(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2022177581
(43)【公開日】2022-12-01
(54)【発明の名称】蓄熱システム
(51)【国際特許分類】
F22B 1/16 20060101AFI20221124BHJP
F01K 25/10 20060101ALI20221124BHJP
F01K 27/02 20060101ALI20221124BHJP
F28D 20/00 20060101ALI20221124BHJP
B09B 3/40 20220101ALI20221124BHJP
【FI】
F22B1/16 Z
F01K25/10 Z
F01K27/02 Z
F28D20/00 B
B09B3/00 302A
【審査請求】未請求
【請求項の数】8
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2021083947
(22)【出願日】2021-05-18
(71)【出願人】
【識別番号】500571631
【氏名又は名称】鄭 鳳春
(71)【出願人】
【識別番号】500571642
【氏名又は名称】高田 瓊隆
(74)【代理人】
【識別番号】100085291
【弁理士】
【氏名又は名称】鳥巣 実
(74)【代理人】
【識別番号】100117798
【弁理士】
【氏名又は名称】中嶋 慎一
(74)【代理人】
【識別番号】100166899
【弁理士】
【氏名又は名称】鳥巣 慶太
(74)【代理人】
【識別番号】100221006
【弁理士】
【氏名又は名称】金澤 一磨
(72)【発明者】
【氏名】鄭 鳳春
【テーマコード(参考)】
3G081
4D004
【Fターム(参考)】
3G081BA02
3G081BB04
3G081BC21
4D004AA07
4D004CA25
4D004CB31
(57)【要約】
【課題】バイナリー発電装置の作動媒体の加熱・蒸発を安定化させ、短期変動のない電力を発電せさせる。
【解決手段】再生可能エネルギーを利用して加熱された加熱媒体との熱交換により加熱された熱源媒体を循環させる蓄熱回路4の途中に加熱手段9を設ける。加熱手段9は、蓄熱回路4における熱交換器7による熱交換で、バイナリー発電装置2内を循環する作動媒体を加熱・蒸発させるのに必要な温度を維持するように熱源媒体を加熱する。加熱手段9は、廃プラスチックより精製油を得るべく、高温の熱媒体にて廃プラスチックを熱分解する油化装置の循環路を流れる前記熱媒体との熱交換により、蓄熱回路4を流れる熱源媒体を加熱する熱交換器である。
【選択図】
図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
第1熱交換器にて再生可能エネルギーを利用して加熱された加熱媒体との熱交換により熱源媒体を加熱し、第2熱交換器にて前記熱源媒体との熱交換により沸点の低い作動媒体を蒸発させ、その蒸気でタービンを回して発電するバイナリー発電装置に用いる蓄熱システムであって、
前記熱源媒体を循環させる蓄熱回路と、
前記蓄熱回路に設けられ前記熱源媒体を加熱する加熱手段とを備え、
前記加熱手段は、廃プラスチックより精製油を得るべく、高温の熱媒体にて廃プラスチックを熱分解する油化装置の循環路を流れる前記熱媒体との熱交換により前記熱源媒体を加熱する第3熱交換器である
ことを特徴とする蓄熱システム。
【請求項2】
前記循環路は、高温の溶媒を保持して廃プラスチックの投入を受ける熱分解槽と、前記溶媒を貯留する循環槽と、前記溶媒を加熱する加熱炉とを有し、前記循環槽から前記加熱炉を経て前記熱分解槽内で前記溶媒を移動させるものであり、
前記加熱炉付近の循環路が、前記第3熱交換器の高温側通路を形成している、請求項1記載の蓄熱システム。
【請求項3】
前記蓄熱回路は、前記熱源媒体を一時的に貯留するタンクを含み、ポンプにて前記熱源媒体を循環させるものである請求項1記載の蓄熱システム。
【請求項4】
前記第1熱交換器は、前記蓄熱回路において、前記タンクの上流側に設けられ、前記ポンプは、前記タンクの下流側に設けられている請求項2記載の蓄熱システム。
【請求項5】
