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特開2022-177598電気掃除機の集塵装置およびそれを備えた電気掃除機
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2022177598
(43)【公開日】2022-12-01
(54)【発明の名称】電気掃除機の集塵装置およびそれを備えた電気掃除機
(51)【国際特許分類】
   A47L 9/16 20060101AFI20221124BHJP
【FI】
A47L9/16
【審査請求】未請求
【請求項の数】12
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2021083980
(22)【出願日】2021-05-18
(71)【出願人】
【識別番号】000005049
【氏名又は名称】シャープ株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100065248
【弁理士】
【氏名又は名称】野河 信太郎
(74)【代理人】
【識別番号】100159385
【弁理士】
【氏名又は名称】甲斐 伸二
(74)【代理人】
【識別番号】100163407
【弁理士】
【氏名又は名称】金子 裕輔
(74)【代理人】
【識別番号】100166936
【弁理士】
【氏名又は名称】稲本 潔
(74)【代理人】
【識別番号】100174883
【弁理士】
【氏名又は名称】冨田 雅己
(72)【発明者】
【氏名】太田 博司
【テーマコード(参考)】
3B062
【Fターム(参考)】
3B062AH02
3B062AH05
(57)【要約】      (修正有)
【課題】集塵性能が向上した電気掃除機の集塵装置を提供すること。
【解決手段】周壁部を有する集塵容器部と、集塵容器部内に設けられた内筒部41と、内筒部41の軸心方向の一端部と連通連結されたダスト捕捉部51とを備え、集塵容器部は、周壁部に設けられた連通口32dと、連通口32dと連通した導入路35とを有し、導入路35は、軸心方向から視て、導入路35内の気流の下流側から上流側に向かうにつれて周壁部の外周面から外側へ徐々に膨らんで湾曲形成されている電気掃除機の集塵装置。
【選択図】図6
【特許請求の範囲】
【請求項1】
周壁部と底部と開口部とを有する有底円筒形の集塵容器部と、前記集塵容器部内に設けられた通気性を有する有底状の内筒部と、前記集塵容器部の前記開口部を気密的に覆うように前記内筒部の軸心方向の一端部と連通連結されたダスト捕捉部とを備え、
前記集塵容器部は、前記周壁部に設けられた連通口と、外部のダストを含む空気を前記集塵容器部内に導入するように前記連通口と連通した導入路とを有し、
前記導入路は、前記連通口と連通する導入口を有しており、前記軸心方向から視て、前記導入路内の気流の下流側から上流側に向かうにつれて前記周壁部の外周面から外側へ徐々に膨らんで湾曲形成されている、ことを特徴とする電気掃除機の集塵装置。
【請求項2】
前記軸心方向との直交方向から視て、前記導入路と前記内筒部とは互いに重なる位置に設けられており、
前記導入口を前記直交方向から視て、前記内筒部を隠すように前記周壁部の一部が前記導入路内に突出している、請求項1に記載の集塵装置。
【請求項3】
前記導入路内に突出している前記周壁部の一部は、前記連通口の旋回流方向の上流側端部を構成する先端部分を有しており、前記軸心方向から視て、前記先端部分は半径方向の内側から外側に向かって傾斜する面を有する尖った形状に形成されている、請求項2に記載の集塵装置。
【請求項4】
前記導入路は、前記周壁部の軸心を中心とする中心角度180°未満の範囲で前記周壁部の外周面に設けられている、請求項1~3のいずれか1つに記載の集塵装置。
【請求項5】
前記内筒部の前記軸心方向の他端部から前記集塵容器部の前記底部へ向かって延びるダスト仕切り部をさらに備え、
前記ダスト仕切り部は、前記軸心から放射状に突出する複数の仕切り板部を有している、請求項1~4のいずれか1つに記載の集塵装置。
【請求項6】
前記複数の仕切り板部は、前記内筒部の軸心からの半径以上の突出寸法で径方向外方へ突出する1つの仕切り板部と、前記半径よりも小さい突出寸法で径方向外方へ突出する他の複数の仕切り板部とを含む、請求項5に記載の集塵装置。
【請求項7】
前記ダスト仕切り部は、前記複数の仕切り板部の一部を覆うように前記内筒部の前記他端部と結合する円筒形のダストトラップ部をさらに有しており、
前記ダストトラップ部は、その円筒形周壁の内周面側と外周面側とを連通する複数の通気小孔を前記円筒形周壁に有している、請求項6に記載の集塵装置。
【請求項8】
前記複数の仕切り板部は、前記軸心を中心とする中心角度90°で配置されており、
前記複数の通気小孔は、前記複数の仕切り板部における一の仕切り板部と周方向に隣接する他の仕切り板部との間のスペースに対応する位置に設けられている、請求項7に記載の集塵装置。
【請求項9】
前記ダストトラップ部は、前記内筒部の外径とほぼ等しい外径を有すると共に、前記内筒部と結合する一端側とは反対側の他端部には径方向外方へ突出するフランジ部を有しており、
前記周壁部は、前記底部側よりも前記フランジ部と対向する中間部側が細くなっている、請求項7または8に記載の集塵装置。
【請求項10】
前記ダストトラップ部における前記内筒部と結合する一端側に、前記フランジ部と略等しい外径を有する第2のフランジ部が設けられている、請求項9に記載の集塵装置。
【請求項11】
前記フランジ部は、前記1つの仕切り板部側の部分の外径が他の部分の外径より小さい、請求項9または10に記載の集塵装置。
【請求項12】
請求項1~11のいずれか1つに記載の集塵装置と、電動送風機を内蔵し吸引した外部のダストを含む空気を前記集塵装置へ送る駆動装置とを備えた、ことを特徴とする電気掃除機。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、電気掃除機の集塵装置およびそれを備えた電気掃除機に関し、さらに詳しくは、サイクロン方式の電気掃除機の集塵装置およびそれを備えた電気掃除機に関する。
