(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2022177971
(43)【公開日】2022-12-02
(54)【発明の名称】硬貨処理機
(51)【国際特許分類】
G07D 9/00 20060101AFI20221125BHJP
【FI】
G07D9/00 Z
G07D9/00 A
【審査請求】未請求
【請求項の数】9
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2021084420
(22)【出願日】2021-05-19
(71)【出願人】
【識別番号】000116079
【氏名又は名称】ローレルバンクマシン株式会社
(71)【出願人】
【識別番号】500267170
【氏名又は名称】ローレル機械株式会社
(71)【出願人】
【識別番号】500265501
【氏名又は名称】ローレル精機株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100141139
【弁理士】
【氏名又は名称】及川 周
(74)【代理人】
【識別番号】100161702
【弁理士】
【氏名又は名称】橋本 宏之
(74)【代理人】
【識別番号】100189348
【弁理士】
【氏名又は名称】古都 智
(72)【発明者】
【氏名】篠崎 隆
【テーマコード(参考)】
3E141
【Fターム(参考)】
3E141AA08
3E141GA06
3E141HA06
3E141HA09
3E141KB03
3E141KC11
3E141LA02
3E141LA11
3E141LA23
3E141LA33
3E141LA34
3E141LA41
(57)【要約】
【課題】使い勝手の良い硬貨処理機を提供する。
【解決手段】バラ硬貨を繰り出し可能に収納するバラ硬貨収納部と、所定枚数のバラ硬貨を包装シートで包装して棒金硬貨Bである包装棒金とする包装部101と、棒金硬貨Bを収納棒金として収納しつつ繰り出し可能な棒金収納部105(A)~105(F)と、棒金硬貨Bを機外へ取り出し可能に保留する棒金出金部123と、制御部とを有し、制御部は、棒金硬貨出金処理の一取引において、棒金収納部105(A)~105(F)が収納している収納棒金と、バラ紙硬貨収納部が収納しているバラ硬貨から包装部101で包装して作成する包装棒金と、の両方を合流させて棒金出金部123に出金させる。
【選択図】
図3
【特許請求の範囲】
【請求項1】
バラ硬貨を繰り出し可能に収納するバラ硬貨収納部と、
所定枚数のバラ硬貨を包装シートで包装して棒金硬貨である包装棒金とする包装部と、
棒金硬貨を収納棒金として収納しつつ繰り出し可能な棒金収納部と、
棒金硬貨を機外へ取り出し可能に保留する棒金出金部と、
前記バラ硬貨収納部、前記包装部、前記棒金収納部および前記棒金出金部を制御すると共にバラ硬貨および棒金硬貨の搬送を制御する制御部と、
を有する硬貨処理機であって、
前記制御部は、
棒金硬貨出金処理の一取引において、
前記棒金収納部が収納している前記収納棒金と、前記バラ硬貨収納部が収納しているバラ硬貨から前記包装部で包装して作成する前記包装棒金と、の両方を合流させて前記棒金出金部に出金させることを特徴とする硬貨処理機。
【請求項2】
前記制御部は、
棒金硬貨出金処理の一取引において、
一度に複数金種の棒金硬貨を前記棒金出金部に出金させる場合で、且つ、前記収納棒金および前記包装棒金の両方を出金させる場合、前記収納棒金および前記包装棒金の合流に際しては、複数金種の棒金硬貨を金種毎に纏めるように合流させることを特徴とする請求項1記載の硬貨処理機。
【請求項3】
さらに前記制御部は、
前記棒金収納部が収納している前記収納棒金を前記棒金出金部へ出金させる収納棒金出金処理と、
前記バラ硬貨収納部が収納しているバラ硬貨から前記包装部で前記包装棒金を作成する包装棒金作成処理とを、
並行処理可能であることを特徴とする請求項2記載の硬貨処理機。
【請求項4】
前記棒金出金部に向けて前記収納棒金および前記包装棒金を搬送する棒金搬送部を有し、
前記棒金搬送部に対して、第1の位置から前記包装棒金を送り出し、該第1の位置とは異なる第2の位置から前記収納棒金を送り出すことにより、複数金種の棒金硬貨を金種毎に纏めるように合流させることを特徴とする請求項2または3記載の硬貨処理機。
【請求項5】
前記制御部は、
棒金硬貨出金処理の一取引を開始する際に、当該一取引における棒金硬貨の出金が複数金種に亘って指示されているときは、棒金硬貨を一金種毎に、前記棒金出金部によって機外へ取り出し可能に出金させることを特徴とする請求項1乃至4のいずれか一項記載の硬貨処理機。
【請求項6】
前記制御部は、
棒金硬貨出金処理の一取引において、
前記棒金収納部が収納している前記収納棒金と、前記バラ硬貨収納部が収納しているバラ硬貨から前記包装部で包装して作成する前記包装棒金と、の両方を合流させて前記棒金出金部に出金させると共に、前記包装棒金を前記棒金収納部に向けて送り出すことを特徴とする請求項1乃至5のいずれか一項記載の硬貨処理機。
【請求項7】
バラ硬貨を繰り出し可能に収納するバラ硬貨収納部と、
所定枚数のバラ硬貨を包装シートで包装して棒金硬貨である包装棒金とする包装部と、
棒金硬貨を収納棒金として収納しつつ繰り出し可能な棒金収納部と、
棒金硬貨を機外へ取り出し可能に保留する棒金出金部と、
前記バラ硬貨収納部、前記包装部、前記棒金収納部および前記棒金出金部を制御すると共にバラ硬貨および棒金硬貨の搬送を制御する制御部と、
を有する硬貨処理機であって、
前記制御部は、
棒金硬貨出金処理の一取引を開始するに当たり、前記棒金収納部に既に収納している前記収納棒金の在り高と、当該一取引で出金要求された棒金硬貨の要求数とを比較するとともに、この比較結果に基づいて、棒金硬貨出金処理パターンを決定し、決定した棒金硬貨出金処理パターンに従って、棒金硬貨出金処理を行うことを特徴とする硬貨処理機。
【請求項8】
前記棒金硬貨出金処理パターンは、
前記棒金収納部からの前記収納棒金を出金する収納棒金出金処理のみを行う第1パターンと、
前記収納棒金出金処理と前記包装部が所定数のバラ硬貨を包装した前記包装棒金を出金する包装棒金出金処理との両方を行う第2パターンと、のうちのいずれか一方を選択して実行することを特徴とする請求項7記載の硬貨処理機。
【請求項9】
前記制御部は、
棒金硬貨出金処理の一取引において、
前記棒金硬貨出金処理パターンに加えて、前記包装部が所定数のバラ硬貨を包装した前記包装棒金を前記棒金収納部に収納する包装棒金補充処理を追加的に実行することを特徴とする請求項7または8記載の硬貨処理機。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、硬貨を処理する硬貨処理機に関する。
【背景技術】
【0002】
硬貨処理機には、バラ硬貨を入出金できる金種別の収納部と、包装単位枚数のバラ硬貨を包装シートで包装して一体化した包装硬貨いわゆる棒金硬貨を収納して放出することができる金種別の棒金収納部と、バラ硬貨を受け入れて包装する包装部と、包装部で包装した棒金硬貨を金種別の棒金収納部または機外に放出する棒金搬送部とを有するものがある(特許文献1,2参照)。
【0003】
特許文献1の硬貨処理機においては、棒金搬送部が、包装部で包装した棒金硬貨を受け取り、途中で、棒金収納部を迂回するように棒金収納部の後方に搬送した後、上方搬送させて、所定の金種別の棒金収納部に後方から収納させ、前方から棒金搬送部に繰り出しするように構成されている。特許文献2の硬貨処理機においては、棒金搬送部が、金種別の棒金収納部と正対する位置で、棒金硬貨を収納部に収納したり、棒金硬貨を収納部から取り出したりすることができるように構成されている。いずれも、出金のために棒金搬送部上に繰り出した棒金硬貨を、棒金搬送部によって出金口まで搬送し、出金口より外部に出金するように構成されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2012-243003号公報
【特許文献2】特開2013-061822号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
上記のような硬貨処理機で棒金硬貨の出金処理を行う際には、操作部を介してユーザーの希望する金種および数量をユーザーに入力させ、入力された内容に基づいて、棒金収納部から棒金硬貨を繰り出して出金させることになる。
【0006】
しかしながら、ユーザーが希望する金種および数量の棒金硬貨が棒金収納部に収納されていない場合には、出金させることはできず、払い出す棒金硬貨の不足が発生することとなる。ユーザーは不足分の棒金硬貨については諦めるか、または、不足分を補う方法の一つとして、次の取引にて機内のバラ硬貨収納部に収納しているバラ硬貨から棒金硬貨を作成して棒金収納部へ収納させた後、更に次の取引で、当該棒金収納部に収納された棒金硬貨に対して出金処理を行い、前回出金させた分と合わせて、希望する棒金硬貨の数量にするという方法が考えられる。この場合は、1回の棒金硬貨出金処理の取引でなく、1回目の棒金硬貨出金処理の取引から、機内在高移動処理を行って、2回目の棒金硬貨出金処理の取引を行うことになり、複数の処理を指定して行う必要がある。このため、ユーザーにとって煩雑な操作入力を繰り返し行う必要があり、使い勝手が良くないという課題が生じる。
【0007】
本発明は、使い勝手の良い硬貨処理機を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0008】
本発明に係る第1の態様は、バラ硬貨を繰り出し可能に収納するバラ硬貨収納部と、所定枚数のバラ硬貨を包装シートで包装して棒金硬貨である包装棒金とする包装部と、棒金硬貨を収納棒金として収納しつつ繰り出し可能な棒金収納部と、棒金硬貨を機外へ取り出し可能に保留する棒金出金部と、前記バラ硬貨収納部、前記包装部、前記棒金収納部および前記棒金出金部を制御すると共にバラ硬貨および棒金硬貨の搬送を制御する制御部と、を有する硬貨処理機であって、前記制御部は、棒金硬貨出金処理の一取引において、前記棒金収納部が収納している前記収納棒金と、前記バラ硬貨収納部が収納しているバラ硬貨から前記包装部で包装して作成する前記包装棒金と、の両方を合流させて前記棒金出金部に出金させることを特徴とする。
【0009】
本発明に係る第2の態様は、バラ硬貨を繰り出し可能に収納するバラ硬貨収納部と、所定枚数のバラ硬貨を包装シートで包装して棒金硬貨である包装棒金とする包装部と、棒金硬貨を収納棒金として収納しつつ繰り出し可能な棒金収納部と、棒金硬貨を機外へ取り出し可能に保留する棒金出金部と、前記バラ硬貨収納部、前記包装部、前記棒金収納部および前記棒金出金部を制御すると共にバラ硬貨および棒金硬貨の搬送を制御する制御部と、を有する硬貨処理機であって、前記制御部は、棒金硬貨出金処理の一取引を開始するに当たり、前記棒金収納部に既に収納している前記収納棒金の在り高と、当該一取引で出金要求された棒金硬貨の要求数とを比較するとともに、この比較結果に基づいて、棒金硬貨出金処理パターンを決定し、決定した棒金硬貨出金処理パターンに従って、棒金硬貨出金処理を行うことを特徴とする。
