(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2022177794
(43)【公開日】2022-12-01
(54)【発明の名称】水中油型乳化物の製造方法
(51)【国際特許分類】
B01J 13/00 20060101AFI20221124BHJP
B01F 23/41 20220101ALI20221124BHJP
B01F 23/47 20220101ALI20221124BHJP
【FI】
B01J13/00 A
B01F23/41
B01F23/47
【審査請求】未請求
【請求項の数】16
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2022044501
(22)【出願日】2022-03-18
(31)【優先権主張番号】P 2021084130
(32)【優先日】2021-05-18
(33)【優先権主張国・地域又は機関】JP
(71)【出願人】
【識別番号】000000918
【氏名又は名称】花王株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110001427
【氏名又は名称】弁理士法人前田特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】平林 大樹
(72)【発明者】
【氏名】▲高▼木 道哉
(72)【発明者】
【氏名】中山 美南
(72)【発明者】
【氏名】渡邊 大記
(72)【発明者】
【氏名】木下 敬文
【テーマコード(参考)】
4G035
4G065
【Fターム(参考)】
4G035AB37
4G035AB40
4G035AB41
4G035AB54
4G035AC15
4G065AB11Y
4G065AB28X
4G065AB35Y
4G065AB38X
4G065BB06
4G065CA03
4G065EA01
4G065EA03
4G065EA04
4G065FA01
4G065GA01
(57)【要約】
【課題】水中油型乳化物を、その粘度によることなく、簡単な構造の装置を用いて製造することができる方法を提供する。
【解決手段】水中油型乳化物の製造方法は、油相が第1水相に分散した水中油型の予備乳化物L1を、第2水相L2中に噴流添加する。
【選択図】
図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
油相が第1水相に分散した水中油型の予備乳化物を、第2水相中に噴流添加する水中油型乳化物の製造方法。
【請求項2】
前記第2水相の前記予備乳化物の噴流添加時の温度における粘度が0.1mPa・s以上20000mPa・s以下である、請求項1に記載された水中油型乳化物の製造方法。
【請求項3】
前記第2水相の前記予備乳化物の噴流添加時の温度における粘度が1mPa・s以上10000mPa・s以下である、請求項1又は2に記載された水中油型乳化物の製造方法。
【請求項4】
噴流吐出部を有する配合槽を用い、前記噴流吐出部から前記予備乳化物を、前記撹拌配合槽に貯留された前記第2水相中に噴流添加する、請求項1乃至3のいずれかに記載された水中油型乳化物の製造方法。
【請求項5】
前記予備乳化物における前記油相の含有量の前記第1水相の含有量に対する質量比が0.01以上4以下である、請求項1乃至4のいずれかに記載された水中油型乳化物の製造方法。
【請求項6】
前記予備乳化物における前記油相の平均粒径が2000μm以下である、請求項1乃至5のいずれかに記載された水中油型乳化物の製造方法。
【請求項7】
前記予備乳化物における前記油相の平均粒径が1μm以上500μm以下である、請求項1乃至6のいずれかに記載された水中油型乳化物の製造方法。
【請求項8】
前記予備乳化物の前記第2水相への噴流添加時の温度における粘度が1mPa・s以上15000mPa・s以下である、請求項1乃至7のいずれかに記載された水中油型乳化物の製造方法。
【請求項9】
前記第2水相の粘度(前記予備乳化物の噴流添加時の温度)が、前記予備乳化物の粘度(前記第2水相への噴流添加時の温度)よりも低い、請求項1乃至8のいずれかに記載された水中油型乳化物の製造方法。
【請求項10】
前記第2水相は、前記予備乳化物の前記第1水相と構成成分が同一である、請求項1乃至9のいずれかに記載された水中油型乳化物の製造方法。
【請求項11】
前記油相が油剤及び/又はシリコーンを含有する、請求項1乃至10のいずれかに記載された水中油型乳化物の製造方法。
