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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2022177586
(43)【公開日】2022-12-01
(54)【発明の名称】通帳管理装置及び通帳管理方法
(51)【国際特許分類】
   G06Q 10/00 20120101AFI20221124BHJP
   G07F 7/12 20060101ALI20221124BHJP
   G08B 25/00 20060101ALI20221124BHJP
   G08B 21/24 20060101ALI20221124BHJP
   H04N 7/18 20060101ALI20221124BHJP
   G06Q 30/06 20120101ALI20221124BHJP
   G06Q 50/10 20120101ALI20221124BHJP
   E05B 49/00 20060101ALN20221124BHJP
【FI】
G06Q10/00
G07F7/12 A
G08B25/00 510M
G08B21/24
H04N7/18 D
G06Q30/06
G06Q50/10
E05B49/00 R
【審査請求】未請求
【請求項の数】6
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2021083953
(22)【出願日】2021-05-18
(71)【出願人】
【識別番号】000116079
【氏名又は名称】ローレルバンクマシン株式会社
(71)【出願人】
【識別番号】500267170
【氏名又は名称】ローレル機械株式会社
(71)【出願人】
【識別番号】500265501
【氏名又は名称】ローレル精機株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110000121
【氏名又は名称】IAT弁理士法人
(72)【発明者】
【氏名】小笠原 哲己
【テーマコード(参考)】
2E250
3E044
5C054
5C086
5C087
5L049
【Fターム(参考)】
2E250AA16
2E250BB05
2E250BB15
2E250BB25
2E250BB29
2E250CC17
2E250DD08
2E250DD10
2E250FF09
2E250FF11
3E044AA20
3E044BA04
3E044DA05
5C054CE16
5C054DA09
5C054FC12
5C054FE28
5C054FF06
5C054GB01
5C054HA21
5C054HA31
5C086AA21
5C086BA07
5C086CA25
5C086CA28
5C086CB36
5C086DA14
5C086DA33
5C086FA02
5C086FA17
5C087AA10
5C087AA32
5C087BB74
5C087DD29
5C087DD30
5C087FF01
5C087GG02
5C087GG08
5C087GG10
5C087GG66
5L049AA20
5L049BB21
5L049CC11
(57)【要約】
【課題】施設にのみ利用できる通帳の管理の向上を図る通帳管理装置および通帳管理方法を提供すること。
【解決手段】本発明に係る通帳管理装置10は、特定施設内に配置され、専用通帳を収納及び取り出し可能に保管する通帳保管部11と、通帳の収納または取り出すための通帳利用操作を行う人物が自分の通帳を利用できる人物であるか否かを特定する人物特定部201と、通帳保管部11を制御して、人物特定部201により特定された人物の通帳保管部11に保管されている専用通帳の収納及び取り出しを可能にする通帳保管制御部203と、通帳保管部11から専用通帳が取り出された場合には、当該専用通帳が通帳保管部11に収納されるまでの間、通帳保管部11から専用通帳を取り出した人物を監視対象として特定施設内の行動を監視する監視部204とを備える。
【選択図】 図2

【特許請求の範囲】
【請求項1】
特定施設内に配置され、専用通帳を収納及び取り出し可能に保管する通帳保管部と、
前記通帳保管部に保管されている専用通帳の収納または取り出すための通帳利用操作を行う人物が自分の専用通帳を利用できる人物であるか否かを特定する人物特定部と、
前記通帳保管部を制御して、前記人物特定部により特定された人物の前記通帳保管部に保管されている前記専用通帳の収納及び取り出しを可能にする通帳保管制御部と、
前記通帳保管部から前記専用通帳が取り出された場合には、当該専用通帳が前記通帳保管部に収納されるまでの間、前記通帳保管部から前記専用通帳を取り出した人物を監視対象として前記特定施設内の行動を監視する監視部と
を備える通帳管理装置。
【請求項2】
前記監視部は、前記通帳保管部から専用通帳を取り出した人物の行動を推定し、推定した行動に沿った監視を行う、
ことを特徴とする請求項1記載の通帳管理装置。
【請求項3】
前記監視部は、前記通帳保管部から専用通帳を取り出した人物のその後の行動に基づいて、専用通帳の利用が、専用通帳の内容確認のためか、前記施設内の店舗での購入利用のためかを推定し、その推定した行動に沿った監視を行う、
ことを特徴とする請求項2記載の通帳管理装置。
【請求項4】
さらに警告手段を備え、
前記監視部は、前記専用通帳を取り出した人物が推定した行動に沿わない行動をとったとき、警告手段による警告を実行させる、
ことを特徴とする請求項2または3に記載の通帳管理装置。
【請求項5】
さらに報知手段を備え、
前記監視部が、前記専用通帳を取り出した人物のその後の行動が前記物品購入行動であると推定した場合に、前記専用通帳を取り出した人物が前記施設内に配置された施設内売店に赴く旨を、前記報知手段に報知させる、
ことを特徴とする請求項2~4のいずれか一項に記載の通帳管理装置。
【請求項6】
特定施設内に配置され、専用通帳を収納及び取り出し可能に保管する通帳保管部を有する通帳管理装置における通帳管理方法であって、
人物特定部が、前記通帳保管部に保管されている前記専用通帳の収納または取り出すための通帳利用操作を行う人物が自分の専用通帳を利用できる人物であるか否かを特定するステップと、
通帳保管制御部が、前記通帳保管部を制御して、前記人物特定部により特定された人物の前記通帳保管部に保管されている前記専用通帳の収納及び取り出しを可能にするステップと、
監視部が、前記通帳保管部から前記専用通帳が取り出された場合には、当該専用通帳が前記通帳保管部に収納されるまでの間、前記通帳保管部から前記専用通帳を取り出した人物を監視対象として特定施設内の行動を監視するステップとを、
を有することを特徴とする通帳管理方法。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、通帳管理装置及び通帳管理方法に関する。
【背景技術】
【0002】