【発明の効果】
【0010】
本発明によれば、使い勝手の良い硬貨処理機を提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0011】
【
図1】本発明に係る一実施形態の硬貨処理機を示す斜視図である。
【
図2】本発明に係る一実施形態の硬貨処理機の構成を概略的に示す構成図である。
【
図3】本発明に係る一実施形態の硬貨処理機の棒金硬貨処理装置を概略的に示す側断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0012】
本発明に係る一実施形態の硬貨処理機を図面を参照して以下に説明する。
本実施形態の硬貨処理機12は、バラ硬貨に関する処理を行うバラ硬貨処理装置11と、包装単位枚数のバラ硬貨を包装シートで包装して一体化した包装硬貨いわゆる棒金硬貨に関する処理を行う棒金硬貨処理装置10とが並設されて構成されている。以下の説明における「前」は硬貨処理機12の操作者側、「後」は硬貨処理機12の操作者とは反対側、「左」は硬貨処理機12の操作者から見て左、「右」は硬貨処理機12の操作者から見て右である。
【0013】
<硬貨処理機12の構成>
先ず、本実施形態の硬貨処理機12の構成について説明する。
【0014】
{バラ硬貨処理装置11}
バラ硬貨処理装置11は、
図2に概略的に示すように、バラ硬貨処理装置11外からバラ硬貨Cが入金され、入金されたバラ硬貨Cの入金処理を行うバラ硬貨入金処理部21と、バラ硬貨入金処理部21からバラ硬貨Cを受け入れて収納する収納処理を行うと共に収納しているバラ硬貨Cを機外に取り出し可能に出金するバラ硬貨収納出金処理部22とを有している。
【0015】
バラ硬貨入金処理部21は、バラ硬貨処理装置11外からバラ硬貨Cが投入されると共に投入されたバラ硬貨Cを一枚ずつ分離して繰り出すホッパであるバラ硬貨入金部31を有している。バラ硬貨入金部31は、
図1に示すように、バラ硬貨処理装置11の上面に設けられており、開閉可能なシャッタ38を有している。
【0016】
図2に示すように、バラ硬貨入金処理部21は、バラ硬貨入金部31から繰り出されたバラ硬貨Cを搬送しつつ入金識別計数部32で真偽及び金種を識別して計数する入金搬送部33と、入金識別計数部32で偽つまり受け入れ不可と識別されたバラ硬貨Cを入金搬送部33から落下案内する開閉式の入金リジェクト案内部34と、入金リジェクト案内部34で入金搬送部33から案内されたバラ硬貨Cを機外に取り出し可能に収納するバラ硬貨入金リジェクト箱35とを有している。バラ硬貨入金リジェクト箱35は、
図1に示すようにバラ硬貨処理装置11の装置本体40の前面側に設けられており、装置本体40から前方に引き出され取り外されることによって、収納しているバラ硬貨Cが機外に取り出し可能となる。
【0017】
図2に示すように、バラ硬貨入金処理部21は、入金識別計数部32で真つまり受け入れ可能と識別されたバラ硬貨Cを入金搬送部33から落下案内する開閉式の包装案内部45を有している。包装案内部45で案内されたバラ硬貨Cは、棒金硬貨処理装置10に搬送される。棒金硬貨処理装置10は、バラ硬貨処理装置11から送り込まれたバラ硬貨Cを所定の包装単位枚数(例えば50枚)ずつ集積させ包装して棒金硬貨Bとする。
【0018】
バラ硬貨入金処理部21は、入金識別計数部32で受け入れ可能と識別されたバラ硬貨Cを入金搬送部33から落下案内する貯留案内部47と、貯留案内部47で入金搬送部33から案内されたバラ硬貨Cを一時貯留する入金貯留部48とを有している。貯留案内部47は、真つまり受け入れ可能と識別されたバラ硬貨Cを入金搬送部33から金種別に分類して入金貯留部48に案内し、入金貯留部48はバラ硬貨Cを金種別に分類した状態のまま貯留する。
【0019】
バラ硬貨入金処理部21は、入金貯留部48が貯留しているバラ硬貨Cを金種別に分類した状態のまま収納するバラ硬貨保管部51と、入金貯留部48が貯留しているバラ硬貨Cを機外に取り出し可能に返却するバラ硬貨返却箱52とを有している。バラ硬貨返却箱52は、
図1に示すようにバラ硬貨処理装置11の装置本体40の前面側に設けられており、装置本体40から前方に引き出され取り外されることによって、収納しているバラ硬貨Cが機外に取り出し可能となる。
【0020】
図2に示すように、バラ硬貨収納出金処理部22は、入金貯留部48が貯留しているバラ硬貨Cを金種別に分類した状態のまま出金可能に収納するバラ硬貨収納繰出部53を有している。バラ硬貨収納繰出部53は、それぞれが単一金種のバラ硬貨Cを収納すると共に収納しているバラ硬貨Cを計数しつつ出金する金種別のバラ硬貨収納部54(A)~54(F)を有している。具体的には、バラ硬貨収納部54(A)は1円玉のバラ硬貨Cを、バラ硬貨収納部54(B)は5円玉のバラ硬貨Cを、バラ硬貨収納部54(C)は10円玉のバラ硬貨Cを、バラ硬貨収納部54(D)は50円玉のバラ硬貨Cを、バラ硬貨収納部54(E)は100円玉のバラ硬貨Cを、バラ硬貨収納部54(F)は500円玉のバラ硬貨Cを、それぞれ繰り出し可能に収納する。
【0021】
バラ硬貨収納出金処理部22は、バラ硬貨収納繰出部53から計数しつつ繰り出されたバラ硬貨Cを搬送しつつ金種を識別して計数する硬貨出金搬送部61と、硬貨出金搬送部61で搬送されてきたバラ硬貨Cを機外に取り出し可能に収納する硬貨出金箱62と、硬貨出金箱62に収納されているバラ硬貨Cを案内する出金リジェクト案内部63と、出金リジェクト案内部63で硬貨出金箱62から案内されたバラ硬貨Cを機外に取り出し可能に収納する硬貨回収庫64とを有している。硬貨出金箱62及び硬貨回収庫64は、
図1に示すようにバラ硬貨処理装置11の装置本体40の前面側に設けられており、装置本体40から前方に引き出され取り外されることによって、収納しているバラ硬貨Cが機外に取り出し可能となる。
図2に示すように、硬貨出金搬送部61は、バラ硬貨収納繰出部53から計数しつつ繰り出されたバラ硬貨Cを棒金硬貨処理装置10にも搬送可能となっている。
【0022】
バラ硬貨処理装置11には、棒金硬貨処理装置10を含む硬貨処理機12の全体を制御する制御部67と、棒金硬貨処理装置10を含む硬貨処理機12の各部に電源を供給する電源部68とが設けられている。
図1に示すように、バラ硬貨処理装置11には、操作者による操作入力を受け付けると共に操作者に向けた表示を行う操作表示部69が設けられている。なお、制御部67、電源部68及び操作表示部69を、棒金硬貨処理装置10に設けるようにしても良い。また、特に操作表示部69及び制御部67については、硬貨処理機12とは別体の管理装置(操作卓とも言う。またはPC)に設けるものであっても良い。
【0023】
{棒金硬貨処理装置10}
図2に示すように、棒金硬貨処理装置10は、バラ硬貨入金部31から繰り出され包装案内部45で案内されてきたバラ硬貨C、及び、バラ硬貨収納繰出部53から繰り出され硬貨出金搬送部61で搬送されてきたバラ硬貨Cを受け入れて所定枚数ずつ纏めて包装シートで包装し一体化して棒金硬貨Bとする包装処理を行う包装部101と、包装部101で作製されて繰り出された棒金硬貨Bを金種別に分類して出金可能に収納する棒金収納繰出部102と、包装部101及び棒金収納繰出部102から繰り出された棒金硬貨Bを受け入れて機外に取り出し可能に出金すると共に、既に作製されている棒金硬貨Bを機外から受け入れて棒金収納繰出部102に収納する棒金搬送入出金部103とを有している。
【0024】
包装部101は、バラ硬貨処理装置11からバラ硬貨Cを受け入れると共に、受け入れたバラ硬貨Cを、金種識別しつつ計数して包装単位枚数(50枚)ずつ集積させ、集積された包装単位枚数のバラ硬貨Cに紙或いは樹脂フィルムからなる包装シートを所定長さ巻き回し、集積方向の両側の包装シートの余長部分を内側に丸めるように加締めることにより棒金硬貨Bとする。
【0025】
包装部101は、作製した棒金硬貨Bを、棒金出金リジェクト庫114とクリアボックス115と棒金搬送入出金部103とに振り分ける。棒金出金リジェクト庫114及びクリアボックス115は、包装単位枚数に満たない数のバラ硬貨Cを包装シートで包装した端数の棒金硬貨B等を機外に取り出し可能に収納する。
図1に示すように棒金出金リジェクト庫114及びクリアボックス115は、バラ硬貨処理装置11の装置本体116の前面側に設けられており、装置本体116から前方に引き出され取り外されることによって、収納している棒金硬貨Bが機外に取り出し可能となる。
【0026】
図3に示すように、棒金収納繰出部102は、それぞれが単一金種の棒金硬貨Bを収納すると共に収納している棒金硬貨Bを計数しつつ出金する金種別の棒金収納部105(A)~105(F)を有している。棒金収納部105(A)~105(F)は前後方向に沿う姿勢で上下方向に並べられており、それぞれが棒金硬貨Bを前後方向に一列状に並べて収納する。
【0027】
具体的に、最も上側の棒金収納部105(A)は1円玉の棒金硬貨Bを、上から2段目の棒金収納部105(B)は5円玉の棒金硬貨Bを、上から3段目の棒金収納部105(C)は10円玉の棒金硬貨を、上から4段目の棒金収納部105(D)は50円玉の棒金硬貨Bを、上から5段目の棒金収納部105(E)は100円玉の棒金硬貨Bを、最下段の棒金収納部105(F)は500円玉の棒金硬貨Bを、それぞれ繰り出し可能に収納する。
【0028】
棒金搬送入出金部103は、包装部101及び棒金収納部105(A)~105(F)の前側に設けられて包装部101及び棒金収納部105(A)~105(F)から繰り出された棒金硬貨Bを受け取って昇降搬送する棒金搬送部121と、上下方向の包装部101と棒金収納部105(F)との間に設けられて棒金搬送部121から棒金硬貨Bを受け取って後方に搬送する後方搬送部111と、棒金収納部105(A)~105(F)の後側に設けられて後方搬送部111で搬送されてきた棒金硬貨Bを上方に搬送する上方搬送部112とを有している。後方搬送部111の前部には、棒金搬送部121で搬送されてきた棒金硬貨Bを1本ずつ後方搬送部111に取り込む前部棒金取込部113が設けられている。
【0029】
棒金収納部105(A)~105(F)は、同様の構造であり、それぞれ、上方搬送部112で搬送されてきた棒金硬貨Bを1本ずつ計数しつつ対応する棒金収納部105に向けて押し出す後部棒金押出部106と、棒金搬送部121で搬送されてきた棒金硬貨Bを1本ずつ計数しつつ対応する棒金収納部105に取り込むと共に、対応する棒金収納部105に収納している棒金硬貨Bを1本ずつ計数しつつ棒金搬送部121に繰り出す前部棒金取込繰出部107とを有している。よって、棒金収納部105(A)~105(F)を有する棒金収納繰出部102は、棒金搬送部121で搬送されてきた棒金硬貨Bを受け取って金種別に分類して収納すると共に、金種別に収納している棒金硬貨Bを金種別に計数しつつ棒金搬送部121に繰り出す。また、棒金収納繰出部102は、棒金搬送部121、後方搬送部111及び上方搬送部112で搬送されてきた棒金硬貨Bを受け取って金種別に分類して収納する。
【0030】
