(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2022017775
(43)【公開日】2022-01-26
(54)【発明の名称】噴出装置
(51)【国際特許分類】
B05B 9/03 20060101AFI20220119BHJP
【FI】
B05B9/03
【審査請求】未請求
【請求項の数】4
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2020120522
(22)【出願日】2020-07-14
(71)【出願人】
【識別番号】514286882
【氏名又は名称】渡邊 智一
(71)【出願人】
【識別番号】520260544
【氏名又は名称】吉本 和弘
(74)【代理人】
【識別番号】100097559
【弁理士】
【氏名又は名称】水野 浩司
(74)【代理人】
【識別番号】100123674
【弁理士】
【氏名又は名称】松下 亮
(74)【代理人】
【識別番号】100173680
【弁理士】
【氏名又は名称】納口 慶太
(74)【代理人】
【識別番号】100196829
【弁理士】
【氏名又は名称】中澤 言一
(72)【発明者】
【氏名】渡邊 智一
(72)【発明者】
【氏名】吉本 和弘
【テーマコード(参考)】
4F033
【Fターム(参考)】
4F033RA14
4F033RD02
4F033RE01
4F033RE11
4F033RE17
4F033RE19
(57)【要約】
【課題】何工程の過程を踏まなくても指と指との間を除菌できる噴出装置を得る。
【解決手段】
左右のノズルから前記タンクの液を噴出する噴出装置であって、各々の前記ノズルは、掌中央用孔(92a)と、親指人差指間用孔(92b)と、人差指中指間用孔(92c)と、中指薬指間用孔(92d)と、薬指小指間用孔(92e)とを備えて、本体部は、左右の周壁上端に所定幅の柱を備えた手桶形状であり、噴出部は、左右の側面に、左右の柱に対向し、所定の発射角度で直線光を柱に照射する光発射手段と、柱と噴出部との間に挿入された掌の中央に当てられた直線光のスポット光及び掌を撮影可能の撮影角度で設けられた赤外線カメラとを備え、制御部は、赤外線カメラの赤外画像と記憶されている基準掌画像との照合でスポット光が掌中央に照射されていることを検出し、この検出に伴って前記ポンプ部を制御して前記タンクの液を前記ノズルから噴出させる。
【選択図】
図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
液を発射するノズルを備えた噴出部と、液のタンクを備えたタンク本体部とを一体化して前記左右のノズルから前記タンクの液を噴出する噴出装置であって、
前記ノズルは、
噴射口が所定の指と指との間に、液を噴出する所定角度で設けられた複数の指間用孔を有していることを特徴とする噴出装置。
【請求項2】
前記噴出部は、
左右の側面に、液を同時発射するノズルを備え、
各々の前記ノズルは、
噴射口が掌中央である掌中央ポイントに液を噴出する第1の角度で設けられた掌中央用孔と、
噴射口が親指と人差指との間である親指人差指間ポイントに液を噴出する第2の角度で設けられた親指人差指間用孔と、
噴射口が人差指と中指との間である人差指中指間ポイントに液を噴出する第3の角度で設けられた人差指中指間用孔と、
中指と薬指との間である中指薬指間ポイントに液を噴出する第4の角度で設けられた中指薬指間用孔と、
薬指用と小指との間である薬指小指間ポイントに液を噴出する第5の角度で設けられた薬指小指間用孔と
を有することを特徴とする請求項1記載の噴出装置。
【請求項3】
前記ノズルは、T型パイプに接続されていることを特徴とする請求項2記載の噴出装置。
【請求項4】
前記本体部は、
左右の周壁上端に所定幅の柱を備えた手桶形状であり、
前記噴出部は、左右の側面に、
前記左右の柱に対向し、所定の発射角度で直線光を前記に照射する光発射手段と、
