第1ベース部と前記第2ベース部とを接続する接続壁と、を有し、
前記第1ベース部は、収容空間を介して前記ブラケットに対向するように配置されて、
前記第2ベース部は、前記第1方向から見て、前記第1ベース部に対向しない位置に配置される
シートロック装置。
【請求項2】
前記第1ベース部と前記ブラケットとの間の前記収容空間には、前記フックを支持する第1軸と前記ポールを支持する第2軸とが収容され、前記第2ベース部には、前記付勢部材が配置される
請求項1に記載のシートロック装置。
【請求項3】
前記接続壁は、前記第1方向からみて、前記第1ベース部と、前記第2ベース部との間に配置される
請求項2に記載のシートロック装置。
【請求項4】
前記ブラケットは、金属で構成され、前記カバーは、樹脂で構成される
請求項1~3のいずれか一項に記載のシートロック装置。
【請求項5】
前記第2ベース部は、前記付勢部材よりも外側に配置される側壁を有する
請求項1~4のいずれか一項に記載のシートロック装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、車両のシートロック装置に関する。
【背景技術】
【0002】
特許文献1には、車両シートに取り付けられるシートロック装置が開示されている。シートロック装置は、シートバックの側面に設けられている。シートロック装置は、車両に設けられるストライカに係合する。これによって、シートバックが車両に固定される。シートロック装置は、フックと、フックに係合するポールと、ポールを付勢するばねと、これら部品を収容するカバーとを備える。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
シートバックは、シートフレームと、シートフレームを覆うシートカバーとを備える。シートロック装置は、シートフレームに固定される。シートカバーは、シートフレームとシートロック装置とを覆う。シートカバーは、布、皮、または、樹脂シートで構成される。シートカバーの内面には、縫製糸、縫い代、タグ、クッション用のスポンジなどの異物がある。このため、シートロック装置のカバーの開口部がシートカバーに向く場合、異物がカバー内の可動部品に干渉する虞がある。異物が可動部品に干渉すると、シートロック装置の動作に支障が生じる虞がある。この点で、従来のシートロック装置は改善の余地がある。
【課題を解決するための手段】
【0005】
(1)上記課題を解決するシートロック装置は、回転軸線を中心として回転して拘束位置でストライカを拘束するフックと、規制位置に配置されることによって前記フックがロック解除方向に回転することを規制するポールと、前記ポールが前記規制位置に向かうように前記ポールを付勢する付勢部材と、シートフレームに固定されるブラケットと、前記フックと前記ポールとを保持するカバーと、を備えるシートロック装置であって、前記カバーは、前記フックの回転軸線に沿う第1方向と直交する第2方向から見て、前記第1方向において一方端に位置する第1側面を含む第1ベース部と、前記第2方向から見て、前記第1方向において他方端に位置する第2側面を含む第2ベース部と、前記第1ベース部と前記第2ベース部とを接続する接続壁と、を有し、前記第1ベース部は、収容空間を介して前記ブラケットに対向するように配置されて、前記第2ベース部は、前記第1方向から見て、前記第1ベース部に対向しない位置に配置される。
【0006】
従来技術では、カバーは、ブラケットと対向するように配置され、カバーとブラケットとの間に、フックと、ポールと、付勢部材とが配置されている。カバーは、ブラケットとシートフレームとの間に配置されて、ブラケットによって支持される。シートロック装置は、このように取り付けられるため、カバーの開口部は、シートカバーに向く。そうすると、フック、ポール、および付勢部材のいずれかが露出する場合に、シートカバーの異物がカバー内の可動部品に干渉する虞がある。
【0007】
