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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2022177582
(43)【公開日】2022-12-01
(54)【発明の名称】電子機器
(51)【国際特許分類】
   G09G 5/00 20060101AFI20221124BHJP
   G06F 1/16 20060101ALI20221124BHJP
【FI】
G09G5/00 510V
G06F1/16 312E
G06F1/16 312F
G09G5/00 510H
G09G5/00 555D
【審査請求】有
【請求項の数】4
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2021083948
(22)【出願日】2021-05-18
(71)【出願人】
【識別番号】505205731
【氏名又は名称】レノボ・シンガポール・プライベート・リミテッド
(74)【代理人】
【識別番号】100161207
【弁理士】
【氏名又は名称】西澤 和純
(74)【代理人】
【識別番号】100169764
【弁理士】
【氏名又は名称】清水 雄一郎
(74)【代理人】
【識別番号】100175824
【弁理士】
【氏名又は名称】小林 淳一
(74)【代理人】
【識別番号】100206081
【弁理士】
【氏名又は名称】片岡 央
(72)【発明者】
【氏名】肖 利民
(72)【発明者】
【氏名】森 英俊
(72)【発明者】
【氏名】土橋 守幸
【テーマコード(参考)】
5C182
【Fターム(参考)】
5C182AA02
5C182AA03
5C182AB02
5C182AB08
5C182AB14
5C182BA03
5C182BA06
5C182BA39
5C182BA46
5C182BB02
5C182BB03
5C182BB14
5C182BC03
5C182CB47
5C182DA14
5C182DA32
5C182DA41
5C182DA62
5C182DA63
(57)【要約】
【課題】ディスプレイの起動状態の切り替えをよりスムーズに行うことが可能な電子機器を提供する。
【解決手段】電子機器は、第1ディスプレイと、第2ディスプレイと、前記第1ディスプレイを制御する第1制御ユニットと、前記第2ディスプレイを制御する第2制御ユニットと、前記第1ディスプレイおよび前記第2ディスプレイに表示される画像データ並びに前記第1ディスプレイおよび前記第2ディスプレイの起動状態を切り替える制御信号を出力するCPUと、を備え、第2制御ユニットには、前記CPUと通信を行うレシーバを含む予備制御部と、前記第2ディスプレイを駆動するドライバを含む主制御部と、が含まれ、前記制御信号に基づいて前記第2ディスプレイがオフとなっている場合、前記予備制御部が動作し、かつ前記主制御部が動作しないように構成されている。
【選択図】図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
第1ディスプレイと、
第2ディスプレイと、
前記第1ディスプレイを制御する第1制御ユニットと、
前記第2ディスプレイを制御する第2制御ユニットと、
前記第1ディスプレイおよび前記第2ディスプレイの起動状態を切り替える制御信号を出力するCPUと、を備え、
前記第2制御ユニットには、前記CPUと通信を行うレシーバを含む予備制御部と、前記第2ディスプレイを駆動するドライバを含む主制御部と、が含まれ、
前記制御信号に基づいて前記第2ディスプレイがオフとなっている場合、前記予備制御部が動作し、かつ前記主制御部が動作しないように構成されている、電子機器。
【請求項2】
ヒンジ機構によって互いに回動可能に連結された第1筐体および第2筐体を備え、
前記第1筐体にはキーボードが設けられ、
前記第2筐体のうち、閉状態において前記第1筐体と対向する面に前記第1ディスプレイが設けられ、前記第1ディスプレイとは反対側の面に前記第2ディスプレイが設けられている、請求項1に記載の電子機器。
【請求項3】