包装部101から棒金搬送入出金部103に繰り出される棒金硬貨Bは、端数の棒金硬貨B以外の棒金硬貨Bつまり包装単位枚数のバラ硬貨Cを包装して作製した正常な棒金硬貨Bである。棒金搬送入出金部103は、棒金搬送部121で搬送されてきた棒金硬貨Bを棒金硬貨処理装置10の外に放出する棒金放出部122と、棒金搬送部121で搬送されてきた棒金硬貨Bを受け取って棒金硬貨処理装置10の機外へ取り出し可能に保留する棒金出金部123と、棒金搬送部121で搬送されてきた棒金硬貨Bを機外に取り出し可能に一括で収納する箱状の棒金一括収納部124と、棒金硬貨処理装置10の外から投入された棒金硬貨Bを識別及び計数して棒金搬送部121に受け渡す棒金入金部120とを有している。棒金収納繰出部102は、外部で作製されて棒金入金部120に投入された棒金硬貨Bも収納する。
【0031】
図1に示すように、棒金放出部122は、棒金硬貨処理装置10の装置本体116の下部の前面に開口している。棒金放出部122は、
図2に示すように、棒金硬貨Bを棒金硬貨処理装置10の外側に置かれた受箱126に向けて放出する。
【0032】
図1に示すように、棒金出金部123は、装置本体116の上面の前部から前面にかけて開口しており、開閉可能なシャッタ125を有している。棒金出金部123は、棒金硬貨Bを複数本収納可能であり、収納している棒金硬貨Bはシャッタ125が開かれると直接手で機外に取り出し可能となる。
【0033】
棒金一括収納部124は、棒金硬貨Bを複数本一括収納可能である。棒金一括収納部124は、装置本体116から前方に引き出され取り外されることによって、収納している棒金硬貨Bが機外に取り出し可能となる。
【0034】
棒金入金部120は、装置本体116から前方に引き出されることによって、棒金硬貨Bが機外から投入される。棒金入金部120は、機外から投入された棒金硬貨Bを一本ずつ識別および計数しつつ棒金搬送部121に押し出す。
【0035】
図3に示すように、棒金搬送部121は、包装部101から棒金硬貨Bを受け取って、棒金放出部122、棒金収納繰出部102、棒金出金部123及び棒金一括収納部124に選択的に搬送する。また、棒金搬送部121は、棒金収納繰出部102から繰り出された棒金硬貨Bを受け取って、棒金出金部123及び棒金一括収納部124に選択的に搬送する。更に、棒金搬送部121は、棒金入金部120から棒金硬貨Bを受け取って、棒金収納繰出部102に搬送する。棒金搬送部121は、複数本の棒金硬貨Bを同時に搬送可能となっている。
【0036】
棒金硬貨処理装置10では、包装部101の上側に棒金収納繰出部102が設けられており、これら包装部101及び棒金収納繰出部102の前側に棒金搬送部121が設けられている。棒金硬貨処理装置10には、棒金搬送部121の前側に、棒金出金部123、棒金入金部120、棒金一括収納部124及び棒金放出部122が上からこの順番に設けられている。
【0037】
棒金出金部123は、その上部の棒金搬送部121側に、出金部導入口131と、出金部導入口131を開閉する出金部ゲート132とを有している。出金部ゲート132は、下端の支持軸133を中心に回動して、出金部導入口131を閉塞する閉状態と、出金部導入口131を開放する開状態とに切り替えられる。出金部ゲート132は、開状態で、棒金搬送部121側に傾動し、棒金搬送部121から、棒金搬送部121の前部で下方搬送される棒金硬貨Bを受け取ることになり、受け取った棒金硬貨Bをその前下がりの傾斜で出金部導入口131を介して棒金出金部123に搬送し収納する。棒金一括収納部124も棒金出金部123と同様の構造であり、棒金搬送部121から、棒金搬送部121の前部で下方搬送される棒金硬貨Bを受け入れて収納する。
【0038】
棒金放出部122は前下がりに傾斜するシュートであり、棒金搬送部121側に、放出部導入口141と、放出部導入口141を開閉する放出部ゲート142とを有している。放出部ゲート142は、下端の支持軸143を中心に回動して、放出部導入口141を閉塞する閉状態と、放出部導入口141を開放する開状態とに切り替えられる。放出部ゲート142は、開状態で、棒金搬送部121側に傾動し、棒金搬送部121から、棒金搬送部121の前部で下方搬送される棒金硬貨Bを相対的に掬い上げることになり、掬い上げた棒金硬貨Bをその前下がりの傾斜で放出部導入口141に導入し棒金放出部122を介して機外に放出する。棒金放出部122は、棒金搬送部121から棒金硬貨Bを受け入れてそのまま機外に放出する。
【0039】
棒金搬送部121は、搬送支持体150と、搬送支持体150に上下方向に延びるように支持された縦型ベルトコンベア151と、この縦型ベルトコンベア151の外周の外側を部分的に覆うように設けられた搬送空間形成部152と、縦型ベルトコンベア151を駆動するコンベア駆動部153とを有している。
【0040】
縦型ベルトコンベア151は、左右方向に水平に回転中心軸線を配して棒金硬貨処理装置10内の上部に配置されて搬送支持体150の上部に支持される上部プーリ156と、左右方向に水平に回転中心軸線を配して棒金硬貨処理装置10内の下部に配置されて搬送支持体150の下部に支持される下部プーリ(不図示)と、これら上部プーリ156及び下部プーリに掛けられる無端の搬送ベルト158とを有している。下部プーリは、コンベア駆動部153の中間プーリ157と同軸に配置されて、これと一体に回転する。よって、縦型ベルトコンベア151は、下部プーリが、コンベア駆動部153に駆動されて回転する。上部プーリ156及び下部プーリは、前後方向及び左右方向の位置を合わせて上下に離間しており、これらに掛けられる搬送ベルト158は、上下方向、即ち鉛直に延びている。
【0041】
コンベア駆動部153は、上記した中間プーリ157と、駆動モータ161と、駆動モータ161で駆動されて回転する駆動プーリ162と、駆動プーリ162に掛けられて中間プーリ157及び下部プーリを回転させる無端の駆動ベルト163とを有している。駆動モータ161が正逆回転すると、駆動プーリ162、駆動ベルト163、中間プーリ157、下部プーリ、搬送ベルト158及び上部プーリ156が同期して正逆回転する。
【0042】
図示は略すが、上部プーリ156、下部プーリ及び搬送ベルト158の組が、左右に離間して2組設けられている。
【0043】
搬送ベルト158は、上部プーリ156及び下部プーリに掛けられて回転する無端のベルト本体171と、ベルト本体171の外周面から外方(遠心方向)に突出する桟部172とを有している。桟部172は、ベルト本体171の周方向に所定の等間隔で複数設けられている。左右一対(一方のみ図示)の搬送ベルト158は、互いに、桟部172の対応するもの同士の周方向、即ち上下方向の位置を合わせており、位置が合って対をなす2つ(一方のみ図示)の桟部172によって棒金硬貨Bを左右方向に沿う姿勢で支持可能となっている。よって、一対の搬送ベルト158は、棒金硬貨Bを一本ずつ、位置が合う一対の桟部172で支持しつつ回転して搬送する。位置が合う一対の桟部172の間に、前部棒金取込繰出部107、前部棒金取込部113、出金部ゲート132及び放出部ゲート142等が入り込んで、これら桟部172に載置された棒金硬貨Bを受け取る。
【0044】
桟部172は、ベルト本体171の周方向(回転方向)における両側に、この周方向に略円弧状に凹む棒金収容部177を有している。桟部172は、ベルト本体171の包装部101及び棒金収納繰出部102側、即ち搬送ベルト158における後面側に位置すると、ベルト本体171の後面よりも後方に突出する状態になると共に、一方の棒金収容部177が上部で下方に凹むことになる。また、桟部172は、ベルト本体171の包装部101及び棒金収納繰出部102とは反対側、即ち搬送ベルト158における前面側に位置すると、ベルト本体171の前面よりも前方に突出する状態になると共に、他方の棒金収容部177が上部で下方に凹む姿勢となる。桟部172は、これらの状態になるようにベルト本体171に取り付けられている。搬送ベルト158は、棒金硬貨Bを桟部172で支持しつつ回転して搬送する。
【0045】
搬送空間形成部152は、縦型ベルトコンベア151の上部を上方で覆う上方カバー部181と、縦型ベルトコンベア151の前面側を前方で覆う前方カバー部182と、縦型ベルトコンベア151の下部を下方で覆う下方カバー部183と、縦型ベルトコンベア151の上部の後面側を後方で覆う上部後方カバー部184とを有している。上方カバー部181は、前部が平板状をなして前下がりに傾斜し、後部が平板状をなして水平に設けられている。前方カバー部182は、前後方向に直交して設けられる平板状であり、上下方向に延びている。下方カバー部183は、下方に凹の半円筒状となっている。上部後方カバー部184は、前後方向に直交して設けられる平板状であり、上下方向に延びている。前方カバー部182、下方カバー部183及び上部後方カバー部184は、対向する桟部172のベルト本体171とは反対側の端部との間に棒金硬貨Bを通過させない程度の若干の隙間を形成するように配置されている。
【0046】
縦型ベルトコンベア151の一対の搬送ベルト158は、棒金硬貨Bを、包装部101及び棒金収納繰出部102から受け取る際には、一対のベルト本体171の、包装部101及び棒金収納繰出部102側にあって、高さ位置が一致する一対の桟部172で受け取る。その際に、これらの桟部172は、棒金硬貨Bを、受け取り時に上部にあって下方に凹む棒金収容部177で収容する。
【0047】
縦型ベルトコンベア151は、例えば、一対の搬送ベルト158が、後面側の一対の桟部172で包装部101或いは棒金収納繰出部102の棒金収納部105(A)~105(F)から受け取った棒金硬貨Bを、第1の方向(
図3における反時計回り方向)に回転することで上方に搬送する。この方向を搬送ベルト158の正転とする。この正転時の後面側での鉛直上方への搬送では、棒金硬貨Bを、高さ位置が合う一対の桟部172で水平に支持することになり、これら一対の桟部172は、棒金硬貨Bを、この時に上側にあって下方に凹む棒金収容部177に収容して搬送する。
【0048】
その後、縦型ベルトコンベア151の一対の搬送ベルト158は、その上部で後面側から前面側に棒金硬貨Bの搬送位置が変わることになる。その際に、一対の搬送ベルト158の後面側で棒金硬貨Bを搬送していた一対の桟部172は、一対の搬送ベルト158の最上部付近で、棒金収容部177が前方に向くように傾く。このとき、これらの桟部172は、支持していた棒金硬貨Bを、例えば、これらの桟部172の回転方向前側(搬送方向下流側)に隣り合う、一対の桟部172に向けて落下させることになる。そして、一対の搬送ベルト158は、これらの桟部172で棒金硬貨Bを受け取って下方に更に搬送する。
【0049】
上方カバー部181及び上部後方カバー部184は、一対の搬送ベルト158のベルト本体171との間に、上部搬送空間186を形成し、前方カバー部182は、一対の搬送ベルト158のベルト本体171との間に、上下に直線状に延びる前部搬送空間187を形成する。一対の搬送ベルト158の上部位置で後面側から前面側へ搬送される棒金硬貨Bは、上部搬送空間186内を移動し、場合により前部搬送空間187内で落下する。
