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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2022177760
(43)【公開日】2022-12-01
(54)【発明の名称】給湯システム
(51)【国際特許分類】
   F24H 15/10 20220101AFI20221124BHJP
   F24D 17/00 20220101ALI20221124BHJP
【FI】
F24H1/10 303Z
F24D17/00 P
【審査請求】未請求
【請求項の数】5
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2021084228
(22)【出願日】2021-05-18
(71)【出願人】
【識別番号】000115854
【氏名又は名称】リンナイ株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100111970
【弁理士】
【氏名又は名称】三林 大介
(72)【発明者】
【氏名】小田 雄一
(72)【発明者】
【氏名】井口 将浩
【テーマコード(参考)】
3L034
3L073
【Fターム(参考)】
3L034BA25
3L034BA35
3L034BB02
3L073AA02
3L073AA13
(57)【要約】
【課題】即湯機能を有する給湯システムで、即湯循環回路の温度センサに異常がある場合に、速やかに検出する。
【解決手段】給湯栓2の開栓に伴い給水通路40で供給される水を給湯用加熱手段10で加熱し、加熱された湯水を、出湯通路44を通じて給湯栓へと供給する給湯運転を行い、出湯通路に設けられた出湯温度センサ48で給湯栓に供給される湯水の温度を検知する。また、出湯温度センサよりも給湯栓側で出湯通路の一部を含み、給湯栓の閉栓状態で給湯栓に供給される湯水を循環可能な即湯循環回路50に、即湯ポンプ51および即湯用加熱手段52を備えると共に、即湯用加熱手段を通過して給湯栓に供給される湯水の温度を検知する即湯往温度センサ57を、出湯通路と即湯循環回路との重複部分に設ける。そして、給湯運転中に出湯温度センサおよび即湯往温度センサの検知温度の比較により、所定値以上の温度差があれば、温度センサの異常と判断する。
【選択図】図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
給湯栓の開栓に伴って給水通路を通じて供給される水を給湯用加熱手段で加熱し、加熱された湯水を、出湯通路を通じて該給湯栓へと供給する給湯運転を行う給湯システムにおいて、
前記出湯通路に設けられ、前記給湯運転によって前記給湯栓に供給される湯水の温度を検知する出湯温度センサと、
前記出湯温度センサよりも前記給湯栓側で前記出湯通路の一部を含み、前記給湯栓の閉栓状態で該給湯栓に供給される湯水を循環可能な即湯循環回路と、
前記即湯循環回路に設けられ、湯水を移送する即湯ポンプと、
前記即湯循環回路を循環する湯水を加熱可能な即湯用加熱手段と、
前記即湯用加熱手段を通過して前記給湯栓に供給される湯水の温度を検知する即湯往温度センサと
を備え、
前記即湯往温度センサは、前記出湯通路と前記即湯循環回路との重複部分に設けられており、
前記給湯運転の実行中に前記出湯温度センサの検知温度と前記即湯往温度センサの検知温度とを比較する給湯時比較により、所定値以上の温度差があれば、前記出湯温度センサまたは前記即湯往温度センサの異常と判断する判断手段を有する
ことを特徴とする給湯システム。
【請求項2】
請求項1に記載の給湯システムにおいて、
前記即湯循環回路に設けられ、前記給湯栓から流出せずに前記即湯用加熱手段へと戻る湯水の温度を検知する即湯戻温度センサと、
前記即湯用加熱手段で加熱せずに前記即湯ポンプを作動させる非加熱循環運転の実行を制御する非加熱循環制御手段と
を備え、
前記判断手段は、前記非加熱循環運転の実行中に前記即湯往温度センサの検知温度と前記即湯戻温度センサの検知温度とを比較する非加熱循環時比較、および前記給湯時比較の少なくとも一方で、前記所定値以上の温度差があることに基づいて、前記出湯温度センサ、前記即湯往温度センサ、前記即湯戻温度センサの何れが異常であるかを特定する
ことを特徴とする給湯システム。
【請求項3】
請求項2に記載の給湯システムにおいて、
前記給湯時比較で前記所定値以上の温度差があると、前記非加熱循環制御手段は、前記給湯運転の終了後に前記非加熱循環運転を実行する
ことを特徴とする給湯システム。
【請求項4】
請求項1に記載の給湯システムにおいて、
前記出湯通路における前記出湯温度センサと前記重複部分との間から分岐し、浴槽に接続される風呂通路と、
前記風呂通路に設けられ、前記浴槽に供給される湯水の温度を検知する風呂温度センサと、
前記出湯通路から前記風呂通路を通じて前記浴槽に湯水を供給する風呂供給運転の実行を制御する風呂供給制御手段と
を備え、
前記判断手段は、前記風呂供給運転の実行中に前記出湯温度センサの検知温度と前記風呂温度センサの検知温度とを比較する風呂供給時比較、および前記給湯時比較の少なくとも一方で、前記所定値以上の温度差があることに基づいて、前記出湯温度センサ、前記即湯往温度センサ、前記風呂温度センサの何れが異常であるかを特定する
ことを特徴とする給湯システム。
【請求項5】
請求項4に記載の給湯システムにおいて、
前記給湯時比較で前記所定値以上の温度差があると、前記風呂供給制御手段は、前記給湯運転の終了後に前記風呂供給運転を実行する
ことを特徴とする給湯システム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、給湯栓に湯水を供給する給湯システムに関し、特に、給湯栓を開栓した直後に設定温度の湯水を供給するための即湯機能を有する給湯システムに関する。
【背景技術】
【0002】
給水通路を通じて供給される水を給湯用加熱手段で加熱し、加熱された湯水を、出湯通路を通じて給湯栓へと供給する給湯システムが普及している。こうした給湯システムでは、使用者が給湯栓を開栓して給水通路における水の流量が所定流量以上になると、給湯用加熱手段での加熱を開始するようになっている。このため、給湯栓を開栓した直後は、十分に加熱されていない湯水が流出することがあり、設定温度の湯水を供給するまでに時間を要する。
【0003】
そこで、給湯システムでは、給湯栓を開栓した直後に設定温度の湯水を供給するための即湯機能を有するものがある(例えば、特許文献1)。即湯機能を有する給湯システムでは、出湯通路における給湯栓側の一部を含み、給湯栓の閉栓状態で給湯栓に供給される湯水を循環可能な即湯循環回路が設けられており、この即湯循環回路に即湯ポンプや即湯用加熱手段を備えている。給湯栓の閉栓状態で即湯ポンプを作動させると、即湯循環回路内の湯水が循環し、即湯用加熱手段で加熱して湯水を設定温度に保つことにより、給湯栓の開栓直後から設定温度の湯水を供給することが可能である。こうした即湯循環回路では、即湯用加熱手段の出口側付近に温度センサを備えているのが一般的であり、即湯用加熱手段で加熱された湯水の温度を検知するようになっている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2001-193955号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかし、上述のように即湯循環回路に設けられた温度センサでは、断線や短絡ではなく、センサ素子の欠陥や経年劣化などによって、出力は出ているものの検知精度が低下する異常(以下、中間故障)が生じることがあり、結果として、給湯栓に供給される湯水の温度が設定温度から外れてしまうという問題があった。
【0006】
この発明は従来の技術における上述した課題に対応してなされたものであり、即湯機能を有する給湯システムで、即湯循環回路の温度センサに異常がある場合に、速やかに検出することが可能な技術の提供を目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
上述した課題を解決するために、本発明の給湯システムは次の構成を採用した。すなわち、
給湯栓の開栓に伴って給水通路を通じて供給される水を給湯用加熱手段で加熱し、加熱された湯水を、出湯通路を通じて該給湯栓へと供給する給湯運転を行う給湯システムにおいて、
前記出湯通路に設けられ、前記給湯運転によって前記給湯栓に供給される湯水の温度を検知する出湯温度センサと、