介護施設や病院等の施設を使用する利用者が施設内の売店等で物品を購入したり、様々なサービスを受ける際に必要な現金の入出金に関する記録は、施設利用者が所持する金融機関の通帳または当該施設での専用通帳(お小遣い帳)に記録することで、管理するようになっている。高齢者等が入所する介護施設のような特定の施設では、入所者自身が保管する以外に、施設内の特定エリアに設置された鍵付きコインロッカーの内部に保管することもできる。
【0003】
従来、施設内に設置されたコインロッカー内部への物品の保管や内部に保管された物品の取り出し時にはそれぞれコインロッカーの扉のロックやロック解除が行われる。ロック解除については、生体情報の認証に基づいて扉のロックを解除する生体情報認証保管庫が知られている(下記の特許文献1参照)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2002-276222号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかしながら、施設入所者が専用通帳を紛失したり、一旦保管してもその後保管場所を忘れたりすることがある。また、高齢者等が入所する介護施設や病院のような特定の施設では、専用通帳の管理を施設の事務所で管理したとしても、必要時に入所者が持ち出した後での専用通帳の保持・保管の際に、上記同様に紛失、保管場所の忘却等が起こり得て、専用通帳の管理において課題があった。
【0006】
本発明は、この点に鑑みて、施設にのみ利用できる通帳の管理の向上を図る通帳管理装置および通帳管理方法を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
上記課題を解決するために、本発明の通帳管理装置の一側面は、特定施設内に配置され、専用通帳を収納及び取り出し可能に保管する通帳保管部と、通帳保管部に保管されている専用通帳の収納または取り出すための通帳利用操作を行う人物が自分の専用通帳を利用できる人物であるか否かを特定する人物特定部と、通帳保管部を制御して、人物特定部により特定された人物の通帳保管部に保管されている専用通帳の収納及び取り出しを可能にする通帳保管制御部と、通帳保管部から専用通帳が取り出された場合には、当該専用通帳が通帳保管部に収納されるまでの間、通帳保管部から専用通帳を取り出した人物を監視対象として特定施設内の行動を監視する監視部とを備えることを特徴とする。
【0008】
また、上記課題を解決するために、本発明の通帳管理方法の一側面は、特定施設内に配置され、専用通帳を収納及び取り出し可能に保管する通帳保管部を有する通帳管理装置における通帳管理方法であって、人物特定部が、通帳保管部に保管されている専用通帳の収納または取り出すための通帳利用操作を行う人物が自分の専用通帳を利用できる人物であるか否かを特定するステップと、通帳保管制御部が、通帳保管部を制御して、人物特定部により特定された人物の通帳保管部に保管されている専用通帳の収納及び取り出しを可能にするステップと、監視部が、通帳保管部から専用通帳が取り出された場合には、当該専用通帳が通帳保管部に収納されるまでの間、通帳保管部から専用通帳を取り出した人物を監視対象として特定施設内の行動を監視するステップとを有することを特徴とする。
【発明の効果】
【0009】
本件開示によれば、通帳利用者が入所している施設でのみ使用可能な金銭通帳の管理の向上を図ることができる。
【図面の簡単な説明】
【0010】
図1】介護施設の1階フロアの例を示す図である。
図2】本発明の一実施形態に係る通帳管理装置を含む通帳管理システムの構成を示す模式図である。
図3】通帳管理装置の構成を示すブロック図である。
図4】通帳管理装置の通帳管理の動作を説明するためのフローチャートである。
図5】通帳管理装置の通帳管理の動作を説明するためのフローチャートである。
【発明を実施するための形態】
【0011】
以下に本発明の通帳管理装置の一実施の形態について説明する。
<実施例1:1階部分に施設内売店が設けられ、1階に居住する入居者が通帳をその施設内売店で利用する例>
図1は、介護施設の1階フロアの例を示す図である。このように、入所者の居室が複数あるとともに、入所者が日中過ごす、食堂等の共同エリアや施設内での作業、レクリエーション、テレビ鑑賞などで過ごす娯楽・リビングエリアが存在する。また施設側で運営管理する種々の作業室や施設内売店が存在する。このような介護施設にあっては、複数階建ても一般的である。自動販売機は、各階に設置され得るが、施設内売店は、1階のみに設けられていることが多い。本実施の形態においては、1階部分に施設内売店が設けられている介護施設での利用を前提としている。
【0012】
通帳保管装置(通帳保管部)11は、施設入居者個々が所有する、施設内売店で利用できる専用通帳(以下、単に通帳と称する)を保管する。例えば入居者がこの通帳を通常保管装置11から取り出して施設内売店に行って購入したい物品とともに通帳を店員に渡すと、POSレジ装置30により精算が行われ、物品を購入することができる。その際通帳には購入履歴が印刷されるので、入居者は通帳で購入履歴や残高等を確認することができる。
【0013】
図2は、本実施の形態に係る通帳管理装置10を含む通帳管理システム1の全体構成を模式的に示した図である。
【0014】
通帳管理システム1は、通帳管理装置10、ビデオカメラ23-1,23-2、POSレジ装置30、通帳プリンタ装置40および通信ネットワーク50を介してPOSレジ装置30に接続されている家族端末60を備えて構成される。
【0015】
通帳保管部11は、通帳を保管する通帳保管ボックス(保管庫)12をマトリックス状に配置して構成されている。通帳保管ボックス12は、引き出し状になっておりそこに通帳を置く(収納する)ことができる。入所者(入居者)25が通帳保管部11に対して所定の操作を行うことにより、通帳保管ボックス12を引き出したり戻したりできる構造となっている。通帳保管部11には、通帳保管ボックス12内の収容物の有無を検知できる図示せぬセンサー(以下、収容物有無確認手段と称する)が設けられている。
【0016】
ビデオカメラ23-1は、通帳管理装置10に対して通帳保管ボックス12から通帳を取り出したりそこに戻したり(収納したり)する操作を行う人物の顔付近を含む領域を撮影することができる。ビデオカメラ23-2は、施設内売店に入出店する人物の顔付近を含む領域を撮影することができる。ビデオカメラ23-1,23-2(以下、個々に区別しない場合は単に、ビデオカメラ23と称する。他の場合も同様である。)の撮影処理は、通帳保管部11により制御され、撮影の結果得られた画像データはビデオカメラ23の識別子とともに、通帳保管部11に供給される。
【0017】
