(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2022177732
(43)【公開日】2022-12-01
(54)【発明の名称】車両用エアサスペンション式シート支持装置
(51)【国際特許分類】
B60N 2/52 20060101AFI20221124BHJP
B60N 2/16 20060101ALI20221124BHJP
A47C 7/02 20060101ALI20221124BHJP
【FI】
B60N2/52
B60N2/16
A47C7/02 D
【審査請求】未請求
【請求項の数】3
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2021084175
(22)【出願日】2021-05-18
(71)【出願人】
【識別番号】000004640
【氏名又は名称】日本発條株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110001519
【氏名又は名称】弁理士法人太陽国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】中村 竜誠
(72)【発明者】
【氏名】石渡 和也
(72)【発明者】
【氏名】齋藤 幸信
(72)【発明者】
【氏名】今井 信吾
(72)【発明者】
【氏名】齋藤 英樹
(72)【発明者】
【氏名】朴 光▲変▼
【テーマコード(参考)】
3B087
【Fターム(参考)】
3B087BA16
3B087BB22
3B087BC27
3B087DD03
3B087DD11
(57)【要約】
【課題】車両用シートの座面が上限位置又は下限位置にある状態において、振動吸収性能を確保することができる車両用エアサスペンション式シート支持装置を得る。
【解決手段】車両用エアサスペンション式シート支持装置10は、高さ連動部60を備えており、高さ連動部60は、シート14の座面16Aの高さに応じて、バルブ62の給気弁棒82を押圧する第1アーム70と、バルブ62の排気弁棒84を押圧する第2アーム72とを連結する連結部材74の連結軸部74Aの位置を変更する。
【選択図】
図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
乗員が着座する車両用シートを支持可能なアッパフレームと、
前記アッパフレームのシート下方側に配置されると共に車両のフロア部に支持可能とされたロアフレームと、
前記アッパフレームが前記ロアフレームに対してシート上下方向に相対移動可能な状態で当該アッパフレームと当該ロアフレームとを連結する連結部と、
前記アッパフレームをシート下方側から支持可能とされると共に、内蔵する空気量に応じてシート上下方向に伸縮することで前記車両用シートの座面の高さをシート上下方向に調整可能とされたエアスプリングと、
給気弁棒と、排気弁棒と、を備えると共に、当該給気弁棒が押圧されることで前記エアスプリングに空気を供給可能とされ、当該排気弁棒が押圧されることで当該エアスプリングから空気を排出可能とされたバルブと、
一端部が第1操作ケーブルに連結されると共に他端部が連結軸部に対して回動可能に支持され、当該第1操作ケーブルの操作によって当該連結軸部に対して回動して前記給気弁棒を押圧可能とされた第1アームと、
一端部が第2操作ケーブルに連結されると共に他端部が前記連結軸部に対して回動可能に支持され、当該第2操作ケーブルの操作によって当該連結軸部に対して回動して前記排気弁棒を押圧可能とされた第2アームと、
前記座面の高さに応じて前記連結軸部の位置を変更可能とされると共に、当該座面の位置が上限位置に達している状態において当該連結軸部を前記第1アームによる前記給気弁棒の押圧が制限されかつ前記第2アームによる前記排気弁棒の押圧が許容される第1制限位置に移動させ、当該座面の位置が下限位置に達している状態において当該連結軸部を当該第2アームによる当該排気弁棒の押圧が制限されかつ当該第1アームによる当該給気弁棒の押圧が許容される第2制限位置に移動させる高さ連動部と、
を有する車両用エアサスペンション式シート支持装置。
【請求項2】
前記第1アームには、前記連結軸部が前記第1制限位置にある状態において前記第1操作ケーブルの操作によって当該第1アームが前記給気弁棒に向かって回動したときに当該給気弁棒が収まる第1凹部が設けられており、
前記第2アームには、前記連結軸部が前記第2制限位置にある状態において前記第2操作ケーブルの操作によって当該第2アームが前記排気弁棒に向かって回動したときに当該排気弁棒が収まる第2凹部が設けられている、
請求項1に記載の車両用エアサスペンション式シート支持装置。
【請求項3】
前記給気弁棒は、前記排気弁棒に対してシート上方側に配置され、
前記連結軸部は、シート高さ方向において前記給気弁棒と前記排気弁棒との間に配置され、
前記連結部は、シート幅方向から見てシート前方側からシート後方側に向かって上り勾配となるように延在する第1リンクアームと、シート幅方向から見てシート前方側からシート後方側に向かって下り勾配となるように延在すると共に前記第1リンクアームとシート幅方向回りに回動可能に連結された第2リンクアームと、を含んで構成され、
前記高さ連動部は、ベース部と、第1クランクギヤと、第2クランクギヤと、第1リンクと、第2リンクと、を含んで構成されると共に、
前記ベース部は、前記第1リンクアーム及び前記第2リンクアームの何れか一方のシート上方側の部分に配置されると共に、シート幅方向から見て当該ベース部のシート前後方向一方側を中心とする円周に沿ってシート前後方向他方側に凸となるように延在しかつ前記連結軸部がシート幅方向に挿通されたガイド溝部を備え、
前記第1クランクギヤは、前記ガイド溝部のシート前後方向一方側において前記ベース部にシート幅方向回りに回動可能に支持された第1ギヤ部と、当該第1ギヤ部から延出され、端部が当該第1ギヤ部のシート前後方向一方側に配置されると共に前記第1リンクアーム及び前記第2リンクアームの何れか他方のシート下方側の部分に対して設けられたクランク支持部にシート幅方向回りに回動可能に支持された第1クランク部と、を備え、
前記第2クランクギヤは、前記ガイド溝部のシート前後方向一方側かつ前記第1ギヤ部のシート上方側において前記ベース部にシート幅方向回りに回動可能に支持されると共に前記第1ギヤ部に係合された第2ギヤ部と、当該第2ギヤ部から当該第1ギヤ部と反対側に延出された第2クランク部と、を備え、
前記第1リンクは、一端部が前記第2クランク部とシート幅方向回りに回動可能に連結されると共に、当該第2クランク部からシート下方側かつ前記ガイド溝部側に延出され、
前記第2リンクは、一端部が前記第1リンクの他端部にシート幅方向回りに回動可能に連結されると共に、他端部が前記連結軸部にシート幅方向回りに回動可能に連結され、当該第1リンクからシート下方側に延出されており、
前記第1凹部は、前記第1アームにおける前記連結軸部と反対側に設けられており、
前記第2凹部は、前記第2アームにおける前記連結軸部と反対側に設けられている、
請求項2に記載の車両用エアサスペンション式シート支持装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、車両用エアサスペンション式シート支持装置に関する。
【背景技術】
【0002】
下記特許文献1には、車両用エアサスペンション式シート支持装置に関する発明が開示されている。この車両用エアサスペンション式シート支持装置は、シートの座面の高さを調整可能なエアスプリングに対して空気の出し入れを行うバルブを備えており、このバルブの筐体には、第1カム軸及び第2カム軸が設けられている。
【0003】
そして、第1カム軸には、一対の翼部とカム部とを備えた第1カムが、第1カム軸に対して回動可能に支持されている。一方、第2カム軸には、一対の押し部と凹部とを備えた第2カムが、第2カム軸に対して回動可能に支持されている。また、第2カムの凹部には、第1カムのカム部が挿入されており、第1カムが回動することで、第2カムも回動し、押し部によって、バルブの給気弁棒又は排気弁棒が押されるようになっている。そして、第2カムによって給気弁棒が押されると、エアスプリングに空気が供給されてシートの座面が上昇し、第2カムによって排気弁棒が押されるとエアスプリング内の空気が排出されてシートの座面が下降するようになっている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
ところで、上記特許文献1に記載された先行技術では、バルブが圧縮コイルばねで付勢された状態とされている。また、このバルブには、ケーブルが係止されており、このケーブルが引っ張られることで、バルブが圧縮コイルばねを縮める方向に動かされ、このケーブルを引っ張る力が緩められると圧縮コイルばねの伸長によって、バルブが移動するようになっている。
【0006】
一方、ケーブルの操作が行われていない状態において、第1カムの一対の翼部の境界部に設けられた凹部には、所定の位置に配置された位置伝達ピンが係止されている。そして、ケーブルの操作が行われることで、バルブが位置伝達ピンに対して相対移動し、これに伴い第1カムの翼部が位置伝達ピンに押されることで、第1カムが回動し、ひいては第2カムが回動するようになっている。
