(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2022177777
(43)【公開日】2022-12-01
(54)【発明の名称】表示装置及び照明方法
(51)【国際特許分類】
E01F 9/00 20160101AFI20221124BHJP
B60Q 1/50 20060101ALI20221124BHJP
F21S 43/20 20180101ALI20221124BHJP
F21V 9/00 20180101ALI20221124BHJP
E01F 9/608 20160101ALI20221124BHJP
F21W 103/60 20180101ALN20221124BHJP
F21Y 115/30 20160101ALN20221124BHJP
【FI】
E01F9/00
B60Q1/50 Z
F21S43/20
F21V9/00 200
E01F9/608
F21W103:60
F21Y115:30
【審査請求】未請求
【請求項の数】22
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2021164223
(22)【出願日】2021-10-05
(31)【優先権主張番号】P 2021083965
(32)【優先日】2021-05-18
(33)【優先権主張国・地域又は機関】JP
(71)【出願人】
【識別番号】000002897
【氏名又は名称】大日本印刷株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100091487
【弁理士】
【氏名又は名称】中村 行孝
(74)【代理人】
【識別番号】100120031
【弁理士】
【氏名又は名称】宮嶋 学
(74)【代理人】
【識別番号】100127465
【弁理士】
【氏名又は名称】堀田 幸裕
(74)【代理人】
【識別番号】100208188
【弁理士】
【氏名又は名称】榎並 薫
(72)【発明者】
【氏名】中津川 夏織
(72)【発明者】
【氏名】倉重 牧夫
(72)【発明者】
【氏名】山嵜 剛
(72)【発明者】
【氏名】佐藤 知枝
(72)【発明者】
【氏名】石田 一敏
(72)【発明者】
【氏名】西尾 俊平
【テーマコード(参考)】
2D064
3K339
【Fターム(参考)】
2D064AA11
2D064AA21
2D064BA01
2D064EA02
2D064EA03
2D064EA04
2D064EB01
2D064EB17
2D064GA00
3K339AA31
3K339AA43
3K339BA12
3K339BA13
3K339BA22
3K339BA25
3K339BA26
3K339BA28
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3K339DA05
3K339EA01
3K339EA02
3K339EA05
3K339EA06
3K339EA09
3K339GB11
3K339GB21
3K339HA00
3K339HA06
3K339KA03
3K339KA04
3K339KA11
3K339KA22
3K339KA29
3K339MC02
3K339MC23
3K339MC24
3K339MC41
3K339MC92
(57)【要約】 (修正有)
【課題】設置の自由度が高く、表示する情報を暗所においても遠くから確認することが可能な表示装置、及び、そのような照明装置を用いた照明方法を提供する。
【解決手段】表示装置1は、可搬性の照明装置10と、照明装置10と照明装置10を支持する支持体20とを接続する可搬性の接続具30と、を有する。照明装置10は、コヒーレント光を射出する光源と、光源からのコヒーレント光を回折して被照射面95に向ける回折光学素子と、を有している。照明装置10は、回折光学素子での回折パターンに応じた情報を示す。
【選択図】
図1A
【特許請求の範囲】
【請求項1】
可搬性の照明装置と、前記照明装置と前記照明装置を支持する支持体とを接続する可搬性の接続具と、を有し、
前記照明装置は、コヒーレント光を射出する光源と、前記光源からのコヒーレント光を回折して被照射面に向ける回折光学素子と、を有し、前記回折光学素子での回折パターンに応じた情報を示す、表示装置。
【請求項2】
可搬性の照明装置と、前記照明装置を支持する可搬性の支持体と、前記照明装置と前記支持体とを接続する可搬性の接続具と、を有し、
前記照明装置は、コヒーレント光を射出する光源と、前記光源からのコヒーレント光を回折して被照射面に向ける回折光学素子と、を有し、前記回折光学素子での回折パターンに応じた情報を示す、表示装置。
【請求項3】
前記接続具は、前記支持体に対して前記照明装置を平行移動可能に、前記照明装置と前記支持体とを接続する、請求項1又は2に記載の表示装置。
【請求項4】
前記接続具は、前記支持体に対する前記照明装置の、第1軸線を中心とした回転位置を調節可能に、前記照明装置と前記支持体とを接続する、請求項1乃至3のいずれか一項に記載の表示装置。
【請求項5】
前記接続具は、前記支持体に対する前記照明装置の、前記第1軸線と非平行な第2軸線を中心とした回転位置を調節可能に、前記照明装置と前記支持体とを接続する、請求項4に記載の表示装置。
【請求項6】
前記接続具は、前記支持体に対する前記照明装置の、前記第1軸線及び前記第2軸線と非平行な第3軸線を中心とした回転位置を調節可能に、前記照明装置と前記支持体とを接続する、請求項5に記載の表示装置。
【請求項7】
前記接続具は、前記支持体に対する前記照明装置の、所定の点を中心とした回転位置を調節可能に、前記照明装置と前記支持体とを接続する、請求項1乃至3のいずれか一項に記載の表示装置。
【請求項8】
前記照明装置は、前記光源へ給電する電池を有する、請求項1乃至7のいずれか一項に記載の表示装置。
【請求項9】
前記照明装置は、外部の電源装置と着脱可能に接続する外部接続端子を有し、
前記外部接続端子を介して前記電源装置から前記光源への給電が行われる、請求項1乃至8のいずれか一項に記載の表示装置。
【請求項10】
前記照明装置は、前記光源を収容するケーシングを有し、
前記ケーシングには溝が形成されており、
前記接続具には、前記ケーシングの溝に嵌合する凸部が形成されている、請求項1乃至9のいずれか一項に記載の表示装置。
【請求項11】
前記照明装置は、前記光源を収容するケーシングを有し、
前記接続具には溝が形成されており、
前記ケーシングには、前記接続具の溝に嵌合する凸部が形成されている、請求項1乃至9のいずれか一項に記載の表示装置。
【請求項12】
前記照明装置は、前記光源を収容するケーシングを有し、
前記ケーシング及び前記接続具の少なくとも一方に、前記ケーシング及び前記接続具が互いに対して摺動することを抑制する滑り止めが設けられている、請求項1乃至11のいずれか一項に記載の表示装置。
【請求項13】
前記照明装置は、前記光源を収容するケーシングを有し、
前記ケーシングは、金属で形成された部分を含む、請求項1乃至12のいずれか一項に記載の表示装置。
【請求項14】
前記照明装置は、温度調節機構を有する、請求項1乃至13のいずれか一項に記載の表示装置。
【請求項15】
前記照明装置は、前記光源を収容するケーシングを有し、
前記光源及び前記回折光学素子は、前記ケーシングに固定されている、請求項1乃至14のいずれか一項に記載の表示装置。
【請求項16】
前記照明装置は、前記光源を収容するケーシングと、前記光源からの光を整形する整形光学系と、を有し、
前記光源、前記整形光学系及び前記回折光学素子は、前記ケーシングに固定されている、請求項1乃至14のいずれか一項に記載の表示装置。
【請求項17】
前記支持体は移動体である、請求項1に記載の表示装置。
【請求項18】
請求項1に記載の前記表示装置の前記照明装置を、前記接続具を介して、前記支持体に接続する工程と、
前記照明装置を用いて前記情報を表示する工程と、を備える照明方法。
【請求項19】
前記支持体は、移動体であって、
前記支持体が移動しながら、前記照明装置は前記情報を表示する、請求項18に記載の照明方法。
【請求項20】
前記移動体は、当該移動体の移動方向前端よりも後方となる位置に情報の少なくとも一部分を表示する、請求項19に記載の照明方法。
【請求項21】
路面上を走行する車に対して、当該車の進路に関する情報を表示する、請求項18乃至20のいずれか一項に記載の照明方法。
【請求項22】
前記支持体は、車であって、
前記支持体である車が移動しながら、前記照明装置は、後続車に対して、当該後続車の進路に関する情報を表示する、請求項18乃至21のいずれか一項に記載の照明方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は表示装置及び当該照明装置を用いた照明方法に関する。
【背景技術】
【0002】
一例として特許文献1に開示されているように、道路上に固定されて、車や通行人の進行方向等を指示する標識が知られている。このような標識は、夜間、外灯やヘッドライトの光を反射して、ドライバーや通行人に進行方向等を表示する。しかしながら、車や通行人が標識から遠く離れた場所にいる場合、外灯やヘッドライトの反射光は薄暗く、ドライバーや通行人が標識を見落とす虞がある。この点、特許文献2に開示されているように、道路上に照明装置を固定し、照明装置で路面に標識を照明することも考えられる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】実全昭61-116808号公報