POSレジ装置30は、キャッシュドロア式のPOS(Point of Sale)端末であり、店員が入力操作を行って、商品と引き換えに現金やクーポンなどの有価媒体を収納・管理するもので、物品販売を記録し、売上金額を演算する。POSレジ装置30には、現金を受け付けて入金し、釣銭発生時などの際には釣銭等を出金する貨幣入出金機と、販売した物品の総額、通帳の取引(支出・収入)や残高を印字する機能を有する通帳用の通帳プリンタ装置40が組み込まれている。なお、通帳プリンタ装置40は、POSレジ装置30内に組み込まれたものではなく外付けのプリンタでもよい。通帳を利用して物品購入の精算を行うと、通帳プリンタ装置40によりその購入履歴が印字される。通帳に印字された情報は、家族端末60にも送信され、施設外の入所者(入居者)25の親族が、ウェブ確認できるようにもできる。
【0018】
図3は、通帳管理装置10の構成例を示す図である。通帳管理装置10は、通帳保管部11、入力部13、出力部15、通信部17、制御部20および記憶部21を有する。
通帳保管部11については上述した通りである。入力部13は、通帳保管ボックス12から通帳を取り出したりする際に必要な情報等を入力するためのタッチパネル、および音声入力可能なマイク等の情報入力デバイスを有する。
【0019】
出力部15は、制御部20による処理結果を外部機器等に出力するためのインタフェースである。出力部15は、例えばスピーカやブザー等の音響出力機器と接続され、制御部20からの指示により、当該音響出力機器に対して警告音(アラーム)を出力する。また、出力部15は、例えばディスプレイ等の表示出力機器(図示せず)にも接続され、制御部20からの指示により、当該表示出力機器に対して警告メッセージを表示出力する。管理者等は、警告出力として出力部15からの音声出力や表示出力を受けて監視エリアにおける監視画像や通帳管理装置10の正面画像等を確認することができる。
【0020】
通信部17は、ビデオカメラ23及び通帳管理装置10と双方向通信を行う。具体的にはビデオカメラ23の撮影の結果得られた画像データを制御部20に送信したり、制御部20からの撮影設定指示を受信してビデオカメラ23に送信する。通信部17は、例えばWi-Fi(Wireless Fidelity:商標登録)に代表される無線LAN(Local Area Network)方式又は有線LAN方式に対応した通信回路が挙げられる。
【0021】
記憶部21は、ROM(Read Only Memory)、RAM(Random Access Memory)、HDD(Hard Disk Drive)等の情報記憶装置である。記憶部21は、各種プログラム、管理情報21-1~21-n、ビデオカメラ23-1,23-2mのそれぞれから送信される画像を記録画像情報22-1,22-2として記憶し、制御部20との間でこれらの情報を入出力する。管理情報21-1~21-nには、利用者情報211-1~211-nおよび移動履歴情報212-1~212-nが含まれる。
【0022】
利用者情報211-1~211-nは、入居者それぞれ一人ごとの情報であり、通帳保管部11から通帳を取り出したり戻したりすることができる人物を特定するために必要な情報である。例えば以下の情報が対応付けされている。
・利用できる通帳保管ボックス12のボックス番号(1)
・通帳の所有者の氏名(〇〇タロウ)
・入居者の顔画像の顔ID(G01)
・通帳のID(BN01)
なおこの情報に限らず、年齢等の属性情報も含むようにすることができる。
【0023】
移動履歴情報212-1~212-nは、利用者情報211-1~211-nにそれぞれ対応付けられる情報で、監視対象者となった際の入居者の移動等に関する情報である。
【0024】
制御部20は、例えば、CPU(Central Processing Unit)、ROM(Read Only Memory)、RAM(Random Access Memory)、EEPROM、(Electrically Erasable Programmable Read-Only Memory)入出力インタフェース部等を有するものである。制御部20は、例えば、CPUが所定の処理プログラムを実行することにより、通帳管理装置10の機能を実現するものである。なお、処理プログラムは、インストールにより構築することができる。本実施の形態では、制御部20は、人物特定部201、照会部202、通帳保管制御部203および監視部204を有して構成されている。
【0025】
人物特定部201は、ビデオカメラ23-1の撮影により得られた画像等を利用して、通帳保管部11に保管されている通帳の収納または取り出すための操作(以下、通帳利用操作と称する)を行う人物が自分の通帳を利用できる人物であるか否かを特定する人物特定処理を実行する。この処理の詳細については後述する。
【0026】
照会部202は、人物特定処理により自分の通帳を利用できる人物であると特定された入居者の過去の操作履歴(取引履歴含む)を参照して通帳取り出し、収納の照会を行う。照会方法としては、音声による照会案内や入力部(操作パネル)13を介して文字による照会案内などがある。
【0027】
通帳保管制御部203は、通帳保管部11を制御して、人物特定部201により特定された人物の通帳保管部11に保管されている通帳の収納及び取り出しを可能にする。具体的には、通帳保管ボックス12のロックおよび解錠等を制御する。
【0028】
監視部204は、通帳保管ボックス12から通帳を取り出した入居者を監視対象とし、ビデオカメラ23-1,23-2の撮影により得られた画像等を利用して、特定施設内の行動を監視する。
【0029】
以下に、通帳管理システム1の通帳管理処理を説明する。
【0030】
はじめに通帳保管部11に保管されている通帳の収納または取り出すための通帳利用操作を行う人物が自分の通帳を利用できる人物であるか否かを特定する人物特定処理について説明する。
【0031】
[人物特定処理]
通帳管理装置10の入力部13を介して通帳保管部11に保管されている通帳の収納または取り出すための通帳利用操作を入居者25が行うと制御部20の人物特定部201は、ビデオカメラ23-1による撮影を開始させる。ビデオカメラ23-1の撮影により得られ画像は適宜、記録画像情報22-1として記憶部21に記憶される。
【0032】
人物特定部201は、記録画像情報22-1を参照して通帳管理装置10に対して操作を行っている人物の顔画像を抽出する。さらに人物特定部201は、通帳利用操作に入力された通帳保管ボックス12のボックス番号と関連付けられている顔画像IDを利用者情報211から検出し、その顔IDの画像を取得する。なお顔画像IDの画像は例えば記憶部21に記憶されているものとする。人物特定部201はビデオカメラ23-1の撮影により得られた画像の顔画像と、顔画像IDの顔画像を比較し、両者が一致する場合、通帳利用操作を行う人物が自分の通帳を利用できる人物であると特定する。両者の顔画像が一致しない場合、通帳を利用できる人物ではないと特定される。
【0033】
なお、人物特定に際しては、顔認証に加えて生体情報による認証(生体認証)を行い、その認証と顔認証と組み合わせて行っても良い。生体認証については、例えば、通帳管理装置10の出力部15から、「お客様のお名前をお教えください。」との音声を発生させて、入居者25によって発声された氏名及び必要に応じて声紋を含めた認証処理が行われる。
【0034】
