(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2022177968
(43)【公開日】2022-12-02
(54)【発明の名称】地図生成装置、地図生成方法および地図生成プログラム
(51)【国際特許分類】
G09B 29/00 20060101AFI20221125BHJP
G01C 21/32 20060101ALI20221125BHJP
【FI】
G09B29/00 Z
G01C21/32
【審査請求】未請求
【請求項の数】8
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2021084417
(22)【出願日】2021-05-19
(71)【出願人】
【識別番号】309036221
【氏名又は名称】三菱重工機械システム株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100149548
【弁理士】
【氏名又は名称】松沼 泰史
(74)【代理人】
【識別番号】100162868
【弁理士】
【氏名又は名称】伊藤 英輔
(74)【代理人】
【識別番号】100161702
【弁理士】
【氏名又は名称】橋本 宏之
(74)【代理人】
【識別番号】100189348
【弁理士】
【氏名又は名称】古都 智
(74)【代理人】
【識別番号】100196689
【弁理士】
【氏名又は名称】鎌田 康一郎
(72)【発明者】
【氏名】伊藤 大和
【テーマコード(参考)】
2C032
2F129
【Fターム(参考)】
2C032HB11
2C032HB22
2C032HC08
2F129AA03
2F129EE02
2F129EE77
2F129FF02
2F129FF20
2F129FF40
2F129FF61
2F129HH12
(57)【要約】
【課題】地図データに要求される精度を維持しながら、データサイズの小さい地図データを生成する。
【解決手段】要求取得部は、地図データにおいて所定の精度が要求される位置を示す要求情報を取得する。地図データベースには、地上の所定範囲における位置と当該位置の属性との関係を示す地図情報を格納する複数の基本メッシュと、前記基本メッシュより密度の高い地図情報を格納する複数の拡張メッシュとが記憶される。地図生成部は、地図データベースから、要求情報が示す位置を含まない基本メッシュと要求情報が示す位置を含む拡張メッシュとを含む地図データを生成する。
【選択図】
図3
【特許請求の範囲】
【請求項1】
地図データにおいて所定の精度が要求される位置を示す要求情報を取得する要求取得部と、
地上の所定範囲における位置と当該位置の属性との関係を示す地図情報を格納する複数の基本メッシュと、前記基本メッシュより密度の高い地図情報を格納する複数の拡張メッシュとを記憶する地図データベースに基づいて、前記複数の基本メッシュのうち前記要求情報が示す位置を含まない基本メッシュと、前記要求情報が示す位置を含む拡張メッシュとを含む地図データを生成する地図生成部と、
を備える地図生成装置。
【請求項2】
前記地図データベースは、精度レベル別に、前記精度レベルが高いほど前記地図情報の密度が高い前記複数の拡張メッシュを記憶し、
前記要求情報は、当該位置に要求される精度レベルを含み、
前記地図生成部は、前記要求情報が示す精度レベルに関連付けられた前記拡張メッシュを含む前記地図データを生成する
請求項1に記載の地図生成装置。
【請求項3】
前記地図生成部は、前記複数の基本メッシュから構成される基本地図データのうち、前記要求情報が示す位置を含む基本メッシュを、前記要求情報が示す位置を含む前記拡張メッシュで置換した前記地図データを生成する
請求項1又は請求項2に記載の地図生成装置。
【請求項4】
前記要求情報は、課金対象道路の位置を含む
請求項1から請求項3の何れか1項に記載の地図生成装置。
【請求項5】
前記要求情報は、第一精度レベルに関連付けられた課金対象道路の位置と、前記第一精度レベルより高い第二精度レベルに関連付けられた前記課金対象道路と非課金対象道路の境界位置又は前記課金対象道路の交差点の位置とを含む
請求項2に記載の地図生成装置。
【請求項6】
前記生成した前記地図データを、古い地図データを記憶する装置に出力する更新地図出力部
を備える請求項1から請求項5の何れか1項に記載の地図生成装置。
【請求項7】
