(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2022177675
(43)【公開日】2022-12-01
(54)【発明の名称】ジェル状クレンジング料
(51)【国際特許分類】
A61K 8/87 20060101AFI20221124BHJP
A61K 8/02 20060101ALI20221124BHJP
A61K 8/39 20060101ALI20221124BHJP
A61K 8/86 20060101ALI20221124BHJP
A61K 8/81 20060101ALI20221124BHJP
A61K 8/34 20060101ALI20221124BHJP
A61K 8/31 20060101ALI20221124BHJP
【FI】
A61K8/87
A61K8/02
A61K8/39
A61K8/86
A61K8/81
A61K8/34
A61K8/31
【審査請求】未請求
【請求項の数】1
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2021084097
(22)【出願日】2021-05-18
(71)【出願人】
【識別番号】000004341
【氏名又は名称】日油株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100207756
【弁理士】
【氏名又は名称】田口 昌浩
(74)【代理人】
【識別番号】100129746
【弁理士】
【氏名又は名称】虎山 滋郎
(74)【代理人】
【識別番号】100165021
【弁理士】
【氏名又は名称】千々松 宏
(72)【発明者】
【氏名】寺嶋 迪
(72)【発明者】
【氏名】村上 大
【テーマコード(参考)】
4C083
【Fターム(参考)】
4C083AC011
4C083AC012
4C083AC061
4C083AC102
4C083AC111
4C083AC122
4C083AC332
4C083AC422
4C083AD071
4C083AD072
4C083AD091
4C083AD092
4C083CC23
4C083DD41
4C083EE06
4C083EE07
(57)【要約】
【課題】肌へ伸ばした際はなめらかに塗布することができ、厚みのある使用感を持続して感じられ、ぷるぷるとした使用感に優れ、クレンジグ力が良好であり、保存安定性に優れるジェル状クレンジング料を提供することを目的とする。
【解決手段】(a)疎水変性ポリエーテルウレタンを0.05~2質量%、(b)エチレンオキシドの平均付加モル数が5~20であるイソステアリン酸ポリオキシエチレングリセリルを15~45質量%、(c)カルボキシビニルポリマーおよびアルキル変性カルボキシビニルポリマーからなる群より選択される1種または2種以上を0.01~0.4質量%、(d)炭素数が3~6である2価のアルコールを0.5~20質量%、(e)炭化水素油を0.5~10質量%を含有するジェル状クレンジング料。
【選択図】なし
【特許請求の範囲】
【請求項1】
下記(a)~(e)を含有することを特徴とするジェル状クレンジング料。
(a)疎水変性ポリエーテルウレタンを0.05~2質量%
(b)エチレンオキシドの平均付加モル数が5~20であるイソステアリン酸ポリオキシエチレングリセリルを15~45質量%
(c)カルボキシビニルポリマーおよびアルキル変性カルボキシビニルポリマーからなる群より選択される1種または2種以上を0.01~0.4質量%
(d)炭素数が3~6である2価のアルコールを0.5~20質量%
(e)炭化水素油を0.5~10質量%
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、ジェル状クレンジング料に関する。
【背景技術】
【0002】
ジェル状クレンジング料は、クレンジング後に乳化させる必要がないことや、低粘度タイプの油性クレンジング料や水性クレンジング料のように使用時に手からこぼれ落ちにくいため、非常に使い勝手がよい。また、近年ではウォータープルーフタイプやメイク持ちの良いメイクアップ化粧料が主流であることから、クレンジング力に優れたジェル状クレンジング料の開発が進められてきた。
【0003】