次に、監視処理について図4および図5のフローチャートを参照して説明する。上述した人物特定処理によって自分の通帳を利用できる人物であると特定されると、ステップS101において、照会部202は、通帳利用操作を行った入居者25の直前の移動履歴情報212を参照し、通帳が通帳管理装置10内の通帳保管ボックス12に保管された状態であるか否かを判定する。通帳が保管されている状態であると判定した場合、照会部202は、「通帳の取り出しを望まれますか。」との照会音声を、出力部15を介して出力する。この照会音声に続いて、入力部13を介して入所者による肯定する文言の音声(例えば「はい」の音声)が入力されたことを認識すると、ステップS102において、その通帳の取り出しが要求されたことを通帳保管制御部203に通知する。その通知を受けた通帳保管制御部203は、当該通帳保管ボックス12からの通帳の取り出しを許可し、通帳保管ボックス12を引き出し可能にする。具体的には、通帳保管制御部203は、当該入居者25の通帳が保管される通帳保管ボックス12のロック(施錠)を、ロック及び解除(解錠)手段(図示せず)を制御して解除し、通帳保管ボックス12内のバックライトを点灯させる。
【0035】
一方、通帳が通帳管理装置10内の通帳保管ボックス12に保管されていないと判定した場合(通帳が通帳保管ボックス12に存在しない)と判定した場合、照会部202は、「通帳の保管を望まれますか。」との照会音声を、出力部15を介して出力する。この照会音声に続いて、入力部13を介して入所者による肯定する文言の音声(例えば「はい」の音声)が入力されたことを認識すると、当該通帳保管ボックス12への通帳の収納が許可され、上記のように通帳保管ボックス12が引き出し可能となる。
【0036】
なお、操作履歴に基づいて通帳が通帳保管ボックス12に保管されているか否かの判定は、収容物有無確認手段の検出結果に基づいて判定することもできる。また、通帳にはRFID(ICタグ)を備え、このRFIDに通帳IDを記憶させておくことができる。また通帳管理装置10には、通帳管理装置10の筐体内をセンシング領域とする一つ以上のRFIDリーダーを備える。このようにすることで、RFIDリーダーによって、通帳保管装置10内の複数の通帳の有無を確認させ、通帳の取り出しまたは保管を確認できるようにしても良い。
【0037】
上記照会は音声による照会の他に入力部(操作パネル)13に照会案内を表示して通帳の取り出し・保管の照会することもできる。
【0038】
次に、ステップS103において、通帳保管制御部203は、通帳保管ボックス12が引き出されたか否かを判定し、通帳保管ボックス12が引き出されたと判定した場合には、ステップS104において、通帳保管ボックス12が押し込みされたか否かを判定する。通帳保管ボックス12が押し込みされたと判定した場合、ステップS105において、通帳保管制御部203は、通帳保管ボックス12を、ロック及び解除手段(図示せず)を制御してロックし、通帳保管ボックス12内のバックライトを消灯させる。
【0039】
ステップS103で、通帳保管ボックス12が引き出されていないと判定した場合、ステップS106において、通帳保管制御部203は、通帳保管ボックス12からの通帳の取り出しまたは収納が許可されてから、一定時間が経過してか否かを判定する。ステップS102で当該通帳保管ボックス12からの通帳の取り出しまたは収納が許可されたタイミングから、図示しないタイマー手段によって時間経過が計測されており、ステップS106の判定は、その計測時間に基づいて行われる。ステップS106で、一定時間が経過していないと判定された場合、処理は上記ステップS103に戻る。一定時間が経過したと判定された場合、処理は上記ステップS105に移行する。
【0040】
ステップS105において、通帳保管制御部203は、通帳保管ボックス12を、ロック及び解除手段(図示せず)を制御してロックし、通帳保管ボックス12内のバックライトを消灯させる。例えば入居者25が通帳利用操作を行ったが、取り出しを辞め通帳保管ボックス12を引き出さない場合、ステップS106を経由してステップS105で通帳保管ボックス12がロックされる。
【0041】
ステップS105で、通帳保管ボックス12がロックされ、ボックス内のバックライトが消灯すると、ステップS107において、通帳保管制御部203は、収容物有無確認手段の検出結果に基づいて、通帳保管ボックス12内に通帳が存在しているか否かを判定する。ステップS107で、通帳保管ボックス12内に通帳が存在すると判定した場合、ステップS108において、通帳保管制御部203は、通帳保管ボックス12に通帳が存在する旨を監視部204に通知する。その通知を受けると、監視部204は、後述するステップS109でのビデオカメラ23による後述する監視対象者の追跡および録画を開始している場合には、その処理を終了させる。その後通帳管理処理は終了する。
【0042】
なおステップS109での監視対象者の追跡および録画を開始していない場合は、ステップS108の処理はスキップされて、そのまま通帳管理処理は終了する。例えば入居者25が通帳の内容を確認するために、通帳保管ボックス12を引き出し(S103)、通帳を取り出して内容を確認して通帳保管ボックス12に戻し、通帳保管ボックス12を押し込んだ場合(S104)、処理はステップS109に進まないので、ステップS108がスキップされて、通帳管理処理は終了する。
【0043】
なお、通帳保管ボックス12が引き出されたと判定されたときから(S103)、一定時間経過しても押し込まれないと判定された場合(S104)、例えば押し込み忘れということが考えられることから、アラームを発出して通帳保管ボックス12の押し込み(施錠)を促すことができる。一方、一定時間経過しても、入居者25が通帳管理装置10の前方に居る限り(ビデオカメラ23-1の撮影画像より判定)、アラームの発出を行わないようにすることもできる。また通帳保管ボックス12が押し込まれたと判定される(S104)前に、ビデオカメラ23-1の撮像により得られる画像から通帳利用操作を行った入居者25の画像がなくなった場合も、通帳保管ボックス12の押し込みを忘れて移動してしまった可能性があるので、同様にアラームを発出することができる。
【0044】
また通帳保管ボックス12の押し込み(施錠)を促すアラームを発出する代わりに(または合わせて)、自動的に通帳保管ボックス12を戻して押し込む(施錠する)ようにすることもできる。このようにすることより押し込み忘れを防止することができるとともに、押し込みという操作も不要となる。なお自分の意志に関係なく通帳保管ボックス12が押し込まれるので、再度通帳保管ボックス12を引き出したい場合も想定される。そのため、自動的に通帳保管ボックス12が戻されて押し込まれた後、例えば、「通帳保管ボックスを引き出したいですか。」の照会音声を出力するようにし、入居者25が、例えば、「通帳保管ボックスを引き出したい。」と発声した場合には、通帳保管ボックス12のロック解除するようにもできる。また自動的に通帳保管ボックス12を戻して押し込む前に、例えば、「今から通帳保管ボックス12を戻します」の音声を出力するようにし、所定の操作により通帳保管ボックス12の押し込みを停止させることができるようにすることも可能である。
