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特開2022-177789出力信号を出力する回路及びシフトレジスタ
(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2022177789
(43)【公開日】2022-12-01
(54)【発明の名称】出力信号を出力する回路及びシフトレジスタ
(51)【国際特許分類】
   H03K 3/356 20060101AFI20221124BHJP
   H03K 19/0175 20060101ALI20221124BHJP
   H03K 19/094 20060101ALI20221124BHJP
   G11C 19/28 20060101ALI20221124BHJP
   G09G 3/20 20060101ALI20221124BHJP
   G09G 3/36 20060101ALI20221124BHJP
   G09G 3/3266 20160101ALI20221124BHJP
【FI】
H03K3/356 Z
H03K19/0175 220
H03K19/094 210
G11C19/28 210
G09G3/20 622E
G09G3/36
G09G3/3266
G09G3/20 621M
G09G3/20 680G
G09G3/20 611J
G09G3/20 670E
G09G3/20 612K
G09G3/20 670D
G09G3/20 670K
G09G3/20 622C
G09G3/20 622D
G09G3/20 622G
【審査請求】未請求
【請求項の数】13
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2022025893
(22)【出願日】2022-02-22
(31)【優先権主張番号】P 2021083961
(32)【優先日】2021-05-18
(33)【優先権主張国・地域又は機関】JP
(71)【出願人】
【識別番号】521515757
【氏名又は名称】厦門天馬顕示科技有限公司
(74)【代理人】
【識別番号】110001678
【氏名又は名称】藤央弁理士法人
(72)【発明者】
【氏名】音瀬 智彦
【テーマコード(参考)】
5B074
5C006
5C080
5C380
5J056
5J300
【Fターム(参考)】
5B074CA01
5B074DB01
5C006AA16
5C006AF43
5C006AF64
5C006AF67
5C006AF68
5C006AF72
5C006BB16
5C006BC02
5C006BC03
5C006BC13
5C006BC23
5C006BF03
5C006BF24
5C006BF33
5C006BF34
5C006BF42
5C006EC09
5C006FA16
5C006FA20
5C006FA22
5C006FA33
5C006FA36
5C006FA42
5C080AA06
5C080AA10
5C080BB06
5C080DD05
5C080DD14
5C080DD18
5C080DD19
5C080DD25
5C080DD29
5C080EE25
5C080EE26
5C080EE29
5C080FF03
5C080FF11
5C080FF13
5C080HH09
5C080JJ02
5C080JJ03
5C080JJ04
5C080JJ06
5C080KK20
5C380AA01
5C380AB06
5C380AB18
5C380AB24
5C380BA10
5C380BA12
5C380BB03
5C380BB04
5C380BC18
5C380BD04
5C380BD09
5C380BD10
5C380BD11
5C380BD16
5C380CA10
5C380CA12
5C380CA30
5C380CB01
5C380CB26
5C380CB37
5C380CC02
5C380CC09
5C380CC26
5C380CC33
5C380CC48
5C380CC63
5C380CE04
5C380CE12
5C380CE20
5C380CF07
5C380CF43
5C380CF53
5C380DA02
5C380DA06
5C380DA33
5C380DA40
5C380DA46
5C380FA02
5C380FA03
5C380FA21
5C380FA22
5C380FA28
5C380GA05
5C380GA08
5C380GA09
5C380GA12
5C380HA03
5C380HA05
5J056AA04
5J056BB21
5J056CC14
5J056DD13
5J056DD27
5J056KK01
5J300AA25
5J300SB02
5J300TB02
(57)【要約】
【課題】CMOS回路の特性を改善する。
【解決手段】第1P型薄膜トランジスタがONである間、N型薄膜トランジスタ及び第2P型薄膜トランジスタはOFFであり、出力線に第1出力信号供給配線の信号が供給される。N型薄膜トランジスタ及び第2P型薄膜トランジスタがONである間、第1P型薄膜トランジスタがOFFあり、出力線に第2出力信号供給配線の信号が供給される。
【選択図】図4
【特許請求の範囲】
【請求項1】
出力線から出力信号を出力する回路であって、
第1出力信号供給配線と、
第2出力信号供給配線と、
出力線と、
前記第1出力信号供給配線と前記出力線との間においてON/OFFする、第1P型薄膜トランジスタと、
前記第2出力信号供給配線と前記出力線との間においてON/OFFする、N型薄膜トランジスタと、
前記第2出力信号供給配線と前記出力線との間においてON/OFFする、第2P型薄膜トランジスタと、
を含み、
前記第1P型薄膜トランジスタがONである間、前記N型薄膜トランジスタ及び前記第2P型薄膜トランジスタはOFFであり、前記出力線に前記第1出力信号供給配線の信号が供給され、
前記N型薄膜トランジスタ及び前記第2P型薄膜トランジスタがONである間、前記第1P型薄膜トランジスタがOFFあり、前記出力線に前記第2出力信号供給配線の信号が供給される、
回路。
【請求項2】
請求項1に記載の回路であって、
前記第1P型薄膜トランジスタ及び前記第2P型薄膜トランジスタは、P型ポリシリコン薄膜トランジスタである、
回路。
【請求項3】
請求項2に記載の回路であって、
前記第1P型薄膜トランジスタ及び前記N型薄膜トランジスタのゲートに、第1ゲート信号が入力され、
前記第2P型薄膜トランジスタのゲートに、前記第1ゲート信号と逆の時間変化を示す第2ゲート信号が入力される、
回路。
【請求項4】
請求項1又は2に記載の回路であって、
前記第2P型薄膜トランジスタは、前記出力線の電位を、前記第2出力信号供給配線の電位より所定電圧だけ高い電位にし、
前記N型薄膜トランジスタは、前記第2出力信号供給配線の電位より所定電圧だけ高い電位から、前記第2出力信号供給配線の電位にする、
回路。
【請求項5】
シフトレジスタであって、
連結された、順次出力信号を出力する複数のシフトレジスタ単位を含み、
前記複数のシフトレジスタ単位のそれぞれは、請求項1に記載の回路を含む、
シフトレジスタ。
【請求項6】
請求項5に記載のシフトレジスタであって、
第1出力信号供給配線及び第2出力信号供給配線の一方は定電位信号を与え、
第1出力信号供給配線及び第2出力信号供給配線の他方は、低電位と高電位との間で周期的に変化する信号を与える、
シフトレジスタ。
【請求項7】
請求項5に記載のシフトレジスタであって、
前記複数のシフトレジスタ単位のそれぞれは、
第1制御スイッチ薄膜トランジスタと、
第2制御スイッチ薄膜トランジスタと、
をさらに含み、
前記第1制御スイッチ薄膜トランジスタ及び前記第2制御スイッチ薄膜トランジスタは同一導電型であって、同一の入力信号によりON/OFF制御され、
前記第1制御スイッチ薄膜トランジスタ及び前記第2制御スイッチ薄膜トランジスタの一方は、ON状態において、前記第1P型薄膜トランジスタ及び前記N型薄膜トランジスタにゲート信号を与え、
前記第1制御スイッチ薄膜トランジスタ及び前記第2制御スイッチ薄膜トランジスタの他方は、ON状態において、前記第2P型薄膜トランジスタにゲート信号を与える、
シフトレジスタ。
【請求項8】
請求項5又は7に記載のシフトレジスタであって、
前記複数のシフトレジスタ単位のそれぞれは、第3制御スイッチ薄膜トランジスタをさらに含み、
前記第1P型薄膜トランジスタ及び前記N型薄膜トランジスタのゲートに第1ゲート信号が与えられ、
前記第2P型薄膜トランジスタのゲートに第2ゲート信号が与えられ、
前記第3制御スイッチ薄膜トランジスタのゲートに前記第1ゲート信号及び前記第2ゲート信号の一方が与えられ、
前記第3制御スイッチ薄膜トランジスタは、ON状態において、前記第1ゲート信号及び前記第2ゲート信号の他方を与える、
シフトレジスタ。
【請求項9】
請求項5又は7に記載のシフトレジスタであって、
前記複数のシフトレジスタ単位のそれぞれは、第4制御スイッチ薄膜トランジスタをさらに含み、
前記第1P型薄膜トランジスタ及び前記N型薄膜トランジスタのゲートに第1ゲート信号が与えられ、
前記第2P型薄膜トランジスタのゲートに第2ゲート信号が与えられ、
前記第4制御スイッチ薄膜トランジスタはダイオード接続状態であり、
前記第4制御スイッチ薄膜トランジスタのドレインに対して、周期的に変化する信号が入力され、
前記第4制御スイッチ薄膜トランジスタは、順バイアス状態において、前記第1ゲート信号及び前記第2ゲート信号の一方を与える、
シフトレジスタ。
【請求項10】
請求項5又は7に記載のシフトレジスタであって、
前記複数のシフトレジスタ単位のそれぞれは、第3制御スイッチ薄膜トランジスタと第4制御スイッチ薄膜トランジスタとをさらに含み、
前記第1P型薄膜トランジスタ及び前記N型薄膜トランジスタのゲートに第1ゲート信号が与えられ、
前記第2P型薄膜トランジスタのゲートに第2ゲート信号が与えられ、
前記第3制御スイッチ薄膜トランジスタのゲートに前記第1ゲート信号及び前記第2ゲート信号の一方が与えられ、
前記第3制御スイッチ薄膜トランジスタは、ON状態において、前記第1ゲート信号及び前記第2ゲート信号の他方を与え、
前記第4制御スイッチ薄膜トランジスタはダイオード接続状態であり、
前記第4制御スイッチ薄膜トランジスタのドレインに対して、周期的に変化する信号が入力され、