【背景技術】
【0002】
従来の電気掃除機の集塵装置として、特許文献1には、カップ部およびその内部に設けられた分離フィルタとを有する遠心分離部としての第1分離部と、カップ部の開口部を覆うように分離フィルタと連通連結された下流側遠心分離部としての第2分離部とを備えた集塵装置が提案されている。この集塵装置では、分離フィルタの下部にシェード部を設けると共に、シェード部の天板部に複数の通気開口を設け、シェード部の内側スペースに流入した空気を複数の通気開口に通して分離フィルタの外周スペースへ流すようにしている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2017-158805号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
特許文献1の集塵装置では、シェード部の内側スペースの空気は天板部の複数の通気開口を通過して分離フィルタの外周スペースへ向かうため、複数の通気開口を通過した空気が旋回流に合流することにより分離フィルタの外周スペースにおいて乱流が生じやすくなり、この結果、旋回流中のダストの一部が分離フィルタへ短絡しやすい(直接的に流入しやすい)。
また、複数の通気開口を通過した空気中にダストが含まれていると、そのダストの一部は旋回流によって分離フィルタ側へ飛ばされやすくなり、再分離の機会が減少する。
【0005】
本発明は、以上のような事情を考慮してなされた電気掃除機の集塵装置およびそれを備えた電気掃除機を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明によれば、周壁部と底部と開口部とを有する有底円筒形の集塵容器部と、前記集塵容器内に設けられた通気性を有する有底状の内筒部と、前記集塵容器部の前記開口部を気密的に覆うように前記内筒部の軸心方向の一端部と連通連結されたダスト捕捉部とを備え、
前記集塵容器部は、前記周壁部に設けられた連通口と、外部のダストを含む空気を前記集塵容器部内に導入するように前記連通口と連通した導入路とを有し、
前記導入路は、前記連通口と連通する導入口を有しており、前記軸心方向から視て、前記導入路内の気流の下流側から上流側に向かうにつれて前記周壁部の外周面から外側へ徐々に膨らんで湾曲形成されている、電気掃除機の集塵装置が提供される。
【0007】
また、本発明によれば、前記集塵装置と、電動送風機を内蔵し吸引した外部のダストを含む空気を前記集塵装置へ送る駆動装置とを備えた、電気掃除機が提供される。
【発明の効果】
【0008】
本発明によれば、集塵性能が向上した電気掃除機の集塵装置を得ることができる。
【図面の簡単な説明】
【0009】
図1】本発明の電気掃除機の第1実施形態を右側後方から視た斜視図である。
図2】第1実施形態の電気掃除機における掃除機本体の左側断面図である。
図3】第1実施形態の掃除機本体を右側前方から視た斜視図である。
図4】第1実施形態の駆動装置を右側前方から視た斜視図である。
図5】第1実施形態の集塵装置であって、図5(A)は右側面図、図5(B)は正面図である。
図6】第1実施形態の集塵装置であって、図6(A)は平面図、図6(B)は図5(B)のI-I線矢視断面図である。
図7】第1実施形態の集塵装置であって、図7(A)は図6(A)のII-II線矢視断面図であり、図7(B)は図6(A)のIII-III線矢視断面図である。
図8】第1実施形態の集塵装置の分解図である。
図9】第1実施形態の集塵装置におけるフィルターユニットの斜視図である。
図10】第1実施形態の集塵装置におけるフィルターユニットの別の斜視図である。
図11】第2実施形態の集塵装置であって、図11(A)は図7(A)対応図であり、図11(B)は図7(B)対応図である。
図12】第2実施形態の集塵装置を底部側から視た断面図である。
図13】第2実施形態の集塵装置におけるフィルターユニットの斜視図である。
【発明を実施するための形態】
【0010】
以下、図面を用いて本発明をさらに詳述する。なお、以下の説明は、すべての点で例示であって、本発明を限定するものと解されるべきではない。
【0011】
(第1実施形態)
図1は本発明の電気掃除機の第1実施形態を右側後方から視た斜視図である。また、図2は第1実施形態の電気掃除機における掃除機本体の左側断面図であり、図3は第1実施形態の掃除機本体を右側前方から視た斜視図であり、図4は第1実施形態の駆動装置を右側前方から視た斜視図である。なお、図1と2において、使用時(清掃時)における使用者から視た電気掃除機の前後左右上下方向を矢印にて示しており、以下の電気掃除機の説明ではこの前後左右上下方向に基づく。
【0012】
〈電気掃除機の全体構成について〉
図1に示すように、第1実施形態の電気掃除機1は、掃除機本体10と、吸込口体90と、掃除機本体10と吸込口体90とを気密的に接続する延長管80とを備えたスティック型電気掃除機である。なお、延長管80を介さずに吸込口体90を直接掃除機本体10に接続してハンディ型の電気掃除機として使用することもできる。
【0013】
図1~4に示すように、掃除機本体10は、駆動装置20と、駆動装置20に着脱可能に設けられた集塵装置30と、駆動装置20に着脱可能に設けられた電源としてのバッテリ70とを備える。
【0014】
駆動装置20は、電動送風機Mおよび制御基板等を収納する電気部品収納部21と、電気部品収納部21の後端に連設されたハンドル22と、ハンドル22の上部に設けられた操作スイッチ部23と、電気部品収納部21の下部に設けられたバッテリ装着部24と、電気部品収納部21の上部前端から前方へ突出するように連設されたパイプ部25と、パイプ部25の下端縁および電気部品収納部21の前端縁に沿って設けられた集塵装置装着部26とを備える。なお、集塵装置装着部26に設置された集塵装置30の中心軸はパイプ部25の中心軸と平行となる。また、本実施の形態において、集塵装置装着部26とパイプ部25の位置関係は、パイプ部25が上方、集塵装置装着部26が下方となっているが、パイプ部25が下方、集塵装置装着部26が上方となる位置関係の構造であってもよい。
