(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2022177896
(43)【公開日】2022-12-02
(54)【発明の名称】浴槽洗浄コントローラ
(51)【国際特許分類】
F24H 9/16 20220101AFI20221125BHJP
A47K 3/00 20060101ALI20221125BHJP
【FI】
F24H9/16 F
A47K3/00 Z
【審査請求】未請求
【請求項の数】4
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2021084332
(22)【出願日】2021-05-19
(71)【出願人】
【識別番号】000004709
【氏名又は名称】株式会社ノーリツ
(74)【代理人】
【識別番号】100089004
【弁理士】
【氏名又は名称】岡村 俊雄
(72)【発明者】
【氏名】久保 隆志
【テーマコード(参考)】
2D005
【Fターム(参考)】
2D005FA00
(57)【要約】
【課題】自動排水栓の開閉を妨げずに浴槽洗浄装置の故障を防止するためのインターロック機能を備えた浴槽洗浄コントローラを提供すること。
【解決手段】浴槽洗浄運転を行う浴槽洗浄装置(20)を制御する制御部(24)を有する浴槽洗浄コントローラ(22)は、浴槽洗浄装置(20)に装備された複数の電気負荷及び浴槽の自動排水栓(4)に夫々駆動用の電力を供給する電源部(23)と、電源部(23)が所定の標準電圧よりも高電圧の電源に接続されたことを検知する電圧検知部(25)を有し、電圧検知部(25)が標準電圧よりも高電圧の電源への接続を検知している場合に、電源部(23)から自動排水栓(4)への駆動用の電力供給を許容しながら浴槽洗浄運転を禁止するインターロック機能を備えた。
【選択図】
図2
【特許請求の範囲】
【請求項1】
浴槽洗浄運転を行う浴槽洗浄装置を制御する制御部を有する浴槽洗浄コントローラにおいて、
前記浴槽洗浄装置に装備された複数の電気負荷及び浴槽の自動排水栓に夫々駆動用の電力を供給する電源部と、前記電源部が所定の標準電圧よりも高電圧の電源に接続されたことを検知する電圧検知部を有し、
前記電圧検知部が前記標準電圧よりも高電圧の電源への接続を検知している場合に、前記電源部から前記自動排水栓への駆動用の電力供給を許容しながら前記浴槽洗浄運転を禁止するインターロック機能を備えたことを特徴とする浴槽洗浄コントローラ。
【請求項2】
前記電源部は、前記複数の電気負荷のうちの少なくとも1つに前記標準電圧に基づいて生成される電圧の高圧電力を供給し、前記自動排水栓には前記標準電圧に基づいて生成される電圧よりも低電圧の低圧電力を供給することを特徴とする請求項1に記載の浴槽洗浄コントローラ。
【請求項3】
前記電源部は、前記標準電圧に基づいて生成される電圧の高圧電力を供給するための1次供給部と、前記高圧電力の一部を前記標準電圧に基づいて生成される電圧よりも低電圧の低圧電力に変換して供給する2次供給部を有し、
前記複数の電気負荷のうちの少なくとも1つに前記1次供給部から電力を供給し、前記自動排水栓には前記2次供給部から電力を供給することを特徴とする請求項1に記載の浴槽洗浄コントローラ。
【請求項4】
前記自動排水栓に対して、前記電源部から駆動用の電力供給のみ可能なように接続され、前記制御部は前記自動排水栓の開閉制御を行わないことを特徴とする請求項1~3の何れか1項に記載の浴槽洗浄コントローラ。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、給湯装置から供給される湯水を使用して浴槽を洗浄する浴槽洗浄装置の制御を行う浴槽洗浄コントローラに関する。
【背景技術】
【0002】
