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特開2022-177601吸込口体の回転ブラシおよびそれを備えた吸込口体
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2022177601
(43)【公開日】2022-12-01
(54)【発明の名称】吸込口体の回転ブラシおよびそれを備えた吸込口体
(51)【国際特許分類】
   A47L 9/04 20060101AFI20221124BHJP
【FI】
A47L9/04 A
【審査請求】未請求
【請求項の数】7
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2021083984
(22)【出願日】2021-05-18
(71)【出願人】
【識別番号】000005049
【氏名又は名称】シャープ株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100065248
【弁理士】
【氏名又は名称】野河 信太郎
(74)【代理人】
【識別番号】100159385
【弁理士】
【氏名又は名称】甲斐 伸二
(74)【代理人】
【識別番号】100163407
【弁理士】
【氏名又は名称】金子 裕輔
(74)【代理人】
【識別番号】100166936
【弁理士】
【氏名又は名称】稲本 潔
(74)【代理人】
【識別番号】100174883
【弁理士】
【氏名又は名称】冨田 雅己
(72)【発明者】
【氏名】吉田 真浩
【テーマコード(参考)】
3B061
【Fターム(参考)】
3B061AA04
3B061AA06
3B061AD03
3B061AD05
3B061AD11
(57)【要約】
【課題】除塵効率が向上する吸込口体用の回転ブラシを提供すること。
【解決手段】軸体と、軸体の周囲部に設けられた清掃材とを備え、清掃材は、軸体の軸心を中心として周方向に所定の中心角度でかつ軸心方向に延びるように設けられた複数のソフトブラシと、複数のソフトブラシの間に設けられた軸心方向に延びる1つ以上のハードブラシとを含み、複数のソフトブラシは、断面が円型以外である捲縮繊維を含んで構成されており、1つ以上のハードブラシは、複数のソフトブラシよりも剛性が高いストレート状繊維を含んで構成されており、1つ以上のハードブラシの回転半径方向の高さが、複数のソフトブラシの回転半径方向の高さよりも低い吸込口体用の回転ブラシ。
【選択図】図8
【特許請求の範囲】
【請求項1】
吸込口本体内における吸込口の近傍に回転可能に取り付けられる軸体と、前記軸体の周囲部に設けられた清掃材とを備え、
前記清掃材は、前記軸体の軸心を中心として周方向に所定の中心角度でかつ前記軸心方向に延びるように設けられた複数のソフトブラシと、前記複数のソフトブラシの間に設けられた前記軸心方向に延びる1つ以上のハードブラシとを含み、
前記複数のソフトブラシは、断面が円型以外である捲縮繊維を含んで構成されており、
前記1つ以上のハードブラシは、前記複数のソフトブラシよりも剛性が高いストレート状繊維を含んで構成されており、
前記1つ以上のハードブラシの回転半径方向の高さが、前記複数のソフトブラシの回転半径方向の高さよりも低い、ことを特徴とする吸込口体用の回転ブラシ。
【請求項2】
前記清掃材は、前記複数のソフトブラシの間にかつ前記1つ以上のハードブラシとは異なる位置に設けられた1つ以上のゴムブレードをさらに有し、
前記1つ以上のゴムブレードの回転半径方向の高さが、前記複数のソフトブラシの回転半径方向の高さよりも低い、請求項1に記載の回転ブラシ。
【請求項3】
前記清掃材は、前記複数のソフトブラシの間にかつ前記1つ以上のハードブラシとは異なる位置に設けられた1つ以上の別のハードブラシをさらに有し、
前記1つ以上の別のハードブラシの回転半径方向の高さが、前記複数のソフトブラシの回転半径方向の高さよりも低い、請求項1に記載の回転ブラシ。
【請求項4】
前記1つ以上のハードブラシが、前記軸心方向に延びる第1ハードブラシ部と、前記第1ハードブラシ部に沿って周方向に隣接する第2ハードブラシ部とをそれぞれ有してなり、
前記1つ以上のハードブラシにおいて、前記第2ハードブラシ部が、前記第1ハードブラシ部を構成する第1の繊維よりも剛性の高い第2の繊維を含んで構成されている、請求項1~3のいずれか1つに記載の回転ブラシ。
【請求項5】
底部に吸込口を有する吸込口本体と、吸込口本体内における吸込口の近傍に回転可能に設けられた請求項1~4のいずれか1つに記載の回転ブラシとを備えた、ことを特徴とする吸込口体。
【請求項6】
前記軸体が前後方向に移動するときに前記回転ブラシの周囲下部が後方へ向かって移動する方向に前記回転ブラシが回転して、前記1つ以上のハードブラシにおける前記第2ハードブラシ部が前記第1ハードブラシ部よりも先に被清掃面に近接または接触する、請求項4を引用する請求項5に記載の吸込口体。
【請求項7】
内蔵した電動送風機にて外部のダストを含む空気を吸引する掃除機本体と、前記掃除機本体と直接または延長管を介して接続される請求項5または6に記載の吸込口体とを備えた、ことを特徴とする電気掃除機。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、吸込口体の回転ブラシおよびそれを備えた吸込口体に関する。
【背景技術】
【0002】