【0007】
しかしながら、上記特許文献1に記載された先行技術では、シートの座面が上限位置まで上昇している状態であっても、ケーブルの操作によって第1カム及び第2カムを回動させてエアスプリングに空気を供給することができる。このため、シートの座面が上限位置まで上昇している状態において、エアスプリング内の圧力が過度に高くなり、エアスプリングによる振動吸収性能を十分に発揮できないことが考えられる。
【0008】
また、上記特許文献1に記載された先行技術では、シートの座面が下限位置まで下降している状態であっても、ケーブルの操作によって第1カム及び第2カムを回動させてエアスプリングから空気を排出することができる。このため、シートの座面が下限位置まで下降している状態において、エアスプリング内の圧力が過度に低くなり、エアスプリングによる振動吸収性能を十分に発揮できないことが考えられる。
【0009】
つまり、上記特許文献1に記載された先行技術では、シートの座面が上限位置又は下限位置にある状態において、振動吸収性能を確保するという点においては、改善の余地がある。
【0010】
本発明は上記事実を考慮し、車両用シートの座面が上限位置又は下限位置にある状態において、振動吸収性能を確保することができる車両用エアサスペンション式シート支持装置を得ることが目的である。
【課題を解決するための手段】
【0011】
請求項1に記載の本発明に係る車両用エアサスペンション式シート支持装置は、乗員が着座する車両用シートを支持可能なアッパフレームと、前記アッパフレームのシート下方側に配置されると共に車両のフロア部に支持可能とされたロアフレームと、前記アッパフレームが前記ロアフレームに対してシート上下方向に相対移動可能な状態で当該アッパフレームと当該ロアフレームとを連結する連結部と、前記アッパフレームをシート下方側から支持可能とされると共に、内蔵する空気量に応じてシート上下方向に伸縮することで前記車両用シートの座面の高さをシート上下方向に調整可能とされたエアスプリングと、給気弁棒と、排気弁棒と、を備えると共に、当該給気弁棒が押圧されることで前記エアスプリングに空気を供給可能とされ、当該排気弁棒が押圧されることで当該エアスプリングから空気を排出可能とされたバルブと、一端部が第1操作ケーブルに連結されると共に他端部が連結軸部に対して回動可能に支持され、当該第1操作ケーブルの操作によって当該連結軸部に対して回動して前記給気弁棒を押圧可能とされた第1アームと、一端部が第2操作ケーブルに連結されると共に他端部が前記連結軸部に対して回動可能に支持され、当該第2操作ケーブルの操作によって当該連結軸部に対して回動して前記排気弁棒を押圧可能とされた第2アームと、前記座面の高さに応じて前記連結軸部の位置を変更可能とされると共に、当該座面の位置が上限位置に達している状態において当該連結軸部を前記第1アームによる前記給気弁棒の押圧が制限されかつ前記第2アームによる前記排気弁棒の押圧が許容される第1制限位置に移動させ、当該座面の位置が下限位置に達している状態において当該連結軸部を当該第2アームによる当該排気弁棒の押圧が制限されかつ当該第1アームによる当該給気弁棒の押圧が許容される第2制限位置に移動させる高さ連動部と、を有している。
【0012】
請求項1に記載の本発明によれば、乗員が着座する車両用シートが、アッパフレームで支持されている。一方、アッパフレームのシート下方側には、ロアフレームが配置されており、当該ロアフレームは、車両のフロア部に支持されている。そして、アッパフレームとロアフレームとは、当該アッパフレームが当該ロアフレームに対してシート上下方向に相対移動可能な状態で、連結部によって連結されている。
【0013】
また、アッパフレームは、エアスプリングによってシート下方側から支持されており、当該エアスプリングは、内蔵する空気量に応じてシート上下方向に伸縮する。そして、このエアスプリングがシート上下方向に伸縮することで、車両用シートの座面の高さをシート上下方向に調整することができる。
【0014】
一方、エアスプリングへの空気の供給並びに当該エアスプリングからの空気の排出は、バルブによって行われる。このバルブは、給気弁棒と、排気弁棒とを備えており、当該給気弁棒が押圧されることで、エアスプリングに空気が供給され、当該排気弁棒が押圧されることで当該エアスプリングから空気が排出される。
【0015】
そして、給気弁棒は、第1操作ケーブル及び第1アームによって操作することが可能とされている。詳しくは、第1アームの一端部は、第1操作ケーブルに連結されており、当該第1アームの他端部は、連結軸部に対して回動可能に支持されている。また、第1アームは、連結軸部に対して回動して給気弁棒を押圧するようになっている。このため、第1操作ケーブルを操作することで、第1アームで給気弁棒を押圧し、バルブからエアスプリングに空気を供給することができる。
【0016】
一方、排気弁棒は、第2操作ケーブル及び第2アームによって操作することが可能とされている。詳しくは、第2アームの一端部は、第2操作ケーブルに連結されており、当該第2アームの他端部は、連結軸部に対して回動可能に支持されている。また、第2アームは、連結軸部に対して回動して排気弁棒を押圧するようになっている。このため、第2操作ケーブルを操作することで、第2アームで排気弁棒を押圧し、エアスプリングからバルブを介して空気を排出することができる。
【0017】
ところで、エアスプリングは、バルブから空気を供給されることでシート上方側に伸長し、エアスプリングに空気が供給され続けると、車両用シートの座面が上限位置まで上昇することとなる。このとき、第1操作ケーブルを操作することによって第1アームで給気弁棒を押圧し、エアスプリングに空気を供給すると、エアスプリング内の圧力が過度に高くなることが考えられる。
【0018】
また、エアスプリングは、バルブを介して空気を排出することでシート下方側に収縮し、エアスプリングから空気が排出され続けると、車両用シートの座面が下限位置まで下降することとなる。このとき、第2操作ケーブルを操作することによって第2アームで排気弁棒を押圧し、エアスプリングから空気を排出すると、エアスプリング内の圧力が過度に低くなることが考えられる。そして、これらのような場合において、エアスプリングによる振動吸収性能を十分に発揮できないことが考えられる。
【0019】
ここで、本発明では、高さ連動部を備えており、当該高さ連動部は、車両用シートの座面の高さに応じて連結軸部の位置を変更する。詳しくは、車両用シートの座面が上限位置に達している状態において、高さ連動部は、連結軸部を、第1アームによる給気弁棒の押圧が制限されかつ第2アームによる排気弁棒の押圧が許容される第1制限位置に移動させる。このため、車両用シートの座面が上限位置に達している状態において、第1操作ケーブルの操作によって第1アームを連結軸部に対して回動させても、エアスプリングにバルブから空気が供給されることを抑制することができる。
【0020】
一方、車両用シートの座面が下限位置に達している状態においては、高さ連動部は、連結軸部を、第2アームによる排気弁棒の押圧が制限されかつ第1アームによる給気弁棒の押圧が許容される第2制限位置に移動させる。このため、車両用シートの座面が下限位置に達している状態において、第2操作ケーブルの操作によって第2アームを連結軸部に対して回動させても、エアスプリングからバルブを介して空気が排出されることを抑制することができる。このように、本発明では、車両用シートの座面が上限位置又は下限位置に達している状態において、エアスプリングの振動吸収性能が低減することを抑制することができる。
【0021】
請求項2に記載の本発明に係る車両用エアサスペンション式シート支持装置は、請求項1に記載の発明において、前記第1アームには、前記連結軸部が前記第1制限位置にある状態において前記第1操作ケーブルの操作によって当該第1アームが前記給気弁棒に向かって回動したときに当該給気弁棒が収まる第1凹部が設けられており、前記第2アームには、前記連結軸部が前記第2制限位置にある状態において前記第2操作ケーブルの操作によって当該第2アームが前記排気弁棒に向かって回動したときに当該排気弁棒が収まる第2凹部が設けられている。
【0022】
請求項2に記載の本発明によれば、第1アームに第1凹部が設けられており、連結軸部が第1制限位置にある状態において、第1操作ケーブルの操作によって第1アームが給気弁棒に向かって回動したときに、第1凹部に給気弁棒が収まる。このため、車両用シートの座面が上限位置に達している状態において、第1アームによる給気弁棒の押圧が制限される確度を高めることができる。
【0023】
一方、第2アームには、第2凹部が設けられており、連結軸部が第2制限位置にある状態において、第2操作ケーブルの操作によって第2アームが排気弁棒に向かって回動したときに、第2凹部に排気弁棒が収まる。このため、車両用シートの座面が下限位置に達している状態において、第2アームによる排気弁棒の押圧が制限される確度を高めることができる。
