(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2022017758
(43)【公開日】2022-01-26
(54)【発明の名称】再生端末数算出装置、再生端末数算出方法、及びプログラム
(51)【国際特許分類】
G06F 13/00 20060101AFI20220119BHJP
【FI】
G06F13/00 540R
【審査請求】未請求
【請求項の数】6
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2020120492
(22)【出願日】2020-07-14
(71)【出願人】
【識別番号】591101434
【氏名又は名称】株式会社ビデオリサーチ
(74)【代理人】
【識別番号】100079108
【弁理士】
【氏名又は名称】稲葉 良幸
(74)【代理人】
【識別番号】100109346
【弁理士】
【氏名又は名称】大貫 敏史
(74)【代理人】
【識別番号】100117189
【弁理士】
【氏名又は名称】江口 昭彦
(74)【代理人】
【識別番号】100134120
【弁理士】
【氏名又は名称】内藤 和彦
(72)【発明者】
【氏名】松本 圭一
(72)【発明者】
【氏名】坂本 新
【テーマコード(参考)】
5B084
【Fターム(参考)】
5B084AA02
5B084AA12
5B084AB35
5B084AB37
5B084BB19
(57)【要約】 (修正有)
【課題】広告IDをオプトアウトしている端末が含まれている場合にも、コンテンツの再生端末数を推計する。
【解決手段】再生端末数算出装置10において、コンテンツの再生履歴を取得する履歴取得部と、取得した全ての再生履歴のうち、再生した端末の識別子が開示されている再生履歴数を取得する情報開示履歴数取得部と、識別子が開示されている再生履歴に基づいて、識別子を開示している端末数を算出する情報開示端末数算出部と、全ての再生履歴数と、識別子が開示されている再生履歴数と、識別子を開示している端末数とに基づいて、識別子を開示していない端末を含む全ての端末数を推計する再生端末数推計部と、を備える。
【選択図】
図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
コンテンツの再生履歴を取得する履歴取得部と、
取得した全ての再生履歴のうち、再生した端末の識別子が開示されている再生履歴数を取得する情報開示履歴数取得部と、
識別子が開示されている再生履歴に基づいて、識別子を開示している端末数を算出する情報開示端末数算出部と、
全ての再生履歴数と、前記識別子が開示されている再生履歴数と、前記識別子を開示している端末数とに基づいて、識別子を開示していない端末を含む全ての端末数を推計する再生端末数推計部と、を備えた再生端末数算出装置。
【請求項2】
前記全ての再生履歴数と、前記識別子が開示されている再生履歴数に基づいて、全端末数の推計比を算出する端末数推計比算出部を備え、
前記再生端末数推計部は、
前記識別子を開示している端末数に、前記端末数推計比を掛けることにより、前記全ての端末数を推計する、請求項1に記載の再生端末数算出装置。
【請求項3】
前記再生端末数推計部は、
第1のコンテンツに関する全ての再生履歴数と、前記第1のコンテンツに関する識別子が開示されている再生履歴数と、第2のコンテンツを再生した端末のうち再生履歴に識別子を開示している端末数を用いて、前記第2のコンテンツを再生した全ての端末数を推計する、請求項1に記載の再生端末数算出装置。
【請求項4】
前記再生端末数推計部は、
第1のコンテンツに関する推計された全ての端末数と、前記第1のコンテンツに関する識別子を開示している端末数と、第2のコンテンツを再生した端末のうち再生履歴に識別子を開示している端末数を用いて、前記第2のコンテンツを再生した全ての端末数を推計する、請求項1に記載の再生端末数算出装置。
【請求項5】
コンピュータが、コンテンツの再生履歴を取得する工程と、
コンピュータが、取得した全ての再生履歴のうち、再生した端末の識別子が開示されている再生履歴数を取得する工程と、
コンピュータが、識別子が開示されている再生履歴に基づいて、識別子を開示している端末数を算出する工程と、
コンピュータが、全ての再生履歴数と、前記識別子が開示されている再生履歴数に基づいて、全端末数の推計比を算出する工程と、
コンピュータが、全ての再生履歴数と、前記識別子が開示されている再生履歴数と、前記識別子を開示している端末数とに基づいて、識別子を開示していない端末を含む全ての端末数を推計する工程と、を含む再生端末数算出方法。
【請求項6】
コンピュータを、
コンテンツの再生履歴を取得する履歴取得部と、
取得した全ての再生履歴のうち、再生した端末の識別子が開示されている再生履歴数を取得する情報開示履歴数取得部と、
識別子が開示されている再生履歴に基づいて、識別子を開示している端末数を算出する情報開示端末数算出部と、