前記出湯温度センサよりも前記給湯栓側で前記出湯通路の一部を含み、前記給湯栓の閉栓状態で該給湯栓に供給される湯水を循環可能な即湯循環回路と、
前記即湯循環回路に設けられ、湯水を移送する即湯ポンプと、
前記即湯循環回路を循環する湯水を加熱可能な即湯用加熱手段と、
前記即湯用加熱手段を通過して前記給湯栓に供給される湯水の温度を検知する即湯往温度センサと
を備え、
前記即湯往温度センサは、前記出湯通路と前記即湯循環回路との重複部分に設けられており、
前記給湯運転の実行中に前記出湯温度センサの検知温度と前記即湯往温度センサの検知温度とを比較する給湯時比較により、所定値以上の温度差があれば、前記出湯温度センサまたは前記即湯往温度センサの異常と判断する判断手段を有する
ことを特徴とする。
【0008】
このような本発明の給湯システムでは、即湯往温度センサを、即湯循環回路における即湯用加熱手段から出湯通路との合流部までの間ではなく、出湯通路と即湯循環回路との重複部分に配置することにより、給湯運転の実行中に給湯栓に供給される湯水は、出湯温度センサおよび即湯往温度センサの両方を通るので、両温度センサが何れも正常であれば、ほぼ同じ温度を検知することになる。これに対して、出湯温度センサおよび即湯往温度センサの何れかに異常(特に中間故障)があれば、所定値以上の温度差となって現れるため、速やかに異常を検出することが可能となる。
【0009】
上述した本発明の給湯システムでは、次のようにしてもよい。まず、即湯循環回路に、給湯栓から流出せずに即湯用加熱手段へと戻る湯水の温度を検知する即湯戻温度センサを設けると共に、即湯用加熱手段で加熱せずに即湯ポンプを作動させる非加熱循環運転の実行を非加熱循環制御手段で制御する。そして、非加熱循環運転の実行中に即湯往温度センサの検知温度と即湯戻温度センサの検知温度とを比較する非加熱循環時比較、および給湯時比較の少なくとも一方で、所定値以上の温度差があることに基づいて、出湯温度センサ、即湯往温度センサ、即湯戻温度センサの何れが異常であるかを特定する。
【0010】
このような本発明の給湯システムにおける非加熱循環運転の実行中は、即湯循環回路内の湯水が加熱されないまま循環するだけなので、即湯往温度センサおよび即湯戻温度センサの何れも正常であれば、ほぼ同じ温度を検知することになるのに対し、何れかに異常があれば、非加熱循環時比較で所定値以上の温度差となって現れるため、異常を検出可能である。そして、給湯時比較で所定値以上の温度差がなく、非加熱循環時比較で所定値以上の温度差がある場合は、即湯戻温度センサの異常と判断できる。一方、給湯時比較で所定値以上の温度差があり、非加熱循環時比較で所定値以上の温度差がない場合は、出湯温度センサの異常と判断できる。さらに、給湯時比較および非加熱循環時比較の両方で所定値以上の温度差がある場合は、即湯往温度センサの異常と判断できる。
【0011】
また、上述した本発明の給湯システムでは、給湯時比較で所定値以上の温度差があると、給湯運転の終了後に非加熱循環運転を実行するようにしてもよい。
【0012】
このような本発明の給湯システムでは、給湯時比較に基づいて出湯温度センサまたは即湯往温度センサの異常と判断された場合に、給湯運転の終了後に非加熱循環運転を実行することにより、非加熱循環時比較に基づいて上述のように出湯温度センサおよび即湯往温度センサの何れが異常であるか速やかに特定することが可能となる。
【0013】
また、前述した本発明の給湯システムでは、次のようにしてもよい。まず、出湯通路における出湯温度センサと重複部分との間から分岐した風呂通路を浴槽に接続すると共に、浴槽に供給される湯水の温度を検知する風呂温度センサを風呂通路に設ける。また、出湯通路から風呂通路を通じて浴槽に湯水を供給する風呂供給運転の実行を風呂供給制御手段で制御する。そして、風呂供給運転の実行中に出湯温度センサの検知温度と風呂温度センサの検知温度とを比較する風呂供給時比較、および給湯時比較の少なくとも一方で、所定値以上の温度差があることに基づいて、出湯温度センサ、即湯往温度センサ、風呂温度センサの何れが異常であるかを特定する。
【0014】
このような本発明の給湯システムでは、風呂供給運転の実行中に浴槽へと供給される湯水は、出湯温度センサおよび風呂温度センサの両方を通るので、両温度センサが何れも正常であれば、ほぼ同じ温度を検知することになるのに対し、何れかに異常があれば、風呂供給時比較で所定値以上の温度差となって現れるため、異常を検出可能である。そして、給湯時比較で所定値以上の温度差がなく、風呂供給時比較で所定値以上の温度差がある場合は、風呂温度センサの異常と判断できる。一方、給湯時比較で所定値以上の温度差があり、風呂供給時比較で所定値以上の温度差がない場合は、即湯往温度センサの異常と判断できる。さらに、給湯時比較および風呂供給時比較の両方で所定値以上の温度差がある場合は、出湯温度センサの異常と判断できる。
【0015】
また、上述した本発明の給湯システムでは、給湯時比較で所定値以上の温度差があると、給湯運転の終了後に風呂供給運転を実行するようにしてもよい。
【0016】
このような本発明の給湯システムでは、給湯時比較に基づいて出湯温度センサまたは即湯往温度センサの異常と判断された場合に、給湯運転の終了後に風呂供給運転を実行することにより、風呂供給時比較に基づいて上述のように出湯温度センサおよび即湯往温度センサの何れが異常であるか速やかに特定することが可能となる。
【図面の簡単な説明】
【0017】
図1】本実施例の給湯システム1の全体構成を示す説明図である。
図2】本実施例のコントローラ100が実行する即湯運転制御処理の前半部分のフローチャートである。
図3】本実施例のコントローラ100が実行する即湯運転制御処理の後半部分のフローチャートである。
図4】即湯運転制御処理の中で実行される本実施例の非加熱循環時比較処理のフローチャートである。
図5】即湯運転制御処理の中で実行される本実施例の流量制御弁開弁処理のフローチャートである。
図6】本実施例のコントローラ100が実行する給湯運転制御処理のフローチャートである。
図7】本実施例のコントローラ100が実行する温度センサ異常特定処理のフローチャートである。
図8】変形例のコントローラ100が実行する風呂供給運転制御処理のフローチャートである。
図9】変形例のコントローラ100が実行する温度センサ異常特定処理のフローチャートである。
【発明を実施するための形態】
【0018】
図1は、本実施例の給湯システム1の全体構成を示す説明図である。この給湯システム1は、上水を加熱して湯を供給する給湯機能だけでなく、湯水を熱媒として循環させて暖房を行う暖房機能を備えている。図示されるように給湯システム1は、供給される上水を加熱して湯を生成する給湯加熱部10と、暖房で循環させる熱媒を加熱する暖房加熱部20とが設けられている。
【0019】
給湯加熱部10には、燃料ガスを燃焼させる給湯バーナ11が設けられており、給湯バーナ11の上方には給湯第1熱交換器12が設けられ、さらに給湯第1熱交換器12の上方には給湯第2熱交換器13が設けられている。給湯第1熱交換器12は、給湯バーナ11での燃料ガスの燃焼によって生じた燃焼排気から顕熱を回収し、給湯第2熱交換器13は、燃焼排気から潜熱を回収する。また、給湯バーナ11の下方には燃焼ファン14が設けられており、給湯バーナ11に燃焼用空気を送る。
【0020】
給湯加熱部10と同様に、暖房加熱部20にも、燃料ガスを燃焼させる暖房バーナ21が設けられており、暖房バーナ21の上方には顕熱回収用の暖房第1熱交換器22が設けられ、さらに暖房第1熱交換器22の上方には潜熱回収用の暖房第2熱交換器23が設けられている。また、暖房バーナ21には、燃焼ファン14によって燃焼用空気が送られる。
【0021】
燃料ガスを供給するガス通路30には、ガス通路30を開閉する元弁31と、ガス通路30を流れる燃料ガスの流量を調節する比例弁32とが設けられている。また、ガス通路30は、比例弁32よりも下流側で2つに分岐しており、給湯バーナ11に接続された分岐通路を開閉する給湯電磁弁33と、暖房バーナ21に接続された分岐通路を開閉する暖房電磁弁34とが設けられている。
【0022】
上水を供給する給水通路40には、給水通路40を流れる上水の流量(給水流量)を検知する水量センサ41や、給水通路40の開度を変更して上水の流量を調節する水量サーボ42が設けられており、この給水通路40は給湯第2熱交換器13の上流側に接続されている。給湯第2熱交換器13の下流側は、給湯連絡通路43を介して給湯第1熱交換器12の上流側と接続されており、給湯第1熱交換器12の下流側には出湯通路44が接続されている。
【0023】