【0024】
請求項3に記載の本発明に係る車両用エアサスペンション式シート支持装置は、請求項2に記載の発明において、前記給気弁棒は、前記排気弁棒に対してシート上方側に配置され、前記連結軸部は、シート高さ方向において前記給気弁棒と前記排気弁棒との間に配置され、前記連結部は、シート幅方向から見てシート前方側からシート後方側に向かって上り勾配となるように延在する第1リンクアームと、シート幅方向から見てシート前方側からシート後方側に向かって下り勾配となるように延在すると共に前記第1リンクアームとシート幅方向回りに回動可能に連結された第2リンクアームと、を含んで構成され、前記高さ連動部は、ベース部と、第1クランクギヤと、第2クランクギヤと、第1リンクと、第2リンクと、を含んで構成されると共に、前記ベース部は、前記第1リンクアーム及び前記第2リンクアームの何れか一方のシート上方側の部分に配置されると共に、シート幅方向から見て当該ベース部のシート前後方向一方側を中心とする円周に沿ってシート前後方向他方側に凸となるように延在しかつ前記連結軸部がシート幅方向に挿通されたガイド溝部を備え、前記第1クランクギヤは、前記ガイド溝部のシート前後方向一方側において前記ベース部にシート幅方向回りに回動可能に支持された第1ギヤ部と、当該第1ギヤ部から延出され、端部が当該第1ギヤ部のシート前後方向一方側に配置されると共に前記第1リンクアーム及び前記第2リンクアームの何れか他方のシート下方側の部分に対して設けられたクランク支持部にシート幅方向回りに回動可能に支持された第1クランク部と、を備え、前記第2クランクギヤは、前記ガイド溝部のシート前後方向一方側かつ前記第1ギヤ部のシート上方側において前記ベース部にシート幅方向回りに回動可能に支持されると共に前記第1ギヤ部に係合された第2ギヤ部と、当該第2ギヤ部から当該第1ギヤ部と反対側に延出された第2クランク部と、を備え、前記第1リンクは、一端部が前記第2クランク部とシート幅方向回りに回動可能に連結されると共に、当該第2クランク部からシート下方側かつ前記ガイド溝部側に延出され、前記第2リンクは、一端部が前記第1リンクの他端部にシート幅方向回りに回動可能に連結されると共に、他端部が前記連結軸部にシート幅方向回りに回動可能に連結され、当該第1リンクからシート下方側に延出されており、前記第1凹部は、前記第1アームにおける前記連結軸部と反対側に設けられており、前記第2凹部は、前記第2アームにおける前記連結軸部と反対側に設けられている。
【0025】
請求項3に記載の本発明によれば、給気弁棒が排気弁棒よりもシート上方側に配置されており、連結軸部がシート高さ方向において当該給気弁棒と当該排気弁棒との間に配置されている。このため、給気弁棒を押圧する第1アームは、連結軸部からシート上方側に延出された状態となっており、排気弁棒を押圧する第2アームは、当該連結軸部からシート下方側に延出された状態となっている。
【0026】
また、連結部は、第1リンクアームと、第2リンクアームとを備えている。第1リンクアームは、シート幅方向から見てシート前方側からシート後方側に向かって上り勾配となるように延在している。一方、第2リンクアームは、シート幅方向から見てシート前方側からシート後方側に向かって下り勾配となるように延在すると共に、第1リンクアームとシート幅方向回りに回動可能に連結されている。
【0027】
このため、車両用シートの座面がシート上方側に移動すると、第1リンクアームと第2リンクアームとにおいて、シート上方側の部分同士と、シート下方側の部分同士とが接近する。また、車両用シートの座面がシート下方側に移動すると、第1リンクアームと第2リンクアームとにおいて、シート上方側の部分同士と、シート下方側の部分同士とが接近する。
【0028】
そして、高さ連動部は、ベース部と、第1クランクギヤと、第2クランクギヤと、第1リンクと、第2リンクとを含んで構成されている。ベース部は、第1リンクアーム及び第2リンクアームの何れか一方のシート上方側の部分に配置されており、当該ベース部には、シート幅方向から見て当該ベース部のシート前後方向一方側を中心とする円周に沿ってシート前後方向他方側に凸となるように延在するガイド溝部が設けられている。そして、ガイド溝部には、連結軸部がシート幅方向に挿通されており、当該連結軸部の移動方向が当該ガイド溝部の延在方向に制限される。
【0029】
第1クランクギヤは、第1ギヤ部と、当該第1ギヤ部から延出された第1クランク部とを備えている。そして、第1ギヤ部は、ガイド溝部のシート前後方向一方側において、ベース部にシート幅方向回りに回動可能に支持されている。一方、第1クランク部は、その端部が、第1ギヤ部のシート前後方向一方側に配置されると共に第1リンクアーム及び第2リンクアームの何れか他方のシート下方側の部分に対して設けられたクランク支持部にシート幅方向回りに回動可能に支持されている。このため、車両用シートの座面のシート上下方向の移動に伴い第1リンクアームと第2リンクアームとが相対的に回動することで、第1ギヤ部がシート幅方向回りに回動する。
【0030】
第2クランクギヤは、第2ギヤ部と、当該第2ギヤ部から第1ギヤ部と反対側に延出された第2クランク部とを備えている。そして、第2ギヤ部は、ガイド溝部のシート前後方向一方側かつ第1ギヤ部のシート上方側においてベース部にシート幅方向回りに回動可能に支持されると共に、第1ギヤ部に係合されている。このため、第1ギヤ部がシート幅方向回りに回動すると第2ギヤ部もシート幅方向回りに回動する。
【0031】
第1リンクは、一端部が第2クランク部とシート幅方向回りに回動可能に連結されると共に、当該第2クランク部からシート下方側かつガイド溝部側に延出されている。また、第1リンクの他端部には、第2リンクの一端部が、シート幅方向回りに回動可能に連結されており、第2リンクの他端部は、連結軸部にシート幅方向回りに回動可能に連結されている。そして、第2リンクは、第1リンクからシート下方側に延出されている。
【0032】
このため、本発明では、エアスプリングがシート上方側に伸長する場合、第1ギヤ部が、第1クランク部の端部に対してシート上方側に相対移動しつつ、シート幅方向回りに回動する。また、第1ギヤ部と連動して第2ギヤ部もシート幅方向回りに回動し、その結果、第2クランク部と第1リンクとの連結部がシート前後方向他方側に移動し、これに伴い、第1リンクと第2リンクとの連結部もシート前後方向他方側に移動する。
【0033】
また、第2リンクの他端部は、上述したように連結軸部に連結されており、当該連結軸部は、上述したようにガイド溝部に挿通されている。このため、エアスプリングがシート上方側に伸長すると、連結軸部はガイド溝部に案内されてシート下方側に移動する。そして、車両用シートの座面の位置が上限位置に達すると、連結軸部は、下限位置すなわち第1制限位置に達する。このとき、第1アームは、全体的にシート下方側に移動し、第1操作ケーブルの操作によって第1アームが給気弁棒に向かって回動しても、給気弁棒は、第1アームにおける連結軸部と反対側に設けられた第1凹部に収まり、エアスプリングへの空気の供給が制限される。
【0034】
一方、エアスプリングがシート下方側に収縮する場合、第1ギヤ部が、第1クランク部の端部に対してシート下方側に相対移動しつつ、シート幅方向回りに回動する。また、第1ギヤ部と連動して第2ギヤ部もシート幅方向回りに回動し、その結果、第2クランク部と第1リンクとの連結部がシート前後方向一方側に移動し、これに伴い、第1リンクと第2リンクとの連結部もシート前後方向一方側に移動する。
【0035】
このため、エアスプリングがシート下方側に収縮すると、連結軸部はガイド溝部に案内されてシート上方側に移動する。そして、車両用シートの座面の位置が下限位置に達すると、連結軸部は、上限位置すなわち第2制限位置に達する。このとき、第2アームは、全体的にシート上方側に移動し、第2操作ケーブルの操作によって第2アームが排気弁棒に向かって回動しても、排気弁棒は、第2アームにおける連結軸部と反対側に設けられた第2凹部に収まり、エアスプリングからの空気の排出が制限される。
【発明の効果】
【0036】
以上説明したように、本発明に係る車両用エアサスペンション式シート支持装置は、車両用シートの座面が上限位置又は下限位置にある状態において、振動吸収性能を確保することができるという優れた効果を有する。
【図面の簡単な説明】
【0037】
【
図1】本実施形態に係る車両用エアサスペンション式シート支持装置の要部を構成する高さ連動部の構成を模式的に示す側面図である。
【
図2】本実施形態に係る車両用エアサスペンション式シート支持装置の要部を構成するハイトコントロールユニットの構成を模式的に示す側面図である。
【
図3】本実施形態に係る車両用エアサスペンション式シート支持装置の要部を構成するハイトコントロールユニットによる給気時の状態を模式的に示す側面図である。
【
図4】本実施形態に係る車両用エアサスペンション式シート支持装置の要部を構成するハイトコントロールユニットによる排気時の状態を模式的に示す側面図である。
【
図5】本実施形態に係る車両用エアサスペンション式シート支持装置で支持される車両用シートの座面の高さが上限位置にあるときの高さ連動部及びハイトコントロールユニットの状態を模式的に示す側面図である。
