(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2022177764
(43)【公開日】2022-12-01
(54)【発明の名称】ハンドカート用スマートフォンホルダー
(51)【国際特許分類】
B62B 5/00 20060101AFI20221124BHJP
B62B 3/00 20060101ALI20221124BHJP
【FI】
B62B5/00 L
B62B3/00 F
【審査請求】未請求
【請求項の数】6
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2021084234
(22)【出願日】2021-05-18
(71)【出願人】
【識別番号】592029016
【氏名又は名称】株式会社スーパーメイト
(74)【代理人】
【識別番号】100096116
【弁理士】
【氏名又は名称】松原 等
(72)【発明者】
【氏名】山下 定良
【テーマコード(参考)】
3D050
【Fターム(参考)】
3D050AA02
3D050BB03
3D050EE08
3D050EE15
3D050GG06
(57)【要約】
【課題】ハンドカートに取着されるスマートフォンホルダーの前後位置を大きく変更できるようにする。
【解決手段】スマートフォンホルダー10は、スタンド11とスタンド上部に取り付けられるホルダー本体20とを含む。ホルダー本体20は、スマートフォンの背面を受ける背面受け部21と、板面が左右を向く第1被取付板26と、板面が前後を向く第2被取付板30とを備え、左右に延びるスタンド上部(一方部13)の端面を第1被取付板26の板面に当接させて、該スタンド上部にホルダー本体20を取り付ける第1取付態様と、前後に延びるスタンド上部(他方部14)の端面を第2被取付板30の板面に当接させて、該スタンド上部にホルダー本体20を取り付ける第2取付態様とが、選択可能である。
【選択図】
図5
【特許請求の範囲】
【請求項1】
ハンドカート(1,9)に取着されて上方へ延びるスタンド(11)と、スタンド上部に取り付けられるホルダー本体(20)とを含み構成されるハンドカート用スマートフォンホルダーであって、
ホルダー本体(20)は、スマートフォンの背面を受ける背面受け部(21)と、背面受け部(21)の背側へ突出して板面が左右を向く第1被取付板(26)と、背面受け部(21)の背側へ突出して板面が前後を向く第2被取付板(30)とを備え、
左右に延びるスタンド上部の端面を第1被取付板(26)の板面に当接させて、該スタンド上部にホルダー本体(20)を取り付ける第1取付態様と、前後に延びるスタンド上部の端面を第2被取付板(30)の板面に当接させて、該スタンド上部にホルダー本体(20)を取り付ける第2取付態様とが、選択可能であることを特徴とするハンドカート用スマートフォンホルダー。
【請求項2】
第1被取付板(26)と、背面受け部(21)の背面に接合された第1接合板(27)とが第1L字金具(25)で構成され、第2被取付板(30)と、背面受け部(21)の背面に接合された第2接合板(31)とが第2L字金具(29)で構成されている請求項1記載のハンドカート用スマートフォンホルダー。
【請求項3】
第1被取付板(26)の縁と第2被取付板(30)の縁とが接合されている請求項1又は2記載のハンドカート用スマートフォンホルダー。
【請求項4】
スタンド(11)は、金属パイプが長さ方向途中の2つの曲げ箇所で曲げられて、2つの曲げ箇所の間の中間部(12)と、中間部(12)よりも一方側の一方部(13)と、中間部(12)よりも他方側の他方部(14)とからなり、他方部(14)をハンドカート(1,9)に取着した場合に、一方部(13)が左右に延びるスタンド上部となって第1取付態様を可能とし、一方部(13)をハンドカート(1,9)に取着した場合に、他方部(14)が前後に延びるスタンド上部となって第2取付態様を可能とするものである請求項1~3のいずれか一項に記載のハンドカート用スマートフォンホルダー。
【請求項5】
ホルダー本体(20)は、ホルダー本体(20)の傾斜角度を調節してからホルダー本体(20)を傾動不能に固定する機能を有する調節固定機構(35)により、スタンド上部に固定されている請求項1~4のいずれか一項に記載のハンドカート用スマートフォンホルダー。
【請求項6】
ホルダー本体(20)は、背面受け部(21)の下端から曲げられてスマートフォンの下端面を受ける下端面受け部(22)と、下端面受け部(22)の端から上方へ曲げられてスマートフォンの正面側を規制する返し部(23)と、背面受け部(21)の両側端から曲げられてスマートフォンの側方を規制する側板部(24)とを備え、少なくとも左側の側板部24の内側面と返し部(23)の左端とが左右に3~5mm離れている請求項1~5のいずれか一項に記載のハンドカート用スマートフォンホルダー。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、物品を載せて手で押して動かす、ショッピングカート、ピッキングカート、台車その他の各種ハンドカートに取着して使用する、スマートフォンを保持するためのホルダーに関するものである。