【0050】
また、縦型ベルトコンベア151は、例えば、一対の搬送ベルト158が、後面側の一対の桟部172で棒金収納繰出部102の棒金収納部105(A)~105(F)から受け取った棒金硬貨Bを、第1の方向とは逆の第2の方向(
図3における時計回り方向)に回転することで下方に搬送する。この方向を搬送ベルト158の逆転とする。この逆転時の後面側での鉛直下方への搬送でも、棒金硬貨Bを、高さ位置が合う一対の桟部172で水平に支持することになり、これら一対の桟部172は、棒金硬貨Bを、この時に上側にあって下方に凹む棒金収容部177に収容して搬送する。
【0051】
その後、縦型ベルトコンベア151の一対の搬送ベルト158は、これらの桟部172が下降して最下部付近に位置すると、棒金硬貨Bを収容していたこれらの桟部172の棒金収容部177が後方に向くように傾き、その結果、これらの桟部172で支持していた棒金硬貨Bを、これらの桟部172から、下方カバー部183に落下させ、下方カバー部183のみで支持する状態になる。
【0052】
その後、縦型ベルトコンベア151の一対の搬送ベルト158は、この棒金硬貨Bを、これらの桟部172の回転方向後側(搬送方向上流側)に隣り合う一対の桟部172が、下方カバー部183とで支持する状態となって、下方カバー部183に沿って前面側且つ上方に搬送することになり、鉛直上方に搬送する状態では、これら桟部172で支持する状態になる。その際に、これらの桟部172は、棒金硬貨Bを、この時上部にある棒金収容部177で収容しつつ持ち上げて搬送する。下方カバー部183は、このとき棒金硬貨Bが移動する円弧状の下部搬送空間188を一対の搬送ベルト158のベルト本体171との間に形成している。
【0053】
また、縦型ベルトコンベア151は、例えば、一対の搬送ベルト158が、前面側の一対の桟部172で棒金入金部120から受け取った棒金硬貨Bを、第2の方向(
図3における時計回り方向)に回転することで上方に搬送する。この前面側での鉛直上方への搬送では、棒金硬貨Bを、高さ位置が合う一対の桟部172で水平に支持することになり、これら一対の桟部172は、棒金硬貨Bを、この時に上側にあって下方に凹む棒金収容部177に収容して搬送する。
【0054】
その後、縦型ベルトコンベア151の一対の搬送ベルト158は、その上部で前面側から後面側に棒金硬貨Bの搬送位置が変わることになる。その際に、一対の搬送ベルト158の前面側で棒金硬貨Bを搬送していた一対の桟部172は、一対の搬送ベルト158の最上部付近で、棒金収容部177が後方に向くように傾く。このとき、これらの桟部172は、支持していた棒金硬貨Bを、これらの桟部172の回転方向前側(搬送方向下流側)に隣り合う、一対の桟部172に向け落下させることになる。そして、一対の搬送ベルト158は、これらの桟部172で棒金硬貨Bを受け取って下方に更に搬送する。
【0055】
前方カバー部182の上部に、上記した棒金出金部123の上部の出金部導入口131が設けられている。また、前方カバー部182の下部に、放出部ゲート142の放出部導入口141が設けられている。
【0056】
棒金搬送部121は、棒金硬貨Bを出金部導入口131を介して棒金出金部123に案内する上記した出金部ゲート132を有している。出金部ゲート132は、開状態にあるとき、搬送ベルト158の上部位置で、上記したように上部搬送空間186内を前方に移動する棒金硬貨Bを、出金部導入口131を介して棒金出金部123に案内する。出金部ゲート132は、出金部導入口131を閉塞する閉位置と、出金部導入口131を開放しつつ前下がりの状態で上部搬送空間186と前部搬送空間187との境界近傍に入り込む開位置との間で回動する。出金部ゲート132は、閉位置にあるとき、上部搬送空間186から出金部導入口131への棒金硬貨Bの進入を規制する一方、開位置にあるとき、棒金硬貨Bを前下がりの傾斜によって上部搬送空間186から出金部導入口131へ案内して棒金出金部123内に放出する。出金部ゲート132は、閉位置が待機位置となっている。
【0057】
棒金搬送部121は、棒金硬貨Bを、前部搬送空間187内で搬送ベルト158の前面側の桟部172で支持しつつ下方に移動させる際に、放出部導入口141を介してシュート状の棒金放出部122に案内する上記した放出部ゲート142を有している。放出部ゲート142は、放出部導入口141を閉塞する閉位置と、放出部導入口141を開放しつつ前下がりの状態で前部搬送空間187に入り込む開位置との間で回動する。放出部ゲート142は、閉位置にあるとき、前部搬送空間187から放出部導入口141への棒金硬貨Bの進入を規制する一方、開位置にあるとき、棒金硬貨Bを下方に移動する桟部172から持ち上げ、前下がりの傾斜により前部搬送空間187から放出部導入口141へ案内し棒金放出部122を通して棒金硬貨処理装置10の機外に放出させる。放出部ゲート142は、閉位置が待機位置となっている。
【0058】
後方搬送部111の前部棒金取込部113は、棒金搬送部121に向けて前進可能であり、前進した前進位置にあるとき、搬送ベルト158の後面側の一対の桟部172に支持されて下方搬送される棒金硬貨Bを相対的に掬い上げることになり、その後、後退位置に位置して、掬い上げた棒金硬貨Bを後方搬送部111に受け渡す。
【0059】
棒金収納部105の後部棒金押出部106は、上方搬送部112で搬送される棒金硬貨Bを前方に押し出すことになり、これにより、この棒金硬貨Bを、それまでにこの棒金収納部105に収納されていた棒金硬貨Bよりも後側の最後位置に配置してこの棒金収納部105に収納する。
【0060】
棒金収納部105の前部棒金取込繰出部107は、棒金搬送部121に向けて前進可能であり、前進した前進位置にあるとき、搬送ベルト158の後面側の一対の桟部172に支持されて下方搬送される棒金硬貨Bを相対的に掬い上げることになり、その後、後退位置に位置して、掬い上げた棒金硬貨Bをこの棒金収納部105の前端位置に押し込む。これにより、この棒金硬貨Bを、それまでにこの棒金収納部105に収納されていた棒金硬貨Bよりも前側の最前位置に配置してこの棒金収納部105に収納する。
【0061】
また、棒金収納部105の前部棒金取込繰出部107は、この棒金収納部105に収納されている最前位置の棒金硬貨Bを1本ずつ押し出して、搬送ベルト158の後面側にあってこの棒金収納部105と高さ位置が合う一対の桟部172に受け渡す。
【0062】
棒金搬送部121は、棒金収納部105(A)~105(F)に収納されている収納棒金Bおよび包装部101で包装された包装棒金Bを、棒金放出部122、棒金出金部123および棒金一括収納部124に向けて搬送するとともに、包装部101で包装された包装棒金Bを、棒金収納部105(A)~105(F)に搬送する。また、棒金搬送部121は、棒金入金部120に投入された棒金硬貨Bを、棒金収納部105(A)~105(F)に搬送する。また、棒金搬送部121は、包装部101で包装された包装棒金Bを、棒金放出部122に搬送する。
【0063】
制御部67は、バラ硬貨収納部54(A)~54(F)、包装部101、棒金収納部105(A)~105(F)および棒金出金部123等を制御すると共にバラ硬貨Cおよび棒金硬貨Bの搬送を制御する。
【0064】
次に、本実施形態の硬貨処理機12の主な処理について説明する。
【0065】
硬貨処理機12が待機状態にあるとき、バラ硬貨入金部31はシャッタ38が閉状態にあり、棒金出金部123もシャッタ125が閉状態にある。
【0066】
[バラ硬貨入金処理]
バラ硬貨入金処理は、機外からバラ硬貨入金部31に投入されたバラ硬貨Cを搬送しつつ識別および計数して一時貯留させる処理である。操作表示部69にバラ硬貨入金処理の選択操作がなされると、制御部67は、バラ硬貨入金処理を開始することになり、バラ硬貨入金部31のシャッタ38を開く。そして、バラ硬貨入金部31に機外からバラ硬貨Cが装填され、操作表示部69にバラ硬貨入金処理の開始操作がなされると、制御部67は、シャッタ38を閉じてから、バラ硬貨入金部31でバラ硬貨Cを一枚ずつ所定の間隔をあけて繰り出させることになり、繰り出されたバラ硬貨Cを、入金搬送部33で搬送させる。この搬送中に入金識別計数部32がバラ硬貨Cを識別および計数することになり、制御部67は、入金識別計数部32で受け入れ可能と識別したバラ硬貨Cを、入金搬送部33から貯留案内部47で入金貯留部48に金種別に分類して一時貯留させることになる。
【0067】
他方、制御部67は、バラ硬貨入金部31から繰り出されたバラ硬貨Cのうち、入金識別計数部32で受け入れ不可と識別したバラ硬貨C、すなわち金種識別できない金種識別不良のバラ硬貨C等をリジェクトバラ硬貨として、入金搬送部33から入金リジェクト案内部34でバラ硬貨入金リジェクト箱35に収納させる。
【0068】
以上のバラ硬貨入金処理の作動を行うことによって、バラ硬貨入金部31のバラ硬貨Cがなくなり、バラ硬貨入金部31から繰り出されたすべてのバラ硬貨Cが、入金貯留部48およびバラ硬貨入金リジェクト箱35のいずれかに搬送されると、制御部67は、入金識別計数部32で受け入れ可能と判定して入金貯留部48に一時貯留させたバラ硬貨Cの金種別の枚数および総額等を操作表示部69に表示させるとともに、バラ硬貨入金リジェクト箱35の装置本体40へのロックを解除してバラ硬貨入金リジェクト箱35を装置本体40から取り外し可能とする。そして、制御部67は、操作表示部69への入金確定操作および入金キャンセル操作の入力を待機する状態となってバラ硬貨入金処理を終了する。
【0069】
[バラ硬貨収納処理]
バラ硬貨入金処理後、操作表示部69への入金確定操作が入力された入金確定時に、制御部67は、入金を確定するとともに、バラ硬貨入金処理にて入金貯留部48に金種別に分類して一時貯留させたバラ硬貨Cを、金種別に分類した状態のままバラ硬貨収納部54(A)~54(F)に収納させるバラ硬貨収納処理を行う。
【0070】
[バラ硬貨返却処理]
バラ硬貨入金処理後、操作表示部69への入金キャンセル操作が入力された入金キャンセル時に、制御部67は、入金を確定せず、バラ硬貨入金処理にて入金貯留部48に一時貯留したバラ硬貨Cをすべて、バラ硬貨返却箱52に繰り出す返却処理を行う。バラ硬貨返却処理の最後に、制御部67は、バラ硬貨返却箱52の装置本体40へのロックを解除してバラ硬貨返却箱52を装置本体40から取り外し可能とする。
【0071】
[バラ硬貨出金処理]
バラ硬貨出金処理は、操作表示部69へ入力されたバラ硬貨出金操作に基づいて、1円玉のバラ硬貨を収納しているバラ硬貨収納部54(A)、5円玉のバラ硬貨を収納しているバラ硬貨収納部54(B)、10円玉のバラ硬貨を収納しているバラ硬貨収納部54(C)、50円玉のバラ硬貨を収納しているバラ硬貨収納部54(D)、100円玉のバラ硬貨を収納しているバラ硬貨収納部54(E)、500円玉のバラ硬貨を収納しているバラ硬貨収納部54(F)のうちの指定された金種のものからバラ硬貨Cを出金する処理である。
【0072】