本実施形態では、第1ベース部は、ブラケットに対向するように配置される。第1ベース部の第1開口部は、シートカバーに向くが、第1ベース部とブラケットとの間に配置される部品は、第1ベース部とブラケットとによって覆われるため、異物がこれら部品に干渉することが抑制される。第2ベース部は、第1方向から見て、前記第1ベース部に対向しない位置に配置される。また、第2ベース部は、第2方向から見て、第1方向において第1側面とは反対の位置にある第2側面を含むように構成される。このため、第2ベース部の第2開口部は、第1開口部と反対方向に向く。第1開口部がシートカバーに向く場合、第2開口部は、シートフレームに向く。このため、シートカバーの異物が、第2ベース部に配置される可動部品に干渉することが抑制される。このようにして、カバーに配置される可動部品は、第1ベース部および第2ベース部によって保護されるため、異物が可動部品に干渉することが抑制される。このようにして、シートロック装置の動作に支障が生じることを抑制できる。さらに、カバーは、スライド機構を有しない金型で形成できるため、カバー製造時の初期コストを抑制できる。
【0008】
(2)上記シートロック装置において、前記第1ベース部と前記ブラケットとの間の前記収容空間には、前記フックを支持する第1軸と前記ポールを支持する第2軸とが収容され、前記第2ベース部には、前記付勢部材が配置される。
【0009】
この構成によれば、付勢部材が第2ベース部に配置されるため、付勢部材は露出する。このため、ブラケットとカバーとを互いに結合した状態において、カバーに付勢部材を取り付けることができる。ブラケットとカバーとを互いに結合した状態において、カバーに付勢部材を取り付けることが出来る構造は、シートロック装置の生産性の向上に寄与する。
【0010】
(3)上記シートロック装置において、前記接続壁は、前記第1方向からみて、前記第1ベース部と、前記第2ベース部との間に配置される。この構成によれば、フックまたはポールに塗られる潤滑剤が、付勢部材が配置される第2ベース部に流れ込むことを抑制できる。
【0011】
(4)上記シートロック装置において、前記ブラケットは、金属で構成され、前記カバーは、樹脂で構成される。この構成によれば、カバーを金属で形成する場合に比べて、シートロック装置を軽量にできる。
【0012】
(5)上記シートロック装置において、前記第2ベース部は、前記付勢部材よりも外側に配置される側壁を有する。この構成によれば、付勢部材が配置される空間に異物が侵入することを抑制できる。
【発明の効果】
【0013】
本開示のシートロック装置は、異物が可動部品に干渉することを抑制できる。
【図面の簡単な説明】
【0014】
【
図1】シートロック装置を備える車両シートの模式図。
【
図3】所定方向からみた、シートロック装置の斜視図。
【
図4】
図3の所定方向と反対方向からみた、シートロック装置の斜視図。
【
図7】フックが開放位置に位置するときの、シートロック装置の模式図。
【
図8】フックが拘束位置に位置するときの、シートロック装置の模式図。
【
図9】フックが拘束位置に位置し、カムが移動したときのシートロック装置の模式図。
【
図10】ポールが解除位置に位置するときの、シートロック装置の模式図。
【
図12】
図2のXII-XII線に沿う、シートロック装置の断面図。
【発明を実施するための形態】
【0015】
図1~
図12を参照して、シートロック装置10について説明する。
図1に示されるように、シートロック装置10は、車両シート1のシートバック2に設けられる。
【0016】
具体的には、
図2に示されるように、シートロック装置10は、シートバック2のシートフレーム3に固定される。
図3は、所定方向からみた、シートロック装置10の斜視図である。
図4は、所定方向と反対方向からみた、シートロック装置10の斜視図である。
図11に示されるように、シートロック装置10は、シートバック2のシートカバー4によって覆われる。シートカバー4は、ストライカ5がシートロック装置10のロック溝18に進入できるように、部分的に開口する。
【0017】
シートロック装置10は、車両シート1を車体に固定解除可能に固定する。車体は、金属で形成されたストライカ5が設けられる。シートロック装置10がストライカ5を拘束することによって、車両シート1が車体に固定される。シートロック装置10がストライカ5の拘束状態を解除することによって、車体から車両シート1が移動可能になり、または、車両シート1のシートバック2の回転が許容されるようになる。