従来の電気掃除機の吸込口体として、モータ駆動式またはタービン駆動式の回転ブラシを備えたものがある。
例えば、特許文献1に記載の回転ブラシ(回転清掃体)は、清掃体の生地を棒状の芯棒の外周面に巻き付けて一体的に固着したときに、長パイルで形成されたブラシ列と短パイルで形成されたブラシ列とが芯棒の軸芯に対して略平行となるように構成されている。長パイルは剛性の高いストレート状繊維からなり、短パイルは伸縮性の高いストレート状繊維からなる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2009-11374号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
特許文献1の回転ブラシを備えた吸込口体を用いて絨毯を清掃する場合、長パイルにて絨毯表面を擦ってゴミを掻き出すが、長パイルは剛性の高いストレート状繊維からなるため、絨毯表面の繊維中に入り込んだ綿状ゴミを取り除くことが難しい。また、フローリングを清掃する場合、剛性の高いストレート状繊維からなる長パイルでは、フローリング表面に付着した汚れ(例えば、瘡蓋状の汚れ)を除去してきれいにするフローリング磨き効果が得られにくい。
【0005】
本発明は、以上のような事情を考慮してなされた吸込口体の回転ブラシおよびそれを備えた吸込口体を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明は、吸込口本体内における吸込口の近傍に回転可能に取り付けられる軸体と、前記軸体の周囲部に設けられた清掃材とを備え、
前記清掃材は、前記軸体の軸心を中心として周方向に所定の中心角度でかつ前記軸心方向に延びるように設けられた複数のソフトブラシと、前記複数のソフトブラシの間に設けられた前記軸心方向に延びる1つ以上のハードブラシとを含み、
前記複数のソフトブラシは、断面が円型以外である捲縮繊維を含んで構成されており、
前記1つ以上のハードブラシは、前記複数のソフトブラシよりも剛性が高いストレート状繊維を含んで構成されており、
前記1つ以上のハードブラシの回転半径方向の高さが、前記複数のソフトブラシの回転半径方向の高さよりも低い、ことを特徴とする吸込口体用の回転ブラシを提供する。
また、本発明は、内蔵した電動送風機にて外部のダストを含む空気を吸引する掃除機本体と、前記掃除機本体と直接または延長管を介して接続される請求項5または6に記載の吸込口体とを備えた、ことを特徴とする電気掃除機を提供する。
【発明の効果】
【0007】
本発明による吸込口体用の回転ブラシによれば、被清掃面に対する高いゴミ除去性能を得ることができる。
【図面の簡単な説明】
【0008】
図1】本発明の電気掃除機の第1実施形態を右側後方から視た斜視図である。
図2】第1実施形態の吸込口体の左側前方から視た斜視図である。
図3】第1実施形態の吸込口体の底部側から視た斜視図である。
図4】第1実施形態の吸込口体の上ケース部の後部カバーを取り外した状態の平面図である。
図5】第1実施形態の吸込口体の部分的な左側断面図である。
図6図4の部分的なI-I線矢視断面図である。
図7】第1実施形態の吸込口体における回転ブラシの軸体の三面図である。
図8】第1実施形態の吸込口体における回転ブラシの横断面図である。
図9】第2実施形態の吸込口体における回転ブラシの横断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0009】
以下、図面を用いて本発明をさらに詳述する。なお、以下の説明は、すべての点で例示であって、本発明を限定するものと解されるべきではない。
【0010】
(実施の形態1)
図1は本発明の電気掃除機の第1実施形態を右側後方から視た斜視図である。なお、図1において、使用時(清掃時)における使用者から視た電気掃除機の前後左右上下方向を矢印にて示しており、以下の電気掃除機の説明ではこの前後左右上下方向に基づく。
【0011】
〈電気掃除機の全体構成について〉
図1に示すように、第1実施形態の電気掃除機1は、掃除機本体10と、吸込口体60と、掃除機本体10と吸込口体60とを気密的に接続する延長管50とを備えたサイクロン方式のスティック型電気掃除機である。なお、延長管50を介さずに吸込口体60を直接掃除機本体10に接続してハンディ型の電気掃除機として使用することもできる。
【0012】
掃除機本体10は、駆動装置20と、駆動装置20に着脱可能に設けられた集塵装置30と、駆動装置20に着脱可能に設けられた電源としてのバッテリ40とを備える。
【0013】
駆動装置20は、図示しない電動送風機および制御基板等を収納する電気部品収納部21と、電気部品収納部21の後端に連設されたハンドル22と、ハンドル22の上部に設けられた操作スイッチ部23と、電気部品収納部21の下部に設けられたバッテリ装着部24と、電気部品収納部21の上部前端から前方へ突出するように連設されたパイプ部25とを備える。なお、パイプ部25の下端縁および電気部品収納部21の前端縁に沿って集塵装置30が着脱可能に装着される。なお、装着された集塵装置30の中心軸はパイプ部25の中心軸と平行となる。また、本実施形態において、集塵装置30とパイプ部25の位置関係は、パイプ部25が上方、集塵装置装着部26が下方となっているが、パイプ部25が下方、集塵装置装着部26が上方となる位置関係の構造であってもよい。
【0014】
集塵装置30は、集塵容器部31と、集塵容器部31に着脱可能に装着されるフィルタ部32とを備える。