【特許文献2】特開2006-233503号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら、特許文献2に開示された照明装置は、例えば道路工事現場を迂回するよう指示する標識のように、一時的に短期間だけ用いられる標識として用いることが難しい。なぜなら、そのような標識は、必要に応じて素早く設置可能であること、及び、不要になったら素早く撤去可能であることが求められるからである。
【0005】
本開示は、設置の自由度が高く、表示する情報を暗所においても遠くから確認することが可能な表示装置、及び、そのような照明装置を用いた照明方法を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本開示の一実施の形態による表示装置は、
可搬性の照明装置と、前記照明装置と前記照明装置を支持する支持体とを接続する可搬性の接続具と、を有し、
前記照明装置は、コヒーレント光を射出する光源と、前記光源からのコヒーレント光を回折して被照射面に向ける回折光学素子と、を有し、前記回折光学素子での回折パターンに応じた情報を示す。
【0007】
本開示の一実施の形態による表示装置は、
可搬性の照明装置と、前記照明装置を支持する可搬性の支持体と、前記照明装置と前記支持体とを接続する可搬性の接続具と、を有し、
前記照明装置は、コヒーレント光を射出する光源と、前記光源からのコヒーレント光を回折して被照射面に向ける回折光学素子と、を有し、前記回折光学素子での回折パターンに応じた情報を示す。
【0008】
本開示の一実施の形態による表示装置において、
前記接続具は、前記支持体に対して前記照明装置を平行移動可能に、前記照明装置と前記支持体とを接続してもよい。
【0009】
本開示の一実施の形態による表示装置において、
前記接続具は、前記支持体に対する前記照明装置の、第1軸線を中心とした回転位置を調節可能に、前記照明装置と前記支持体とを接続してもよい。
【0010】
本開示の一実施の形態による表示装置において、
前記接続具は、前記支持体に対する前記照明装置の、前記第1軸線と非平行な第2軸線を中心とした回転位置を調節可能に、前記照明装置と前記支持体とを接続してもよい。
【0011】
本開示の一実施の形態による表示装置において、
前記接続具は、前記支持体に対する前記照明装置の、前記第1軸線及び前記第2軸線と非平行な第3軸線を中心とした回転位置を調節可能に、前記照明装置と前記支持体とを接続してもよい。
【0012】
本開示の一実施の形態による表示装置において、
前記接続具は、前記支持体に対する前記照明装置の、所定の点を中心とした回転位置を調節可能に、前記照明装置と前記支持体とを接続してもよい。
【0013】
本開示の一実施の形態による表示装置において、
前記照明装置は、前記光源へ給電する電池を有してもよい。
【0014】
本開示の一実施の形態による表示装置において、
前記照明装置は、外部の電源装置と着脱可能に接続する外部接続端子を有してもよく、
前記外部接続端子を介して前記電源装置から前記光源への給電が行われてもよい。
【0015】
本開示の一実施の形態による表示装置において、
前記照明装置は、前記光源を収容するケーシングを有してもよく、
前記ケーシングには溝が形成されていてもよく、
前記接続具には、前記ケーシングの溝に嵌合する凸部が形成されていてもよい。
【0016】
本開示の一実施の形態による表示装置において、
前記照明装置は、前記光源を収容するケーシングを有してもよく、
前記接続具には溝が形成されていてもよく、
前記ケーシングには、前記接続具の溝に嵌合する凸部が形成されていてもよい。
【0017】
本開示の一実施の形態による表示装置において、
前記照明装置は、前記光源を収容するケーシングを有してもよく、
前記ケーシング及び前記接続具の少なくとも一方に、前記ケーシング及び前記接続具が互いに対して摺動することを抑制する滑り止めが設けられていてもよい。
【0018】
本開示の一実施の形態による表示装置において、
前記照明装置は、前記光源を収容するケーシングを有してもよく、
前記ケーシングは、金属で形成された部分を含んでもよい。
【0019】
本開示の一実施の形態による表示装置において、
前記照明装置は、温度調節機構を有してもよい。
【0020】
本開示の一実施の形態による表示装置において、
前記照明装置は、前記光源を収容するケーシングを有してもよく、
前記光源及び前記回折光学素子は、前記ケーシングに固定されていてもよい。
【0021】
本開示の一実施の形態による表示装置において、
前記照明装置は、前記光源を収容するケーシングと、前記光源からの光を整形する整形光学系と、を有してもよく、
前記光源、前記整形光学系及び前記回折光学素子は、前記ケーシングに固定されていてもよい。
【0022】
本開示の一実施の形態による表示装置において、
前記支持体は移動体であってもよい。
【0023】
本開示の一実施の形態による表示方法によれば、
上述した表示装置の前記照明装置を、前記接続具を介して、前記支持体に接続する工程と、
前記照明装置を用いて前記情報を表示する工程と、を備える。
【0024】
本開示の一実施の形態による表示方法において、
前記支持体は、移動体であってもよく、
前記支持体が移動しながら、前記照明装置は前記情報を表示してもよい。
【0025】
本開示の一実施の形態による表示方法において、
前記移動体は、当該移動体の移動方向前端よりも後方となる位置に情報の少なくとも一部分を表示してもよい。
【0026】
本開示の一実施の形態による表示方法において、
路面上を走行する車に対して、当該車の進路に関する情報を表示してもよい。
【0027】
本開示の一実施の形態による表示方法において、
前記支持体は、車であってもよく、
前記支持体である車が移動しながら、前記照明装置は、後続車に対して、当該後続車の進路に関する情報を表示してもよい。
【発明の効果】
【0028】
本発明によれば、設置の自由度が高く、表示する情報を暗所においても遠くから確認することが可能な表示装置、及び、そのような照明装置を用いた照明方法を提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0029】
【
図1A】
図1Aは、一実施の形態を説明する図であって、表示装置を示す斜視図である。
【
図3B】
図3Bは、
図3Aに示す照明装置及び接続具を含む表示装置によって照明される被照明領域を示す図である。
【
図5】
図5は、
図3に対応する図であって、照明装置と接続具の一変形例を説明する図である。
【
図7】
図7は、表示装置の他の変形例を説明する図である。
【
図9A】
図9Aは、表示装置の更に他の変形例を説明する図である。
【
図10】
図10は、接続具の更に他の変形例を示す部分斜視図である。
【
図11】
図11は、接続具の更に他の変形例を示す斜視図である。
【
図12】
図12は、表示装置の更に他の変形例を説明する図である。
【
図13】
図13は、表示装置の更に他の変形例を説明する図である。
【
図14】
図14は、表示装置の更に他の変形例を説明する図である。
【
図15】
図15は、表示装置の更に他の変形例を説明する図である。
【
図16】
図16は、接続具の更に他の変形例を説明する図である。
【
図17】
図17は、接続具の更に他の変形例を説明する図である。
【
図18】
図18は、接続具の更に他の変形例を説明する図である。
【
図19】
図19は、接続具の更に他の変形例を説明する図である。
【
図20】
図20は、接続具の更に他の変形例を説明する図である。
【
図21】
図21は、接続具の更に他の変形例を説明する図である。
【
図22】
図22は、接続具の更に他の変形例を説明する図である。
【
図23】
図23は、接続具の更に他の変形例を説明する図である。
【
図26】
図26は、照明装置の更に他の例を示す断面図である。
【
図27】
図27は、照明装置の更に他の例を示す斜視図である。
【
図28】
図28は、照明装置の更に他の例を示す側面図である。
【
図29】
図29は、照明装置の更に他の例を説明する図である。
【
図30】
図30は、照明装置の更に他の例を説明する図である。
【
図31】
図31は、表示装置の他の使用例を説明する図である。
【
図32】
図32は、表示装置の更に他の使用例を説明する図である。
【
図33】
図33は、表示装置の更に他の使用例を説明する図である。
【
図34】
図34は、表示装置の更に他の使用例を説明する図である。
【
図35】
図35は、表示装置の更に他の使用例を説明する図である。
【
図36】
図36は、表示装置の更に他の使用例を説明する図である。
【発明を実施するための形態】
【0030】
以下、図面を参照して本開示の一実施の形態について説明する。なお、本件明細書に添付する図面においては、図示と理解のしやすさの便宜上、適宜縮尺及び縦横の寸法比等を、実物のそれらから変更し誇張してある。
【0031】