【
図6】本実施形態に係る車両用エアサスペンション式シート支持装置で支持される車両用シートの座面の高さが下限位置にあるときの高さ連動部及びハイトコントロールユニットの状態を模式的に示す側面図である。
【
図7】本実施形態に係る車両用エアサスペンション式シート支持装置の構成を模式的に示す側面図である。
【
図8】本実施形態に係る車両用シートユニットの構成を模式的に示す斜視図である。
【発明を実施するための形態】
【0038】
以下、
図1~
図8を用いて、本発明に係る車両用エアサスペンション式シート支持装置の実施形態の一例について説明する。なお、各図中に適宜示される矢印FRは、本実施形態に係る「車両用エアサスペンション式シート支持装置10(以下、支持装置10と称する)」を備えた車両用シートユニット12(以下、シートユニット12と称する)の前側を示しており、矢印UPは、シートユニット12の上側を示しており、矢印RHは、シートユニット12の右側を示している。
【0039】
まず、
図8を用いて、シートユニット12の一部を構成する「車両用シート14(以下、シート14と称する)」の構成について説明する。このシート14は、乗員が着座する「座面16A」を備えたシートクッション16と、乗員の背部を支持するシートバック18と、乗員の頭部を支持するヘッドレスト20とを備えている。そして、シート14は、支持装置10にシート下方側から支持されている。
【0040】
支持装置10は、
図7に示されるように、「アッパフレーム22」と、「ロアフレーム24」と、連結部としての「リンク機構26」と、「エアスプリング28」と、ダンパ30とを備えている。
【0041】
アッパフレーム22は、シート14をシート下方側から支持しており、一対のレールメンバ32と、図示しない一対の横メンバとを含んで、全体的には、平面視で矩形の枠状とされている。詳しくは、レールメンバ32は、シート前後方向に延在すると共に、互いに対してシート幅方向に間隔をあけて配置されており、横メンバは、レールメンバ32の端部同士を連結すると共に、互いに対してシート前後方向に間隔をあけて配置されている。
【0042】
また、一対のレールメンバ32のシート前後方向中央部同士は、板厚方向をシート上下方向とされた板状の上側支持板部34を介して連結されており、この上側支持板部34には、後述するように、エアスプリング28が取り付けられている。
【0043】
ロアフレーム24は、アッパフレーム22のシート下方側に配置されており、一対のレールメンバ36と、図示しない一対の横メンバとを含んで、全体的には、平面視で矩形枠状とされている。詳しくは、レールメンバ36は、シート前後方向に延在すると共に、互いに対してシート幅方向に間隔をあけて配置されており、横メンバは、レールメンバ32の端部同士を連結すると共に、互いに対してシート前後方向に間隔をあけて配置されている。このロアフレーム24は、一対の前脚部38及び一対の後脚部40を介して、図示しない車両のフロア部に対して固定されている。
【0044】
また、一対のレールメンバ36のシート前後方向中央部同士は、板厚方向をシート上下方向とされた板状の下側支持板部42を介して連結されており、この下側支持板部42には、後述するように、エアスプリング28が取り付けられている。
【0045】
リンク機構26は、
図1にも示されるように、「第1リンクアーム44」と、「第2リンクアーム46」とを備えている。第1リンクアーム44は、シート幅方向に間隔をあけて配置された一対のリンクプレート48と、リンクプレート48同士を連結する一対のリンクパイプ50とを備えると共に、シート上下方向から見て環状とされている。
【0046】
詳しくは、リンクプレート48は、シート幅方向から見てシート前方側からシート後方側に向かって上り勾配となるように延在すると共に、板厚方向をシート幅方向とされた板状とされている。
【0047】
一方、リンクパイプ50は、シート幅方向に延在すると共に、互いに対してシート前後方向に間隔をあけて配置されており、リンクプレート48の端部同士を連結している。
【0048】
そして、シート前方側に配置されたリンクパイプ50の両端部は、それぞれ図示しないローラを介してロアフレーム24のレールメンバ36に対してシート前後方向に移動可能に支持されている。一方、シート後方側に配置されたリンクパイプ50の両端部は、それぞれ図示しないローラを介してアッパフレーム22のレールメンバ32に対してシート前後方向に移動可能に支持されている。
【0049】
第2リンクアーム46は、シート幅方向に間隔をあけて配置された一対のリンクプレート52と、リンクプレート52同士を連結する一対のリンクパイプ54とを備えると共に、シート上下方向から見て環状とされている。
【0050】
詳しくは、リンクプレート52は、シート幅方向から見てシート前方側からシート後方側に向かって下り勾配となるように延在すると共に、板厚方向をシート幅方向とされた板状とされている。
【0051】
一方、リンクパイプ54は、シート幅方向に延在すると共に、互いに対してシート前後方向に間隔をあけて配置されており、リンクプレート52の端部同士を連結している。
【0052】
そして、シート前方側に配置されたリンクパイプ54の両端部は、それぞれ図示しないローラを介してアッパフレーム22のレールメンバ32に対してシート前後方向に移動可能に支持されている。一方、シート後方側に配置されたリンクパイプ54の両端部は、それぞれ図示しないローラを介してロアフレーム24のレールメンバ36に対してシート前後方向に移動可能に支持されている。
【0053】
また、第1リンクアーム44と第2リンクアーム46とは、シート幅方向両側において、リンクプレート48とリンクプレート52とが連結部材56によってシート幅方向回りに回動可能に連結されることで一体化されている。
【0054】
上記のように構成されたリンク機構26は、リンクパイプ50とリンクパイプ54とがシート前後方向において近づくように変形させると、アッパフレーム22がシート上方側に移動し、ひいてはシート14の座面16Aがシート上方側に移動するようになっている。一方、リンクパイプ50とリンクパイプ54とがシート前後方向において離れるようにリンク機構26を変形させると、アッパフレーム22がシート下方側に移動し、ひいては座面16Aがシート下方側に移動するようになっている。
【0055】
すなわち、リンク機構26は、アッパフレーム22がロアフレーム24に対してシート上下方向に相対移動可能な状態で、アッパフレーム22とロアフレーム24とを連結している。
【0056】
エアスプリング28は、外形がシート上下方向に延在する円柱状とされており、シート上方側の端部がアッパフレーム22の上側支持板部34に固定されると共に、シート下方側の端部がロアフレーム24の下側支持板部42に固定されている。このエアスプリング28には、例えば、車両のエアブレーキ装置の一部を構成するエアコンプレッサ(空気供給源)から圧縮空気が供給されるようになっている。そして、エアスプリング28は、アッパフレーム22ひいてはシート14をシート下方側から支持しており、シート14の上下動に起因する荷重を吸収可能とされている。
【0057】
また、エアスプリング28は、空気が供給されることでシート上方側に伸長し、空気が排出されることでシート下方側に収縮するようになっている。これにより、本実施形態では、エアスプリング28が伸長することでアッパフレーム22がシート上方側に移動し、エアスプリング28が収縮することでアッパフレーム22がシート下方側に移動することとなる。つまり、エアスプリング28は、内蔵する空気量に応じてシート上下方向に伸縮することで、アッパフレーム22に支持されたシート14の座面16Aの高さを調整可能とされている。
【0058】
ダンパ30は、オイル式のシリンダーダンパとされており、アッパフレーム22とロアフレーム24とを連結している。そして、ダンパ30によってシート14に発生する振動を減衰することが可能となっている。
【0059】
ここで、本実施形態では、
図1及び
図2に示されるように、ハイトコントロールユニット58によってエアスプリング28内の空気の内蔵量を調整し、シート14の座面16Aの高さを調整可能とされている点に第1の特徴がある。また、「高さ連動部60」によって、ハイトコントロールユニット58の挙動をシート14の座面16Aの高さに応じて変更可能とされている点に第2の特徴がある。以下、本実施形態の要部を構成するハイトコントロールユニット58及び高さ連動部60の構成について詳細に説明することとする。なお、以下では、特に断りのない限り、シート14の座面16Aが、シート上下方向において上限位置との下限位置の中間である中間位置にあることを前提として、説明を進めていくこととする。
【0060】
ハイトコントロールユニット58は、「バルブ62」、ハウジング64、「第1操作ケーブル66」、「第2操作ケーブル68」、「第1アーム70」、「第2アーム72」及び連結部材74を含んで構成されている。
【0061】