従来から、浴槽に湯水を供給する給湯装置と連動して浴槽の排水栓を開閉可能に構成されたふろ給湯システムが利用されている。このふろ給湯システムは、予め設定した時刻に自動的に排水栓を閉栓して湯張りすることができるので便利である。浴槽の排水栓(自動排水栓)は、ユーザによる排水スイッチの操作によっても開閉される。
【0003】
一方、浴槽内に洗浄液を散布した後、湯水を噴射してすすぎ洗いを行うことにより、浴槽を自動洗浄する浴槽洗浄装置が利用されている。浴槽洗浄装置は、浴槽の排水栓が開栓された状態で、給湯装置から湯水の供給を受けて浴槽洗浄運転を行うので、給湯装置と連動して自動排水栓の開閉が可能なふろ給湯システムと親和性が高い。それ故、上記ふろ給湯システムに浴槽洗浄装置が組み合されて、浴槽洗浄システムが構成される。
【0004】
浴槽洗浄システムは電力の供給を受けて、自動排水栓を駆動する電動モータ、浴槽洗浄装置に装備された電磁弁等が駆動されるが、自動排水栓の電動モータと浴槽洗浄装置の電磁弁とでは駆動電圧が異なる場合がある。例えば特許文献1には、自動排水栓よりも駆動電圧が高い開閉弁を有し、開閉弁の駆動時には、自動排水栓の駆動電圧で開閉弁に電力供給してから開閉弁を駆動するための高い駆動電圧で電力供給するように構成された浴槽洗浄システムが記載されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
浴槽洗浄装置は、浴槽洗浄運転における電磁弁等の駆動制御のための浴槽洗浄コントローラを有する。この浴槽洗浄コントローラは、浴槽洗浄装置の制御だけでなく、浴槽洗浄装置に駆動用の電力を供給する。ふろ給湯システムに浴槽洗浄装置を組み合わせる場合には、電力供給が容易になるように、自動排水栓が浴槽洗浄コントローラから電力供給を受けるように接続される。
【0007】
自動排水栓と浴槽洗浄装置は浴槽近傍の被水し易い環境に設置されるが、浴槽洗浄コントローラは被水しない浴室の天井裏に設置される場合が多い。そして、浴室の天井裏には、標準的な電圧(標準電圧)の100V交流電源の他に、高電圧の200V交流電源が引き込まれている場合がある。
【0008】
標準電圧の100V交流電源に接続する仕様の浴槽洗浄コントローラが、高電圧の200V交流電源に誤って接続されると、通常よりも高電圧の電力を受ける部品が破損する虞がある。それ故、浴槽洗浄コントローラは、高電圧の交流電源に誤接続されている場合には電力供給を禁止するインターロック機能を搭載している。しかし、インターロック機能によって自動排水栓を駆動することができず、ユーザが入浴することができなくなる。
【0009】
本発明の目的は、自動排水栓の開閉を妨げずに浴槽洗浄装置の故障を防止するためのインターロック機能を備えた浴槽洗浄コントローラを提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0010】
請求項1の発明の浴槽洗浄コントローラは、浴槽洗浄運転を行う浴槽洗浄装置を制御する制御部を有する浴槽洗浄コントローラにおいて、前記浴槽洗浄装置に装備された複数の電気負荷及び浴槽の自動排水栓に夫々駆動用の電力を供給する電源部と、前記電源部が所定の標準電圧よりも高電圧の電源に接続されたことを検知する電圧検知部を有し、前記電圧検知部が前記標準電圧よりも高電圧の電源への接続を検知している場合に、前記電源部から前記自動排水栓への駆動用の電力供給を許容しながら前記浴槽洗浄運転を禁止するインターロック機能を備えたことを特徴としている。
【0011】
上記構成によれば、浴槽洗浄コントローラの電源部が標準電圧よりも高電圧の電源に接続されている場合に、浴槽洗浄運転を禁止することによって浴槽洗浄装置の破損を防止すると共に、浴槽の自動排水栓に対しては駆動用の電力供給を許容する。従って、浴槽洗浄コントローラの電源部が標準電圧よりも高電圧の電源へ誤接続されても、自動排水栓への駆動用の電力供給を許容しながら浴槽洗浄運転を禁止するインターロック機能によって、自動排水栓の開閉が可能である。それ故、浴槽の湯張り及び排水が可能であり、ユーザの入浴が妨げられない。
