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特開2022-177604自走式降雪機及び自走式降雪機の電力監視システム
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2022177604
(43)【公開日】2022-12-01
(54)【発明の名称】自走式降雪機及び自走式降雪機の電力監視システム
(51)【国際特許分類】
   F25C 3/04 20060101AFI20221124BHJP
   B60P 3/00 20060101ALI20221124BHJP
   B60K 1/04 20190101ALI20221124BHJP
   H02J 7/00 20060101ALI20221124BHJP
   B60L 15/20 20060101ALI20221124BHJP
   B60L 50/60 20190101ALI20221124BHJP
   B60L 53/14 20190101ALI20221124BHJP
   B60L 58/10 20190101ALI20221124BHJP
   B60L 1/00 20060101ALI20221124BHJP
【FI】
F25C3/04
B60P3/00 Z
B60K1/04 Z
H02J7/00 P
B60L15/20 J
B60L50/60
B60L53/14
B60L58/10
B60L1/00 L
【審査請求】未請求
【請求項の数】8
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2021083987
(22)【出願日】2021-05-18
(71)【出願人】
【識別番号】521214089
【氏名又は名称】スノーソリューションズ株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100091443
【弁理士】
【氏名又は名称】西浦 ▲嗣▼晴
(74)【代理人】
【識別番号】100130432
【弁理士】
【氏名又は名称】出山 匡
(74)【代理人】
【識別番号】100130720
【弁理士】
【氏名又は名称】▲高▼見 良貴
(72)【発明者】
【氏名】大日方 俊之
【テーマコード(参考)】
3D235
5G503
5H125
【Fターム(参考)】
3D235AA16
3D235AA24
3D235BB54
3D235CC12
3D235CC13
3D235CC15
3D235FF12
3D235FF43
3D235FF44
3D235HH08
5G503AA01
5G503BA01
5G503BB01
5G503DA04
5G503FA06
5H125AA20
5H125AC12
5H125AC24
5H125BA00
5H125BB00
5H125BB09
5H125BC21
5H125BC24
5H125CB00
5H125DD02
5H125EE23
(57)【要約】
【課題】排気ガスを出したりすることがなく、またオイルの頻繁な交換を必要とすることがない、自走式降雪機を提供する。
【解決手段】走行装置は電力で動作する電動走行装置3であり、降雪機は電力で動作する電動降雪機5である。電動走行装置3には電力源としての蓄電器7、蓄電器7の充電回路14及び電力切替装置15を備えた電源回路16並びに電力切替装置15に切替指令を与える切替指令発生装置17が搭載されている。電力切替装置15は、切替指令発生装置17から供給先切替指令が入力されると、電動走行装置3が走行する際には蓄電器7から電動走行装置3の走行用駆動源19に電力を供給し、降雪作業を行う際には蓄電器7から電動降雪機5の降雪用駆動源20に電力を供給するように切替動作を実行する。
【選択図】 図4
【特許請求の範囲】
【請求項1】
走行装置に降雪機を搭載してなる自走式降雪機であって、
前記走行装置は電力で動作する電動走行装置であり、
前記降雪機は電力で動作する電動降雪機であり、
前記電動走行装置には電力源としての蓄電器、前記蓄電器の充電回路及び電力切替装置を備えた電源回路並びに前記電力切替装置に切替指令を与える切替指令発生装置が搭載されており、
前記電力切替装置は、前記切替指令発生装置から供給先切替指令が入力されると、前記電動走行装置が走行する際には前記蓄電器から前記電動走行装置の走行用駆動源に電力を供給し、降雪作業を行う際には前記蓄電器から前記電動降雪機の降雪用駆動源に電力を供給するように切替動作を実行するように構成されていることを特徴とする自走式降雪機。
【請求項2】
前記電源回路は、前記電力切替装置を介して商用電源も前記降雪用駆動源の電源として利用できるように構成されており、