前記柱と前記噴出部との間に挿入された掌の中央に当てられた前記直線光のスポット光及び掌を撮影可能の撮影角度で設けられた赤外線カメラとを備え、
前記本体部又は噴出部には、制御部、ポンプ部が設けられており、
前記制御部は、
前記赤外線カメラの赤外画像と記憶されている基準掌画像との照合で前記スポット光が掌中央に照射されていることを検出し、この検出に伴って前記ポンプ部を制御して前記タンクの液を前記ノズルから噴出させることを特徴とする請求項1乃至3記載の噴出装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、噴出装置に関する。
【背景技術】
【0002】
近年は、ウィルスの防疫対策として次亜塩素酸を用いた様々な噴出器が販売され、飲食店、スーパ、劇場等で使用されている。そして、このような噴出器は多数、特許出願されている。
例えば、特許文献1は、エアゾール容器に上部を一体化し、この上部に設けられたトリガレバーを手等で押すことで、上部に設けられたノズルから消毒用液を発射するものである。
【0003】
一方、特許文献2は、上側に噴出口を斜めに設け、この噴射口から液を霧状に連続噴出するものである。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2020-62607号公報(株式会社:三谷バルブ)
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかしながら、ウィルスは掌、手の甲だけではなく、指と指との間にも存在する。このため、特許文献1のようなものは、最初にトリガレバーを例えば右手の甲で押して左手の掌にノズルからの液を噴射させる(第1工程という)。
【0006】
そして、左右の手の掌同士を擦り合わせて除菌を終了する(第2工程という)。
一方、もっと衛生観念がある人は、左右の手の掌同士を擦り合わせてその後で右手の指を左手の掌に擦り合わせる(第3工程という)。そして、左手の各々の指の間に、右手の各々の指を入れ合わせて、左手の指の間と、右手の指の間とに液を馴染ませる(第4工程という)。
【0007】
そして、今度は右手の掌で左手の甲を擦り、さらに左手の掌で右手の甲を擦る(第5工程という)。
【0008】
すなわち、何工程も行わないといけないので、手の指と指との間を除菌するのに、手間取ることになる。
【0009】
本発明は、以上の課題を鑑みてなされたもので、上記のように何工程の過程を踏まなくても指と指との間を除菌できる噴出装置を得ることを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0010】
本発明に係る噴出装置は、液を発射するノズルを備えた噴出部と、液のタンクを備えたタンク本体部とを一体化して前記左右のノズルから前記タンクの液を噴出する噴出装置であって、
前記ノズルは、
噴射口が所定の指と指との間に、液を噴出する所定角度で設けられた複数の指間用孔を有していることを要旨とする。
【発明の効果】
【0011】
以上のように、本発明によれば、掌の指と指との間のポイントに同時に液(例えば、安定型次亜塩素酸ナトリウムの液)を噴出することができる。このため、何工程の過程を踏まなくても指と指との間を除菌できる。
【図面の簡単な説明】
【0012】
【
図2】左手の掌を左側ノズル90に向けて位置させた場合の説明図である。
【
図4】両手同時噴出部100のT型のポンプ機構を説明する断面図である。
【
図5】左側ノズル90と左手の掌噴射ポイントWiとの関係を説明する斜視図である。
【
図6】左側ノ左側ノズル90と左手の掌噴射ポイントWiとの関係を説明する斜視図である。
【
図7】本実施の形態の噴出装置の制御部300の概略構成図である。
【
図8】本実施の形態の制御部の動作を説明するフローチャートである。
【
図11】メモリ305aに記憶される手赤外線画像(左手)の説明図である。
【
図12】類似基準掌輪郭と左手の掌の赤外線画像との合わせ込みの説明図である。