【0015】
電気部品収納部21は、前端縁に空気流入口21aを有すると共に、右側面に排気口21bを有している。空気流入口21aと排気口21bとは電気部品収納部21内の通風路にて連通しており、通風路に電動送風機Mが設けられている。また、電気部品収納部21の空気流入口21aの下部にはフック形の脚部21cが設けられている。
【0016】
バッテリ装着部24は、バッテリ70をスライドさせて着脱できるよう後方および下方に開口する凹状に形成されており、その奥部にはバッテリ70の充放電端子と電気的および機械的に接続可能な受電端子(不図示)が設けられている。
【0017】
パイプ部25は、前端に延長管80または吸込口体90の後述する接続パイプ部93と接続可能な接続口25aを有すると共に、接続口25aの下に収納スペースを有している。この収納スペースには、延長管80または吸込口体90と接続したときにこれらが有する一対のピン形端子(不図示)と電気的および機械的に接続可能な一対のクリップ形端子25b(図2参照)が設けられている。なお、一対のクリップ形端子25bは、図示しない導電線にて制御回路と電気的に接続されている。
【0018】
集塵装置装着部26は、パイプ部25の後部下端位置に接続口25aと連通する流出口26aを有すると共に、パイプ部25の下端における流出口26aよりも前方位置に集塵装置30の後述する係合凸部32eと係合可能な係合凹部26bを有している。また、集塵装置装着部26は、電気部品収納部21の右側前端位置に集塵装置30の後述する係止爪52bが係脱可能に係止する係止リブ26cを有している。なお、集塵装置装着部26の空気流入口21a側の部分は、集塵装置30が装着されたときに集塵装置30の後述するダスト補足部51を嵌め込む形状に形成されている。
【0019】
操作スイッチ部23は、例えば、停止スイッチと、手動運転モード用の弱/強スイッチと、自動運転モード用の自動スイッチとを有してなる。
弱/強スイッチは、駆動装置20の停止時または自動運転モードのときに押すと最小出力の手動弱運転モードに切り替え、手動弱運転モードのときに押すと最大出力の手動強運転モードに切り替えるスイッチである。
自動スイッチは、駆動装置20の停止時、手動弱運転モードまたは手動強運転モードのときに押すと中間出力の自動中運転モードに切り替えるスイッチである。なお、自動運転モードでは、自動中運転モードのときに後述する回転ブラシ用駆動モータの電流値が所定値以上となると最大出力の自動強運転モードに切り替わり、自動強運転モードのときに回転ブラシ用駆動モータの電流値が所定値未満となると自動中運転モードに切り替わる。
【0020】
集塵装置30は、集塵容器部31と、集塵容器部31に離脱可能に装着されるダスト補足ユニット40とを備える。なお、集塵装置30について詳しくは後述する。
【0021】
吸込口体90は、図1に示すように、底部に吸込口を有する吸込口本体91と、吸込口本体91に前後方向の第1軸心を中心として回動可能に設けられた関節部92と、関節部92に左右方向の第2軸心を中心として回動可能に設けられた前記接続パイプ部93と、吸込口本体91内に収納された図示しない回転ブラシ、回転ブラシ用駆動モータおよびモータ駆動回路等と、接続パイプ部93の外面に設けられた図示しない前記一対のピン形端子とを備える。なお、吸込口体90において、一対のピン形端子とモータ駆動回路と回転ブラシ用駆動モータとは導電線(不図示)にて電気的に接続されている。
【0022】
図1と2に示すように、延長管80は、駆動装置20におけるパイプ部25と着脱可能な一端および吸込口体90における接続パイプ部93と着脱可能な他端を有する管本体81と、管本体81の外面に沿って設けられた導電ケーブル(不図示)と、導電ケーブルを覆うカバー部材82とを備える。なお、導電ケーブルにおいて、一端側には駆動装置20の一対のクリップ形端子25bと電気的および機械的に接続可能な前記一対のピン形端子が設けられると共に、他端側には吸込口体90の一対のピン形端子と電気的および機械的に接続可能な一対のクリップ形端子が設けられている。
【0023】
〈集塵装置の構成について〉
図5は第1実施形態の集塵装置であって、図5(A)は右側面図、図5(B)は正面図である。また、図6は第1実施形態の集塵装置であって、図6(A)は平面図、図6(B)は図5(B)のI-I線矢視断面図である。また、図7は第1実施形態の集塵装置であって、図7(A)は図6(A)のII-II線矢視断面図であり、図7(B)は図6(A)のIII-III線矢視断面図である。また、図8は第1実施形態の集塵装置の分解図であり、図9は第1実施形態の集塵装置におけるフィルターユニットの斜視図であり、図10は第1実施形態の集塵装置におけるフィルターユニットの別の斜視図である。
【0024】
図2図5~10に示すように、集塵装置30は、前記集塵容器部31と、集塵容器部31に離脱可能に装着される前記ダスト補足ユニット40とを備える。
【0025】
[集塵容器部]
図5~8に示すように、集塵容器部31は、周壁部32と底部33と開口部34(図8参照)とを有する略有底円筒形に形成されている。
【0026】
周壁部32は、開口部34側の一端部32aおよび底部33側の他端部32cからそれらの間の中間部32bに向かうにつれて内径が徐々に細くなった(中間部32bでくびれた)略円筒形に形成されている(図7参照)。なお、周壁部32は、一端部32aから中間部32bまでの内径は一定、中間部32bから他端部32cまでは内径が徐々に太くなる構造であってもよい。
【0027】
本実施形態の場合、周壁部32は、開口部34とは反対側の他端部32cにも開口部を有しており、他端部32c側の開口部に底部33がヒンジ部31aおよび開閉機構31bを介して開閉可能に設けられている。言い換えれば、底部33は、他端部32c側の開口部を開閉する蓋部となっている。
【0028】
図7に示すように、開閉機構31bは、底部33におけるヒンジ部31aとは反対側に設けられた係止凸部と、周壁部32における係止凸部の近傍に設けられて係止凸部に係止する方向にバネにて付勢された係止レバーとを有し、係止レバーを押さえることにより係止レバーが係止凸部から離脱して底部33が開くようになっている。なお、集塵容器部31は底部33が開かない構成であってもよい。