集塵容器部31は、その内部にダストを含む空気を導入する導入路31aが周囲部に設けられている。
【0015】
この電気掃除機1によれば、操作スイッチ部23を操作して電動送風機を駆動することにより、吸込口体60の後述する吸込口62b(図3参照)から内部に床面上のダストが空気と共に吸い込まれ、ダストを含む空気が延長管50を介して掃除機本体10の駆動装置20のパイプ部25内に流入する。パイプ部25内に流入したダストを含む空気は、集塵装置30の導入路31aから集塵容器部31内に流入し、比較的大きな第1のダストは空気中から遠心分離されて集塵容器部31内に溜まる。
【0016】
第1のダストよりも小さい第2のダストを含む空気は、集塵容器部31内からフィルタ部32内へ流入して捕捉される。フィルタ部32を通過してダストが除去された空気は、駆動装置20の電気部品収納部21内に流入し、電気部品収納部21の右側面に設けられた排気口21aから外部に排出される。
なお、電気掃除機1において、駆動装置20から吸込口体60までの間には電気配線系が設けられており、運転中はバッテリ40の電力を吸込口体60の後述する駆動モータ89に供給して駆動し、駆動モータ89によって回転ブラシ80が回転する(図3と4参照)。なお、これについて詳しくは後述する。
【0017】
〈吸込口体の構成について〉
図2は第1実施形態の吸込口体の左側前方から視た斜視図であり、図3は第1実施形態の吸込口体の底部側から視た斜視図である。また、図4は第1実施形態の吸込口体の上ケース部の後部カバーを取り外した状態の平面図であり、図5は第1実施形態の吸込口体の部分的な左側断面図であり、図6図4の部分的なI-I線矢視断面図である。なお、図2~6において、使用時(清掃時)における使用者から視た吸込口体の前後左右上下方向を矢印にて示しており、以下の吸込口体の説明ではこの前後左右上下方向に基づく。
【0018】
図1~6に示すように、吸込口体60は、底部62aに吸込口62bを有し床面上を前後方向に移動する吸込口本体61と、吸込口本体61の吸込口よりも後部に設けられた接続部90と、吸込口と接続部90とを連通させるように吸込口本体61内に設けられた筒形連通部70(図4等参照)と、左右方向の回転軸心を中心として回転可能に吸込口本体61内の吸込口62bの近傍位置に設けられた回転ブラシ80と、床面上のダストを筒形連通部70側へ掻き込む方向に回転ブラシ80を回転させる駆動モータ89(図4参照)とを備える。
【0019】
図1~6に示すように、吸込口本体61は、底部62aを構成する下ケース部62と、下ケース部62上に設けられた上ケース部65とを有する。
下ケース部62は、左右方向に延びる前部62cと、前部62cにおける後端の左右方向の中間部から後方に突出する後部62dとを有し、前部62cと後部62dにて底部62aを構成している(図3~5参照)。
【0020】
下ケース部62の前部62cにおいて、略前半部分には左右方向に延びる吸込口62bが設けられると共に、略後半部分は駆動モータ89や筒形連通部70等が載置される載置部となっている(図3~4参照)。
また、前部62cの前端にはバンパー62caが設けられると共に、前部62cの左右端縁にはバンパー62caから続く左側壁62cbと右側壁62ccが設けられており、左側壁62cbと右側壁62ccの内側には回転ブラシ80の左右端部を支持する左右のリブ62ce、62cfが設けられている(図6参照)。
【0021】
また、下ケース部62の底部62aの下面において、吸込口62bの左右側には一対の起毛布62cgが設けられると共に、吸込口62bの後方近傍位置には起毛ブラシ62chが設けられている。これにより、床面清掃時に吸込口62bの左右側と後側が一対の起毛布62cgと起毛ブラシ62chによって囲まれ、それによって吸込口62bの前方の吸引力を高めるようにしている。
また、下ケース部62の後部62dの下面側には、左右方向の軸心を中心として回転可能に後部ローラ62daが設けられている(図3参照)。
【0022】
上ケース部65は、回転ブラシ80の周囲上部を覆うように下ケース部62の前部62cの前半部分上に設けられた回転ブラシカバー66と、駆動モータ89や筒形連通部70等を覆うように下ケース部62の前部62cの後半部分上に設けられた後部カバー67とを有する。なお、回転ブラシカバー66と後部カバー67とはそれぞれ個別の部材となっている。
【0023】
図2図4~6に示すように、上ケース部65において、回転ブラシカバー66は、回転ブラシ80の上方に位置する湾曲板部66aと、湾曲板部66aの左端部に設けられた左側壁66bとを有し、湾曲板部66aの前端縁66aaがバンパー62caの内側に結合している。なお、吸込口本体61の右側壁全体は下ケース部62の右側壁62ccによって形成されている。
【0024】
回転ブラシカバー66の湾曲板部66aは底部62aに対して垂直方向の後端縁66abを有し、後端縁66abの端部は後方へ折れ曲がった折り曲げ部66axを有している(図5参照)。
また、湾曲板部66aは、後端縁66abよりも前方部分に円弧部66ayを有すると共に、円弧部分66ayにおける後端縁66ab側には左右方向に所定間隔で設けられた複数の係止孔66azを有している(図4参照)。
【0025】
後部カバー67は、後述の筒形連通部70および後述の接続部90の関節部91を収納するために左右方向の中間部67aが盛り上がっており、その中間部67aは後方に開放している。また、後部カバー67の前端縁には、回転ブラシカバー66の複数の係止孔66azに係止する複数の係止爪67bが設けられている(図5参照)。
