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▶ 嶋崎 泰蔵の特許一覧

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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2022177884
(43)【公開日】2022-12-02
(54)【発明の名称】ルアー
(51)【国際特許分類】
   A01K 85/18 20060101AFI20221125BHJP
   A01K 85/00 20060101ALI20221125BHJP
【FI】
A01K85/18
A01K85/00 G
【審査請求】有
【請求項の数】5
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2021084310
(22)【出願日】2021-05-19
(71)【出願人】
【識別番号】598074874
【氏名又は名称】嶋崎 泰蔵
(74)【代理人】
【識別番号】100167818
【弁理士】
【氏名又は名称】蓑和田 登
(72)【発明者】
【氏名】嶋崎 泰蔵
【テーマコード(参考)】
2B307
【Fターム(参考)】
2B307BA42
2B307BA70
2B307BB09
2B307BB10
(57)【要約】
【課題】捕食音やバブルを深場側により確実に送り、より効果的に水中にいる魚(特に深場に潜む魚)にアピールすることができるルアーを提供する。
【解決手段】ルアー1は、小魚に似せた形状を有するボディ2と、ボディ2に取り付けられ、ボディ2が水中に侵入する際に空気を含むための窪み空間3aを有するカップ3と、を備える。この構成により、ルアー1では、捕食音やバブルを深場側により確実に送り、より効果的に水中にいる魚(特に深場に潜む魚)にアピールすることができる。
【選択図】図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
小魚に似せた形状を有するボディと、
前記ボディに取り付けられ、前記ボディが水中に侵入する際に空気を含むための窪み空間を有するカップと、を有することを特徴とするルアー。
【請求項2】
前記カップは、お椀形状を有し、
前記ボディの頭部を前方とした場合、当該お椀形状の開口面が前方を向くように前記ボディの尾部に取り付けられる、ことを特徴とする請求項1記載のルアー。
【請求項3】
さらに、前記ボディの尾側の端部と前記カップの底部を接続するカップ接続部材を備え、
前記ボディの体高と前記カップの開口面の直径との比率は、5:1~0.5:1の範囲内となる、ことを特徴とする請求項1又は2記載のルアー。
【請求項4】
前記ボディは、水面での浮き姿勢において、頭部が水中に沈み込む一方、尾部が水面上に浮き上がっている姿勢となるように比重配分されており、アクション時において、前記ルアーは水面に対して鋭角の姿勢を保ちながら水中方向に潜り込む、ことを特徴とする請求項1乃至3のいずれか一項に記載のルアー。
【請求項5】
さらに、前記カップは、その底側に貫通孔を有して、当該貫通孔を前記ボディに貫通させた、ことを特徴とする請求項1乃至4のいずれか一項に記載のルアー。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、魚釣りに用いるルアーに関する。
【背景技術】
【0002】
従来より、魚釣りにおいて餌となる小魚を捕食する音が釣果につながることが古くから知られており、この捕食音を作り出すことができる様々なルアーが用いられている。例えば、ポッパーと呼ばれるルアーは、ルアーの頭部をカップ状にして、浮き姿勢が水面に対して水平又は尻部が水面下に沈むようにしている。そして、フィッシングの際に水面でルアーを引くと、頭部のカップからの捕食音やバブルが発生して、これによって集魚効果を高めるよう構成されている。
【0003】
そして、例えば、スプーン的機能(揺動による集魚効果)とポッパー的機能(水飛沫による集魚効果)とを兼ね備えたルアーが開示されている(例えば、特許文献1参照)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2001-61371号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかしながら、上記従来のポッパーと呼ばれるルアーでは、釣糸を強く引くことでルアーが水平方向に移動しながら水中にわずかに潜るときに頭部のカップに空気を含ませることで捕食音を演出する。この場合、図6(a)に示すように、ルアー10のカップ11の開口面部が水面に対してほぼ直角に近い角度となり、この結果、カップ11の水面から浮いている部分でのみでしか空気を含むことができず、魚へのアピールが充分に効率的ではない。