バルブ62は、ケーシング76と、第1ポート78と、第2ポート80と、「給気弁棒82」と、「排気弁棒84」とを含んで構成されている。ケーシング76は、金属製とされており、その内側には、空気が流れる流路部が形成されると共に、そのシート幅方向内側の面には、当該流路部と連通可能とされた空気排出孔86が設けられている。
【0062】
そして、ケーシング76のシート後方側の背面76Aには、第1ポート78及び第2ポート80が設けられており、ケーシング76のシート前方側の前面76Bには、給気弁棒82及び排気弁棒84が設けられている。
【0063】
詳しくは、第1ポート78は、背面76Aのシート上方側の部分に配置されており、上述した空気供給源とホース88を介して接続されている。一方、第2ポート80は、背面76Aのシート下方側の部分に配置されており、エアスプリング28とホース90を介して接続されている。
【0064】
給気弁棒82は、前面76Bのシート上方側の部分に配置されると共に、ケーシング76に対してシート前後方向に出し入れ可能とされている。また、ケーシング76の内側には、図示しない付勢部材が配置されており、当該付勢部材によって給気弁棒82は、ケーシング76の外側に向けて付勢された状態となっている。
【0065】
そして、バルブ62は、給気弁棒82がケーシング76側に押圧されることでケーシング76内に配置された図示しない給気弁が開かれ、流路部を介して第1ポート78と第2ポート80とが連通されるようになっている。つまり、本実施形態では、給気弁棒82が押圧されると、空気供給源からの圧縮空気が、バルブ62を介してエアスプリング28に供給されるようになっている。
【0066】
一方、排気弁棒84は、前面76Bのシート下方側の部分に配置されると共に、ケーシング76に対してシート前後方向に出し入れ可能とされている。また、ケーシング76の内側には、図示しない付勢部材が配置されており、当該付勢部材によって排気弁棒84は、ケーシング76の外側に向けて付勢された状態となっている。
【0067】
そして、バルブ62は、排気弁棒84がケーシング76側に押圧されることでケーシング76内に配置された図示しない排気弁が開かれ、流路部を介して第2ポート80と空気排出孔86とが連通されるようになっている。つまり、本実施形態では、排気弁棒84が押圧されると、エアスプリング28内の空気が、バルブ62の空気排出孔86から排出されるようになっている。
【0068】
ハウジング64は、第2リンクアーム46のシート幅方向左側のリンクプレート52のシート上方側の部分(シート前方側の部分)におけるシート幅方向内側の面に配置されると共に、リンクプレート48に取り付けられた「ベース部92」と、ベース部92をシート幅方向内側から覆う図示しないケース部とを備えている。
【0069】
ベース部92は、その主な部分が板厚方向をシート幅方向とされた板状のベース板部92Aで構成されている。そして、ベース板部92Aには、複数の位置決め突起部92B、第1ガイド凹部92C、第2ガイド凹部92D、第1位置決め凹部92E、第2位置決め凹部92F、「ガイド溝部94」、第1被挿通部96及び第2被挿通部98が設けられている。
【0070】
位置決め突起部92Bは、ベース板部92Aからシート幅方向内側に突出された円筒状とされており、一例として、シート前後方向及びシート上下方向に間隔をあけて2本配置されている。これらの位置決め突起部92Bは、バルブ62の位置決めに用いられると共に、ケース部のシート幅方向内側から図示しない締結部材が締結されることで、当該ケース部の固定にも用いられている。
【0071】
第1ガイド凹部92Cは、ベース板部92Aにおけるシート上方側の部分にシート幅方向から見てバルブ62と重ならないように設けられている。この第1ガイド凹部92Cは、シート幅方向から見てシート前後方向を長手方向とされたオーバル状とされると共に、シート幅方向外側に凹んでおり、後述するように、第1操作ケーブル66の一部をシート前後方向に案内することが可能とされている。
【0072】
第2ガイド凹部92Dは、ベース板部92Aにおけるシート下方側の部分にシート幅方向から見てバルブ62と重ならないように設けられている。この第2ガイド凹部92Dは、シート幅方向から見てシート前後方向を長手方向とされたオーバル状とされると共に、シート幅方向外側に凹んでおり、後述するように、第2操作ケーブル68の一部をシート前後方向に案内することが可能とされている。なお、ケース部にもベース部92と同様に第1ガイド凹部92C及び第2ガイド凹部92Dが設けられている。
【0073】
第1位置決め凹部92Eは、第1ガイド凹部92Cのシート後方側に配置されており、シート幅方向から見てシート前後方向を長手方向とされた矩形状とされると共に、シート幅方向外側に凹んでいる。この第1位置決め凹部92Eは、後述するように、第1操作ケーブル66の一部を位置決めすることが可能とされている。
【0074】
第2位置決め凹部92Fは、第2ガイド凹部92Dのシート後方側に配置されており、シート幅方向から見てシート前後方向を長手方向とされた矩形状とされると共に、シート幅方向外側に凹んでいる。この第2位置決め凹部92Fは、後述するように、第2操作ケーブル68の一部を位置決めすることが可能とされている。
【0075】
ガイド溝部94は、位置決め突起部92Bのシート前方側において、第1ガイド凹部92Cのシート下方側かつ第2ガイド凹部92Dのシート上方側に、シート幅方向から見てバルブ62と重ならないように配置されている。このガイド溝部94は、シート幅方向から見てベース部92のシート前方側を中心とする円周に沿ってシート後方側に凸となるように延在している。そして、このガイド溝部94には、後述するように、連結部材74の一部がシート幅方向に挿通されている。
【0076】
第1被挿通部96は、ガイド溝部94のシート前方側に配置されており、シート幅方向から見て円形とされている。この第1被挿通部96は、後述するように、ハイトコントロールユニット58の構成要素の取り付けに用いられている。
【0077】
第2被挿通部98は、第1被挿通部96のシート上方側に配置されており、シート幅方向から見て第1被挿通部96よりも小さい円形とされている。この第1被挿通部96は、後述するように、ハイトコントロールユニット58の構成要素の取り付けに用いられている。
【0078】
第1操作ケーブル66は、コントロールケーブル100、アウタケーシング102及びケーブルエンド104を含んで構成されている。コントロールケーブル100は、鋼線で構成されており、一端部がケーブルエンド104に連結されると共に、他端部が図示しないコントロールレバーに連結されている。
【0079】
アウタケーシング102は、弾性を有する材質で筒状に構成されており、コントロールケーブル100を被覆している。また、アウタケーシング102のケーブルエンド104側の端部には、アウタエンドキャップ106が取り付けられており、このアウタエンドキャップ106は、ハウジング64の第1位置決め凹部92Eに係止されることで、位置決めされている。
【0080】
ケーブルエンド104は、本体部104Aとアーム部104Bとを含んで構成されている。詳しくは、本体部104Aは、シート幅方向を軸方向とされた円柱状のベース部104A1と、ベース部104A1からシート幅方向一方側と他方側とのそれぞれに突出されると共にシート幅方向を軸方向とされた円柱状又は円筒状の一対のガイド突起部104A2とを含んで構成されている。
【0081】
また、ガイド突起部104A2は、ベース部92及びケース部の第1ガイド凹部92Cに挿入されており、ケーブルエンド104は、第1ガイド凹部92Cの延在方向のスライド移動及びシート幅方向回りの回動が可能とされている。さらに、ケーブルエンド104の本体部104Aには、図示しない被係止部が設けられており、コントロールケーブル100の一端部が当該被係止部に係止されている。さらに、ケーブルエンド104のシート後方側には、板厚方向をシート前後方向とされた板状のスプリングリテーナ108が当接されている。
【0082】
そして、スプリングリテーナ108には、シート前後方向に延在するコイルスプリング110の一端部が係止されると共に、スプリングリテーナ108及びコイルスプリング110には、コントロールケーブル100が挿通されている。また、コイルスプリング110の他端部は、ハウジング64の第1位置決め凹部92Eのシート前方側を仕切る前側仕切部92E1に係止されている。これにより、ケーブルエンド104は、コイルスプリング110によってシート前方側に付勢された状態となっている。
【0083】
一方、アーム部104Bは、アーム板部104B1と、一対の係止突起部104B2とを含んで構成されている。アーム板部104B1は、ベース部104A1から板厚方向をシート幅方向とされてシート前方側に延出されると共に先端部が半円状とされている。また、係止突起部104B2は、アーム板部104B1の先端部に設けられており、当該先端部からシート幅方向一方側と他方側とのそれぞれに突出されている。この係止突起部104B2は、シート幅方向を軸方向とされた円柱状とされており、後述するように、第1アーム70に係止されている。
【0084】