全ての再生履歴数と、前記識別子が開示されている再生履歴数と、前記識別子を開示している端末数とに基づいて、識別子を開示していない端末を含む全ての端末数を推計する再生端末数推計部として、機能させるプログラム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、オンラインのコンテンツの再生状況を調査する再生端末数算出装置、再生端末数算出方法、及びプログラムに関する。
【背景技術】
【0002】
近年、テレビ放送後にインターネット上で番組コンテンツを配信するサービス(キャッチアップ配信)の利用者が増えている。キャッチアップ配信されたコンテンツの視聴率を計測する方法として、コンテンツに再生情報を収集するためのタグを埋め込む方法があるが、収集する情報にユーザを特定する識別子が含まれるため、個人情報保護の観点から当該計測方法の利用が適切でない場合があった。
【0003】
また、例えば特許文献1に記載されているように、ユーザによるオプトアウトの選択が可能な広告IDを利用して、視聴履歴の調査等を行う方法も知られている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
広告IDは、端末に付与されるユニークなIDであるため、あるコンテンツを再生した全ての端末から広告IDを取得することができれば、そのコンテンツを再生した端末数、すなわちユーザ数を知ることができる。
【0006】
しかし、上述のように、広告IDはユーザによるオプトアウトの選択が可能である。オプトアウトを選択している端末の再生履歴からは端末が特定できないため、オプトアウトを選択している端末が含まれていると、コンテンツの再生端末数を計測することができなかった。
【0007】
そこで、本発明は、広告IDをオプトアウトしている端末が含まれている場合にも、コンテンツの再生端末数を推計することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0008】
本発明に係る再生端末数算出装置は、コンテンツの再生履歴を取得する履歴取得部と、
取得した全ての再生履歴のうち、再生した端末の識別子が開示されている再生履歴数を取得する情報開示履歴数取得部と、識別子が開示されている再生履歴に基づいて、識別子を開示している端末数を算出する情報開示端末数算出部と、全ての再生履歴数と、前記識別子が開示されている再生履歴数と、前記識別子を開示している端末数とに基づいて、識別子を開示していない端末を含む全ての端末数を推計する再生端末数推計部とを備えたものである。
【0009】
本発明に係る再生端末数算出方法は、コンピュータが、コンテンツの再生履歴を取得する工程と、コンピュータが、取得した全ての再生履歴のうち、再生した端末の識別子が開示されている再生履歴数を取得する工程と、コンピュータが、識別子が開示されている再生履歴に基づいて、識別子を開示している端末数を算出する工程と、コンピュータが、全ての再生履歴数と、前記識別子が開示されている再生履歴数に基づいて、全端末数の推計比を算出する工程と、コンピュータが、全ての再生履歴数と、前記識別子が開示されている再生履歴数と、前記識別子を開示している端末数とに基づいて、識別子を開示していない端末を含む全ての端末数を推計する工程と、を含むものえある。
【0010】
本発明に係るプログラムは、コンピュータを、コンテンツの再生履歴を取得する履歴取得部と、取得した全ての再生履歴のうち、再生した端末の識別子が開示されている再生履歴数を取得する情報開示履歴数取得部と、識別子が開示されている再生履歴に基づいて、識別子を開示している端末数を算出する情報開示端末数算出部と、全ての再生履歴数と、前記識別子が開示されている再生履歴数と、前記識別子を開示している端末数とに基づいて、識別子を開示していない端末を含む全ての端末数を推計する再生端末数推計部として、機能させるものである。
【発明の効果】
【0011】
本発明によれば、広告IDをオプトアウトしている端末が含まれている場合にも、コンテンツの再生端末数を推計することができる。
【図面の簡単な説明】
【0012】
【
図1】本発明の実施の形態による、再生端末数算出装置10の構成を示すブロック図。
【
図2】本発明の実施の形態による、再生端末数算出装置10による、対象コンテンツの再生端末数の算出方法のフローチャート。
【
図3】本発明の実施の形態による、再生端末数の推計方法を説明する図。
【発明を実施するための形態】
【0013】
次に、本発明を実施するための形態について、図面を参照して詳細に説明する。
実施の形態
図1は、本発明の実施の形態による、再生端末数算出装置10の構成を示すブロック図である。再生端末数算出装置10は、通信ネットワークを介して複数のユーザ端末20と接続されている。通信ネットワークは、有線又は無線ネットワークであり、インターネット、LAN、専用線、電話回線、企業内ネットワーク、移動体通信網、ブルートゥース(登録商標)、WiFi(Wireless Fidelity)、その他の通信回線、それらの組み合わせ等を含む。