地図データにおいて所定の精度が要求される位置を示す要求情報を取得するステップと、
地上の所定範囲における位置と当該位置の属性との関係を示す地図情報を格納する複数の基本メッシュと、前記基本メッシュより密度の高い地図情報を格納する複数の拡張メッシュとを記憶する地図データベースに基づいて、前記複数の基本メッシュのうち前記要求情報が示す位置を含まない基本メッシュと、前記要求情報が示す位置を含む拡張メッシュとを含む地図データを生成するステップと、
を備える地図生成方法。
【請求項8】
コンピュータに、
地図データにおいて所定の精度が要求される位置を示す要求情報を取得するステップと、
地上の所定範囲における位置と当該位置の属性との関係を示す地図情報を格納する複数の基本メッシュと、前記基本メッシュより密度の高い地図情報を格納する複数の拡張メッシュとを記憶する地図データベースに基づいて、前記複数の基本メッシュのうち前記要求情報が示す位置を含まない基本メッシュと、前記要求情報が示す位置を含む拡張メッシュとを含む地図データを生成するステップと
を実行させるための地図生成プログラム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は、地図生成装置、地図生成方法および地図生成プログラムに関する。
【背景技術】
【0002】
特許文献1、2には、カーナビゲーションシステムにおける地図の更新技術が開示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特許第4446252号公報
【特許文献2】特許第4962484号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
特許文献1、2に記載の技術では、地図データの一部を効率よく更新することができる。ところで、地図データは、情報の密度が高いほどデータサイズが大きくなる。細かな道路や細かな道路形状の描画が要求されるカーナビゲーションシステムが記憶する地図データは、情報の密度が高い。そのため、地図データ全体を更新する場合、更新のために伝送負荷及び時間がかかる。
本開示の目的は、地図データに要求される精度を維持しながら、データサイズの小さい地図データを生成することができる地図生成装置、地図生成方法および地図生成プログラムを提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0005】
本発明の一態様によれば、地図生成装置は、地図データにおいて所定の精度が要求される位置を示す要求情報を取得する要求取得部と、地上の所定範囲における位置と当該位置の属性との関係を示す地図情報を格納する複数の基本メッシュと、前記基本メッシュより密度の高い地図情報を格納する複数の拡張メッシュとを記憶する地図データベースに基づいて、前記複数の基本メッシュのうち前記要求情報が示す位置を含まない基本メッシュと、前記要求情報が示す位置を含む拡張メッシュとを含む地図データを生成する地図生成部とを備える。
【発明の効果】
【0006】
上記態様によれば、地図データに要求される精度を維持しながら、データサイズの小さい地図データを生成することができる。
【図面の簡単な説明】
【0007】
【
図1】第1の実施形態に係る地図更新システムの構成を示す概略図である。
【
図2】第1の実施形態に係る地図生成装置の構成を示す概略ブロック図である。
【
図3】第1の実施形態に係る地図データの一例を示す図である。
【
図4】第1の実施形態に係る地図更新システムによる地図データの更新方法を示すフローチャートである。
【
図5】第2の実施形態に係る地図データの一例を示す図である。
【
図6】少なくとも1つの実施形態に係るコンピュータの構成を示す概略ブロック図である。
【発明を実施するための形態】
【0008】
〈第1の実施形態〉
《地図更新システムの構成》
以下、図面を参照しながら実施形態について詳しく説明する。
図1は、第1の実施形態に係る地図更新システム1の構成を示す概略図である。
第1の実施形態に係る地図更新システム1は、課金対象道路の課金に用いる地図データを更新する。第1の実施形態に係る地図更新システム1は、地図生成装置11、車載器13、課金サーバ15、地図データベース17を備える。
【0009】