【0012】
請求項2の発明の浴槽洗浄コントローラは、請求項1の発明において、前記電源部は、前記複数の電気負荷のうちの少なくとも1つに前記標準電圧に基づいて生成される電圧の高圧電力を供給し、前記自動排水栓には前記標準電圧に基づいて生成される電圧よりも低電圧の低圧電力を供給することを特徴としている。
上記構成によれば、動作電圧が異なる浴槽洗浄装置の複数の電気負荷のうちの少なくとも1つには標準電圧に基づいて生成される電圧の高圧電力が供給され、この標準電圧に基づいて生成される電圧よりも低電圧の低圧電力が自動排水栓に供給される。浴槽洗浄コントローラの電源部が標準電圧よりも高電圧の電源に接続された場合に、高圧電力を受ける電気負荷は、浴槽洗浄運転の禁止によって駆動されないので通常よりも高電圧の高圧電力を受けず、破損を防止することができる。一方、高圧電力よりも低電圧の低圧電力を受ける自動排水栓に対しては、標準電圧よりも高電圧の電源への誤接続時でも低圧電力を供給して、自動排水栓を開閉することができる。
【0013】
請求項3の発明の浴槽洗浄コントローラは、請求項1の発明において、前記電源部は、前記標準電圧に基づいて生成される電圧の高圧電力を供給するための1次供給部と、前記高圧電力の一部を前記標準電圧に基づいて生成される電圧よりも低電圧の低圧電力に変換して供給する2次供給部を有し、前記複数の電気負荷のうちの少なくとも1つに前記1次供給部から電力を供給し、前記自動排水栓には前記2次供給部から電力を供給することを特徴としている。
上記構成によれば、浴槽洗浄装置の複数の電気負荷のうちの少なくとも1つには1次供給部から標準電圧に基づいて生成される電圧の高圧電力が供給され、自動排水栓には1次供給部の高圧電力の一部を標準電圧に基づいて生成される電圧よりも低電圧の低圧電力に変換して供給する2次供給部から低圧電力が供給される。浴槽洗浄コントローラの電源部が標準電圧よりも高電圧の電源に接続された場合に、高圧電力を受ける電気負荷は、浴槽洗浄運転の禁止によって駆動されないので通常よりも高電圧の高圧電力を受けず、破損を防止することができる。一方、低圧電力を受ける自動排水栓に対しては、標準電圧よりも高電圧の電源への誤接続時でも低圧電力を供給して、自動排水栓を開閉することができる。
【0014】
請求項4の発明の浴槽洗浄コントローラは、請求項1~3の何れか1項の発明において、前記自動排水栓に対して、前記電源部から駆動用の電力供給のみ可能なように接続され、前記制御部は前記自動排水栓の開閉制御を行わないことを特徴としている。
上記構成によれば、浴槽洗浄コントローラは、浴槽洗浄装置に電力を供給すると共に浴槽洗浄運転を制御し、自動排水栓には駆動用の電力の供給のみ行う。従って、例えば自動排水栓が浴槽洗浄コントローラ以外のコントローラによって制御されるように構成され、浴槽洗浄コントローラが標準電圧よりも高電圧の電源に誤接続された場合においても、浴槽洗浄運転が禁止された浴槽洗浄装置から独立して自動排水栓に駆動用の電力が供給されるので、自動排水栓を開閉することができ、ユーザの入浴が妨げられない。
【発明の効果】
【0015】
本発明の浴槽洗浄コントローラによれば、標準電圧よりも高電圧の電源への誤接続時に、インターロック機能によって浴槽洗浄装置の故障を防ぐと共に自動排水栓の開閉を許容することができる。
【図面の簡単な説明】
【0016】
【
図1】本発明の実施例1に係る浴槽洗浄システムの説明図である。
【
図4】本発明の実施例2に係る浴槽洗浄システムの説明図である。
【発明を実施するための形態】
【0017】
以下、本発明を実施するための形態について実施例に基づいて説明する。
【実施例0018】
最初に、浴槽洗浄システム1の全体構成について、
図1に基づいて説明する。