【0014】
再生端末数算出装置10は、制御装置11と、記憶装置12を備えている。制御装置11は、ハードウェアとして、CPU、ROMやRAM等のメモリ、入力インタフェース、出力インタフェース、通信インタフェース及びこれらを結ぶバス等を備えている。
【0015】
制御装置11は、CPUがROM等に格納されたコンピュータプログラムを実行することにより各種機能を実現する。
図1に示すように、制御装置11よって実行されるコンピュータプログラムの機能モジュールには、履歴取得部111、情報開示履歴数取得部112、情報開示端末数算出部113、端末数推計比算出部114、再生端末数推計部115が含まれる。
【0016】
記憶装置12は、ハードディスクドライブ等であり、再生状況の調査対象であるコンテンツの再生履歴が記憶されている。
【0017】
ユーザ端末20は、スマートフォン、携帯電話、タブレット端末、パーソナルコンピュータ(PC)、ノートPC、ウェアラブルデバイス、携帯情報端末(PDA)などの端末である。
【0018】
再生端末数算出装置10は、ユーザ端末20で閲覧された、キャッチアップ配信(見逃し配信)サービスによる配信コンテンツの再生履歴を取得し、ユニークユーザ数(再生端末数)を推計する。再生履歴には、対象のコンテンツを再生したユーザ端末20の端末識別子(AdID、IDFA、AAID等の広告ID)が含まれており、再生端末数算出装置10は、取得した再生履歴に含まれる端末識別子に基づいて、再生端末数を算出する。なお、端末識別子はユーザ端末20側の操作によって再生履歴に含まれないようにオプトアウトの設定をすることができる。
【0019】
次に、
図2のフローチャートを用いて、再生端末数算出装置10による、対象コンテンツの再生端末数の算出方法について説明する。
【0020】
まず、ユーザがユーザ端末20で、対象コンテンツC(ここでは、キャッチアップ配信された番組コンテンツ)を再生する(ステップS101)。コンテンツCはユーザ端末20に実装された専用アプリによって再生される。
【0021】
再生端末数算出装置10は、専用アプリを介して、コンテンツCを再生したユーザ端末20から、コンテンツCの再生履歴を受信する(ステップS102)。再生履歴には、ユーザ端末20の広告ID(端末識別子)が含まれる。広告IDは、ユーザ端末20に実装された専用アプリで利用される端末固有の識別子である。ユーザは、ユーザ端末20の設定によって広告IDのオプトアウトを選択することができる。ユーザ端末20においてオプトアウトが選択されている場合、再生履歴の広告IDのデータ領域は空の状態(または、デフォルト値がセットされた状態)で受信される。
【0022】
再生端末数算出装置10は、取得した全ての端末の再生履歴のうち、広告IDがオプトアウトされていない(広告IDが含まれている)再生履歴を抽出する(ステップS103)。
【0023】
次に、再生端末数算出装置10は、ステップS103で抽出した再生履歴に基づいて、広告IDをオプトアウトしていない再生端末数(ユニークユーザ数)を算出する(ステップS104)。具体的には、抽出した各再生履歴のうち、広告IDが同一の履歴は1つにまとめ、異なる広告IDの数(異なる端末の数)を算出する。
【0024】
次に、再生端末数算出装置10は、ステップS102で取得した全ての再生履歴数(オプトアウトしている履歴と、オプトアウトしていない履歴が含まれる)と、ステップS103で抽出したオプトアウトしていない再生履歴数に基づいて、全再生端末数(全ユニークユーザ数)を求めるための推計比Rを求める(ステップS105)。
【0025】
例えば、ステップS102で取得した全ての再生履歴数が14000件、ステップS103で抽出したオプトアウトしていない再生履歴数が10000件の場合、推計比Rは以下のように算出される。
【0026】
推計比R=全ての再生履歴数/オプトアウトしていない再生履歴数
=14000/10000=1.4
【0027】
次に、再生端末数算出装置10は、ステップS104で算出した広告IDをオプトアウトしていない再生端末数と、推計比Rを用いて、広告IDをオプトアウトしている再生端末を含む全ての再生端末数を算出する(ステップS106)。
【0028】
例えば、ステップS104で算出した広告IDをオプトアウトしていない再生端末数が8000端末、推計比Rが1.4の場合、全ての再生端末数は下記のように推計される。
【0029】
全再生端末数=推計比R×オプトアウトしていない再生端末数
=1.4×8000=11200
【0030】
図3を用いて、本実施形態による全再生端末数の推計方法の考え方について、見方を変えて説明する。
図3に示すように、1か月間のコンテンツCの全再生履歴数(1万4000件)の内訳は、オプトアウトされていない履歴が10000件、オプトアウトされている履歴が4000件である。さらに、オプトアウトされていない履歴から算出されたユニークユーザ数(UU)は8000である。