地図生成装置11は、車載器13及び課金サーバ15が演算処理に用いる地図データを生成し、車載器13及び課金サーバ15に出力する。地図データの伝送は、例えばインターネットを介して行われる。地図生成装置11は、地図データベース17が記憶するデータに基づいて地図データを生成する。地図データベース17は、例えば国等が管理するデータベースであってよい。
【0010】
車載器13は、車両Vに搭載される。車載器13は、車両Vの位置データをGNSS(Global Navigation Satellite System)から取得し、地図データに基づいて位置データを補正する。具体的には、車載器13は、地図データが示す道路形状に合わせて位置データを補正するマップマッチング処理を行う。車載器13は、補正後の位置データを課金サーバ15に送信する。地図データは、車載器13の記憶媒体に記録される。
【0011】
課金サーバ15は、車載器13から受信した位置データと地図データとに基づいて、課金対象道路の通行に対する課金処理を行う。具体的には、課金サーバ15は、車載器13から受信した位置データが、地図データが示す課金対象道路上の位置を示すか否かを判定することで、車両Vが課金対象道路を走行しているか否かを判定する。課金サーバ15は、車両Vが課金対象道路を走行している場合に、走行速度、走行区間、走行時間などに基づいて料金を計算する。
【0012】
つまり、第1の実施形態のように課金対象道路の課金を目的とする場合、地図データには、課金対象道路を含む領域について高い精度が要求される一方で、課金対象道路を含まない領域(例えば非課金対象道路のみを含む領域など)については高い精度が要求されない。そこで、第1の実施形態に係る地図生成装置11は、課金対象道路を含む領域と含まない領域とで情報の密度を異ならせることで、地図データのデータサイズを低減する。
【0013】
《地図データベース17について》
地図データベース17は、所定の領域(例えば国土)について、異なる精度レベルに係るメッシュデータを記憶する。具体的には、地図データベース17は、所定の領域について、20km×20kmの部分領域ごとに区切られた第一メッシュM1、10km×10kmの部分領域ごとに区切られた第二メッシュM2、及び1km×1kmの部分領域ごとに区切られた第三メッシュM3を記憶する。これらのメッシュデータのうち、第三メッシュM3の情報の密度が最も高く、第一メッシュM1の情報の密度が最も低い。なお、第三メッシュM3が表す部分領域が最も狭く、第一メッシュM1が表す部分領域が最も広いため、各メッシュのデータサイズは同程度であってよい。本実施形態では、第一メッシュM1の精度レベルを「1」、第二メッシュM2の精度レベルを「2」、第三メッシュM3の精度レベルを「3」とする。第一メッシュM1は、地上の所定範囲における位置と当該位置の属性との関係を示す地図情報を格納する基本メッシュの一例である。第二メッシュM2及び第三メッシュM3は、基本メッシュより密度の高い地図情報を格納する拡張メッシュの一例である。つまり、一つのメッシュに含まれる属性データの情報量が一定である場合、メッシュの面積が狭いほど情報の密度が高く、メッシュの面積が広いほど情報の密度が低くなる。情報の密度が高いほどメッシュの精度レベルが高く、情報の密度が低いほどメッシュの精度レベルが低い。
【0014】
メッシュデータは、少なくともそれぞれメッシュのID、精度レベル、並びに部分領域の代表点(例えば最も北西の位置、最も北東の位置、最も南西の位置、最も南東の位置の位置)の緯度及び経度を含む。メッシュデータが表す部分領域に道路が含まれる場合、当該メッシュデータは、部分領域に含まれる道路に関する情報を表すノードN及びリンクLのデータをさらに有していてもよい。道路がない区域や道路データが不明な区域に係るメッシュデータは、ノードN及びリンクLのデータを有しない。また、道路がある区域に係るメッシュデータであっても、課金対象外である場合や、データサイズを削減する場合などには、メッシュデータはノードN及びリンクLのデータを有しなくてもよい。ノードNとは、道路の特徴点(交差点や曲がり角など)の位置を表す情報である。リンクLとは、2つのノードNを結ぶ線分を表す情報である。地図データ及びメッシュデータでは、道路はノードNとリンクLによって表現される。メッシュデータにおいてノードNは、ノードNを識別するIDによって表されてよい。この場合、地図データベース17は、ノードNのIDに関連付けて、ノードNの緯度及び経度及び属性データを記憶する。