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  • 特開-什器 図1
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2022177563
(43)【公開日】2022-12-01
(54)【発明の名称】什器
(51)【国際特許分類】
   H04R 1/02 20060101AFI20221124BHJP
   F24F 7/007 20060101ALI20221124BHJP
   F24F 5/00 20060101ALI20221124BHJP
   F21V 33/00 20060101ALI20221124BHJP
   F21S 9/02 20060101ALI20221124BHJP
   F24F 6/00 20060101ALI20221124BHJP
【FI】
H04R1/02 103E
F24F7/007 101
F24F5/00 101B
F21V33/00 100
F21S9/02
F24F6/00 Z
【審査請求】未請求
【請求項の数】8
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2021083914
(22)【出願日】2021-05-18
(71)【出願人】
【識別番号】000002299
【氏名又は名称】清水建設株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100149548
【弁理士】
【氏名又は名称】松沼 泰史
(74)【代理人】
【識別番号】100161506
【弁理士】
【氏名又は名称】川渕 健一
(74)【代理人】
【識別番号】100161207
【弁理士】
【氏名又は名称】西澤 和純
(72)【発明者】
【氏名】都築 弘政
(72)【発明者】
【氏名】牧住 敏幸
(72)【発明者】
【氏名】▲高▼橋 満博
(72)【発明者】
【氏名】稲葉 秀行
(72)【発明者】
【氏名】重盛 洸
【テーマコード(参考)】
3K014
3L055
3L056
【Fターム(参考)】
3K014AA00
3K014PC00
3L055AA06
3L055AA10
3L056BG07
3L056BG08
(57)【要約】
【課題】フレキシブル性が高い什器を提供する。
【解決手段】什器1は、移動可能な筐体10と、筐体10に内蔵されたバッテリー12と、筐体10に設けられ、バッテリー12と電気的に接続され、周辺にいる利用者の環境をパーソナル制御する複数の設備要素21~27と、を備え、設備要素21~27は、ユニット化され、一の設備要素21は、可変吹出口付タスクファンであり、一の設備要素22は、照明であり、一の設備要素23は、加湿器である。
【選択図】図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
移動可能な筐体と、
該筐体に内蔵されたバッテリーと、
前記筐体に設けられ、前記バッテリーと電気的に接続され、周辺にいる利用者の環境をパーソナル制御する複数の設備要素と、を備える什器。
【請求項2】
前記設備要素は、ユニット化されている請求項1に記載の什器。
【請求項3】
一の前記設備要素は、可変吹出口付タスクファンである請求項1または2に記載の什器。
【請求項4】
一の前記設備要素は、照明である請求項1から3のいずれか一項に記載の什器。
【請求項5】
一の前記設備要素は、加湿器である請求項1から4のいずれか一項に記載の什器。
【請求項6】
一の前記設備要素は、放射冷暖房である請求項1から5のいずれか一項に記載の什器。
【請求項7】
一の前記設備要素は、スピーカーである請求項1から6のいずれか一項に記載の什器。
【請求項8】
一の前記設備要素は、情報ライトである請求項1から7のいずれか一項に記載の什器。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、什器に関するものである。
【背景技術】
【0002】
従来から、オフィス環境を創出する空調や照明の制御方法のひとつとして、省エネ及び快適性の観点から、タスク域とアンビエント域とを別々に制御するタスク・アンビエントシステムがある。個人が固定席に設置されたパーソナル環境装置(タスク空調やタスク照明等)を自由に操作することで、好みのパーソナル環境を選択することができる。例えば、下記の特許文献1参照。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2007-198652号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