出湯通路44は給湯栓2(いわゆるカラン)に通じており、給湯栓2の開栓に伴って給水通路40を流れる上水の流量が所定の点火流量以上になると、給湯バーナ11で燃料ガスの燃焼が開始され、水量センサ41で検知される流量に応じて給湯バーナ11での燃焼が制御される。給水通路40を通じて給湯加熱部10に供給される上水は、給湯第2熱交換器13で予備加熱された後に給湯第1熱交換器12で加熱され、湯となって出湯通路44に流出する。出湯通路44には、給湯第1熱交換器12から流出した直後の湯の温度を検知する缶体温度センサ45が設けられている。尚、本実施例の給湯加熱部10は、本発明の「給湯用加熱手段」に相当している。
【0024】
また、本実施例の給湯システム1では、給水通路40の水量サーボ42よりも下流側と、出湯通路44の缶体温度センサ45よりも下流側とがバイパス通路46で接続されている。給水通路40で供給される上水は、一部が給湯加熱部10に供給されることなくバイパス通路46を通過可能であり、残りが給湯加熱部10に供給される。そして、給湯加熱部10で加熱された湯は、バイパス通路46を通った上水と出湯通路44で混合されて給湯栓2に供給される。給湯加熱部10で加熱された湯と、バイパス通路46を通った上水との混合比は、バイパスサーボ47によって変更することが可能である。
【0025】
出湯通路44におけるバイパス通路46の接続位置よりも給湯栓2側には、給湯栓2に供給される湯の温度(出湯温度)を検知する出湯温度センサ48が設けられている。上述のようにバイパス通路46が接続されていることから、出湯温度センサ48の検知温度は、缶体温度センサ45の検知温度よりも低くなり、バイパスサーボ47で混合比を調節することによって、給湯栓2に供給される湯の温度変動を抑制することができる。尚、本実施例の給湯システム1に設置された各種温度センサには、温度の変化に応じて電気抵抗が変化するサーミスタを用いている。
【0026】
加えて、本実施例の給湯システム1では、出湯通路44の給湯栓2側の一部を含み、給湯栓2の閉栓状態で給湯栓2に供給される湯水を出湯温度センサ48よりも給湯栓2側に戻して循環可能な即湯循環回路50が設けられている。即湯循環回路50には、湯水を移送する即湯ポンプ51が設けられると共に、即湯循環回路50を循環する湯水を加熱する即湯用熱交換器52が即湯ポンプ51の下流側に設けられている。また、即湯循環回路50における給湯栓2と即湯ポンプ51との間には、即湯循環回路50内の湯水の膨張を吸収するための膨張タンク53や、即湯循環回路50を循環する湯水の逆流を阻止する逆止弁54、即湯循環回路50を流れる湯水の流量(即湯循環流量)を検知する即湯水量センサ55が設けられている。そして、給湯栓2から流出せずに即湯用熱交換器52へと戻る湯水の温度(即湯戻温度)を検知する即湯戻温度センサ56が、即湯ポンプ51と即湯用熱交換器52との間に設けられると共に、即湯用熱交換器52を通過して給湯栓2に供給される湯水の温度(即湯往温度)を検知する即湯往温度センサ57が、出湯通路44と即湯循環回路50との重複部分に設けられている。
【0027】
さらに、図示しない浴槽に湯水を供給するための湯張通路60が、出湯通路44における出湯温度センサ48と、即湯循環回路50が出湯通路44に合流する位置との間から分岐している。この湯張通路60には、湯張通路60を開閉する湯張電磁弁61や、浴槽側からの湯水の逆流を阻止する逆止弁62、湯張通路60を流れる湯水の流量(湯張流量)を検知する湯張水量センサ63が設けられている。
【0028】
一方、暖房加熱部20では、暖房第1熱交換器22の下流側が、図示しない暖房端末(床暖房など)の上流側と暖房往通路70を介して接続されており、暖房第2熱交換器23の上流側が、暖房端末の下流側と暖房戻通路71を介して接続されている。また、暖房第2熱交換器23の下流側と、暖房第1熱交換器22の上流側とが暖房連絡通路72を介して接続されている。暖房連絡通路72には、湯水を貯留するシスターン73や、湯水を移送する暖房ポンプ74が設けられており、暖房ポンプ74の作動によって、シスターン73から湯水が暖房第1熱交換器22へと送られる。暖房連絡通路72における暖房ポンプ74よりも下流側には、暖房第1熱交換器22へと送られる湯水の温度(暖房低温度)を検知する暖房低温度センサ75が設けられている。
【0029】
暖房第1熱交換器22で加熱されて高温になった湯水は暖房往通路70を通って暖房端末に供給される。暖房往通路70には、暖房第1熱交換器22から流出した直後の湯水の温度(暖房高温度)を検知する暖房高温度センサ76が設けられている。暖房端末を通過しながら放熱することで冷めた湯水は、暖房戻通路71を通って暖房第2熱交換器23に送られる。そして、暖房第2熱交換器23で予備加熱された湯水が暖房連絡通路72を通ってシスターン73に戻る。
【0030】
また、本実施例の暖房往通路70からは第1分岐通路80が分岐しており、この第1分岐通路80は暖房戻通路71に接続されている。第1分岐通路80には、第1分岐通路80を流れる湯水の流量を調節可能な第1流量制御弁81や、風呂用熱交換器82が設けられている。本実施例の風呂用熱交換器82には、プレート式熱交換器を用いており、浴槽内の湯水を循環させるための風呂戻通路90および風呂往通路91が接続されている。尚、本実施例の第1流量制御弁81には、ステッピングモータ式の流量制御弁を用いており、開度の調節が可能となっている。
【0031】
風呂戻通路90には、風呂用熱交換器82に向けて湯水を移送する風呂ポンプ92や、風呂戻通路90内の湯水の一定流量以上の流れを検知する水流スイッチ93が設けられている。浴槽内の湯水を再加熱する追い焚きの際は、風呂ポンプ92の作動によって浴槽から吸い出された湯水が風呂戻通路90を通って風呂用熱交換器82へと送られる。風呂戻通路90における風呂ポンプ92よりも上流側(浴槽側)には、風呂用熱交換器82に送られる湯水の温度(風呂戻温度)を検知する風呂戻温度センサ94が設けられている。
【0032】
水流スイッチ93で一定流量以上の湯水の流れが検知されると、第1流量制御弁81が開いて暖房往通路70から高温の湯水が風呂用熱交換器82へと供給され、風呂用熱交換器82を通過した湯水は暖房戻通路71へと合流する。浴槽から風呂戻通路90を通って風呂用熱交換器82に送られた湯水は、暖房の熱媒(湯水)との熱交換によって再加熱された後、風呂往通路91を通って浴槽へと戻る。風呂往通路91には、風呂用熱交換器82で加熱されて再び浴槽に供給される湯水の温度(風呂往温度)を検知する風呂往温度センサ95が設けられている。
【0033】
加えて、前述した湯張通路60は、風呂戻通路90における風呂戻温度センサ94よりも上流側に接続されている。浴槽に湯を溜める湯張りの際は、湯張電磁弁61が開弁し、給湯加熱部10で生成された湯が、出湯通路44から湯張通路60を通って風呂戻通路90に流入する。このとき、風呂ポンプ92は作動せず、湯張通路60から風呂戻通路90に流入する湯は、風呂ポンプ92の上流に向かって風呂戻通路90だけを通るルートと、風呂ポンプ92の下流に向かって風呂戻通路90、風呂用熱交換器82、風呂往通路91を順に通るルートとの両方(両搬送)で浴槽に供給される。尚、湯張りだけでなく、浴槽に湯を追加する足し湯や、浴槽に水を加熱しないまま追加する足し水の際にも同様に両搬送で湯水が供給される。
【0034】
また、本実施例の暖房往通路70からは第2分岐通路83が分岐しており、この第2分岐通路83も暖房戻通路71に接続されている。第2分岐通路83には、第2分岐通路83を流れる湯水の流量を調節可能な第2流量制御弁84や、前述した即湯用熱交換器52が設けられており、本実施例の即湯用熱交換器52にはプレート式熱交換器を用いている。尚、本実施例の第2流量制御弁84には、ステッピングモータ式の流量制御弁を用いており、開度の調節が可能となっている。
【0035】
給湯栓2の閉栓状態で即湯ポンプ51の作動によって即湯循環回路50内の湯水が正常に循環していれば、第2流量制御弁84が開いて暖房往通路70から高温の湯水が即湯用熱交換器52へと供給され、即湯用熱交換器52を通過した湯水は暖房戻通路71へと合流する。即湯循環回路50を循環する湯水は、即湯用熱交換器52で暖房の熱媒(湯水)との熱交換によって加熱される。本実施例の給湯システム1では、こうして即湯循環回路50内の湯水を設定温度に保つことにより、給湯栓2を開栓した直後に設定温度の湯水を供給することが可能な即湯機能を備えている。尚、本実施例の即湯用熱交換器52は、本発明の「即湯用加熱手段」に相当している。
【0036】
