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特開2022-177670上部スプレッダ取付装置、および上部スプレッダの取付方法
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  • 特開-上部スプレッダ取付装置、および上部スプレッダの取付方法 図1
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2022177670
(43)【公開日】2022-12-01
(54)【発明の名称】上部スプレッダ取付装置、および上部スプレッダの取付方法
(51)【国際特許分類】
   B66C 23/26 20060101AFI20221124BHJP
   B66C 23/82 20060101ALI20221124BHJP
【FI】
B66C23/26 F
B66C23/82 D
【審査請求】未請求
【請求項の数】7
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2021084090
(22)【出願日】2021-05-18
(71)【出願人】
【識別番号】000246273
【氏名又は名称】コベルコ建機株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110001841
【氏名又は名称】弁理士法人ATEN
(72)【発明者】
【氏名】小泉 幸雄
(72)【発明者】
【氏名】宮 英司
(72)【発明者】
【氏名】西嶋 浩司
(72)【発明者】
【氏名】栗原 慎吾
(72)【発明者】
【氏名】江藤 崇夫
(72)【発明者】
【氏名】高岡 大輔
(72)【発明者】
【氏名】渡邉 拓也
(72)【発明者】
【氏名】服部 正太郎
【テーマコード(参考)】
3F205
【Fターム(参考)】
3F205AA07
3F205DA02
3F205DA03
(57)【要約】
【課題】上部スプレッダを起伏部材に取り付ける作業にかかる手間および時間を抑制する。
【解決手段】取付ピン90は、上部スプレッダ側取付孔35と取付部側取付孔75とに差し込まれることで取付部50に上部スプレッダ30を接続する。取付部50は、ブーム13に設けられ、上部スプレッダ30を取り付け可能であり、ピン取付位置P1を位置調整方向D2に可変に構成される。ピン取付位置P1は、取付部側取付孔75への取付ピンの取り付け位置である。位置調整方向D2は、ブーム高さ方向Zb(ブーム13の高さ方向)およびブーム長手方向Xb(ブーム13の長手方向)の少なくともいずれかを含む方向である。
【選択図】図3
【特許請求の範囲】
【請求項1】
クレーンの起伏部材に設けられる上部スプレッダ取付装置であって、
上部スプレッダ側取付孔を有する上部スプレッダと、
前記起伏部材に設けられ、前記上部スプレッダを取り付け可能であり、取付部側取付孔を有する取付部と、
前記上部スプレッダ側取付孔と前記取付部側取付孔とに差し込まれることで前記取付部に前記上部スプレッダを接続する取付ピンと、
を備え、
前記取付部は、前記取付部側取付孔への前記取付ピンの取り付け位置であるピン取付位置を、前記起伏部材の高さ方向および長手方向の少なくともいずれかを含む方向である位置調整方向に可変に構成される、
上部スプレッダ取付装置。
【請求項2】
請求項1に記載の上部スプレッダ取付装置であって、
前記上部スプレッダは、被ガイド部を備え、
前記取付部は、
前記被ガイド部に接触可能であり、前記起伏部材の横方向から見たときに前記起伏部材の長手方向に対して傾斜する方向である傾斜方向に沿って前記被ガイド部をガイドするガイド部と、
前記被ガイド部に接触可能であり、前記傾斜方向への前記被ガイド部の移動を規制する規制部と、
を備え、
前記取付部側取付孔は、前記ガイド部および前記規制部に前記被ガイド部が接触したときに、前記上部スプレッダ側取付孔と前記取付部側取付孔とに前記取付ピンを差し込み可能となる位置に配置され、
前記取付部は、前記規制部および前記取付部側取付孔の少なくともいずれかの前記起伏部材に対する位置を前記位置調整方向に可変とすることで、前記ピン取付位置を前記位置調整方向に可変とするように構成される、
上部スプレッダ取付装置。
【請求項3】
請求項2に記載の上部スプレッダ取付装置であって、
前記取付部は、
前記起伏部材に固定された固定フレームと、
前記固定フレームに対して可動であり、前記取付部側取付孔が形成された可動フレームと、
前記固定フレームおよび前記可動フレームの一方に設けられた凸部と、
前記固定フレームおよび前記可動フレームのうち前記凸部が設けられる方とは異なる方に設けられ、前記位置調整方向に相対移動可能に前記凸部に取り付けられた凹部と、
前記固定フレームおよび前記可動フレームに差し込まれることで、前記固定フレームに対する前記可動フレームの位置を固定する位置決め部材と、
を備える、
上部スプレッダ取付装置。
【請求項4】
請求項2に記載の上部スプレッダ取付装置であって、
前記取付部側取付孔は、前記位置調整方向に長い長孔であり、
前記取付部は、前記起伏部材に対する前記規制部の位置が前記取付部側取付孔の長手方向に可変であることにより、前記ピン取付位置を前記位置調整方向に可変とするように構成される、
上部スプレッダ取付装置。
【請求項5】
請求項4に記載の上部スプレッダ取付装置であって、
前記取付部側取付孔は、前記ガイド部の前記傾斜方向に長い長孔である、
上部スプレッダ取付装置。
【請求項6】
請求項1~5のいずれか1項に記載の上部スプレッダ取付装置であって、
前記取付部は、前記起伏部材の横方向の両側部分に設けられた、
上部スプレッダ取付装置。
【請求項7】
請求項2~5のいずれか1項に記載の上部スプレッダ取付装置を前記起伏部材に取り付ける、上部スプレッダの取付方法であって、
前記取付部は、前記起伏部材の横方向の両側部分に設けられ、
前記取付部よりも上側から前記取付部に前記上部スプレッダが近づけられたときに、前記被ガイド部が前記ガイド部に接触するように、前記起伏部材の横方向の両側部分に設けられた前記取付部のそれぞれの前記ピン取付位置が、個別に調整される、
上部スプレッダの取付方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、起伏部材に上部スプレッダを取付けるための上部スプレッダ取付装置、および上部スプレッダの取付方法に関する。
【背景技術】
【0002】
例えば特許文献1などに、従来の上部スプレッダ取付装置が記載されている。同文献に記載の技術では、上部スプレッダが、起伏部材に設けられた取付部に、取付ピンにより取り付けられる(同文献の図1図5参照)。この技術では、上部スプレッダ側の取付ピンの取付孔と、取付部側の取付ピンの取付孔と、の位置合わせを容易に行うことが図られている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2020-29348号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかし、取付部の所定位置に向かって上部スプレッダが降下させられたときの、上部スプレッダの姿勢は、上部スプレッダの重心位置、および、上部スプレッダに接続されたガイラインや起伏ロープの張力などによって変わる。その結果、上部スプレッダが降下させられたときに、上部スプレッダ側の取付ピンの取付孔と取付部側の取付ピンの取付孔との位置が合わない場合がある。そのため、人力による取付孔の位置合わせの作業が必要になる場合がある。その結果、上部スプレッダを起伏部材に取り付ける作業に、手間および時間がかかる。
【0005】
そこで、上部スプレッダを起伏部材に取り付ける作業にかかる手間および時間を抑制することができる、上部スプレッダ取付装置、および上部スプレッダの取付方法を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
上部スプレッダ取付装置は、クレーンの起伏部材に設けられ、上部スプレッダと、取付部と、取付ピンと、を備える。前記上部スプレッダは、上部スプレッダ側取付孔を有する。前記取付部は、前記起伏部材に設けられ、前記上部スプレッダを取り付け可能であり、取付部側取付孔を有する。前記取付ピンは、前記上部スプレッダ側取付孔と前記取付部側取付孔とに差し込まれることで前記取付部に前記上部スプレッダを接続する。前記取付部は、前記取付部側取付孔への前記取付ピンの取り付け位置であるピン取付位置を、前記起伏部材の高さ方向および長手方向の少なくともいずれかを含む方向である位置調整方向に可変に構成される。
【発明の効果】
【0007】
上記構成により、上部スプレッダを起伏部材に取り付ける作業にかかる手間および時間を抑制することができる。
【図面の簡単な説明】
【0008】