バラ硬貨出金処理において、制御部67は、操作表示部69に入力された金種別の出金枚数に基づき、バラ硬貨収納部54(A)~54(F)のうちの出金対象のものからバラ硬貨Cを、一枚ずつに分離しつつ所定の間隔をあけて繰り出させることになる。すると、繰り出されたバラ硬貨Cを、硬貨出金搬送部61が、識別および計数しつつ搬送し、正常なバラ硬貨Cを硬貨出金箱62に搬送する。他方、硬貨出金搬送部61は、バラ硬貨出金処理において異常なバラ硬貨Cが含まれる場合、異常なバラ硬貨Cを含んでバラ硬貨Cを硬貨出金箱62から出金リジェクト案内部63で硬貨回収庫64に収納させ、その後、バラ硬貨出金処理をやり直す。以上のようにして、入力された金種別の出金枚数のバラ硬貨Cを、硬貨出金箱62に収納する。バラ硬貨出金処理の最後に、制御部67は、硬貨出金箱62の装置本体40へのロックを解除して硬貨出金箱62を装置本体40から取り外し可能とする。
【0073】
[棒金硬貨出金処理]
棒金硬貨出金処理は、操作表示部69へ入力された棒金硬貨出金操作に基づいて、1円玉の棒金硬貨Bを収納している棒金収納部105(A)、5円玉の棒金硬貨Bを収納している棒金収納部105(B)、10円玉の棒金硬貨Bを収納している棒金収納部105(C)、50円玉の棒金硬貨Bを収納している棒金収納部105(D)、100円玉の棒金硬貨Bを収納している棒金収納部105(E)、500円玉の棒金硬貨Bを収納している棒金収納部105(F)のうちの指定された金種のものから棒金硬貨Bを棒金出金部123に出金する収納棒金出金処理を含む。
【0074】
また、棒金硬貨出金処理は、操作表示部69へ入力された棒金硬貨出金操作に基づいて、1円玉のバラ硬貨を収納しているバラ硬貨収納部54(A)、5円玉のバラ硬貨を収納しているバラ硬貨収納部54(B)、10円玉のバラ硬貨を収納しているバラ硬貨収納部54(C)、50円玉のバラ硬貨を収納しているバラ硬貨収納部54(D)、100円玉のバラ硬貨を収納しているバラ硬貨収納部54(E)、500円玉のバラ硬貨を収納しているバラ硬貨収納部54(F)のうちの指定された金種のもののバラ硬貨Cから包装部101で棒金硬貨Bを作成して棒金出金部123に出金する包装棒金出金処理を含む。
【0075】
また、棒金硬貨出金処理は、操作表示部69へ入力された棒金硬貨出金操作に基づいて、バラ硬貨収納部54(A)~54(F)のうちの指定された金種のもののバラ硬貨Cから包装部101で棒金硬貨Bを作成して棒金収納部105(A)~105(F)の対応するものに補充する包装棒金補充処理を含む。
【0076】
ここで、棒金硬貨Bのうち、棒金収納部105(A)~105(F)に収納されていて棒金硬貨出金処理等の一取引において棒金出金部123に出金される棒金硬貨Bを収納棒金とし、棒金硬貨出金処理等の一取引においてバラ硬貨収納部54(A)~54(F)からの所定枚数のバラ硬貨Cを包装部101が包装シートで包装し作成して棒金出金部123に出金等する棒金硬貨Bを包装棒金とする。よって、棒金収納部105(A)~105(F)は、棒金硬貨Bを収納棒金Bとして収納しつつ繰り出し可能である。また、包装部101は、所定枚数のバラ硬貨Cを包装シートで包装して棒金硬貨Bである包装棒金Bとする。
【0077】
棒金硬貨出金処理の一取引において、出金を要求する金種別の出金本数が操作表示部69に入力されて、操作表示部69に出金開始操作が入力されると、制御部67は、棒金硬貨出金処理の一取引を開始することになるが、この一取引を開始するに当たり、まず、入力された金種別の出金本数に基づき、棒金収納部105(A)~105(F)に既に収納している収納棒金Bの在り高と、当該一取引で出金要求された棒金硬貨Bの要求数とを比較するとともに、この比較結果に基づいて、棒金硬貨出金処理パターンを決定し、決定した棒金硬貨出金処理パターンに従って、棒金硬貨出金処理の一取引を行う。
【0078】
この棒金硬貨出金処理パターンは、棒金収納部105(A)~105(F)からの収納棒金Bを棒金出金部123に出金する収納棒金出金処理のみを行う第1パターンと、棒金収納部105(A)~105(F)からの収納棒金Bを棒金出金部123に出金する収納棒金出金処理と、バラ硬貨収納部54(A)~54(F)からの所定数のバラ硬貨Cを包装部101で包装して包装棒金Bを作成し、この包装棒金Bを棒金出金部123に出金する包装棒金出金処理との両方を行う第2パターンとである。制御部67は、これら第1パターンおよび第2パターンのうちのいずれか一方を選択して実行することになり、第1パターンおよび第2パターンのうち第1パターンを優先して実行する。
【0079】
すなわち、制御部67は、棒金硬貨出金処理の一取引を行う際に、棒金収納部105(A)~105(F)の全てにおいて、既に収納している収納棒金Bの本数が、当該一取引で出金要求された棒金硬貨Bの出金要求数以上である場合は、棒金収納部105(A)~105(F)が収納している収納棒金Bを棒金出金部123に出金させる収納棒金出金処理のみを行う。
【0080】
また、制御部67は、棒金硬貨出金処理の一取引を行う際に、棒金収納部105(A)~105(F)のうちの少なくともいずれか一つの金種の収納棒金Bにおいて、既に収納している収納棒金Bの本数が、当該一取引で出金要求された棒金硬貨Bの出金要求数未満である場合は、当該出金要求本数未満ではない金種については収納棒金出金処理のみを行い、当該出金要求数未満である金種については、収納棒金出金処理を行うと共に、バラ硬貨収納部54(A)~54(F)のうちの当該金種のバラ硬貨Cを収納しているもののバラ硬貨Cから包装部101で包装棒金Bを作成して、棒金出金部123に出金させる包装棒金出金処理を行う。このように、制御部67は、棒金硬貨出金処理の一取引において、棒金収納部105(A)~105(F)が収納している収納棒金Bと、バラ硬貨収納部54(A)~54(F)が収納しているバラ硬貨Cから包装部101で包装して作成する包装棒金Bと、の両方を合流させて棒金出金部123に出金させる。
【0081】
また、制御部67は、棒金硬貨出金処理の一取引において、棒金収納部105(A)~105(F)に既に収納している収納棒金Bの在り高と、当該一取引で出金要求された棒金硬貨Bの要求数との比較結果に基づいて、上記した棒金硬貨出金処理パターンに加えて、バラ硬貨収納部54(A)~54(F)のバラ硬貨Cを包装部101で包装して包装棒金Bを作成し、この包装棒金Bを棒金収納部105(A)~105(F)の対応するものに収納する包装棒金補充処理を追加的に実行する。
【0082】
すなわち、制御部67は、棒金硬貨出金処理の一取引を行う際に、当該一取引において、棒金収納部105(A)~105(F)が収納している収納棒金Bを棒金出金部123に出金させると、棒金収納部105(A)~105(F)のうちの少なくとも一つの金種において収納棒金Bがゼロになる本数不足金種が存在すると予測される場合には、当該一取引に含めて、バラ硬貨収納部54(A)~54(F)のうちの当該本数不足金種のバラ硬貨Cを収納しているもののバラ硬貨Cから包装部101で包装棒金Bを作成して、棒金収納部105(A)~105(F)のうちの当該本数不足金種の棒金収納部105に収納させる包装棒金補充処理を追加的に実行して、棒金収納部105(A)~105(F)の収納本数を、全て所定の下限本数以上にする。
【0083】
このように、制御部67は、棒金硬貨出金処理の一取引において、棒金収納部105(A)~105(F)が収納している収納棒金Bと、バラ硬貨収納部54(A)~54(F)が収納しているバラ硬貨Cから包装部101で包装して作成する包装棒金Bと、の両方を合流させて棒金出金部123に出金させると共に、バラ硬貨収納部54(A)~54(F)が収納しているバラ硬貨Cから包装部101で包装して作成する包装棒金Bを棒金収納部105(A)~105(F)に向けて送り出して収納させる。なお、収納棒金Bがゼロよりも大きい所定の本数以下になった金種を本数不足金種とし、この所定の本数よりも所定値大きい本数を下限本数としても良い。
【0084】
しかも、制御部67は、金種ごとの棒金硬貨Bの出金要求数と、機内在り高として棒金収納部105(A)~105(F)に収納している収納棒金Bの本数との比較に加えて、機内在り高としてバラ硬貨収納部54(A)~54(F)に収納しているバラ硬貨Cの枚数を比較する。そして、予め、棒金収納部105(A)~105(F)のそれぞれに設定されている収納棒金Bを残留させる所定の下限本数を考慮すると共に、バラ硬貨収納部54(A)~54(F)のそれぞれに設定されているバラ硬貨Cを残留させる所定の下限バラ数とを考慮して、当該一取引の動作パターンを決定する。
【0085】
すなわち、制御部67は、棒金硬貨出金処理の一取引を開始するに当たり、当該一取引後に、棒金収納部105(A)~105(F)が所定の収納量である下限本数を維持すると予想される場合、棒金収納部105(A)~105(F)の収納棒金Bのみを出金させる。
【0086】
また、制御部67は、棒金硬貨出金処理の一取引を開始するに当たり、当該一取引後に、棒金収納部105(A)~105(F)のうちの少なくともいずれか一つが、所定の収納量である下限本数を維持できないと予想される場合、下限本数を維持できない棒金収納部105に補充する包装棒金Bを作成する分のバラ硬貨Cが、バラ硬貨収納部54(A)~54(F)の対応するものに確保されていると予想される場合、当該一取引において、収納棒金Bおよび包装棒金Bのうちの少なくとも収納棒金Bを出金させた後、当該下限本数を維持できない棒金収納部105に包装棒金Bを補充して所定の下限本数に戻す。
【0087】
また、制御部67は、棒金硬貨出金処理の一取引を開始するに当たり、当該一取引後に、棒金収納部105(A)~105(F)のうちの少なくともいずれか一つが、所定の収納量である下限本数を維持できないと予想される場合であって、下限本数を維持できない棒金収納部105に補充する包装棒金Bを作成する分のバラ硬貨Cが、バラ硬貨収納部54(A)~54(F)の対応するものに確保されていないと予想される場合、当該一取引において、収納棒金Bおよび包装棒金Bのうちの少なくとも収納棒金Bを出金させた後、下限本数を維持できない棒金収納部105に包装棒金Bを補充しない。
【0088】
しかも、制御部67は、下限本数を維持できない棒金収納部105に補充する包装棒金Bを作成する分と下限バラ数とを合わせた枚数のバラ硬貨Cが、バラ硬貨収納部54(A)~54(F)の対応するものに確保されていないと予想される場合、下限本数を維持できない棒金収納部105に包装棒金Bを補充しない。
【0089】
また、制御部67は、棒金硬貨出金処理の一取引を開始するに当たり、出金を要求された金種の収納棒金Bが棒金収納部105(A)~105(F)の対応するものに1本も収納されていない場合、バラ硬貨収納部54(A)~54(F)の対応するもののバラ硬貨Cを包装部101で包装して包装棒金Bのみを棒金出金部123に出金させる。
【0090】
