(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2022177553
(43)【公開日】2022-12-01
(54)【発明の名称】基板処理装置
(51)【国際特許分類】
H01L 21/683 20060101AFI20221124BHJP
H01L 33/00 20100101ALI20221124BHJP
【FI】
H01L21/68 N
H01L33/00 L
【審査請求】未請求
【請求項の数】8
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2021083899
(22)【出願日】2021-05-18
(71)【出願人】
【識別番号】000003067
【氏名又は名称】TDK株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110001494
【氏名又は名称】前田・鈴木国際特許弁理士法人
(72)【発明者】
【氏名】宮腰 敏暢
(72)【発明者】
【氏名】水戸瀬 智久
(72)【発明者】
【氏名】早見 健一
(72)【発明者】
【氏名】杉山 千元
(72)【発明者】
【氏名】柴▲崎▼ 亮人
【テーマコード(参考)】
5F131
5F142
【Fターム(参考)】
5F131AA12
5F131BA53
5F131CA06
5F131EB02
5F131EB51
5F131EB72
5F131EB81
5F131EC34
5F131EC63
5F131EC64
5F142AA58
5F142BA32
5F142CA11
5F142CA13
5F142CB14
5F142CB23
5F142CD02
5F142CD16
5F142CD17
5F142CD25
5F142FA34
5F142FA38
5F142GA02
(57)【要約】
【課題】複数の素子と基板との接合の安定性を十分に確保することが可能な基板処理装置を提供する。
【解決手段】複数の素子4a,4b,4cが配置された基板2が設置されるステージ30と、ステージ30の上方を覆い、ステージ30との間に加圧空間である処理室6を形成する上部部材21と、ステージ30と上部部材21との間に弾性シート80を保持するシート保持部40と、を有する。ステージ30は、基板設置領域34の外縁部34aの内外に跨るように形成された第1吸引孔31と、基板設置領域34の内側に形成された第2吸引孔32とを有し、シート保持部40は、基板2が覆われるように、弾性シート80をステージ30に配置する。
【選択図】
図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
複数の素子が配置された基板が設置されるステージと、
前記ステージの上方を覆い、前記ステージとの間に加圧空間を形成する上部部材と、
前記ステージと前記上部部材との間に弾性シートを保持するシート保持部と、を有し、
前記ステージは、前記基板の設置領域の外縁部の内外に跨るように形成された第1吸引孔と、前記設置領域の内側に形成された第2吸引孔とを有し、
前記シート保持部は、前記基板が覆われるように、前記弾性シートを前記ステージに配置する基板処理装置。
【請求項2】
前記第1吸引孔は複数からなる請求項1に記載の基板処理装置。
【請求項3】
前記第1吸引孔よりも前記ステージの中心から離れた位置には、前記弾性シートを前記ステージに固定するためのシート固定部が設けられている請求項1または2に記載の基板処理装置。
【請求項4】
前記シート固定部は、前記ステージに形成された第3吸引孔からなり、前記第3吸引孔を介した吸引により、前記弾性シートは前記ステージに固定される請求項3に記載の基板処理装置。
【請求項5】
前記シート固定部の内側には、前記弾性シートと前記ステージとで囲まれるシート内空間が形成され、
前記第1吸引孔は、前記シート内空間の内部を吸引可能な位置に配置される請求項3または4に記載の基板処理装置。
【請求項6】
前記シート保持部は、前記弾性シートを前記ステージに離脱可能に配置する請求項1~5のいずれかに記載の基板処理装置。
【請求項7】
前記ステージおよび前記上部部材の少なくとも一方には加熱装置が設けられており、
少なくとも前記加熱装置による加熱時において、前記第1吸引孔を介した吸引が行われる請求項1~6のいずれかに記載の基板処理装置。
【請求項8】
前記上部部材は、天板部と、前記天板部に対して略垂直方向に延在し、前記天板部の周縁部を支持する脚部とを有し、
前記脚部は、前記第1吸引孔よりも前記ステージの中心から離れた位置で前記ステージと接し、前記加圧空間を形成する請求項1~7のいずれかに記載の基板処理装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、複数の素子が配置された基板を処理する基板処理装置に関する。
【背景技術】
【0002】
複数の素子からなる素子アレイを基板上に形成する技術では、複数の素子と基板との機械的な接合の強度や接合の安定性の向上を図るために、基板処理装置を用いて、複数の素子が配置された基板に対し複数の素子を平板で押し付ける処理が行われる。近年では、基板に配置される素子の高さは数μm程度まで微細化している一方で、平板の表面の平坦度は数十μmオーダでばらつく場合があり、この場合、平板によって、基板上の複数の素子を均一な力で押し付けることは困難である。
【0003】
例えば、特許文献1には、樹脂フィルムで電子部品および実装基板を被覆する技術が記載されている。樹脂フィルムには複数の素子の形状に追随するように変形する特徴があり、上述した問題の解消を図るにあたり、樹脂フィルム等の弾性シートで基板上の複数の素子を押し付けることが有用であると考えられる。このような技術を用いる場合も、複数の素子を均一な力で押し付けるために、更なる工夫が必要とされる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
本発明は、このような実状に鑑みてなされ、その目的は、複数の素子と基板との接合の安定性を十分に確保することが可能な基板処理装置を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0006】
上記目的を達成するために、本発明に係る基板処理装置は、
複数の素子が配置された基板が設置されるステージと、
前記ステージの上方を覆い、前記ステージとの間に加圧空間を形成する上部部材と、
前記ステージと前記上部部材との間に弾性シートを保持するシート保持部と、を有し、
前記ステージは、前記基板の設置領域の外縁部の内外に跨るように形成された第1吸引孔と、前記設置領域の内側に形成された第2吸引孔とを有し、
前記シート保持部は、前記基板が覆われるように、前記弾性シートを前記ステージに配置する。
【0007】
本発明に係る基板処理装置では、ステージが、基板の設置領域の外縁部の内外に跨るように形成された第1吸引孔と、設置領域の内側に形成された第2吸引孔とを有する。また、シート保持部は、基板が覆われるように、弾性シートをステージに配置する。ステージ(設置領域)に基板を配置した状態で、第2吸引孔を介した吸引を行うことにより、基板をステージに位置ずれしないように固定することができる。
【0008】
また、基板が覆われるように弾性シートをステージに配置した状態で、第1吸引孔を介した吸引を行うことにより、弾性シートが基板に向けて吸い寄せられ、基板あるいは基板に配置された複数の素子に弾性シートを当接させることが可能となる。この状態において、加圧空間を加圧することにより、その圧力に基づいて、弾性シートが基板に向けて押圧され、基板に配置された複数の素子を弾性シートで押し付けることができる。また、第1吸引孔による吸引時、あるいは加圧空間の加圧時には、基板に配置された複数の素子の形状に追随するように、弾性シートを変形させることが可能である。これにより、弾性シートを複数の素子に密着させ、弾性シートによって、複数の素子を均一な力で押し付けることができる。