【請求項12】
前記製造される水中油型乳化物における前記油相の平均粒径が35μm以下である、請求項1乃至11のいずれかに記載された水中油型乳化物の製造方法。
【請求項13】
前記予備乳化物の前記第2水相中への噴流添加をノズルを用いて行う、請求項1乃至12いずれかに記載された水中油型乳化物の製造方法。
【請求項14】
前記予備乳化物の前記第2水相への噴流添加時の線速が5m/s以上である、請求項1乃至13いずれかに記載された水中油型乳化物の製造方法。
【請求項15】
前記予備乳化物の前記第2水相への噴流添加時の線速が10m/s以上100m/s以下である、請求項1乃至14いずれかに記載された水中油型乳化物の製造方法。
【請求項16】
前記予備乳化物の前記第2水相への噴流添加時のせん断速度が0.25万s-1以上50万s-1以下である、請求項1乃至15いずれかに記載された水中油型乳化物の製造方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、水中油型乳化物の製造方法に関する。
【背景技術】
【0002】
予め作製した原料乳化物を水相又は油相に混合して最終製品の乳化物を製造する方法が知られている。例えば、特許文献1には、A相のドロップレットアがB相に分散した1次乳濁液を出発原料とし、その1次乳濁液を同軸シリンダーで構成された容器に入れて剪断応力を付与することにより、A相のドロップレットアの直径が1次乳濁液よりも小さい2次乳濁液を製造する方法が開示されている。特許文献2には、水相の一部と油相の全部、水相の全部と油相の一部、又は、水相の一部と油相の一部を、乳化機に連続的に供給して予備乳化物を生成させ、その予備乳化物と残りの水相及び/又は油相とを別の乳化機に供給して攪拌・混合する乳化物の製造方法が開示されている。
【0003】
また、2液の一方を他方に噴流状態で吐出する混合方法が知られている。例えば、特許文献3には、脂肪酸配合液を塩基性水溶液に噴流状態で吐出させる脂肪酸中和物の製造方法が開示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特表平11-509473号公報
【特許文献2】特開平5-154367号公報
【特許文献3】国際公開第2020/129723号
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
低粘度の乳化物を製造する場合、油相及び水相の高剪断混合を必要としないので、比較的構造が簡単な混合機を用いることができる。かかる混合機は、導入及びメンテナンスのコストが低く、洗浄性にも優れ、大量生産にも適している。
【0006】
一方、高粘度の乳化物を製造する場合、油相及び水相の高剪断混合を必要とするので、構造が複雑な混合機を用いることが必要となる。かかる混合機は、導入及びメンテナンスのコストが高く、洗浄性が劣り、大量生産には不向きであるという問題がある。
【0007】
本発明の課題は、水中油型乳化物を、その粘度によることなく、簡単な構造の装置を用いて製造することができる方法を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0008】
本発明は、油相が第1水相に分散した水中油型の予備乳化物を、第2水相中に噴流添加する水中油型乳化物の製造方法である。
【発明の効果】
【0009】
本発明によれば、簡単な構造の装置を用い、油相が第1水相に分散した水中油型の予備乳化物を、第2水相中に噴流添加することにより、油相の平均粒径が小さい水中油型乳化物を、その粘度によることなく製造することができる。
【図面の簡単な説明】
【0010】
【
図1】実施例で用いた水中油型乳化物製造装置の構成を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0011】
以下、実施形態について詳細に説明する。
【0012】