前記電力切替装置は、前記電源回路に前記商用電源が接続されているときには、前記切替指令発生装置から降雪用電源切替指令が入力されると、前記降雪用駆動源の電源を前記商用電源から前記蓄電器に切り替えるように構成されている請求項1に記載の自走式降雪機。
【請求項3】
前記降雪用電源切替指令は、前記商用電源から供給される電圧が予め定めた電圧より低下すると前記電源回路に含まれる電圧監視回路から出力される請求項2に記載の自走式降雪機。
【請求項4】
前記電源回路には、前記蓄電器に外部機器を接続するための1以上のコネクタが接続されている請求項1に記載の自走式降雪機。
【請求項5】
前記電動走行装置は、1台以上の電動機を前記走行用駆動源として備えており、
前記電動機の出力軸とギヤ装置との間には、前記蓄電器から前記走行用駆動源に電力の供給が停止されると、前記出力軸の回転を停止状態に保持する電動ブレーキ手段が配置されている請求項1に記載の自走式降雪機。
【請求項6】
前記電動走行装置は、走行手段として無限軌道を備えている請求項1乃至5のいずれか1項に記載の自走式降雪機。
【請求項7】
請求項2に記載の自走式降雪機の電動降雪機を含む複数の電動降雪機が設置されているゲレンデに敷設された商用電源供給網の使用電力を監視する使用電力監視装置を備えて、前記商用電源供給網における使用電力量が契約電力量を超えないようにするための自走式降雪機の電力使用量監視システムであって、
前記降雪用電源切替指令は、前記使用電力監視装置から、前記使用電力量が前記契約電力量に近付いた際に出力されることを特徴とする自走式降雪機の電力使用量監視システム。
【請求項8】
前記使用電力監視装置は、前記使用電力量を前記契約電力量内に留めるように、前記商用電源供給網の電源キュービクルから最も離れた位置にある前記自走式降雪機から前記電源キュービクルに近づく位置にある他の前記自走式降雪機へと順次出力される請求項7に記載の自走式降雪機の電力使用量監視システム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、走行装置に電動降雪機を搭載してなる自走式降雪機及び自走式降雪機の電力監視システムに関するものである。
【背景技術】
【0002】
実開平3-72279号公報(特許文献1)及び特開平6-137730号公報(特許文献2)には、日本で使用されている従来の自走式降雪機が開示されている。従来の日本の自走式降雪機では、ディーゼルエンジンで走行する無限軌道を備えた走行装置に油圧ポンプを利用して動作する降雪機を搭載している。
【0003】
特開2007-182137公報(特許文献3)には電動の雪上車が開示されている。また特開平6-101944号公報(特許文献4)には、散布ホースを電動で動かす氷雪散布装置が開示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】実開平3-72279号公報
【特許文献2】特開平6-137730号公報
【特許文献3】特開2007-182137公報
【特許文献4】特開平6-101944号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
CO2削減や環境保護が叫ばれる昨今の状況では、ディーゼルエンジンを稼働させて排気ガスを排出することになり、また短いサイクルで油圧オイルを交換しなければならない油圧ポンプを用いる従来の自走式降雪機は、社会のニーズに応えることができない。しかしながら従来はこのような社会のニーズに応えられる自走式降雪機は存在しない。
【0006】
本発明の目的は、排気ガスを出したりすることがなく、またオイルの頻繁な交換を必要とすることがない、自走式降雪機を提供することにある。
【0007】
また本発明の他の目的は、使用電力量を契約料の範囲内に抑えることができる自走式降雪器の電力監視システムを提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0008】
本発明は、走行装置に電動降雪機を搭載してなる自走式降雪機を改良の対象とする。本発明では、走行装置は電力で動作する電動走行装置とし、降雪機は電力で動作する電動降雪機とする。そして電動走行装置には電力源としての蓄電器、蓄電器の充電回路及び電力切替装置を備えた電源回路並びに電力切替装置に切替指令を与える切替指令発生装置が搭載されている。その上で、電力切替装置は、切替指令発生装置から供給先切替指令が入力されると、電動走行装置が走行する際には蓄電器から電動走行装置の走行用駆動源に電力を供給し、降雪作業を行う際には蓄電器から電動降雪機の降雪用駆動源に電力を供給するように切替動作を実行する。本発明によれば、従来のように、排気ガスを出したりすることがなく、またオイルの頻繁な交換を必要とすることがないので、社会のニーズに応えることができる。また電動走行装置の走行と電動降雪機の動作を独立して行うように構成したことにより、言い換えれば電動走行装置を移動させながら降雪作業を行えないようにして、蓄電器の容量の低下を防止して、蓄電器を用いた長時間の降雪作業を可能にする。