【0009】
また、第1吸引孔は、基板の設置領域の外縁部の内外に跨るように形成されているため、基板が設置領域に対して多少位置ずれした状態でステージに配置されたとしても、基板によって第1吸引孔が塞がるといった不具合の発生を防止することが可能であり、第1吸引孔を介した吸引を滞りなく行うことができる。以上より、本発明に係る基板処理装置によれば、複数の素子と基板との接合の安定性を十分に確保することができる。
【0010】
好ましくは、前記第1吸引孔は複数からなる。このような構成とすることにより、複数の第1吸引孔によって、基板の設置領域の外縁部の各位置において、複数の第1吸引孔を介した吸引を行うことが可能となる。これにより、弾性シートを基板に向けて効率的に吸い寄せることが可能となり、複数の第1吸引孔による吸引時、あるいは加圧空間の加圧時において、基板に配置された複数の素子に弾性シートをより高い密着度で密着させることができる。
【0011】
好ましくは、前記第1吸引孔よりも前記ステージの中心から離れた位置には、前記弾性シートを前記ステージに固定するためのシート固定部が設けられている。シート固定部の位置で、弾性シートをステージに固定した状態で、第1吸引孔による吸引を行うことにより、弾性シートを基板に向けて効率よく吸い寄せることができる。
【0012】
好ましくは、前記シート固定部は、前記ステージに形成された第3吸引孔からなり、前記第3吸引孔を介した吸引により、前記弾性シートは前記ステージに固定される。このような構成とすることにより、シート固定部の位置において、弾性シートをステージに向けて吸い寄せることが可能となり、治具等を用いることなく簡易な構成で、弾性シートをステージに固定することができる。
【0013】
好ましくは、前記シート固定部の内側には、前記弾性シートと前記ステージとで囲まれるシート内空間が形成され、前記第1吸引孔は、前記シート内空間の内部を吸引可能な位置に配置される。第1吸引孔によって、シート内空間の内部の気体を吸引することにより、シート内空間を形成する弾性シートの一部を基板に向けて吸い寄せることが可能となる。また、シート内空間の内部の気体を十分に吸引することにより、シート内空間を形成する弾性シートの一部を基板の縁に密着させることが可能となり、複数の第1吸引孔による吸引時、あるいは加圧空間の加圧時において、基板に配置された複数の素子に弾性シートをより高い密着度で密着させることができる。また、第1吸引孔は、シート内空間の外側の気体については吸引する必要がなく、第1吸引孔による吸引エリアが、主として、シート内空間の内部に限定されるため、弾性シートを基板に向けて効率よく吸い寄せることができる。
【0014】
好ましくは、前記シート保持部は、前記弾性シートを前記ステージに離脱可能に配置する。このような構成とすることにより、基板に配置された複数の素子を弾性シートで押し付けた後は、弾性シートを基板から離脱させることが可能となる。これにより、ステージに基板が設置される度に、基板あるいは基板に配置された複数の素子に弾性シートを当接させて、基板に配置された複数の素子を弾性シートで押し付ける処理を実行することができる。
【0015】
好ましくは、前記ステージおよび前記上部部材の少なくとも一方には加熱装置が設けられており、少なくとも前記加熱装置による加熱時において、前記第1吸引孔を介した吸引が行われる。このような構成とすることにより、加熱による弾性シートの変形に伴い、弾性シートと基板との間に隙間が形成されることを防止することが可能となり、弾性シートと基板に配置された複数の素子との密着性を高めることができる。また、加熱装置による加熱時には、複数の素子と基板とを接合する接合部材が分解され、分解ガスが発生する場合があるが、上記のような構成とすることにより、第1吸引孔によって分解ガスを吸引し、除去することができる。
【0016】
好ましくは、前記上部部材は、天板部と、前記天板部に対して略垂直方向に延在し、前記天板部の周縁部を支持する脚部とを有し、前記脚部は、前記第1吸引孔よりも前記ステージの中心から離れた位置で前記ステージと接し、前記加圧空間を形成する。このような構成とすることにより、ステージと天板部と脚部とで囲まれた空間を加圧空間として利用することが可能となり、加圧空間の加圧時において、ステージに配置された弾性シートを効率よく加圧することができる。
【図面の簡単な説明】
【0017】
【
図1】
図1は本発明の一実施形態に係る基板処理装置の概略断面図である。
【
図2】
図2は
図1に示す基板処理装置のステージに基板を設置したときの状態を示す概略平面図である。
【
図3】
図3は
図2に示す基板が設置されたステージを弾性シートで覆ったときの状態を示す概略平面図である。
【
図4】
図4は
図3に示す基板を弾性シートとともに示す一部概略断面図である。
【
図5】
図5は
図3に示すステージに設置された基板を弾性シートとともに示す概略断面図である。
【
図6】
図6は
図1に示す基板処理装置の機能構成を示す図である。
【
図7】
図7は基板に配置された複数の素子を弾性シートで押し付ける工程を示す概略断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0018】
以下、本発明を、図面に示す実施形態に基づき説明する。
【0019】
図1に示すように、本発明の一実施形態に係る基板処理装置10は、複数の素子4a,4b,4cからなる素子アレイ4(
図3)を基板2上に形成するための装置であり、複数の素子4a,4b,4cが配置された基板2に対し、複数の素子4a,4b,4cを所定の手段で押し付ける処理を行うことにより、複数の素子4a,4b,4cと基板2との機械的な接合の強度や接合の安定性の向上を図るためのものである。すなわち、基板処理装置10は、素子アレイ4を基板2上に形成するにあたって、加圧部(加圧装置)として機能する。基板処理装置10は、チャンバ20と、ステージ30と、シート保持部40とを有する。図面において、X軸はチャンバ20の幅方向に対応し、Y軸はチャンバ20の奥行方向に対応し、Z軸はチャンバ20の高さ方向に対応する。
【0020】
チャンバ20は、金属等の箱体で構成され、上部部材21と下部部材22とを有する。上部部材21と下部部材22とは、上下(Z軸方向)に組み合わせ可能に構成されている。上部部材21と下部部材22の少なくとも一方は、Z軸方向に移動可能となっており、本実施形態では、上部部材21が下部部材22に対して上下に移動する。上部部材21と下部部材22とが組み合わされることにより処理室6が形成される。処理室6は、上部部材21および下部部材22の内側に形成される空間であり、加圧空間として利用される。処理室6の内部には、空気、窒素、不活性ガス等が存在する。
【0021】
基板2等がチャンバ20へ搬入されるとき、上部部材21は下部部材22に対して上方に移動し、処理室6を開放する。処理室6が解放された状態では、上部部材21と下部部材22との間に、搬送空間7が形成される。搬送空間7には、シート保持部40によって、後述する弾性シート80が搬送され、保持される。
【0022】
複数の素子4a,4b,4cが配置された基板2に対し、複数の素子4a,4b,4cを所定の手段で押し付ける処理が行われるときには、
図9に示すように、上部部材21は、
図1に示す位置から、下部部材22に対して下方に移動し、処理室6を閉塞(密閉)する。これにより、処理室6は、閉空間を構成し、その内部を加圧することが可能な加圧空間として機能する。
【0023】
図1に示すように、上部部材21は、略C字形状からなる断面形状を有し、天板部210と、上側脚部211とを有する。上部部材21は、チャンバ20の蓋部として機能する。天板部210は、上部部材21の頂部を構成し、XY平面に略平行な形状を有する板体からなる。天板部210は、ステージ30の上方を覆うように形成されている。上側脚部211は、天板部210に対して略垂直方向(下方)に延在し、天板部210の周縁部に形成されている。詳細な図示は省略するが、Z軸負方向側から上部部材21を見たときに、上側脚部211は、天板部210の周縁部を略リング状(略四角形状)に取り囲むように形成されている。上側脚部211は、天板部210を支持する。