【0018】
以下では、後述のフック20の回転軸線C1に沿う方向を第1方向D1という。第2方向D2は、第1方向D1と直交する。シートロック装置10に対して相対的にストライカ5が移動する方向を第3方向D3という。本実施形態では、第2方向D2は、第1方向D1および第3方向D3と直交する。
【0019】
図5に示されるように、シートロック装置10は、フック20と、ポール30と、カバー50と、ブラケット70と、ポール30を付勢する付勢部材61と、を備える。本実施形態では、シートロック装置10は、さらに、フック20に係合するカム40と、補強部材80と、を備える。さらに、シートロック装置10は、第1軸11と、第2軸12と、フック20を付勢するフック付勢部材62と、カム40を付勢するカム付勢部材63と、を備える。
【0020】
図6を参照して、カバー50の構造を説明する。
カバー50は、フック20、ポール30、および、カム40を保持する。カバー50は、カバー溝54を有する。カバー溝54は、ストライカ5が進入する溝として構成される。カバー50は、第1ベース部51と、第2ベース部52と、第1ベース部51と第2ベース部52とを接続する接続壁53とを有する。
【0021】
第1ベース部51は、第2方向D2から見て、第1方向D1においてカバー50の一方端に位置する第1側面51Aを含む(
図4および
図12参照)。
第2ベース部52は、第2方向D2から見て、第1方向D1においてカバー50の他方端に位置する第2側面52Aを含む(
図3および
図12参照)。
【0022】
第1ベース部51は、収容空間Sを介してブラケット70のブラケット本体部71に対向するように配置される。第1ベース部51は、第1開口部51Bを有する。第1ベース部51には、フック20とポール30とが配置される。第1ベース部51とブラケット70との間の収容空間Sには、フック20を支持する第1軸11とポール30を支持する第2軸12とが収容される。
【0023】
第1ベース部51は、フック20を支持する第1支持部55と、ポール30およびカム40を支持する第2支持部56とを備える。第1支持部55と第2支持部56との間には、カバー溝54が設けられる。
【0024】
第1支持部55には、第1筒体55Aが設けられている。第1筒体55Aは、第1軸11が挿通するように構成される。第1筒体55Aには、フック付勢部材62が取り付けられる。フック付勢部材62は、フック20に係合した状態で、第1筒体55Aに取り付けられる。
【0025】
第2支持部56には、第2筒体56Aが設けられている。第2筒体56Aは、第2軸12が挿通するように構成される。第2筒体56Aには、カム付勢部材63が取り付けられる。カム付勢部材63は、カム40に係合した状態で、第2筒体56Aに取り付けられる。
【0026】
第2ベース部52は、第1方向D1から見て、第1ベース部51に対向しない位置に配置される。第2ベース部52は、第2開口部52Bを有する。第2開口部52Bは、第1開口部51Bが開口する向きと反対の向きに開口する(
図4および
図12参照)。
【0027】
第2ベース部52には、付勢部材61が配置される。第2ベース部52は、付勢部材61よりも外側に配置される側壁52Dを有する。第2ベース部52には、付勢部材61を引っ掛ける突起52Cが設けられている。
【0028】
付勢部材61は、ポール30に係合した状態でカバー50に取り付けられる。付勢部材61の第1端部61Aは、第2ベース部52に設けられる突起52Cに引っ掛けられる。付勢部材61の第2端部61Bは、ポール30の操作部35の近くにある孔に引っ掛けられる(
図4参照)。付勢部材61は、ポール30が規制位置(後述参照)に向かうようにポール30を付勢する。
【0029】
接続壁53は、第1方向D1からみて、第1ベース部51と、第2ベース部52との間に配置される。接続壁53は、第1ベース部51の端部から第1方向D1に延びて第2ベース部52の端部に接続する。
【0030】
カバー50には、第1軸11と第2軸12とが設けられる。
第1軸11は、フック20を回転可能に支持する。本実施形態では、フック20は、第1軸11に対して回転するように第1軸11に取り付けられる。フック20は、第1軸11に固定されてもよい。この場合、第1軸11は、フック20とともに回転する。