また、制御部67は、棒金硬貨出金処理の一取引において、一度に複数金種の棒金硬貨Bを棒金出金部123に出金させる場合で、且つ、収納棒金Bおよび包装棒金Bの両方を出金させる場合、収納棒金Bおよび包装棒金Bの合流に際しては、複数金種の棒金硬貨Bを金種毎に纏めるように合流させる。すなわち、第1の位置にある包装部101から棒金搬送部121に包装棒金Bを送出させ、包装部101の上方にあって第1の位置とは異なる第2の位置にある棒金収納部105(A)~105(F)から棒金搬送部121に包装棒金Bを送出させることにより、複数金種の棒金硬貨Bを金種毎に纏めるように合流させる。その際に、棒金出金部123において高額金種の棒金Bほど下側で纏めるように合流させる。
【0091】
ここでは、具体例として、棒金硬貨出金処理の一取引である第1の取引を開始するに当たり、出金を要求された金種の収納棒金Bの内訳が、10円玉の棒金硬貨Bが5本と、100円玉の棒金硬貨Bが5本とである場合を例にとり説明する。しかも、この第1の取引を開始するに当たり、10円玉の収納棒金Bが棒金収納部105(C)に10本、100円玉の収納棒金Bが棒金収納部105(E)に4本であり、100円玉のバラ硬貨Cがバラ硬貨収納部54(E)に800枚ある場合を例にとり説明する。また、棒金収納部105(C)の10円玉の収納棒金Bの下限本数が3本に設定され、棒金収納部105(E)の100円玉の収納棒金Bの下限本数が3本に設定され、バラ硬貨収納部54(E)の下限バラ数が300枚に設定されている場合を例にとり説明する。なお、これらの設定は一例であり、これに限らない。また、棒金出金部123に一度に保留な棒金硬貨Bの数は12本になっているものとする。
【0092】
まず、制御部67は、棒金硬貨出金処理の一取引である第1の取引を開始するに当たり、出金を要求された金種の収納棒金Bの内訳が、10円玉の棒金硬貨Bが5本と、100円玉の棒金硬貨Bが5本とであり、10円玉の棒金硬貨Bは、包装処理が不要な収納棒金Bで全て出金可能であり、100円玉の棒金硬貨Bは、包装処理が不要な収納棒金Bで4本が出金可能であって、残り1本は包装処理が必要な包装棒金Bで出金可能である旨を操作表示部69に表示させる。加えて、制御部67は、10円玉の5本の棒金硬貨Bと100円玉の5本の棒金硬貨Bとを全て出金するか、包装処理が不要な範囲で最大限の10円玉の5本の棒金硬貨Bと100円玉の4本の棒金硬貨Bとを出金するか、出金をキャンセルするかの3つのパターンを操作表示部69に表示させて、いずれのパターンで出金させるかの入力を待機する。ここでは、10円玉の5本の棒金硬貨Bと100円玉の5本の棒金硬貨Bとを全て出金するパターンが選択された場合について説明する。なお、これに対して、包装処理が不要な範囲で最大限の10円玉の5本の棒金硬貨Bと100円玉の4本の棒金硬貨Bとを出金するパターンが選択された場合は、包装処理が必要な100円玉の1本の包装棒金Bの包装棒金出金処理を行わない点のみが処理として相違することになる。また、全て出金するか、100円玉1本減の4本の棒金硬貨Bの出金とするか、キャンセルのいずれかを選択させる照会を行う説明としたが、これらの照会ステップは必須ではなく、バラ硬貨の不足が予測されない限りは、自動的に全て出金が実行されるものとしても良い。
【0093】
制御部67は、棒金硬貨出金処理の第1の取引で、棒金収納部105(E)から4本の100円玉の収納棒金Bを棒金出金部123に出金させる収納棒金出金処理と、バラ硬貨収納部54(E)から100円玉のバラ硬貨Cを繰り出し包装部101で包装して1本の包装棒金Bを棒金出金部123に出金させる包装棒金出金処理と、棒金収納部105(C)から5本の10円玉の収納棒金Bを棒金出金部123に出金させる収納棒金出金処理と、バラ硬貨収納部54(E)から100円玉のバラ硬貨Cを繰り出し包装部101で包装して3本の100円玉の包装棒金Bを棒金収納部105(E)に補充する包装棒金補充処理とを実行するパターンで制御を行うことになる。
【0094】
操作表示部69において、棒金硬貨出金処理の第1の取引として、5本の10円玉の棒金硬貨Bと5本の100円玉の棒金硬貨Bとが出金要求数として入力されて、すべての棒金硬貨Bを出金する旨の操作が入力されて、スタート操作が入力されると、制御部67は、上記パターンを割り出して、まず、例えば、4本の100円玉の収納棒金Bを棒金出金部123へ保留させる収納棒金出金処理を行うべく、コンベア駆動部153を駆動して搬送ベルト158を第1の方向(
図3における反時計回り方向)に正回転させる。これと並行して、制御部67は、1本の100円玉の包装棒金Bを棒金出金部123へ保留させる包装棒金出金処理および3本の100円玉の包装棒金Bを棒金収納部105(E)に後に補充する包装棒金補充処理を行うべく、バラ硬貨収納部54(E)から100円玉のバラ硬貨Cの繰り出しを開始させて包装部101による100円玉の包装棒金Bの作成動作を開始させる。すなわち、制御部67は、棒金収納部105(E)が収納している100円玉の収納棒金Bを棒金出金部123へ出金させる収納棒金出金処理と、バラ硬貨収納部54(E)が収納している100円玉のバラ硬貨Cから包装部101で包装棒金Bを作成する包装棒金作成処理とを、並行処理する。包装棒金作成処理は、包装棒金出金処理の一部であって包装棒金補充処理の一部である。
【0095】
収納棒金出金処理において、制御部67は、上記のように搬送ベルト158を第1の方向に正回転させると、出金部ゲート132を開状態とし、棒金収納部105(E)に収納されている100円玉の収納棒金Bの最前位置の1本目を前部棒金取込繰出部107で前方に繰り出させて、搬送ベルト158の後面側で上昇する桟部172のうち、棒金収納部105(E)の高さ位置(第2の位置)に高さ位置が合う桟部172に載置させる。次に、制御部67は、この桟部172の搬送方向上流側すなわち下方に隣り合う桟部172に、棒金収納部105(E)に収納されている100円玉の収納棒金Bの最前位置の2本目を前部棒金取込繰出部107で前方に繰り出して載置させる。以上を適宜繰り返すことで、棒金収納部105(E)に収納されていた4本の100円玉の収納棒金Bを搬送ベルト158の後面側で上昇する桟部172に順に載置させる。
【0096】
制御部67は、包装棒金作成処理で1本目の100円玉の包装棒金Bすなわち5本目の100円玉の棒金硬貨Bが包装部101で作成されると、4本目の100円玉の収納棒金Bを載置させた桟部172よりも搬送方向上流側に位置する桟部172に、棒金収納部105(A)~105(E)よりも下方の高さ位置(第1の位置)にある包装部101から、この5本目の100円玉の棒金硬貨Bを載置させる。
【0097】
次に、制御部67は、この桟部172の搬送方向上流側すなわち下方に隣り合う桟部172に、棒金収納部105(C)に収納されている10円玉の収納棒金Bの最前位置の1本目を前部棒金取込繰出部107で前方に繰り出して載置させる。次に、制御部67は、この桟部172の搬送方向上流側すなわち下方に隣り合う桟部172に、棒金収納部105(C)に収納されている10円玉の収納棒金Bの最前位置の2本目を前部棒金取込繰出部107で前方に繰り出して載置させる。以上を適宜繰り返すことで、棒金収納部105(C)に収納されていた5本の10円玉の収納棒金Bを搬送ベルト158の後面側で上昇する桟部172に順に載置させる。
【0098】
以上のようにして搬送ベルト158で搬送される棒金硬貨Bが、開位置にある出金部ゲート132によって棒金出金部123に放出されて保留される。その際に、5本の100円玉の棒金硬貨Bが先に放出されて棒金出金部123の下部に纏まり、これらよりも後に5本の10円玉の棒金硬貨Bが放出されて、100円玉の棒金硬貨Bの最上位置のものと同高さ以上の位置に纏まる。
【0099】
10本目の棒金硬貨Bが棒金出金部123に保留されると、制御部67は、出金部ゲート132を閉状態とし、シャッタ125を開状態とする。すると、第1の取引において出金した棒金出金部123の棒金硬貨Bが機外に取り出される。
【0100】
なお、第1の取引において、100円玉の包装棒金Bは、出金のために1本、補充のために3本必要となるため、制御部67は、包装棒金出金処理の包装棒金作成処理に引き続き包装棒金補充処理の包装棒金作成処理を、処理が干渉しない範囲で進めておく。
【0101】
ここで、上記のようにして10本目の棒金硬貨Bが搬送ベルト158の桟部172に載置されると、制御部67は、包装棒金作成処理で2本目の100円玉の包装棒金Bすなわち補充用の1本目の100円玉の包装棒金Bが包装部101で作成されると、5本目の10円玉の収納棒金Bを載置させる桟部172よりも搬送方向上流側に位置する桟部172に、この補充用の1本目の100円玉の包装棒金Bを載置させる。
【0102】
そして、制御部67は、搬送ベルト158の桟部172で上昇搬送されるこの補充用の1本目の100円玉の包装棒金Bを、棒金収納部105(E)の前部棒金取込繰出部107で棒金収納部105(E)に取り込ませて収納させる。また、制御部67は、包装棒金作成処理で補充用の2本目の100円玉の包装棒金Bが包装部101で作成されると、1本目の100円玉の包装棒金Bを載置させた桟部172よりも搬送方向上流側に位置する桟部172に、この補充用の2本目の100円玉の包装棒金Bを載置させる。そして、制御部67は、搬送ベルト158の桟部172で上昇搬送されるこの補充用の2本目の100円玉の包装棒金Bを、棒金収納部105(E)の前部棒金取込繰出部107で棒金収納部105(E)に取り込ませて補充用の1本目の包装棒金Bの前に押し込ませて収納させる。以上を適宜繰り返すことで、3本の100円玉の包装棒金Bを、棒金収納部105(E)に収納させる。
【0103】
このように、10本の棒金硬貨Bの棒金出金部123への出金および3本の包装棒金Bの棒金収納部105(E)への補充が完了すると、制御部67は、棒金硬貨出金処理の第1の取引を終了する。この棒金硬貨出金処理の第1の取引においては、操作表示部69にスタート操作が入力されると、この第1の取引が終了するまで正常に処理が進行すれば、その間に、操作表示部69への操作入力なしで処理が進行することになる。
【0104】
なお、包装棒金Bの棒金収納部105(A)~105(F)への補充は、上記のように前部棒金取込繰出部107で前方から行う以外にも、前部棒金取込部113で搬送ベルト158から後方搬送部111に取り込んで後方搬送部111および上方搬送部112で搬送し、上方搬送部112から棒金収納部105(A)~105(F)の対応するものに後部棒金押出部106で押し込むことで行うようにしても良い。
【0105】
また、棒金収納部105(A)~105(F)のうちの複数の棒金収納部105に包装棒金Bの補充が必要な場合、バラ硬貨収納部54(A)~54(F)から包装部101までの範囲で、処理に干渉を生じないようにして、可能な限り下流側まで処理を行わせておく。なお、包装棒金補充処理において、棒金収納部105(A)~105(F)に補充する包装棒金Bの順番はいずれの金種を先にしても良い。
【0106】