【背景技術】
【0002】
近年、ショッピングカートに取着して使用するスマートフォンホルダーが提案されている。
【0003】
特許文献1には、取付台とピボットジョイントとを備えたスマートフォンホルダーが開示されている。取付台は、ピボットジョイントにより、ショッピングカートのプッシュハンドルに寄り掛かっている時の定位置と、プッシュハンドルから離れて伸びる保持位置との間で旋回することができる。
【0004】
特許文献2には、携帯端末保持部とカート取付部とを有するスマートフォンホルダーが開示されている。携帯端末保持部は、形状の異なる携帯端末を保持する機能を有し、カート取付部は、ショッピングカートのハンドルに対して着脱可能な機能を有している。
【0005】
本発明者は先に、ハンドカートの支柱に取着されて上方へ延びるスタンドと、スタンド上部に対して傾斜角度を調節可能に固定されたホルダー本体とを含み構成されるスマートフォンホルダーを開示した(特許文献3)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0006】
【特許文献1】特表2014-534107号公報
【特許文献2】特開2017-109687号公報
【特許文献3】実用新案登録第3231209号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
特許文献1,2のスマートフォンホルダーは、ハンドルから斜め前上方ないし真上方に延びるように取り付けられるため、スマートフォンホルダーの前後位置を変更することができなかった。
【0008】
特許文献3のスマートフォンホルダーは、所定長さを有するスタンド下部(被取着部)のどの箇所を支柱に締め付けるかにより、スマートフォンホルダーの前後位置を数cmの範囲で変更することができる。しかし、同スマートフォンホルダーを種々のハンドカートに取り付けることを検討していくと、スマートフォンホルダーホルダーの前後位置をより大きく変更したい場合があることが分かってきた。例えば、後述するように子供用チェアを取り付けたショッピングカートにおいて、子供の頭部からスマートフォンホルダーを前方へ大きく離したい場合等である。
【0009】
そこで、本発明の目的は、ハンドカートに取着されるスマートフォンホルダーの前後位置を大きく変更できるようにすることにある。
【課題を解決するための手段】
【0010】
[1]ハンドカートに取着されて上方へ延びるスタンドと、スタンド上部に取り付けられるホルダー本体とを含み構成されるハンドカート用スマートフォンホルダーであって、
ホルダー本体は、スマートフォンの背面を受ける背面受け部と、背面受け部の背側へ突出して板面が左右を向く第1被取付板と、背面受け部の背側へ突出して板面が前後を向く第2被取付板とを備え、
左右に延びるスタンド上部の端面を第1被取付板の板面に当接させて、該スタンド上部にホルダー本体を取り付ける第1取付態様と、前後に延びるスタンド上部の端面を第2被取付板の板面に当接させて、該スタンド上部にホルダー本体を取り付ける第2取付態様とが、選択可能であることを特徴とするハンドカート用スマートフォンホルダー。
【0011】
[作用]
第1取付態様を選択したときと、第2取付態様を選択したときとで、ハンドカートに取着されるスマートフォンホルダーの前後位置が大きく変更される。
【0012】
[2]上記[1]において、第1被取付板と、背面受け部の背面に接合された第1接合板とが第1L字金具で構成され、第2被取付板と、背面受け部の背面に接合された第2接合板とが第2L字金具で構成されていることが好ましい。両被取付板を背面受け部に接合しやすく、高い剛性が得られるからである。
【0013】
[3]上記[1]又は[2]において、第1被取付板の縁と第2被取付板の縁とが接合されていることが好ましい。両被取付板が補強し合って剛性が増すからである。
【0014】
[4]上記[1]~[3]において、スタンドは、金属パイプが長さ方向途中の2つの曲げ箇所で曲げられて、2つの曲げ箇所の間の中間部と、中間部よりも一方側の一方部と、中間部よりも他方側の他方部とからなり、他方部をハンドカートに取着した場合に、一方部が左右に延びるスタンド上部となって第1取付態様を可能とし、一方部をハンドカートに取着した場合に、他方部が前後に延びるスタンド上部となって第2取付態様を可能とするものである態様を例示できる。