図1】クレーン1を横方向Yから見た図である。
図2図1に示す第1実施形態の上部スプレッダ取付装置20の斜視図であり、被ガイド部40がガイド部71のブーム上側Zb1部分に接触した状態を示す図である。
図3図2に示す上部スプレッダ取付装置20を横方向Yから見た図である。
図4図2相当図であり、被ガイド部40が規制部73に接触した状態を示す図である。
図5図4に示す上部スプレッダ取付装置20を横方向Yから見た図である。
図6図5のF6-F6矢視断面図である。
図7】第2実施形態の図3相当図である。
図8】第2実施形態の図5相当図である。
図9】第3実施形態の図3相当図である。
図10】第3実施形態の図5相当図である。
【発明を実施するための形態】
【0009】
(第1実施形態)
図1図6を参照して、図1に示す上部スプレッダ取付装置20を備えるクレーン1について説明する。
【0010】
クレーン1は、ブーム13(起伏部材)を用いた作業を行う作業機械であり、例えば建設作業を行う建設機械である。クレーン1は、下部本体11と、上部旋回体12と、ブーム13と、ガントリ14(起伏部材)と、下部スプレッダ15と、ガイライン16と、起伏ウインチ17と、起伏ロープ18と、上部スプレッダ取付装置20と、を備える。
【0011】
下部本体11は、上部旋回体12を下側Z2から支持する。下部本体11は、走行可能でもよく、走行不可能でもよい。クレーン1は、移動式クレーンでもよく、固定式クレーンでもよい。
【0012】
上部旋回体12(クレーン本体)は、下部本体11に対して旋回可能である。上部旋回体12には、ブーム13が回転可能に取り付けられる。上部旋回体12には、ガントリ14が取り付けられる。下部本体11に対する上部旋回体12の回転軸が延びる方向を上下方向Zとする。上下方向Zにおいて、下部本体11から上部旋回体12に向かう側を上側Z1とし、その逆側を下側Z2とする。上部旋回体12に対するブーム13の回転軸が延びる方向を、横方向Yとする。横方向Yおよび上下方向Zのそれぞれに直交する方向を、前後方向Xとする。前後方向Xにおいて、上部旋回体12へのガントリ14の取り付け位置から、上部旋回体12へのブーム13の取り付け位置に向かう側を前側X1とし、その逆側を後側X2とする。
【0013】
ブーム13(起伏部材)は、上部旋回体12に起伏(回転)可能に取り付けられる。ブーム13は、上部旋回体12の前側X1部分に取り付けられる。例えば、ブーム13は、パイプを組み合わせたラチス構造を有するラチスブームなどである。ブーム13の中心軸であって、ブーム13の長手方向に延びる中心軸を、ブーム中心軸13aとする。ブーム中心軸13aが延びる方向が水平方向または略水平方向となるようにブーム13を伏せた状態のときの、ブーム13の上面となる面をブーム背面13bとし、ブーム13の下面となる面をブーム腹面13cとする。ブーム13は、下部ブーム13eと、中間ブーム13fと、上部ブーム13gと、を備える。
【0014】
(ブーム13に関する方向)
ブーム中心軸13aが延びる方向を、ブーム長手方向Xbとする。ブーム長手方向Xbにおいて、ブーム13の基端部(上部旋回体12に取り付けられる側の部分)から先端部(上部旋回体12に取り付けられる側とは反対側の部分)に向かう側をブーム先端側Xb1とし、その逆側をブーム基端側Xb2とする。上部旋回体12に対するブーム13の回転軸が延びる方向(横方向Y)を、ブーム横方向Ybともいう。ブーム長手方向Xbおよびブーム横方向Ybのそれぞれに直交する方向を、ブーム高さ方向Zbとする。ブーム高さ方向Zbにおいて、ブーム腹面13cからブーム背面13bに向かう側をブーム上側Zb1(起伏部材上側)とし、その逆側をブーム下側Zb2(起伏部材下側)とする。
【0015】
下部ブーム13eは、ブーム13の基端部を含む。上部ブーム13gは、ブーム13の先端部を含む。中間ブーム13fは、下部ブーム13eと上部ブーム13gとの間に設けられる。下部ブーム13e、中間ブーム13f、および上部ブーム13gは、例えばピンなどの連結具によって連結される。中間ブーム13fの個数(図1に示す例では2個)が変えられることで、ブーム13全体の長さが変えられる。
【0016】
ガントリ14(起伏部材)、下部スプレッダ15、ガイライン16、起伏ウインチ17、起伏ロープ18、および上部スプレッダ30(後述)は、上部旋回体12に対してブーム13を起伏させるブーム起伏装置を構成する。
【0017】
ガントリ14は、上部旋回体12に取り付けられる。ガントリ14は、ブーム13よりも後側X2に配置される。ガントリ14は、コンプレッションメンバ14cと、テンションメンバ14dと、を備える。
【0018】
コンプレッションメンバ14cは、上部旋回体12に回転(起伏)可能に取り付けられる。コンプレッションメンバ14cは、上部旋回体12に、ピンを介して、着脱可能に取り付けられる。クレーン1の使用時(クレーン作業時、吊荷を吊り上げる作業などが行われる時)には、コンプレッションメンバ14cは、基端部から先端部に向かって、後側X2および上側Z1に延びるように配置される。コンプレッションメンバ14cの長手方向の両端部のうち、上部旋回体12に取り付けられる側の端部が「基端部」であり、上部旋回体12に取り付けられる側とは反対側の端部が「先端部」である。クレーン1の分解時および組立時などには、コンプレッションメンバ14cは、倒伏姿勢となる場合がある。倒伏姿勢のコンプレッションメンバ14cは、基端部から先端部に向かって後側X2に延びるように、コンプレッションメンバ14cの長手方向が前後方向Xまたは略前後方向Xに延びるように配置される。コンプレッションメンバ14cが倒伏姿勢のときの、コンプレッションメンバ14cの上面を、ガントリ背面14bとする。例えば、コンプレッションメンバ14cは、横方向Yに間隔をあけて配置される2本の(左右一対の)構造物を備える(図示なし)。
【0019】
テンションメンバ14dは、コンプレッションメンバ14cの先端部と上部旋回体12とに接続される。テンションメンバ14dは、横方向Yに間隔をあけて配置される2本の(左右一対の)部材を備える(図示なし)。例えば、テンションメンバ14dが備える2本の部材のそれぞれは、リンク部材を連結したものなどである。
【0020】
下部スプレッダ15は、コンプレッションメンバ14cの先端部(ガントリ14の先端部)に設けられる。下部スプレッダ15は、起伏ロープ18が掛けられる複数のシーブ(滑車)を備える。
【0021】
ガイライン16は、クレーン1の使用時などに、上部スプレッダ30とブーム13の先端部(上部ブーム13g)とに接続される。ガイライン16は、クレーン1の分解時には、上部スプレッダ30に接続されない場合がある。例えば、ガイライン16は、ロープ(ガイロープ、ペンダントロープ)を備えてもよく、リンク(ガイリンク)を備えてもよく、ロープおよびリンクを備えてもよい。
【0022】
起伏ウインチ17(ブーム起伏ウインチ)は、起伏ロープ18の巻き取りおよび繰り出しを行う。起伏ウインチ17は、上部旋回体12に取り付けられてもよく、コンプレッションメンバ14cに取り付けられてもよい(図1において二点鎖線で示す起伏ウインチ17を参照)。
【0023】
起伏ロープ18は、起伏ウインチ17に巻き付けられる。起伏ロープ18は、起伏ウインチ17から引き出され、下部スプレッダ15のシーブに掛けられ、下部スプレッダ15および上部スプレッダ30のシーブに掛け回される。起伏ロープ18の先端部は、所定の箇所(例えばガントリ14、下部スプレッダ15、または上部スプレッダ30など)に固定される。起伏ウインチ17が、起伏ロープ18を巻き取りおよび繰り出しすると、下部スプレッダ15と上部スプレッダ30との間隔が変わる。クレーン1の使用時には、上部スプレッダ30とブーム13の先端部とがガイライン16で接続されているので、下部スプレッダ15と上部スプレッダ30との間隔が変わると、上部旋回体12に対してブーム13が起伏する。
【0024】
上部スプレッダ取付装置20は、起伏部材(例えばブーム13)に設けられる。上部スプレッダ取付装置20は、上部スプレッダ30を起伏部材に取り付けるための装置である。上部スプレッダ取付装置20は、上部スプレッダ30の起伏部材への取り付けを容易にする。上部スプレッダ取付装置20は、上部スプレッダ30と、取付部50と、取付ピン90(図5参照)と、を備える。
【0025】
上部スプレッダ30は、ブーム起伏装置を構成する。上部スプレッダ30は、図2に示す上部スプレッダフレーム31と、上部スプレッダシーブ33と、上部スプレッダ側取付孔35と、被ガイド部支持部37(図6参照)と、被ガイド部40と、を備える。
【0026】
(上部スプレッダ30に関する方向)