【発明を実施するための形態】
【0013】
以下、本発明の実施形態について説明する。
なお、以下に説明する本実施の形態は、本発明の技術的思想を具体化するための装置や方法を例示するものであって、本発明の技術的思想(構造、配置)は、下記のものに特定するものではない。本発明の技術的思想は、特許請求の範囲に記載された技術的範囲内において、種々の変更を加えることができる。図面は模式的なものであり、装置やシステムの構成等は現実のものとは異なる。
【0014】
噴出装置の形状は、様々であるが、本実施の形態では床に置く噴出装置を一例として説明する。
【0015】
図1は本実施の形態の噴出装置の斜視図である。
図1の噴出装置10は、左右の掌に対して、安定型次亜塩素酸ナトリウムを同時噴出が可能である。
【0016】
安定型次亜塩素酸ナトリウムは、時間の経過に伴って分解する次亜塩素酸ナトリウムとは違い、イオンを安定化させたものであり、水溶液中での自然分解の促進を抑制し、気化作用もなく、質量が一定に保たれた状態を維持する。
【0017】
また、メタン物質との結合がされにくいのでトリハロメタンの生成がない。
また、反応後は水と酸素とごく微量の塩化ナトリウムに分解し、無揮発であるためにガス化による使用側のリスクがなく、細菌やウィルスに対する除菌作用が有効成分を最後まで使用して除菌できる。
【0018】
さらに、安定したアルカリ性であることで、細菌やウィルスのエネルギーや細胞核のタンパク質を分解することで不活化させて活動や増殖を防ぐ。
【0019】
一方、同時に、有機臭についても細菌及びウィルスの活動で発生する臭いが主な原因となるため、この不活化によって消臭効果を得る。
【0020】
図1の噴出装置10は、本体部20と、この本体部20の上に設けられた両手同時噴出部100等より構成されている。本体部20は、安定型次亜塩素酸ナトリウムの液を注入したタンク(図示せず)を内蔵している。また、本体部20はスピーカ(図示せず)を内蔵している。
【0021】
本体部20の周壁の形状は、楕円、円、四角、6画等の立体であるが、本実施の形態では円柱状として説明する。また、本体部20の上板21は、すり鉢状にしている(平坦でもよい)。
【0022】
また、上板21には、左手の挿入を促す左手挿入方向マーカ21bと、右手の挿入を促す右手挿入方向マーカ21aが刻印(例えば、青色)されている。この手挿入方向マーカ(左手挿入方向マーカ21b、右手挿入方向マーカ21a)は後述する手取柱(右側手取柱30、左側手取柱40)と、両手同時噴出部100との中間あたりにひかれている。
【0023】
なお、手挿入方向マーカ(左手挿入方向マーカ21b、右手挿入方向マーカ21a)は、本体部20の本体部直径t3が例えば、540mmの場合は、周壁から100mm(80mm~120mm)となる距離の位置(以下、挿入方向マーカ刻印位置t9という)に刻印されている。
【0024】
前述の本体部20は、円柱であり、厚みは3mm~8mm程度で材質はプラスチック、アクリル材、アルミ等である。
【0025】
一方、両手同時噴出部100は、円柱状(楕円又は四角でもよい)であり、本体部20から着脱可能な構造にされている。本実施の形態では楕円状円柱として説明する。
【0026】
この両手同時噴出部100は、楕円状円柱であり、厚みは3mm~8mm程度(例えば、5mm)で、材質はプラスチック、アクリル材、アルミ等である。
【0027】
この両手同時噴出部100は、本体部20の上板21の中央に着脱可能に固定されている。
【0028】
また、本体部20の周囲壁(プラスチック)の手取柱(右側手取柱30、左側手取柱40)は、着脱可能である。
【0029】
すなわち、本体部20は手桶形状でもある。
【0030】
また、両手同時噴出部100は、長軸をX軸、短軸をY軸としている。Y軸に直交するX軸方向を正面とする。正面側には、温度、メッセージ等を表示する液晶表示部102を設けている。
【0031】