第2操作ケーブル68は、コントロールケーブル112、アウタケーシング114及びケーブルエンド116を含んで構成されている。コントロールケーブル112は、コントロールケーブル100と同様の構成とされており、一端部がケーブルエンド116に連結されると共に、他端部が図示しないコントロールレバーに連結されている。
【0085】
アウタケーシング114は、アウタケーシング102と同様の構成とされており、そのケーブルエンド116側の端部には、アウタエンドキャップ118が取り付けられている。このアウタエンドキャップ118は、ハウジング64の第2位置決め凹部92Fに係止されることで、位置決めされている。
【0086】
ケーブルエンド116は、本体部116Aとアーム部116Bとを含んでケーブルエンド104と同様の構成とされており、ケーブルエンド104に対してシート上下方向において対称となるように配置されている。
【0087】
そして、本体部116Aに設けられたガイド突起部116A1は、ベース部92及びケース部の第2ガイド凹部92Dに挿入されており、ケーブルエンド104は、第2ガイド凹部92Dの延在方向のスライド移動及びシート幅方向回りの回動が可能とされている。また、本体部116Aの図示しない被係止部には、コントロールケーブル112の一端部が係止されている。さらに、ケーブルエンド116のシート後方側には、スプリングリテーナ108と同様の構成とされたスプリングリテーナ120が当接されている。
【0088】
そして、スプリングリテーナ120には、コイルスプリング110と同様の構成とされたコイルスプリング121の一端部が係止されると共に、スプリングリテーナ120及びコイルスプリング121には、コントロールケーブル112が挿通されている。また、コイルスプリング121の他端部は、ハウジング64の第2位置決め凹部92Fのシート前方側を仕切る前側仕切部92F1に係止されている。これにより、ケーブルエンド116は、コイルスプリング121によってシート前方側に付勢された状態となっている。
【0089】
一方、アーム部116Bに設けられた係止突起部116B1は、後述するように、第2アーム72に係止されている。
【0090】
第1アーム70は、全体的には角柱状とされており、その主な部分を構成する本体部70A、一対の第1連結片部70B及び一対の第2連結片部70Cを含んで構成されている。
【0091】
詳しくは、第1アーム70は、シート幅方向から見てベース部92のガイド溝部94からシート前方側に上り勾配となるように延在している。そして、本体部70Aのシート前方側の一端部には、シート前方側に凹むと共にシート幅方向内側及びシート上方側に開放された「第1凹部122」が設けられている。
【0092】
そして、本体部70Aのシート前方側の一端部には、第1連結片部70Bが設けられており、本体部70Aのシート後方側の他端部には、第2連結片部70Cが設けられている。
【0093】
第1連結片部70Bは、互いに対してシート幅方向に間隔をあけて配置されると共に、シート前方側が開放されたフック状とされている。そして、第1連結片部70Bには、ケーブルエンド104の係止突起部104B2が係止されている。
【0094】
一方、第2連結片部70Cは、互いに対してシート幅方向に間隔をあけて配置されており、板厚方向をシート幅方向とされると共に本体部70Aと反対側の部分が半円状とされた板状とされている。また、第2連結片部70Cには、シート幅方向に貫通されたシート幅方向から見て円形の図示しない被挿通部が形成されている。
【0095】
第2アーム72は、その主な部分を構成する本体部72A、一対の第1連結片部72B及び一対の第2連結片部72Cを含んで第1アーム70と同様の構成とされているものの、第1アーム70に対してシート上下方向において対称となるように配置されている。
【0096】
詳しくは、第2アーム72は、シート幅方向から見てベース部92のガイド溝部94からシート前方側に下り勾配となるように延在している。そして、第2アーム72における本体部72Aのシート前方側の一端部に設けられた「第2凹部126」は、シート前方側に凹むと共にシート幅方向外側及びシート下方側に開放された状態となっている。
【0097】
また、第1連結片部72Bには、ケーブルエンド116の係止突起部116B1が係止されており、第2連結片部72Cは、第1アーム70の第2連結片部70Cとシート幅方向に交互に重なるように配置されている。
【0098】
そして、第2連結片部70Cの被挿通部及び第2連結片部72Cの被挿通部には、連結部材74の「連結軸部74A」がシート幅方向に挿通されている。また、連結軸部74Aは、ベース部92のガイド溝部94にも挿通されている。なお、上述した第1凹部122は、連結軸部74Aを基準とすると、第1アーム70における連結軸部74Aと反対側に設けられていると見なすことができる。また、第2凹部126は、連結軸部74Aを基準とすると、第2アーム72における連結軸部74Aと反対側に設けられていると見なすことができる。
【0099】
上記のように構成されたハイトコントロールユニット58は、コントロールレバーで第1操作ケーブル66のコントロールケーブル100が引っ張られると、
図3に示されるように、シート幅方向内側から見て、第1アーム70が連結部材74の連結軸部74Aを中心として反時計回りに回動するようになっている。そして、第1アーム70が回動することで、第1アーム70の本体部70Aでバルブ62の給気弁棒82が押圧され、空気供給源からの圧縮空気がエアスプリング28に供給されるようになっている。
【0100】
一方、コントロールレバーで第2操作ケーブル68のコントロールケーブル112が引っ張られると、
図4に示されるように、シート幅方向内側から見て、第2アーム72が連結部材74の連結軸部74Aを中心として時計回りに回動するようになっている。そして、第2アーム72が回動することで、第2アーム72の本体部72Aでバルブ62の排気弁棒84が押圧され、エアスプリング28内の空気が排出されるようになっている。なお、
図2~
図4では、ハイトコントロールユニット58の構成を理解し易くするため、高さ連動部60を図示していない。
【0101】
次に、
図1に戻り、高さ連動部60の構成について説明することとする。高さ連動部60は、上述したベース部92、「第1クランクギヤ128」、「第2クランクギヤ130」、「第1リンク132」、「第2リンク134」及び「クランク支持部136」を含んで構成されている。
【0102】
第1クランクギヤ128は、「第1ギヤ部128A」と、「第1クランク部128B」とを含んで構成されている。第1ギヤ部128Aは、全体ではシート幅方向を板厚方向とされると共に中央部に円形の被挿通部138が形成された円板状とされており、シート上方側の外周部に沿って歯128A1が設けられている。
【0103】
この第1ギヤ部128Aは、被挿通部138及びベース部92の第1被挿通部96にシート幅方向内側から挿入されたT型ナット140の軸部140Aに、リンクプレート52のシート幅方向外側からスクリューボルト142が締結されることで、ベース部92に対してシート幅方向回りに回動可能に支持されている。
【0104】
第1クランク部128Bは、板厚方向をシート幅方向とされた板状とされると共に、第1ギヤ部128Aからシート前方側に延出されている。この第1クランク部128Bの先端部には、図示しない被挿通部が形成されており、第1クランク部128Bは、当該被挿通部を介してクランク支持部136と連結されている。
【0105】
第2クランクギヤ130は、「第2ギヤ部130A」と、「第2クランク部130B」とを含んで構成されると共に、第1クランクギヤ128のシート上方側に配置されている。詳しくは、第2ギヤ部130Aは、全体ではシート幅方向を板厚方向とされると共に第1ギヤ部128Aよりも径が小さい円板状とされており、シート下方側の外周部に沿って第1ギヤ部128Aの歯128A1に係合された歯130A1が設けられている。
【0106】
この第2ギヤ部130Aの中心部におけるシート幅方向外側の部分には、シート幅方向を軸方向とされた円柱状の図示しない突起部が設けられている。そして、この突起部が、ベース部92の第2被挿通部98に挿入されることで、第2ギヤ部130Aは、ベース部92に対してシート幅方向回りに回動可能に支持されている。
【0107】
また、第2ギヤ部130Aの中心部におけるシート幅方向内側の部分には、第2ギヤ部130Aからシート幅方向内側に延出された円柱状の図示しない軸部が設けられており、当該軸部の先端部には、第2クランク部130Bが設けられている。
【0108】
第2クランク部130Bは、板厚方向をシート幅方向とされた板状とされると共に、第2ギヤ部130Aに設けられた軸部のシート幅方向内側の端部から第1ギヤ部128Aと反対側(シート上方側)に延出されている。
【0109】
また、第2クランク部130Bにおける第2ギヤ部130Aの外周側の先端部には、円形の被挿通部144が設けられており、第2クランク部130Bは、被挿通部144を介して第1リンク132と連結されている。
【0110】