メッシュデータにおいてリンクLは、リンクLを識別するIDによって表されてよい。この場合、地図データベース17は、リンクLのIDに関連付けて、起点のノードNのID、終点のノードNのID、及び属性データを記憶する。属性データは、例えば、交差点名、道路名、課金対象道路であるか否かの区分、渋滞発生頻度、事故危険度などを表す。また、ノードNは、道路ではなく料金所等の特定地点などであるランドマークを表すものであってもよい。ランドマークを表すノードNには、リンクLが接続されない。そのため、ランドマークを含み道路を含まないメッシュは、ノードNのデータを含み、リンクLのデータを含まない。つまり、ノードNがランドマークを表す場合、メッシュデータは、少なくともそれぞれメッシュのID、精度レベル、並びに部分領域の代表点(例えば最も北西の位置、最も北東の位置、最も南西の位置、最も南東の位置の位置)の緯度及び経度、並びにノードNを含む。
【0015】
《地図生成装置11の構成》
図2は、第1の実施形態に係る地図生成装置11の構成を示す概略ブロック図である。
地図生成装置11は、要求入力部111、要求記憶部112、要求取得部113、メッシュ取得部114、地図生成部115、地図記憶部116、更新地図出力部117を備える。
【0016】
要求入力部111は、地図データの管理者から、地図データにおいて所定の精度が要求される位置を示す要求情報の入力を受け付ける。要求情報は、ノードN又はリンクLのIDと、当該ノードN又はリンクLを含む位置の精度レベルとを関連付けたデータである。第1の実施形態に係る地図生成装置11は、課金対象道路の課金に用いる地図データを生成するため、要求情報において、課金対象道路を表すリンクLのIDに精度レベル2が設定され、課金対象道路と非課金対象道路との境界を表すノードN及び課金対象道路の交差点を表すノードNに精度レベル3が設定される。これは、課金処理において、課金対象道路に乗り入れたか否か、またどの課金対象道路の分岐点をいつ通ったかを精度よく判別することが重要となるためである。要求入力部111に入力された要求情報は、要求記憶部112に記録される。なお、要求情報は、IDではなく交差点や道路の名称や、緯度及び経度の組み合わせによってノードN又はリンクLを指定するものであってもよい。つまり、リンクL及びノードNを有しないメッシュデータについては、緯度及び経度の組み合わせによって位置を指定することで、所望の精度レベルを設定することができる。
【0017】
要求入力部111は、既に要求記憶部112に記録されている要求情報に対する差分を示す差分データを入力してもよい。差分データは、例えば、追加、変更又は削除の区分と、対象のリンクL又はノードNのIDと、区分が追加又は変更を示す場合における精度レベルとを含む。要求入力部111は、入力された差分データに基づいて、要求記憶部112に記録されている要求情報を更新する。
【0018】
要求取得部113は、地図データの更新タイミングにおいて、要求記憶部112から要求情報を取得する。地図データの更新タイミングの例としては、一定周期で定められたタイミング、地図データベース17の更新が通知されたタイミング、要求入力部111にデータが入力されたタイミング、管理者によって指定されたタイミングなどが挙げられる。
【0019】
メッシュ取得部114は、要求取得部113が取得した要求情報に基づいて、地図データの生成に用いるメッシュを地図データベース17から取得する。具体的には、メッシュ取得部114は、地図データの対象領域全域に係る第一メッシュM1を地図データベース17から読み出す。つまり、メッシュ取得部114は、要求情報にて指定された位置を含む第一メッシュM1のみならず、要求情報にて指定されない位置を含む第一メッシュM1も取得する。メッシュ取得部114は、精度レベル2が指定されたIDに関連付けられたノードN又はリンクLを含む第二メッシュM2を地図データベース17から読み出す。メッシュ取得部114は、精度レベル3が指定されたIDに関連付けられたノードN又はリンクLを含む第三メッシュM3と、その近傍の第三メッシュM3を地図データベース17から読み出す。近傍の第三メッシュM3は、当該第三メッシュM3を含む第二メッシュM2の部分領域に含まれる第三メッシュM3である。すなわち、メッシュ取得部114は、地図データベース17から、対応する精度レベルのメッシュであって、当該メッシュが示す部分領域の内側に要求情報が示すノードN又はリンクLの位置が存在するものを、取得する。