【0031】
第2軸12は、ポール30およびカム40を回転可能に支持する。本実施形態では、カム40およびポール30は、第2軸12に対して回転するように第2軸12に取り付けられる。第2軸12は、第1軸11に平行にカバー50に設けられる。
【0032】
ブラケット70は、補強部材80とともにカバー50を支持する。また、ブラケット70は、シートロック装置10をシートフレーム3に固定するための部品である。ブラケット70は、金属によって形成される。例えば、ブラケット70は、鉄、またはアルミニウム合金によって形成される。
【0033】
ブラケット70は、ブラケット本体部71と、ブラケット本体部71から延びる2つの腕部73とを有する。
ブラケット本体部71は、カバー50の第1開口部51Bを覆う。ブラケット本体部71は、ストライカ5が入るブラケット溝72を有する。ブラケット本体部71は、第1方向D1から見て、カバー溝54とブラケット溝72とが重なるように、カバー50に取り付けられる(
図4参照)。ブラケット本体部71は、第1軸11の端部および第2軸12の端部を保持する。
【0034】
ブラケット本体部71において両端部それぞれに腕部73が設けられる。腕部73は、ブラケット本体部71に直交するように延びる腕本体部74と、腕本体部74から直交するように延びる固定部75とを有する。固定部75には、締結部材が挿通する孔が設けられている。ブラケット70は、締結部材によってシートフレーム3に固定される。
【0035】
補強部材80は、金属によって形成される。例えば、補強部材80は、鉄、またはアルミニウム合金によって形成される。補強部材80は、ブラケット70およびカバー50を補強する。補強部材80は、第1軸11の端部および第2軸12の端部を保持する。
【0036】
補強部材80は、カバー50に対して、第1方向D1においてブラケット70と反対側に配置される。カバー50は、第1方向D1において、補強部材80とブラケット本体部71とによって挟持される。
【0037】
補強部材80の両端には、固定部81が設けられる。固定部81には、締結部材が挿通する孔が設けられている。補強部材80の固定部81は、ブラケット70の固定部75に重ねられて、固定部75に固定される。補強部材80は、ブラケット70の2つの固定部75に架け渡るように、ブラケット70に取り付けられる。
【0038】
カバー50にブラケット70が取り付けられた状態では、カバー溝54にブラケット溝72が重なる。以下では、カバー溝54にブラケット溝72が重ねられることによって構成される1つの溝を「ロック溝18」という。ロック溝18は、ストライカ5が進入および離脱するように構成される。
【0039】
フック20は、第1軸11を介してカバー50に回転可能に支持される。フック20は、回転軸線C1を中心として回転する。回転軸線C1は、第1軸11の中心線を通る。フック20は、拘束位置から開放位置に向かう第1回転方向R1(ロック解除方向)にフック付勢部材62によって付勢される。フック20は、拘束位置でストライカ5を拘束する。
【0040】
図5に示されるように、フック20は、第1軸11を受ける軸受部21と、フック溝22と、ストライカ拘束部23と、ストライカ受部24と、突出部25と、を有する。フック溝22は、ストライカ5が進入および離脱するように構成される。フック溝22は、ストライカ拘束部23と、ストライカ受部24との間に設けられる。
【0041】
ストライカ拘束部23は、フック20が拘束位置に配置される状態で、ストライカ5が離脱することを阻止するように構成される(
図8および
図9参照)。ストライカ受部24は、フック20が開放位置に配置される状態で、ストライカ5の進入時、ストライカ5が当接するように構成される(
図7および
図10参照)。
【0042】
フック20は、回転によって開放位置と拘束位置とに配置され得る。開放位置は、第1方向D1から見て、ロック溝18の開口端18Aにフック溝22の開口端22Aが重なるときのフック20の回転位置である(
図7および
図10参照)。拘束位置は、第1方向D1から見て、ロック溝18の開口端18Aがストライカ拘束部23によって閉じられるときのフック20の回転位置である(