方向関係を図面間で明確化するため、いくつかの図面には、第1方向D1、第2方向D2及び第3方向D3を図面間で共通する方向として矢印で示している。矢印の先端側が、各方向D1,D2,D3の一側となる。また、図面の紙面に垂直な方向に沿って紙面の奥に向かう矢印を、例えば
図17に示すように、円の中に×を設けた記号により示した。図面の紙面に垂直な方向に沿って紙面から手前に向かう矢印を、
図2に示すように、円の中に点を設けた記号により示した。
【0032】
本明細書において用いる、形状や幾何学的条件ならびにそれらの程度を特定する、例えば、「平行」、「垂直」、「同一」等の用語や長さや角度の値等については、厳密な意味に限定されることなく、同様の機能を期待し得る程度の範囲を含めて解釈する。
【0033】
図1A及び
図1Bは、表示装置1を示す斜視図である。
図2は、
図1Bに示す表示装置1の全体構成を示す正面図である。
図2に示す例では、表示装置1は、照明装置10と、照明装置10を支持する支持体20と、照明装置10と支持体20とを接続する接続具30と、を有している。図示された例では、照明装置10と支持体20と接続具30は、いずれも可搬性である。すなわち、
図2に示す照明装置10と支持体20と接続具30は、それぞれ、特別な手段を用いることなく持ち運び可能となっている。これにより、表示装置1の設置の自由度を高くすることができる。すなわち、表示装置1は、持ち運ぶことが可能であるため、表示装置1を必要な場所へ持ち運んで設置することが容易である。また、表示装置1が不要になったら、設置場所から直ちに撤去することが容易である。
【0034】
図24等を参照しながら後に詳述するように、照明装置10は、コヒーレント光を射出する光源40と、光源40からのコヒーレント光を回折する回折光学素子50と、を有する。照明装置10は、回折光学素子50で回折されたコヒーレント光によって被照射面95を照明する。このような照明装置10によれば、被照射面95上において大面積の被照明領域90を照明できる。
【0035】
図示された例において、照明装置10は、被照明領域90を矢印の形状で照明しているが、これに限られない。照明装置10は、被照明領域90を、文字、絵柄、色模様、記号、マーク、イラスト、キャラクター、ピクトグラムのいずれか一以上を表す形状で照明してもよい。被照明領域90の形状は、回折光学素子50の回折パターンに応じた形状である。
【0036】
照明装置10は、被照明領域90の形状等に関連した情報を、被照射面95上に示す。言い換えると、照明装置10は、回折光学素子50の回折パターンに応じた情報を、被照射面95上に示す。
図1A及び
図1Bに示す例では、表示装置1は道路上に設置されており、被照射面95は、道路の路面によって形成されている。照明装置10が照明する被照明領域90は、道路上を走行する車に対して、矢印が指す車線へ車線変更すべきことを示している。
【0037】
このような被照明領域90は、夜間など表示装置1周辺の光が乏しい状況においても、遠くから観察することができる。したがって、このような場合であっても、被照明領域90が示す情報を遠くから把握することができる。これにより、
図1A及び
図1Bに示す例では、道路上を走行する車のドライバーは、表示装置1から遠く離れた場所で、被照明領域90が示す情報を把握して車線変更を開始することができる。これにより、とりわけ表示装置1が高速道路等の車の移動速度が速い道路に設置される場合、事故や渋滞を抑制することができる。このように、表示装置1は、暗い環境での使用に適している。
【0038】
なお、表示装置1が設置される場所は道路に限られず、照明装置10が照明する被照射面95は道路の路面に限られない。表示装置1は、屋外及び屋内のいずれに設置されてもよい。また、照明装置10は、路面以外の地面や、床面、水面、壁面等を被照射面95として照明してもよい。例えば、表示装置1は下水管内に設置されてよく、この場合、照明装置10は下水管の壁面を照明してもよい。
【0039】
支持体20は、任意の可搬性のものを採用可能である。可搬性の支持体20としては、
図1Aに示す三脚や、
図1B及び
図2に示すロードコーン(パイロン又はセーフティーコーンとも呼ばれる)、ロードコーン用の重り(
図6A及び
図6B参照)、コーンバー(
図12参照)、可搬性の看板(
図13参照)、誘導ポールなどを採用可能である。また、支持体20は、ロードコーンや三脚の地面や床面と接する箇所に車輪等を取り付けてより可搬性を高めたものであってもよい。
【0040】
接続具30は、照明装置10と支持体20とを接続する。接続具30は、照明装置10に接続される第1接続部31と、支持体20に接続される第2接続部32とを有する。
図1B及び
図2に示す例では、第2接続部32は、第1接続部31に対して固定されている。
【0041】
図1B及び
図2に示す例において、接続具30の第1接続部31は、筒状に形成されている。筒状の第1接続部31に照明装置10が挿通されることにより、接続具30は照明装置10を保持している。
【0042】
図1B及び
図2に示す例では、照明装置10はケーシング70を有している。
図3Aに示すように、ケーシング70は、全体として軸線Aを中心とする円筒形状をなしている。また、接続具30の第1接続部31は、円筒状に形成されている。円筒状の第1接続部31に円筒形状の照明装置10が挿通されている。このようにして、接続具30は、第1接続部31に対する照明装置10の(したがって、支持体20に対する照明装置10の)、軸線Aを中心とした回転位置を調節可能に、照明装置10を保持する。
図3Aに示す例では、照明装置10は、軸線Aが延びる方向に対向する2つの端部を有する。照明装置10は、これら二つの端部の一方から、コヒーレント光を射出する。この例において、表示装置1の照明装置10を支持体20に対して軸線Aの周りで回転させると、
図3Bに示すように、被照射面95上において、被照明領域90を回転させることができる。なお、
図3Bにおいて、照明装置10を支持体20に対して回転させる前の被照明領域90を実線で示し、照明装置10を支持体20に対して回転させた後の被照明領域90を二点鎖線で示している。
【0043】
図1B及び
図2に示す例において、支持体20はロードコーンである。支持体20の内部は空洞であり、支持体20には貫通穴21が形成されている。これに対応して、接続具30の第2接続部32は、柱状に形成されている。第2接続部32が支持体20の貫通穴21に挿入されることにより、接続具30は支持体20に保持される。図示された例では、貫通穴21は支持体20の頂部を第3方向D3に貫通している。また、表示装置1において、第2接続部32は、第1接続部31から第3方向D3に沿って延び出している。
【0044】
図1B及び
図2に示す表示装置1において、接続具30の一部(第2接続部32)は、支持体20の頂部よりも低い位置に配置される。この場合、接続具30全体が支持体20の頂部よりも高い位置に配置される場合と比較して、表示装置1の重心を低くすることができる。この結果、表示装置1が意図せず転倒する虞が抑制され、表示装置1を安定して設置することができる。
【0045】
図1B及び
図2に示す表示装置1において、第2接続部32は、軸線Aと非平行な軸線Bに沿って延びている。軸線Bは、第3方向D3に平行である。そして、
図4に示すように、接続具30は、支持体20に保持された状態で、支持体20に対して軸線Bの周りを回転可能である。これにより、支持体20に対する接続具30の(したがって、支持体20に対する照明装置10の)、軸線Bを中心とした回転位置を調節可能である。この場合、表示装置1からのコヒーレント光の出射方向を、第1方向D1及び第2方向D2によって規定される平面に沿った方向において変化させることができる。これにより、被照射面95上において、被照明領域90を、軸線Bを中心とした円弧に沿って移動させることができる。
【0046】
図3Aに示す例において、第1接続部31は、照明装置10を第1接続部31に対して、軸線Aに沿って移動不能に保持する。具体的には、
図3に示すように、照明装置10のケーシング70の外周面には、軸線Aを中心とする円周方向に沿って延びる溝70aが形成されている。第1接続部31の内周面には、凸部33が形成されている。第1接続部31の凸部33がケーシング70の溝70aに嵌合することにより、照明装置10は、第1接続部31に対して軸線Aに沿って移動不能である。
図3に示す例では、第1接続部31は、半円筒形状の第1部分31a及び第2部分31bに分離可能である。第1部分31aと第2部分31bとを分離することにより、第1接続部31に照明装置10を着脱可能である。
【0047】
なお、
図3Aに示す例では、ケーシング70の溝70aの底面及び第1接続部31の凸部33の頂面は円環状を成しているが、これに限られない。
図5に示すように、ケーシング70の溝70aの底面は、軸線Aを中心とする正多角形状(例えば、正三角形状、正四角形状、正五角形状、正六角形状、正八角形状)をなす環状に形成されていてもよい。この場合、第1接続部31の凸部33の頂面は、ケーシング70の溝70aの正多角形状に対応した正多角形状をなす環状に形成されてよい。このような照明装置10及び接続具30によれば、第1接続部31に対する照明装置10の、軸線Aを中心とした回転位置を、所定の回転位置に位置決めすることが容易である。また、照明装置10が接続具30に保持された状態において、照明装置10が第1接続部31に対して軸線Aの周りを回転することが防止される。