クレンジング力を高めた技術としては、非イオン性界面活性剤、油剤、合成ケイ酸塩および/又はその誘導体、(メタ)アクリル酸アルキルコポリマー、並びに、(メタ)アクリル酸/(メタ)アクリル酸アルキル/(メタ)アクリル酸ポリオキシエチレンアルキルエーテルコポリマーおよび/又は(メタ)アクリル酸/(メタ)アクリル酸アルキル/イタコン酸ポリオキシエチレンアルキルエーテルコポリマーを配合したジェル状クレンジング用化粧料が例示されている(特許文献1)。
【0004】
クレンジング料にはクレンジング力以外にも、なめらかさや厚み感といった使用感の良さや、洗い流し後の保湿感など様々な機能の付与が試みられている。その中でも、塗布時のなめらかさはクレンジング料が肌に馴染みやすくするために重要であり、また適度な厚み感があることは肌との摩擦を低減するために重要とされていて、これらの機能が両立したジェル状クレンジグ料が望まれていた。
使用時のなめらかさと厚み感を両立した技術としては、極性油、HLB7未満の非イオン性界面活性剤、HLB7以上の非イオン性界面活性剤、アルキル変性カルボキシビニルポリマー、及びアシルアミノ酸型界面活性剤を配合したクレンジング化粧料が例示されている(特許文献2)。しかし、なめらかさや塗布直後に感じられる初期の厚み感が改善されているものの、馴染ませる過程でクレンジング料の厚み感が低下し、厚み感を持続して感じられない場合があった。
【0005】
近年では、クレンジング時に顔をマッサージしながらクレンジング料を肌へ馴染ませることで血行促進による血色改善効果が期待されるようになり、マッサージ効果を有するジェル状クレンジング料が望まれてきた。マッサージ効果を得るためには、使用時に肌へなめらかに塗布できることと、塗布直後に感じられる初期の厚み感が持続することが必要である。そのため特許文献2に例示されているクレンジング化粧料は、厚み感の持続性が不十分であり、マッサージ効果を十分に得られなかった。
厚み感の持続性に注力した技術としては、水中に分散された液状、固形、半固形のいずれでもよい油分と、アニオン性界面活性剤、カチオン性界面活性剤、両性界面活性剤、あるいは非イオン性界面活性剤を含有する油滴の平均粒径が平均150nm以下の乳化組成物に、疎水変性ポリエーテルウレタンを配合した弾力ジェル状組成物(特許文献3)が例示されている。該弾力ジェル状組成物は、ぷるぷるとした使用感に優れ、厚み感の持続性が改善されているものの、肌へ伸ばした際のなめらかさが失われ、十分なマッサージ効果を得られない場合があった。
よって、肌へ伸ばした際はなめらかに塗布することができ、厚みのある使用感を持続して感じられ、ぷるぷるとした使用感に優れ、クレンジグ力が良好であり、保存安定性に優れるジェル状クレンジング料が望まれていた。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0006】
【特許文献1】特開2012-240988号公報
【特許文献2】特開2011-126809号公報
【特許文献3】特開2016-88868号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
本発明は、肌へ伸ばした際はなめらかに塗布することができ、厚みのある使用感を持続して感じられ、ぷるぷるとした使用感に優れ、クレンジグ力が良好であり、保存安定性に優れるジェル状クレンジング料を提供することを目的とする。
なお、本明細書において、ぷるぷるとした使用感とは、指で押して負荷をかけると形状の変形を伴って当該負荷に抗する適度な反発力があり、指を離すと形状が元通りに回復し易い感触を意味する。
【課題を解決するための手段】
【0008】
本発明者らは、上記課題を解決するために研究を重ねたところ、(a)疎水変性ポリエーテルウレタン、(b)エチレンオキシドの平均付加モル数が5~20であるイソステアリン酸ポリオキシエチレングリセリル、(c)カルボキシビニルポリマーおよびアルキル変性カルボキシビニルポリマーからなる群より選択される1種または2種以上、(d)炭素数が3~6である2価のアルコール、(e)炭化水素油を、それぞれ特定範囲の含有量にて含有させたジェル状クレンジング料により、上記課題を解決し得ることを見出し、本発明を完成させるに至った。
すなわち、本発明は、以下の[1]に関する。
【0009】