前記第4制御スイッチ薄膜トランジスタは、順バイアス状態において、前記第1ゲート信号及び前記第2ゲート信号の一方を与える、
シフトレジスタ。
【請求項11】
請求項5に記載のシフトレジスタであって、
前記複数のシフトレジスタ単位の各シフトレジスタ単位は、Lレベルの信号パルスを出力し、
前記第1出力信号供給配線は、一定のHレベルの信号を供給し、
前記出力線が、前記Lレベルの信号パルスを出力した後、前記Hレベルの信号を出力している所定期間において、前記第1P型薄膜トランジスタはON/OFFを繰り返す、
シフトレジスタ。
【請求項12】
請求項11に記載のシフトレジスタであって、
前記第1P型薄膜トランジスタ及び前記N型薄膜トランジスタは、クロック信号によりON/OFFされ、
前記第2出力信号供給配線は、前記クロック信号を供給する、
シフトレジスタ。
【請求項13】
請求項11に記載のシフトレジスタであって、
前記第1P型薄膜トランジスタは、クロック信号によりON/OFFされ、
前記所定期間において、前記N型薄膜トランジスタ及び前記第2P型薄膜トランジスタはOFFである、
シフトレジスタ。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は、出力信号を出力する回路及びシフトレジスタに関する。
【背景技術】
【0002】
表示装置としては、液晶表示装置(LCD)やOLED(Organic Light-Emitting Diode)表示装置が広く利用されている。これら表示装置は、走査線を駆動(選択)するためのシフトレジスタを含む。また、表示装置の素子(駆動トランジスタやOLED)の特性を測定し、その測定結果に基づきデータ信号を補正する、OLED表示装置が知られている。このようなデータ信号の外部補償を行うOLED表示装置は、測定用の制御信号を出力するシフトレジスタを含む。
【0003】
同一基板上に低温ポリシリコン(LTPS)薄膜トランジスタ(TFT)と、酸化物半導体TFT、例えば、IGZOTFTとを集積したLTPO技術を用いたデバイスが、表示パネルへ適用されてきており、さらに、その適用範囲が拡大している。
【0004】
これらの製品は、例えば、リーク電流が問題となる箇所にはIGZOを適用し、駆動能力が必要な箇所にはLTPSを適用するといったデバイス特性に合わせた設計が可能となる。また、PMOS型のLTPSTFTとNMOS型のIGZOTFTとを組み合わせることにより、CMOS(Complementary metal-oxide-semiconductor)のデバイスが実現できる可能性も検討されている。
【0005】
シフトレジスタにデータが入力されてから出力するまで間に、出力トランジスタのゲートが接続されるノードを高電位(もしくは低電位)に変更する。このとき常に、高電位電源もしくは低電位電源のいずれかに電気的接続するためには、Nチャネル型トランジスタとPチャネル型トランジスタの両方を使用するCMOSにより、相補的に電源と接続する。CMOS回路は、単一導電性TFTの回路と比較して、回路規模を小さくでき、信頼性も高い。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0006】
【特許文献1】米国特許出願第2010/0176395号
【特許文献2】米国特許出願第2003/0173995号
【特許文献3】米国特許出願第2019/0204968号
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
しかし、LTPSTFTと酸化物半導体TFTとを組み合わせたCMOS回路は、それらTFTの特性に起因するいくつかの課題を持つ。一つは、LTPSと酸化物半導体との間に移動度の大きな差分の存在が、CMOS回路において酸化物半導体TFTの占める面積が増大させることである。例えば、IGZOの移動度は、LTPSの移動度より一桁近く低い。他の一つは、酸化物半導体TFTの低リーク特性の背反として、出力線の残留電荷が抜けにくいことである。これにより、動作不良が発生し、信頼性が低下し得る。
【課題を解決するための手段】
【0008】
本開示の一態様は、出力線から出力信号を出力する回路であって、第1出力信号供給配線と、第2出力信号供給配線と、出力線と、前記第1出力信号供給配線と前記出力線との間においてON/OFFする、第1P型薄膜トランジスタと、前記第2出力信号供給配線と前記出力線との間においてON/OFFする、N型薄膜トランジスタと、前記第2出力信号供給配線と前記出力線との間においてON/OFFする、第2P型薄膜トランジスタと、を含む。前記第1P型薄膜トランジスタがONである間、前記N型薄膜トランジスタ及び前記第2P型薄膜トランジスタはOFFであり、前記出力線に前記第1出力信号供給配線の信号が供給される。前記N型薄膜トランジスタ及び前記第2P型薄膜トランジスタがONである間、前記第1P型薄膜トランジスタがOFFあり、前記出力線に前記第2出力信号供給配線の信号が供給される。
【発明の効果】
【0009】
本開示の一態様によれば、CMOS回路の特性を改善することができる。
【図面の簡単な説明】
【0010】
図1】OLED表示装置の構成例を模式的に示す。
図2A】OLED表示装置の画素回路の構成例を示す。
図2B】液晶表示装置の画素回路の構成例を示す。
図2C】液晶表示装置の画素回路の構成例を示す。
図3A】本明細書の一実施形態に係るCMOS回路の構成を示す。
図3B図3Aに示すCMOS回路のデバイスレイアウトの例を模式的に示す。
図3C図3Aに示すCMOS回路のデバイスレイアウトの例を模式的に示す。
図4】走査ドライバのシフトレジスタに含めることができるシフトレジスタ単位の回路構成を模式的に示している。
図5図4に示す回路のタイミングチャートを示す。
図6】走査ドライバに実装可能なシフトレジスタの一部を示す。
図7図6に示すシフトレジスタの信号のタイミングチャートを示す。
図8】走査ドライバに実装可能なシフトレジスタ単位の回路構成例を示す。
図9図8に示す回路のタイミングチャートを示す。
図10】走査ドライバのシフトレジスタの信号のタイミングチャートを示す。
図11】シフトレジスタ単位の他の構成例を示す。
図12図11に示す回路のタイミングチャートを示す。
図13図11及び12を参照して説明したシフトレジスタ単位を含むシフトレジスタの一部の構成を示す。
図14】シフトレジスタ単位の他の構成例を示す。
図15図14に示す回路のタイミングチャートを示す。
図16図14及び15を参照して説明したシフトレジスタ単位を含むシフトレジスタの一部の構成を示す。
【発明を実施するための形態】
【0011】
以下、添付図面を参照して本開示の実施形態を説明する。本実施形態は本開示を実現するための一例に過ぎず、本開示の技術的範囲を限定するものではないことに注意すべきである。
【0012】
<概観>
以下において、液晶表示装置(LCD)やOLED(Organic Light-Emitting Diode)表示装置等のシフトレジスタに適用可能な回路構成を説明する。以下に開示する回路は、表示装置と異なる装置に適用することができる。
【0013】
本明細書の一実施形態に係る回路は、低温ポリシリコン(LTPS)薄膜トランジスタ(TFT)と、酸化物半導体TFT、例えば、IGZOTFTとを集積したLTPO技術を利用する。当該回路は、PMOS型(単にP型とも呼ぶ)のLTPSTFTとNMOS型(単にN型とも呼ぶ)のIGZOTFTとを組み合わせることにより構成される、CMOS(Complementary metal-oxide-semiconductor)回路を含む。
【0014】
CMOS回路は、単一導電型のTFTで構成された回路と比較して、回路規模を小さくすることができる。単一導電TFT回路は、高電圧の出力信号を生成するため、ブートストラップにより、プルダウン用TFTのゲート電位を降下させる必要がある。ブートストラップを行うためには、プルダウン用TFTのゲートとソースとの間に、容量を設ける必要がある。
【0015】
さらに、ブートストラップ時の高電圧により特定の制御TFTのドレインとソースとの間に高電圧が印加されないように、分離用TFTが実装される。これらにより、単一導電方回路の規模が、増大する。また、電気的ストレスがTFTに印加されるために信頼性が低下し得る。
【0016】
CMOS回路は、単一型回路におけるブートストラップが不要であり、ブートストラップのための回路素子を省略して、回路規模を小さくすることができる。しかし、LTPSTFTと酸化物半導体TFTとを組み合わせた従来のCMOS回路は、いくつかの課題を持つ。一つは、CMOS回路において酸化物半導体TFTの占める面積が大きいことである。これは、LTPSと酸化物半導体との間に移動度の大きな差分が存在することに起因する。例えば、IGZOの移動度は、LTPSの移動度の1/10程度である。
【0017】
他の一つは、従来のCMOS回路の出力線の残留電荷が抜けにくく、動作不良が発生し、信頼性が低下し得ることである。これは、酸化物半導体TFTの低リーク特性に起因する。例えば、車載表示装置において、駆動中に予期せぬ電源電圧の変動によりCMOS回路に供給される入力信号が不安定になったときに、黒表示に切り替えて異状表示を防ぐフェイルセーフ機能が求められている。酸化物半導体TFTのオフリークが小さいため、残留電荷による表示不良が発生し得る。
【0018】
本明細書の一実施形態に係るCMOS回路は、出力線に高電位を供給するためのプルアップ用P型TFTと、出力線に低電位を供給するためのプルダウン用N型TFTと、に加えて、プルダウン用P型TFTを含む。P型TFTはLTPSTFTであってもよく、N型TFTは酸化物半導体TFT、例えば、IGZOTFTであってもよい。P型TFTの移動度がN型TFTの移動度より高く、N型TFTのリーク電流がP型TFTのリーク電流より小さいCMOS回路において、本構成は特に効果的である。P型TFTの半導体はポリシリコン以外の材料でもよく、N型TFTの半導体は酸化物半導体以外の材料でもよい。
【0019】
上述のように、出力線の電位を所定の高電位レベル(VH)までプルアップする動作は、プルアップ用のP型TFTが担う。プルダウン用P型TFTは、所定の低電位(VL)から所定電圧だけ高い電位、具体的には実質的にプルダウン用P型TFTの閾値電圧だけ高い電位(VL+Vth)まで、出力線の電位をプルダウンできる。プルダウン用N型TFTは、電位(VL+Vth)から所定電位レベルVLまで、出力線の電位を連続的にプルダウンする。