実施形態に係る水中油型乳化物の製造方法は、油相が第1水相に分散した水中油型の予備乳化物を、第2水相中に噴流添加するものである。本願における、「噴流状態」とは、第2水相中に配置された孔から、第2水相が満たされた広い領域に、水中油型の予備乳化物が噴き出し、孔径より小さい液滴が形成し、孔から拡散することが目視で確認できる状態を言う。本願における、「噴流添加」とは、第2水相中に配置された孔から、第2水相が満たされた広い領域に、水中油型の予備乳化物を「噴流状態」にて添加することを言う。このような実施形態に係る水中油型乳化物の製造方法によれば、噴流ノズルのような噴流吐出部を有する配合槽を備えた簡単な構造の装置を用い、噴流吐出部から予備乳化物を、配合槽に貯留された第2水相中に噴流添加することにより、油相の平均粒子が小さい水中油型乳化物を、その粘度によることなく製造することができる。これは、予備乳化物を第2水相中に噴流添加した場合、噴流時には、既に油水界面が形成されているので、油相の界面に効率的に噴流の剪断が付与され、それにより油相の微細化が促進されるためであると推測される。
【0013】
したがって、このことから、かかる装置の導入及びメンテナンスのコストを低く抑えることができる。また、装置の洗浄性が優れるので、製造する水中油型乳化物の切り替えを短時間で行うことができ、高い生産性を得ることができる。さらに、水中油型乳化物の1ロットでの大量生産を行うことができる。
【0014】
実施形態に係る水中油型乳化物の製造方法では、まず、油相と第1水相とを混合して水中油型の予備乳化物を調製する。
【0015】
予備乳化物の調製方法は、特に限定されるものではなく、例えば、一般的な高圧乳化法、転相乳化法、膜乳化法、D相乳化法等が挙げられる。
【0016】
油相としては、例えば、香料、油剤、酸化防止剤、冷感剤、染料、色素、シリコーン、溶媒、油溶性ポリマー等が挙げられる。油相は、これらのうちの1種又は2種以上を含有していてもよい。油相は、油相の平均粒径が小さい水中油型乳化物を製造する観点及び水中油型乳化物の安定性を向上させる観点から、油剤及び/又はシリコーンを含有することが好ましく、シリコーンを含有することがより好ましい。
【0017】
油剤は、水100gへの溶解度が1g未満の有機化合物が好ましい。この油剤の水100gへの溶解度は、25℃(1013.25hPa)における溶解度である。油剤の水100gへの溶解度は、好ましくは0.5g以下、より好ましくは0.1g以下であり、0gであってもよい。溶解度の測定は、例えば、日本化学会誌、1985,No11,p2116~2119,同誌、1982,No.11,p1830~1834等を参照することができる。
【0018】
油剤としては、20℃において液体である液体油及び20℃において固体である固体脂が挙げられる。油剤は、液体油のみを含んでいても、また、固体脂のみを含んでいても、更に、それらの両方を含んでいても、いずれでもよい。
【0019】
油剤としては、例えば、アルコール、エステル油、炭化水素油、ジアルキルエーテル化合物、アミン化合物、アミド化合物、油脂、高級脂肪酸等が挙げられる。油剤は、これらのうちの1種又は2種以上を含むことが好ましい。なお、油剤は、香料、酸化防止剤、冷感剤、保湿剤、染料、色素等として用いられるものを含んでいてもよい。
【0020】
シリコーンとしては、例えば、ジメチルポリシロキサン、メチルポリシロキサン、メチルフェニルポリシロキサン、オクタメチルシクロテトラシロキサン、デカメチルシクロペンタシロキサン、メチルハイドロジェンポリシロキサン、シリコーン樹脂、アミノ変性シリコーン、アルキル変性シリコーン、ポリエーテル変性シリコーン、グリセリル変性シリコーン、シリコーンワックス等が挙げられる。シリコーンは、微細な粒子の分散液を得る観点から、これらのうちの1種又は2種以上を含むことが好ましく、ジメチルポリシロキサンを含むことがより好ましい。なお、シリコーンは、感触向上剤又は保湿成分として用いられるものを含んでいてもよい。
【0021】
第1水相は、水のみであってもよいが、水に水溶性物質が溶解した水溶液であってもよい。水溶性物質としては、例えば、増粘剤、乳化安定剤等が挙げられる。増粘剤は、水中油型乳化物の安定性を向上させる観点から、好ましくは多糖類のうちの1種又は2種以上、より好ましくはアルギン酸ナトリウム、カルボキシメチルセルロース及びその塩、カラギーナン、キサンタンガム、ポリアクリル酸ナトリウム、ヒドロキシエチルセルロース、ヒドロキシプロピルセルロース、ペクチン、トラガントガム、アラビアガム、グアーガム、カラヤガム、ローカストビーンガム、ジェランガム、タマリンドガム、及びサイリウムシードガムからなる群から選ばれる1種又は2種以上、更に好ましくはローカストビーンガムである。乳化安定剤は、水中油型乳化物の安定性を向上させる観点から、好ましくは極性基を有する化合物のうちの1種又は2種以上、より好ましくは中性化合物のうちの1種又は2種以上、更に好ましくは中性ポリマーのうちの1種又は2種以上、更に好ましくはポリビニルアルコールである。なお、第1水相は、水に分散粒子が分散した分散液であってもよい。