図8および
図9参照)。
【0043】
フック20は、第1方向D1に直交する方向(第2方向D2)に突出する突出部25を有する。突出部25の側面には、第1当接部26、第2当接部27、および、第3当接部28が設けられる。第1当接部26および第2当接部27は、凹曲面に構成される。第2当接部27は、第1当接部26に対して第1方向D1にシフトした位置に設けられる。第3当接部28は、突出部25の先端部に設けられる。
【0044】
第1当接部26は、フック20が拘束位置に配置されるとき、ポール押圧部32が押し当てられる部分である(
図8参照)。第2当接部27は、フック20が拘束位置に配置されるとき、カム押圧部42が押し当てられる部分である(
図9参照)。第3当接部28は、フック20が開放位置に配置されるとき、ポール30のポール当接部34を押す部分である(
図7参照)。
【0045】
ポール30は、第2軸12を介してカバー50に回転可能に支持される。ポール30は、回転軸線C2を中心として回転する。回転軸線C2は、第2軸12の中心線を通る。ポール30は、回転によって規制位置と解除位置とに配置され得る。ポール30は、付勢部材61によって規制位置に向かうように付勢される。具体的には、ポール30は、解除位置から規制位置に向かう第2回転方向R2に付勢部材61によって付勢される。
【0046】
ポール30は、規制位置に配置されることによってフック20が第1回転方向R1(ロック解除方向)に回転することを規制する(
図8および
図9参照)。規制位置は、フック20が拘束位置に配置されているときにポール30のポール押圧部32がフック20の第1当接部26に接触して、フック20が第1回転方向R1(ロック解除方向)に回転することを規制する位置である(
図8および
図9参照)。解除位置は、ポール30のポール押圧部32がフック20の第1当接部26に接触しない位置である(
図7および
図10参照)。ポール30は、フック20に係合することによって、ストライカ5の拘束状態を維持する。
【0047】
図5に示されるように、ポール30は、第2軸12を受ける軸受部31と、ポール押圧部32と、ポール係合部33と、操作部35とを有する。
ポール押圧部32は、フック20が拘束位置に配置されかつポール30が規制位置に配置されるときに、フック20の第1当接部26に接触し、フック20が第1回転方向R1(ロック解除方向)に回転することを阻止する。
【0048】
ポール30のポール係合部33は、カム40に係合する部分である。ポール係合部33はカム40のカム接触部43に接触する。ポール係合部33は、ポール30が規制位置に位置するとき、ポール係合部33がカム接触部43の端部から離れ、かつ、ポール30が解除位置に配置されるとき、ポール係合部33がカム接触部43の端部に接触するように構成される。
【0049】
操作部35は、ポール30を操作するための操作レバーまたはケーブルが接続される部分である。操作部35には、操作レバーまたはケーブルを介して、ポール30を回転させる力が加わる。具体的には、付勢部材61がポール30に作用させている力と反対方向の操作力が、操作部35に加えられる。操作力が操作部35に加えられることによって、ポール30は、第2回転方向R2と反対方向に回転する。
【0050】
カム40は、第2軸12を介してカバー50に回転可能に支持される。カム40は、回転軸線C2を中心として回転する。カム40は、第1方向D1においてポール30に隣接する。カム40は、カム係合位置と、カム非係合位置とに配置され得る。カム40は、カム付勢部材63によってカム係合位置に向かうように付勢される。具体的には、カム40は、カム非係合位置からカム係合位置に向かう第3回転方向R3にカム付勢部材63によって付勢される。第3回転方向R3は、第2回転方向R2と同じ回転方向である。
【0051】
カム40は、カム係合位置に配置されてフック20に係合することによって、ストライカ5の拘束状態を維持する。カム係合位置は、フック20が拘束位置に配置されるとき、カム押圧部42がフック20の第2当接部27に接触する、カム40の回転位置である(
図8および
図9参照)。カム非係合位置は、カム押圧部42がフック20の第2当接部27に接触しない、カム40の回転位置である(