前述の両手同時噴出部100の右側、左側には、レーザダイード(左レーザダイオード110、右レーザダイオード112)を設けている(LEDでも構わない)。このレーザダイオードは、距離150mm~270mm程度でのスポット径が3mm~15mm程度(例えば、5mm)が好ましい。
【0032】
また、左レーザダイオード110は左側手取柱40に対向させられ、右レーザダイオード112は右側手取柱30に対応させられている。
【0033】
つまり、左レーザダイオード110、左側手取柱40、右レーザダイオード112、右側手取柱30はX軸上に位置している。
【0034】
また、レーザダイード(左レーザダイオード110、右レーザダイオード112)の下には赤外線カメラ(左側赤外線カメラ60、右側赤外線カメラ70)が設けられている。
【0035】
さらに、この赤外線カメラ(左側赤外線カメラ60、右側赤外線カメラ70)の下には、ノズル(左側ノズル90、右側ノズル80)が設けられている。
【0036】
このノズル(左側ノズル90、右側ノズル80)は、後述する孔が5個ある。
【0037】
掌中央と、親指と人差指との間用の孔と、人差指と中指との間用の孔と、中指と薬指との間用の孔と、薬指用と小指との間用の孔とがある。これらの孔については詳細に後述する。
【0038】
すなわち、本実施の形態の噴出装置10は、両手同時噴出部100のレーザダイード(左レーザダイオード110、右レーザダイオード112)が、レーザ光を手取柱(右側手取柱30、左側手取柱40)に向けて発射させる。
【0039】
これによって、レーザ光を手取柱(右側手取柱30、左側手取柱40)にそのスポット光SPを常に表示させる。
【0040】
従って、噴出装置10の正面に立った人は、空間的に左右の掌をどのあたりに位置させればよいかがわかる。
【0041】
そして、両手同時噴出部100に設けた赤外線カメラ(左側赤外線カメラ60、右側赤外線カメラ70)が掌(甲でも構わない)の画像と、スポット光との関係でノズル(左側ノズル90、右側ノズル80)前に位置している場合に、両手同時噴出部100に設けたポンプ部(図示せず)を動作させて、ノズル(左側ノズル90、右側ノズル80)から安定型次亜塩素酸ナトリウムの液を発射させる。
【0042】
これによって、掌中央と、親指と人差指との間と、人差指と中指との間と、中指と薬指との間と、薬指用と小指との間とに、同時に安定型次亜塩素酸ナトリウムの液が当たることになる(
図2参照)。
【0043】
以下に左手を代表にして説明する。
【0044】
図2は左手の掌を左側ノズル90に向けて位置させた場合の説明図であり、両手を左手挿入方向マーカ21b(右手は右手挿入方向マーカ21a:
図1参照)に沿って挿入し、左手の掌を左レーザダイオード110側及び左側ノズル90に向けて位置させた場合に、両手同時噴出部100における左レーザダイオード110は、
図2に示すように、左手の掌中央に、そのレーザのスポット光SPが表示される位置及び角度で設けられている(右側も同様である)。
【0045】
一方、左側ノズル90には、
図2に示すように、掌中央用孔92aと、親指と人差指との間用の孔(以下、親指人差指間用孔92bという)と、人差指と中指との間用の孔(以下、人差指中指間用孔92cという)と、中指と薬指との間用の孔(以下、中指薬指間用孔92dという)と、薬指用と小指との間用の孔(以下、薬指小指間用孔92eという)とが設けられて、掌中央ポイントWaと、親指と人差指との間のポイント(以下、親指人差指間ポイントWbという)と、人差指と中指との間のポイント(以下、人差指中指間ポイントWcという)と、中指と薬指との間のポイント(以下、中指薬指間ポイントWdという)と、薬指用と小指との間のポイント(以下、薬指小指間ポイントWeという)とに同時に安定型次亜塩素酸ナトリウムの液を発射する(右手も同様である)。
【0046】
これらの指間ポイントと掌中央ポイントWaとを総称して本実施の形態では掌噴射ポイントWiという。
【0047】
図3は