【0045】
ステップS107の処理の説明に戻り、通帳が通帳管理装置10内の通帳保管ボックス12に保管された状態にないと判定された場合、ステップS109(図6)において、監視部204は、通帳保管ボックス12から通帳が取り出された入居者を監視対象とし(以下、監視対象となった入居者25を監視対象者と称する)、施設内の行動監視を開始する。具体的には、監視部204はまず、通帳保管ボックス12から通帳が取り出された旨をとそのタイミングの時刻を、監視対象者(監視対象である入居者。他の場合も同様である。)25の移動履歴情報212に記録する。また監視部204は、ビデオカメラ23-2による撮影を開始させ、その結果記憶部21に記憶される画像(記録画像情報22-2)を参照してそこから監視対象者25の顔IDの画像の抽出を開始する。
【0046】
次に、ステップS110において、監視部204は、通帳保管ボックス12に通帳が存在しないと判定されてから、すなわち通帳保管ボックス12から通帳が取り出されてから、一定時間経過したか否かを判定する。ステップS107で通帳保管ボックス12に通帳が存在しないと判定されたタイミングから、図示しないタイマー手段によって時間経過が計測されており、ステップS110の判定はその計測時間に基づいて行われる。ステップS110で、通帳保管ボックス12から通帳が取り出されてから、一定時間経過したと判定した場合、ステップS111において、監視部204は、出力部15を介して注意喚起のための警告音(アラーム)が出力する。すなわち、通帳を通帳保管ボックス12から取り出して持ち出す場合には、施設内売店での利用しかありえないことから、施設内売店までの移動時間を考慮して、所定時間以上の時間を経過した場合には、通帳の戻し忘れ、施設内売店への移動忘れなどに基づく通帳の紛失を考慮して、アラームを出力させて、施設従業員に対し、通帳持ち出し状態での異常状態を報知できるようにするものである。
【0047】
一方ステップS110で、通帳保管ボックス12から通帳が取り出されてから、一定時間経過していない判定した場合、ステップS112において、監視部204は、管理対象者25が施設内売店に到着したか否かを判定する。具体的には、監視部204は、ビデオカメラ23-2の記録画像情報22-2から監視対象者25の顔IDの画像が抽出できた場合、監視対象者25が施設内売店に到着したと判定する。なおビデオカメラ23による画像を利用する他にも、POSレジ装置30における購買記録の有無、音声(例えば認証が音声で行われる場合にレジ側の音声照会に対する音声)の有無をもって判定することもできる。
【0048】
ステップS112で監視対象者25が施設内売店に到着したと判定されない場合、処理はステップS110に戻る。ステップS112で監視対象者25が施設内売店に到着したと判定された場合、ステップS113において、監視対象者25による通帳を用いた購入物品の精算処理が行われる。
【0049】
なおPOSレジ装置30によって物品購入の精算が行われる人物(物品の購入者)の顔付近を含む領域を撮影することができるビデオカメラを設け(ビデオカメラ23-2がその領域を撮影することもできる)、その撮影により得られた画像から抽出した顔画像と、精算に利用する通帳の所有者である入居者25の顔画像(通帳の情報によってその顔画像を入手できるものとする)とを比較して、両者が一致する場合のみ精算が行われるようにすることもできる。一致しない場合は注意喚起のための警告音(アラーム)がPOSレジ装置30の出力部(図示せず)を介して出力することもできる。なお、警告音については、通帳残高に対して物品購入金額が越えるときにも上記同様に出力部(図示せず)を介して出力することもできる。施設内売店での通帳を用いた物品購入の際には、その購入情報が、通帳管理装置10に送信され、移動履歴情報212として記憶部21に記憶されるようにもできる。
【0050】
なおPOSレジ装置30には、生体認証用ユニットを備え、顔画像分析に代えてまたはそれと合わせて生体認証を利用して、精算処理を実行することもできる。
【0051】
次に、ステップS114において、監視部204は、監視対象者25が施設内売店から退出(退店)したか否かを判定する。監視対象者25が施設内売店から退出(退店)したか否かを判定は、例えばビデオカメラ23-2において、顔の向きが認識できるように撮影することができるようにし、監視部204が、抽出した顔画像から入店かまたは出店かを判断することもできる。また施設内売店内を映すビデオカメラ23を設け、そのビデオカメラ23から得られた画像に監視対象者25の画像が抽出されなくなったときに退出したと判定することもできる。POSレジ装置30における購買記録の有無、音声(例えば認証が音声で行われる場合にレジ側の音声照会に対する音声)の有無をもって判定することもできる。
【0052】
ステップS114で、監視対象者25が施設内売店から退出されてないと判定された場合、処理はステップS113に戻る。ステップS114で、監視対象者25が施設内売店から退出されたと判定した場合、ステップS115において、監視部204は、監視対象者25が施設内売店を退出してから一定時間が経過したか否かを判定する。ステップS114で監視対象者25が退出したと判定したタイミングから、図示しないタイマー手段によって時間経過が計測されており、ステップS115の判定は、その計測時間に基づいて行われる。
【0053】
ステップS115で、一定時間が経過したと判定した場合、ステップS116において、監視部204は、出力部15を介して注意喚起のための警告音(アラーム)を出力する。すなわち、施設内売店の退店後は、通帳保管ボックス12への通帳の戻し(保管)が望ましいことから、施設内売店からの移動時間を考慮して、所定時間以上の時間を経過した場合には、通帳の戻し忘れに基づく通帳の紛失を考慮して、アラームを出力させて、施設従業員に対し、通帳持ち出し状態での異常状態を報知できるようにするものである。
ステップS115で、一定時間が経過していないと判定された場合、ステップS117において、監視部204は、監視対象者25が通帳管理装置10に戻った(通帳管理装置10の前方にいる)か否かを判定する。具体的には、ビデオカメラ23-1の記録画像情報22-1から監視対象者25の顔IDの画像が含まれる画像を検出できたか否かが判定される。
【0054】
ステップS117で、監視対象者25が通帳管理装置10に戻っていないと判定された場合、処理はステップS115に戻る。監視対象者25が通帳管理装置10に戻ったと判定された場合、監視処理は終了する。通帳管理装置10に戻った入居者25が再度通帳利用操作を通帳管理装置10に対して行うと、人物特定処理が実行され、ステップS101以降の処理が実行される。なおステップS111またはステップS116でアラームが発出された後は、施設従業員の確認作業が行われることから、監視処理は終了する。