前記予備制御部に、前記第2ディスプレイに画像を表示するための処理を実行するプロセッサが含まれている、請求項1または2に記載の電子機器。
【請求項4】
前記CPUと前記第2制御ユニットとを接続するインタフェースがeDPに準拠している、請求項1から3のいずれか1項に記載の電子機器。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、電子機器に関する。
【背景技術】
【0002】
特許文献1には、複数のディスプレイと、制御部と、を備えた電子機器が開示されている。制御部は、複数のディスプレイにそれぞれ表示される画像を制御するように構成されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2014-78236号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
複数のディスプレイを備えた電子機器においては、いずれのディスプレイに画像を表示するかを、ユーザーの操作に応じて切り替える場合がある。ここで、例えば第1ディスプレイがオンで第2ディスプレイがオフの状態から、第2ディスプレイをオンに切り替えるようにユーザーが操作を行ったとき、画像の切り替えのために第1ディスプレイが一時的に暗転する場合がある。あるいは、ユーザーが操作を行ってから実際に第2ディスプレイに画像が表示されるまでの間にタイムラグが生じる場合がある。このように、複数のディスプレイを備える電子機器においては、各ディスプレイの起動状態の切り替えをスムーズに行うことが課題となっていた。
【0005】
本発明はこのような事情を考慮してなされ、複数のディスプレイを備えた電子機器であって、ディスプレイの起動状態の切り替えをよりスムーズに行うことが可能な電子機器を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
上記課題を解決するために、本発明の一態様に係る電子機器は、第1ディスプレイと、第2ディスプレイと、前記第1ディスプレイを制御する第1制御ユニットと、前記第2ディスプレイを制御する第2制御ユニットと、前記第1ディスプレイおよび前記第2ディスプレイの起動状態を切り替える制御信号を出力するCPUと、を備え、前記第2制御ユニットには、前記CPUと通信を行うレシーバを含む予備制御部と、前記第2ディスプレイを駆動するドライバを含む主制御部と、が含まれ、前記制御信号に基づいて前記第2ディスプレイがオフとなっている場合、前記予備制御部が動作し、かつ前記主制御部が動作しないように構成されている。
【0007】
上記態様によれば、第2ディスプレイがオフの場合にも予備制御部が動作するため、第2ディスプレイをオンとする制御信号をレシーバが受信してから、ドライバが第2ディスプレイを駆動して実際に画像を表示するまでの時間を短縮することができる。また、CPU側から見ると、第2ディスプレイがオフの状態であっても、第2ディスプレイに表示するべき画像を演算処理し、第2制御ユニットに入力することができる。このため、第1ディスプレイのオンの状態が維持される場合に、第1ディスプレイが画像の切り替えのために一時的に暗転することを抑制できる。このように、ディスプレイの起動状態の切り替えをよりスムーズに行うことができる。さらに、第2ディスプレイがオフの場合には主制御部を動作させないことで、消費電力の増大を抑制できる。
【0008】
ここで、上記態様の電子機器は、ヒンジ機構によって互いに回動可能に連結された第1筐体および第2筐体を備え、前記第1筐体にはキーボードが設けられ、前記第2筐体のうち、閉状態において前記第1筐体と対向する面に前記第1ディスプレイが設けられ、前記第1ディスプレイとは反対側の面に前記第2ディスプレイが設けられていてもよい。
【0009】
また、前記予備制御部に、前記第2ディスプレイに画像を表示するための処理を実行するプロセッサが含まれていてもよい。
【0010】
また、前記CPUと前記第2制御ユニットとを接続するインタフェースがeDPに準拠していてもよい。
【発明の効果】
【0011】
本発明の上記態様によれば、ディスプレイの起動状態の切り替えをよりスムーズに行うことが可能な電子機器を提供できる。
【図面の簡単な説明】