【0015】
[5]上記[1]~[4]において、ホルダー本体は、ホルダー本体の傾斜角度を調節してからホルダー本体を傾動不能に固定する機能を有する調節固定機構により、スタンドに固定されている構成を例示できる。
【0016】
[6]上記[1]~[5]において、ホルダー本体は、背面受け部の下端から曲げられてスマートフォンの下端面を受ける下端面受け部と、下端面受け部の端から上方へ曲げられてスマートフォンの正面側を規制する返し部と、背面受け部の両側端から曲げられてスマートフォンの側方を規制する側板部とを備え、少なくとも左側の側板部の内側面と返し部の左端とが左右に3~5mm離れていることが好ましい。この間の隙間に、スマートフォンの手帳型カバーの表装部を立てて挿入することにより、該表装部を安定して支えることができるからである。
【発明の効果】
【0017】
本発明によれば、ハンドカートに取着されるスマートフォンホルダーの前後位置を大きく変更することができる。
【図面の簡単な説明】
【0018】
【
図1】
図1は実施例のスマートフォンホルダーを標準的なショッピングカートに第1取付態様を選択して取着した場合を、前側から見た斜視図である。
【
図2】
図2は同場合を、後側から見た斜視図である。
【
図3】
図3は同スマートフォンホルダーを子供用チェアを有するショッピングカートに第2取付態様を選択して取着した場合を、前側から見た斜視図である。
【
図4】
図4は同場合を、後側から見た斜視図である。
【
図5】
図5(a)は
図1の要部を角度を変えて示す拡大斜視図、(b)は
図3の要部を角度を変えて示す拡大斜視図である。
【
図6】
図6は調節固定機構を示し、(a)は要部分解斜視図、(b)は断面図である。
【
図7】
図7は同スマートフォンホルダーのホルダー本体を示し、(a)は正面図、(b)は左側面図、(c)は底面図である。
【
図8】
図8は同ホルダー本体を下側から見た分解斜視図である。
【
図9】
図9は同スマートフォンホルダーにスマートフォンを(手帳型カバーと共に)保持して上側から見た斜視図である。
【
図10】
図10は同スマートフォンホルダーを台車に取着した場合の側面図である。
【発明を実施するための形態】
【0019】
1.スタンド
スタンドは、特に限定されないが、金属パイプからなるものが好ましい。強度と耐久性と軽量性とを兼ね備えるからである。
【0020】
2.ホルダー本体
ホルダー本体は、特に限定されないが、金属板からなるものが好ましい。強度と耐久性と軽量性とを兼ね備えるからである。
【0021】
3.ハンドカート
スマートフォンホルダーを取着するハンドカートとしては、特に限定されないが、ショッピングカート、ピッキングカート(物流現場や図書室などでピッキングした物品や書籍などを載せるカート)、台車等を例示できる。スマートフォンホルダーのスタンド下部は、ハンドカートのどの部位に取着してもよいが、支柱又はハンドルに取着することが好ましく、支柱に取着することがより好ましい。
【実施例0022】
本発明を具体化した実施例のスマートフォンホルダーについて図面を参照して説明する。但し、説明する各部の構造、形状、数量等は例示であり、発明の趣旨を逸脱しない範囲で適宜変更できる。まず、取着先であるハンドカートの例としての2種類のショッピングカートから説明する。
【0023】
図1及び
図2に示す標準的なショッピングカート1は、キャスター2を備えた基枠3と、基枠3上の下段カゴ載せ部4と、基枠3から上方へ延びる左右の支柱5と、左右の支柱5に固定されて支柱5の前側に位置する上段カゴ載せ部6と、左右の支柱5の上端を結んで横方向に延びるハンドル7とを含み構成されている。左右の支柱5はそれぞれ金属パイプよりなる。スマートフォンホルダー10を取着する支柱5の上部は、鉛直線に対して5~50°後傾している。
このショッピングカート1では、スマートフォンを利用者の近くで見やすくするために、スマートフォンホルダー10の前後位置が上段カゴ載せ部6の後端よりも後方ないし該後端の真上となる、後述する第1取付態様が適している。
【0024】
図3及び
図4に示す子供用チェアを有するショッピングカート9は、同じくキャスター2、基枠3、下段カゴ載せ部4、支柱5及び上段カゴ載せ部6を備え、左右の支柱5の上端からそれぞれ後ろ方向に延びるハンドル7を備え、さらに、左右の支柱5に固定されて支柱5の後側に位置する子供用チェア8を含み構成されている。
このショッピングカート9では、子供用チェア8に腰掛けた子供の頭がスマートフォンホルダー10に当たらないようにするために、スマートフォンホルダー10の前後位置が上段カゴ載せ部6の後端よりも前方となる、後述する第2取付態様が適している。
【0025】
さて、
図1~