上部スプレッダ30に関する方向には、スプレッダ前後方向Xsと、スプレッダ横方向Ysと、スプレッダ上下方向Zsと、がある。図1において二点鎖線で示すように、起伏ロープ18およびガイライン16が上部スプレッダ30に接続され、起伏ロープ18およびガイライン16が略直線状に配置された状態(以下、この状態を上部スプレッダ30の「使用状態」という)になる場合がある。図3に示すように、スプレッダ前後方向Xsは、上部スプレッダ30が使用状態のときの、起伏ロープ18およびガイライン16が延びる方向である。図2に示すように、スプレッダ横方向Ysは、上部スプレッダ30が使用状態のときに、横方向Yと一致または略一致する方向である。スプレッダ横方向Ysにおいて、上部スプレッダ30の中央部(スプレッダ横方向Ysにおける中央部)に向かう側をスプレッダ横方向Ys内側とし、上部スプレッダ30の中央部から遠ざかる側をスプレッダ横方向Ys外側とする。スプレッダ上下方向Zsは、スプレッダ前後方向Xsおよびスプレッダ横方向Ysのそれぞれに直交または略直交する方向である。
【0027】
上部スプレッダフレーム31は、上部スプレッダシーブ33および被ガイド部40を支持するフレーム(構造物)である。例えば、上部スプレッダフレーム31は、上下部材31aと、側部部材31bと、ガイライン接続部31dと、を備える。
【0028】
上下部材31aは、上部スプレッダフレーム31のスプレッダ上下方向Zsの両側(上下)部分を構成する。例えば、上下部材31aは、スプレッダ上下方向Zsに間隔を開けて配置される2枚の板を備える。
【0029】
側部部材31bは、上部スプレッダフレーム31の、スプレッダ横方向Ys外側の両側(左右)部分を構成する。左右の側部部材31b・31bのそれぞれは、図6に示すように、内側側部部材31biと、外側側部部材31boと、を備える。内側側部部材31biは、スプレッダ前後方向Xsおよびスプレッダ上下方向Zsに延びる板状部材などである(外側側部部材31boも同様)。内側側部部材31biには、上部スプレッダ側取付孔35が形成される(外側側部部材31boも同様)。外側側部部材31boは、内側側部部材31biよりもスプレッダ横方向Ys外側に配置される。外側側部部材31boは、上部スプレッダフレーム31のスプレッダ横方向Ys外側の面(側面)を構成する。
【0030】
ガイライン接続部31dは、図2に示すように、ガイライン16(図3参照)が取り付けられる部分である。ガイライン接続部31dは、例えばピン孔を備え、例えば上部スプレッダ30にガイライン16を接続するためのピンを差し込み可能なピン孔を備える。ガイライン接続部31dは、上下部材31aに設けられてもよく、側部部材31bに設けられてもよい。
【0031】
上部スプレッダシーブ33は、図3に示すように、起伏ロープ18が掛けられるシーブ(滑車)である。上部スプレッダシーブ33は、上部スプレッダフレーム31に回転可能に取り付けられる。上部スプレッダシーブ33は、横シーブを備えてもよく、縦シーブを備えてもよい。横シーブの上部スプレッダシーブ33の回転軸の方向は、スプレッダ上下方向Zsである。縦シーブの上部スプレッダシーブ33の回転軸の方向は、スプレッダ横方向Ysである。上部スプレッダシーブ33は、上下部材31aに取り付けられてもよく、側部部材31bに取り付けられてもよい。
【0032】
上部スプレッダ側取付孔35は、図6に示すように、取付ピン90を差し込み可能な孔(さらに詳しくは孔の内面)である。上部スプレッダ側取付孔35は、取付部50に上部スプレッダ30を取付ピン90で連結するための部分である。上部スプレッダ側取付孔35は、上部スプレッダフレーム31に設けられる(形成される)。上部スプレッダ側取付孔35は、例えば、側部部材31bに形成され、例えば、内側側部部材31biおよび外側側部部材31boのそれぞれに設けられる。
【0033】
被ガイド部支持部37は、上部スプレッダフレーム31に対して被ガイド部40を回転可能に支持する。被ガイド部支持部37は、上部スプレッダフレーム31に固定される。被ガイド部支持部37は、上部スプレッダフレーム31からスプレッダ横方向Ysに突出する。被ガイド部支持部37は、上部スプレッダフレーム31のスプレッダ横方向Ys両側(左右)に設けられる。例えば、被ガイド部支持部37は、円筒状(中空の円筒状、円筒ピン)である。被ガイド部支持部37の内面は、上部スプレッダ側取付孔35を構成する。例えば、被ガイド部支持部37の径方向の内側(さらに詳しくは被ガイド部支持部37の内面よりも径方向内側)の部分は、中空である(取付ピン90が差し込まれる中空部40cを参照)。被ガイド部支持部37の中心軸(円筒の中心軸)の方向は、スプレッダ横方向Ysである。
【0034】
被ガイド部40は、図2に示すように、ガイド部71(後述)に沿って移動可能であり、ガイド部71にガイドされる。被ガイド部40は、上部スプレッダフレーム31に設けられる。図6に示すように、被ガイド部40は、被ガイド部支持部37の径方向の外側(被ガイド部支持部37よりも径方向外側)に配置される。図2に示すように、被ガイド部40は、上部スプレッダフレーム31のスプレッダ横方向Ys両側(左右)に設けられる。例えば、被ガイド部40は、上部スプレッダフレーム31のスプレッダ横方向Ys外側の面(外側側部部材31bo)よりも、スプレッダ横方向Ys外側に配置されてもよく、スプレッダ横方向Ys内側に配置されてもよい(図示なし)。図6に示すように、被ガイド部40は、後述する被ガイド部中心軸40aを中心とする円筒状(中空の円筒状)である。なお、被ガイド部40は、被ガイド部中心軸40aを中心とする円柱状などでもよい。被ガイド部40には、被ガイド部中心軸40aと、中空部40cと、がある。また、被ガイド部40は、軸受40bを備える。
【0035】
被ガイド部中心軸40aは、被ガイド部40の中心軸であって、スプレッダ横方向Ysに延びる中心軸である。被ガイド部中心軸40aは、スプレッダ横方向Ysと一致または略一致する方向に延びるように配置される。例えば、被ガイド部中心軸40aは、スプレッダ横方向Ysから見て、上部スプレッダ側取付孔35と重なる位置に配置される。図5に示す例では、被ガイド部中心軸40aの位置は、上部スプレッダ側取付孔35の中心軸と一致または略一致する。
【0036】
軸受40bは、図6に示すように、上部スプレッダフレーム31に対して被ガイド部40を回転可能に支持する。被ガイド部40は、被ガイド部中心軸40a(スプレッダ横方向Ysの回転軸)を中心に、上部スプレッダフレーム31に取り付けられるローラである。なお、軸受40bは設けられなくてもよく、被ガイド部40はローラでなくてもよい。図2に示す被ガイド部40は、上部スプレッダフレーム31に対して固定されてもよい。
【0037】
中空部40cは、図6に示すように、被ガイド部40よりも径方向内側の空間(部分)である。中空部40cは、上部スプレッダ側取付孔35と連続するように設けられ、さらに詳しくは上部スプレッダ側取付孔35とスプレッダ横方向Ysに連続するように設けられる。中空部40cは、中空部40cおよび上部スプレッダ側取付孔35を貫通するように、取付ピン90を差し込み可能となるように構成される。なお、被ガイド部40は、中空部40cを有さなくてもよい(中空でなくてもよい)。また、上部スプレッダ側取付孔35は、スプレッダ横方向Ysから見て中空部40cと重なる位置に配置されなくてもよい。上部スプレッダ側取付孔35は、スプレッダ横方向Ysから見て、被ガイド部40よりも径方向外側に配置されてもよい。
【0038】
取付部50は、図1に示すように、上部スプレッダ30が取り付けられる部分である。取付部50は、起伏部材に設けられる。さらに詳しくは、取付部50には、例えば、ブーム13に設けられるブーム側取付部50Bと、ガントリ14に設けられるガントリ側取付部50Gと、がある。例えば、ブーム側取付部50Bは、ブーム背面13bに取り付けられる。例えば、ガントリ側取付部50Gは、ガントリ背面14bに取り付けられる。ブーム側取付部50Bとガントリ側取付部50Gとは、同様またはほぼ同様に構成される。ブーム側取付部50Bと、ガントリ14に設けられるガントリ側取付部50Gと、のうち一方のみが設けられてもよい。以下では、主にブーム側取付部50Bについて説明する。
【0039】
この取付部50(ブーム側取付部50B)は、下部ブーム13eに設けられてもよく、中間ブーム13fに設けられてもよい。例えば、取付部50は、下部ブーム13eのブーム先端側Xb1部分に設けられてもよい。
【0040】
この取付部50は、図2に示すように、ブーム13のブーム横方向Yb両側部分(左右部分)に設けられる。取付部50には、左側(ブーム先端側Xb1に向かって見て左側)の取付部50である左側取付部50Lと、右側の取付部50である右側取付部50Rと、がある。右側取付部50Rと、左側取付部50Lとは、ブーム横方向Ybに互いに対称または略対称に構成される。例えば、取付部50は、図2に示す例のようにブーム13のブーム横方向Yb外側部分に固定されてもよく、ブーム13のブーム横方向Yb外側部分(例えば外側端部)よりもブーム横方向Yb内側部分に固定されてもよい(図示なし)。以下では、取付部50として、主に、ブーム側取付部50Bの右側取付部50Rについて説明する。取付部50は、取付部フレーム60を備える。取付部50の機能に着目すると、取付部50は、ガイド部71と、規制部73と、取付部側取付孔75と、位置調整機構80と、を備える。