【0020】
プルダウン用P型TFTが、出力線の電位を(VL+Vth)まで低下させるので、プルダウン用N型TFTの動作は、出力線の電位をプルダウンするために大きな駆動能力を必要としない。そのため、CMOS構成と比較して、回路面積の増大を抑制できる。
【0021】
以下において、図面を参照して実施形態を具体的に説明する。各図において共通の構成については同一の参照符号が付されている。説明をわかりやすくするため、図示した物の寸法、形状については、誇張して記載している場合もある。
【0022】
<実施形態1>
[全体構成]
図1は、OLED表示装置10の構成例を模式的に示す。以下において、本開示のシフトレジスタを適用する装置の例として、OLED表示装置を説明するが、他の表示装置又は表示装置と異なる装置に、適用することができる。OLED表示装置10は、OLED素子が形成されるTFT(Thin Film Transistor)基板100と、OLED素子を封止する封止構造部200と、を含む。
【0023】
TFT基板100の表示領域125の外側のカソード電極形成領域114の周囲に、走査ドライバ131、132、ドライバIC134、デマルチプレクサ136が配置されている。第1の走査ドライバ131は、例えば、TFT基板100の走査線を駆動する。第2の走査ドライバ132は、例えば、有機発光素子やTFT等の素子特性を測定するために、測定制御線を駆動する。
【0024】
ドライバIC134は、FPC(Flexible Printed Circuit)135を介して外部の機器と接続される。ドライバIC134は、例えば、異方性導電フィルム(ACF:Anisotropic Conductive Film)を用いて実装される。
【0025】
ドライバIC134は、走査ドライバ131及び132に電源及びタイミング信号(制御信号)を与える。さらに、ドライバIC134は、デマルチプレクサ136に、電源及びデータ信号を与える。デマルチプレクサ136は、ドライバIC134の一つのピンの出力を、d本(dは2以上の整数)のデータ線に順次出力する。デマルチプレクサ136は、ドライバIC134からのデータ信号の出力先データ線を、走査期間内にd回切り替えることで、ドライバIC134の出力ピン数のd倍のデータ線を駆動する。
【0026】
[画素回路構成]
TFT基板100上には、複数の副画素のアノード電極にそれぞれ供給する電流を制御する複数の画素回路が形成されている。図2Aは、画素回路の構成例を示す。各画素回路は、駆動トランジスタ21と、選択トランジスタ22と、測定用トランジスタ24と、保持容量Cとを含む。画素回路は、OLED素子E1の発光を制御する。トランジスタは、電界効果トランジスタであり、より具体的にはTFTである。
【0027】
選択トランジスタ22は副画素を選択するスイッチである。図2Aの構成例において、選択トランジスタ22はN型TFTであり、ゲート端子は、走査線106に接続されている。一つのソース/ドレイン端子はデータ線105に接続されている。他のソース/ドレイン端子は、駆動トランジスタ21のゲート端子に接続されている。
【0028】
駆動トランジスタ21はOLED素子E1の駆動用のトランジスタ(駆動TFT)である。駆動トランジスタ21はP型TFTであり、そのゲート端子は選択トランジスタ22のソース/ドレイン端子に接続されている。駆動トランジスタ21のソース端子は電源線108(Vdd)に接続されている。ドレイン端子は、OLED素子E1のアノードに接続されている。駆動トランジスタ21のゲート端子とソース端子との間に保持容量Cが形成されている。
【0029】
測定用トランジスタ24は、P型TFTであり、基準電圧供給線110とOLED素子E1のアノードとの電気的接続を制御する。測定用トランジスタ24のゲートに測定制御線109から制御信号が供給されることによりこの制御が行われる。測定用トランジスタ24は、駆動トランジスタ21やOLED素子E1の特性を測定する目的で使用される。
【0030】
次に、画素回路の動作を説明する。走査ドライバ131が走査線106に選択パルスを出力し、選択トランジスタ22をオン状態にする。データ線105を介してドライバIC134から供給されたデータ電圧は、保持容量Cに格納される。保持容量Cは、格納された電圧を、1フレーム期間を通じて保持する。保持電圧によって、駆動トランジスタ21のコンダクタンスがアナログ的に変化し、駆動トランジスタ21は、発光階調に対応した順バイアス電流をOLED素子E1に供給する。
【0031】
測定用トランジスタ24は、駆動トランジスタ21の特性を測定する目的で使用できる。例えば、駆動トランジスタ21を飽和領域、測定用トランジスタ24を線形領域で動作するようにバイアス条件を選んで、電源線108(Vdd)から基準電圧供給線110(Vref)に流れる電流を測定すれば、駆動トランジスタ21の電圧・電流変換特性を正確に測定することができる。副画素間の駆動トランジスタ21の電圧・電流変換特性の違いを補償するデータ信号を外部回路で生成すれば、均一性の高い表示画像を実現できる。
【0032】
または、駆動トランジスタ21をオフ状態にして測定用トランジスタ24をリニア領域で動作させ、OLED素子E1を発光させる電圧を基準電圧供給線110から印加すれば、OLED素子E1の電圧・電流特性を正確に測定することができる。例えば、長時間の使用によってOLED素子E1が劣化した場合にも、その劣化量を補償するデータ信号を外部回路で生成すれば、長寿命化を実現できる。
【0033】
図2AのOLED表示装置10の画素回路は例であって、画素回路は他の回路構成を有してよい。画素回路を構成するTFT及び容量素子の数並びにTFTそれぞれの導電型は、TFT基板の設計に応じて決定される。
【0034】
次に、液晶表示装置の画素回路の例を説明する。図2B及び2Cは、それぞれ、液晶表示装置の画素回路の例を示す。図2Bの画素回路例は、N型スイッチ薄膜トランジスタ202と、保持容量Cstと、共通電極と画素電極との間の液晶LCとを含む。共通電極には、共通電位Vcomが与えられている。走査ドライバが走査線206に選択パルスを出力し、N型スイッチ薄膜トランジスタ202をオン状態にする。データ線205は、ON状態のN型スイッチ薄膜トランジスタ202を介して、データ信号を画素電極及び保持容量Cstに与える。
【0035】
図2Cの画素回路例は、P型スイッチ薄膜トランジスタ212と、保持容量Cstと、共通電極と画素電極との間の液晶LCとを含む。共通電極には、共通電位Vcomが与えられている。走査ドライバが走査線206に選択パルスを出力し、P型スイッチ薄膜トランジスタ212をオン状態にする。データ線205は、ON状態のP型スイッチ薄膜トランジスタ212を介して、データ信号を画素電極及び保持容量Cstに与える。
【0036】
走査ドライバ131及び132は、それぞれ、走査線106及び測定制御線109を順次選択するためのシフトレジスタを含む。以下に説明するシフトレジスタは、走査ドライバ131及び132の一方又は双方に適用することができる。
【0037】
[CMOS回路構成]
図3Aは、本明細書の一実施形態に係るCMOS回路の構成を示す。CMOS回路は、例えば、走査ドライバ131、132の双方又は一方に含めることができる。CMOS回路は、第1P型TFT311、第2P型TFT312、及びN型TFT315を含む。第1P型TFT311はプルアップ用TFTであり、第2P型TFT312及びN型TFT315は、プルダウン用TFTである。図3Aの構成例において、P型TFT311、312は、LTPSTFTであり、N型TFT315は酸化物半導体TFT、例えば、IGZOTFTである。
【0038】
プルアップ用P型TFT311は、高電位VHを与える高電位線331と、出力信号OUTを出力する出力線321との間に存在する。プルアップ用P型TFT131の二つのソース/ドレインは、それぞれ、高電位線331と出力線321とに接続されている。高電位線331は、第1出力信号供給配線に含まれる。
【0039】
プルダウン用P型TFT312は、高電位VHより低い低電位VLを与える低電位線333と、出力線321との間に存在する。プルダウン用P型TFT312の二つのソース/ドレインは、それぞれ、低電位線333と出力線321とに接続されている。低電位線333は、第2出力信号供給配線に含まれる。
【0040】
プルダウン用N型TFT315は、低電位VLを与える低電位線331と、出力線321との間に存在する。プルダウン用N型TFT315の二つのソース/ドレインは、それぞれ、低電位線332と出力線321とに接続されている。低電位線332は、低電位線333と同様に低電位VLを与え、第2出力信号供給配線に含まれる。低電位線332は、低電位線333と接続されてよい。プルアップ用P型TFT311のソース/ドレインと、プルダウン用TFT312、315それぞれのソース/ドレインとの間の中間ノードの電位が、出力線321の信号OUTの電位である。
【0041】
プルアップ用P型TFT311及びプルダウン用N型TFT315のゲートには、同一の制御信号(第1ゲート信号)IN1が入力される。プルダウン用P型TFT312のゲートには、制御信号IN1と異なる制御信号(第2ゲート信号)IN2が入力される。後述するように、プルアップ用P型TFT311がONである間、プルダウン用TFT312及び315は、OFFである。反対に、プルダウン用TFT312及び315がONである間、プルアップ用P型TFT311はOFFである。
【0042】
図3Aの例において、制御信号IN1と制御信号IN2とは、逆の時間変化を示す。図3Aの例において、同一の制御信号IN1が入力されている。他の構成例において、分離された配線を介して伝送される同一の変化を示す異なる制御信号が、プルアップ用P型TFT311とプルダウン用N型TFT315のゲートに入力されてもよい。
【0043】
出力線321を高電位VHまでプルアップする動作は、プルアップ用P型TFT311が担う。プルアップ用P型TFT311がONであるとき、プルアップ用P型TFT311は、高電位線331の高電位VHを、出力線321に与える。
【0044】
プルダウン用P型TFT312の駆動能力は、プルダウン用N型TFT315より高い。プルダウン用P型TFT312は、低電位VLより所定電圧だけ高い電位まで、出力線の電位をプルダウンする。所定電圧は、プルダウン用P型TFT312の閾値電圧Vthと実質的に一致する。つまり、プルダウン用P型TFT312は、電位(VL+Vth)まで、出力線321の電位をプルダウンする。連続的に、プルダウン用N型TFT315は、出力線321の電位を低電位VLまでプルダウンする。