【0026】
筒形連通部70は、吸込口本体61の回転ブラシカバー66の内部である回転ブラシ収納室66Rおよび吸込口62bと、接続部90の関節部91とを連通連結する部分である。筒形連通部70は、吸込口62b側の左右方向に長い前方開口部70aと、接続部90側の円筒形の後方開口部70bとを有する(図5参照)。なお、筒形連通部70についてさらに詳しくは後述する。
【0027】
図1~5に示すように、接続部90は、前後方向の第1軸心P1を中心として回動可能に筒形連通部70の後方開口部70bと接続する前記関節部91と、左右方向の第2軸心P2を中心として回動可能に関節部91と接続するパイプ部92とを有する。
【0028】
関節部91は、第1部品91aと第2部品91bとを有してなる。
第1部品91aは、第1軸心P1を中心として回動可能に筒形連通部70の後方開口部70bに嵌り込む円筒部91aaを前側に有すると共に、パイプ部92の基端部92aの下部分を摺動可能に支持する凹曲摺動面部91abを後側に有する。
第2部品91bは、第1部品91aの円筒部91aaの後端と結合すると共に、パイプ部92の基端部92aの上側の凸曲面部92aaを摺動可能に押さえる凹曲摺動面部91baを有する。
【0029】
接続部90において、筒形連通部70に対して関節部91は第1軸心P1を中心として左右方向に約180°の範囲で回動可能であり、関節部91に対してパイプ部92は第2軸心P2を中心として前後方向に約90°の範囲(略水平状から略垂直状となる範囲)で回動可能である。
【0030】
図5に示すように、筒形連通部70は、前側部材71と後側部材75との2部品からなる。
前側部材71と後側部材75とを複数のネジにて組み立ててなる筒形連通部70において、前側部材71は前側に配置され、後側部材75は後側に配置される。
【0031】
後側部材75は、左右方向に延びる部材であり、その左右中間部には円筒形の後方開口部70bが設けられている。後方開口部70bの軸心は第2軸心P上に配置される。
また、後側部材75は、後方へ凹状に窪んだ左右方向に延びる凹窪部75aと、凹窪部75aの左右方向の中間部上に連設された半円筒部75bとを、後方開口部70bの前側に有している。凹窪部75aの左右方向中間部は後方開口部70bの下部に連設され、半円筒部75bは後方開口部70bの上部に連設されている。
【0032】
前側部材71は、前方から後側部材75の凹窪部75aの前端上縁側を覆う板状部材である。
前側部材71と後側部材75とが組み合わされてなる筒形連通部70において、前方開口部70aは、回転ブラシカバー66の後端縁66abと結合する上縁部70ax(前側部材71の下縁部)と、下ケース部62の底部62aと結合する下縁部75x(後側部材75の下縁部75x)とを有する(図5参照)。
【0033】
また、筒形連通部70において、前方開口部70aは左右方向に延びると共に、後方開口部70bは円筒形であって左右方向の中間位置にかつ底部62aからの前方開口部70aの高さ位置よりも高い位置に設けられている(図5参照)。
【0034】
図5に示すように、本実施形態の吸込口体60によれば、回転ブラシカバー66の後端縁66abと、筒形連通部70の前方開口部70aの上縁部70axとの結合部は、底部62aからの回転ブラシ80の回転軸心Qの高さ位置と略等しい高さ位置に設けられている。本実施形態の場合、結合部を構成する回転ブラシカバー66の後端縁66abの折り曲げ部66axの下端面が、底部62aからの回転ブラシ80の回転軸心Qの高さ位置と略等しい高さ位置に設けられている。
【0035】
これにより、回転する回転ブラシ80の各ブラシ80bが、回転ブラシカバー66の後端縁66abの折り曲げ部66axの下端面に摺接し、各ブラシ80bに付着したダストを掻き取ることができる(図5参照)。より詳しくは、回転する回転ブラシ80の後部側の周囲(周囲後部)が、回転ブラシカバー66の後端縁66abの折り曲げ部66axの下端面に摺接し、回転ブラシ80の周囲部に付着したダストを掻き取ることができる。なお、この点について詳しくは後述する。
【0036】
〈回転ブラシおよびその周辺の構成について〉
図7は第1実施形態の吸込口体における回転ブラシの軸体の三面図であり、図8は第1実施形態の吸込口体における回転ブラシの横断面図である。なお、図7において、左側の図は回転ブラシの軸体の右側面図であり、右側の図は回転ブラシの軸体の左側面図であり、それらの間の図は回転ブラシの軸体の平面図である。また、図7では、図1図6に示す本実施形態の吸込口本体61に回転ブラシ80が取り付けられた状態において、左右方向を定義している。
図3図5~8に示すように、回転ブラシ80は、吸込口本体61内における吸込口62bの近傍に回転可能に取り付けられる軸体81と、軸体81の周囲部に設けられた清掃材とを備える。なお、図3と6では、回転ブラシ80の清掃材を図示省略している。
【0037】
図5~7に示すように、軸体81は、長手方向に延びる螺旋状の蟻溝81asを周囲部に複数有する略円筒形の軸本体81aと、軸本体81aの両端の開口部に嵌合される一対のキャップ体81b、81cと、軸本体81aの軸心(第3軸心P3)上に配置されるように一対のキャップ体81b、81cに固定された一対のピン形芯部81dとを有する。