【0012】
図1】本実施形態に係る電子機器の斜視図である。
図2図1の電子機器の開き角を小さくし、背面側から見た図である。
図3】本実施形態に係る電子機器の機能構成の一例を示すブロック図である。
図4】制御ユニットの具体的な構成例を示すブロック図である。
【発明を実施するための形態】
【0013】
以下、本実施形態の電子機器について図面に基づいて説明する。
図1に示すように、電子機器1は、第1筐体10および第2筐体20を備えている。第1筐体10および第2筐体20は、ヒンジ機構Hによって互いに回動可能に連結されている。第1筐体10は、キーボード11を備えている。第1筐体10の内部には、不図示のマザーボードやバッテリーなどが収容されている。図1図2に示すように、第2筐体20は第1ディスプレイ21および第2ディスプレイ22を有している。第1ディスプレイ21および第2ディスプレイ22は、それぞれ画像を表示可能に構成されている。第1ディスプレイ21および第2ディスプレイ22としては、OLED(Organic Light Emitting Diode)、液晶ディスプレイ等を採用できる。
【0014】
本明細書では、第1筐体10と第2筐体20とがなす角度を開き角θという。開き角θが略0°の状態を閉状態という。閉状態とは、第1筐体10および第2筐体20が重なり合った状態でもある。第1筐体10と第2筐体20とが開かれた状態を「開状態」という。第1ディスプレイ21は、第2筐体20のうち閉状態において第1筐体10と対向する面に設けられている。第2ディスプレイ22は、第2筐体20のうち第1ディスプレイ21とは反対側の面に設けられている。
【0015】
本実施形態の電子機器1はクラムシェル型のノートPC(Personal Computer)である。ただし、複数のディスプレイを有していれば、電子機器1の種類は適宜変更可能である。例えば、電子機器1は、ゲーム機、タブレット端末、スマートフォン等であってもよい。
【0016】
図1に示すように、電子機器1は、第1筐体10および第2筐体20が閉状態であるか開状態であるかを検知する開閉検知センサ30を備えている。開閉検知センサ30の一例としては、磁気センサが挙げられる。例えば、第2筐体20におけるヒンジ機構Hとは反対側の端部20aの近傍に磁気センサである開閉検知センサ30を配置してもよい。そして、開閉検知センサ30に対応させて、第1筐体10におけるヒンジ機構Hとは反対側の端部10aに永久磁石31を配置してもよい。この構成によれば、閉状態の場合には開閉検知センサ30によって検出される永久磁石31の磁場が大きくなる。逆に、開状態の場合には開閉検知センサ30によって検出される永久磁石31の磁場が小さくなる。したがって、開閉検知センサ30が検出した磁場の大きさによって、開状態か閉状態であるかを判定できる。ただし、開閉検知センサ30の具体的構成は磁気センサに限られず、適宜変更してもよい。また、電子機器1は開閉検知センサ30を備えていなくてもよい。
【0017】
第1ディスプレイ21および第2ディスプレイ22はそれぞれ、任意のタイミングで任意の画像を表示することができる。電子機器1の使用方法の一例として、例えば開状態の場合には第1ディスプレイ21をオン、第2ディスプレイ22をオフとし、閉状態の場合には第1ディスプレイ21をオフ、第2ディスプレイ22をオンとしてもよい。この構成によれば、開状態の場合に第1ディスプレイ21に所定の画像を表示させて電子機器1を通常のノートPCとして用い、閉状態の場合に第2ディスプレイ22に所定の画像を表示させて電子機器1をタブレット端末として用いることができる。第2ディスプレイ22に、タッチパネルが設けられてもよい。
【0018】
電子機器1の使用方法の他の例として、開状態の場合に、第1ディスプレイ21および第2ディスプレイ22の両方をオンとしてもよい。この構成によれば、例えばユーザーが第1ディスプレイ21を見ながら電子機器1を操作し、第2ディスプレイ22を用いて他者に所定の画像を閲覧させることができる。第1ディスプレイ21と第2ディスプレイ22とで、同一の画像を表示させてもよいし、異なる画像を表示させてもよい。
【0019】