【0041】
取付部フレーム60は、取付部50を構成する構造物である。取付部フレーム60は、固定フレーム61と、可動フレーム63と、ガイドフレーム65と、を備える。
【0042】
固定フレーム61は、ブーム13に固定される。固定フレーム61のブーム13への固定は、例えば溶接による固定でもよく、締結部材(例えばボルトおよびナット、例えばピンなど)などによる固定でもよい。固定フレーム61は、ブーム背面13bから、ブーム上側Zb1に突出する。固定フレーム61は、例えば板状などであり、例えば、ブーム高さ方向Zbおよびブーム長手方向Xbに延びるように設けられる(可動フレーム63およびガイドフレーム65も同様)。固定フレーム61は、ブロック状などでもよい(可動フレーム63およびガイドフレーム65も同様)。
【0043】
可動フレーム63は、固定フレーム61に対して可動に取り付けられる(詳細は後述)。
【0044】
ガイドフレーム65は、ガイド部71を含むフレーム(案内部材、例えば案内板など)である。ガイドフレーム65は、可動フレーム63に取り付けられ、可動フレーム63を介して固定フレーム61に取り付けられる。ガイドフレーム65は、固定フレーム61に直接的に取り付けられてもよい(図7参照、詳細は後述)。例えば、ガイドフレーム65は、可動フレーム63に着脱可能に取り付けられてもよく、可動フレーム63に回転可能に取り付けられてもよく、可動フレーム63に固定(常時固定、例えば固着など)されてもよい。ガイドフレーム65は、固定フレーム61に着脱可能に取り付けられてもよく、固定フレーム61に回転可能に取り付けられてもよく、固定フレーム61に固定(常時固定、例えば固着など)されてもよい。取付部フレーム60は、固定フレーム61とガイドフレーム65とに分かれていなくてもよい。例えば、ガイドフレーム65を格納(後述)する必要がない場合などには、固定フレーム61とガイドフレーム65とが一体的に構成されてもよい。
【0045】
このガイドフレーム65は、図5に示すように、ブーム横方向Ybに延びる回転軸を中心に固定フレーム61に対して回転可能である。具体的には、ガイドフレーム65は、ガイド支点部材66を中心に可動フレーム63に対して回転可能である。図2に示すガイドフレーム65は、可動フレーム63よりもブーム横方向Yb外側に配置されてもよく、ブーム横方向Yb内側に配置されてもよい(ガイドフレーム65と固定フレーム61との関係も同様)。図3に示すように、ガイドフレーム65は、ブーム横方向Ybから見て、例えば略多角形状でもよく、例えば略三角形状でもよく、例えば略多角形状でなくてもよい。
【0046】
以下では、ガイドフレーム65が、図5に示すように、可動フレーム63に回転可能に取り付けられる場合について説明する。例えば、ガイドフレーム65は、ガイド支点部材66およびガイド固定部材67により可動フレーム63に取り付けられる。ガイド支点部材66は、可動フレーム63に対するガイドフレーム65の回転の支点となる部材である。ガイド支点部材66は、例えばボルトおよびナットを備える部材でもよく、円柱状または円筒状の部分を有する部材(ピン)でもよい(ガイド固定部材67も同様)。ガイド固定部材67は、可動フレーム63に対するガイドフレーム65の回転を制限する部材である。ガイド支点部材66およびガイド固定部材67が、可動フレーム63およびガイドフレーム65に取り付けられる(例えば差し込まれる、締結される)ことで、可動フレーム63にガイドフレーム65が固定される。
【0047】
このガイドフレーム65は、取付部50の使用時(上部スプレッダ30が取付部50に取り付けられるとき)には、固定フレーム61に対してブーム上側Zb1に突出する(起立する)ように配置される。図5において二点鎖線で示すように、取付部50の不使用時(例えばクレーン作業時など)には、ガイドフレーム65は、ガイドフレーム65の使用時よりも、固定フレーム61に対するブーム上側Zb1への突出量が小さくなるように配置(格納)される。
【0048】
ガイド部71は、図3に示すように、被ガイド部40に接触可能であり、傾斜方向D1に沿って被ガイド部40をガイドする。さらに詳しくは、ガイド部71は、被ガイド部40をガイド部71に接触させながら、傾斜方向D1に沿って被ガイド部40を移動させる。ガイド部71は、ブーム13に対して固定される。ガイド部71は、取付部フレーム60に設けられ、さらに詳しくは、ガイドフレーム65に設けられる。ガイド部71(傾斜部、傾斜面)が延びる方向(傾斜方向D1)は、ブーム横方向Ybから見たときにブーム長手方向Xbに対して傾斜する。ガイド部71が延びる方向(傾斜方向D1)は、ブーム高さ方向Zbから見たときにブーム長手方向Xbと一致または略一致する。ガイド部71は、ブーム先端側Xb1ほどブーム下側Zb2に配置されるように(前下がりに)、ブーム長手方向Xbに対して傾斜する。なお、ガイド部71は、ブーム基端側Xb2ほどブーム下側Zb2に配置されるように(後ろ下がりに)、ブーム長手方向Xbに対して傾斜してもよい。以下では、ガイド部71が前下がりに傾斜する場合について説明する。なお、ガイド部71が後ろ下がりに傾斜する場合は、例えば以下の説明におけるブーム先端側Xb1とブーム基端側Xb2とを逆にすればよい。
【0049】
このガイド部71の傾斜方向D1は、ガイド部71の傾斜に沿った方向である。ブーム横方向Ybから見たとき、ガイド部71の傾斜方向D1は、直線(1本および折れ線を含む)に沿った方向でもよく、曲線に沿った方向でもよく、直線と曲線とを含む線に沿った方向でもよい。ガイド部71の傾き(ブーム長手方向Xbに対する傾斜方向D1の傾き)は、ガイド部71に沿って段階的に変化してもよく、連続的に変化してもよく、変化しなくてもよい。図2に示すように、ガイド部71は(例えばガイドフレーム65は)、上部スプレッダ30のブーム横方向Ybへの移動を規制してもよい。例えば、上部スプレッダフレーム31の側面(例えば側部部材31b)がガイド部71に接触したときに、ガイド部71は、上部スプレッダ30のブーム横方向Ybへの移動を規制してもよい。左側取付部50Lおよび右側取付部50Rの、左右のガイド部71・71は、上部スプレッダフレーム31をスプレッダ横方向Ysから挟むように配置されてもよい。左右のガイド部71・71は、ブーム横方向Ybに対称に構成されなくてもよい(規制部73も同様)。下部スプレッダ15の降下時の姿勢(後述)に応じて、左右のガイド部71・71が構成されてもよい。例えば、左右のガイド部71・71の、傾斜方向D1(図3参照)が相違してもよく、長さが相違してもよい。
【0050】
規制部73は、図5に示すように、被ガイド部40に接触可能であり、取付部50に対する被ガイド部40の移動を規制する。規制部73は、傾斜方向D1(図3参照)への被ガイド部40の移動を規制する。図3に示すように、規制部73は、ガイド部71と不連続でもよく(離れていてもよく)、ガイド部71と連続していてもよい(図7に示す規制部273を参照)。規制部73は、可動フレーム63に固定されてもよく、ガイドフレーム65に固定されてもよい(図7に示す規制部273を参照)。例えば、規制部73は、可動フレーム63(またはガイドフレーム65)に溶接により固定されてもよく、締結部材などにより固定されてもよい。図2に示すように、規制部73は、固定フレーム61のブーム横方向Yb外側の面(側面)から、ブーム横方向Yb外側に突出する。規制部73は、板状でもよく、ブロック状などでもよい。規制部73は、図5に示す取付部50から上部スプレッダ30が取り外される際に、規制部73と被ガイド部40との干渉を抑制できるように配置される。例えば、規制部73は、ブーム横方向Ybから見て略J字状などである。
【0051】
取付部側取付孔75は、図6に示すように、取付ピン90を差し込み可能な孔(さらに詳しくは孔の内面)である。取付部側取付孔75は、規制部73に被ガイド部40が接触したときに(図5参照)、上部スプレッダ側取付孔35と取付部側取付孔75とに取付ピン90を差し込み可能となる位置に配置される。例えば、取付部側取付孔75は、上部スプレッダ30および取付部50よりもブーム横方向Yb外側から取付部側取付孔75に取付ピン90を差し込み可能となるような位置に配置される。例えば、図2に示すように、取付部側取付孔75は、可動フレーム63に設けられる(形成される)。取付部側取付孔75への取付ピン90の取付位置を、ピン取付位置P1とする。ピン取付位置P1は、取付部側取付孔75の内側の空間およびその周辺の空間であり、図4に示すように取付部50に上部スプレッダ30が取り付けられたときに取付ピン90が配置されるべき位置である。