また、軸本体81aの周囲部には蟻溝形成用の複数の隆起部が設けられ、各隆起部に蟻溝81asが形成されている。本実施形態の場合、軸本体81aの第3軸心P3を中心として中心角度45°毎に蟻溝81as(合計8本の蟻溝81as)が設けられている。なお、本実施形態の蟻溝(断面を見た際、表面側(開口部側)が狭くて奥側(奥部側)が広い溝)は、逆T字形状(図5参照)となっているが、八の字形状など他の形状であってもよい。
【0038】
一対のキャップ体81b、81cは、軸本体81aの両端を覆うように嵌め込まれて固着されると共に、それらの中心には前記一対の芯部81dが固着されている(図6参照)。
また、左側のキャップ体81bは、芯部81dの周囲に設けられたプーリ81baと一体状に連設されている。
一対の芯部81dにおいて、一対のキャップ体81b、81cよりも外側位置には、ベアリング81eを介して軸受け部材81f、81gが設けられている。
【0039】
吸込口本体61内において、吸込口62b側のスペースと回転ブラシ80のプーリ81ba側のスペースは仕切り壁66baによって区画されている。これにより、吸込口62b側のスペースに吸引されるダストがプーリ81ba側のスペースに侵入しにくくなっている。
また、回転ブラシ80のプーリ81baと、駆動モータ89の出力軸89aに固着された別のプーリ86とは、タイミングベルト87によって連結されており、プーリ・ベルト機構Mによって駆動モータ89の動力が回転ブラシ80に伝達されるようになっている。なお、プーリ・ベルト機構Mの代わりに複数のギアを用いて駆動モータ89の動力が回転ブラシ80に伝達されるようにしてもよい。
【0040】
吸込口本体61における吸込口62bの左側には、回転ブラシ80の左側の軸受け部81fが嵌め込まれて保持されるための前記リブ62ceとリブ65ceが設けられている。また、吸込口本体61における吸込口62bの右側には、回転ブラシ80の右側の軸受け部材81gが嵌め込まれて保持されるための前記リブ62cfが設けられている。これにより、プーリ・ベルト機構Mのプーリ81baが回転することにより、左側の芯部81d、左側のキャップ体81b、軸本体81a、右側のキャップ体81cおよび右側の芯部81dが回転する。このとき、左右の軸受け部材81f、81gは回転しない。
【0041】
図5図8に示すように、本実施形態の場合、回転ブラシ80において、清掃材は、4本のソフトブラシ85aと、2本のハードブラシ85bと、2本のゴムブレード85cとからなる。なお、図5では、ソフトブラシ85aとハードブラシ85bの断面形状を簡略化して図示している。
【0042】
4本のソフトブラシ85aは、軸体81の第3軸心P3を中心として周方向に中心角度90°毎にかつ第3軸心P3方向に延びるようにそれぞれ設けられている。
2本のハードブラシ85bは、軸体81の第3軸心P3を中心として周方向に中心角度180°毎にかつ第3軸心P3方向に延びるようにそれぞれ設けられている。
2本のゴムブレード85cは、軸体81の第3軸心P3を中心として周方向に中心角度180°毎にかつ第3軸心P3方向に延びるようにそれぞれ設けられている。
したがって、この回転ブラシ80では、1つのソフトブラシ85aを基準として、回転ブラシ80の回転方向(矢印A方向)またはその逆方向に、ソフトブラシ85a、ハードブラシ85b、ソフトブラシ85a、ゴムブレード85c、ソフトブラシ85a、ハードブラシ85b、ソフトブラシ85aおよびゴムブレード85cがこの順で配置されている。
【0043】
図8に示すように、ソフトブラシ85aは、軸体81の蟻溝81asに取り付けられる細長い基台シート部85aaと、基台シート部85aaに設けられた断面が円型以外である異型捲縮繊維からなるブラシ毛85abとを有してなる。
断面が円型以外である(異型である)とは、角部を有する断面であればよく、例えば、星型、歯車型、Y字型、十字型、三角形状などがある。また、捲縮繊維とは、繊維それぞれが縮んでいる状態にある繊維であり、樹脂繊維であれば、熱を加えることで、捲縮繊維とすることができある。本実施形態では、断面が円型以外の異型である捲縮繊維(異型捲縮繊維)として、「超異型捲縮繊維」を用いているが、これ以外の異型捲縮繊維を用いてもよい。なお、「超異型捲縮繊維」は、例えば、帝人フロンティア株式会社製の「ソロテックス(登録商標)オクタ(登録商標)」が挙げられ、これは中空構造の8フィン型断面形状および捲縮性を有している。
【0044】
ソフトブラシ85aのブラシ毛85abは、複雑に捩れた異型捲縮繊維が互いに絡み合うことにより、嵩高でかつ軽量な立体網目状の異型捲縮繊維群として形成されている。そのため、ブラシ毛85abは、隣のハードブラシ85bおよびゴムブレード85cに接触乃至近接する程度に周方向へ広がっている(図8参照)。
【0045】
また、ソフトブラシ85aの回転半径方向の蟻溝81asからの高さH1は、回転ブラシ80が矢印A方向に回転したときに、ブラシ毛85abの先端部が吸込口本体61内の回転ブラシカバー66の後端縁66abの折り曲げ部66axに摺接する程度の高さとされる。また、図7と8に示すように、軸体81の両端に設けられたキャップ体81b、81cによってソフトブラシ85aのブラシ毛85abの両端が押さえられることにより、ブラシ毛85abの両端先端部はキャップ体81b、81c側にはみ出ている。これにより、キャップ体81b、81cに毛髪などの繊維状の塵埃が巻付きにくくなっている。
【0046】
