(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2022177616
(43)【公開日】2022-12-01
(54)【発明の名称】エッジコンピュータを持つ振動衝撃センサ
(51)【国際特許分類】
G01P 15/00 20060101AFI20221124BHJP
【FI】
G01P15/00 C
【審査請求】未請求
【請求項の数】1
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2021084012
(22)【出願日】2021-05-18
(71)【出願人】
【識別番号】591287679
【氏名又は名称】打田 宏
(72)【発明者】
【氏名】打田 宏
(57)【要約】 (修正有)
【課題】輸送中の製品や部品が受ける振動衝撃を把握する振動衝撃エネルギーセンサを考案し、製品や部品の損傷を回避し管理する。
【解決手段】輸送の振動衝撃を複数のダイナミックレンジで検出し、対象物に合致した演算で作用時間と加速度から衝撃エネルギーを導出記録するとともに、製品や部品が受ける振動衝撃のエネルギーを、加速度センサで計測し、分析した作用時間で演算し、結果を選別記録するエッジコンピュータを持つセンサである。
【選択図】
図5
【特許請求の範囲】
【請求項1】
輸送の振動衝撃を複数のダイナミックレンジで検出し、対象物に合致した演算で作用時間と加速度から衝撃エネルギーを導出記録するとともに、製品や部品が受ける振動衝撃のエネルギーを、加速度センサで計測し、分析した作用時間で演算し、結果を選別記録するエッジコンピュータを持つ振動衝撃センサ。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
輸送中の製品や部品が受ける振動衝撃を把握する振動衝撃エネルギーセンサを考案し、製品や部品の損傷を回避し管理することを目的とする。
【背景技術】
【0002】
製品や部品の破損は、微細な振動による疲労損傷および大きな衝撃によって発生する。
振動については、理論化されており、印加のストレスSと回数Nの関連式であるSN曲線によって試験や運用管理されている。
(
図1.SN曲線)
【0003】
運動の物理理論は単純であり、破壊につながるエネルギーは力積であり、力積=質量×速度で表現され、式はP=m×vである。そして速度vは加速度aと時間tの積で、a×tと表現できる。そして、検出器である加速度のセンサはピエゾ抵抗式、圧電式、静電容量式、周波数変化式など多くの物理的な手法がある。
【0004】
しかし、実用面では多くの問題があり、速度には直接検出する手法がない。そこで、回転体であれば、速度の検出には、回転数と使用される部位の検出センサの円周から算出される。また自動車などの移動機器ではGPS(全地球測位システム)から算出される距離データを用いて速度を求めている。
【0005】
本考案は、最大加速度aと作用時間tを演算積算して衝撃エネルギーPを計測算出する。そして、作用時間の検出と記録に着目した。
実際の振動衝撃入力に対する製品の応答波形は複雑である。かつ、計測される最大衝撃値は作用時間の短いエネルギーが少ないものがほとんどで、破壊につながるエネルギーの大きい衝撃として検出するセンサはなかった。
【0006】
衝撃については、最大衝撃値で計測され、最大衝撃値は等価落下高さなどで試験し、製品などの設計に運用、利用されている。衝撃試験については、安定した重力を用いた静的な実験となっている。
(
図2.損傷限界曲線)
しかし、実際の流通、輸送、物流における衝撃は動的なものであり、衝撃の再現は動的な入力に対する製品の応答波形は複雑である。計測される最大衝撃値は作用時間の短いエネルギーが少ないものがほとんどである。
(
図3.振動衝撃記録試験)
【0007】
振動損傷では、共振周波数の長時間の曝露が損傷につながる。また、破壊損傷につながる大きなエネルギーの衝撃を、膨大な不要なデータの中から検出する必要がある。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0008】
【特許文献1】特許5610630公報
【特許文献2】特開平10-174468
【特許文献3】特許5744783公報
【発明の概要】
【0009】
産業および社会において、製品や部品の破損は、大きな損害である。
輸送損傷は微細な振動による疲労損傷および大きな衝撃によって発生するが、実際の流通、輸送、物流における衝撃は動的なものであり、衝撃の入力に対する製品の応答波形は複雑である。計測される最大衝撃値は作用時間の短いエネルギーが少ないものが、ほとんどである。
(
図3.振動衝撃記録試験)
【課題を解決するための手段】
【0010】
本件は輸送の振動衝撃を複数のダイナミックレンジで検出し、対象物に合致した演算で作用時間と加速度から衝撃エネルギーを導出記録する。製品や部品が受ける振動衝撃のエネルギーを、加速度センサで計測し、分析した作用時間で演算し、結果を選別記録するエッジコンピュータを持つ振動衝撃センサ。
【0011】
本考案は、最大加速度aと作用時間tを演算積算して衝撃エネルギーPを算出する。そして、作用時間の検出と記録に着目した。
【0012】
実際の振動衝撃入力に対する製品の応答波形は複雑である。かつ、計測される最大衝撃値は作用時間の短いエネルギーが少ないものがほとんどで、破壊につながるエネルギーの大きい衝撃として検出するセンサはなかった。理由は応答波形が複雑であることによる。
大掛かりな計測実験では、エラーを避けるため複数の加速度センサと製品や部品の振動衝撃の応答に対応する時間で記録装置を用いて測定記録する。落下衝撃や衝突などの単発の実験では実験の全データを測定し、解析を行い、ふるいにかける。
【0013】
また、「検出」においでは、小さな衝撃エネルギー値が多く、製品に影響を及ぼすエネルギー値の捕捉は長時間下では困難である。さらに、実験室を離れ、実際の製品・商品の流通、物流、輸送など時間が長く亘る場合は、「記録」においては、記録容量の制限から測定不能となる。加えて、製品や部品の材料や構造における物理特性の影響により、応答波形が異なる。
【0014】
製品や部品の素材の特性が、塑性体である場合は、入力と応答は、時間遅延が少なく、単純な応答波形となる。そのため作用する時間の把握が簡単である。しかしながら、素材の特性が弾性体である場合は、応答の時間遅延が長くなる。そのため、内部での波形の反射など複雑な応答波形となる。そのため、加速度と作用時間と演算、記録に注目して考案した。
【0015】
加速度においては、流通、輸送、物流中における加速度のダイナミックレンジが異なるため、複数の範囲が異なる複数の加速度センサを用いる。これは複数加速度センサの考案は申請者が以前に特許成立させた考えを応用した。これによって、幅広い流通環境の解析に対応が可能となる。
【0016】
作用時間においては、単純な原点をクロスする間の時間を測定するゼロクロス法を中心にして、主要な解析法および対象品に合わせた方法で算出する。測定対象品の特性に合わせた複数の異なる解析法を持つ。
(
図4.ゼロクロスと作用時間)
演算と記録においては、エッジコンピューターにてバッチ演算を行い、素子への演算負荷を減らす。同時に記録においては、それぞれの複数の加速度センサのレンジでの最大値を時刻データとともに順次降順で記録する。演算された代表値と算出生データを記録し、記憶容量を抑える。
【産業上の利用可能性】
【0017】
産業においては輸送、物流は欠かせない。そのため損傷破壊の把握とその解による損傷破壊の回避や軽減は産業の利益につながる。
【0018】
製品や部品が受ける衝撃のエネルギーを、加速度センサで計測し、解析して作用時間を求め、演算選別記録するエッジコンピュータを持つセンサ。
(
図5.振動衝撃記録試験センサ)
【図面の簡単な説明】
【0019】