(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2022177623
(43)【公開日】2022-12-01
(54)【発明の名称】測定装置、測定方法、及びプログラム
(51)【国際特許分類】
G01R 31/00 20060101AFI20221124BHJP
【FI】
G01R31/00
【審査請求】未請求
【請求項の数】8
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2021084021
(22)【出願日】2021-05-18
(71)【出願人】
【識別番号】000227180
【氏名又は名称】日置電機株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110002468
【氏名又は名称】特許業務法人後藤特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】小林 宏企
(72)【発明者】
【氏名】滝口 真也
【テーマコード(参考)】
2G036
【Fターム(参考)】
2G036AA12
2G036AA13
2G036AA28
2G036BA02
2G036BA12
2G036BA37
2G036BB08
2G036CA08
2G036CA10
(57)【要約】
【課題】動作モードに応じた対象装置の状態を的確に測定する。
【解決手段】電力測定装置100は、複数のチャネルC
1-Nを通して伝送される電力の伝送方向のうち少なくとも一つのチャネルの伝送方向を切替え可能な対象装置の状態を測定する測定装置を構成する。電力測定装置100は、チャネルC
1-Nの各々について伝送される電力の基準となる伝送方向が、上記対象装置に電力を入力する入力方向であるか、又は上記対象装置から電力を出力する出力方向であるかを示す情報を保持する。そして電力測定装置100は、チャネルC
1-Nの各々について伝送される電力の向き及び大きさを示す信号を取得し、上記情報に示される各チャネルの電力の基準となる伝送方向に対する上記信号の向きを示す符号に基づいて上記対象装置の入力電力及び出力電力の少なくとも一方を演算する。
【選択図】
図2
【特許請求の範囲】
【請求項1】
複数のチャネルを通して伝送される電力の伝送方向のうち少なくとも一つのチャネルの伝送方向を切替え可能な対象装置の状態を測定する測定装置であって、
前記チャネルごとに伝送される電力の基準となる伝送方向が、前記対象装置に電力を入力する入力方向であるか、又は前記対象装置から電力を出力する出力方向であるかを示す情報を保持する基準保持手段と、
前記チャネルごとに伝送される電力の向き及び大きさを示す信号を取得する電力信号取得手段と、
前記情報に示される各チャネルの前記電力の基準となる伝送方向に対する前記信号の向きを示す符号に基づいて、前記対象装置の入力電力及び出力電力の少なくとも一方を演算する演算手段と、
を備える測定装置。
【請求項2】
請求項1に記載の測定装置であって、
前記演算手段は、
前記電力の基準となる伝送方向が前記出力方向であるチャネルのうち前記信号が正であるチャネル、及び前記電力の基準となる伝送方向が前記入力方向であるチャネルのうち前記信号が負であるチャネルの各電力の絶対値の和を取る第一加算手段と、
前記電力の基準となる伝送方向が前記入力方向であるチャネルのうち前記信号が正であるチャネル、及び前記電力の基準となる伝送方向が前記出力方向であるチャネルのうち前記信号が負であるチャネルの各電力の絶対値の和を取る第二加算手段と、
前記第二加算手段で得られる前記和と前記第一加算手段で得られる前記和とに基づいて、前記対象装置の伝送状態を示す指標を演算する指標演算手段と、
を含む測定装置。
【請求項3】
請求項2に記載の測定装置であって、
前記指標演算手段は、前記第二加算手段で得られる前記和により前記第一加算手段で得られる前記和を除して前記対象装置の電力効率を算出する、
を含む測定装置。
【請求項4】
請求項2又は請求項3に記載の測定装置であって、
前記指標演算手段は、前記第二加算手段で得られる和から前記第一加算手段で得られる前記和を減じて前記対象装置の電力損失を算出する、
を含む測定装置。
【請求項5】
請求項2から請求項4のいずれか一項に記載の測定装置であって、
前記チャネルを通して伝送される電力の大きさを検出する複数のセンサと、
前記チャネルごとに前記情報に示される前記伝送方向を報知する報知手段と、
を含む測定装置。
【請求項6】
請求項2から請求項5のいずれか一項に記載の測定装置であって、
前記チャネルごとに前記情報に示される前記伝送方向を示す画像を表示する表示手段を備え、
前記表示手段は、前記チャネルごとに、前記情報に示される前記伝送方向に対する前記信号の符号の変化に応じて前記画像に示される前記伝送方向を変更する、
測定装置。
【請求項7】
複数のチャネルを通して伝送される電力の伝送方向のうち少なくとも一つのチャネルの伝送方向を切替え可能な対象装置の状態を測定する測定方法であって、
前記チャネルごとに伝送される電力の基準となる伝送方向が、前記対象装置に電力を入力する入力方向であるか、又は前記対象装置から電力を出力する出力方向であるかを示す情報を保持する基準保持ステップと、
前記チャネルごとに伝送される電力の向き及び大きさを示す信号を取得する電力信号取得ステップと、
前記情報に示される各チャネルの前記電力の基準となる伝送方向に対する前記信号の向きを示す符号に基づいて、前記対象装置の入力電力及び出力電力の少なくとも一方を演算する演算ステップと、
を備える測定方法。
【請求項8】
複数のチャネルを通じて伝送される電力の伝送方向のうち少なくとも一つのチャネルの伝送方向を切替え可能な対象装置の状態を測定するコンピュータに、
前記チャネルごとに伝送される電力の基準となる伝送方向が、前記対象装置に電力を入力する入力方向であるか、又は前記対象装置から電力を出力する出力方向であるかを示す情報を保持する基準保持ステップと、
前記チャネルごとに伝送される電力の向き及び大きさを示す信号を取得する電力取得ステップと、
前記情報に示される各チャネルの前記電力の基準となる伝送方向に対する前記信号の向きを示す符号に基づいて、前記対象装置の入力電力及び出力電力の少なくとも一方を演算する演算ステップと、
を実行させるためのプログラム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、測定装置、測定方法、及びプログラムに関する。
【背景技術】
【0002】
特許文献1には、送電器から受電器に対する電力伝送を開始した後に通信回路部を介して効率を求める電力伝送システムが開示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
上述のようなシステムにおいては、電力効率を求めることによって送電器から受電器に伝送される電力の伝送状態を測定することが可能となる。
【0005】
しかしながら、電力を伝送可能な装置であって測定の対象となる対象装置によっては、その送電の仕方を規定する動作モード(動作状態)に応じて、伝送路を通して伝送される電力の伝送方向が切り替わる装置も存在する。このような対象装置では、想定される全ての伝送パターンについて伝送状態を示す指標を演算するための演算式が必要となり、その全ての演算式を用いて全ての伝送パターンの伝送状態を連続して求めなければならない場合もある。
【0006】
このような場合は、例えば、対象装置の各動作モードが実行される期間ごとに、測定者によって、全ての演算結果の中から、当該期間で実行された対象装置の動作モードに対応する適切な演算式の結果を選択しなければならない。そのため、測定者による人為的なミスに起因して、適切な演算式とは異なる演算式の結果が誤って選択されるおそれがあるという問題がある。
【0007】
本発明は、このような問題点に着目してなされたものであり、動作モードに応じた対象装置の状態を的確に測定することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0008】