浴槽2には、浴槽2に対して湯張り及び追焚きを行う給湯装置10が、追焚き通路3と循環アダプタ2aを介して接続されている。また、浴槽2の底部には、矢印Dで示すように浴槽2から湯水を排水するための例えば電動モータ式の自動排水栓4と、洗浄液の散布及び湯水の噴射によって浴槽2を洗浄するための浴槽洗浄装置20の洗浄ノズル5が配設されている。
【0019】
浴槽洗浄装置20は、洗浄ノズル5と、洗剤をためておく洗剤タンク6と、洗浄ノズル5に湯水及び洗浄液を供給する供給ユニット21を有する。浴槽2の近傍には、供給ユニット21と洗剤タンク6と、ユーザによる自動排水栓4の開栓操作及び閉栓操作のための排水スイッチ7が配設されている。供給ユニット21には、給湯装置10から供給される湯水の通路(給湯通路8)が接続されている。この給湯通路8は、他の給湯先として例えばカラン9にも接続されている。
【0020】
給湯装置10は、矢印Wのように供給される上水を燃料ガスの燃焼熱により加熱して、所定の温度に調整した湯水を給湯する燃焼式給湯装置であるが、ヒートポンプ式熱源機等他の熱源機を有する給湯装置等であってもよい。給湯装置10は、予め設定された給湯設定温度の湯水を例えばカラン9に供給する給湯運転、予め設定された湯張り設定温度の湯水を浴槽2に所定の水位(湯水量)になるまで供給する湯張り運転、浴槽2の湯水を加熱して浴槽2に戻す追焚き運転等、各種運転を行う。
【0021】
この給湯装置10には、湯張り運転の開始操作、追焚き運転の開始操作、給湯設定温度の設定操作、湯張り設定温度の設定操作等を行うための給湯操作端末として、例えば浴室に設置される浴室リモコン10aと、例えば台所に設置される台所リモコン10bが接続されている。
【0022】
浴槽2の近傍よりも被水し難い場所として例えば浴室の天井裏には、浴槽洗浄運転を行う浴槽洗浄装置20を制御する浴槽洗浄コントローラ22が配設されている。そして、給湯装置10と、この給湯装置10から湯水供給を受ける浴槽洗浄装置20と、浴槽洗浄コントローラ22と、浴槽2の自動排水栓4によって、浴槽洗浄システム1が構成されている。
【0023】
供給ユニット21は、洗浄ノズル5に湯水を供給するための湯水通路35を備えている。この湯水通路35は、洗浄ノズル5に供給する湯水に洗剤を少しずつ混合して洗浄液を生成するために、ベンチュリ36を備えている。給湯通路8が接続された湯水通路35の入口には、湯水中の異物を捕集するフィルタ37が配設されている。
【0024】
湯水通路35のフィルタ37とベンチュリ36の間には、温度センサを備えた洗浄流量調整弁38、洗浄流量センサ40、電磁弁(湯水弁41)、大気開放弁42a,42b、逆止弁43a,43bが装備されている。ベンチュリ36には、洗剤タンク6から洗剤を供給するために、電磁弁(洗剤弁44)を備えた洗剤通路45が接続されている。洗浄流量調整弁38、洗浄流量センサ40、湯水弁41、洗剤弁44は、浴槽洗浄装置20の複数の電気負荷に相当し、例えば湯水弁41が、洗浄流量調整弁38、洗剤弁44よりも高い電圧の駆動用電力を要求する電気負荷である。
【0025】
浴槽洗浄コントローラ22は、供給ユニット21の複数の電気負荷に対して、夫々電力供給が可能なように電力ケーブルによって接続されている。そして、これら複数の電気負荷に対しては、例えば供給する電力に通信信号を重畳させることにより電力ケーブルを介して通信可能であるが、別途通信ケーブルが接続されていてもよい。また、浴槽洗浄コントローラ22は、給湯装置10にも通信可能に接続されている。
【0026】
その上、浴槽洗浄コントローラ22は、排水スイッチ7を介して自動排水栓4に駆動用の電力を供給可能に接続されている。排水スイッチ7は、ユーザに操作された場合に、例えば一定時間だけ駆動用の電力が浴槽洗浄コントローラ22から排水スイッチ7を介して自動排水栓4に供給されるように構成されている。自動排水栓4は、駆動用の電力を受けて開から閉、又は閉から開となるように作動するが、排水スイッチ7が例えば駆動用の電力の極性を入れ替え可能に構成されて自動排水栓4の開閉が切り替えられるようにしてもよい。また、例えば台所リモコン10bから湯張り運転の開始操作が行われると、浴槽洗浄コントローラ22以外のコントローラとして給湯装置10が、浴槽洗浄コントローラ22を介して排水スイッチ7を作動させ、浴槽洗浄コントローラ22が駆動用の電力を自動排水栓4に供給して自動排水栓4を閉栓させる。
