(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2022177767
(43)【公開日】2022-12-01
(54)【発明の名称】水道使用検出無線通信装置
(51)【国際特許分類】
G01P 13/00 20060101AFI20221124BHJP
【FI】
G01P13/00 C
【審査請求】未請求
【請求項の数】3
【出願形態】書面
(21)【出願番号】P 2021106130
(22)【出願日】2021-05-18
【公序良俗違反の表示】
(特許庁注:以下のものは登録商標)
1.BLUETOOTH
(71)【出願人】
【識別番号】521279354
【氏名又は名称】RFイノベーション株式会社
(72)【発明者】
【氏名】井上 敦雄
【テーマコード(参考)】
2F034
【Fターム(参考)】
2F034AA03
2F034AC10
2F034CA07
2F034CA16
(57)【要約】
【課題】 水道使用時の水による無線通信時の電波強度の低下を抑え、良好な通信を行うことができる水道使用検出無線通信装置を提供する。
【解決手段】 水道使用検出無線通信装置10であって、水の流入口1aと流出口1bが形成されている第1の筐体1と、第1の筐体1の内に設置された第2の筐体2から構成され、第2の筐体2は、水の流れる方向を定めかつ流速を速くする水流制御機構3と、水を受けて回転する羽根車4と、羽根車4に接続された軸5と、羽根車4の回転を軸5によって伝えられる磁石6と、磁石6の磁束が鎖交するように巻かれたコイル7と、磁束の変化によってコイル7に発生した交流電圧が印加されて動作を開始する無線通信回路20を備え、第1の筐体1と第2の筐体2の間に無線通信の電波が遮られないように水が流れる領域を制限する水流領域制限機構8を備えている。
【選択図】
図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
水の流入口と流出口が形成されている第1の筐体と、前記第1の筐体の内に設置された第2の筐体から構成され、前記第2の筐体は、水の流れる方向を定めかつ流速を速くする水流制御機構と、水を受けて回転する羽根車と、前記羽根車に接続された軸と、前記羽根車の回転を前記軸によって伝えられる磁石と、前記磁石の磁束が鎖交するように巻かれたコイルと、磁束の変化によって前記コイルに発生した交流電圧が印加されて動作を開始する無線通信回路を備え、前記第1の筐体と前記第2の筐体の間に無線通信の電波が遮られないように水が流れる領域を制限する水流領域制限機構を備えることを特徴とする水道使用検出無線通信装置。
【請求項2】
請求項1記載の水道使用検出無線通信装置において、前記水流領域制限機構は、樹脂またはゴムによって水が流れない空間を形成することを特徴とする水道使用検出無線通信装置。
【請求項3】
請求項1記載の水道使用検出無線通信装置において、前記水流領域制限機構は、水が流れない領域を樹脂またはゴムで埋められていることを特徴とする水道使用検出無線通信装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
独り暮らしのお年寄りの水道使用状況から安否を確認するのに適する水道使用検出無線装置に関する。
【背景技術】
【0002】
近年、独り暮らしのお年寄りが増加しており、そのお年寄りの安否を確認することが重要になってきている。この安否確認を行う装置として、生活に欠かすことのできない水道の使用を検知するものが考案されている。例えば、水道使用検出無線通信装置として特開平11-287818の水力発電式無線水センサーがある。しかし、この装置は、電気配線工事を必要としないが取り付けるために水道管工事を必要とするので、手間と費用がかかるという問題がある。
【0003】
そこで、水道使用検出無線通信装置として、水力発電式の水道使用を検出す無線通信装置を試作した例について
図5と
図6を用いて説明する。
【0004】
図5は、本発明者が試作した水道使用検出無線通信装置10の構成と水が流れる領域を示す図である。この水道使用検出無線通信装置10は、水の流入口1aと流出口1bが形成されている第1の筐体1と、第1の筐体1の内に設置された第2の筐体2から構成され、第2の筐体2は、水の流れる方向を定めかつ流速を速くする水流制御機構3と、水を受けて回転する羽根車4と、羽根車4に接続された軸5と、羽根車4の回転を軸5によって伝えられる磁石6と、磁石6の磁束が鎖交するように巻かれたコイル7と、磁束の変化によってコイル7に発生した交流電圧が印加されて動作を開始する無線通信回路20を備える。
【0005】
図6は、無線通信回路20のブロック図である。この無線通信回路20は、コイル7の両端子間に発生する交流電圧を整流する整流回路21と、整流された電圧のレベルを制限する電圧制限回路22と、電圧制限回路22の出力電圧が印加されると無線通信を始める無線モジュール23と、無線通信の送受信を行うアンテナ24を備えている。