【0045】
酸化物半導体TFTは、LTPSTFTと比較して、オフリーク電流が小さい。図3Aに示す構成においては、出力線321と低電位線333との間にプルダウン用P型TFT312が存在する。つまり、出力線321と低電位線333との間にLTPSTFT312を通るリークパスが存在する。そのため、OFF動作時に、出力線321における残留電荷341による動作不良の発生や信頼性の低下を抑制することができる。
【0046】
プルダウン用N型TFT315は大きな駆動力を必要としないため、プルダウン用N型TFT315のサイズを小さくすることができる。例えば、プルダウン用N型TFT315のチャネル幅は、プルアップ用P型TFT311のチャネル幅以下でもよい。二つのP型TFT311、312のチャネル幅は、例えば同一であり、これら同一構造を有していてもよい。他の例において、プルアップ用P型TFT311のチャネル幅は、プルダウン用P型TFT312のチャネル幅より大きくてもよい。
【0047】
図3B及び3Cは、図3Aに示すCMOS回路のデバイスレイアウトの例を模式的に示す。図3B及び3Cに示すデバイスレイアウトにおいて、酸化物半導体TFTであるプルダウン用N型TFT315のサイズ(チャネル幅)は、プルダウン用P型TFT312が含まれない従来構成より小さい。
【0048】
図3Bにおいて、プルアップ用P型TFT311及びプルダウン用P型TFT312はトップゲート構造を有し、プルダウン用N型TFT315はボトムゲート構造を有する。P型TFT311、312それぞれのチャネルは、LTPS膜351、352に形成される。N型TFT315のチャネルは、酸化物半導体膜353に形成される。図3Bの構成例において、プルアップ用P型TFT311のチャネル幅は、プルダウン用P型TFT312のチャネル幅より大きい。
【0049】
図3Cにおいて、P型TFT311、312それぞれのチャネルは、LTPS膜361、362に形成される。N型TFT315のチャネルは、酸化物半導体膜363に形成される。図3Cの構成例において、プルアップ用P型TFT311のチャネル幅は、プルダウン用P型TFT312のチャネル幅と同一でもよい。
【0050】
<実施形態2>
以下において、画素回路内のP型TFTのゲート信号を出力する構成を説明する。図4は、1段のシフトレジスタ(フリップフロップ又はシフトレジスタ単位とも呼ぶ)の回路構成を模式的に示している。図4に示すシフトレジスタ単位は、図3Aに示すCMOS回路を含む。図4に示すシフトレジスタ単位は、例えばOLED表示装置の走査ドライバ132又は図2Cに示す液晶画素回路に対する走査ドライバのシフトレジスタに含めることができる。
【0051】
シフトレジスタ単位は、例えば、図2Aに示すP型TFT24又は図2Cに示すP型TFT212のゲート信号を出力する。シフトレジスタ単位は、低電位レベルの出力信号パルスをP型TFT24又は212のゲートに与える。以下に説明する回路において、P型TFTはLTPSTFTであり、N型TFTは酸化物半導体TFTであってよい。シフトレジスタ単位におけるTFTは、ON/OFF動作する。
【0052】
シフトレジスタ単位に対する入力は、高電源電位VGH、低電源電位VGL、前段シフトレジスタ単位からの入力信号IN、及び高電位と低電位との間で周期的に時間変化するクロック信号CLK_DRV、CLK_RSTである。入力信号IN、及びクロック信号CLK_DRV、CLK_RSTは、高電源電位VGHと等しい高電位(ハイレベル)及び低電源電位VGLと等しい低電位(ローレベル)の間で切り替わる。出力線321からの出力は、次段のシフトレジスタ単位への信号である。
【0053】
シフトレジスタ単位は、図3Aを参照して説明した、プルアップ用P型TFT311、プルダウン用P型TFT312、及びプルダウン用N型TFT315を含む。プルアップ用P型TFT311のゲートとプルダウン用N型TFT315のゲートはノードN2を介して接続されている。これらのゲートには、同一の電位が与えられる。シフトレジスタ単位は、さらに、P型TFT411から415を含む。
【0054】
P型TFT412及び415の一方は、第1制御スイッチTFTの例であり、他方は、第2制御スイッチTFTの例である。P型TFT414は第3制御スイッチTFTの例であり、P型TFT413は第4制御スイッチTFTの例である。
【0055】
プルアップ用P型TFT311のソース/ドレインの一方には、一定の高電源電位VGHが与えられる。プルダウン用TFT312及び315それぞれのソース/ドレインの一方には、クロック信号CLK_DRVが与えられる。後述するように、プルダウン用TFT312及び315がONであるとき、クロック信号CLK_DRVは、高電源電位VGHより低い低電位レベルにある。その電位は、低電源電位VGLと同一である。
【0056】
P型TFT411のゲートは、出力線321と接続されており、それらは同電位である。P型TFT411の一方のソース/ドレインは、プルアップ用P型TFT311のゲートと接続されており、それらは同電位である。P型TFT411の他方のソース/ドレインには、高電源電位VGHが与えられている。高電源電位VGHは一定である。P型TFT411は、ノードN2がフローティングとなり回路動作が不安定になることを防ぐことができる。P型TFT411は省略されてもよい。
【0057】
P型TFT412のゲートには、信号INが与えられる。P型TFT412の一方のソース/ドレインは、プルアップ用P型TFT311のゲートと接続されており、それらは同電位である。P型TFT412の他方のソース/ドレインには、高電源電位VGHが与えられている。
【0058】
P型TFT413のソースは、プルアップ用P型TFT311のゲートと接続されており、それらは同電位である。P型TFT413のゲートはドレインに接続され、ダイオード接続状態にある。ドレインには、クロック信号CLK_RSTが与えられる。
【0059】
P型TFT414のゲートは、プルアップ用P型TFT311のゲートと接続されており、それらのゲート電位は同一である。P型TFT414の一方のソース/ドレインは、ノードN1を介してプルダウン用P型TFT312のゲートと接続されており、それらは同電位である。P型TFT414の他方のソース/ドレインには、高電源電位VGHが与えられている。
【0060】
P型TFT415のゲートには、信号INが与えられる。P型TFT415の一方のソース/ドレインは、ノードN1を介してプルダウン用P型TFT312のゲートと接続されており、それらは同電位である。P型TFT415の他方のソース/ドレインには、低電源電位VGLが与えられている。低電源電位VGLは一定である。
【0061】
以下において、図4に示す回路の動作を説明する。図5は、図4に示す回路のタイミングチャートを示す。以下において、信号の高電位レベルをH、低電位レベルをLと表す。全ての信号高電位レベルは高電源電位VGHであり、低電位レベルは低電源電位VGLである。図5において、全ての信号は同期している。
【0062】
まず、時刻T1の直前の状態を説明する。入力信号INはH、クロック信号CLK_DRVはH、クロック信号CLK_RSTはLである。ノードN1の電位はH、ノードN2の電位はLである。P型TFT415及び412はOFFである。ダイオード接続のP型TFT413は、順バイアス状態である。プルダウン用P型TFT312はOFFである。プルダウン用N型TFT315はOFFであり、プルアップ用P型TFT311及びP型TFT414はONである。P型TFT411はOFFである。出力信号OUTは、Hである。
【0063】
次に、時刻T1における構成要素の動作を説明する。入力信号INがHからLに変化する。時刻T1から時刻T2の間において、前段のシフトレジスタ単位から転送パルス(入力信号INにおける低電位レベルL)が入力される。また、クロック信号CLK_RSTは、LからHへ変化する。
【0064】
入力信号INの上記変化に応答して、P型TFT415及び412がONになる。クロック信号CLK_RSTの上記変化に応答して、P型TFT413は、逆バイアス状態になる。ノードN1の電位がHからLに変化し、ノードN2の電位がLからHに変化する。
【0065】
ノードN1の電位がHからLに変化するため、プルダウン用P型TFT312はONになる。ノードN2の電位がLからHに変化するため、プルダウン用N型TFT315はONになる。クロック信号CLK_DRVはHを維持しており、出力信号OUTはHを維持する。出力信号OUTはHを維持しており、P型TFT411はOFFのままである。
【0066】
次に、時刻T2における構成要素の動作を説明する。入力信号INがLからHに変化する。P型TFT415及び412がOFFになる。クロック信号CLK_RSTはHを維持している。ノードN1の電位はLであり、そしてフローティング状態である。
【0067】
クロック信号CLK_DRVがHからLに変化する。これにより、出力信号OUTが、HからLへ変化する。さらに、P型TFT411がONになる。ノードN2の電位は、Hのままである。時刻T2からT3の期間において、当該シフトレジスタ単位は、転送するパルスを表示領域125の制御線及び次段のシフトレジスタ単位に出力する。
【0068】
次に、時刻T3における構成要素の動作を説明する。入力信号INはHを維持し、P型TFT415及び412はOFFのままである。クロック信号CLK_DRVがLからHに変化する。また、クロック信号CLK_RSTがHからLに変化する。P型TFT413は、順バイアス状態になる。
【0069】
ノードN2に、クロック信号CLK_RSTが与えられ、ノードN2の電位は、HからLへ変化する。P型TFT414はONになり、ノードN1の電位はLからHへ変化する。
【0070】
ノードN2の電位がHからLに変化することで、プルダウン用N型TFT315はOFFとなり、プルアップ用P型TFT311はONとなる。ノードN1の電位がLからHに変化することで、プルダウン用P型TFT312はOFFとなる。出力信号OUTは、LからHへ変化する。P型TFT411はOFFになる。時刻T2から時刻T3が、信号パルスを出力する出力期間である。
【0071】