【0052】
位置調整機構80は、図3に示すように、ピン取付位置P1を位置調整方向D2に可変とする機構である。位置調整方向D2は、ブーム高さ方向Zb(起伏部材の高さ方向)およびブーム長手方向Xb(起伏部材の長手方向)の少なくともいずれかを含む方向である。位置調整方向D2は、上下方向Zに対して傾いた方向でもよく、ブーム長手方向Xbに対して傾いた方向でもよい。位置調整方向D2は、後述する位置調整ガイド部81によるガイドの方向である。なお、位置調整機構80は、ピン取付位置P1をブーム横方向Ybに可変にする必要はない。位置調整機構80は、規制部73および取付部側取付孔75の少なくともいずれかのブーム13に対する位置を、位置調整方向D2に可変とすることで、ピン取付位置P1を可変とするように構成される。具体的には例えば、位置調整機構80は、規制部73が固定されるとともに取付部側取付孔75が設けられた可動フレーム63を位置調整方向D2に可変とすることで、ピン取付位置P1を位置調整方向D2に可変とする。位置調整機構80は、ガイド部71を位置調整方向D2に可変としてもよい。具体的には例えば、位置調整機構80は、可動フレーム63を位置調整方向D2に可変とする結果、ガイド部71を位置調整方向D2に可変とする。位置調整機構80は、位置調整ガイド部81と、位置決め部材取付孔83と、位置決め部材85と、を備える。
【0053】
位置調整ガイド部81は、ピン取付位置P1が位置調整方向D2に可変となるように、取付部フレーム60の一部の移動をガイドする。例えば、位置調整ガイド部81は、固定フレーム61に対する可動フレーム63の移動をガイドする。例えば、位置調整ガイド部81は、凹凸により構成されてもよく、長孔および長孔に差し込まれる部材により構成されてもよい(図7に示す位置調整機構280および図9に示す位置調整機構380を参照)。例えば、位置調整ガイド部81は、凸部81aと、凹部81bと、を備える。
【0054】
凸部81aは、固定フレーム61および可動フレーム63の一方に設けられる。凹部81bは、固定フレーム61および可動フレーム63のうち凹部81bが設けられる方とは異なる方に設けられる。図3に示す例では、凸部81aが、固定フレーム61に設けられ、凹部81bが、可動フレーム63に設けられる。凸部81aが、可動フレーム63に設けられ、凹部81bが、固定フレーム61に設けられてもよい。具体的には例えば、凸部81aは、位置調整方向D2に延びるように設けられる板状などである。凹部81bは、可動フレーム63のブーム下側Zb2部分に設けられる。凹部81bは、位置調整方向D2に相対移動可能に凸部81aに取り付けられる(差し込まれる)。凹部81bは、位置調整方向D2に延びるように設けられる溝(ガイド溝)などである。具体的には例えば、図6に示すように、凹部81bは、板状の凸部81aを挟むように設けられた2枚の板状部材の間の溝などである。
【0055】
位置決め部材取付孔83は、図3に示すように、位置決め部材85が取り付けられる孔(例えばピン孔)である。位置決め部材取付孔83は、固定フレーム61および可動フレーム63のそれぞれに設けられる(形成される)。位置決め部材取付孔83は、凸部81aおよび凹部81bのそれぞれに設けられる。位置決め部材取付孔83は、複数設けられる。複数の位置決め部材取付孔83は、位置調整方向D2に互いに間隔をあけて配置される。複数の位置決め部材取付孔83は、ブーム長手方向Xbに並ぶように配置されてもよく、ブーム高さ方向Zbに並ぶように配置されてもよい。位置決め部材取付孔83は、可動フレーム63および固定フレーム61の少なくとも一方に複数設けられ、他方(複数設けられる方のフレームとは異なる方のフレーム)に1つのみ設けられてもよい。位置決め部材取付孔83は、可動フレーム63および固定フレーム61のそれぞれに複数設けられてもよい。図3に示す例では、位置決め部材取付孔83は、固定フレーム61に複数(3つ)設けられ、可動フレーム63に1つのみ設けられる。
【0056】
位置決め部材85は、固定フレーム61に対する可動フレーム63の位置を固定する(位置決めする)。位置決め部材85は、固定フレーム61および可動フレーム63に差し込まれることで、固定フレーム61に対する可動フレーム63の位置を固定する。位置決め部材85は、固定フレーム61および可動フレーム63のそれぞれの位置決め部材取付孔83に差し込まれる。例えば、位置決め部材85は、円柱状または円筒状の部分を有する部材(ピン)である。位置決め部材85は、1つのみ設けられてもよく、複数設けられてもよい。位置決め部材85が複数設けられる場合は、位置決め部材85が1つのみ設けられる場合に比べ、固定フレーム61に対する可動フレーム63の取り付け(位置決め、固定)が安定する。
【0057】
取付ピン90は、図5に示すように、上部スプレッダ30を取付部50に接続する(取り付ける、連結する)ための部材である。図6に示すように、取付ピン90は、上部スプレッダ側取付孔35と、取付部側取付孔75と、に差し込まれることで、上部スプレッダ30を取付部50に接続する。例えば、取付ピン90は、中空部40c(上部スプレッダ側取付孔35の内側)に差し込まれる。取付ピン90は、円柱状または円筒状の部分を有する部材(ピン)である。
【0058】
(クレーンの輸送)
図1に示すクレーン1(特に上部スプレッダ取付装置20)は、以下のように作動するように構成される。クレーン1の輸送時には、クレーン1が分解された状態になる。これは、クレーン1の部品を輸送車(トレーラなど)に搭載するため、また、輸送時の質量および寸法を規制値以内に収めるためである。例えば、クレーン1の輸送時には、下部ブーム13eと、下部ブーム13eよりも先端側のブーム13(中間ブーム13fおよび上部ブーム13g)と、が分離された状態になる。例えば、輸送時には、下部ブーム13eは、上部旋回体12に取り付けられた状態でもよく、上部旋回体12から分離された状態でもよい。
【0059】
(クレーン1の分解)
クレーン1は、次のように分解される。クレーン1が作業可能な状態のとき、ブーム13は、上部旋回体12に対して上側Z1に起こされた状態になる(図示なし)。この状態で、起伏ロープ18が、起伏ウインチ17により繰り出される(緩められる)。すると、ブーム13の先端部(上部ブーム13g)が着地する。そして、起伏ロープ18が、起伏ウインチ17により、さらに繰り出される。すると、上部スプレッダ30は、取付部50(ここではブーム側取付部50B)に向かって、下側Z2に移動する。
【0060】
(上部スプレッダの姿勢、位置)
このとき、上部スプレッダ30は、起伏ロープ18の張力の影響、ガイライン16の張力の影響、ならびに、上部スプレッダ30、起伏ロープ18、およびガイライン16のそれぞれの重心位置の影響を受ける。そのため、図2に示す上部スプレッダ30は、様々な方向に傾きながら(前後方向X、上下方向Z、および横方向Yを軸として傾きながら)、取付部50に向かって降下する。そのため、左側取付部50Lと右側取付部50Rとがブーム横方向Ybに対称に(左右対称に)配置されている場合、左側取付部50Lと右側取付部50Rとで、被ガイド部40のガイド部71への接触位置が、前後方向Xおよび上下方向Zにずれる場合がある。また、上部スプレッダ30と取付部50との相対位置によっては、被ガイド部40が、ガイド部71をスムーズに移動できない場合や、規制部73に接触せずにガイド部71の途中で停止する場合がある。被ガイド部40がガイド部71の途中で停止する場合、被ガイド部40が停止する位置が、左側取付部50Lと右側取付部50Rとで、上下方向Zおよび前後方向Xにずれる場合がある。また、上部スプレッダ30と取付部50との相対位置によっては、被ガイド部40がガイド部71から離れる(浮く)場合がある。これらのように、上部スプレッダ30が降下させられるだけでは、上部スプレッダ側取付孔35と取付部側取付孔75との位置が合わないまたは合いにくい場合がある。すると、上部スプレッダ側取付孔35と取付部側取付孔75とに取付ピン90(図4参照)を差し込むことが不可能または困難となる場合がある。
【0061】
(位置調整)
そこで、位置調整機構80により、ピン取付位置P1が適切な位置に調整される。具体的には、上部スプレッダ30が取付部50よりも上側Z1から取付部50に近づけられたときに、図4に示すように、被ガイド部40がガイド部71に接触するように、ピン取付位置P1の位置が位置調整方向D2に調整される。そして、ピン取付位置P1が適切に調整された状態で、ブーム13に対してピン取付位置P1が位置決め(固定)される。左側取付部50Lおよび右側取付部50Rのそれぞれの(ブーム13のブーム横方向Yb両側の)ピン取付位置P1が、個別に調整されることが好ましい。