【0048】
また、
図3A及び
図5に示す例では、照明装置10のケーシング70に溝70aが形成されており、接続具30に凸部33が形成されているが、これに限られない。接続具30に溝が形成され、ケーシング70に接続具30の溝に嵌合する凸部が形成されていてもよい。
【0049】
上述したように、支持体20は、ロードコーンに取り付けられる重りであってもよい。
図6A及び
図6Bに示す例では、支持体20としての重りは、接続具30の第2接続部32を受容可能な凹部22を有していてよい。この例では、凹部22に第2接続部を挿入することにより、接続具30を支持体20に接続することができる。また、
図6A及び
図6Bに示す例では、支持体20としての重りには、照明装置10及び接続具30とのバランスを取るための追加の重り23を取り付け可能である。これにより、表示装置1が転倒する虞が抑制される。
【0050】
また、
図1A~6Bに示す例では、表示装置1は可搬性の支持体20を含むが、これに限られない。表示装置1は、支持体20を含まなくてもよい。この場合、支持体20として、例えば、被照射面95に対して固定されたものを採用可能である。このような支持体20としては、ガードポール(
図7参照)やガードレール(
図14参照)、視線誘導標(車線分離標)、柵、手すり、壁、道路標識など、任意のものを採用可能である。
図7には、支持体20としてのガードポールに支持された表示装置1が示されている。
図7に示す例では、支持体20としてのガードポールの頂部に設けられた凹部24に接続具30の第2接続部32が挿入されることにより、接続具30は支持体20に保持されている。
【0051】
もちろん、支持体20は、被照射面95に対して移動可能な移動体であってもよい。この場合、支持体20としての移動体は、路面や路面以外の地面、床面上を移動する車両(例えば乗用車や作業車両などの自動車や、台車などの手押し車)であってもよいし、空中を移動する飛行体(例えばドローン)であってもよい。表示装置1が取り付けられる支持体20が移動体である場合、支持体20の移動に伴って被照明領域90を移動させることができる。
【0052】
また、接続具30の第1接続部31及び第2接続部32の形状としては、
図2~7に示す形状に限られない。第1接続部31は、雄ネジ部31c又は雌ネジ部を有していてもよい。この場合、照明装置10のケーシング70が雌ネジ部70c又は雄ネジ部を有していれば、照明装置10を第1接続部31にねじ留めして接続することができる。同様に、第2接続部32は、雄ネジ部又は雌ネジ部32cを有していてもよい。この場合、支持体20が雌ネジ部又は雄ネジ部20cを有していれば、第2接続部32を支持体20にねじ留めして接続することができる。
図1A、
図8A及び
図8Bには、支持体20としての三脚に支持された照明装置10及び接続具30が示されている。
図1A、
図8A及び
図8Bに示す例では、支持体20に雄ネジ部20cが形成され、接続具30の第2接続部32に雌ネジ部32cが形成されている。また、接続具30の第1接続部31に雄ネジ部31cが形成され、照明装置10のケーシング70に雌ネジ部70cが形成されている。そして、支持体20の雄ネジ部20cと第2接続部32の雌ネジ部32cが接続されることにより、接続具30は支持体20に保持される。また、第1接続部31の雄ネジ部31cと照明装置10の雌ネジ部70cが接続することにより、照明装置10は接続具30に保持される。
【0053】
また、第2接続部32は、筒状であってもよい。この場合、
図9A及び
図9Bに示すように、筒状の第2接続部32に支持体20を挿入することによって、接続具30は支持体20に保持され得る。
【0054】
また、第2接続部32は、
図10に示すようなクリップ状、又は
図11に示すようなクランプ状に形成されていてもよい。この場合、
図12~14に示すように、支持体20を第2接続部32で挟むことにより、接続具30は支持体20に保持され得る。
【0055】
また、第2接続部32は、支持体20に吸着する吸着手段を有していてもよい。この場合、第2接続部32を支持体20の表面に吸着させることにより、接続具30は支持体20に保持され得る。
図15に示す例では、第2接続部32は、支持体20としての壁に吸着されている。吸着手段としては、例えば吸盤や磁石を採用可能である。
【0056】
また、接続具30は、角度調節機構を有していてもよい。
図16に示す例では、接続具30は、第1接続部31と第2接続部32との間に、第1角度調節機構36を有する。第1角度調節機構36は、表示装置1において、第1接続部31と第2接続部32とを、軸線Aに非平行な軸線Cを中心として相対回転可能に接続する。このような接続具30によれば、支持体20に対する照明装置10の、軸線Cを中心とした回転位置を調節可能である。言い換えると、表示装置1において、照明装置10は、支持体20に対して、軸線Cの周りを回転可能である。
図16に示す例では、軸線Cは、第3方向D3に平行である。この場合、
図4に示す例と同様に、表示装置1からのコヒーレント光の出射方向を、第1方向D1及び第2方向D2によって規定される平面に沿った方向において変化させることができる。これにより、被照射面95上において、被照明領域90を、軸線Cを中心とした円弧に沿って移動させることができる。
【0057】
また、
図17に示す例では、接続具30は、第1接続部31と第2接続部32との間に、第2角度調節機構37を有する。照明装置1において、第2角度調節機構37は、第1接続部31と第2接続部32とを、軸線Aと平行な軸線Dを中心として相対回転可能に接続する。このような接続具30によれば、支持体20に対する照明装置10の、軸線Dを中心とした回転位置を調節可能である。言い換えると、表示装置1において、照明装置10は、支持体20に対して、軸線Dの周りを回転可能である。この場合、
図17に示すように、被照射面95上において、被照明領域90の位置及び向きを変更することができる。
図17に示す例では、軸線Dは、第1方向D1に平行である。この例では、第2角度調節機構37によって支持体20に対する照明装置10の回転位置を調節することにより、被照明領域90を第1方向D1及び第2方向D2に沿って移動させると共に、被照明領域90の向きを変更することができる。
【0058】
また、
図18に示す例では、接続具30は、第1接続部31と第2接続部32との間に、第3角度調節機構38を有する。照明装置1において、第3角度調節機構38は、第1接続部31と第2接続部32とを、軸線C及び軸線Dと非平行な軸線Eを中心として相対回転可能に接続する。このような接続具30によれば、支持体20に対する照明装置10の、軸線Eを中心とした回転位置を調節可能である。言い換えると、表示装置1において、照明装置10は、支持体20に対して、軸線Eの周りを回転可能である。
図18に示す例では、軸線Eは、第2方向D2に平行である。この場合、
図18に示すように、被照射面95と平行な第2方向D2からの観察における表示装置1からのコヒーレント光の射出方向を変化させることができる。この結果、第3角度調節機構38によって支持体20に対する照明装置10の回転位置を調節することにより、被照射面95上において、被照明領域90を第1方向D1に沿って移動させることができる。
【0059】
なお、接続具30は、第1接続部31と第2接続部32との間に、上述した角度調節機構36、37、38のうち複数の角度調節機構を有していてよい。例えば、
図19に示す例では、接続具30は、第1接続部31と第2接続部32との間に、第2角度調節機構37と第3角度調節機構38とを有する。このような接続具30によれば、支持体20に対する照明装置10の、軸線D及び軸線Eを中心とした回転位置を調節可能である。また、
図20に示す例では、接続具30は、第1接続部31と第2接続部32との間に、第1角度調節機構36と第2角度調節機構37と第3角度調節機構38とを有する。このような接続具によれば、支持体20に対する照明装置10の、軸線Cと軸線Dと軸線Eとを中心とした回転位置を調節可能である。接続具30が複数の角度調節機構を有する場合、照明装置10により照明される被照明領域90を、所望の位置に移動させ、且つ、所望の向きに向けることが容易である。
【0060】
さらに、
図21に示す例では、接続具30は、第1接続部31と第2接続部32との間に、第4角度調節機構39を有する。第4角度調節機構39は、第1接続部31と第2接続部32とを、所定の点Fを中心として相対回転可能に接続する。このような接続具30によれば、支持体20に対する照明装置10の、所定の点Fを中心とした回転位置を調節可能である。この場合も、照明装置10により照明される被照明領域90を、所望の位置に移動させ、且つ、所望の向きに向けることが容易である。
【0061】
また、接続具30は、支持体20に対して照明装置10を平行移動可能に、照明装置10と支持体20とを接続してもよい。
図22及び
図23に示す例では、接続具30は、第1接続部31と第2接続部32との間に、細長状の中間部材34を有する。第1接続部31及び第2接続部32は、中間部材34に接続されている。第1接続部31及び第2接続部32の少なくとも一方は、中間部材34との接続位置を中間部材34の長手方向に沿って変更可能である。このような接続具30によれば、支持体20に対して照明装置10を中間部材34の長手方向に沿って平行移動させることができる。