前記加熱手段は、前記蓄熱回路において、前記第2熱交換器の上流側に設けられている請求項1~3のいずれか1項に記載の蓄熱システム。
【請求項6】
前記加熱手段は、前記蓄熱回路において、前記タンクの上流側に設けられている請求項1~3のいずれか1項に記載の蓄熱システム。
【請求項7】
前記加熱手段は、前記蓄熱回路において、前記第1熱交換器の上流側に設けられている請求項1~3のいずれか1項に記載の蓄熱システム。
【請求項8】
前記第1熱交換器は、太陽熱温水器の温水との熱交換により前記熱源媒体を加熱するものである、請求項1~6のいずれか1項に記載の蓄熱システム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、熱源媒体により沸点の低い作動媒体を加熱・蒸発させてその蒸気でタービンを回して発電するバイナリー発電装置に用いる蓄熱システムに関する。
【背景技術】
【0002】
熱源媒体(太陽熱により高温に加熱された温水)により沸点の低い作動媒体を加熱・蒸発させてその蒸気でタービンを回して発電するバイナリー発電装置は知られている(例えば、特許文献1,2参照)。
【0003】
このバイナリー発電装置は、熱源媒体との熱交換により作動媒体を蒸発させる蒸発器と、上記蒸発器から供給される作動媒体により駆動されるタービン発電機と、上記タービン発電機から排出される作動媒体が冷温媒体との熱交換により作動媒体を凝縮させる凝縮器と、上記凝縮器により凝縮された作動媒体を上記蒸発器に供給するポンプとを有し、上記蒸発器、タービン発電機、凝縮器及びポンプを内部に上記作動媒体が封入されたクローズドサイクルラインで接続するものである。
【0004】
このようなバイナリー発電装置においては、加熱源となる熱源媒体(温水)の温度が急激に低下した場合、バイナリー発電装置の発電量が減少してしまう。そして、熱源媒体による作動媒体の加熱が不安定であると、発電される電力が変動するので、望ましくない。
【0005】
また、廃プラスチックより精製油を得るべく、高温溶媒にて廃プラスチックを熱分解する油化装置が知られている(例えば,特許文献3,4参照)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0006】
【特許文献1】特開2004-286024号公報
【特許文献2】特開2006-202273号公報
【特許文献3】特開2002-180068号公報
【特許文献4】特開2007-99850号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
そこで、発明者は、前述したような油化装置の高温溶媒を利用して、熱源媒体を加熱することで、熱源媒体による作動媒体の加熱を安定させ、バイナリー発電装置の作動媒体の加熱・蒸発を安定化させ、短期変動のない電力を発電できることに着想し、本発明をなした。
【0008】
本発明は、バイナリー発電装置の作動媒体の温度が急激に低下するのを回避し、バイナリー発電装置の発電を安定化させる蓄熱システムを提供する。
【課題を解決するための手段】
【0009】
請求項1の発明は、第1熱交換器にて再生可能エネルギーを利用して加熱された加熱媒体との熱交換により熱源媒体を加熱し、第2熱交換器にて前記熱源媒体との熱交換により沸点の低い作動媒体を蒸発させ、その蒸気でタービンを回して発電するバイナリー発電装置に用いる蓄熱システムであって、前記熱源媒体を循環させる蓄熱回路と、前記蓄熱回路に設けられ前記熱源媒体を加熱する加熱手段とを備え、前記加熱手段は、廃プラスチックより精製油を得るべく、高温の熱媒体にて廃プラスチックを熱分解する油化装置の循環路を流れる前記熱媒体との熱交換により前記熱源媒体を加熱する熱交換器であることを特徴とする。ここで、再生可能エネルギーを利用しての加熱とは、太陽光、風力、波力・潮力、流水・潮汐、地熱、バイオマスなどを利用した加熱を意味する。
【0010】