図9に示す本実施例のスマートフォンホルダー10は、ハンドカート(ショッピングカート1又は9の支柱5)に取着されて上方へ延びるスタンド11と、スタンド上部に取り付けられるホルダー本体20とを含み構成されている。
【0026】
スタンド11は、金属パイプが長さ方向途中の2つの曲げ箇所で曲げられて、2つの曲げ箇所の間の中間部12と、中間部12よりも一方側の一方部13と、中間部12よりも他方側の他方部14とからなる。一方部13及び他方部14には、それぞれ雌ねじ部材15が挿入固定されている。
【0027】
スタンド11は、一方部13又は他方部14を支柱5の上部に平行に配して締付具16で締付けることにより、支柱5に動かないように取着される。
そして、
図1、
図2及び
図5(a)に示すように、他方部14を支柱5に取着した場合に、一方部13が左右に延びるスタンド上部となって後述する第1取付態様を可能とする。
また、
図3、
図4及び
図5(b)に示すように、一方部13を支柱5に取着した場合に、他方部14が前後に延びるスタンド上部となって後述する第2取付態様を可能とする。
【0028】
ホルダー本体20は、金属板が曲げられて、スマートフォンS(
図9参照)の背面を受ける背面受け部21と、背面受け部21の下端から曲げられてスマートフォンSの下端面を受ける下端面受け部22と、下端面受け部22の下端から上方へ曲げられてスマートフォンSの正面側を規制する返し部23と、背面受け部21の両側端から曲げられてスマートフォンSの側方を規制する側板部24とを含む。
【0029】
また、ホルダー本体20は、
図5、
図7、
図8等に示すように、背面受け部21の背側へ突出して板面が左右を向く第1被取付板26と、背面受け部21の背面に溶接にて接合された第1接合板27とからなる、第1L字金具25を備える。さらに、背面受け部21の背側へ突出して板面が前後を向く第2被取付板30と、背面受け部21の背面に溶接にて接合された第2接合板31とからなる、第2L字金具29を備える。第1被取付板26の縁と第2被取付板30の縁とは溶接にて接合されている。
【0030】
本実施例のスマートフォンホルダー10は、次の2つの取付態様(1)又は(2)を選択可能である。
(1)
図1、
図2及び
図5(a)に示すように、左右に延びるスタンド上部(一方部13)の端面を第1被取付板26の板面に当接させて、該スタンド上部にホルダー本体20を取り付ける第1取付態様。
第1取付態様では、ホルダー本体20は、ホルダー本体20の傾斜角度を調節してからホルダー本体20を傾動不能に固定する機能を有する調節固定機構35により、スタンド上部(一方部13)に固定されている。調節固定機構35は、穴28を有する第1被取付板26と、スタンド上部の雌ねじ部材15と、第1被取付板26とスタンド11の端面との間に介在されたウェッジロックワッシャー36と、穴28及びウェッジロックワッシャー36を通って雌ねじ部材15に螺着されたボルト37とを含み構成されている。
【0031】
第1取付態様を選択した場合、スマートフォンホルダー10の前後位置が上段カゴ載せ部6の後端よりも後方ないし該後端の真上となるため、スマートフォンを利用者の近くで見やすくなる。
【0032】
(2)
図3、
図4及び
図5(b)に示すように、前後に延びるスタンド上部(他方部14)の端面を第2被取付板30の板面に当接させて、該スタンド上部にホルダー本体20を取り付ける第2取付態様。
第2取付態様でも、ホルダー本体20は、上記と同様の調節固定機構35により、スタンド上部(他方部14)に固定されている。
【0033】
第2取付態様を選択した場合、スマートフォンホルダー10の前後位置が上段カゴ載せ部6の後端よりも前方となるため、子供用チェア8に腰掛けた子供の頭がスマートフォンホルダー10に当たらないようにすることができる。
【0034】
ところで、
図9に示すように、スマートフォンSに手帳型カバーCを装着して使用することがよくある。本実施例のスマートフォンホルダー10では、
図7及び
図9に示すように、少なくとも左側の側板部24の内側面と返し部23の左端とが左右に3~5mm離れているため、この間の隙間に手帳型カバーCの表装部C1を立てて挿入することにより、該表装部C1を安定して支えることができる。
【0035】
なお、本発明は前記実施例の構成に限定されるものではなく、発明の趣旨から逸脱しない範囲で、適宜変更して具体化することもできる。
例えば、
図10に示すように、スマートフォンホルダー10を、台車41に取着する等である。この台車41は、キャスター42を備えた台板43と、台板43から上方へ延びる左右の支柱45と、左右の支柱45の上端から延びるハンドル47とを含み構成されている。この支柱上部に、スマートフォンホルダー10を、前記2つの取付態様を選択して取り付けることができる。