【0027】
浴槽洗浄コントローラ22には、浴槽洗浄運転開始操作、浴槽洗浄運転で使用する湯水の要求温度の設定操作等を行うための洗浄リモコン34が接続されている。洗浄リモコン34は、多くの場合、浴室に隣接する脱衣室に設置される。
【0028】
浴槽洗浄運転では、浴槽洗浄コントローラ22は、洗浄流量調整弁38の開度調整、湯水弁41と洗剤弁44の開閉制御を行う。また、浴槽洗浄コントローラ22は、洗剤タンク6の洗剤残量を例えばフロートスイッチ6aによって検知可能なように接続されている。
【0029】
浴槽洗浄コントローラ22について説明する。
浴槽洗浄コントローラ22は、
図2に示すように、浴槽洗浄装置20の複数の電気負荷と自動排水栓4に電力を供給する電源部23と、浴槽洗浄装置20の複数の電気負荷を駆動して浴槽洗浄装置20を制御する制御部24を有する。制御部24は、電圧監視回路部25(電圧検知部)と、演算部26と、第1駆動回路部27と第2駆動回路部28を有する。
【0030】
演算部26は、電圧監視回路部25からの電圧情報、洗浄流量センサ40からの検知流量等を制御プログラムに基づき演算し、演算結果に基づき第1駆動回路部27又は第2駆動回路部28を介して、浴槽洗浄装置20の電気負荷である洗浄流量調整弁38、湯水弁41、洗剤弁44を制御する。
【0031】
電源部23は、1次供給部29と2次供給部30を有する。1次供給部29は、交流電源Eから入力される交流電力を直流電力に変換して供給する。2次供給部30は、1次供給部29の直流電力を電圧が低い直流電力に変換して供給する。2次供給部30は1次供給部29から絶縁されており、トランス31を介して1次供給部29から2次供給部30に電力が供給される。
【0032】
1次供給部29は、第1整流回路部29aと第1平滑回路部29bとスイッチング電源回路部(SW電源回路部)29cを有する。交流電源Eから入力される交流電力は、第1整流回路部29aと第1平滑回路部29bによって、入力される交流電力の電圧に基づく電圧の直流電力に変換される。1次供給部29から供給される直流電力を高圧電力とする。
【0033】
交流電源Eが所定の標準電圧の例えば100V交流電源であり、電源部23がこの標準電圧の交流電源Eに接続された場合に、入力される標準電圧の交流電力が1次供給部29によって予め設定された基準電圧(例えば140V)の直流電力(高圧電力)に変換される。一方、交流電源Eが標準電圧よりも高電圧の例えば200V交流電源であり、電源部23がこの高電圧の交流電源Eに接続された場合には、入力される交流電力が1次供給部29によって基準電圧よりも高電圧(例えば280V)の直流電力に変換されることになる。尚、所定の標準電圧は様々な電力供給環境に対応できるようにある程度幅を持たせることができ、電源部23が標準電圧として例えば100+/-15Vの入力に対応可能である場合に基準電圧を例えば161Vとしてもよい。
【0034】
高圧電力の一部は、スイッチング電源回路部29cに供給されて交流電源Eからの入力よりも高周波数のパルス状の電力に変換され、トランス31に供給される。また、浴槽洗浄装置20の高電圧の駆動用電力を要求する電気負荷(湯水弁41)にも、高圧電力を供給することができる。湯水弁41は、例えばノーマルクローズタイプの電磁弁であり、湯水のリークを防ぐための付勢力又は給水圧に打ち勝って開弁するために、1次供給部29から供給される高圧電力が要求される。
【0035】