時刻T3の後、クロック信号CLK_DRV及びCLK_RSTは、定期的に変化する。ノードN2の電位はLであるので、クロック信号CLK_RSTの変化は、ノードN2の電位を変化させることはない。ノードN1、N2の電位は維持される。TFT312、315はOFFであり、クロック信号CLK_DRVの変化は、出力信号OUTの電位を変化させることはない。このように、出力信号OUTはHに維持される。次の入力信号INの変化に応じて、シフトレジスタ単位内のノード電位は変化する。
【0072】
図5を参照して説明したように、図4に示すシフトレジスタ単位の動作は、ブートストラップを不要としている。このため、ブートストラップに必要な容量を付加する必要がないために回路面積を小さくすることができる。
【0073】
図6は、走査ドライバ132に実装可能なシフトレジスタの一部を示す。具体的には、図6は、初段のシフトレジスタ単位SR1、二段目のシフトレジスタ単位SR2及び三段目のシフトレジスタ単位SR3を示す。シフトレジスタ単位SR1、SR2、SR3は、それぞれ、図4及び5を参照して説明した回路構成を有することができる。シフトレジスタは、設計に応じて、連結されたn段(nは正の整数)のシフトレジスタ単位で構成することができる。
【0074】
各シフトレジスタ単位は、複数の信号端子を含む。具体的には、それらは、VGH端子611、IN端子612、VGL端子613、CLK_RST端子614、OUT端子615、CLK_DRV端子616である。図6においては、初段のシフトレジスタ単位SR1の端子が、例として、符号で指示されている。
【0075】
OUT端子615は、図5に示す出力信号OUTを出力する。VGH端子611には、図4を参照して説明した、一定の高電源電位VGHが与えられる。VGL端子613には、図4を参照して説明した、一定の低電源電位VGLが与えられる。IN端子612からの信号が、図5における入力信号INである。CLK_RST端子614に入力される信号は、図5に示すクロック信号CLK_RSTである。CLK_DRV端子616に入力される信号は、図5に示すクロック信号CLK_DRVである。シフトレジスタ単位への一部の入力信号は、ドライバIC134から与えられる。
【0076】
シフトレジスタ単位SR1、SR2及びSR3は、それぞれ、OUT端子615から、出力信号OUT1、OUT2及びOUT3を出力する。出力信号は、画素回路のTFT24のゲートに与えられ、さらに、次段のシフトレジスタ単位のIN端子612に与えられる。初段のシフトレジスタ単位SR1のIN端子612には、スタート信号STが入力される。
【0077】
(3k-2)段目のCLK_RST端子614には、クロック信号C2が与えられる。kは正の整数である。(3k-2)段目のCLK_DRV端子616には、クロック信号C1が与えられる。(3k-1)段目のCLK_RST端子614には、クロック信号C3が与えられる。(3k-1)段目のCLK_DRV端子616には、クロック信号C2が与えられる。3k段目のCLK_RST端子614には、クロック信号C1が与えられる。3k段目のCLK_DRV端子616には、クロック信号C3が与えられる。
【0078】
図7は、図6に示すシフトレジスタの信号のタイミングチャートを示す。スタート信号STは、1フレーム周期で低電位レベルのパルスを与える。クロック信号C1、C2及びC3は、それぞれ、1フレーム周期内で、一定周期で低電位パルスを与える。クロック信号C1、C2及びC3のパルス幅は同一であり、スタート信号STのパルス幅とも同一である。
【0079】
クロック信号C1、C2及びC3のパルスの周期は同一であり、それらの位相が異なる。クロック信号C1、C2及びC3は、1パルス幅ずつ、位相がずれている。つまり、クロック信号C1のパルスの終了に合わせて、クロック信号C2のパルスが生成される。クロック信号C2のパルスの終了に合わせて、クロック信号C3のパルスが生成される。クロック信号C3のパルスの終了に合わせて、クロック信号C1のパルスが生成される。スタート信号STの各パルスの開始時刻及び終了時刻は、クロック信号C3の一つのパルスの開始時刻及び終了時刻と一致している。
【0080】
図7は、n段のシフトレジスタ単位それぞれの出力信号OUT1~OUTnの時間変化を示す。出力信号OUT1~OUTnは、順次、低電位パルスを生成する。出力信号OUT1~OUTnのパルス幅は、他の信号のパルス幅と同一である。各シフトレジスタ単位の出力信号パルスは、前段のシフトレジスタ単位の出力信号パルスの終了に合わせて生成される。
【0081】
<実施形態3>
以下において、画素回路内のN型TFTのゲート信号を出力する構成を説明する。図8は、1段のシフトレジスタ(フリップフロップ又はシフトレジスタ単位とも呼ぶ)の回路構成を模式的に示している。図8に示すシフトレジスタ単位は、図3Aに示すCMOS回路を含む。図8に示すシフトレジスタ単位は、例えばOLED表示装置の走査ドライバ131又は図2Bに示す液晶画素回路に対する走査ドライバのシフトレジスタに含めることができる。
【0082】
図2Aを参照して説明したように、走査ドライバ131は、画素回路におけるN型TFT22のゲート信号を出力する。また、図2Bに示す画素回路は、制御されるスイッチトランジスタとして、N型TFT202を含む。シフトレジスタ単位は、高電位レベルの出力信号パルスをN型TFT22又は202にゲートに与える。
【0083】
以下に説明する回路において、P型TFTはLTPSTFTであり、N型TFTは酸化物半導体TFTであってよい。シフトレジスタ単位におけるTFTは、ON/OFF動作する。
【0084】
シフトレジスタ単位に対する入力は、高電源電位VGH、低電源電位VGL、前段シフトレジスタ単位からの入力信号IN、及びクロック信号CLK_DRV、CLK_RSTである。入力信号IN、及びクロック信号CLK_DRV、CLK_RSTは、高電源電位VGHと等しい高電位(ハイレベル)及び低電源電位VGLと等しい低電位(ローレベル)の間で切り替わる。出力線321からの出力は、次段のシフトレジスタ単位への信号である。
【0085】
シフトレジスタ単位は、図3Aを参照して説明した、プルアップ用P型TFT311、プルダウン用P型TFT312、及びプルダウン用N型TFT315を含む。プルアップ用P型TFT311のゲートとプルダウン用N型TFT315のゲートはノードN4を介して接続されている。これらのゲートには、同一の電位が与えられる。シフトレジスタ単位は、さらに、P型TFT513及び514並びにN型TFT511、512及び515を含む。
【0086】
N型TFT512及び515の一方は、第1制御スイッチTFTの例であり、他方は第2制御スイッチTFTの例である。P型TFT514は第3制御スイッチTFTの例であり、P型TFT513は第4制御スイッチTFTの例である。
【0087】
プルアップ用P型TFT311のソース/ドレインの一方には、クロック信号CLK_DRVが与えられる。プルダウン用TFT312及び315それぞれのソース/ドレインの一方には、一定の低電源電位VGLが与えられる。後述するように、プルアップ用P型TFT311がONであるとき、クロック信号CLK_DRVは、高電位レベルにある。その電位は、高電源電位VGHと同一である。
【0088】
N型TFT511のゲートは、出力線321と接続されており、それらは同電位である。N型TFT511の一方のソース/ドレインは、プルダウン用P型TFT312のゲートとノードN3を介して接続されており、それらは同電位である。N型TFT511の他方のソース/ドレインには、高電源電位VGHが与えられている。高電源電位VGHは一定である。N型TFT511は、ノードN3がフローティングとなり回路動作が不安定になることを防ぐことができる。N型TFT511は省略されてもよい。
【0089】
N型TFT512のゲートには、信号INが与えられる。N型TFT512の一方のソース/ドレインは、プルダウン用P型TFT312のゲートと接続されており、それらは同電位である。N型TFT512の他方のソース/ドレインには、高電源電位VGHが与えられている。
【0090】
P型TFT513のソースは、プルダウン用P型TFT312のゲートと接続されており、それらは同電位である。P型TFT513のゲートはドレインに接続され、ダイオード接続状態にある。ドレインには、クロック信号CLK_RSTが与えられる。
【0091】
P型TFT514のゲートは、プルダウン用P型TFT312のゲートと接続されており、それらのゲート電位は同一である。P型TFT514の一方のソース/ドレインは、ノードN4を介して、プルアップ用P型TFT311及びプルダウン用N型TFT315のゲートと接続されており、それらは同電位である。P型TFT514の他方のソース/ドレインには、高電源電位VGHが与えられている。
【0092】
N型TFT515のゲートには、信号INが与えられる。N型TFT515の一方のソース/ドレインは、ノードN4を介して、プルアップ用P型TFT311及びプルダウン用N型TFT315のゲートと接続されており、それらは同電位である。N型TFT515の他方のソース/ドレインには、低電源電位VGLが与えられている。低電源電位VGLは一定である。
【0093】
図8の回路において、ノードN3の電位は、プルダウン用P型TFT312のゲート電位と同一である。また、ノードN4の電位は、プルアップ用P型TFT311及びプルダウン用N型TFT315のゲート電位と同一である。
【0094】
以下において、図8に示す回路の動作を説明する。図9は、図8に示す回路のタイミングチャートを示す。以下において、信号の高電位レベルをH、低電位レベルをLと表す。全ての信号高電位レベルは高電源電位VGHであり、低電位レベルは低電源電位VGLである。図9において、全ての信号は同期している。
【0095】
まず、時刻T1の直前の状態を説明する。入力信号INはL、クロック信号CLK_DRVはH、クロック信号CLK_RSTはLである。ノードN3の電位はL、ノードN4の電位はHである。N型TFT515及び512はOFFである。ダイオード接続のP型TFT513は、順バイアス状態である。プルダウン用P型TFT312はONである。プルダウン用N型TFT315はONであり、プルアップ用P型TFT311及びP型TFT514はOFFである。N型TFT511はOFFである。出力信号OUTはLである。
【0096】