【0062】
図22に示す例では、中間部材34の長手方向は、第1方向D1及び第2方向D2によって規定される平面に平行である。この例では、第1接続部31を第2接続部32に対して相対移動させることにより、被照射面95上において、被照明領域90を、中間部材34の長手方向に沿って平行移動させることができる。また、
図23に示す例では、中間部材34の長手方向は、第3方向D3に平行である。この例では、第1接続部31を第2接続部32に対して相対移動させることにより、被照射面95上において、被照明領域90を、表示装置1に接近する方向又は表示装置1から離れる方向に移動させることができる。
【0063】
また、
図16、19及び21に示すように、接続具30の第1接続部31は、照明装置10が接続具30上を摺動することを抑制する滑り止め35を有していてもよい。これにより、照明装置10が接続具30に対して意図せず移動する虞が抑制され、被照明領域90を安定して照明することができる。なお、滑り止め35は、照明装置10のケーシング70に設けられていてもよいし、第1接続部31及びケーシング70の両方に設けられていてもよい。滑り止め35は、ゴムや樹脂で形成されてよい。
【0064】
なお、表示装置1を用いて照明を行う場合、表示装置1の照明装置10を、接続具30を介して支持体20に接続し、照明装置10を用いて情報を表示すればよい。
【0065】
次に、照明装置10の具体的な構成について説明する。
【0066】
図24に示すように、照明装置10は、光源40、整形光学系45及び回折光学素子50を有してもよい。光源40は、コヒーレント光を射出する部品であり、特に限定されない。光源40は、波長及び位相が一定であるコヒーレント光を射出する。光源40から射出されるコヒーレント光は直進性に優れる。したがって、光源40は、遠方を照明する照明装置10に好適である。光源40として、種々の型式の光源を用いることができる。光源40として、レーザー光を発振するレーザー光源を用いてもよい。レーザー光源として、半導体レーザー光源を例示できる。
図24に示された例において、光源40は、単一のコヒーレント光源を含んでいる。したがって、
図24に示された例では、光源40から発振されるコヒーレント光の波長域に対応した色のコヒーレント光で被照明領域90を照明する。
【0067】
整形光学系45は、光源40から射出した光を整形する。例えば、整形光学系45は、コヒーレント光の光軸に直交する断面での形状や、コヒーレント光の立体的な形状を整形する。整形光学系45は、コヒーレント光の光軸に直交する断面でのコヒーレント光の断面積を拡大させてもよい。
【0068】
図24に示された例において、整形光学系45は、光源40から射出した光を拡幅した平行光束に整形する。すなわち、整形光学系45は、コリメート光学系として機能する。
図24に示された例において、整形光学系45は、光路に沿って配置された第1レンズ46及び第2レンズ47を有している。第1レンズ46は、光源40から射出した光を発散光束に整形する。第2レンズ47は、第1レンズ46で生成された発散光束を、平行光束に整形する。この例において、第2レンズ47は、コリメートレンズとして機能する。
【0069】
回折光学素子50は、光源40からのコヒーレント光の進行方向を変化させる。回折光学素子50で回折されたコヒーレント光が、被照射面95上の被照明領域90を照明する。回折光学素子50は、光源40からのコヒーレント光を回折して、被照射面95上の被照明領域90に向ける。この結果、被照射面95には、回折光学素子50での回折光が投射される。被照射面95は、回折光学素子50での回折パターンに応じた被照明領域90のパターンで照明される。
【0070】
回折光学素子50は、ホログラム素子であってもよい。回折光学素子50としてホログラム素子を用いることにより、回折光学素子50の回折特性を設計しやすくなる。被照射面95上における予め定めた位置、輪郭形状、大きさ、及び、向きとなっている所望領域の全域のみに光を投射し得るホログラム素子を比較的容易に設計できる。被照射面95上におけるコヒーレント光を照射される領域が、被照明領域90となる。
【0071】
回折光学素子50を設計する際、被照明領域90は、回折光学素子50に対して予め定めた位置に、予め定めた輪郭形状、大きさ及び向きで、実空間に設定される。被照射面95上における被照明領域90の位置、輪郭形状、大きさ及び向きは、回折光学素子50の回折特性に依存する。回折光学素子50の回折特性を調整することで、被照射面95上における被照明領域90の位置、輪郭形状、大きさ及び向きを任意に調整できる。したがって、回折光学素子50を設計する際には、まず被照射面95上の被照明領域90の位置、輪郭形状、大きさ及び向きを決定する。次に、決定した被照明領域90の全域に光を投射できるように、回折光学素子50の回折特性を調整すればよい。
【0072】
回折光学素子50は、計算機合成ホログラム(CGH:Computer Generated Hologram)として作製され得る。計算機合成ホログラムは、任意の回折特性を持つ構造をコンピュータ上で計算することによって作製される。したがって、計算機合成ホログラムを回折光学素子50として採用することで、光源や光学系を用いた物体光及び参照光の生成や、露光によるホログラム記録材料への干渉縞の記録を不要にできる。照明装置10は、当該照明装置10に対して予め定めた位置に、予め定めた輪郭形状、大きさ及び向きの被照明領域90にコヒーレント光を照射することを想定されている。被照明領域90に関する情報をパラメータとしてコンピュータに入力することで、被照明領域90に回折光を投影可能な回折特性を持つ構造、例えば凹凸面を、コンピュータでの演算によって特定できる。特定された構造を、例えば樹脂賦型により形成することによって、計算機合成ホログラムとしての回折光学素子50を、簡易な手順にて低コストで作製できる。
【0073】
回折光学素子50の設計には、例えば反復フーリエ変換法を用いてもよい。反復フーリエ変換法を用いた場合、被照明領域90が回折光学素子50から遠方にあることを前提として処理し、被照射面95上に投影されるパターンをフラウンホーファ回折像としてもよい。したがって、被照射面95は、回折光学素子50の回折面と非平行であってもよい。
【0074】
図25に示すように、回折光学素子50は、複数の要素回折光学素子55を含んでもよい。個々の要素回折光学素子55は、例えばホログラム素子であり、上述した回折光学素子50と同様に構成され得る。
図25に示された例において、複数の要素回折光学素子55で回折されたコヒーレント光は、互いに同一の被照明領域90に照射されるようになっている。つまり、各要素回折光学素子55で回折された光は、被照射面95上における被照明領域90の全域に照射される。このような、回折光学素子50によれば、被照明領域90内の各位置に向かう光を、回折光学素子50に含まれる複数の要素回折光学素子55から分散して射出できる。これにより、回折光学素子50上の各位置が明るくなり過ぎることが抑制され、レーザー安全性を向上できる。
【0075】
各要素回折光学素子55は、互いに同一の回折特性を有するように構成されてもよい。ただし、より高精度な投射を実現する上で、各要素回折光学素子55が、当該要素回折光学素子55の回折光学素子50内における配置位置に応じて、別個に設計された回折特性を付与されてもよい。この例によれば、各要素回折光学素子55は、他の要素回折光学素子55との配置の相違に応じて回折特性を調整されることにより、被照射面95上における被照明領域90の全域のみに高精度に光の回折光を向けることができる。
【0076】
図26は、照明装置10の具体的な構成例を示している。上述したように、照明装置10はケーシング70を有している。
図26に示された照明装置10では、光源40、整形光学系45及び回折光学素子50は、ケーシング70に固定されている。通常の使用において、光源40、整形光学系45及び回折光学素子50は、ケーシング70から取り外されることを意図されていない。光源40、整形光学系45及び回折光学素子50は、ケーシング70から取り外し不可能となっている。これにより、光源40、整形光学系45及び回折光学素子50の相対位置が維持される。これにより、表示装置1に対して所定の相対位置関係にある被照射面95上の被照明領域90を高精度に安定して照明できる。被照明領域90が被照射面95上の意図しない位置に移動することを抑制できる。また、光源40、整形光学系45及び回折光学素子50が所定の位置からずれてしまうことを抑制し、レーザー安全性を向上できる。
【0077】
なお、
図26に示された例において、整形光学系45は、第1レンズ46、第2レンズ47及び第3レンズ48を有している。ケーシング70は、光源40及び整形光学系45を保持する筒状部71と、筒状部71に固定された蓋部72と、を有している。筒状部71は、一方を閉鎖された筒状である。筒状部71の閉鎖された一方の端部に光源40が固定されている。筒状部71の内寸法は、段差部71aを介して変化している。光源40から射出されたコヒーレント光の光路に沿った上流側から下流側に向けて、内径は大きくなっている。二つの段差部71aの各々に、第1レンズ46及び第2レンズ47が取り付けられている。