【0020】
地図生成部115は、メッシュ取得部114が取得したメッシュを組み合わせることで、地図データを生成する。具体的には、地図生成部115は、以下の手順で地図データを生成する。まず、地図生成部115は、メッシュ取得部114が取得した第一メッシュM1から構成されるドラフト地図データ(基本地図データ)を生成する。次に、地図生成部115は、ドラフト地図データのうち、メッシュ取得部114が取得した第二メッシュM2と重複する部分を、当該第二メッシュM2に置き換える。さらに、地図生成部115は、ドラフト地図データのうち、メッシュ取得部114が取得した第三メッシュM3と重複する部分を、当該第三メッシュM3に置き換える。これにより、地図生成部115は地図データを生成する。地図生成部115は、生成した地図データを地図記憶部116に記録する。
【0021】
図3は、第1の実施形態に係る地図データの一例を示す図である。第1の実施形態に係る地図データは、
図3に示すように、異なるサイズのメッシュが複合して構成される。精度レベル2が指定されたリンクL(2)は、すべて第二メッシュM2又は第三メッシュM3上に描かれている。また精度レベル3が指定されたノードN(3)は、すべて第三メッシュM3上に描かれている。
【0022】
更新地図出力部117は、地図記憶部116に記録された地図データを車載器13及び課金サーバ15に出力する。更新地図出力部117は車載器13及び課金サーバ15からの配信要求に応じて、地図データを出力してもよいし、地図生成部115が地図データを生成したタイミングで、車載器13及び課金サーバ15に地図データを含む更新指示を出力してもよい。車載器13及び課金サーバ15は、更新地図出力部117が出力した地図データを取得すると、既に記憶している古い地図データを、新たに取得された地図データに書き換える。
【0023】
《地図更新システム1の動作》
第1の実施形態に係る地図更新システム1による車載器13及び課金サーバ15の地図データの更新方法について説明する。
図4は、第1の実施形態に係る地図更新システム1による地図データの更新方法を示すフローチャートである。なお、予め管理者によって要求情報の入力がなされており、要求記憶部112が要求情報を記憶しているものとする。
【0024】
要求取得部113は、地図データの更新タイミングにおいて、要求記憶部112から要求情報を取得する(ステップS1)。メッシュ取得部114は、地図データの対象領域全域に係る第一メッシュM1を地図データベース17から読み出す(ステップS2)。また、メッシュ取得部114は、要求情報において精度レベル2が指定されたIDに関連付けられたノードN又はリンクLを含む第二メッシュM2を地図データベース17から読み出す(ステップS3)。
【0025】
メッシュ取得部114は、ステップS3で読み出した第二メッシュM2のうち、要求情報において精度レベル3が指定されたIDに関連付けられたノードN又はリンクLを含むものを特定する(ステップS4)。メッシュ取得部114は、ステップS4で特定した第二メッシュM2が表す部分領域をカバーする第三メッシュM3を地図データベース17から読み出す(ステップS5)。
【0026】
地図生成部115は、ステップS2で読み出した第一メッシュM1から構成されるドラフト地図データを生成する(ステップS6)。次に、地図生成部115は、ドラフト地図データのうち、ステップS3で読み出した第二メッシュM2と重複する部分を、当該第二メッシュM2に置き換える(ステップS7)。なお、第一メッシュM1が第二メッシュM2と部分的に重複している場合、第二メッシュM2は、第一メッシュM1のうち第二メッシュM2と重複していない部分を切り出した部分メッシュを生成する。地図生成部115は、ドラフト地図データのうち、ステップS5で取得した第三メッシュM3と重複する部分を、当該第三メッシュM3に置き換える(ステップS8)。
【0027】
地図生成部115は、生成した地図データを地図記憶部116に記録する(ステップS9)。更新地図出力部117は、地図記憶部116に記録された地図データを車載器13及び課金サーバ15に出力する(ステップS10)。車載器13及び課金サーバ15は、新たな地図データを取得すると、古い地図データを新たな地図データに書き換える。