【0024】
上部部材21の内側(すなわち、天板部210と上側脚部211とで囲まれる領域)には、第1空間212が形成されている。上部部材21を下部部材22に組み合わせた状態において、第1空間212は、処理室6の上側の一部を構成する。
【0025】
第1空間212の内部において、天板部210には上部加熱装置91が設けられている。上部加熱装置91は、処理室6の内部雰囲気を加熱するためのものであり、例えばヒータ等で構成される。上部加熱装置91から発せられる熱は、後述するように、ステージ30に設置される基板2に伝熱され、基板2とその上に配置された複数の素子4a,4b,4cとの接合力の向上に寄与する。また、後述するように、ステージ30には基板2を覆うように弾性シート80が配置されるが(
図8参照)、上部加熱装置91から発せられる熱は、この弾性シート80にも伝熱され、基板2に配置された複数の素子4a,4b,4cの形状に追随するように弾性シート80の形状を変形させることが可能となっている。
【0026】
下部部材22は、上部部材21に対して略対称な形状を有する。下部部材22は、略C字形状からなる断面形状を有し、底部220と、下側脚部221とを有する。底部220は、下部部材22の底部を構成し、XY平面に略平行な形状を有する板体からなる。底部220には、複数の貫通孔220aが形成されており、複数の貫通孔220aには後述する複数のリフトピン50が昇降可能に挿入される。
【0027】
下側脚部221は、底部220に対して略垂直方向(上方)に延在し、底部220の周縁部に形成されている。詳細な図示は省略するが、Z軸正方向側から下部部材22を見たときに、下側脚部221は、底部220の周縁部を略リング状(略四角形状)に取り囲むように形成されている。後述するように、上部部材21を下部部材22に組み合わせた状態において、下側脚部221は、直接あるいは弾性シート80を介して、上側脚部211に当接し、上部部材21を支持する。なお、上側脚部211と下側脚部221とはOリング等のシール部材を介して接続されることが好ましい。
【0028】
下部部材22の内側(すなわち、底部220と下側脚部221とで囲まれる領域)には、第2空間222が形成されている。上部部材21を下部部材22に組み合わせた状態において、第2空間222は、処理室6の下側の一部を構成する。すなわち、第1空間212と第2空間222とが組み合わされることにより、処理室6が構成される。なお、上部部材21または下部部材22には、図示しない配管が形成されており、この配管を介して、処理室6の内部に気体を送り込み、処理室6の内部を加圧する(陽圧にする)ことが可能となっている。
【0029】
ステージ30は、複数の素子4a,4b,4cが配置された基板2を設置するための台であり、図示しない支持部材によってチャンバ20(上側脚部211および下側脚部221)の内側に固定されている。ステージ30は、例えば金属製の扁平な板体からなり、XY平面に略平行な面を有する。
【0030】
ステージ30のX軸方向幅は、上側脚部211および下側脚部221の各々の内周面のX軸方向幅(すなわち、第1空間212および第2空間222の各々のX軸方向幅)よりも所定長だけ短くなっている。ステージ30のY軸方向幅は、上側脚部211および下側脚部221の各々の内周面のY軸方向幅(すなわち、第1空間212および第2空間222の各々のY軸方向幅)よりも所定長だけ短くなっている。
【0031】
ステージ30の上方は、上部部材21の天板部210によって覆われており、ステージ30の下方は、下部部材22の底部220が配置されている。ステージ30は、下部部材22の下側脚部221のZ軸正方向側の端部(頂部)よりも上方に配置されており、上部部材21を下部部材22に組み合わせた状態において、ステージ30は上部部材21の第1空間211の内部に位置する。ステージ30と上部部材21との間に形成される空間は、加圧空間(処理室6)の一部を構成する。
【0032】
なお、ステージ30の高さ位置は特に限定されず、下側脚部221のZ軸正方向側の端部と同じ高さであってもよい。あるいは、ステージ30は、下部部材22の下側脚部221のZ軸正方向側の端部(頂部)よりも下方に配置されていてもよい。
【0033】
また、ステージ30のX軸方向幅は、上側脚部211および下側脚部221の各々の内周面のX軸方向幅と等しくてもよく、ステージ30のY軸方向幅は、上側脚部211および下側脚部221の各々の内周面のY軸方向幅と等しくてよい。この場合、上側脚部211がステージ30の縁部(端面)と接することになり、ステージ30と天板部210と上側脚部211とで閉空間が形成される。この閉空間は、加圧空間として利用することが可能である。
【0034】
ステージ30の裏面には、下部加熱装置92が設けられている。下部加熱装置92は、ステージ30を加熱するためのものであり、例えばヒータ等で構成される。下部加熱装置92から発せられる熱は、ステージ30に設置される基板2に伝熱され、基板2とその上に配置された複数の素子4a,4b,4cとの接合力の向上に寄与する。また、後述するように、ステージ30には基板2を覆うように弾性シート80が配置されるが、下部加熱装置92から発せられる熱は、この弾性シート80にも伝熱され、基板2に配置された複数の素子4a,4b,4cの形状に追随するように弾性シート80の形状を変形させることが可能となっている。
【0035】
ステージ30は、複数の第1吸引孔31と、第2吸引孔32と、シート固定部33(
図3)とを有する。
図2に示すように、複数の第1吸引孔31の各々は、ステージ30の基板設置領域34の外縁部34aに形成されている。基板設置領域34は、略四角形状からなるステージ30において、基板2が設置される領域であり、基板2の形状に即した形状(本実施形態では、略四角形状)となっている。詳細については後述するが、ステージ30に基板2が設置された状態において、ステージ30は弾性シート80で覆われ(
図3参照)、弾性シート80とステージ30との間にシート内空間8(
図5)が形成される。第1吸引孔31は、このシート内空間8の内部の気体(内部雰囲気)を吸引するための吸引孔として機能し、シート内空間8の内部の気体を吸引可能な位置に配置されている。
【0036】
第1吸引孔31の大きさに関して、例えば第1吸引孔31の形状が長方形状である場合、第1吸引孔31の短辺の長さは、好ましくは0.3~10.0mmであり、さらに好ましくは0.5~1.5mmである。また、第1吸引孔31の長辺の長さは、好ましくは2.0~15.0mmであり、さらに好ましくは3.0~5.0mmである。
【0037】
第1吸引孔31の短辺の長さを上記の範囲に設定した場合、第1吸引孔31の短辺の長さが過度に短くなることがなく、シート内空間8(
図5)の内部の気体を効率的に吸引することができる。また、第1吸引孔31を介してシート内空間8の内部の気体を吸引すると、弾性シート80が第1吸引孔31に向けて吸い寄せられるが、このとき第1吸引孔31を介して弾性シート80が過度に吸引されることを防止することが可能となり、弾性シート80を用いた基板2の加圧処理後において、基板2あるいはステージ30から弾性シート80を引き剥がしにくくなるといった不具合の発生を防止することができる。
【0038】
また、第1吸引孔31の長辺の長さを上記の範囲に設定した場合、第1吸引孔31の長辺の長さが過度に短くなることがなく、シート内空間8の内部の気体を効率的に吸引することができる。また、第1吸引孔31の長辺の長さが過度に長くなることがなく、基板2の面内の温度分布に偏りが発生することを防止し、基板2の各部の適度を均一に維持し、基板2とその上に配置された複数の素子4a,4b,4cとの接合信頼性を向上させることができる。
【0039】