【0078】
光源40、整形光学系45及び回折光学素子50等の相対位置を一定に維持するため、接着材を用いた固定により、はめ込みでの固定と併用して接着材による固定により、光源40、整形光学系45及び回折光学素子50をケーシング70に固定してもよい。
【0079】
光源40、整形光学系45及び回折光学素子50等の相対位置を微修正するため、例えば、スペーサを用いてもよい。スペーサとして、金属製の薄い板状材を用いてもよい。スペーサは、間隔環73や接着材と併用してもよい。
【0080】
また、光源40、整形光学系45及び回折光学素子50等の構成要素を、配置の微調節が可能な位置調節ホルダによって保持してもよい。位置調節ホルダは、ネジ等の調節部を操作することによって構成要素の位置を微調節可能であってもよい。位置調節ホルダを介して、構成要素がケーシング70に固定されてもよい。位置調節ホルダを用いる場合、構成要素の位置の調節終了後に、ネジ等の調節部を接着材等によって固定してもよい。また、位置調節ホルダを、上述した間隔環73や、微調節された構成要素の相対位置を維持するためのその他部材と併用してもよい。
【0081】
ケーシング70は分解不可能として、光源40、整形光学系45及び回折光学素子50等の構成要素の相対位置が維持されてもよい。例えば、照明装置10の製造者によって位置決めされた構成要素の相対位置が維持されるようにしてもよい。例えば、ケーシング70の螺子止め部やはめ込み部に接着材を付与して、ケーシング70を分解不可能にしてもよい。
【0082】
図26に示された例において、照明装置10は、電池74、回路75及びスイッチ76を有している。電池74は、一次電池でもよいし、充放電可能な二次電池でもよい。回路75は、電池74及びスイッチ76と電気的に接続している。スイッチ76が操作される、回路75は、電池74から光源40への給電と給電停止とを切り換える。
【0083】
照明装置10は、外部電源から電力を供給されるようにしてもよい。例えば、ケーシングに外部電源と電気的に接続するためのコネクタが設けられてもよい。この例において、照明装置10は、一次電池や二次電池を有してもよいし、一次電池や二次電池を有していなくてもよい。一次電池や二次電池を含まない照明装置10は、軽量化されることによって、振動や衝撃に対する耐性に優れる。なお、照明装置10は、外部の電源装置と着脱可能に接続する外部接続端子を有していてもよい。この場合、外部接続端子を介して電源装置から光源40への給電が可能である。電源装置は、一次電池や二次電池を含む可搬性のものであってもよい。
【0084】
照明装置10及びケーシング70は防水性を有してもよい。照明装置10に防水性を付与するため、ケーシング70の継ぎ目部分やはめ込み部分に、ゴムやパッキン等の防水部材が設けられてもよい。
【0085】
照明装置10は、温度調節機構を有してもよい。温度調節機構は、光源40や回路75を所定範囲内の温度に維持してもよい。温度調節機構は、光源40や回路75を加熱又は冷却してもよい。温度調節機構は、ケーシング70内に設置してもよい。温度調節機構として、ファン、ヒーター、クーラーが例示される。温度調節機構として、電熱線やペルチエ素子等を利用してもよい。
【0086】
また、照明装置10のケーシング70は、熱伝導率の高い材料(例えば、銀、銅、金、アルミニウム、ニッケル等の金属)で形成された部分を有していてもよい。これにより、表示装置1が屋外に設置された場合に、照明装置10が蓄熱されて光源40や回路75が所定の温度以上の温度に維持される、という虞を抑制することができる。
【0087】
図27に示すように、照明装置10が複数の照明器具15を有してもよい。
図27に示された例において、各照明器具15は、
図24及び
図25を参照して説明した照明装置10と同一構成を有していてもよい。
図27に示された例において、複数の照明器具15が、互いに異なる波長のコヒーレント光を射出する光源40を含んでもよい。すなわち、
図27に示された例において、照明装置10は、複数の光源40と、各光源40に対応して設けられた複数の回折光学素子50とを有している。各照明器具15から射出したコヒーレント光が被照射面95上の被照明領域90で重なることにより、被照明領域90を所望の色で照明できる。
図27に示された照明装置10は、第1~第3の照明器具15A~15Cを有する。各照明器具15A~15Cは、光源40A~40C、整形光学系45A~45C及び回折光学素子50A~50Cを別個に有している。
【0088】
図27に示す照明装置10を含む表示装置1は、被照明領域90を、互いに異なる複数の色で照明することができる。このような表示装置1は、被照明領域90の色に関連した情報を示すことができる。例えば、被照明領域90の色が「緑」である場合に「許可」を、「黄色」である場合に「注意」を、「赤」である場合に「禁止」を示すことができる。
【0089】
なお、
図27に示された例において、複数の照明器具15が、互いに同一波長の光を射出する光源40を含んでもよい。各照明器具15から射出したコヒーレント光照明光が被照射面95の被照明領域90で重なることにより、被照明領域90を明るく照明できる。
【0090】
図27に示された例において、複数の照明器具15A~15Cは、第3方向D3に配列されている。
図27に示された例に限られず、複数の照明器具15A~15Cは、例えば第2方向D2に配列されてもよい。
【0091】
図28に示すように、照明装置10が走査装置60を有してもよい。
図28に示された照明装置10は複数の回折光学素子50A~50Cを有している。走査装置60は、光源40で射出されたコヒーレント光の光路を調節して、回折光学素子50へのコヒーレント光の供給の有無や、複数の回折光学素子50A~50Cへのコヒーレント光の振り分けを制御する。走査装置60は、屈折、反射、回折等を利用して光路を変化させ得る種々の部品等を用いて構成され得る。光路を変化させ得る種々の部品として、レンズ、プリズム、ミラー、回折光学素子等が例示される。
【0092】
走査装置60は、光源40からのコヒーレント光の光路を経時的に変化させる。この結果、複数の回折光学素子50A~50C上でコヒーレント光の入射位置が移動する。すなわち、光源40からのコヒーレント光が入射する回折光学素子50が、複数の回折光学素子50A~50Cの間で変化する。図示された走査装置60は、一つの軸線RAを中心として回動可能な反射面を有している。このような走査装置60として、ガルバノミラーを用いてもよい。
【0093】
被照明領域90を、第1方向D1における位置に応じて、複数の部分領域90A,90B,90Cに区分けしてもよい。複数の回折光学素子50A~50Cが、互いに異なる部分領域90A,90B,90Cを照明してもよい。この例によれば、一つの回折光学素子50で回折される光の回折角度範囲を狭くできる。これにより、各回折光学素子50での回折効率が向上する。なお、走査装置60が人間の視覚の分解能を超える速さで動作することによって、人間には、被照明領域90に含まれる全ての部分領域90A,90B,90Cが同時に照明され続けているように観察される。
【0094】
図29に示された例において、回折光学素子50は、第1~第12回折光学素子50A~50Lを含んでいる。例えば、被照射面95上の被照明領域90が第1~第12部分領域90A~90Lに区分けされている。第1~第12回折光学素子50A~50Lで回折されたコヒーレント光は、それぞれ、別個の第1~第12部分領域90A~90Lに投射されるようになる。走査装置60は、各回折光学素子50A~50Lへ光源40からの光を向ける。照明装置10は、走査装置60の動作に応じて、各回折光学素子50A~50Lへの光の照射の有無を制御できる。例えば、光源40が、走査装置60の動作に応じて光の射出及び射出停止を切り替える。他の例として、走査装置60の動作に応じて、光を遮光する遮光部材が、光源40からの光の光路に進入及び光路から後退する。各回折光学素子50A~50Lへの光の照射の有無を制御することにより、任意の回折光学素子50A~50Lのみにコヒーレント光を投射することができる。これにより、任意の第1~第12部分領域90A~90Lのみを照明することができ、被照明領域90内を所望の形状で照明することが可能となる。
【0095】
なお、
図27~
図29に示した照明装置10に含まれる回折光学素子50が、複数の要素回折光学素子55に分割されていてもよい。
【0096】
さらに、照明装置10は、回折光学素子50で回折された光の光路を変更する光路変更光学系65を含んでいてもよい。光路変更光学系65としては、例えばレンズ、プリズム、ミラー、回折光学素子等を採用可能である。この場合、例えば、
図30に示すように、光源40と回折光学素子50とが並ぶ方向と、照明装置10から射出される光の進行方向とを、大きく異ならせることができる。これにより、照明装置10を、
図30に示すように、軸線Aが第3方向D3と平行になるように配置することができる。
図30に示す例では、照明装置10の一部が支持体20の頂部よりも下方に位置している。この場合、照明装置10全体が支持体20の頂部よりも上方に位置している場合と比較して、照明装置10の重心(とりわけ電池74の高さ位置)を低くすることができ、表示装置1を安定して設置することができる。なお、