【0028】
《作用・効果》
このように、第1の実施形態に係る地図生成装置11は、地図データにおいて所定の精度が要求される位置を示す要求情報を取得し、要求情報が示す位置を含まない基本メッシュと、要求情報が示す位置を含む拡張メッシュとを含む地図データを生成する。つまり、地図生成装置11が生成する地図データは、要求情報が示す位置から離れた部分領域に係る拡張メッシュを含まない。これにより、地図生成装置11は、要求される精度を維持しながら、データサイズの小さい地図データを生成することができる。これにより、地図生成装置11は、地図データを車載器13及び課金サーバ15に伝送するときのコストを低減することができる。
【0029】
また、第1の実施形態に係る地図生成装置11は、精度が要求される位置と精度レベルとを関連付けた要求情報を取得することで、地図データの精度を段階的に設定することができる。
【0030】
また、第1の実施形態に係る地図生成装置11は、基本メッシュから構成される基本地図データのうち、要求情報が示す位置を含む第一メッシュを、要求情報が示す位置を含む第二メッシュ又は第三メッシュで置換した地図データを生成する。つまり、地図生成装置11が生成する地図データは、第一メッシュ、第二メッシュ、及び第三メッシュで重複する箇所を有しない。これにより、地図生成装置11は地図データのデータサイズを小さくすることができる。
【0031】
〈第2の実施形態〉
第1の実施形態に係る地図生成装置11は、
図3に示すように、メッシュ同士で重複する箇所を有しない地図データを生成する。これに対し、第2の実施形態に係る地図生成装置11は、メッシュ同士で重複する箇所を有する地図データを生成する。
【0032】
第2の実施形態に係る地図生成装置11の構成は第1の実施形態と同じである。第2の実施形態に係る地図生成装置11は、メッシュ取得部114及び地図生成部115の動作が第1の実施形態と異なる。また、第2の実施形態に係る要求情報は、精度を要求する位置を示すノードのIDを示す。つまり、第2の実施形態に係る要求情報は、精度レベル及びリンクのIDを指定しない。
【0033】
第2の実施形態に係るメッシュ取得部114は、第一メッシュM1に加え、要求情報で指定されたIDに関連付けられたノードNを含む第三メッシュM3を中心とする5×5の第三メッシュM3を地図データベース17から読み出す。
【0034】
第2の実施形態に係る地図生成部115は、メッシュ取得部114が取得した第一メッシュM1から構成される基本地図データを生成する。また、地図生成部115は、メッシュ取得部114が取得した第三メッシュM3から構成される拡張地図データを生成する。なお、メッシュ取得部114は、要求情報で指定されたIDに関連付けられたノードNの近傍の第三メッシュM3のみが取得するため、拡張地図データは情報を有しない部分を含む。地図生成部115は、基本地図データのレイヤと拡張地図データのレイヤを含む地図データを生成する。
図5は、第2の実施形態に係る地図データの一例を示す図である。
【0035】
このように、第2の実施形態に係る地図生成装置11は、階層構造を有する地図データを生成する。また、当該地図データは、要求情報が示す位置を含む第一メッシュを含む一方で、要求情報が示す位置から離れた部分領域に係る第三メッシュを含まない。これにより、地図生成装置11は、要求される精度を維持しながら、データサイズの小さい地図データを生成することができる。これにより、地図生成装置11は、地図データを車載器13及び課金サーバ15に伝送するときのコストを低減することができる。
【0036】
〈他の実施形態〉
以上、図面を参照して一実施形態について詳しく説明してきたが、具体的な構成は上述のものに限られることはなく、様々な設計変更等をすることが可能である。すなわち、他の実施形態においては、上述の処理の順序が適宜変更されてもよい。また、一部の処理が並列に実行されてもよい。
【0037】
上述した実施形態に係る地図生成装置11は、単独のコンピュータによって構成されるものであってもよいし、地図生成装置11の構成を複数のコンピュータに分けて配置し、複数のコンピュータが互いに協働することで地図生成装置11として機能するものであってもよい。
【0038】