2次供給部30は、第2整流回路部30aと第2平滑回路部30bを有する。トランス31を介して入力される高圧電力よりも低電圧化されたパルス状の電力は、低電圧(例えば15V)の直流電力に変換される。この2次供給部30から供給される直流電力を低圧電力とする。低圧電力は、制御部24に供給される。また、浴槽洗浄装置20の低圧電力を要求する電気負荷(例えば洗浄流量調整弁38、洗剤弁44)と自動排水栓4に供給可能である。洗浄流量調整弁38は、例えばステッピングモータによる開度調整によって、湯水通路35を流通する湯水の流量を調整する。このとき正確な高速動作及び開度維持のために、洗浄流量調整弁38の駆動用電力として低圧電力が要求される。洗剤弁44は、大きい圧力を受けないため湯水弁41よりも付勢力が小さいノーマルクローズタイプの電磁弁であり、2次供給部30から供給される低圧電力によって駆動する。
【0036】
制御部24は、低圧電力の供給を受けて作動し、高圧電力を受けて駆動する電気負荷に対して第1駆動回路部27を介して駆動制御し、低圧電力を受けて駆動する電気負荷に対して第2駆動回路部28を介して駆動制御する。制御部24は、必要に応じて作動に要求される電圧(例えば5V、3.3V)に降圧する図示外の降圧回路部を備えていてもよい。
【0037】
電圧監視回路部25は、1次供給部29の高圧電力の電圧を検知して、この高圧電力が基準電圧であるか又は基準電圧よりも高い過電圧であるかの電圧情報を演算部26に送信する。演算部26は、受信した電圧情報が基準電圧の場合には、標準電圧の交流電源に接続されたものとして浴槽洗浄装置20を駆動して、浴槽洗浄運転を行う。
【0038】
一方、演算部26は、受信した電圧情報が過電圧の場合には、標準電圧よりも高電圧の交流電源に接続されたものとして浴槽洗浄装置20を駆動させないために、インターロック機能として電力供給可能な状態で浴槽洗浄運転を禁止する。従って、駆動時に1次供給部29から高圧電力の供給を受ける電気負荷(洗浄流量調整弁38、湯水弁41)には、電力供給可能な状態であるが基準電圧よりも高い過電圧の高圧電力が供給されず、浴槽洗浄装置20の故障が防止される。
【0039】
2次供給部30は、スイッチング電源回路部29cの出力側に備えられているので、標準電圧よりも高電圧(例えば200V)の交流電源に電源部23が接続された影響を受けない。そして、電源部23が標準電圧よりも高電圧の交流電源に接続されている場合でも、要求される低電圧の低圧電力(例えば15Vの直流電力)に変換して供給する。従って、電源部23が標準電圧よりも高電圧の交流電源に誤接続された場合でも、自動排水栓4には駆動用の低圧電力の供給を行うことができ、制御部24は通常通りに作動する。それ故、電源部23から自動排水栓4への駆動用の電力供給を許容しながら浴槽洗浄運転を禁止するインターロック機能によって、浴槽洗浄運転を禁止することができる。
【0040】
次に、浴槽洗浄運転について説明する。
浴槽洗浄運転は、洗浄液等が浴槽2の外に飛び散らないように不図示の蓋を浴槽2に被せた状態で行われる。洗浄リモコン34において浴槽洗浄運転の開始操作が行われると、浴槽洗浄コントローラ22の電源部23が標準電圧の交流電源に接続されている場合には、浴槽洗浄運転が開始される。一方、浴槽洗浄コントローラ22の電源部23が標準電圧よりも高電圧の交流電源に接続されている場合には、インターロック機能によって浴槽洗浄運転が開始されず、例えば洗浄リモコン34からの出力(音声、表示)によってエラーが報知される。
【0041】
浴槽洗浄運転は、
図3に示すように、準備工程、洗浄工程、終了工程の順に行われる。準備工程では、洗浄前の準備として、洗浄リモコン34からの出力(音声、表示)によって、自動排水栓4の開栓と浴槽2に蓋を被せることをユーザに促し、例えば所定時間経過後に洗浄工程に進む。自動排水栓4が閉じている場合には、所定時間が経過するまでにユーザが排水スイッチ7を操作することにより、自動排水栓4が2次供給部30から供給される低圧電力を受けて開栓される。