【0062】
位置調整機構80によるピン取付位置P1の位置調整方向D2への位置調整の具体例は、次の通りである。図3に示す起伏ロープ18が緩められ、上部スプレッダ30が降下させられる。例えば、起伏ロープ18を緩めても上部スプレッダ30がさらに降下しない状態とされる。この状態で、位置決め部材85が、固定フレーム61および可動フレーム63から取り外された状態とされる。次に、可動フレーム63が、固定フレーム61に対して、位置調整方向D2(例えば略ブーム長手方向Xb)に移動させられる。このとき、図5に示すように、被ガイド部40が、ガイド部71および規制部73に接触するように、規制部73の位置が調整される。この位置調整が行われた状態で、位置決め部材85が、固定フレーム61および可動フレーム63に取り付けられる。これにより、可動フレーム63が、固定フレーム61に対して位置決めされる。
【0063】
上記のように、図1に示す上部スプレッダ30は、傾きながら降下する。このとき、ガイライン16の長さ(ブーム13の長さ)および起伏ロープ18のワイヤリングなどの条件が一定であれば、上部スプレッダ30の降下時の傾き(姿勢)は、一定の傾向を有する。一方、ガイライン16の長さ(ブーム13の長さ)や、起伏ロープ18のワイヤリングが変更された場合には、変更前に対して、上部スプレッダ30の降下時の傾き(姿勢)が大きく変化する場合がある。そこで、位置調整機構80(図2参照)による位置調整は、ガイライン16の長さが変更されたとき(すなわちブーム13の長さが変更されたとき)に行われることが好ましい。また、位置調整機構80による位置調整は、クレーン1の製造時などに行われてもよい。
【0064】
(ガイド部71によるガイド)
図3に示す位置調整機構80によるピン取付位置P1の位置調整が行われた状態で、上部スプレッダ30が降下させられる場合について説明する。上部スプレッダ30が取付部50に向かって降下すると、被ガイド部40は、ガイド部71に接触し、ガイド部71に沿って下側Z2に移動する。このとき、位置調整機構80によるピン取付位置P1の位置調整が行われた状態であるため、被ガイド部40が、ガイド部71に沿ってスムーズに移動することができる。このとき、図2に示す左側取付部50Lおよび右側取付部50Rのそれぞれで(左右とも)、被ガイド部40が、ガイド部71に沿ってスムーズに移動する。その結果、上部スプレッダ30は、安定した状態で移動することができる。
【0065】
被ガイド部40がさらに下側Z2に移動すると、図5に示すように、被ガイド部40が、ガイド部71に接触した状態で、規制部73に接触する。よって、規制部73が、傾斜方向D1への被ガイド部40の移動を規制する。このとき、位置調整機構80によるピン取付位置P1の位置調整が行われた状態であるため、被ガイド部40を規制部73に確実に接触させる(着座させる、最終位置に移動させる)ことができる。このとき、図4に示す左側取付部50Lおよび右側取付部50Rのそれぞれで(左右とも)、被ガイド部40を規制部73に確実に接触させることができる。
【0066】
図5に示すように、被ガイド部40が、ガイド部71および規制部73に接触したとき、上部スプレッダ側取付孔35と取付部側取付孔75との位置が合う。図6に示すように、上部スプレッダ側取付孔35と取付部側取付孔75とに、取付ピン90が差し込まれることにより、取付部50に上部スプレッダ30が接続される。
【0067】
上記のように、図5に示す上部スプレッダ30を降下させる(下側Z2に移動させる)だけで、被ガイド部40がガイド部71に沿ってスムーズに移動し、規制部73に適切に接触し、その結果、上部スプレッダ側取付孔35と取付部側取付孔75との位置が合う。よって、上部スプレッダ取付装置20により、取付孔の位置合わせのための作業者の人力による作業を、無くすまたは減らすことができ、作業者の負担を軽減させることができる。具体的には例えば、図1に示すブーム背面13b上の作業者が、手やバールなどで上部スプレッダ30を移動させる(例えば揺する)作業を、無くすまたは減らすことができる。例えばブーム背面13b上での作業は高所作業であるため、手間がかかるところ、上部スプレッダ取付装置20により、高所作業を無くすまたは減らすことができる。また、上部スプレッダ取付装置20により、例えば、作業者が地上からロープなどで上部スプレッダ30を移動させる作業を無くすまたは減らすことができる。したがって、上部スプレッダ30をブーム13に取り付ける作業の効率を向上させることができ、作業時間を短縮させることができる。
【0068】
(第1の発明の効果)
図1に示すクレーン1のブーム13(起伏部材)に設けられる上部スプレッダ取付装置20による効果は、次の通りである。図5に示すように、上部スプレッダ取付装置20は、上部スプレッダ30と、取付部50と、取付ピン90と、を備える。上部スプレッダ30は、上部スプレッダ側取付孔35を有する。取付部50は、ブーム13に設けられ、上部スプレッダ30を取り付け可能であり、取付部側取付孔75を有する。取付ピン90は、上部スプレッダ側取付孔35と取付部側取付孔75とに差し込まれることで取付部50に上部スプレッダ30を接続する。
【0069】
[構成1]図3に示すように、取付部50は、ピン取付位置P1を、位置調整方向D2に可変に構成される。ピン取付位置P1は、取付部側取付孔75への取付ピン90(図5参照)の取り付け位置である。位置調整方向D2は、ブーム高さ方向Zb(ブーム13の高さ方向)およびブーム長手方向Xb(ブーム13の長手方向)の少なくともいずれかを含む方向である。
【0070】
上記[構成1]により、次の効果が得られる。取付部50よりも上側Z1から取付部50の所定位置に上部スプレッダ30が降下させられる際に、上部スプレッダ側取付孔35と取付部側取付孔75とに取付ピン90(図5参照)を差し込むことが困難な場合がある(詳細は上記)。そのため、上部スプレッダ側取付孔35と取付部側取付孔75との位置を合わせるための、上部スプレッダ30の位置を変える作業が必要となり、手間および時間がかかる。そこで、上記[構成1]の取付部50は、取付ピン90(図5参照)の取り付け位置であるピン取付位置P1を位置調整方向D2に可変に構成される。よって、ピン取付位置P1が適切な位置に調整された状態で、上部スプレッダ30が降下させられた場合、上部スプレッダ側取付孔35と取付部側取付孔75との位置が合いやすい。よって、上部スプレッダ側取付孔35と取付部側取付孔75との位置を合わせるための、上部スプレッダ30の位置を変える作業を、不要にすることができる、または減らすことができる。一度、ピン取付位置P1が適切な位置に調整された後は、例えばブーム13(図1参照)の長さなどの条件が一定であれば、ピン取付位置P1の位置の調整は不要である。したがって、上部スプレッダ30をブーム13に取り付ける作業にかかる手間および時間を抑制することができる。
【0071】
(第2の発明の効果)
上部スプレッダ30は、被ガイド部40を備える。取付部50は、ガイド部71と、規制部73と、を備える。ガイド部71は、被ガイド部40に接触可能である。ガイド部71は、ブーム横方向Yb(ブーム13の横方向)から見たときにブーム長手方向Xbに対して傾斜する方向である傾斜方向D1に沿って被ガイド部40をガイドする。規制部73は、被ガイド部40に接触可能であり、傾斜方向D1への被ガイド部40の移動を規制する。図5に示すように、取付部側取付孔75は、ガイド部71および規制部73に被ガイド部40が接触したときに、上部スプレッダ側取付孔35と取付部側取付孔75とに取付ピン90を差し込み可能となる位置に配置される。
【0072】
[構成2]図3に示すように、取付部50は、規制部73および取付部側取付孔75の少なくともいずれかのブーム13に対する位置を、位置調整方向D2に可変とすることで、ピン取付位置P1を位置調整方向D2に可変とするように構成される。
【0073】
上記[構成2]では、取付部50が、ガイド部71と規制部73とを備える構成において、ピン取付位置P1を位置調整方向D2に確実に調整する構成を、具体的に実現することができる。
【0074】
(第3の発明の効果)
[構成3]取付部50は、固定フレーム61と、可動フレーム63と、凸部81aと、凹部81bと、位置決め部材85と、を備える。固定フレーム61は、ブーム13に固定される。可動フレーム63は、固定フレーム61に対して可動であり、取付部側取付孔75が形成される。凸部81aは、固定フレーム61および可動フレーム63の一方に設けられる。凹部81bは、固定フレーム61および可動フレーム63のうち凹部81bが設けられる方とは異なる方に設けられる。凹部81bは、位置調整方向D2に相対移動可能に凸部81aに取り付けられる。位置決め部材85は、固定フレーム61および可動フレーム63に差し込まれることで、固定フレーム61に対する可動フレーム63の位置を固定する。