上述した実施形態に係る地図生成装置11は、ロードプライシング用の地図データを生成するが、これに限られない。例えば、他の実施形態に係る地図生成装置11は、カーナビゲーションシステム用の地図を生成してもよい。この場合、例えば要求情報は、車道を表すノード及びリンクのIDを含む。これにより、地図生成装置11は、車道を含む部分領域について高い精度を有しく、車道を有しない部分領域についてデータサイズを低減した地図データを生成することができる。
【0039】
〈コンピュータ構成〉
図6は、少なくとも1つの実施形態に係るコンピュータの構成を示す概略ブロック図である。
コンピュータ50は、プロセッサ51、メインメモリ53、ストレージ55、インタフェース57を備える。
上述の地図生成装置11は、コンピュータ50に実装される。そして、上述した各処理部の動作は、プログラムの形式でストレージ55に記憶されている。プロセッサ51は、プログラムをストレージ55から読み出してメインメモリ53に展開し、当該プログラムに従って上記処理を実行する。また、プロセッサ51は、プログラムに従って、上述した各記憶部に対応する記憶領域をメインメモリ53に確保する。プロセッサ51の例としては、CPU(Central Processing Unit)、GPU(Graphic Processing Unit)、マイクロプロセッサなどが挙げられる。
【0040】
プログラムは、コンピュータ50に発揮させる機能の一部を実現するためのものであってもよい。例えば、プログラムは、ストレージに既に記憶されている他のプログラムとの組み合わせ、または他の装置に実装された他のプログラムとの組み合わせによって機能を発揮させるものであってもよい。なお、他の実施形態においては、コンピュータ50は、上記構成に加えて、または上記構成に代えてPLD(Programmable Logic Device)などのカスタムLSI(Large Scale Integrated Circuit)を備えてもよい。PLDの例としては、PAL(Programmable Array Logic)、GAL(Generic Array Logic)、CPLD(Complex Programmable Logic Device)、FPGA(Field Programmable Gate Array)が挙げられる。この場合、プロセッサ51によって実現される機能の一部または全部が当該集積回路によって実現されてよい。このような集積回路も、プロセッサの一例に含まれる。
【0041】
ストレージ55の例としては、磁気ディスク、光磁気ディスク、光ディスク、半導体メモリ等が挙げられる。ストレージ55は、コンピュータ50のバスに直接接続された内部メディアであってもよいし、インタフェース57または通信回線を介してコンピュータ50に接続される外部メディアであってもよい。また、このプログラムが通信回線によってコンピュータ50に配信される場合、配信を受けたコンピュータ50が当該プログラムをメインメモリ53に展開し、上記処理を実行してもよい。少なくとも1つの実施形態において、ストレージ55は、一時的でない有形の記憶媒体である。
【0042】
また、当該プログラムは、前述した機能の一部を実現するためのものであってもよい。さらに、当該プログラムは、前述した機能をストレージ55に既に記憶されている他のプログラムとの組み合わせで実現するもの、いわゆる差分ファイル(差分プログラム)であってもよい。
【0043】
〈付記〉
各実施形態に記載の地図生成装置、地図生成方法および地図生成プログラムは、例えば以下のように把握され得る。
【0044】
(1)第1の態様によれば、地図生成装置(11)は、地図データにおいて所定の精度が要求される位置を示す要求情報を取得する要求取得部(113)と、地上の所定範囲における位置と当該位置の属性との関係を示す地図情報を格納する複数の基本メッシュ(M1)と、基本メッシュ(M1)より密度の高い地図情報を格納する複数の拡張メッシュ(M2、M3)とを記憶する地図データベース(17)に基づいて、複数の基本メッシュ(M1)のうち要求情報が示す位置を含まない基本メッシュ(M1)と、要求情報が示す位置を含む拡張メッシュ(M2、M3)とを含む地図データを生成する地図生成部(115)と、を備える。
第1の態様によれば、地図生成装置(11)は、要求される精度を維持しながら、データサイズの小さい地図データを生成することができる。
【0045】