以上のように、棒金搬送部121は、棒金出金部123に向けて収納棒金Bおよび包装棒金Bを搬送するものである。この棒金搬送部121に対して、包装部101によって第1の位置から包装棒金Bを送り出し、この第1の位置とは異なる第2の位置から、棒金収納部105(A)~105(F)の前部棒金取込繰出部107によって収納棒金Bを送り出すことにより、複数金種の棒金硬貨Bを金種毎に纏めるように合流させる。また、制御部67は、第1の位置において、包装部101によって包装棒金Bを棒金搬送部121に受け渡した後、第2の位置において、前部棒金取込繰出部107によって棒金搬送部121から棒金収納部105(A)~105(F)に向けて包装棒金Bを送り出す。あるいは、制御部67は、第1の位置において、包装部101によって包装棒金Bを棒金搬送部121に受け渡した後、第1の位置とは異なる位置において、前部棒金取込部113、後方搬送部111、上方搬送部112および後部棒金押出部106によって棒金搬送部121から棒金収納部105(A)~105(F)に向けて包装棒金Bを送り出す。
【0107】
なお、以上の具体例では、棒金出金部123に一度に保留可能な範囲で棒金硬貨Bを出金させる場合を例にとり説明したが、棒金出金部123に一度に保留可能な範囲を超えて棒金硬貨Bを出金する場合、制御部67は、棒金硬貨出金処理の一取引を開始する際に、当該一取引における棒金硬貨Bの出金が複数金種に亘って指示されているときは、棒金硬貨Bを一金種毎に、棒金出金部123によって機外へ取り出し可能に出金させる。すなわち、例えば、棒金硬貨出金処理の一取引を開始する際に、当該一取引における棒金硬貨Bの出金が、棒金出金部123に一度に保留可能な12本を超えた、10円玉の棒金硬貨Bが8本と100円玉の棒金硬貨Bが15本とである場合、シャッタ125を閉じた状態で例えば先に10円玉の8本の棒金硬貨Bを棒金出金部123に保留させてからシャッタ125を開いて、10円玉の8本の棒金硬貨Bを機外に取り出し可能とし、10円玉の8本の棒金硬貨Bが機外に取り出されると、シャッタ125を閉じて100円玉の12本の棒金硬貨Bを棒金出金部123に保留させてからシャッタ125を開いて、100円玉の12本の棒金硬貨Bを機外に取り出し可能とし、100円玉の12本の棒金硬貨Bが機外に取り出されると、シャッタ125を閉じて100円玉の3本の棒金硬貨Bを棒金出金部123に保留させてからシャッタ125を開いて、100円玉の3本の棒金硬貨Bを機外に取り出し可能とする。
【0108】
また、同一金種の棒金硬貨Bについて、収納棒金出金処理と包装棒金出金処理とを行う場合、1本目の棒金硬貨Bが棒金出金部123に至るまでに要する時間が、収納棒金出金処理の方が包装棒金出金処理よりも速いため、上記のように収納棒金出金処理による収納棒金Bの棒金出金部123への搬送を先行して行い、包装棒金出金処理による包装棒金Bの棒金出金部123への搬送を後で行うようにする。
【0109】
なお、同一金種の収納棒金Bおよび包装棒金Bを棒金出金部123において纏めるようにしたが、纏めずに、処理時間が最短になるように制御して、収納棒金Bおよび包装棒金Bを棒金出金部123に保留させるようにしても良い。
【0110】
以上では、包装棒金補充処理について、棒金硬貨出金処理の一部としての包装棒金補充処理を説明したが、操作表示部69へ包装棒金補充処理の選択操作が入力されると、制御部67は、包装棒金補充処理を単独で行う。この場合、棒金収納部105(A)~105(F)に収納しきれない包装棒金Bを棒金一括収納部124に収納する。
【0111】
以上の棒金硬貨出金処理において、制御部67は、以下の動作パターンのいずれか一つを選択して決定する。制御部67は、決定した動作パターンに基づいて、処理を行う。
【0112】
[収納棒金Bのみ出金させて、棒金硬貨出金処理を終了するパターン]
このパターンを制御部67が選択する条件は、棒金収納部105(A)~105(F)のうちの出金対象のものが、収納棒金Bを出金させた後も所定の収納量を維持していることである。
【0113】
[収納棒金Bのみを出金させた後、または、収納棒金Bと包装棒金Bとを出金させた後、棒金収納部105(A)~105(F)へ包装棒金Bを補充させるパターン]
このパターンを制御部67が選択する条件は、補充させる包装棒金Bを作成する分のバラ硬貨Cが、棒金硬貨出金処理が終了した後でも、バラ硬貨収納部54(A)~54(F)のうちの対応するものに確保されていること(但し、バラ硬貨収納部54(A)~54(F)のうちの対応するものに残留させる必要がある所定枚数分は除く)である。
【0114】
[収納棒金Bのみを出金させた後、または、収納棒金Bと包装棒金Bとを出金させた後、棒金収納部105(A)~105(F)へ包装棒金Bを補充させないパターン]
このパターンを制御部67が選択する条件は、補充させる包装棒金Bを作成する分のバラ硬貨Cが、棒金硬貨出金処理が終了した後、バラ硬貨収納部54(A)~54(F)のうちの対応する金種のものに確保されていない場合である。この場合、この金種の棒金収納部105の残量は0になってしまうので、当該棒金収納部105のエンプティを報知する。
【0115】
[包装棒金Bのみ出金させるパターン]
このパターンを制御部67が選択する条件は、要求された金種の棒金硬貨Bが棒金収納部105(A)~105(F)の対応するものに収納されていない場合(棒金収納部105(A)~105(F)の対応するものが空状態の場合)である。包装棒金出金処理が終了した時点において、バラ硬貨収納部54(A)~54(F)のうちの対応するものに残留させるバラ硬貨Cが所定枚数分以外で、包装棒金Bを作成するだけの枚数(100枚単位)が確保されている場合には、包装棒金Bを作成して、当該棒金収納部105へ補充させる包装棒金補充処理を行う。また、包装棒金出金処理が終了した時点において、当該バラ硬貨収納部54が、所定枚数未満となる場合には、予め、包装棒金出金処理を行う前に操作表示部69によって、ユーザへその旨を伝え、承認を行っても良い。更に、包装棒金出金処理の終了後、当該バラ硬貨収納部54のニアエンプティ(またはエンプティ)を操作表示部69によって報知しても良い。
【0116】
制御部67は、棒金硬貨出金処理時に金種毎に纏めて棒金硬貨Bを出金する金種纏めについて、その有無を操作表示部69への選択操作によって決定するようにしても良い。
【0117】
[棒金硬貨装填処理]
棒金硬貨装填処理は、操作表示部69へ入力された棒金硬貨装填操作に基づいて、棒金収納部105(A)~105(F)に機外から棒金硬貨Bを収納する処理である。
【0118】
操作表示部69へ棒金硬貨装填操作が入力されると、制御部67は、コンベア駆動部153を駆動して搬送ベルト158を第2の方向(
図3における時計回り方向)に逆回転させる。そして、棒金入金部120に機外から投入された棒金硬貨Bを、棒金入金部120で識別および計数しつつ搬送ベルト158の前面側で上昇する桟部172に載置させて上昇させ、搬送ベルト158の後面側で搬送方向下流側すなわち下側の桟部172に受け渡して下降させる。そして、棒金収納部105(A)~105(F)の対応する金種のものの前部棒金取込繰出部107で対応する棒金収納部105に収納させる。以上を適宜繰り返すことで、棒金入金部120に機外から投入された棒金硬貨Bを、棒金収納部105(A)~105(F)の対応する金種のものに収納させる。
【0119】
この棒金硬貨装填処理においても、棒金硬貨Bの棒金収納部105(A)~105(F)への補充は、上記のように前部棒金取込繰出部107で前方から行う以外にも、前部棒金取込部113で搬送ベルト158から後方搬送部111に取り込んで後方搬送部111および上方搬送部112で搬送し、上方搬送部112から棒金収納部105(A)~105(F)の対応するものに後部棒金押出部106で押し込むことで行うようにしても良い。
【0120】
[収納棒金回収処理]
収納棒金回収処理は、操作表示部69へ入力された棒金硬貨回収操作に基づいて、棒金収納部105(A)~105(F)の棒金硬貨Bを棒金一括収納部124に収納させて回収する処理である。
【0121】
操作表示部69へ棒金硬貨回収操作が入力されると、制御部67は、コンベア駆動部153を駆動して搬送ベルト158を第1の方向(
図3における反時計回り方向)に正回転させる。そして、棒金収納部105(A)~105(F)を所定の順番で、それぞれの棒金硬貨Bを前部棒金取込繰出部107で搬送ベルト158に繰り出させて、搬送ベルト158で搬送し、棒金一括収納部124に収納させて回収する。
【0122】
[棒金硬貨全回収処理]
制御部67は、操作表示部69への操作により棒金硬貨全回収操作が選択入力されると、棒金硬貨全回収処理モードを実行することになり、この棒金硬貨全回収処理モードにおいては、棒金収納部105(A)~105(F)のうちの一金種用の棒金収納部105から収納棒金Bを全て、収納棒金回収処理と同様にして、棒金一括収納部124に収納させるとともに、バラ硬貨収納部54(A)~54(F)のうち、当該一金種用のバラ硬貨収納部54が収納しているバラ硬貨Cから包装部101で可能な限りの包装棒金Bを作成して棒金一括収納部124へ搬送する回収動作を、金種別に全金種行う。これにより、例えば、1円玉の収納棒金Bおよび包装棒金Bを纏めて棒金一括収納部124へ1回または複数回保留させて機外に取り出させ、その後、5円玉の収納棒金Bおよび包装棒金Bを纏めて棒金一括収納部124へ1回または複数回保留させて機外に取り出させ、その後、10円玉の収納棒金Bおよび包装棒金Bを纏めて棒金一括収納部124へ1回または複数回保留させて機外に取り出させ、その後、50円玉の収納棒金Bおよび包装棒金Bを纏めて棒金一括収納部124へ1回または複数回保留させて機外に取り出させ、その後、100円玉の収納棒金Bおよび包装棒金Bを纏めて棒金一括収納部124へ1回または複数回保留させて機外に取り出させ、その後、500円玉の収納棒金Bおよび包装棒金Bを纏めて棒金一括収納部124へ1回または複数回保留させて機外に取り出させる。
【0123】
以上に述べた本実施形態によれば、制御部67は、棒金硬貨出金処理の一取引において、棒金収納部105(A)~105(F)が収納している収納棒金Bと、バラ硬貨収納部54(A)~54(F)が収納しているバラ硬貨Cから包装部101で包装して作成する包装棒金Bと、の両方を合流させて棒金出金部123に出金させる。よって、操作表示部69を操作して棒金収納部105(A)~105(F)が収納している収納棒金Bを棒金出金部123に出金させる収納棒金出金処理を行った後、再び操作表示部69を操作してバラ硬貨収納部54(A)~54(F)が収納しているバラ硬貨Cから包装部101で包装して作成する包装棒金Bを棒金出金部123に出金させる包装棒金出金処理を行う場合のように、複数の処理を指定して行う必要がなくなる。このため、ユーザーにとって煩雑な操作入力を繰り返し行う必要がなくなり、使い勝手が良くなる。
【0124】
また、制御部67は、棒金硬貨出金処理の一取引において、棒金収納部105(A)~105(F)が収納している収納棒金Bと、バラ硬貨収納部54(A)~54(F)が収納しているバラ硬貨Cから包装部101で包装して作成する包装棒金Bと、の両方を合流させて棒金出金部123に出金させると共に、バラ硬貨収納部54(A)~54(F)が収納しているバラ硬貨Cから包装部101で包装して作成する包装棒金Bを棒金収納部105(A)~105(F)に向けて送り出す。よって、操作表示部69を操作して収納棒金出金処理を行った後、再び操作表示部69を操作して包装棒金出金処理を行い、再び操作表示部69を操作してバラ硬貨収納部54(A)~54(F)が収納しているバラ硬貨Cから包装部101で包装して作成する包装棒金Bを棒金収納部105(A)~105(F)に向けて送り出して補充する包装棒金補充処理を行う場合のように、複数の処理を指定して行う必要がなくなる。このため、ユーザーにとって煩雑な操作入力を繰り返し行う必要がなくなり、使い勝手が一層良くなる。