[1]下記(a)~(e)を含有することを特徴とするジェル状クレンジング料。
(a)疎水変性ポリエーテルウレタンを0.05~2質量%
(b)エチレンオキシドの平均付加モル数が5~20であるイソステアリン酸ポリオキシエチレングリセリルを15~45質量%
(c)カルボキシビニルポリマーおよびアルキル変性カルボキシビニルポリマーからなる群より選択される1種または2種以上を0.01~0.4質量%
(d)炭素数が3~6である2価のアルコールを0.5~20質量%
(e)炭化水素油を0.5~10質量%
【発明の効果】
【0010】
本発明により、肌へ伸ばした際はなめらかに塗布することができ、厚みのある使用感を持続して感じられ、ぷるぷるとした使用感に優れ、クレンジグ力が良好であり、保存安定性に優れるジェル状クレンジング料を提供することができる。
【発明を実施するための形態】
【0011】
以下、本発明の実施形態を説明する。
本明細書において記号「~」を用いて規定された数値範囲は「~」の両端(上限および下限)の数値を含むものとする。例えば「2~5」は、2以上、5以下を表す。
【0012】
本発明のジェル状クレンジング料は、下記の(a)成分、(b)成分、(c)成分、(d)成分および(e)成分を含有する。なお、ジェル状とは、流動性を有する半固形状態を意味する。各成分について、以下に説明する。
【0013】
[(a)疎水変性ポリエーテルウレタン]
本発明のジェル状クレンジング料に(a)成分として含有される疎水変性ポリエーテルウレタンは、下記式(1)で示される化合物である。
R1-{(O-R2)k-OCONH-R3[-NHCOO-(R4-O)n-R5]h}m ・・・ (1)
式(1)中、R1は炭素数2以上の炭化水素基を示し、R2およびR4は互いに同一でも異なっても良い炭素数2~4のアルキレン基、またはフェニルエチレン基を示し、R3はウレタン結合を有していても良い炭素数1~10の2価の炭化水素基を示し、R5は炭素数8~36の1価の炭化水素基を示し、mは2以上の数であり、hは1以上の数であり、kは1~500の範囲の数、nは1~200の範囲の数である。
【0014】
上記式(1)中、R1は、好ましくは炭素数2~20の炭化水素基であり、該炭化水素基は炭素数2~6のものがより好ましく、炭素数2~4のものがさらに好ましく、炭素数2が特に好ましい。R1の価数は2価以上、m価以下であるものが好ましく、2価のものがより好ましい。R2およびR4は互いに同一でも異なっても良い炭素数2~4のアルキレン基が好ましく、炭素数2のアルキレン基が好ましい。R3はアルキレン基が好ましく、前記アルキレン基の炭素数は、好ましくは1~10であり、より好ましくは2~8であり、さらに好ましくは4~8である。R5は好ましくは炭素数8~36のアルキル基であり、より好ましくは炭素数12~32のアルキル基であり、さらに好ましくは炭素数14~28のアルキル基であり、炭素数22~28のアルキル基であるものが特に好ましい。前記アルキル基は分岐でも直鎖でも構わないが、分岐であるものが好ましく、ガーベットアルコール由来の分岐を有するものがさらに好ましい。
mは、好ましくは2以上8以下であり、より好ましくは2である。hは、好ましくは1以上3以下であり、より好ましくは1である。kは好ましくは50~250であり、さらに好ましくは75~200であり、100~150が特に好ましい。また、nは好ましくは5~100であり、さらに好ましくは10~50であり、15~30が特に好ましい。
【0015】
上記式(1)で表される疎水変性ポリエーテルウレタンは、例えば、R1-[(O-R2)k-OH]m(ここで、R1、R2、k、mは上記したとおり)で表される1種または2種以上のポリエーテルポリオールと、R3-(NCO)h+1(ここで、R3、hは上記したとおり)で表される1種または2種以上のポリイソシアネートと、HO-(R4-O)n-R5(ここで、R4、R5、nは上記したとおり)で表される1種または2種以上のポリエーテルモノアルコールとを反応させることにより得ることができる。
【0016】
R1-[(O-R2)k-OH]mで表されるポリエーテルポリオールは、m価のポリオールにエチレンオキシド、プロピレンオキシド、ブチレンオキシド、エピクロルヒドリン等のアルキレンオキシド、スチレンオキシド等を付加重合することにより製造できる。