次に、時刻T1における構成要素の動作を説明する。入力信号INがLからHに変化する。時刻T1から時刻T2の間において、前段のシフトレジスタ単位から転送パルス(入力信号INにおける高電位レベルH)が入力される。また、クロック信号CLK_DRVはHからLへ変化し、クロック信号CLK_RSTはLからHへ変化する。
【0097】
入力信号INの上記変化に応答して、N型TFT515及び512がONになる。クロック信号CLK_RSTの上記変化に応答して、P型TFT513は、逆バイアス状態になる。ノードN3の電位がLからHに変化し、ノードN4の電位は、HからLに変化する。ノードN3の電位がLからHに変化するため、プルダウン用P型TFT312はOFFになり、P型TFT514はOFFになる。
【0098】
ノードN4の電位がHからLに変化するため、プルダウン用N型TFT315はOFFになり、プルアップ用P型TFT311はONになる。クロック信号CLK_DRVはLであるので、出力信号OUTはLを維持する。出力信号OUTはLを維持しており、N型TFT511はOFFのままである。
【0099】
次に、時刻T2における構成要素の動作を説明する。入力信号INがHからLに変化する。クロック信号CLK_RSTはHを維持している。クロック信号CLK_DRVは、LからHへ変化する。
【0100】
入力信号INの変化に応答して、N型TFT515及び512がOFFになる。ノードN3の電位はHに維持され、ノードN4の電位はLに維持される。プルダウン用TFT312、315はOFFのままであり、プルアップ用P型TFT311は、ONのままである。
【0101】
クロック信号CLK_DRVがLからHに変化する。これにより、出力信号OUTが、LからHへ変化する。さらに、N型TFT511がONになる。ノードN3の電位は、Hのままである。時刻T2からT3の期間において、当該シフトレジスタ単位は、転送するパルスを表示領域125の制御線及び次段のシフトレジスタ単位に出力する。
【0102】
次に、時刻T3における構成要素の動作を説明する。入力信号INはLを維持する。クロック信号CLK_DRVはHを維持する。クロック信号CLK_RSTはHからLへ変化する。入力信号INはLを維持するので、N型TFT515及び512はOFFのままである。
【0103】
クロック信号CLK_RSTの変化に応答して、P型TFT513は順バイアス状態になる。このため、ノードN3にクロック信号CLK_RSTが与えられ、その電位は、HからLに変化する。P型TFT514がONとなり、ノードN4の電位がLからHへ変化する。
【0104】
ノードN4の電位がLからHに変化することで、プルダウン用N型TFT315はONとなり、プルアップ用P型TFT311はOFFとなる。ノードN3の電位がHからLに変化することで、プルダウン用P型TFT312はONとなる。出力信号OUTは、HからLへ変化する。時刻T2から時刻T3が、信号パルスを出力する出力期間である。
【0105】
時刻T3の後、クロック信号CLK_DRV及びCLK_RSTは、定期的に変化する。ノードN3の電位はLであり、クロック信号CLK_RSTの変化は、ノードN3の電位を変化させることはない。N型TFT515はOFFであり、P型TFT514はONであるので、ノードN4の電位はHに維持される。このように、ノードN3、N4の電位は維持される。
【0106】
プルアップ用P型TFT311はOFFであり、クロック信号CLK_DRVの変化は、出力信号OUTの電位を変化させることはない。そのため、出力信号OUTはLに維持される。次の入力信号INの変化に応じて、シフトレジスタ単位内のノード電位は変化する。
【0107】
図9を参照して説明したように、図8に示すシフトレジスタ単位の動作は、ブートストラップを不要としている。このため、回路面積を小さくすることができる。
【0108】
走査ドライバ131のシフトレジスタは、図6に示す構成と同一の構成を有することができる。シフトレジスタ単位は、図8に示す回路構成を有し、図9を参照して説明した信号により動作する。
【0109】
図10は、走査ドライバ131のシフトレジスタの信号のタイミングチャートを示す。スタート信号STは、1フレーム周期で高電位レベルのパルスを与える。クロック信号C1、C2及びC3は、それぞれ、1フレーム周期内で、一定周期で低電位パルスを与える。クロック信号C1、C2及びC3のパルス幅は同一であり、スタート信号STのパルス幅とも同一である。
【0110】
クロック信号C1、C2及びC3のパルスの周期は同一であり、それらの位相が異なる。クロック信号C1、C2及びC3は、1パルス幅ずつ、位相がずれている。つまり、クロック信号C1のパルスの終了に合わせて、クロック信号C2のパルスが生成される。クロック信号C2のパルスの終了に合わせて、クロック信号C3のパルスが生成される。クロック信号C3のパルスの終了に合わせて、クロック信号C1のパルスが生成される。スタート信号STの各パルスの開始時刻及び終了時刻は、クロック信号C3の一つのパルスの開始時刻及び終了時刻と一致している。
【0111】
図10は、n段のシフトレジスタ単位それぞれの出力信号OUT1~OUTnの時間変化を示す。出力信号OUT1~OUTnは、順次、高電位パルスを生成する。出力信号OUT1~OUTnのパルス幅は、他の信号のパルス幅と同一である。各シフトレジスタ単位の出力信号パルスは、前段のシフトレジスタ単位の出力信号パルスの終了に合わせて生成される。
【0112】
<実施形態4>
図11は、シフトレジスタ単位の他の構成例を示す。図11に示すシフトレジスタ単位は、例えばOLED表示装置の走査ドライバ132又は図2Cに示す液晶画素回路に対する走査ドライバのシフトレジスタに含めることができる。
【0113】
シフトレジスタ単位は、例えば、図2Aに示すP型TFT24又は図2Cに示すP型TFT212のゲート信号を出力する。シフトレジスタ単位は、低電位レベルの出力信号パルスをP型TFT24又は212のゲートに与える。以下に説明する回路において、P型TFTはLTPSTFTであり、N型TFTは酸化物半導体TFTであってよい。シフトレジスタ単位におけるTFTは、ON/OFF動作する。
【0114】
シフトレジスタ単位に対する入力は、高電源電位VGH、低電源電位VGL、前段シフトレジスタ単位からの入力信号IN1、次段シフトレジスタ単位からの入力信号IN2、及び高電位と低電位との間で周期的に時間変化するクロック信号CLK_DRV、CLK_RSTである。入力信号IN1、IN2及びクロック信号CLK_DRV、CLK_RSTは、高電源電位VGHと等しい高電位(ハイレベル)及び低電源電位VGLと等しい低電位(ローレベル)の間で切り替わる。出力線321からの出力は、前段及び次段のシフトレジスタ単位への信号である。
【0115】
シフトレジスタ単位は、図3Aを参照して説明した、プルアップ用P型TFT311、プルダウン用P型TFT312、及びプルダウン用N型TFT315を含む。プルアップ用P型TFT311のゲートとプルダウン用N型TFT315のゲートはノードN6を介して接続されている。これらのゲートには、同一の電位が与えられる。シフトレジスタ単位は、さらに、P型TFT552から555及び容量559を含む。P型TFT554は第3制御スイッチTFTの例である。
【0116】
プルアップ用P型TFT311のソース/ドレインの一方には、一定の高電源電位VGHが与えられる。プルダウン用TFT312及び315それぞれのソース/ドレインの一方には、クロック信号CLK_DRVが与えられる。プルダウン用TFT312及び315がONであるとき、クロック信号CLK_DRVは、高電源電位VGHより低い低電位レベルにある。その電位は、低電源電位VGLと同一である。
【0117】
P型TFT552のゲートは、プルダウン用P型TFT312のゲートと接続されており、それらは同電位である。P型TFT552の一方のソース/ドレインは、プルアップ用P型TFT311及びプルダウン用N型TFT315のゲートと接続されており、それらは同電位である。P型TFT552の他方のソース/ドレインには、高電源電位VGHが与えられている。高電源電位VGHは一定である。
【0118】
P型TFT553のソース/ドレインの一方は、プルダウン用P型TFT312のゲートと接続されており、それらは同電位である。P型TFT553のゲートには信号IN2が与えられる。信号IN2は、次段のシフトレジスタ単位の出力信号である。
【0119】
P型TFT554のゲートは、プルアップ用P型TFT311のゲートと接続されており、それらのゲート電位は同一である。P型TFT554の一方のソース/ドレインは、ノードN5を介してプルダウン用P型TFT312のゲートと接続されており、それらは同電位である。P型TFT554の他方のソース/ドレインには、高電源電位VGHが与えられている。P型TFT554、P型TFT311及びN型TFT315のゲートは、ノードN6に接続され、これらに対して容量558を介してクロック信号CLK_DRVが与えられる。
【0120】
P型TFT555のゲートには、信号IN1が与えられる。P型TFT555の一方のソース/ドレインは、ノードN5を介してプルダウン用P型TFT312のゲートと接続されており、それらは同電位である。P型TFT555の他方のソース/ドレインには、低電源電位VGLが与えられている。低電源電位VGLは一定である。
【0121】
以下において、図11に示す回路の動作を説明する。図12は、図11に示す回路のタイミングチャートを示す。以下において、信号の高電位レベルをH、低電位レベルをLと表す。全ての信号高電位レベルは高電源電位VGHであり、低電位レベルは低電源電位VGLである。図12において、全ての信号は同期している。
【0122】
まず、時刻T11の直前の状態を説明する。入力信号IN1はH、クロック信号CLK_DRVはL、入力信号IN2はHである。ノードN5の電位はH、ノードN6の電位はLである。プルダウン用P型TFT312はOFFである。P型TFT553及び555はOFFである。プルダウン用N型TFT315はOFFであり、プルアップ用P型TFT311及びP型TFT554はONである。出力信号OUTは、Hである。
【0123】
次に、時刻T11及びその直後の時刻T12における構成要素の動作を説明する。時刻T11においてクロック信号CLK_DRVがLからHに変化し、その直後の時刻T12において、入力信号IN1がHからLに変化する。クロック信号CLK_DRVの変化に応答して、ノードN6の電位がLからHに変化する。P型TFT554及びプルアップ用P型TFT311はOFFになる。プルダウン用N型TFT315はONになる。