【0006】
また、図6(b)に示すように、ルアー10は水面の水平方向からやや水面下へ引かれることで捕食音を出すように構造されている。このために、水中での捕食音の伝わり方やバブルの形成もほぼ水面に沿った水平方向がメインとなり、例えばルアーの下方向に潜んでいる魚に対するアピール力が欠けるという問題がある。
【0007】
本発明は、上記課題に鑑みてなされたものであり、捕食音やバブルをルアーの下方向により確実に送り、より効果的に水中にいる魚(特に深場に潜む魚)にアピールすることができるルアーを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0008】
上記目的を達成するために本発明は、小魚に似せた形状を有するボディと、前記ボディに取り付けられ、前記ボディが水中に侵入する際に空気を含むための窪み空間を有するカップと、を有することを特徴とする。
【0009】
このルアーにおいて、前記カップは、お椀形状を有し、前記ボディの頭部を前方とした場合、当該お椀形状の開口面が前方を向くように前記ボディの尾部に取り付けられることが好ましい。
【0010】
このルアーにおいて、さらに、前記ボディの尾側の端部と前記カップの底部を接続するカップ接続部材を備え、前記ボディの体高と前記カップの開口面の直径との比率は、5:1~0.5:1の範囲内となることが好ましい。
【0011】
このルアーにおいて、前記ボディは、水面での浮き姿勢において、頭部が水中に沈み込む一方、尾部が水面上に浮き上がっている姿勢となるように比重配分されており、アクション時において、前記ルアーは水面に対して鋭角の姿勢を保ちながら水中方向に潜り込むことが好ましい。
【0012】
このルアーにおいて、さらに、前記カップは、その底側に貫通孔を有して、当該貫通孔を前記ボディに貫通させたことが好ましい。
【発明の効果】
【0013】
本発明に係るルアーは、小魚に似せた形状を有するボディと、ボディに取り付けられ、ボディが水中に侵入する際に空気を含むための窪み空間を有するカップと、を備える。このカップは、例えばお椀形状を有し、ボディの頭部を前方とした場合、お椀形状の開口面が前方を向くようにボディの尾部に取り付けられる。この構成により、本発明に係るルアーは、捕食音やバブルを深場側により確実に送り、より効果的に水中にいる魚(特に深場に潜む魚)にアピールすることができる。
【図面の簡単な説明】
【0014】
図1】(a)本発明の実施の形態に係るルアーの斜視図、(b)同上ルアーの側面図、(c)同上ルアーの平面図である。
図2】(a)及び(b)同上ルアーの水中での動きを説明するための図である。
図3】本発明の実施の形態の変形例1に係るルアーの説明図である。
図4】(a)乃至(c)本発明の実施の形態の変形例2に係るルアーに用いるカップの形状の説明図である。
図5】本発明の実施の形態の変形例に係るルアーの斜視図である。
図6】(a)及び(b)従来のポッパーと呼ばれるルアーの水中での動作を説明するための参考図である。
【発明を実施するための形態】
【0015】
(実施の形態)
本発明の実施の形態に係るルアーについて図面を参照して説明する。ルアーとは、釣りの際に用いる疑似餌のことであり、本実施の形態に係るルアーは、特に水面の表層を移動させるポッパーと呼ばれる種類に属している。このポッパーと呼ばれるルアーは、ロッドやルアーの操作によって捕食音やバブルを水面近くで発生させて、魚に対してアピールすることを特徴とする。
【0016】
最初に、本実施の形態に係るルアーの構成に関して、図1及び図2を参照しながら説明する。ルアー1は、図1(a)に示すように、ボディ2、カップ3、釣糸接続部4,フック5を備える。
【0017】
ボディ2は例えば小魚のような形状を有して、木材や合成樹脂(ABS樹脂など)などの軽量な材料を用いれ構成され、さらに中空構造とすることでルアー1が水面に浮かぶように構成されている。なお、ボディ2の全長、体高(一番に幅のある縦の長さ)や体厚は様々である。
【0018】
カップ3は、ボディ2に取り付けられ、ボディ2が水中に侵入する際に空気を含むための窪み空間3aを有する。本実施の形態のカップ3は、図1に示すようなお椀形状を有し、ボディ2の頭部を前方とした場合、当該お椀形状の開口面が前方を向くようにボディ2の尾部に取り付けられる。例えば、図1(a)に示すようにボディ2の尾側の端部とカップ3の底部とがカップ接続部材3bを介して接続固定されても良い。なお、カップ3はボディ2にネジ込み構造などを用いて着脱可能に固定しても良い。またカップ3の材質は例えば真鍮、ABSなどの強化合成樹脂やシリコンなどである。
【0019】