本発明のある態様によれば、測定装置は、複数のチャネルを通して伝送される電力の伝送方向のうち少なくとも一つの伝送方向を切替え可能な対象装置の状態を測定する。この測定装置は、前記チャネルごとに伝送される電力の基準となる伝送方向が、前記対象装置に電力を入力する入力方向であるか、又は前記対象装置から電力を出力する出力方向であるかを示す情報を保持する基準保持手段と、前記チャネルごとに伝送される電力の向き及び大きさを示す信号を取得する電力信号取得手段とを備える。さらに測定装置は、前記情報に示される各チャネルの前記電力の基準となる伝送方向に対する前記信号の向きを示す符号に基づいて、前記対象装置の入力電力及び出力電力の少なくとも一方を演算する演算手段を備える。
【発明の効果】
【0009】
この態様によれば、情報に示された各チャネルの電力の基準となる伝送方向に対する信号の符号を考慮することにより、対象装置に対する各チャネルの電力が入力電力であるか又は出力電力であるかを判定することが可能となる。
【0010】
これにより、対象装置の動作モードが切り替わった際に特定のチャネルの信号の符号が切り替わることで、その特定のチャネルの電力が入力電力及び出力電力のいずれに該当するか適切に判定することができる。したがって、測定装置は、対象装置の動作モードに応じて対象装置の状態を的確に測定することができる。
【図面の簡単な説明】
【0011】
【
図1】
図1は、本発明のある実施形態における測定装置を備える電力伝送システムの構成を示す図である。
【
図2】
図2は、本実施形態における測定装置の機能構成を示すブロック図である。
【
図3】
図3は、測定の対象となる対象装置に対する各チャネルの電力の基準となる伝送方向を設定する手法を説明するための図である。
【
図4】
図4は、各チャネルの電力の基準となる伝送方向を示す基準情報の形式を説明するための観念図である。
【
図5】
図5は、測定装置における処理部の機能構成の一例を示すブロック図である。
【
図6】
図6は、処理部において対象装置の各動作モードに対応する伝送指標を演算する手法を説明するための図である。
【
図7】
図7は、本実施形態における電力効率の測定方法を示すフローチャートである。
【
図8】
図8は、本実施形態における電力損失の測定方法を示すフローチャートである。
【
図9】
図9は、対象装置の動作モードに切り替えに伴う表示画像の変化を説明するための図である。
【発明を実施するための形態】
【0012】
以下、添付図面を参照しながら本発明のある実施形態について説明する。
【0013】
図1は、本実施形態における測定装置を備える電力伝送システムの構成を示す図である。
【0014】
本実施形態における電力伝送システム1は、電力が伝送される伝送方向及び経路(伝送パターン)のうち少なくとも一つを電力伝送システム1自身の動作状態に応じて切り替える。電力伝送システム1は、例えば自動車、電車又はエレベータなどに搭載される。
【0015】
電力伝送システム1は、バッテリ10と、発電用モータ20と、駆動用モータ30と、PCU(パワーコントロールユニット)40と、電力測定装置100と、センサ部101乃至103と、を備える。
【0016】
バッテリ10、発電用モータ20及び駆動用モータ30の各々は、電力を伝送可能に構成された装置であり、他の装置に電力を供給する給電装置、及び給電装置からの電力を受ける受電装置のうち少なくとも一つの機能を有する。以下では、給電装置及び受電装置の両機能を有する双方向に電力伝送可能な装置のことを「受給電装置」とも称する。
【0017】
バッテリ10は、発電用モータ20からの電力を蓄える機能を有し、かつ、駆動用モータ30に放電する機能を有する受給電装置である。本実施形態におけるバッテリ10は、蓄えられた電力をPCU40に入力する。
【0018】
ここでは、バッテリ10からPCU40に入力される電力が、第一の電力P1として示されている。バッテリ10の直流電圧は、例えば数百[V]であり、本実施形態では、出力電圧が約300[V]である二次電池がバッテリ10として用いられる。
【0019】
発電用モータ20は、電力を生成する機能を有する給電装置である。本実施形態における発電用モータ20は、三相交流モータによって構成され、発電した三相交流電力をPCU40に入力する。
【0020】
発電用モータ20は、例えば自動車に搭載されたエンジンによって回転駆動されることで発電する。ここでは、発電用モータ20からPCU40に入力される電力が、第二の電力P2として示されている。本実施形態の電力P2は、三相交流の実効電力である。
【0021】
駆動用モータ30は、電力を動力に変換する機能と電力を生成する機能とを有する受給電装置である。本実施形態における駆動用モータ30は、三相交流モータによって構成され、PCU40から供給される電力によって回転駆動する。ここでは、PCU40から駆動用モータ30に出力される電力が、第三の電力P3として示されている。
【0022】
PCU40は、電力を双方向に伝送可能な装置である。PCU40は、複数の外部装置を接続可能な複数の接続端子を有し、特定の接続端子に入力された電力を他の接続端子から出力する。
【0023】
PCU40は、電力伝送の仕方を規定する複数の動作モード(動作状態)を有し、PCU40自身の動作モードに応じて、外部装置とPCU40との間のチャネルを通して伝送される電力の大きさ又は伝送方向を切り替える。すなわち、PCU40は、自身の動作モードに合わせて電力の伝送パターンを切り替える。
【0024】
本実施形態において、PCU40は、電力測定の対象となる対象装置であり、直流電力と交流電力との間で電力変換を行う電力変換装置として機能する。PCU40は、自動車に搭載され、自動車の動作状態を示す制御信号に応じてPCU40自身の動作モードを切り替える。
【0025】
例えば、自動車が急加速する場合は、PCU40の動作モードが急加速モードに遷移し、PCU40は、バッテリ10及び発電用モータ20の双方から入力される電力を合成してその合成電力を駆動用モータ30に出力する。
【0026】
また、自動車が減速又は制動する場合は、PCU40の動作モードは減速&制動モードに遷移し、PCU40は、発電用モータ20及び駆動用モータ30の双方から入力される電力を合成してその合成電力をバッテリ10に出力する。
【0027】
そして、自動車が通常通り走行する場合は、PCU40の動作モードは通常走行モードに遷移し、PCU40は、発電用モータ20から入力される電力をバッテリ10及び駆動用モータ30の双方に分配して出力する。
【0028】
続いてPCU40の構成について説明する。本実施形態におけるPCU40は、昇圧コンバータ41と、インバータ42と、インバータ43と、を備える。
【0029】
昇圧コンバータ41は、入力された直流電力の電圧を、その入力電圧値とは異なる出力電圧値に変換する。例えば、昇圧コンバータ41は、バッテリ10から入力される電力P1の直流電圧を昇圧し、昇圧後の直流電圧をインバータ42及びインバータ43に印加する。また、昇圧コンバータ41は、インバータ42又はインバータ43から入力される電力の直流電圧を降圧し、降圧後の直流電圧をバッテリ10に印加する。
【0030】
本実施形態における昇圧コンバータ41は、例えば、バッテリ10からの約300[V]の直流電圧を約600[V]の直流電圧に昇圧し、約600[V]の直流電圧をインバータ43に出力する。
【0031】
インバータ42は、入力された電力を交流又は直流に変換する第一のインバータである。インバータ42は、例えば、発電用モータ20から入力される電力P2の交流電圧を直流電圧に変換し、変換後の直流電圧を昇圧コンバータ41及びインバータ43に印加する。本実施形態おけるインバータ42は、発電用モータ20からの三相交流電圧を約600[V]の直流電圧に変換し、その約600[V]の直流電圧をインバータ43に印加する。
【0032】
インバータ43は、インバータ42と同じように、入力された電力を交流又は直流に変換する第二のインバータである。例えば、インバータ43は、昇圧コンバータ41及びインバータ42から入力される電力P1及び電力P2を合成した電力の直流電圧を交流電圧に変換する。そしてインバータ43は、変換後の交流電圧を駆動用モータ30に印加することによって駆動用モータ30に電力P3を出力する。