さらに、給湯システム1には、システム全体を制御するコントローラ100が搭載されている。コントローラ100には、前述した燃焼ファン14、元弁31、比例弁32、給湯電磁弁33、暖房電磁弁34、水量センサ41、水量サーボ42、缶体温度センサ45、バイパスサーボ47、出湯温度センサ48、即湯ポンプ51、即湯水量センサ55、即湯戻温度センサ56、即湯往温度センサ57、湯張電磁弁61、湯張水量センサ63、暖房ポンプ74、暖房低温度センサ75、暖房高温度センサ76、第1流量制御弁81、第2流量制御弁84、風呂ポンプ92、水流スイッチ93、風呂戻温度センサ94、風呂往温度センサ95が電気的に接続されている。コントローラ100は、以下のように、即湯機能として給湯栓2の閉栓状態で即湯循環回路50内の湯水を設定温度に保つ即湯運転を制御する処理(即湯運転制御処理)や、給湯栓2の開栓状態で給湯栓2に設定温度の湯水を供給する給湯運転を制御する処理(給湯運転制御処理)などを実行する。
【0037】
図2および図3は、本実施例のコントローラ100が実行する即湯運転制御処理のフローチャートである。この即湯運転制御処理は、使用者が操作可能な図示しないリモコンの即湯スイッチがONになると実行される。即湯運転制御処理では、まず、給湯運転中であるか否かを判断する(STEP1)。コントローラ100は、水量センサ41で検知される給水流量が所定の点火流量以上であり、且つ湯張電磁弁61が閉弁状態であることに基づいて給湯運転中であると判断することができ、給湯運転中である場合は(STEP1:yes)、給湯運転が終了するまで待機する。
【0038】
一方、給湯運転中ではない場合は(STEP1:no)、即湯循環回路50内の湯水を循環させる即湯循環の開始条件が成立したか否かを判断する(STEP2)。本実施例の給湯システム1では、即湯循環の開始条件として、給湯運転および即湯循環の何れも行われないまま所定の循環待機時間(例えば10分)が経過した場合、または即湯戻温度センサ56で検知される即湯戻温度が所定の即湯加熱開始温度(例えば55度)以下になった場合が設定されている。未だ即湯循環の開始条件が成立していない場合は(STEP2:no)、STEP1の処理に戻って給湯運転の開始の有無を確認しながら、即湯循環の開始条件が成立するまで待機する。
【0039】
その後、即湯循環の開始条件が成立した場合は(STEP2:yes)、即湯ポンプ51を作動させて(STEP3)、即湯用熱交換器52での加熱を開始する前に即湯戻温度センサ56および即湯往温度センサ57の検知温度の比較によって異常の有無を判断するために、以下の非加熱循環時比較処理を実行する(STEP4)。尚、本実施例のコントローラ100は、本発明の「非加熱循環制御手段」に相当する機能を有している。
【0040】
図4は、即湯運転制御処理の中で実行される本実施例の非加熱循環時比較処理のフローチャートである。非加熱循環時比較処理では、まず、即湯用熱交換器52で加熱せずに即湯ポンプ51を作動させる非加熱循環運転で、即湯循環が正常であるか否かを判断する(STEP20)。本実施例の給湯システム1では、即湯水量センサ55で検知される即湯循環流量が規定流量(例えば2.0L/min)以上になって10秒継続すれば、正常と判断する。もし即湯循環流量が規定流量以上で安定せず、即湯循環が異常である場合は(STEP20:no)、循環異常を報知して、即湯ポンプ51を停止すると(STEP21)、非加熱循環時比較処理および即湯運転制御処理を終了する。本実施例の循環異常の報知は、図示しないリモコンの表示部でエラー表示を行うようになっているが、音声で行ってもよい。
【0041】
一方、即湯循環が正常である場合は(STEP20:yes)、続いて、所定の比較待機時間(例えば30秒)が経過したか否かを判断する(STEP22)。未だ比較待機時間が経過していない場合は(STEP22:no)、比較待機時間が経過するまで待機する。その後、比較待機時間が経過した場合は(STEP22:yes)、フラグをリセットする(STEP23)。後述のように即湯往温度センサ57および即湯戻温度センサ56の検知温度の比較によって異常の有無を判断した結果をフラグに記憶しており、新たな判断の前に、過去の判断を記憶したフラグをリセットする。
【0042】
フラグをリセットすると、即湯往温度センサ57の検知温度(即湯往温度)と即湯戻温度センサ56の検知温度(即湯戻温度)とを比較して温度差が所定値(例えば7度)以上であるか否かを判断する(STEP24)。前述したように即湯往温度センサ57は、即湯循環回路50と出湯通路44との重複部分(即湯用熱交換器52よりも下流側)に設けられ、即湯戻温度センサ56は、即湯ポンプ51と即湯用熱交換器52との間(即湯用熱交換器52よりも上流側)に設けられており、即湯用熱交換器52で加熱せずに即湯循環が正常に行われている状況では、両温度センサでほぼ同じ温度を検知するはずである。
【0043】
そして、即湯往温度と即湯戻温度との温度差が所定値以上である場合は(STEP24:yes)、即湯往温度センサ57または即湯戻温度センサ56の異常と判断して非加熱循環時異常フラグをONにする(STEP25)。この非加熱循環時異常フラグは、コントローラ100に内蔵の記憶部に記憶されている。尚、非加熱循環時異常フラグをONにした後は、前述したSTEP23の処理で非加熱循環時異常フラグをリセットしないこととして、ON状態を維持してもよい。
【0044】
これに対して、即湯往温度と即湯戻温度との温度差が所定値未満である場合は(STEP24:no)、即湯往温度センサ57および即湯戻温度センサ56が正常であると判断して非加熱循環時正常フラグをONにする(STEP26)。この非加熱循環時正常フラグも、コントローラ100の記憶部に記憶されている。こうして何れかのフラグをONにすると、図4の非加熱循環時比較処理を終了し、図2の即湯運転制御処理に復帰する。
【0045】
即湯運転制御処理では、非加熱循環時比較処理(STEP4)から復帰すると、所定の加熱待機時間(例えば1分)が経過したか否かを判断する(STEP5)。未だ加熱待機時間が経過していない場合は(STEP5:no)、加熱待機時間が経過するまで待機する。その後、加熱待機時間が経過した場合は(STEP5:yes)、次に、即湯戻温度が即湯加熱開始温度(例えば55度)以下であるか否かを判断する(STEP6)。このとき、即湯戻温度が即湯加熱開始温度よりも高い場合は(STEP6:no)、即湯ポンプ51を停止して(STEP7)、STEP1の処理に戻り、給湯運転の開始の有無を確認しながら、新たに即湯循環の開始条件が成立するまで待機する(STEP2)。
【0046】
一方、即湯戻温度が即湯加熱開始温度以下である場合は(STEP6:yes)、続いて、暖房バーナ21での燃焼(暖房燃焼)中であるか否かを判断する(STEP8)。前述したように即湯用熱交換器52には暖房往通路70から高温の湯水が供給されるようになっており、暖房燃焼は暖房中や追い焚きの際にも行われる。そして、暖房燃焼中ではない場合は(STEP8:no)、暖房ポンプ74を作動させると共に暖房燃焼を開始し(STEP9)、第2分岐通路83に設けられた第2流量制御弁84を開弁するために、後述の流量制御弁開弁処理を実行する(STEP10)。尚、作動開始時の暖房ポンプ74の回転数は230Hzに設定されている。
【0047】
これに対して、暖房や追い焚きが行われており、既に暖房燃焼中である場合は(STEP8:yes)、STEP9の処理を省略して、流量制御弁開弁処理を実行する(STEP10)。
【0048】
図5は、即湯運転制御処理の中で実行される本実施例の流量制御弁開弁処理のフローチャートである。流量制御弁開弁処理では、まず、即湯運転を単独で実行するか否かを判断する(STEP30)。本実施例の給湯システム1では、即湯運転を単独で実行するだけでなく、暖房や追い焚きと同時に実行することが可能となっている。即湯運転を単独で実行する場合は(STEP30:yes)、次に、即湯戻温度が即湯加熱開始温度(例えば55度)よりも低いか否かを判断する(STEP31)。そして、即湯戻温度が即湯加熱開始温度よりも低い場合は(STEP31:yes)、即湯循環回路50内の湯水を加熱する能力を高めるために、第2流量制御弁84の開度を全開に設定すると共に、暖房ポンプ74の回転数を最大の290Hzに設定する(STEP32)。
【0049】
これに対して、即湯戻温度が即湯加熱開始温度以上である場合は(STEP31:no)、即湯循環回路50内の湯水を加熱する能力を抑えるために、第2流量制御弁84の開度を半開に設定すると共に、暖房ポンプ74の回転数を230Hzに設定する(STEP33)。前述したように第2流量制御弁84には、ステッピングモータ式の流量制御弁を用いており、開度の調節が可能である。