【0006】
上記のように構成された水道使用検出無線通信装置10の動作について、
図5(a)と
図5(b)を用いて説明する。
【0007】
図5(a)は、本発明者が試作した水道使用検出無線通信装置10の側面の断面図であり、
図5(b)は、本発明者が試作した水道使用検出無線通装置10の上面図である。流入口1aを水道蛇口に取り付けて蛇口をあけると、水流制御機構3の3つの切り込みから同一回転方向に水が流れ込む。この同一回転方向に流れる水を受けて羽根車4が回転して、軸5を伝わって磁石6が回転する。磁石6が回転することによってコイル7に鎖交する磁束が変化し、コイル7に端子に交流電圧が発生する。この交流電圧を整流回路21で整流する。電圧制限回路22に整流された電圧が入力され、制限レベルを超えない電圧が出力される。無線モジュール23は、電圧制限回路22の出力電圧が印加されると動作を開始し、アンテナ24を通じて水道が使用されたことを通知する無線通信を行う。
【0008】
次に、この水道使用検出無線通信装置10の無線通信時における水の影響について、
図5(c)、
図5(d)、
図5(e)および
図5(f)を用いて説明する。
【0009】
図5(c)は、本発明者が試作した水道使用検出無線通信装置10の下面図であり、第1の筐体1と第2の筐体2の間の斜線部に水が流れる。
図5(d)は、本発明者が試作した水道使用検出無線通信装置1の側面図であり、水が流れる領域を斜線で示している。
図5(c)と
図5(d)が示すように、第2の筐体2に内蔵されている無線通信回路20のアンテナ24を水が取り囲んでいる。
【0010】
図5(e)は、本発明者が試作した水道使用検出無線通信装置10の側面図であり、水の流れを矢印で示している。水が蛇口から流入口1aに流れ込み、その水が水流制御機構3の切り込みを通過することによって流速が増し同一回転方向に流れる。この水は水流制御機構3と第2の筐体2の隙間から流れ出し、第1の筐体1と第2の筐体2の間を通過する。
図5(f)は、本発明者が試作した水道使用検出無線通信装置10の上面図であり、矢印は、同一回転方向に水流制御機構3に流れ込む様子を示している。
【0011】
無線通信回路20が備えたアンテナ24の周囲に水がある場合と水がない場合で電波強度を測定した。水道使用検出無線通信装置1を水道の蛇口に取り付けて水を流した場合の電波強度は、-90dBm以下であった。また、無線通信回路20に電池を接続した場合の電波強度は、約-70dBmであった。無線モジュール23がBluetoothなどの場合、電波の周波数が2.4GHz帯であり、水による電波のエネルギーの減衰が特に多きくなるためと考えられる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0012】
【特許文献1】特開平11-287818号 公報
【特許文献2】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0013】
上記の本発明者が試作した水道使用検出無線通信装置10では、無線通信時にアンテナ24の周囲が水によって取り囲まれるため、送受信の電波強度が弱くなり、通信距離が短くなる、または、通信成功率が低くなるという問題がある。
【0014】
上記問題に鑑み、本発明は、水による電波強度の低下を抑え、良好な通信を行うことができることを課題とする。
【課題を解決するための手段】
【0015】
前述の課題を解決するために本発明が講じた解決手段は、水道使用検出無線通信装置10であって、水の流入口と流出口が形成されている第1の筐体と、前記第1の筐体の内に設置された第2の筐体から構成され、前記第2の筐体は、水の流れる方向を定めかつ流速を速くする水流制御機構と、水を受けて回転する羽根車と、前記羽根車に接続された軸と、前記羽根車の回転を前記軸によって伝えられる磁石と、前記磁石の磁束が鎖交するように巻かれたコイルと、磁束の変化によって前記コイルに発生した交流電圧が印加されて動作を開始する無線通信回路を備え、前記第1の筐体と前記第2の筐体の間に無線通信の電波が遮られないように水が流れる領域を制限する水流領域制限機構を備えたものとする。
【0016】
したがって、本発明によると、無線通信において送受信を行うアンテナ24の周囲に水が流れない領域9を設けることができるため、電波が遮られずその電波強度の低下を抑え、良好な通信を行うことができる。
【発明の効果】
【0017】
以上、本発明によると、無線通信時の水による電波強度の低下を抑え、良好な通信を実現することができる。
【図面の簡単な説明】
【0018】
【
図1】は、本発明の実施形態である水道使用検出無線通信装置10の構成と水が流れる領域を示す図である。
【
図2】は、本発明の実施形態である水道使用検出無線通信装置10の水流領域制限機構8を水平8方向に分割した図である。
【
図3】は、本発明の実施形態である水道使用検出無線通信装置10の水流領域制限機構8の別形状の例を示した図である。