【0124】
入力信号IN1の変化に応答して、P型TFT555がONになり、ノードN5の電位はHからLに変化する。P型TFT552がONになり、ノードN6の電位がHに維持される。また、プルダウン用P型TFT312はONになる。クロック信号CLK_DRVはHであり、出力信号OUTはHを維持する。
【0125】
次に、時刻T12の後の時刻T21及びその直後の時刻T22における構成要素の動作を説明する。時刻T21において、いずれの信号も変化しない。時刻T22において、入力信号IN1がLからHに変化し、クロック信号CLK_DRVがHからLに変化する。
【0126】
入力信号IN1の変化に応答して、P型TFT555がOFFになる。P型TFT553はOFFのままである。ノードN5はフローティング状態であり、その電位はLに維持される。そのため、プルダウン用P型TFT312はONのままである。
【0127】
クロック信号CLK_DRVは上述のようにLに変化するが、容量559及びONであるP型TFT552によって、ノードN6の電位はHに維持される。そのため、P型TFT554及びプルアップ用P型TFT311はOFFのままであり、プルダウン用N型TFT315がONのままである。クロック信号CLK_DRVはHからLに変化しているので、出力信号OUTはHからLに変化する。
【0128】
次に、時刻T22の後の時刻T31及びその直後の時刻T32における構成要素の動作を説明する。時刻T31において、クロック信号CLK_DRVはLからHに変化する。クロック信号CLK_DRVのLからHへの変化に応答して、出力信号OUTはLからHに変化する。
【0129】
時刻T32において、入力信号IN2はHからLへ変化する。入力信号IN2のHからLへの変化に応答して、P型TFT553はONになり、ノードN5の電位はLからHに変化する。ノードN5の電位変化に応答して、P型TFT552がOFFになり、プルダウン用P型TFT312がOFFになる。
【0130】
ノードN6はフローティング状態にあり、その電位はHのままである。したがって、プルアップ用P型TFT311はOFF、プルダウン用N型TFT315はONのままである。クロック信号CLK_DRVはHであるので、出力信号OUTはHである。
【0131】
次に、時刻T32の後の時刻T41及びその直後の時刻T42における構成要素の動作を説明する。時刻T41において、入力信号IN2はLからHへ変化する。入力信号IN2のLからHへの変化に応答して、P型TFT553はOFFになる。
【0132】
時刻T42において、クロック信号CLK_DRVはHからLに変化する。クロック信号CLK_DRVのHからLへの変化により、ノードN6の電位はHからLに変化する。それに応答して、P型TFT554及びプルアップ用P型TFT311はONになり、プルダウン用N型TFT315はOFFになる。プルアップ用P型TFT311がON、プルダウン用TFT312、315はOFFであるので、出力OUTはHのままである。
【0133】
次に、時刻T42の後の時刻T51及びその直後の時刻T52における構成要素の動作を説明する。時刻T51において、クロック信号CLK_DRVはLからHに変化する。時刻T52での信号の変化はない。
【0134】
クロック信号CLK_DRVのLからHへの変化に応じて、ノードN6の電位はLからHへ変化する。ノードN6の電位のLからHへの変化に応答して、P型TFT554及びプルアップ用P型TFT311はOFFになる。また、プルダウン用N型TFT315はONになる。プルダウン用P型TFT312はOFFのままである。クロック信号CLK_DRVはHであるので、出力OUTはHのままである。
【0135】
次に、時刻T52の後の時刻T61及びその直後の時刻T62における構成要素の動作を説明する。時刻T61での信号の変化はない。時刻T62において、クロック信号CLK_DRVはHからLに変化する。それに応じて、ノードN6の電位はHからLへ変化する。
【0136】
ノードN6の電位のHからLへの変化に応答して、P型TFT554及びプルアップ用P型TFT311はONになる。また、プルダウン用N型TFT315はOFFになる。プルダウン用P型TFT312はOFFのままである。プルアップ用P型TFT311がVGHを出力線312に与えるので、出力OUTはHのままである。
【0137】
時刻62以降、時刻T42から時刻T62までの動作が、次のフレームまで繰り返される。上述のように、時刻T42から時刻T62の間に、P型TFT554及びプルアップ用P型TFT311は、ON/OFFする。二つのP型TFTは、時刻T42から時刻T51の間においてONであり、他の時刻T51からT62(T42)までOFFである。
【0138】
P型TFTがON状態であり続けると、Vg+ストレスが印加されるため、Vt(閾値)シフトが発生し得る。上述のように、二つのP型TFT554、311がクロック信号CLK_DRVに合わせてON/OFFすることで、Vg+ストレスが緩和され、Vtシフトによる回路動作の不安定を抑制できる。
【0139】
時刻T11からT12までの期間、時刻T21からT22までの期間、時刻T31からT32までの期間、時刻T41からT42までの期間、時刻T51からT52までの期間、及び時刻T61からT62までの期間は、クロック周期に比較して非常に短い期間である。クロック周期は、例えば、時刻T11から時刻T31の期間(長さ)である。
【0140】
図12に示すクロック信号CLK_DRVの1周期において、Hの期間はLの期間よりわずかに長いが、その差は非常に小さく、クロック信号CLK_DRVのデューティ比は実質的に50%である。クロック信号CLK_DRVは、出力信号OUTを適切に生成すると共に、TFTのVtシフトを効果的に抑制することができる。
【0141】
図13は、図11及び12を参照して説明したシフトレジスタ単位を含むシフトレジスタの一部の構成を示す。図13は、初段のシフトレジスタ単位SR11、二段目のシフトレジスタ単位SR12及び三段目のシフトレジスタ単位SR13を示す。シフトレジスタ単位SR11、SR12、SR13は、それぞれ、図11及び12を参照して説明した回路構成を有することができる。シフトレジスタは、設計に応じて、連結されたn段(nは正の整数)のシフトレジスタ単位で構成することができる。
【0142】
各シフトレジスタ単位は、複数の信号端子を含む。具体的には、それらは、VGH端子631、IN1端子632、VGL端子633、OUT端子635、CLK_DRV端子636、及びIN2端子637である。図13においては、初段のシフトレジスタ単位SR11の端子が、例として、符号で指示されている。
【0143】
OUT端子635は、図12に示す出力信号OUTを出力する。VGH端子631には、一定の高電源電位VGHが与えられる。VGL端子633には、一定の低電源電位VGLが与えられる。IN1端子632からの信号が、図12における入力信号IN1である。CLK_DRV端子636に入力される信号は、図12に示すクロック信号CLK_DRVである。IN2端子637からの信号が、図12における入力信号IN2である。シフトレジスタ単位への一部の入力信号は、ドライバIC134から与えられる。
【0144】
シフトレジスタ単位SR11、SR12及びSR13は、それぞれ、OUT端子635から、出力信号OUT11、OUT12及びOUT13を出力する。出力信号は、画素回路のTFT24のゲートに与えられ、さらに、次段のシフトレジスタ単位のIN1端子632及び前段のシフトレジスタ単位のIN2端子637に与えられる。初段のシフトレジスタ単位SR11のIN1端子632には、スタート信号STが入力される。
【0145】
(2k-1)段目のCLK_DRV端子636には、クロック信号C11が与えられ、2k段目のCLK_DRV端子636には、クロック信号C12が与えられる。kは正の整数である。クロック信号C11、12は、それぞれ、各シフトレジスタ単位において図12を参照して説明したクロック信号CLK_DRVに対応する変化を示す。
【0146】
次に、シフトレジスタ単位の他の構成例を説明する。図14は、シフトレジスタ単位の構成例を示す。以下においては、図11に示す構成例との差異を主に説明する。図14に示すシフトレジスタ単位は、図11に示す構成例に加えて、P型TFT557及び558を含む。また、プルダウン用N型TFT315のゲートは、プルアップ用P型TFT311のゲートと接続されていない。P型TFT554とプルアップ用P型TFT311のゲートを繋ぐ線上にノードN7が示されている。
【0147】
P型TFT557のゲートは、出力線321に接続されており、それらは同電位である。P型TFT557のソース/ドレインの一方には高電源電位VGHが与えられる。P型TFT557のソース/ドレインの他方はノードN8を介してプルダウン用N型TFTのゲートに接続され、それらは同電位である。
【0148】
P型TFT558のゲートには、クロック信号CLK_RSTが与えられる。P型TFT558のソース/ドレインの一方には低電源電位VGLが与えられる。P型TFT558のソース/ドレインの他方はノードN8を介してプルダウン用N型TFTのゲートに接続され、それらは同電位である。
【0149】
図15は、図14に示す回路のタイミングチャートを示す。図12に示すタイミングチャートに対して、ノードN6の電位の時間変化が除かれ、クロック信号CLK_RST及びノードN7、N8の電位の時間変化が追加されている。
【0150】
まず、時刻T11の直前の状態を説明する。入力信号IN1はH、クロック信号CLK_DRVはL、クロック信号CLK_RSTはH、入力信号IN2はHである。ノードN5の電位はH、ノードN7の電位はL、ノードN8の電位はLである。
【0151】
プルダウン用P型TFT312はOFFである。P型TFT553及び555はOFFである。P型TFT558はOFFである。プルアップ用P型TFT311及びP型TFT554はONであり、プルダウン用N型TFT315はOFFである。出力信号OUTはHであり、P型TFT557はOFFである。
【0152】
次に、時刻T11及びその直後の時刻T12における構成要素の動作を説明する。時刻T11においてクロック信号CLK_DRVがLからHに変化する。クロック信号CLK_DRVの変化に応答して、ノードN7の電位がLからHに変化する。P型TFT554及びプルアップ用P型TFT311はOFFになる。