【0042】
洗浄工程では、洗浄ノズル5から浴槽2内に湯水の噴射、洗浄液の散布を行う。例えば、予備洗浄として高圧電力を受ける湯水弁41を開けて湯水を噴射し、浴槽2に付着した汚れに水分を浸透させる。このとき、高圧電力を受ける洗浄流量調整弁38が駆動され、調整された開度に維持される。その後、低圧電力を受ける洗剤弁44も開けて、ベンチュリ36を流通する湯水に洗剤通路45から洗剤を混合した洗浄液を洗浄ノズル5から散布した後、湯水弁41と洗剤弁44を閉じて一定時間待機する。この洗浄液散布と一定時間待機を所定回数だけ繰り返して、浴槽2に付着した汚れを浮かせる。
【0043】
洗浄液の散布と一定時間待機を所定回数繰り返した後は、すすぎ洗いとして洗浄ノズル5から湯水を噴射して汚れ及び洗浄液を洗い流す。そして終了工程において、例えば洗浄リモコン34からの出力(音声、表示)によって浴槽2の洗浄が終わったことを報知して、浴槽洗浄運転を終了する。
湯水タンク51とフィルタ37の間には、湯水タンク51の水位が所定の範囲内で変動可能なように、湯水弁41と定流量弁53を夫々備えた2つの通路が並列に接続された並列通路部54を有する。ポンプ52が所定の洗浄流量で洗浄ノズル5に湯水を供給している場合に、並列通路部54の両方の湯水弁41を開けたときには湯水タンク51の水位が上昇し、並列通路部54の一方の湯水弁41を開けたときには湯水タンク51の水位が低下する。
並列通路部54の2つの湯水弁41と、ポンプ52は、浴槽洗浄コントローラ22の電源部23の1次供給部29から高圧電力の供給を受ける浴槽洗浄装置20の電気負荷である。ベンチュリ36に洗剤を供給するための洗剤弁44は、電源部23の2次供給部30から低圧電力の供給を受ける浴槽洗浄装置20の電気負荷である。また、自動排水栓4は、電源部23の2次供給部30から低圧電力の供給を受けて駆動する。
実施例1と同様に、標準電圧よりも高電圧の交流電源に誤接続されている場合には、電源部23から自動排水栓4への駆動用の電力供給を許容しながら浴槽洗浄運転を禁止するインターロック機能によって、電力供給可能な状態で浴槽洗浄運転が禁止される。2次供給部30から低圧電力の供給を受けて駆動する自動排水栓4は、排水スイッチ7の操作によって開閉することができる。
また、動作電圧が異なる浴槽洗浄装置20の複数の電気負荷のうちの少なくとも1つ(湯水弁41、ポンプ52)には1次供給部29から標準電圧に基づいて生成される電圧の高圧電力が供給される。また、1次供給部29の高圧電力の一部を標準電圧に基づいて生成される電圧よりも低電圧の低圧電力に変換して供給する2次供給部30から、低圧電力が自動排水栓4に供給される。浴槽洗浄コントローラ22の電源部23が標準電圧よりも高電圧の電源に接続された場合に、高圧電力を受ける電気負荷(湯水弁41、ポンプ52)は、浴槽洗浄運転の禁止によって駆動されないので通常よりも高電圧の高圧電力を受けず、破損を防止することができる。一方、低圧電力を受ける自動排水栓4に対しては、標準電圧よりも高電圧の電源への誤接続時でも低圧電力を供給して、自動排水栓4を開閉することができる。
浴槽洗浄コントローラ22は、浴槽洗浄装置20に電力を供給すると共に浴槽洗浄運転を制御し、自動排水栓4には駆動用の電力の供給のみ行う。従って、自動排水栓4が浴槽洗浄コントローラ22ではなく、例えばコントローラとして給湯装置10によって制御されるように構成され、浴槽洗浄コントローラ22が標準電圧よりも高電圧の電源に誤接続された場合においても、浴槽洗浄運転が禁止された浴槽洗浄装置20から独立して自動排水栓4に駆動用の電力が供給されるので、自動排水栓4を開閉することができ、ユーザの入浴が妨げられない。
その他、当業者であれば、本発明の趣旨を逸脱することなく、上記実施形態に種々の変更を付加した形態で実施可能であり、本発明はそのような変更形態を包含するものである。