【0033】
本実施形態おけるインバータ43は、昇圧コンバータ41及びインバータ42からの合成電力(P1+P2)における約600[V]の直流電圧を三相交流電圧に変換し、変換後の三相交流電圧を駆動用モータ30に印加する。さらにインバータ43は、駆動用モータ30から入力される電力の三相交流電圧を約600[V]の直流電圧に変換し、変換後の600[V]の直流電圧を昇圧コンバータ41に印加する。
【0034】
電力測定装置100は、一又は複数のコンピュータによって構成される。電力測定装置100は、複数の伝送路であるチャネルを介して電力を一方向又は双方向に伝送可能な対象装置に関する状態を測定する測定装置を構成する。
【0035】
本実施形態では、電力測定装置100は、複数のチャネルに接続された状態のPCU40の動作状態を測定する。ここにいう複数のチャネルは、バッテリ10とPCU40との間のチャネルC1、発電用モータ20とPCU40との間のチャネルC2、及び駆動用モータ30とPCU40との間のチャネルC3である。チャネルC2及びチャネルC3は、それぞれ、三相三線式又は三相四線式の伝送路で構成される。
【0036】
電力測定装置100は、センサ部101乃至103の出力信号に基づいて、PCU40の伝送状態を示す指標を演算する。以下では、PCU40の伝送状態を示す指標のことを「伝送指標」と称し、伝送指標としては、例えば、電力効率及び電力損失などが挙げられる。
【0037】
センサ部101乃至103は、本実施形態では電力測定装置100とは別体として設けられている。これに代えてセンサ部101乃至103は、電力測定装置100と一体に設けられてもよく、電力測定装置100に包含されるものであってもよい。
【0038】
センサ部101は、チャネルC1に伝送される直流電力を検出するための検出装置である。センサ部101は、例えば、直流電流センサ及び電圧センサよって構成される。センサ部101は、チャネルC1に流れる電流値を示す電流検出信号とチャネルC1の電圧値を示す電圧検出信号を電力測定装置100に出力する。
【0039】
センサ部102は、チャネルC2に伝送される交流電力を検出するための検出装置である。センサ部102は、例えば、三つの交流電流センサ及び三つの電圧センサよって構成される。センサ部102は、チャネルC2の各相に流れる電流値を示す相電流検出信号とチャネルC2の電圧値を示す相電圧検出信号とを電力測定装置100に出力する。
【0040】
センサ部103は、チャネルC3に伝送される交流電力を検出するための検出装置である。センサ部102と同じように、センサ部103は、例えば、三つの交流電流センサ及び三つの電圧センサよって構成される。センサ部103は、チャネルC3の各相に流れる電流値を示す相電流検出信号とチャネルC3の電圧値を示す相電圧検出信号とを電力測定装置100に出力する。
【0041】
次に、電力測定装置100の構成について
図2を参照して説明する。
【0042】
図2は、本実施形態における電力測定装置100の機能構成を示すブロック図である。
【0043】
電力測定装置100は、電力を伝送可能な対象装置の状態を測定するための測定装置である。電力測定装置100は、記憶部110と、表示部120と、操作部130と、通信部140と、測定部150と、処理部160と、を備える。
【0044】
記憶部110は、RAM(Random Access Memory)及びROM(Read Only Memory)によって構成される。記憶部110には、処理部160の動作を制御するための制御プログラムが格納されている。すなわち、記憶部110は、本実施形態における電力測定装置100の機能を実現するためのプログラムを記録したコンピュータ読み取り可能な記憶媒体である。
【0045】
本実施形態において、記憶部110には、複数のチャネルC
1乃至C
3に伝送される電力の基準となる伝送方向である基準方向をそれぞれ示す基準情報が記憶されている。この基準情報は、チャネルC
1乃至C
3の各々に伝送される電力の基準となる伝送方向が、PCU40に電力を入力する入力方向であるか、又はPCU40から電力を出力する出力方向であるかを示す情報である。すなわち、記憶部110は、基準情報を保持する基準保持手段を構成する。基準情報の詳細については
図4を参照して後述する。
【0046】
記憶部110に記憶された基準情報は、例えば操作部130によって生成される。基準情報は、あらかじめ記憶されたものでもよく、通信部140から取得されるものであってもよい。また、記憶部110には、測定した結果を示す測定データが記憶される。
【0047】
表示部120は、処理部160による処理結果を表示することにより、利用者に処理結果を通知する。表示部120は、例えばLEDディスプレイ又は液晶ディスプレイなどによって構成される。これに代えて、表示部120は、利用者が情報を視認可能かつ利用者が操作可能なようにタッチスクリーンで構成されてもよい。
【0048】
本実施形態における表示部120は、単一のチャネルC1,C2,C3ごとに記憶部110の基準情報に示された電力の基準となる伝送方向を報知する報知手段を構成する。具体的には、表示部120は、単一のチャネルC1,C2,C3ごとに基準情報に示された電力の基準となる伝送方向を示す画像を表示する表示手段として機能する。
【0049】
上述の報知手段としては、表示手段の他に、各チャネルC1,C2,C3の電力の基準となる伝送方向を音声で通知する音声出力装置、又は、センサ部101乃至103に設けられる部品であって電力の基準となる伝送方向を特定するための発光素子などが含まれる。
【0050】
操作部130は、利用者の操作により入力情報を受け付ける。そして操作部130は、受け付けた情報を処理部160に出力する。操作部130は、機械式の押しボタン又はタッチパネルなどによって構成される。
【0051】
本実施形態において、操作部130は、利用者の入力操作により上述の基準情報を受け付ける。すなわち、操作部130は、基準情報を取得する情報取得手段を構成する。
【0052】
例えば、操作部130には、伝送指標の測定処理を開始するための開始ボタン、及び測定処理を終了するための終了ボタンが設けられる。そして操作部130は、開始ボタンが押されると、測定処理を実行するための指令信号を処理部160に出力し、その後に終了ボタンが押されると、測定処理を終了するための指令信号を処理部160に出力する。
【0053】
通信部140は、図示していないが、無線又は有線を介して携帯端末又はサーバなどの外部処理装置と通信を行う。通信部140は、外部処理装置から、例えば上述の指令信号を受信することも可能である。この場合においては、電力測定装置100は、外部処理装置からの指令信号に従って測定処理を実行又は停止する。
【0054】
また、通信部140は、測定データを外部処理装置に送信することも可能である。この場合において、外部処理装置は、通信部140から送信された測定データを表示してもよい。
【0055】
なお、通信部140は、記憶部110に記憶される基準情報を、携帯端末又はサーバなどの外部処理装置から受信してもよい。この場合においては、通信部140が基準情報を取得する情報取得手段として機能する。そして通信部140が受信した基準情報は、処理部160により記憶部110に保持される。
【0056】
測定部150は、チャネルC1乃至C3の各々に伝送される電力の伝送方向及び大きさを示す信号を取得する電力信号取得手段を構成する。以下では、電力の伝送方向及び大きさを示す信号のことを測定信号と称する。
【0057】
本実施形態において、測定部150は、センサ部101乃至103の各々の出力信号に基づいて各チャネルC1,C2,C3の電力を測定する。そして測定部150は、上記の測定信号として、測定した各チャネルC1,C2,C3の電力値を取得する。
【0058】
例えば、測定部150は、センサ部102の出力信号として、各相の交流電流センサ及び電圧センサからそれぞれ出力される検出信号を取得し、取得した各検出信号を用いてチャネルC2の有効電力の電力値を算出する。同様に測定部150は、センサ部103から、各相の交流電流センサ及び電圧センサからの各検出信号を取得することにより、チャネルC3の有効電力の電力値を算出する。