このようにすれば、再生可能エネルギーを利用して加熱された温水との熱交換により加熱された熱源媒体に蓄熱回路を循環する。前記熱源媒体との熱交換により沸点の低い作動媒体を蒸発させ、その蒸気でタービンを回してバイナリー発電装置にて発電する。このとき、前記蓄熱回路において前記熱源媒体は補助加熱手段にいて補助加熱されるので、バイナリー発電装置の作動媒体を加熱・蒸発させるのに必要な温度を維持することとなる。よって、再生可能エネルギー発電が不安定であっても、バイナリー発電装置による発電が安定する。
【0011】
この場合、請求項2に記載のように、前記循環路は、高温の溶媒を保持して廃プラスチックの投入を受ける熱分解槽と、前記溶媒を貯留する循環槽と、前記溶媒を加熱する加熱炉とを有し、前記循環槽から前記加熱炉を経て前記熱分解槽内で前記溶媒を移動させるものであり、前記加熱炉付近の循環路が、前記第3熱交換器の高温側通路を形成している、ことが望ましい。
【0012】
請求項3に記載のように、前記蓄熱回路は、前記熱源媒体を一時的に貯留するタンクを含み、ポンプにて前記加熱媒体を循環させるものとすることができる。
【0013】
請求項4に記載のように、前記加熱手段は、前記蓄熱回路において、前記タンクの上流側に設けられ、前記ポンプは、前記タンクの下流側に設けられているものとすることができる。
【0014】
請求項5に記載のように、前記加熱手段は、前記第2熱交換器の上流側に設けられているようにすることができる。
【0015】
請求項6に記載のように、前記加熱手段は、前記タンクの上流側に設けられているようにすることも可能である。
【0016】
請求項7に示すように、前記加熱手段は、前記蓄熱回路において、前記第1熱交換器の上流側に設けられているようにすることも可能である。
【0017】
請求項8に記載のように、前記第1熱交換器は、太陽熱温水器の温水との熱交換により前記熱源媒体を加熱するようにすることも可能である。
【発明の効果】
【0018】
本発明は、油化装置の高温の熱媒体を利用して、バイナリー発電装置の作動媒体を加熱・蒸発させるのに必要な温度を維持するので、再生可能エネルギーが不安定であっても、バイナリー発電装置による発電を安定させることができる。
【図面の簡単な説明】
【0019】
【
図1】本発明に係る蓄熱システムの実施の形態の一例を示す説明図である。
【
図2】(a)(b)はそれぞれ高温の熱媒体にて廃プラスチックを熱分解する油化装置の一例についてのプロセス系統図である。
【発明を実施するための形態】
【0020】
以下、本発明の実施の形態を図面に沿って説明する。
【0021】
図1は本発明に係る蓄熱システムの実施の形態の一例を示す説明図である。
【0022】
図1に示すように、蓄熱システム1は、熱交換にて熱源媒体により沸点の低い作動媒体を加熱・蒸発させ、その蒸気でタービンを回転させて発電するバイナリー発電装置2に用いるものである。
【0023】
この蓄熱システム1は、ポンプ3にて熱源媒体を循環させながら、前記熱源媒体に熱を蓄える蓄熱回路4を有する。この蓄熱回路4は、前記熱源媒体は、再生可能エネルギー発電装置5(例えば、太陽熱温水器、朝日ソーラー(株))によって加熱された温水との間で、第1熱交換器6による熱交換により、熱エネルギーとして、前記熱源媒体に蓄熱される。この第1熱交換器6によって、熱源媒体を加熱することで、循環している熱源媒体が、バイナリー発電装置2の作動媒体を加熱・蒸発させるのに必要な温度となるまで加温される。そして、第1熱交換器6によって熱交換によって加熱された熱源媒体は、第2熱交換器7での熱交換によりバイナリー発電装置2の作動媒体を蒸発させ、この蒸発した作動媒体によってタービン(タービン発電機)を回転することで、バイナリー発電装置2にて発電が行われる。蒸発後の作動媒体は、熱交換器12(凝縮器)による熱交換にて凝縮される。作動媒体と熱交換する熱媒体は、ポンプ13にて冷却源14との間で循環される。
【0024】
ここで、バイナリー発電装置2としては、例えば第1実業株式会社の温水用発電機サーマパワー125XLTが用いられる。熱源媒体としてはオイル又は水が用いられ、オイルとしては、例えば出光石油のダフニーアルファサーモ22Aが用いられる。これは、抜群の酸化安定性を示し、スラッジの生成が少ない開放・半密閉・密閉型加熱システム用の合成熱媒体油が用いられる。また、前記必要な温度は、第2熱交換器7(蒸発器)において作動媒体を加熱・蒸発させることができる温度で、オイルの場合は200度程度で、水の場合は90度程度である。