【0055】
以上のようにして、通帳保管部11に保管されている通帳の収納または取り出すための通帳利用操作を行う人物が自分の通帳を利用できる人物であると特定された入居者が(人物特定処理)、特定された入居者の通帳保管部11に対する通帳の収納または取り出しをできるように(S102)、通帳保管部11から通帳を取り出した入居者25を管理対象として監視するようにしたので(S109~S117)、例えば通帳の格納忘れや紛失を可能な限り抑えることができる。
【0056】
また通帳保管部11から通帳を取り出した監視対象者25の行動を推定し(この例の場合、何かを購入するために施設内売店に行く)、その推定行動に沿った監視(S109~S117)をするようにしたので、例えば監視対象者25を追跡する資源(ビデオカメラ23や画像処理の負荷等)を効率よく割り当てることができる。例えば通帳保管部11から通帳を取り出した人物の行動が、物品購入行動と推定の上で、施設内売店のビデオカメラ23-2の撮影結果得られた画像を用いて監視対象者25を監視するようにしたので、施設内売店に配置されたビデオカメラ23―2を用いた処理で監視をすることができる。
【0057】
<変形例1:入居者25に代わって施設従業員が通帳を用いて物品購入する場合の例>
施設従業員の物品購入は、入居者25の体の状態等にて自分で物品購入ができない場合に行われる。また複数階建ての介護施設の場合、入居者は原則居住するフロア以外のフロアに移動できない場合がある。そのような場合、入居者25に代わって施設従業員が通帳を用いて物品購入することがある。ここでは、入居者25に代わって、施設従業員が物品購入を代行する例について説明する。
【0058】
この例の場合、通帳管理装置10の記憶部21に、入居者25の利用者情報211が記憶され、施設従業員の利用者情報211(氏名、顔画像情報(生体認証情報)、ID情報)が管理サーバ(図示せず)に記憶さている。
【0059】
入居者25の同行、不同行に関わらず、入居者25から通帳取り出し収納の依頼や通帳を利用した物品購入の依頼を受けた施設従業員は、通帳管理装置10の設置場所に出向き、通帳管理装置10に対して所定の操作を行う。施設従業員によるその操作が行われると、通帳管理装置10の人物特定部201による施設従業員に対する人物特定処理がり実行される。なお、顔画像に基づく人物特定ではなく、当該施設従業員が所持するカードキーによって、人物特定を可能としても良いし、顔画像などの生体認証を併用しても良い。
【0060】
人物特定処理によって通帳利用操作を行った者が施設従業員であることが特定されると、照会部202は、当該施設従業員の直前の操作履歴の有無を参照し、操作履歴がない場合は、いずれの入居者25の通帳の取り出しであると推測して、代行取り出しであることを照会する。一方、直前の操作履歴において、いずれかの入居者25の通帳取り出し記録がある場合には、照会部202は、当該入居者25の通帳の返却収納と推測して、入居者25の返却収納であることを照会する。
【0061】
代行取り出しの場合、施設従業員は、例えば照会部202からの音声による照会を受けて、依頼した入居者25の氏名を発声するか、当該入居者25に割り当てられた通帳保管ボックス12のボックス番号を発声するか、当該通帳保管ボックス12のボックス番号をキー入力する。例えば依頼した入居者25の氏名の発声により依頼した入居者25の特定がされると、当該通帳保管ボックスのロックがロック及び解除(解錠)手段(図示せず)によって解除されて通帳保管ボックス12が引き出される。そして、依頼した入居者25の通帳の取り出しがなされて、その後当該通帳保管ボックス12が押し戻されることで、当該通帳保管ボックス12は再びロックされる。その後、施設従業員は、依頼した入居者25の専用通帳を所持して、施設内売店へ移動し、依頼された物品を探し、POSレジ装置30へ移動する。
【0062】
POSレジ装置30にあっては、上述した入居者25自身が物品購入する場合と同様に、物品購入者が入居者25でなく施設従業員であることを、POSレジ装置30の周囲に設置されたビデオカメラ23により撮影された顔画像などの生体認証情報もしくはカードキーにより認証させるとともに、入居者25の代行購入である旨をPOSレジ担当者に告げる若しくはPOSレジ装置30のマイクとして機能する音声入力部(図示せず)を介して音声入力する。その後、通帳が店員に渡され、通帳プリンタ装置40へ通帳がセットされる。
【0063】
POSレジ装置30もしくは通帳プリンタ装置40に接続される通帳リーダー(図示せず)によって通帳のIDが認識されると、POSレジ装置30内の制御部(図示せず)は、施設従業員によって申告された若しくは音声入力部から入力された入居者25と、通帳から認識された入居者25の情報とが一致するか否かを判定する。施設従業員によって申告等された入居者25と、通帳から認識された入居者25の情報とが一致すると判定された場合、POSレジ装置30への購入物品の登録及び精算が実行可能となる。これと並行して、通帳プリンタ装置40により、購入物品の印字と精算額の印字が実行される。より好ましくは、不正防止のため、代行した施設従業員の情報と精算を担当した店員の情報が印字されると良い。
【0064】
施設従業員による物品購入代行が終了すると、施設従業員は、通帳管理装置10から取り出した通帳を、代行を依頼した入所者25用の通帳保管ボックス12に返却する必要がある。施設従業員が通帳管理装置10の設置場所に戻ると、顔画像またはカードキー操作に基づく上記代行取り出し時と同様の施設従業員の特定が人物特定処理によって行われる。
【0065】
この場合、代行取り出し時と同様に、施設従業員は、依頼した入居者25の氏名を発声するか、当該入居者25に割り当てられた通帳保管ボックス12のボックス番号を発声するか、当該通帳保管ボックス12のボックス番号をキー入力する。施設従業員が発声した氏名、発声又はキー入力したボックス番号等の情報に基づいて、依頼した入居者25の特定が行われ、通帳管理装置10側において代行取り出し時に既に記録されている記録内容に基づいて、当該施設従業員が代行取り出しを行った入居者25の通帳の保管(返却、収納)であると判断される。代行取り出しを行った入居者25の通帳の保管(返却、収納)であると判断されると、通帳保管制御部203は、該当する通帳保管ボックス12のロックの解除、当該通帳保管ボックス12のバックライトの点灯、当該通帳保管ボックス12への通帳の保管を許容する。そして、施設従業員は、取り出した通帳を、対応する通帳保管ボックス12に収納し、押し込むことでロックされる。
【0066】
通帳管理装置10には、通帳保管ボックス12ごとに収納物の有無確認手段(図示せず)を備えるので、通帳が返却収納されると、収納物有りの判断となり、通帳が返却されたことが確認される。その後、施設従業員によって、購入物品が入居者25のもとに届けられる。あるいは、通帳の通帳管理装置10への保管前に、購入物品を入居者25のもとへ届けるのに併せて、入居者25に通帳への記録内容の確認を直接または所定の通信手段を介して行うようにしてから、通帳管理装置10への上記した保管処理を行うようにしても良い。