【0059】
あるいは、測定部150は、チャネルC1乃至C3の各々に対してシャント抵抗を備え、チャネルC1,C2,C3ごとにチャネル自身とシャント抵抗との間をケーブルで電気的に接続するものであってもよい。この場合、チャネルC1,C2,C3ごとに、ケーブルの電圧とシャント抵抗の両端電圧とを用いて電力を検出する。
【0060】
処理部160は、記憶部110の基準情報に示される各チャネルC1,C2,C3の電力の基準となる伝送方向に対しての測定信号の向きを示す符号に基づいて、電力を伝送可能な対象装置の入力電力及び出力電力の少なくとも一方を演算する演算手段を構成する。本実施形態ではPCU40が対象装置に該当する。また、測定信号の符号の種類としては、例えば、正(プラス)、負(マイナス)などが挙げられる。
【0061】
具体例として、処理部160は、基準情報に示された各チャネルC1,C2,C3の電力の基準となる伝送方向に対し、各チャネルC1,C2,C3の測定信号の符号を判定する。そして処理部160は、判定した符号の種類に基づいて各チャネルC1,C2,C3の実際の伝送方向が、対象装置に対して入力方向であるか又は出力方向であるかを特定する。
【0062】
処理部160は、単一のチャネルC1,C2,C3ごとに、特定した結果に基づいて、対象装置の各チャネルを通して伝送される伝送電力が、入力電力であるか又は出力電力であるかを決定する。これにより、処理部160は、対象装置に対しての入力電力又は出力電力を演算することが可能となる。
【0063】
上述の入力電力の演算値としては、例えば、対象装置に接続されるチャネルの入力電力の各々の電力値、及び全チャネルの入力電力の総和が含まれる。出力電力の演算値についても同様である。
【0064】
本実施形態における処理部160は、PCU40に対しての入力電力の総和と出力電力の総和とに基づいて、PCU40の伝送指標を演算する。伝送指標としては、上述のとおり、電力効率及び電力損失が挙げられる。
【0065】
そして処理部160は、演算した伝送指標と、伝送指標の算出に用いられた入力電力及び出力電力と、を測定データとして記憶部110に記録する。また、処理部160は、外部処理装置からの通信要求に従って測定データを通信部140に出力する。
【0066】
さらに、処理部160は、測定データを表示部120出力する。これにより、表示部120は、測定データを所定の形式で表示するための画像データを生成し、生成した画像データを画面に表示する。
【0067】
次に、記憶部110に記憶される基準情報を設定するための設定手法について
図3を参照して説明する。
【0068】
図3は、本実施形態における基準情報を設定するための設定画面の一例を示す図である。この例において電力測定装置100は、最大で八チャネルの電力を測定可能である。以下では、対象装置であるPCU40に電力を入力するためのチャネルを「入力チャネル」と称し、PCU40から電力を出力するためのチャネルを「出力チャネル」と称する。
【0069】
図3に示すように、表示部120に表示される設定画像131には、四つの入力チャネルの設定領域121と、四つの出力チャネルの設定領域122と、が設けられている。
【0070】
設定領域121及び設定領域122の各々には、八つのチャネルを通して伝送される電力P1乃至P8と、対象装置に接続されるチャネルが無いことを意味する「OFF」と、のうちいずれか一つの項目が設定可能である。また、設定領域121及び設定領域122に、電力P1乃至P8のいずれか一つが設定されることにより、チャネル番号が順次付与される。
【0071】
この例では、第一の入力チャネルの設定領域121にはチャネルC1の電力P1が設定され、第二の入力チャネルの設定領域121には、チャネルC2の電力P2が設定されている。これにより、チャネルC1に伝送される電力の基準となる伝送方向は入力方向となり、チャネルC2に伝送される電力の基準となる伝送方向は入力方向となる。
【0072】
また、第一の出力チャネルの設定領域122にはチャネルC3の電力P3が設定されている。これにより、チャネルC3に伝送される電力の基準となる伝送方向は出力方向となる。なお、他の設定領域121及び設定領域122にはOFFが設定されている。
【0073】
このように、各チャネルC1,C2,C3についてPCU40に対する電力P1,P2,P3の基準となる伝送方向が設定される。そして電力測定装置100の処理部160により、チャネルC1乃至C3に設定された電力の基準となる伝送方向と、電力P1乃至P3の測定値の符号とに基づいてPCU40の電力効率η及び電力損失PLが算出される。その算出結果が電力効率η及び電力損失PLの各領域に表示される。
【0074】
また、表示部120は、単一のチャネルC1,C2,C3ごとに、基準情報に示される電力の基準となる伝送方向を表すための画像として設定画像131を表示する。これにより、電力測定装置100の利用者がチャネルC1乃至C3に対してセンサ部101乃至103の位置及び向きを誤って取り付けてしまうことを回避することができる。
【0075】
図3に示す例では、設定領域121及び設定領域122の各々に電力P
1乃至P
8のいずれかを設定することにより入力チャネル又は出力チャネルが決定される例について説明したが、これに限られるものではない。
【0076】
例えば、PCU40に接続可能なチャネルの各々について、チャネルの種類を「入力チャネル」及び「出力チャネル」の中から一つ選択するとともに、電力の符号を「プラス」及び「マイナス」の中から一つ選択するようにしてもよい。
【0077】
この場合において、「入力チャネル」かつ「プラス」を選択したときには、そのチャネルは「入力チャネル」として設定され、「入力チャネル」かつ「マイナス」を選択したときには、そのチャネルは「出力チャネル」として設定される。このように設定されたチャネルの種類に従って基準情報が生成される。
【0078】
次に、記憶部110に記憶される基準情報の内容について
図4を参照して説明する。
【0079】
図4は、本実施形態における基準情報111の形式の一例を示す図である。基準情報111には、PCU40に接続される一又は複数の伝送路と、PCU40に対する伝送路の基準となる伝送方向とが示されている。
【0080】
上述した伝送路の基準となる伝送方向とは、PCU40に対して伝送路に伝送される電力の基準となる向きのことである。この基準となる伝送方向は、本実施形態では操作部130によってあらかじめ設定されるため、以下では「設定方向」とも称される。なお、この設定方向は、外部処理装置の操作部によってあらかじめ設定されてもよい。
【0081】
ここでは、
図1に示したように、チャネルC
1とチャネルC
2とは、共にPCU40に対して入力方向に設定され、チャネルC
3はPCU40に対して出力方向に設定されている。
【0082】
なお、基準情報111には互いに異なる電力の基準となる伝送方向が設定されているが、これに限られるものではなく、例えば全ての設定方向が同一であってもよく、設定方向が、
図3に示された方向と反対の方向に設定されてもよい。
【0083】
次に、電力測定装置100における処理部160の機能について
図5を参照して説明する。
【0084】
図5は、本実施形態における処理部160の機能構成を示すブロック図である。処理部160は、入力算出部161と、出力算出部162と、伝送指標演算部163と、を備える。
【0085】
入力算出部161は、設定方向が入力方向であるチャネルのうち測定信号が正であるチャネル、及び設定方向が出力方向であるチャネルのうち測定信号が負であるチャネルの各電力の絶対値の和を取る第一加算手段を構成する。
【0086】
本実施形態において、入力算出部161は、記憶部110から、あらかじめ定められた基準情報を読み出し、その基準情報に示される各チャネルC1,C2,C3の電力の基準となる伝送方向をそれぞれ設定方向として取得する。
【0087】
入力算出部161は、全てのチャネルC1乃至C3の中から、取得した設定方向が入力方向であるチャネルC1,C2を入力チャネルとして選択するとともに、取得した設定方向が出力方向であるチャネルC3を出力チャネルとして選択する。