【0075】
上記[構成3]では、固定フレーム61はブーム13に固定され、可動フレーム63には取付部側取付孔75が形成されている。そして、固定フレーム61に対して可動フレーム63の位置を調整することができる。よって、ブーム13に対する取付部側取付孔75の位置を調整することができる。よって、ピン取付位置P1を位置調整方向D2に調整することができる。また、上記[構成3]では、固定フレーム61および可動フレーム63に、凸部81aおよび凹部81bが設けられる。そして、凹部81bは、位置調整方向D2に相対移動可能に凸部81aに取り付けられる。したがって、凸部81aおよび凹部81bの簡易な構成により、ブーム13に対する取付部側取付孔75の位置調整方向D2への位置調整を行うことができる。よって、簡易な構成で、ピン取付位置P1を位置調整方向D2に調整することができる。
【0076】
(第6の発明の効果)
[構成6]図2に示すように、取付部50(具体的には右側取付部50R、左側取付部50L)は、ブーム横方向Ybの両側部分に設けられる。
【0077】
上記[構成6]により、次の効果が得られる。上部スプレッダ30が降下させられ停止したとき、右側取付部50Rに対する上部スプレッダ側取付孔35の位置と、左側取付部50Lに対する上部スプレッダ側取付孔35の位置とが、ブーム横方向Ybに非対称となる(ずれる)場合がある。そこで、上記[構成6]では、右側取付部50Rおよび左側取付部50Lのそれぞれで、ピン取付位置P1を位置調整方向D2に調整することができる(上記[構成1]参照)。よって、右側取付部50Rおよび左側取付部50Lのそれぞれで、上部スプレッダ側取付孔35と取付部側取付孔75との位置を合わせることができ、これらの取付孔に取付ピン90(図4参照)を差し込むことができる。
【0078】
(第7の発明の効果)
本実施形態の上部スプレッダ30の取付方法による効果は、次の通りである。取付部50(具体的には右側取付部50R、左側取付部50L)は、ブーム横方向Ybの両側部分に設けられる。
【0079】
[構成7]取付部50よりも上側Z1から取付部50に上部スプレッダ30が近づけられたときに、被ガイド部40がガイド部71に接触するように、ブーム横方向Ybの両側部分に設けられた取付部50のそれぞれのピン取付位置P1が個別に調整される。
【0080】
上記[構成7]により、右側取付部50Rおよび左側取付部50Lのそれぞれで、上部スプレッダ側取付孔35と取付部側取付孔75との位置を合わせることができ、これらの取付孔に取付ピン90(図4参照)を差し込むことができる。
【0081】
(第2実施形態)
図7図8を参照して、第2実施形態の上部スプレッダ取付装置220について、第1実施形態との相違点を説明する。なお、上部スプレッダ取付装置220のうち、第1実施形態との共通点については、説明を省略する。共通点の説明を省略する点については、後述する第3実施形態の説明も同様である。相違点の概要は、次の通りである。図3に示す例では、固定フレーム61に対して可動フレーム63が位置調整方向D2に可変であった。そして、取付部側取付孔75および規制部73の位置が位置調整方向D2に可変であることにより、ピン取付位置P1が位置調整方向D2に可変であった。一方、図7に示すように、本実施形態では、取付部側取付孔275が長孔である。そして、ブーム13に対する規制部273の位置が、取付部側取付孔275の長手方向(すなわち位置調整方向D2)に可変であることにより、ピン取付位置P1が位置調整方向D2に可変である。相違点の詳細は、次の通りである。
【0082】
取付部250は、ブーム13に対する規制部273の位置が、取付部側取付孔275の長手方向に可変であることにより、ピン取付位置P1を位置調整方向D2に可変とするように構成される。具体的には、取付部250は、固定フレーム261と、ガイドフレーム265と、規制部273と、取付部側取付孔275と、位置調整機構280と、を備える。
【0083】
図3に示す例では、ガイド支点部材66およびガイド固定部材67は、可動フレーム63およびガイドフレーム65に取り付けられた。一方、図7に示すように、本実施形態では、ガイド支点部材66およびガイド固定部材67は、固定フレーム261およびガイドフレーム265に取り付けられる。
【0084】
規制部273は、次のように構成される。図3に示す例では、規制部73は、可動フレーム63に固定された。一方、図7に示すように、本実施形態では、規制部273は、ガイドフレーム265に固定される。例えば、規制部273は、ガイド部71からブーム先端側Xb1およびブーム上側Zb1に突出するように設けられる。例えば、規制部273は、ブロック状でもよく、略板状でもよい。図7に示す例では、規制部273は、ブーム横方向Ybから見て略三角形状である。
【0085】
取付部側取付孔275は、次のように構成される。図3に示す例では、取付部側取付孔75は、可動フレーム63に設けられ、長孔ではない孔(例えばブーム横方向Ybから見て円形の孔)であった。一方、図7に示すように、本実施形態では、取付部側取付孔275は、固定フレーム261に設けられる。取付部側取付孔275は、位置調整方向D2に長い長孔である。図7に示す例では、取付部側取付孔275の長手方向(すなわち位置調整方向D2)は、ブーム長手方向Xbまたは略ブーム長手方向Xbである。
【0086】
位置調整機構280は、ブーム13に対する規制部273の位置を取付部側取付孔275の長手方向(すなわち位置調整方向D2)に可変とすることにより、ピン取付位置P1を位置調整方向D2に可変とするように構成される。位置調整機構280は、ガイド部71の位置を位置調整方向D2に可変としてもよい。例えば、位置調整機構280は、ガイド支点部材取付孔286と、固定部材取付孔287と、を備える。ガイド支点部材66およびガイド固定部材67を、位置調整機構280の構成要素としてもよい。
【0087】
ガイド支点部材取付孔286は、取付部側取付孔275の長手方向(すなわち位置調整方向D2)に長い長孔である(固定部材取付孔287も同様)。ガイド支点部材取付孔286の長手方向は、取付部側取付孔275の長手方向と平行または略平行である(固定部材取付孔287も同様)。図7に示す例では、ガイド支点部材取付孔286の長手方向は、ブーム長手方向Xbまたは略ブーム長手方向Xbである(固定部材取付孔287も同様)。ガイド支点部材取付孔286は、固定フレーム261およびガイドフレーム265の少なくともいずれかに設けられる(形成される)(固定部材取付孔287も同様)。図7に示す例では、ガイド支点部材取付孔286は、固定フレーム261に設けられる(固定部材取付孔287も同様)。ガイド支点部材66およびガイド固定部材67は、固定フレーム281に対してガイドフレーム265を固定する。なお、取付部側取付孔275が長孔である場合に、固定フレーム61に対してガイドフレーム65が、例えば図3に示す凹部81bおよび凸部81aのような構造により、図7に示す位置調整方向D2に移動可能とされてもよい。
【0088】
(位置調整)
位置調整機構280によるピン取付位置P1の位置調整方向D2への位置調整は、例えば次のように行われる。起伏ロープ18が緩められ、上部スプレッダ30が降下させられる。例えば、起伏ロープ18を緩めても上部スプレッダ30がさらに降下しない状態とされる。この状態で、規制部273が(ガイドフレーム265が)位置調整方向D2に移動させられる。このとき、図8に示すように、被ガイド部40が規制部273に接触するように、規制部273の位置が調整される。さらに詳しくは、被ガイド部40がガイド部71および規制部273に接触するように、ガイドフレーム265の位置が調整される。このとき、ガイド支点部材66は、ガイド支点部材取付孔286に沿って移動する。ガイド固定部材67は、固定部材取付孔287に沿って移動する。この位置調整が行われた状態で、規制部273が(ガイドフレーム265が)、固定フレーム261に対して位置決めされる。具体的には例えば、ガイド支点部材66を構成するボルトおよびナットが締められることで、ガイドフレーム265の位置調整方向D2への移動が制限される。また、ガイド固定部材67が固定部材取付孔287に差し込まれることにより、ガイド支点部材66を中心とするガイドフレーム65の回転が制限される。
【0089】
(ガイド部71によるガイド)
位置調整機構280によるピン取付位置P1の位置調整方向D2への位置調整が行われた状態で、上部スプレッダ30が降下させられる場合について説明する。被ガイド部40が、ガイド部71に沿って下側Z2に移動し、規制部273に接触すると、傾斜方向D1(図7参照)への被ガイド部40の移動が規制される。このとき、上部スプレッダ側取付孔35と、長孔である取付部側取付孔275の一部と、の位置が合う。よって、上部スプレッダ側取付孔35と取付部側取付孔275とに取付ピン90を差し込むことが可能となる。上部スプレッダ側取付孔35と取付部側取付孔275とに、取付ピン90が差し込まれることにより、取付部250に上部スプレッダ30が接続される。