【0153】
時刻T12において、入力信号IN1がHからLに、クロック信号CLK_RSTがHからLに変化する。クロック信号CLK_RSTの変化に応答して、P型TFT558がONとなる。ノードN8の電位はLのままであり、プルダウン用N型TFT315はOFFのままである。
【0154】
入力信号IN1の変化に応答して、P型TFT555がONになり、ノードN5の電位はHからLに変化する。プルダウン用P型TFT312はONになる。クロック信号CLK_DRVはHであり、出力信号OUTはHを維持する。
【0155】
次に、時刻T12の後の時刻T21において、クロック信号CLK_RSTはLからHに変化する。クロック信号CLK_RSTの変化に応答して、P型TFT558がOFFとなる。ノードN8の電位はLに維持され、プルダウン用N型TFT315はOFFのままである。
【0156】
次に、時刻T21の直後の時刻T22において、入力信号IN1がLからHに変化し、クロック信号CLK_DRVがHからLに変化する。入力信号IN1の変化に応答して、P型TFT555がOFFになる。P型TFT553はOFFのままである。ノードN5はフローティング状態であり、その電位はLに維持される。そのため、プルダウン用P型TFT312はONのままである。
【0157】
クロック信号CLK_DRVは上述のようにLに変化するが、容量559及びONであるP型TFT552により、ノードN7の電位はHに維持される。そのため、P型TFT554及びプルアップ用P型TFT311はOFFのままである。クロック信号CLK_DRVはHからLに変化しているので、出力信号OUTはHからLに変化する。P型TFT557がONになり、ノード8の電位はLからHに変化し、プルダウン用N型TFT315はONになる。
【0158】
次に、時刻T22の後の時刻T31において、クロック信号CLK_DRVはLからHに変化する。ノードN7の電位はHに維持され、P型TFT554及びプルアップ用P型TFT311はOFFのままである。ノードN5の電位はLに維持され、ノードN8の電位はHに維持されている。そのため、プルダウン用P型TFT312及びプルダウン用N型TFT315はONのままである。
【0159】
クロック信号CLK_DRVのLからHへの変化と共に、出力信号OUTは、LからHに変化する。それに応答して、P型TFT557はOFFになる。ノードN8はフローティングとなり、その電位はHのままである。
【0160】
次に、時刻T31の直後の時刻T32において、入力信号IN2はHからLへ変化し、クロック信号CLK_RSTはHからLへ変化する。入力信号IN2のHからLへの変化に応答して、P型TFT553はONになり、ノードN5の電位はLからHに変化する。ノードN5の電位変化に応答して、P型TFT552及びプルダウン用P型TFT312がOFFになる。
【0161】
クロック信号CLK_RSTのHからLへの変化に応答して、P型TFT558がONになる。ノードN8の電位はHからLに変化し、プルダウン用N型TFT315がOFFになる。出力線321はフローティング状態となり、出力信号OUTはHに維持される。
【0162】
次に、時刻T32の後の時刻T41において、入力信号IN2はLからHへ変化し、クロック信号CLK_RSTはLからHへ変化する。入力信号IN2のLからHへの変化に応答して、P型TFT553はOFFになる。ノードN5はフローティング状態になり、その電位はHに維持される。クロック信号CLK_RSTのLからHへの変化に応答して、P型TFT558がOFFになる。ノードN8はフローティング状態になり、その電位はLに維持される。
【0163】
時刻T41の直後の時刻T42において、クロック信号CLK_DRVはHからLに変化する。クロック信号CLK_DRVのHからLへの変化により、ノードN7の電位はHからLに変化する。それに応答して、P型TFT554及びプルアップ用P型TFT311はONになる。ノードN5の電位はHに維持される。ノードN8はフローティング状態にあり、Lに維持される。そのため、プルダウン用TFT312、315はOFFのままである。その結果、出力OUTはHのままである。
【0164】
次に、時刻T42の後の時刻T51において、クロック信号CLK_DRVはLからHに変化する。それに応じて、ノードN7の電位はLからHへ変化する。ノードN7の電位のLからHへの変化に応答して、P型TFT554及びプルアップ用P型TFT311はOFFになる。ノードN5はフローティング状態にあり、Hに維持される。ノードN8はフローティング状態にあり、Lに維持される。そのため、プルダウン用TFT312、315はOFFのままである。出力線321はフローティング状態であり、出力OUTはHのままである。
【0165】
時刻T51の直後の時刻T52において、クロック信号CLK_RSTはHからLへ変化する。P型TFT558がONになる。ノードN8の電位はLに維持される。プルダウン用N型TFT315を含む他のTFTはOFFのままである。出力線321はフローティング状態であり、出力OUTはHのままである。
【0166】
次に、時刻T52の後の時刻T61において、クロック信号CLK_RSTはLからHへ変化する。P型TFT558がOFFになる。ノードN8はフローティング状態となり、電位はLに維持される。他の全てのTFTもOFFのままである。出力線321はフローティング状態であり、出力OUTはHのままである。
【0167】
時刻T61の直後の時刻T62において、クロック信号CLK_DRVはHからLに変化する。それに応じて、ノードN7の電位はHからLへ変化する。ノードN6の電位のHからLへの変化に応答して、P型TFT554及びプルアップ用P型TFT311はONになる。他のTFTはOFFのままである。プルアップ用P型TFT311がVGHを出力線312に与え、出力OUTはHのままである。
【0168】
時刻62以降、時刻T42から時刻T62までの動作が、次のフレームまで繰り返される。上述のように、時刻T42から時刻T62の間に、P型TFT554及びプルアップ用P型TFT311は、ON/OFFする。二つのP型TFTは、時刻T42から時刻T51の間においてONであり、他の時刻T51からT62(T42)までOFFである。二つのP型TFT554、311がクロック信号CLK_DRVに合わせてON/OFFすることで、Vg+ストレスが緩和され、Vtシフトによる回路動作の不安定を抑制できる。
【0169】
図16は、図14及び15を参照して説明したシフトレジスタ単位を含むシフトレジスタの一部の構成を示す。図16は、初段のシフトレジスタ単位SR21、二段目のシフトレジスタ単位SR22及び三段目のシフトレジスタ単位SR23を示す。シフトレジスタ単位SR21、SR22、SR23は、それぞれ、図14及び15を参照して説明した回路構成を有することができる。シフトレジスタは、設計に応じて、連結されたn段(nは正の整数)のシフトレジスタ単位で構成することができる。
【0170】
各シフトレジスタ単位は、複数の信号端子を含む。具体的には、それらは、VGH端子651、IN1端子652、VGL端子653、CLK_RST端子654、OUT端子655、CLK_DRV端子656、及びIN2端子657である。図16においては、初段のシフトレジスタ単位SR21の端子が、例として、符号で指示されている。
【0171】
OUT端子655は、図14に示す出力信号OUTを出力する。VGH端子651には、一定の高電源電位VGHが与えられる。VGL端子653には、一定の低電源電位VGLが与えられる。IN1端子652からの信号が、図15における入力信号IN1である。CLK_RST端子654に入力される信号は、図15に示すクロック信号CLK_RSTである。CLK_DRV端子656に入力される信号は、図15に示すクロック信号CLK_DRVである。IN2端子657からの信号が、図15における入力信号IN2である。シフトレジスタ単位への一部の入力信号は、ドライバIC134から与えられる。
【0172】
シフトレジスタ単位SR21、SR22及びSR23は、それぞれ、OUT端子655から、出力信号OUT21、OUT22及びOUT23を出力する。出力信号は、画素回路のTFT24のゲートに与えられ、さらに、次段のシフトレジスタ単位のIN1端子652及び前段のシフトレジスタ単位のIN2端子657に与えられる。初段のシフトレジスタ単位SR21のIN1端子652には、スタート信号STが入力される。
【0173】
(2k-1)段目のCLK_DRV端子656には、クロック信号C21が与えられ、2k段目のCLK_DRV端子656には、クロック信号C22が与えられる。(2k-1)段目のCLK_RST端子654には、クロック信号C22が与えられ、2k段目のCLK_RST端子654には、クロック信号C21が与えられる。kは正の整数である。クロック信号C21、22は、それぞれ、各シフトレジスタ単位において図15を参照して説明したクロック信号CLK_DRVに対応する変化を示す。
【0174】
以上、本開示の実施形態を説明したが、本開示が上記の実施形態に限定されるものではない。当業者であれば、上記の実施形態の各要素を、本開示の範囲において容易に変更、追加、変換することが可能である。ある実施形態の構成の一部を他の実施形態の構成に置き換えることが可能であり、ある実施形態の構成に他の実施形態の構成を加えることも可能である。
【符号の説明】
【0175】
10 OLED表示装置、105 データ線、106 走査線、108 電源線、109 測定制御線、110 基準電圧供給線、110 基準電圧供給線、125 表示領域、131、132 走査ドライバ、134 ドライバIC、311 プルアップ用P型TFT、312 プルダウン用P型TFT、315 プルダウン用N型TFT、321 出力線、331 高電位線、332 低電位線、333 低電位線、341 残留電荷、351、352、361、362 LTPS膜、353、363 酸化物半導体膜、611 VGH端子、612 IN端子、613 VGL端子、614 CLK_RST端子、615 OUT端子、616 CLK_DRV端子、N1、N2、N3、N4 ノード、SR1-SR3 シフトレジスタ単位
図1
図2A
図2B
図2C
図3A
図3B
図3C
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10
図11
図12
図13
図14
図15
図16