図30に示す例では、ケーシング70が接続具30として機能する。すなわち、
図30に示す例では、ケーシング30は照明装置10に含まれない。
【0097】
なお、以上に説明してきた表示装置1は、その可搬性と情報視認性を活かし、様々な用途に利用可能である。
【0098】
例えば、表示装置1は、
図1A及び1Bに示すように車両や通行人を所定の進行方向に誘導する目的だけでなく、車両や通行人が所定のエリアへ進入することを一時的に禁止する目的でも利用可能である。具体的には、工事現場、道路の側溝及び穴、上方から落下物の危険がある場所等の付近において、表示装置1は、これらの場所を含む領域を規制帯として、当該規制帯の境界を被照明領域90によって表示するものであってもよい。この場合、車両や通行人が規制帯の内側(工事現場、道路の側溝及び穴、上方から落下物の危険がある場所等)に進入したり、工事現場の作業員や作業車両が規制帯の外側の領域に進入したりすることのないよう、車両のドライバーや通行人、作業員に注意を促すことができる。
【0099】
また、表示装置1は、被照明領域90によって道路上に路面標示を一時的に表示するために用いられてもよい。例えば、道路工事等を行う際に、路面に塗工された制限速度表示などの路面標示が、一時的に除去されたり覆われてしまう場合がある。この場合、道路の路肩に表示装置1を設置して、除去又は覆われた路面標示を、被照明領域90として表示装置1から道路上に照明してもよい。
【0100】
また、表示装置1は、ライン形状の被照明領域90を照明するものであってもよい。この場合、ライン状の被照明領域90は、車両や通行人を特定の進行方向に誘導するための仮設のラインや、一時的に領域を区分けるためのライン(以下、「領域区分けライン」とも呼ぶ)として利用することができる。領域区分けラインは、例えば、イベント会場等での待ち行列の整備に利用したり、工事現場の仮設歩行帯として用いることができる。また、上述した規制帯の境界を示すために用いることができる。
【0101】
図31は、道路上にライン形状の被照明領域90を照明する表示装置1を示している。
図31に示す例では、被照明領域90は、上述した規制帯の境界を示す目的で、とりわけ道路上を走行する車両が工事現場を含む規制帯に進入することを禁止する目的で用いられている。
図31に示す例では、規制帯の境界には、表面に再帰反射テープが設けられたロードコーン、あるいは自発光型のロードコーンが並べられている。ライン形状の被照明領域90は、ロードコーンよりも規制帯の外側(上記車両が走行する側)に照明されている。このような被照明領域90によって、道路上を走行する車両のドライバーは、規制帯の境界が延びる方向を一目して確認することができる。これにより、上記車両が規制帯内へ進入することを、効果的に抑制することができる。
【0102】
図32も、道路上にライン形状の被照明領域90を照明する表示装置1を示している。
図32に示す例では、被照明領域90は、工事現場を含む規制帯の境界を示す目的で、とりわけ工事現場の作業者が規制帯外の領域に進入することを禁止する目的で用いられている。
図32に示す例では、規制帯の境界には、ロードコーンが並べられている。ライン形状の被照明領域90は、ロードコーンよりも規制帯の内側(工事現場側)に照明されている。このような被照明領域90によって、作業者が誤って規制帯外の領域に進入する虞を抑制することができる。すなわち、ライン形状の被照明領域90によって、作業者の足元に規制帯の境界を連続的に示すことができる。これにより、作業者は、ロードコーン間で作業中も、規制帯の境界を容易に確認することができる。この結果、作業者が誤って規制帯外へはみ出す虞を、効果的に抑制することができる。
【0103】
図33は、工事現場等を含む規制帯の終端部において、道路上に矢印の形状の被照明領域90を照明して、道路上を走行する車両の車線変更を誘導する表示装置1を示している。
図1A及び1Bを参照して説明したように、このような被照明領域90を道路上に照明することにより、上記車両のドライバーに対して、規制帯の数十m以上手前から規制帯の存在と進行すべき車線の情報を伝え、早期の車線変更を促すことができる。この結果、ドライバーは、円滑な車線変更を行うことができる。
【0104】
図34は、工事現場等を含む規制帯の終端部において、道路上にライン形状の被照明領域90を照明して、道路上を走行する車両の車線変更を誘導する表示装置1を示している。
図33の場合と同様に、このような被照明領域90を道路上に照明することにより、上記車両のドライバーに対して、規制帯の数十m以上手前から規制帯の存在と進行すべき車線の情報を伝え、早期の車線変更を促すことができる。この結果、ドライバーは、円滑な車線変更を行うことができる。
【0105】
図35は、工事現場等を含む規制帯の終端部において、道路上に縞模様の被照明領域90を照明して、ゼブラゾーンを示す表示装置1を示している。ゼブラゾーンの縞模様は、道路上を走行する車両の進入禁止領域と進行方向を示す。
図33及び34の場合と同様に、このような被照明領域90を道路上に照明することにより、上記車両のドライバーに対して、規制帯の数十m以上手前から規制帯の存在と進行すべき車線の情報を伝え、早期の車線変更を促すことができる。この結果、ドライバーは、円滑な車線変更を行うことができる。
【0106】
また、上述したように、支持体20が移動体である場合、支持体20の移動に伴って被照明領域90を移動させることができる。言い換えると、支持体20としての移動体が移動しながら照明装置10が情報を表示すれば、情報が表示される位置を支持体20の移動に伴って移動させることができる。このことは、情報を表示すべき位置が時間と共に変化する場合に有利である。例えば、上述した進入禁止領域が移動する場合(例えば、新幹線の車体を道路上で移送する場合であって、新幹線の車体の周囲に進入禁止領域を規定する場合)、移動する進入禁止領域に伴って支持体20が移動すれば、被照明領域90(
図35に示す例ではゼブラゾーン)を、移動する進入禁止領域に伴って移動させることができる。また、支持体20が移動体であることは、支持体20を被照射面95に対して固定することが好ましくない場合(例えば、被照明領域90の情報を表示すべき場所の近くに支持体20を固定可能な場所がない場合)にも、有利である。
【0107】
図36に示す例では、支持体20としての移動体(ここでは自動車)の後部および側部に、それぞれ照明装置10A,10Bが取り付けられている。照明装置10A,10Bは、移動体20が走行する道路の路面を被照射面95として、それぞれ被照明領域90A,90Bを照明している。被照明領域90A,90Bが示す情報は、路面上を走行する車に対して、当該車の進路に関する情報を表示している。とりわけ
図36に示す例では、移動体20の進路に関連して、移動体20の後方を移動する後続車80に対して、後続車80の進路に関する情報を表示している。被照明領域90A,90Bは、矢印の形状をなしており、後続車80に対して、被照明領域90A,90Bとしての矢印が指す車線への車線変更を促している。
【0108】
図36に示す例のように、移動体20の後続車80に対して情報を示す場合、移動体20の移動方向前端20aよりも後方となる位置に被照明領域90A,90Bの少なくとも一部を照明することが望ましい。これにより、被照明領域90A,90Bが示す情報の少なくとも一部が移動体20の移動方向前端20aよりも後方となる位置に表示され、後続車80のドライバーは、当該情報の少なくとも一部を容易に視認することができる。
図36に示す例では、被照明領域90Aは、移動体20の進行方向において、移動体20の後方に位置している。被照明領域90Bは、移動体20の側方に位置している。
【0109】
支持体20が移動体であって、表示装置1が路面上を走行する車に情報を表示する場合、移動体20からの被照明領域90の距離は、支持体20の移動速度にもよるが、5m以上50m以下、5m以上20m以下、または30m以上50m以下である。これにより、移動体20が走行する道路がカーブしたり傾斜している場合であっても、被照明領域90の情報を後続車80のドライバーが容易に視認可能な位置に(例えば後続車80の前方となる路面上に)表示することができる。言い換えると、移動体20からの被照明領域90の距離が50mよりも長いと、移動体20が走行する道路がカーブしたり傾斜している場合、照明装置10は、後続車80に光を当ててしまったり、後続車80から視認しにくい場所を照明する虞がある。
【0110】
なお、支持体20が路面上を移動する移動体である場合、照明装置10は、移動体20の状況や移動体20の周囲の状況(例えば移動体20の進行方向の変化や移動体20が走行する道路のカーブや傾斜、後続車80との距離)に応じて、発光、消灯または点滅するものであってもよい。これにより、移動体20の状況や移動体20の周囲の状況に応じて後続車80を適切に誘導することができる。また、とりわけ照明装置10が点滅する場合、後続車80のドライバーに対するアイキャッチ効果を高めることができる。この場合、照明装置10は、移動体20の進行方向の変化(例えば、移動体20が自動車である場合は移動体20の操舵角等)や道路のカーブや傾斜を検出するセンサと、センサで検出されたセンシング情報(進行方向の変化、道路のカーブや傾斜、後続車80との距離等)に応じて照明装置10からの光の射出を制御する制御部と、を含んでいてよい。この場合、制御部は、例えば、照明装置10は、上記センシング情報に応じて回路75またはスイッチ76を介して光源40を制御する。あるいは、制御部は、上記センシング情報に応じて光源40からの光の光路上に設けられたシャッター機構を制御することにより、照明装置10からの光の射出を制御してもよい。