【0050】
一方、STEP30の判断において、即湯運転を暖房や追い焚きと同時に実行する場合は(STEP30:no)、暖房往通路70から第2分岐通路83に取り入れる湯水の流量を絞るために、第2流量制御弁84の開度を半開に設定すると共に、暖房往通路70を流れる湯水の流量を増やすために、暖房ポンプ74の回転数を最大の290Hzに設定する(STEP34)。
【0051】
こうして即湯運転の実行状況に応じて第2流量制御弁84の開度や、暖房ポンプ74の回転数を設定したら、第2流量制御弁84を開弁済みであるか否かを判断する(STEP35)。未だ第2流量制御弁84を開弁していない場合は(STEP35:no)、続いて、暖房高温度センサ76で検知される暖房高温度が所定の即湯設定温度(例えば60度)以上であるか否かを判断する(STEP36)。そして、暖房高温度が即湯設定温度以上である場合は(STEP36:yes)、第2流量制御弁84を開弁して(STEP37)、図5の流量制御弁開弁処理を終了する。これに対して、暖房高温度が即湯設定温度よりも低い場合は(STEP36:no)、第2流量制御弁84を開弁することなく(STEP37の処理を省略して)、図5の流量制御弁開弁処理を終了し、図2の即湯運転制御処理に復帰する。
【0052】
一方、STEP35の判断において、既に第2流量制御弁84を開弁済みである場合は(STEP35:yes)、続いて、暖房高温度センサ76で検知される暖房高温度が所定の即湯設定温度(例えば60度)以上であるか否かを判断する(STEP38)。上述のように暖房高温度が一旦は即湯設定温度以上になって第2流量制御弁84を開弁した後でも、何らかの理由で暖房高温度が即湯設定温度よりも低下することがある。そして、暖房高温度が即湯設定温度よりも低下した場合は(STEP38:no)、第2流量制御弁84を閉弁して(STEP39)、図5の流量制御弁開弁処置を終了する。これに対して、暖房高温度が即湯設定温度以上である場合は(STEP38:yes)、第2流量制御弁84の開弁を維持したまま(STEP39の処理を省略して)、図5の流量制御弁開弁処理を終了し、図2の即湯運転制御処理に復帰する。
【0053】
即湯運転制御処理では、流量制御弁開弁処理(STEP10)から復帰すると、即湯循環の終了条件が成立したか否かを判断する(STEP11)。本実施例の給湯システム1では、即湯循環の終了条件として、即湯戻温度が即湯設定温度(例えば60度)以上になった場合、給湯運転が開始された場合、即湯スイッチがOFFになった場合が設定されている。未だ即湯循環の終了条件が何れも成立していない場合は(STEP11:no)、STEP10へと戻り、再び流量制御弁開弁処理を実行する。
【0054】
前述したように流量制御弁開弁処理(図5)では、即湯運転の実行状況に応じて第2流量制御弁84の開度や、暖房ポンプ74の回転数が設定される。そして、即湯運転を単独で実行中に即湯戻温度が即湯加熱開始温度(例えば55度)以上となって即湯設定温度(例えば60度)に近付くと、第2流量制御弁84の開度を半開にすると共に、暖房ポンプ74の回転数を230Hzにすることで、即湯用熱交換器52での加熱能力が抑えられるため、即湯循環回路50内の湯水の温度斑に起因して即湯設定温度を超過してしまうオーバーシュートの発生を抑制することができる。
【0055】
その後、即湯循環の終了条件が成立した場合は(STEP11:yes)、暖房燃焼を継続するか否かを判断する(図3のSTEP12)。前述したように暖房燃焼は、即湯運転が行われなくても、暖房や追い焚きのために実行される。即湯運転を単独で実行しており、暖房燃焼を継続しない場合は(STEP12:no)、暖房燃焼を終了すると共に暖房ポンプ74を停止させる(STEP13)。また、即湯ポンプ51を停止させると共に(STEP14)、第2流量制御弁84を閉弁する(STEP15)。
【0056】
これに対して、暖房や追い焚きを実行しており、暖房燃焼を継続する場合は(STEP12:yes)、STEP13の処理を省略して、即湯ポンプ51を停止させると共に(STEP14)、第2流量制御弁84を閉弁する(STEP15)。続いて、即湯スイッチがOFFであるか否かを判断する(STEP16)。即湯スイッチがONである場合は(STEP16:no)、即湯運転制御処理の先頭(図2のSTEP1)へと戻り、上述した一連の処理を繰り返す。
【0057】
一方、即湯スイッチがOFFである場合は(STEP16:yes)、図2および図3の即湯運転制御処理を終了する。その後、即湯スイッチがONになると、再び図2および図3の即湯運転制御処理を実行する。
【0058】
図6は、本実施例のコントローラ100が実行する給湯運転制御処理のフローチャートである。この給湯運転制御処理は、使用者によってリモコンの電源スイッチがONにされると開始され、電源スイッチがOFFになるまで継続される。給湯運転制御処理では、まず、水量センサ41で検知される給水流量が所定の点火流量以上であるか否かを判断する(STEP40)。給水流量が点火流量に満たない場合は(STEP40:no)、給水流量が点火流量以上になるまで待機する。尚、こうしてSTEP40で待機している間は、前述した即湯運転制御処理(図2)のSTEP1の処理において、給湯運転中ではないと判断される(STEP1:no)。
【0059】
一方、給水流量が点火流量以上である場合は(STEP40:yes)、給湯バーナ11での燃焼(給湯燃焼)を開始し(STEP41)、給湯加熱部10での加熱量を制御する(STEP42)。このSTEP42の処理では、水量センサ41で検知される給水流量や、出湯温度センサ48で検知される出湯温度などに基づいて、給湯バーナ11での燃焼量や、バイパスサーボ47での混合比を調節するようになっている。
【0060】
続いて、給水流量が所定の消火流量未満に低下したか否かを判断する(STEP43)。未だ給水流量が消火流量以上である場合は(STEP43:no)、出湯温度センサ48および即湯往温度センサ57の検知温度の比較によって異常の有無を判断するために、以下のような処理を行う。まず、所定の比較待機時間(例えば10秒)が経過したか否かを判断する(STEP44)。未だ比較待機時間が経過していない場合は(STEP44:no)、STEP43の処理に戻って給水流量が消火流量未満に低下したか否かを確認しながら、比較待機時間が経過するまで待機する。
【0061】
その後、比較待機時間が経過した場合は(STEP44:yes)、出湯温度センサ48および即湯往温度センサ57の異常の有無について過去の判断を記憶したフラグをリセットしてから(STEP45)、出湯温度センサ48の検知温度(出湯温度)と即湯往温度センサ57の検知温度(即湯往温度)とを比較して温度差が所定値(例えば7度)以上であるか否かを判断する(STEP46)。従来の給湯システム1では、即湯往温度センサ57を即湯循環回路50における即湯用熱交換器52の出口側付近(即湯用熱交換器52から出湯通路44との合流部までの間)に設けるのが一般的であるのに対して、前述のように本実施例の即湯往温度センサ57は、出湯通路44と即湯循環回路50との重複部分に設けられている。このため、給湯運転中に給湯栓2へと供給される湯水は出湯温度センサ48および即湯往温度センサ57の両方を通ることになり、両温度センサでほぼ同じ温度を検知するはずである。
【0062】
そして、出湯温度と即湯往温度との温度差が所定値以上である場合は(STEP46:yes)、出湯温度センサ48または即湯往温度センサ57の異常と判断して給湯時異常フラグをONにする(STEP47)。この給湯時異常フラグは、コントローラ100に内蔵の記憶部に記憶されている。尚、給湯時異常フラグをONにした後は、前述したSTEP45の処理で給湯時異常フラグをリセットしないこととして、ON状態を維持してもよい。また、本実施例のコントローラ100は、本発明の「判断手段」に相当する機能を有している。
【0063】
これに対して、出湯温度と即湯往温度との温度差が所定値未満である場合は(STEP46:no)、出湯温度センサ48および即湯往温度センサ57は正常であると判断して給湯時正常フラグをONにする(STEP48)。この給湯時正常フラグも、コントローラ100の記憶部に記憶されている。こうして何れかのフラグをONにすると、STEP42の処理に戻って給湯加熱部10での加熱量の制御を行った後、給水流量が消火流量未満に低下したか否かを再び判断する(STEP43)。
【0064】