図1をX軸で切断した場合の断面図である。
図3は、手と、手取柱(右側手取柱30、左側手取柱40)と、レーザダイード(左レーザダイオード110、右レーザダイオード112)と、赤外線カメラ(左側赤外線カメラ60、右側赤外線カメラ70)と、ノズル(左側ノズル90、右側ノズル80)と、本体部20の上板21の底面との関係を説明するものである。
【0048】
図3に示すように、両手同時噴出部100の高さは(以下、噴出部高t8という)、上板21の最も低い面から250mm~400mm(好ましくは、350mm)である。
【0049】
レーザダイード(左レーザダイオード110、右レーザダイオード112)は、最も上に位置している。レーザダイード(左レーザダイオード110、右レーザダイオード112)の取り付け高さは、本体部20の周壁上端(Y軸)から190mm(例えば、180mm~200mm)である。
【0050】
本実施の形態では、このレーザダイオードの取り付け高さをレーザダイオード取付高長t6という。
【0051】
このレーザダイード(左レーザダイオード110、右レーザダイオード112)の下の赤外線カメラ(左側赤外線カメラ60、右側赤外線カメラ70)の高さは(レンズ中心)、本体部20の周壁上端(Y軸)から170mm(160mm~180mm)である。
【0052】
この赤外線カメラの取り付けた高さを、本実施の形態ではカメラ取付高長t5という。
【0053】
そして、ノズル(左側ノズル90、右側ノズル80)の高さは(以下、ノズル取付高長t4という)、本体部20の周壁上端(Y軸)から150mm(140mm~180mm)である。
【0054】
なお、
図3においては、手の厚みは35mm~40mm程度として示している。
【0055】
図4は両手同時噴出部100のT型のポンプ機構を説明する断面図である。
【0056】
両手同時噴出部100は、
図4に示すようにT型のパイプ機構(以下、T型パイプ機構部200という)を有している。
【0057】
このT型パイプ機構部200は、タンク本体部300の液の流路となる円柱状の中央パイプ210(径が2mm~8mm)と、この中央パイプ210の上に設けられた左側パイプ220(径が2mm~8mm)及び右側パイプ230(径が2mm~8mm)等よりなる。
【0058】
また、中央パイブ210には、図示しないピストン、シリンダ、弁、制御モータ等を有するポンプ部240が設けられている。
【0059】
さらに、左側パイプ220には左側ノズル90が設けられ、右側パイプ230には右側ノズル80が設けられている。
【0060】
図5は左側ノズル90と、左手の掌噴射ポイントWiとの関係を説明する斜視図である。
【0061】
図6は左側ノ左側ノズル90と左手の掌噴射ポイントWiとの関係を説明する斜視図である。但し、
図6(a)に左側ノズル90の正面を示し、
図6(b)には左側ノズル90と左側パイプ220との断面を示す。
【0062】
図5に示すように、掌中央用孔92aは円柱状であり、左側ノズル90の掌中央用孔92aの噴射口と、掌の中央とは対向する。
【0063】
また、掌中央用孔92aの周囲には、親指人差指間用孔92bと、人差指中指間用孔92cと、中指薬指間用孔92dと、薬指小指間用孔92eとが設けられている(
図6(a)参照)。
【0064】
そして、親指人差指間用孔92bと、人差指中指間用孔92cと、中指薬指間用孔92dと、薬指小指間用孔92eとは、各々の噴射口の中心軸の角度は、掌中央用孔92aの中心軸に対して、例えば掌の面がノズル90から90mm程度となる位置(t12)において、親指人差指間ポイントWb、人差指中指間ポイントWc、中指薬指間ポイントWd、薬指小指間ポイントWeとに適切に液が当たる角度にされている。なお、各々の孔は、径が1mm~3mm程度である。
【0065】
この角度は、ノズルの噴射口の径、スポットSPまでの距離と、各々の掌噴射ポイントWiとの距離等を用いて三角測量的に求めている。例えば、
図6(b)及び