【0022】
予備乳化物における油相の含有量の第1水相の含有量に対する質量比(油相/第1水相)は、処方の自由度を向上させる観点から、好ましくは0.01以上、より好ましくは0.05以上、更に好ましくは0.1以上、更に好ましくは0.3以上であり、安定した水中油型の予備乳化物を得る観点から、好ましくは4以下、より好ましくは3.5以下、更に好ましくは3以下、より更に好ましくは2以下である。
【0023】
予備乳化物における油相の平均粒径は、油相の平均粒径が小さい水中油型乳化物を製造する観点から、好ましく2000μm以下、より好ましくは1000μm以下、更に好ましくは500μm以下、更に好ましくは100μm以下、更に好ましくは70μm以下であり、好ましくは1μm以上、より好ましくは10μm以上である。ここで、本出願における油相の平均粒径は、レーザー回折/散乱式粒度分布測定装置を用いたレーザー回折散乱法により測定される面積基準平均粒径である。
【0024】
実施形態に係る水中油型乳化物の製造方法では、予備乳化物の調製後、その予備乳化物を、第2水相中に噴流添加することにより、最終の水中油型乳化物を得る。
【0025】
第2水相は、水のみであってもよいが、第1水相と同様、水に水溶性物質が溶解した水溶液であってもよく、水に分散粒子が分散した分散液であってもよい。第2水相は、予備乳化物の第1水相と構成成分が同一であることが好ましい。第2水相は、第1水相と同一組成であっても、異なる組成であっても、どちらでもよい。
【0026】
予備乳化物の第2水相中への噴流添加は、ノズルを用いて行うことが好ましい。このとき、ノズルの先端が第2水相中内にあることが好ましい。ノズルの内径は、生産性の観点から、好ましくは0.01mm以上、より好ましくは0.05mm以上、更に好ましくは0.1mm以上であり、予備乳化物を噴流させる観点から、好ましくは20mm以下、より好ましくは10mm以下、更に好ましくは1mm以下である。なお、ノズルの開口形状が真円でない場合、ノズルの内径は、開口形状の水力直径である。
【0027】
予備乳化物の第2水相への噴流添加時の温度における粘度は、予備乳化物のクリーミング抑制の観点から、好ましくは1mPa・s以上、より好ましくは10mPa・s以上、更に好ましくは100mPa・s以上であり、ノズルの圧力損失を低減する観点から、好ましくは15000mPa・s以下、より好ましくは10000mPa・s以下、更に好ましくは6000mPa・s以下である。
【0028】
第2水相の予備乳化物の噴流添加時の温度における粘度は、製造される水中油型乳化物のクリーミング抑制の観点から、好ましくは0.1mPa・s以上、より好ましくは0.5mPa・s以上、最も好ましくは1.0mPa・s以上であり、混合性の観点から、好ましくは20000mPa・s以下、より好ましくは10000mPa・s以下、より好ましくは6000mPa・s以下、より好ましくは1000mPa・s以下、更に好ましくは500mPa・s以下、最も好ましくは10mPa・s以下である。この第2水相の粘度は、油相の平均粒径が小さい水中油型乳化物を製造する観点から、予備乳化物の粘度よりも低いことが好ましい。
【0029】
予備乳化物の第2水相への噴流添加時の線速は、油相の平均粒径が小さい水中油型乳化物を製造する観点から、好ましくは5m/s以上、より好ましくは10m/s以上、更に好ましくは20m/s以上、更に好ましくは30m/s以上であり、装置負荷を低減する観点から、好ましくは100m/s以下、より好ましくは50m/s以下、更に好ましくは40m/s以下である。ここで、本出願における「予備乳化物の線速」とは、予備乳化物の吐出方向の吐出する向きにおける液体の速度である。また、この予備乳化物の線速の絶対値は、予備乳化物の質量流量を予備乳化物の密度で除し、更にそれを吐出孔の面積で除し、それを1秒当たりに換算することにより算出される。
【0030】
予備乳化物の第2水相への噴流添加時のせん断速度は、予備乳化物の第2水相との油水界面に効率的に剪断を付与して油相を微細化する観点から、好ましくは0.25万s-1以上、より好ましくは0.5s-1以上、更に好ましくは1万s-1以上、より更に好ましくは2万s-1以上、より更に好ましくは3万s-1以上であり、装置負荷を低減する観点から、好ましくは50万s-1以下、より好ましくは40万s-1以下、更に好ましくは30万s-1以下である。このせん断速度は、予備乳化物の第2水相中への噴流添加をノズルを用いて行う場合、予備乳化物の線速をノズルの内径で除して算出される(予備乳化物の線速/ノズルの内径)。