近年のニューノーマルな働き方として、ABW(Active Based Working)が注目されていて、更なる自由な働き方として、什器レイアウトも自由になり移動家具への対応が必要と考えられる。しかしながら、従来の固定席やフリーアドレスのオフィスでは什器が所定の箇所に固定して設置されていたり、パーソナル環境装置も電源や熱源等がビルシステムと接続されているため移動することは困難であったりする。席レイアウト変更や個人の働く場所の選択性に対するフレキシブル性に乏しいという問題点がある。
【0005】
そこで、本発明は、上記事情に鑑みてなされたものであり、フレキシブル性が高い什器を提供する。
【課題を解決するための手段】
【0006】
上記目的を達成するために、本発明は以下の手段を採用している。
すなわち、本発明に係る什器は、移動可能な筐体と、該筐体に内蔵されたバッテリーと、前記筐体に設けられ、前記バッテリーと電気的に接続され、周辺にいる利用者の環境をパーソナル制御する複数の設備要素と、を備える。
【0007】
このように構成された什器では、什器レイアウトが自由なABWオフィスにおいて、バッテリーが内蔵された什器を移動させることができる。周辺にいる利用者の環境をパーソナル制御する複数の設備要素が組み込まれている。よって、個人の好みに応じたパーソナル環境の形成が可能となり、フレキシブル性を高めることができる。
【0008】
また、本発明に係る什器では、前記設備要素は、ユニット化されていてもよい。
【0009】
このように構成された什器では、設備要素はユニット化されているため、設備要素の更新をはじめ、そのときのトレンドに合わせた自由なカスタマイズが可能である。
【0010】
また、本発明に係る什器では、一の前記設備要素は、可変吹出口付タスクファンであってもよい。
【0011】
このように構成された什器では、一の設備要素は可変吹出口付タスクファンであるため、個人の好みに応じた空調調整が可能である。
【0012】
また、本発明に係る什器は、一の前記設備要素は、照明であってもよい。
【0013】
このように構成された什器では、一の設備要素は照明であるため、個人の好みに応じた照明及び色温度の調整が可能である。
【0014】
また、本発明に係る什器は、一の前記設備要素は、加湿器であってもよい。
【0015】
このように構成された什器では、一の設備要素は加湿器であるため、個人の好みに応じた湿度調整が可能である。
【0016】
また、本発明に係る什器は、一の前記設備要素は、放射冷暖房であってもよい。
【0017】
このように構成された什器では、一の設備要素は放射冷暖房であるため、個人の好みに応じた暖房調整が可能である。例えば、電気ヒーターによる暖房以外に、冷温水器と接続することで、放射冷暖房が可能となる。
【0018】
また、本発明に係る什器は、一の前記設備要素は、スピーカーであってもよい。
【0019】
このように構成された什器では、一の設備要素はスピーカーであるため、個人の好みに応じた音量、曲、環境音及びホワイトノイズ等調整が可能である。
【0020】
また、本発明に係る什器は、一の前記設備要素は、情報ライトであってもよい。
【0021】
このように構成された什器では、一の設備要素は情報ライトであるため、個人の作業状態や要望を伝達するための情報を発信したり、入手したりすることが可能である。
【発明の効果】
【0022】
本発明に係る什器によれば、フレキシブル性を高めることができる。
【図面の簡単な説明】
【0023】
図1】本発明の一実施形態に係る什器を示す模式的な図である。
図2】本発明の一実施形態の変形例に係る什器を示す模式的な図である。
【発明を実施するための形態】
【0024】
本発明の一実施形態に係る什器について、図面を用いて説明する。
図1は、本発明の一実施形態に係る什器を示す模式的な図である。図1に示すように、什器の一例である家具1は、筐体10と、キャスタ11と、バッテリー12と、複数の設備要素21~27と、バイオフィリック部31と、引き出し32と、を備えている。家具1は、オフィス等の施設の利用者の近傍に設置して、利用者の好みに応じた環境をパーソナル制御するものである。
【0025】
筐体10の外形は、本実施形態では、略直方体状に形成されている。なお、筐体10の外形は、適宜設定可能である。筐体10の外面には、移動する際に把持する把手や、凹みが設けられていてもよい。筐体10は、例えば幅700mm、奥行200mm、高さ900mm程度である。
【0026】
キャスタ11は、筐体10の底板10dに設けられている。キャスタ11は、床面上を走行可能である。キャスタ11は、走行のロック及び解除が可能なロック機構(不図示)や、高さが調整可能なアジャスタ機構(不図示)を有していてもよい。
【0027】
筐体10の筐体10の正面板10aの下端部、側面板10bの下端部及び後面板の下端部は、底板10dよりも下方に位置している。これによって、筐体10の外側から見ると、キャスタ11の露出を抑制することができる。