【0031】
ここで、オプトアウトされていない10000件の履歴に対してユニークユーザ数は8000であるため、履歴数に対するユニークユーザ数の割合は0.8となる。本実施形態では、オプトアウトされている履歴についても、この割合を適用すると、オプトアウトされている4000件の履歴に対するユニークユーザ数は、4000×0.8=3200(UU)と推計される。したがって、全ユニークユーザ数は、8000+3200=11200(UU)となる。
【0032】
以上のように、本実施形態によれば、実測したあるコンテンツの全再生履歴数と、広告IDをオプトアウトしていない再生履歴数と、広告IDをオプトアウトしていない再生端末数と、に基づいて、当該コンテンツの全再生端末数を推計するようにした。これにより、コンテンツの再生端末の中に広告IDをオプトアウトしている端末が含まれている場合にも、全ての再生端末数の有効な推計を行うことができる。
【0033】
具体的には、推計比R(全再生履歴数/広告IDをオプトアウトしていない再生履歴数)に、広告IDをオプトアウトしていない再生端末数を掛けることによって、全再生端末数を推計するようにした。これにより、簡易な方法で全ての再生端末数の有効な推計を行うことができる。
【0034】
なお、全再生端末数の推計の他の方法として、比率R1(広告IDをオプトアウトしていない再生端末数/広告IDをオプトアウトしていない再生履歴数、上記の例では、8000/10000=0.8)をまず求め、この比率R1に、全再生履歴数(14000)を掛けることにより、全再生端末数(0.8×14000=11200)を算出してもよい。
【0035】
さらに他の方法として、まず広告IDをオプトアウトしている再生端末数を求めるようにしてもよい。具体的には、広告IDをオプトアウトしている再生履歴数(上記の例では、14000-10000=4000)に、上記の比率R1を掛けることにより、広告IDをオプトアウトしている再生履歴数(4000×0.8=3200)を算出する。これに、広告IDをオプトアウトしていない再生端末数(8000)を足し合わせることにより、全再生端末数(3200+8000=11200)を算出してもよい。
【0036】
さらに、あるコンテンツの再生履歴に基づいて算出された推計比Rを、他のコンテンツの再生端末数(ユニークユーザ数)の推計に利用してもよい。例えば、コンテンツC1の再生履歴に基づいて算出された推計比Rを、コンテンツC2の再生履歴に基づいて算出されたオプトアウトしていないユニークユーザ数に掛けることにより、コンテンツC2の全体のユニークユーザ数を推計してもよい。これにより、他のコンテンツの全ユニークユーザ数をより簡易に推計することができる。なお、コンテンツC1の推計比R(全再生履歴数/広告IDをオプトアウトしていない再生履歴数)の代わりに、コンテンツC1の全再生端末数/広告IDをオプトアウトしていない再生端末数の比(上記の例では、11200/8000=1.4)を用いても、同様にコンテンツC2の全ユニークユーザ数を推計することができる。
【0037】
また、ある月に再生されたコンテンツC1(第1のコンテンツ)の月間の再生履歴に基づいて算出された推計比Rを、翌月に再生されたコンテンツC1(第2のコンテンツ)のユニークユーザ数の推計に利用するようにしてもよい。例えば、1月の再生履歴から算出された推計比R(1.4)を、2月におけるオプトアウトしていないユニークユーザ数(例えば、6000UU)に掛けることにより、2月の全ユニークユーザ数(1.4×6000=8400)を推計する。これにより、連続ドラマ等の各クールの全ユニークユーザ数を、より簡易に推計することができる。なお、1月の推計比R(全再生履歴数/広告IDをオプトアウトしていない再生履歴数)の代わりに、1月の全再生端末数/広告IDをオプトアウトしていない再生端末数の比を用いて2月の全ユニークユーザ数を推計してもよい。
【0038】
なお、本発明は、上述した実施形態に限定されるものではなく、本発明の要旨を逸脱しない範囲内において、他の様々な形で実施することができる。このため、上記実施形態はあらゆる点で単なる例示にすぎず、限定的に解釈されるものではない。例えば、上述した各処理ステップは処理内容に矛盾を生じない範囲で任意に順番を変更し、または並列に実行することができる。また、各処理ステップ間に他のステップを追加してもよい。また、1ステップとして記載されているステップを、複数ステップに分けて実行してもよいし、複数ステップに分けて記載されているものを、1ステップとして把握することもできる。
【符号の説明】
【0039】
10…再生端末数算出装置
11…制御装置
12…記憶装置
20…ユーザ端末
111…履歴取得部
112…情報開示履歴数取得部
113…情報開示端末数算出部
114…端末数推計比算出部
115…再生端末数推計部