R3-(NCO)h+1で表されるポリイソシアネートは、分子中に2個以上のイソシアネート基を有するものであれば特に限定されない。例えば、脂肪族ジイソシアネート、芳香族ジイソシアネート、脂環族ジイソシアネート等が挙げられる。
上記式HO-(R4-O)n-R5で表されるポリエーテルモノアルコールは1価アルコールのポリエーテルであれば特に限定されない。このような化合物は、1価アルコールにエチレンオキシド、プロピレンオキシド、ブチレンオキシド、エピクロルヒドリン等のアルキレンオキシド、スチレンオキシド等を付加重合することにより得ることができる。
【0017】
本発明において最も好ましい疎水変性ポリエーテルウレタンは、本発明の効果を顕著に奏する観点から、(PEG-240/デシルテトラデセス-20/HDI)コポリマーである。この(PEG-240/デシルテトラデセス-20/HDI)コポリマーの市販品としては株式会社ADEKA製の「アデカノールGT-700」、「アデカノールGT-730」が挙げられる。なお、前記PEGとはポリエチレングリコールであり、HDIはヘキサメチレンジイソシアネートである。
本発明のジェル状クレンジング料における(a)成分の含有量は、0.05~2質量%であり、好ましくは、0.1~1.5質量%であり、特に好ましくは0.2~1質量%である。(a)成分の含有量が少なすぎると、ぷるぷる感や厚み感の持続性が低下するおそれがあり、(a)成分の含有量が多すぎると、なめらかさやクレンジング力が低下するおそれがある。
【0018】
[(b)エチレンオキシドの平均付加モル数が5~20であるイソステアリン酸ポリオキシエチレングリセリル]
本発明のジェル状クレンジング料に含まれる(b)成分は、エチレンオキシドの平均付加モル数が5~20であるイソステアリン酸ポリオキシエチレングリセリルである。上記平均付加モル数が20を超えると、ジェル状クレンジング料のぷるぷる感や厚み感の持続性が低下するおそれがあり、また保存安定性が悪くなるおそれがある。上記平均付加モル数が5未満であると、ぷるぷる感が低下したり、保存安定性が悪くなったりする虞がある。(b)成分のエチレンオキシドの平均付加モル数は、6~20が好ましく、8~15がより好ましく、8~10がさらに好ましい。
平均付加モル数が5~20であるイソステアリン酸ポリオキシエチレングリセリルの市販品としては、例えば、「ユニオックス GM-8IS」(日油株式会社製、エチレンオキシドの平均付加モル数:8)、「ユニオックス GM-10IS」(日油株式会社製、エチレンオキシドの平均付加モル数:10)、「ユニオックス GM-15IS」(日油株式会社製、エチレンオキシドの平均付加モル数:15)、「ユニオックス GM-20IS」(日油株式会社製、エチレンオキシドの平均付加モル数:20)、「サラコス GE-118」(日清オイリオグループ株式会社製、エチレンオキシドの平均付加モル数:20)を用いることができる。
【0019】
本発明のジェル状クレンジング料には、(b)成分は、1種を単独で、または2種以上を組み合わせて含有させることができる。
本発明のジェル状クレンジング料における(b)成分の含有量は、15~45質量%であり、好ましくは18~38質量%であり、特に好ましくは20~30質量%である。(b)成分の含有量が少なすぎると、クレンジグ力や厚み感の持続性が低下するおそれがあり、(b)成分の含有量が多すぎると、保存安定性が悪くなるおそれがある。
【0020】
[(c)カルボキシビニルポリマーおよびアルキル変性カルボキシビニルポリマーからなる群より選択される1種または2種以上]
本発明のジェル状クレンジング料に含まれる(c)成分は、カルボキシビニルポリマーおよびアルキル変性カルボキシビニルポリマーからなる群より選択される1種又は2種以上である。(C)成分は、化粧品原料として市販されている製品を使用することができる。
カルボキシビニルポリマーとは、ペンタエリスチルアリルエーテル、スクロースアリルエーテルまたはプロピレンアリルエーテルで架橋したアクリル酸の重合体である。アルキル変性カルボキシビニルポリマーとは、(メタ)アクリル酸と、アルキル基の炭素数が10~30である(メタ)アクリル酸アルキルとの共重合体を、ショ糖のアリルエーテルまたはペンタエリスリトールのアリルエーテルで架橋したものである。
【0021】