そして、給水流量が消火流量未満に低下した場合は(STEP43:yes)、給湯燃焼を終了して(STEP49)、給湯運転制御処理の先頭(STEP40)へと戻り、再び給水流量が点火流量以上になるまで待機する。
【0065】
上述のように即湯運転制御処理および給湯運転制御処理では、各種温度センサの検知温度に基づいて制御が行われており、温度センサに異常があると、正しい制御ができなくなってしまう。特に、断線や短絡ではなく、センサ素子の欠陥や経年劣化などによって、温度センサから出力は出ているものの検知精度が低下する異常(中間故障)が生じることがあり、結果として、精度の低い検知温度に基づいて制御が行われることになる。そこで、本実施例のコントローラ100は、前述したように対応する2つの温度センサについて検知温度の比較によって異常の有無を判断するようになっている。さらに、何れの温度センサが異常であるかを特定するために、以下の温度センサ異常特定処理を実行する。
【0066】
図7は、本実施例のコントローラ100が実行する温度センサ異常特定処理のフローチャートである。この温度センサ異常特定処理は、使用者によってリモコンの電源スイッチがONにされると開始され、所定の周期で繰り返し実行される。尚、温度センサ異常特定処理の実行は、これに限らず、前述した図4の非加熱循環時比較処理で非加熱循環時異常フラグをONにした際(STEP25)や、図6の給湯運転制御処理で給湯時異常フラグをONにした際(STEP47)に実行するようにしてもよい。
【0067】
温度センサ異常特定処理では、まず、給湯時異常フラグがONであるか否かを判断する(STEP50)。給湯時異常フラグがONである場合は(STEP50:yes)、前述したように出湯温度センサ48または即湯往温度センサ57の異常と判断されており、続いて、非加熱循環時異常フラグがONであるか否かを判断する(STEP51)。非加熱循環時異常フラグがONである場合は(STEP51:yes)、前述したように即湯往温度センサ57または即湯戻温度センサ56の異常と判断されているため、給湯時および非加熱循環時の両方で異常とみなされた即湯往温度センサ57が異常と判断する(STEP52)。
【0068】
こうして異常がある温度センサを特定すると、温度センサの異常を報知して(STEP53)、図7の温度センサ異常特定処理を終了する。本実施例における温度センサの異常の報知は、異常があると特定された温度センサについてのエラー表示をリモコンの表示部で行うようになっているが、音声で行ってもよい。
【0069】
これに対して、STEP51の判断において、非加熱循環時異常フラグがOFFである場合は(STEP51:no)、続いて、非加熱循環時正常フラグがONであるか否かを判断する(STEP54)。非加熱循環時正常フラグがONである場合は(STEP54:yes)、前述したように即湯往温度センサ57および即湯戻温度センサ56が正常であると判断されているため、出湯温度センサ48が異常と判断する(STEP55)。その後、温度センサの異常を報知して(STEP53)、図7の温度センサ異常特定処理を終了する。
【0070】
一方、非加熱循環時正常フラグがOFFである場合は(STEP54:no)、未だ即湯往温度センサ57と即湯戻温度センサ56とで検知温度の比較が行われていないことになるため、異常がある温度センサを特定することなく、図7の温度センサ異常特定処理を一旦終了し、所定の周期で再び図7の温度センサ異常特定処理を実行する。
【0071】
また、STEP50の判断において、給湯時異常フラグがOFFである場合は(STEP50:no)、続いて、給湯時正常フラグがONであるか否かを判断する(STEP56)。給湯時正常フラグもOFFである場合は(STEP56:no)、未だ出湯温度センサ48と即湯往温度センサ57とで検知温度の比較が行われていないことになるので、異常がある温度センサを特定することなく、図7の温度センサ異常特定処理を一旦終了し、所定の周期で再び図7の温度センサ異常特定処理を実行する。
【0072】
これに対して、給湯時正常フラグがONである場合は(STEP56:yes)、出湯温度センサ48および即湯往温度センサ57が正常であると判断されており、続いて、非加熱循環時異常フラグがONであるか否かを判断する(STEP57)。非加熱循環時異常フラグがONである場合は(STEP57:yes)、即湯往温度センサ57または即湯戻温度センサ56の異常と判断されており、このうち即湯往温度センサ57は給湯時に正常と判断されているため、即湯戻温度センサ56が異常と判断する(STEP58)。その後、温度センサの異常を報知して(STEP53)、図7の温度センサ異常特定処理を終了する。
【0073】
一方、非加熱循環時異常フラグがOFFである場合は(STEP57:no)、次の何れかに該当する。すなわち、非加熱循環時正常フラグもOFFであり、未だ即湯往温度センサ57と即湯戻温度センサ56とで検知温度の比較が行われていないため、異常がある温度センサを特定できない。あるいは、非加熱循環時正常フラグがONであり、即湯往温度センサ57および即湯戻温度センサ56が正常であると判断されていることから、何れの温度センサも異常がない。従って、そのまま図7の温度センサ異常特定処理を一旦終了し、所定の周期で再び図7の温度センサ異常特定処理を実行する。
【0074】
以上に説明したように本実施例の給湯システム1では、即湯循環回路50に設けられた即湯用熱交換器52を通過して給湯栓2に供給される湯水の温度(即湯往温度)を検知する即湯往温度センサ57が、出湯通路44と即湯循環回路50との重複部分に設けられている。そして、給湯栓2の開栓に伴って給湯加熱部10で加熱された湯水を、出湯通路44を通じて給湯栓2へと供給する給湯運転の実行中に、出湯通路44の出湯温度センサ48で検知される出湯温度と、即湯往温度センサで検知される即湯往温度との比較(給湯時比較)により、所定値以上の温度差があれば、出湯温度センサまたは即湯往温度センサの異常と判断するようになっている。
【0075】
このように即湯往温度センサ57を、即湯循環回路50における即湯用熱交換器52から出湯通路44との合流部までの間ではなく、出湯通路44と即湯循環回路50との重複部分に配置することにより、給湯運転の実行中に給湯栓2に供給される湯水は、出湯温度センサ48および即湯往温度センサ57の両方を通るので、両温度センサが何れも正常であれば、ほぼ同じ温度を検知することになる。これに対して、出湯温度センサ48および即湯往温度センサ57の何れかに異常(特に中間故障)があれば、所定値以上の温度差となって現れるため、速やかに異常を検出することが可能となる。
【0076】
また、本実施例の給湯システム1では、給湯栓2から流出せずに即湯用熱交換器52へと戻る湯水の温度(即湯戻温度)を検知する即湯戻温度センサ56が即湯循環回路50に設けられており、即湯用熱交換器52で加熱せずに即湯ポンプ51を作動させる非加熱循環運転の実行中に、即湯往温度センサ57で検知される即湯往温度と、即湯戻温度センサ56で検知される即湯戻温度との比較(非加熱循環時比較)を行う。そして、この非加熱循環時比較および給湯時比較の少なくとも一方で、所定値以上の温度差があることに基づいて、出湯温度センサ48、即湯往温度センサ57、即湯戻温度センサ56の何れが異常であるかを特定するようになっている。
【0077】
非加熱循環運転の実行中は、即湯循環回路50内の湯水が加熱されないまま循環するだけなので、即湯往温度センサ57および即湯戻温度センサ56の何れも正常であれば、ほぼ同じ温度を検知することになるのに対し、何れかに異常があれば、非加熱循環時比較で所定値以上の温度差となって現れるため、異常を検出可能である。そして、給湯時比較で所定値以上の温度差があり、非加熱循環時比較で所定値以上の温度差がない場合は、出湯温度センサ48の異常と判断できる。一方、給湯時比較で所定値以上の温度差がなく、非加熱循環時比較で所定値以上の温度差がある場合は、即湯戻温度センサ56の異常と判断できる。さらに、給湯時比較および非加熱循環時比較の両方で所定値以上の温度差がある場合は、即湯往温度センサ57の異常と判断できる。
【0078】
尚、上述した本実施例のコントローラ100は、図2の即湯運転制御処理において、給湯運転中でなければ、即湯循環の開始条件が成立する毎に(STEP2:yes)、非加熱循環運転を実行して、非加熱循環時比較を行うようになっていた。しかし、非加熱循環運転を実行するタイミングは、これに限られず、給湯時比較で所定値以上の温度差があった場合には、給湯運転の終了後に非加熱循環運転を実行してもよい。すなわち、図6の給湯運転制御処理において、給湯時異常フラグがONの状態で(STEP47)、給湯運転を終了したら(STEP49)、即湯ポンプ51を作動させて図4の非加熱循環時比較処理を実行することとして、さらに、図7の温度センサ異常特定処理を続けて実行してもよい。