【0028】
バッテリー12は、筐体10に内蔵されている。バッテリー12は、蓄電機能を有する素子又は装置である。バッテリー12は、例えば、リチウムイオン二次電池などの蓄電池等であってもよい。バッテリー12は、後述する設備要素21~27と電気的に接続されている。
【0029】
バッテリー12の容量は、例えば462Wh程度である。下記の表1に、用途別の消費電力及び持続可能時間の一例を示す。
【0030】
【表1】
【0031】
バッテリー12は、例えば土日に太陽光発電で充電し、一週間の平日の使用を想定している。非常時の事業継続計画BCP(Business Continuity Planning)に寄与可能である。また、バッテリー12は太陽光を利用するため、再生可能エネルギーのピークシフトが可能である。
【0032】
設備要素21~27は、周辺にいる利用者の環境をパーソナル制御する。設備要素21~27は、筐体10の内部に設置されるか、筐体10の正面板10a及び側面板10bに露出するように設置されている。設備要素21~27は、筐体10に着脱可能に設けられている。
【0033】
第1設備要素21は、可変吹出口付タスクファンである。第1設備要素21は、空気を吸い込む吸い込み口21aと、不図示のファンと、空気を吹き出す可変式吹き出し口21bと、操作ボタン21cを有している。吸い込み口21a、可変式吹き出し口21b及び操作ボタン21cは、筐体10の正面板10aに設けられている。吸い込み口21aとファンとは、不図示のダクトで接続されている。ファンと可変式吹き出し口21bとは、不図示のダクトで接続されている。操作ボタン21cの操作によって、可変式吹き出し口21bからの空気の吹き出しの起動、停止及び風量調節が可能である。第1設備要素21は、熱交換器を有していてもよい。
【0034】
可変式吹き出し口21bは、指向性があり、利用者の好みの箇所に気流の送風が可能である。下記の表2に、風量及び消費電力の一例を示す。
【0035】
【表2】
【0036】
第2設備要素22は、照明である。第2設備要素22は、照明本体22aと、操作ボタン22bと、を有している。照明本体22a及び操作ボタン22bは、筐体10の正面板10aに露出するように設けられている。操作ボタン22bの操作によって、照明本体22aの点灯、消灯及び照度調節が可能である。照明本体22aの照度は、デスクワークを補助する程度である。照明本体22aの消費電力は、例えば6W程度である。
【0037】
第3設備要素23は、加湿器である。第3設備要素23は、筐体10の内部に設置された加湿機本体(不図示)と、噴出口23bと、を有している。加湿機本体は、例えばペットボトルに貯めた水を超音波で振動させることで微粒子に変え、空気中に噴出させる構成であってもよい。
【0038】
第4設備要素24は、放射冷暖房である。第4設備要素24は、暖房本体24aと、操作ボタン24bと、冷温水器(不図示)と、を有している。暖房本体24a及び操作ボタン24bは、筐体10の正面板10aに露出するように設けられている。暖房本体24aは、例えば白熱電球及びパラボラヒーターによる放射熱暖房装置である。操作ボタン24bの操作によって、暖房本体24a及び冷温水器の起動、停止及び温度調節が可能である。利用者の足元を暖房したり冷房したりすることが可能である。第4設備要素24の消費電力は、例えば25W程度である。
【0039】
第5設備要素25は、スピーカーである。第5設備要素25は、筐体10の正面板10aに露出するように設けられている。第5設備要素25は、例えばホワイトノイズスピーカーであり、ホワイトノイズ等のサウンドにより作業音、話声等をマスキング可能である。第5設備要素25は、20種のサウンド、30段階の音量調整が設定可能である。第5設備要素25の消費電力は、例えば3W程度である。
【0040】
第6設備要素26は、情報ライトである。第6設備要素26は、情報ライト本体26aと、画像センサー26bと、を有している。情報ライト本体26aは、筐体10の側面板10bに露出するように設けられている。画像センサー26bは、筐体10の正面板10aに露出するように設けられている。情報ライト本体26aは、利用者の集中度合いなどによる心理状況を周りに知らせるためのライトである。画像センサー26bには、PCSが内蔵されている。画像センサー26bによって、離席時の検知及びコミュニケーションの可否を表示する。
【0041】
第7設備要素27は、電源供給装置である。第7設備要素27は、筐体10の正面板10aに露出するように設けられている。第7設備要素27は、OA機器のためのACコンセントとUSBの給電が可能である。
【0042】
バイオフィリック部31は、バイオフィリックデザインが施された物である。バイオフィリック部31は、人間が好む自然をデザインとして取り入れたものである。バイオフィリック部31によって、ストレスの軽減や集中力の向上が期待可能である。バイオフィリック部31で、盆栽等を育てることも可能である。