ハードブラシ85bは、軸体81の蟻溝81asに取り付けられる細長い基台シート部85baと、基台シート部85baに設けられた第1ハードブラシ部85bbおよび第2ハードブラシ部85bcとを有してなる。
第1ハードブラシ部85bbおよび第2ハードブラシ部85bcは、ソフトブラシ85aのブラシ毛85abの剛性よりも高い剛性を有するストレート状繊維からなる。
【0047】
さらに、第2ハードブラシ部85bcは、第1ハードブラシ部85bbを構成する第1のストレート状繊維よりも剛性が高い第2のストレート状繊維にて構成されており、第1ハードブラシ部85bbに沿って周方向に隣接している。このとき、第2ハードブラシ部85bcは、第1ハードブラシ部85bbよりも先に被清掃面に近接または接触する位置、つまり回転方向側(矢印A方向側)の位置に設けられている(図8参照)。なお、本実施形態では、ハードブラシ85b中の第2ハードブラシ部85bcの体積比率は10%程度とされているが、50%程度まで増やしてもよい。
【0048】
また、ハードブラシ85bの回転半径方向の蟻溝81asからの高さH2、すなわち、第1ハードブラシ部85bbおよび第2ハードブラシ部85bcの回転半径方向の蟻溝81asからの高さH2は、ソフトブラシ85aの前記高さH1よりも低く設定されている。これにより、2つのソフトブラシ85a間におけるハードブラシ85bの先端側にスペースが形成されることとなる。
【0049】
ゴムブレード85cは、軸体81の蟻溝81asに取り付けられる基端部85caと、回転半径方向の先端部85cbとを有する。
このゴムブレード85cの回転半径方向の蟻溝81asからの高さH3は、ソフトブラシ85aの前記高さH1よりも低く設定されている。これにより、ゴムブレード85cの周囲にスペースが形成されることとなる。なお、本実施形態では、ゴムブレード85cの高さH3がハードブラシ85bの高さH2よりも低く設定されているが、同じ程度でもよい。
【0050】
このように構成された回転ブラシ80によれば、異型捲縮繊維が複雑に絡み合って形成された立体網目状の異型捲縮繊維群(ソフトブラシ85a)にゴミが引っかかりやすくなるため、絨毯表面の繊維中に入り込んだ綿状ゴミであっても効果的に除去することができる。また、立体網目状の異型捲縮繊維群からなるソフトブラシ85aは、ストレート状繊維からなるブラシと比べて、フローリング磨き効果を得やすく、回転ブラシ80に巻き付いた髪の毛やペットの毛といった繊維状ダストの除去が容易となり、吸込口62b周辺におけるシール性が高まって吸込口体60内の深部吸塵性能が向上する。なお、ここでいう深部とは、例えば、フローリングの板と板の隙間や畳と畳の間の隙間などいう。
【0051】
また、ソフトブラシ85a間のハードブラシ85bの高さを低くすることにより適度なスペースが形成されるため、このスペースに絨毯上の粒状ゴミが入り込んで吸込口へ送られやすくなる。
また、ソフトブラシ85a間にゴムブレード85cを設けることによって、吸込口62b周辺のシール性の調整が可能となり、吸込口体60の前部吸塵性能と深部吸塵性能とのバランスをとることができる。なお、吸込口体60の前部吸塵性能と深部吸塵性能とはトレードオフの関係にある。回転ブラシ80によるシール性が高くなると、吸込口体60の前部からの吸塵力、すなわち前部吸塵性能が悪くなり、深部吸塵性能が向上するが、回転ブラシ80によるシール性が低いと、吸込口体60の前部からの吸塵力、すなわち前部吸塵性能が良くなり、深部吸塵性能が悪くなる。
【0052】
また、回転する回転ブラシ80の周囲後部に位置するソフトブラシ85aの先端部が、回転ブラシカバー66の後端縁66abの折り曲げ部66axの下端面に摺接するため、ソフトブラシ85aに付着したダストを掻き取ることができる(図5参照)。このとき、ソフトブラシ85a内に入り込んで除去しにくいダストであっても、ソフトブラシ85aが折り曲げ部66axの下端面に摺接したときに立体網目構造の網の目が広がってダストが吸引除去される。さらに、床面上のダストを掻いたソフトブラシ85aが最も後方位置に移動したときに折り曲げ部66axと接触するため、遠心力と、吸込口62bから前方開口部70aへ向かう気流と、折り曲げ部66axとの接触による叩き効果とが合わさった相乗効果により、ダストがソフトブラシ85aから効果的に除去される。
【0053】
なお、回転ブラシ80の回転時、ハードブラシ85bの先端部も回転ブラシカバー66の後端縁66abの折り曲げ部66axの下端面に摺接してもよい。また、各ソフトブラシ85aの先端部および各ハードブラシ85bの先端部は、回転ブラシカバー66の内面やバンパー62caの内面に軽く摺接してもよく、あるいは全く接触しなくてもよい。なお、ゴムブレード85cは吸込口本体61の構成部品に全く接触しないように高さH3が低く設定されている。
【0054】
(第2実施形態)
図9は第2実施形態の吸込口体における回転ブラシの横断面図である。なお、図9において、図8中の要素と同様の要素には同一の符号を付している。
図8に示すように、第2実施形態の回転ブラシ180は、第1実施形態の回転ブラシ80のゴムブレード85cの代わりに別のハードブラシ185cを設けており、その他の構成は概ね第1実施形態と同様である。
【0055】
第2実施形態において、別のハードブラシ185cは、第1実施形態のハードブラシ85bの第1ハードブラシ部85bb用の第1の繊維または第2ハードブラシ部85bc用の第2の繊維にて構成されている。