【0079】
給湯時比較に基づいて出湯温度センサ48または即湯往温度センサ57の異常と判断された時点で、未だ非加熱循環時比較が行われていない場合や、前回の非加熱循環時比較が行われてから既に時間が経過して状況が変化している場合があることから、給湯運転の終了後に非加熱循環運転を実行することにより、非加熱循環時比較に基づいて上述のように出湯温度センサ48および即湯往温度センサ57の何れが異常であるかを速やかに特定することが可能となる。
【0080】
上述した本実施例の給湯システム1には、次のような変形例も存在する。以下では、上述の実施例とは異なる点を中心に変形例について説明する。尚、変形例の説明では、上述の実施例と同様の構成については同じ符号を付して説明を省略する。
【0081】
上述の実施例では、出湯温度センサ48および即湯往温度センサ57の検知温度の比較(給湯時比較)、即湯往温度センサ57および即湯戻温度センサ56の検知温度の比較(非加熱循環時比較)によって異常を判断するようになっていた。しかし、比較する温度センサの組合せは、これに限られない。例えば、前述したように湯張りや、足し湯、足し水などで浴槽に湯水を供給する風呂供給運転では、出湯通路44から湯水が湯張通路60を通って風呂戻通路90に流入し、両搬送で浴槽に供給されることから、出湯通路44の出湯温度センサ48と風呂戻通路90の風呂戻温度センサ94とで検知温度を比較することも可能である。尚、変形例における湯張通路60、風呂戻通路90、風呂往通路91は、本発明の「風呂通路」に相当しており、変形例の風呂戻温度センサ94は、本発明の「風呂温度センサ」に相当している。
【0082】
図8は、変形例のコントローラ100が風呂供給運転を制御するために実行する処理(風呂供給運転制御処理)のフローチャートである。この風呂供給運転制御処理は、使用者が操作可能な図示しないリモコンの湯張スイッチ、足し湯スイッチ、足し水スイッチの何れかがONになると実行される。尚、変形例のコントローラ100は、本発明の「風呂供給制御手段」に相当する機能を有している。
【0083】
風呂供給運転制御処理では、まず、湯張通路60の湯張電磁弁61を開弁する(STEP60)。湯張電磁弁61の開弁に伴い、給水通路40を通じて上水が給湯加熱部10に供給され、湯張りおよび足し湯の場合は、給湯加熱部10で加熱(給湯バーナ11で燃料ガスの燃焼)が行われることにより、生成された湯が出湯通路44から湯張通路60へと流れ込む。一方、足し水の場合は、給湯加熱部10で加熱されることなく水が出湯通路44から湯張通路60へと流れ込む。
【0084】
続いて、浴槽に供給された湯水の積算量(供給積算量)が設定量に到達したか否かを判断する(STEP61)。コントローラ100は、湯張通路60の湯張水量センサ63で検知される湯水の流量(湯張流量)に、経過時間を乗算することで供給積算量を把握することが可能である。また、湯張りの設定量は、浴槽の大きさに応じて予め設定されており、足し湯や足し水の設定量は、湯張りよりも少なく一律に設定されている。そして、未だ供給積算量が設定量に到達していない場合は(STEP61:no)、出湯温度センサ48および風呂戻温度センサ94の検知温度の比較によって異常の有無を判断するために、以下のような処理を行う。
【0085】
まず、所定の比較待機時間(例えば10秒)が経過したか否かを判断する(STEP62)。未だ比較待機時間が経過していない場合は(STEP62:no)、STEP61の処理に戻って供給積算量が設定量に到達したか否かを確認しながら、比較待機時間が経過するまで待機する。
【0086】
その後、比較待機時間が経過した場合は(STEP62:yes)、出湯温度センサ48および風呂戻温度センサ94の異常の有無について過去の判断を記憶したフラグをリセットしてから(STEP63)、出湯温度センサ48の検知温度(出湯温度)と風呂戻温度センサ94の検知温度(風呂戻温度)とを比較して温度差が所定値(例えば7度)以上であるか否かを判断する(STEP64)。前述したように出湯通路44における出湯温度センサ48よりも下流側から分岐した湯張通路60は、風呂戻温度センサ94が設置された風呂戻通路90に接続されている。このため、風呂供給運転中に浴槽へと供給される湯水は出湯温度センサ48および風呂戻温度センサ94の両方を通ることになり、両温度センサでほぼ同じ温度を検知するはずである。
【0087】
そして、出湯温度と風呂戻温度との温度差が所定値以上である場合は(STEP64:yes)、出湯温度センサ48または風呂戻温度センサ94の異常と判断して風呂供給時異常フラグをONにする(STEP65)。この風呂供給時異常フラグは、コントローラ100に内蔵の記憶部に記憶されている。尚、風呂供給時異常フラグをONにした後は、前述したSTEP63の処理で風呂供給時異常フラグをリセットしないこととして、ON状態を維持してもよい。
【0088】
これに対して、出湯温度と風呂戻温度との温度差が所定値未満である場合は(STEP64:no)、出湯温度センサ48および風呂戻温度センサ94は正常であると判断して風呂供給時正常フラグをONにする(STEP66)。この風呂供給時正常フラグも、コントローラ100の記憶部に記憶されている。こうして何れかのフラグをONにすると、STEP61の処理に戻って供給積算量が設定量に到達したか否かを再び判断する。
【0089】
そして、供給積算量が設定量に到達した場合は(STEP61:yes)、湯張電磁弁61を閉弁して(STEP67)、図8の風呂供給運転制御処理を終了する。その後、湯張スイッチ、足し湯スイッチ、足し水スイッチの何れかがONになると、再び図8の風呂供給運転制御処理を実行する。
【0090】
図9は、変形例のコントローラ100が実行する温度センサ異常特定処理のフローチャートである。この温度センサ異常特定処理は、使用者によってリモコンの電源スイッチがONにされると開始され、所定の周期で繰り返し実行される。尚、温度センサ異常特定処理の実行は、これに限らず、前述した図6の給湯運転制御処理で給湯時異常フラグをONにした際(STEP47)や、図8の風呂供給運転制御処理で風呂供給時異常フラグをONにした際(STEP65)に実行するようにしてもよい。
【0091】
温度センサ異常特定処理では、まず、給湯時異常フラグがONであるか否かを判断する(STEP70)。給湯時異常フラグがONである場合は(STEP70:yes)、前述したように出湯温度センサ48または即湯往温度センサ57の異常と判断されており、続いて、風呂供給時異常フラグがONであるか否かを判断する(STEP71)。風呂供給時異常フラグがONである場合は(STEP71:yes)、前述したように出湯温度センサ48または風呂戻温度センサ94の異常と判断されているため、給湯時および風呂供給時の両方で異常とみなされた出湯温度センサ48が異常と判断する(STEP72)。
【0092】
こうして異常がある温度センサを特定すると、温度センサの異常を報知して(STEP73)、図9の温度センサ異常特定処理を終了する。前述した実施例と同様に、変形例における温度センサの異常の報知も、異常があると特定された温度センサについてのエラー表示をリモコンの表示部で行うようになっているが、音声で行ってもよい。
【0093】
これに対して、STEP71の判断において、風呂供給時異常フラグがOFFである場合は(STEP71:no)、続いて、風呂供給時正常フラグがONであるか否かを判断する(STEP74)。風呂供給時正常フラグがONである場合は(STEP74:yes)、前述したように出湯温度センサ48および風呂戻温度センサ94が正常であると判断されているため、即湯往温度センサ57が異常と判断する(STEP75)。その後、温度センサの異常を報知して(STEP73)、図9の温度センサ異常特定処理を終了する。
【0094】
一方、風呂供給時正常フラグがOFFである場合は(STEP74:no)、未だ出湯温度センサ48と風呂戻温度センサ94とで検知温度の比較が行われていないことになるため、異常がある温度センサを特定することなく、図9の温度センサ異常特定処理を一旦終了し、所定の周期で再び図9の温度センサ異常特定処理を実行する。
【0095】