一方、第2クランク部130Bにおける第2ギヤ部130Aの中心側の基端部には、当該基端部からシート幅方向内側に突出されると共にシート幅方向を軸方向とされた円柱状の突起部130B1が設けられている。この突起部130B1は、ハウジング64のケース部に設けられた図示しない被挿通部に挿入されている。
【0111】
第1リンク132は、板厚方向をシート幅方向とされると共にシート幅方向から見て矩形の板状とされている。この第1リンク132の一端部には、当該一端部からシート幅方向内側に突出されると共にシート幅方向を軸方向とされた円柱状の突起部132Aが設けられている。そして、突起部132Aが第2クランク部130Bの被挿通部144に挿入されることで、第1リンク132の一端部が第2クランク部130Bとシート幅方向回りに回動可能に連結されている。
【0112】
また、第1リンク132の他端部には、当該他端部からシート幅方向内側に突出されると共にシート幅方向を軸方向とされた円柱状の突起部132Bが設けられている。そして、第1リンク132は、シート幅方向から見て第2クランク部130Bからシート下方側かつハウジング64のガイド溝部94側に延出されており、突起部132Bを介して第2リンク134と連結されている。なお、上述した第1アーム70は、第1リンク132のシート幅方向外側に位置している。
【0113】
第2リンク134は、板厚方向をシート幅方向とされると共にシート幅方向から見てベース部92のシート前方側を中心とする円周に沿ってシート後方側に凸となるように延在する板状とされている。
【0114】
この第2リンク134の一端部には、円形の被挿通部146が設けられており、被挿通部146に第1リンク132の突起部132Bが挿入されることで、第2リンク134の一端部が第1リンク132の他端部にシート幅方向回りに回動可能に連結されている。
【0115】
一方、第2リンク134の他端部には、図示しない被挿通部及びシート幅方向内側から見て当該被挿通部を囲む円形の凹部148が設けられており、当該被挿通部には、連結部材74の連結軸部74Aが挿通されており、凹部148には、連結部材74の頭部74Bが収まっている。つまり、第2リンク134の他端部は、連結軸部74Aにシート幅方向回りに回動可能に連結されており、第2リンク134は、第1リンク132からシート下方側に延出された状態となっている。
【0116】
クランク支持部136は、リンクパイプブラケット150と、中間リンク152とを備えている。リンクパイプブラケット150は、接合片部150Aと、支持片部150Bとを含んで構成されている。詳しくは、接合片部150Aは、第1リンクアーム44のシート前方側のリンクパイプ50におけるシート幅方向左側の部分にリンクパイプ50に沿うように接合されている。一方、支持片部150Bは、板厚方向をシート幅方向とされた板状とされており、接合片部150Aからシート後方上側に延出されている。そして、支持片部150Bの先端部には、中間リンク152が取り付けられている。
【0117】
中間リンク152は、支持片部150Bからシート前方上側に延出されており、その一端部が支持片部150Bにシート幅方向回りに回動可能に連結されており、その他端部が連結部材154を介して第1クランクギヤ128における第1クランク部128Bの先端部にシート幅方向回りに回動可能に連結されている。
【0118】
<本実施形態の作用及び効果>
次に、本実施形態の作用並びに効果を説明する。
【0119】
本実施形態では、
図7に示されるように、乗員が着座するシート14が、アッパフレーム22で支持されている。一方、アッパフレーム22のシート下方側には、ロアフレーム24が配置されており、ロアフレーム24は、車両のフロア部に支持されている。そして、アッパフレーム22とロアフレーム24とは、アッパフレーム22がロアフレーム24に対してシート上下方向に相対移動可能な状態で、リンク機構26によって連結されている。
【0120】
また、アッパフレーム22は、エアスプリング28によってシート下方側から支持されており、エアスプリング28は、内蔵する空気量に応じてシート上下方向に伸縮する。そして、このエアスプリング28がシート上下方向に伸縮することで、シート14の座面16Aの高さをシート上下方向に調整することができる。
【0121】
一方、エアスプリング28への空気の供給並びにエアスプリング28からの空気の排出は、
図2~
図4に示されるように、バルブ62によって行われる。このバルブ62は、給気弁棒82と、排気弁棒84とを備えており、給気弁棒82が押圧されることで、エアスプリング28に空気が供給され、排気弁棒84が押圧されることでエアスプリング28から空気が排出される。
【0122】
そして、給気弁棒82は、第1操作ケーブル66及び第1アーム70によって操作することが可能とされている。詳しくは、第1アーム70の一端部は、第1操作ケーブル66に連結されており、第1アーム70の他端部は、連結部材74の連結軸部74Aに対して回動可能に支持されている。また、第1アーム70は、連結軸部74Aに対して回動して給気弁棒82を押圧するようになっている。このため、第1操作ケーブル66を操作することで、第1アーム70で給気弁棒82を押圧し、バルブ62からエアスプリング28に空気を供給することができる。
【0123】
一方、排気弁棒84は、第2操作ケーブル68及び第2アーム72によって操作することが可能とされている。詳しくは、第2アーム72の一端部は、第2操作ケーブル68に連結されており、第2アーム72の他端部は、連結軸部74Aに対して回動可能に支持されている。また、第2アーム72は、連結軸部74Aに対して回動して排気弁棒84を押圧するようになっている。このため、第2操作ケーブル68を操作することで、第2アーム72で排気弁棒84を押圧し、エアスプリング28からバルブ62を介して空気を排出することができる。
【0124】
ところで、エアスプリング28は、バルブ62から空気を供給されることでシート上方側に伸長し、エアスプリング28に空気が供給され続けると、シート14の座面16Aが上限位置まで上昇することとなる。このとき、第1操作ケーブル66を操作することによって第1アーム70で給気弁棒82を押圧し、エアスプリング28に空気を供給すると、エアスプリング内の圧力が過度に高くなることが考えられる。
【0125】
また、エアスプリング28は、バルブ62を介して空気を排出することでシート下方側に収縮し、エアスプリング28から空気が排出され続けると、シート14の座面16Aが下限位置まで下降することとなる。このとき、第2操作ケーブル68を操作することによって第2アーム72で排気弁棒84を押圧し、エアスプリング28から空気を排出すると、エアスプリング28内の圧力が過度に低くなることが考えられる。そして、これらのような場合において、エアスプリング28による振動吸収性能を十分に発揮できないことが考えられる。
【0126】
ここで、本実施形態では、
図1に示されるように、高さ連動部60を備えており、高さ連動部60は、シート14の座面16Aの高さに応じて連結部材74の連結軸部74Aの位置を変更する。
【0127】
詳しくは、
図5に示されるように、シート14の座面16Aが上限位置に達している状態において、高さ連動部60は、連結軸部74Aを、第1アーム70による給気弁棒82の押圧が制限されかつ第2アーム72による排気弁棒84の押圧が許容される第1制限位置に移動させる。このため、シート14の座面16Aが上限位置に達している状態において、第1操作ケーブル66の操作によって第1アーム70を連結軸部74Aに対して回動させても、エアスプリング28にバルブ62から空気が供給されることを抑制することができる。
【0128】
一方、
図6に示されるように、シート14の座面16Aが下限位置に達している状態においては、高さ連動部60は、連結軸部74Aを、第2アーム72による排気弁棒84の押圧が制限されかつ第1アーム70による給気弁棒82の押圧が許容される第2制限位置に移動させる。このため、シート14の座面16Aが下限位置に達している状態において、第2操作ケーブル68の操作によって第2アーム72を連結軸部74Aに対して回動させても、エアスプリング28からバルブ62を介して空気が排出されることを抑制することができる。
【0129】
より詳しくは、本実施形態では、
図2に示されるように、給気弁棒82が排気弁棒84よりもシート上方側に配置されており、連結軸部74Aがシート高さ方向において給気弁棒82と排気弁棒84との間に配置されている。このため、給気弁棒82を押圧する第1アーム70は、連結軸部74Aからシート上方側に延出された状態となっており、排気弁棒84を押圧する第2アーム72は、連結軸部74Aからシート下方側に延出された状態となっている。
【0130】
一方、リンク機構26は、
図7に示されるように、第1リンクアーム44と、第2リンクアーム46とを備えている。第1リンクアーム44は、シート幅方向から見てシート前方側からシート後方側に向かって上り勾配となるように延在している。一方、第2リンクアーム46は、シート幅方向から見てシート前方側からシート後方側に向かって下り勾配となるように延在すると共に、第1リンクアーム44とシート幅方向回りに回動可能に連結されている。