【0029】
また、図2図4図7に示すように、周壁部32における開閉機構31bよりも開口部34側には、集塵装置30を駆動装置20の集塵装置装着部26に装着する際に駆動装置20の前記係合凹部26bと係合するフック形の前記係合凸部32eが設けられている。
【0030】
また、図6(B)と図7に示すように、周壁部32は、開口部34側の一端部32aと中間部32bとの間に設けられた連通口32dと、外部のダストを含む空気を集塵容器部31内に導入するように連通口32dと連通した導入路35とを有している。つまり、サイクロン導入口を渦巻き状に周壁部32に設け、大きい直径から小さい直径へ可変させ接線上につなげる導入口形状を形成している。
【0031】
導入路35は、連通口32dと連通する導入口35aを有している。集塵装置30が駆動装置20の集塵装置装着部26に装着された状態において、集塵装置30の導入口35aは駆動装置20の流出口26aと気密的に接続する(図2参照)。
本実施形態の場合、導入口35aは、四隅に丸みを有する四角形となっており、導入路35の横断面形状はこの四角形が連続する形状になっている。なお、導入口35aを円形または楕円形にすることにより、導入路35の横断面形状を円形または楕円形が連続し、それによって内面全体が滑らかな曲面になるようにしてもよい。
【0032】
導入路35は、周壁部32の軸心P方向から視て、導入路35内の気流A(図6(B)参照)の下流側から上流側に向かうにつれて周壁部32の外周面32xから外側へ徐々に膨らんで湾曲形成されている。つまり、導入路35は集塵容器部31の周壁部32の外周面32xに対して接線方向に直線的に接続されていない。
【0033】
言い換えると、導入路35は、周壁部32の曲率よりも大きい曲率から徐々に小さな曲率で湾曲しながら(対数螺旋的に湾曲しながら)、周壁部32の外周面32xに接続されている。あるいは、導入路35は、周壁部32の軸心Pからずれた位置の偏心軸を中心として周壁部32の曲率と同程度の曲率で湾曲しながら周壁部32の外周面32xに接続されている。
【0034】
導入路35は、周壁部32の軸心Pを中心とする所定中心角度θ1の範囲で周壁部32の外周面32xに設けられている。なお、導入路35は、周壁部32側の開口端部35bが周壁部32から少し突出した構造となっている。
【0035】
導入路35が設けられる範囲である前記所定中心角度θ1は、連通口32dにおける気流Aの方向の下流側端部から導入路35における前記開口端部35bまでの範囲である(図6(B)参照)。集塵容器部31の大型化を抑える観点から、所定中心角度θ1は180°未満とすることが好ましく、本実施形態では約153°となっている。
【0036】
また、連通口32dは、周壁部32の軸心Pを中心とする所定中心角度θ2の範囲で周壁部32に設けられている(図6(B)参照)。この所定中心角度θ2は、連通口32dにおける気流Aの方向の下流側端部から上流側端部までの範囲である。所定中心角度θ2は、所定中心角度θ1以下であり、本実施形態では約120°となっている。
【0037】
図6(B)に示すように、軸心P方向から視て、連通口32dの上流側端部は、導入路35における開口端部35b側の部分と周壁部32との接続位置J(図5(B)参照)よりも下流側に位置している。そのため、図5(B)と図6(B)に示すように、導入口35aを正面側(軸心Pと直交する方向)から視たとき、周壁部32の一部32y(連通口32dの上流側端部側の部分)が導入路35内に突出した状態となっている。
【0038】
この周壁部32の一部32yは、導入口35aから導入路35内にダストを含む空気が流入したときに、ダスト補足ユニット40の後述する内筒部41にダストを含む空気が直接的に当たらないように内筒部41を隠し、かつ、内筒部41の外周側にダストを含む空気を誘導する風防の役割を担っている。なお、これについて詳しくは後述する。
【0039】
[ダスト補足ユニット]
図2および図5~10(特に図7)に示すように、ダスト補足ユニット40は、集塵容器部31内に設けられた通気性を有する有底状の内筒部41と、集塵容器部31の開口部34を気密的に覆うように内筒部41の軸心P方向の一端部(開口部34側)と連通連結された前記ダスト捕捉部51と、内筒部41の軸心P方向の他端部(底部33側)から集塵容器部31の底部33へ向かって延びるダスト仕切り部61とを備える。
【0040】
内筒部41は、底部41aaおよび複数のスリットが設けられた外周部41abを有する円筒枠体41aと、複数のスリットを覆うように外周部41abに設けられた図示しないメッシュ部材とを有してなり、底部41aaと反対側は開口している。
【0041】
ダスト捕捉部51は、集塵容器部31の開口部34に気密的にかつ着脱可能に嵌め込まれるカップ部52と、カップ部52に気密的にかつ着脱可能に嵌め込まれるプリーツ形状のフィルタ部53とを有する。
【0042】
カップ部52は、その外周面にロック機構52aを有している(図8参照)。このロック機構52aは、集塵装置30が駆動装置20の集塵装置装着部26に装着される際に、駆動装置20の前記係止リブ26cに係止する前記係止爪52bを有するレバーを備えている。ロック機構52aは、バネにて係止爪52bを係止リブ26cに係止させる方向にレバーを付勢するよう構成されており、レバーを押すと係止爪52bが係止リブ26cから離脱する。
【0043】
図1~3に示すように、集塵装置30が駆動装置20に装着された電気掃除機1において、集塵装置30のロック機構52aおよび導入路35は右側に配置され、集塵装置30のヒンジ部31aは下側に配置され、集塵装置30の開閉機構31bは駆動装置20のパイプ部25の下側の凹部(集塵装置装着部26)内に収納される。また、図示しないが、電気掃除機1の左側には集塵装置30による突起物は配置されずすっきりした外観となる。このように、集塵装置30による突起物を、電気掃除機1の左右のどちらか一方側にまとめて配置するようにすれば、突起物が配置されない他方側の外観をすっきりとすることができる。このことは、集塵装置をパイプ部の上側に配置する構造の電気掃除機であっても同様である。なお、本実施形態の電気掃除機1は、使用者が右手でハンドルを持って清掃を行うことを想定し、電気掃除機1の左側には集塵装置30による突起物がないすっきりした外観となるようにしている。