図7および
図10参照)。
【0052】
図5に示されるように、カム40は、第2軸12を受ける軸受部41と、カム押圧部42と、カム接触部43とを有する。
カム押圧部42は、フック20が拘束位置に配置されかつカム40がカム係合位置に配置されるときに、フック20の第2当接部27に接触し、フック20が第1回転方向R1(ロック解除方向)に回転することを阻止する。
【0053】
カム接触部43は、ポール30のポール係合部33によって押される部分である。カム接触部43は、カム40がカム係合位置に配置されるとき、ポール係合部33から離れるように構成される。カム接触部43は、カム40に設けられる長孔として構成される。長孔は、ポール係合部33が挿通するように構成される。
【0054】
図7~
図10を参照して、シートロック装置10の動作を説明する。
図7は、ストライカ5を拘束していないときの、シートロック装置10の内部構造を示す。フック20は、開放位置に配置される。
【0055】
フック溝22の開口端22Aは、ロック溝18の開口端18Aに重なる。このとき、フック20の第3当接部28は、ポール30のポール当接部34に当たる。フック20の第3当接部28とポール当接部34との接触によって、力の均衡によって、フック20は開放位置に維持され、かつ、ポール30は解除位置に維持される。ポール30のポール係合部33は、カム接触部43の端部に接触してカム40を第3回転方向R3と反対方向に押す。ポール係合部33とカム接触部43の端部との接触によって、カム40は、カム非係合位置に配置される。
【0056】
ストライカ5が相対的にロック溝18に進入すると、ストライカ5は、その進入によって、フック20のストライカ受部24に押してフック20を第1回転方向R1(ロック解除方向)の反対方向に回転させる。これによって、フック20が拘束位置に向かって回転するとき、フック20の第3当接部28は、ポール30のポール当接部34から離れる。そうすると、ポール30は、付勢部材61の付勢力によって第2回転方向R2に回転する。このとき、ポール係合部33は、カム接触部43の端部から離れるため、ポール30の回転に伴ってカム40は第3回転方向R3に回転する。
【0057】
図8に示されるように、フック20が拘束位置まで回転すると、フック20のストライカ拘束部23がロック溝18を閉じる。これによって、ストライカ5は、フック20によって拘束される。このとき、ポール30のポール押圧部32がフック20の第1当接部26を押圧する。さらに、カム40のカム押圧部42がフック20の第2当接部27を押圧する。これによって、ポール30およびカム40によって、フック20の第1回転方向R1の回転が阻止される。このようにして、フック20は、拘束位置に維持される。
【0058】
図9に示されるように、ストライカ5がロック溝18の奥に押し込まれて、フック20の第1当接部26とポール押圧部32との間に隙間が生じると、カム40は、カム付勢部材63の付勢力によって第3回転方向R3に回転する。このとき、ポール係合部33は、カム接触部43の中央付近に位置する。このようにして、フック20の第2当接部27とカム40のカム押圧部42とが互いに接触する状態が維持される。このとき、ストライカ5はロック溝18の奥とフック溝22で挟持された状態となる。このため、フック20が揺れ動くようなガタが生じることが抑制される。
【0059】
図10を参照して、ストライカ5を開放するときのシートロック装置10の動作を説明する。
ストライカ5が拘束された状態において、操作者の操作に基づいてポール30が第2回転方向R2と反対方向に回転すると、ポール30のポール係合部33がカム40のカム接触部43の端部に接触する。ポール30が規制位置から解除位置に向かって回転すると、カム40は、ポール30の力を受けて、カム係合位置からカム非係合位置まで回転する。そうすると、カム押圧部42が、フック20の第2当接部27から離れ、これに続いて、ポール押圧部32が、フック20の第1当接部26から離れる。これによって、フック20は、第1回転方向R1(ロック解除方向)に回転可能になる。
【0060】