図5に示すように、噴射口から15mmの範囲で、親指人差指間用孔92bと、人差指中指間用孔92cと、中指薬指間用孔92dと、薬指小指間用孔92eとが傾いている。
【0066】
また、
図6(b)に示すように、左側パイプ220の先端は、左側ノズル90と螺合するための雄ネジ部が設けられ、この雄ネジ部の先端には液漏防止用のOリングが設けられている。
【0067】
また、左側ノズル90の後ろ側の周壁は左側パイプ220と螺合するための雌ネジ部が設けられている。
【0068】
従って、中央パイブ210のポンプ部240が制御される毎に、タンク内の液が中央パイブ210を通り、左側パイプ220及び右側パイプ230を通り、掌中央用孔92a、親指人差指間用孔92b、人差指中指間用孔92c、中指薬指間用孔92d、薬指小指間用孔92eで圧縮されて、掌の各々の掌噴射ポイントWi(ポイントWa、親指人差指間ポイントWb、人差指中指間ポイントWc、中指薬指間ポイントWd、薬指小指間ポイントWe)に対して同時に次亜塩素酸液を発射されることになる。
【0069】
すなわち、ポイントWa、親指人差指間ポイントWb、人差指中指間ポイントWc、中指薬指間ポイントWd、薬指小指間ポイントWeに液が同時に噴射されているので、手を抜いた後で、手の指間を合わせるだけで、手の指間を除菌できる。そして、掌同士を合わせると掌も除菌できる。すなわち、複数工程を踏まなくても手の指と指との間及び他の箇所を一度に除菌ができる。
【0070】
図7は本実施の形態の噴出装置の制御部300の概略構成図である。この制御部300は、両手同時噴出部100又は本体部20に設けられ、内部にコンピュータを備えている。
【0071】
図7に示すように、制御部300はレーザダイード(左レーザダイオード110、右レーザダイオード112)と、赤外線カメラ(左側赤外線カメラ60、右側赤外線カメラ70)と、両手同時噴出部100のポンプ部240とに電気的に接続されている。
【0072】
制御部300は、レーザ発光指示部310と、掌検出部320と、赤外線カメラ起動部330と、画像取得部340と、噴出制御部350と、温度算出部360と、掌中央ノズル前判定部370と、噴出指示部380等を備えている。
【0073】
図8は本実施の形態の制御部の動作を説明するフローチャートである。
【0074】
図8に示すように、レーザ発光指示部310は、電源オンに伴って、レーザダイード(左レーザダイオード110、右レーザダイオード112)をオン状態にして、直線光(例えば赤)を手取柱(右側手取柱30、左側手取柱40)に向けて発射させる(S1)。
【0075】
本実施の形態の噴出装置10の正面に来た人は、手取柱(右側手取柱30、左側手取柱40)のレーザのスポット光SPが表示されており、かつレーザダイード(左レーザダイオード110、右レーザダイオード112)が光っているので、両手を手取柱(右側手取柱30、左側手取柱40)とレーザダイード(左レーザダイオード110、右レーザダイオード112)との間に挿入することになる。
【0076】
このとき、手挿入方向マーカ(左手挿入方向マーカ21b、右手挿入方向マーカ21a)に沿って挿入することになる。この挿入により、掌には
図2又は
図9に示すようにスポット光SPが表示されることになる。
【0077】
レーザ発光指示部310は、レーザダイード(左レーザダイオード110、右レーザダイオード112)の出力信号を手検出部320に出力する。
【0078】
手検出部320は、これらの出力信号に基づいて両手(左右の手)の検出かどうかを判定する(S3)。例えばレーザ出力光の発射時間と、受信時間とで距離を計測する。距離が90mm程度の場合は、手の検出と判定する。
図9は、スポット光SPが左手の掌中央に表示されている例である。
【0079】
ステップS3で掌検出部320が左右の手の検出と判定した場合は、赤外線カメラ起動330が赤外線カメラを起動して撮影させると共に、画像取得部340を起動する(S5)。
【0080】