ボディ2の体高とカップ3の開口面の直径との比率は、5:1~0.5:1の範囲内となることが好ましい。このような比率とすることで、カップ3が水中に侵入する際に、お椀形状の窪み空間3aに捕食音やバブルを発生させるだけの充分な空気を含むことができるためである。
【0020】
釣糸接続部4は、例えばボディ2の頭部側に形成された環状輪であり、釣糸が連結され、この釣り糸の他端側は釣り竿に接続されている。フック接続部5aは、例えばボディ2の腹部に配置され(本実施の形態では2か所において形成)、釣り針となるフック5が接続される。
【0021】
次に、本実施の形態に係るルアー1のルアーフィッシング時における水中での動きに関して図2を参照して説明する。
【0022】
最初に、釣り竿を使用してルアー1を目的のポイント目掛けて投入する。ルアー1が水面Sに着水すると、ボディ2の比重配分に応じてボディ2の浮き角度が決まる。ここでは、図2(a)に示すように、例えば、ノーアクション時の浮き姿勢においてルアー1の頭部が水中に沈み、尾部が水面S上に完全に浮き上がっている姿勢(すなわち逆立ち姿勢)となるように比重配分されている。この比重配分は例えばボディ2の頭部側の高比重の材料を用いるなどである。ボディ2の多くは水中にある一方、カップ3は、この状態では水面Sより上に出ている。
【0023】
次に、図2(b)に示すように、釣糸が強く引かれるアクション時には、ルアー1は水面Sに対して鋭角の姿勢を保ちながら水中方向に潜り込む。この時、ルアー1の尾部に設けられたカップ3の窪み空間3aに比較的多くの空気を含みながら水中に勢いよく侵入することとなる。そして、この窪み空間3aに多くの空気があるために、水中にカップ3が侵入した際には、より大きな捕食音、バブルの発生を演出できる。また、この際、ルアー1が水面に対して鋭角方向に潜ることで、発生された捕食音が、図2(b)の鎖線で囲まれた範囲Rに集中して、この結果、水中の下方向(深場方向)へ伝わり、より深い場所に潜んで居る魚へのアピールとなる。一般的に大きな魚ほど警戒心が強く、より深い場所に潜んでいることが多いためである。
【0024】
以上の説明のように、本実施の形態に係るルアー1は、小魚に似せた形状(側面視で略楕円形状に近い形状)を有するボディ2と、ボディ2に取り付けられ、ボディ2が水中に侵入する際に空気を含むための窪み空間3aを有するカップ3と、を備える。このカップ3は、お椀形状を有し、ボディ2の頭部を前方とした場合、お椀形状の開口面が前方を向くようにボディ2の尾部に取り付けられる。この構成により、ルアー1は、捕食音やバブルを深場側により確実に送り、より効果的に水中にいる魚(特に深場に潜む魚)にアピールすることができる。すなわち、従来のポッパーは音やバブルを水平方向に発していたために下方向へのアピールが不十分であったが、本願発明に係るルアー1では音、バブルを下方向に効率よく発することができる。この効果によって、より深場に潜む魚へのアピールを可能とした。
【0025】
(第1の変形例)
本実施の形態の第1の変形例について、図3を参照して説明する。本変形例1に係るルアー1において、カップ3には底側に貫通孔3cが形成され、当該貫通孔3cをボディ2に貫通させることで、カップ3をボディの尾側ではなく、より腹部側に配置できる。この構成においても、上記実施の形態と同様の作用効果を奏することができる。
【0026】
(第2の変形例)
本実施の形態の第2の変形例について、図4を参照して説明する。本変形例2に係るルアー1において、カップ3は図4(a)に示すようなお椀形状ではなく、図4(b)に示すような開口面が多角形状、図4(c)に示す開口面がクローバー形状など様々な形状とできる。すなわちカップ3は、空気を含むことができる窪み空間3aを有していればよい。また、釣り場の状況や魚の種類などに応じてカップ3の深さや窪み空間3aの容積を適宜変更することも考え得る。そして、上述のようにカップ3はボディ2にネジ込み構造などを用いて着脱可能に固定することで、フィッシングのその場の状況に最適なカップの形状や大きさを選択する。この構成においても、上記実施の形態と同様の作用効果を奏することができる。
【0027】
なお、本発明は、上記各実施の形態の構成に限られず、発明の趣旨を変更しない範囲で種々の変形が可能である。例えば、図5に示すようにカップ3を接続部材3bを介さず直接ボディ2の尾部に接合しても良い。ルアー1のボディ2の形状は小魚形状に限定されるものではなく、また、釣糸接続部4の位置はボディ2の頭部に限定されるものではなく、その他の箇所に形成されてもよい。
【符号の説明】
【0028】
1 ルアー
2 ボディ
3 カップ
3a 窪み空間
3b カップ接続部材
3c 貫通孔
4 釣糸接続部
5 フック
5a フック接続部
図1
図2
図3
図4
図5
図6