さらに、シートバック2が折り畳まれる動作に伴ってシートロック装置10が移動すると、ストライカ5がロック溝18から離脱する。そうすると、これに伴ってフック20が第1回転方向R1に回転し、フック20は、開放位置に至る。
【0061】
図11を参照して、参考例のシートロック装置10の取り付け構造を説明する。参考例のシートロック装置10は、従来構造のシートロック装置10である。
図11は、
図12の切断線と同じ位置で、参考例のシートロック装置10を切断したときの、シートロック装置10の断面図である。
【0062】
図11に示されるように、参考例のシートロック装置10は、本実施形態と同じ機能のカバー50を有する。カバー50は、第1ベース部51と第2ベース部52とを有する。第2ベース部52には、付勢部材61が配置される。第2ベース部52は、第1方向D1において、第1ベース部51と同じ位置に設けられる。第1ベース部51には、フック20が配置される。第1ベース部51は、ブラケット70によって覆われる。ブラケット70は、第2ベース部52を覆っていない。この構造は、シートロック装置10の生産時、ブラケット70の取り付け後、第2ベース部52に付勢部材61を取り付けるための構造である。生産時において、カバー50にブラケット70の取り付けることによって、カバー50に配置されるフック20およびポール30の固定が安定し、付勢部材61の取り付けの作業性が向上する。以上の理由によって、第2ベース部52は、開口する。
【0063】
このような参考例のシートロック装置10の場合、シートロック装置10がシートフレーム3に取り付けられると、第2ベース部52の第2開口部52Bは、外方に向く(
図11参照)。このため、第2ベース部52に設けられる付勢部材61は、シートカバー4に接触する虞がある。また、第2ベース部52に異物6が入り易い。異物6として、シートカバー4から出る縫製糸が挙げられる。付勢部材61にシートカバー4が接触したり、異物6が付勢部材61に付着したりすると、シートロック装置10のロック解除操作の円滑性が損なわれる虞がある。
【0064】
本実施形態の作用を説明する。
図12に示されるように、本実施形態では、第1ベース部51は、収容空間Sを介してブラケット70に対向するように配置される。第2ベース部52は、第1方向D1から見て、第1ベース部51に対向しない位置に配置される。さらに、シートロック装置10を第2方向D2から見た場合に、第1方向D1において一方端に第1ベース部51が配置され、かつ、第1方向D1において他方端に第2側面52Aが配置される。これによって、第2ベース部52の第2開口部52Bは、第1ベース部51の第1開口部51Bと反対の方向に向く。
【0065】
このようなシートロック装置10の場合、シートロック装置10がシートフレーム3に取り付けられると、第2ベース部52は、付勢部材61よりも外方に配置され、第2ベース部52の第2開口部52Bは、内方に向く。これによって、付勢部材61は、シートカバー4に接触し難くなる。また、第2ベース部52に異物6が侵入することが抑制される。このようにして、シートロック装置10のロック解除の円滑な操作性の低下が抑制される。
【0066】
本実施形態の効果を説明する。
(1)シートロック装置10は、カバー50を有する。カバー50は、第1ベース部51と、第2ベース部52と、第1ベース部51と第2ベース部52とを接続する接続壁53とを備える。第1ベース部51は、第2方向D2から見て、第1方向D1において一方端に位置する第1側面51Aを含む。第2ベース部52は、第2方向D2から見て、第1方向D1において他方端に位置する第2側面52Aを含む。第1ベース部51は、収容空間Sを介してブラケット70に対向するように配置される。第2ベース部52は、第1方向D1から見て、第1ベース部51に対向しない位置に配置される。
【0067】
従来技術では、カバー50は、ブラケット70と対向するように配置され、カバー50とブラケット70との間に、フック20と、ポール30と、付勢部材61とが配置されている。カバー50は、ブラケット70とシートフレーム3との間に配置されて、ブラケット70によって支持される。シートロック装置10は、このように取り付けられるため、カバー50の開口部90は、シートカバー4に向く。そうすると、フック20、ポール30、および付勢部材61のいずれかが露出する場合に、シートカバー4の異物6がカバー50内の可動部品に干渉する虞がある。本実施形態では、可動部品は、フック20、ポール30、カム40、付勢部材61、フック付勢部材62、カム付勢部材63である。