また、別のハードブラシ185cの回転半径方向の蟻溝81asからの高さH4は、ソフトブラシ85aの高さH1よりも低く設定されており、ハードブラシ85bの高さH2と同程度に設定されている。
第2実施形態の回転ブラシ180も、第1実施形態の回転ブラシ80と同様に、吸込口62b周辺のシール性の調整が可能となり、吸込口体60の前部吸塵性能と深部吸塵性能とのバランスをとることができる(図5参照)。
【0056】
(第3実施形態)
第1および第2実施形態(図8と9参照)では、軸体81の周囲に4本のソフトブラシ85aを周方向に等間隔(中心角度90°)で設けた場合を例示したが、軸体81の周囲に3本のソフトブラシ85aを周方向に等間隔(中心角度120°)で設けてもよい。この場合、2本の隣接するソフトブラシ間に、ハードブラシ85bを設けてもよく、あるいは別のハードブラシ185cを設けてもよい。
この構成では、2本の隣接するソフトブラシ85aの間隔が広くなるため、ハードブラシ85bの先端側または別のハードブラシ185cの先端側のスペースを広くすることができ、このようにしても吸込口62b周辺のシール性の調整が可能となり、吸込口体60の前部吸塵性能と深部吸塵性能とのバランスをとることができる。
【0057】
(他の実施形態)
第1~3実施形態では、スティック型の電気掃除機1を例示したが、第1~3実施形態の吸込口体用の回転ブラシは、キャニスター型電気掃除機またはアップライト型電気掃除機の吸込口体にも適用可能である。
【0058】
(まとめ)
以上に述べたように、
(1)本発明による吸込口体用の回転ブラシは、吸込口本体内における吸込口の近傍に回転可能に取り付けられる軸体と、前記軸体の周囲部に設けられた清掃材とを備え、
前記清掃材は、前記軸体の軸心を中心として周方向に所定の中心角度でかつ前記軸心方向に延びるように設けられた複数のソフトブラシと、前記複数のソフトブラシの間に設けられた前記軸心方向に延びる1つ以上のハードブラシとを含み、
前記複数のソフトブラシは、断面が円型以外である捲縮繊維を含んで構成されており、
前記1つ以上のハードブラシは、前記複数のソフトブラシよりも剛性が高いストレート状繊維を含んで構成されており、
前記1つ以上のハードブラシの回転半径方向の高さが、前記複数のソフトブラシの回転半径方向の高さよりも低い、ことを特徴とする。
【0059】
この構成によれば、次の効果(i)~(v)を得ることができる。
(i)回転ブラシの回転半径方向の最も外側に位置する複数のソフトブラシの先端部が被清掃面(絨毯、フローリング等)に強く摺接することができる。そのため、特に、絨毯表面上のダストを掻き取る効果、特に、ストレート状繊維からなるブラシでは除去しにくい絨毯表面側の繊維中に入り込んだ綿状ゴミを、断面が円型以外である捲縮繊維(異型捲縮繊維)を含んで構成された複数のソフトブラシによって絡め取る効果を得ることができる。つまり、異型捲縮繊維は円形横断面ではなくかつストレートではない複雑に捩れた繊維であり、複雑に絡み合って形成された立体網目状の異型捲縮繊維群(ソフトブラシ)に綿状ゴミが引っかかりやすくなるため、絨毯表面の繊維中に入り込んだ綿状ゴミであっても効果的に除去することができる。なお、特許文献1の回転ブラシを備えた吸込口体を用いて絨毯を清掃する場合、長パイルにて綿状ゴミを絨毯表面の繊維中に押し込んでしまう場合がある。
(ii)フローリングの表面に対しても複数のソフトブラシの立体網目状の異型捲縮繊維群が接触するため、ストレート状繊維からなるブラシと比べて接触面積が増大する。そのため、フローリング表面に付着した汚れであってもきれいに除去するフローリング磨き効果を得やすい。
(iii)複数のソフトブラシを構成する立体網目状の異型捲縮繊維群は回転ブラシの回転半径方向の最も外側に位置するため、髪の毛やペットの毛といった繊維状ダストは異型捲縮繊維群の内部(根本側)まで入り込んで巻き付くことが生じにくくなる。したがって、回転ブラシに繊維状ダストが巻き付いたとしても、巻き付いた繊維状ダストを解して除去することが容易となり、メンテナンスの手間が軽減される。なお、特許文献1の回転ブラシでは、長パイルおよび短パイルはいずれも、回転軸心に対して放射状のストレート状繊維からなるため、髪の毛やペットの毛といった繊維状ダストがストレート状繊維の根本側まで入り込んで固く巻き付きやすい。そのため、メンテナンス時に回転ブラシに固く巻き付いた繊維状ダストを解しにくく除去に手間を要する。
(iv)複数のソフトブラシは立体網目状の異型捲縮繊維群にて構成されるため、各ソフトブラシの密度はストレート状繊維からなるブラシよりも高密度化しており、この結果、吸込口周辺におけるシール性が高まり、吸込口体内の深部吸塵性能が向上する。
(v)複数の高密度のソフトブラシ間に、複数のソフトブラシよりも回転半径方向の高さを低くした(毛が短い)1つ以上のハードブラシを設けることにより、複数のソフトブラシ間に適度なスペースが確保されるため、このスペースに絨毯上の粒状ゴミが入り込んで吸込口へ送られやすくなる。仮に清掃材を高密度のソフトブラシのみで構成すると圧力が増し吸込口体が床面に吸いつけられるため操作性が低下し、また、絨毯上の粒状ゴミはソフトブラシにて押しつぶされて吸込口内へ送られにくくなるという不具合が発生するが、このような不具合を本構成により抑制することができる。また、また、1つ以上のハードブラシによって絨毯表面側の繊維中に入り込んだ粒状ゴミを掻き出すこともできる。
【0060】