【0088】
また、入力算出部161は、各チャネルC1,C2,C3について、測定部150により測定された電力値の符号がプラスであるか又はマイナスであるかを特定する。
【0089】
入力算出部161は、選択した各入力チャネルC1,C2について、測定された電力値の符号がプラスである場合には、実際の伝送方向が設定方向(IN)と同一であるため、その電力値が入力電力に該当すると判断する。
【0090】
一方、入力算出部161は、選択した各出力チャネルC3について、測定された電力値の符号がマイナスである場合には、実際の伝送方向が設定方向(OUT)とは反対であるため、その電力値の絶対値が入力電力に該当すると判断する。
【0091】
そして、入力算出部161は、入力電力に該当すると判断された各チャネルの電力値の絶対値を用いて、PCU40に対する入力電力の各々の電力値及び入力電力の総和を算出する。
【0092】
続いて、出力算出部162の機能について説明する。
【0093】
出力算出部162は、設定方向が入力方向であるチャネルのうち測定信号が負であるチャネル、及び設定方向が出力方向であるチャネルのうち測定信号が正であるチャネルの各電力の絶対値の和を取る第二加算手段を構成する。
【0094】
入力算出部161と同じように、出力算出部162は、記憶部110から読み出された基準情報に示される各チャネルC1,C2,C3の電力の基準となる伝送方向をそれぞれ設定方向として取得する。
【0095】
さらに、出力算出部162は、全てのチャネルC1乃至C3の中から、取得した設定方向が入力方向である入力チャネルC1,C2を選択するとともに、取得した設定方向が出力方向である出力チャネルC3を選択する。出力算出部162は、チャネルC1,C2,C3の各々について、測定部150により測定された電力値の符号がプラスであるか、又はマイナスであるかを特定する。
【0096】
本実施形態では、出力算出部162は、選択した各入力チャネルC1,C2について、測定された電力値の符号がマイナスである場合には、その電力値の絶対値が出力電力に該当すると判断する。一方、出力算出部162は、選択した出力チャネルC3について、測定された電力値の符号がプラスである場合には、その電力値が出力電力に該当すると判断する。
【0097】
そして、出力算出部162は、出力電力に該当すると判断された各チャネルの電力値の絶対値を用いて、PCU40の出力電力の各々の電力値及び出力電力の総和を算出する。
【0098】
続いて、伝送指標演算部163の機能について説明する。
【0099】
伝送指標演算部163は、出力算出部162によって得られる総和、及び入力算出部161によって得られる総和に基づいて対象装置の伝送状態を示す伝送指標を演算する指標演算手段を構成する。
【0100】
本実施形態における伝送指標演算部163は、対象装置に該当するPCU40の出力電力の総和を入力電力の総和で除してPCU40の電力効率を求める。さらに伝送指標演算部163は、PCU40の入力電力の総和から出力電力の総和を減じてPCU40の電力損失を求める。
【0101】
このように、本実施形態における処理部160は、チャネルC1乃至C3の各々について、基準情報に示された設定方向と、測定部150から出力される電力の測定値の符号と、に基づきPCU40の電力効率及び電力損失などの伝送指標を演算する。
【0102】
次に、PCU40における動作モードの切り替えに伴う処理部160による伝送指標の演算手法について
図6を参照して説明する。
【0103】
図6は、PCU40の動作モードごとに、チャネルの設定方向及び測定電力の符号に応じて変更される電力効率η及び電力損失P
Lの演算式を説明するための図である。この例では、
図4に示したように、PCU40に対し、チャネルC
1,C
2の電力の基準となる伝送方向が入力方向であると設定され、チャネルC
3の電力の基準となる伝送方向が出力方向であると設定されている。
【0104】
例えば、PCU40が急加速モードに遷移すると、各チャネルC1,C2,C3の設定方向に対する電力P1,P2,P3の測定値の符号は全てプラスとなる。このため、各入力チャネルC1,C2の電力P1,P2は、PCU40の入力電力に該当し、出力チャネルC3の電力P3は、PCU40の出力電力に該当する。
【0105】
したがって、PCU40の電力効率η1は、入力電力に該当する電力P1及び電力P2の各絶対値の総和により出力電力に該当する電力P3の絶対値を除すことで得られる。また、PCU40の電力損失PL1は、入力電力に該当する電力P1及び電力P2の絶対値の総和から出力電力に該当する電力P3の絶対値を減じることで得られる。
【0106】
また、PCU40が減速&制動モードに遷移すると、各チャネルC1,C3の設定方向に対する電力P1,P3の測定値の符号は共にマイナスとなり、チャネルC2の設定方向に対する電力P2の測定値の符号はプラスとなる。
【0107】
このため、入力チャネルC1の電力P1は、設定方向(IN)に対してマイナスであるため、PCU40の出力電力に該当し、入力チャネルC2の電力P2は、設定方向(IN)に対してプラスであるため、PCU40の入力電力に該当する。そして出力チャネルC3の電力P3は、設定方向(OUT)に対してマイナスであるため、PCU40の入力電力に該当する。
【0108】
したがって、PCU40の電力効率η2は、入力電力に該当する電力P2及び電力P3の各絶対値の総和により出力電力に該当する電力P1の絶対値を除すことで得られる。また、PCU40の電力損失PL2は、入力電力に該当する電力P2及び電力P3の絶対値の総和から出力電力に該当する電力P1の絶対値を減じることで得られる。
【0109】
さらに、PCU40が通常走行モードに遷移すると、チャネルC1の設定方向に対する電力P1の測定値の符号はマイナスとなり、各チャネルC2,C3の設定方向に対する電力P2,P3の測定値の符号は共にプラスとなる。
【0110】
このため、入力チャネルC1の電力P1は、設定方向(IN)に対してマイナスであるため、PCU40の出力電力に該当し、入力チャネルC2の電力P2は、設定方向(IN)に対してプラスであるため、PCU40の入力電力に該当する。そして出力チャネルC3の電力P3は、設定方向(OUT)に対してプラスであるため、PCU40の出力電力に該当する。
【0111】
したがって、PCU40の電力効率η3は、入力電力に該当する電力P2の絶対値の総和により出力電力に該当する電力P1及び電力P3の各絶対値の総和を除すことで得られる。また、PCU40の電力損失PL3は、入力電力に該当する電力P2の絶対値の総和から出力電力に該当する電力P1及び電力P3の各絶対値の総和を減じることで得られる。
【0112】
なお、
図6には三つの動作モードの各々について伝送指標の演算手法が示されているが、これに限られるものではない。例えば、PCU40に接続可能なチャネルの数がN(2以上の自然数)個である場合は、PCU40の動作モードの数は最大で2
N個となる。
【0113】
2N個の動作モードを有するPCU40においては、あらかじめ2N個の演算式を準備しなくとも、本実施形態によれば、PCU40の現状の動作モードに合わせて適切に伝送指標を演算することができる。
【0114】
次に、電力測定装置100を構成するコンピュータの動作について
図7及び
図8を参照して説明する。
【0115】
図7は、電力を伝送可能な対象装置の電力効率ηを演算するための効率演算方法の処理手順例を示すフローチャートである。この例では、対象装置に接続された全てのチャネルの数をNとし、全てのチャネルをC
1-Nとし、各チャネルを通して伝送される全ての電力をP
1-Nとする。
【0116】
ステップS1において電力測定装置100は、チャネルC1-Nの各々の入出力を示す基準情報を記憶部110に保持する。記憶部110に保持される基準情報は、チャネルC1-Nに伝送される各々の電力の基準となる伝送方向が、対象装置に電力を入力する入力方向であるか、又は対象装置から電力を出力する出力方向であるかを示す情報である。
【0117】
本実施形態における電力測定装置100は、操作部130を介して、
図3及び
図4に示したように、チャネルC
1乃至C