【0090】
(ブーム13の引き上げ)
上部スプレッダ30が取付部250に取り付けられた状態で、図1に示す起伏ロープ18が起伏ウインチ17に巻き上げられ、ブーム13が起こされる場合がある。この場合の、図8に示す上部スプレッダ取付装置220の作動は、例えば次の通りである。固定フレーム261に対してガイドフレーム265が固定されたまま、起伏ロープ18が巻き上げられると、被ガイド部40がガイド部71に押し付けられ、被ガイド部40やその周辺部が破損する場合がある。そこで、起伏ロープ18が巻き上げられる前に、固定フレーム261に対するガイドフレーム265の固定が解除される。具体的には例えば、ガイド支点部材66がナットおよびボルトを備える場合、ガイド支点部材66が緩められる。そして、固定フレーム61に対するガイドフレーム65の固定が解除された状態で、起伏ウインチ17が起伏ロープ18を巻き上げる。すると、上部スプレッダ30が、取付部側取付孔275の長手方向(位置調整方向D2)に移動し、ブーム基端側Xb2に移動する。すると、取付部側取付孔275の長手方向の端部(さらに詳しくはブーム基端側Xb2の端部)に取付ピン90が接触する。この状態で、ブーム13が引き上げられる(図1参照)。よって、被ガイド部40がガイド部71に押し付けられることを抑制することができる。なお、被ガイド部40やその周辺部の強度を確保できる場合は、被ガイド部40がガイド部71に押し付けられた状態で、ブーム13が引き上げられてもよい。
【0091】
(第4の発明の効果)
[構成4]図7に示すように、取付部側取付孔275は、位置調整方向D2に長い長孔である。取付部250は、ブーム13に対する規制部273の位置が、取付部側取付孔275の長手方向(位置調整方向D2)に可変であることにより、ピン取付位置P1を位置調整方向D2に可変とするように構成される。
【0092】
上記[構成4]では、規制部273の位置が位置調整方向D2に調整されることで、ピン取付位置P1の位置が調整される。その結果、図8に示すように、被ガイド部40が規制部273に接触したときの上部スプレッダ側取付孔35の位置が、位置調整方向D2に調整される。よって、被ガイド部40が規制部273に接触したときに上部スプレッダ側取付孔35が配置され得る位置は、特定の1か所ではなく、位置調整方向D2に長い範囲を持つ。そして、上記[構成4]では、取付部側取付孔275は、位置調整方向D2に長い長孔である。よって、規制部273の位置が位置調整方向D2に調整された状態で、取付部側取付孔275の一部と上部スプレッダ側取付孔35との位置を容易に合わせることができる。よって、取付部側取付孔275と上部スプレッダ側取付孔35とに取付ピン90を容易に取り付けることができる。
【0093】
(第3実施形態)
図9図10を参照して、第3実施形態の上部スプレッダ取付装置320(主に取付部350)について、第2実施形態との相違点を説明する。
【0094】
図7に示す例では、位置調整機構280によるピン取付位置P1の位置調整方向D2は、略ブーム長手方向Xbであった。図9に示すように、本実施形態では、位置調整機構380によるピン取付位置P1の位置調整方向D2は、傾斜方向D1と平行または略平行である。さらに詳しくは、位置調整機構380は、ブーム13に対する規制部273の位置が、ガイド部71の傾斜方向D1に可変であることにより、ピン取付位置P1を位置調整方向D2に可変とするように構成される。位置調整機構380は、ガイド部71の位置を位置調整方向D2に可変としてもよい。例えば、位置調整機構380は、ガイド支点部材取付孔386と、固定部材取付孔387と、を備える。
【0095】
図7に示す例では、取付部側取付孔275、ガイド支点部材取付孔286、および固定部材取付孔287のそれぞれの長孔の方向は、略ブーム長手方向Xbなどであった。図9に示すように、本実施形態では、取付部側取付孔375、ガイド支点部材取付孔386、および固定部材取付孔387のそれぞれの長孔の方向は、傾斜方向D1と平行または略平行である。
【0096】
(ガイド部71によるガイド)
位置調整機構380によるピン取付位置P1の位置調整方向D2への位置調整が行われた状態で、上部スプレッダ30が降下させられる場合について説明する。被ガイド部40が、ガイド部71に沿って移動し(ガイドされ)、規制部273に接触することなく停止したとする。ここで、取付部側取付孔375は、ガイド部71の傾斜方向D1に長い長孔である。よって、被ガイド部40が規制部273に接触することなく停止した場合でも、取付ピン90を、取付部側取付孔375および上部スプレッダ側取付孔35に差し込むことができる。
【0097】
(ブーム13の引き上げ)
上部スプレッダ30が取付部350に取り付けられた状態で、ブーム13が起こされる場合について説明する。第2実施形態では、図8に示す固定フレーム261に対するガイドフレーム265の固定が解除された状態で、起伏ロープ18が巻き上げられ、ブーム13が起こされた。一方、本実施形態では、図10に示す固定フレーム261に対してガイドフレーム265が固定されたまま、起伏ロープ18が巻き上げられてもよい。さらに詳しくは、固定フレーム261に対してガイドフレーム265が固定された状態でも、起伏ロープ18が巻き上げられると、取付ピン90は、取付部側取付孔375に沿ってブーム上側Zb1に移動する。このとき、被ガイド部40は、ガイド部71に強く押し付けられることなく、ガイド部71に沿って傾斜方向D1にスムーズに移動することができる。そして、取付部側取付孔375の長手方向の端部(さらに詳しくはブーム上側Zb1の端部)に取付ピン90が接触した状態で、ブーム13が引き上げられる。
【0098】
(第5の発明の効果)
[構成5]図9に示すように、取付部側取付孔375は、ガイド部71の傾斜方向D1に長い長孔である。
【0099】
上記[構成5]により、次の効果が得られる。上部スプレッダ30が降下させられ、被ガイド部40がガイド部71に沿って傾斜方向D1に移動し、被ガイド部40が規制部273に接触せずに停止する場合がある。このような場合でも、上記[構成5]では、取付部側取付孔375は、ガイド部71の傾斜方向D1に長い長孔であるため、取付部側取付孔375と上部スプレッダ側取付孔35とに取付ピン90(図10参照)を容易に差し込むことができる。
【0100】
また、上記[構成5]により、次の効果が得られる。図10に示すように、上部スプレッダ30が取付部350に取り付けられた状態で、ブーム13が引き上げられる場合がある。この場合、ブーム13を引き上げようとすると、取付ピン90が、取付部側取付孔375の長手方向、すなわちガイド部71の傾斜方向D1に移動する。よって、上部スプレッダ30が、傾斜方向D1に移動する結果、被ガイド部40が傾斜方向D1に移動する。よって、被ガイド部40がガイド部71に強く押し付けられることを抑制することができる。そして、取付ピン90が、取付部側取付孔375の長手方向の端部に接触した状態で、ブーム13を引き上げることができる。したがって、ブーム13に対してガイド部71を移動可能な状態にしなくても、取付部側取付孔375の長手方向の端部に取付ピン90を接触させた状態で、ブーム13を引き上げることができる。
【0101】
(変形例)
上記実施形態は様々に変形されてもよい。例えば、互いに異なる実施形態の構成要素どうしが組み合わされてもよい。例えば、各構成要素の配置や形状が変更されてもよい。例えば、構成要素の数が変更されてもよく、構成要素の一部が設けられなくてもよい。例えば、構成要素どうしの固定や連結などは、直接的でも間接的でもよい。例えば、互いに異なる複数の部材や部分として説明したものが、一つの部材や部分とされてもよい。例えば、一つの部材や部分として説明したものが、互いに異なる複数の部材や部分に分けて設けられてもよい。
【符号の説明】
【0102】
1 クレーン
13 ブーム(起伏部材)
14 ガントリ(起伏部材)
20、220、320 上部スプレッダ取付装置
30 上部スプレッダ
40 被ガイド部
50、250、350 取付部
61 固定フレーム
63 可動フレーム
71 ガイド部
73、273 規制部
75、275、375 取付部側取付孔
81a 凸部
81b 凹部
85 位置決め部材
90 取付ピン
D1 傾斜方向
D2 位置調整方向
P1 ピン取付位置
Xb ブーム長手方向(起伏部材の長手方向)
Yb ブーム横方向(起伏部材の横方向)
Zb ブーム高さ方向(起伏部材の高さ方向)
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10