なお、本実施形態の場合、内筒部41とカップ部52とは一体成形された1つの部材からなるが、内筒部41とカップ部52とは分解可能にそれぞれ別部材から構成されてもよい。
【0044】
ダスト仕切り部61は、内筒部41の軸心Pからの半径と略等しい突出寸法で軸心Pから放射状に突出する複数の仕切り板部62と、複数の仕切り板部62の内筒部41側の部分を覆うように内筒部41の他端部と結合する円筒形のダストトラップ部63とを有する。つまり、本実施形態では、内筒部41の直径を拡大し、内筒部41の直径をダスト仕切り部61の直径と同程度にしている。
複数の仕切り板部62とダストトラップ部63とは互いに結合した一体成形部材からなる。本実施形態の場合、4枚の仕切り板部62のうちの3枚の仕切り板部62bのダストトラップ部63で覆われた部分とダストトラップ部63の円筒形周壁の内周面との間には隙間が存在するが、残り1枚の仕切り板部62aのダストトラップ部63で覆われた部分とダストトラップ部63の円筒形周壁の内周面との間には隙間が存在しない。また、4枚の仕切り板部62(62a、62b)は底部33側から見ると十字に形成されている(図8~10参照)。
なお、本実施形態の場合、内筒部41とダスト仕切り部61とはそれぞれ別部材からなるが、内筒部41とダスト仕切り部61とは一体成形された1つの部材から構成されてもよい。
【0045】
複数の仕切り板部62は、集塵容器部31の底部33側の中央スペースを仕切るものである。本実施形態の場合、4つの羽根形の仕切り板部62が軸心Pを中心とする中心角度90°で配置されてなる。複数の仕切り板部62は、内筒部41の軸心Pからの半径以上の突出寸法で径方向外方へ突出する1つの仕切り板部62aと、前記半径よりも小さい突出寸法で径方向外方へ突出する他の複数の仕切り板部62bとを含む。前記1つの仕切り板部62aの一部を内筒部41の半径よりも大きい突出寸法で径方向外方へ突出させると共に、後述するフランジ63bの径方向外方へは突出しない形状とすることで、ダストの塊が旋回しないようにしている。内筒部41の半径よりも大きい突出寸法で径方向外方へ突出した仕切り板部62aの一部は、ヒンジ31a側に設けられているため、ヒンジ側にダストがたまりやすくなる。このような構成とすることで、集塵装置30を駆動装置20に装着した状態において、ヒンジ側が下側になるため、使用者は清掃中にダストが集塵容器部31内にどの程度ダストが溜まっているかを把握しやすくなる。
なお、ダスト補足ユニット40が集塵容器部31内に装着された状態において、複数の仕切り板部62の各端部は集塵容器部31の底部33に当接または近接している。また、複数の仕切り板部62の各側端部は集塵容器部31の底部33に向かうにつれて、軸心Pに近づく形状となっている。このような形状とすることで、底部にダストがたまりやすくなる。
【0046】
円筒形のダストトラップ部63の周壁には、その内周面から外周面に貫通する複数の通気小孔63aを有している。言い換えれば、ダストトラップ部63の円筒形周壁の内周面側と外周面側を連通する複数の通気小孔63aが、ダストトラップ部63の円筒形周壁に設けられている。また、複数の通気小孔63aは、複数の仕切り板部62における一の仕切り板部62と周方向に隣接する他の仕切り板部62との間のスペースに対応する位置に設けられている(図8~10参照)。本実施形態の場合、複数の通気小孔63aからなる2つの群が互いに対向する位置に設けられているが、複数の通気小孔63aはダストトラップ部63の全周に設けられてもよい。
【0047】
また、ダストトラップ部63は、内筒部41の外径とほぼ等しい外径を有すると共に、内筒部41と結合する一端側とは反対側の他端部には径方向外方へ突出するフランジ部63bを有している。
【0048】
ダスト補足ユニット40が集塵容器部31内に装着された状態において、軸心P方向と直交する方向から視て、フランジ部63bは集塵容器部31の細くなった中間部32bに位置していると共に、導入路35と内筒部41とは互いに重なる位置に設けられている。
【0049】
〈電気掃除機の動作について〉
図1~4に示すように、このように構成された電気掃除機1にて清掃を行う際、掃除機本体10の操作スイッチ部23の弱/強スイッチまたは自動スイッチを押すと、電動送風機Mおよび回転ブラシ用駆動モータが駆動する。すると、回転ブラシが床面上のダストを吸込口側に掻き込むと共に、吸込口体90内にダストが空気と共に吸引され、ダストを含む空気は、延長管80を通って駆動装置20のパイプ部25内に流入し、パイプ部25の流出口26aから集塵装置30の導入路35内に導入口35aから流入する。
【0050】
図5~7に示すように、集塵容器部31の導入路35内に流入したダストを含む気流A(図6(B)参照)は、導入路35の湾曲した外側内面35cに沿って進んで連通口32dから集塵容器部31内に流入する。このとき、導入路35内に突出した周壁部32の一部32yが風防となって気流Aが内筒部41に直接的に当たらないようにしており、それに加えて、この周壁部32の一部32yによって気流Aが導入路35の外側内面35cに沿って進むように誘導している。また、導入路35内に突出している周壁部32の一部32yは、連通口32dの旋回流方向(気流Aの方向)の上流側端部を構成する先端部分を有しており、軸心P方向から視て、前記先端部分は半径方向の内側から外側に向かって傾斜する面Sを有する尖った形状に形成されている(図6(B)参照)。言い換えると、周壁部32の一部32yの先端部分は、旋回流の回転方向(気流Aの方向)の上流側から下流側に向けて、周壁部32の内筒側の面が導入路側の面に近づく斜面(面S)を有する先が尖った形状となっている。これにより、周壁部32の一部32yの先端部分における乱流を抑制することができる。
【0051】