【0043】
引き出し32は、筐体10の正面板10aに設けられている。引き出し32は、上方に開口する箱状をしている。引き出し32は、前方にひきだし可能とされている。引き出し32を、喫煙者はタバコの灰皿として、その他の人は収納やペン立てとして利用することができる。
【0044】
なお、設備要素としてたばこ排煙吸い込み装置(不図示)が設けられていてもよい。
【0045】
このように構成された家具1では、什器レイアウトが自由なABWオフィスにおいて、バッテリー12が内蔵された家具1を移動させることができ、座席移動に対応することができる。周辺にいる利用者の環境をパーソナル制御する複数の設備要素が組み込まれている。よって、個人の好みに応じたパーソナル環境の形成が可能となり、フレキシブル性を高めることができる。
【0046】
また、家具1にはバッテリー12が内蔵されているため、建物が停電した場合においても、最低限のパーソナル環境の確立が可能である。第7設備要素27によって、スマホ等の充電が可能である。
【0047】
また、第1設備要素21は可変吹出口付タスクファンであるため、個人の好みに応じた空調調整が可能である。
【0048】
また、第2設備要素22は照明であるため、個人の好みに応じた照度及び色温度の調整が可能である。
【0049】
また、第3設備要素23は加湿器であるため、個人の好みに応じた湿度調整が可能である。
【0050】
また、第4設備要素24は放射冷暖房であるため、個人の好みに応じた暖房調整が可能である。電気ヒーターによる暖房以外に、冷温水器と接続することで、放射冷暖房が可能である。
【0051】
また、第5設備要素25はスピーカーであるため、個人の好みに応じた音量、曲、環境音及びホワイトノイズ等調整が可能である。
【0052】
また、第6設備要素26は情報ライトであるため、個人の作業状態や要望を伝達するための情報を発信したり、入手したりすることが可能である。また、利用者の集中度合いなどによる心理状況を周りに知らせることができる。
【0053】
また、筐体10は所定のボリュームがあるため、災害時のプライバシー確保のためのパーソナル空間を創出する一助にもなり得る。
【0054】
(変形例)
次に、上記に示す実施形態の変形例に係る什器について、主に図2を用いて説明する。
以下の変形例において、前述した実施形態で用いた部材と同一の部材には同一の符号を付して、その説明を省略する。
【0055】
図2に示すように、本変形例に係る什器の一例である家具1Aでは、設備要素21A~27Aは、ユニット化されている。家具1Aは、複数のユニットに区画されている。本実施形態では、家具1Aは、ユニットU1~U8に区画されている。ユニットU1~U8は、略同一の大きさである。ユニットU1~U7には、それぞれ設備要素21A~27Aが設置されている。設備要素21A~27Aは、それぞれ設備要素21~27の機能を有している。設備要素21A~27Aは、ユニットU1~U8に着脱可能に設置されている。
【0056】
このように構成された家具1Aでは、什器レイアウトが自由なABWオフィスにおいて、バッテリー12が内蔵された家具1を移動させることができ、座席移動に対応することができる。周辺にいる利用者の環境をパーソナル制御する複数の設備要素が組み込まれている。よって、個人の好みに応じたパーソナル環境の形成が可能となり、フレキシブル性を高めることができる。
【0057】
また、設備要素21A~27Aはユニット化されているため、設備要素21A~27Aの更新をはじめ、そのときのトレンドに合わせた自由なカスタマイズが可能である。
【0058】
なお、上述した実施の形態において示した組立手順、あるいは各構成部材の諸形状や組み合わせ等は一例であって、本発明の主旨から逸脱しない範囲において設計要求等に基づき種々変更可能である。
【0059】
例えば、家具1には、ビーコンが内蔵され、位置情報を把握して、利用状況のデータ収集が可能であってもよい。家具1の位置情報による利用状況データは、普段からの設備管理をはじめ、ABWオフィスにおける執務者行動の貴重なデータとなり、働き方マネジメントに活かすことが可能となる。
【0060】
また、全面床吹出空調の場合には、床吹出口の上部に家具1を設置して、筐体10の底板10dに吸い込み口を設けて、当該吸い込み口から空気を吸い込み、筐体10の吹き出し口から吹き出すように、筐体10を風道として利用することで、ファンにおいて電気を必要としない構成であってもよい。
【符号の説明】
【0061】
1…家具(什器)
10…筐体
12…バッテリー
21…第1設備要素
22…第2設備要素
23…第3設備要素
24…第4設備要素
25…第5設備要素
26…第6設備要素
27…第7設備要素
図1
図2