【0025】
また、蓄熱回路4は、ポンプ3にて熱源媒体を循環させるものであるが、熱源媒体を一時的に貯留する大容量のタンク8が蓄熱部として設けられている。
【0026】
第2熱交換器7による熱交換により熱源媒体は温度が下げられるが、熱源媒体が蓄熱回路4を循環することで第1熱交換器6によって前記必要な温度になるように加熱され、前記必要な温度を再び維持するようになり、熱交換の際にはいつも前記必要な温度を維持していることになる。
【0027】
それに加えて、蓄熱回路4には、前記作動媒体との間で熱交換する前記熱源媒体の温度が低下するのを回避するために、前記熱源媒体を加熱する加熱手段9が、第2熱交換器7の上流側に設けられている。この加熱手段9は、廃プラスチックより精製油を得るべく、高温の熱媒体にて廃プラスチックを熱分解する油化装置10の循環路11を流れる熱媒体との熱交換により前記熱源媒体を加熱する熱交換器(第3熱交換器)である。つまり、この熱交換器(加熱手段9)の高温側通路が、油化装置10の循環路11(後述する加熱炉25付近、望ましくは加熱炉25下流側の循環路11)の一部となっている。低温側の通路は、蓄熱回路4の一部である。
【0028】
ここで、油化装置11は、例えば
図2(a)(b)に示すように構成されている。油化装置11は、熱分解槽21を有し、この熱分解槽21の投入口21aから、原料となるペレット状の廃プラスチックが投入される。この廃プラスチック(例えば、PE、PP、PSを主体とし一部PVCが含まれているプラスチック廃棄物)は、固形不純物(紙、木、布、皮、石、砂、金属、硝子、陶器、植物残物、動物残物等の屑類)の小片が混在したままの状態で破砕機(図示せず)に投入され、その破砕機にて粗砕されたあと、廃プラスチックは減容固形機22に入れられて圧縮され、ペレット状の廃プラスチックとされる。破砕機と減容固形機22とを含む前処理手段により前処理を行うことにより、廃プラスチックの嵩は約1/2に縮小される。
【0029】
熱分解槽21は、コーン状に形成された容器の下部に開閉ゲート23aとともに取り出し口23が設けられ、その容器の内部に循環路11が接続されていて、溶媒(灯油、廃油等の油性物質)を貯留する循環槽24や、スパイラル管方式の加熱炉25、ポンプ26、バルブ27a,27bを含む循環手段に通じている。
【0030】
バルブ27a,27bを開け、ゲート23aを閉じた状態でポンプ26を作動させると、循環槽24から溶媒が加熱炉25を経て熱分解槽21に送られる。加熱炉25の内部には溶媒が流れる螺旋状の管路が下から上に向かって配置され、前記管路内を流れる溶媒を外側から加熱するためのバーナ(図示せず)が設けられている。溶媒は加熱炉25を通過する間に加熱され、熱分解槽21に送られる。
【0031】
熱分解槽21内のペレット状の廃プラスチックは、200℃に加熱された溶媒に溶けて分解油になる。未分解の廃プラスチックや固形不純物は熱分解槽21に残り、生じた分解油と溶媒だけが循環路11を循環し、加熱炉25で再び200℃に加熱されて熱分解槽21に戻る。なお、熱分解槽21および循環槽24では、廃プラスチック中の塩素がガスとなって発生するが、これらの工程で生じた塩素含有ガスは、各槽21,24の上部からガス吸収槽(図示せず)に送り込まれ、アルカリ洗浄後に排水される。
【0032】
このようにして、一定時間溶媒(分解油も含む)を循環させ続けると熱分解槽21に投入した廃プラスチックは完全に分解されるので、バルブ27a,27bを閉じて循環路11を遮断する。そして熱分解槽21の周囲に取り付けた水冷ジャケットに冷却水を循環させ、熱分解槽21の冷却を開始する。
【0033】
熱分解槽21の分解油の温度が50℃程度まで下がったことを温度計(図示せず)により確認した後、熱分解槽21下部のゲート23aを開放し、熱分解槽21の中にある分解油と固形不純物をすべて遠心分離器28に送り込む。遠心力の作用で分離された残りの固形不純物は、廃液槽に落とされ,その後焼却処分される。
【0034】