カルボキシビニルポリマーの市販品としては、「ハイビスワコー105MD」(富士フイルム和光純薬株式会社製)、「AQUPEC HV-801EG」、「AQUPEC HV-805EG」(住友精化株式会社製)、「CARBOPOL ULTREZ 10」、「CARBOPOL 940」、「CARBOPOL 941」、「CARBOPOL 980」、「CARBOPOL 981」(以上、Lubrizol Advanced Materials社製)等が挙げられ、アルキル変性カルボキシビニルポリマーの市販品としては、「AQUPEC HV-801ERK」(住友精化株式会社製)、「CARBOPOL 1342」、「CARBOPOL 1382」、「CARBOPOL ETD2020」(以上、Lubrizol Advanced Materials社製)等が挙げられる。
【0022】
本発明のジェル状クレンジング料には、(c)成分は、1種を単独で、または2種以上を組み合わせて含有させることができる。
本発明のジェル状クレンジング料における(c)成分の含有量は、0.01~0.4質量%であり、好ましくは0.03~0.3質量%であり、特に好ましくは0.05~0.2質量%である。(c)成分の含有量が少なすぎると、なめらかさや厚み感の持続性が低下したり安定性が悪くなるおそれがあり、(c)成分の含有量が多すぎると、ぷるぷる感やクレンジグ力が低下するおそれがある。
【0023】
[(d)炭素数が3~6である2価のアルコール]
本発明のジェル状クレンジング料に(d)成分として含有される炭素数3~6の2価のアルコールとしては、例えば、1,3-プロパンジオール、プロピレングリコール、1,3-ブチレングリコール、ペンチレングリコール、ヘキシレングリコール、イソプレングリコール、ジプロピレングリコール等が挙げられる。これらの中で、プロピレングリコール、1,3-ブチレングリコール、ペンチレングリコール、ジプロピレングリコールが好ましく用いられる。
【0024】
本発明において、上記炭素数3~6の2価のアルコールは、自体公知の製造方法に従って合成して用いることもできるが、化粧料、医薬部外品用等として市販されている製品を用いることができる。
本発明のジェル状クレンジング料には、(d)成分は、1種を単独で、または2種以上を組み合わせて含有させることができる。
【0025】
本発明のジェル状クレンジング料における(d)成分の含有量は、0.5~20質量%であり、好ましくは、1~15質量%であり、特に好ましくは2~10質量%である。(d)成分の含有量が少なすぎると、保存安定性が悪くなったりクレンジング力が低下するおそれがあり、(d)成分の含有量が多すぎると、ぷるぷる感が低下するおそれがある。
【0026】
[(e)炭化水素油]
本発明のジェル状クレンジング料に(e)成分として含有される炭化水素油は、炭化水素を主成分として含有し、好ましくは25℃よりも低い融点を有し、25℃で液体であるか、または流動性を示す油性物質である。
具体的には、(e)成分としては、ミネラルオイル、ポリブテン、水添ポリイソブテン、水添ポリデセン、スクワラン、スクワレン、テトラデセン、イソヘキサデカン、イソドデカン等が挙げられる。中でも水添ポリイソブテンが好ましい。
本発明のジェル状クレンジング料に(e)成分として含有される炭化水素油は、石油、石炭、天然ガス等から分離、精製等し、または自体公知の方法により化学的に合成して製造して用いることができるが、各社より提供されている市販の製品を用いることができる。
【0027】
本発明のジェル状クレンジング料には、(e)成分である炭化水素油は、1種を単独で、または2種以上を組み合わせて含有させることができる。
本発明のジェル状クレンジング料における(e)成分の含有量は、0.5~10質量%であり、好ましくは1~8質量%であり、特に好ましくは2~7質量%である。(e)成分の含有量が少なすぎると、クレンジング力やぷるぷる感が低下するおそれがあり、(e)成分の含有量が多すぎると、保存安定性が悪くなったり厚み感の持続性が低下するおそれがある。
【0028】
[(c)成分に対する(a)成分の質量比((a)成分/(c)成分)]
(c)成分に対する(a)成分の質量比((a)成分/(c)成分)は、好ましくは3~5であり、より好ましくは3.3~4.7、特に好ましくは3.5~4.5である。この比が上記範囲内であると、ぷるぷる感が向上したり、なめらかさが高まりやすくなったりする。