なお、第1吸引孔31の形状が楕円形状である場合には、上述した長方形の短辺の長さを楕円の短軸の長さに適用し、上述した長方形の長辺の長さを楕円の長軸の長さに適用してもよい。また、第1吸引孔31の形状がその他の形状である場合も同様であり、上述した長方形の短辺の長さを他の形状からなる第1吸引孔31のY軸方向の長さに適用し、上述した長方形の長辺の長さを他の形状からなる第1吸引孔31のX軸方向の長さに適用してもよい。
【0040】
図示の例では、複数の第1吸引孔31の幾つかは、略四角形状を呈する基板設置領域34の第1の辺34a1あるいは第3の辺34a3に沿って、Y軸方向に所定の間隔で直線状に配置されている。複数の第1吸引孔31の幾つかは、略四角形状を呈する基板設置領域34の第2の辺34a2あるいは第4の辺34a4に沿って、X軸方向に所定の間隔で直線状に配置されている。
【0041】
第1吸引孔31の数は図示の数に限定されるものではなく、適宜変更してもよい。また、複数の第1吸引孔31の各々のピッチについても適宜変更してもよく、例えば複数の第1吸引孔31の各々が、その径(基板設置領域34の外縁部34aの延在方向に沿う方向の径)よりも短い距離で、隣接して配置されていてもよい。
【0042】
Z軸方向から第1吸引孔31を見たとき、第1吸引孔31は、略円形状を有する。ただし、第1吸引孔31の形状はこれに限定されるものではなく、略楕円形状、略三角形状、略四角形状、あるいはその他の多角形状であってもよい。例えば、第1吸引孔31の形状は、基板設置領域34の外縁部34aの延在方向に直交する方向(X軸方向またはY軸方向に沿って、基板設置領域34の外縁部34aから離れる方向)に長軸を有する略楕円形状であってもよい。あるいは、第1吸引孔31の外縁部34aの延在方向に直交する方向の幅は、第1吸引孔31の外縁部34aの延在方向に沿う方向の幅よりも大きくてもよい。
【0043】
図中の拡大図に示すように、複数の第1吸引孔31の各々は、ステージ30の基板設置領域34の外縁部34aの内外に跨るように形成されている。すなわち、第1吸引孔31の一部は基板設置領域34の外縁部34aよりも外側(ステージ30の中心から離れる側)に位置し、第1吸引孔31の残りの一部は基板設置領域34の外縁部34aよりも内側(ステージ30の中心に近づく側)に位置する。
【0044】
図示の例では、第1吸引孔31において、基板設置領域34の外縁部34aよりも外側に位置する部分の面積は、基板設置領域34の外縁部34aよりも内側に位置する部分の面積よりも小さくなっているが、大きくなっていてもよく、あるいはこれらの面積は等しくなっていてもよい。
【0045】
基板設置領域34に基板2を設置したとき、複数の第1吸引孔31の各々において、基板設置領域34の外縁部34aよりも内側に位置する第1吸引孔31の一部は、基板2で覆われる。すなわち、基板2を基板設置領域34に設置した状態では、複数の第1吸引孔31の各々は、基板設置領域34に設置された基板2の外縁部(周縁部)に跨ることとなる。
【0046】
複数の第1吸引孔31は、基板2が基板設置領域34の外縁部34aよりもX軸方向側または/およびY軸方向側に多少位置ずれして配置されたとしても、これによる支障が生じないように形成されている。すなわち、複数の第1吸引孔31の各々は、基板設置領域34の外縁部34aに跨るように配置されているため、基板2が基板設置領域34の外縁部34aよりもX軸方向側または/およびY軸方向側に位置ずれして配置されたとしても、第1吸引孔31が完全に閉塞されない限り、複数の第1吸引孔31の各々を介した吸引を行うことが可能である。このように、複数の第1吸引孔31を基板設置領域34の外縁部34aに跨るように配置することにより、基板設置領域34に対する基板2の位置ずれを許容することが可能となっている。
【0047】
基板設置領域34に基板2を設置した状態では、第1吸引孔31のうち、基板設置領域34の外縁部34aよりも内側に位置する部分は基板2で閉塞される一方で、基板設置領域34の外縁部34aよりも外側に位置する部分は開放された状態となっている。したがって、上述したシート内空間8(
図5)に対する第1吸引孔31を介した吸引は、主として、基板設置領域34の外縁部34aよりも外側に位置する部分において行われる。
【0048】
なお、図示の例では、ステージ30には複数の第1吸引孔31が形成されているが、第1吸引孔31の数は1つでも良い。例えば、基板設置領域34の外縁部34aに沿うように延在する(あるいは、周回する)略リング状の第1吸引孔31がステージ30に形成されていてもよい。
【0049】
図1に示すように、複数の第1吸引孔31の各々には、第1吸引管60が接続されている。複数の第1吸引管60の各々は、下方に延びており、その一部は下部部材22の底部220に埋設されている。第1吸引孔31を介して吸引された気体は、第1吸引管60を通過し、チャンバ20の外部に排出されるようになっている。複数の第1吸引管60の各々には、図示しない吸引装置が接続されている。なお、複数の第1吸引管60は互いに結合されて、1本の吸引管を構成していてもよい。この場合、この1本の吸引管に対して吸引装置による吸引を行えばよく、吸引装置の数を減らすことができる。
【0050】
第2吸引孔32は、ステージ30の略中央部に形成されており、複数の第1吸引孔31の内側に配置されている。ステージ30に基板2が設置された状態において、第2吸引孔32を介した吸引を行うことにより、基板2をステージ30に吸い寄せ、ステージ30に吸着により固定することが可能となっている。なお、基板2をステージ30に吸着により固定する作用は、複数の第1吸引孔31を介した吸引によっても得られる。
【0051】
図3に示すように、第2吸引孔32は、ステージ30の基板設置領域34の内側に形成されており、複数の第1吸引孔31よりも内側(ステージ30の中心に近づく側)に配置されている。第2吸引孔32は、ステージ30に設置された基板2の略中央部を吸引できるような位置に配置されていることが好ましい。第2吸引孔32の数は、1つでもよく、あるいは複数であってもよい。
【0052】
図1に示すように、第2吸引孔32には、第2吸引管70が接続されている。第2吸引管70は、下方に延びており、その一部は下部部材22の底部220に埋設されている。第2吸引孔32を介して吸引された気体は、第2吸引管70を通過し、チャンバ20の外部に排出されるようになっている。第2吸引管70には、図示しない吸引装置が接続されている。
【0053】
図3に示すように、シート固定部33は、略四角形状に形成されており、複数の第1吸引孔31よりもステージの中心から離れた位置(複数の第1吸引孔31の外側)に設けられている。シート固定部33は、基板設置領域34の外縁部34aよりもステージの中心から離れた位置(外縁部34aの外側)であり、かつ、ステージ30の縁部の内側に設けられている。シート固定部33は、基板設置領域34の外縁部34aを取り囲むように設けられ、外縁部34aに近接した位置に配置されている。シート固定部33の形状は、図示の形状に限定されるものではなく、適宜変更してもよい。
【0054】
後述するように、本実施形態では、ステージ30に基板2が設置された状態において、ステージ30は弾性シート80で覆われる(
図8)。シート固定部33は、このステージ30に配置された弾性シート80を、ステージ30に固定する機能を有する。
図5に示すように、シート固定部33は、例えばステージ30に形成された複数の第3吸引孔33aによって構成され、複数の第3吸引孔33aを介した吸引により、弾性シート80はシート固定部33の位置でステージ30に密着し、ステージ30に固定される。なお、第3吸引孔33aには第3吸引管100が接続されている。
【0055】
図示の例では、シート固定部33には、複数の第3吸引孔33aが設けられているが、シート固定部33には、単一の第3吸引孔33aが設けられていてもよい。この場合、第3吸引孔33aは、シート固定部33に沿うように延在する(あるいは、周回する)略リング状の吸引孔であってもよい。