3の各電力P
1,電力P
2,電力P
3の設定方向を示す基準情報を生成する。そして電力測定装置100は、生成した基準情報を記憶部110に記録(保持)する。
【0118】
ステップS2において電力測定装置100は、チャネルC1-Nの各々に伝送される電力P1-Nの伝送方向及び大きさを示す測定信号を取得する。本実施形態における電力測定装置100は、センサ部101乃至103の出力信号に基づいてチャネルC1乃至C3の各々の電力値を測定する。
【0119】
ステップS3において電力測定装置100は、チャネル番号Kに初期値である「1」を設定する。さらに電力測定装置100は、対象装置の出力電力X及び入力電力Yの各々に初期値である「0」を設定する。
【0120】
ステップS4において電力測定装置100は、基準情報に示されたチャネルCkの設定方向が出力方向(OUT)であるか否かを判断する。そして電力測定装置100は、チャネルCKの設定方向が出力方向(OUT)であると判断した場合にはステップS5の処理に進む。
【0121】
ステップS5において電力測定装置100は、チャネルCKに伝送される電力PKの測定値の符号がプラスであるか否かを判断する。なお、電力PKの測定値が0(ゼロ)である場合は、電力測定装置100は、測定値の符号がプラスであると判断してもよいし、マイナスであると判断してもよい。
【0122】
そして電力測定装置100は、電力PKの測定値の符号がプラスではないと判断した場合には、電力PKが入力電力に該当するため、ステップS8の処理に進む。一方、電力測定装置100は、電力PKの測定値の符号がプラスであると判断した場合には、電力PKが出力電力に該当するため、ステップS6の処理に進む。
【0123】
ステップS6において電力測定装置100は、出力電力Xと電力PKの測定値の絶対値との和を出力電力Xに設定する。
【0124】
また、ステップS4でチャネルCKの設定方向が出力方向(OUT)ではないと判断された場合、電力測定装置100は、ステップS7の処理に進む。
【0125】
ステップS7において電力測定装置100は、チャネルCKに伝送される電力PKの測定値の符号がプラスであるか否かを判断する。
【0126】
そして電力測定装置100は、電力PKの測定値の符号がプラスではないと判断した場合には、電力PKが出力電力に該当するため、ステップS6の処理に進む。一方、電力測定装置100は、電力PKの測定値の符号がプラスであると判断した場合には、電力PKが入力電力に該当するため、ステップS8の処理に進む。
【0127】
ステップS8において電力測定装置100は、入力電力Yと電力PKの測定値の絶対値との和を入力電力Yに設定する。
【0128】
このように、ステップS4乃至S8において電力測定装置100は、基準情報に示されたチャネルC1-Nの設定方向と電力P1-Nの測定値の符号とに基づいて、チャネルC1-Nの各々の伝送電力が入力電力Yであるか又は出力電力Xであるかを分類する。
【0129】
続いて、ステップS9において電力測定装置100は、チャネル番号Kが最大値Nよりも小さいか否かを判断する。そして電力測定装置100は、チャネル番号Kが最大値Nよりも小さいと判断した場合には、ステップS10の処理に進む。
【0130】
ステップS10において電力測定装置100は、チャネル番号Kに「1」を加算した値をチャネル番号Kに設定する。そして電力測定装置100は、チャネル番号Kが最大値Nに達するまで、ステップS4乃至S8の一連の処理を繰り返す。
【0131】
そして、ステップS9でチャネル番号Kが最大値N以上であると判断された場合には、電力測定装置100は、ステップS11の処理に進む。
【0132】
ステップS11において電力測定装置100は、出力電力Xを入力電力Yにより除して得られた値を対象装置の電力効率ηに設定する。そして効率演算方法についての一連の処理手順が終了する。
【0133】
このように、電力測定装置100は、基準情報に示されたチャネルC1-Nの設定方向と電力P1-Nの測定値とに基づいて電力効率ηを演算する。
【0134】
なお、本実施形態における電力測定装置100はチャネルCKの設定方向と電力PKの測定値とに基づいて電力PKが入力電力Yであるか又は出力電力Xであるかを判断した。これに代えて電力測定装置100は、入力電力、出力電力、及び電力停止(ゼロ)の中から電力Pkの伝送状態を分類してもよい。
【0135】
図8は、対象装置の電力損失P
Lを演算するための損失演算方法の処理手順例を示すフローチャートである。
【0136】
この損失演算方法は、
図7に示した効率演算方法のうちステップS11の処理をステップS21の処理に代えている。したがって、ここではステップS21の処理についてのみ詳細に説明する。他の処理については、効率演算方法の処理手順と同じであるため、効率演算方法の処理と同一符号を付して詳細な説明を省略する。
【0137】
ステップS21において電力測定装置100は、ステップS6で得られた出力電力XをステップS8で得られた入力電力Yから減じて得られた値を対象装置の電力損失PLに設定する。そして、効率演算方法に関する一連の処理手順が終了する。
【0138】
このように、電力測定装置100は、基準情報に示されたチャネルC1-Nの設定方向と電力P1-Nの測定値とに基づいて電力損失PLを演算する。
【0139】
次に、電力測定装置100を構成する表示部120の動作について
図9を参照して説明する。
【0140】
図9は、本実施形態におけるPCU40の伝送状態を表示するための表示画面の一例を示す図である。ここでは、表示部120の表示画面においてPCU40が急加速モードから通常走行モードへと切り替わった際の表示画像の変化が示されている。
【0141】
図9には、PCU40が急加速モードに遷移したときの表示画像132Aと、PCU40が通常走行モードに遷移したときの表示画像132Bとが示されている。
【0142】
表示画像132Aにおいて、各チャネルC
1,C
2,C
3の伝送方向141A,142A,143Aは、
図6に示したように、それぞれ基準情報に示された設定方向と同一である。
【0143】
一方、
図6に示したように、チャネルC
1に伝送される電力P
1の値は、基準情報に示されている設定方向に対してマイナスとなる。このため、表示画像132Bにおいて、チャネルC
1の伝送方向141Bは、基準情報に示された設定方向と反対の向きに設定されている。
【0144】
このように、表示部120は、チャネルC1,C2,C3ごとに、基準情報に示されている設定方向(電力の基準となる伝送方向)を表す画像として伝送方向141A,142A,143Aを表示する。そして表示部120は、基準情報に示された各チャネルC1,C2,C3の設定方向を基準として電力P1,P2,P3の伝送方向及び大きさを示す測定信号の向きを表す符号の変化に応じて画像に示される伝送方向141A,142A,143Aを変更する。
【0145】
以上説明した本実施形態による作用効果について説明する。
【0146】
本実施形態における電力測定装置100は、複数のチャネルを通して伝送される電力の伝送方向のうち少なくとも一つのチャネルの伝送方向を切替え可能な対象装置に該当するPCU40の状態を測定する測定装置である。電力測定装置100は、基準情報を保持する基準保持手段としての記憶部110を備える。基準情報は、単一のチャネルC1,C2,C3ごとに、そのチャネルを通して伝送される電力の基準方向として用いられる設定方向が、PCU40に電力を入力する入力方向であるか、又はPCU40から電力を出力する出力方向であるかを示す情報である。
【0147】
そして電力測定装置100は、基準情報に示されるチャネルC1乃至C3の測定信号を取得する電力信号取得手段としての測定部150を備える。測定信号は、チャネルC1,C2,C3ごとに、そのチャネルを通して伝送される電力の伝送方向及び大きさを示す信号である。さらに電力測定装置100は、基準情報に示される各チャネルC1,C2,C3の設定方向に対する測定信号の向きを示す符号に基づいて、PCU40の入力電力及び出力電力の少なくとも一方を演算する演算手段としての処理部160を備える。
【0148】