【0009】
電源回路は、電力切替装置を介して商用電源も降雪用駆動源の電源として利用できるように構成してもよい。この場合、電力切替装置は、電源回路に商用電源が接続されているときには、切替指令発生装置から降雪用電源切替指令が入力されると、降雪用駆動源の電源を商用電源から蓄電器に切り替えるように構成する。このようにすると常に蓄電器を使用して降雪作業をする必要がなく、商用電源が利用可能な場所では、商用電源を利用して降雪作業を実施することができる。なおここで商用電源とは、交流商用電源に限らず、商用交流電源を整流した直流商用電源や太陽光発電の出力電力も含むものである。したがって蓄電器の充電回路は、商用電源が交流の場合には、整流回路を含み、商用電源が直流の場合には、接続回路を含むものである。
【0010】
降雪用電源切替指令は、商用電源から供給される電圧が予め定めた電圧より低下すると電源回路に含まれる電圧監視回路から出力されるように構成することができる。自走式降雪機は一般的に複数台がゲレンデ並んだ状態で使用される。そのため周囲温度が高い場合には、複数台の自走式降雪機の電力使用量が増加することになり、電圧監視回路で監視する電圧も電圧低下が大きくなる。そのため電圧監視回路を電源回路に設ければ、自走式降雪機側で商用電源の電力使用量の増減を間接的に推測することができる。そこで商用電源の電力使用量が電力契約量を超える勢いで増加していることを自走式降雪機側の電圧低下から推測できる状況になったときには、蓄電器による降雪作業に切り替えることができる。その結果迅速に電動降雪機の電源の切換を迅速に行うことが可能になる。
【0011】
電源回路には、蓄電器に外部機器を接続するための1以上のコネクタ(コンセントに相当)が接続されていてもよい。このようなコネクタを設ければ、自走式降雪機の蓄電器を外部機器の電源として利用することができるので、イベント開催時や災害時に臨時の電源として活用することができる。
【0012】
電動走行装置は、1台以上の電動機を走行用駆動源として備えている。この場合、電動機の出力軸とギヤ装置との間には、蓄電器から走行用駆動源に電力の供給が停止されると、出力軸の回転を停止状態に保持する電動ブレーキ手段が配置されているのが好ましい。このような電動ブレーキ手段を設けると、電動送風機による降雪作業を行う際には、かならずブレーキがかかった状態になるので、安全である。
【0013】
電動走行装置は、走行手段として無限軌道を備えていてもよい。いわゆるキャタピラ(商標)またはクローラと呼ばれる無限軌道を電動走行装置が走行手段として備えていれば、斜面は勿論のこと、悪路でも走行できるので、利便性が高い。
【0014】
本発明は、本発明の自走式降雪機の電動降雪機を含む複数の電動降雪機が設置されているゲレンデに敷設された商用電源供給網の使用電力を監視する使用電力監視装置を備えて、前記商用電源供給網における使用電力量が契約電力量を超えないようにするための自走式降雪機の電力使用量監視システムも対象とする。このシステムでは、降雪用電源切替指令は、使用電力監視装置から、使用電力量が契約電力量に近付いた際に出力される。このようにすると、本発明の自走式降雪機を複数台使用する場合でも、契約電力量の範囲内で、複数台の自走式降雪機を最大限活用することができる。
【0015】
この場合、使用電力監視装置は、使用電力量を契約電力量内に留めるように、商用電源供給網の電源キュービクルから最も離れた位置にある自走式降雪機から電源キュービクルに近づく位置にある他の自走式降雪機へと順次出力されるのが好ましい。電圧低下が早い位置にある自走式降雪機から順に蓄電器による降雪動作へと切り替えることができ、使用電力量を契約電力量内に抑えてしかも降雪動作時間を長いものとすることできる。
【図面の簡単な説明】
【0016】
図1】本発明の一実施例に係る自走式降雪機の側面図である。
図2】荷台を上げた状態の自走式降雪機の側面図である。
図3】荷台を上げた状態の自走式降雪機の斜視図である。
図4】本実施の形態の自走式降雪機の電動化を実現した構成を示す図である。
図5】ゲレンデに複数台の自走式降雪機を配置する場合の自走式降雪機の電力使用量監視システムの説明に用いる図である。
【発明を実施するための形態】
【0017】