【0031】
製造される水中油型乳化物における油相の平均粒径は、好ましくは35μm以下、より好ましくは30μm以下、更に好ましくは20μm以下であり、より更に好ましくは1μm以上である。
【0032】
水中油型乳化物における油相の平均粒径の予備乳化物における油相の平均粒径に対する比(水中油型乳化物における油相の平均粒径/予備乳化物における油相の平均粒径)は、省エネルギーで乳化物を製造する観点から、好ましくは0.001以上、より好ましくは0.01以上、更に好ましくは0.1以上であり、また、微細な乳化物を製造する観点から好ましくは0.9以下、より好ましくは0.7以下、更に好ましくは0.6以下である。
【0033】
上述した実施形態に関し、本発明はさらに以下の態様を開示する。
【0034】
[1]油相が第1水相に分散した水中油型の予備乳化物を、第2水相中に噴流添加する水中油型乳化物の製造方法。
【0035】
[2]前記第2水相の前記予備乳化物の噴流添加時の温度における粘度が0.1mPa・s以上20000mPa・s以下である、[1]に記載された水中油型乳化物の製造方法。
【0036】
[3]前記第2水相の前記予備乳化物の噴流添加時の温度における粘度が0.1mPa・s以上10000mPa・s以下である、[1]又は[2]に記載された水中油型乳化物の製造方法。
【0037】
[4]前記第2水相の前記予備乳化物の噴流添加時の温度における粘度が1mPa・s以上10000mPa・s以下である、[1]乃至[3]のいずれかに記載された水中油型乳化物の製造方法。
【0038】
[5]前記第2水相の前記予備乳化物の噴流添加時の温度における粘度が1mPa・s以上6000mPa・s以下である、[1]乃至[4]のいずれかに記載された水中油型乳化物の製造方法。
【0039】
[6]噴流吐出部を有する配合槽を用い、前記噴流吐出部から前記予備乳化物を、前記撹拌配合槽に貯留された前記第2水相中に噴流添加する、[1]乃至[5]のいずれかに記載された水中油型乳化物の製造方法。
【0040】
[7]前記予備乳化物における前記油相の含有量の前記第1水相の含有量に対する質量比が0.01以上4以下である、[1]乃至[6]のいずれかに記載された水中油型乳化物の製造方法。
【0041】
[8]前記予備乳化物における前記油相の含有量の前記第1水相の含有量に対する質量比が0.01以上3以下である、[1]乃至[7]のいずれかに記載された水中油型乳化物の製造方法。
【0042】
[9]前記予備乳化物における前記油相の含有量の前記第1水相の含有量に対する質量比が0.05以上3以下である、[1]乃至[8]のいずれかに記載された水中油型乳化物の製造方法。
【0043】
[10]前記予備乳化物における前記油相の含有量の前記第1水相の含有量に対する質量比が0.1以上3以下である、[1]乃至[9]のいずれかに記載された水中油型乳化物の製造方法。
【0044】
[11]前記予備乳化物における前記油相の含有量の前記第1水相の含有量に対する質量比が0.1以上2以下である、[1]乃至[10]のいずれかに記載された水中油型乳化物の製造方法。
【0045】
[12]前記予備乳化物における前記油相の平均粒径が2000μm以下である、[1]乃至[11]のいずれかに記載された水中油型乳化物の製造方法。
【0046】
[13]前記予備乳化物における前記油相の平均粒径が1000μm以下である、[1]乃至[12]のいずれかに記載された水中油型乳化物の製造方法。
【0047】
[14]前記予備乳化物における前記油相の平均粒径が1μm以上500μm以下である、[1]乃至[13]のいずれかに記載された水中油型乳化物の製造方法。
【0048】
[15]前記予備乳化物における前記油相の平均粒径が10μm以上100μm以下である、[1]乃至[14]のいずれかに記載された水中油型乳化物の製造方法。
【0049】
[16]前記予備乳化物の前記第2水相への噴流添加時の温度における粘度が1mPa・s以上15000mPa・s以下である、[1]乃至[15]のいずれかに記載された水中油型乳化物の製造方法。
【0050】
[17]前記予備乳化物の前記第2水相への噴流添加時の温度における粘度が1mPa・s以上10000mPa・s以下である、[1]乃至[16]のいずれかに記載された水中油型乳化物の製造方法。