また、本実施形態における測定方法は、複数のチャネルを通して伝送される電力の伝送方向のうち少なくとも一つのチャネルの伝送方向を切替え可能な対象装置の状態を測定する測定方法である。この測定方法は、記憶部110に上述の基準情報を保持する基準保持ステップ(S1)と、基準情報に示されるチャネルC1乃至C3の各々についてチャネルを通して伝送される電力の伝送方向及び大きさを示す測定信号を取得する電力信号取得ステップ(S2)とを含む。さらに、上記の測定方法は、基準情報に示される各チャネルC1,C2,C3の設定方向(基準となる伝送方向)に対する測定信号の向きを示す符号に基づいて、PCU40の入力電力及び出力電力の少なくとも一方を演算する演算ステップ(S3乃至S10)と、を備える。
【0149】
さらに、本実施形態における電力測定装置100を構成するコンピュータに実行させるためのプログラムは、基準情報を保持する基準保持ステップ(S1)と、基準情報に示されるチャネルC1乃至C3の各々の測定信号を取得する電力信号取得ステップ(S2)とを含む。さらに、上記のプログラムは、基準情報に示される各チャネルC1,C2,C3の設定方向に対する測定信号の向きを示す符号に基づいてPCU40の入力電力及び出力電力の少なくとも一方を演算する演算ステップ(S3乃至S10)を含む。
【0150】
これらの構成によれば、チャネルC1,C2,C3ごとに、基準情報に示される電力の設定方向と測定信号に示される電力の大きさとに基づいて測定信号の符号が識別される。そして、基準情報に示された各チャネルC1,C2,C3の設定方向に対する測定信号の符号を考慮することで、PCU40に対する各チャネルC1,C2,C3の伝送電力が入力電力であるか又は出力電力であるかを判定することが可能となる。
【0151】
これにより、PCU40の動作モードが切り替わった際にチャネルC1乃至C3のうちの特定のチャネルの測定信号の符号が切り替わるので、その特定のチャネルの電力が、ゼロ、入力電力及び出力電力のうちいずれかに該当するかを適切に分類することができる。それゆえ、PCU40に対する入力電力の総和又は出力電力の総和を求めることも可能となる。
【0152】
したがって、本実施形態によれば、電力測定装置100は、PCU40の動作モードに応じてPCU40の状態を的確に測定することができる。
【0153】
ここで、電力を伝送可能な対象装置の状態を的確に測定するための一般的な手法について説明する。PCU40のように対象装置の動作モードが別の動作モードに切り替わると、各チャネルを通して伝送される電力の伝送方向又は電力の経路が切り替わる装置が存在する。このような対象装置においては、仮にチャネル数がN個(2以上の自然数)とすると、伝送パターンの数は最大で2N個となる。例えば、チャネル数が3個である場合は伝送パターンの数が最大で8個となる。
【0154】
そのため、2N個の動作モードを有する対象装置に対して伝送状態を測定するためには、あらかじめ2N個の演算式を用意することが一般的である。この場合、測定者が意図せずに一又は複数のチャネルで電力の伝送方向が自動で切り替わる対象装置において、当該対象装置が動作している状態では、その時点でどの演算式で得られた値を選択すべきかを適切に判断することは困難である。それゆえ、測定結果をリアルタイムに表示させることは難しかった。
【0155】
これに対し、本実施形態によれば、記憶部110に保持された、各チャネルの設定方向を示す基準情報を用いることにより、各チャネルの設定方向に対する測定信号の向きを示す符号が特定される。そして測定信号の符号を識別することにより、各チャネルの伝送電力が対象装置の入力電力であるか、出力電力であるか、又はゼロであるかを判定することができる。したがって、本実施形態における電力測定装置100は、対象装置の伝送パターンに対応する多数の演算式をあらかじめ用意しなくても、対象装置の状態を測定することができる。これに加え、測定結果をリアルタイムに表示することが可能である。
【0156】
例えば、処理部160は、各チャネルC1,C2,C3の設定方向に対する測定信号の符号に基づいて同じ向きの複数の測定信号に示される電力の大きさを累積する。これにより、PCU40により電力の伝送方向が切り替えられた場合であっても、PCU40の入力電力の総和又は出力電力の総和を正しく演算することができる。
【0157】
また、本実施形態における処理部160は、設定方向が出力方向であるチャネルのうち測定信号が正であるチャネルの電力と、設定方向が入力方向であるチャネルのうち測定信号が負であるチャネルの電力の絶対値と、の和を取る第一加算手段として出力算出部162を備える。
【0158】
さらに処理部160は、設定方向が入力方向であるチャネルのうち測定信号が正であるチャネルの電力と、設定方向が出力方向であるチャネルのうち測定信号が負であるチャネルの電力の絶対値と、の和を取る第二加算手段としての入力算出部161を備える。そして処理部160は、出力算出部162により得られる和と、入力算出部161により得られる和とに基づいて、PCU40の伝送状態を示す伝送指標を演算する指標演算手段として伝送指標演算部163を備える。
【0159】
この構成によれば、処理部160は、PCU40における入力電力の総和と出力電力の総和とが得られるので、PCU40内の電力の伝送状態を求めることができる。
【0160】
また、本実施形態における伝送指標演算部163は、出力算出部162で得られる和を入力算出部161で得られる和により除してPCU40の電力効率ηを演算する。このように伝送指標演算部163は、PCU40の入力電力の総和及び出力電力の総和を用いてPCU40の電力効率ηを求めることができる。
【0161】
また、本実施形態における伝送指標演算部163は、入力算出部161によって得られる和から、出力算出部162によって得られる和を減じてPCU40の電力損失PLを演算する。このように伝送指標演算部163は、PCU40の入力電力の総和及び出力電力の総和を用いてPCU40の電力損失PLを求めることができる。
【0162】
また、本実施形態における電力測定装置100は、チャネルC1乃至C3に伝送される電力の大きさを検出する複数のセンサとしてセンサ部101乃至103を備える。さらに電力測定装置100は、基準情報に示される各チャネルC1,C2,C3の設定方向を報知する報知手段として表示部120を備える。
【0163】
この構成によれば、チャネルC1乃至C3に対してセンサ部101乃至103の位置及び向きが誤って取り付けられるのを抑制することができる。これにより、センサ部101乃至103の誤結線に伴ってPCU40の伝送指標が正しく算出されないという事態を回避することができる。
【0164】
特に、センサ部101乃至103を構成する交流電流センサについては、基準情報に示された各チャネルC1,C2,C3の設定方向に向かって流れる電流の値がプラスとなるように電流センサを取り付けることが必要となる。しかしながら、設定方向に流れる電流の値がマイナスとなるように電流センサを取り付けてしまうと、電力効率η及び電力損失PLが誤って算出される。そのため、基準情報に示される各チャネルC1,C2,C3の設定方向を利用者に報知することにより、利用者による電流センサの取り付け方向の間違いを回避することができる。
【0165】
なお、表示部120の代わりに、音声を出力するスピーカなどの出力装置を用いて報知手段を構成してもよい。例えば、出力装置は、記憶部110に記憶された基準情報に従って「チャネルC1に取り付ける電流センサは、測定対象装置に向かって流れる電流がプラスとなるように取り付けてください。」という旨を音声で出力する。
【0166】
また、本実施形態における電力測定装置100は、PCU40に接続されたチャネルC1,C2,C3ごとに、基準情報に示されている設定方向を示す画像を表示する表示手段として表示部120を備える。そして表示部120は、チャネルC1,C2,C3ごとに、基準情報に示された設定方向に対する測定信号の向きを示す符号の変化に応じて、画像に示された設定方向を、設定方向と反対の向きに変更する。
【0167】
この構成によれば、各チャネルC1,C2,C3を介して伝送されている実際の電力の伝送方向をリアルタイムに表示することができる。これにより、利用者は、PCU40に対する電力の流れをリアルタイムに把握することができ、PCU40の現在の動作モードを把握することが可能となる。