なお、本明細書において、第1ディスプレイ21または第2ディスプレイ22が「オン」とは、所定の画像(全面が単色の画像を含む)が表示されている状態を意味する。同様に、第1ディスプレイ21および第2ディスプレイ22が「オフ」とは、画像が表示されていない状態を意味する。
【0020】
図3は、電子機器1の構成の一例を示すブロック図である。電子機器1は、CPU(Central Processing Unit)41と、RAM(Random Access Memory)42と、メインメモリ43と、開閉検知センサ30と、第1制御ユニット50と、第2制御ユニット60と、第1ディスプレイ21と、第2ディスプレイ22と、を備えている。これらの各部は、バスなどを通じて通信可能に接続されている。
【0021】
CPU41、RAM42、およびメインメモリ43は、例えば第1筐体10内のマザーボードに設けられてもよい。CPU41は、所定のプログラムを実行することにより、BIOS(Basic Input Output System)やOS(Operating System)等のシステムを起動し、各種の演算および処理等を行う。CPU41は、RAM42やメインメモリ43等に対してデータの読み書きおよび消去などのメモリ制御を行う。
【0022】
また、CPU41は、第1ディスプレイ21および第2ディスプレイ22に表示する画像データを出力するとともに、第1ディスプレイ21および第2ディスプレイ22のオン/オフを切り替える制御信号を出力する。CPU41は、開閉検知センサ30による検知結果に基づいて、上記の制御信号を出力してもよい。例えば、電子機器1が閉状態であると判定された場合には、CPU41は強制的に第1ディスプレイ21をオフにする制御信号を出力してもよい。それと同時に、CPU41は第2ディスプレイ22をオンにする制御信号を出力してもよい。CPU41は、第1ディスプレイ21または第2ディスプレイ22に表示する画像データを生成するためのGPU(Graphic Processing Unit)を含んでもよい。あるいは、CPU41の外部にGPUが設けられてもよい。
【0023】
RAM42は、揮発性メモリである。RAM42には、CPU41が実行するプログラム、あるいはCPU41が演算、処理するデータなどが展開される。CPU41の動作に伴って、RAM42には、適宜データの保存または消去が行われる。CPU41あるいはGPUが生成した、第1ディスプレイ21または第2ディスプレイ22に表示すべき画像データが、RAM42に展開されてもよい。すなわち、RAM42はビデオメモリ(V-RAM)として機能してもよい。ただし、RAM42とは別にV-RAMを設けてもよい。
【0024】
メインメモリ43は、例えばFlash-ROM(Read Only Memory)等の不揮発性メモリである。メインメモリ43には、CPU41が実行するBIOS、OS、あるいはOS上で動作するアプリケーション等のプログラムが保存されている。また、メインメモリ43には、各プログラムに利用される設定データ等も保存される。
【0025】
CPU41と、第1制御ユニット50および第2制御ユニット60とは、インタフェース70を介して接続されている。インタフェース70は、例えばeDP(embedded Display Port)に準拠してもよいし、その他の規格(MIPI:Mobile Industry Processor Interface等)に準拠してもよい。
【0026】
第1制御ユニット50は、第1予備制御部51と、第1主制御部52と、を有する。第1予備制御部51には、第1レシーバ51aと、第1プロセッサ51bと、が含まれる。第1主制御部52には、第1ドライバ52aと、第1電力供給部52bと、が含まれる。第1レシーバ51aは、CPU41から、第1ディスプレイ21の起動状態に関する制御信号および第1ディスプレイ21に表示すべき画像データを受信する。詳細は後述するが、本実施形態では、第1ディスプレイ21をオフとする制御信号とともに、第1ディスプレイ21に表示すべき画像データが、第1レシーバ51aに入力される場合がある。
【0027】