【0111】
以上に説明してきた一実施の形態の表示装置1において、表示装置1は、可搬性の照明装置10と、照明装置10と照明装置10を支持する支持体20とを接続する可搬性の接続具30と、を有している。あるいは、表示装置1は、可搬性の照明装置10と、照明装置10を支持する可搬性の支持体20と、照明装置10と支持体20とを接続する可搬性の接続具30と、を有している。照明装置10は、コヒーレント光を射出する光源40と、光源40からのコヒーレント光を回折して被照射面95に向ける回折光学素子50と、を有している。照明装置10は、回折光学素子50での回折パターンに応じた情報を示す。このような表示装置1は、特別な手段を用いることなく持ち運び可能である。このため、設置の自由度が高い。また、このような表示装置1によれば、表示装置1が表示する情報を、暗所においても遠くから確認することができる。
【0112】
また、以上に説明してきた一実施の形態の表示装置1において、接続具30は、支持体20に対して照明装置10を平行移動可能に、照明装置10と支持体20とを接続する。このような表示装置1によれば、照明装置10により照明される被照明領域90を、所望の位置に移動させることが容易である。
【0113】
あるいは、以上に説明してきた一実施の形態の表示装置1において、接続具30は、支持体20に対する照明装置10の、第1軸線を中心とした回転位置を調節可能に、照明装置10と支持体20とを接続する。このような表示装置1によれば、照明装置10により照明される被照明領域90を、所望の位置に移動させる、あるいは所望の向きに向けることが容易である。
【0114】
あるいは、以上に説明してきた一実施の形態の表示装置1において、接続具30は、支持体20に対する照明装置10の、第1軸線と非平行な第2軸線を中心とした回転位置を調節可能に、照明装置10と支持体20とを接続する。このような表示装置1によれば、照明装置10により照明される被照明領域90を、所望の位置に移動させ、且つ、所望の向きに向けることが容易である。
【0115】
あるいは、以上に説明してきた一実施の形態の表示装置1において、接続具30は、支持体20に対する照明装置10の、第1軸線及び第2軸線と非平行な第3軸線を中心とした回転位置を調節可能に、照明装置10と支持体20とを接続する。このような表示装置1によれば、照明装置10により照明される被照明領域90を、所望の位置に移動させ、且つ、所望の向きに向けることが、さらに容易である。
【0116】
あるいは、以上に説明してきた一実施の形態の表示装置1において、接続具30は、支持体20に対する照明装置10の、所定の点Fを中心とした回転位置を調節可能に、照明装置10と支持体20とを接続する。このような表示装置1によれば、照明装置10により照明される被照明領域90を、所望の位置に移動させ、且つ、所望の向きに向けることが容易である。
【0117】
以上に説明してきた一実施の形態の表示装置1において、照明装置10は、光源40へ給電する電池74を有する。このような表示装置1によれば、外部の電源装置を要することなく、被照射面95に情報を表示することができる。
【0118】
あるいは、以上に説明してきた一実施の形態の表示装置1において、照明装置10は、外部の電源装置と着脱可能に接続する外部接続端子を有していてもよい。この場合、外部接続端子を介して電源装置から光源40への給電が行われる。このような表示装置1によれば、照明装置10を軽量化することができる。
【0119】
以上に説明してきた一実施の形態の表示装置1において、照明装置10は、光源40を収容するケーシング70を有する。ケーシング70には溝70aが形成されており、接続具30には、ケーシング70の溝70aに嵌合する凸部33が形成されている。このような表示装置1によれば、照明装置10及び接続具30の、所定方向における相対移動を防止することができる。
【0120】
あるいは、以上に説明してきた一実施の形態の表示装置1において、照明装置10は、光源40を収容するケーシング70を有する。接続具30には溝が形成されており、ケーシング70には、接続具30の溝に嵌合する凸部が形成されている。このような表示装置1によっても、照明装置10及び接続具30の、所定方向における相対移動を防止することができる。
【0121】
以上に説明してきた一実施の形態の表示装置1において、照明装置10は、光源40を収容するケーシング70を有する。ケーシング70及び接続具30の少なくとも一方に、ケーシング70及び接続具30が互いに対して摺動することを抑制する滑り止め35が設けられている。このような表示装置1によれば、照明装置10及び接続具30の相対移動を防止することができる。
【0122】
以上に説明してきた一実施の形態の表示装置1において、照明装置10は、光源40を収容するケーシング70を有する。ケーシング70は、金属で形成された部分を含む。このような表示装置1によれば、表示装置1が屋外に設置された場合に、照明装置10が蓄熱されて光源40等が所定の温度以上の温度に維持される、という虞を抑制することができる。
【0123】
あるいは、以上に説明してきた一実施の形態の表示装置1において、照明装置10は、温度調節機構を有する。このような表示装置1によれば、光源40等を所定範囲内の温度に維持することが容易である。
【0124】
以上に説明してきた一実施の形態の表示装置1において、照明装置10は、光源40を収容するケーシング70を有する。光源40及び回折光学素子50は、ケーシング70に固定されている。このような表示装置1によれば、光源40及び回折光学素子50の相対位置が維持され、被照明領域90を高精度に安定して照明できる。
【0125】
以上に説明してきた一実施の形態の表示装置1において、照明装置10は、照明装置10は、光源40を収容するケーシング70と、光源40からの光を整形する整形光学系45と、を有する。光源40、整形光学系45及び回折光学素子50は、ケーシング70に固定されている。このような表示装置1によれば、光源40、整形光学系45及び回折光学素子50の相対位置が維持され、被照明領域90を高精度に安定して照明できる。
【0126】
以上に説明してきた一実施の形態の表示装置1において、支持体20は移動体である。この場合、支持体20の移動に伴って被照明領域90を移動させることができる。
【0127】
以上に説明してきた一実施の形態の照明方法は、表示装置1の照明装置10を、接続具30を介して、支持体20に接続する工程と、照明装置10を用いて上記情報を表示する工程と、を備える。このような照明方法によれば、上記情報の表示の自由度を向上させることができる。また、上記情報を暗所においても遠くから確認することが可能である。
【0128】
以上に説明してきた一実施の形態の照明方法において、支持体20は移動体であって、支持体20が移動しながら、照明装置10は上記情報を表示する。このような照明方法によれば、情報を表示すべき位置が時間と共に変化する場合も、適切な位置に情報を表示することができる。
【0129】
以上に説明してきた一実施の形態の照明方法において、移動体20は、当該移動体20の移動方向前端20aよりも後方となる位置に情報の少なくとも一部分を表示する。このような照明方法によれば、移動体20の後方から上記情報の少なくとも一部分を視認することが容易である。
【0130】
以上に説明してきた一実施の形態の照明方法において、路面上を走行する車80に対して、当該車80の進路に関する情報を表示する。このような照明方法によれば、事故や渋滞を抑制することができる。
【0131】
以上に説明してきた一実施の形態の照明方法において、支持体20は車であって、支持体20である車が移動しながら、照明装置10は、後続車80に対して、当該後続車80の進路に関する情報を表示する。このような照明方法によれば、事故や渋滞を抑制することができる。
【0132】
以上において具体例を参照しながら一実施の形態を説明したが、具体例によって一実施の形態は限定されない。上述した一実施の形態は、その他の様々な具体例で実施でき、その要旨を逸脱しない範囲で、種々の省略、置き換え、変更、追加等できる。
【符号の説明】
【0133】
1:表示装置、10:照明装置、15:照明器具、20:支持体、20c:雄ネジ部、21:貫通穴、23:追加の重り、24:凹部、30:接続具、31:第1接続部、31c:雄ネジ部、32:第2接続部、32c:雌ネジ部、33:凸部、34:中間部材、36:第1角度調節機構、37:第2角度調節機構、38:第3角度調節機構、39:第4角度調節機構、40:光源、45:整形光学系、46:第1レンズ、47:第2レンズ、48:第3レンズ、50:回折光学素子、55:要素回折光学素子、60:走査装置、70:ケーシング、70a:溝、70c:雌ネジ部、71:筒状部、71a:段差部、72:蓋部、73:間隔環、75:回路、76:スイッチ、74:電池、95:被照射面、90:被照明領域、D1:第1方向、D2:第2方向、D3:第3方向