以下図面を参照して本発明の実施の形態を詳細に説明する。図1乃至図3は、本発明の一実施例に係る自走式降雪機1の側面図、荷台を上げた状態の自走式降雪機1の側面図及び斜視図である。これらの図において、この自走式降雪機1は、雪面を自由に走行し得る走行装置としての電動走行装置3と、この電動走行装置3の荷台31の上に搭載された降雪機としての電動降雪機5とから構成されている。電動走行装置3は、シャーシ32の下にキャタピラ(商標)またはクローラと呼ばれる一対の無限軌道33を走行手段として備えている。図3に示すように、一対の無限軌道33の走行用駆動源としての電動モータ34及び34が、シャーシ32の下に配置されており、電動モータ34及び34に対しては電動ブレーキ手段35及び35が装着されている。電動ブレーキ手段35及び35は、後述する蓄電器からの電力の供給が停止されると、出力軸の回転を停止状態に保持するもので、ディスクブレーキのような構造を有している。このような電動ブレーキ手段35を設けると、電動降雪機による降雪作業を行う際には、必ずブレーキがかかった状態になるので、安全である。
【0018】
電動走行装置3のシャーシ32の上には、複数のリチウムイオン電池等によって構成される蓄電器7と、蓄電器7の充電回路及び電力切替装置を備えた電源回路並びに電力切替装置に切替指令を与える切替指令発生装置が搭載された制御ボックス9と、降雪用駆動源及び走行用駆動源に電力を供給するインバータ・ボックス11が実装されている。制御ボックス9の構成については後述する。
【0019】
電動降雪機5は、電動コンプレッサ51の上に支持機構52を介して搭載されたノズル装置53を備えている。ノズル装置53は、円筒状のダクト53Aを具備しており、ダクト53Aの風上側である内部後端には、ダクト53Aの前部方向に向けて送風するように電動送風機53Bが配置されている。ノズル装置53のダクト53A内には、噴射口から水のみを噴射する一流体ノズルと、同一の噴射口から水及び空気を噴射する周知の構成の二流体ノズルを備えている。これらのノズルに、風下に位置する電動送風機53Bから風を送る。そして電動コンプレッサ51で作られた圧縮空気を前述の二流体ノズルに供給する。支持機構52は、ダクト53Aを電動で傾斜または回動させる機能を有している。
【0020】
図1及び図2には、破線で示してあるが、荷台31と電動走行装置3のシャーシ32との間に荷台31の傾きを調整するように荷台31を傾斜させるリフト装置13が配置されている。なお図3には、リフト装置13は図示していない。荷台31は、シャーシ32の一辺に沿って延びる軸36を中心して所定の角度範囲で回動するようにシャーシ32に装着されている。リフト装置13は、シャーシ32と荷台31との間に配置されて、荷台31を運転席の前方に配置した軸36を中心して所定の角度範囲で回動させる電動シリンダ装置から構成することができる。本実施の形態では、運転席を荷台31の上に設置しているが、運転席をシャーシ32の上に配置し、荷台を運転席の後方に設けるようにしてもよいのは勿論である。
【0021】
このようなリフト装置13を設けると、電動走行装置3がゲレンデの傾斜面に停止した状態で降雪作業を行う場合でも、リフト装置13により荷台31の傾斜を調整することにより、電動降雪機5を簡単に水平状態に近い状態にして使用することができる。したがって降雪作業の開始前の準備時間を短縮することができる。
【0022】
本実施の形態のでは、荷台31をシャーシ32の一辺に沿って延びる軸36を中心して所定の角度範囲で回動する一自由度の電動シリンダ装置によりリフト装置13を構成したが、傾斜しているゲレンデ上で電動走行装置3の停止姿勢を工夫すれば、電動シリンダ装置の動作だけで、荷台の傾斜を調整することができる。この構成では、一自由度を構成する1つの軸を中心として荷台の傾きを調整するので、調整作業が容易である。そしてこの構成では、1つの軸を中心として荷台の傾きを調整するので、調整作業が容易である。なおリフト装置13としては、一自由度のリフト構造(例えば一つの軸を中心に一方向にのみ回動する構造)に限定されず、価格は高くなるが、二自由度(二つの軸を中心にして2方向に回動する構造)または三自由度(三つの軸を中心にして3方向に回動する構造)のリフト構造を採用してもよいのは勿論である。
【0023】
図4は、本実施の形態の自走式降雪機の電動化を実現した構成を示している。電動走行装置3には、電力源としての蓄電器7、蓄電器7の充電回路14、清流器17,電圧監視回路18及び電力切替装置15を備えた電源回路16並びに電力切替装置15に切替指令を与える切替指令発生装置17が搭載された制御ボックス9(図2図3)、降雪用駆動源20及び走行用駆動源19に電力を供給するインバータ回路11A及び11Bが実装されたインバータ・ボックス11が準備されている。
【0024】
電力切替装置15は、切替指令発生装置17から供給先切替指令が入力されると、電動走行装置3が走行する際には蓄電器7から電動走行装置3の走行用駆動源19に電力を供給し、降雪作業を行う際には蓄電器7から電動降雪機5の降雪用駆動源20に電力を供給するように切替動作を実行する。なお本実施の形態では、商用電源ACから電力の供給がある場合には、電力切替装置15は整流器12の出力を降雪用駆動源20に供給する。
【0025】