第1プロセッサ51bは、第1レシーバ51aが受信した画像データに基づき、第1ディスプレイ21に所定の画像を表示するための処理を行う。より具体的には、第1プロセッサ51bは、所定のタイミングごとに第1ディスプレイ21の各ピクセルに表示させる色や輝度等の情報を演算し、第1ドライバ52aに出力する。第1ドライバ52aは、第1プロセッサ51bが出力した情報に基づいて第1ディスプレイ21の各ピクセルを駆動させて、画像を表示させる。第1電力供給部52bは、第1ドライバ52aが各ピクセルを駆動させるための所定の電力を、第1ドライバ52aに供給する。第1ディスプレイ21がバックライトを備えている場合には、第1電力供給部52bがバックライト用の電力を供給してもよい。第1ディスプレイ21がタッチパネルを有している場合には、第1電力供給部52bがタッチパネル用の電力を供給してもよい。
【0028】
第2制御ユニット60は、第2予備制御部61と、第2主制御部62と、を有する。第2予備制御部61には、第2レシーバ61aと、第2プロセッサ61bと、が含まれる。第2主制御部62には、第2ドライバ62aと、第2電力供給部62bと、が含まれる。第2レシーバ61aは、CPU41から、第2ディスプレイ22の起動状態に関する制御信号および第2ディスプレイ22に表示すべき画像データを受信する。詳細は後述するが、本実施形態では、第2ディスプレイ22をオフとする制御信号とともに、第2ディスプレイ22に表示すべき画像データが、第2レシーバ61aに入力される場合がある。
【0029】
第2プロセッサ61bは、第2レシーバ61aが受信した画像データに基づき、第2ディスプレイ22に所定の画像を表示するための処理を行う。より具体的には、第2プロセッサ61bは、所定のタイミングごとに第2ディスプレイ22の各ピクセルに表示させる色や輝度等の情報を演算し、第2ドライバ62aに出力する。第2ドライバ62aは、第2プロセッサ61bが出力した情報に基づいて第2ディスプレイ22の各ピクセルを駆動させて、画像を表示させる。第2電力供給部62bは、第2ドライバ62aが各ピクセルを駆動させるための所定の電力を、第2ドライバ62aに供給する。第2ディスプレイ22がバックライトを備えている場合には、第2電力供給部62bがバックライト用の電力を供給してもよい。第2ディスプレイ22がタッチパネルを有している場合には、第2電力供給部62bがタッチパネル用の電力を供給してもよい。
【0030】
CPU41が第1ディスプレイ21をオンとする制御信号を出力した場合には、第1予備制御部51および第1主制御部52が動作し、第1ディスプレイ21に所定の画像が表示される。同様に、CPU41が第2ディスプレイ22をオンとする制御信号を出力した場合には、第2予備制御部61および第2主制御部62が動作し、第2ディスプレイ22に所定の画像が表示される。
【0031】
ここで、本実施形態の電子機器1は、CPU41が第2ディスプレイ22をオフとする制御信号を出力する場合、第2予備制御部61が動作し、かつ第2主制御部62が動作しないように構成されている。同様に、CPU41が第1ディスプレイ21をオフとする制御信号を出力する場合、第1予備制御部51が動作し、かつ第1主制御部52が動作しないように構成されている。第1主制御部52および第2主制御部62を動作させるか否かの制御は、例えばCPU41が行ってもよい。
【0032】
次に、このような構成を有する電子機器1の作用について説明する。
【0033】
第1ディスプレイ21および第2ディスプレイ22には、以下の3通りの起動状態が考えられる。すなわち、第1ディスプレイ21および第2ディスプレイ22の双方がオン(第1起動状態)、第1ディスプレイ21がオンで第2ディスプレイ22がオフ(第2起動状態)、第1ディスプレイ21がオフで第2ディスプレイ22がオン(第3起動状態)、である。これらの起動状態の切り替えは、CPU41によるプログラムあるいはアプリケーションの実行によって行われる。CPU41は、ユーザーによる操作に基づいて、上記の起動状態の切り替えを行ってもよい。また、先述の通り、CPU41は、開閉検知センサ30による検知結果に基づいて、上記の起動状態の切り替えを行ってもよい。
【0034】