【0029】
[(b)成分と(c)成分の合計含有量に対する(a)成分の質量比((a)成分/{(b)成分+(c)成分})]
(b)成分と(c)成分の合計含有量に対する(a)成分の質量比((a)成分/{(b)成分+(c)成分})は、好ましくは0.01~0.02であり、より好ましくは0.012~0.019、特に好ましくは、0.014~0.017である。この比が上記範囲内であると、厚み感の持続性が高まりやすくなる。
【0030】
[(e)成分に対する(b)成分の質量比((b)成分/(e)成分)]
(e)成分に対する(b)成分の質量比((b)成分/(e)成分)は、好ましくは1~30であり、より好ましくは3~10であり、特に好ましくは4~6である。この比が上記範囲内であると、クレンジグ力が高まりやすくなったり保存安定性が向上しやすくなったりする。
【0031】
[水]
本発明のジェル状クレンジグ料は、上記の(a)成分、(b)成分、(c)成分、(d)成分および(e)成分に加えて、通常は水を含有する。
本発明のジェル状クレンジグ料において、水としては、イオン交換水、蒸留水等の精製水等、化粧料の製造に適する水が用いられる。
本発明のジェル状クレンジグ料における水の含有量は、ジェル状クレンジグ料の全量を100質量%とする量として設定されるが、通常20質量%~85質量%であり、好ましくは30質量%~75質量%であり、より好ましくは40質量%~70質量%である。
【0032】
[他の添加剤]
本発明のジェル状クレンジグ料には、本発明の特徴を損なわない範囲で、上記した(a)成分、(b)成分、(c)成分、(d)成分および(e)成分の他に、化粧料に一般的に用いられる他の添加剤を含有させることができる。
かかる添加剤としては、油剤、低級アルコール、保湿剤、増粘剤、界面活性剤、分散剤、懸濁化剤、pH調整剤、キレート剤、抗酸化剤、防腐剤、血行促進剤、抗シワ剤、抗炎症剤、美白剤、細胞賦活剤、収斂剤、抗ざ瘡剤、紫外線吸収剤、着色剤、香料等が挙げられる。
これらの添加剤は、目的に応じて、1種または2種以上を選択し、通常ジェル状クレンジグ料に用いられる含有量に準じて含有させることができる。
【実施例0033】
以下、実施例および比較例を挙げて、本発明をさらに具体的に説明する。使用した製品を下記に示す。なお、各物性値は、特に断りがない限り、本明細書に記載の方法による値である。
【0034】
(a-1)疎水変性ポリエーテルウレタン:「アデカノールGT-730」(株式会社ADEKA製)
(b-1)イソステアリン酸ポリオキシエチレングリセリル(EO平均付加モル数=8):「ユニオックス GM-8IS」(日油株式会社製、エチレンオキシドの平均付加モル数:8)
(b-2)イソステアリン酸ポリオキシエチレングリセリル(EO平均付加モル数=20):、「サラコス GE-118」(日清オイリオグループ株式会社製、エチレンオキシドの平均付加モル数:20)
(b´-1)イソステアリン酸ポリオキシエチレングリセリル(EO平均付加モル数=25):「EMALEX GWIS-125」(日本エマルジョン株式会社製)
(b´-2)モノオレイン酸ポリオキシエチレンソルビタン(EO平均付加モル数=20):「NOFABLE ESO-8520」(日油株式会社製、エチレンオキシドの平均付加モル数:20)
(c-1)アルキル変性カルボキシビニルポリマー:「CARBOPOL ETD2020」(Lubrizol Advanced Materials社製)
(e-1)炭化水素油として水添ポリイソブテン:「パールリーム4」(日油株式会社製)
(e´-1)エステル油:「TOENOL#5016-S」(当栄ケミカル株式会社製)
【0035】
[実施例1~13、比較例1~7]
下記の調製方法に沿って表1、2に示す組成のジェル状クレンジング料を調製し、評価した。なお、表中の各成分に対応する数値は、各成分の含有量(質量%)を示し、表中の「-」は、当該成分を含有しないことを示す。なお、ジェル状クレンジング料における水の含有量は、(a)~(e)成分と水の含有量の合計が100質量%となる量である。
【0036】
<調整方法>
I:水に(a)を添加し75~85℃に加熱し、溶解した。
II:あらかじめ予備混合した(b)、(d)および(e)を、Iへ添加し75~85℃で均一になるまで撹拌・混合した。