【0067】
入居者25自身による通帳管理又は代行する施設従業員による通帳管理のいずれにおいても、本発明の適用が想定される介護施設等にあっては、入居者25の安全等を考慮し、その行動を監視したり、履歴として記録できるよう、少なくとも、入居者25と施設従業員が共有するエリアを撮影する監視カメラが複数設けられていることが望ましい。本発明では、上記した行動監視システムを利用して、通帳の取り出しがあった場合に、通帳の取り出しから保管(返却、収納)までの行動を追跡し、記録するとともに、何らかの異常の際には、出力部(警告手段、報知手段)15を介してアラームを出力するように構成される。
【0068】
すなわち、入居者25が通帳を通帳管理装置10から取り出したにも関わらず、施設内売店へ行かなかった場合、施設内売店へ行った後に通帳管理装置10に戻らなかった場合、あるいは、施設内売店へ行った後に自己の居室へ戻り、その後一定時間内に通帳管理装置10に戻らなかった場合には、入居者25による通帳の返却忘れとして、アラームを出力させたり、戻らなかった間の行動履歴が参照することができる。また、入居者25の代行として施設従業員が通帳を通帳管理装置10から取り出した場合についても、同様の行動履歴の監視と記録を行わせることもできる。これにより、通帳の紛失防止を図ることができる。
【0069】
施設従業員の情報は、通帳管理装置10ではなく施設内の管理サーバ(図示せず)に記録され、通帳管理装置10が当該管理サーバと通信可能に接続され、施設従業員が通帳管理装置10を操作する場合に、操作者が施設従業員の一人であることを当該管理サーバ内の施設従業員の情報に基づいて特定される。このような構成とすることで、施設従業員は、複数階のいずれに勤務する場合であっても、各階に設置される通帳管理装置10を操作できるようになる。なお、入居者25の利用者情報211についても、通帳管理装置10に記憶させるのではなく、施設内の管理サーバ(図示せず)に記憶させるようにしても良く、その場合には、入居者25の居住階情報も入居者25の利用者情報211に加えることが望ましい。
【0070】
また、施設従業員の情報に関わるID情報とは、施設従業員を特定する情報の一つであって、エレベータを利用する際に使用されるカードキーにも記録される。このため、生体認証情報によらず、施設の各種機器等の操作が行えることに加え、通帳管理装置10や施設内売店での物品購入を行った施設従業員の特定にも利用できる。
【0071】
<変形例2:施設内売店がないフロア(階)に入居者25が居住している場合の例>
「実施例1」において説明したように、複数階建ての介護施設においては、施設内売店は、1階のみに設けられていることが多い。複数階建ての場合、各階移動用にエレベータが設けられている。そして、このような介護施設にあっては、1階部分の玄関エリアやエレベータの利用には、入居者の移動を規制するために、カードキーなどを利用した仕組みが採用されている。カードキーは、施設従業員のみ所持することで、エレベータで、施設従業員の管理・監視のもとに、入居者が外出したり、異なる階への移動を可能としている。この例では、施設内売店がないフロア(階)に居住している入居者25が通帳を利用する場合を前提としている。
【0072】
各階の居住フロアには、当該フロアに居住する入居者25のための通帳を保管する通帳管理装置10が設けられるとする。当該通帳管理装置10は、他のフロア(階)の通帳管理装置10、および施設内の施設管理サーバ(図示せず)に通信可能に接続される。当該通帳管理装置10に対する、自身の通帳の取り出し手順及び保管(返却、収納)手順は、上記した実施例1(入居者25が施設内売店と同じフロアに居住している場合)の場合と同様の手順である。異なる点は、通帳を取り出してから施設内売店における物品購入を行うまでの手順である。以下、異なる点を説明する。
【0073】
本変形例2に係る通帳管理装置10には、「通帳確認」ボタンと「物品購買」ボタンとが設けられている。「通帳確認」ボタンが操作された場合には、「通帳確認」のボタン入力を受けて人物特定部201が、入居者25による通帳の取り出しが通帳確認だけであると判断して、上記実施例1と同様の人物特定処理を行い、通帳を取り出した後に通帳確認がなされ、その後通帳保管ボックスに収納する場合も上記実施例1と同様の処理がなされる(図5のステップS102~S108)。なお、通帳の取り出し状態での通帳管理装置10の設置場所からの移動は、監視部204によって返却忘れと判断されて、出力部15を介してアラームを出力させる。
【0074】
一方、通帳の取り出し前後に関わらず、「物品購買」ボタンが操作された場合には、後述の通り、通帳保管制御部203により施設内売店への移動が許容される。「物品購買」ボタンが操作された場合には、施設内売店への移動意思があるものとし、監視部204は当該フロア内の施設従業員に対して、当該通帳管理者の売店移動および購買意思がある旨の通知を外部に対して行う。この通知は、施設従業員が所持する携帯端末へのメール発信や、電話発信、あるいは、フロア内に適宜設置される物品購買通知ランプの点灯などが挙げられる。
【0075】
これらのいずれかの手段によって施設従業員の一人が、物品購買意思のある入居者25を確認すると、当該入居者25を伴って、エレベータを利用して、施設内売店のある1階フロアへ移動して物品購買を可能とする。さらには、施設内移動が許容される入居者25がいる場合に限っては、その入居者25が特定された後に当該入居者25単独でのエレベータ利用及び施設内売店での物品購買を許容するようにしても良い。なお、このようなケースであっても、エレベータ利用は、居住階と施設内売店のある階との移動のみが許容されるものとする。
【0076】
<通帳残額に関連する制御>
施設内売店では、通帳によって物品を購入することが可能である一方、物品購入により残額が減少する。残額が無くなれば、または、残額が購入したい物品の価格よりも少ない場合には、当該物品を購入することはできない。よって、通帳の残額については、個々の入居者25ごとに、特に入居者25の家族意向により、いろいろな取り決めが選択できるように考慮されることが好ましい。
【0077】
例えば、「1.常に残額内での購入に限る」、「2.残額を一定金額A分越える範囲内(不足金額がA以内)であれば、購入を認める」、「3.残額を一定金額A分越える範囲内(不足金額がA以内)であれば、購入を認めるが、Aを越えるB以内の場合については、事前に登録した家族の同意を確認(電話・メール等の利用)できた場合に購入を認める」などが考えられる。
【0078】
また、同様に、残額が少なくなってきた場合、あるいは、残額不足の場合には、事前に登録した家族に対して残額減少情報または残額不足情報を、事前に登録した手段(電話・メール等)に基づいて自動的に通知する。家族側からは、当該入居者25の購買履歴を参照できるように家族端末60でウェブ確認できるようにする一方、施設の特別口座への入金を行うことで、即時または翌日などのタイミングで、特別口座への入金情報に基づいて、入居者25の通帳への入金処理を可能とする構成にしてもよい。