例えば第2起動状態から第1起動状態に遷移する場合を考える。本実施形態では、先述の通り、第2起動状態(つまり第2ディスプレイ22がオフ)の場合にも第2予備制御部61が動作している。すなわち、第2ディスプレイ22に画像を表示するための処理が予め行われている。したがって、第2ディスプレイ22をオンとする制御信号を第2レシーバ61aが受信してから、第2ドライバ62aが第2ディスプレイ22を駆動して実際に画像を表示するまでの時間を短縮することができる。また、第2主制御部62を動作させないことで、消費電力の増大を抑制できる。
【0035】
また、CPU41側から見ると、第2ディスプレイ22がオフの状態であっても、第2ディスプレイ22に表示するべき画像を演算処理し、各制御ユニット50、60に入力することができる。このため、第2起動状態から第1起動状態に切り替わる際に、オンの状態が維持される第1ディスプレイ21が、画像の切り替えのために一時的に暗転することを抑制できる。
【0036】
第3起動状態から第1起動状態に遷移する場合も同様である。つまり、第1ディスプレイ21がオフの場合にも、第1予備制御部51が動作しているため、第1ディスプレイ21をオンとする制御信号を第1レシーバ51aが受信してから、実際に第1ディスプレイ21に画像が表示されるまでの時間を短縮することができる。また、第1主制御部52を動作させないことで消費電力を抑制できる。
【0037】
なお、第2起動状態または第3起動状態において、ディスプレイ21、22のうちオフとなっている方の画面における操作がアクティブにならないように、アプリケーション(以下、制限アプリという)によって制御してもよい。制限アプリは、例えば、ユーザーが操作するカーソルがディスプレイ21、22のうちオフとなっている方に移動することを制限してもよい。また、制限アプリは、ディスプレイ21、22のうちオフとなっている方に、ダミーの画像データを送ってもよい。制限アプリは、例えばメインメモリ43に記憶されて、CPU41により実行される。
【0038】
上記の説明では、第1ディスプレイ21がオフの場合に、第1予備制御部51が動作して第1主制御部52が動作しないと説明した。しかしながら、第1ディスプレイ21がオフの場合には第1予備制御部51および第1主制御部52の双方が動作しないよう構成してもよい。
【0039】
以上説明したように、本実施形態の電子機器1は、第1ディスプレイ21と、第2ディスプレイ22と、第1ディスプレイ21を制御する第1制御ユニット50と、第2ディスプレイ22を制御する第2制御ユニット60と、第1ディスプレイ21および第2ディスプレイ22の起動状態を切り替える制御信号を出力するCPU41と、を備え、第2制御ユニット60には、CPU41と通信を行うレシーバ61aを含む予備制御部61と、第2ディスプレイ22を駆動するドライバ62aを含む主制御部62と、が含まれ、制御信号に基づいて第2ディスプレイ22がオフとなっている場合、予備制御部61が動作し、かつ主制御部62が動作しないように構成されている。このような構成により、ディスプレイ21、22の起動状態の切り替えをよりスムーズに行うことができる。
【0040】
また、電子機器1は、ヒンジ機構Hによって互いに回動可能に連結された第1筐体10および第2筐体20を備え、第1筐体10にはキーボード11が設けられ、第2筐体20のうち、閉状態において第1筐体10と対向する面に第1ディスプレイ21が設けられ、第1ディスプレイ21とは反対側の面に第2ディスプレイ22が設けられている。この構成によれば、例えばユーザーが第1ディスプレイ21を見ながらキーボード11を用いて電子機器1を操作し、所定の画像を第2ディスプレイ22に表示させて他者に閲覧させることができる。
【0041】
また、予備制御部61には、第2ディスプレイ22に画像を表示するための処理を実行するプロセッサ61bが含まれている。この構成によれば、第2ディスプレイ22がオフとなっている場合にもプロセッサ61bが動作しているため、第2ディスプレイ22をオンにする制御信号が出力されてから実際に第2ディスプレイ22に画像が表示されるまでのタイムラグを、より短縮することができる。
【0042】
また、CPUと第2制御ユニット60とを接続するインタフェース70がeDPに準拠してもよい。