【
図4】は、本発明の実施形態である水道使用検出無線通信装置10の水流領域制限機構8による水が流れない領域9を樹脂またはゴムで埋めた例を示した図である。
【
図5】は、本発明者が試作した水道使用検出無線通信装置10の構成と水が流れる領域を示す図である。
【
図7】は、水道使用検出無線通信装置水道10を蛇口100に設置した状態を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0019】
以下、本発明の実施形態について、図面を参照して説明する。
【実施例0020】
図1は、本発明の実施形態である水道使用検出無線通信装置10を示す。本実施形態の水道使用検出無線通信装置10は、水の流入口1aと流出口1bが形成されている第1の筐体1と、第1の筐体1の内に設置された第2の筐体2から構成され、第2の筐体2は、水の流れる方向を定めかつ流速を速くする水流制御機構3と、水を受けて回転する羽根車4と、羽根車4に接続された軸5と、羽根車4の回転を軸5によって伝えられる磁石6と、磁石6の磁束が鎖交するように巻かれたコイル7と、磁束の変化によってコイル7に発生した交流電圧が印加されて動作を開始する無線通信回路20を備え、第1の筐体1と第2の筐体2の間に無線通信の電波が遮られないように水が流れる領域を制限する水流領域制限機構8を備えている。
【0021】
上記のように構成された水道使用検出無線通信装置10の動作については、水の流れる領域が制限されること以外に関して、従来の実施形態と同様であるため説明を省略する。
【0022】
次に、実施形態における水道使用検出無線通信装置10の無線通信時における水の影響について、
図1(c)、
図1(d)、
図1(e)および
図1(f)を用いて説明する。
【0023】
図1(c)は、本発明の実施形態である水道使用検出無線通信装置10の下面図であり、第1の筐体1と第2の筐体2の間の斜線部に水が流れる。
図1(d)は、本発明の実施形態である水道使用検出無線通信装置10の側面図であり、水が流れる領域を斜線で示している。
図1(c)と
図1(d)が示すように、第2の筐体2に内蔵されている無線通信回路20が備えたアンテナ24の周囲の水平4方向中2方向に水が流れない領域9が設けられている。
【0024】
図1(e)は、本発明の実施形態である水道使用検出無線通信装置10の側面図であり、水の流れを矢印で示している。水が蛇口から流入口1aに流れ込み、その水が水流制御機構3の切り込みを通過することによって流速が増し同一回転方向に流れる。この水は水流制限機構3と第2の筐体2の隙間から流れ出し、第1の筐体1と第2の筐体2の間を通過する。水流領域制限機構8は、この水が流れない領域9を作っている。
図1(f)は、本発明の実施形態である水道使用検出無線通信装置10の上面図であり、矢印は、同一回転方向に水流制御機構3に流れ込む様子を示している。
【0025】
水道使用検出無線通信装置10を水道の蛇口に取り付けて水を流した場合の電波強度は、約-70dBmであった。これは、無線通信回路20に電池を接続した場合の約-70dBmと同等の電波強度であった。
【0026】
以上、本発明の実施形態によると、水流領域制限機構8を備えることにより、アンテナ24の周囲に水が流れない領域9を設けることができ電波強度の低下を抑えることができる。
【0027】
なお、上記の実施形態では水流領域制限機構8が水平方向4分割中の2方向に設置されている例を示したが、
図2に示す8分割などが考えられ分割数に制限されない。
図2に示す水道使用検出無線通信装置10の構成および動作については、水流領域制限機構8の形状が異なること以外に関して、本発明の実施形態と同様であるため説明を省略する。
【0028】
また、水流領域制限機構8が、
図3のような形状でも同様の効果が得られる。
図3に示す水道使用検出無線通信装置10の構成および動作については、水流領域制限機構8の形状が異なること以外に関して、本実施形態と同様であるため説明を省略する。
【0029】
水流領域制限機構8は、無線通信の電波が遮られないように水が流れる領域を制限する機構であって、第1の筐体1または第2の筐体2に一体形成されてもよく、かつ、その形状は上記実施形態の例に制限されない。
【0030】
さらに、水流領域制限機構8は、電波の通過の減衰が小さい樹脂やゴム等で形成されてもよい。
【0031】
アンテナ24について、
図6では、無線通信回路20に内蔵した例を示したが、無線モジュール23に内蔵されていてもよい。また、アンテナ24は、無線通信回路20の外部に設けられても問題ない。
【0032】
図7は、水道使用検出無線通信装置水道10を蛇口100に設置した状態を示す図である。
図7(a)は、ネジ部を持つ蛇口100に水道使用検出無線通信装置水道10を取り付けた例である。また、水道使用検出無線通信装置水道10の蛇口100への取り付けは、
図7(b)に示すようにアタッチメントを使用してもよい。