【0051】
[18]前記予備乳化物の前記第2水相への噴流添加時の温度における粘度が1mPa・s以上6000mPa・s以下である、[1]乃至[17]のいずれかに記載された水中油型乳化物の製造方法。
【0052】
[19]前記予備乳化物の前記第2水相への噴流添加時の温度における粘度が10mPa・s以上6000mPa・s以下である、[1]乃至[18]のいずれかに記載された水中油型乳化物の製造方法。
【0053】
[20]前記第2水相の粘度(前記予備乳化物の噴流添加時の温度)が、前記予備乳化物の粘度(前記第2水相への噴流添加時の温度)よりも低い、[1]乃至[19]のいずれかに記載された水中油型乳化物の製造方法。
【0054】
[21]前記第2水相は、前記予備乳化物の前記第1水相と構成成分が同一である、[1]乃至[20]のいずれかに記載された水中油型乳化物の製造方法。
【0055】
[22]前記製造される水中油型乳化物における前記油相の平均粒径が35μm以下である、[1]乃至[21]のいずれかに記載された水中油型乳化物の製造方法。
【0056】
[23]前記製造される水中油型乳化物における前記油相の平均粒径が30μm以下である、[1]乃至[22]のいずれかに記載された水中油型乳化物の製造方法。
【0057】
[24]前記製造される水中油型乳化物における前記油相の平均粒径が1μm以上20μm以下である、[1]乃至[23]のいずれかに記載された水中油型乳化物の製造方法。
【0058】
[25]前記予備乳化物の前記第2水相への噴流添加時の線速が5m/s以上である、[1]乃至[24]のいずれかに記載された水中油型乳化物の製造方法。
【0059】
[26]前記予備乳化物の前記第2水相への噴流添加時の線速が5m/s以上100m/s以下である、[1]乃至[25]のいずれかに記載された水中油型乳化物の製造方法。
【0060】
[27]前記予備乳化物の前記第2水相への噴流添加時の線速が10m/s以上100m/s以下である、[1]乃至[26]のいずれかに記載された水中油型乳化物の製造方法。
【0061】
[28]前記油相が油剤及び/又はシリコーンを含む、[1]乃至[27]のいずれかに記載された水中油型乳化物の製造方法。
【0062】
[29]前記油剤が、アルコール、エステル油、炭化水素油、ジアルキルエーテル化合物、アミン化合物、アミド化合物、油脂、及び高級脂肪酸のうちの1種又は2種以上を含む、[28]に記載された水中油型乳化物の製造方法。
【0063】
[30]前記油相がシリコーンを含む、[1]乃至[29]のいずれかに記載された水中油型乳化物の製造方法。
【0064】
[31]前記予備乳化物の前記第2水相中への噴流添加をノズルを用いて行う、[1]乃至[30]のいずれかに記載された水中油型乳化物の製造方法。
【0065】
[32]前記ノズルの内径が0.01mm以上20mm以下である、[31]に記載された水中油型乳化物の製造方法。
【0066】
[33]前記ノズルの内径が0.05mm以上10mm以下である、[31]に記載された水中油型乳化物の製造方法。
【0067】
[34]前記ノズルの内径が0.1mm以上1mm以下である、[31]に記載された水中油型乳化物の製造方法。
【0068】
[35]前記予備乳化物の前記第2水相への噴流添加時のせん断速度が0.25万s-1以上50万s-1以下である、[1]乃至[34]のいずれかに記載された水中油型乳化物の製造方法。
【0069】
[36]前記予備乳化物の前記第2水相への噴流添加時のせん断速度が0.5万s-1以上40万s-1以下である、[1]乃至[34]のいずれかに記載された水中油型乳化物の製造方法。
【0070】
[37]前記予備乳化物の前記第2水相への噴流添加時のせん断速度が1万s-1以上30万s-1以下である、[1]乃至[34]のいずれかに記載された水中油型乳化物の製造方法。
【実施例0071】
(水中油型乳化物製造装置)
図1は、本実施例で用いた水中油型乳化物製造装置10の構成を示す。
【0072】
水中油型乳化物製造装置10は、予備槽11及び配合槽12を備える。予備槽11の底部からは液供給管13が延びて配合槽12の底部側面に設けられた円形噴流ノズル14に接続されている。液供給管13には、送液のためのポンプ15が介設されている。
【0073】
(水中油型乳化物の製造)
<実施例1及び比較例1>