したがって、気流Aは集塵容器部31内に旋回しながらスムーズに流入することができると共に、気流Aの旋回速度が増加してダストの遠心分離性能が向上する。それに加え、気流Aの内筒部41への直接的な衝突が効果的に抑制されるため、連通口32d付近での乱流が抑制されて圧損が低減する。
【0052】
集塵容器部31内に流入した気流Aは、図7(A)に示すように、内筒部41の周囲を旋回した後、ダスト仕切り部61のダストトラップ部63の周囲を旋回する。このとき、周壁部32におけるダストトラップ部63と対向する中間部32bが一端部32aよりも細くなっているため旋回速度が増加し、ダストの遠心分離性能が高められる。
【0053】
その後、気流Aは、フランジ部63bと周壁部32の間の狭いスペースを旋回しながら通過して複数の仕切り板部62の周囲を旋回する。このとき、複数の仕切り板部62と周壁部32との間は広いスペースとなっていることに加え、複数の仕切り板部62が気流Aの旋回を妨げるため、気流Aの旋回速度が減少し、底部33上に比較的大きな第1のダストが溜まる。特に、上述のように気流Aの内筒部41への直接的な衝突が回避されるため、繊維状の第1のダスト(髪の毛、ペットの毛、繊維屑等)の内筒部41への巻き付きが抑制され、繊維状の第1のダストが底部33上のスペースに溜まりやすくなる。なお、複数の仕切り板部62のうち径方向外方への突出寸法の大きい仕切り板部62aによって、第1のダストの底部33上での旋回(ダストの暴れ)が抑制される。
【0054】
複数の仕切り板部62の周囲を速度を落としながら旋回した気流Aは、各仕切り板部62に沿ってダストトラップ部63内へ進み、ダストトラップ部63内の気流Bは複数の通気小孔63aを通ってダストトラップ部63の外周スペースに流入する。このとき、繊維状の第1のダストが気流Bに含まれていたとしても、繊維状の第1のダストは通気小孔63aを通過できずにダストトラップ部63によって捕捉される。
【0055】
複数の通気小孔63aを通過してダストトラップ部63の外周スペースに流入した気流Bは、その一部が内筒部41内に流入し、残部は旋回する気流Aに合流する。なお、気流Bが気流Aに合流することにより、気流B中のダストは再分離されることとなる。
内筒部41内に流入した気流C(図7(A)参照)中に第1のダストよりも小さい第2のダストが含まれていると、気流Cがフィルタ部53を通過する際に第2のダストは捕捉される。フィルタ部53を通過してダストが除去された空気Dが空気流入口21aから駆動装置20内に流入し排気口21bから外部に排出される(図2~4参照)。
【0056】
なお、清掃後、ロック機構52aを解除して集塵装置30を駆動装置20から取り外し、集塵装置30の開閉機構31bを操作して底部33を開くことによって内部に溜まったダストを廃棄することができる。また、図8に示すように、集塵容器部31からダスト補足ユニット40を取り出し、カップ部52からフィルタ部53を取り外して集塵装置30を分解することにより、分解した各パーツを水洗いして清潔に保つことができる。
【0057】
(第1実施形態の変形例)
第1実施形態では、集塵装置30の導入路35が、周壁部32の曲率よりも大きい曲率から徐々に小さな曲率で湾曲しながら(対数螺旋的に湾曲しながら)、周壁部32の外周面32xに接続されている場合、あるいは、導入路35は、周壁部32の軸心Pからずれた位置の偏心軸を中心として周壁部32の曲率と同程度の曲率で湾曲しながら周壁部32の外周面32xに接続されている場合を例示したが、導入路35を次のように構成してもよい。
すなわち、導入路35を、集塵容器部31の周壁部32の外周面32xに対して接線方向に直線的に接続し、接続箇所から少し離れた箇所から導入路35を外周面32xから外側へ徐々に膨らむように湾曲形成してもよい。
【0058】
(第2実施形態)
図11は第2実施形態の集塵装置であって、図11(A)は図7(A)対応図であり、図11(B)は図7(B)対応図である。また、図12は第2実施形態の集塵装置を底部側から視た断面図であり、図13は第2実施形態の集塵装置におけるフィルターユニットの斜視図である。なお、図11~13において、図7~10中の要素と同様の要素には同一の符号を付している。
第2実施形態の集塵装置130は、第1実施形態の集塵装置30におけるダスト補足ユニット40の構成が異なる以外は、第1実施形態と概ね同様である。以下、第2実施形態における第1実施形態とは異なる点を主に説明する。
【0059】
図11~13に示すように、第2実施形態の集塵装置130において、ダスト仕切り部161の複数の仕切り板部のうちの1つの仕切り板部162aは、内筒部41の軸心Pからの半径程度の突出寸法で径方向外方へ突出している。つまり、この1つの仕切り板部162aは、第1実施形態における1つの仕切り板部62a(図7参照)よりも径方向外方への突出寸法が短くなっている。このように構成することにより、1つの仕切り板部162aの径方向外方の先端部と集塵容器部31の内周面との間で髪の毛を含んだ繊維状ダストなどのダストが詰まりにくくなって偏ることなく集塵することができる。
【0060】
また、第2実施形態の集塵装置130において、ダスト補足ユニット140のフランジ部163bは、1つの仕切り板部162a側の部分163baの外径が他の部分163bbの外径より小さくなっている(図12参照)。このように構成することにより、フランジ部163bの外周部は、1つの仕切り板部162a側が部分的に楕円弧形状となる。これにより、フランジ部163bの楕円弧の部分163baと集塵容器部31の内周面との間で髪の毛を含む繊維状ダストなどのダストが詰まりにくくなって偏ることなく集塵することができる。また、フランジ部163bの楕円弧の部分163baと集塵容器部31の内周面との間で髪の毛を含む繊維状ダストが詰まり、それによって繊維状ダストが内筒部41(メッシュ部)へ手を伸ばして巻き付いてしまう現象を抑制することができる。
【0061】