【0056】
なお、シート固定部33は、接着剤(接着部)や留め具等の接合部材で構成されていてもよく、弾性シート80は、これらの接合部材を介して、ステージ30に固定されていてもよい。また、シート固定部33の位置に、シート固定部33に沿って周回する溝を形成し、当該溝の内部に複数の第3吸引孔33aを形成してもよい。このような構成とすることにより、シート固定部33の位置で、弾性シート80をステージ30に固定したときに、後述するシート内空間8の気密性を高めることが可能となり、シート内空間8の外部からシート内空間8の内部に気体が入ることを防止することができる。
【0057】
シート固定部33と、複数の第1吸引孔31が配置される基板設置領域34の外縁部34aとの間の距離L(
図3および
図5参照)は、好ましくは5~25mmであり、さらに好ましくは10~20mmである。また、上記距離Lと基板2の厚みT1との比L/T1(
図5参照)は、好ましくは5~250であり、さらに好ましくは15~70である。上記距離Lあるいは上記比L/T1を上記の範囲に設定した場合、上記距離Lが過度に長くなることがなく、シート内空間8(
図5)の内部の気体を効率的に吸引することができる。また、上記距離Lが過度に短くなることがなく、基板2の外縁部34aに対する弾性シート80の食い込みを防止し、弾性シート80を用いた基板2の加圧処理後において、基板2あるいはステージ30から弾性シート80を引き剥がしにくくなるといった不具合の発生を防止することができる。なお、基板2の厚みT1(
図4参照)は、好ましくは0.1~1.0mmであり、さらに好ましくは0.3~0.7mmである。
【0058】
図1に示すように、ステージ30には、複数の貫通孔35が形成されており、複数の貫通孔35には、複数のリフトピン50が直立した状態で挿入されている。複数のリフトピン50は、それぞれステージ30の内部を昇降可能に貫通している。また、複数のリフトピン50は、下部部材22の底部220に形成された複数の貫通孔220aの内部にも挿入されており、底部220の内部を昇降可能に貫通している。リフトピン50は、棒状部材からなり、Z軸方向に所定の長さを有する。
【0059】
複数のリフトピン50は、基板2を支持するとともに、基板2を移送する役割を果たす。複数のリフトピン50は、その頂部に基板2が配置された状態において、基板2の縁部よりも内側においてこれを支持する。なお、複数のリフトピン50の数は、基板2を安定した状態で支持することが可能であれば、特に限定されるものではない。
【0060】
上部部材21と下部部材22との間に搬送空間7が形成された状態において、基板2は、例えばロボットアーム等によって、搬送空間7を通って、チャンバ20の外部から処理室6の内部へ搬送される。
【0061】
処理室6に搬送された基板2は、複数のリフトピン50の頂部に配置され、複数のリフトピン50によって支持される。このとき、複数のリフトピン50は、ステージ30の上方に突出しており、複数のリフトピン50の頂部は、ステージ30の表面から所定距離だけ上方に離間した位置に位置する。基板2は、ステージ30の上方において、複数のリフトピン50の頂部に受け渡される。
【0062】
この状態で、複数のリフトピン50が下降移動し、複数のリフトピン50の頂部がステージ30の上面に達したところで、基板2がステージ30に設置され、基板2の移送が完了する。このように、ステージ30に向けて、複数のリフトピン50を介して、基板2を上下方向に移送することにより、基板2をその受渡位置からステージ30まで安定した状態で移送することが可能となり、その移送時において基板2の損傷等を防止することができる。
【0063】
シート保持部40は、操出ロール41と、巻取ロール42と、複数の滑車43とを有する。操出ロール41はステージ30よりもX軸負方向側に配置されており、巻取ロール42はステージ30よりもX軸正方向側に配置されている。複数の滑車43は、操出ロール41が配置されているステージ30のX軸負方向側に配置されている。操出ロール41、巻取ロール42および複数の滑車43のいずれも、チャンバ20の外側に配置されており、操出ロール41および巻取ロール42は、ステージ30と上部部材21との間(搬送空間7の一部)に、弾性シート80をXY平面に平行な状態で張られるよう張力をかけつつ保持する。
【0064】
操出ロール41および巻取ロール42は、それぞれ回転自在に構成されているとともに、Z軸方向に移動自在(昇降可能)に構成されている。操出ロール41は、所定のタイミングで、巻取ロール42が配置されている側に向けて弾性シート80を操り出す。巻取ロール42は、このタイミングで、操出ロール41によって繰り出された弾性シート80を巻き取る。これにより、操出ロール41と巻取ロール42とで、搬送空間7を介して、ステージ30のX軸方向の一方側から他方側へ弾性シート80を搬送することが可能となっている。
【0065】
操出ロール41および巻取ロール42は、ステージ30に基板2が設置される度に、搬送空間7に弾性シート80を保持しつつ、それぞれ弾性シート80の繰り出しおよび巻き取りを行う。また、操出ロール41および巻取ロール42は、ステージ30に基板2が設置される度に、基板2が覆われるように、弾性シート80をステージ30に配置する。
【0066】
より詳細には、操出ロール41および巻取ロール42は、それぞれ弾性シート80の繰り出しおよび巻き取りを行った後、
図8に示すように下方に移動することにより、ステージ30に近づいて、基板2の上面を覆いつつ、弾性シート80をステージ30の上面に配置する。弾性シート80は、操出ロール41および巻取ロール42によって張力をかけられた状態で、ステージ30に配置される。なお、弾性シート80がステージ30に配置された状態では、弾性シート80は基板2あるいは基板2に配置された複数の素子4a,4b,4cを所定の押圧力で押圧してもよく、あるいは押圧することなく単に当接するのみでもよい。
【0067】
図3に示すように、弾性シート80がステージ30に配置された状態では、基板2の全体が弾性シート80で覆われるとともに、シート固定部33の位置において、弾性シート80がステージ30の上面に固定される。そのため、
図5に示すように、シート固定部33の内側には、弾性シート80とステージ30とで囲まれるシート内空間8が形成される。
【0068】
より詳細には、シート内空間8は、シート固定部8と基板2の縁部との間(図中のLで示す部分)、および基板2の上方に形成される。シート内空間8は、その外側の空間に対して気密に封止され、高い密閉性を有していることが好ましい。シート内空間8の内部において、弾性シート80の裏面は、基板2に配置された複数の素子4a,4b,4cと接していてもよい。
【0069】
シート内空間8の高さは、シート固定部33の位置から基板2の縁部に向かうにしたがって徐々に高くなっており、基板2の縁部の位置において、基板2の厚みと複数の素子4a,4b,4cの厚みの和に略等しくなる。シート内空間8のX軸方向の長さは、略四角形状を呈するシート固定部33のX軸方向の幅と略等しくなっており、シート内空間8は、シート固定部33のX軸方向の一端から他端にかけて延在している。シート内空間8のY軸方向の長さは、シート固定部33のY軸方向の幅と略等しくなっており、シート内空間8は、シート固定部33のY軸方向の一端から他端にかけて延在している。
【0070】
シート内空間8の内部では、第1吸引孔31の一部が基板2の縁部で覆われている一方で、第1吸引孔31の残りの一部は開放しているため、第1吸引孔31を介して、シート内空間8の内部の気体を吸引することが可能となっている。これにより、シート内空間8の内部は減圧され(負圧となり)、弾性シート80は、基板2の縁部に密着するように、基板2に向けて吸い寄せられる(吸着する)とともに、基板2に配置された素子4a,4b,4cの形状に追随するように変形しながら、素子4a,4b,4cに当接する。
【0071】