【0068】
本実施形態では、第1ベース部51は、ブラケット70に対向するように配置される。第1ベース部51の第1開口部51Bは、シートカバー4に向くが、第1ベース部51とブラケット70との間に配置される部品は、第1ベース部51とブラケット70とによって覆われるため、異物6がこれら部品に干渉することが抑制される。第2ベース部52は、第1方向D1から見て、第1ベース部51に対向しない位置に配置される。また、第2ベース部52は、第2方向D2から見て、第1方向D1において第1側面51Aとは反対の位置にある第2側面52Aを含むように構成される。このため、第2ベース部52の第2開口部52Bは、第1開口部51Bと反対方向に向く。第1開口部51Bがシートカバー4に向く場合、第2開口部52Bは、シートフレーム3に向く。このため、シートカバー4の異物6が、第2ベース部52に配置される可動部品に干渉することが抑制される。このようにして、カバー50に配置される可動部品は、第1ベース部51および第2ベース部52によって保護されるため、異物6が可動部品に干渉することが抑制される。このようにして、シートロック装置10の動作に支障が生じることを抑制できる。さらに、カバー50は、スライド機構を有しない金型で形成できるため、カバー50の製造時の初期コストを抑制できる。
【0069】
(2)シートロック装置10において、第1ベース部51とブラケット70との間の収容空間Sには、フック20を支持する第1軸11とポール30を支持する第2軸12とが収容され、第2ベース部52には、付勢部材61が配置される。
【0070】
この構成によれば、付勢部材61が第2ベース部52に配置されるため、付勢部材61は露出する。このため、ブラケット70とカバー50とを互いに結合した状態において、カバー50に付勢部材61を取り付けることができる。ブラケット70とカバー50とを互いに結合した状態にすると、ブラケット70とカバー50との間に配置される部品が、ブラケット70とカバー50とによって支持されて安定するため、付勢部材61を取り付ける場合に、その取り付けが容易になる。ブラケット70とカバー50とを互いに結合した状態において、カバー50に付勢部材61を取り付けることが出来る構造は、シートロック装置10の生産性の向上に寄与する。
【0071】
(3)シートロック装置10において、接続壁53は、第1方向D1からみて、第1ベース部51と、第2ベース部52との間に配置される。この構成によれば、フック20またはポール30に塗られる潤滑剤が、付勢部材61が配置される第2ベース部52に流れ込むことを抑制できる。
【0072】
(4)シートロック装置10において、ブラケット70は、金属で構成され、カバー50は、樹脂で構成される。この構成によれば、カバー50を金属で形成する場合に比べて、シートロック装置10を軽量にできる。
【0073】
(5)シートロック装置10において、第2ベース部52は、付勢部材61よりも外側に配置される側壁52Dを有する。この構成によれば、付勢部材61が配置される空間に異物6が侵入することを抑制できる。
【0074】
<その他の実施形態>
上記実施形態は、上記構成の例に限定されない。上記実施形態は、以下のように変更され得る。なお、以下の変形例では、上記実施形態の構成と実質的に変更のない構成については、上記実施形態の構成と同一の符号をつけて説明する。
【0075】
・本実施形態のシートロック装置10では、カム40は第2軸12に支持されているが、別の軸に支持されてもよい。カム40の形状は、実施形態に示される形状に限定されない。カム40は、シートロック装置10から省略されてもよい。
【符号の説明】
【0076】
C1…回転軸線
D1…第1方向
D2…第2方向
S…収容空間
3…シートフレーム
5…ストライカ
10…シートロック装置
20…フック
30…ポール
50…カバー
51…第1ベース部
51A…第1側面
52…第2ベース部
52A…第2側面
52D…側壁
53…接続壁
61…付勢部材
70…ブラケット