【0079】
また、家族が施設を訪問しているときには、入居者25を伴って、あるいは伴わずに、当該入居者25の通帳を持って、施設内売店へ出向き、施設内売店のPOSレジ装置30またはPOSレジ装置に接続された貨幣入出金機により、現金入金することで残額更新(通帳プリンタ装置40での印字を含む)を行わせるようにしても良い。この場合には、認証の観点より当該家族の生体情報を含む情報を利用者情報としてあらかじめ記憶部21に記憶させる必要がある。
【0080】
<その他>
上記した各実施例における施設内売店のPOSレジ装置30に対する通帳の機能は、物品購入を前提に説明したが、施設内売店に設置されるPOSレジ装置30は貨幣入出金機を備えるので、入居者25が、その子供ないしは孫へのお年玉などのために出金を行わせることができるようにしても良い。すなわち、通帳の残額以内ないしは許容された不足額を含む金額以内の、物品購入を伴わない出金を可能としても良い。この場合には、利用者情報211に物品購入を伴わない出金を可能とする情報をあらかじめ登録させておいて、この情報を有する入居者25の通帳機能を、物品購入を伴わない出金を許容するようにしておく必要がある。
【0081】
以上、この実施形態で説明した通帳管理装置10は、特定施設内に配置され、専用通帳を収納及び取り出し可能に保管する通帳保管部11と、通帳保管部11に保管されている通帳の収納または取り出すための通帳利用操作を行う人物が自分の通帳を利用できる人物であるか否かを特定する人物特定部201と、通帳保管部11を制御して、人物特定部201により特定された人物の通帳保管部11に保管されている専用通帳の収納及び取り出しを可能にする通帳保管制御部203と、通帳保管部11から専用通帳が取り出された場合には、当該専用通帳が通帳保管部11に収納されるまでの間、通帳保管部11から専用通帳を取り出した人物を監視対象として前記特定施設内の行動を監視する監視部204とを備える構成とした。したがって、上記構成によれば、通帳が通帳保管部11から取り出されると、当該通帳が通帳保管部11に保管されるまでの間、監視対象として管理されるので、専用通帳の返却忘れや紛失を可能な限り抑えることができる。
【0082】
また、この実施形態で説明した通帳管理装置10では、監視部204は、通帳保管部11から専用通帳を取り出した人物の行動を推定し、推定した行動に沿った監視を行う構成とした。したがって、専用通帳を取り出した人物の推定されたその後の行動に基づき、行動監視を継続するので、それらから推定される行動とは異なる行動を迅速に把握することができる。また、監視対象者25を追跡する資源(ビデオカメラ23や画像処理の負荷等)を効率よく割り当てることができる。
【0083】
また、この実施形態で説明した通帳管理装置10では、監視部204は、通帳保管部11から専用通帳を取り出した人物のその後の行動に基づいて、専用通帳の利用が、専用通帳の内容確認のためか、施設内の店舗での購入利用のためかを推定し、その推定した行動に沿った監視を行う構成とした。したがって、専用通帳を取り出した人物のその後の行動に基づき、通帳確認行動または物品購入行動のいずれかが推定された上で行動監視を継続するので、通帳確認行動または物品購入行動とは異なる行動を迅速に把握することができる。
【0084】
また、この実施形態で説明した通帳管理装置10では、さらに警告手段15を備え、監視部204は、専用通帳を取り出した人物が推定した行動に沿わない行動をとったとき、警告手段15による警告を実行させる構成とした。したがって、専用通帳を取り出した人物が推定した行動に沿わない行動をとったと判定した場合に、警告手段15に警告させるので(所定時間押し込みがなかった場合のアラーム((段落0046、0052)、ステップS111、ステップS116)、専用通帳の返却忘れや紛失の恐れを予測でき、適切な対応を取ることが可能となる。
【0085】
また、この実施形態で説明した通帳管理装置10では、さらに報知手段15を備え、監視部204が、専用通帳を取り出した人物のその後の行動が物品購入行動であると推定した場合に、専用通帳を取り出した人物が施設内に配置された施設内売店に赴く旨を、報知手段15に報知させる構成とした。したがって、監視部205が物品購入行動と判定した際、通帳を取り出した人物が特定施設内に配置された施設内売店に赴くことを、報知手段15により報知するので、施設従業員は、必要に応じて、介助行動ないしは特定施設内移動のためのエレベータ利用の補佐を迅速に行うことができる。
【0086】
また、この実施形態で説明した通帳管理方法では、特定施設内に配置され、専用通帳を収納及び取り出し可能に保管する通帳保管部11を有する通帳管理装置10における通帳管理方法であって、人物特定部201が、通帳保管部11に保管されている専用通帳の収納または取り出すための通帳利用操作を行う人物が自分の専用通帳を利用できる人物であるか否かを特定するステップと、通帳保管制御部203が、通帳保管部11を制御して、人物特定部201により特定された人物の通帳保管部11に保管されている専用通帳の収納及び取り出しを可能にするステップと、監視部204が、通帳保管部11から専用通帳が取り出された場合には、当該専用通帳が通帳保管部11に収納されるまでの間、通帳保管部から専用通帳を取り出した人物を監視対象として特定施設内の行動を監視するステップとを有する構成とした。したがって、上記構成によれば、通帳が通帳保管部11から取り出されると、当該通帳が通帳保管部11に保管されるまでの間、監視対象として管理されるので、専用通帳の返却忘れや紛失を可能な限り抑えることができる。
【0087】
以上、この発明の具体的な実施形態について説明したが、この発明は上記実施形態に限られるものではなく、この発明の範囲内で種々変更して実施することが可能である。
なお、本実施の形態に係る通帳管理装置10は、主に入居者の居室が複数あり、施設内に物品を購入するための売店等が存在する介護施設や病院に設置される。なお、施設内売店等で物品購入する際に必要な専用通帳(金銭通帳)を入居者に所持させて利用させるような施設であれば、介護施設、病院等に限定されない。
【符号の説明】
【0088】
1…通帳管理システム
10…通帳管理装置
11…通帳保管部
12…通帳保管ボックス
13…入力部
15…出力部(警告手段、報知手段)
17…通信部
20…制御部
21…記憶部
21-1~21-n…管理情報
22-1、22-2…記録画像情報
23―1、23-2…ビデオカメラ
25…入居者
30…POSレジ装置
40…通帳プリンタ装置
50…通信ネットワーク
60…家族端末
201…人物特定部
202…照会部
203…通帳保管制御部
204…監視部
211-1~211-n…利用者情報
212-1~212-n…移動履歴情報

図1
図2
図3
図4
図5