画像取得部340は、赤外線カメラ(左側赤外線カメラ60、右側赤外線カメラ70)からの赤外画像(左手赤外線画像、右手赤外線画像:
図9参照)を入力し、図示しないカレンダータイマのカレンダー情報(年月日、時刻)と、装置固有番号等を関連付けてメモリ305(左手用メモリ304a、右手用メモリ304b)に記憶する(S7)。
【0081】
温度算出部360は、左手用メモリ304aの左手赤外線画像又は右手用メモリ304bの右手赤外線画像の色分布の内で最も明るく、かつ所定の大きさの色領域(例えば、ピンク)を読み込む。
【0082】
そして、この色値に対応する温度(カラースケールを用いる)を検出温度として、表示部102に表示させる。この検出温度は、カレンダー情報(年月日、時刻)と、装置固有番号等を関連付ける(フローでは図示しない)。これによって、後日、感染者が出た場合には、どんな方であったかが予測できる(例えば、飲食業、接待業)。
【0083】
また、ステップS3において、左右の手を検出していないと判定した場合は、両手の掌を翳す案内を表示部、スピーカ(図示せず)より流して処理をステップS3に戻す(S9)。
【0084】
一方、掌中央ノズル前判定部370は、左手用メモリ304aの左手赤外線画像と、右手用メモリ304bの右手赤外線画像とを読み込み、メモリ308に記憶されている基準掌画像輪郭(
図10参照)の内で、最も類似する基準掌輪郭(以下、類似基準掌輪郭という)を決定する(S11)。
【0085】
図10(a)には、手を開いて指同士をくっつけた状態の基準掌画像輪郭を示し、
図10(b)は手の指を開いた状態の基準掌画像輪郭を示す。そして、Pが基準掌画像輪郭の中心を示す。
【0086】
決定処理は、手赤外線画像(左手、右手)の輪郭を求めて(
図9参照)、決定している。
そして、掌の中心がノズル前の最適な位置にあるかどうかを判定する(S13)。
【0087】
この判定処理は、決定した類似基準掌輪郭の中心ポイントPと、手赤外線画像(左手、右手)のスポットSPとを一致させた後で、類似基準掌輪郭を撮影掌画像輪郭に略合わせる(
図12(a)、
図12(b)参照)。なお、メモリ305aに記憶される手赤外線画像(左手)を
図11に示す。
図11及び
図12は一定間隔のメッシュに手赤外線画像のデータが記憶されることを示す。
【0088】
図12(a)は理想的な角度で手が入れられた場合であり、基準基準掌輪郭を回転させなくとも、基準掌輪郭と撮影掌画像輪郭とが略合わさった例である。
【0089】
図12(b)は手が傾けられて入れられた場合であり、基準掌輪郭をθi度傾けて略一致させた例である。
【0090】
そして、ノズル前に位置していると判定した場合は、噴出制御部380を起動させて噴出させる(S15)。
【0091】
従って、掌中央ポイントWaと、親指人差指間ポイントWbと、人差指中指間ポイントWcと、中指薬指間ポイントWdと、薬指小指間ポイントWeとに同時に安定型次亜塩素酸ナトリウムの液が当たることになる(右手も同様である)。
【0092】
また、掌検出部320は、手が抜けたかどうかを判定している(S17)。
手が抜けたと判定した場合は、停止処理(カメラオフ)を行う(S19)。
【0093】
また、ステップS13において、手の中心がノズル前に存在しないと判定した場合は、ノズルの前の所定位置に両手、一方の手の掌中心がくるように、案内して処理をステップS13に戻す(S21)。
【0094】
なお、上記実施の形態では、噴出する液を安定型次亜塩素酸ナトリウムの液として説明したが、アルコール、次亜塩素酸、液体石鹸であっても構わない。
また、上記実施の形態では、左右の両側から安定型次亜塩素酸ナトリウムの液を噴出するとして説明したが、左右のいずれか一方であってもよい。
【符号の説明】
【0095】
10 噴出装置
20 本体部
100 両手同時噴出部
30 右側手取柱
40 左側手取柱
110 左レーザダイオード
112 右レーザダイオード
60 左側赤外線カメラ
70 右側赤外線カメラ