【0168】
以上、本発明の実施形態について説明したが、上記実施形態は本発明の適用例の一部を示したに過ぎず、本発明の技術的範囲を上記実施形態の具体的構成に限定する趣旨ではない。
【0169】
本実施形態では電力を伝送可能な対象装置として複数のチャネルC1乃至C3が接続されたPCU40を例に挙げて説明したが、これに限られるものではない。
【0170】
例えば、
図1に示した一つのチャネルC
1のみ接続されたバッテリ10が対象装置であってもよい。この場合、電力測定装置100は、基準情報に示された設定方向に対する測定信号の符号に基づいてバッテリ10の入力電力(充電電力)又は出力電力(放電電力)を求めることができる。
【0171】
あるいは、発電用モータ20又は駆動用モータ30などの電動モータが対象装置であってもよい。この場合、電力測定装置100は、基準情報に示された各相の設定方向に対する測定信号の符号に基づいて、電動モータの効率、すなわち機械的なエネルギーの効率を測定することができる。
【0172】
また、本実施形態では電力を双方向に伝送可能な対象装置であるPCU40の伝送状態を測定する例について説明したが、これに限られるものではない。例えば、複数のチャネルを接続可能な対象装置であって、チャネルを通して伝送される電力の伝送方向は変わらないものの、対象装置の動作モードに応じて電力の経路の数が増えたり減ったりする装置に対しても本実施形態の電力測定装置100による作用効果が得られる。
【0173】
また、本実施形態では三つのチャネルC1乃至C3に接続されたPCU40を対象装置としたが、対象装置は、二つのチャネルに接続されたものでも、四つ以上のチャネルに接続されたものであってもよい。
【符号の説明】
【0174】
1 電力伝送システム
10 バッテリ
20 発電用モータ
30 駆動用モータ
40 PCU(対象装置)
100 電力測定装置
110 記憶部(基準保持手段)
120 表示部(表示手段、報知手段)
130 操作部
140 通信部
150 測定部(演算手段)
160 処理部(電力信号取得手段)
161 入力算出部(第二加算手段)
162 出力算出部(第一加算手段)
163 伝送指標演算部(指標演算手段)
S1、S2、S3~S10(基準保持ステップ、電力信号取得ステップ、演算ステップ)
【手続補正書】
【提出日】2022-05-06
【手続補正1】
【補正対象書類名】特許請求の範囲
【補正対象項目名】全文
【補正方法】変更
【補正の内容】
【特許請求の範囲】
【請求項1】
複数のチャネルを通して伝送される電力の伝送方向のうち少なくとも一つのチャネルの伝送方向を切替え可能な対象装置の状態を測定する測定装置であって、
前記チャネルごとに伝送される電力の基準となる伝送方向が、前記対象装置に電力を入力する入力方向であるか、又は前記対象装置から電力を出力する出力方向であるかを示す情報を保持する基準保持手段と、
前記チャネルごとに伝送される電力の向き及び大きさを示す信号を取得する電力信号取得手段と、
前記情報に示される各チャネルの前記電力の基準となる伝送方向に対する前記信号の向きを示す符号に基づいて、前記対象装置の入力電力及び出力電力の少なくとも一方を演算する演算手段と、
を備える測定装置。
【請求項2】
請求項1に記載の測定装置であって、
前記演算手段は、
前記電力の基準となる伝送方向が前記出力方向であるチャネルのうち前記信号が正であるチャネル、及び前記電力の基準となる伝送方向が前記入力方向であるチャネルのうち前記信号が負であるチャネルの各電力の絶対値の和を取る第一加算手段と、
前記電力の基準となる伝送方向が前記入力方向であるチャネルのうち前記信号が正であるチャネル、及び前記電力の基準となる伝送方向が前記出力方向であるチャネルのうち前記信号が負であるチャネルの各電力の絶対値の和を取る第二加算手段と、
前記第二加算手段で得られる前記和と前記第一加算手段で得られる前記和とに基づいて、前記対象装置の伝送状態を示す指標を演算する指標演算手段と、
を含む測定装置。
【請求項3】
請求項2に記載の測定装置であって、
前記指標演算手段は、前記第二加算手段で得られる前記和により前記第一加算手段で得られる前記和を除して前記対象装置の電力効率を算出する、
測定装置。
【請求項4】
請求項2又は請求項3に記載の測定装置であって、
前記指標演算手段は、前記第二加算手段で得られる和から前記第一加算手段で得られる前記和を減じて前記対象装置の電力損失を算出する、
を含む測定装置。
【請求項5】
請求項2から請求項4のいずれか一項に記載の測定装置であって、
前記チャネルを通して伝送される電力の大きさを検出する複数のセンサと、
前記チャネルごとに前記情報に示される前記伝送方向を報知する報知手段と、
を含む測定装置。
【請求項6】
請求項2から請求項5のいずれか一項に記載の測定装置であって、
前記チャネルごとに前記情報に示される前記伝送方向を示す画像を表示する表示手段を備え、
前記表示手段は、前記チャネルごとに、前記情報に示される前記伝送方向に対する前記信号の符号の変化に応じて前記画像に示される前記伝送方向を変更する、
測定装置。
【請求項7】
複数のチャネルを通して伝送される電力の伝送方向のうち少なくとも一つのチャネルの伝送方向を切替え可能な対象装置の状態を測定する測定方法であって、
前記チャネルごとに伝送される電力の基準となる伝送方向が、前記対象装置に電力を入力する入力方向であるか、又は前記対象装置から電力を出力する出力方向であるかを示す情報を保持する基準保持ステップと、
前記チャネルごとに伝送される電力の向き及び大きさを示す信号を取得する電力信号取得ステップと、
前記情報に示される各チャネルの前記電力の基準となる伝送方向に対する前記信号の向きを示す符号に基づいて、前記対象装置の入力電力及び出力電力の少なくとも一方を演算する演算ステップと、
を備える測定方法。
【請求項8】
複数のチャネルを通じて伝送される電力の伝送方向のうち少なくとも一つのチャネルの伝送方向を切替え可能な対象装置の状態を測定するコンピュータに、
前記チャネルごとに伝送される電力の基準となる伝送方向が、前記対象装置に電力を入力する入力方向であるか、又は前記対象装置から電力を出力する出力方向であるかを示す情報を保持する基準保持ステップと、
前記チャネルごとに伝送される電力の向き及び大きさを示す信号を取得する電力取得ステップと、
前記情報に示される各チャネルの前記電力の基準となる伝送方向に対する前記信号の向きを示す符号に基づいて、前記対象装置の入力電力及び出力電力の少なくとも一方を演算する演算ステップと、
を実行させるためのプログラム。
【手続補正2】
【補正対象書類名】明細書
【補正対象項目名】0066
【補正方法】変更
【補正の内容】
【0066】
さらに、処理部160は、測定データを表示部120に出力する。これにより、表示部120は、測定データを所定の形式で表示するための画像データを生成し、生成した画像データを画面に表示する。
【手続補正3】
【補正対象書類名】明細書
【補正対象項目名】0085
【補正方法】変更
【補正の内容】
【0085】
入力算出部161は、設定方向が入力方向であるチャネルのうち測定信号が正であるチャネル、及び設定方向が出力方向であるチャネルのうち測定信号が負であるチャネルの各電力の絶対値の和を取る第二加算手段を構成する。
【手続補正4】
【補正対象書類名】明細書
【補正対象項目名】0093
【補正方法】変更
【補正の内容】
【0093】
出力算出部162は、設定方向が入力方向であるチャネルのうち測定信号が負であるチャネル、及び設定方向が出力方向であるチャネルのうち測定信号が正であるチャネルの各電力の絶対値の和を取る第一加算手段を構成する。
【手続補正5】
【補正対象書類名】明細書
【補正対象項目名】0137
【補正方法】変更
【補正の内容】
【0137】
ステップS21において電力測定装置100は、ステップS6で得られた出力電力XをステップS8で得られた入力電力Yから減じて得られた値を対象装置の電力損失PLに設定する。そして、損失演算方法に関する一連の処理手順が終了する。