また、第2実施形態の集塵装置130において、ダスト補足ユニット140は、図11~13に示すように、ダストトラップ部163における内筒部41と結合する一端側に、フランジ部163bの他の部分163bbと略等しい外径を有する第2のフランジ部163cが設けられている。このように構成することによって、ダストトラップ部163の内周側から複数の通気小孔63aを通って外周側へ流れる空気(気流B)を第2のフランジ部163bによって強制的に下降気流に変換して集塵容器部31の内周面に沿った大きな下降気流Aに取り込まれやすくすることができる。それに加えて、ダストトラップ部163の内周側から複数の通気小孔63aを通って外周側へ流れようとする髪の毛を含む繊維状ダストが内筒部41(メッシュ部)へ手を伸ばそうとするときのガードとして第2のフランジ部163bが機能する。
【0062】
(第3実施形態)
第1実施形態の集塵装置30(図8~10参照)および第2実施形態の集塵装置130(図11~13参照)において、ダスト補足ユニット40はカップ部52およびフィルタ部53を有するダスト補足部51を備えたものであったが、フィルタ部53の替わりに、第2遠心分離部を用いてもよい。つまり、第3実施形態のダスト補足部は、カップ部52と、カップ部52に着脱可能に装着される第2遠心分離部とを有するものであり、このダスト補足部を内筒部41と連結するようにしてもよい。
【0063】
この場合、第2遠心分離部は、軸心Pの同心円上に複数の小さい二重筒部を備える。複数の二重筒部は、円推筒部と、円錐筒部内に隙間をもって挿入された円筒部とをそれぞれ有する。この第2遠心分離部によれば、内筒部41からの気流を複数の二重筒部の各円錐筒部に導入して第2のダストを遠心分離し、遠心分離した第2のダストをカップ部の外周部に設けた溝部に溜め、第2のダストを除去した空気を各円錐筒部内から各円筒部内に流入させて駆動装置20内へ導入することができる。
なお、第2遠心分離部はカップ部52に固定されて着脱できない構造であってもよい。
【0064】
(第4実施形態)
第1実施形態の集塵装置30(図8~10参照)および第2実施形態の集塵装置130(図11~13参照)において、ダスト補足ユニット40はダスト仕切り部61を有するものであったが、ダスト仕切り部61のダストトラップ部63のみを省略してもよく、あるいはダスト仕切り部61の複数の仕切り板部62のうちの3枚の仕切り板部62bのみあるいは4枚の仕切り板部62a、62bのみを省略してもよく、あるいはダスト仕切り部61自体(複数の仕切り板部62a、62bおよびダストトラップ部63)を省略してもよい。
なお、複数の仕切り板部62a、62bを省略する場合、集塵容器部31の底部33上または周壁部32の内周面にリブを設け、このリブによって第1のダストの旋回(ダスト暴れ)を抑えるようにしてもよい。
【0065】
(他の実施形態)
第1実施形態ではスティック型の電気掃除機1(図1参照)を例示したが、第1~4実施形態の集塵装置は、キャニスター型の電気掃除機にも適用可能である。
【0066】
以上に述べたように、
(1)本発明による電気掃除機の集塵装置は、周壁部と底部と開口部とを有する有底円筒形の集塵容器部と、前記集塵容器部内に設けられた通気性を有する有底状の内筒部と、前記集塵容器部の前記開口部を気密的に覆うように前記内筒部の軸心方向の一端部と連通連結されたダスト捕捉部とを備え、
前記集塵容器部は、前記周壁部に設けられた連通口と、外部のダストを含む空気を前記集塵容器部内に導入するように前記連通口と連通した導入路とを有し、
前記導入路は、前記連通口と連通する導入口を有しており、前記軸心方向から視て、前記導入路内の気流の下流側から上流側に向かうにつれて前記周壁部の外周面から外側へ徐々に膨らんで湾曲形成されている、ことを特徴とする。
【0067】
この構成によれば、集塵容器部の周壁部に導入路が接線方向に直線的に接続されるのではなく、湾曲しながら導入路が周壁部に接続されるため、周壁部の内周面に沿って乱流の少ない旋回流を生じさせやすくなる。そのため、集塵容器部の周壁部の直径(内径および外径)を大きくすることなく内筒部の直径を大きくして、圧損の低減、繊維状ダストの内筒部への巻き付き抑制、および、ダスト分離性能の向上を図ることができる。言い換えると、この構成により、集塵容器部の直径を大きくすることなく、内筒部の直径を大きくして、圧損の低減、および髪の毛の巻き付き軽減、分離性の向上効果が得られる。
【0068】
また、本発明による電気掃除機の集塵装置は、次のように構成されてもよく、それらが適宜組み合わされてもよい。
(2)前記軸心方向との直交方向から視て、前記導入路と前記内筒部とは互いに重なる位置に設けられており、
前記導入口を前記直交方向から視て、前記内筒部を隠すように前記周壁部の一部が前記導入路内に突出してもよい。
この構成によれば、周壁部の外周面の一部が導入路内に突出して風防として機能するため、導入路内に導入されたダストを含む空気の内筒部への短絡(直接的な流入)を抑制し、旋回流を生じさせやすくなる。
【0069】
(3)前記導入路内に突出している前記周壁部の一部は、前記連通口の旋回流方向の上流側端部を構成する先端部分を有しており、前記軸心方向から視て、前記先端部分は半径方向の内側から外側に向かって傾斜する面を有する尖った形状に形成されてもよい。
この構成によれば、周壁部の一部の先端部分における乱流を抑制することができる。
【0070】
(4)前記導入路は、前記周壁部の軸心を中心とする中心角度180°未満の範囲で前記周壁部の外周面に設けられてもよい。
この構成によれば、周壁部の外周面よりも外側へ突出した導入路部分を小さく抑えることができるため、集塵容器部の大型化を抑制することができる。
【0071】
(5)前記内筒部の前記軸心方向の他端部から前記集塵容器部の前記底部へ向かって延びるダスト仕切り部をさらに備え、
前記ダスト仕切り部は、前記軸心から放射状に突出する複数の仕切り板部を有してもよい。
この構成によれば、ダスト仕切り部によって集塵容器部内の底部側の旋回流の流量(または流速)を調整することができ、集塵容器部内の底部側に溜まったダストの暴れを抑えることができる。
【0072】
(6)前記複数の仕切り板部は、前記内筒部の軸心からの半径以上の突出寸法で径方向外方へ突出する1つの仕切り板部と、前記半径よりも小さい突出寸法で径方向外方へ突出する他の複数の仕切り板部とを含んでもよい。