ここまでの熱分解と冷却にかかる約60分間の工程を1サイクルとし、同一の構造をもつ2基の熱分解槽21,31を1/2サイクル(つまり30分)だけずらして運転する。すなわち、熱分解槽21を冷却する間に、熱分解槽31では、循環槽24との間で溶媒を循環させることにより、新たに前処理され投入された廃プラスチックの熱分解を行う。これを繰り返すことにより、油化装置10全体としては廃プラスチックの熱分解を連続的に行えることになる。
【0035】
加熱炉25に送られた分解油は、中を移動する間に、バーナ(図示せず)により約360℃に加熱され、蒸発槽32へ送られる。そして、分解油は蒸発槽32の上部に設けられた内径の小さい送油口33から少しずつ垂らすようにして蒸発槽32内に落とされる。
【0036】
蒸発槽32で生じた分解油の蒸気は凝縮器34へ送られ、蒸発しなかった分解油は循環路(図示せず)によって再び加熱炉35に送られる。循環をさらに続けると、蒸発槽32の底部には重質油が溜まるので、これを取り出して加熱炉25,35の燃料として利用する。
【0037】
凝縮器34に送られた分解油の蒸気は、冷却水で凝縮されることにより良質な混合油となり、水分を除去した後製品受槽36に回収される。さらにここで塩素ガスを除去した後、製品タンク33へ送られる。
【0038】
バイナリー発電装置2にて発電された電力の一部は、油化装置の加熱手段(電気ヒータ)に送られ、油化装置の加熱媒体が必要な温度を維持するように加熱手段を加熱動作させるのに用いられる。一方、バイナリー発電装置2にて発電された電力の残部は、電力計を介して商用電力系統に供給され、売電される。商用電力系統に供給された電力量は,電力計によって計測される。
【0039】
よって、熱交換器による熱交換により作動媒体を加熱できるようにしているので、再生可能エネルギー発電装置5により発電されていない場合や再生可能エネルギー発電装置5による発電量が不足している場合であっても、蓄熱回路4を循環している熱源媒体を前記必要な温度を維持するように必要に応じて加熱することができる。
【0040】
一方、バイナリー発電装置2の蒸発器で熱源媒体と熱交換される作動媒体は、沸点が低いので、蒸発器において、前記必要な温度を維持する熱源媒体との間の熱交換により蒸発し、この蒸発した作動媒体によってタービンが回転され、発電が行われる。
【0041】
このように、再生可能エネルギー発電装置5を単に利用するだけでなく、バイナリー発電装置2で発電された電力の一部を必要に応じて利用して、油化装置の加熱手段を動作させるようにしているので、熱源媒体の温度を前記必要な温度を維持するように安定させることができ、バイナリー発電装置2の蒸発器での作動媒体の加熱・蒸発が安定する。
【0042】
その結果、短期変動のない電力を発電し、商用電力系統に供給して売電することも可能になる。
【0043】
再生可能エネルギー発電装置5によって発電されていない場合あるいは発電量が不足している場合であっても、熱交換器による熱交換により蓄熱回路3Aの熱源媒体は前記必要な温度を維持する蓄熱状態にあるので、バイナリー発電装置による発電は継続され、バイナリー発電装置よる売電は続けることができる。
【0044】
以上のとおり、本発明の好適な実施形態を説明したが、本発明の趣旨を逸脱しない範囲内で、種々の追加、変更が可能である。例えば、加熱手段9(第3熱交換器)は、第2熱交換器7の上流側に設けているが、
図1に鎖線で示すように、タンク8の上流側に設けたり(加熱手段9A参照)、第1熱交換器6の上流側に設けたり(加熱手段9B参照)することも可能である。特に、蓄熱機能を有するタンク8の上流側に、熱交換器である加熱手段9Aを設け、これにより加熱された後の熱源媒体をタンク8に貯留することで、作動媒体との熱交換前における熱源媒体の温度低下を抑制することもできる。なお、タンク8の数は制限されず、複数個設けることもでき、各タンクの上流側に加熱手段を設けるようにすることもできる。また、各タンクの容量が異なっていてもよい。
【符号の説明】
【0045】
1 蓄熱システム
2 バイナリー発電装置
3 ポンプ
4 蓄熱回路
5 再生可能エネルギー発電装置
6 第1熱交換器
7 第2熱交換器
8 タンク
9,9A,9B 加熱手段(第3熱交換器)
10 油化装置
11 循環路
12 熱交換器