したがって、第1吸引孔31を介した吸引を行った後では、第1吸引孔31を介した吸引を行う前に比べて、シート内空間8の容積は小さくなる。本実施形態では、第1吸引孔31を介した吸引を行い、シート内空間8の容積を小さくした上で、後述するように処理室6の内部を加圧することにより、基板2に配置された複数の素子4a,4b,4cを弾性シート80で均一な力で押し付けることが可能となっている。なお、シート内空間8の内部は、好ましくは真空となるように吸引される。
【0072】
弾性シート80は、長尺状のシート(フィルム)で形成され、基板2の厚みよりも十分に薄いシートからなる。弾性シート80の厚みT2(
図4参照)は、好ましくは10~100μmであり、さらに好ましくは30~70μmである。
【0073】
弾性シート80は、可撓性を有する膜状部材で構成され、PETフィルム、フッ素系フィルム、PEN等の樹脂フィルムが用いられる。柔軟性および耐熱性の観点から、特にフッ素系フィルムを用いることが好ましい。フッ素系フィルムを用いることにより、基板2に配置された複数の素子4a,4b,4cに対して弾性シート80が密着し、基板2に配置された複数の素子4a,4b,4cを比較的に均一に加圧することができる。
【0074】
また、強度や耐熱性の観点では、弾性シート80として、PENフィルムを用いることが好ましい。弾性シート80としてPENフィルムを用いることにより、基板2に配置された複数の素子4a,4b,4cを比較的大きな力で押し付けることができる。
【0075】
弾性シート80は離形性がよいことが好ましい。本実施形態では、シート保持部40は、下方に移動して、基板2の表面に接するように、ステージ30に弾性シート80を配置した後、ステージ30あるいは基板2と弾性シート80との当接状態を解除し、上方に移動する。すなわち、シート保持部40は、弾性シート80をステージ30あるいは基板2に対して離脱可能(剥離可能)に配置する。
【0076】
そのため、基板2あるいは基板2に配置された複数の素子4a,4b,4cから弾性シート80を容易に離脱させることができるよう、離形性のよいフッ素系フィルムを用いることが好ましく、また弾性シート80に離形層を形成し、離形性をさらに高めることが好ましい。
【0077】
本実施形態では、基板2の材質は、エポキシ樹脂が塗布されたガラス基板である。ただし、基板2の材質は、これに限定されるものではなく、例えば、ガラスエポキシ基板や、ガラス基板としてSiO2あるいはAl2O3で構成されてもよく、あるいはフレキシブル基板としてポリイミド、ポリアミド、ポリプロピレン、ポリエーテルエーテルケトン、ウレタン、シリコーン、ポリエチレンテレフタレート、ポリエチレンナフタレート等のエラストマー等、さらにはグラスウール等で構成されてもよい。
【0078】
基板2の表面には、例えば図示しない導電性接合材料が予め形成されている。この導電性接合材料は、異方性導電粒子接続あるいはバンプ圧接接続等により、基板2と素子4a,4b,4cとを電気的および機械的に接続し、加熱により硬化する。導電性接合材料としては、例えばACF、ACP、NCFあるいはNCP等が挙げられる。導電性接合材料の厚みは、好ましくは、1.0~10000μmである。なお、導電性接合材料の代わりに、Snなどの金属を含む低融点接合材料を用いて加熱加圧接合を行うことも可能である。この場合、その低融点接合材料の厚みは0.1~10000μmである。
【0079】
基板2には、配線が所定のパターンで形成されており、この配線に素子4a,4b,4cの電極を導電性接合材料を介して接続することが可能となっている。
【0080】
素子4a,4b,4cは、基板2上にアレイ状に配置される。アレイ状とは、決められたパターンに従って複数行複数列に素子4a,4b,4cが配置された状態をいい、行方向と列方向の間隔は同一でもよく、あるいは相違していてもよい。
【0081】
素子4a,4b,4cは、ディスプレイ用の表示基板にRGBの各画素として配列され、またバックライトの発光体として照明基板に配列される。素子4aは赤色光素子であり、素子4bは緑色発光素子であり、素子4cは青色発光素子である。ただし、基板2に配置される素子は、これらの素子に限定されるものではない。
【0082】
本実施形態における素子4a,4b,4cは、マイクロ発光素子(マイクロLED素子)であり、そのサイズ(幅×奥行き)は、例えば5μm×5μm~50μm×50μmである。また、素子40a~40cの厚み(高さ)は、例えば50μm以下である。
【0083】
図6に示すように、基板処理装置10は、駆動部11と、加圧制御部12と、減圧制御部13と、温度制御部14とを有する。駆動部11は、例えば
図1に示すチャンバ20の上部部材21や、シート保持部40、あるいは複数のリフトピン50に対して、上下方向に昇降可能に駆動させるための処理を実行する。加圧制御部13は、上部部材21と下部部材22とが組み合わされて処理室6の内部に閉空間(加圧空間)が形成されたときに(
図9参照)、処理室6の内部を加圧する(陽圧にする)処理を実行する。加圧制御部12は、好ましくは処理室6の内部の気圧を10Pa~0.5MPaとなるように、処理室6を加圧する。
【0084】
減圧制御部14は、基板2がステージ30に載置されたときに(
図7参照)、第2吸引孔32および第2吸引管70を介して、吸引を行う処理を実行する。また、減圧制御部14は、弾性シート80がステージ30に配置されたときに(
図5および
図8参照)、第3吸引孔33aおよび第3吸引管100を介して、吸引を行う処理を実行する。また、減圧制御部14は、基板2が弾性シート80で覆われシート内空間8が形成されたときに(
図8および
図9参照)、シート内空間8の内部を減圧する(負圧にする)処理を実行する。
【0085】
温度制御部14は、上部加熱装置91および下部加熱装置92による加熱温度を制御する。上部加熱装置91および下部加熱装置92の各々の設定温度は、弾性シート80と接合材料の材質によって異なるが、例えば100~200℃である。
【0086】
次に、
図1および
図7~
図9等を参照しつつ、基板2上に素子アレイ4を形成する方法について説明する。以下では、基板2に配置された複数の素子4a,4b,4cを弾性シート80で押し付ける前後の工程を中心に説明する。
【0087】
まず、
図1に示すように、上部部材21の上側脚部211を下部部材22の下側脚部221に対して所定距離だけ上方に離間して配置させ、上部部材21と下部部材22との間に搬送空間7を形成しておく。また、搬送空間7の内部に弾性シート80が配置されるように、シート保持部40で弾性シート80を保持しておく。なお、予め、操出ロール41および巻取ロール42によって、弾性シート80の繰り出しおよび巻き取りを行っておき、搬送空間7に弾性シート80の未使用部分を配置しておく。複数のリフトピン50については、予めステージ30の上方に突出させた状態で待機させておく。
【0088】
次に、複数の素子4a,4b,4cが配置された基板2(
図3参照)を、ロボットアーム(図示略)を用いて、搬送空間7へ搬送し、複数のリフトピン50の頂部に載置する。
【0089】
次に、
図7に示すように、基板2を保持した状態の複数のリフトピン50を下方に移動させ、基板2を処理室6の内部に設けられたステージ30に設置する。複数のリフトピン50が下降移動し、各々の頂部がステージ30の上面に達したところで、基板2がステージ30に設置され、基板2のステージ30への移送が完了する。
【0090】
次に、第2吸引孔32および第2吸引管70を介した吸引を行い、ステージ30に設置された基板2を、ステージ30上に吸着固定する。なお、第2吸引孔32および第2吸引管70を介した吸引については、ステージ30に基板2が設置される前の時点で開始していてもよい。
【0091】
次に、
図8に示すように、ステージ30の上方に待機しているシート保持部40を所定距離だけ下降させ、基板2が覆われるように、弾性シート80をステージ30に配置する。シート保持部40の下降移動は、操出ロール41と巻取ロール42と滑車43とが下降することにより行われる。