【0125】
また、制御部67は、棒金硬貨出金処理の一取引において、一度に複数金種の棒金硬貨Bを棒金出金部123に出金させる場合で、且つ、収納棒金Bおよび包装棒金Bの両方を出金させる場合、収納棒金Bおよび包装棒金Bの合流に際しては、複数金種の棒金硬貨Bを金種毎に纏めるように合流させる。よって、収納棒金Bおよび包装棒金Bの両方を出金させる場合であっても、棒金出金部123には棒金硬貨Bが金種毎に纏めて出金されることになるため、ユーザーにとって棒金硬貨Bを金種毎に纏める作業が不要になり、使い勝手が一層良くなる。
【0126】
また、制御部67は、棒金収納部105(A)~105(F)が収納している収納棒金Bを棒金出金部123へ出金させる収納棒金出金処理と、バラ硬貨収納部54(A)~54(F)が収納しているバラ硬貨Cから包装部101で包装棒金Bを作成する包装棒金出金処理の包装棒金作成処理とを、並行処理可能である。このように、所定の収納棒金Bを搬送し終えた後にバラ硬貨Cから包装棒金Bを作成するのではなく、所定の収納棒金Bを搬送中に、並行してバラ硬貨Cから包装棒金Bの作成を進めておくことができる。これによって、棒金硬貨出金処理の一取引の速度アップが見込める。
【0127】
また、棒金搬送部121に対して、第1の位置から包装棒金Bを送り出させ、この第1の位置とは異なる第2の位置から収納棒金Bを送り出させることにより、複数金種の棒金硬貨Bを金種毎に纏めるように合流させる。これにより、複数金種の棒金硬貨Bを金種毎に纏めることが容易にできる。
【0128】
また、制御部67は、第1の位置において、包装部101から包装棒金Bを棒金搬送部121に受け渡した後、第2の位置において、棒金搬送部121から棒金収納部105(A)~105(F)に向けて包装棒金Bを送り出す。これにより、包装棒金Bを棒金収納部105(A)~105(F)に補充することが、簡素かつコンパクトな構成で可能となる。
【0129】
また、制御部67は、棒金硬貨出金処理の一取引を開始する際に、当該一取引における棒金硬貨Bの出金が複数金種に亘って指示されているときは、棒金硬貨Bを一金種毎に、棒金出金部123によって機外へ取り出し可能に出金させる。よって、ユーザーにとって棒金硬貨Bを金種毎に纏める作業が不要になり、使い勝手が良くなる。
【0130】
また、制御部67は、棒金硬貨出金処理の一取引を行う際に、当該一取引において、棒金収納部105(A)~105(F)が収納している収納棒金Bを棒金出金部123に出金させると、棒金収納部105(A)~105(F)のうちの少なくとも一つにおいて収納棒金Bがゼロ(またはゼロより大きい所定本数以下)になる本数不足金種が存在すると予測される場合には、当該一取引に含めて、バラ硬貨収納部54(A)~54(F)のうちの当該本数不足金種のバラ硬貨Cを収納しているもののバラ硬貨Cから包装部101で包装棒金Bを作成して、棒金収納部105(A)~105(F)のうちの当該本数不足金種の棒金収納部105に収納させる包装棒金補充処理を追加的に実行する。このため、ユーザーにとって煩雑な操作入力を繰り返し行う必要がなくなり、使い勝手が良くなる。
【0131】
すなわち、棒金硬貨出金処理の一取引において包装棒金出金処理を行った金種(収納棒金Bだけでは不足の金種)のみならず、当該一取引において収納棒金出金処理を行うことで、ちょうど、収納棒金Bがゼロになる(ゼロになるだけで、包装棒金出金処理は伴わない)、または、収納棒金Bが所定本数(1本、2本等の少ない本数)以下になる金種が存在すると予測される場合、当該一取引の最後に、バラ硬貨Cより包装棒金Bを1本以上作成して、収納棒金Bとして、棒金収納部105(A)~105(F)に補充させる。
【0132】
また、制御部67は、棒金硬貨全回収処理モードにおいては、棒金収納部105(A)~105(F)のうちの一金種用の棒金収納部105から収納棒金Bを全て、棒金搬送部121によって棒金出金部123へ搬送した後に、バラ硬貨収納部54(A)~54(F)のうち、当該一金種用のバラ硬貨収納部54が収納しているバラ硬貨Cから包装部101で包装棒金Bを作成して棒金出金部123へ搬送する回収動作を、金種別に全金種行う。これにより、複数金種に亘って棒金硬貨全回収処理を行う場合であっても、一金種ずつ棒金硬貨全回収処理を行うことで、金種毎に棒金硬貨Bを纏めて出金することができる。すなわち、単純に、収納棒金Bと包装棒金Bとの並行処理だと、金種を気にせずに出金されうるので、棒金出金部123への棒金硬貨Bの金種順が混在する可能性があり、見た目も確認作業にも好ましくない。これを避けることができる。
【0133】
また、制御部67は、包装棒金Bを作成した金種のバラ硬貨Cの、包装棒金Bを作成後のバラ硬貨収納残枚数の範囲内で、適量となる本数分のバラ硬貨枚数を自動的に決定し、当該バラ硬貨枚数について、継続または連続して、バラ硬貨収納部54よりバラ硬貨Cを繰り出して、包装部101において包装させ、棒金搬送部121等を制御して、当該金種の棒金収納部105に、バラ硬貨枚数分の本数の棒金硬貨Bを収納(棒金硬貨追加作成収納)させることができる。これにより、棒金硬貨Bの出金取り出し作業を行っている間に、次の棒金硬貨出金処理の一取引が連続した場合でも、多少の棒金硬貨Bを事前に作成し確保できる。この棒金硬貨追加作成収納は、本来の棒金硬貨出金処理のすべての作業が終わった段階、すなわち、出金指示したすべての棒金硬貨Bが棒金出金部123に搬送された直後から、動作制御されることが好ましい。
【0134】
また、制御部67は、棒金硬貨出金処理の一取引を開始するに当たり、入力された金種別の出金本数に基づき、棒金収納部105(A)~105(F)に既に収納している収納棒金Bの在り高と、当該一取引で出金要求された棒金硬貨Bの要求数とを比較するとともに、この比較結果に基づいて、棒金硬貨出金処理パターンを決定し、決定した棒金硬貨出金処理パターンに従って、棒金硬貨出金処理の一取引を行う。このため、ユーザーにとって煩雑な操作入力を繰り返し行う必要がなくなり、使い勝手が良くなる。
【0135】
この棒金硬貨出金処理パターンは、棒金収納部105(A)~105(F)からの収納棒金Bを棒金出金部123に出金する収納棒金出金処理のみを行う第1パターンと、棒金収納部105(A)~105(F)からの収納棒金Bを棒金出金部123に出金する収納棒金出金処理と、バラ硬貨収納部54(A)~54(F)からの所定数のバラ硬貨Cを包装部101で包装して包装棒金Bを作成し、この包装棒金Bを棒金出金部123に出金する包装棒金出金処理との両方を行う第2パターンとである。制御部67は、これら第1パターンおよび第2パターンのうちのいずれか一方を選択して実行することになる。このため、ユーザーにとって煩雑な操作入力を繰り返し行う必要がなくなり、使い勝手が良くなる。
【0136】
また、制御部67は、棒金硬貨出金処理の一取引において、収納棒金出金処理のみを行う第1パターンと、収納棒金出金処理と包装棒金出金処理との両方を行う第2パターンとに加えて、バラ硬貨収納部54(A)~54(F)からの所定数のバラ硬貨Cを包装部101で包装して包装棒金Bを作成し、この包装棒金Bを棒金収納部105(A)~105(F)に収納する包装棒金補充処理を追加的に実行する。このため、ユーザーにとって煩雑な操作入力を繰り返し行う必要がなくなり、使い勝手が良くなる。
【0137】
また、制御部67は、棒金硬貨出金処理の一取引を開始するに当たり、金種ごとの棒金硬貨Bの出金要求数と、機内在り高として棒金収納部105(A)~105(F)に収納している収納棒金Bの本数とを比較する。それと共に、予め、棒金収納部105(A)~105(F)のそれぞれに設定されている収納棒金Bを残留させる所定の収納量である下限本数を考慮すると共に、バラ硬貨収納部54(A)~54(F)のそれぞれに設定されているバラ硬貨Cを残留させる所定の収納量である下限バラ数を考慮して、当該一取引の動作パターンを決定する。このため、ユーザーにとって煩雑な操作入力を繰り返し行う必要がなくなり、使い勝手が良くなる。
【0138】
また、制御部67は、棒金硬貨出金処理の一取引を開始するに当たり、当該一取引後に、棒金収納部105(A)~105(F)のそれぞれが所定の収納量である下限本数を維持すると予想される場合、棒金収納部105(A)~105(F)の収納棒金Bのみを出金させる。これによって、棒金硬貨出金処理の一取引の速度アップが見込める。
【0139】
また、制御部67は、棒金硬貨出金処理の一取引を開始するに当たり、当該一取引後に、棒金収納部105(A)~105(F)のうちの少なくともいずれか一つが、所定の収納量である下限本数を維持できないと予想される場合であって、下限本数を維持できない棒金収納部105に補充する包装棒金Bを作成する分のバラ硬貨Cが、バラ硬貨収納部54(A)~54(F)の対応するものに確保されていると予想される場合、当該一取引において、収納棒金Bおよび包装棒金Bのうちの少なくとも収納棒金Bを出金させた後、当該下限本数を維持できない棒金収納部105に包装棒金Bを補充する。よって、棒金収納部105に包装棒金Bを補充することでバラ硬貨収納部54(A)~54(F)のバラ硬貨Cが不足してしまうことを防止できる。
【0140】
また、制御部67は、棒金硬貨出金処理の一取引を開始するに当たり、当該一取引後に、棒金収納部105(A)~105(F)のうちの少なくともいずれか一つが、所定の収納量である下限本数を維持できないと予想される場合であって、下限本数を維持できない棒金収納部105に補充する包装棒金Bを作成する分のバラ硬貨Cが、バラ硬貨収納部54(A)~54(F)の対応するものに確保されていないと予想される場合、当該一取引において、収納棒金Bおよび包装棒金Bのうちの少なくとも収納棒金Bを出金させた後、下限本数を維持できない棒金収納部105に包装棒金Bを補充しない。よって、棒金収納部105に包装棒金Bを補充することでバラ硬貨収納部54(A)~54(F)のバラ硬貨Cが不足してしまうことを防止できる。
【0141】
また、制御部67は、棒金硬貨出金処理の一取引を開始するに当たり、出金を要求された金種の収納棒金Bが棒金収納部105(A)~105(F)に収納されていない場合、バラ硬貨収納部54(A)~54(F)の対応するものからバラ硬貨Cを包装部101で包装して包装棒金Bのみを出金させる。このため、ユーザーにとって煩雑な操作入力を繰り返し行う必要がなくなり、使い勝手が良くなる。
【符号の説明】
【0142】
12 硬貨処理機
54(A)~54(F) バラ硬貨収納部
67 制御部
101 包装部
105(A)~105(F) 棒金収納部
121 棒金搬送部
123 棒金出金部
B 棒金硬貨
C バラ硬貨