【0043】
次に、制御ユニット50、60の具体的な構成例について、図4を用いて説明する。以下では、2つの制御ユニット50、60を代表させて、主として制御ユニット50の構成について言及する。ただし、制御ユニット60が以下に説明する制御ユニット50と同様の構成であってもよい。あるいは、2つの制御ユニット50、60同士で構成が異なっていてもよい。また、以下ではディスプレイ21、22がEL(Electro Luminescent)ディスプレイである場合について説明するが、その他のタイプ(例えば液晶タイプ)のディスプレイに本実施形態を適用してもよい。
【0044】
図4に示す例では、インタフェース70がeDP規格に準拠している。すなわち、インタフェース70がeDP入力部として機能する。また、レシーバ51aが、eDP入力部からの入力を受け取るeDPレシーバとして機能する。予備制御部51は、プロセッサ51bとの間で通信を行うフレームバッファを備えている。フレームバッファは、ディスプレイ21に表示すべき1画面分の画像データを記憶することが可能な記憶装置あるいは記憶領域である。
【0045】
主制御部52のドライバ52aは、タイミングコントローラ、VCOMバッファ、ソースドライバ、およびレベルシフタを備えている。タイミングコントローラは、プロセッサ51bからディスプレイ21に表示すべき画像データを受け取り、当該画像データを所定のタイミングパルスとともにソースドライバおよびレベルシフタへと供給する。図4では記載を簡略化しているが、ディスプレイ21は四角形状であり、ディスプレイ21の直交する2辺に沿って、複数のソースドライバおよび複数のレベルシフタが配置される。例えば、複数のソースドライバはディスプレイ21の横方向に延びる辺に沿って並べて配置され、複数のレベルシフタはディスプレイ21の縦方向に延びる辺に沿って並べて配置される。各レベルシフタは、電位の変換を行うとともに、ディスプレイ21の各画素を上から順に走査するようにパルス状の電圧波形を出力する(ゲート出力)。各ゲートドライバは、タイミングコントローラから受け取った信号に基づいて、ディスプレイ21の各画素に印加する電圧を供給する(ソース出力)。VCOMバッファは、ディスプレイが備えるコモン電極の電位を、所定のコモン電位VCOMに設定する(VCOM制御)。
【0046】
主制御部52の電力供給部52bは、コンバータおよびバックライト/ELモジュールを備えている。コンバータは、外部から供給された電力を所定の電圧に変換し、バックライト/ELモジュールに供給する。バックライト/ELモジュールは、バックライト用の電力およびEL用の電力をディスプレイ21に供給する。
【0047】
なお、本発明の技術的範囲は前記実施形態に限定されず、本発明の趣旨を逸脱しない範囲において種々の変更を加えることが可能である。
【0048】
例えば、前記実施形態の電子機器1は2つのディスプレイ21、22を備えていた。しかしながら、電子機器1は3つ以上のディスプレイを備えてもよい。この場合も、各ディスプレイに対して前記実施形態で説明した制御を適用することで、各ディスプレイの起動状態の切り替えをスムーズに行うことができる。
【0049】
また、前記実施形態では、第2筐体20の両面に第1ディスプレイ21および第2ディスプレイ22が設けられていたが、第1ディスプレイ21および第2ディスプレイ22の配置は適宜変更可能である。例えば、第2ディスプレイ22は第2筐体20の背面ではなく第1筐体10(キーボード11の手前側あるいは奥側など)に設けられてもよい。
【0050】
その他、本発明の趣旨を逸脱しない範囲で、上記した実施形態における構成要素を周知の構成要素に置き換えることは適宜可能であり、また、上記した実施形態や変形例を適宜組み合わせてもよい。
【符号の説明】
【0051】
1…電子機器 10…第1筐体 11…キーボード 20…第2筐体 21…第1ディスプレイ 21…ディスプレイ 22…第2ディスプレイ 50…第1制御ユニット 51…予備制御部 60…第2制御ユニット 61…予備制御部 61a…レシーバ 61b…プロセッサ 62…主制御部 62a…ドライバ 70…インタフェース H…ヒンジ機構
図1
図2
図3
図4