III:あらかじめ水分散処理を行い2%水溶液とした(c)をIIへ添加し75~85℃で均一になるまで撹拌・混合した。
IV:10~40℃になるまで撹拌し、冷却した。
V:中和剤をIVへ添加し、均一になるまで撹拌・混合した。
実施例および比較例の各クレンジング料について、下記の肌へ伸ばした際のなめらかさ、厚み感の持続性、ぷるぷる感、クレンジング力、安定性について評価した。
【0037】
(1)なめらかさ
メイクをした20名の女性(21才~59才)をパネラーとし、クレンジング料を肌へ伸ばした時のなめらかさについて下記のように判定した。
2点:十分になめらかさがあると感じた。
1点:ややなめらかさがあると感じた。
0点:明らかになめらかさがないと感じた。
20名の合計点を求めて、下記の基準で評価して表中に表示した。
◎:合計点が35点以上、かつ、0点の評価をしたパネラーがいない。
○:合計点が30点以上35点未満、かつ、0点の評価をしたパネラーがいない。
△:合計点が20点以上30点未満、または、合計点が30点以上かつ0点の評価をしたパネラーがいる。
×:合計点が20点未満である。
【0038】
(2)厚み感の持続性
メイクをした20名の女性(21才~59才)をパネラーとし、クレンジング料を肌へ伸ばし、マッサージ後の厚み感の持続性について下記のように判定した。
2点:十分に厚み感が持続していると感じた。
1点:やや厚み感が持続していると感じた。
0点:明らかに厚み感が持続していないと感じた。
20名の合計点を求めて、下記の基準で評価して表中に表示した。
◎:合計点が35点以上、かつ、0点の評価をしたパネラーがいない。
○:合計点が30点以上35点未満、かつ、0点の評価をしたパネラーがいない。
△:合計点が20点以上30点未満、または、合計点が30点以上かつ0点の評価をしたパネラーがいる。
×:合計点が20点未満である。
【0039】
(3)ぷるぷる感
メイクをした20名の女性(21才~59才)をパネラーとし、クレンジング料を使用した時のぷるぷる感について下記のように判定した。
2点:十分ぷるぷるしていると感じた。
1点:ややぷるぷるしていると感じた。
0点:明らかにぷるぷるしていないと感じた。
20名の合計点を求めて、下記の基準で評価して表中に表示した。
◎:合計点が35点以上、かつ、0点の評価をしたパネラーがいない。
○:合計点が30点以上35点未満、かつ、0点の評価をしたパネラーがいない。
△:合計点が20点以上30点未満、または、合計点が30点以上かつ0点の評価をしたパネラーがいる。
×:合計点が20点未満である。
【0040】
(4)クレンジング力
メイクをした20名の女性(21才~59才)をパネラーとし、クレンジング料を使用した時のメイクアップ化粧料の汚れ落ちについて下記のように判定した。
2点:十分メイクの汚れが落ちたと感じた。
1点:ややメイクの汚れが落ちたと感じた。
0点:明らかにメイク汚れの落ちが悪いと感じた。
20名の合計点を求めて、下記の基準で評価して表中に表示した。
◎:合計点が35点以上、かつ、0点の評価をしたパネラーがいない。
○:合計点が30点以上35点未満、かつ、0点の評価をしたパネラーがいない。
△:合計点が20点以上30点未満、または、合計点が30点以上かつ0点の評価をしたパネラーがいる。
×:合計点が20点未満である。
【0041】
(5)保存安定性
50℃で1ヵ月静置保存した後の状態を確認し、下記のように安定性を判定した。
◎:50℃でも当初の性状にほとんど変化がなく、かつ25℃に戻しても当初の性状とほとんど変化がない。
〇:50℃では性状に変化がみられ、25℃に戻すと当初の性状とほとんど変化がない。
×:50℃、25℃どちらの状態でも性状に変化がみられた、あるいは分離がみられた。
【0042】
【0043】
【0044】
各実施例の結果から明らかなように、(a)~(e)成分を特定範囲の量で含有する本発明のジェル状クレンジング料は、なめらかさ、厚み感の持続性、ぷるぷる感、クレンジング力、保存安定性のいずれにおいても良好な結果が得られた。これに対して、本発明の要件を満足しない各比較例のジェル状クレンジング料は、なめらかさ、厚み感の持続性、ぷるぷる感、クレンジング力、及び安定性の少なくともいずれかにおいて、不十分な結果となった。