この構成によれば、前記1つの仕切り板部の径方向外方への突出寸法が内筒部の軸心からの半径程度である場合には、前記1つの仕切り板部の径方向外方の先端部と集塵容器部の内周面との間で髪の毛を含んだ繊維状ダストなどのダストが詰まりにくくなって偏ることなく集塵することができる。また、前記1つの仕切り板部の径方向外方への突出寸法が内筒部の軸心からの半径より大きい場合には、前記1つの仕切り板部の径方向外方の先端部と集塵容器部の内周面との間にダストの塊を作りダストの塊の旋回を止めることができる。
【0073】
(7)前記ダスト仕切り部は、前記複数の仕切り板部の一部を覆うように前記内筒部の前記他端部と結合する円筒形のダストトラップ部をさらに有しており、
前記ダストトラップ部は、その円筒形周壁の内周面側と外周面側とを連通する複数の通気小孔を前記円筒形周壁に有してもよい。
この構成によれば、ダストトラップ部の内側スペースで髪の毛などの繊維状ダストを捕捉でき、ダストトラップ部の内側スペースから複数の通気小孔を通過した空気を、ダストトラップ部の円筒形周壁と集塵容器部の周壁部との間のスペースへ流出させて旋回流と合流させることができる。すなわち、複数の通気小孔を通過した空気は、内筒部の外周スペースの旋回流に直接合流しない。したがって、特許文献1の集塵装置のような乱流が生じるという状況が抑制される。この結果、ダストを含む空気の内筒部への短絡抑制を行いながら、複数の通気小孔を通過した空気中のダストの再分離を促すことができる。
【0074】
(8)前記複数の仕切り板部は、前記軸心を中心とする中心角度90°で配置されており、
前記複数の通気小孔は、前記複数の仕切り板部における一の仕切り板部と周方向に隣接する他の仕切り板部との間のスペースに対応する位置に設けられてもよい。
この構成によれば、周方向に互いに隣接する2つの仕切り板部間のスペースに繊維状ダストを捕捉しやすくなり、かつ、ダストトラップ部の内側スペースにおける2つの仕切り板部間に流入した空気を複数の通気小孔からダストトラップ部の外周へ逃がすことができる。
【0075】
(9)前記ダストトラップ部は、前記内筒部の外径とほぼ等しい外径を有すると共に、前記内筒部と結合する一端側とは反対側の他端部には径方向外方へ突出するフランジ部を有しており、
前記周壁部は、前記底部側よりも前記フランジ部と対向する中間部側が細くなってもよい。
この構成によれば、フランジ部の外周における旋回流が速くなって遠心分離作用が大きくなり、底部側において旋回流は遅くなって遠心分離したダストを暴れさせないように捕捉することができる。またこの構成によれば、集塵容器部の底部を開閉可能な構造とすることにより、周壁部は底部側が太くなっているため底部を開いてダストを廃棄しやすい。
【0076】
(10)前記ダストトラップ部における前記内筒部と結合する一端側に、前記フランジ部と略等しい外径を有する第2のフランジ部が設けられてもよい。
この構成によれば、ダストトラップ部の内周側から複数の通気小孔を通って外周側へ流れる空気を第2のフランジ部によって強制的に下降気流に変換して集塵容器部の内周面に沿った大きな下降気流に取り込まれやすくすることができる。それに加えて、ダストトラップ部の内周側から複数の通気小孔を通って外周側へ流れようとする髪の毛を含む繊維状ダストが内筒部(メッシュ部)へ手を伸ばそうとするときのガードとして第2のフランジ部が機能する。
【0077】
(11)前記フランジ部は、前記1つの仕切り板部側の部分の外径が他の部分の外径より小さくてもよい。
この構成によれば、フランジ部の外周部は、前記1つの仕切り板部側が部分的楕円弧形状となる。これにより、フランジ部の部分的楕円弧と集塵容器部の内周面との間で髪の毛を含む繊維状ダストなどのダストが詰まりにくくなって偏ることなく集塵することができる。また、フランジ部の部分的楕円弧と集塵容器部の内周面との間で髪の毛を含む繊維状ダストが詰まり、それによって繊維状ダストが内筒部(メッシュ部)へ手を伸ばして巻き付いてしまう現象を抑制することができる。
【0078】
本発明の好ましい態様には、上述した複数の態様のうちの何れかを組み合わせたものも含まれる。
前述した実施の形態の他にも、本発明について種々の変形例があり得る。それらの変形例は、本発明の範囲に属さないと解されるべきものではない。本発明には、請求の範囲と均等の意味および前記範囲内でのすべての変形とが含まれるべきである。
【符号の説明】
【0079】
1:電気掃除機、 10:掃除機本体、 20:駆動装置、 21:電気部品収納部、 21a:空気流入口、 21b:排気口、 21c:脚部、 22:ハンドル、 23:操作スイッチ部、 24:バッテリ装着部、 25:パイプ部、 25a:接続口、 25b:クリップ形端子、 26:集塵装置装着部、 26a:流出口、 26b:係合凹部、 26c:係止リブ、 30、130:集塵装置、 31:集塵容器部、 31a:ヒンジ部、 31b:開閉機構、 32:周壁部、 32a:一端部、 32b:中間部、 32c:他端部、 32d:連通口、 32e:係合凸部、 32x:外周面、 32y:一部、 33:底部、 34:開口部、 35:導入路、 35a:導入口、 35b:開口端部、 35c:外側内面、 40、140:ダスト補足ユニット、 41:内筒部、 41a:円筒枠体、 41aa:底部、 41ab:外周部、 51:ダスト捕捉部、 52:カップ部、 52a:ロック機構、 52b:係止爪、 53:フィルタ部、 61、161:ダスト仕切り部、 62、62a、62b:仕切り板部、 63、163:ダストトラップ部、 63a:通気小孔、 63b、163b:フランジ部、 70:バッテリ、 80:延長管、 81:管本体、 82:カバー部材、 90:吸込口体、 91:吸込口本体、 92:関節部、 93:接続パイプ部、 163ba:楕円弧の部分、 163bb:他の部分、 163c:第2のフランジ部、 A、B:気流、 J:接続位置、 M:電動送風機、 P:軸心、 S:面、 θ1:中心角度
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10
図11
図12
図13