また、本発明による吸込口体用の回転ブラシは、次のように構成されてもよく、それらが適宜組み合わされてもよい。
(2)前記清掃材は、前記複数のソフトブラシの間にかつ前記1つ以上のハードブラシとは異なる位置に設けられた1つ以上のゴムブレードをさらに有し、
前記1つ以上のゴムブレードの回転半径方向の高さが、前記複数のソフトブラシの回転半径方向の高さよりも低くてもよい。
この構成によれば、複数の高密度のソフトブラシ間に1つ以上のゴムブレードを設けることによって、吸込口周辺のシール性の調整が可能となり、吸込口体の前部吸塵性能と深部吸塵性能とのバランスをとることができる。これにより、特に、壁際に吸込口体の前端を押し付けてゴミを吸引する十分な前部吸塵性能を確保することができると共に、絨毯表面への吸込口体の吸い付きによる操作性の低下を抑えることができる。
また、1つ以上のゴムブレードによって絨毯表面のゴミを叩き出す叩き出し効果を得ることができる。
【0061】
(3)前記清掃材は、前記複数のソフトブラシの間にかつ前記1つ以上のハードブラシとは異なる位置に設けられた1つ以上の別のハードブラシをさらに有し、
前記1つ以上の別のハードブラシの回転半径方向の高さが、前記複数のソフトブラシの回転半径方向の高さよりも低くてもよい。
この構成によれば、前記(2)と同様に、吸込口周辺のシール性の調整が可能となり、吸込口体の前部吸塵性能と深部吸塵性能とのバランスをとることができる。
【0062】
(4)前記1つ以上のハードブラシが、前記軸心方向に延びる第1ハードブラシ部と、前記第1ハードブラシ部に沿って周方向に隣接する第2ハードブラシ部とをそれぞれ有してなり、
前記1つ以上のハードブラシにおいて、前記第2ハードブラシ部が、前記第1ハードブラシ部を構成する第1の繊維よりも剛性の高い第2の繊維を含んで構成されてもよい。
この構成によれば、ハードブラシを剛性が異なる2種類の繊維(第1および第2の繊維)から構成することができる。
【0063】
(5)本発明による吸込口体は、底部に吸込口を有する吸込口本体と、吸込口本体内における吸込口の近傍に回転可能に設けられた前記回転ブラシとを備える。
この場合、前記軸体が前後方向に移動するときに前記回転ブラシの周囲下部が後方へ向かって移動する方向に前記回転ブラシが回転して、前記1つ以上のハードブラシにおける前記第2ハードブラシ部が前記第1ハードブラシ部よりも先に被清掃面に近接または接触してもよい。
この構成によれば、ハードブラシによるゴミ掻き出しを剛性が高い方の第2ハードブラシ部から始めて第1ハードブラシ部に移行することができるため、高いゴミ掻き出し性能を得ることができる。
【0064】
本発明の好ましい態様には、上述した複数の態様のうちの何れかを組み合わせたものも含まれる。
前述した実施の形態の他にも、本発明について種々の変形例があり得る。それらの変形例は、本発明の範囲に属さないと解されるべきものではない。本発明には、請求の範囲と均等の意味および前記範囲内でのすべての変形とが含まれるべきである。
【符号の説明】
【0065】
1:電気掃除機、 10:掃除機本体、 20:駆動装置、 21:電気部品収納部、 22:ハンドル、 23:操作スイッチ部、 24:バッテリ装着部、 25:パイプ部、 30:集塵装置、 31:集塵容器部、 31a:導入路、 32:フィルタ部、 40:バッテリ、 50:延長管、 60:吸込口体、 61:吸込口本体、 62:下ケース部、 62a:底部、 62b:吸込口、 62c:前部、 62ca:バンパー、 62cb:左側壁、 62cc:右側壁、 62ce、62cf:リブ、 62cg:起毛布、 62ch:起毛ブラシ、 62d:後部、 62da:後部ローラ、 65:上ケース部、 65ce:リブ、 66、166、266:回転ブラシカバー、 66a:湾曲板部、 66aa:前端縁、 66ab、166ab、266ab:後端縁、 66ax、166ax、266ax:折り曲げ部、 66ay:円弧部、 66az:係止孔、 66b:左側壁、 66ba:仕切り壁、 66R:回転ブラシ収納室、 67:後部カバー、 67a:中間部、 67b:係止爪、 70:筒形連通部、 70a:前方開口部、 70ax:上縁部、 70b:後方開口部、 71:前側部材、 75:後側部材、 75a:凹窪部、 75b:半円筒部、 75x:下縁部、 80、180:回転ブラシ、 81:軸体、 81a:軸本体、 81as:蟻溝、 81b、81c:キャップ体、 81ba、86:プーリ、 81d:芯部、 81e:ベアリング、 81f、81g:軸受け部材、 85:清掃材、 85a:ソフトブラシ、 85aa:基台シート部、 85ab:ブラシ毛、 85b:ハードブラシ、 85ba:基台シート部、 85bb:第1ハードブラシ部、 85bc:第2ハードブラシ部、 85c:ゴムブレード、 85ca:基端部、 85cb:先端部、 87:タイミングベルト、 89:駆動モータ、 89a:出力軸、 90:接続部、 91:関節部、 91a:第1部品、 91aa:円筒部、 91ab:凹曲摺動面部、 91b:第2部品、 91ba:凹曲摺動面部、 92:パイプ部、 92a:基端部、 92aa:凸曲面部、 185c:別のハードブラシ、 185ca:基台シート部、 185cb:ブラシ毛、 H1、H2、H3:高さ、 M:プーリ・ベルト機構、 N:ネジ、 P1:第1軸心、 P2:第2軸心、 P3:第3軸心
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9