【0131】
このため、エアスプリング28の伸長によって、シート14の座面16Aがシート上方側に移動すると、第1リンクアーム44と第2リンクアーム46とにおいて、シート上方側の部分同士と、シート下方側の部分同士とが接近する。また、エアスプリング28の収縮によって、シート14の座面16Aがシート下方側に移動すると、第1リンクアーム44と第2リンクアーム46とにおいて、シート上方側の部分同士と、シート下方側の部分同士とが接近する。
【0132】
図1に戻り、高さ連動部60は、ベース部92と、第1クランクギヤ128と、第2クランクギヤ130と、第1リンク132と、第2リンク134とを含んで構成されている。ベース部92は、第2リンクアーム46のシート上方側の部分に配置されており、ベース部92には、シート幅方向から見てベース部92のシート前方側を中心とする円周に沿ってシート後方側に凸となるように延在するガイド溝部94が設けられている。そして、
図5にも示されるように、ガイド溝部94には、連結軸部74Aがシート幅方向に挿通されており、連結軸部74Aの移動方向がガイド溝部94の延在方向に制限される。
【0133】
第1クランクギヤ128は、第1ギヤ部128Aと、第1ギヤ部128Aから延出された第1クランク部128Bとを備えている。そして、第1ギヤ部128Aは、ガイド溝部94のシート前方側において、ベース部92にシート幅方向回りに回動可能に支持されている。一方、第1クランク部128Bは、その端部が、第1ギヤ部128Aのシート前方側に配置されると共に第1リンクアーム44のシート下方側の部分に対して設けられたクランク支持部136にシート幅方向回りに回動可能に支持されている。
【0134】
このため、シート14の座面16Aのシート上下方向の移動に伴い第1リンクアーム44と第2リンクアーム46とが相対的に回動することで、第1ギヤ部128Aは、第1リンクアーム44のシート下方側の部分に対して相対移動するものの、第1クランク部128Bの端部は、初期位置の近傍に留まることとなる。その結果、本実施形態では、シート14の座面16Aのシート上下方向の移動に伴い、第1ギヤ部128Aがシート幅方向回りに回動する。
【0135】
第2クランクギヤ130は、第2ギヤ部130Aと、第2ギヤ部130Aから第1ギヤ部128Aと反対側に延出された第2クランク部130Bとを備えている。そして、第2ギヤ部130Aは、ガイド溝部94のシート前方側かつ第1ギヤ部128Aのシート上方側においてベース部92にシート幅方向回りに回動可能に支持されると共に、第1ギヤ部128Aに係合されている。このため、第1ギヤ部128Aがシート幅方向回りに回動すると第2ギヤ部130Aもシート幅方向回りに回動する。
【0136】
第1リンク132は、一端部が第2クランク部130Bとシート幅方向回りに回動可能に連結されると共に、第2クランク部130Bからシート下方側かつガイド溝部94側に延出されている。また、第1リンク132の他端部には、第2リンク134の一端部が、シート幅方向回りに回動可能に連結されており、第2リンク134の他端部は、連結軸部74Aにシート幅方向回りに回動可能に連結されている。そして、第2リンク134は、第1リンク132からシート下方側に延出されている。
【0137】
このため、本実施形態では、エアスプリング28がシート上方側に伸長する場合、
図5に示されるように、第1ギヤ部128Aが、第1クランク部128Bの端部に対してシート上方側に相対移動しつつ、シート幅方向から見て時計回りに回動する。また、第1ギヤ部128Aと連動して第2ギヤ部130Aが、シート幅方向から見て反時計回りに回動し、その結果、第2クランク部130Bと第1リンク132との連結部がシート後方側に移動し、これに伴い、第1リンク132と第2リンク134との連結部もシート後方側に移動する。
【0138】
また、第2リンク134の他端部は、上述したように連結軸部74Aに連結されており、連結軸部74Aは、上述したようにガイド溝部94に挿通されている。このため、エアスプリング28がシート上方側に伸長すると、連結軸部74Aはガイド溝部94に案内されてシート下方側に移動する。そして、シート14の座面16Aの位置が上限位置に達すると、連結軸部74Aは、下限位置すなわち第1制限位置に達する。
【0139】
このとき、第1アーム70は、全体的にシート下方側に移動し、第1操作ケーブル66の操作によって第1アーム70が給気弁棒82に向かって回動しても、給気弁棒82は、第1アーム70における連結軸部74Aと反対側に設けられた第1凹部122に収まり、エアスプリング28への空気の供給が制限される。
【0140】
一方、エアスプリング28がシート下方側に収縮する場合、
図6に示されるように、第1ギヤ部128Aが、第1クランク部128Bの端部に対してシート下方側に相対移動しつつ、シート幅方向から見て反時計回りに回動する。また、第1ギヤ部128Aと連動して第2ギヤ部130Aが、シート幅方向から見て時計回りに回動し、その結果、第2クランク部130Bと第1リンク132との連結部がシート前方側に移動し、これに伴い、第1リンク132と第2リンク134との連結部もシート前方側に移動する。
【0141】
また、第2リンク134の他端部は、上述したように連結軸部74Aに連結されており、連結軸部74Aは、上述したようにガイド溝部94に挿通されている。このため、エアスプリング28がシート下方側に収縮すると、連結軸部74Aはガイド溝部94に案内されてシート上方側に移動する。そして、シート14の座面16Aの位置が下限位置に達すると、連結軸部74Aは、上限位置すなわち第2制限位置に達する。
【0142】
このとき、第2アーム72は、全体的にシート上方側に移動し、第2操作ケーブル68の操作によって第2アーム72が排気弁棒84に向かって回動しても、排気弁棒84は、第2アーム72における連結軸部74Aと反対側に設けられた第2凹部126に収まり、エアスプリング28からの空気の排出が制限される。なお、
図3~
図6では、第1凹部122、第2凹部126、給気弁棒82及び排気弁棒84の関係を理解し易くするため、第1アーム70及び第2アーム72の一部を図示していない。
【0143】
このように、本実施形態では、シート14の座面16Aが上限位置又は下限位置に達している状態において、エアスプリング28の振動吸収性能が低減することを抑制することができる。
【0144】
また、第1アーム70に第1凹部122を設けることで、シート14の座面16Aが上限位置に達している状態において、第1アーム70による給気弁棒82の押圧が制限される確度を高めることができる。また、第2アーム72に第2凹部126を設けることで、座面16Aが下限位置に達している状態において、第2アーム72による排気弁棒84の押圧が制限される確度を高めることができる。
【0145】
さらに、本実施形態では、第1ギヤ部128Aと第2ギヤ部130Aとの歯数比(減速比)を調整することで、シート14の座面16Aの移動量に対する連結軸部74Aの移動量を調整し、種々の仕様の車両用シートに支持装置10を採用することができる。
【0146】
したがって、本実施形態では、シート14の座面16Aが上限位置又は下限位置にある状態において、振動吸収性能を確保することができる。
【0147】
<上記実施形態の補足説明>
(1) 上述した実施形態では、ハイトコントロールユニット58及び高さ連動部60の主な構成要素が、第2リンクアーム46のシート上方側の部分に配置されていたが、当該構成要素の配置箇所は、第1リンクアーム44のシート上方側の部分であってもよい。また、ハイトコントロールユニット58及び高さ連動部60の主な構成要素をアッパフレーム22に取り付けると共に、クランク支持部136をロアフレーム24に取り付ける構成としてもよい。
【0148】
(2) 上述した実施形態では、高さ連動部60にリンク機構が採用されていたが、高さ連動部60の構成は、これに限らない。例えば、第1クランクギヤ128にアームを設けて、第1クランクギヤ128で直接的に連結軸部74Aを移動させる構成としてもよい。また、高さ連動部をシート14の座面16Aの高さを測定可能なセンサと、当該センサの検出値に応じて連結軸部74Aを移動させるアクチュエータとを備えた構成としてもよい。このような構成によれば、高さ連動部の機械的構成の簡略化を図ることができる。
【符号の説明】
【0149】
10 車両用エアサスペンション式シート支持装置
14 車両用シート
16A 座面
22 アッパフレーム
24 ロアフレーム
26 リンク機構(連結部)
28 エアスプリング
44 第1リンクアーム
46 第2リンクアーム
60 高さ連動部
62 バルブ
66 第1操作ケーブル
68 第2操作ケーブル
70 第1アーム
72 第2アーム
74A 連結軸部
82 給気弁棒
84 排気弁棒
92 ベース部
94 ガイド溝部
122 第1凹部
126 第2凹部
128 第1クランクギヤ
128A 第1ギヤ部
128B 第1クランク部
130 第2クランクギヤ
130A 第2ギヤ部
130B 第2クランク部
132 第1リンク
134 第2リンク
136 クランク支持部