本実施の形態によれば、従来のように、排気ガスを出したりすることがなく、またオイルの頻繁な交換を必要とすることがないので、社会のニーズに応えることができる。また電動走行装置3の走行と電動降雪機5の動作を独立して行うように構成したことにより、言い換えれば電動走行装置3を移動させながら降雪作業を行えないようにして、蓄電器7の容量の低下を防止して、蓄電器7を用いた長時間の降雪作業を可能にする。
【0026】
本実施の形態では、電源回路16は、電力切替装置15を介して商用電源ACも降雪用駆動源20の電源として利用できるように構成してある。この場合、電力切替装置15は、電源回路16に電源コンセントPC経由で商用電源ACが接続されているときには、切替指令発生装置17から降雪用電源切替指令が入力されると、降雪用駆動源20の電源を商用電源ACからの交流電力を直流に変換する整流器12から蓄電器7に切り替えるように構成されている。このようにすると常に蓄電器7を使用して降雪作業をする必要がなく、商用電源ACが利用可能な場所では、商用電源ACを利用して降雪作業を実施することができる。なおここで商用電源ACとは、交流商用電源に限らず、商用交流電源を整流した直流商用電源や太陽光発電の出力電力も含むものである。したがって蓄電器7の充電回路14は、商用電源が交流の場合には、整流回路を含み、商用電源が直流の場合には、接続回路を含むものである。
【0027】
図5に示すように、自走式降雪機1は一般的に複数台がゲレンデ並んだ状態で使用される。そのため周囲温度が高い場合には、複数台の自走式降雪機1の電力使用量が増加することになる。電圧監視回路18を電源回路16に設ければ、自走式降雪機1側で商用電源ACの電力使用量の増減を間接的に推測することができる。電力使用量が増加すると、電圧監視回路18で監視する電圧も電圧低下が大きくなる。そこで降雪用電源切替指令は、商用電源ACから供給される電圧が予め定めた電圧より低下すると電源回路16に含まれる電圧監視回路18から出力される。そのため商用電源ACの電力使用量が電力契約量を超える勢いで増加していることを自走式降雪機1側の電圧低下から推測できる状況になったときには、蓄電器7による降雪作業に切り替えることができる。その結果迅速に電動降雪機5の電源の切換を迅速に行うことが可能になる。
【0028】
電源回路16には、蓄電器7に外部機器を接続するための1以上のコネクタ21が接続されている。このようなコネクタ21を設ければ、自走式降雪機1の蓄電器7を外部機器の電源として利用することができるので、イベント開催時や災害時に臨時の電源として活用することができる。
【0029】
図5に示すように、本実施の形態の自走式降雪機1は、複数の自走式降雪機1の電動降雪機5を含む複数の電動降雪機が設置されているゲレンデに敷設された商用電源供給網PNの使用電力を監視する使用電力監視装置PMを備えて、商用電源供給網PNにおける使用電力量が契約電力量を超えないようにするための自走式降雪機の電力使用量監視システムに使用できる。このシステムでは、降雪用電源切替指令は、使用電力監視装置PMから、使用電力量が契約電力量に近付いた際に出力される。このようにすると、自走式降雪機を複数台使用する場合でも、契約電力量の範囲内で、複数台の自走式降雪機を最大限活用することができる。
【0030】
この場合、使用電力監視装置PMは、使用電力量を契約電力量内に留めるように、商用電源供給網PNの電源キュービクルPSCから最も離れた位置にある自走式降雪機から電源キュービクルPSCに近づく位置にある他の自走式降雪機へと順次出力される。このようにすると電圧低下が早い位置にある自走式降雪機から順に蓄電器7による降雪動作へと切り替えることができ、使用電力量を契約電力量内に抑えてしかも降雪動作時間を長いものとすることできる。
【産業上の利用可能性】
【0031】
本発明によれば、従来のように、排気ガスを出したりすることがなく、またオイルの頻繁な交換を必要とすることがないので、社会のニーズに応えることができる。また電動走行装置の走行と電動降雪機の動作を独立して行うように構成したことにより、言い換えれば電動走行装置を移動させながら降雪作業を行えないようにして、蓄電器の容量の低下を防止して、蓄電器を用いた長時間の降雪作業を可能にする。
【符号の説明】
【0032】
1 自走式降雪機
3 電動走行装置
5 電動降雪機
7 蓄電器
9 制御ボックス
11 インバータ・ボックス
13 リフト装置
14 充電回路
15 電力切替装置
16 電源回路
17 整流器
18 電圧監視回路
19 走行用駆動源
20 降雪用駆動源
31 荷台
32 シャーシ
33 無限軌道
34 電動モータ(走行用駆動源)
35 電動ブレーキ手段
51 電動コンプレッサ
52 支持機構
53 ノズル装置
53A ダクト
53B 電動送風機
図1
図2
図3
図4
図5