【0092】
次に、
図5に示すように、シート固定部33の位置で、弾性シート80をステージ30に固定する。例えば、第3吸引孔33aおよび第3吸引管100を介した吸引により、ステージ30に配置された弾性シート80をステージ30に吸着固定することにより、シート固定部33の内側にはシート内空間8が形成される。なお、第3吸引孔33aおよび第3吸引管100を介した吸引については、ステージ30に弾性シート80が設置される前の時点で開始していてもよい。
【0093】
次に、複数の第1吸引孔31および複数の第1吸引管60を介した吸引を行い、シート内空間8の内部の気体を吸引する。これにより、シート内空間8の内部が減圧され、シート内空間8を形成する弾性シート80がステージ30あるいは基板2に向けて吸い寄せられる。この結果、シート内空間8の容積が縮小するとともに、基板2の縁部に弾性シート80が吸着する。また、弾性シート80が基板2に配置された複数の素子4a,4b,4cに密着するように当接する。
【0094】
なお、複数の第1吸引孔31および複数の第1吸引管70を介した吸引については、シート内空間8が形成される前の時点で開始していてもよい。第3吸引孔33a等による吸引タイミングと、第1吸引孔31による吸引タイミングとは同じでもよく、あるいは異なっていてもよい。本実施形態では、第2吸引孔32等により吸引が行われた後、第3吸引孔33a等による吸引が開始し、その後第1吸引孔31等による吸引が開始する。
【0095】
次に、
図9に示すように、上部部材21を下方に移動させ、弾性シート80を間に挟んだ状態で、上部部材21の上側脚部211を下部部材22の下側脚部221に当接させる。これにより、処理室6が閉空間となり、加圧空間として機能する。
【0096】
次に、弾性シート80で基板2を覆った状態(弾性シート80が基板2に配置された複数の素子4a,4b,4cに当接している状態)で、チャンバ20に形成された図示しない配管を介して処理室6の内部に気体を送り込み、処理室6の内部を加圧する。これにより、シート内空間8の内部が減圧される一方で、シート内空間8の外部(処理室6)が加圧される状態が形成され、シート内空間8(
図5)の内部と外部との間に圧力差が生じる。
【0097】
その結果、シート内空間8を形成する弾性シート80が基板2あるいは基板2に配置された複数の素子4a,4b,4cにより大きな力で押し付けられ、シート内空間8の容積が顕著に縮小する。また、弾性シート80は、基板2に配置された複数の素子4a,4b,4cの形状に追随するように変形し、弾性シート80を複数の素子4a,4b,4cに高い密着度で密着させ、弾性シート80によって、複数の素子4a,4b,4cを均一な力で押し付けることができる。
【0098】
また、本実施形態では、弾性シート80は物理的手段(例えば、平板や弾性体等の物体)で押圧されるのではなく、シート内空間8の内外の圧力差に基づいて押圧される。したがって、平板や弾性体等の表面に形成される凹凸や傾斜の影響を受けることなく、弾性シート80を押圧することが可能となり、弾性シート80によって、複数の素子4a,4b,4cを均一かつ適度な力で押し付けることができる。
【0099】
処理室6の内部を加圧している間、上部加熱装置91によって処理室6の内部を加熱するとともに、下部加熱装置92によってステージ30を加熱する。これにより、ステージ30に設置された基板2を、その上面側および下面側からバランスよく加熱することが可能となり、導電性接合材料を介して、基板2に配置された複数の素子4a,4b,4cを基板2に良好に接合させることができる。また、上部加熱装置91および下部加熱装置92から受ける熱によって、弾性シート80が基板2に配置された複数の素子4a,4b,4cの形状に追随するように変形しやすくなり、弾性シート80と複数の素子4a,4b,4cとの密着度を高めることができる。
【0100】
上部加熱装置91および下部加熱装置92による加熱時においても、複数の第1吸引孔32を介した吸引は行われる。これにより、加熱による弾性シート80の変形に伴い、弾性シート80と基板2との間に隙間が形成されることを防止することが可能となり、弾性シート80と基板2に配置された複数の素子4a,4b,4cとの密着性を高めることができる。また、上部加熱装置91および下部加熱装置92による加熱時には、複数の素子4a,4b,4cと基板2とを接合する接合部材(導電性接合材料)が分解され、分解ガスが発生する場合があるが、上述した吸引状態を維持することにより、複数の第1吸引孔32によって分解ガスを吸引し、除去することができる。
【0101】
なお、上部加熱装置91および下部加熱装置92による加熱は、処理室6の内部の加圧を開始するのと同時に、あるいはこれよりも前に行ってもよい。
【0102】
図9に示すように、弾性シート80で基板2を所定時間だけ押し付けた後、処理室6から基板2を取り出す処理を行う。すなわち、
図8に示すように、上部部材21を所定距離だけ上方に移動させ、処理室6を開放させる。次に、
図7に示すように、シート保持部40を所定距離だけ上昇させ、ステージ30の上方に待機させる。これにより、基板2を覆うようにステージ30に配置されていた弾性シート80が、ステージ30から離脱(剥離)する。なお、この時点において、操出ロール41および巻取ロール42によって、弾性シート80の繰り出しおよび巻き取りを行い、搬送空間7に弾性シート80の未使用部分を供給しておいてもよい。
【0103】
次に、
図1に示すように、複数のリフトピン50を上方に移動させる。複数のリフトピン50が上昇移動し、各々の頂部がステージ30の上面に達したところで、基板2が複数のリフトピン50の頂部に載置され、複数のリフトピン50によって支持される。その状態で、複数のリフトピン50をステージ30の上方に所定距離だけ突出した位置まで上昇させ、待機させる。その後、ロボットアーム(図示略)を用いて、搬送空間7から基板2を取り出すことにより、複数の素子4a,4b,4cが基板2に均一な力で固定された素子アレイ4を得ることができる。
【0104】
以上で述べたように、本実施形態に係る基板処理装置10では、
図1および
図3に示すように、ステージ30は、基板設置領域34の外縁部34aの内外に跨るように形成された第1吸引孔31と、基板設置領域34の内側に形成された第2吸引孔32とを有する。また、
図8に示すように、シート保持部40は、基板2が覆われるように、弾性シート80をステージ30に配置する。基板設置領域34に基板2を配置した状態で、第2吸引孔32を介した吸引を行うことにより、基板2をステージ30に位置ずれしないように固定することができる。
【0105】
また、基板2が覆われるように弾性シート80をステージ30に配置した状態で、複数の第1吸引孔31を介した吸引を行うことにより、弾性シート80が基板2に向けて吸い寄せられ、基板2あるいは基板2に配置された複数の素子4a,4b,4cに弾性シート80を当接させることが可能となる。この状態において、処理室6を加圧することにより、その圧力に基づいて、弾性シート80が基板2に向けて押圧され、基板2に配置された複数の素子4a,4b,4cを弾性シート80で押し付けることができる。また、複数の第1吸引孔31による吸引時、あるいは処理室6の加圧時には、基板2に配置された複数の素子4a,4b,4cの形状に追随するように、弾性シート80を変形させることが可能である。これにより、弾性シート80を複数の素子4a,4b,4cに密着させ、弾性シート80によって、複数の素子4a,4b,4cを均一な力で押し付けることができる。
【0106】
また、複数の第1吸引孔31は、基板設置領域34の外縁部34aの内外に跨るように形成されているため、基板2が基板設置領域34に対して多少位置ずれした状態でステージ30に配置されたとしても、基板2によって第1吸引孔31が塞がるといった不具合の発生を防止することが可能であり、第1吸引孔31を介した吸引を滞りなく行うことができる。以上より、本実施形態に係る基板処理装置10によれば、複数の素子4a,4b,4cと基板2との接合の安定性を十分に確保することができる。