実施例1では、表1に示す組成の油相が第1水相に分散した油相/第1水相の質量比が0.5の水中油型の予備乳化物L1を調製し、その予備乳化物L1を予備槽11に仕込んだ。表1に示す組成の第2液相L2を調製し、その第2液相L2を配合槽12に仕込んだ。なお、予備乳化物L1の油相及び第1水相、並びに第2水相L2の調製に用いた市販材料は、次の通りである。
【0074】
シリコーン:メチルシクロペンタシロキサン(TSF405A モメンティブ社製)
油剤:メトキシケイ皮酸エチルヘキシル(ユビナールMC80 BASFジャパン社製)
増粘剤:ローカストビーンガム(ソアローカストA120 三菱ケミカルフーズ社製)
乳化安定剤:ポリビニルアルコール(ゴーセノールEG-05 三菱ケミカル社製)
【0075】
そして、ポンプ15(ダイヤフラムポンプ)を稼働させることにより、予備槽11の予備乳化物L1を、液供給管13を介して、配合槽12内の第2液相L2に、表1に記載の条件にて供給した。このとき、内径が0.35mmの噴流ノズル14から予備乳化物L1を第2液相L2中に吐出して水中油型乳化物を製造した。このとき噴流ノズル14から予備乳化物L1が噴き出し、拡散することが配合槽12の透明な壁面を通して目視で確認することができた。
【0076】
比較例1では、最終の水中油型乳化物の組成が実施例1と同一となるように調製した油相/第1水相の質量比が5.0である油中水型の予備乳化物及び第2液相を用いたことを除いて、実施例1と同様の操作を行った。
【0077】
<実施例2乃至10及び比較例2>
表1乃至5に記載の条件に変更したことを除いて、実施例1と同様の操作を行った。
【0078】
<実施例11及び12>
実施例11では、表6に示す組成の油相が第1水相に分散した油相/第1水相の質量比が0.5の水中油型の予備乳化物L1を調製し、その予備乳化物L1を予備槽11に仕込んだ。表6に示す組成の第2液相L2を調製し、その第2液相L2を配合槽12に仕込んだ。なお、予備乳化物L1の油相及び第1水相、並びに第2水相L2の調製に用いた市販材料は、前述の通りである。
【0079】
そして、ポンプ15(ロータリーポンプ)を稼働させることにより、予備槽11の予備乳化物L1を、液供給管13を介して、配合槽12内の第2液相L2に、表6に記載の条件にて供給した。このとき、内径が5mmの噴流ノズル14から予備乳化物L1を第2液相L2中に吐出して水中油型乳化物を製造した。このとき噴流ノズル14から予備乳化物L1が噴き出し、拡散することが配合槽12の上方から目視で確認することができた。
【0080】
実施例12では、表6に記載の条件に変更したことを除いて、実施例11と同様の操作を行った。
【0081】
【0082】
【0083】
【0084】
【0085】
【0086】
【0087】
(油相の平均粒径の測定)
実施例1乃至12及び比較例2のそれぞれで得られた予備乳化物L1について、油相の平均粒径(22℃)を、レーザー回折/散乱式粒度分布測定装置(LA-960S 堀場製作所社製)を用いたレーザー回折散乱法により面積基準平均粒径として測定した。同様に、実施例1乃至12及び比較例1及び2のそれぞれで得られた水中油型乳化物について、油相の平均粒径(22℃)を測定した。実施例1乃至12で得られた水中油型乳化物中の油相の平均粒径は、各実施例で用いた円形噴流ノズル14の内径より小さかった。実施例1乃至12では、噴流ノズル14から予備乳化物L1が噴き出し、拡散することが目視で確認することができた。したがって、実施例1乃至12では、噴流ノズル14から吐出した流体の状態は、噴流状態であると判断した。その結果については表1乃至6に示す。なお、比較例1では、予備乳化物の乳化状態の維持ができなかったため、測定を行うことができなかった。
【0088】
(粘度の測定)
実施例1乃至12及び比較例2のそれぞれで得られた予備乳化物L1及び第2水相L2について、下記の条件で、B型粘度計(BL 東機産業社製)を用いて粘度(22℃)を測定した。同様に、実施例1乃至12及び比較例1乃至2のそれぞれで得られた水中油型乳化物について、粘度を測定した。その結果については表1乃至6に示す。測定温度は、予備乳化物L1の第2液相L2への添加時と同じく室温(22℃)である。
【0089】
粘度が50mPa・m以下の場合 ローターNo.1、回転数60rpm、測定時間1分間
粘度が50mPa・mを超えて20000Pa・m未満の場合 ローターNo.2、回転数6rpm、測定時間1分間
粘度が20000mPa・m以上の場合 ローターNo.4、回転数6rpm、測定時間1分間