また、STEP70の判断において、給湯時異常フラグがOFFである場合は(STEP70:no)、続いて、給湯時正常フラグがONであるか否かを判断する(STEP76)。給湯時正常フラグもOFFである場合は(STEP76:no)、未だ出湯温度センサ48と即湯往温度センサ57とで検知温度の比較が行われていないことになるので、異常がある温度センサを特定することなく、図9の温度センサ異常特定処理を一旦終了し、所定の周期で再び図9の温度センサ異常特定処理を実行する。
【0096】
これに対して、給湯時正常フラグがONである場合は(STEP76:yes)、出湯温度センサ48および即湯往温度センサ57が正常であると判断されており、続いて、風呂供給時異常フラグがONであるか否かを判断する(STEP77)。風呂供給時異常フラグがONである場合は(STEP77:yes)、出湯温度センサ48または風呂戻温度センサ94の異常と判断されており、このうち出湯温度センサ48は給湯時に正常と判断されているため、風呂戻温度センサ94が異常と判断する(STEP78)。その後、温度センサの異常を報知して(STEP73)、図9の温度センサ異常特定処理を終了する。
【0097】
一方、風呂供給時異常フラグがOFFである場合は(STEP77:no)、次の何れかに該当する。すなわち、風呂供給時正常フラグもOFFであり、未だ出湯温度センサ48と風呂戻温度センサ94とで検知温度の比較が行われていないため、異常がある温度センサを特定できない。あるいは、風呂供給時正常フラグがONであり、出湯温度センサ48および風呂戻温度センサ94が正常であると判断されていることから、何れの温度センサも異常がない。従って、そのまま図9の温度センサ異常特定処理を一旦終了し、所定の周期で再び図9の温度センサ異常特定処理を実行する。
【0098】
以上に説明したように変形例の給湯システム1では、湯張電磁弁61を開弁することで出湯通路44から湯張通路60、風呂戻通路90、風呂用熱交換器82、風呂往通路91を通じて浴槽に湯水を供給する風呂供給運転の実行中に、出湯通路44の出湯温度センサ48で検知される出湯温度と、風呂戻通路90の風呂戻温度センサ94で検知される風呂戻温度との比較(風呂供給時比較)を行う。そして、この風呂供給時比較および給湯時比較の少なくとも一方で、所定値以上の温度差があることに基づいて、出湯温度センサ48、即湯往温度センサ57、風呂戻温度センサ94の何れが異常であるかを特定するようになっている。
【0099】
風呂供給運転の実行中に浴槽へと供給される湯水は、出湯温度センサ48および風呂戻温度センサ94の両方を通るので、両温度センサが何れも正常であれば、ほぼ同じ温度を検知することになるのに対し、何れかに異常があれば、風呂供給時比較で所定値以上の温度差となって現れるため、異常を検出可能である。そして、給湯時比較で所定値以上の温度差があり、風呂供給時比較で所定値以上の温度差がない場合は、即湯往温度センサ57の異常と判断できる。一方、給湯時比較で所定値以上の温度差がなく、風呂供給時比較で所定値以上の温度差がある場合は、風呂戻温度センサ94の異常と判断できる。さらに、給湯時比較および風呂供給時比較の両方で所定値以上の温度差がある場合は、出湯温度センサ48の異常と判断できる。
【0100】
また、変形例の給湯システム1では、出湯温度センサ48、即湯往温度センサ57、風呂戻温度センサ94のうち何れが異常であるかを特定可能であることから、即湯往温度センサ57について異常(特に中間故障)の有無の判断が保証される。これにより、即湯循環回路50に即湯往温度センサ57を1つ設けておくだけで、即湯運転の制御が可能となるため、即湯循環回路50から即湯戻温度センサ56を省略することができる。すなわち、前述した図2および図3の即湯運転制御処理において、即湯往温度センサ57で検知される即湯往温度が所定の即湯加熱開始温度(例えば60度)未満となった場合に(STEP6参照)、即湯用熱交換器52での加熱を開始し、即湯往温度が所定の即湯加熱停止温度(例えば65度)以上となった場合に(STEP11参照)、即湯用熱交換器52での加熱を終了すればよい。
【0101】
尚、上述した変形例のコントローラ100は、リモコンの湯張スイッチ、足し湯スイッチ、足し水スイッチの何れかがONになると、図8の風呂供給運転制御処理を実行して、風呂供給時比較を行うようになっていた。しかし、風呂供給運転制御処理を実行する契機は、これに限られず、給湯時比較で所定値以上の温度差があった場合には、給湯運転の終了後に風呂供給運転制御処理を実行するようにしてもよい。すなわち、図6の給湯運転制御処理において、給湯時異常フラグがONの状態で(STEP47)、給湯運転を終了したら(STEP49)、図8の風呂供給運転制御処理を実行して少量の足し水の実行中に風呂供給時比較を行うこととして、さらに、図9の温度センサ異常特定処理を続けて実行してもよい。
【0102】
給湯時比較に基づいて出湯温度センサ48または即湯往温度センサ57の異常と判断された時点で、未だ風呂供給時比較が行われていない場合や、前回の風呂供給時比較が行われてから既に時間が経過して状況が変化している場合があることから、給湯運転の終了後に風呂供給運転を実行することにより、風呂供給時比較に基づいて上述のように出湯温度センサ48および即湯往温度センサ57の何れが異常であるかを速やかに特定することが可能となる。
【0103】
以上、本実施例および変形例の給湯システム1について説明したが、本発明は上記の実施例および変形例に限られるものではなく、その要旨を逸脱しない範囲において種々の態様で実施することが可能である。
【0104】
例えば、前述した実施例および変形例では、異常がある温度センサを特定してから、温度センサの異常を報知するようになっていた(図7のSTEP53、図9のSTEP73)。しかし、異常がある温度センサの特定に至らなくても、何れかの異常フラグをONにした時点で(図4のSTEP25、図6のSTEP47、図8のSTEP65)、比較した2つの温度センサの何れかが異常である旨の報知を行ってもよい。
【0105】
また、前述した実施例および変形例では、2つの温度センサの検知温度を比較して異常の有無を判断する前に、過去の判断を記憶したフラグをリセットするようになっていた(図4のSTEP23、図6のSTEP45、図8のSTEP63)。しかし、フラグをリセットするタイミングは、これに限られず、前回の判断から所定期間(例えば24時間)が経過した場合は、状況が変わることがあるので、フラグをリセットするようにしてもよい。
【0106】
また、前述した変形例の給湯システム1では、風呂供給時比較として、出湯通路44の出湯温度センサ48で検知される出湯温度と、風呂戻通路90の風呂戻温度センサ94で検知される風呂戻温度とを比較するようになっていた。しかし、風呂供給運転の実行中に浴槽へと供給される湯水は、風呂往通路91の風呂往温度センサ95を通ることから、風呂戻温度センサ94に代えて、風呂往温度センサ95で検知される風呂往温度を出湯温度と比較してもよい。これにより、出湯温度センサ48および風呂往温度センサ95の何れも正常であれば、ほぼ同じ温度を検知することになるのに対し、何れかに異常があれば、所定値以上の温度差となって現れるため、異常を検出可能である。
【符号の説明】
【0107】
1…給湯システム、 2…給湯栓、 10…給湯加熱部、
11…給湯バーナ、 12…給湯第1熱交換器、 13…給湯第2熱交換器、
14…燃焼ファン、 20…暖房加熱部、 21…暖房バーナ、
22…暖房第1熱交換器、 23…暖房第2熱交換器、 30…ガス通路、
31…元弁、 32…比例弁、 33…給湯電磁弁、
34…暖房電磁弁、 40…給水通路、 41…水量センサ、
42…水量サーボ、 43…給湯連絡通路、 44…出湯通路、
45…缶体温度センサ、 46…バイパス通路、 47…バイパスサーボ、
48…出湯温度センサ、 50…即湯循環回路、 51…即湯ポンプ、
52…即湯用熱交換器、 53…膨張タンク、 54…逆止弁、
55…即湯水量センサ、 56…即湯戻温度センサ、 57…即湯往温度センサ、
60…湯張通路、 61…湯張電磁弁、 62…逆止弁、
63…湯張水量センサ、 70…暖房往通路、 71…暖房戻通路、
72…暖房連絡通路、 73…シスターン、 74…暖房ポンプ、
75…暖房低温度センサ、 76…暖房高温度センサ、 80…第1分岐通路、
81…第1流量制御弁、 82…風呂用熱交換器、 83…第2分岐通路、
84…第2流量制御弁、 90…風呂戻通路、 91…風呂往通路、
92…風呂ポンプ、 93…水流スイッチ、 94…風呂戻温度センサ、
95…風呂往温度センサ、 100…コントローラ。
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9