【0107】
また、本実施形態では、基板設置領域34の外縁部34aの各位置において、複数の第1吸引孔31を介した吸引を行うことが可能である。これにより、弾性シート80を基板2に向けて効率的に吸い寄せる(吸着させる)ことが可能となり、複数の第1吸引孔31による吸引時、あるいは処理室6の加圧時において、基板2に配置された複数の素子4a,4b,4cに弾性シート80をより高い密着度で密着させることができる。
【0108】
また、本実施形態では、
図5に示すように、複数の第1吸引孔31よりもステージ30の中心から離れた位置には、弾性シート80をステージ30に固定するためのシート固定部33(第3吸引孔33a)が設けられている。シート固定部33の位置で、弾性シート80をステージ30に固定した状態で、複数の第1吸引孔31による吸引を行うことにより、弾性シート80を基板2に向けて効率よく吸い寄せる(吸着させる)ことができる。
【0109】
また、本実施形態では、シート固定部33は、ステージ30に形成された第3吸引孔33aからなり、第3吸引孔33aを介した吸引により、弾性シート80はステージ30に固定される。そのため、シート固定部33の位置において、弾性シート80をステージ30に向けて吸い寄せることが可能となり、治具等を用いることなく簡易な構成で、弾性シート80をステージ30に吸着により固定することができる。
【0110】
また、本実施形態では、シート固定部33の内側には、弾性シート80とステージ30とで囲まれるシート内空間8が形成され、第1吸引孔31は、シート内空間8の内部を吸引可能な位置に配置される。第1吸引孔31によって、シート内空間8の内部の気体を吸引することにより、シート内空間8を形成する弾性シート80の一部を基板2に向けて吸い寄せる(吸着させる)ことが可能となる。また、シート内空間8の内部の気体を十分に吸引することにより、シート内空間8を形成する弾性シート80の一部を基板2の縁部に密着させることが可能となり、複数の第1吸引孔31による吸引時、あるいは処理室6の加圧時において、基板2に配置された複数の素子4a,4b,4cに弾性シート80をより高い密着度で密着させることができる。また、第1吸引孔31は、シート内空間8の外側の気体については吸引するが必要なく、第1吸引孔31による吸引エリアが、主として、シート内空間8の内部に限定されるため、弾性シート80を基板2に向けて効率よく吸い寄せることができる。
【0111】
また、本実施形態では、シート保持部40は、弾性シート80をステージ30に基板2から離脱可能に配置する。そのため、基板2に配置された複数の素子4a,4b,4cを弾性シート80で押し付けた後は、弾性シート80を基板2から容易に離脱させることが可能となる。これにより、ステージ30に基板2が設置される度に、基板2あるいは基板2に配置された複数の素子4a,4b,4cに弾性シート80を当接させて、基板2に配置された複数の素子4a,4b,4cを弾性シート80で押し付ける処理を実行することができる。
【0112】
なお、本発明は、上述した実施形態に限定されるものではなく、本発明の範囲内で種々に改変することができる。
【0113】
上記実施形態において、
図1に示す上側脚部211または下側脚部221は、複数の第1吸引孔31よりもステージ30の中心から離れた位置(例えば、ステージ30の縁部)でステージ30と接し、加圧空間を形成してもよい。このような構成とすることにより、ステージ30と天板部210と上側脚部211または下側脚部221とで囲まれた空間を加圧空間として利用することが可能となる。当該加圧空間の容積は、第1閉空間212および第2閉空間222からなる処理室6の容積よりも小さいため、当該加圧空間の気圧を効率よく高めることが可能となり、当該加圧空間とシート内空間8との圧力差に基づいて、弾性シート80で基板2に配置された複数の素子4a,4b,4cを適度な力で押し付けることができる。
【0114】
上記実施形態において、
図3に示すように、シート固定部33はステージ30に設けられていたが、チャンバ20に設けられていてもよい。例えば、シート固定部33は、
図1に示す下部部材22の下側脚部221の上面に形成されていてもよい。この場合、シート固定部33の態様として、上記実施形態で述べた態様の他に、下記のような態様が例示される。例えば、下側脚部221の上面に凹部を形成しておくとともに、その凹部に対応する位置で、上側脚部211の下面に凸部あるいは治具を設けておく。このような構成とした場合、上部部材21が下降し、下側脚部221に当接すると、上側脚部211に設けられた凸部あるいは治具が凹部に嵌合する。これにより、上側脚部211と下側脚部221との間に位置する弾性シート80が、下側脚部221に形成された凹部の内部で、上側脚部211に形成された凸部あるいは治具で押さえ付けられるため、弾性シート80を上側脚部211と下側脚部221との間に固定することができる。
【0115】
上記実施形態では、
図8に示すように、操出ロール41および巻取ロール42がステージ30に相対的に近づくことにより、シート保持部40は基板2が覆われるように弾性シート80をステージ30に配置したが、基板2を弾性シート80で覆う手段はこれに限定されるものではない。例えば、基板処理装置10にラミネータを具備させ、ラミネータにより、基板2を弾性シート80で覆ってもよい。
【0116】
上記実施形態では、
図3に示すように、基板2の形状は略四角形であったが、円形あるいはその他の多角形であってもよい。
【0117】
上記実施形態では、
図8に示すように弾性シート80がステージ30の位置まで下降した後、
図9に示すように上部部材21が下部部材22の位置まで下降したが、上部部材21が下部部材22の位置まで下降し、チャンバ20内に閉空間(処理室6)が形成された後に、弾性シート80がステージ30の位置まで下降してもよい。
【0118】
上記実施形態では、基板処理装置10には、上部加熱装置91と下部加熱装置92の2つの加熱装置が具備されていたが、いずれか一方のみ具備されていてもよい。また、上部加熱装置91および下部加熱装置92による加熱温度は、等しくてなっていることが好ましいが、異なっていてもよい。
【0119】
上記実施形態では、シート保持部40がステージ30に近づくことにより、シート保持部40は基板2を覆うように弾性シート80をステージ30に配置したが、基板2が設置されたステージ30がシート保持部40(あるいは、弾性シート80)に近づくことにより、シート保持部40は基板2を覆うように弾性シート80をステージ30に配置してもよい。あるいは、複数のリフトピン50が、基板2を支持した状態で、シート保持部40(あるいは、弾性シート80)に近づくことにより、シート保持部40は弾性シート80で基板2を覆ってもよい。
【0120】
上記実施形態では、複数の第1吸引孔31とシート固定部33(第3吸引孔33a)とは所定距離だけ離間して配置されていたが、これらは隣接するように配置されていてもよい。
【符号の説明】
【0121】
2…基板
4…素子アレイ
4a,4b,4c…素子
6…処理室
7…搬送空間
8…シート内空間
10…基板処理装置
11…駆動部
12…加圧制御部
13…減圧制御部
14…温度制御部
20…チャンバ
21…上部部材
210…天板部
211…上側脚部
212…第1閉空間
22…下部部材
220…底部
220a…貫通孔
221…下側脚部
222…第2閉空間
30…ステージ
31…第1吸引孔
32…第2吸引孔
33…シート固定部
33a…第3吸引孔
34…基板設置領域
34a…外縁部
35…貫通孔
40…シート保持部
41…操出ロール
42…巻取ロール
50…リフトピン
60…第1吸引管
70…第2吸引管
80…弾性シート
91…上部加熱装置
92…下部加熱装置
100…第3吸引管