なお、「取得する」とは、新たに値を得ることである。例えば、「取得する」は、値を受信すること、値の入力を受け付けること、記憶媒体から値を読み出すこと、ある値から他の値を算出することなどを含む。なお、拡張メッシュは、基本メッシュより情報の密度が高いメッシュであるため、拡張メッシュは、必ずしも基本メッシュより狭い部分領域を表すものでなくてよい。
【0046】
(2)第2の態様によれば、第1の態様に係る地図生成装置(11)において、地図データベース(17)は、精度レベル別に、精度レベルが高いほど地図情報の密度が高い複数の拡張メッシュ(M2、M3)を記憶し、要求情報は、当該位置に要求される精度レベルを含み、地図生成部(115)は、要求情報が示す精度レベルに関連付けられた拡張メッシュ(M2、M3)を含む地図データを生成するものであってよい。
第2の態様によれば、地図生成装置(11)は、地図データのデータサイズを、要求される精度に応じた必要最小限のデータサイズに抑えることができる。
【0047】
(3)第3の態様によれば、第1又は第2の態様に係る地図生成装置(11)において、地図生成部(115)は、複数の基本メッシュ(M1)から構成される基本地図データのうち、要求情報が示す位置を含む基本メッシュ(M1)を、要求情報が示す位置を含む拡張メッシュ(M2、M3)で置換した地図データを生成するものであってよい。つまり、第3の態様によれば地図生成装置(11)が生成する地図データは、基本メッシュと拡張メッシュとで重複する部分のデータ量を削減することができる。つまり、地図生成装置(11)は地図データのデータサイズを小さくすることができる。
【0048】
(4)第4の態様によれば、第1から第3の何れかの態様に係る地図生成装置(11)において、要求情報は、課金対象道路の位置を含むものであってよい。
(5)第5の態様によれば、第2の態様に係る地図生成装置において、要求情報は、第一精度レベルに関連付けられた課金対象道路の位置と、第一精度レベルより高い第二精度レベルに関連付けられた課金対象道路と非課金対象道路の境界位置又は課金対象道路の交差点の位置とを含むものであってよい。
第4の態様及び第5の態様によれば、地図生成装置(11)は、課金対象道路の課金に用いるのに適した地図データを生成することができる。
【0049】
(6)第6の態様によれば、第1から第5の何れかの態様に係る地図生成装置(11)が、生成した地図データを、古い地図データを記憶する装置(13、15)に出力する更新地図出力部(117)を備えるものであってよい。第6の態様によれば、地図生成装置(11)は、データサイズの小さい地図データを装置(13、15)に出力することができるため、地図データの更新のための通信量及び通信時間を抑えることができる。
【0050】
(7)第7の態様によれば、地図生成方法は、地図データにおいて所定の精度が要求される位置を示す要求情報を取得するステップ(S1)と、地上の所定範囲における位置と当該位置の属性との関係を示す地図情報を格納する複数の基本メッシュと、前記基本メッシュより密度の高い地図情報を格納する複数の拡張メッシュとを記憶する地図データベースに基づいて、前記複数の基本メッシュのうち前記要求情報が示す位置を含まない基本メッシュと、前記要求情報が示す位置を含む拡張メッシュとを含む地図データを生成するステップ(S6-S8)と、を備える。
【0051】
(8)第8の態様によれば、地図生成プログラムは、コンピュータに、地図データにおいて所定の精度が要求される位置を示す要求情報を取得するステップ(S1)と、地上の所定範囲における位置と当該位置の属性との関係を示す地図情報を格納する複数の基本メッシュと、前記基本メッシュより密度の高い地図情報を格納する複数の拡張メッシュとを記憶する地図データベースに基づいて、前記複数の基本メッシュのうち前記要求情報が示す位置を含まない基本メッシュと、前記要求情報が示す位置を含む拡張メッシュとを含む地図データを生成するステップ(S6-S8)とを実行させる。
【符号の説明】
【0052】
1…地図更新システム 11…地図生成装置 111…要求入力部 112…要求記憶部 113…要求取得部 114…メッシュ取得部 115…地図生成部 116…地図記憶部 117…更新地図出力部 13…車載器 15…課金サーバ 17…地図データベース 50…コンピュータ 51…プロセッサ 53…メインメモリ 55…ストレージ 57…インタフェース M1…第一メッシュ M2…第二メッシュ M3…第三メッシュ